2015年04月25日

Pete Donnelly live in Kamakura

また平日の夜。しかも鎌倉。しかも天気予報を裏切って降り出した雨。だけど二年ぶりにピート・ドネリーが来日して、この日が唯一のライヴだというなら、仕事も早々に切り上げて小雨に濡れながらでも行かなくては。幸い、調べてみたら鎌倉まで乗り換えなしで開場時刻直前にたどり着ける電車もあるようだし。

DSC_0252.JPG

ゴーティに着いてみたら、まだお客さんはほとんど誰も並んでいない。ピートは中でまだリハ中。階段を上がってきた僕の方を見て目で挨拶してくれる。入口の横には思ったよりたくさんのCDやらレコードやらTシャツが置いてある。『Face The Bird』のジャケT(色違いが三種類)に惹かれたけど、Sサイズしかなく断念。ここに来る前に買うのを決めていた、出たばかりのフィグスの新譜と去年サイトオンリーで出ていたピートのソロ2枚は在庫が十分あるようなので今すぐに確保しておかなくても大丈夫。

開場時刻間近になるとお客さんがぞろぞろと集まってくる。ほとんど、いつもこの同じ場所で顔を合わせる人たちばかりだ。結局、熱心に練習していたピートが荷物をまとめて楽屋(そんなものはないけど)に下がってゴーティのドアが開いたのは、開場時刻を5分ほど過ぎてからだったかな。赤ワインのグラスとゴーティ名物のカレーを注文し、席を確保。

この規模の会場で開場から開演まで一時間というのは結構時間を持て余す。周りは顔なじみの人たちばかりなのでお互いに近況報告などしていたけど、そのうちトイレに行きがてらセットリストを作っていたピートに声をかけてみる。「This Way The Back Doorはできる?」。セトリから顔を上げてにっこり笑うピート。「リクエストしてくれるなんて嬉しいな。その曲は実はライヴでは演奏したことないんだ。歌詞わかるかな」とか言いながら「ほかにリクエストはある?」と聞いてくる。ええと、咄嗟に曲名が出てこないや。ちょっと待って、ウォークマンで好きな曲のタイトルを確認してくるから。

僕が自分の席で次にリクエストしたい曲をチェックしている傍をピートが通り抜け、ギターを持って会場の外に出て行ってしまった。二つ目は「Hear It From Me First」をリクエストしてみようと思って外の階段のところまで追いかけていくと、そこでハミングしながら「This Way The Back Door」を練習しているピート。うれしいな。

「やっぱり歌詞わからないや」と言うから、携帯でピートのサイトに行って歌詞を検索してあげた。「ああ、そうだった。昨日ホテルで自分の曲をユーチューブとかで探そうと思ったけどうまく見つからなかったんだよ。このサイトでよかったのか」とピート。僕が「Hear It From Me Firstもできる?」と追加すると、「もちろん、でも歌詞を見せて」と。「あと、Low Flying Planesってどんな歌詞だっけ」と、次々に僕の携帯で検索するピート(でも結局この曲は演奏しなかったはず)。そのあともいろいろ話題を振ってくれるからしばらく話してたけど、ちゃんと練習してもらわないといけないので「じゃあまた後で」と自分の席に戻る。

開演。借り物だという赤いギブソン330を持ち、まずは「Got Caught Up」から。前回のボジアとのライヴではピートの演奏したかなりの曲がわからなかったけど、今日はどうだろうな。まあ、あれからフィグスのアルバムを集め始めたわけでもないから、ソロ曲しかわからないという僕側の状況は二年前から何も変わってないけど。

案の定、知らない曲がどんどん出てくる。もちろん、知らないからって楽しめないようなタイプの音楽ではないからそれほど気にはならないけど、つい最近全部の曲を知っててどれも口ずさめるようなライヴに行ったばかりだから、そういう意味ではちょっとアウェイ感。

ちょっと静かめな曲が始まったと思っていたら、あ、これは「Hear It From Me First」だ、と気付いた。これもあんまり演奏したことないって言ってたから、少し慎重に、丁寧に弾いていたね。弾き終えた後、「これは彼がリクエストしてくれたんだ」と僕の方を指す。「歌詞がわからないって言ったら、こんな風にささっと携帯で検索してくれたんだよ。それをこの紙に書き写してたんだ」とか。そして、続いて最初にリクエストした「This Way The Back Door」も続けて演奏してくれた。

この日はゴーティの16周年記念ということで、ハッピーバースデイを歌うピート。常連のお客さんの一人もちょうど誕生日だったらしく、16周年記念ケーキのろうそくをその人が吹き消してた。その方と、あと同じくこの日が誕生日だったジム・ボジアの名前もバースデイソングに歌いこんでいた。仲良しなんだね。次はまたボジアと一緒に来てくれればいいな。

ライヴ中に何度も「音大きすぎない?」とか聞きながらアンプのボリュームを調整したり、前日に到着して買ったという日本語のアンチョコを見ながら「たすけて」とか「火事だ」とか言って笑わせる、ほのぼのとした瞬間が続く。ホテルで自分の曲の歌詞をチェックしようとユーチューブを見たら“お住まいの地域ではこのビデオの閲覧は禁止されています”なんてメッセージが出て、「こういうのは誰に文句を言えばいいんだ。圭司か?」とかも言ってたね。

その松本さんに「あと何分ぐらいある?」と訊いて、「じゃあもう一曲だけ演ろう。僕は普段から二部構成のライヴにしてるんだ。でもアメリカでそうするのは、休憩中にみんな帰っちゃうこともあるから危険なんだ」とか言ってたっけ。第一部最後の曲が何だったか忘れたけど、客席を通り抜けて後ろに行くときに僕の肩をぽんと叩いていってくれた。

DSC_0253.JPG

10分ぐらいの休憩って言ってたのに、10分経っても全然始まらない。またピートのところに行って、さっきはリクエスト曲演ってくれてありがとうと伝えると、「こちらこそ、リクエストしてくれてありがとう。他にもある?」とまた訊いてくれるから、「えーと、じゃあOriginal Wonderかな」と言ったら、「ああ、それは普段からセットリストに入れてるから、もちろん演るよ」とピート。

「シャーラのことは紹介したっけ?」と、隣に座っていた奥さんを紹介してくれる。「そういえば君って、たしか前に来たときにドライマンゴ―くれた人だよね?」とピート。なんでそんなことを覚えてるんだ?びっくり。「彼女はカリビアンだから、ああいうトロピカルフルーツが大好きなんだよ」って、なんかこの人って、本当にそうやって話してる相手が嬉しくなるような話題をずっと振ってくれるよね。本当にいい人。

「前に、デス・ヴェッセル(Death Vessel)のアルバムのことメッセンジャーで質問したでしょ?」と言うと、「ああ、あれも君だったのか」とまた喜んでくれる。年末に友達の薦め(音楽通のその友達の2014年ベストだというから)で買ってみたそのアルバムのクレジットを読んでいたら、ベーシストがピート・ドネリーという名前だったので、これってもしかして貴方のことなの?って質問してみたら正解だったという話。

ヨンシーが参加して、アレックスがプロデュースしているその『Island Intervals』というアルバムとピートの音楽性がなんとなく自分の中では繋がらなかったんだけど、ピートによるとデス・ヴェッセルだけでなく、その中心人物のジョエルが前にやっていたストリング・ビルダーというバンドからずっと関わってきているんだって。さすがに某友達のお勧めだけあって、すごくいいアルバムだったよ。ピートも薦めてくれたから、ちょっとこのバンド掘り下げてみようかな。

そんなところからまた奥さんも一緒にどんどん話題が広がっていくんだけど、もうこれ以上休憩時間を僕のせいで延ばさせるわけにもいかないので、またそこで失礼して先に席に戻る(まあ、まだ外で煙草吸ってたりするお客さんも多かったから、誰もそんなに気にしてなかったようだけど)。結局、30分近く休憩して第二部が始まった。

リクエストした「Original Wonder」をはじめ、第二部の方が知ってる曲は多かったかな。「Can't Talk At All」では何人かのお客さんが手で膝を叩きながらリズムを取ってるのを見て、「ちょっとそのまま皆で手拍子してよ」と言って、演奏後に「こういうのがほしかったんだ」とご満悦。

「アメリカには車で売りに来るアイスクリーム屋さんがいてね、日本にもいるかな?(僕は知らない。小さいころロバのパン屋は来てたけど、そんな話をしてもしょうがないし)そのアイスクリーム屋の車から聞こえてくるメロディーがすごく印象的だったから、それをイントロに使った」と説明して始めた曲が「Behind The Train」。彼が1999年にカセットで出したというソロアルバムにボートラを追加して去年再発したCD『Another Day On You』から。

「もう一曲、同じアルバムから演ろう」と言って演奏したのが確か「Shooting Away」だったかな。そんな感じで、何かの曲を演奏したら、続けて同じアルバムから演奏することが多かったね。セットリストの写真撮ってくるの忘れたけど、実はかっちりと曲順を決めてたわけじゃなくて、今日自分が演奏できる曲をリストアップしてただけなのかな。それで、その場の気分で連想する曲を順番に演ってたとか。

第二部の途中で、「圭司がベースを弾けと僕にチャレンジするんだ」と言って、フェンダーのムスタングベースに持ち替える。これも常連のお客さんから借りたって言って、何度もお礼言ってたね。そういえば前回も同じベースを使ってて、そのときはボディの裏側にあるブルース・ヒューズとかいろんな人のサインを見せてたけど、今回それらのサインはもうすっかり全部消えてしまっていて、「ブルース・ヒューズはきっとまた来るから、今度は表にサインをもらえばいいよ」とピート。彼自身はこの日の最後にサインしてあげたのかな?

入口のところでLPを売っていた『Badger』というアルバムから二曲(「If I Lose My Heart」と「Smoking A Lot」だったかな。後者は松本さんに捧げるとか言ってた)、そのあともう一曲と言ってイントロを弾きはじめたけど、歌に入るところで歌詞が頭が抜けてしまったようで、咄嗟に奥さんのシャーラが客席から「♪I get the feeling」と歌ってあげて復活。ほほえましい。曲は『Face The Bird』からの「Toodle-oo」。

普段はフィグスで演るときはベースを弾きながら歌ったりしないのかな。確かに単純にリズムをキープするだけというよりは結構テクニカルなフレーズを弾くから、弾き語りをするのは難しいのかもしれないけど、僕は彼のことをベーシストだと思っていたから、ベースをリクエストされてチャレンジングだと言うのにはちょっと驚いてしまった。ギターの弦の押さえ方なんて、かなりベーシストっぽい感じだと思ったんだけどな。

雨が降っていたからか、平日なのに満員を少し欠くぐらいに会場を埋めたお客さんのせいか、もうこの頃になるとかなりの湿気で、窓も真っ白だった。「蒸し暑いね」とピート。「あ、でもここが嫌というわけじゃないんだよ」とまた気を遣う。

「サン・ラーのファンはいる?」と訊いたけど誰も手を上げない。ニューアルバムのタイトル『Other Planes Of Here』は、サン・ラーが自称する宇宙から来たミュージシャンというのに触発されて付けたって言ってたね。そのアルバムからも確か二曲。はっきり覚えてないけど、単独クレジットになっている「Oh My」と「The Cool Down」だと思う。

第二部も後半になってまた「誰かリクエストある?」とピート。間髪入れず「The Trench」と答えるお客さん。調べてみたらフィグスの『Slow Charm』というアルバムからだね。かっこいい曲だった。確かそれで第二部終了。リクエストなんてしなくても演奏するだろうと当然のように思っていたソロアルバムのタイトル曲二曲は結局演奏しなかった。

ステージは降りずに、「まだ時差ボケがひどいんだ」とか言いながら「あと一曲だけでいい?」とアンコールに応えるピート。そこでまたベースをリクエストされ、しばらく迷った後また僕の知らない(たぶんフィグスの)ちょっとスローな曲を演奏して終了。ライヴの最後っぽいムードの曲ではなかったけど、もうあのお疲れピートを見ると誰もそれ以上アンコールしようなんて気にはならなかったようだ。だって、そんなコンディションで、第一部も第二部もびっしり一時間ずつ演ってくれたんだからね。

ステージを降りるときに向こうから握手をしてくれた。たまたま通路のところに座っていたからというのもあるけど、うれしいね。そのまま歩きながら何名かのお客さんとも握手していた(さすがに福岡のグレンのように客席全員と握手するようなことはなかったけど)。

外で煙草を吸ってるピートのところに(吸い終わるのを見計らって)話しかけに行く。「Smoking A Lotを松本さんに捧げるだけじゃなくて、自分でも止めないと」と僕が言うと「もう今じゃほとんど吸ってないんだよ。ライヴの後とセックスの後だけ」とか言って笑うピート。そんな他愛のない冗談も含めて、この日は本当にたくさん彼と話すことができてよかった。別に僕が独占していたわけでなく、他のお客さんともいっぱい話してたから、本当に話好きなんだね、この人は。

DSC_0254.JPG

買った三枚のうちから最新のフィグスのアルバムにサインをもらい、一緒に写真を撮らせてもらって会場を後にした。まだほとんどの常連のお客さんは残っていたし、ピートもお疲れモードながら話しかければいつまでも会話を続けてくれたんだけど、平日の鎌倉から終電で帰るというのもちょっとタフなので、名残惜しいけど「今度はフィグスで来てね」と挨拶して、途中まで一緒に帰れる友達と、もうすっかり雨も止んで道も乾いた小町通りに降りて行った。
posted by . at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月22日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 3)

行かない理由なら次から次へといくらでも出てきた。あの最高に盛り上がった東京公演二日目から一日の休みをおいて(こっちは仕事だったけど、ミュージックプラントさんのブログによるとグレンは家族で遊園地に行ったみたいだね)、追加公演の出た4月7日の火曜日。もう行かないと決めたからには行かない。でも、朝からなんだかそわそわと落ち着かなくて、同じく追加公演には行かないと言っていた友達にお昼休みについチャットで話しかける。「グレンもう帰ったよね」。友達「まだ東京にいるような気がする」。僕「グレンはもうロンドンに帰った。グレンはもうロンドンに帰った」。友達「むー」。僕「気になるのう」。友達「うむ」

DSC_0248.JPG

そしてその6時間後、当日券と一ノ蔵の枡を手に、僕はまたスターパインズの客席に座っていた。きちんと前売り券を買っていたさっきとは別の友達が仕事を急いで片づけて駆けつけ、「あら、どこかでお見かけしましたっけ」と隣の席に座る。「来ないって言ってたのに、yasさんいい人だね」。いや、別にいい人だから来たわけじゃない。と思う。その証拠に、お昼に話したNさんも遠路はるばるちゃっかり二階席に座っていた。みんな気持ちは一緒なんだよね。グレンがまだそこにいて、自分が絶対に行けないか無理すれば行けるかの二択になったときの答えが「行ける」であれば、ほかにどれだけ行かない理由があろうと、観に行かないなんて選択肢は目の前から消えてしまう。

オープニングは初日の福岡と同じ「Persephone」。続いて「The Elephant Ride」、「Ter-wit Ter-woo」、さらに「Tough Love」と、なんだか一巡して初日と同じセトリなんじゃないかと思ってしまうぐらい既視感、いや既聴感のある選曲(実際には曲順は初日とは違ってたんだけど、その場ではそこまで思い出せないからね)。しかし、さすがに四公演を済ませて、前日に休暇でジェットコースターにまで乗ってきただけあって、指さばきは日曜公演に引けを取らない流麗さ。

ただ、ちょっと声が出てないというか、日曜よりは若干体調悪そうかなと思っていたら、途中のMCで「昨夜は眠れなくて」なんて話してたな。しょうがなくて未明に散歩に出かけてようやく寝られたとのことだったけど、この一週間以上にわたる日本滞在のよりによって最後にきて時差ボケがでてきたのかな。それとも、ジェットコースターで興奮しすぎた? いや、グレンの調子というよりは、僕の主観かもしれないけど、フロアのお客さんが日曜に比べるとかなり静かな気がする(ひとり、ライヴの間ずっと大きな音で咳をしていた人もいたけど)。

レオンのパートは何かそれまでの日に比べて特筆すべきことはあったかな。登場してすぐにアンプから音が出なくて、グレンがあちこちの接続を一つ一つ調べてあげてたのがいかにもお父さんぽくて和んだとか。レオンはイギリスの外で演奏するのは今回が初めてという話だったけど、もうこれで4日目になるし、日本の客の雰囲気もつかめてきただろうから、リラックスして演奏できたかな。正直言って、レオンの曲で楽しめたかと訊かれたら、さすがに三日間同じセットを観るのはちょっとトゥーマッチだったけど、この超英才教育を受けた子がこれからどう成長していくのかを見守っていけるというのは、グレンのファン冥利につきるというかなんというか、ちょっと感慨深いね。

「Up The Junction」でグレン単独パートに戻ってからも、びっくりするほど初日の福岡公演と似たセトリが続く。カバー曲の「Wichita Limeman」とその紹介の仕方まで同じ。まあ、福岡とこの日の両方を観たのは、たぶん僕を含めて3人ぐらいだったろうから、特に問題のある人はいなかっただろうと思うけど(別に僕も問題視していたわけではない。だけど、もうちょっとレアなのも聴いてみたかったという気持ちがライヴ中ずっとつきまとってたのも事実)。

「Dennis」の曲紹介は日曜よりも詳細だったね。スクイーズが最初の解散コンサートをジャマイカだかどこかのフェスで演ったときにビーチボーイズが同じステージにいて、デニスが「君たちみたいな優れたバンドが解散なんてしちゃいけない」って言ってくれたときのことを話してた。グレンがブライアンのことを好きなのは知ってたけど、デニスとそんなつながりがあったなんて聞いたことなかったよ。あとは、「Rupert」がルパート・マードックのことだとも紹介してたね。西洋一の危険な男、とか言ってたっけ。

綴りの不明な「ウェイト」や「You」や「Haywire」といった未発表新曲を挟みながら、比較的冷静にセットが進む。もう僕もこの四日目になると、カポを12フレットにつけたら「Ray」で、13フレットなら「Chat Line Larry」だというのが、イントロを弾くより前からわかってしまうぐらいには馴染んでしまっていたけど、ある意味ちょっと演奏がたどたどしかった福岡公演(福岡だけに行った人、ごめん)のセトリを、一週間かけて練習しなおした指で再演しているなあと思いながら聴いていた。

そんな雰囲気ががらっと一転したのが、「Chat Line Larry」後半のかけあいの後、日曜で学習したのか楽譜台に歌詞カードを貼り付けて持ってきた「Ice Cream」から。それまで拍手はするけど歌うでも叫ぶでもなくおとなしく座っていたフロアのお客さんがちゃんと歌い終えたのを見て、こいつら実は歌える曲を待ってたな、と気付いたのだろうか。続けて「Piccadilly」を弾きはじめた。なんと、いきなりこの難しいやついきますか。結局、これは今回の来日では唯一この日だけ演奏したレア曲となったわけだけど。さっきの譜面台を後ろに投げたり蹴飛ばすフリして「ロックンロールだ」とか言ったりして。

でもみんなたどたどしいながらもがんばって「♪A heart like a gun was just a half of the battle」を一所懸命、できるだけ大きな声で歌ったよ。続いて「Best Of Times」(もうここまで来るとギターソロも冴えわたっていたね)、そして「Black Coffee In Bed」と「歌える」曲を連発。グレンも大声で歌う観客に触発されたのか、ここにきてすっかり本調子に戻った感じ。さあ次は「Annie」かな、と思ってたらそこで本編は終了。ああ、せっかく盛り上がってきたのに。

アンコール。「Pulling Mussels」に続いてレオンを呼び出すグレン。「この曲を一緒に作ったときは楽しかったよね」とレオンに言い、「あのときはね」と返されて苦笑い。「Bongo Bill」だね。そこからの流れは日曜同様。「Goodbye Girl」でのレオンのエフェクターノイズ調整はもう手慣れたもので、この日の方がずっと音楽的(?)だった。一度バックステージに下がり、再登場したグレンが「Another Nail In My Heart」で締めるのも日曜と同じパターン。ああもうこれで充分、と思っていたら、最後に「Annie Get Your Gun」が待っていた。これで最後とばかりに歌う観客。グレンも満足そう。ギターのリフもなんだかいつもと違う感じでアレンジいれまくってるし。


サイン会のグレンは本当にお疲れに見えた。相変わらず飲んでいるのはアダルトウォーターだったけど、もういかにも疲れたので早く休みたいといった風情。ウェズリーもサイン中に飽きてしまってうろうろと歩き出してしまう。しょうがないね、なんでこんなに何百回も異国の文字で自分の名前を書かないといけないかなんてまだよくわかってないだろうし。

サイン会なんだけどさ、本来は物販で売っているCDとかをちゃんと買ってそれにサインをもらうのが筋というものだと思うけど(物販で売っているCDはもう全部持っているからそれ以外のを持参している身としてはあんまり偉そうなことは言えないのはわかってはいるものの)、一人で5枚も6枚ものジャケットやら昔のチラシやらを持ってきて、それらに次々にサインをさせるっていうのはどうなの。長蛇の列に並んでる後ろの人にも迷惑だし、なによりアーティストに失礼だと思うんだけど。機械じゃないんだからさ。

この日は僕はもうサインをもらわず(もともと来ないつもりだったから何も持ってきてなかったし、途中でブックオフに寄って『Ridiculous』を買ってるような時間もなかったから)、サイン会を終えたレオンに「今度はファーストEP持ってきてよ」と言っては苦笑され、グレンには「じゃあまた来年ね!」と言って「え、ああ、そうだね」と「そんなこと思ってもいなかった」という顔をされて、三日間を過ごした会場を後にした。

今、自分では行かなかった京都公演も含めた五公演分のセトリを眺めながらつくづく思うのは、どの日も計ったようにアンコール含めて30ないし31曲(途中で曲を止めたのが2曲あった土曜日の東京だけは合計32曲)、時間にして1時間半ぴったりで終えてること(時間については京都はわからないけど)。ライヴ中腕時計や壁時計を見ていたわけでもないし、同じセットリストを演奏してるわけでもないのに、どうしてこんなに寸分の狂いもなくステージを進められるんだろう。ほんとすごいね、この人。

まあ、すごいと言えば、多少調子のよくない日やちょっとしたミスはあったものの、57にもなってあれだけの演奏と歌をあのテンションで何回も何回も繰り返せるというのは、この人は本当にすごいミュージシャンだと思う。なんだかんだあったけど、この最終日に来てやっぱりよかった。

欲を言えば、その時々でかなり変わる彼の自分内ブームが、もう少し自分の聴きたいものに合致してたらな、とは思ったけどね。最近全然演らないね、と友達と話してた『Frank』からの「Melody Motel」や「She Doesn't Have To Shave」、「If It's Love」、11年の来日時には(その頃のスクイーズ再結成の影響が大きかったはずの)初期スクイーズの「Model」や「It's So Dirty」、09年や06年にはよく演奏していたソロ曲「Hostage」、「By The Light Of The Cash Machine」、「This Is Where You Ain't」、「Neptune」(これは今のクリスとの良好な関係を考えたらもう演らないか)とか、そんなにレアじゃないはずなのに何故か演奏してくれないお気に入りがたくさんあるのにな。次の来日がもし決まったら、日本に来る前に、ストーカーよろしくこの手の曲のリクエストをグレンに送り付けて練習してもらおうかな。「次は4年もあけないように」と、ミュージックプラントさんも言ってくれてるからね。


Setlist: 07 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Persephone
2. The Elephant Ride
3. Ter-wit Ter-woo
4. Tough Love
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Up The Junction
10. You
11. Dennis
12. Black Sheep
13. Wichita Lineman
14. Rupert
15. If I Didn't Love You
16. Wait (Weight?)
17. Tempted
18. Haywire
19. Someone Else's Bell
20. Ray
21. Chat Line Larry
22. Ice Cream
23. Piccadilly
24. Best Of Times
25. Black Coffee In Bed

[Encore 1]
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Bongo Bill (Glenn + Leon)
28. Walking Away (Glenn + Leon)
29. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
30. Another Nail In My Heart
31. Annie Get Your Gun
posted by . at 00:01| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月21日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 2)

一夜明けて、なんだかすっきりしない天気の中を再び吉祥寺へと向かう。ハモニカ横丁の、こんどは前日とは別の店で腹ごしらえしていたら、そういえばグレンにサインをもらうためのCDを持ってくるのを忘れていたことに気付いた。開場時刻よりもちょっと早めに飲みを切り上げ、スターパインズ側に新しくできたブックオフに向かう。

比較的大きめの店舗だから、スクイーズなら何のCDでもいいから置いてあるだろうと思って280円コーナーを物色していたら、案の定あった。『Frank』の旧盤か。『Frank』なんてもううちに2枚もあるし、カットアウトの米盤なんて珍しくもなんともないけど(ちなみに既にうちにあるのは英プレスの旧盤とボートラ入りの08年欧盤)サイン色紙を買うより安いからと購入。500円コーナーには初回プレスの日本盤『Ridiculous』が置いてあって、サイン用なら余白の多いそっちのジャケがいいかなとも思ったんだけど、こういうところで220円けちってしまうしみったれた僕。『Frank』と『Ridiculous』の旧盤があるということは、これは08年のボートラ入りを買った奴が放出したんだろうなと、しなくてもいいブックオフ客のプロファイリングまでしてしまう。

前日とほぼ同じポジションだけど少しだけ前の席に座り、最前列の仲間は前日とまったく同じ並びだなあと、グレンにとってはスポット・ザ・ディファレンスみたいな客席だろうなと思いながら、この日も並々と注がれた一ノ蔵をゆっくり空けていく。

登場と同時にピアノに向かうグレン。このオープニングのパターンは初めてだね。と思っていたら、全然聴いたことのない曲を歌い始めた。ちょっと高音の音程が不安定かな、ピアノも弾きなれていない感じだしと思っていたら、「今のはスクイーズの新曲」だって。おお、今公演で四曲目だ。終演後にサインをもらうときにタイトルを訊いて、「ウェイト」って言うから「ウェイトってW-A-I-T?」って念を押したら、グレンとレオンがほぼ同時に否定し、「いやそっちじゃなくって、W-E-I…なんだっけ」とグレンが言うから、てっきり「Weight」だと思っていたんだけど、最近あきまもさんのサイトみたらグレンの直筆で「Wait」って書いてあるね。一体どっちなんだ。

「次は1987年の曲」と紹介した「Tough Love」に続き(今回のグレン、やけに曲紹介のときの年号にこだわるね。グレアム・パーカーみたい)、「デニス・ウィルソンのことを書いた曲」と新作から「Dennis」を。実はろくに歌詞を聴いてなかったからこの曲があのデニスのことだとは知らなかったのでちょっとびっくりしたと言ってたら、タイコウチさんが「せっかく訳してんだからSong By Song読んでよ」と。すみません。。そういえば、歌詞にホウソーンだとかファンファンだとかでてくるよね。

やけにひねくりまわしたフレーズをたくさんくっつけたイントロから、もうこの序盤で「Black Coffee In Bed」へ。こういう余計な(失礼。もちろんいい意味で)フレーズを弾きまくるときのグレンって調子いいんだよね。今日は楽しみだ。そしたら、特にグレンから何も催促していないのに、この日のお客さんはこの曲の掛け合いコーラスを大声で入れる入れる。思わず歌いながら顔をほころばせて「サンキュー」というグレン。もうこの日の盛り上がりはこのあたりで確約されたようなもの。

ここで前日同様にレオンが登場。内容はまったく同じだったけど、前日より少しはリラックスしていたかな。くすくすと照れ笑いしながら大人びたMCをはさむレオンがかわいい。グレンは「Take Me, I'm Yours」の途中で(その前曲の)「Why」の歌メロをソロで弾いたりして、絶好調ぶりをアピール。もう、指が動いてしょうがないって感じだよね。何度も観ていると必ずこういう状態のグレンに出くわすことがある。

ここまで全公演で聴いてきた、新譜ではかなり正統派グレン曲な「Everybody Sometimes」に続き(京都では演ってないみたいだけど僕は行ってないからね)、なにやら聴いたことあるようなないようなイントロを弾きはじめたと思ったら、「♪When daylight appears〜」ときた。わあ、「I Won't Ever Go Drinking Again(?)」だ。この曲ってこんなメロディーだっけ。昔のブログを読み返してみたら、11年の東京二日目でも演ってるね(そのときも僕はイントロでこの曲を当てられなかったんだった)。

さらに続けて同じアルバムから「No Place Like Home」。うー、福岡に着て行ったこのシングルのジャケTシャツ、この日に着てくればよかった。『Cosi Fan Tutti Frutti』好きを公言していたK君は大喜びだろう。どうせならさらにさらに続けて「King George Street」も演ってもらいたかったけど、さすがの絶好調グレンもあの面倒くさい曲はやめておこうと思ったのか。

もうさっきから曲紹介もなく(それどころか曲間もほとんどなく、まるでメドレーのように)次から次へと曲が出てくる。「Persephone」(今公演での定番曲)、「The Truth」(今公演ではこの日だけ。せっかくあの6弦ペグ緩め技があったのに、その6弦にはほとんど触れずにやたら弾きまくったギターソロ)、「Black Sheep」(最近のこの曲は僕の好きなあのギターソロを端折ったバージョンばっかりだったから、ギターの調子のいいこの日こそは弾いてくれるかなと期待したけどやっぱり駄目だった)、「Some Fantastic Place」(オープニングにもエンディングにもアンコールにも、こういうなんでもない途中にも使える万能の名曲)、「Ter-wit Ter-woo」(今公演の定番曲その2、というかこの曲こんなにいいというのに今さらながら気付いた)と、ここまで一気に通して、グレンも「こんなに続けて歌ったの初めてだよ」と一息つく。一気に書いたこの段落もメドレー感を表せたかな。単に読みづらいだけか。

なにやら書いた大きな紙を取り出してきた。「Ice Cream」だな。てっきり今公演では毎回この曲を歌うことになるんだろうと思って練習してきたのに、前日まで全然機会がなかったから一体どうしたのかと思ってたところだ。歌詞を説明して、「これをちょっとこの壁に貼っておこう。皆が見やすいようにね」と、最前列のNさんにセロテープを渡して壁に貼らせる(この方は6年前にも僕が持参した同じような模造紙の「Grouch Of The Day」の歌詞を持たされた、グレン公演ではなぜか常にテレビのAD並みの扱いをされてしまう運命のようである)。でも、せっかくステージ横の壁に貼ったその紙、たぶん客席の半分ぐらいからはちゃんと見えてないよ、グレン。

「この曲は僕のひいひいひいじいさんが110年も前に書いた曲で、彼は道化師とかやってたんだ」とか一通り紹介した後、飄々と「もちろんウソだけどね」と歌い始めるグレン。さすがに何も言わなくても「Black Coffee」のコーラス部分を全部大声で入れられるこの日のお客さん、何の問題もなくこの曲を歌い、グレンを大はしゃぎさせる。彼もよっぽど気分いいのか、続けてまた僕らが歌える「Annie Get Your Gun」へ。大声で歌えるのはこっちも気持ちいいね。やっぱり周りのお客さんが歌えるかどうかでこっちのムードも左右されてしまう。

次の「Up The Junction」ももちろんソラで全部歌えるけど、さすがにそんな野暮なことはしない。せいぜい小声でつぶやきながら、イントロのブレイクでタカタッタ、タカタッタと膝を叩く程度にしておく。そして、ここから本編ラストまではもう怒涛の定番曲オンパレード(今回結局全公演で演奏した新曲「Haywire」は仮定番曲扱いにしておく)。「Is That Love?」のエンディングのところは当然のように全員でしっとりとコーラスで締める。ラストの「Tempted」は再びピアノに戻って演奏。この日はピアノで初めてピアノで締めたね。

この日もアンコールはエレキで。まずは「Slap & Tickle」。前日にも増して冴えわたるギター。もうイントロからこれでもかというほど弾き倒してたね。こちらも絶好調の「Pulling Mussels (From The Shell)」を終えたところでレオンを呼び戻し、彼が11歳の頃に一緒に書いたという曲を紹介。ところがレオンは「あのちょっと安っぽい曲ね」と一蹴。ショックを受けた(笑)グレンは「まあ、成長するというのはそういうことだ」と構わず、レオンと一緒に「Bongo Bill」へ。もう12歳で大人のレオンは曲中の「It's me!」ってセリフは言ってくれなかったね。

レオンの「Walking Away」に続けての「Goodbye Girl」への流れは前日と同じ。ところが「Goodbye Girl」の途中でレオンが急にしゃがんでエフェクターをいじりはじめ、グレンがまだギターを弾きながら歌ってるのに、すごいノイズを出し始めた。これ、わざとなのか?それともレオンが自分のギターのエフェクターを調整しようと思って失敗してるの?まあ、これはこれでめったに聴けない不思議なバージョンの「Goodbye Girl」でよかった。いつもは入れないようなソロも弾いたし、コーラス部分ももちろん大合唱で、もはやグレンはその部分は自分では歌ってなかったぐらい。

再度引き上げたグレンをアンコールの拍手が引き戻す。そりゃ、今日の調子ならもうちょっとやってくれるよ。まだ「Another Nail」残ってるしね。と思ったら、再登場して黒のストラトを肩にかけたグレンが何音か試し弾きした後、あの印象的なイントロを弾きはじめた。「Another Nail In My Heart」だ! ギターソロの入りでちょっととちって、「あ、失敗」みたいなこと言いながら再挑戦。でもそのあとはもちろん今公演最高のソロを聴かせてくれた。あのソロって、ほんとに0.000何秒みたいな微妙なタイム感で聴こえが全然違ってくるんだよね。

「上で待ってるから、ハローって言いにきてよ」と言ってステージを後にするグレン。ああもう終わってしまった。前日がレア度一番なら、この日は演奏的には今回の日本公演で一番だったと思う。お客さんのノリも、人数的にはより多かった前日よりもむしろよかったと思うし。

さっき買った『Frank』にグレンとレオンにサインをもらい、一緒に座っていたウェズリーにも「日本語で名前書けるようになったんでしょ。サインちょうだいよ」と書いてもらう。あとで近くにいたスザンヌにもサインをもらって、ティルブルック一家全員のサイン入りフランクが完成したと思ったんだけど、やっぱりこのジャケだと見づらいね。220円けちらないで『Ridiculous』にしとけばよかった。

DSC_0251.JPG

サインをもらいながらレオンに「さっきの“Goodbye Girl”のときのノイズ、あれわざとやったの?」と訊いたらニヤニヤしてるから、グレンが「ねえ、あれわざとなのかって訊かれてるよ」と念を押されて「Yes」って言ってた。あ、やっぱりそうだったんだ。あんまりノイズが大きくて途中でグレンは笑ってしまってたけど、ああいうのをやってみようかって二人でライヴ前に相談したりしてたんだろうね。いいね、こんな親子。

これで本公演は終了。二日後の火曜日に追加公演が出たけど、この時点では僕はちょっとあれこれ事情があってそれには参加しないつもりでいた。今年のグレンのライヴの最後がこの凄まじい演奏ならもういいやとも思ったしね。


Setlist: 05 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Wait (Weight?)
2. Tough Love
3. Dennis
4. Black Coffee In Bed
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Everybody Sometimes
10. I Won't Ever Go Drinking Again (?)
11. No Place Like Home
12. Persephone
13. The Truth
14. Black Sheep
15. Some Fantastic Place
16. Ter-wit Ter-woo
17. Ice Cream
18. Annie Get Your Gun
19. Up The Junction
20. Haywire
21. Is That Love?
22. Someone Else's Bell
23. Chat Line Larry
24. Tempted

[Encore 1]
25. Slap & Tickle
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Bongo Bill (Glenn + Leon)
28. Walking Away (Glenn + Leon)
29. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
30. Another Nail In My Heart
posted by . at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月20日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 1)

さすがに年度末〜初のクソ忙しい週に何度も休みを取るわけにもいかず、グレン来日公演の二日目にあたる京都はパス。翌日、福岡でなくそっちに出かけた友達から速報が入る。曰く、オープニングは福岡では演らなかった「Best Of Times」、予定どおりレオン登場、これも福岡にはなかったリクエストコーナーがあって「Without You Here」を演奏、などなど。そうか、まあその両曲はまた演るだろうし、行かなかったことが致命的なミスというわけではなさそうと、とりあえず自分を落ち着かせる。

そして土曜日、4年ぶりのスターパインズカフェへ。ハモニカ横丁で軽く腹を満たして会場に向かう途中、ヨドバシの向かいあたりで友達を発見して声をかけると、「あそこでグレン一家が証明写真撮ってますよ」と。あ、ほんとだ。あんな狭い箱に四人でひしめきあって写真撮ってる。出てきたグレンに手を振って会場へ。グレンたちはそのまま商店街の方に歩いて行った。グレン、なんだかもう顔が赤い?

この日はちょっと大きな番号だったので最前列ではなく、それでもかなり見やすい席で周りの友達と話しながら開演時刻を待つ。一番コスパのいい飲み物はこれに違いないと600円の一ノ蔵を選んだら、グラスを入れた枡に並々とついでくれた。これはありがたい。でもあんまりペースあげて酔っぱらわないようにしないと。

ステージ上、左側には福岡と同じセットの三本のギター。中央にはグランドピアノ、そして右側には小さなサイズのアコギとストラトタイプのエレキが置いてある。レオンがどういう風に絡むのかは友達にはあまり詳しく聞かなかったから、楽しみにしておこう。まあ、グレンの持ち時間を食ってしまうほど沢山演らなくてもいいけどね。

この日のオープニングは「Everybody Sometimes」。それまでの二公演とは変えてきているね。と思っていたら続いて「The Day I Get Home」。わあ、これはかなり珍しいんじゃないか。少なくとも、僕が観た今までの日本公演ではこれは演奏していないはず。

「Persephone」、「Ter-wit Ter-woo」と続ける。結局今回の五公演のセトリを見てみると、全てのコンサートで演って当然みたいな定番曲と並んで、この二曲と「Chat Line Larry」を毎回必ず演奏していたことになる。「Black Coffee」とか「Some Fantastic Place」ですら毎回演ってないというのに。単にグレンの今時点でのマイブームなのか(そういうのよくある)、それともこれらは今後定番として定着する曲になっていくのか。まあ、「Persephone」はあのスタジオ録音でのストリングスを模したリフをアコギで完コピしたのを披露したかっただけなのかもしれないけど。

ここでレオンが登場し、まずはエレキギターでスライドのソロを披露。うまいね。続いてアコギを肩にかけたままピアノのところへ。「次に演る曲は上に売ってるEPに入ってるから、気が向いたら買ってよ」と、やけに大人びた言い方がおかしい。「日本で売らないといけないから急いで録音して、アルバムタイトルを思いつかなかったから単に『Leon Tilbrook』にしてしまったんだけど、セカンドEPなのに自分の名前をつけるなんて変な感じ」とか「ファーストEPはとても聴かせられるような出来じゃない」とか。

「Living The Dream」はピアノから途中でギターに替え、次の「Why」はグレンが出てきてギターの伴奏とコーラスを入れる。声変わり前の不安定な子供声だからアマチュアっぽさはぬぐえないけど、いつも家でグレンと一緒に練習してるんだろうなということがよくわかる、息の合った手慣れた演奏。

続けて二人で「Take Me, I'm Yours」。がんばってギターで伴奏しているんだけど、演奏中にグレンに話しかけようとして右手を口のところに持っていったら、グレンが演奏中は手を休めるなとばかりに一瞬厳しい顔になったのが印象的だった。それまではニコニコと親バカ丸出しでレオンのことを見てたのに、やっぱりさすがプロだね。

leoninsta.JPG

携帯で観客と自分のビデオを撮っていたレオンがステージを降りたところで「次の曲は彼が生まれたときのことを歌ってるんだ。最後のコーラスのところは一緒に歌って」と言うからこれはもちろん「Best Of Times」。曲を始める前にみんなでコーラスの練習。いつまでたってもこの曲を聴くとあの09年初頭の素晴らしい来日公演のことが頭に蘇ってくるね。

「Ray」に続けてこれも久しぶりの「Slightly Drunk」。今日は珍しい曲が多くてうれしいなあと思っていたら、「今の曲はクリスと僕が21歳の時に作った。次は僕が彼と会った翌年、16歳の頃に一緒に書いた曲」だというのでまた「Monkey」か何かかなと思いきや、「Halfway」というこれまで聴いたこともない曲だった。これは今回の日本公演一番の驚き。もちろん僕の知る限りでは今までのどのアルバムにも入ってないし、Packet Of Threeによると、あのデイヴィッドでさえ去年の7月にグレンとクリスがその曲を演奏するのを初めて聴いたと書いてある。「Magical」だって。まさしく。

作成中のニューアルバムからの「Haywire」はこれで聴くのが二度目になるけど、正直言って最初はそれほどたいした曲でもないかなと思っていたのがずいぶん印象よくなってきた。早くバンドで演奏したバージョンが聴いてみたい。またゴテゴテした音になってなければいいけど。

ピアノに移ってこれも久々の「Letting Go」。ところが、間奏の途中でどうにも収拾つかなくなってしまい、あーもう失敗!みたいに投げ出してしまった。「本当にごめん。埋め合わせにリクエストされた曲なんでも演るよ。踊れと言われたら踊ってもいい」と言ったところで場内から「Jolly Comes Home」と声がかかる。いつものTさんだ。「歌詞わからないかも」と言いながら演奏を始めるグレン。最初のヴァースまで歌ったところで「ここまでしか歌詞わからないから、同じアルバムからの曲につなげるよ」と、メドレーで「Cold Shoulder」へ。おお、なんか怪我の功名みたいな珍しいのが次々と。

「次も同じアルバムから、タイトル曲を演ろう」と「Some Fantastic Place」へ。あらためてあのアルバムは名曲が多い(名曲が多いグレンやスクイーズのアルバムは他にも沢山あるけど)と思う。さらに定番二曲に新曲「You」と続け、これもまた久しぶりの「Woman's World」(06年以来だ)で歓喜していたら、「次はエルヴィス・コステロの曲を」。なんだって?「From A Whisper To A Scream」なんて歌詞覚えてるの?これは今回一番の驚き。あ、それはさっき書いたか。じゃあ今回二番目でいいや。とにかくこの日は本当に珍しい曲がいくつも聴けた。

その後は定番候補の「Chat Line Larry」(今回の各公演ではどうもグレンのギターソロはロカビリー風味に流れることが多かった気がするから、この曲なんて今の気分にぴったりなんだろうね)、すでに定番の「Through The Net」、鉄板コンビ「Tempted」「Annie」で一旦幕。さっきの「Best Of Times」に続いて、「Annie」では観客大合唱。

すぐにアンコールで再登場し、エレキに持ち替えて「Another Nail In My Heart」。初日にちょっともたついてたのがウソのような好演。やっぱりこの曲のソロをエレキでこうやって聴けるのは何にも代えがたい。いつまでも聴いていたいのに3分弱で終わってしまう罪作りな曲。

間髪入れず「Pulling Mussels」の『Argybargy』オープニング逆パターン。このギターソロもオリジナルにいろんなフレーズを付け足した超ロングバージョン。こういうことやるときのグレンって調子いいというのがよくわかるね。ここでまたレオンを呼び戻し、彼の曲を一緒に演奏してから二人で「Goodbye Girl」。レオンにサイドギターを任せてグレンはソロを弾きまくったり、途中でダブ風にゆるーい演奏にしてみたり。この楽しさが頭にあったから、レオン抜きの初日はこの曲を演奏したくなかったのかな。

それで終わりかと思ったけど、鳴り止まないアンコールに応えてグレン再登場。「Slap & Tickle」は予想の範囲内だったけど(ものすごいギターソロは予想以上)、そのままエレキで弾きだしたスローな曲はなんと「Without You Here」。こんなバージョンのこの曲、初めて聴いたよ。もうこの日は最後までそういうレア曲・レアバージョン満載だった。いや、満足。これでこそグレンのライヴだよね。

終演後、二階での長蛇の列に並んで、この日は『Arse About Face』にサインをもらった。前の方でサインをもらっている人たちを見てると、だいたい『Happy Ending』にグレンとレオンがサインをしていたけど、レオンの参加していないこのデモ集に彼のサインは要らないかなと思ったので、僕の番がまわってきたときにグレンにこれを、レオンには彼のEPを差し出してそれぞれサインをもらい、グレンがレオンにジャケを渡す前にそれを取り上げ、「ところで今回の新曲なんだけど」と話しかけて注意をそらし作戦成功。

いつもと違ってライヴ中はステージで水しか飲んでいなかったグレン、このサイン会では大ジョッキのビールを美味そうに飲んでたね。あっという間に飲み干すと、スザンヌに「アダルトウォーターもう一杯」って頼んでたのが可笑しかった。さすがにあのライヴの後に百人以上へのサインを終えてお疲れの様子は隠せないけど、家族みんな病気から復帰してあきらかに楽しそうなグレン。演奏も目に見えて上り調子だし、これは翌日も楽しみだ。

DSC_0250.JPG

Setlist: 04 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Everybody Sometimes
2. The Day I Get Home
3. Persephone
4. Ter-wit Ter-woo
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Best Of Times
10. Ray
11. Slightly Drunk
12. Halfway
13. Haywire
14. Letting Go
15. Jolly Comes Home
16. Cold Shoulder
17. Some Fantastic Place
18. If I Didn't Love You
19. Up The Junction
20. You
21. Woman's World
22. From A Whisper To A Scream
23. Chat Line Larry
24. Through The Net
25. Tempted
26. Annie Get Your Gun

[Encore 1]
27. Another Nail In My Heart
28. Pulling Mussels (From The Shell)
29. Walking Away (Glenn + Leon)
30. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
31. Slap & Tickle
32. Without You Here
posted by . at 01:25| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月19日

Glenn Tilbrook live in Fukuoka 2015

一旦サボり癖がついてしまうとそれまで習慣としてやっていたことも途端に面倒になってしまうもので、このブログももう更新することはないかなと思っていたんだけど、4年ぶりのグレン・ティルブルックのライヴで4年ぶりに顔を合わせた何人もの懐かしい友達が口々に「楽しみにしてたのに」なんて背中を散々押してくれたもんだから、またちょっと書いてみようかなと重い腰を上げてみた(このダラダラと長い文章もカッコ入りの文末も、ああそういえばこのブログってこんな文章なんだったと我ながら懐かしくなってみたり)。

一番最後にアップした去年9月以降、今回のグレンまでに行ったライヴが八つもあるから、気が向けばそのうちそれらのことも思い出して書いてみるかもしれない。もう何か月も経ってしまっているから細かい部分は忘れてしまっているだろうけど、それでもここに書いて残しておくかどうかで、後々まで記憶が蘇るかどうかが決定的に違ってくるというのは、自分でもそう思うし、今回声をかけてくれた、僕と一緒のライヴに行った友達もみんなそう言ってくれたからね。

さて、途中で丸一週間の出張が入ってしまっていたというのもあって、もうすでに三週間も前のことになってしまったグレンの福岡公演、どこまで思い出せるかな。セットリストは全公演分あるから、それを頼りに思い出せることをあれこれ書いてみよう。

DSC_0246.JPG

3月30日。期末の忙しい時期だけど、月曜の昼便に乗り、翌朝一番の便で東京に戻れば会社は半休を取るだけで済むというのが福岡公演の長所だということに今回気付いた。やっぱり空港が街の中心部から近いというのはいいね。今回行くのを諦めた京都なんかだとこうはいかない。

博多のホテルに荷物を置いて、去年タマス・ウェルズを観たときにも降りた赤坂駅からすこし歩いたところにある会場のLiv Laboは、そのときの会場だったpapparayrayからもそんなに遠くない場所だった。福岡の地理にはそんなに詳しくないけど、このあたりはこういう小さなライヴ会場が多いのかな。

papparayrayもライヴ会場というよりは古民家を改造したイベントスペースという趣きだったけど、今回の会場はもっと普通に近代的なイベントスペースという感じ。建物の外階段を二階にあがったところにある、普通に椅子を置いて50人も座れば一杯になってしまうようなこぢんまりした場所。ステージのところにはスノコがいくつか敷き詰めてあるだけだけど、この広さなら一番後ろの席からでも問題なく観られるはず。

でもせっかくいい整理番号のチケットだったので、久しぶりのグレンはやっぱり一番前で観る。東京から来た僕も含めて、最前列を埋めたのはほとんどいつもお馴染みの、日本各地から集まってきた筋金入りのおっかけ衆の皆様。このうちの何人かは、このあと一週間のうち何度も顔を合わせることになる。

今回は奥さん(兼マネージャー)と二人の子供を帯同しての初めての日本ツアー(家族旅行とどちらが先に決まったのかは不明)で、二人のうち年上のレオンがグレンと一緒にステージに立つという話だったのに、この日はグレン以外の三人が体調を崩してしまったとのことで、変則的、というかいつもの二部構成のグレンのライヴだった。なのでこの日だけは、ステージ上にはグレンの二本のアコギ(どちらもいつものヤマハ)と黒いストラトキャスターが置いてあるだけ。

開演時刻の19時ぴったりに会場後方にある中二階の楽屋からグレンが降りてきて、二つのうちのシンプルなデザインの方のギターを手に取る(ヤマハのギターの種類には詳しくなかったから調べてみたら、グレンが使っているようなエレアコはもう全部生産中止なんだね)。ちなみに僕が観た今回の全公演では、グレンはもう一本の(多分LJXというシリーズの、ちょっと派手なデザインの方)は結局一回も使わなかった。

久々の日本公演最初の曲は、最新作『Happy Ending』からの「Persephone」。さすがロウリー・レイサムが制作にかかわってるだけあって今までのソロになく凝った装飾のこのアルバム、僕としてはいささか微妙な評価なんだけど、こうしてアコギ一本で聴くとずいぶんと印象が変わる。

「今のは『Happy Ending』、これは『East Side Story』から」と言って「Someone Else's Bell」へ。僕にとっては、“どこがそんなにいいのかわからないけどグレンのお気に入りプレイリストから落ちることがない”という一曲。いや、別にけなしてるわけじゃないよ。これを聴くとグレンのライヴに来たなという実感が今さらながらわいてくる。

続けて、「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に作った、何年前のアルバムだっけ」と言いながら「Ter-wit Ter-woo」。前回の11年の来日でもうすぐ出るそれに収められることになると「Chat Line Larry」を紹介していたから、「4年前」というのが正解なそのアルバム、今回の来日前に久しぶりに引っ張り出して予習していたときに、実はこんなに正統派のグレン節が収められていたということに気付いたのがこの曲だった。グレンが全曲リードボーカルを取っているわけじゃないし、さっきの「Chat Line Larry」やビートルズのカバーが収録されているという以外の印象が薄かったから、あまり聴いてなかったんだよね。

「アイパッドを持ってくるのを忘れた」と言って、一旦会場後方にさがってステージに駆け戻ってきたときに、勢いあまってスノコをすべらせてしまうグレン。固定してあるわけじゃないんだ。台の上に置いてあった水はこぼれずに済んだけど、09年の京都公演(あのときもこんな感じの即席ステージだった)でビールのジョッキを倒してしまった光景が頭をよぎった。

そのアイパッドを開きながら、つい前週、日本に来る直前までスクイーズでレコーディングしていた曲を演奏しようと歌詞を探し始めるのに、なかなか見つからない。ページをスクロールするのに複数の指で操作しているもんだから、たぶん全然スクロールできないんだと思う。もう何年も前に買っていつも愛用しているはずなのに、まだ使い方に慣れてないんだね。こういうところがいかにもグレンぽくて微笑ましい。

結局お目当ての曲の歌詞が出てこず、「代わりにこの曲を演ろう」と言って歌い始めた別の新曲。曲紹介のときに僕には「Beautiful Hand」と聞こえて、後でグレンに確認したときに「Yes」と言われたんだけど、ネットで探してみると「Beautiful Game」となっているね。

またしても苦戦しながらアイパッドを操作して、やっと出てきたお目当ての新曲は「Haywire」という曲。「成長することについて」とかなんとか説明してたっけ。途中、「ページをめくる」という歌詞を歌いながらアイパッドのページをスクロールしたのが可笑しかったのか、歌詞を見ないと次のフレーズが出てこなかったのが照れくさかったのか、苦笑いしながら歌うグレン。

ちょっとたどたどしく二曲の新曲を歌い終えた後、アイパッドを脇に置いて、手慣れた感じでお馴染みの「Is That Love?」へ。ただ、この曲に限らず、この日はギターソロが若干もたついていた感じがしたかな。そんなにあからさまに失敗したとかいうわけじゃないけど、完璧なときのグレンの指さばきからはちょっと遠かった気がする。確かにいつも来日初日はちょっとエンジンが暖まってないようなことがあるから、まあこんなもんかな。

セトリ見ながら書いてると、思い出せることありったけ書いてしまうな。このままじゃ四日分書くのにとんでもない時間がかかってしまう。ちょっと端折りながら進めよう。じゃあちょっと飛ばして、新譜からの「Ray」を紹介するときに「この曲は僕ぐらいの歳の男の歌で、でも僕のことじゃないからね」とか言ってたかな。

その曲も含めて、前半最後は「Some Fantastic Place」、「Annie Get Your Gun」、「Up The Junction」など鉄壁の代表曲をずらっと並べて(なぜか途中で新参の「Chat Line Larry」も挟んで)、最後は「Tempted」で締め。45分ぴったりで休憩に入る。前半は45分と決めていたんだろうけど、よくもまあこんなにぴったり合わせられるもんだ。

後半は「Rupert」、「Everybody Sometimes」と新譜からのナンバーが続き、「この曲を書いたジミー・ウェブと光栄にも共演することができた」と「Wichita Lineman」を演奏。たしか前にもこのカバーを演ったことがあったね。09年の来日だったかな。

翌日以降はレオンと一緒に演奏することになる「Take Me, I'm Yours」をこの日はひとりで演奏(そういう意味ではレアなこの日)。ギターソロで拍手が沸いて、歌ってる途中で「サンキュー」って言ってた。つづいて僕の“どこがそんなにいいのか(以下略)”リストからもう一曲「The Elephant Ride」、実は久々に聴いた気がする(というか全部4年ぶりなんだけど)「Untouchable」と、どんどん定番曲が続く。なかでも、ソロでのこのバージョンがお決まりとなった「Tough Love」がやっぱりじんとくる。

ストラトに持ち替えての「Another Nail In My Heart」が格別だった。やっぱりギターソロがほんのちょっとだけタイム感が合ってないような気がしたんだけど、それでもエレキでこの曲を演奏してくれるのはものすごく嬉しい。もしかしたらこれまで僕が観た来日公演では初だったんじゃないかな。

大好きな『Pandemonium Ensues』から少ないなと思っていた頃に「Still」が出てきた。結局今回の来日ではこの日しか聴けなかった曲のひとつ。続けて、「Pulling Mussels (From The Shell)」。ああもうこれで終わりかと思ったけど、まだステージを降りない。アコギに持ち替えてそのままチロチロとあまり聴いたことのないフレーズを弾いていたと思ったら、なんとそれが「Vanity Fair」のイントロにつながってびっくり。こんな曲いままで演ったことあったっけ、と思って調べてみたら、僕が観た中では06年で一回だけ演奏してるね。これももちろん、今回の来日でこの日にしか聴けなかった曲。

「作成中のスクイーズのアルバムからもう一曲」と言って、「You」という曲を。うわー、今日の後半セットは長いなと思っていたら、その曲が最後だった。とりたててライヴの最後に演奏するような雰囲気の曲じゃなかったのに、その時点で実は「Annie」も「Pulling Mussels」も「Another Nail」も「Take Me」も「Slap & Tickle」も「Black Coffee」も演奏してしまっていたことに急に気付いたのかな。「Goodbye Girl」はアンコール用に取っておかないといけないんだろうし。

そんな感じで実に尻切れトンボぽく静かな二曲で本編を終えたあとは、当然アンコールで再登場。幻のビデオ撮影が懐かしい「Through The Net」(この曲のサビのところでパンパンと手を叩く人はもうあまり見かけなくなってしまったし、ましてや「ラララララララー」とコーラスを入れる人は僕も含めてさっぱりいなくなってしまった)、そしてそういえばまだこれがあった定番曲の「Hourglass」(手拍子を32回できっちり止めない人が多くてちょっとキレが悪かったけど、初めての福岡の地でちゃんと説明しないグレンが悪い)。

てっきり最後は「Goodbye Girl」かと思いきや、そこで終了。歌い終えたところで最前列真ん中に座っていたMさんに「サンキュー」と握手をしてきて、ああやっぱり常連の彼女のことは覚えてるんだなと思ったら、続いて隣にいた僕にも「サンキュー」と握手、さらに次々に同じようにお客さんに握手をしていって、とうとうそのまま一番後ろまで行ってしまった。ははは、これじゃもうアンコールできないや。それを狙ってたのかな。だとしても、こんなことしてくれる人ほかにいないよね。これでこそグレン。

終演後のサイン&写真撮影タイム。最初はどうなることかと思ってたけど開演前にはきっちり全部席を埋めた50人ほどのお客さんのほとんどが並ぶ。福岡公演は初めてだから、グレンにサインをもらうのはこれが初めてという方が多かっただろうね。グレンも時差ボケとか家族が病気で早く帰りたい気持ちとかあったろうに、いつもどおり丁寧に全員と歓談してくれる。

僕はシリーズの中で唯一サインをもらっていなかった『The Demo Tapes』シリーズの『When Daylight Appears』にサインをもらい、これまでのライヴでサインをもらっていた3枚を並べて見せて、ほらこれで全部揃ったとグレンに自慢。ところでこのシリーズ、全部で5枚出るという話だったのに、07年、08年、09年、11年と続けてリリースされた後はすっかりご無沙汰だね。年代で言うと81年〜84年、アルバムに置き換えると『Sweets From A Stranger』〜『Difford & Tilbrook』期がまだ出てない。再結成スクイーズのライヴとレコーディングが忙しくてそれどころじゃないんだろうけど、このままお蔵入りにならなければいいな。

サインをもらいながら、アイパッドの画面をスクロールするには指は複数じゃなくて一本だけにした方がいいとアドバイスをしてあげたら、ああそうだったのかと嬉しそうにしてくれるグレン。ほんとに知らなかったんだね。「じゃあまた週末に、東京で」と別れる。早く片づけて病気の家族のところに戻ってあげないとね。


グレンのライヴの後にはなぜか、知らなかった人にも声をかけて飲みに行ってしまう(本当にグレンのライヴにはそういうマジックみたいなのがあると思う)。この日も久々に会ったグレンヘッズの面々と古くからの友人に加え、たまたま近くに座った方もお誘いして近所の九州料理屋(?)へ。なんだかバタバタして結局その人の連絡先は聞かなかったんだけど、またどこかのライヴでばったり会えるかな。

久しぶりのブログなので四公演分まとめて記事にしようと思っていたのに、福岡の分だけでもうこんな量になってしまった。ちょっとこのまま続ける体力ないので、これはこれでアップしてしまおう。続きはまた明日。

fukuoka.jpg

Setlist: 30 March 2015 @ Liv Labo Fukuoka

1. Persephone
2. Someone Else's Bell
3. Ter-wit Ter-woo
4. Beautiful Hand (Beautiful Game?)
5. Haywire
6. Is That Love?
7. Black Sheep
8. Some Fantastic Place
9. Ray
10. Annie Get Your Gun
11. Up The Junction
12. Chat Line Larry
13. Tempted

14. Rupert
15. Everybody Sometimes
16. Wichita Lineman
17. Take Me, I'm Yours
18. The Elephant Ride
19. Untouchable
20. If I Didn't Love You
21. Tough Love
22. Black Coffee In Bed
23. Another Nail In My Heart
24. Slap & Tickle
25. Still
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Vanity Fair
28. You

[Encore]
29. Through The Net
30. Hourglass
posted by . at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月13日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 2

DSC009722.jpg

梅雨の合間のものすごい晴天だったんだ、一日中この日は。真夏みたいに。なのに、新宿でちょっとタワーに寄って、マイク・オールドフィールドの『Crises』の旧規格盤が安く出ていればオリジナルを持っていないと言っていたタマスへのお土産に買っていこうなんて思ったのが運の尽き。

結局、高い『Crises』デラックスエディションかスペクトラムからの安っぽいベスト盤しか「Moonlight Shadow」の入っているアルバムはなく、それなら今度自分で選曲してあげた方がマシと思って、何も買わずに開場時刻にちょうど間に合う時間に山手線に乗って原宿駅に着いたら、ホームから階段から改札までものすごい人混み。外は滝のような雨。誰もが改札を出たところで立ち止まってしまっていて誰一人身動きができないような状態になってしまっている。

それでもなんとか人をかき分けて改札を抜け、土砂降りの雨を浴びながら信号を渡る。でもどこにも雨宿りができるような場所がない。しょうがないからもう行ってしまおう。一緒に行った友達が折りたたみの傘を分けてくれたんだけど、そんな小さな傘だと二人の頭部を濡らさないようにするのが限界。全身ずぶ濡れ、脛ぐらいまでの深い川のようになった竹下通りをじゃぶじゃぶと進んだ靴は中まで完全に水浸しの状態でようやく会場のVacantにたどり着いた。

前回(2011年)と違ってこの日は、前の方の席にも小さな箱のようなベンチが置いてあり、靴を脱ぐ必要はなかったんだけど、僕は水浸しの靴を脱いで、その日は終演までずっと裸足で過ごした。ああ気持ちいい。外に靴下を絞りに行ったら、もう雨が上がってるよ。ほんの30分ぐらいの夕立だったの? ああいうのをゲリラ豪雨っていうのか。なんというタイミングの悪さ。あのタワーでの30分ほどが裏目に出てしまった。

そんな酷い天気でも、ほとんどのお客さんは定時に会場入りしていて、大きく開演時間をずらすことなく、前座のクリス・リンチのセットが始まった。この日は最初の2日間同様にクリスがステージ右側。いつも置いてあったピアノはなく、ステージ左側にキーボード。ドラムキットは前日と同じ、バスドラがやけに小さい3点セット。

クリスのセットは福岡とは曲順が違っていたけど、演奏した曲自体は確か同じだったはず。全部で5曲だったかな。1曲目の「Church Steeples & Spires」(福岡での2曲目)がカントリーぽいメロディーと曲調で、これまでのブロークン・フライトのイメージとは大きく違うのが印象的だった。終演後にもブロンがクリスに「あのカントリーっぽい曲いいね」と言っていたな。

DSC009777.jpg

最終日のオープニングは「I’m Sorry That The Kitchen Is On Fire」、そして「England Had A Queen」と続いた。これは初日の福岡公演のセットリストそのままで来るのかなと思った矢先、従弟がバイク事故で骨折したエピソードを話し始め(あの話を聞くのは初めてだったと思う)、「その実話に基づいて書いたんだ」と、「Broken By The Rise」を演奏。これ聴くのはずいぶん久しぶりな気がする(調べてみたら、僕がこの曲を最後に聴いたのは、2010年のシンガポール公演だった)。

続けて、これも今回のツアー初披露となる「Fire Balloons」。僕だけでなく、前日の光明寺で久々に再会したファンの方や、ブロンまでもがこの曲を演ってほしいとタマスにリクエストし続けてきた甲斐があって、ようやくこの最終日に演奏してくれた。というか、僕はこれを数あるタマス・ウェルズの曲の中でも名曲中の名曲だと思ってるんだけど、それが本人にとっては下手すると歌詞を忘れてしまう程度の扱いだということが信じられないんだけど。終演後タマスが僕に「ほら、今日は歌ってあげたでしょ」とニコニコしながら言ってくれたのが忘れられない。

その後のセットはほぼ福岡公演と同様だったんだけど、途中のソロコーナーではこれも今回初となった「Open The Blinds」や、前日の咄嗟のアンコールで急に思い出したのか「Opportunity Fair」を演奏。今回のツアーでのアンコール定番「Lichen And Bees」も早々に出たから、聴いていた限りではセットリストの印象はどの日ともえらく違った。

どこから聞こえてくるのか、おそらく屋根にたまった水がぽつん、ぽつんと、結構大きな音で延々と鳴っていたのが気になった。曲と合わないメトロノームがずっと鳴っているようなもんだから、きっと演奏してる方はもっと気になったことだろう。たぶん、ライヴの中盤ぐらいまでずっと鳴ってたんじゃないかな。タマスも「あれはスペシャルエフェクトだ。楽しんでもらえたらいいけど」なんて冗談めかして言ってたね。

「エスキモーの子どもが誤って友達を殺してしまうストーリーの映画を見て」と話しだしたはいいけど、タマス自身はその映画のタイトルを覚えておらず、「誰か知らない?」とお客さんやメンバーに訊いてみるけどそれだけのヒントでわかるだけの映画通もいなかったようで、そういうどこにも行き着かない話をつい始めてしまうのがいかにもタマス。後でブロンに「あの映画って一緒に観たの?」と聞くと「知らない。きっとマイナーな映画ばかりやってるケーブル局で観たんでしょ」だって。タマス、それは誰にもわからないよ。

「Draper Street」や「Signs I Can’t Read」など、ネイサンがアイパッドとシンセを使って効果音を奏でる曲では、アンソニーがネイサンの隣に行って操作を手伝っていた。アンソニーの本職が実は大学の偉い教授で、ネイサンもアンソニーと一緒に働いているという話を聞いていたので、こと演奏に関してはこうしてネイサンがアンソニーにあれこれ指示を出しているのが、きっと彼らの大学の生徒が見たら不思議な光景なんだろうなとちょっと可笑しくなった(山崎シゲルと部長を連想)。

DSC009788.jpg

今回のツアーでのハイライトだと思っていたその「Signs I Can’t Read」に続けての「Melon Street Book Club」がなかったのが少し期待外れだったけど、後でタマスにそう言うと「セトリ変えろと言ったのは君だろう」と。はい、たしかにそのとおりですね。

本編最後は解説付きの「Valder Fields」と、口笛指導付きの「A Riddle」。そういえば、「Valder Fields」をこうしてライヴ終盤の重要な場所に位置づけたのも今回のツアーが最初じゃなかったっけ。だいたいいつも中盤にぽつんと歌って何事もなかったかのように残りのライヴを続けてたもんだけど、ようやくお客さんがこの曲を一番聴きたがってるというのに気づいたのかな。

アンコールには何を持ってくるんだろうと思っていたら、まずは「True Believers」、そしてメンバー紹介の際にまたアンソニーがいないという定番ジョークみたいなのを挟み、本来のアンコール定番「For The Aperture」。そこで一旦メンバーが退き、さあ昨日同様もう一回最後のアンコールを演ってくれるかなと思っていたら、あっという間に客電が点いてしまった。うー、残念。後で床に置いてあったセトリを見てみたら、ちゃんとそこには「Grace And Seraphim」と書いてあったから、なおのこと残念。

ニューアルバムのジャケットにサインをもらう(本当はこの日にもらったんじゃないんだけど)。「またずっと一緒に居ることができて嬉しい」と、あの綺麗なジャケいっぱいに銀色のペンで書いてくれた。こちらこそ、こんなに長い時間を共有できて、ほんとうに嬉しいよ。でもそのジャケをすぐにビニール袋に入れてしまって、せっかくのサインを滲ませてしまうどんくさい僕。

DSC009899.jpg

アンソニーに「ずっと前に話してた、制作中だというソロアルバムはどうなったの?」と聞くと、「1年半ほど前にいくつか録音はしたんだけど、そこからなかなか進まなくてね」と。「じゃあ、もしそれが完成して、地元でお披露目ライヴをやるってことになったら、メルボルンまで観に行くから」と言ったら、タマス達も(半分冗談めかして)それはいいと。でも、もしそんなことになったら、無理やりにでもタマスにも同日にライヴ企画してもらうからね。さて、次はいよいよメルボルンでタマスのライヴを観るのを実現できるかな。


Tamas Wells Setlist 29 June 2014 @ Vacant Harajuku, Tokyo

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. Broken By The Rise
4. Fire Balloons
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Open The Blinds
11. Opportunity Fair
12. Never Going To Read Your Mind
13. Lichen And Bees
14. Vendredi
15. The Treason At Henderson's Pier
16. Signs I Can't Read
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. True Believers
2. For The Aperture
posted by . at 16:10| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月06日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 1

DSC00956.JPG

東京初日。当初予定していた富士見が丘教会から急遽変更になった会場の光明寺は、六本木のすぐ近くにこんな閑静な場所があるのかと思うほどの、都会の中のエアポケットみたいな空間だった。直前での場所探しにsinさんが苦労してたのは知ってたけど、よくもまあこんな場所を見つけてきたものだ。

朝10時にポートライナーの三ノ宮駅で懐かしい人と待ち合わせ、その人と一緒に、思いのほか混んでいた新幹線と山手線・地下鉄を乗り継いで神谷町へ。初日の福岡からしとしとと降り続いてる雨がなかなか止まないね。まあ、荷物も少ないし、傘をさすほどの雨でもないから別に気にならないけど。

会場は、お寺。わかってはいたものの、本当にお寺だ。奥の方には仏様の頭が置いてあったりする。ブロンがしきりに言ってたけど、敬虔な仏教徒の多いミャンマーなら、仏様に背を向けて演奏するなんてあり得ないセッティング。この日から参加するアンソニー・フランシスのために、これまでの二日間とは違って右手にピアノ、左手にキーボードを設置。タマスとクリスの立ち位置もいつもとは逆だ。

DSC00958.JPG

前座は前日と同様、n. markことネイサン・コリンズ。曲名は全然わからないけど、多分前日と同じ曲目。最後の曲でクリス・リンチが出てきてアンビエントなギターを添えるところも同じ。ついでに言うとすごくよかったのにやっぱり途中で眠くなってしまったのも同じだった。ところで、確かn. mark名義の音源が4-5曲ほどサウンドクラウドに上がってたと記憶していたのに、いくら探しても見当たらない。こんな検索しづらい名前にしないでほしいよ。

さっぱりと髭を剃って髪の毛も短くしたアンソニーを含めた4人編成で登場。オープニングは「Vendredi」。また今日もセトリ変えてくれるんだ。クリスの弾くこの曲のピアノのフレーズ、ごく簡単なものなのに、微妙なタメというかタイミングがアンソニーやキムとはまた違ってすごくいい。連日同じようなセットで同じようなコメントばかりで恐縮だけど、ほんとにこの人が参加したことでこのバンドの音の幅というか余裕が格段に広がった気がする。

2曲目はクリスがギター、代わってアンソニーがピアノに座り、「The Northern Lights」。ピアノソロで早速心配していたミスタッチが・・・ むう、この先大丈夫かな。このライヴ中はもう絶対彼のことを見てプレッシャーかけるようなことはしないでおこう(事実、僕はまた彼の近くに座ってしまっていたんだけど、お互いもうわかってるから、登場以来すでに一切お互い目を合わせていない)。

彼が参加していないニューアルバムからの曲では、アンソニーはおとなしく下がって、ピアノの裏の方で体育座りしたり楽屋の方に引っ込んだりしていた。一度、どの曲のときだったか、タマスが突然「皆さん、キーボードのアンソニー・フランシスです」と紹介したら、その場にいなかったということがあったね。あれはわざとなのか。お笑い要員フランシス教授。

ネイサンがいつものようにアイパッドで音を操作していたら、タマスが曲間の紹介で「中国ツアーのときに彼がああいう風にしていたら、終演後にお客さんにどうしてライヴ中にメールしてるんだって聞かれてたよ」だって。まあ確かにドラマーがいきなりドラムも叩かずにうつむいてタブレット覗き込んでたらそう思ってもおかしくないかも。

「数年前に(ちなみにタマスはどんな昔の話でも「A few years ago」と言うね)駐車場というロマンティックな場所である女性にプロポーズしたら、『わからない』って返事だったんだ。そのときの経験を基にして書いた曲」といいながら「Benedict Island Pt. One」を演奏。プロポーズの結果はうまくいったと話してたからもちろんブロンのことなんだけど、今回この話をブロンとするのを忘れてたな。

ちょっと「あれ?」と思ったのが、お寺で演奏する話からミャンマーのお寺の話になって、「次の曲はミャンマーで書いたんだ」と言って「True Believers」を演奏したこと。あの曲って日本で書いたって言ってたよね。終演後に早速タマスに聞いてみたら、最初にメロディーを思いついたのが日本ツアーのときで、歌詞を書き上げたのがミャンマーに戻ってからという話。ちなみに前回の記事に書いた、キビダンゴ事件とこの曲を書いた時期はまったく別だったそうだ。たまたま前日この曲を演奏する前にキビダンゴの話をしただけだって。

今回のツアーでのハイライトのひとつである「Signs I Can’t Read」から「Melon Street Book Club」へのメドレー、最初の2日間よりも「Melon Street」を始める前にタマスがやけにじらしてたような気がする。あれはアドリブだったのかな。それにしても、自分が作曲したこの曲をタマスがライヴで弾くのを聞くのはどういう気持ちだったんだろう、フランシス教授。

「僕はお好み焼きが大好きで、日本に来たらいつも食べるんだ。でも今回は、今まで僕には秘密にされていた重要なことを知ってしまった。お好み焼きよりもすごいものを食べさせてもらったんだ。それは、もんじゃ焼き」と笑わせるタマス。僕は大阪人として決してもんじゃがお好み焼きの上だとは思わないけど、もんじゃ焼き好きのオーストラリア人というのも珍しいよね。

DSC00963.JPG

「For The Apperture」みたいな音の厚い曲は、さすがにアンソニーが入ったことで音がよりふくよかになったね。いつもはこの曲ではバンジョーを弾いていたアンソニーはキーボードで参加。最初の「The Northern Lights」での失敗以降は目立ったミスタッチもなく、概ね安心して聞いていられた。ただ、ほかの3人が弾くピアノと違って、ちょっとやっぱりおっかなびっくり弾いてるせいか、アンソニーが弾くときだけはピアノの音が小さかったように思う。

「A Riddle」のときにアンソニーが顔を真っ赤にして照れながらステージ前のマイクのところに立つ。口笛要員だ。いつもタマスが自分でこうやって吹くんだよとお手本を見せる代わりに彼に見本を見せさせて、「でも僕らは口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。口笛要員の立場は・・・

「前回のツアーでは教会で演奏したし、今日はお寺。もしかしたら次回はモスクかな」と笑わせ、そして「最後はマイケル・オールドフィールドの曲」と「Moonlight Shadow」で幕。実は、リハーサルのときにクリスに前日話していたオリジナルを聞かせてあげたんだけど、とても無理と諦められてしまった。でも、もうすっかりクロージングとして定着した感のあるこの曲で、できるだけ凝ったギターを弾いてくれようとはしていたと思う。ありがとうね。

結局、前日のセトリとは1曲目と3曲目が入れ替わって、そこに初日に演った「Benedict Island」を加えただけだったこの日のリスト。アンコールでまずタマスが一人で登場して「Grace And Seraphim」、そこにメンバー全員が加わって「Lichen And Bees」で終了。と思いきや、この日はアンコールの拍手が鳴り止まない。しょうがないのでタマスが再度一人で出てきて、「Opportunity Fair」を歌う。おお、これは今回のツアーでは初。結局、それも含めて全22曲と、今回のツアーでもっとも曲数の多い日となった。

さて、いよいよ明日はこの4日間のツアーの千秋楽。前回の東京公演で使った原宿Vacant。これまでの3日間がとんでもなく異色な場所ばかりだったから普通のハコみたいに思えてしまうけど、あそこも実はかなり気持ちのいい空間なんだよね。さあ、楽しみだ。


Tamas Wells Setlist 28 June 2014 @ Komyoji Kamiya-cho, Tokyo

1. Vendredi
2. The Northern Lights
3. Bandages On The Lawn
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. Benedict Island, Pt. One
8. True Believers
9. The Crime At Edmund Lake
10. Signs I Can't Read
11. Melon Street Book Club
12. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
13. Thirty People Away
14. Never Going To Read Your Mind
15. Valder Fields
16. For The Aperture
17. I Left The Ring On Draper Street
18. A Riddle
19. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
3. Opportunity Fair
posted by . at 09:25| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月04日

Tamas Wells live in Hyogo

DSC00944.JPG

一夜明け、白いご飯に明太子とシラスが乗ったものに牛蒡の天麩羅を添えただけの博多丼なるものを頂いて(日本のご飯は本当においしい)、博多駅で偶然会ったタマス・ウェルズ様ご一行と一緒の新幹線で東へ向かう。会場は、旧グッゲンハイム邸というこれまた古風な洋館。僕が宿を取った三宮から電車でほんの20分足らずの場所なのに、その駅の周りだけがどこか違う時代にタイムスリップしたような錯覚に陥るとても不思議な街に建つ素敵な空間だった。

靴を脱いで中にお邪魔する(ほんとに、他人の家にお邪魔するような感じ)。リビングとダイニングをぶち抜いたような広い部屋の前方に座布団が敷き詰められ、手前側には椅子が20脚ほど並べてある。今日は椅子席でゆっくり観ようかなと思ってたけど、もたもたしてる間に座ろうと思っていた席が早々に埋まってしまったので、いつものとおり前方の座布団席へ。

今日の前座はn. markことネイサン・コリンズ。ステッドファスト・シェパード名義はもうやめたんだって。クラシカルなピアノの弾き語りが30分弱。いや、なめてかかってましたよ僕は、申し訳ないけど。すごくよかった。クラシカルと言っても別にクラシックを演奏するわけではなく、いつもの彼らの音楽(メルボルン・コネクションとかつて僕はここに書いたね)のエッセンスをグランドピアノだけで表現したような感じ。今回のタマスのライヴ、それにこの独奏を聴いて、やっぱりこの人がこの仲間の音楽的な肝なんだと再認識。

単調なフレーズの執拗な反復とそれが徐々に形を変えていくのを観る(聴く)快感。最期の曲ではクリスが入ってアンビエントなフレーズでそれに彩りを添える。正直言って疲れと寝不足で落ちそうになってしまう瞬間もあったけど(後で本人にそう言って謝ったら「ああいう音楽はそういうもんだ」と言ってくれた)、これマジでCD出してほしい。とりあえずサウンドクラウドのやつはDLできるのかな。

そういえば、ネイサンの演奏中に外の庭かどこかから子供の叫ぶ声が聞こえてきて、ふと「Sanctuary Green」みたいと思った。あと、すぐ近くの山陽電車の音がけっこう頻繁に聞こえてくるね。まあそんなに気になるほど大きな音というわけじゃないけど。

休憩後、3人がステージに登場したのが確か8時20分過ぎごろ。楽器の位置は前日と同じ。借り物のドラムキットは当然前日とは違うものだけど編成は同じ。左側にはDiapasonという僕の知らないブランドのグランドピアノ。ネイサンも知らなかったけど、凄くいい音がすると終演後にまたためし弾きして音を確かめていたほど凄いピアノだった。小さく浜松って書いてあったから日本のブランドなんだね。ヤマハと関係あるのかな。

日本に来る前の中国ツアーは四公演とも同じセットだったという話だったから(福岡公演もその同じセット)いくら僕が全部観ることを気にしてくれているとはいえタマスもそう大きく変えてくることはないだろうと思っていたら、オープニングがいきなりニューアルバムからの「Bandages On The Lawn」。ああ、ちゃんとセトリ変えてくれるんだ、嬉しいな。

と思っていたら、間髪入れずに「The Northern Lights」。昨日と全然違うセットだ。その後も、演奏している曲自体はほとんど同じだけど(後でセトリをチェックしたら初日とは2曲が入れ替わってただけ)、受ける印象が前日とは全く違った。

例のキビダンゴを電車に置き忘れた逸話を話しだしたから何を今頃?と思ったら、その話とは何の脈絡もなく「True Believers」を歌い始めた。本人の中では脈絡ないわけでもないのかな。確かこの曲って日本で書いたんだよね。あれがそのキビダンゴ事件のときだったのか。彼の書く歌詞と同じく、皆まで語らず推し量れということなのかもしれないけど、それちょっと難易度高すぎ。まあ、大好きなこの曲を演ってくれたこと自体には何の文句もないけれど。

「For The Aperture」とかいくつかの曲でのクリスの歌伴の演奏が凄い。目立たないけれど結構テクニカルなフレーズを弾いているし、それに加えてエフェクターやボリュームのフェードイン&アウトで、もう僕にとっては何十回も聴いた曲に新たな表情を加えている。今回のライヴでプロデューサー的役割を果たしている(と僕は勝手に想像している)ネイサンとのバッキングは、今のタマス・ウェルズの音楽をライヴで再現するならきっとこうなる、というのをきっちり具現化したような音だった。

部屋に大きな床置きのエアコンは置いてあるけど、たぶん音が邪魔になるせいか、電源が切ってある。なので、これだけの人数が入るとけっこう暑い。それなのに、ときおりふっとそよ風が吹いた気がする瞬間が何度もあった。大好きな曲でタマスが歌い始めた瞬間とかね。演奏後にタマスがギターを下ろしたら、シャツの前の部分が汗でびっしょりになってたね。彼も相当暑かったんだろう。

DSC00952.JPG

前日は吹き抜けの天井がうんと高かったからできなかったようだけど、この日はプロジェクターを使って天井に『On The Volatility Of The Mind』のジャケットとその色違いバージョンを投影していたのが印象的だった。ただでさえ古風な装飾のランプとかが素敵な天井なのに、それにあの不思議な版画が重なったときの一種荘厳な雰囲気はなんともいえない。

「A Riddle」を「ニューアルバムからのシングルカット」と紹介して、「僕は口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。自分で口笛を吹いていると周りの音はよく聞こえないけど、みんなちゃんと吹いてたかな。

それで最後かと思ったら、「次の曲で終わり。マイケル・オールドフィールドの曲」と言って「Moonlight Shadow」を。よっぽど気に入ったんだね、この曲。終演後、クリスに「あの曲のギターソロがいいから、今度演奏してよ。明日ウォークマン持ってきて聞かせてあげるから」と無茶振りしておいた。

アンコールはまずタマス一人で「Grace And Seraphim」。ああこれも嬉しい。ステージ脇で二人がひざまずくように座ってしんみり聴いていたのが印象的だった。そして、二人が参加して前日同様「Lichen And Bees」で締め。

前日の素晴らしかった福岡公演を貶めるつもりは全くないし、福岡で聴いた人をがっかりさせるのが目的ではないけれど、この日は、歌も演奏もセトリもどれを取っても、僕がこれまでに観た11回のタマスのライヴの中でもトップクラスの出来だったと思う。終演後にタマスと話していてそう伝えたらとても嬉しそうにしていた。

でも、「今日のセットリストがそんなによかったなら今回はこれで固定しよう」とタマスが言うのにいやそれは困ると文句をつけたり、僕が「またFire Balloons演らなかったね」とか言ってると、タマスがもう最後に「わかった、明日のセットリストは君に任せるよ」とまで言われてしまった。あのね、僕にそういうこと言うと冗談ではすまないよ、僕の性格もう知ってると思うけど(笑)


Tamas Wells Setlist 27 June 2014 @ Guggenheim House Hyogo

1. Bandages On The Lawn
2. The Northern Lights
3. Vendredi
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. True Believers
8. The Crime At Edmund Lake
9. Signs I Can't Read
10. Melon Street Book Club
11. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
12. Thirty People Away
13. Never Going To Read Your Mind
14. Valder Fields
15. For The Aperture
16. I Left The Ring On Draper Street
17. A Riddle
18. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
posted by . at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月30日

Tamas Wells live in Fukuoka

DSC00925.JPG

会場のpapparayrayって変わった名前、なんて思いながら下校途中の高校生をよけつつ閑静な住宅街をしばらく歩いてたどり着いたら、その一画だけ時代を巻き戻したようにうっそうと木が茂った古民家だった。いつもタマスのライヴ会場の選択の妙には感心させられるけど、今回もまたすごいところで演るなあ。

小さな庭を抜けて中に入ると、会場にあたる部分は民家の二階の床をぶち抜いた吹き抜けの広い空間。椅子が70-80脚ぐらい置いてあるな。失礼ながら、福岡にタマスを聴く人なんてどれぐらいいるのか全然見当もつかなかったけど、開場時刻からそう長く経たないうちにあっという間に満員になってしまった。

それほど大きなキャパの会場でもないのに、開場から開演まで1時間もある。赤のグラスワインを飲み干してしまわないように気をつけよう。なにしろここに着く前にちょっと腹ごしらえと思って福岡の地酒を二合ほど腹にしまってきたばかりだから(酒も肴も美味しかった)。

予定時刻の8時を15分ほど回ったところで暗転。オープニングはクリス・リンチ。このブログで7年も前に取り上げたブロークン・フライトの中心人物だ。それ以来時々連絡を取りながら、まだ次のアルバム出さないの?なんて話してたクリスと、7年越しでようやく会うことができた。実は、今回のタマスのツアーに彼が参加することを知ったときに、前座でブロークン・フライトとして演りなよ、なんてけしかけてみたんだけど、それがこうして実現して小さく感無量。

フェンダーのテレキャスターにエフェクター類を8個もつないで、一人であの名盤『On Wings, Under Water』の世界を可能な限り再現。そのアルバムからの曲と聴いたことのないおそらく新曲を合わせた6曲ほどのセットで30分ほどの簡素なセット。これはもう少し聴いていたかったな。せっかくそのアルバムのプロデューサーも一緒なんだから、ネイサンにも参加してもらって「A Strange Love」の神経が麻痺してしまいそうな演奏を10分続けるとか、贅沢な妄想が膨らんでしまう。

十数分の休憩を挟んで(なにしろトイレがひとつしかないから大変)、タマス・ウェルズのセット開始。ネイサンが後ろのドラムキット、クリスがさっき立っていたステージ右側、そしてタマスが正面のマイクの前にマーティンを持って立つ。左側にはアップライトピアノ。ドラムキットのところにもノードやら小さなキーボードやらごちゃごちゃ置いてある。

オープニングの選曲にはかなり意表を突かれた。「Friday」こと「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。いつもならエンディングやアンコールに持ってくることが多いこの曲で開始。その後、過去のアルバムからランダムに演奏(いつもなら最後の方に演奏する「For The Aperture」なんかも3曲目で早々に)。「しばらく前にニューアルバムが出たのでそこから何曲か演るよ」と言って「Bandages On The Lawn」を。

イントロもなく歌いだしたのが「The Northern Lights」。うわ、これは嬉しい。前回のツアーでは歌ってくれなくて、封印でもしたのかと思いきや、単に歌詞を忘れたからという理由だったのが、今回はちゃんと覚えてきたんだね(ちなみにsinさんが「あれyasさんがリクエストしたから覚えてきたの?」と後で訊いたら、「そうだっけ?」という反応だったらしいけど)。

「Thirty People Away」など、曲によっては歌詞の背景を訥々と説明してから歌いはじめる。昔からそうだったけど、どの曲のことを説明するかはそのツアーによって違うみたいだね。初期のツアーでは「Friday」や「Reduced To Clear」、しばらく前のツアーは「Signs I Can't Read」を説明してたけど、今回はこれといくつかの新曲についてだった。

前回のツアー以来すっかりレパートリーに収まった「Moonlight Shadow」。たぶんこの日の若いお客さん達もあれがタマスの新曲だと思って聴いてるんだろうな。オリジナルのドラマティックな展開はないし、歌詞やメロディーもところどころ変えてるけど、やっぱりいい曲だしタマスの声に合ってるよね。

ネイサンは主にブラシで簡素なドラムキット(バスドラ、スネア、シンバル)を叩くほか、脇に置いてあるキーボードやiPadや僕の位置からは見えない何かの機械をしきりにいじって、効果音やループを入れ続ける。クリスもギターのボリュームやエフェクターを駆使してそれに応える。これがあるから今回の音は同じ3人でもいつものタマス・ウェルズ・バンドの演奏とは全然違って聞こえるね。

それが最高潮に達したのが、タマスがピアノを弾きながら歌った「Signs I Can't Read」。ピアノ独奏に、曲のイメージどおりの幽玄なバックグラウンドノイズが覆い被さり、そのノイズの中をタマスがふと手を止め、そしてそのまま「Melon Street Book Club」に続けたところは、ある意味僕にとってこの日のハイライトだった。今思い出しても背中がぞくぞくする。

「人間には二面性があって、理性や意思に支配されたところともっと内面から自然に出てくるところ」と説明を始めたとき、ふーん次は何の曲なんだろ、なんて思ってたら、「そういう自然発生的な領域のことをValder Fieldと呼んでるんだ」と。そして、イントロなしバージョンのこの名曲を。当然ここもこの日のハイライト。ハイライト沢山あって申し訳ないけど。

「最後は新しいシングル曲」(へえ、あれシングルという位置付けだったんだ)。プロモーターの河崎さんをステージに呼んで一緒に口笛を吹いてもらう。いつも華やかにライヴを締める「Friday」や「For The Aperture」を前の方に持っていったのは、今後はこの曲がその位置を取って代わるという意味なのかな。この曲、最後どこで手拍子止めるかタイミング計るのが難しいんだけど(笑)

アンコールは「Lichen And Bees」。なんかもうこういう曲を聴いてると旧友に再会したような気持ちになる。これを最初に聴いたのももう8年前になるのか。いや、それにしても本当に今回は磐石の演奏。今までで一番プロフェッショナルな演奏だと思う。申し訳ないけどアンソニーがいないとここまで演奏が安定するのか(苦笑)

終演後にネイサンとクリスが近寄ってきてくれて(というか僕が近くにいたステージに片付けに来ただけだけど)しばらく歓談。7年前に一度会っただけのブロンまで僕のことを覚えていてくれていて嬉しい。ステッドファスト・シェパードのファーストアルバムと、ブロークン・フライトのファーストとEPを持ってきたので両名にサインをもらう。ファースト『On Wings』はさすがにあの美術品みたいなジャケにサインをするのを僕もクリスもためらったので、EPのみに簡素なサインをもらった。

DSC00988.JPG

プロモーターの河崎さんやスタッフの方々とも少し話をさせてもらった。今回のこの満員のお客さんは必ずしもタマスのファンというわけじゃなく、河崎さん主催のライヴであれば観に来るという常連客が多かったようだ(九州のカフェゴーティみたいなもんだね)。逆に、「今回はいつも見かけないお客様がたくさんいらっしゃってました」なんて言われてしまった。

25年ぶりに訪れた福岡で、1年半ぶりのタマスのライヴ。この四夜連続公演のまずは完璧なスタートだった。例によって終演後にタマスにあれこれリクエストして苦笑いされたけど、残り三日間、少しはセットを変えてきてくれるかな。


Tamas Wells Setlist 26 June 2014 @ Papparayray Fukuoka

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. For The Aperture
4. Bandages On The Lawn
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Benedict Island, Pt. One
11. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
12. Never Going To Read Your Mind
13. Vendredi
14. The Treason At Henderson's Pier
15. Signs I Can't Read
16. Melon Street Book Club
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. Lichen And Bees
posted by . at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月06日

Matt The Electrician live in Kamakura 2014 Pt. 2

DSC007766.jpg

一夜明けた大船は霧のような雨が朝から降っていた。雨に濡れながら近所の大型ブックオフを攻略し(運のいいことにこの週末はCD/DVDが10%オフだったからつい8枚も買ってしまった)、開場時刻のちょっと前に鎌倉の行きつけのお店で友達とアルコールを適度に摂取した後、時間通りにゴーティへ。来ているお客さんも半分ぐらいは昨日と同じ顔触れだね。もうしっかり飲んで来たから今日は最初の一杯でやめとこうと思ってたのに、「今日は安くていいワイン入ってるよ」と松本さんに簡単に乗せられてまた一本買い。

本日の前座はWada Mambo、とてもギターのうまいお兄ちゃんだった。前座って当たり外れあるけど、これは聴いてて気持ちよかったね。しきりに「すぐ終わります」とかなんだかえらく腰も低かったし(笑)。帰りにまたCD一枚買ってしまったよ。サインももらって。なんかほかにもたくさんアクセサリー売ってたね。そっちは僕は買わなかったけど。

マットのライヴを観るのはこれで4回目になるけれど、だいたいいつもしっとりとした静かな曲で始めるよね。この日は奇しくも僕が前回富士で観たときと同じく「The Last Ones Left」で開始。続く「Accidental Thief」のときに、床に置いてあった僕のワイングラスを後ろの席の人が間違って倒してしまうというちょっとしたアクシデントが。曲が終わったときに松本さんが雑巾を持って拭きにきてくれたんだけど、その間を埋めるためにマットがなにやら即興でバンブルビーの曲を延々歌っていたのがおかしくて。

前日、松本さんにカバー曲多すぎと言われたためか、この日は自作曲を淡々と続ける。前半も半分を超えた頃だったろうか、「これまでのところ昨日とは全然かぶってないだろう?」と、なぜか僕の顔を見て訊かれる。セトリもないし適当に歌ってるように見えて、一応曲順とか考えながらやってるのかな。でもそのあと、「ここで1曲、昨日も演った曲を。ごめんなさい」と。別に謝る必要なんてないのに。

それが、前日はレベッカがコーラスをつけていた「Osaka In The Rain」だったんだけど、なんとこの日は自発的にお客さんが一緒に歌いだすという展開に。嬉しそうなマット。途中からはコーラス部分はお客さんだけに歌わせてた。

卒業生代表の女の子がスピーチのときに服を脱いでしまったというのが実話だと紹介しながら始めた「Valedictorian」。これを前に演奏した江津では高校生の女の子が3人観に来ていたけど、この曲を聴いて服を脱いでしまうほどには触発されなかったよ、と冗談を。後ろに座っていた外国人の女性客が日本語でValedictorianの意味を説明してくれていたね。そういえば前日もこの日も、マットのライヴになるとゴーティは結構外国人のお客さんが多い気がする。

前半にはほかに僕が前日にリクエストした「College」も演奏してくれたな。ほかにはこれも一昨年の富士で演ったアーロン・リー・タスジャンの「Summer Of Legs」とか。そして、前半最後は昔ファンだったというキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で締め。

DSC007799.jpg

後半はこれもまた地味に「Arkansas」でスタート。数曲演ったところで、「リクエストされたのでこれを。覚えているかどうかわからないけど」と、「Permanent Record」を歌い始めた。やった、これも僕のリクエストだ(というか、たぶん他にわざわざリクエストしてた人はいなかったように思う)。

ところが、サビのところまで来ると「ランランラララララー♪」とまたしても歌詞忘れ。「たしかこんなメロディーだったよな」と。えー、一昨年リクエストしたときは普通に歌ってたのに。しばらくそのまま同じコードを弾きながら歌詞を思い出そうとして、でも諦めて僕に「コーラスの歌詞わかる?」と。「I saved every little thing」と歌ってあげると、ああそうだったとばかりに残りのサビ部分を歌う。で、二番に移るとまた歌詞が出てこない。うわー、もうその目でこっちを見るのをやめてくれー。俺が悪かった。

結局この日も松本さんが携帯に歌詞を検索して持ってきてくれたので残りは無事に終了。次回からはリクエストしたい曲は自分で歌詞を覚えてくること、というのが今回の一番の教訓。

次の「The Kids」もちょっと歌詞が危うい。でもそれは僕のリクエストじゃないからね、僕のせいじゃないよ。なんとかつっかえつつ歌っていたそのとき、今度は僕の前に座っていた人が誤ってワイングラスを倒してしまい、「このあたりは呪われているんだ」とマットが僕の方を指をさす。うむ、そうかもしれない。なんかこれからも僕の顔を見るたびに歌詞を度忘れしそうで嫌だな。

これも僕がリクエストした「I Wish You Didn't Feel Like My Home」に続け、休憩時間中に他のお客さんがリクエストをしていたのを見ていた「I Will Do The Breathing」を、「この曲は昨日演ったんだけど、リクエストされたから」と演奏。いや、こんないい曲は別に連日歌ってくれて全然かまわないから。誰も気にしないから。

DSC007855.jpg

終盤、Wada Mamboを呼んでギターを弾いてもらう。前日も演奏した「Lullaby Of Birldand」のカバーに続いて、ポリースの「Bring On The Night」。ああこれは嬉しい。かっこいい。さらに続けて二人で演奏した「Train」で幕かと思いきや、最後はまたしっとりと「You And I」で終了。アルバム最後の静かな曲でコンサートを終えることの多い人だね。

アンコール1曲目は珍しい「Divided By 13」。そして、前日リクエストしたけどやっぱり演ってくれなかったなと思っていた「Facebook Friend」をここにきて演奏。やった。歌詞もちゃんと覚えてたし、安心して聴けたよ。

これで終わりかと思いきや、まだ鳴り止まないアンコールの拍手に応えて「Rocky Raccoon」、さらに「Hold On」で幕。こんなにたくさんアンコール演ってくれるなんて。

終了後はまた表で雑談しつつ、最新盤にもサインをもらう。前日の『Baseball Song』には「Play Ball」と寄せ書きしてあったけど、スケートボードを持ったジャケのこのアルバムには「Skate On」と。

DSC007900.jpg

ずっと話してたかったけど、マットもお疲れだろうし、僕も翌朝の便で帰国してそのまま会社行かないといけなかったから、「また来年」とゴーティを後にした。8年目、8回目の来日では今度はどんな日本語を覚えてくるかな。
posted by . at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする