2013年05月15日

Jason Mraz live in Manila

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東南アジアの主要都市の目抜き通りならどこでも、夕方のラッシュ時に雨が降ると途端に交通が麻痺してしまう。昨日のエドサ通りも例外ではなく、思いっきり時間の余裕をみてオフィスを出たというのに、軽く腹ごしらえをして会場に入ったときにはもう前座のフィリピン人の女性歌手が歌っていた。

年末にスティングを観たのと同じアラネタ・コロシアム。やたらと会場がでかくてチケット代の高いフィリピンではもうあまりライヴは観たくないなと思っていたけど、ジェイソン・ムラーズが来るとなると話は別。二夜連続で観た東京でのライヴ(もう4年以上も前になるのか)のことを思い出せば、この人が近くに来るのに観に行かないなんてありえないからね。

なので今回は奮発して一番高いアリーナ席を確保。結構早い時期にチケットを押さえたはずなのに、P列(ということは16列目?)の左端という、まあそれほど大喜びするほどでもない席。客電も落ちて真っ暗な中を案内してもらって席にたどり着くと、左側が空席。ちょうどいいや、誰も来なかったら二人分の席にゆったり座らせてもらおう。

僕が席についてからはその女性歌手は3曲ほど歌ったかな。最後に大好きな歌との前置きで「Hallelujah」を高らかに歌って終了。ものすごい声量の人だね。歌も上手だし、やっぱりフィリピン人アーティストは質が高いよ。その時点で8時20分ぐらいだったかな。30分も演らなかったんだね。これは意外と早くジェイソン出てくるのかな。

と思いきや、セットチェンジだのスクリーンの調整だのにたっぷり30分以上かけて、9時になってようやく暗転。まずはジェイソンがクラシックギターを持って一人で登場。最近のアー写のたっぷりした髭は剃り落としたようで、それでも一週間ぐらいは手入れしてないんだろうなというほどの無精髭。おなじみのパナマ帽に黒いTシャツ(ピンクのフラミンゴ柄)。右の頬には水色と白の四角いペインティング。右腕にも何か模様が描いてあるね。

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意表を突いた静かなオープニングの曲名が思い出せない。知ってる曲なのに。持ってるCD片っ端から聴き返したら思い出すかな。新譜からの「The World As I See It」だっけか。その曲の後半からバンドがぞろぞろとステージに上がり、ちょっとメドレーぽく別の曲(インスト)につなげて終了。

新譜からの「Everything Is Sound」に続けて、早速の「The Remedy」。嬉しかったのは、4年前の東京のライヴや最近のビデオなんかで観ると、この曲のサビのところはずっと音程を下げて歌っていたのに、この日はオリジナルどおり思いっきり声を張り上げて歌うジェイソン。やっぱりこの曲はこうでなくちゃ。そして、それに合わせるかのように満員の会場が一斉に同じラインを歌う。すごいね、やっぱりさすがフィリピン。

次の曲は知らなかったけど、調べてみたら多分「They Shaped My Life (Who I Am Today)」という曲かな。サンキューという歌詞がサビのところで何度も出てくるんだけど、後半その部分をサラマッポーとタガログ語に変えて歌うジェイソン。満場大喜び。

確か7曲目あたりに演った「Frank D. Fixer」が僕にとっての前半のひとつのハイライト。後ろのスクリーンにタイトル本人のモノクロ写真を映したりしてたな。

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去年出た『Love Is A Four Letter Word』、比較的出てすぐに買って何度か聴いたんだけど、どうもとっつきにくくて、去年の個人的ベストアルバムの選考にすら落ちてしまっていたんだけど、このライヴに行くことなって予習のために聴き返してみたら、実はいい曲たくさん入ってるんだよな。この「Frank D. Fixer」もそのひとつ。

たぶん、先行シングルの「I Won't Give Up」が僕にとってはちょっと面白みのない正統派すぎるスローバラッドなのと、いつもアルバムにひとつやふたつは入っている早口言葉系の曲が全然なかったのが印象薄かった理由だと思うんだけど、こうしてライヴで過去の曲と交互に聴いてみると、曲単位のクオリティでは全然負けていないね。

僕にとっての前半の最大のハイライトはそのすぐ次にやってきた。「Frank D. Fixer」が終わってバックのメンバーが一旦退き、ジェイソンが聞いたことのないイントロを奏で始めたかと思うと、そのままスローにアレンジされた「You And I Both」へ。思い出しただけで鳥肌が立つ。いろんな曲でこんな風にオリジナルバージョンとは違ったイントロをつけてたね。こういうのはいいね。

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バックのメンバーについて書いておこうか。といっても名前はちっともわからないんだけどね。ステージ左からドラムス、ギター、ベース。ジェイソンの後方にトランペット、トロンボーン、サックスのホーン隊。ステージ右側、前からパーカッション、ヴァイオリン、キーボード。ジェイソンを含めて総勢10名。パーカッションとヴァイオリンは女性。ちょっと驚いたのが、デビュー前からずっとジェイソンと行動を共にしていたはずのトカがいない。どうしたのかな。

4年前の東京のときに印象的だったのが、エレキギター担当がいなかったこと。そのせいか、とてもオーガニックでふくよかな音だった印象なんだけど、今回のツアーはギタリストが終始ストラトを弾きまくっている。ギターソロなんて入れたりして。

でも、次の「Living In The Moment」だったかな、メンバー全員がアクースティック楽器に持ち替えて、ステージ前に小さく集まる。ギタリストはリゾネイターを、ヴァイオリニストはマンドリンを、キーボーディストはアコーディオンを、パーカッショニストはマラカスを、ベーシストはウッドベースを、ドラマーはなんだかハリセンみたいなのを、そしてホーン隊の一人(全員同じようなハゲ頭なのでどの楽器の人か不明)はフルートをそれぞれ演奏。

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「Lucky」でデュエットしたのは前座の女性歌手。でも二人でステージの両端に立って(女性歌手はこっち側、ジェイソンは一番右側に)歌ってるよ。嫌いなのか?

「Make It Mine」〜「Live High」〜「Only Human」の3曲をメドレーで続けて激しく演奏した後、暗転してジェイソンにスポットライト(バックのメンバーはまだいたはず)。なんか聴いたことあるスローバラッド。あ、これ「Plane」だ。セカンドアルバムの中でも好きな曲のひとつなんだけど、今までライヴでもビデオでも全然観たことなくて、一度聴いてみたいと思ってたんだ。ちょっとヘヴィーなアレンジだったけど、やっぱりいい曲。

パーカッショニストと二人でステージに残り、曲説明を始めるジェイソン。パーカッショニストが腰掛けているのはカホンだ。「この曲は世界中で歌ってる。危ない歌詞が入ってるけど、ペンギンにも無害だからきっと君達にも害は無いはずだ」とか。「子供はこんな言葉は使っちゃいけないよ」と、「You Fckn Did It」を。この超早口ソングを、カホンを演奏しながら一糸乱れず全歌詞ハモるパーカッショニスト。すごいや。間奏では、ジェイソンが左手でコードを押さえたギターの弦を彼女がドラムスティックで叩く(ちゃんとメロディーが鳴る)。すごいなこれ。後半の最初のクライマックス。

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「この曲はここにいる全ての女性に捧げます。あと、全ての女性の隣にいる野郎たちにも。女性って扱いにくいよな、わがままでさ、云々」と、また結構長い曲説明を経て始めたのが、去年のアルバムを聴き返して再確認した名曲「The Woman I Love」。昨日ジェイソンのサイト見てみたらこれのPVが上がってたから、この曲が次のシングルになるのかな。

その後は、「A Beautiful Mess」、「93 Million Miles」と怒涛の名曲をつなげ、最後に皆さんお待ちかねの「I Won't Give Up」で幕。最後のは、あまり僕の趣味でない曲だとはいえ、これだけヒットしたお馴染み曲で周囲にこれだけ盛り上がられると、こちらとしても乗らないわけにはいかない。いや、いい曲だとは思うよ。個人的には夕陽を浴びる草原から惑星まで、タイトルどおり素晴らしい飛躍を見せるバックのスライドショーが見事だった「93 Million Miles」で終わってくれても問題なかったけどね。

ものすごい声量の歓声に迎えられて、アンコール1曲目は「Song For A Friend」。そして、やっぱりこれを最後まで取っておいた「I'm Yours」でおしまい。最後はボブ・マーリーの「Three Little Birds」をメドレーで歌ってたね。「Every Little Thing Is Gonna Be Alright」という歌詞を「隣の知らない人に歌いかけて!」って言ってたけど、残念ながらその時点では僕の隣はもう(終電に間に合わなかったのか)とっくにいなくなってたよ。

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そういえば、冒頭の写真もそうだけど、他にも大きな紙に手書きでいろいろ書いてきているお客さんが多く、中には「私はムラーズに投票した」と書いた人がいて(フィリピンはこの前日が統一選挙の日だった)、ジェイソンはそれを見て、「僕に投票してくれてありがとう」と反応してたな。

最後は全員でステージの前に来て何度もお辞儀をし、ピックを手当たりしだいに客席に投げ入れて(残念ながら16列目まで届くような飛距離のピックは持ち合わせていなかったようだ)、まだ鳴り響く歓声の中を退場。時計を見てみたら、もう11時を過ぎてるよ。2時間強か。

入場するときに、『Love Is A Four Letter Word』のジャケデザインのとどっちにしようかと迷った挙句にこっちにしたTシャツ。フィリピンはコンサートのチケット代はやたらと馬鹿高いんだけど、こういう土産物は比較的安いので(この円安・ペソ高でも2500円弱)、つい買ってしまうよ。こうして家にあるTシャツがまたどんどん増えていく。

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僕が今回のチケットを押さえたときにはまだ未定だった日本公演が決まったね。8月に東京のみ一公演か。それに行く予定の人にとって、この作文が参考になるのかネタバレになるのかわからないけど、新譜がいまいちだったと思って躊躇している人がもしいたら、考え直したほうがいいよ。きっと8月のも凄いライヴになると思う。


Setlist 14 May 2013 @ Smart Araneta Coliseum, Manila

1. The World As I See It
2. Everything Is Sound
3. The Remedy (I Won't Worry)
4. They Shaped My Life (Who I Am Today)
5. Butterfly
6. Three Things
7. Frank D. Fixer
8. You And I Both
9. Living In The Moment
10. Lucky
11. Make It Mine / Live High / Only Human
12. Plane
13. You Fckn Did It
14. I'm Coming Over
15. The Woman I Love
16. A Beautiful Mess
17. 93 Million Miles
18. I Won't Give Up

Encore
1. Song For A Friend
2. I'm Yours / Three Little Birds


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2013年04月19日

追悼 ストーム・トーガソン

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中学生ぐらいの僕にジャケ買いというのを教えてくれたひと。
もうこの人の作る新しいジャケを見ることがないのかと思うことが、自分でもびっくりするほど堪える。

<4月20日追記>
これもまだうちにある。
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2013年04月04日

Steve Forbert live in Osaka

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名古屋から近鉄にガタゴト揺られて難波へ。スティーヴ・フォーバート33年振りの日本ツアー最終日は、僕が昔大阪に住んでいた頃には影も形もなかった湊町リバープレイスというどでかい建物の、外階段の下に空いているスペースを利用して作ったような小さなミュージックバー、S.O.Raという会場で行われた。11年の暮れにタマス・ウェルズを観た場所からそう遠くないね。難波に来るのはあれ以来だから、あのときのことがなにかと懐かしく思い出される。

また比較的いい整理番号だったけど、前日みたいに行ってみたら開場時刻が早まっていたなんてことになってたらいけないし、初めての場所で迷うと困るので30分ほど早目に行ってみたら、当然ながら誰もいない。しょうがないので信号を渡ったところに見えたタコ焼き屋さんで本場のタコ焼きとビールで腹ごしらえ(さっきの11年のタマスの記事を読み返してみたら、僕はあのときも全く同じ行動を取っているね。きっと僕はこの先ずっと、大阪でライヴを観るときは不必要に早く会場に着いて、時間つぶしにタコ焼きを食べてビールを飲み続けるんだろう)。

開場時刻。整理番号順に入場するかと思いきや、意外なことにドアの近くに立っていた人から順番に中に入れ始めた。なんと、こんな小さな会場なのに指定席だとのこと。場内に5つ置いてある丸テーブルの上にそれぞれ5つの番号が振ってあって、指定された場所に座る。あとは後ろの壁際のスツールとか、バーの前とか。僕は幸いにも比較的居心地のいい場所に座れてよかった。それにしても、あの小さな会場に約40人分の椅子とテーブルを詰め込んでいるもんだから、一旦全員が着席すると(整理番号の後ろの方の人たちは立ち見だったけど)、もううろうろするのもはばかられるほどの人口密度。前日の名古屋公演で知り合った方と話でもしてようかと思ったけど、ちょっとそっちまで気楽に歩いて行ける感じでもない。

でも、さっきビールを飲んだことでもあるし、開演前の空いている時間にトイレ行っておこうと思って並んでいたら、外からスティーヴとスタッフのトレイシーが入ってくる。スティーヴは入ってくるなり「やあ、今日はどうだい?」なんて声を掛けてくれる。昨日背が高いと書いたけど、実際隣に立ってみると、僕とそう変わらないね。

開演時刻より数分前にステージに登場して、前日同様トレイシーとなにやら相談しながらギターのチューニングを始めるスティーヴ。足元には名古屋のときよりも数倍大きな木の板が弾いてある。名古屋ではティムはあの小さな板の上にはみ出さないようにきちんと立って演奏していたけど、スティーヴはあっちへふらふら、こっちへふらふらしてたからね。好きなときにかかとで板を蹴ってリズムを取るためにはこれぐらい大きな板の方がやりやすいんだろう。

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オープニングは「It's Been A Long Time」。ファーストアルバムのアウトテイクだ。こんな曲も演ってくれるんだね。当然のごとく、前日とはセットリストをがらりと変えてきている。終了後にセトリらしき紙を見てみたら、あれは演奏する可能性のある曲を列記してあるだけで、実際にはその順番では歌っていなかったみたい。そのときの気分で次にどの曲を演ろうか決めるんだろう。

そういえば、この日もリクエストを募っておいて、「わかった」と言って違う曲を演り、続けてリクエストされた曲を演奏した。また名古屋のときみたいに半分ジョークでそうしているのかなと思ったけど、きっとあれは、リクエストされた曲を今頭の中にある曲順のどの辺に入れればうまく流れるのかを咄嗟に考えて、その順番で演奏してるんだろうなと気づいた。でもそんなのお客さんに説明することでもないから、リクエストした方からしてみたらなんだか無視されたように思ってしまうかもしれないけど、「君のリクエストは覚えていただろう」みたいなことをいちいち語りかける様子を見ていると、この人こんなふらふらしているように見えて、実はかなり繊細に気を使ってライヴを進めているんだなと思った。

そんな、実はよく気がつく人だと思ったエピソードのひとつ。チューニングをしながら会場の中央付近にいた人に「君は昨日もいた?」と声をかけ、また別の人にも同じように話す(どちらも名古屋で僕の近くにいた人たちだ)。さらに、「その声には聞き覚えがあるぞ。君はえーと、確か横浜に来ていた?」と別のお客さんに話しかけると、その人は嬉しそうにうなづいていたので、当たっていたんだろう。そんなの覚えていられるものなのか?すごいな。

最初の方に演奏した曲で手拍子を促したと思ったら、あるお客さんを指差して「悪いけど君は手拍子やめてくれないか」と。また前日みたいにお客さんをいじってるのかなと思ったけど、どうやらこれはそうじゃないね。自分のリズムに合わない手拍子をされると本当にやりにくいようで、あれはマジでお願いしていたんだね。そう気づくと、いつ自分が同じ指摘をされやしないかと、手拍子するにも緊張してしまう。

会場の前の方に、お疲れなのか酔ったのか、眠そうにうつむいているお客さんがいたのを気にしていたようで、何度かその人に歌いながらちょっかいかけていたけれど、最後にはダグを呼んでその人に注意させてたね。まあ、あれはちょっと、スティーヴでなくても気になるだろう。

そんなちょっとした出来事はあったものの、ステージに登場したときの歓声や拍手の量が前日とは桁違いで、名古屋ではどうもエンジンかかるのに時間がかかっていた風情だったスティーヴも、1曲目から嬉しそうにニコニコしている。明らかに前日よりも調子がよさそうだし、ふらふら度も多少なりとも減少して(笑)、これは二日続けて観に来た甲斐があったよ。

お客さんに歌わせる曲なんかは前日と重複していたけど(歌う順番は全然違ったけど)、それ以外は相当がらりと曲目を変えてきている。僕は残念ながら90年代の曲は全然わからなかったんだけど、終演後に一緒に飲みに行った人(その人もかなりのマニアだった)と話していたら、前日には全然演奏しなかったアルバムの曲を途中でリクエストされたら、今日の客はこのアルバムの曲がわかるんだとばかりに、同じアルバムからの曲を続けて演奏したりしていたらしい。

新作の1曲目「All I Asked Of You」を演奏した後、「これはアメリカーナの一片って感じの曲かな、よくわかんないけどさ」みたいなことを言っていたと思ったら、続けてCCRの「Proud Mary」のカバーを演奏し、「これもアメリカーナの一片って感じの曲かな、よくわかんないけどさ」だって。違うよ!と突っ込むところなんだろうけど、当然のごとくそんな反応が返ってくるわけもなく、他の沢山のジョーク同様、何事もなかったかのように進行。終演後にサインをもらうときに「あの“Slice of Americana”ジョーク、面白かったよ」と言ったら嬉しそうに笑ってくれた。

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「あと3曲」と言って、前日には演らなかった「Steve Forbert's Midsummer Night's Toast」を(これは嬉しかった)。そして、最後の2曲は前日同様、「What Kinda Guy?」と、「Good Night」に続けての「Romeo's Tune」でしっとりと感動的に一旦幕。すぐにアンコールで登場して、ストーンズの「The Last Time」(今日はカバーが多いね)、そして締めの「You Cannot Win If You Do Not Play」。前座なしだから2時間ぐらいは演ってくれるのかなと思ってたけど、アンコールも入れて1時間45分ぐらいだったか(文句言うほどの差じゃないけど)。

そしてその後は、お馴染みの展示即売サイン会。古くからのファンがほとんどだったようで、沢山の人がLPやらTシャツやらにサインしてもらっていた(33年前のパンフレットを持ってきていた人も)。みんな一人で何枚にもサインをもらって写真まで一緒に撮るもんだから、結構時間かかるのに、スティーヴは最後まで一人ひとりに声を掛けながらニコニコして対応してたね。

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僕の順番のときに、ダグが「この人はフィリピンから来てくれたんだよ」とスティーヴに声を掛けてくれる。スティーヴも、前日に僕がそう伝えてあったのを覚えていてくれたらしく、「うん、わかってる」みたいにこっちを見てくれた。「名前何だっけ?」と聞かれたので、「yas、Y、A、S」と言ったら、「ああ、知ってる」と、そんなの覚えてくれてるわけはないけど嬉しかったね。

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この日も一番最後までだらだらと会場に居残ったあと、名古屋でも一緒だった二人のファンの方々とちょっと一杯でもと焼き鳥を食べに行った。なんかこういうのは嬉しいね。「ガーランド・ジェフリーズって知ってます?」と振ってみて、当然のごとく返事が返ってくる心地よさ。「ルー・リードと同級生で」と言うと間髪入れずに「シラキュース大学」とか、なんか自分の頭の中の音楽データベースのコピーを外付けHDDの中に見つけたみたいな感覚(笑)。またどこかのライヴで会えたらいいな。


Setlist 03 April 2013 @ S.O.Ra

1. It's Been A Long Time
2. Real Live Love
3. All I Need To Do
4. My Blue Eyed Jane
5. Worried Life Blues
6. That'd Be Alright
7. Born Too Late
8. Good Planets Are Hard To Find
9. Write Me A Raincheck
10. All I Asked Of You
11. Proud Mary
12. Blackbird Tune
13. Over With You
14. Baby, Don't
15. It Sure Was Better Back Then
16. Rock While I Can Rock
17. Sing It Again, My Friend
18. Blue Yodel #9 (Standing On The Corner)
19. So Good To Feel Good
20. Responsibility
21. Steve Forbert's Midsummer Night's Toast
22. What Kinda Guy?
23. Good Night / Romeo's Tune

Encore
1. The Last Time
2. You Cannot Win If You Do Not Play
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2013年04月03日

Steve Forbert & Tim Easton live in Nagoya

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朝一番にマニラ空港を出発して、成田でセントレア行きの国内線に乗り換え。更に3つの電車への乗り継ぎはどれもとてもスムーズに進み、思いがけず開場時刻の18時には今池の得三に到着してしまった。僕の持っていたチケットには開場18時半、開演19時半と書いてあったのでちょっと早く着き過ぎたかなと思っていたら、小雨の中をたどり着いた会場ではもう番号順の入場が始まっていたので、結構いい整理番号のチケットを持っていた僕は慌てて階段を上って中に入れてもらう。

運よくまだ最前列のテーブルは人がまばらだったので、うんと見やすいほぼ真ん中の席を確保。そこからはチケット記載の手違いを含めて開演までの1時間半を、ジョッキたっぷりのワインとキムチピザで小腹を満たしながらぼーっとつぶす。途中からは、すぐ近くに座っていたほぼ全公演追っかけ中のダイハードなスティーヴファンの方に色々話を聞かせてもらったり、後ろの物販のところにいたゴーティの松本さんや今回の主催者のダグに話しかけたりと、それほど暇を持て余さずに開場時刻を迎えることができた。


スティーヴ・フォーバート33年振りの来日に合わせてわざわざマニラから観に来るなんて、僕もよっぽどのファンなんだろうと思われるかもしれないけれど、33年前にはクラッシュやジャムを熱心に聴いていた背伸び中学生にとっては、朴訥とした人のよさそうな兄さんがこっち向いて微笑んでいるジャケットには手が伸びなかった。もちろん、ヒットした「Romeo's Tune」をはじめ、ラジオやなんかで彼の曲を聴く機会は沢山あったのでいい曲を書くシンガーだとは認識していたけど、僕にとっての彼は、気がつくとまだそこにいるなといった程度の、ちょっと向こうの道をずっと一緒に走っているアーティストといった感じのポジションにいた(僕は別にアーティストとして走っているわけじゃないけど、これだけ長くいろんなのを聴いてると、30年以上前からずっと知ってる人がまだ現役でやってるのを見ているだけで、なんだか勝手に戦友みたいな気持ちになってしまう)。

なので、今回の来日が発表になったときも、即座に飛びついたというよりは、結構悩んだ。連休明けの期初に3日有給を取るには、目をつぶってその後何が起こるかを考えないようにする技術が必要(そして、僕は最近その技術に長けてきた)。でも、久しぶりに彼の曲をいくつか聴き直してみたら、これがもうどれもこれも今の僕のツボに入りまくるものばかり。なんで僕はこの人のことをずっと追っかけてこなかったんだと、改めて中学生の自分を恨んだ。さらにそんな僕の背中を押したのが、前から一度観てみたいと思っていたティム・イーストンがここ名古屋でスティーヴの前座として出演するのを知ったこと(そして、翌日に少人数限定でスティーヴの追加公演が発表されたこと)。もうこれは目をつぶる技術を発揮するしかないと。今回観ておかないと次はまた33年後かもしれないし。


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その、(会場をぎっしり埋めた80人ほどのお客さんのほとんどにとっては単なる前座だったかもしれないけれど)僕にとっては今回の大きなお目当ての一人、ティムが開演時刻ちょうどにステージに現れ、ピックガードのネック寄りのところの塗装がピッキングではげてしまっている黒いギブソンを肩にかける。意外に背が低いね。それに、ジャケ写でよく見る長髪・ヒゲ面でなく、こざっぱりと髪を刈り揃えた男前。

彼のアルバムはオリジナルを2枚と最近出たベスト盤を1枚持ってるだけなので、演奏した半分ぐらいは知らない曲だったりタイトルがぱっと出てこなかったりしたけど、きっと僕以上に彼のことを知らなかったスティーヴ目当てのお客さんたちにとっても、知らない曲だろうがタイトルが何だろうが、そんなことは全然問題にならない素晴らしい演奏だった。

ブルーズマナーの曲で初め、しっとりとしたスローな曲、ポップなアップテンポの曲など、まるでこれが彼の広範な音楽趣味のショーケースだと言わんばかりに、あえてバラエティに富んだ選曲が続く。ギターの上側に紙が張ってあって時々それを見てたから、きっとあれがセットリストなんだと思っていたけど、ライヴが終わってから聞いてみたら、あれはレパートリーが60曲ほど書いてあって、それを見ながらどの曲を演ろうかと考えるだけで、こういうライヴではセットリストは作ってないんだって。

曲によってハーモニカホルダーを首にかけたりカポをつけたり、曲調の多彩さもあいまって、一人でも曲ごとにがらっとイメージが変わる。足元に50センチ角ぐらいの木の板が敷いてあって、それを靴底でガンガン鳴らしながらリズムを取るから、まるでベースの打楽器まで自分で演奏しているよう。

ギターがもう、とにかく上手。グレン・ティルブルックやジム・ボジアみたいにアコギでも流麗なギターソロを延々と披露するというようなタイプではないけれど、歌いながらよくあれだけ味のある細かいプレイができるなと思うほど、観ていても聴いていても気持ちいい演奏。曲によってピック使ったり指弾きしたり。速いピッキングもアルペジオも実に正確。そして、どの曲ももうちょっと聴いていたいなというぐらいのところで絶妙に終わるタイミングのよさ。余計にエンディングを引っ張ったり冗長なソロを入れたりとか一切なし。

途中でちょろちょろ日本語の挨拶を入れたり(子供の頃日本に住んでいて、子役でテレビに出たりしたらしい)、「何か僕に質問はある?」とか、急いでいたせいかそもそもそんなに喋る人じゃないのか、MCもそこそこにプログラムはどんどん進む。多分、冒頭の開演時刻記載違いのせいで押してしまってるので、時間通りに終えないといけなかったんだろうね。

30分ぐらい経ったところで「あと2曲」(と言ったときに後ろの方で拍手が起こったけど、そこは拍手するところか?)と、確か「Burgundy Red」と「Festival Song」を演奏して退場。きっちり45分だったね。なんか全然物足りない。今回彼のフルセットの公演を観られないのが本当に残念に思えた45分間だった。

ライヴ後に彼と話していたときに、「『Get Some Lonesome』聴きたかったな。何か質問は?って言われたときにリクエストすればよかった」と伝えたら、「僕はいつも『質問は?』って訊くんだ。そういえば『Get Some Lonesome』は長いこと演奏してないな。思い出させてくれてありがとう。この後の公演で演奏するよ」だって。くーっ、余計に悔しい。どうせなら週末の鎌倉で演奏して、『Live At Cafe Goatee』CDにして出さないかな。

あとは、途中で「これは新曲」と言って歌った自分の娘についての曲は、8月に出るという予定の次のアルバムには入らないんだとか。「僕は常に曲を書いてるから、結構新しい曲がどんどんできて未発表になってるんだ」とのこと。いい曲だったから、そのうち未発表曲集とか次の次のアルバムとかシングルB面とか(と言ったら彼は笑ってたけど)に入らないかな。


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15分ほどの短い休憩を経て、いよいよスティーヴ・フォーバートが登場。サンバーストのギブソンをチューニングしながらステージ上でしばらくスタッフと談笑中。横のテーブルの上にはセトリを書いた紙の上にハーモニカとカポがずらっと並んでいる(一番上の写真)。ハーモニカはともかく、なんでカポがあんなに沢山いるんだ?

ティムと違って随分背が高いな。58歳という年齢相応の見かけだけど、あのファーストアルバムの兄ちゃんがそのまま年食って髪の毛白くなったという感じ(当たり前か)。チューニングしてたと思ったらなんとなくジャカジャカ始まったみたいなゆるいオープニングはそのファーストからの「Thinkin'」。

いろんな意味で、「こんな人だとは思わなかった」というのが一言でまとめた僕の感想。もっと、なんというか爽やかな感じでギターをかき鳴らしながらアツくせつなく歌うSSWなんだろうなと勝手にイメージしていたんだけど、初めて観るスティーヴはどちらかというとふらふらーっと動きまわり、ギターもテクニカルなフレーズを弾くというよりもあくまでもリズムキープに徹する感じで、ときおりわざと音程を外して大声で歌ったりするところなんかは、タイプは違うけどちょっとトム・ウェイツを彷彿とさせる瞬間もあった。こんな人だとは思わなかった。

演奏しながら「そこの二人は手拍子をするな」とか、同じ曲で観客が延々手拍子をしていると「手拍子するなって言ってるんだ」とかわざわざ歌の途中に言ったり、歌い終えてから「誰もが生まれついてのドラマーじゃないんだ、ジンジャー・ベイカーみたいに」とか言うから、どんだけ気難しい人なんだと思っていたら、どうやらそういうのは全部ジョークのつもりで言ってたみたい。別の曲では手拍子を促したり、観客にリクエストを募っておいて、あえて違う曲を演奏したり(あとの方で「君のことはちゃんと覚えてるよ」と言いながらリクエストされた曲を演ったり)、初対面でそんな難しいジョーク真顔で言われてもわかんないよ(苦笑)

沢山置いてあるハーモニカの中からAのキーのがなかなか見つけられず、やっと見つけて演奏し始めたと思ったら結局その曲ではハーモニカをほとんど吹かなくて「なんだあんなに探したのに要らなかった」とか、とにかくなんか思いついた可笑しなことを言わないと気がすまないんだね(それが相手にとって面白いかどうかは別にして)。そういうところは気が合う気がする(笑)

途中からは、彼がそういう人だというのを僕が把握し始めたせいか、それとも彼も静かな観客に慣れてきたのか、見るからに乗りが違ってきた。相変わらずひょろひょろふらふらしながら歌ってるんだけど、このゆるい感じに引き込まれると逃れられないというような錯覚に陥ってしまう。そんな時にファーストアルバム冒頭の「Goin' Down To Laurel」とか繰り出されてくるもんだから、こちらはいとも簡単に喉のあたりがぐっときてしまう。

「じゃあ次の曲はみんなで歌おう」と言って、観客にコーラスを任せるシーンも何度かあったけど、案の定ほとんどのお客さんは歌詞わからないから皆小声でぼそぼそ歌う。それでもめげずに何度もコーラスさせて、終わったときには(お世辞だろうけど)「ありがとう、すごくよかった」と言ってくれる(それとも、あれもジョークなのか?)。

最後「あと3曲」と言って4曲演奏した最後の2曲が、僕みたいなほとんど初期の曲しかわかりませんという観客にとってはお待ちかねの「What Kinda Guy?」と、ビートルズの「Good Night」からメドレーで出てきたハーモニカのイントロにうるっときた「Romeo's Tune」。後者も聴き慣れたスタジオ版みたいなかちっとした歌い方じゃなくて今のスティーヴのへろへろっとした感じだったけど、それでも名曲。

ここまででほぼ1時間半かな。その後、短いアンコールの拍手に迎えられて、リクエストされた曲と、最後に「You Cannot Win If You Do Not Play」で幕。もっと去年の新作から演奏するかと思って予習して行ったけど、思ったよりも初期の曲を演ってくれたね。きっと、日本のお客さんはみんな33年待ち続けてくれたと思っていたのかな。

二人を初めていっぺんに観た印象。ティムは例えて言えばカチッとチューンアップされた小型のスポーツカーで的確にギアシフトしながらぐいぐい山道を攻めるような感じ。一方のスティーヴは、でっかいアメ車のオープンカーでどこまでも続く道を砂埃を上げながらガーッと進んでいく感じ。ときどきエンジンの調子悪いのかな?と思うけど、それはそれでまた楽しい。ティムの出番が短くて残念ではあったけど、両方いっぺんに観られてよかった。


終了後は物販のところにスティーヴが来て、販売&サイン&写真撮影会。僕はもうマニラ行きの終電に間に合わないので宿を取ってあったからゆっくりと後の方にして、通常はネット通販でしか買えないCDの中からおすすめを隣に座っていたファンの方に教えてもらって買ったり、松本さんお勧めのCDを買ったり、ダグとガーランド・ジェフリーズの話をしてひとしきり盛り上がったりしていた。スティーヴが古い携帯カメラで撮ったというレトロな色合いが抜群な写真(フレーム入りで1枚3000円)も欲しいのが沢山あったんだけど、今回は現金に限りがあるので断念。

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いつまでたっても列が途切れないスティーヴと違って、ほんとにこの日はティム目当てのお客さんは少なかったんだね。手持ち無沙汰に座っていたティムのところに行ってちょっと話をしてサインをもらった(ありがたいことにその後もティムとは少し長く話せた)。ティムはやけに疲れて見えたけど、日本に来てもう一週間近くになるのにどうやらまだ時差ぼけに悩まされているらしい。

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セットリストは、各曲のイントロを聴いただけでもう題名をメモしていたほどのダイハードファンに教えてもらいました(さきほどご丁寧に追加情報も教えてくださったけど、ここにお名前を載せていいものかどうかわからないので)。ありがとうございました。


Steve Forbert Setlist 02 April 2013 @ Tokuzo

1. Thinkin'
2. Something's Got A Hold On Me
3. That'd Be Alright
4. Listen To The Mockingbird
5. Worried Life Blues
6. Schoolgirl
7. Tonight I Feel So Far Away From Home
8. Any Old Time
9. It Isn't Gonna Be That Way
10. All I Need To Do
11. Sing It Again, My Friend
12. Goin' Down To Laurel
13. There's Everybody Else, And Then There's You
14. It Sure Was Better Back Then
15. Blackbird Tune
16. Get Well Soon
17. Lonesome Cowboy Bill's Song
18. About A Dream
19. What Kinda Guy?
20. Good Night / Romeo's Tune

Encore
1. I Blinked Once
2. You Cannot Win If You Do Not Play
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2013年03月20日

追悼 ジェイソン・モリーナ

Fading Trails.jpg

ひさしぶりに会う友達に誘われて、計算上一人あたりワイン一瓶あけて帰ってきたところにこの訃報。こんな酔った頭で書くようなことじゃないとはわかっているけれど、酔った勢いで少しだけ。

ソングス:オハイアもマグノリア・エレクトリック・カンパニーも、僕にとっては常に追いかけているという対象ではなかったけれど、新しいアルバムが出たとなると、いつも少しだけ気にかけてはいた。安く手に入るとか、たまたま見かけたサイトで限定盤が売り出されているとか、そういうときには散々迷った挙句、買ったり買わなかったり。ああ、なんだか自分ののめり込んでなさが露呈してしまうような書き方だね。

数枚しか持っていないけれど、どのアルバムも、ふと思い出して聴いてみたらすごくいいんだ。いつも、なんで僕はもっとこの人のファンじゃなかったのかなと聴くたびに思ってしまう。

もう、この人が作った新しいアルバムを聴くことはないんだと思うと、なんでそんなもったいない聴き方をしていたのかなと思ってしまう。いいと思ったアルバムはもっとちゃんと何回も聴き返そうよ。たくさんCDを持っていることが別に必ずしもえらいわけじゃないんだと。

アルコール摂取過多による臓器不全だとか。39歳だったとか。酔った頭には辛い言葉だけれど、今この頭ではそれについてなんて書いていいかわからないよ。今CDラックを見てみたら、残念ながら彼のアルバムは全部東京に置いてきてしまっているな。なのでCDを聴きながらの追悼はしばらく先になってからか。

酔った勢いで夜中に書いた文章なんてあとで読み返してみるとろくなことはないけど、まあこんな感じで。
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2013年03月03日

うちの仲間のベストアルバム2012

前回の記事に書いたとおり、ジム・ボジア来日公演最終日に合わせて、毎年恒例の個人的ベストアルバム発表会をいつもの友人達と開催した。ジムの鎌倉公演に合わせて来日した僕の都合で、いつもの某県Hさん宅ではなく、大船の某カラオケボックスでの開催。カラオケボックスに半日こもって延々自作CDを聴かせ合うのは、この一連の企画の一番最初だった生涯ベスト20のとき以来だ。

今回はいつもの常連メンバーのうちMさん(二人いるうちの一人)が都合で欠席。去年は参加してくれたxさんも大船開催ということで断念。代わりに、ときどきライヴ後の打ち上げで一緒になるYさんが参加。Tom、N君ことうーららさん、Mさん(二人いるうちのもう一人)、Nさんという常連メンバー4名と僕の計6名。

去年は、参加した8名のうち4名が同じアルバムを選び、そのことがアーティスト本人に伝わって、人づてにお礼を言われるなんてちょっと嬉しい出来事もあったんだけど、今年はさすがにそこまで大勢に選ばれるアルバムはなかった。

でも、集計してみたら、誰か二人に選ばれたアルバムが全部で11枚。うちの仲間のベスト10というにはちょっと字余り気味だけど、それは後述する某Nさんのせい。今日は、あの日集まってくれた5人以外にはあまり意味のない企画だけど、あの発表会についてと、その11枚のアルバムについて書いてみよう。

今回ちょっとした苦難を乗り越えてカラオケボックスを予約してくれたTomは、手回しのいいことに発表順を決めるくじ引きまで持参してくれた。そのTomが先頭で発表。のっけからあるある状態。特に冒頭のワールド・パーティーのブック型ボックスセットについてはMさん大いに盛り上がるの図。僕も、かぶってしまったもの、候補には挙がっていたもののベスト10には入れなかったもの、聴いてみたいと思っていたものなど、10枚のうちかなりが自分好み。やはりいつ聴いてもこの人とは趣味がかぶるなあ。生涯ベスト20に続いて、「なんでこれが?」と思う重複盤もあったし。

続いては、今回初参加のYさん。全然違う趣味の人だったらどうしようと身構えながら聴いてみたら、さすがコーギスサイト運営者、かなりツボを押さえた選曲に納得。今回の僕のセレクションとのかぶりはなかったけど、僕の2011年第三位のアルバムが入っていた。

うーららさんの今回の選曲には驚かされた。いつものパワーポップ&地味系SSWはすっかり影を潜め、ほぼ全曲女声ヴォーカル。本人曰く「去年はメロウな一年だったから」とのこと。そんなメロウなうーららさんの一年を代表する10枚は、今回誰ともかぶらず(僕の候補に入ってたのはあったけど)。

生涯ベスト20の際にはニック・ロウとヨラテンゴばかりを終わりのない夢のように何曲も選出し、混沌とした選曲状況をあらわにしていたNさん。今回のCD-Rのジャケに書かれたタイトルは「My 11 Songs Of 2012 +1」。10曲に絞りきれずにベスト11にしたまではよかったものの、さらに1曲どうしても削れなかったという経緯がこの一行に凝縮された、まるで秀逸な俳句のようなタイトル。気持ちはわかるけど、12曲も入れるのは反則ですよ、Nさん。

一方のMさんは10曲入りなのにも関わらずジャケには9枚分の画像しか載っていないというおおらかさ(笑)。パワーポップありサイケあり渋味系あり日本語ありと、一番分裂気味だったのはMさんセレクションかも(褒め言葉ですのでお気になさらぬように)。ここにも僕が候補に入れて落としてしまった数枚が。

くじ引きで6番を引いたのは僕。何回か前の反省を活かして、途中で眠りこけてしまわないように、アルコール摂取しつつトイレ休憩しつつ、ようやく自分の番にたどり着いた。前回の記事の10枚から選んだ10曲をそれなりの順番でCD-Rに焼いていったんだけど、Tomやうーららさんから「アルバム全部こんな感じ?(それなら買おうかな)」とか「(躊躇していたけど)やっぱりこれは買うしかないかな」みたいな感想を貰うと嬉しいね。「グリーン・デイって、パンクとか言わなければこうしてちゃんと聴けるんだよね」とかね。

クレイグ・フィンの所属バンドの名前がもう曲が終わってしまう段になるまで出てこなかったのはアルコールのせいです。あと、ブラッド・ジョンズとハンス・ロッテンベリーのアルバムをうーららさんが去年のベストに選んでいたことに気づいていなかったのは自分的には大チョンボ。いや別に他人が選んだアルバムから選ぶのはなしという訳じゃないんだけどさ。


さて、ここからは、今回誰か二人が選んだ11曲をリストアップしてみよう。そのうち僕が絡んでいるのは4枚だけなので、自分の持っていないアルバムのジャケ写は載せないという偏屈なこのブログのルールに則って、代わりに久しぶりにビデオを貼り付けてみようかな。それも、できるだけ今回二名のうちどちらかが選んだ曲を(できるだけ僕が選んだのじゃない方を)。発表会に参加できなかった人へのおすそ分け。

まずは、僕のベスト10堂々第二位のこの人。

これは何のときのビデオなんだろう。ハンディカメラ内蔵マイクでそのまま一発で録ったような感じなのに、ちゃんと聴かせるね(あくまでも贔屓目)。

そして、僕の第三位のこの人たち。

一方こちらはオフィシャルPV。北欧風インテリアがいいね。

僕の第六位だったこの人。最初のとこれはNさんとの重複。どうやらNさんとは去年は女声ヴォーカルの好みが似ていたようだ。


Tomのセレクションからこれが聴こえてきたときの驚き。なんでこれがかぶるかね。

静止画のしか見つからなかった。僕が誰かとかぶったのはここまでの4曲。

ここからは、僕の候補には入っていたけど落としてしまったもの。他の人が選んだのを聴くとやっぱり入れとけばよかったという気になってしまうね。

これは静止画ばかりの構成だけど、綺麗なビデオだね。

続いて、これも候補から落とした一枚。

これも静止画のしかなかった。

今回のライヴの予習のお陰で、これを入れてくる人が多発するだろうことは予想してたけど。

これ、ピート&テリー・アダムス&フレンズになってるけど、ピートの左でギター弾いてるのボジアだね。

いつだったか某タワーを訪れたときに散々プッシュされまくってたのが逆に癇に障って買わなかった一枚。

やたら若いことばかり強調するもんだから(年寄りのひがみ)ちらっと試聴して買わなかったけど、こうして聴くとやっぱりいいね。そのうち買おう。ボジアもビリー・ブラッグも推してるし。

これは名前だけは聞いてたものの、ちょっと今の気分に合わないかとまだ買っていない一枚。

この時代にこれが売れるというのはやはりとんでもないことだと思う。これもそのうち買おう。

これもいいとは聞くけどなんとなく聴き逃している一枚。

20年ぐらい前ならゴドリー・クレームが撮ったかもしれないようなPVが秀逸。

最後に、全然知らなかったアーティスト。

Yさん曰く、HPでアルバム全曲無料DL可らしいけど、この内容なら買っても惜しくないと思う(ジャケットがかなり反ジャケ買い促進モードだけど)。アマゾン見てみたら高かったので買わなかったけど、そのうち是非に。これは今回の発表会での掘り出し物のひとつ。


マニラはインターネット回線が日本に比べてやたらと遅いので、YouTubeでビデオを観ながらこの記事を書いてたらえらく時間がかかってしまった。

ここには取り上げなかった(=誰か一人にだけ選出されていた)アルバムの中にも気に入ったのが何枚かあって、こないだ(一瞬円高に振れたのを逃さず)アマゾンで数枚買ってみた。こういうのが、この友人達と発表会をやる楽しみのひとつ。今回唯一気になったのが、カラオケボックスの音響設備の音の悪さ。あれはかなり残念だった。今年の年末はまた帰省して、久しぶりに某県Hさん宅でゆったりくつろぎながらいい音で発表会できるかな。
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2013年02月20日

2012年個人的ベストアルバム

これを書いてる今はまだかろうじて1月で、ほんとは去年のベストアルバム記事なんて年が明けたらすぐに発表してしまいたかったんだけど、いつもの仲間との年間ベスト10発表会を僕の一時帰国のスケジュールに合わせてもらったもんだから、この記事がオープンになるのは2月中旬のそのイベントが終了してからということになる。まあ、ほとんどの人にとってはどうでもいいことなんだけど、この記事はその発表会で僕があれこれ語るであろう薀蓄の抜粋ということで。

その前に、いつものように去年買ったCD類の集計から。

フォーマット   枚数   対前年
CD          282枚    -4枚
CDシングル     11枚    +2枚
CD+DVD(BD)   6枚     -2枚
DVD Audio      1枚     +1枚
DVD/BD       2枚     +1枚
ダウンロード     1枚     +1枚
LP           23枚    +17枚
シングル       1枚     -4枚
ボックスセット    0箱     -4箱


合計327枚。2010年に300枚を割り込んだのを最後に、また年々買う枚数が増えてきてしまってるな。増えてるのはご覧のとおりほとんどLP。2010年の27枚よりは少ないけど、あのときは大半が100円LPだったからね。去年は殆ど正規の値段で買ってる。やっぱりダウンロードクーポン付きとかがスタンダードになってきているのと、CDというフォーマットがもう凋落の一方で、マニアックな音楽好き向けのLPがどんどん復興しているというのが大きいんだろうね。

枚数は増え続けているけど、一枚あたりの平均単価は過去最低の1,023円。総額も1999年以降の最低額。二十一世紀最安。なかなか財布に優しくてよろしい。箱ものや映像ものをあまり買わなくなってるのも大きな理由のひとつだと思う。そういうのを通して聴いたり観たりする時間がなかなかなくて。もうすでに老後の楽しみにしている箱がうちにいくつも溜まってしまっているからね。もうこれ以上老後の楽しみ溜め込んでもしょうがないし。

では、2012年のベストアルバムについて書こう。正直言って去年は年末近くまでこれぞというアルバムがなかなかなかったのに、12月になってからめぼしいものをまとめて買い込んだら逆に10枚選ぶのにえらい苦労したという、例年のようにその年を代表する超弩級アルバムとそれ以外の9枚という感じではなく、どちらかというと平均的に小粒ながらいいアルバムが10枚というセレクションになった(本当はこの後ろにあと10枚ぐらいあって、2006年以来の20曲入りベストyascdを作ろうかと思ってしまったぐらいなんだけど)。


<第十位>
Craig Finn 『Clear Heart Full Eyes』
clear heart full eyes.jpg

クレイグ・フィンなんて名前を出して一体どれだけの人が反応するのかわからないけど、この人は僕がかつて06年にこのブログで記事にしたホールド・ステディのリードヴォーカリスト。確かそのアルバムはその年のベストアルバムにも選んでるね。二度目の受賞、おめでとうございます。『Boys And Girls In America』以降もずっとこの人たちのアルバムは買い続けていたけど、結局僕にとってはあれがピーク。今回ソロが出たということはもしかしたらもうバンドは解散してしまったのかな。

ソロになってもバンド時代とそう大きく音楽性が変わったわけでもなく、相変わらず70年代前半のスプリングスティーンみたいな歌い方でちょっとやさぐれた感じの曲を歌っている。上にリンクしたアマゾンのレビューでは散々な書かれ方をしているけど、僕はそれとは正反対の印象。地味だけど、ストーリー性満載な歌詞も含めて、聴いていてちょっとしんみりくる大人の味。アルバムタイトルの頭文字は自分の名前と同期させたんだと思うけど、ジャケットにも内ジャケのクレジットにも肝心の自分の名前を全く載せていないというのは、よほど自分が有名だと勘違いしているんだろうか。


<第九位>
The Happy Hippo Family 『Monacoville』
Monacoville.jpg

これがファーストアルバムとなるスウェーデンのバンド。日本盤の紹介のされ方もリードヴォーカリストのちょび髭も今いち僕の好みではないんだけど、その紹介文にもあるように、ペット・ショップ・ボーイズがスカを演奏しているかのようなこのアルバムにはちょっとやられてしまった。このアルバムがどれだけ売れたのかは知らないけど、たぶんこの感じだとこのまま花火みたいに消えてしまうんだろうな。そういう意味ではこれをきちんと発売された年に聴けて、ここに取り上げることができたのはよかった。なんて言って、実はペット・ショップ・ボーイズみたいに何十年も生き残るバンドになったりして。


<第八位>
Bruce Foxton 『Back In The Room』
Back In The Room.jpg

少なくともこの名前にはクレイグ・フィンよりも沢山の人が反応するだろう(そうあってほしい)。ブルース・フォクストン、ジャム解散直後の『Touch Sensitive』以来28年振りとなるセカンド・アルバム。当時はジャム関連のものならなんだって集めていた僕だから、12インチシングルも含めてブルースが発表した音源は全て聴いていたんだけど、同時期に秀逸なシングル盤を連発していたスタイル・カウンシルと比較してしまうと、当然のことながらどうにも見劣りしてしまっていた。

今回このアルバムを買ったのも、はっきり言ってしまえば郷愁以外の何ものでもなかったんだけど、そこはもう、フロム・ザ・ジャムなんて開き直ったジャムのコピーバンドまでやってしまっていたブルースのこと、今のポール・ウェラーの音楽に今ひとつ馴染めないでいる僕のようなオールドファンをピンポイントで狙い撃ちしたかのような、あの時代そのままの音。これはちょっと、反則だとはわかっていつつも反応してしまう。ポールもギターとピアノで数曲に参加。大人になったねえ。


<第七位>
The Corner Laughers 『Poppy Seeds』
Poppy Seeds.jpg

全然知らないアーティストだったんだけど、アマゾンでお勧めされたのをきっかけに試聴してみたらよかったので買ってみた。届いたアルバムを開封して内ジャケのクレジットを見てみると、ゲストヴォーカルにマイク・ヴァイオラの名前が。そして、ライナーを書いているのはウェズリー・ステイス。ジョン・ウェズリー・ハーディングじゃないか。そういう系統の人たちだったのか。といっても、マイク・ヴァイオラとジョン・ウェズリー・ハーディングとの共通点が僕には思い浮かばないけど。

どことなくスクールを思い起こさせる、60年代テイスト満載の音。基本女性ヴォーカルに、曲によって男性とのデュエットが絡む。これと一緒に買った、09年のセカンド『Ultraviolet Garden』はポップオーヴァーというレーベルからの発売。先のライナーを読んでみると、ファーストを聴いて気に入ったジョン・ウェズリー・ハーディングがこの人たちのために設立したレーベルだとのこと。彼がそこまでこのバンドを気に入ったというのも驚きだけど、それにもうなずける好盤。


<第六位>
Aimee Mann 『Charmer』
Charmer.png

目立たないけれどいい曲の詰まったいいアルバムをコンスタントにリリースする中堅どころのシンガーソングライターという意味で、僕にとっては去年のベストアルバム第七位に取り上げたロン・セクスミスと似た位置付けの人。せっかくの美人さんなのにジャケットに自分の写真を使うことがほとんどなく、今回もこの、誰の購買意欲をかきたてようとしているのか今いち定かでないイラストジャケ(ひっくり返して見ると別の顔というやつですね)。でもその低いハードルさえ乗り越えれば(笑)、中身はいつものとおり、男前な声でメロディアスな旋律に気の利いた歌詞を乗せて歌っているエイミーがいる。


<第五位>
Green Day 『!Uno!』
Uno.jpg

本体のバンドはなんだかどんどん組曲風の大仰な作りのアルバムを発表し続け、ちょっと気軽な曲を演ろうと思ったら変名バンドになりすまさないといけなくなってしまった近頃のグリーン・デイ。いつの間にか4人組になってるな。去年後半は『!Uno!』、『!Dos!』、『!Tre!』と3枚のアルバムを毎月発売するというからまたどんな大仰なことをやってるんだろうと思っていたら、なんとこれがフォックスボロ・ホッタブスのセカンド(とサードとフォース)かと思うような、あるいは昔のグリーン・デイに戻ったかのようなポップなアルバム群。

かつてガンズ&ローゼズが二枚組のアルバムを二つに分けて発売したときに「金のない奴は友達と一枚ずつ買って一緒に聴け」みたいなことを言ってたと思うけど、どうも今回のグリーン・デイの3枚はどちらかというと「おまえら全部聴きたいんだろ?だったら3枚とも全部買え」と言われてるみたいでちょっと金の匂いがしてしまう。とはいえ輸入盤(僕の買ったフィリピン盤も)は行くところに行けばかなりクタクタな値段で手に入るから、3枚全部買ってもさほど懐には響かないはず。

ここでは『!Uno!』だけを取り上げたけど、『!Dos!』にも相当いい曲がいくつか入ってるし、『!Tre!』も(個人的には若干劣るかなとは思うものの)そんなに悪くはない。どちらかというと3枚の合わせ技でのこの順位ということで。もう少し曲を厳選して、普通に二枚組のアルバムにした方がきりっとまとまったとは思うけれど、これはまあ3ヶ月連続発売という話題作りの面が大きかったんだろうね。


<第四位>
Hans Rotenberry & Brad Jones 『Mountain Jack』
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パワーポップファンなら大抵誰でも、ブラッド・ジョーンズの95年作『Gilt-Flake』が家のCDラックに入っているはず。その後もあちこちのアルバムでちらちら名前を見かけてはいたものの、もうリーダーアルバムを作ることはないんだろうなと思っていたら、かつて彼がプロデュースしたことのあるシャザムのフロントマン、ハンス・ロッテンベリーとの共作アルバムを出していた。クレジットを見るとオリジナル盤が出たのは10年のようだけど、ボートラ入り日本盤が出たのが12年の暮れのようなので、入選決定。

パワーポップと呼べばいいのか、一昔前ならオルタナカントリーと呼ばれたような曲もあるし、ちょっとほろ苦いコーラス満載のメロディアスなアルバム。個人的にはツボ突かれまくり。僕も上のような書き方をしたし、日本盤のアーティスト名表記もブラッドが先だけど、ジャケットに書いてあるのはハンスの名前が先。どういう力関係なんだろう。ちなみに日本盤にはエアメールレコーディングス特製のおまけミニシングルが付いていてちょっと嬉しいんだけど、それがアルバム収録曲の同一バージョンだというなんだか喜んでいいのかよくわからない仕様。


<第三位>
Team Me 『To The Treetops!』
To The Treetops.jpg

5月の素晴らしかったライヴの余韻もあり、僕の中ではけっこう年末あたりまで去年の年間ベスト1の位置に君臨していたアルバム。このアルバムの前に出たEPに始まり、フロントマンのマリウスがウォンバッツの人と一緒に作ったSin名義のアルバム、それに宮内優里が加わったEPと、去年はとにかくティーム・ミー関連の音源が沢山出たし、どれもこれも質が高かった。創作意欲にかきたてられてしょうがないんだろうね。

もうそのまま1位にしてしまってもよかったんだけど、強いてケチをつけるなら、アルバム中盤ちょっとだれてしまうところがあるのと、大量に追加された日本盤ボートラのせいで聴き通すのがやたら長いことか。決して駄曲が追加されてるわけじゃないからいいがかりも甚だしいんだけど、まとまりという意味ではボートラのない輸入盤の方がいいのかも(なぜかせっかくのキモかわいいコラージュジャケが白黒なんだけど)。


<第二位>
Susanna Hoffs 『Someday』
someday.jpg

1位にしたかったという意味ではこれもそう。ここ数年来の僕の個人的アイドルの彼女が久々にソロアルバムを出したので当然早々に入手したんだけど、これがもう、今までの2枚のソロや再結成バングルスのアルバムを遥かにしのぐ出来。ミッチェル・フルームのプロデュースって言われるほど僕は印象に残っているアルバムはないんだけど、これは音のバランスといい、ストリングスの入れ方といい、かなりいいね。

曲も粒揃いだと思うけれど、やはりなんといってもこの声。前にライヴ評にも書いたけど、なんでこの人はいくつになってもこんな声で(きっと3年前に東京で観たときと変わらない見掛けで)いられるんだろう。いったいどんな魔法を使ってるのかと思う。早々に入手した輸入盤からかなり遅れて、ボートラ2曲入りの日本盤が出たことだけが難点。2200円もするけど、買いなおすしかないだろう。ジャケもいいよね。LPが出たらきっとそれも買ってしまう。来日が決まったら何があっても帰国して観に行く。バージョン違いのシングルとか出たら全部買う。いかん、勝手に自分からアイドル追っかけモードになってしまってる。


<第一位>
中村一義 『対音楽』
tai ongaku.png

そんな接戦を押さえて昨年度第一位に輝いたのがこれ。ここのところ100s名義のアルバムがずっと続いていたので、随分久しぶりとなる個人名義のアルバム。もちろん初期のアルバム同様、歌も演奏も全部一人で。ベートーベンの九つの交響曲の印象的なメロディーを取り入れた9曲(+アンコール1曲)という企画は、特によく知っている五番や九番なんかを聴くとちょっとあざといかなと感じてしまうこともあり、僕が09年のベストアルバム第二位に選んだ前作『世界のフラワーロード』と比較すると劣ってしまうかなと思ったのも事実。

でも、やはりこの人の書く、初めて聴くのにどうしてなのかいつもほろ苦い懐かしさを感じてしまうメロディーにはどうしても抗うことができない。いつも何を歌っているのか聞き取れない歌詞のことばかり書いているけど、ちょうどウィルコ・ジョンソンの来日時の話を知ったときに聴いていた9曲目「歓喜のうた」の「ちゃんと生きたものに、で、ちゃんと死んだものに、ありがとうって、僕はなんで想うんだろう」という歌詞を聞いて、まだ存命中の彼には大変失礼ながら、泣きそうになってしまった。

ちなみに僕の買ったCD+DVDの映像パートは、1時間にわたるインタビュー(演奏風景あり)。ちょっと何度も観ようと思うようなものでもないかな。よほどコアなファンでなければ、今回のはCD版だけでも十分かも。あと、僕はクラシックはあまり詳しくないんだけど、ベートーベンの曲をよく知ってる人ならもっと楽しめるのかもしれないね。


以上10枚。1月に書き始めたのに書き終えたらもう2月になってしまった。去年は、最初のほうに書いたとおり飛び抜けてすごいアルバムがあったという感じではないから、順位に関しては多分に今現在の気持ちを反映していると思う。少し経ったら順番を並べ替えたくなってるかも。さて、13年に入ってもう何枚かのCDを買い始めているけど(まだ13年発表のものは買ってないけど)、今年はダントツに凄いアルバムは出るかな。噂によるとメルボルンに戻った例の彼が新作を出すとのことだから、とりあえずそれには大いに期待。
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2013年02月19日

Ben Folds Five live in Tokyo

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「ベンに会ったらよろしく伝えておいて」

前日、カフェ・ゴーティを後にしようとする僕に、ジム・ボジアが声を掛けてくれた。その前の日に僕がベン・フォールズ・ファイヴ(以下BFF)を観に行くという話をしたのを覚えていてくれたんだろう。もちろんその後に「『ジム・ボジア?誰だよそれ?』って言われるぜ」と自分で突っ込みを入れるのも忘れずに。

そして、ジムとピートが成田を後にした月曜の夜、僕はつい最近老朽化のために建て替えられるとのニュースが流れた渋谷公会堂に赴いた。朝から生憎の雨模様だったが(過去2回、僕がベンのライヴを観る日は必ず雨が降っている)、夕方、回転寿司で腹ごしらえをしてから(ジムがFBにアップしていた生シラスの軍艦巻きの写真に影響された)公園通りを上る頃にはもう雨は止んでいた。

発売後しばらく経ってから入手した割にはそれほど悪い席ではなかったけど、手を伸ばせばアーティストに触れるような小さなハコのライヴに最近慣れてしまっているから、もうなんかステージがやたらと遠い。僕の席とステージの間にカフェ・ゴーティがまるごと二つぐらい入りそうな距離だ。

客層の大半が女性客だったせいか、開演前の女性トイレは長蛇の列だった。開演時刻の19時になってもまだ僕の席からその長蛇の列が見えていたのに、定刻通り客電が落ちてライヴが始まった。トイレに行けなかった人、開演時刻にちょうどトイレに入れた人、かわいそうに。

ステージ上、左側にベンのグランドピアノ、中央後方にダレンのドラムキット、右側にロバートのベース2本(レスポールの形をしたのと、プレジション)が置いてある。僕はベンはここのところ2年毎ぐらいに観てるから何ら違和感ないけれど、ロバートがデブ。もうこんなデブはロックミュージシャン失格というぐらい(でもマシュー・スウィートやミートローフみたくデブが売り物になるほど太っているというわけでもない中途半端な)デブ。ダレンも太ったよと友達に聞いていたけど、彼はダイエットしたのか、ごくごく普通の見かけ。

オープニングは新作『the Sound Of The Life Of The Mind』から、「Michael Praytor, Five Years Later」。以下、新作からと昔の曲(ほとんどがファーストとセカンドから)をほぼ交互に演奏。毎日セットリストは変えてるのかな?後で最近のライヴのセットリスト見てみよう。

ロバートは2本のベースのうち、レスポールタイプだけを使用。もう1本は予備だったんだね。何曲かでアップライトベースを(時には弓弾きで)演奏していた。ファーストの頃からファズを効かせまくったブイブイした音を出すので有名な人だったけど、こうして生で演奏するのを見ていると、もうこの人のベースって、リズムをキープするための楽器では一切ないね。あれは単に、太めの弦ばかりが張ってあるギターだと思って聴いたほうがいい。足元にはエフェクターがずらっと並んでいるし。

13年振りの来日ということで「僕らは13年毎に再結成して来日するんだ」みたいなジョークを交えつつ、でも以外にMCは少なめでセットがどんどん進む。本編は確か1時間半ぐらいで(僕の記憶に間違いがなければ)17曲とかなりの大盤振る舞い。

今回は再結成BFFとしての来日だから、ベンのソロ曲は当然演奏しないもんだと思っていた。実際、今となっては僕はソロの方が好きな曲が多くなってしまっているから、BFF縛りで演奏されるとちょっとつまらないなと思っていたんだけど、6曲目の「Landed」のイントロを聴いて大感激。結局ソロ曲はそれだけだったから、何を基準にこの曲だけを演奏したのかよくわからないんだけど。

途中、観客席から「Rock This Bitch!」と声がかかり、ベンが(あれは即興だったのかな?)「じゃあDマイナーで」と、やたらと暗い「Rock This Bitch」を演奏し始めた。演奏の途中で「Cマイナー」とか言って転調したり、最後まで冗談なのか本気なのかよくわからない演奏だった(ダレンとロバートもきちんとついてきていたから、最近はああいうバージョンで演ってるのかもしれないね)。

<追記>
昨晩急いで書いたから気づかなかったけど、よく考えたらあれ日本語で歌ってたよな。「Rock This Bitch」じゃなくてあれ「Hiroshima」だった。訂正。

本編後半はファーストからの曲を連発。やっぱり盛り上がるよ。「僕らがバンドを始めたのは1994年で、ファーストアルバムを出したのが翌年。まだ日本盤は出ていなかったのに、日本からファンレターが来て驚いたよ。きっと、HMVだかヴァージンメガストアだかがアメリカから輸入したのを聴いたんだね。そして、その翌年に来日したんだ。クラブ・クアトロで演ったんだよ。あのとき来た人は居る?」と訊いて、パラパラと手を挙げた観客を見て「あのときの観客はたしかそれぐらいの人数だったよ」と笑わせる。

「そのときに日本のテレビに出て演奏したのがこの曲」と、「Philosophy」を演奏。ああかっこいい。僕は96年にはインドネシアに住んでいたから初来日は観られなかったけど、ファーストアルバムが出たときからずっと彼らのファンだった。あのときクアトロに居た人はこんな台詞を聞いて感無量だろうね。

本編最後はお約束の「Army」パラッパーコーラスで完。もう会場のどの座席の人たちにどのパートを歌わせるかとか面倒なことはパスしていきなり歌わせてたね。これだけ会場が大きくなるとちょっと一体感に欠けるところもあるけど、まあそれはしょうがないのかな。個人的には09年にリキッドで観たときがこの曲は一番盛り上がった気がする。

アンコールの拍手を受けて再登場したベンが「今回の東京での初日公演で日本語で歌おうとしたんだけど、日本語の歌詞をすっかり忘れてしまって、演奏しなかったんだ。今日は、僕よりも日本語も英語も上手なゲストを呼んでいるんだ」と言って、アンジェラ・アキをステージに呼び出す。ゲストで来ていることを全然知らなかったからびっくりした。

ベンが出だしでとちってしまい、「くそっ、間違えた。サンキュー。また来年!」みたいなジョークで誤魔化した日本語曲は、よく考えたら09年に出たベスト盤に収録されていたアンジェラとのデュエット曲(「Black Glasses」)ではないね。あれなんて曲だったんだろう。

<2月20日追記>
ネットで調べたら、あの日本語曲は新作の日本盤にボートラとして入っている「Thank You For Breaking My Heart」の日本語バージョンだとのこと。プレッジで早々に輸入盤買ったからそんなボートラがあったなんて知らなかったよ。一体この人は何曲日本語レパートリーを増やせば気が済むんだ。

アンジェラが退場した後、ベンが「この中にミュージシャンはいる?オーケストラをやっているような人は?」と質問。「誰もいないか。指揮者がいきなり予告もなしに指揮棒を振り始めたら演奏するのは難しいよね。今からそれをロバートと一緒にやるよ」と、ベースを構えたロバートとお互い合図なしで同時に演奏を始めるのに挑戦。ぴったり息を合わせて演奏をスタートできたのは、これも新作からの「Do It Anyway」。そして、ラストはお決まりの「Song For The Dumped(金を返せ)」で幕。

アンコールも含めて2時間弱は演ったはずなのに、なんだかやけにあっさりと終わってしまった印象。僕としては、期待していた一番好きな「Best Immitation Of Myself」がなかったのが残念の極み。途中の地味な曲を1−2曲カットしてもいいからこの曲演ってほしかったのにな。でも、しょうがないね。ゴーティでのライヴみたいにその場でアーティストにリクエストして(そして大抵は却下されたりして)ありえないほどの臨場感を味わえるようなライヴに慣れてしまっているから、ついそんなわがままも出てしまう。「Best Immitation Of Myself」は13年後の再来日に期待しよう。

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Setlist 18 Feb 2013 @ Shibuya Kokaido

1. Michael Praytor, Five Years Later
2. Jackson Canary
3. Hold That Thought
4. Selfless, Cold And Composed
5. Erase Me
6. Landed
7. Sky High
8. Missing The War
9. Battle Of Who Could Care Less
10. Draw A Crowd
11. Theme From Dr. Pyser
12. Hiroshima
13. Brick
14. Philosophy
15. Kate
16. Underground
17. Alice Childress
18. Army

[Encore]
1. Thank You For Breaking My Heart (duet with Angela Aki)
2. Do It Anyway
3. Song For The Dumped
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2013年02月18日

Jim Boggia & Pete Donnelly live in Kamakura Pt. 2

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ジム・ボジア&ピート・ドネリー日本公演の最終日。朝っぱらから大船のカラオケボックスに集合し、約半日かけて2012年ベストアルバム発表会を終えたいつもの仲間たちと鎌倉に向かう。駅前で軽く蕎麦など食しつつ、寒風吹きすさむ中をゴーティへ。

日曜の夜だというのに、観客の入りは前日より数割増しといった感じ。店中のベンチや椅子を総動員した上で、最後部は立ち見のお客さんがずらりと並び、身動きも取れないほど。前の方に陣取っているのはいつも見る顔ぶれだけど、あまり見かけないお客さんもちらほらと見かける。きっと、初日の東京公演を観て、もう一度観てみたいと思った人たちかな。なんにせよ、客層が広がるのはいいことだ。

開場から開演まで、またできればジムやピートと話そうかなと思っていたけれど、二人がおそらく腹ごしらえに出掛けてしまったのと、びっしり詰まった座席から身動きするのが大変だったのとで、結局ずっと椅子に腰掛けたまま半時間ほどを過ごす。

腹ごしらえに出かけるときに、ピートがすれ違いざまに「ああ、昨日訊かれた(金曜日の3曲目に演奏した、僕の友達が曲名がわからなくて前日にピートに教えてもらった)カバー曲、昨日教えたルー・リードの曲じゃなかったよ。あれはNRBQの『Kick Me Hard』のCDのボートラ曲だった」と、わざわざ正解を教えてくれる。なんと律儀な。

開演予定の19時を何分ぐらい回った頃だろう、半袖Tシャツ姿のジムと、昨日のスーツとはうって変わってラフなネルシャツ姿のピートが登場。「今日は最終日だし日曜の夜だから長く演るよ」と言いながら、前日と同様にピートのヴォーカル、ジムのベースで開幕。

基本的な進行は前日と同様、二人でベースとエレキとアコギ(これはジムのみ)をとっかえひっかえしながら、お互いの持ち歌を数曲ずつ交互に歌う。演奏している曲自体は前日とそう大きく変わらないけど、曲順を大きく変えてきているね。ジムは前日の後半1曲目だった「Made Me So Happy」を自分のパートの最初に持ってきたのに続き、エンディングの定番曲「Several Thousand」をここで早くも披露。

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前日にはなかった組み合わせが、ジムにアコギを任せたまま、ピートが1曲でピアノを弾いたこと。最後ちょっととちったりしてたけど、随分上手に弾くね。この曲のとき、ジムがギターをマイクスタンドにぶつけてしまい、ピートがびっくりして振り向いたり、ジムのエフェクターの具合がおかしくなったりといったハプニングも。

ジムは前日断念した「Once」を歌ったり、「Three Steps At A Time」を入れたり、常連のファンのリクエストに応えて「O/P」を歌ったりと、前日とは微妙に曲を変えてきている。「次の曲は『I Can Barely Wait』」と言ったときに咄嗟に反応した僕と隣のNさんのことを指差してうなずいたり。それにしても、何故未発表のままなのかわからないほどのいい曲。前日終演後にジムと「次のスタジオアルバムはいつ作るの?」という話をしていて「まだアルバムを作れるほどの曲が書けていなくてね」とやけに消極的だったけど、こんなレベルの曲ばかりが入ったアルバムなら、あと何年でも待つよ。

ピートもフィグスのファンのリクエストに応えて、これまで演奏したことのないというフィグス時代の曲を何曲か披露。でもこの日の(僕にとっての)ピートのベストは、アンコールの最後で手書きの歌詞カードを見ながら歌ったクラッシュの「Train In Vain」だろう。「僕は他人の曲の歌詞を覚えるのがとんでもなく苦手なんだ」と、前日に僕があれこれとリクエストした曲を却下したときと同じく、「僕には脳みそというものがないんだ」なんて冗談めかしながら譜面台を持ってきて歌い始めたけれど、やっぱりかっこいいよな。無理やりな見方をすれば、(若い頃の)ミック・ジョーンズに似ていなくもない。

ジムのパートは、どちらかといえば前日の後半に演奏した曲を前半に持ってきて、前日の前半の曲を最後の方に演ったりしていたけど、ラスト前のこの曲の位置だけは変わらない。すでにライヴのクライマックスの定位置を確保した感のある「Listening To NRBQ」。4フレットにカポをつけて、実に静かに弾き始めるけれど、最初の一音でこの曲とわかり、いつも息を呑んでしまう。本日はラストのNRBQ曲の挿入曲も含め、かなりオリジナルに忠実な仕上がり。

続く「To And Fro」で本編は終了。「最後はロックするぜ!」とか「盛り上がってるか!」とか、散々ロックンローラーぽく叫び、「これで一旦終わった振りをするぜ!」とやはり最後は笑わせる。

その言葉通り、一旦後ろに引っ込んだ後、すぐにジムが再登場。ウクレレを抱え、日本に来てから書いたというヴァレンタインの曲(帰りにタイトル訊いてくるの忘れた!)と、最近彼の別ユニット、マッド・ドッグス&ドミノスで演奏しているレオン・ラッセルの「A Song For You」を。その後、ピートをステージに呼んで、先述のクラッシュのカバーともう1曲を演奏したところで幕。

<追記>
ジムにツィッターでヴァレンタインの曲名を訊いたら教えてくれた。「Candy Heart」。いい曲。

3枚にも亘る手書きのセトリの写真を撮らせてもらってきたけど、またしてもジムが即興で歌った変な歌や、ピートが突然弾き始めたベースラインに合わせてジムも乗ってきた「Tighten Up」なども含めて、どこまでが本日の実際の演奏曲に忠実なのかはもうよく覚えていない。一応参考までに写真を載せておこう。

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アンコールが終わったのはもう22時を大きく回っていただろうか。またしても二人と談笑したりサインをもらったりするお客さんも多かったけど、そろそろ終電に間に合わなくなりそうな人たちがバタバタと帰りを急いでいくのも見える。

そんな感じだから、僕ももうジムにあれこれ話しかけるのをやめておいて、「今度はいつ来るの?クリスマスぐらいかな」みたいに軽くジャブを振ってみたら、「ゴールデンウィークに来るよ」だって。ははは、いいね。「ジムが来るときには僕も必ず飛んでくるから」と、サインと一緒にジャケに書かれても差し支えのない話題に誘導しながらサインをもらう。

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外でタバコを吸いながら他のお客さんと歓談していたピートのところにも(タバコを吸い終わるのを見計らって)行き、サインと写真をもらう。前日に僕がお土産として渡したフィリピン産のドライマンゴのことを「あれすごくおいしかったよ。あっという間に全部食べてしまった」とかわざわざ感想を言ってくれる。写真を撮るときにも、何度も「Nice to meet you」と言ってくれる。もちろんそんなのお世辞にすらならない単なる挨拶だけど、(こんなかっこいい奴に)こんなに嬉しそうに言われると、こっちも心底嬉しくなってしまう。

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あっという間の二日間だった。二人だからその場での咄嗟なリクエストができないとか、ジムの曲がどうしても定番に固まってしまうとか、ジムがちっとも新曲を披露しないとか、リラックスし過ぎたせいか歌詞忘れなどのチョンボが多かったりとか、小さな不満がないわけではないけれど、こんなに楽しいライヴを観られるなら、そんな不満なんて全然たいした問題ではない。ゴールデンウィークなんてとても無理だろうけど、また近いうちに来てほしいな。まあ、僕がマイレージを使い果たしてしまわない程度の頻度でね。
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2013年02月17日

Jim Boggia & Pete Donnelly live in Kamakura Pt. 1

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2013年海外追っかけ企画第一弾。下手な日本人アーティストよりも日本ツアーの回数が多いことで知られるジム・ボジアが、去年の6月以来となる来日公演を行うのに合わせ、マニラから片道4時間(プラス成田〜鎌倉約2時間)の道のりを駆けつけた。今回のツアーは、フィグスのベーシスト、ピート・ドネリーとのジョイント公演。

「フィグスの」とは書いたものの、僕はフィグスのことなんて90年代の一時期にグレアム・パーカーのバックを勤めていたことぐらいしか知らないし、彼が一時的に在籍していたNRBQもろくに聴いていないから、去年出たソロアルバムがほぼ僕の持っている彼の全音源。それなりに予習してきたけど、果たしてどれだけわかるものか。

一週間前の東京に始まり、日本各地でほぼ毎日のように公演をこなしてきた二人の、この週末の鎌倉3Daysが最終公演となる。3Daysとは書いたものの、金曜日の公演はわりと最近になってから急遽発表になった追加公演。二人で(事前リクエストに答える形での)カバー曲だけを演奏するという興味深い催し。くーっ、それを先に知っていたら、マニラからのフライトをあと半日早めたのに。残念ながら僕が成田空港に降り立ったのは、ちょうどそのカバー曲大会が始まったのと同日同時刻だった。

いつものように開場時刻より少し前に鎌倉に集合し、初日の東京公演・前日のカバー曲大会に参加した友達からそのときの様子を聞かされつつ(あの曲もあんな曲も演ったなんて)、事前の腹ごしらえ&アルコール摂取。

ボジアのライヴでよく見る面々と一緒に入場し、カウンター近くでセットリストを作成しながら話しているジムとピートに挨拶。嬉しいことにジムは僕の顔を覚えていてくれたようで、「やあ、来てくれたの」と向こうから声をかけてくれる。「今マニラに住んでいるんだ。このライヴのために飛んできたんだよ」と言うと、サービス精神旺盛なジムらしく、大げさに喜んでくれた。

ピートもセットリストを書く手を休めて向こうから握手をしてくれ、「名前はなんていうの?」と聞いてくれる。「yas」と答えると、ジムが「ああそうだった、Y-A-S-Sだよね?」と言うから、「いや、それは別のYassさん。僕はSが一つ。ややこしいよね」と、その後しばし談笑。

セットリストを指差しながら「今日はリスト決まってるなら、リクエストなんて駄目だよね?」と聞いてみると、ジムが「いや、そんなことはないよ。言ってみて」と言うから、「じゃあ、NRBQの『Me And The Boys』できる?」と聞くと、ジムは「それはお前の担当」と言わんばかりにピートの方を見る。ピートは「うーん、あの曲は歌ったことがないんだ。それにあれほとんどドラムがメインだから」と。「じゃあ、デイヴ・エドモンズのカバー・バージョンがあるよね。あれならギターメインだし」としつこく振ってみるけど、今度までに練習しとくよ、とかわされた。

「それなら、『Chalk One Up For Albert's Side』は?」と聞いてみたら、ジムがその曲がどんな風に二つのコードを同時に重ね合わせて(?)複雑に演奏されているかを説明してくれた。あんまり難しくてここに正確に書けるほど覚えていないけど、「(その曲でメインに使われている)ピアノで演奏するのは無理だけど、明日の昼にギターで練習してみて、できそうなら明日演ってあげるよ」とのこと。「じゃあ、あの印象的なベースはピートに弾いてもらってよ」とさらに無理強い。ピートも「うーん、曲は知ってるけど」とちょっと自信なさげ。果たして、最終日にこの曲を演ってくれるだろうか。

「今回ってほんとに僕らのライヴのためだけに来たの?」と聞いてくれるから、「いや、たまたま翌日にベン・フォールズ・ファイヴのライヴがあるから、それも観てから帰る」と言うと、ジムはBFFがいかにロバート・スレッジがメインのバンドであるかを切々と語りだす。「それに、あのドラマーも凄いよね。名前何てったっけ(ダレンです)ああそうそう、ダレン、あんな凄いビートを叩き出す奴もなかなかいないよ」みたいな。ベンは?「BFF好きなんだ。じゃあ、何かカバー演ってよ」と振ると、0.1秒で「無理。あんなピアノできない」と却下。

明らかにセットリスト作成の邪魔をしているので、「じゃあ、続きはライヴの後で」と、自分の席に戻る。ライヴは、定刻の19時をちょっと回った頃に始まったかな。ちょっと遅れたのは僕のせいでなく、その後もいろんなお客さんと話していたジムのせいだと思う(ことにしよう)。

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まずは、ピートがフェンダーのテレキャスター、ジムが同じくフェンダーのマスタングベースを抱え、ピートのリードヴォーカル曲から開始。予想通り、付け焼刃の知識だとピートの曲名はほとんどわからない。噂通りの阿部寛似。背丈はジムよりちょっと高い程度だから180もないと思うけど、顔が小さい。というか、顔の面積に対してやたら目鼻がくっきりしてるから余計に小さく見えるんだな。ジムのベースは、コードに沿って基本的な音を押さえているだけのようだけど、まあこの人は何をやらせてもサマになるよね。

ピートが2曲歌った後、お互いの楽器を交換して、ジムの「Bubblegum 45s」、さらにジムがピアノに移って「Let Me Believe」、またギターで「Annie Also Run」と定番曲が続く。今回の来日前に、僕がこれまでに見た5回のジムのライヴ(4人編成の1回を含む)で、どの曲を何回演奏したかをリストにしてみたら、「Bubblegum」はソロ公演の4回、「Let Me Believe」と「Annie」は全5回で演奏しているほどの超定番。なんでそんな暇なことをしたかというと、今回はこれまでライヴで聴いたことのない曲をリクエストしてみようと思って(それがあっての「Albert's Side」話)。

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ピートはさすが本職のベーシスト、しかも色んなアーティストのバックを勤めてきた経歴の持ち主だけあって、ジムの曲に合わせて実に綺麗なベースラインを入れる。時折ベースギターを持ち上げるようにして弾くのがまたかっこいいね。まあ、かっこいい人は何やらせてもかっこいいと。

その後もジムがギブソンのアコギにピートがベース(あるいはテレキャスター)など、様々な組み合わせで楽器をとっかえひっかえしてセットが進行する。ジムがアコギのソロで演った曲(確か「Annie」?)のときには、ピートはたまたま空いていた客席に座ってご観覧モード。ゴーティならではの風景だよね。ピートの曲名はなかなかわからないけど、彼のソロ『When You Come Home』で僕が今のところ一番気に入っている「Can't Talk At All」はピート2度目のリードパートで演ったかな。

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お互い(確か)6曲ずつの持ち歌を演奏したところで前半終了。1時間弱といったところか。休憩時間も沢山のお客さんと延々と話しこんでいたジムとピートのせいで、ほとんど30分ぐらいあった途中休憩を挟んで、後半はジムの「Made Me So Happy」からスタート。

アンプの上に無造作に置いてあったセトリのせいで、後半1曲目がこの曲だというのはわかってしまっていたんだけど、次に書いてあった曲名「Once」をちらっと見たジムは、なにやらあやしげな即興曲を歌いだす。「♪このカポをどこにつけよう」「♪この曲にカポはいらないんだった。ピートにあげよう。ピートはカポを使うかな」みたいな可笑しな歌詞を次々に繰り出し、ピートもつられてベースの(結構上の方、11フレットあたり?)にカポをつけて伴奏。ああおかしい。

引き続き、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの「Just The Two Of Us」を突然歌いだすジム。ピートも慌ててベースで合わせたりしてたけど、完奏せずに終了。ジムはそのまま(セトリにはなかった)「To And Fro」へ。なんだ、「Once」やらないのか。終了後に訊いてみたら、「あー、今日の喉の調子だと『Once』は無理。最後絶対に声出ないし」だって。「明日演るよ」という言葉に期待。

第二部はピートもフィグスの曲(「Some Desperate Measure」って言った?)などを交えつつ、前半よりもかなりいいペースで進む。僕にとっての後半最初のピークは(さっきのカポの即興曲を別にすれば)、ジムが「昨日のカバーソングナイトではこの曲を演奏しようと思っていたけど演らなかったんだ」と言いながらアコギで弾き始めたポール・マカートニーの「Junk」。ああこれ、いつか機会があればジムに歌って欲しいと思ってたんだ。よくぞ昨日演らないでおいてくれたものだ。大好き、この曲。

そして、後半最大のピークは、ピートが「これは僕が少しの間在籍したバンドについてジムが書いた曲。あのバンドにいられたことはとても光栄だ」みたいなことを話し始めた時に訪れた。もちろん、「Listening To NRBQ」だ。ライヴ前の飲み会で、「前にやった人生の20曲、今の僕ならこれを入れるね」と言ったほどに、僕にとっての存在が大きくなってしまった一曲。いつものジムの弾き語りもいいけど、ピートの雄弁なベースに支えられての演奏は最高だった。

「ああもう、これで終わってもいい」と思ったけど、最後に続けてこれも定番の「Several Thousand」。ちなみにこの最後の2曲も、僕が観た過去のライヴで必ず演奏している超定番曲だ。演奏終了後、「アシタノバン」とか流暢なジムの日本語を交えて一旦ステージ(?)を下りたものの、ほとんど間髪入れずに戻ってくるジム。

この日初めてウクレレを持ち(プラグを挿してアンプにつないだのは今回が初めて?)、これも定番のブルース・スプリングスティーン「Thunder Road」〜「Over The Rainbow」のメドレー。いつ聴いてもいいよね、これ。実はマニラで現地製のウクレレをもらってポロポロ弾いているんだけど、目の前で見ているこの楽器がとても同じものだとは到底思えない。

「すごいね、それ」とか言いながらピートもステージに戻ってくる。「なんて素晴らしい観客なんだ。ここに住みたいよ。あ、それより君たちアメリカに来なよ」みたいなこと言ってる。ジムもいつも言う台詞だね。そりゃ、これだけ密接なライヴができたら、ずっとこれを続けたいと思うよね。僕もそう思うよ。アメリカには住まないと思うけどね。

ピートのソロ『When You Come Home』からタイトル曲を演奏し、一旦下がってまた出てきた二人は、最後にキンクスの「Waterloo Sunset」を。ジムの最新ライヴ盤『Ample Seating Available』とゴーティでのライヴ盤を彼のサイトから買ったらおまけで付いてくるCD-R『Handmade Live Rarities』の最後を飾るカバーだ。そのライヴ盤同様、観客にコーラスを求めるジム。例によってそんな高い声は出ない僕。隣に座っていたNさんは最初からしっかりコーラスを入れて、ジムに指差されてたね。

アンコールも含めた第二部はしっかり1時間以上演ったかな。最後の曲が終わってBGMのCD(最初はブルース・ヒューズの「Several Thousand」だ)が流れ始めてもほとんど誰も席を立たない。やがて、二人にサインを求めに行ったり話しかけたりする人がちらほらと。僕も頃合いを見計らって、持参したCDを持って行く。まずは、友人のRさんが持ってきた『Songs Of No Consequence』(ピートがプロデューサー)をきっかけにグレアム・パーカー話でひとしきり盛り上がる。ピートは「新しいアルバム聴いた?『Three Chords Good』」と熱心に話し出す。確か「Live In Shadows」が一番好きって言ってたかな。「もうグレアムとは一緒に演らないの?」なんて訊いてしまったけど、それは愚問というもの。なんといってもピート自身が「ルーモア再結成だよ。最高だね」なんて言ってたのにね。

僕は、グレアム&フィグスの97年のライヴアルバム『The Last Rock 'n' Roll Tour』のジャケにサインをもらう。裏ジャケの写真を見て、「これは確か20代前半ぐらいの写真だよ。この当時にしてもずっと若い。グレアムがどっかから探してきて載せたんだ」だって。

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その後、ジムのところに行って『4 Way Street』のジャケにサインをもらう。「これって何年のアルバムだっけ、結構古いよね」という話をしていたら、案の定脳内ダダ漏れジムにそのときの会話をそのままサインと一緒に書かれた。ちなみに、開演前にジムが僕と間違えていたYassさんへのサインは「君の名前は少し長いからインクを沢山消費するよ」というものだった。僕とジムがその会話をしていたときにはYassさんはいなかったから、彼にとっては完全に意味不明のメッセージだよね。たまたま帰り道が一緒になったので、説明させてもらった。(僕のせいでは全くないはずなんだけど)なんだか申し訳ないよ。

別れ際に「また明日」と言ってジムと握手をしてゴーティを後にする。実は今回は鎌倉2Daysだったので大船に宿を取ってあるから、もっと終電ぎりぎりまでいてもよかったんだけど、まだ先は長いからというのと、このブログを今晩中に上げてしまいたかったからというので(もう4時過ぎてしまった!)、早々に切り上げることにした。というわけで、明日の最終日につづく。

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