2020年05月01日

yascd035 Road Songs ぼくのかんがえたさいきょうのファウンテンズ

前回このブログを更新したのが去年の7月。そのときには、というか、今年になってからですら、世界中の誰もこの2020年がまさかこんなとんでもない年になるなんて予想もしていなかっただろう。3月29日に志村けんが亡くなって日本中が騒然としたのもつかの間、その直後に新型コロナウィルス感染で入院しているらしい、心配だね、なんて友達と話をしていたアダム・シュレシンジャーが、わずか3日後の4月1日に亡くなってしまった。

僕が情報収集している界隈だけかもしれないけど、アダム追悼の言葉を思いのほか至るところで見かけ、あらためてこの人の人気に驚いた。と同時に、そんなに大ファンというわけでもなかったつもりでいた僕が、あらためてこの人の不在に意外なほどのショックを受けていることにもまた自分で驚いている。

8年前にファウンテンズ・オヴ・ウェイン(以下FOW)を観たときの記事(奇しくもアダムの命日だ)に書いたとおり、僕はずいぶん遅れてこのバンドのファンになっている。デビューアルバムが1996年で、もちろんその当時から名前もジャケ写も知っていたし、確かいくつかのシングル曲も聴いたはずだとは思うんだけど、いまいちピンとこなかったんだろう。96年って何を聴いてたっけと思ってリストを見返してみたら、グリーン・デイとかパルプとかクーラ・シェイカーとかが年間ベスト候補に入ってるから、決してこの手の音から離れていた時期というわけでもなかったのに。

その後、10年以上も遅れて僕がこのバンドにのめり込むようになったいきさつはさっきの記事に書いたとおり。「ああそうか、この人たちって単にパワーポップバンドとして括らない方が自分にとってはしっくりくるぞ、そして、そういう王道アメリカンバンドとして捉えたこのバンドは、自分の中では相当上位に来るぞ、と再認識させられた次第」というわけだ。

16年間に5枚のオリジナルアルバムとB面曲などを集めた2枚組編集盤をリリースしている、それなりにキャリアも音源も豊富なこの人気バンドのベスト・アルバムはまだ出ていないようだ。シングル曲をざっと並べただけでも1枚もののベスト盤ぐらいできそうなものなのにね。初期のアトランティックと後期のヴァージンでうまく話をまとめてくれないものか。

無いんなら作ってしまおう、ということで、ここのところの自分内アダム不在を埋めるために、ずいぶん久しぶりにこの企画を復活させてみることにした(毎年の年間ベストCD作成はひっそりと続けているので、このブログに載ってるyascdの最後の番号からはずいぶん飛んでしまっているけど)。

もしかしたら将来出るかもしれない、単にシングル曲を並べたような編集盤を作っても面白みがないし、第一さっき書いたように僕にとってのFOWの醍醐味はどういうわけか彼らがシングルカットする(そしてヒットする)ような曲たちとは少しばかりずれているので、どうせなら自分の好きなタイプの曲だけで固めてみよう。いっそ、シングルとして発売された曲は全部外してしまおう。「Sink To The Bottom」も「Stacy's Mom」も入ってない、正統派FOWファンが聴いてみたらアルバム中の捨て曲ばかりかもしれないけど、これが、ぼくのかんがえたさいきょうのファウンテンズ、というわけだ。

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いつもみたいな曲ごとの解説はなし。そんなことをするととてつもなく長くなってしまうし、第一、曲ごとに解説できるほど僕はすべてのアルバムについて詳しく知ってるわけじゃない。一応、作るにあたっての自分内ルールは、さっき書いた「シングル曲はなし」、「できるだけ全アルバムから均等に選んで、同じアルバムからの曲が固まらないようにする」。ほとんどが2〜3分台の曲ばかりなので、80分のCD-Rに詰め込んでみたら、これまでのyascd最大となる24曲入りになってしまった。これを、2枚組LPに収めるイメージで、6曲x4面に並べてみたのがこれ。「全アルバムから均等に」のつもりだったけど、やっぱり初期の2枚からはちょっと少なくなってしまった。

Side A
1. I Know You Well
2. Workingman's Hands
3. Fire In The Canyon
4. Fire Island
5. I've Got A Flair
6. A Fine Day For A Parade

Side B
1. A Dip In The Ocean
2. New Routine
3. Small Favors
4. Valley Winter Song
5. Amity Gardens
6. Cemetery Guns

Side C
1. Maureen
2. The Hotel Majestic
3. I-95
4. Firelight Waltz
5. The Man In The Santa Suit
6. Hackensack

Side D
1. The Girl I Can't Forget
2. This Better Be Good
3. Please Don't Rock Me Tonight
4. Supercollider
5. A Road Song
6. Better Things


1曲を除いてほぼすべてが、上にジャケ写を載せた6枚のアルバムから。カバー曲はなしで、全曲Collingwood / Schlesingerの作詞・作曲。この二人はどういう曲の作り方をしているんだろう。Lennon / McCartneyみたいにどっちかがそれぞれの曲をほぼ全部作ってしまうのか、Difford / Tilbrookみたいに詞・曲で分業しているのか。にわかファンの当てずっぽうでは、アダムが曲を作ってクリスが歌詞を乗せてたんじゃないかなと思う。アダムのティンテッド・ウィンドウズのアルバムに入ってる曲のクオリティをみてみれば尚更そう思える(と、久しぶりにその記事を読み返してみたら、11年前に僕は同じことを書いているね。何年間にわかファンでいるのか)。

ところで、ジャケ写を集めがてら、久しぶりにアフィリエイトでも貼ってみようかと思ってアマゾンを見てみたら、この人たちのCDってもうほとんど廃盤なんだね。びっくりした。唯一まともな値段がついているのが、ラストアルバム『Sky Full Of Holes』の輸入盤のみ。まあ、これも他のアルバムも、アマゾンでも中古屋でも比較的簡単に安く手に入るから別にいいけど。それとも、もうこの手の音楽を聴く人たちはCDなんて買わずにみんなストリーミングとかで聴いてるのかな。

51GSes9z4pL._AC_.jpg話が飛んだ。さっき除いた1曲、D-6「Better Things」だけは説明が必要かな。2002年に出たキンクスのトリビュートアルバム『This Is Where I Belong』の冒頭を飾る曲。なので、作詞・作曲はこの曲だけがレイ・デイヴィス。一応、僕が作ったこの編集盤の中ではボーナストラックという扱いにしておこう。ちなみにこのキンクスのトリビュート盤、FOWの他にもスティーヴ・フォーバート、ジョナサン・リッチマン、ベベウ・ジルベルト、クイーンズ・オヴ・ストーン・エイジ、マシュー・スウィート、ラムチョップ、ロン・セクスミス、ヨ・ラ・テンゴなど結構豪華な顔ぶれが揃い、ラストはデーモン・アルバーンとレイ本人が「Waterloo Sunset」で締めるというなかなかの好盤。と思ってアフィリエイトのリンク張ってみたけど、当然のごとく廃盤で、マーケットプレイスで15,000円以上もするの?


そのボートラの1曲前、一応本編ラスト扱いの「A Road Song」が、ぼくのかんがえたファウンテンズさいきょうの1曲。Discogによると『Sky Full Of Holes』からのプロモ盤として文字だけの味気ないジャケのCDが存在しているみたいだけど、もしかしたらこのアルバムからの3枚目のシングルカットにするつもりだったのかな。日本ツアーのときに撮られたとおぼしきシーンがところどころに収められたPVも、歌詞の内容によく合った朴訥としたモノクロの作りがとても素敵。ビデオの後半、やんちゃそうにベースを振り回すアダムの楽しそうな姿を見るたびに、泣きそうになってしまう。

  まだウィスコンシンから出てないと思うよ
  今日はグリーンベイで演った。明日はシカゴや
  嘘つけたらよかったけど、そんなに大して書くこともないよ
  携帯のバッテリーがもう死にそうやから
  短めにしとくよ

  あのな、お前にずっとロードソングを書いてるって言いたかってん
  聞き飽きたかもしれんけど、なあ、そう悪いもんでもないよ
  クラッカーバレルのレストランに立ち寄ったり
  ウィル・ファレルの出てる映画を40本も観たりしながら
  他にも時間潰しせなあかんからね
  そやから、お前にロードソングを書いてるんよ
  気にせんといてや

  昨日の晩、お前に水色のシャツ買ったよ
  音はとても聴いてられんバンドやったけど
  割といかしたロゴやったから
  ステージに瓶を投げたガキがいててな
  そいつ、プロ級の腕やったよ
  ごめん、もうこんな時間やな
  そろそろ止めとこう

  なあ、言うたことあったっけ
  お前のためにずっとロードソングを書いてるって
  嫌がらんといてや、そんなに長いやつじゃないから
  お前が頼んだわけじゃないのもわかってるし
  俺はスティーヴ・ペリーでもないってのもわかってるよ
  たとえお前が呆れてうめき声をあげたとしても
  お前が自分の曲やって思えるようなのを書いてるから



アダム・シュレシンジャー、どうか安らかに。あなたのライヴはたったの2回しか観る機会はなかったけど、初めて観たときから10年経った今でも、あのときの興奮はありありと思い出せるよ。ありがとう。


posted by . at 17:40| Comment(1) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月01日

yascd024 にほんはっけん その後の20年

グレアム・パーカーが来る。78年のルーモアを伴っての初来日はもちろんのこと、93年のソロ公演も観ることのできなかった僕にとっては、30年間彼の音楽を聴き続けてきて初めてのチャンスだ。会場はまあ最高とは言えないけど、文句なんて言ってられない。

日本でこの話題がどれぐらい盛り上がっているのかわからないけど、(日本に限らず)グレアム・パーカーなんてたぶん一般的にはコステロなんかとよく比較されていた初期の数枚のアルバム以降はどんどん忘れ去られてきた存在なんじゃないだろうか。ビルボード4回なんて本当に埋まるのかなとちょっと心配になったりもする(まあ、僕みたいに複数回観るファンもきっと多いんだろうけど)。

93年の来日公演はその年のうちに『Live Alone! Discovering Japan』という、89年の名盤『Live Alone In America』をもじったタイトルのライブアルバムになり、ライヴを観られなかった僕としてはそれは大喜びしたものだ。

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『Live Alone! Discovering Japan』

それからの20年間一度も来日せず、きっと日本のメディアやネットで取り上げられることもほとんどなかったとは思うけど、実際には彼はかなり精力的に活動し続けてきていた。コンスタントに発表されるアルバム以外にも、サイトオンリーの限定ライヴ盤シリーズや何枚も出てくる未発表曲集やベスト盤、クリスマスEPやカバーアルバム、あちこちのレーベルから出てくる発掘ライヴ盤の数々と、全部追っかけるのには相当苦労する量のCDが出ている。今CDラックを見てみたけど、さっきの『Live Alone! Discovering Japan』以前の17年とそれ以降の20年では、最近20年が前半17年の二倍以上の幅になってしまっているよ。

そんなだから、出るCD出るCDほぼきっちり買い続けている僕にとっても、全部をじっくり聴けていないのが実情。初期の発掘ライヴなんて結構どれも同じような選曲で同じような感じだしなーとか贅沢なこと言ったり、最近のアルバムも悪くないんだけどなんか地味、とかろくに聴きもしないで。

こんなことではまずいと、せっかくの来日を機に、前回の来日以降に出たアルバムを集中的に聴きなおしてみることにした。フルアルバムだけでも95年の『12 Haunted Episodes』から去年出た『Three Chords Good』まで8枚。ついでに、それぞれのアルバムから印象的な曲を20ほど集めて、久々のyascdを作ってみることにした。本当は、この8枚以外の未発表曲集とかからも入れたかったんだけど、8枚からだけですでに20曲に絞るのが難しいほどだったからそれは断念。なんだ、最近のアルバムにもしっかりいい曲たくさん入ってるじゃないか。


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『Three Chords Good』

1. She Rocks Me
2. Long Emotional Ride

まずは、去年発表された再結成ルーモアとのこのアルバムからさかのぼっていくことにしよう。ルーモアと袂を分かってからも単体メンバーとはちょくちょく一緒に演ってたから、そんなに仲が悪いという訳じゃないんだろうなとは思ってたけど、やっぱりこうして全員揃うのを見ると感慨もひとしお。ジャケを見ると最初から概ねハゲだったボブ以外もことごとくはげたり白髪だったりするところがもの凄い年月を感じさせるけれど、内容もまたそれなりに円熟味のあるものになっている(グレアムとマーティンの身長差30センチ強というのもこうやって見るとよくわかるね)。

今回の日本公演を終えて帰国したら今度はルーモアとの英国ツアーだというのを聞くと、やっぱりそっちが観たかったと欲が出てしまう。正直言って全12曲中それほどの名曲はなかったと思うけど、今のこのラインアップで初期の曲を演奏するのを聴いてみたい。来年あたり誰かルーモアと一緒に(できればちゃんと立って観られるもう少し安めのハコで)日本に呼んでくれないだろうか。


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『Imaginary Television』

3. Broken Skin
4. Always Greener

10年発表のこのアルバムは、前年の『Carp Fishing On Valium』あたりから色々やりはじめたストーリーテリングの手法を新作アルバムにしてみたという感じだろうか。ブックレットにはそれぞれの曲の歌詞でなく背景のストーリーが書いてあり、それを架空のマスコミが論評しているというような文章がびっしり。まさにアルバムタイトルどおりの『架空のテレビ』。歌詞を全部聴き取れるわけでないこちらとしては、曲とこの文章をそれなりに分離して楽しむしかなく、そういう意味ではちょっと歯痒さの残るアルバムではある。まあ、ちゃんと聴き込めていない自分が悪いんだけれど。


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『Don't Tell Columbus』

5. Love Or Delusion
6. Total Eclipse Of The Moon
7. Somebody Saves Me
8. Bullet Of Redemption

今回の選曲にあたって、07年発表のこのアルバムが一番の難関だった。当初はフルアルバム8枚から2曲ずつ、その他の未発表曲集とか企画盤から4曲ほど選ぼうと思っていたんだけど、全12曲入りのこのアルバムの半分以上が候補に挙がってしまい、ようやくそこから半数に絞ってのこの結果。おかげで、未発表曲とかを入れる案はボツに。間違いなく、この20年間での最高傑作。調べてみたら、このアルバムは日本盤も出たんだね。

逆に言うと、過去5年間に出たアルバムやシングル(と呼べばいいのか、サイトオンリーで発表され続けている単発曲)が、このアルバムのレベルを超えられないでいるという事実がちょっと淋しくもある。まあ、別に才能が枯渇してしまったとか本人にやる気が見られないとかいう話ではないので、またすぐに出るであろう次のアルバム(またルーモアと演るのかな?)を待っていよう。


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『Songs Of No Consequence』

9. Vanity Press
10. Bad Chardonnay
11. She Swallows It
12. Go Little Jimmy

このアルバムのことはかつて少しだけ書いたことがある。主に、このアルバムの後に出たライヴ盤についてだけど。これもまた、2曲には到底絞りきれなかったほどのいいアルバム。ベースを弾いてプロデュースも務めているのが、今年ジム・ボジアと一緒に来日したピート・ドネリー。彼を含めたフィグズのギターのマイク・ジェントとドラムスのピート・ヘイズはこの後もしばらくグレアムと一緒に活動することになる(上に書いた何枚かのアルバム)。

12曲目で全編にわたってハーモニカを吹いているのがG.ラヴだというのが、きっとここ最近で曲がりなりにもメジャーアーティストがこの人のアルバムにゲスト参加した唯一の例じゃないだろうか(昔はスプリングスティーンとか参加してくれてたのにね)。それはさておき、収録曲の歌詞をランダムに並べたこのジャケに惹かれる人はそういないとは思うけど、これはさっきの『Don't Tell Columbus』と並んで、最近のグレアムのアルバムを何か聴いてみようと思う人がまず入るところとして間違いのない盤。


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『Your Country』

13. Queen Of Compromise
14. Crawling From The Wreckage (Revisited)

ブラッドショットレーベル移籍第一弾、04年発表のこのアルバムが、彼の正規盤の中では最も異色作かも。タイトルに掛けているのか、内容はほぼカントリー。正直、僕にとっても一番馴染みの薄いアルバムではある。前作、次作でのピート・ドネリーの替わりにこのアルバムでベースを弾いているのはトム・フロインド。カフェゴーティ絡みのアーティストが多いな。どうせなら、今回グレアムもゴーティで呼んでくれればよかったのに。

このセレクションには入れなかったけど、アルバム中一曲でルシンダ・ウィリアムズがデュエットしてるね。ここにもメジャー級が。14は、言わずと知れたデイヴ・エドモンズに提供したあの曲。ただ、これもまたカントリー調にリメイクしてあるので、あの疾走感を期待するとちょっと拍子抜け。


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『Deepcut To Nowhere』

15. I'll Never Play Jacksonville Again
16. Syphilis & Religion

前作から5年ぶりとなる01年発表、レイザー&タイレーベルからの最後の作品。さっきの『Don't Tell Columbus』もそうだけど、こういうちょっとシリアス系のジャケで来たときの彼の作品にあまり外れはない。きっと5年間じっくり曲を書き貯めていたんだろうなと思える好盤。このアルバムからも、本当は名曲「Blue Horizon」も入れたかったんだけど、それを含んだ最初の選曲だと20曲で80分10秒というCD-Rに入りきらない微妙な感じになってしまったので断念。時間合わせに代わりに入れた16が決して駄曲というわけではないのがこのアルバムの奥の深さを物語っていると思う。


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『Acid Bubblegum』

17. Get Over It And Move On
18. They Got It Wrong (As Usual)

ではこのパーカー史上最もやる気のなさそうなジャケの96年盤はどうかというと、これがそんなに悪いわけではない。ここに入れた2曲をはじめとして、結構初期の名曲を髣髴とさせる激しい曲がいくつもあるし。ベースはルーモアのアンドリュー・ボードナー、ドラムスのゲイリー・バークって誰だっけと思ったら、ジョー・ジャクソンとかと一緒に演ってた人だ。


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『12 Haunted Episodes』

19. Force Of Nature
20. Disney's America

そしてこれが、前回の来日以降最初に発売されたフルアルバム。それまでのデーモンレーベルを離れ、ここからインディーレーベルを転々とすることになる(デーモンをインディーと呼ばなければの話)。スタジオアルバムとしてはこの前作となる92年の『Burning Questions』以来3年ぶり。

『Live Alone In America』以降の名作2枚や、ボートラ(「Substitute」のカバー)入りの日本盤も出た『Burning Questions』とその次の『Live Alone! Discovering Japan』までの快進撃(?)を見ていた身としては、こんなに枯れてどうしちゃったの?というのが当時の正直な感想。でも、今こうして聴き返してみると、しみじみとしたメロディーを持った佳曲が結構揃っている。リンクしたアマゾンでもほぼ捨て値だし、もし買い逃している人がいたら是非にとおすすめしたい。12曲それぞれをイメージしたレトロな写真で構成されたジャケも僕は大好き。


「Don't Ask Me Questions」や「Discovering Japan」が入った初期〜中期のベストアルバムはそれこそ星の数ほどもある人だけど、ちょうどデーモンを離れた時期であるここからの曲はたぶん今までどんな編集盤にも含まれていないはず。それだけに、最近のグレアム・パーカーを俯瞰してみることのできる適当なベスト盤ができたなと自負しているところ。さて、もう2週間後に迫った来日公演では、この時期からの曲もちゃんと演ってくれるかな。
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2012年06月17日

フジロック勉強会と称して

違法ダウンロード法が成立するとかで、僕がよく行くネット界隈やツィッターではえらく騒がしい。僕は合法だろうが不法だろうがダウンロードして音楽を聴くことにはあんまり積極的でないし、コピーガードのかかっていない普通のCDを普通にリッピングするのはどうやら今のところ違法にはならないようだし、DVDのコピーなんて面倒なこともしていないし(買ったDVDを観る時間すらないというのに)、まあどちらかというとどうでもいいやと醒めた目で見ているところ。でもこれで音楽業界の思惑通りに違法ダウンロードが駆逐され、CDがどんどん売れだして、渋谷や新宿に昔みたいに沢山のCD屋さんが林立するようになれば嬉しいな(棒読み)。

冬至と夏至が近づくといつも某県某市のHさん宅に集まってその年のベストアルバムとか夏のCDとか色々お題を設けては各々の好きな音楽を聴かせあういつもの仲間たち。今回はフジロックに出演するアーティストのCDを予習するために集まり、夜通し聴かせあうことになった。僕のカレンダーでいうと、先々週デリーから戻ってきて先週オークランドに出発するまでの72時間内の話。僕は今のところフジに行く予定はないんだけど、そういう面白そうな企画に乗らないわけにはいかない。他のメンバーが持っていないCDを持って行って貢献できるしね。

「余興として“私のコステロ5曲”やりましょう」。メールで予定のやりとりをしているうちに、N君がこんなことを言い出した。「縛りは一切ありません」とは言われたけど、縛りなしで好きな5曲なんて到底選べないから、またいつも通り自分で勝手にルールを作って、私的利用のためにCDをリッピングしてCD-Rに焼いて持って行くことにした(違法ダウンロード法成立前の話ですからお構いなく)。

もうこうなったら自分が行くか行かないかわからないフジの勉強会よりも、そっちの方が楽しくなってくる。なんとか5曲に絞り込んで、順番もちょこちょこと入れ替えたり。たった5曲だけど、せっかく頭をひねった選曲なので、ここに載せておくことにした。yascdなんて名前を付けるほどのものでもないけれど、去年のクリスマスも5曲でこのカテゴリーに入れたので、これも久々のyascdカテゴリー記事にしておこうかな。でも、いつもみたいに延々と解説するのはやめて、さらっとね。

今回自分で勝手に作った縛りは、ライヴ録音。しかも、5曲とも違った録音を別々のアルバムから、できれば違うスタイルで選んでみようと。違うスタイルというのは、アトラクションズと一緒とかソロでとかそういうこと。そういう“別スタイル”で演ったライヴ盤では、ビル・フリゼールとの『Deep Dead Blue』とか、メトロポール・オルケストと一緒の『My Flame Burns Blue』とかがあるけど、のそれらのアルバムからはどうしても選べなかった。やっぱり僕にとってのコステロは「あの頃の」コステロだから。


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1. Everyday I Write The Book
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ
『Punch The Clock (1995 Edition)』

まずは、これだけは誰かとかぶるのを覚悟で、83年の『Punch The Clock』の95年にボートラ満載で再発された盤から、当時のシングルカット曲の82年のライヴ録音を(ややこしい書き方で恐縮)。僕にとっての「あの頃の」コステロ。彼自身が何度も嫌いなアルバムとして挙げているこのアルバムを代表する派手なシングル曲が、ランガー&ウィンスタンリーがプロデュースする前はこんなごく普通の初期のコステロ節だったということにちょっとした目からウロコ状態。ちなみにこのアルバムは僕が最初に入手したコステロのアルバムで、コステロ自身が嫌いであろうとなんだろうと、僕にとっては一番思い入れが強い(一番好きというわけではないけれど)アルバム。

後述する03年の2枚組再発版からは、このトラックはあまりにもローファイな録音のため、カットされてしまっている(かわりに同じスタイルで録音したデモ録音を収録)。まあ確かにきちんとした録音じゃないけど、82年のコステロのライヴなんてこの1曲だけじゃなく全部通して聴いてみたくなる勢いのあるいい演奏。中途半端にボートラの収録されたこの95年版は、今となっては上にリンクしたアマゾンのマーケットプレイスでは200円ほどで入手可能みたいだね。


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2. Worthless Thing
エルヴィス・コステロ
『Goodbye Cruel World (1995 Edition)』

続いて、こちらもコステロ曰く「最悪のアルバム」から、そのアルバム収録曲のアコギ弾き語りバージョンを同じく95年版に収録されたものを。今となってはソロでのツアーは特に珍しくもなくなったけれど、どうやらこの84年のアメリカでのツアーがコステロにとっては最初のソロツアーだったようだね。

コステロがこの83〜84年のアルバムを毛嫌いしているのは、80年代を色濃く反映しているクライヴ・ランガー&アラン・ウィンスタンリーのプロデュースした音のせいなんだろうけど、こうしてバックの音を全部取っ払って素のメロディーだけを聴いてみたら、この当時のコステロが作っていた曲がどんなに素晴らしいものかがよくわかるといういい見本。


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3. The Angels Want To Wear My Red Shoes
エルヴィス・コステロ&スティーヴ・ナイーヴ
『For The First Time In America』

96年にコステロがキーボーディストのスティーヴ・ナイーヴと二人でアメリカツアーをした時の記録がこの5枚組ボックス。極初期のアトラクションズとのニューウェーヴ色満載な曲からこの当時(アルバムでいうとブロドスキー・カルテットと共演するぐらいにまで振幅が広がっていた頃)のしっとりとした曲まで、二人のギターとピアノだけで聴かせるという名盤。5枚組といってもそれぞれがミニアルバム程度の短さだし、中古でも結構手頃な価格で入手可能なようなので、興味のある人は是非どうぞ。

僕が初めてコステロのライヴを観たのは87年暮れのコンフェデレイツとの日本ツアー(前座はニック・ロウ!)。まずステージに一人で現れたコステロがアクースティック・ギターで奏で始めたこの曲のメロディの鮮烈さにどれだけ心を奪われたことか。思えば、当時から今に至るまでグレン・ティルブルックやジム・ボジアがバンドで録音した曲の骨格を自らアコギ一本でステージで披露するというマジックに僕がこれほどまでに惹かれるのは、あのときに聴いたコステロのこの曲がきっかけだったように思う。この録音はそれをさかのぼること約1年半前、86年5月20日のボストンはパラダイスという場所でのライヴ。


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4. I Hope You're Happy Now
エルヴィス・コステロ&インポスターズ
『The Return Of The Spectacular Spinning Songbook』

僕にとっての「あの頃の」コステロの終盤に差し掛かる『Blood & Chocolate』。当時、久々にアトラクションズと作ったアルバムのこの曲を、昨年インポスターズと行ったツアーで再演。まあ、基本的にはベーシストが変わっただけだからほぼ同じバンドの演奏と言っても差し支えないんだけどね。再現といえば、このツアーで採用している、ステージ上の大きなルーレットみたいなのを回して次に演奏する曲を決めるというスタイルも、かつてアトラクションズと一緒にやっていた催し。せっかくDVD付きのCDを買ったのにまだ観れていないのが残念だけど、こういうライヴを一度でいいから観てみたいな。


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5. Back Stabbers / King Horse
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ&TKOホーンズ
『Punch The Clock (2003 Edition)』

最初の写真と微妙に違うのは、こちらは03年版からだというちょっとしたこだわりから。曲としては80年の『Get Happy!!』からだけど、83年のパンチ・ザ・クロック・ツアーでTKOホーンズと一緒に回ったときの録音。前半はオージェイズのカバーで、途中で「King Horse」に代わり、最後一瞬TKOホーンズが「Back Stabbers」のフレーズを吹いて、また「King Horse」に戻るところが鳥肌もの。名演というのはこういうのをいうんだ。

83年9月7日、テキサス大学での録音と書いてあるから、学園祭か何かだったのかな。この頃確か日本のどこかの大学の学祭にもREMが来たりしていたけど(僕は観られなかったけど)、こんな演奏を大学で観られるとは、なんて羨ましい。


体調を崩して曲目&解説のみ参加のTomを含めて6名x5曲、計30曲のうち、だぶったのは僕とNさんの「Everyday I Write The Book」(Nさんのはスタジオ録音)だけという、さすがうちの仲間らしい微妙にひねくれた選曲具合が最高に楽しかった。そして、30曲のうちほとんどが初期〜『King Of America』まで、あとせいぜい『Brutal Youth』という片寄り具合。『Imperial Bedroom』はほとんどいないだろうというTomのコメントを裏切るかの如く、かなりのメンバーがそのアルバムから選んでいたというのがうちの仲間の趣味嗜好を如実に表していた。というか、殆どみんな同じアルバムからばかり選んできて、これじゃちっとも予習にならないね(笑)
posted by . at 00:14| Comment(2) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月24日

その後のメリー・クリスやすcd

年末恒例となりつつある(といってもまだ2回目だけど)、いつものグレン仲間による年間ベストアルバム発表会が今年も某県Hさん宅で開催されることになった。メールでやりとりをしていた際にでてきたTomからのこんなリクエスト(縛りともいう)が。「せっかくだからプラス1として一人一曲クリスマスソング、あるいはそれっぽいのを入れて欲しいな」。

クリスマスソングかぁ、そういえばもう長いこと意識してクリスマスソングって集めてなかったな。この発表会のベストアルバムの定義は、「今年発表されたCD」から「今年買ったCD」まで参加者のCD購買数によって縛りのきつさがまちまちで(僕は当然前者)、このクリスマスソングも同様。というか、ただでさえ音楽の嗜好が似ているこの仲間内で「今年発表」なんて縛りを入れてしまったらもうその時点で選曲がかぶりまくるのが見えているから、本編のベストアルバムよりもゆるい縛りにならざるを得ない。

そんなゆるい縛りは僕としてはなんだか選んでいてつまらないので、あることを思いついた。2006年の12月にこういう企画のyascd記事を書いたのを、昔からこのブログを読んでくださっている人なら覚えてくれているだろう。あれからもう5年。意識してクリスマスソングを集めていなかったとはいえ、探してみたらやっぱり何曲かめぼしいのが見つかった。

そうだ、あの「メリー・クリスやすcd」の続編、というか後日談みたいな選曲にしてみようか。2006年時点で止まってしまっているこのブログのクリスマスをそれから早送りして、2007年から今年まで年一曲ずつ、僕にとってのそれぞれの年のクリスマスを代表する曲を選んでみよう(といっても、うまく埋まらなかった年もあるので、今回の企画が決まってから後追いで買ったCDもあるんだけど)。

というわけで、「一人一曲」というルールを無視して(発表会でまたみんなに顰蹙を買うのが目に見えるようだ)、『その後のメリー・クリスやすcd 2007-2011』全5曲はこんな感じになった。


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2007年
アソビ・セクス (Asobi Seksu)
Merry Christmas (I Don't Want To Fight Tonight)

最初に僕がこの人たちのアルバムをオークランドのリアル・グル―ヴィーで見かけたときは、このなんだかふざけたバンド名が理由で聴く気がしなかったんだけど、気付いてみたら僕の手元には彼らのCDがほとんど揃ってしまっている。そんなに熱心に聴いているつもりはなかったんだけど、いつの間にか自分にとってはちょっと気になるバンドになってしまっていた。けっこう病みつきになる音。

これは、07年に出たシングル。今アマゾンにアフィリエイトを貼って知ったんだけど、500枚限定だったんだね。ラモーンズのカバーだというのは言われるまでわからなかった。シューゲイザー系のバンドって中途半端に凝りだすとどれ聴いても同じように聞こえてくるんだけど、こういうのは純粋に気持ちいいね。


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2008年
スクール (The School)
Kiss You In The Snow 『Happy New Year 2008』

1年半ほど前に記事にした彼女らが、それよりはるか前、08年に所属レーベルであるスペインのエレファントのクリスマスEPのために作った曲。僕が持っているのはクリスマスっぽい白い7インチ。当時CDシングルとどっちを買おうか迷ったんだけど、やっぱりカラー・ヴァイナルの魅力には負ける。なので、このミックスCDに音源を入れるために、同じくエレファント・レコーズから出ている『Yo, Tambien (Me Too)』というサントラのCDを最近買った。前の記事にも同じようなことを書いたけど、これも60年代テイスト満載のいい曲。この人たち最近話聞かないけど、どうしてるのかな。


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2009年
ペット・ショップ・ボーイズ (Pet Shop Boys)
It Doesn't Often Snow At Christmas 『Christmas』

今回のセレクションで唯一過去に記事にしたことのある曲。てっきりこのEPが発売された09年のクリスマス時期に書いたと思い込んでいたけど、実際にブログに載せたのはそれから半年近く経ってから(しかも記事の内容はほとんどスザンナ・ホフスについて・笑)だった。人の記憶って曖昧。

季節ものシングル曲ということでどのアルバムにもベスト盤にも収録されていないけど、これ彼らの他のヒット曲と比較しても決して引けを取らない名曲だと思うんだけどな。これをライヴで聴こうと思ったら、偶然クリスマスの時期に来日してくれるのを待つか(まあありえないけど)、あるいはどこかの国で彼らが12月頃にライヴを演るのを見計らって観に行くしかないのか。相当ハードル高いなそれは。ライヴで観られなさ度という意味では、グレンの「Cool For Cats」よりもレア(笑)


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2010年
ボーイ・リースト・ライクリー・トゥー (The Boy Least Likely To)
A Happy Christmas Baby 『Christmas Special』

10年のはなかなかいいのが思いつかず、どうしようかなと思っていたところ、先月出張で訪れたロンドンのレコ屋にこれの在庫が残っているのを発見。一年前は買おうかどうしようか迷いながら結局見逃してしまって(結果、廃盤になってしまって)いたのを、運よくゲット。とはいえ、僕はこの人たちについてはそれほど詳しいわけじゃない。よく訪れる友だちのブログで何度か名前を見かけ、試聴して気になっていた程度。聴いてみたら、予想通りの宅録ポップという感じでなかなかよかったよ。よく似たジャケのオリジナル・アルバムも買ってみようかな。


For Folk's Sake It's Christmas 2011.jpg
2011年
レジャー・ソサエティ (The Leisure Society)
Christmas Mistakes 『For Folk's Sake It's Christmas 2011』

一方、11年は僕がすでにクリスマスソング探そうモードに入っていたせいか、結構たくさんの候補の中から絞り込むことになった。その中から、僕の今年のクリスマスソングとして選んだのが、先月ロンドンでフリーライヴを観たばかりの彼らのこれ。上にリンクしたチャリティーアルバムに収録されている。このアルバム、数量限定だというから、sinさんのツイートで知ったときに即座にオーダーしたのに、クリスマスの今になってもまだ送られてこない。まあ、その場でダウンロードした音は手元にあるから別にいいんだけどね。

で、これがまたレジャー・ソサエティ節炸裂のすぐれものクリスマスソング。思い返してみれば、今年は超優良セカンドアルバム『Into The Murky Water』のリリース、さらにそのアルバムにデモディスクをつけたバージョンの発売(そういうやり方は気に入らないものの)、ロンドンでのライヴ、そしてこのクリスマスソングと、レジャー・ソサエティは僕にとってはなにかと縁のあったバンドだったなあ。


という全5曲。yascdカテゴリーに入れるにはちょっと寸足らずだけど、もともとが2011年のベストアルバム全10曲のボートラ扱いだから、変則的だけどまあよしとしよう。なんなら2016年ごろにあと5曲追加して独立yascd mini登録してもいいし、もしくは2026年に全20曲のフルバージョンyascdにすることも検討してみよう。

それでは、みなさんよいクリスマスを。
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2011年09月25日

yascd mini for PPA2

前回の記事と続いてしまうけど、せっかく作ったので忘れないうちにアップしてしまおう。9月8日のイベント、パワーポップ・アカデミー2に持って行った、数珠つなぎDJタイム用に編集したミックス。実際には自分のミックスが10曲連続でかかるわけじゃないんだけど、選んだ10曲を続けてかけるとしたらどういう順番がいいかなと考えながら並べたのがこれ。

奇しくも、5年前の9月〜10月に作ったyascdの002003が(今回とは順番が逆だけれど)パワーポップと秋の夜長特集だった。その002やこれまで別のyascdで取り上げてきたのとはできたら曲がかぶらないように、といってもどうしても外せないのはある。それに、以前の自分のセレクションとかぶるよりも、当日のイベントで他の人が持ってきた曲とかぶってしまう方が困るし。

そもそも、どういう客層がどんな曲を選んで持ってくるのか、今回が初めての僕にはさっぱり見当つかなかったから、選曲には結構気を使った。あんまりベタなのもつまらないし、かといってとんでもなくマイナーなのを持って行っても誰も反応しないかもしれないし。まあおそらく観客の中では最年長グループに入るだろうから、年の功を活かして70年代もの中心にしてみようかなという感じで。

結果的に出来上がったのは、70〜80年代と2000年代が半分ずつぐらい、それに90年代を少々(えーと、つまり70年代以降ずっと)という、気を使ったという割には年代的には脈絡のないセレクションになってしまった。上にリンクを張った当日のイベントではこの中から2曲だけかけてもらったんだけど、全部通して聴くとこんな感じになる。それでは、パワーポップ・アカデミー2用 yascd mini (019)、どうぞ。


Best Of The Jags.jpg
A1. ジャグズ (The Jags)
Back Of My Hand
『The Best Of The Jags』

まずは、80年にファーストアルバム『Evening Standards』でデビューしたこのバンドの、唯一のヒット曲から。このファースト、曲のクオリティからボーカルの声質に至るまで、まるでデビュー当時のエルヴィス・コステロを思わせる好盤。セカンドで一気に作曲レベルが落ちてしまってそのまま消えてしまうんだけど。今ではその2枚を一緒にしたCDが格安で手に入るので、気になる人は上のリンクからどうぞ。2枚がオリジナルの曲順で収められているはずのこのCD、何故かファースト部分だけは僕の持っているUS盤のLPとは曲順が違う。


Pure Juice.gif
A2. サマーキャンプ (Summercamp)
Nowhere Near
『Pure Juice』

パワーポップ・アカデミー2当日にかけてもらったうちの1曲。いいバンドだったけど、残念ながらこのアルバム1枚で消えてしまったね(日本編集のミニアルバムが出るほどプッシュされてはいたのに)。このバンドで来日もしたし、ボーカルのティム・カレンはソロになった後も来日したようだけど、その頃僕は日本にいなかったので残念ながら一度も観たことがない。最近、同じ名前(2単語だけど)の別バンドが出てきて、とてもややこしい思いをしている。バンド名つけるとき誰も指摘してやらないのか?


Life In Reverse.jpg
A3. エニィ・トラブル (Any Trouble)
The Man I Used To Be
『Life In Reverse』

エニィ・トラブルが07年に再結成してアルバムを出していたことを知っている人は何人いるんだろう。初期のパワーポップ炸裂アルバムよりぐっと落ち着いた、でもクライヴ・グレグソンのソロよりはずっとポップなそのアルバムは、このブログに取り上げようと思いつつも流れてしまったネタの1枚だった。そうか、もうあれは4年も前になるのか。誰も騒いでくれないから気分を害したのか、これ以来エニィ・トラブルでの活動の話題も聞かないと思っていたら、クライヴは今年になってまたソロアルバムを出したようだね。


AB.jpg
A4. スクイーズ (Squeeze)
Misadventure
『Argybargy』

アカデミーに来ていた若い衆に興味を持ってもらおう、名前だけでも憶えていってもらおうと、最後にかけてもらったこれ。本当は002に入れた「Vicky Verky」にしようかとも思ったんだけど、そうするとyascdにその曲を取り上げるのが今回で3回目になってしまうから、同じアルバムからそれよりはちょっとだけ地味で、(少なくとも僕の知っている限りでは)グレンもライヴで演奏したことのないこちらを選んだ。次回来日したらこれリクエストしてみようかな。


Take This To Your Grave.jpg
A5. フォール・アウト・ボーイ (Fall Out Boy)
Dead On Arrival
『Take This To Your Grave』

フォール・アウト・ボーイはやっぱりこの頃がいいね。これをパワーポップで括ることに抵抗のある人は多いと思うけど、僕にとってはこれをパンクと言われるよりはずっと自然。まだボーカルのパトリックがうんと痩せていた頃のセカンドアルバムから(メンバーはこれをファーストと見なしたいようだけど)。そういえばこないだフジに来て今度ソロアルバムを出すパトリック、写真を見る限りではこの当時に戻ったみたいに痩せてたね。なんか髪の毛もふさふさしてるし(笑)。早く聴いてみたいな。


Meaningless.jpg
B1. ジョン・ブライオン (Jon Brion)
Meaningless
『Meaningless』

さっきの曲からのつなぎが気に入ってるんだけど、気分的にはここからB面。この曲だけは002とかぶってしまった。これだけはどうしても落としたくなかったんで。おまけに前回の「21世紀の秋の夜長に」ともかぶったね。というわけで、このブログではやたらと目につくこの地味な水色のジャケ、僕はこれまで全国各地のブックオフで二度500円コーナーで見かけたことがあるので、アマゾンマーケットプレイスの法外な値段に手が出せずにいる人は地道に探すように。

Zoom.jpg
B2. ナック (The Knack)
Smilin'
『Zoom』

かぶってしまったといえば、yascd015で取り上げたことのあるこの曲もそう。きっと、今回のようなイベントなら「My Sharona」をかけた方がもっと盛り上がるんだろうけど、その015の記事を読んでくださった方にならわかってもらえると思うけど僕はどちらかというとアンチ・マイ・シャローナ派なので、個人的にはファーストと並ぶ名盤だと思っているこのアルバムからこれを(002の選曲とはかぶらないように)。メロディ、リフ、コーラス、ギターソロ、どれをとっても最高の一曲。

Jesus Of Cool.jpg
B3. ニック・ロウ (Nick Lowe)
Cruel To Be Kind
『Jesus Of Cool』

この曲とこのジャケの組み合わせに違和感を覚える人は多いだろう。僕が選んだのは、ブリンズリー・シュウォーツ時代から演奏していたアレンジで、ニックがソロになってからシングル「Little Hitler」のB面に収録されたよりソリッドなバージョンの方。今では数種のCDで聴くことができるが、たぶん今一番入手しやすいのはこのファーストの再発盤のボーナストラックとしてだろう。先日の来日公演でも演奏したけど、当然のことながらそれはシングルでヒットした方のより有名なバージョンだった。


Made Easy For Everyone.jpg
B4. アインシュタインズ・シスター (Einstein's Sister)
This Is The Day
『Made Easy For Everyone』

たぶん今回のセレクション中では一番マイナーなバンドかな。個人的には、今回のパワーポップ・アカデミーの主役ウェリントンズのセカンド(僕が最初に買った彼らのアルバム)と一緒に買ったという縁のあるアルバム。それまでに何枚か出ていたアルバムからのセレクションとなっているけど、これ以降音沙汰がないところをみると、きっともう解散してしまったのかな。地味ながら結構いい曲多いのに残念。この曲は出だしのコーラスとツイン・ギターのソロが気持ちいいね。


I'm The Man.jpg
B5. ジョー・ジャクソン (Joe Jackson)
I'm The Man
『I'm The Man』

ラストを飾るのは、パワーポップ期ジョー・ジャクソンの代表曲。この後、ジャズやクラシックも含めてありとあらゆる種類の音楽を極めることになる彼が、近年はオリジナル・ジョー・ジャクソン・バンド(グレアム・メイビーとデイヴ・ホートンのリズム隊)で再活動していることがちょっと感動的。これまで吸収してきたありとあらゆる種類の音楽を包含した今の彼らの音楽は単なる再結成とは意味が違うからね。またその編成でのライヴ盤が出たみたいだから(この曲は演ってないけど)、それも早く買わなくちゃ。


実際の数珠つなぎDJタイムは、ある程度予想していたとおりウィーザーやファウンテンズ・オヴ・ウェインなど王道パワーポップと、僕も名前ぐらいしか聞いたことのないバンドが多かった。けど、後半に行くにしたがって皆で盛り上がるのは、ビートルズとかチープ・トリックとか、どの世代でも知ってるような超ベタな選曲だった。ちなみに、yascd002に入れた曲もいくつかかかったよ。そうか、アカデミーとかいっても、皆べつに勉強しにきているというよりも踊りに来てるんだから、ある程度知ってる曲の方が盛り上がれるんだよね。次回の参考にしよう。
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2011年09月18日

yascd mini 21世紀の秋の夜長に

まだ季節はちっとも秋らしくならないけれど、集まれるときに集まっておかないとなかなか全員のスケジュールが合わないので、スパンピナート・ブラザーズ来日公演でいつものメンバーが渋谷に集結するのに合わせて、前回の納涼特集に続く自作ミックスCD披露会が昨日渋谷のカラオケボックスで開催された。今回のお題は「秋の夜長に」。

このブログを昔から読んでくださっている方は記憶しておられると思うけど、yascdの3枚目がそのタイトルだった。あれとはかぶらない内容にしよう、どうせなら何か縛りを設けてみようとして、ふと思い立った。実は、同じメンバーで生涯の20曲を披露し合った際の記事に僕が書いたコメント「続くはMさん1号。見事なまでの70年代縛り(笑・失礼)」に対して物言いがついていた。「あんなこと書かれたから数えてみたけど、yasさんのが一番70年代ものが多かったじゃない。失礼な」と。いや、僕の中では1979年は80年代だから、とか言い訳はしてみたものの、じゃあそういうことなら今回は思いっきり新しいマテリアルだけで選曲してみようということにした。

最初は2000年代に発表されたCDだけから選んでいたんだけど、せっかく10曲なんだから、2001年から去年まで、各年1曲ずつという縛りにしてはどうか、それにどうせならA面の5曲は2001年〜2005年、B面の5曲は2006年〜2010年になるように並べてみようと、選んでいくうちにどんどんと自分内ルールを増やしていくことになった。さすがに各面を発表年どおりに並べてしまうと曲の流れに無理が出るから、そこだけは自由にして。

そういう経緯で作ってみたyascd mini秋の新作コレクション。題して「21世紀の秋の夜長に」。番号は振ってないけど、あえてつけるなら018。中身はこんな感じ。


Side A (2001−2005)

Tiny Cities.jpg
A1. サン・キル・ムーン (Sun Kil Moon)
Four Fingered Fisherman
『Tiny Cities』 2005年

まずは、このブログには何度も登場しているマーク・コズレック率いるサン・キル・ムーンがモデスト・マウスの曲だけで構成したセカンド・アルバムから。僕はモデスト・マウスはどうもイマイチなんだけど、このアルバムは大好き。この曲はサン・キル・ムーンやマークのソロのライヴでの定番。僕がかつて見た渋谷でのインストア・ライヴでも演奏していたね。


Scar.jpg
A2. ジョー・ヘンリー (Joe Henry)
Mean Flower
『Scar』 2001年

ジョー・ヘンリーがブレイクするきっかけになったこの名作から。オーネット・コールマンがゲスト参加してるんだよね(この曲には不参加)。アフィリエイトするときにアマゾン見てみたら、もうすぐ新作が出るのに気づいた。ブルーズ・アルバムだという09年の前作はちょっと敬遠してまだ買ってないけど、新しいのが出たら聴いてみようかな。


Awcmon.jpg
A3. ラムチョップ (Lambchop)
Steve McQueen
『Awcmon』 2004年

このバンドのことはブログに書いたことあったっけ、と思って検索してみたら、アイアン&ワインのコワい犬のアルバムとかジェブ・ロイの05年盤にメンバーが参加していることを書いただけだね。流麗なストリングスと重厚感のあるヴォーカルのコントラストがいいこの曲は04年の2枚組アルバムから。


The Creek Drank The Cradle.jpg
A4. アイアン&ワイン (Iron & Wine)
Bird Stealing Bread
『The Creek Drank The Cradle』 2002年

今名前が出たばかりのアイアン&ワインのファーストから。コワい犬のアルバムあたりの複雑なサウンドと比較するとずいぶんあっさりした仕上がりだけど、サム・ビームの書く独特のメロディラインがこういうシンプルなアレンジだと一層際立つね。スティールギターの音がいい感じ。


Not Exotic.jpg
A5. ドロリーン (Dolorean)
Spoil Your Dawn
『Not Exotic』 2003年

08年3月の記事で取り上げたこのバンド、最近になってデロリアン(Delorean)という紛らわしい名前のバンドがヒットしたもんだから、余計に影が薄くなってしまったよ。名前で検索するたびに「もしかしてデロリアンではありませんか?」とか訊かれる。余計なお世話だよ。今年出た新作もサイト限定のアル・ジェイムズのソロもよかったのにな。なぜ売れない。


Side B (2006−2010)

Die Stadt Muzikanten.jpg
B1. ウッドピジョン (Woodpigeon)
Redbeard
『Die Stadt Muzikanten』 2010年

昨年末のこの記事に書いた、このアルバムのこの曲。最初に聴いた時期もあって、僕にとってはどちらかというと冬のイメージがあるんだけど、冬まで温存しても次のお題が冬だとは限らないので、ここで使ってしまおう。アルバムでは11曲目なんて目立たない場所に置かれたこの名曲を、B面トップに使わせてもらおう。


Oh! Mighty Engine.jpg
B2. ニール・ハルステッド (Neil Halstead)
Witless Or Wise
『Oh! Mighty Engine』 2008年

この人のことはこのブログに書いたことはないけど、はるか昔に書いた記事にジャケだけ載せたモハーヴィ3の中心人物だといえば、そのアルバムをジャケ買いしてくれるほど気に入ってくれた青グリンさんあたりは興味を持っていただけるだろうか。このよくわからないイラストのジャケで損してると思う、いい内容のアルバム。


Home.jpg
B3. ピーター・ブロドリック (Peter Broderick)
Not At Home
『Home』 2009年

さっきのウッドピジョンの次、去年のクリスマスの日に書いた記事がこの人の新作だった。この『Home』はその前のアルバムになるのかな。僕が持っているのはボーナスCD付きの2枚組バージョンで、ここに取り上げたのはボーナスCDの方から、本編にも入っている曲のよりシンプルなバージョン。穏やかな曲の途中、ちょっと向こう側の世界が垣間見えるような弦楽器の音が怖い。


Days Are Mighty.jpg
B4. ジェブ・ロイ・ニコルズ (Jeb Loy Nichols)
After November
『Days Are Mighty』 2007年

これは僕にとってはちょっと思い出深い曲。僕がニュージーランドから日本に帰国することを告白した記事のことを覚えてくれている人がいるかもしれない。その記事のタイトルに使わせてもらい、印象的な歌詞を載せたこの曲をここで。ほんとは“11月を過ぎたら”なので真冬の12月のことなんだけどね。でも僕にはあの年の10月を象徴する曲。


till the sun turns black.jpg
B5. レイ・ラモンターニュ (Ray LaMontagne)
Can I Stay
『Till The Sun Turns Black』 2006年

B面ラストを飾るのは、オリジナル版「秋の夜長に」にも別の曲を収録したこの人。かつて記事にしたこの名作セカンドアルバム、どういうわけかあちこちのCD屋で叩き売られてるんだよね。アフィリエイトしたアマゾンでも新品なのに900円を割る価格。そんな値段なら一家に一枚確定だよ。この曲の綺麗なストリングスのエンディング、最後の一音が奏でられずに置いてきぼりにされたような気持ちになってしまう。


Meaningless.jpg
Bonus Track. ジョン・ブライオン (Jon Brion)
Voices
『Meaningless』 2000年

さっきの曲の不安定なエンディングを埋めるためというわけではないが、21世紀前夜にひっそりと発表され、誰にも評価されていないこの名盤から1曲入れよう。最初、2000年以降の曲を選んでいたときに真っ先に思いついたんだけど、縛りを21世紀にしてしまったがためにやむなくボツにしていた曲。このアルバムからは、かつてyascd002にも1曲採用したね。そのときに書いたコメントが「ちなみにこのアルバムの最終曲は、チープ・トリックの「Voices」の、胸が切なくなるような7分半にも亘るバージョン」。それがこれだ。秋の夜長の7分半をこの曲とともにどうぞ。


冒頭に、スパンピナート・ブラザーズ来日公演で渋谷に集結と書いたけれど、実は昨日は僕はライヴには不参加。数名のメンバーと一緒に、ライヴが終わるのを先に飲みながら待っていた。渋谷で行きつけのアジア料理店。お気に入りのベトナムウオッカ、ネプモイのボトルがとんでもないペースで空いていく。

ライヴ終了後に全メンバーが合流し、確かネプモイのボトルをもう一本空けた後、11時に披露会会場のカラオケボックスに移動。くじ引きで僕が一番に披露することになったんだけど、自分の番が終わってしばらくしたら、不覚にも僕は寝てしまったようだ。だいたい、これから徹夜しようというときに飲むペースじゃなかったよな。気づいたら、というか、起こされたのがもう朝の5時過ぎ。「全員分終わったよ」と。なんてこった。あれだけ楽しみにしていた会だったのに。がっかり。

帰り際、同じ方面の電車に乗ったMさん1号が「やっぱりこういうテーマで選曲させるとyasさん強いね」と言ってくれたのがせめてもの救い。Mさん、ありがとね。次回は僕も誰のがどうだったか終わってから感想言えるようにするよ。
posted by . at 20:58| Comment(3) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月31日

yascd mini 納涼編

きっかけは2か月前、グレン関連で仲良くさせてもらっている友達と新宿のカラオケボックスで生涯ベスト20曲CD-Rの披露会をしていたときのことだった。10時間半ソファに座り通しで体力的にも精神的にもグダグダになりながらも、「次はどういうテーマでやろうか」という話になり、僕が提案させてもらったのが、「次にこれやるときはもう暑くなってるから、“納涼”とかどう?」。

「“納涼”って暑さを忘れさせてくれる曲ってこと?」
「“夏に合う曲”とか“夏に聴きたい曲”ならわかるけど」
「難しすぎ。意味わかんね」

いつもの僕の提案らしく、みなさんから一通りの文句を頂いた後、とにかく夏らしい曲であればなんでもOKということに落ち着いた。その発表会が先週末、去年の暮に年間ベスト10の披露会のホストをしてくれたHさん宅で開催された。東京からだとちょっとした遠征気分。特急電車に乗り込む前に500ml缶(中身は秘密)を買い込んで、久々の楽しい週末だ。

10時間半コースで疲弊しきった僕たちが決めた新ルールは、CD-Rいっぱいに曲を詰め込むのはやめようということ。半分の10曲で、昔ながらのLP程度の長さなら、6〜7人分一気に聴いてもそんなに疲れることはないだろう、と。

よし、そういうことならいっそ、LP(またはカセット)を意識した選曲にしよう。A面5曲・B面5曲を通しでCD-Rに録音するつもりで選曲してみた。偶然ながら、いつもの20曲を半分にしてみたら、80分CD-Rの容量のぴったり半分、39分59秒に仕上がったのがちょっと嬉しい。

もともとyascdシリーズとは一線を引いて、その仲間たち向けに作ったつもりだったんだけど、最近あのシリーズも全然やってないから、新規格yascd miniということでここに載せてしまおう。あえて番号をつけるなら017。では、短い選曲に合わせて、さらっと曲紹介を。


Hawaiian Steel Guitar.gif
A1.山内雄喜
Meleana Old
『Hawaiian Steel Guitar』

あれはもう10年以上も前になるのか。98年の夏、当時僕が住んでいたサウジアラビアからの一時帰国休暇で東京に来て、今は亡きHMV新宿SOUTHでこの人のインストアライヴ&サイン会を観た。普段僕が聴く類の音楽ではなかったけれど、生で聴くそのスティールギターのあまりにも心地よい音に惹かれて、その場でCDを買ってサインしてもらった。これはそのCDのオープニング曲。


The Meeting Pool.jpg
A2.バカ・ビヨンド(Baka Beyond)
Lupe
『The Meeting Pool』

それをさらに遡った95年、今は亡きシンガポールはスコッツのタワーで試聴して買ったこれ。カメルーンのバカ族の音楽をベースに、オーストラリア人(英国人だと思ってた)マーティン・クラディックがケルト風やフォーク風の音を重ねて作った音楽。いわゆるワールド・ミュージックとしてこういうのを聴くのは反則なのかもしれないけど、アルバムタイトル通り水辺でちゃぷちゃぷやってるようなこの音はとても涼しげ。


Movies.jpg
A3.ホルガー・シューカイ(Holger Czukay)
Persian Love
『Movies』

yascd010をはじめ、僕のブログにはもう何度も登場しているこの人、というかこの曲。このアラビックな響きのヴォイス・コラージュにかぶさる、あまりにも気持ちいい弦楽器の音。もう30年も前に初めてこの曲を聴いて以来、僕にとっては最上のヒーリング・ミュージックだ。ところでこのCD、今アフィリエイトして気付いたんだけど、また廃盤なんだね。あっという間にとんでもない値がついてるよ。こういう人類の宝みたいなアルバムは常に流通させとかないと。


The Best of Jeffrey Foskett.jpg
A4.ジェフリー・フォスケット(Jeffrey Foskett)
New York's A Lonely Town
『The Best Of Jeffrey Foskett』

ハワイ〜アフリカ〜中近東を巡って、アメリカ西海岸に辿り着いたという感じ。これは、先日の披露会でも曲だけは聴けば一発でわかった人が多かった有名曲のカバー。「これ、ビーチボーイズ?」と訊いてくれたHさん、正確な質問をありがとう。答えは、元ビーチ・ボーイズのサポートメンバーで、現ブライアン・バンドのバンマス。本人の見た目からは到底想像つかないこの爽やかな声が気持ちいいね。


Cake.jpg
A5.トラッシュ・キャン・シナトラズ(The Trash Can Sinatras)
Maybe I Should Drive
『Cake』

期せずして全曲世界一周大会となったA面最後は、UK出身の彼らで締めよう。先日集まった面々にとっては説明不要・問答無用なこのアルバム。誰もがオープニングの「Obscurity Knocks」が好きだけど、その後ろにひっそりと隠れたこの名曲が僕はずっとお気に入り。この、異様なまでに低音の薄い音が当時の“ネオアコ”だし、今月の僕にとっては“納涼”気分いっぱい。


Trust In Numbers.jpg
B1.レイク・ハートビート(Lake Heartbeat)
Pipedream
『Trust In Numbers』

B面に移って、ちょっと新しいのを。とはいえ、これもう一昨年になるのか。フェイクなビーチ模様のジャケもいかしたこのアルバム、買った当時は結構聴いたものだ。これも、オープニングの「Mystery」がちょっとしたクラブ・ヒットになったらしいけど(その曲も素晴らしいけど)、ここにはそれに続くこの曲を入れよう。A面2曲目の法則。


A Paris.jpg
B2.スタイル・カウンシル(The Style Council)
Long Hot Summer
『a Paris』

ちょっとベタだけど、これを。僕にとってはまだ次々に刺激的なレコードを連発していた時代のポール・ウェラー。スタイル・カウンシルとしてのデビュー・シングルに次いで出たのがこれだったね。当然こんなシングル盤はもう廃盤なので、今流通している初期シングルを集めたCDをアフィリエイトしてみた。僕このCD持ってないけど(中身の曲は当然全部持ってるけど)ジャケ見てると欲しくなるね。


We Sing We Dance We Steal Things Limited Edition.jpg
B3.ジェイソン・ムラーズ(Jason Mraz)
I'm Yours
『We Sing, We Dance, We Steal Things. Limited Edition』

オリジナルもいいけど、ここはかつて『搾取』というタイトルの記事で批判させてもらったこの3枚組から、この心地よくリラックスしたアクースティック・ヴァージョンを。リンクした記事を読んでもらえばわかるけど、もちろんそんな“批判”も愛情あってのこと。こんな素敵な曲をアコギ一本とコーラス一人でこんなに気持ちよく仕上げたヴァージョンを聴けるのであれば、ほんとはいくら払うことになっても構わないんだけどね。


In Between Dreams.jpg
B4.ジャック・ジョンソン(Jack Johnson)
Better Together
『In Between Dreams』

前曲のアクースティック・ヴァージョンを聴いて、「なんだかジャック・ジョンソンみたい」と思う人もいるだろうな。前曲のエンディングの笑い声やセリフに続くようにこの曲のイントロが入るつなぎは、我ながらわりといい感じだと思う。僕がNZに住んでいた頃に大ヒットしていたこの人、最近ちょっと下火なのかな。それとも、日常的にそこらにビーチがあるような場所ではいまだに聴かれ続けているんだろうか。


The Word Girl.jpg
B5.スクリッティ・ポリッティ(Scritti Politti)
The Word Girl
『The Word Girl』

ラストは、最近このブログに頻繁に登場するこの人たちで締めよう。キラキラした高音が最高に気持ちいいレゲエ・チューン。ここに写真を載せた12インチ・シングルは当然もう廃盤だから、3月6日の記事で取り上げたベスト・アルバムをアフィっておこう。グリーンって、音作りもヴィジュアル的な方向性もコロコロ変わる人だけど、どっちの方向向いても実にクールだよね。そういえば、クリス・ディフォードの新作にコーラスで参加してるんだって。早く買わなくちゃ。


という全10曲。果たして聴いている人のどれだけに“納涼”効果を与えられるんだろう。なんてことを思いつつ、先週の披露会の場でさっそく決まった次回のお題“秋の夜長に”を考えなければ。なんといっても、僕は5年前にそのテーマで既に一枚作っているからね。なんとかまたあれこれ自己ルールでっちあげて、前回とは違う感じのを作らないとな。
posted by . at 23:47| Comment(8) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月30日

yascd016 裏Absolute

3月6日からのつづき>
というわけで作ってみた。実は選曲自体はあの記事のすぐ後に完成していたんだけど、それからいろいろゴタゴタしていたもので、この企画もあやうくお蔵入りになってしまうところだった。内容についてはあの記事に書いたとおり。スクリッティ・ポリッティのヒット曲にかけた『Absolute』というタイトルとは裏腹にイマイチ偏った選曲のベストアルバムを勝手に補完すべく作った個人用裏ベストアルバム。

『Absolute』が、全盛期のヒット曲を中心に、変則的な年代順という形態を取っていたのは、時代によって大きく音楽性が変化したこのグループ(というか、基本的にはグリーン・ガートサイドのソロ・プロジェクト)のベスト盤を選曲するにあたっては一番無難な方法だったからだろう。

それなら、僕はあえて違う方法を取ろう。今まで、単独アーティストをピックアップしたyascd(001のグレン・ティルブルック、007のジェブ・ロイ・ニコルズ、008のサニー・ランドレス、011のミック・ジョーンズ、015のナック)の殆どを年代順という無難な曲順にしていたけど、今回そうしてしまうと、本当に『Absolute』に選ばれなかった曲を並べるだけという落ち穂拾い的なつまらない選曲になってしまうからね。

とはいえ、難しいのはやっぱり難しい。『Absolute』でも一番曲間に違和感があるのが、11曲目「Brushed With Oil, Dusted With Powder」から12曲目「Skank Bloc Bologna」に移るところだろう。とてもその2つが同じグループの曲だとは思えないぐらいだからね。そういう、極初期の曲と中期以降の曲を交互に入れるのは、よほどうまくつなぎを考えないと聴いてて気持ちよくないからね。まあ、015のナックの選曲からあえて「My Sharona」を外したのとは比べものにならないぐらい有名曲をほぼ全部使えないというハンディキャップを逆手に取って、曲間のつなぎの妙みたいなのを楽しみながら作ってみよう。


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1. Is And Ought The Western World

極初期のスクリッティ・ポリッティというと、どうしても最初のシングル曲「Skank Bloc Bologna」ばかりに注目が集まるが(それに値する名曲だとは認めるけれど)、決してそれ以外の曲がつまらないというわけじゃない。中にはスタジオでの即興演奏に適当なタイトルをつけてそのままリリースしたような曲もあるけど、「Skank Bloc Bologna」のB面だったこの曲とか、十分スリリングだと思う。どうしても入手困難というわけじゃないけどまだ持っていないそのシングル盤のジャケに代えて、今ではもっと手軽にこの時期の曲をまとめて聴けるCD『Early』のジャケを載せておこう。

White Black.jpg
2. After Six

あえてここにつなごう。今のところの最新作、06年の『White Bread, Black Beer』から。かつてこのブログを始めてそう間もないころに書いた記事ではどうも煮え切らない書き方をしてしまったアルバムだけど、あれから4年強たった今聴き直しても、十分時間の経過に耐えうる良作だと今なら言える。むしろ、それ以前の大ヒットアルバムのように時代の色を濃く反映していないだけ、逆にエヴァーグリーンな作品になったと言えるだろう。それこそ、このアルバムのリリース当時よく引き合いに出されていた『Pet Sounds』のように。

Remember.jpg
3. Faithless

極初期のアヴァンギャルド路線から一転、「The "Sweetest Girl"」でシーンに再登場した彼らがファーストアルバム前夜にリリースしたシングル。シングルカットされていないアルバム曲まで含まれているというのに、何故これが『Absolute』から外れたのかが全く理解できないクオリティの曲。後のグリーンの黒人音楽趣味を考えるとブレはないが、当時は「あの」スクリッティ・ポリッティがこんなソウルフルな曲を書いたことに思いっきり違和感を抱いていたものだけど。

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4. Small Talk

収録された全9曲のうちシングル5曲が『Absolute』にピックアップされたこの超有名アルバム『Cupid & Psyche 85』からはもういいかと思えなくもないけど、かといって残りの4曲が出がらしみたいな埋め曲かというとそうでもない。これは、当時「Wood Bees」「Absolute」「Hypnotize」という超弩級シングル三連発をアルバムに先駆けて聴いていた人にとっては意表をつかれたアルバムトップのレゲエ曲「The Word Girl」に続くA面2曲目、それらのシングルの流れを汲むハイパーポップ。「きたきた!」って感じだったね、最初に聴いたときは。

Take Me In Your Arms And Love Me.jpg
5. Take Me In Your Arms And Love Me

スクリッティ・ポリッティが全くアルバムを発表しなかった空白期間(89年〜98年)、数枚のレゲエ・シングルがリリースされた。レゲエ特集のyascd013に収録したビートルズのカバー「She's A Woman」に続いて出たのがこの曲。前者がシャバ・ランクスとのデュエットだったのに対し、こちらはスウィーティー・アイリー(僕はよく知らないけど)をフィーチャーした、グラディス・ナイトのカバー曲。前者は『Absoolute』に収録されたけど、こっちはスルーされてしまったのでここに。それにしても、いつもジャケットのセンス抜群のグリーンなのに、この時期のシングル盤のジャケはどうにもいただけないな。

White Black.jpg
6. The Boom Boom Bap

リードシングルだったこの曲も含めて、最新作『White Bread, Black Beer』からの曲は『Absolute』では完全に無視されてしまっている。シングルとして切るにはやたらと地味な曲だと当時も今も思うけれど、ランDMCのデビューアルバムから一曲を除いて全部の曲のタイトルが練り込まれているという歌詞も含めて、曲調はこんなになってしまっても、グリーンのヒップホップ愛を感じられる曲。これのシングル盤も買おうと思ったけど、DVDまで付属していた日本盤アルバムを追加購入してた際にカップリング曲がボートラ収録されていたから、結局シングルCDは買ってないな。まあ、比較的どうでもいい類のパッケージではあるけれど。

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7. First Boy In This Town (Lovesick)

『Cupid & Psyche 85』の焼き直しとか言われて評価の低い『Provision』だけど、僕にとってはおそらく一番思い入れの深いアルバムだ。中でもこれは大好きな部類に入る曲。後半のアカペラ・パートに入る瞬間なんて、めちゃくちゃ格好いいよ。先日、この曲の箱入り12インチシングル(限定盤で、それまでの3枚のシングル盤のジャケがアート紙に印刷されたものが封入されている)を見つけて買った。箱の状態はよくなかったけど、捨て値と言ってもいいぐらいの値段で買えたのは嬉しい。やっぱり12インチは音いいよ。

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8. Don't Work That Hard

『Cupid』からもう一曲いこう。LPでいうとA面ラストの曲。珍しくハードなギターソロの音が(しかしあくまでも装飾音として)使われている。僕は『Provision』は88年にリリースされたときにCDで買ったし、この『Cupid』も最初はLPで買ったものの、比較的早い時期に出たCDを買ったから、最近のCDと比較すると、音圧が圧倒的にしょぼい。こうして近年のアルバムからの曲と並べて聴くと、音が大きくなったり小さくなったりして聴きづらいことこの上ないよ。早くこの時期のアルバム、リマスターされて再発されないかな。

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9. A World Come Back To Life

『Provision』からのシングルカット「Boom! There She Was」のカップリング曲。僕の持っているのは今やなつかしい日本盤の縦長8センチシングル盤。さっき書いた「First Boy In This Town」の12インチのB面もこの曲だったな。『Provision』に含まれていたとしても遜色ないぐらいの佳曲だと思う。この時期の未発表曲ってもっと他にないのかな。どうせリマスターされて再発されるなら、そういうボートラごっそり入れてくれればいいな(誰もリマスター再発するなんて言ってないのに勝手な妄想)。

4 A Sides.jpg
10. Doubt Beat

これも後に『Early』に収録されることになる、ファーストアルバム以前の79年にリリースされた12インチEPから。僕はリリース時じゃないけど80年代の結構早いうちに一度このレコードを行きつけのお店で見かけたんだけど、そのときはどういうわけか放流してしまったんだ。当時既に結構レアな廃盤だったはずなのに。それからずっとこれを探し続けていて、ネットオークションが盛んになった今世紀に入ってから、1万円以上出して購入した。これまで僕がシングル盤にかけた値段としては最高額。その数年後に『Early』が出てしまったんだけど、別にこのEPを買ったことは微塵も後悔してないけどね。

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11. Mystic Handyman

グリーンのヒップホップ趣味全開だということで、僕の中では一番評価の低いこの99年のアルバム『Anomie & Bonhomie』だけど、中にはこんな真っ当なポップ曲も入っている。こういうのをより内省的に深化させたのが7年後のアルバムなんだと思う。『Absolute』に収録された07年の新曲はもっと昔の全盛期を思い出させるハイパーポップ風味で、それはそれで嬉しかったんだけど、僕としてはこういう直球ど真ん中なポップスを今後のグリーンには期待したいな。

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12. Sugar And Spice

さっき写真を載せた、『Provision』からのシングル曲「Boom! There She Was」にはザップのロジャー・トラウトマンが彼のトレードマークであるボコーダーを使ったボーカルで参加していることで有名だが、同じアルバムのこの曲にも彼は参加している。このアルバム、ロジャーといいマイルス・デイヴィスといい、グリーンの黒人音楽好きがモロに反映された有名ゲストが参加しているけど、なにげに影響力大なのが、ベースで参加しているマーカス・ミラーかも。前作では殆どの曲のベース音がデイヴィッド・ギャムソンのプログラミングによるものだったけど、やっぱりこうして一流のべーシストが入っていると音が違うよね。僕が『Provision』の方をより好きなのは、それも一因かもね。

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13. Messthetics

「Skank Bloc Bologna」に続く79年の2枚目の7インチ(時期的にはさっきの12インチ「4 A Sides」が先かな)から。僕が初めてスクリッティ・ポリッティを聴いたのは、80年前後に放送されていた当時ジャパンレコードのディレクター(だったかな)芹沢のえさんのナイトラインというFM番組で、「Skank Bloc Bologna」とこのシングルから数曲が流れたときだったと記憶している。このシングルも先ほどの12インチ同様もう既にこの時期には廃盤で、僕が入手したのは、記録によると86年の夏に旅行で訪れた福岡で、2200円という(この手のシングル盤としては)破格値でだったようだ。

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14. Dr. Abernathy

『White Bread, Black Beer』はこういう曲が入っているから(中期)ビーチボーイズまでが引き合いに出されるんだよね。極初期の稚拙なアヴァンギャルドや全盛期のハイパーポップがスクリッティ・ポリッティだと思っていた人は(僕も含めて)、まさかグリーンがこんなに複雑に構成された曲を書くことになるなんて想像もしなかった6分半の大曲。プログレッシブ・ポップと勝手に呼ぼう。

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15. Lover To Fall

『Cupid』からもう一曲。これで、アルバム中唯一のバラッド「A Little Knowledge」を除く全曲が、オフィシャルベスト盤『Absolute』とこの裏ベストに収録されたということになる。別に「A Little Knowledge」が駄曲だからという理由で除いたわけじゃないから、シングルカットされた曲かどうかということを別にしても、アルバム中どの曲もベスト盤に入れることができるという、よく言われる“捨て曲なし”とはまさにこういうアルバムのことを言うんだね。

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16. Philosophy Now

そして、僕にとってはこちらも捨て曲なしのアルバムを締めくくるこの曲をここに。エレクトリック・セカンドラインと呼んでもいいような、ゆったりと気持ちいいリズムのナンバー。いくら黒人音楽好きといっても、グリーンが後にも先にもニューオーリンズ系の音楽に傾倒していたことはないはずなのに、どうやってこんなリズムのこんな曲を作れるんだろう。こういうのは、メンバーでありながらこの時期にはグリーンと共に共同プロデューサーの地位になっていたデイヴィッド・ギャムソンの貢献なのかな。

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17. Here Come July

ヒップホップアルバム内のもう一曲の変わり種。というか、どの時期のスクリッティ・ポリッティにも全然ない性急なハードロック風味(といってもやっぱりグリーンのあの声が入るだけでスクリッティ・ポリッティ以外の何者でもなくなってしまうんだけど)。かっこいいな。本人はどう思ってるんだろう、こういう曲のこと。やっぱり埋め曲的な存在でしかないのかな。

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18. Gettin' Havin' & Holdin'

一転して、ファーストアルバムからこの心地よく弛緩したナンバーを。この『Songs To Remember』って、きっと当時のグリーンがやりたかったことを全部詰め込んだから、一聴とっちらかった感じがしなくもないけれど、こうして一つひとつの曲を抜き出して聴いてみると、いい曲が多いんだよね。表のハチのマークとか文字とか青い線とか、丁寧にエンボス加工されたジャケットのLP、僕のはもう背中や上の部分が黄色く日焼けしてしまっているけれど、今でもとても大事なレコードの一枚。

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19. 28/8/78

落ち着いたところで更に遡って、3曲入りデビュー作「Skank Bloc Bologna」の残りの一曲を。この暴力的なまでの演奏とコラージュされた語りがとてもクール。演奏技術はイマイチだったかもしれないけれど、自分たちが表現したいことをこうして最初のシングルから確実に形にできていたというのはやっぱり凄いよ。それにしても、こんな曲(?)を作っていた人達がそのわずか3〜4年後にさっきの18みたいな正統派ポップスを書けるようになるなんて、やっぱり不思議。

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20. Road To No Regret

さっきの19でブツンと終わってもよかったけど、最後にこれを入れてクールダウンして終わることにしよう。一応15あたりからここまでが、スクリッティ・ポリッティの変遷し続ける音楽性を逆回転の早回しみたいに見られるような作りにしてみたつもり。さっきも書いたけど、実際に僕が持っているCDから(というか、今流通しているCDから)ピックアップすると、それぞれの音圧の違いにちょっと興醒めしてしまうのが玉に傷なんだけどね。


冒頭に「内容についてはあの記事に書いたとおり」と書いたときにはきっと今日はあっさりした短い記事になるだろうなと予想していたのに、結果的にはいつものとおりのダラダラ長文記事。しかも同じ写真が何回も出てくるから、余計に何度もスクロールしないといけないのは申し訳ない。3月6日の記事の頃にはスクリッティ・ポリッティが自分内ブームだったのが、やがてR.E.M.とかボブ・モウルドとか色んな人たちにブームが移っていってたのに、この記事のおかげでまた自分内スクリッティ・ポリッティ・ブーム再燃。しかも、ついイーベイとか見てしまったから、あれこれ欲しいもの何枚も見つけてしまった。まずい兆候。
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2010年03月07日

yascd015 架空の世界のThe Knack

このアイデア自体は、思い起こせば3年半前にこのyascdという企画を始めた当初には既にあって、それをなんとか選曲するところまで持っていったのが去年の2月頃。北欧とかレゲエのやつに先を越されながら、そのうち完成させようと思っているうちに、今年の2月14日が来てしまった。バレンタインデーじゃないよ、ダグ・ファイガーの命日。まさか追悼特集になってしまうとは。

80年前後に洋楽を聴いていた人じゃないとピンと来ないかもしれないけど、「My Sharona」という曲で彗星のようにデビューし、その後数枚のアルバムを出すものの、泣かず飛ばずであっという間に消えてしまった、一般的には一発屋の代名詞みたいな扱われ方をされていたナック。

キャッチーなリフとメロディー。格好いいギターソロ。耳に残るサビ。「My Sharona」は確かにあれだけヒットする要素を全て兼ね備えた佳曲だと思う。でも、その曲が収められたファーストアルバム『Get The Knack』を聴いて、その曲が必ずしもアルバムで一番いい曲というわけではなかったのを思い知ったのは僕だけではなかったはず。

でも、全米ナンバーワンを獲ったその曲の後に同じアルバムからカットされた「Good Girls Don't」は11位(その頃には誰もが既にアルバムを持っていただろうからね)、セカンドアルバムからの「Baby Talks Dirty」が38位(だって「My Sharona」の二番煎じなんだもの)、続く「Can't Put A Price On Love」が62位、サードからの「Pay The Devil」が67位と、二次曲線を描くようにチャートアクションが鈍っていき、やがてドラマーが脱退して活動停止。

10年後に復活アルバムを出すもチャートインすらなかったのが、なんとその3年後に映画『Reality Bites』の挿入曲として「My Sharona」が再度大ヒット。改めてこの曲だけの一発屋としての地位を確立(笑)

活動再開した頃や、『Reality Bites』が世に出た頃などに、ナックのベストアルバムが何種類か発売されているんだけど、どれもこれも見事に1曲目が「My Sharona」。それらアルバムの曲目表を並べてみると、まるで一発屋のベストアルバムの見本市のようだ。

なんて不幸なことだろう。こんなにいいバンドがあの1曲だけで評価され続けてしまうなんて。いっそのこと「My Sharona」さえヒットしなければ、このバンドは79年のデビューから、少なくともダグが病に倒れる06年までの30年近くにわたって、パワーポップの重鎮みたいな立ち位置で、熱狂的なファンに支持され続けていたはずなのに。その名前を呼ぶときに誰も苦笑いなどすることもなくね。

そうだ、もしナックが「My Sharona」を出していなかったら、もう少し地味な(でも佳曲がいっぱい詰まった)アルバムでデビューしていたとしたら、一体どんなことになっていただろう。そんな空想をかたちにしたのが、今回のyascd。ときは197X年、とあるアメリカの地方都市で、4人の若者が、ライヴハウスとレンタルスタジオを往復するような毎日の中でようやく形にしたアルバムの話から…

『The Knack』

Side A
1. Good Girls Don't
2. Another Lousy Day In Paradise
3. Your Number Or Your Name
4. I Want Ya

Side B
1. Baby Talks Dirty
2. Just Wait And See
3. That's What The Little Girls Do
4. (Havin' A) Rave Up


「Love Me Do」を真似たかのような冒頭のハーモニカや、あちこちの曲に出てくる裏声の「ウー」とか「ウー、ラララ」とかいうコーラスなど、ちょっとビートルズを意識しすぎなところはあるけれど、新人バンドのデビューアルバムとしては十分すぎるほどの出来栄え。B面ラストの「(Havin' A) Rave Up」は、ビートルズがそれまでコンサートのエンディングとして演奏していた「Long Tall Sally」のカバーに替わる曲として自作した「I'm Down」を、さらにパワーアップしたみたいだ。

バンドがこのアルバムからシングルカット曲として選んだのは、B面トップの「Baby Talks Dirty」。実際の世界では上に書いたようにチャートの38位にまで上がったものの、そのあまりの「My Sharona」の二番煎じ振りに逆にファンが離れて行ってしまったといういわく付きの曲だが、たとえ「My Sharona」のないこの架空の世界にあっても、残念ながらそれほど魅力的な曲というわけではない。なにより、この変なあえぎ声みたいなのはやめてほしかったと、おおむね好評を受けたこのアルバムの中でも唯一の汚点。いいアルバムは作るものの、シングル曲を選ぶセンスがイマイチという余計な評価まで頂くことになってしまった。


現実の世界では、これらの曲は次の3枚のアルバムに収録されている。

Get The Knack.jpg
『Get The Knack』 1979年
A-1、A-3、B-3

But The Little Girls Understand.jpg
『...But The Little Girls Understand』 1980年
A-4、B-1、B-4

Round Trip.jpg
『Round Trip』 1981年
A-2、B-2

アマゾンにリンクを張ってみて気づいたんだけど、セカンドとサードはもう廃盤なんだね。迷走気味のサードはともかく、セカンドはファーストにも負けない名盤だと思うんだけど。やっぱりオープニングが「Baby Talks Dirty」だというのが仇になったのか。オリジナル・ドラマーのブルース・ギャリー(Bruce Gary)が在籍していたのはここまで。


ヒットチャートには縁がなかったものの、耳の早いパワーポップファンの間では相当な話題になり、ライヴハウスは常に満員。そんな中で書き溜めた曲を、またしてもA面4曲・B面4曲という昔ながらのシンプルなフォーマットにして発表したのがこのセカンドアルバムだ。

『The Knack 2』

Side A
1. It's Not Me
2. Smilin'
3. Seven Days Of Heaven
4. Can I Borrow A Kiss

Side B
1. Love Is All There Is
2. One Day At A Time
3. Ambition
4. She Says


基本的な曲の路線はファーストから変わらないものの、よりメロディアスに、よりハードに昇華した曲が次から次へと繰り出されてくる。「Love Is All There Is」での、あからさまにビートルズの「And Your Bird Can Sing」を真似たようなギターソロが、相変わらずこのバンドがどこから来たかを示唆している。

更にファン層を広げ、このセカンドアルバムはパワーポップ界の隠れた名盤扱いすらされるようになるのだが、残念ながら、またしてもチャート的にはノー・アクション。バンドのメンバーにとっては渾身の作だっただけに、落胆は隠せないようだ。


現実の世界に戻ると、これらの曲は、活動再開後のアルバムに収録されている。

Serious Fun.jpg
『Serious Fun』 1991年
B-2

Zoom.jpg
『Zoom』 1998年
A-2、A-4、B-1、B-3、B-4

Normal As The Next Guy.jpg
『Normal As The Next Guy』 2001年
A-1、A-3

Re-Zoom.jpg
『Re-Zoom』 2002年
A-2、A-4、B-1、B-3

98年の『Zoom』は、個人的には『Get The Knack』に負けず劣らず、ナックの最高傑作だと思っている。どうやら彼ら自身もそう思っていたようで、3年後に(ジャケットもなんだか不気味な)『Normal As The Next Guy』というちょっと焦点の絞りきれていない凡作を出した後、ボーナストラックを入れてジャケットを替えて『Re-Zoom』として再発。

その『Zoom』『Re-Zoom』でやたらと手数の多い、甲高い音のドラムを叩いているのは、なんとテリー・ボジオ(Terry Bozzio)。『Normal As The Next Guy』のドラマー(一部)はミスター・ビッグのパット・トーピー(Pat Torpey)だし、いかに有名ドラマー達がこぞってこのバンドに入りたがっていたのかがわかるね。でも、さすがに『Serious Fun』のビリー・ワード(Billy Ward)って、まさかブラック・サバスのビル・ワードのことじゃないよね。



自信作を立て続けに2枚出し、目の前で熱狂するファンが日に日に増えていくのを目の当たりにしていても、それがなかなかアルバムの売り上げに繋がらない。そこで今度は、4人が最初に集まってバンドを始めた頃にコピーしていた、自分たちの出発点とも言える曲、ライヴでもいつもアンコールに演奏して大喝采を受けている、そういうカバー曲を集めたEPを作ってみることにした。

『The Knack Covers』

Side A
1. Girls Talk (Elvis Costello)
2. I Knew The Bride (Nick Lowe)
3. No Matter What (Badfinger)

Side B
1. The Hard Way (The Kinks)
2. Teacher Teacher (Rockpile)
3. Don't Look Back (Bruce Springsteen)


アメリカのバンドだというのに、この新旧の英国パブロックにどっぷり浸かったようなマニアックな選曲。デビュー当初からビートルズを意識した曲作りをしていた彼らが、同様にこれらのイギリスのバンドに惹かれていたのはちっとも不思議な話ではないが。


『...But The Little Girls Understand』のB面トップを飾っていた「The Hard Way」以外のこれらの曲は、今では98年のベストアルバム『Proof』、02年の『Re-Zoom』、および同年にリマスター発売された初期のアルバムに収録されているが、僕の知っている限りでは、2曲は下記のトリビュートアルバムが初出のはず。

Come And Get It.jpg
『Come And Get It - A Tribute To Badfinger』 1997年
A-3

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『One Step Up / Two Steps Back: The Songs Of Bruce Springsteen』 1997年
B-3

前者は、ナックの他には、コットン・メイザー、ブラッド・ジョーンズ、20/20、クリス・ヴォン・スナイダーン、エイミー・マンなど、その筋の人が聞けば大喜びの面子がバッドフィンガーをカバーしているという好アルバム。

後者も、名前を書き連ねたらきりがないほどの有名どころから通好みまでの凄い面子が揃った2枚組の大作。ライナーによると、この「Don't Look Back」は、ブルースがナックにプレゼントし、『Get The Knack』に収録されるはずだったところ、やはり自分のアルバムに入れるからと待ったがかかったという曲らしい。結局ブルース自身のバージョンは98年の『Tracks』まで陽の目を見ることはなかったのだが。



このEPも小ヒットにとどまり、彼らはまたしてもライヴハウスとレコーディングスタジオを転々とする日々を過ごす。次こそは、アメリカ中、いやそれどころか世界中で大ヒットするようなアルバムを作ってやろう。そんな気持ちで今日もまた安いスタジオにこもり、メンバー同士膝を突き合わせるようにして一緒に曲作りを続けている。今作っているこの曲はなかなかものになりそうだ。なんとかこれを次のシングルにできるように、うまく練り上げてみよう。そんなスタジオでの一場面を切り取った風景をシークレット・トラックにして、このミックスCDを終えよう。
posted by . at 15:29| Comment(9) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月13日

yascd014 オーロラの夜

オーロラを見に行きたい。いつの頃からか、ずっとそう思い続けている。星座とか星占いとかにはちっとも詳しくないんだけど(何座が何月かなんて、いまだに三分の一も憶えてやしない)、惑星とか宇宙の話になると、子供のときからいつも食い入るように興味を示していた。オーロラの話だってそう。太陽風が惑星の磁場と反応して夜空にあんな綺麗なものができるだなんて、実際に見たことはなくても、想像するだけでわくわくする。

NZに住んでいた頃に行こうと思えば見に行けなくもなかった。季節を選んでずっと南の方とかに行けばね。でも機会がなくて。日本に帰ってきてからも、冬の旅行の計画を立てるときにまず頭に浮かぶのが、北欧やカナダでオーロラを見ること。でも、日本からそういうところにそういう時期に行こうとすると、結構な金額になるんだね。とりあえず、もうちょっと先の楽しみにしておこう。あと何年かでなくなってしまうようなものでもないし。

yascd012のコメント欄で、その当時僕が一枚も持っていなかったフィンランドのCDを探してきて、派生バージョンのyascd012.1なんてのを作ろうかという話題になったのが、今日のお話のきっかけ。最初は見つけてきたフィンランドものをいくつか入れて、まさに前回の派生バージョンみたいな選曲をし始めたんだけど、作っているうちに、なんだかそういうのも面白くないなと思い始めた。

そうだ、オーロラを見に行ってるような気分になるミックスってのはどうだろう。氷点下何十度という凍てつく空気の中、真っ暗な空に満天の星と輝くオーロラ。そんな雰囲気を持った曲を集めてみよう。というのが今回のyascd。番号も派生じゃなくて014にしよう。さて、そんなのうまくできるかな。


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1.ヨハン・ヨハンセン (Johann Johannsson) 
Joi & Karen
『Englaborn』

エスキモーみたいな防寒具にしっかりと身を包み、暖かい小屋から氷と暗闇の世界に一歩を踏み出す瞬間。温度も音も光もない世界。寒いと感じること以外、自分の五感が全て閉ざされてしまう。雪と氷を踏みしめて自分の脚で歩いていること以外は、宇宙飛行士が船外に出る瞬間を疑似体験しているような感覚。

このブログ界隈限定で“アイスランドの野比のび太”の異名を持つヨハン・ヨハンセンの02年のソロアルバムから。012には彼の“マシーン・ロックンロール・ユニット”、アパラット・オルガン・カルテットを入れたけど、実はこっちがこの人の得意分野。このアルバム自体は演劇用に作られたものらしい。

この小さな写真じゃ単なる青地に白文字にしか見えないかもしれないけど、変形デジパック内部の美しい写真も含めて、とても繊細な音を的確に表したジャケットもいい。


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2.キングス・オヴ・コンヴィニエンス (Kings Of Convenience)
Once Around The Block
『Toxic Girl』

麻痺していた感覚が徐々に少しずつ戻ってくる。耳鳴りだと思っていた音が、実は遠くから聴こえているひっそりとした音楽だということに気づく。

キングス・オヴ・コンヴィニエンスが歌うバッドリー・ドローン・ボーイ。その二者を知っている人なら、何の説明も要らないだろう。デーモン・ゴフがどんなに素敵な曲を書くかというのを、このノルウェイの二人組が証明している。デーモン本人のバージョンが悪いわけではないけれど、これは別格。

普段シングル盤まで追っかけているグループではないんだけど、01年の『Quiet Is The New Loud』からカットされたこのシングル(アルバムとは違うバージョン2曲と、このBDBのカバー、それに「Toxic Girl」のPV入り)は、単なるコレクション目的なんかじゃなく、買ってよかったと本当に思えるCD。


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3.セプテンバー・マレヴォランス (September Malevolence)
Exxon Valdez
『Tomorrow We'll Wonder Where This Generation Gets Priorities From』

暗闇の森の中を歩くにつれ、次第に視界が開けてくる。とはいえ、周囲の漆黒に変化はない。頭上に広がる星の数が徐々に増えているので、自分が森を抜けつつあることがわかる。

スウェーデンのポストロック・バンド。僕が買ったのは日本盤だけど、経歴が書かれた帯以外に詳しい情報は載っていない(2000円以下で日本盤をリリースするために余計なライナーや対訳を省略したことは評価したい)。

ポストロックと一括りにされるグループって、クラシックまがいのものから、実験音楽的なもの、ほとんどハードロックすれすれのものまで、聴いてみないとどんな内容かわからないものが多いんだけど、ジャケと帯の解説に惹かれて買ったこれは、緩急使い分けたスケールの大きな演奏をするいいバンドだった。同じスウェーデンのエスキュウ・ディヴァインを彷彿とさせるね。


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4.トマス・デンヴァー・ジョンソン (Thomas Denver Jonsson)
Posession
『The Lake Acts Like An Ocean』

ここからしばらく、SSWものが続く。そうだな、オーロラがなかなか出てこないので、一旦小屋に戻って小休止。北欧の歌い手たちが紡ぐ歌を聴きながら暖を取る、という設定にしようか。

一見アメリカ人かと思うような名前のこの人、苗字のジョンソンのSが二つ並んでいるところで北欧系だとわかるね。友達が作ってくれたミックスCDに入っていたスウェーデンのSSWなんだけど、僕はそのことはすっかり忘れていて、ある時とあるCD屋でちょっと安かったこのアルバムのジャケに惹かれて買ってみたら、聴いたことのある曲が入っていたというわけ。それがこの曲。悲しげな男女デュエット。


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5.ドラウジー (Drowsy)
When It'll Be Snowing
『Snow On Moss On Stone』

012のコメント欄で指摘されて以来、CD屋に行くたびにフィンランドものを探すようになってしまった。これもその一枚。ドラウジー(日本盤の表記はドロージーになってるけど、フィンランド語発音ではどうなんだろう)ことマウリ・ハイネケンという名のSSW。

ちょっと不思議なメロディー展開が、なんだかシド・バレットぽいなと思っていたら、ライナーでも彼をはじめ、ニック・ドレイクやロバート・ワイアットらが引き合いに出されていた。ちょっとそこまで持ち上げるのはどうかとは思うけど、アイスランド組とはまた一味違ったこの不思議風味音楽は面白いよ。


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6.サウンドトラック・オヴ・アワ・ライヴス (The Soundtrack Of Our Lives)
In Your Veins
『Behind The Music』

こちらはSSWではなく、6人組のスウェーデンのバンド。メンバーのデスマスクが印象的なこの01年のアルバム全体はもっとハードというか、ちょっとサイケデリックっぽかったりもするんだけど、ここでは場の雰囲気を壊さないように、このしっとりした曲を入れよう。

もうとっくにいなくなったバンドだと思ってたら、今年新譜が出てたんだね。このファーストを始め、いつも独特の雰囲気がいい味出してるジャケットが気に入ってたんだけど、今回のはなんか中年向けスポーツクラブの宣伝みたいなジャケット。違和感ありまくり。


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7.セイント・トマス (St. Thomas)
Cornerman
『I'm Coming Home』

ノルウェーのSSW、セイント・トマスことトマス・ハンセン。この人のことも確かさっき書いた友達に教えてもらったんだっけな。ニール・ヤングそっくりの声で、ニール・ヤングが作ったような曲を歌う。別にニセモノとか言うつもりはないよ。僕は彼のアルバムを2枚だけ持ってるけど、実力のある人だと思う。

この02年のアルバムはファーストなのかな(と思って調べてみたら、これ以前に2枚出てるんだ)。CDトレイのところに「セイント・トマスはオスロ生まれの25歳。自分の音楽を褒められると暖かい気持ちになる。彼のことをよろしく」なんて書いてある。でも、確か彼しばらく前に若くして亡くなってしまったんだよね。


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8.マイクル・モラー (Michael Moller)
Don't Ever Fuck Her Again
『Every Streetcar's Got A Name』

最初は08年2月のこの記事で取り上げ、012にも収録したモア・カプリス(Moi Caprice)のリード・ヴォーカリストのソロ・アルバム。別に解散したわけじゃなく、バンドとは違った雰囲気のを作ってみたくなったんだろうね。と思えるほど、もの凄く濃厚な(性的な)内容のアルバム。アルバム内では「Don't Ever Kiss Him Again」という曲と対になっているこの曲の歌詞も結構えぐい(大体、こんなタイトル書いてこの記事ちゃんとアップできるのか?また変なコメント来そう)。

アフィリエイトしようとしたら、アマゾンでは扱ってないね。僕はこれをアップル・クランブルで買ったはずなんだけど、そこにももう在庫はないみたい。なので、カナダのポプシクルのサイトを張っておこう。

歌い手の憤りを表現したかのような、終始遠くで鳴り響くフィードバック音が、ここまでしばらく続いた歌ものコーナーの終わりが近いことを示唆している。さて、再び防寒着を身に纏い、厳寒の中に歩を進めよう。


Hintergarten.jpg
9.ハヌー (Hannu)
Pop
『Hintergarten』

最初に凍てつく空気の中を静かに歩き始めたのとは明らかに様相が変わってきた。暗い森の中を木霊するざらっとした不協和音。冷ややかな打楽器と終始不気味に響き渡る低音。周囲に電磁波を感じる。風景が歪む。

これもフィンランドもの探しで見つけた一枚。名前も知らなかったし、ちょっと値は張ったんだけど、500枚限定という文字に釣られて入手。フィールドレコーディングとエレクトロニカの融合というのかな。このジャケットの雰囲気そのままの、凍りつくような独特のサウンドが結構気に入ってしまった。

これもアマゾンにもアップルさんにもないね。ポプシクルにもなければ、北欧専門店ICELANDiaにもないや。うろうろ探していて偶然見つけた京都のCD屋さんのサイトに載ってたので、上にリンクしておいた。この店、面白そう。後でいろいろ見てみよう。


Still Here.jpg
10.クリヤキン (Kuryakin)
Take My Hand
『Still Here』

歪んだ風景の中から聴こえて来る、不自然なまでに人工的なサウンド。砂糖漬けのレトロ・フューチャー。夢を見ているような、何処かに誘われていくような心地良さ。と思うと、あたかも夢を見ていた瞬間に叩き起こされるかのごとく、突然ブツンと音が途切れる。

シェルフライフからの、各々300枚限定のCDEPと7インチアナログのセット、いわゆる1000シリーズのうちの一枚。これはCDの方に入ってる曲かな。まだ確かこのEP(と、そこからのシングル)しか出していない、スウェーデンのバンド。この新しいのか古いのかよくわからない奇妙な感じは、悪くない。アルバム出ないかな。

こんなのは当然アマゾンにはないけど、アップルさんにはまだ置いてあるね。このシリーズ、ものによっては300枚なんてあっという間になくなるみたいなのに。僕も2種ほど買おうと思って買い損ねたのがあるよ。


On Your Side.jpg
11.マグネット (Magnet)
Where Happiness Lives
『On Your Side』

次に聴こえて来たのは、もっと暖かい音だ。さっき何度か聴いたSSWの残党のように聴こえる。ただ、またしても木霊のように鳴り響くテルミンの音が、先ほどの明るい雰囲気とは何処か違った情景を醸し出している。

ノルウェーのSSW、マグネットことエヴァン・ヨハンセン。この03年のアルバムがデビュー作のはず。ボブ・ディランのカバー(「Lay Lady Lay」)も含めて、ここで聴けるような浮遊感のある歌を聴かせてくれる。ぱっと見は単なる風景写真に見えるけど、妙に凝った作りのジャケもわりと好き。


Undertow.jpg
12.シゼル・アンドレセン (Sidsel Endresen)
Blessed Instant
『Undertow』

ぴんと張り詰めた空気が続く。次に聴こえてきたこの女声は、まるで呪術を唱えているようにも聞こえる。歌がフェードアウトするにつれ、自分が属するのとは違う世界に足を踏み入れるときが来たようだ。

僕は全然知らなかったんだけど、調べてみたら結構なキャリアを持つこの人のこのアルバム、僕はノルウェー・ジャズのブッゲ・ウェッセルトフト(Bugge Wesseltoft)やニルス・ペッター・モルヴェル(Nils Petter Molvaer)の名前に釣られて買ってみた。あまり好きなタイプの女性ボーカルではないけど、この硬質な音には何故かよく合うね。


Alone In The Bright Lights Of A Shattered Life.jpg
13.ライブラリー・テープス (Library Tapes)
Cold Leaves For The Violent Ground
『Alone In The Bright Lights Of A Shattered Life』life

雪の平原に一気に視界が広がる。先ほどからの厳しい風はおさまる気配を見せず、体温がどんどん奪われていくけれど、満天に輝く星空に、ついにオーロラが見えはじめた。

儚いまでに美しいピアノと、荒涼とした風景を思わせるノイズ。スウェーデンのデイヴィッド・ウェングレンのソロ・ユニットであるこのライブラリー・テープスは、去年と今年連続で来日しているほど、ここ日本でも人気のようだ。こういう音がそこまでのポピュラリティーを得るということが信じられないけど。どちらの来日公演も行きたかったんだけど、残念ながら都合が合わず断念。今度来てくれたら行こうかな。


Skaizerkite.jpg
14.モント・マルディエ (Montt Mardie)
Dungeons And Dragons
『Skaizerkite』

ここで一杯、暖かい珈琲を頂くことにしよう。芯まで冷えきった体に染み渡る、人間の住む世界の温度と香り。空一面に、たくさんの星が流れていくのが見える。

つい先月のこの記事で紹介したばかりのこのアルバムから。詳しい解説はそちらを読んでもらえればいいけど、この曲は、うきうきするようなアップテンポの曲がずらりと並んだそのアルバムにいくつか入っているしっとりとしたバラッドのひとつ。僕の書き方が下手だったのか、結局あの記事はカブ子さんにコメントを頂いたのみであまり人気がなかったんだけど、このアルバムはお薦めなのでいろんな人に聴いてほしいな。


Finally We Are No One.jpg
15.ムーム (Mum)
The Land Between Solar Systems
『Finally We Are No One』

先ほどのライブラリー・テープスが地上から見たオーロラだとしたら、今度は重力の呪縛を離れ、オーロラの中に体を委ねてみよう。せっかくのバーチャルツアーだからね。ゆったりとしたリズムと夢のようなメロディ。天使の声が聴こえる。オーロラの中にいるので、時折り混じる電磁波のノイズさえもが心地良い。

電子音とアコースティック楽器の融合。アイスランドの同胞シガー・ロスやアミーナに通じる、ミニマルでありながら壮大な音作りをするこのグループ。今年も新作を出すなど精力的な活動をしているが、ボーカルのクリスティンがいたこの当時(このアルバムは02年)の作品はまた格別。12分間の夢心地を存分に味わってほしい。


She Came Home For Christmas.jpg
16.ミュウ (Mew)
She Came Home For Christmas (Acoustic Version)
『She Came Home For Christmas』

充分に堪能したことだし、そろそろ帰途につくことにしよう。どこからともなくクリスマスを歌う優しい歌声が聞こえてきた。そうか、もうそんな時期になるんだな。

来日を間近に控えたミュウのファーストアルバム『Frengers』収録曲だけど、ここにはその壮大なバージョンでなく、シングル盤に収録のアコースティック・バージョンを入れてみよう。インドネシアで買ってきた新作はまだ聴いてないけど、それ聴いたら来日公演に行きたくなってしまうかな。


Black Refuge.jpg
17.ジュニップ (Junip)
Black Refuge
『Black Refuge』

やっと戻ってきたこの小屋で、ささやかな祝杯。パーティーというほど派手なものではないが、そろそろ終わりが見えてきたこの旅を祝う会を開こう。大仰な面子はいないけれど、演奏を買って出てくれた二組のグループに任せるとしよう。

音が割れているのかと思うほどのざらっとした演奏に乗る、聴き慣れたクールな声。僕のブログを読んでくださっている人には、敢えてこのシンガーの名前を伏せておいて、誰が歌っているのかを当ててみてほしいぐらいだ。

でも、ブログでそんなことをしてもしょうがないから、答えを書こう。このジュニップは、デビュー当時のホセ・ゴンザレスが並行してやっていたバンド。ざらっとしたドラムを叩いているのは、ホセのあの印象的なジャケットのイラストを描いているエリアス・アラヤ(Elias Araya - 発音がこれで正しいのかどうか、いまだにわからない。英語読みならイライアスだろうけど)。

結局この5曲入りEPしか残さなかったバンドだけど、ホセのファンであれば必聴の内容。5曲目はなんと、ブルース・スプリングスティーンの「The Ghost Of Tom Joad」のカバー。もちろん、ホセが歌ういろんなカバー・バージョン同様、完全に彼の色に染め上げられている。


Aboa Sleeping.jpg
18.バーニング・ハーツ (Burning Hearts)
I Lost My Colour Vision
『Aboa Sleeping』

これもフィンランドもの探しの旅で出会ったバンド。フラットな女声ボーカルとコーラス、それにシンセを使った、ヘタクソ一歩手前みたいなバンドサウンドが、80年代初期にバラバラと出てきた沢山のニューウェーブ・グループの名前を思い起こさせる。きっと、そういうのを聴いて育ってきた人たちなんだろうね。親近感を持ってしまうよ。


Tranquil Isolation.jpg
19.ニコライ・ドゥンガー (Nicolai Dunger)
Going Home For Christmas
『Tranquil Isolation』

楽しかった小さなパーティーも終わり、すっかり夜も明けてしまったようだ。宴の後の床に転がっているワインのボトルを踏まないように、まだ酔いが頭に残ったままの誰かが部屋の片隅に置いてあるピアノに近づき、淡々としたメロディーを弾きはじめた。クリスマスには家に帰ろう。そう言っているようだ。では僕も、ざくざくと雪を踏みしめて、自分の属する世界に帰ろう。

まだNZにいた頃に知り合った、さっきとは別の友達に教えてもらったこの人。その頃の僕はまだ北欧ものといえばスウェーディッシュ・ポップぐらいしか頭にイメージがなかったので、こういう人がいるんだというのはすごく新鮮だった(教えてもらったのはこの曲ではなかったけど)。

02年のこのアルバムには、ボニー・プリンス・ビリーことウィル・オールダムが参加している。この人がそういう方面との繋がりを持った人だというのは、たまたま店で安く入手したこのアルバムを聴くまでは知らなかったけど。


またしても、とてつもなく長い記事になってしまった。僕が自分で作ってみたこの流れのミックスCDを聴きながらでなければ、こんなのちゃんと最後まで読んでくれる人はまずいないだろう。自己満足の極致。ストーリー重視で作ったわけじゃないのに、この記事にするにあたって無理矢理ストーリーにはめ込んだものだから、話の辻褄をあわせるのに苦労したし。

もともとyascd012「北欧編」の流れを汲んでスタートしたこのミックス、いくつかの曲は010「癒し系」に入っていてもおかしくないし、009「ピアノ三昧」に入れてもいいようなのもある。最後の方にはタイトルにクリスマスと付く曲が二つも入ってるから005「クリスマス」とも関連しているようだし、更に言えば、一部の読者の方からずっと催促されている辺境系みたいな曲も何曲か入っているから、これは取り様によっては色んなyascdのいいとこ取りと言える内容かもしれない。まあ、必ずしも誰にでも耳心地のいい曲ばかりじゃないから、いいとこ取りと言えるかどうかはわからないけれど。

とにかくこれが、今年の僕からのちょっと早いクリスマスプレゼント。三年前のとは違って、聴いてみたらきっと寒い冬の夜を実感できることだろう。メリー・クリスマス。
posted by . at 12:46| Comment(11) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月10日

yascd013 レゲエとスカと

このブログでレゲエのアーティストを取り上げたのって、今からちょうど一年前になるUB40のときぐらいか。でも、実は僕は結構昔からレゲエを聴いていて、調べてみたら一番最初にレゲエのレコードを買ったのは1981年の6月だったから、過去30年近くの間少しずつ集めてきたそれなりの数のLPやCDが、まあうちにあることはある。

そんな中から、いくつかレゲエやスカやダブのお気に入り曲を集めてみた、半年振りのyascd。普通にレゲエをメインに聴いている人からみたら、えらく片寄った選曲に思えるだろうというのはわかるけど、例によって僕仕様のミックスということで。


1.イナー・サークル(Inner Circle)
Book Of Rules
『Da Bomb』

Da Bomb.jpg

のっけから、さっきのUB40の記事で半ば否定的な書き方をした“お洒落でリゾートな”レゲエチューンを。名前は知ってたけど実はあまりよく知らないグループ。ベストアルバムが沢山出てるね。どういう経緯で僕がこのCDを買ったのかはあまりよく憶えていないけど、きっとこういう気持ちいい南国の音が聴きたかったんだろう。


2.ジョン・ホルト(John Holt)
For The Love Of You
『Darker Than Blue: Soul From Jamdown 1973-1980』

Darker Than Blue.jpg

この秀逸なジャケに惹かれて手にしたこのコンピレーションCD、ソウルやR&Bの曲をジャマイカのアーティストがカバーしたというものだ。凄い有名アーティストや超名曲というのが入っているわけではないけれど、コンセプトのしっかりしたいいアルバム。このジョン・ホルトという人は僕は元々名前しか知らなかったけど、アイズリー・ブラザーズがオリジナルとなるこの曲を名演。


3.マイクル・ローズ(Michael Rose)
The Lonesome Death Of Hattie Carroll
『Is It Rolling Bob? A Reggae Tribute To Bob Dylan』

Is It Rolling Bob.jpg

一方こちらは、ボブ・ディランの曲ばかりをレゲエのアーティストがカバーしたというコンピレーション。一番最後にはボブ自身の演奏も入っている。彼の曲って、本人がメロディ無視で変な声で歌うもんだからよくわからないことが多いけど、こうして上手な人にカバーされると(例えそれがレゲエのアレンジであれ)本当にいい曲だというのがよくわかる。後で出てくるボーカル・グループ、ブラック・ウフルの元リード・ボーカリストのソロ録音。


4.ボリス・ガーディナー(Boris Gardiner)
I Want To Wake Up With You
『Love's Lane』

Lover's Lane.jpg

確か高校のときだったか、それまで弟と共有していた二段ベッドでなく、自分の部屋にタオルケットをひいて寝ていた夏に、ラジオでエアチェックしたこの曲で毎朝起きていたのを思い出す。生まれて初めてのイギリス旅行で、探していたその曲のシングル盤を見つけたのも、その後シンガポールで今はもう廃盤になっているこのジャケ写のアルバム(カセット)を買ったことも全部懐かしい、僕にとって思い出の曲。


5.ガーランド・ジェフリーズ(Garland Jeffreys)
Loneliness
『Guts For Love』

Guts For Love.jpg

このブログには何度か登場している、僕の大好きなアーティストの一人。これは一般的には評価が低いかもしれないけど(「ガーランド・ジェフリーズの一般的な評価」なんてものが存在するとして)、僕にとってはとても思い出深いアルバム。もっとゴツゴツしたビターなレゲエ曲も演る人だけど、ここにはこのとびっきりスイートなやつを入れよう。ほれぼれする歌声。


6.マトゥンビ(Matumbi)
Bluebeat & Ska
『Empire Road』

Empire Road.jpg

さっき81年頃にレゲエを聴き始めたと書いたけど、当時の僕が好んで聴いていたパンク/ニューウェーヴとレゲエとの間には、今では想像もできないほどの親密性があった。そして、その二種類の音楽の挟間を行き来しているうちに何度も名前を見かける人物の一人が、このバンドの中心人物である、デニス・ボーヴェルだった。マトゥンビ〜ソロを通じて、本当はもっとダブ寄りの音を作る人だけど、ここにはこのタイトルどおりのブルービート&スカを。


7.グレゴリー・アイザックス(Gregory Isaacs)
Puff The Magic Dragon
『Reggae For Kids』

Reggae For Kids.jpg

グレゴリーのアルバムは何枚か持っていて、オリジナル曲を入れたい誘惑もあったんだけど、ここにはこの子供向けレゲエコンピから。このCDを買ったのは、ニック・ホーンビィの優れた音楽評論短編集「31 Songs(邦題:ソングブック)」の中でも殊更心を動かされる、彼の息子ダニーについての章を読んだからだ。買ってよかったと思ったCDだったけれど、この本ほどではなかった。「About A Boy」以上「High Fidelity」未満という、僕の中では最上級に属する褒め言葉を贈りたい(なんでいつの間にか本の話になってるんだか)。


8.ブラック・ウフル(Black Uhuru)
Plastic Smile
『Black Uhuru』

Black Uhuru.jpg

3のマイクル・ローズが在籍したグループの79年盤から。彼らの82年のライヴ盤『Tear It Up』はあの当時聴いたレゲエアルバムの中でも最も強烈な印象を残すものの一つだった。曲後半のダブ展開は、当時のレゲエ界最強のリズム・コンビ:スライ・ダンバーとロビー・シェークスピアによるもの。ぶっきらぼうなエンディングもクール。


9.ランキン・タクシー(Rankin' Taxi)
放射能エライ[危ういでVersion]
『Watating』

Watating.jpg

ここでちょっと異色なのを。僕の96年のアルバムベスト5に入るこのランキン・タクシーの名盤から。さすがに13年前の時事ネタは今聞くとちょっと辛いところもあるけど、この言葉の魔術は絶品。この曲自体は彼の過去の作品の焼き直しだから、きっと今でも同じ曲に新しいネタを乗せて歌い続けていることだろう。アフィリエイトしようと思ったら、これ廃盤なんだね。代わりにオリジナル「誰にも見えない、臭いもない」収録のベスト盤を貼っておこう。


10.UB40
I Think It's Going To Rain Today
『Signing Off』

Signing Off.jpg

さっき書いた一年前の記事でこのブログに初登場したバンド。僕がこのグループについてどう思ってるかはその記事を参照してもらえばいい。このファーストをリアルタイムで聴いたときには僕はそうとは知らなかったけど、これはランディ・ニューマンの曲。そういえば、003に本人が登場して以来、008のサニー・ランドレスによるカバー、009のアーロン・ネヴィルによるカバーと、yascdにはこの人の曲がやたらと出てくるね。


11.スクリッティ・ポリッティ・フィーチャリング・シャバ・ランクス(Scritti Politti featuring Shabba Ranks)
She's A Woman

She's A Woman.jpg

こちらも僕のブログにはもう何度も登場している、スクリッティ・ポリッティ。これは91年(アルバムでいうと『Provision』後)にレゲエ歌手のシャバ・ランクスと共演したシングル。アフィリエイトしようとしたけど、このシングルが廃盤なのはもちろん、どのアルバムにも入ってないね。相変わらずのグリーン声とシャバのギトギトな声のコンビネーションが、アイスクリームのテンプラみたいに妙に合う。おまけになんといっても素材がビートルズだからね。


12.ボブ・マーリー(Bob Marley)
One Cup Of Coffee
『Songs Of Freedom』

Songs Of Freedom.jpg

ボブ・マーリーを入れないわけにはいかないだろう。でもどれを?ということで、この1962年のボブ17歳のときの録音を。これは、92年に出た4枚組限定ボックスから。だったのに、リンク先にあるように最近は普通のCDケースサイズになって限定解除で再発。ビートルズの音源はあんなに厳重に管理されて、リマスター再発が一大事件になるほどなのに、音楽界にとって同じぐらい大切なボブ・マーリーの音源がデタラメに扱われていることにいつも憤りを感じる。劣悪な音のライヴ音源なんて出さないでほしい。でもこういうきちんとした編集盤は大歓迎。同ボックス収録の、死の間際の「Redemption Song」の弾き語りライヴは必聴。


13.ニック・ロウ(Nick Lowe)
Cool Reaction
『The Abominable Showman』

The Abominable Showman.jpg

さてここからしばらくは、イギリスの所謂レゲエアーティストじゃないのが続くよ。まずは、来日を間近に控えた彼から。83年のこれは彼の数多いアルバムの中でも必ずしも一般的評価が高いものではないが(「ニック・ロウの一般的な評価」なんてものが存在するとして)、僕はとても好きな一枚。この端正なレゲエ・マナーのベースを弾いているのがニック自身なのかジェームズ・エラーなのかはわからないけど、コンパクトながら一度は生で聴いてみたい逸品(絶対に無理だろうけど)。


14.マッドネス(Madness)
Grey Day
『The Heavy Heavy Hits』

The Heavy Heavy Hits.jpg

80年代初期のスカ・リバイバル/2トーンブームに乗って出てきた彼らだけど、その後スカとかに関係なく、本当にいいバンドになったと思う。なんて偉そうなこと言っておきながら、僕もずっと追っかけてきたわけではないんだけどね。最近でも地道に活動している彼らの、これは81年作。今月ファースト『One Step Beyond』の30周年記念2枚組が出るみたいだね。ちゃんと買いなおそうかな。


15.プラネッツ(The Planets)
Let Me Fall
『Spot』

Spot.jpg

ちゃんと説明するとこの記事一話分ぐらいになるから省略するけど、デフ・スクールが解散して、中心人物の一人は80年代中期に売れっ子プロデューサーとして活躍、もう一人が結成したのがこのプラネッツ。2枚のいいアルバムを作ったものの、レゲエを取り入れたニュー・ウェーヴ・サウンドのせいで小型ポリースみたいな不当な扱いを受け、あえなく消滅。スティーヴ・リンゼイって今どうしてるんだろう。このジャケはその2枚を2in1化したCD。もう廃盤みたいだけどね。残念。


16.ビート(The Beat)
Twist & Crawl
『B.P.M.』

B.P.M..jpg

こちらは2トーン組。実力はありながら、なんかいつも脇役扱いされてたような気がするけど(僕の中だけだろうか)、この人たちも今聴いてもいいバンドだったなと思う。僕はオリジナル・アルバムは一枚も持ってないけど、ベスト盤を二種類も持っている(うち一種は二枚組)。これは、後半にダブ・パートが付いたロング・ヴァージョン。


17.スペシャルズ(The Specials)
Little Bitch
『Specials』

Specials.jpg

2トーンを代表する彼らの曲で、このスカ・リバイバルコーナーを締めよう(いつの間にかコーナーになった)。エルヴィス・コステロがプロデュースした、ジャケも最高に格好いいこの名作デビュー・アルバムから。さっきパンク/ニューウェーヴとレゲエがどうのこうのと書いたけど、その融合が一番わかりやすく、最適な形で完成したのがこのアルバム。


18.リントン・クゥエシ・ジョンソン(Linton Kwesi Johnson)
Want Fi Go Rave
『Forces Of Victory』

Forces Of Victory.jpg

冒頭に書いた、81年の6月に買ったレゲエのレコードとは、リントン・クゥエシ・ジョンソンの曲をデニス・ボーヴェルが処理した『LKJ In Dub』というアルバムだった。我ながら、どこからレゲエに入ってるんだかという感じだが。今でも、うちのCDラックのレゲエ関連コーナーに、ボブ・マーリーに次いで沢山あるのがこの人のアルバム。ロンドン在住のダブ・ポエット。何言ってるのかほとんどわからないのが難点だけど(恥)、デニス・ボーヴェル作の音も含めてすごくかっこいいよ。


19.リトル・テンポ(Little Tempo)
Ron Riddim
『Ron Riddim』

Ron Riddim.jpg

一方こちらは、日本を代表するダブ・バンドのファースト・アルバムから。こんな歌も入っていない長尺の曲なのに、最初の一音から最後まで緊張感が全く途切れない、この上なくクールな音。かなり頻繁なCDのリリース・ペースについていけなくなって、僕は最初の数枚しか持っていないけど、どれを聴いても気持ちいい。


20.マイティ・ダイアモンズ(Mighty Diamonds)
Be Aware
『Deeper Roots』

Deepr Roots.jpg

最後にジャマイカに戻ろう。さっきまでの冷ややかなトーンから一転、まるで冬のトンネルを抜けたかのようなこの暖かい音とボーカルが心地良い。3分にも満たない小品だけど、こういう秀逸なボーカル・グループの曲はいつ聴いても心が和むね。


いつも書いてる種類の音楽に比べて僕の中での情報量が圧倒的に少ないジャンルなので、もっと短く簡単に書けるかと思ってたんだけど、やっぱり20曲それぞれについて何か書こうとすると、それなりの分量になってしまうね。これから徐々に寒くなっていく季節に、これ聴いてちょっとでも暖かい気持ちになれればいいな。
posted by . at 22:26| Comment(18) | TrackBack(1) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月26日

yascd012 北欧4カ国80分間の旅

最近の自分の北欧モードを反映して、約半年振りにこの企画を。

と思いついたはいいけれど、数えてみたらいつのまにか100枚以上も集まっていたうちの北欧物のCD・レコードからどうやって選曲してどう並べようかと考えた結果、国別にまとめてみることにした。珍しいけれどまとめるほども数のないエストニアとかラトヴィアとかのCDは残念ながら落選。それでも80分のCD-Rに収めるには激戦区となった、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランドの4カ国を巡る音楽の旅に出かけてみよう。

まずはスウェーデンから。さすが北欧ポップの聖地だけあって、うちの北欧物ラックの半分ぐらいはスウェーデンものだった。それをわずか数曲に絞り込むのはちょっと大変なので、この国だけは二つのパートに分けよう。


近頃のスウェーデン編

Wave Another Day Goodbye.jpg
1.ロンダーリン(Ronderlin) Reflected
『Wave Another Day Goodbye』

去年の2月17日、このブログで最初に北欧特集をしたときに取り上げたこのアルバムから。そこにも書いたけど、いかにも「僕たちベルセバ好きです」ってのがありありとわかるこのギターにこのメロディー。実はセカンドアルバムの「ニセニューオーダー」ぶりも結構捨てがたく、このバンドだけは2曲入れたかったほどだけど、散々迷ったあげくこちらを。ニセニューオーダーの方はまたそのうち別の機会に。


Loney, Noir.jpg
2.ロニー・ディアー(Loney, Dear) I Am John
『Loney, Noir』

僕が北欧物のネタを仕入れるときの大方の例に漏れず、xiao61さんのブログ「good times gonna come...」で教えてもらったこのアーティスト。エミル・スヴァナンゲンと読むのかな?彼の一人プロジェクト。上品なアルバムの作りにしても、綺麗なジャケ写にしても、ほんとにセンスのいい人なんだなと思う。この曲は、チャイムの音がかわいい、ポップな小品。小人のお祭りを見ているような、地味な盛り上がりがほんのりとした高揚感を誘う。


Our Ill Wills.jpg
3.シャウト・アウト・ラウズ(Shout Out Louds) Normandie
『Our Ill Wills』

こないだのノーザン・ポートレイトに始まって、やたらと「ニセ誰々」を連発しているけど、決してオリジナリティがないとか、そういうネガティブな意味で書いているわけではないよ。このあたりの人たちは当然僕よりもひとまわり以上も若いけれど、きっとみんな僕と同じく80年代のイギリス音楽ばかり聴いてきたんだろうなと、愛しく思えてしまう。この子たちは、しいて言うならニセキュアー。しかも、「Close To Me」あたりのポップサイドのキュアー。あ、僕の持ってるこの日本盤の解説、アップルクランブルの松本さんだ。


Low Season Combo.jpg
4.ロウ・シーズン・コンボ(Low Season Combo) City Without A Skyline
『Low Season Combo』

「近頃のスウェーデン編」最後は、去年11月1日の記事で宇治金時の金時役を務めていたこのアルバムから。その記事によると、「平均点60〜70点ぐらいの生徒の中にたまに飛びぬけて95点とか100点の凄い奴もいるといった感じ」ということで、僕曰く100点の曲がこれ。6分半もあるのに、そんなに凝った作りというわけでもないのに、何度聴いても全然飽きない。なになに?「絶好調時のティーンエイジ・ファンクラブに匹敵する」?いや、まったくそのとおりだと思うよ。


デンマーク編

海を渡ってデンマーク。デンマークって、ドイツの隣なのにどうして北欧扱いされるんだろうと不思議に思ってたんだけど、改めて地図を見ると、コペンハーゲンのある島って、もうほとんどスウェーデンのすぐ対岸って感じだね。しかも、その対岸のスウェーデン側にあるのが、タンバリン・スタジオで有名なマルメ。きっと文化的にも、地続きのドイツなんかよりスカンジナビア寄りなんだろうね。

Lost In You.jpg
5.タイガー・ベイビー(Tiger Baby) Sweetheart
『Lost In You』

カナダの北欧音楽専門サイト、ポプシクルでこの次のアルバムを試聴してわりと気に入っていたところ、中古屋で偶然見つけたのがこのファーストアルバム。打ち込みのリズムにウィスパリング・ヴォイスのダブルトラックというちょっとお洒落系な作りで、この日本盤CDの帯やら解説やらにやたらとセイント・エティエンヌの名前が踊っていたのがよくわかる音。普段の僕の趣味からは微妙に外れるんだけど、たまにはこういうのを聴いてお洒落な気分に浸るのもよいかと。


Once Upon A Time In The North.jpg Artboy Meets Artgirl.jpg
6.モア・カプリス(Moi Caprice) Artboy Meets Artgirl
『Once Upon A Time In The North』

これも去年の2月17日の記事で取り上げたグループ。3つのグループについて書いたその記事では一番淡々とした書き方をしていたけれど、結局あの後一番病みつきになって、全アルバムとシングルを入手済み(しかもセカンドとサードはアナログで)。この曲は彼らのファーストアルバムから。なんだけど、実は先の記事に載せた、誰も分からない程度にミックスの違うシングル盤のヴァージョンの方が僕は好きなので、ここにはそっちを入れることにしよう。アマゾンでは扱ってないね。さっきのポプシクルでも、アップル・クランブル・レコードでも、簡単に入手できるので、こういう良質のアルバムはそういう良質のお店でどうぞ。


Napoleon Sweetheart.jpg
7.ノーザン・ポートレイト(Northern Portrait) 
I Give You Two Seconds To Entertain Me
『Napoleon Sweetheart EP』

これはつい先々週の記事で取り上げたばかり。ニセスミス。特にこの曲はそんな感じだね。この声の裏返り方なんて、目をつむって聴けば(別に目を開けてても目の前にいるわけじゃないけど)ほんとにモリッシーかと思ってしまう。こないだ書いたばかりだからとりたてて追記することはなし。しいて言えば、こういう作りのEPがいつまで流通しているのか知らないけど、気になる人は入手しておいた方がいいかも、ということぐらいかな。


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8.グレイト・デプレッション(The Great Depression) Ill Prepared
『Forever Altered』

僕のブログにこのグループの名前がかつて登場したことを覚えている人はまずいないだろう(だからどうってことはないんだけど)。一昨年の11月24日、僕がリアル・グルーヴィーで最後の買い物をしたときに当時のレートで350円でこれの前のアルバムを買った(今のレートなら半額なのに…)。あ、その記事をよく見ると、そのとき買ったのは友達用だね。自分のはそのちょっと前に買ったんだった。このクラゲのジャケの新作は、女声コーラスがどっさり入っていて、あの時のアルバムよりもずいぶん豪華な音の作りになっている。このちょっと不安げなメロディーは相変わらずだけど。


ノルウェー編

スカンジナビア半島に戻って、フィヨルドの国、ノルウェイへ。あの入り組んだフィヨルドの海岸線、まっすぐ伸ばすと21000キロもあるんだって。地球一周が40000キロだから、半周分もあるってことだよね。人間の腸の長さが9メートルとかいうのと同じ種類の驚き。

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9.ディラン・モンドグリーン(Dylan Mondegreen) That Mortal Kiss
『While I Walk You Home』

さっきから引用している去年2月17日の記事の中で一番最初に登場したのがこの人。相変わらずアマゾンでは取り扱いがないね。どうしてこんなによく出来たアルバムがちゃんとメジャーで流通しないんだろう。きっと一般的にはこのアルバムからは「Girl In Grass」が定番ということになるんだろうけど、僕はその記事にスミスの「Still Ill」風と書いたこの曲がお気に入り。マイスペースによると、この2月から新作アルバムのためのレコーディングを開始したとのこと。発売は来年とかになるのかな。気長に待っていよう。


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10.トゥインクルヘッド(Twinklehead) Get It On
『Twinklehead』

去年の3月20日、北欧三部作の完結編で取り上げたグループ。これも相変わらずアマゾンでの取り扱いはないけど、マーケットプレイスにファーストアルバムが出てるから、一応リンクしておこう。ファーストもこれに負けず劣らずいいアルバムだからね。上からここまで80年代UKインディーに影響を受けた音が大半だったけど、この人たちは先の記事に書いたとおり、60年代ポップス丸出しの音。マイスペースには、サードアルバム作成中みたいな最新記事が載っているけど、その記事がアップされたのは07年の10月だよ… どうしちゃったんだろう。このまま消えてしまわなければいいんだけどな。


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11.エギル・オルセン(Egil Olsen) California
『I Am A Singer / Songwriter』

一方こちらは去年4月5日の記事で取り上げたSSW。こうして見ると、別に意識していたわけではないのに、僕結構ノルウェー人のアルバムについて書いてるんだね。今まであまり意識したことなかったけど、なんだか急にフィヨルド巡りがしたくなってきた。さて、ここでは彼の代表曲「Singer/Songwriter」でなく、おとぼけPVも楽しかったこの曲を。一聴なんてことないフォークソングのようだけど、ボソボソと歌い始めた彼の声がファルセットになる頃には、これが地味ながらどんなにメロディアスな曲かというのがよくわかる。いいアルバムだったよね。次のはまだ出ないのかな。


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12.モーターサイコ(Motorpsycho) Neverland
『It's A Love Cult』

一転、日本のグループサウンズみたいなギターとコーラスで始まるこの曲。この人たちについては一度も書いたことはないね。と言うほど僕も詳しいわけじゃないんだけど、これまでかなりの数のアルバムを発表してきているベテラングループの、これは03年作。お隣スウェーデンのアトミック・スイングといい、北欧ポップという常道ジャンルではくくれない人たちがいるんだよね。曲も格好いいけど、このロールシャッハ赤ちゃんみたいなジャケも好き。


あの頃のスウェーデン編

二組に分けたスウェーデンの後半は、北欧ポップといえば普通はこれでしょうという、輝かしき90年代中盤スウェーディッシュ・ポップを集めて。僕はあの頃このへんの人たちをそんなに熱心に聴いていたわけじゃないんだけど、やっぱりこういう音は大好き。パワポ特集のyascd002には、ちょっとスウェーディッシュ・ポップとは呼べないアトミック・スイングを入れたけど、ここに入れる人たちの誰が選ばれてもおかしくなかったはず。

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13.グラス・ショウ(Grass Show) Easy
『Vertigo』

グラス・ショウといえば、95年のデビュー作『Something Smells Good In Stinkville』が各中古CD店の投売りワゴン常連として一部では有名だけど(いい内容のアルバムなのにね)、完全にそのアルバム一発屋だと思われていた彼らの、これは03年になって日本で出た編集アルバムから。もうそんな時期、誰もがこんなグループのことは忘れていたから、お約束のように売れなかったんだろうね。アマゾン探してももうないや。マイスペもないし、きっともう解散しちゃったんだろうね。


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14.トランポリンズ(The Trampolines) (Taking The) Easy Way Out
『Splash!』

90年代スウェーディッシュ・ポップの代表格と言っても差し支えないんじゃないだろうか。このブログの06年12月24日の記事にジャケだけ載せたセカンドアルバムや犬のジャケがかわいいサードアルバムと並んで、こちらも中古CD屋にうなるほど置いてあるファーストアルバム。上にリンクしたアマゾンのマーケットプレイス、「105点、1円より」だって。かわいそうに。同じスウェーディッシュ・ポップでも、ちょっと流通量の少なかったワナダイズなんかは結構なプレミアつけて売られてるのに、この人たちはなまじっか売れただけにこんな扱い。もったいないね。いい音楽を聴きたい人は、1円玉握り締めて中古屋へ急げ!(急がなくてもいっぱい売ってるけど)。


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15.クラウドベリー・ジャム(Cloudberry Jam) This And That
『Cloudberry Jam』

同じく中古屋捨て値コーナー常連でも、こちらはなんと今年になっても新譜を出し続けているという長寿バンド(途中で一旦解散してるけど)。まさかあの当時、この人たちが一番続くなんて誰が予想しただろう。なんて否定的な書き方をしてるけど、この疾走感に溢れた貫禄たっぷりの佳曲を聴けば、デビュー時から既にどれだけ実力のあった人たちだったかというのがよくわかる。全然追っかけてきたわけじゃないけど、新譜、買ってみようかな。


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16.ポプシクル(Popsicle) Histrionics
『Abstinence』

さっきのカナダの北欧音楽専門サイトの名前の元になったのが、このバンド。一時はこの人たちのCDも中古屋に溢れかえっていたものだけど、最近あまり見ない気がする。そろそろ飽和状態を脱して、再評価間近か!? 間奏のギターソロが「Born To Run」のフレーズをなぞって弾くのがいいよね。モア・カプリスもシングル盤のカップリングでその曲をカバーしていたけど、みんな80年代UKモノだけじゃなくて、スプリングスティーンも好きなんだよね。


アイスランド編

最後ははるばるアイスランドへ。アイスランドを北欧に含めるのに異論のある人もいるかもしれないけど、いわゆる西欧文化とは異なる北方の文化圏の音楽ということで、ここで一緒に語ってしまおう。「北欧 POP MAP アイスランド、ノルウェイ、デンマーク、フィンランド編」の本でも一緒に扱われてるし。しかも一番前で。

Heim.jpg
17.シガー・ロス(Sigur Ros) Staralfur
『Hvarf/Heim』

このブログには何度も登場しているのでもうすっかりお馴染みのこのグループから。この曲は元々99年のセカンドアルバム『Ágætis byrjun』に収録されていたものだけど、この07年発表の2枚組アルバムから、アコースティック・ヴァージョンを入れよう。オリジナルの方が凝った音作りで面白いけど、こっちの方がピアノの音の立ち上がりにインパクトあって好きなんだ。このヴァージョンの演奏風景はDVD『Heima』で確認できるけど、一緒に弦楽器を弾いてるのはもちろんアミーナ。このDVD、シガー・ロスの音楽もアイスランドの風景も素晴らしいので、少しでも興味のある人は是非どうぞ。そんなに安いものじゃないけど、損はさせないよ。

Post.bmp
18.ビョーク(Bjork) Hyperballad
『Post』

シガー・ロスもすっかりメジャーだけど、きっと一般的にはアイスランドといえばこの人が連想されるはず。あまりのリリースのペースに最近ちょっとついていけずにいるけど、これは懐かしい95年のセカンドアルバムから。ほんとはジャケも中身もファーストが一番好きなんだけどね。ところでこのアマゾンのリンク、新品919円って本当?まあ、この人の初期のアルバムも、最近中古屋でかなり目につくようになってきたから、新品でも紙ジャケで出したりこういう値付けにしないと売れないんだろうね。

Apparat Organ Quintet.jpg
19.アパラット・オルガン・カルテット(Apparat Organ Quartet) Cruise Control
『Apparat Organ Quartet』

ソロではクラシックかと思うほどのアルバムを発表しているヨハン・ヨハンセン(Johann Johannsson)率いる「マシーン・ロックンロール・ユニット」。メンバーは、キーボードが4人にドラムが1人。YMOがハードロックを始めたのかと思うようなこの曲は、ここまでの流れにあってかなり異色だけど、これはこれでラスト前に結構しっくりきてるんじゃないかなと自分では思っている。さすがにこの曲の前後にヨハンのソロ曲は並べられなかったけどね。

Kurr.jpg
20.アミーナ(Amiina) Rugla
『Kurr』

「マシーン・ロックンロール・ユニット」に散々暴れ散らしてもらったあとは、この不思議な妖精が奏でる音楽でしっとり閉めよう。昨年3月14日、北欧三部作の第二部で紹介したこの人たち。その記事には「一日の終わりに聴いていると、心臓の周りに絡まった硬い糸のようなものがゆっくりと少しずつ解きほぐされていくのが実感できる」と書いたけれど、こうして1曲だけ取り出してこの80分の最後にそっと置いても、同じことを感じる。奇跡のような音楽だと思う。


ホセ・ゴンザレスをはじめ、スウェーデンはこれでも苦渋の選択で落とした人たちがいっぱいいるし、僕にしては珍しくノルウェーのジャズのCDも何枚かあったんだけど、そのへんも軒並み落とさざるを得なかった。それでも、自分でこうして並べてみて通して聴いてみたら、それなりの出来にはなったんじゃないかなと自負している。こういう爽やか系も、これからの季節には合うかもね。
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2008年10月05日

yascd011 Go Easy, Step Lightly,

自画自賛を許してもらえるならば、去年の6月に作ったyascd010は自分でも中々の出来だったと思うし、コメント欄では「最高傑作」なんて有難いお言葉も頂戴した。あれ以降も何度か「次のyascdを」というコメントも頂いたのだが、知らず知らずのうちに前のよりもいいのを作ろうと自分の中でハードルが高くなっていたのかもしれない。

まあ、実際には、NZからの帰任にまつわるゴタゴタと、東京での新しい仕事と出張に追われて、ゆっくり選曲したりする余裕がなかったというのが実情なんだけどね。

思い起こせば、これまでのyascdって、どこかのコメント欄で話題が盛り上がったとか、コメンターさんにリクエストされたとか、誰かに聴かせることを念頭に置いて作ることが多かったんだよね。きっとそれも、モチベーションでありながら同時にプレッシャーになっていたのかも。

ちょっとそういう(半ば自己満足的な)モチベーション&プレッシャーから少し離れて、純粋に自分の楽しみのためだけのミックスCDでも作ってみようかなという気持ちになった。リハビリ的に。なので、今回のは、少なくとも普段コメントをくださるコメンターの方々のどなたの嗜好にも刺さらないだろうなと思っている。


さて本題。僕がちょっとしたクラッシュ(The Clash)のファンだというのはこのブログでも折に触れて書いてきた。そして、ちょっとマメなクラッシュのファンなら誰でも共通してやったことがあると思われるのが、ミック・ジョーンズ(Mick Jones)がリード・ヴォーカルをとる曲を集めたミックステープ作りだろう。

一般的にはパンクロックバンドとして知られるクラッシュだけど、思いのほか多数存在するミックのヴォーカル曲だけをピックアップしてみると、実は全然パンクっぽくなんてない。クラッシュがパンクでなくなったと言われる時期よりもずっと前から、はっきりとそれはわかる。

思想的にも音楽的にももっとパンク寄りだった(少なくとも当時の)ジョー・ストラマーに対して、単純に「ロックンロールが好き/格好いいギターが弾きたい」といった気持ちだけが見えていた人だった。そしてその気持ちは、後に彼がクラッシュを追い出される頃には、「ヒップホップってかっこいい/その時代で最先端の音楽を演りたい」という風に変化していった。

彼は全盛期のクラッシュの殆どの曲を作曲した(そして、ジョー・ストラマーがそれに詞をつけた)。パンクと呼ばれようがロックンロールと呼ばれようが、それらは最高に格好いい曲だった。スクイーズのクリス・ディフォードとグレン・ティルブルックが僕らの時代のレノン=マッカートニーだとしたら、ジョー・ストラマーとミック・ジョーンズのコンビは、僕らの時代のジャガー=リチャーズだ。ただ、本当に残念なことに、ミックってえらく音痴なんだよね。なんであんな音程の不安定な人があんなに素晴らしい曲を書けるのかが、僕は昔から不思議でしょうがない。


前置きが長くなった。今度こそ本題に入ろう。ここに集めた20曲は、77年のクラッシュのファーストアルバムから、去年出た彼の現在のバンド、カーボン/シリコン(Carbon/Silicon)のアルバムまでの30年の歴史を、ほぼ年代順に並べたもの。年代順なんで簡単なんだけど、金曜の晩思いついて次の朝に作ったわりにはまともなミックスができた(と、またもや自画自賛)。


The Clash.jpg The Clash 『The Clash』
1.Protex Blue
2.Hate & War


記念すべきクラッシュのファーストアルバムから、でもあまり目立たない2曲を。「Protex Blue」なんて、アメリカ盤からは落とされてるぐらいだからね。まあ、当時イギリスでメジャーだったプロテックス社のコンドームの歌なんて、過激なパンクバンドのアルバムには不要と思ったのかも知れないけど。一方、“ラブ&ピース”の逆である「Hate & War」は、いかにもなパンクのスローガン。こういう曲を聴くとよくわかるけど、ミックとジョーの声って、砂糖と塩ぐらいテイストが違うのに、混ぜ合わせると化学反応を起こしたのかというほどいい味になるよね。


Pearl Harbour '79.jpg The Clash 『Pearl Harbour '79』
3.Gates Of The West
4.Jail Guitar Doors


これは僕にはとても思い出深いアルバム。最初にクラッシュを聴いたのがこのLPだった。これは、上のファーストアルバムのアメリカ盤(イギリス盤の曲目を大幅に変え、当時シングルでしか出ていなかった曲を大量に盛り込んだもの)に、ジャケット全体を覆う帯(?)を付けた日本盤。そのおまけについていたシングル盤「Gates Of The West / Groovy Times」が、僕の音楽人生を変えた。今でも僕にとってはクラッシュの全部の曲の中でも一番目と二番目に好きな曲だ。どっちが一番でどっちが二番かは迷うけど。

「Jail Guitar Doors」は、ファーストアルバムの後に出たシングル「Clash City Rockers」のB面曲。そのA面曲と一緒にこのアメリカ盤(と日本盤)に収められた。ここではミックが歌っているが、元々はジョーの曲で、彼がクラッシュに入る前に在籍していた101'ersの唯一のアルバムがCD化されたときにライヴ録音が収録されたというのは最早とりたててトリビアな話でもないだろう。


Super Black Market Clash.jpg The Clash 『Super Black Market Clash』
5.The Prisoner

一方こちらは「Clash City Rockers」の次に出たシングル「(White Man) In Hammersmith Palais」のB面曲。アメリカ盤ファーストには入らなかったので、後にアメリカでのレア曲ばかりを集めた『Black Market Clash』という10インチ盤に収められることになった。その10インチ盤のままの曲順のCDも存在するが、やがて拡大版のこの『Super Black Market Clash』に取って代わられた。僕はオリジナル版の地味な色合いが好きなんだけど、なにしろ茶色基調のそのジャケだとこのブログに載せるとカメレオンほど目立たないのでこっちを。


Give'em Enough Rope.jpg The Clash 『Give'em Enough Rope』
6.Stay Free

さっき、マメなクラッシュ・ファンはミック・ジョーンズがリード・ヴォーカルをとった曲を集めたミックステープを作るって書いたけど、(僕も含めて)そいつらは全員例外なく、この曲を何度も聴きたいがためにそんなことをしているはず。おそらく、ミック・ジョーンズが作った最高の一曲。実話を基にしたと言われる、彼の子供の頃からの友達との友情を描いた、歌詞も曲もちょっとじわっとくるような、僕らの時代のアンセム。


London Calling..jpg The Clash 『London Calling』
7.Lost In The Supermarket
8.Train In Vain
9.I'm Not Down


2年前のこの記事で「レガシー・エディション」というのを取り上げた、一般的にはファーストと並んでクラッシュの最高傑作と称される『London Calling』から3曲続けて。当時、クラッシュはパンクじゃなくなったとか裏切り者だとか一部で酷評されていたアルバムだったけど、彼ら自身がパンクというたがを外すことが出来たからこそ、これだけ幅の広い名曲を続けざまに生み出すことができたんだと思う。


Sandinista!.jpg The Clash 『Sandinista!』
10.Somebody Got Murdered

80年の3枚組LP『Sandinista!』には、ミックが当時の彼女、エレン・フォリーとデュエットしている「Hitsville U.K.」というシングル曲があるんだけど、ちっともヒットしなかったその曲(僕はそれほど嫌いではないんだけど)でなく、こちらを入れよう。6面、2時間半に及ぶごった煮のようなアルバム(僕は世間で酷評されるほど嫌いではないんだけど)においては、わりと典型的なクラッシュらしい曲といえる。

82年の『Combat Rock』には、「Should I Stay Or Should I Go』という、確かクラッシュの全シングルの中でも1〜2を争うほど売れたミックの曲があるんだけど、僕はその曲をクズだと思っているので、ここには入れない。クラッシュ時代はここまで。


Spirit Of St. Louis.jpg Ellen Foley 『Spirit Of St. Louis』
11.Torchlight

上に書いた、ミックの当時のガールフレンド、エレン・フォリーの81年のアルバム。クラッシュの4人とキーボードのミッキー・ギャラガー、ベースのノーマン・ワット=ロイ、ヴァイオリンのタイモン・ドッグという、『Sandinista!』期の拡大クラッシュ組が全員参加して、アルバム中半分が“ストラマー=ジョーンズ”作の曲で、おまけに「Produced by my boyfriend」などと歯の浮くようなクレジットが載っていた。

つき合って間もない彼女の名前でタトゥーを入れるような行為だね。それらのクレジットに釣られて否応無くこのアルバムを買わされるこっちの身にもなってほしいよ。


This Is Big Audio Dynamite.jpg B.A.D. 『This Is Big Audio Dynamite』
12.The Bottom Line (Def Jam Remix)
13.E=MC2 (Extended Remix)


クラッシュ脱退後の85年に出た、ミックの新グループ、ビッグ・オーディオ・ダイナマイト(Big Audio Dynamite、以下B.A.D.)のデビューアルバム。『Sandinista!』までの変遷を知っていたファンなら、同時期に出た抜け殻クラッシュの『Cut The Crap』よりも、クラッシュの次のアルバムはこうなったはずと思えるような出来だった。どちらのアルバムも、先の例で言うなら、塩だけとか砂糖だけで味付けしたようなコーラスラインにがっかりさせられたものだけど(特に歌が下手なミックの方)。

僕はこのアルバムをLPでしか持っていないので、CD-Rにまとめるために、リミックスアルバム『The Lost Treasure』からこの2曲を代わりに。どちらも元は『This Is B.A.D.』からの代表曲。


No.10, Upping St..jpg B.A.D. 『No.10, Upping St.』
14.V.Thirteen
15.Sightsee M.C!
16.Beyond The Pale


B.A.D.のファーストを優れたアルバムだと認めてはいながら、でもやっぱりクラッシュの幻影を追い続けていた未練がましいファンにとって、このセカンドアルバムにジョー・ストラマーが参加したというのは狂喜乱舞の出来事だった。世間的にはファーストよりも弱いと言われているこのアルバムから、ジョーが参加したこの3曲のどれも落としたくなかったんで、こういう選曲に。


The Globe.jpg B.A.D.II 『The Globe』
17.Rush

あらゆる種類の音楽を聴くけれど、ヒップホップだけはちょっと、と思っている僕にとっては、80年代後半以降のミックの趣味はことごとく合わなさ過ぎた。コンスタントに出ていたアルバムは殆ど買わなくなったし、ずっと後になってから、安くなっていた(しかも限定でライヴ盤との2枚組だった)これを買ってみたんだけど、やっぱりあんまり好きにはなれなかったな。この時期、B.A.D.はミック以外のメンバー総入れ替えで、B.A.D.IIと改名。


Higher Power.jpg Big Audio 『Higher Power』
18.Looking For A Song

ミックがやや歌モノに回帰したと何かで読んだこのアルバムは、94年に出た当時に買ってみた。アルバム全体は何度も通して聴きたい感じではなかったけど、シングルカットされたこの曲は好き。この当時、またもグループ名をBig Audioに改名。先の『The Globe』のところにリンクを貼った、B.A.D.の代表作が5枚セットになって廉価で今年再発されたものには、このアルバムは選ばれていないね。ミック・ジョーンズの音楽が一番低い評価を受けていた時期のアルバム。もう再発されることもないんじゃないかな(と、それだけの理由で中古屋には売れない僕)。


Good Morning Britain.jpg Aztec Camera and Mick Jones 『Good Morning Britain』
19.Good Morning Britain (Live)

ちょっと数年遡って、90年に突然アズテック・キャメラ&ミック・ジョーンズ名義で発表されたこのシングルから。表題曲は今ではアズテック・キャメラ(Aztec Camera)のベスト盤に収録されて気軽に聴けるようになったけど、カップリングされていたこのライヴヴァージョンはちょっとレアかも。

アズテック・キャメラといえば、名曲「Walk Out To Winter」での「ストラマーのポスターが壁から落ちて、もうそこには何も残っていない」という歌詞でしかクラッシュとの繋がりを想像できなかったので(そしてその歌詞から、もしかしたらロディー・フレイムはクラッシュに対してネガティヴな印象を持っているのかもとも思っていたので)、このコラボ自体、それから「僕の友達を紹介するよ。ミック・ジョーンズ」というロディーのMCは、両方のファンである僕にとってはとても嬉しいものだった。


The Last Post.jpg Carbon/Silicon 『The Last Post』
20.The News

そして、尻すぼみ的なビッグ・オーディオの解散から10年弱、ミックはクラッシュ結成前に在籍していたロンドンSSの盟友、トニー・ジェイムス(Tony James)と共に、カーボン/シリコンを結成。自分達のサイトで何枚ものデジタルアルバムを発表した後、昨年ようやくCDとして発売されたのがこのアルバム。このグループ、元クラッシュ〜B.A.D.のミック、元ジェネレーションX〜ジグ・ジグ・スパトニックのトニー、元B.A.D.のべーシスト、レオ・ウィリアムズ、元リーフのドラマー、ドミニク・グリーンスミスという、かなり地味ながらちょっとしたパンク〜ニューウェーヴのスーパーバンドだ。

僕としては、ミックがまたギター満載のロックに戻ってきてくれたのがなによりも嬉しい。すっかり頭は寂しくなってしまったけど、ギターを構えて歌う姿はクラッシュ時代から何も変わっちゃいない。この、単音のフレーズとリフのタイミングのズレが妙に心地良い曲も、いかにもミック作といった感じ。




久し振りのこの企画、このブログとしても久々の超長文になってしまったね。もう誰も読んでいないかもしれないけど(あるいは、冒頭とここしか読んでいない人もいるだろうけど)、ちゃんとリハビリとして機能するかな。
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2007年06月24日

yascd010 癒し系ではないけれど

カルシウムが足りないのかしら…
by Luna at 2007年05月29日 19:00


兄ィ、次回yascdのテーマが決まりましたね。“母に捧げるストレス解消ミュージック”でお願いします。
by ひそそか at 2007年05月29日 22:19


ストレスをためないで心安らかに引越しするために聴くといい曲ってなんでしょうか。心は休まるけど、気力は充実して、てきぱきと手が動き、さっさと準備ができるような曲、求む!
by minira at 2007年05月30日 05:10


私もストレス解消音楽切望中です。。。
by ひそそか at 2007年05月31日 03:00


と、なんだかやたらと消耗した人が多かった5月末から既に3週間も経ってしまった。横着してたわけじゃないんだよ。正直言って、引き受けてみたはいいものの、今回のが今までで一番難産だったね。というのも、まあまたいつもの僕の個人的なこだわりに過ぎないんだけど、単なる耳障りのいいBGM用みたいな曲ばかりを集めてもしょうがないな、と。そんなのならヒーリングミュージックのCDが巷にいくらでもあるしね。

それに、何を聴いてストレス解消するかなんて、それこそ十人十色。同じピーッてフィードバック音を聴いてイライラする人もいれば和む人もいるし。ここにこれから並べる曲だって、人によってはもしかしたら聴いてるだけで眉間にシワが寄ってくるようなのもあるかもしれない。あとね、miniraさんのリクエスト、難しすぎ!(笑)

まあ、文句ばかり言ってるようだけど、ほんとはいつも以上に楽しく選曲してたから、リクエストされた方々もご心配なく。それでは、おかんのカルシウム補給を促し、ミニ怪獣の引越しを円滑に進め、そしてヒッタイト人のおでこに更に磨きをかける(違う?)yascd010、どうぞ。


1.チャーリー・ハンター・カルテット・フィーチャリング・ノラ・ジョーンズ(Charlie Hunter Quartet featuring Norah Jones)
More Than This
『Songs From The Analog Playground』

Songs From The Analog Playground.jpg

まずはオーソドックスにノラ・ジョーンズでもと思ったんだけど、いろんな人が既に持ってるであろう彼女の大ヒットアルバムから選んでもつまらないので、これにしよう。デビュー作『Come Away With Me』を遡ること二年、8弦ギターを操るジャズギタリスト、チャーリー・ハンターの01年のアルバムに彼女が客演し、ロクシー・ミュージックの名曲「More Than This」をカバーしたヴァージョン。後のアルバムで開花するあのスモーキーな歌声が既にここで堪能できる。


2.ペンギン・カフェ・オーケストラ(Penguin Cafe Orchestra)
Air A Danser
『Penguin Cafe Orchestra』

Penguin Cafe Orchestra.jpg

ある時は壮大に、また時にはこじんまりと可愛い音楽を奏でる、(特に日本で)一世を風靡したペンギン・カフェ・オーケストラを覚えている人も多いだろう。久し振りにLPを引っ張り出してきて、八木康夫さんの詳細かつ楽しいライナーを、沢山のペンギンの写真やイラスト(クールミントガムの包み紙やポラロイドで撮ったペンギンの交尾の写真なんかも)と一緒に懐かしく読み返してみた。80年代初期の、高校生の僕にとっては未来都市みたいに思えた東京のことを思い出した。


3.デイヴ・エドモンズ&ニック・ロウ(Dave Edmunds & Nick Lowe)
Take A Message To Mary
『Sing The Everly Brothers』

Sing The Everly Brothers.jpg Seconds Of Pleasure.jpg

今回こそはいつものパターン(パブロックとSSWとスプリングスティーン)を避けて作ろうと思ってたんだけど、なんだかんだ言ってこれでyascd登場3回目となるデイヴ・エドモンズが、ニック・ロウと一緒にエヴァリー・ブラザーズをカバーしたEPからのこの曲だけは入れたいな。もともとはロックパイル(デイヴとニックのバンド。右の写真)唯一のアルバム『Seconds Of Pleasure』の初回盤に付いてた付録で、僕もそれは持ってたんだけど、例によって7インチ盤は全部紛失。後に買ったそのアルバムの再発CDにボートラとして収録されたので再入手。二人の透き通ったアコースティックギターの音と綺麗なハーモニーが心地よい。


4.アン・サリー(Ann Sally)
Disney Girls
『Day Dream』

Day Dream.jpg

日本在住の韓国人で、お医者様でもある彼女が03年に2枚同時発売したアルバムから、このビーチ・ボーイズのカバーを。ブライアン・ウィルソンが書いていない中期ビーチ・ボーイズの曲(これはブルース・ジョンストン作)で最高の出来だと僕が思うこの曲を、オリジナルをも凌ぐこんなにしっとりとしたバージョンに仕上げたのは見事。聴いていて心が和む声。彼女、もうすぐ新作が出るんだね。楽しみ。


5.グレイト・レイク・スイマーズ(Great Lake Swimmers)
Song For The Angels
『Bodies And Minds』

Bodies And Minds.jpg

とてもデリケートな弦の音をちりばめた、静かなアルバム。なにしろこんな覇気のない(笑)ポツポツとした曲が一曲目なんだからね。これは05年に出たセカンドだけど、ファーストアルバムから一貫して流れるこの侘び寂びのような雰囲気を気に入っていて、実は僕もあまりよく知らないバンドなんだけど、つい最近出たサードアルバムを試聴もせずに先日通販で買ったところ。行ったことないんだけど、カナダってなんかいいなと思わせてくれる、トロント出身のバンド。


6.ジェイソン・ムラーズ(Jason Mraz)
Mr. Curiousity
『MR. A-Z』

Mr. A-Z.jpg

今月になって発掘された11月30日「怒涛の四日間」記事のコメント欄で、かえでさんにピアノ特集yascdに入れるべきだったと指摘されたこの曲を今回のyascdに入れよう。そのコメント欄にかえでさんと僕がもう散々書いたけれど、優れたメロディーに文才溢れる歌詞を乗せ、おまけにこんなソプラノボイスで歌ってしまえるなんて、凄い才能だよね。ところで上のアフィリエイト先は通常盤のCDなんだけど、DVD付きの「最強版」なんてのも出てて、そっちには僕の好きな曲のPVやライヴが入ってるのを発見。そのうち中古で探して買い換えようっと。


7.ハーフセット(Halfset)
Marks Tune
『Dramanalog』

Dramanalog

このジャケには見覚えある人もいるかも。8月12日「そそるジャケ特集 第一回」で取り上げて、ひそそかさんが電球フェチであることを告白したんだった。そこにも「エレクトロニカとアコースティック楽器の融合」なんて書いたけど、聴いている間心地よい時間が流れるインストゥルメンタル曲。この曲自体にはそれほどアコースティック楽器は使われてないけど。こういう地味だけどいい音楽を沢山紹介してくれたブログ「何世紀分もの八月」は、残念ながら活動停止してしまったけれど、幸いブログ自体はまだ残ってるので、今でも僕は時々過去記事を掘り出しては未知の音楽を見つけてるよ。


8.フェアグラウンド・アトラクション(Fairground Attraction)
A Smile In A Whisper
『The First Of A Million Kisses』

The First Of A Million Kisses.jpg

エリオット・アーウィットの有名な写真をジャケに使ったフェアグラウンド・アトラクションの88年のアルバムのオープニング曲。グループ自体はすぐ解散してしまって、ボーカルのエディ・リーダーはこのあとソロで活動するんだけど、マーク・E・ネヴィンという優れた作曲家とエディが一緒にこんな素敵なアルバムを残せたことが奇蹟。ちょっとアコースティック・ジャズっぽい現代のフォークソング(20年も前だけど)。


9.トラッシュキャン・シナトラズ(Trashcan Sinatras)
Weightlifting
『Weightlifting』

Weightlifting.jpg

これまで出したアルバムの数に比して、彼らがネオアコ(ネオ・アコースティック。こんな呼び方をするのは日本だけらしいけど)界の大御所扱いされているのは、長い活動暦のおかげもあるけれど、やはり90年の名作ファースト『Cake』の鮮烈な印象故のこと。この曲は04年に8年ぶりに発表された4作目から。かつての、春の朝に土手を自転車で駆け抜けるような瑞々しい曲に加えて、こういう薄曇りの夕方に自転車を押して帰るような曲が増えてきたのが印象的。全身に受ける気持ちいい風の代わりに、河川敷の風景を慈しみながらゆっくりと歩く楽しみが増えたような。


10.アーチャー・プレウィット(Archer Prewitt)
Way Of The Sun
『Wilderness』

Wilderness.jpg

シー・アンド・ケイクのギタリスト、アーチャー・プレウィットの04年のソロアルバムのオープニングを飾る曲。キラキラとしたシンセ音のフェードインに始まり、アコースティックギターと彼の歌が、淡々とした曲調はそのままにくるくると調子を変えて展開し、おごそかに「Ave Maria」のフレーズまでが出てくるなんて(歌詞カードでは「Have Maria」となってるけど)、まるで素朴な作りの万華鏡を覗いているような曲だ。派手なところはないんだけれど、憑かれたように聴き惚れてしまう。この綺麗なジャケのイラストも彼自身の手によるもの。


11.タン(Tunng)
Jenny Again
『Comments Of The Inner Chorus』

Comments Of The Inner Chorus.jpg

これも僕は「何世紀分の八月」で教えてもらった秘密の宝物みたいなアルバム(でも、僕が通販で買ったあと、実は意外にNZのあちこちのCD屋でフィーチャーされていたのを発見。結構メジャーだったんだね)。イギリスの二人組ユニットによるフォークトロニカ(フォーク+エレクトロニカ)。この曲はアルバム中ではどちらかというとフォーク寄りかな。訥々と歌われていく曲の途中で時折り上品に挿入される台詞と不思議な装飾音が心地よい。


12.チャリ・チャリ(Kaoru Inoue Presents Chari Chari)
Plain Sailing
『In Time』

In Time.jpg

前回のyascdのコメント欄でにんじんさんに言われた「1曲は日本人アーチストを入れるというシバリ」を今回から適用してみよう。ディスカバー・ジャパン(笑)。とはいえ、これはちょっと反則っぽいかな。別に日本語で歌ってるとかいう訳じゃないからね。テクノミュージシャンでありDJでもある井上薫の変名チャリ・チャリの02年のアルバムから。基調はテクノとはいっても、この曲のようにアコースティック楽器を使ったちょっとレイドバックしたレゲエ調の曲とか、ダンスフロアでなく家や車でも気持ちよく聴ける優れモノのアルバム。


13.ベン・ワット(Ben Watt)
You're Gonna Make Me Lonesome When You Go
『North Marine Drive』

North Marine Drive.jpg

後にトレイシー・ソーンとエヴリシング・バット・ザ・ガールを結成し、どんどんお洒落でゴージャスな音に偏向していった彼がまだ素朴な音楽を演っていた83年のソロアルバム。アルバムタイトルの「北の海岸沿いのドライブ」とこのジャケに象徴される、寒々としたアコースティック・サウンドが印象的だった。これはそのアルバムを締めくくる、ボブ・ディランの名曲をボサノバ調にカバーしたもの。ディランのオリジナルだってもちろんいいんだけど、この音にこの声で「お前がおらんようになったら寂しなるよ」なんて歌われると、ほんとに寂しくなってくる気がしてしまう。


14.キャサリン・ウィリアムズ(Kathryn Williams)
White, Blue And Red
『Old Low Light』

Old Low Light.jpg

このジャケにも誰か見覚えあるかな(それともあんな追記なんてかえでさん以外には誰も見てなかったんだろうか)。12月24日の「女の子ジャケ特集」にどんどん追記していったうちの一枚。イギリスの女性シンガー・ソングライターの02年のアルバム。その「女の子ジャケ特集」には「ジャンル分けすると、ジャズ/ボサノバ/フォークということになるんだろうか。非常にスムーズで聴き易い音。スザンヌ・ヴェガとかノラ・ジョーンズとかを思い出す」と書いたね。今聴き返してもその通りだと思う。ジャケに惹かれただけだけど、買って正解のアルバムだった。500円だったし。


15.ダコタ・スイート(Dakota Suite)
Your Vigor For Life Appals Me (Part 1)
『Morning Lake Forever』

Morning Lake Forever.jpg

名前しか知らなかったグループのこの紙ジャケCDが、先日の東京出張の際に近場のCD屋で在庫一掃セールで500円で出ていたのでジャケ買いしてみた。ダコタなんて名前からアメリカのバンドなのかと思ってたら、イギリス人なんだね。これはそのCDから取った、水墨画のようなピアノ曲。これだけ聴くと、ちょっとブライアン・イーノの『Music For Airports』っぽくもある。しかしこのアフィ先のアマゾンマーケットプレイス、ユーズド商品5865円からってのも凄いね。5365円も得した。


16.タマス・ウェルズ(Tamas Wells)
When Do We Fail Abigail
『A Mark On The Pane』

Mark On The Pane.jpg

今回のテーマでyascdを作るにあたって一番困ったのが、このアルバムからどの曲を選ぶかということだった。極端な話、これ一枚そのままコピーした方が、僕がどんな選曲をするよりよっぽどストレス解消に役立つだろうし。10月29日の記事「心の鎮痛剤」で二枚目のアルバムを取り上げたタマス・ウェルズの幻のファースト・アルバム。先々月の東京出張の際にようやく手に入れることができた。

と思っていたら、なんとこのファーストアルバムにそれ以前に発表された9曲をボーナストラックとして収録したCDが7月20日に日本で発売されるとのこと。くそー、また買い替えかよ。しかも、待望の初来日公演決定!8月に金沢、大阪、奈良、東京で全5公演。うわー、行きたい!隣国オーストラリア出身のくせに、どうしてNZには来てくれないんだよ。8月に休暇取って日本帰ろうかな、マジで。


17.カーラ・ブルーニ(Carla Bruni)
Lady Weeping At The Crossroads
『No Promises』

No promises.jpg

6月8日の記事で取り上げたばかりのこれもやっぱり外せないな。この曲はW.H.オーデンの詩に彼女がメロディーをつけたもの。収録作品中では一番新しい世代の詩人の作。なんて一応データ的なことも書いてみたけど、詩にあまり興味のない聴き手からすると、今作の一番の興味はやはり彼女の英語がどのように響くかということだったと思うんだけど、あの落ち着きのあるハスキーボイスは不変。途中で一瞬メロディーを外して話すように歌う箇所なんて、聴いててぞくっとするよ。


18.ドゥルッティ・コラム(The Durutti Column)
Sketch For Winter
『The Return Of The Durutti Column』

The Return Of DC.jpg Return (Orig).jpg

やっとこのアルバムについて話す機会ができた。思い起こせばほぼ一年前、このブログの最初の記事のコメントに青グリンさんが好みの音楽として自己申告してくれたドゥルッティ・コラム。LP(右ジャケ)時代から愛聴している僕にとっても思い出深いアルバムだ。パンク世代のネガフィルムのような静かな音楽。僕は実物を見たことがないんだけど、この現行CDのジャケにちらっと写っている初回オリジナルLPはサンドペーパーに覆われていて、ラックの両隣に置かれるLPをボロボロにしてやろうという意思が込められていたという。このアルバムを単独で聴いた人は、なんだギターインストのBGMかと思ってしまうかもしれないけど、こうやって数多の和み系の曲と一緒に収めてみると、やはり明らかに異質。ヴィニ・ライリーとマーティン・ハネットという稀代のアーティスト達が作った、奇蹟のような作品。


19.ホルガー・シューカイ(Holger Czukay)
Persian Love
『Movies』

Movies.jpg

1月20日「水と油の芸術」記事の最後でちらっと触れた、元カンのべーシストの代表的ソロアルバム。79年作。80年代初頭にサントリーウイスキーのTVコマーシャルに使われたこの曲を覚えている人もいるかもしれない。曲のタイトルからもわかるように、中近東のラジオの音源などをコラージュした音楽。僕にとってはこの上ない至福の音楽なんだけど、これまで20年強に亘って勧めてきた友達からは「恐い」「不気味」とのコメントも貰った。先の記事にも書いたけど、「親しみやすい前衛音楽」の代表作だと思うんだけどなあ。また、同じく先の記事でこのCDが廃盤になっていて、とんでもない中古価格が付いていたことにも触れているが、さっきアフィリエイトしようとして気づいたのは、このアルバムがめでたく明日(!)再発されるとのこと。ボートラ入りで… いや、これは悔しくないよ。この完璧に構成されたアルバムにボートラ(アルバム1曲目のインスト)なんて不要だから(負け惜しみ)。


20.ロバート・ワイアット(Robert Wyatt)
Free Will And Testament
『Shleep』

Shleep.jpg

最後はこれで締めよう。ロバート・ワイアット97年の会心作。このアルバムは、フィル・マンザネラやポール・ウェラーら豪華ゲストが参加していることばかりが語られるけど、やっぱりこの前後の作品と比べても明らかに曲の出来が優れたアルバムだと思う。そしてこの曲は、その中でも代表作としてあげられるはずだ。ソフト・マシーンのドラマー時代から前衛的かつポップな音楽を作り続けてきた彼自身どう思っていようと、この声とこのメロディーはやはり聴く人全ての気持ちを落ち着かせる効果があると思うんだ。そういった意味では、僕にとっては極上のヒーリングミュージックでもある。


以上全20曲。どうだろう、こんな選曲がストレス解消に役立つんだろうか。え?こんな長文読むだけでストレス溜まったって?
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2007年05月11日

yascd009 ピアノ三昧

yascd006のコメント欄で、Eストリート・バンドのピアニスト、ロイ・ビタンについて熱く語ってしまい、そういえば今まであまり意識したことはなかったけど、僕の好きな曲の中にはピアノが印象的に使われているものが結構多いんじゃないかなと思ったのが、この記事のきっかけ。

という訳で今日は、12人のピアニストを切り口にしたyascd。うち後半の4人は、バンドとソロで、または別名義のバンドで、あるいは他人のアルバムへのセッション参加など、同じ人が複数のパターンで登場する。ジェリー・リー・ルイス/リトル・リチャード風にアップテンポの曲に激しくピアノが鳴り響いている曲もあれば、(そればかりだとあまりに単調なので)ピアノでの弾き語りの曲もある。必ずしも全部が生ピアノの音というわけじゃないだろうけど、まあその辺は大目に見て。

前置きはこれぐらいにして、早速曲紹介に入ろう。ジャケ写の下に書いてあるのは、

ピアニスト名
曲名
アルバム名
アーティスト名 の順。


D.E. 7th.jpg
ジェライント・ワトキンス(Geraint Watkins)
1.From Small Things (Big Things One Day Come)
『D.E. 7th』
デイヴ・エドモンズ(Dave Edmunds)

まず最初は、“かっちょええ”ロックンロール・ピアノをフィーチャーした曲を入れよう。パブロック界の大御所、デイヴ・エドモンズが82年に発表した7枚目のソロアルバム(なのでこのタイトル。ジャケにはギターのDとE7のコード図が載ってる)から。ブルース・スプリングスティーン作のいかしたロックンロール。ギター中心の曲なので、ピアノは隠し味的に使われている程度だが、それでも後半コロコロと心地よく転がるソロが聴ける。このジェライント・ワトキンスは、80年代にデイヴのバックバンドに参加しており、その後90年代にはニック・ロウのバックバンドに参加。もはやパブロック界の中心的キーボーディストと呼んでいいだろう。


Get Happy!!.jpg
スティーヴ・ナイーヴ(Steve Nieve)
2.King Horse
『Get Happy!!』
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ(Elvis Costello & The Attractions)

最初の3枚のアルバムで自分の音楽性をすっかり確立し、その後マンネリに陥らないために、エルヴィス・コステロが自分のルーツ音楽を掘り下げ始めた80年の、この手のロックンロールやR&Bが満載のゴキゲンなアルバム。バックバンドのアトラクションズも乗りに乗っていた時期で、溌剌とした演奏が聴ける。もともとこのスティーヴ・ナイーヴというピアニストはどちらかというとクラシック畑の出のようで、彼が最初に発表したソロアルバムはいかにもそういう音だった。コステロからの信頼も厚いようで、アトラクションズが解散した後も彼ら二人でツアーに出たりしている。96年の限定5枚組CD『Costello & Nieve』は、その時のライヴを収録した隠れた好盤。


Too Low For Zero.jpg
エルトン・ジョン(Elton John)
3.I Guess That's Why They Call It The Blues
『Too Low For Zero』
エルトン・ジョン(Elton John)

ピアニスト特集の編集CDにこの人を入れるようなベタな真似をするかどうか一応悩んだんだけど、この曲はやっぱり大好きなので入れることにした。わざわざ説明の必要もないぐらい有名な彼の、83年のアルバムから。間奏でハーモニカを吹いてるのは、スティーヴィ・ワンダー。僕はこの曲のプロモーションビデオも好きで、今回の記事の趣旨に沿わないんであえてYouTubeから貼り付けたりはしないけど、機会があれば見てみてほしい。


Warm Your Heart.jpg
ドン・グローニック(Don Grolnick)
4.Louisiana 1927
『Warm Your Heart』
アーロン・ネヴィル(Aaron Neville)

ネヴィル・ブラザーズのシンガー、アーロンの91年のソロアルバムから。このアルバムからは「Ave Maria」のカバーの方が有名かもしれない。実は僕はこのピアニストのことは知らなかったんだけど、調べてみたら結構有名なジャズ・ピアニストだった。この曲を入れた理由はもちろん、前回のyascdでサニー・ランドレスが演奏する同曲を紹介する際に「有名なアーロン・ネヴィルの芳醇なヴァージョンには遠く及ばない」なんて書いてしまったものの、きっと僕のブログを読んでくださっている方の殆どはアーロン・ネヴィルなんて聴いてないだろうと思ったから。オリジナルのランディ・ニューマンのヴァージョンも悪くないんだけど、やっぱり僕はこれが好きだな。


Life In Cartoon Motion.jpg
ミカ(Mika)
5.Grace Kelly
『Life In Cartoon Motion』
ミカ(Mika)

こちらのラジオでここ数ヶ月ヘビーローテーション中のイギリス発の新人。僕が最初にラジオでこれを聞いたときの感想は「なんやこれは?」だった。このあまりにもあざといメロディーとポップすぎる曲調。最初は生理的にちょっと受け付けなかった。だけど、何度か聴くうちにすっかり病みつきになってしまい、先日ついにCDを買ってしまった。そしたら、他の曲も結構よかったんだ、これが。ジェリーフィッシュをクイーンの亜種として聴いていたような人ならきっと楽しめると思う。うん、歌い方がフレディ・マーキュリーそっくりになる瞬間もしばしば。あちこちのCD評を読むと、絶賛か酷評かの両極端。さて、この人は将来21世紀のエルトン・ジョンになるのか、それとも07年度の一発屋としてひっそり記憶されることになるのか。ちなみに調べてみたら、日本盤はまだ出てないみたい。6月発売予定か。この手の流行りモノをそんなに遅れて出してどうするんだよね。


9.jpg
ダミアン・ライス(Damien Rice)
6.9 Crimes
『9』
ダミアン・ライス(Damien Rice)

前回の記事で取り上げたばかりのこの人のこのアルバム。その記事でも触れた、冒頭の曲がこれだ。もうつべこべ解説しなくていいだろう。そっちの記事、あるいはその記事を書くきっかけになったyascd006のコメント欄(の下の方)を読んでもらえればいい。ちなみに、変に偏った印象を植え付けたくなかったんであえてその記事では触れなかったんだけど、この曲のプロモーションビデオのインパクトは相当なもの。興味のある人はYouTubeで勝手に探して見てみて。


Turnstiles.jpg
ビリー・ジョール(Billy Joel)
7.Summer, Highland Falls
『Turnstiles』
ビリー・ジョール(Billy Joel)

えーと、まずいつもの通りこの名前のカタカナ表記について書かないといけないかな。日本での通名(?)はもちろんビリー・ジョエル。でもJoeという名前をジョエと呼ばないのと同様、この苗字はジョエルとは読まないと思う。さて、この人もさっきのエルトン・ジョン同様、一応ちょっと捻った選曲をしようと心がけてるこの編集CDに入れるにはあまりにもストレートな人選かなと躊躇しかけたんだけど。まあ、さすがに「Your Song」や「Piano Man」を入れるような真似はしないんでよしとするか。以上、曲には全く触れていない、自己満足満載の解説。一言だけ書いておくと、これは「The Stranger」で大ブレイクする前の、76年のアルバムからの綺麗な曲。今や声も風貌もやたらと野太くなってしまった彼がまだきりっとした佇まいだった頃だ。


Lift The Lid.jpg
ジュールス・ホランド(Jools Holland)
8.Wish I Knew How It Felt To Be Free
『Lift The Lid』
ジュールス・ホランド&ヒズ・リズム&ブルース・オーケストラ(Jools Holland & His Rhythm & Blues Orchestra)

はるか昔、去年の8月12日の初代そそるジャケ特集の記事にこのジャケを載せたんだけど、誰もそんなの覚えてないよね。元スクイーズのキーボーディストの97年のソロアルバム。その時の記事ではもちろんジャケットにしか触れていないんだけど、このアルバムはかなりの力作。全編に亘ってニューオーリンズスタイルのピアノが聴ける。このソウルのスタンダード曲のカバー、中盤までなかなか歌が出てこないんだけど、その前半の各楽器の掛け合いがとても気持ちいいよ。


Audioboxer.jpg Everything In Transit.jpg
アンドリュー・マクマホン(Andrew McMahon)
9.(Hurricane) The Formal Weather Pattern
『Audioboxer』
サムシング・コーポレイト(Something Corporate)
10.Dark Blue
『Everything In Transit』
ジャックス・マネキン(Jack's Mannequin)

2月17日の記事で取り上げたジャックス・マネキン。そこに書いたように、中心人物のアンドリュー・マクマホンが元々在籍していたバンドがサムシング・コーポレイトだ。この2曲を続けて聴けばわかると思うけど、やっぱりなんでわざわざ別バンド名義で?と思ってしまうぐらい似通った音作り。まあ、それを言いたいがためにこうして2曲並べて入れたんだけど。この『Audioboxer』はサムシング・コーポレイトのデビューEP(01年)。で、『Everything In Transit』が、今のところのアンドリューの最新作(05年)。この「Dark Blue」が、2/17の記事のコメント欄でかえでさんが「ハノン教本」に近いと言った、正確なリズムを刻む美しさを再認識できる曲。


Songs For Silverman.jpg Naked Baby Photos.jpg
ベン・フォールズ(Ben Folds)
11.Jesusland
『Songs For Silverman』
ベン・フォールズ(Ben Folds)
12.Philosophy
『Naked Baby Photos』ベン・フォールズ・ファイヴ(Ben Folds Five)

さっきのサムシング・コーポレイトなど、ピアノをメインにした元気なロックバンドが出てくるたびに決まって引き合いにだされるのが、今はなきベン・フォールズ・ファイヴ(BFF)。ピアノ+ベース+ドラムというジャズみたいな楽器編成なのに、演ってる音楽はメロディアスなパワーポップ(?)というのが、登場当時はとびきり新鮮だった。ただ、実はベン・フォールズ自身はもっと歌詞を重視したシンガーソングライター体質の人だったようで、BFFのアルバムも次第にそういう傾向が見られ、やがて解散。ベンは引き続き後期BFFの音楽性の延長でソロアルバムを出し続けている。

『Songs For Silverman』は05年のアルバム。ここに写真を載せた、僕が持っているバージョンはDVD付きの限定盤(今でもずっと売ってるけど)。いつもジャケットの写真のセンスの悪い彼にしては珍しく、写真集のようになったブックレットの写真がとても綺麗。「Philosophy」はBFFのデビューアルバムに収録された曲だけど、ここには後に出た未発表曲やライヴテイクを集めた『Naked Baby Photos』からのヴァージョンを入れよう。ライヴでもスタジオヴァージョンとほぼ変わらないこの演奏。歌いながらこれだけ弾きこなせるなんて凄いね。


Making Movies.jpg Escape Artist.jpg

Dedication.jpg Born To Run.jpg
ロイ・ビタン(Roy Bittan)
13.Tunnel Of Love
『Making Movies』
ダイア・ストレイツ(Dire Straits)
14.R.O.C.K.
『Escape Artist』
ガーランド・ジェフリーズ(Garland Jeffreys)
15.Jole Blon
『Dedication』
ゲイリー・US・ボンズ(Gary U.S. Bonds)
16.Backstreets
『Born To Run』
ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)

さていよいよ、今回の編集盤のメインアクトだ。yascd006のコメント欄には「あまり数多くのセッションをこなしている人ではない」なんて書いたけれど、調べてみたら結構な数のアルバムに参加していることもわかって(しかもそのうち僕が持ってるのも何枚もあった)、こんなことならこないだのサニー・ランドレスみたいにこの人だけの特集にしてもよかったかなとも思ったぐらい。まあ今回のはこうしていろんなピアニストの演奏を聴き比べるという違った面白みもあるんで別にいいんだけど。ここではちょっと彼だけ特別扱いで、4曲入れてみよう。

まずはダイア・ストレイツの80年の名作から。彼らの全ての曲の中で僕が一番好きなのがこれ。特に後半、マーク・ノフラーの流麗なギターとロイ・ビタンの可憐なピアノが絡み合うところが最高。この曲を初めて聴いてから四半世紀以上が経ち、もう何百回聴いたかわからないぐらいだけど、いまだにこれを聴くと背中がぞくっとする。

次に、12月10日の記事で新譜を取り上げたガーランド・ジェフリーズの、これは81年のアルバムから。ニューヨークとジャマイカから豪華ゲストが参加したこのアルバムも、本当に内容の濃い優れたアルバム。ちなみに、中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」が出たときに僕はこの曲のパクリだと思った。

続いて、ブルース・スプリングスティーンが60年代に自分がファンだった、当時はもう落ちぶれていたこの人を全面的にバックアップした81年の復活作。この曲のみならず、アルバム全体に亘ってスプリングスティーンがプロデュース、曲の提供、演奏、コーラスで参加。当然バックの演奏はEストリートバンドだ。さっきの2枚もそうだけど、80〜81年のEストリートバンドといえば、かの『The River』発表直後。彼らが最高に充実していた時期だ。当時僕は『The River』に夢中になっていた頃で、全然名前も知らなかったこの人のこのアルバムを、ここに書いたような情報だけを頼りに買ったわけなんだけど、それが大当たりだったことは、この曲を聴いてもらえばわかるだろう。

そして、本家スプリングスティーン&Eストリートバンドの、言わずと知れた75年の代表作『Born To Run』から。数ある彼らのアルバムの中でも、ピアノが印象的なのはやはりこのアルバムだろう。ここまでのこの4曲で、僕が一番好きなピアニストと言ったロイ・ビタンの端正で溌剌としたプレイを存分に味わってほしい。


Tried And True.bmp Night And Day.jpg
ジョー・ジャクソン(Joe Jackson)
17.Left Of Center
『Tired And True』
スザンヌ・ヴェガ(Suzanne Vega)
18.A Slow Song
『Night And Day』
ジョー・ジャクソン(Joe Jackson)

最後に登場するのは、ジョー・ジャクソン。この人こそ特にセッションピアニストとして有名なわけじゃないけど、スザンヌ・ヴェガが映画「プリティ・イン・ピンク」に提供したこの「Left Of Center」でクールなピアノを弾いている。「A Slow Song」は、元々イギリスのパンク/ニューウェーヴ期に出てきた彼がニューヨークに移り住み、「Steppin' Out」のヒットと共に大ブレイクしたアルバム『Night And Day』の最後を締めくくる名曲。僕が観た彼のコンサートでもアンコールの最後でこれを演奏し、エンディングはちょっといかした演出があったんだけど、それは市販されているDVDで観られるはずなのでここでは種明かしはしないでおこう。


以上18曲、この記事のタイトルにしたようにピアノ三昧を味わってもらえるだろうか。子供の頃にピアノなんて習わせてもらえなかった僕だけど、ここに入れたような曲を聴くたびに、「ピアノが弾けたらよかったのに」と思ってしまう。まあ、僕の場合はことあるごとに「ギターが弾けたらよかったのに」とか「ベースが弾けたらよかったのに」とか思ってるんだけどね。
posted by . at 23:47| Comment(51) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月09日

yascd008 ルイジアナの風 Sonny Landreth

001のグレン・ティルブルック、007のジェブ・ロイ・ニコルズに続いて、単独アーティストを取り上げるのは三回目となるyascd008、今回はサニー・ランドレス特集。アメリカ、ルイジアナ在住のスライドギタリストだ。

先日のグレアム・パーカーの記事に書いたように、高校の頃から、僕はエルヴィス・コステロやニック・ロウの音楽に熱中していた。大学に入った数年後にはもう彼らの過去のアルバムは全部集めてしまい、今度は彼らが参加したりプロデュースしたりした他のアーティストのアルバムを物色し始めていた。

85年の『Warming Up To The Ice Age』でエルヴィス・コステロと一曲デュエットし、87年にはベースにニック・ロウ、リードギターにライ・クーダー、ドラムにジム・ケルトナーという超豪華メンバーで名盤『Bring The Family』を作ったジョン・ハイアットが僕の次のターゲットになったのは、そう考えると自然な流れだった。

88年2月、初来日を果たしたジョン・ハイアットを大阪・御堂会館で観たのだが、残念ながら『Bring The Family』の超豪華メンバーでの来日は無理だったようで、彼のバックバンドはゴウナーズ(The Goners)という別グループだった。というか、その時にはそのバックバンドに名前が付いていたことすら知らなかった。名前さえ聞いたこともないような人たちだったし、僕の目当ては100%ジョン・ハイアットを生で観ることだったから、(ニック・ロウやライ・クーダーがいないのなら)別にバックが誰であろうと関係なかったし。

期待どおりジョン・ハイアットのライヴはよかったんだけど、それ以上に衝撃を受けたのが、彼の隣でスライドギターを弾きまくっていた、サニー・ランドレスだった。

ビハインド・ザ・スライドと呼ばれる、小指にはめたスライドバーよりも上のフレットをそれ以外の指で押さえる奏法で、通常のスライドギターとは一風変わった音を出すのが彼の特徴。ハードな曲でのエレキギターを使った豪快なプレイも、リゾネイター系のアコギを使った繊細なプレイも、自分の目の前で演奏しているのに、どうやったらあんな多彩な音が出せるのかが信じられなかった。『Bring The Family』でライ・クーダーが感情たっぷりに演奏した「Lipstick Sunset」を、まさかかのスライドの名手に匹敵するほど素晴らしく弾きこなせるギタリストがいるなんて。

同年に出たジョン・ハイアットの『Slow Turning』で伴奏を務めていたのは当然ゴウナーズ。僕は『Bring The Family』よりも熱心に聴き込んだものだ。そして、翌89年に出たマーシャル・クレンショウの『Good Evening』、ドン・ディクソンの『EEE』にそれぞれサニーが客演しているのを見つけ、この人はジョンのバックで演奏しているだけでなく、いろんなアーティストのアルバムに参加しているのだと気づく。

そこから、今や殆ど僕のライフワークのようになってしまった、彼が参加したアルバムを探し求める旅が始まった。今では、彼自身のオリジナルアルバムを含めて、50枚以上のCDが「サニー・ランドレス・コーナー」として僕のCDラックの一角を占めている。それでもまだ、(僕にわかっているだけでも)彼がセッション参加したアルバムで、僕が持っていないものが何十枚もある。廃盤になってしまっているものが多いんで、アマゾンでまとめ買いなんてことができないのが大変だけど、僕が死ぬまでにはなんとか全部聴いてみたいと思っている。まさにライフワークだ。

これまでライヴ盤を含めてオリジナルアルバムが7枚(それと、ファーストアルバム以前の音源をまとめた編集盤が二種類。どちらもほぼ同内容なんだけど)。まだベスト盤を出すつもりはないようだし、それになにより、彼があちこちで実に様々なジャンルのアーティストのアルバムに客演したものまでを一同に集めたベスト盤なんてものは権利関係がネックで絶対に出ることはないだろうから、僕は自分で勝手にそれらの曲を寄せ集めて聴いたりしている。なにしろネタ元が50枚もあるんで、それこそいくらでもバリエーションが作れるのだが、今日ここに紹介するのは、そのうちのひとつ。


Outward Bound Sonny Landreth 『Outward Bound』
1.Soldier Of Fortune

僕が初めて手にした彼の92年のソロアルバム。それまでの2枚がかなりブルース寄りだったのに対して、先述のとおり80年代末からジョン・ハイアット、ドン・ディクソン、マーシャル・クレンショウなどロック系のミュージシャンと共演してきたことが彼の音楽に新たな膨らみをもたせることになったことがよくわかる好盤。アルバムのオープニングであるこの曲の静かなイントロでのリゾネイターの音、後半の炸裂するエレキギターの音、そして、僕はこのアルバムで初めて聴くことになった、意外に味のある彼のボーカル。彼の音楽のエッセンスが詰め込まれたような曲だ。


Good Evening Marshall Crenshaw 『Good Evening』
2.You Should've Been There

今でもこつこつと良質なポップアルバムを発表し続けている彼の89年の作品。僕は彼のアルバムの中ではこれが一番のお気に入りだ。この素敵なジャケットも含めて。デイヴィッド・カーシェンバウムのプロデュース、サニー以外には同じくギターの名手デイヴィッド・リンドリーがゲスト参加、リチャード・トンプソンやジョン・ハイアットの名曲も取り上げたこのアルバム、一時期廃盤で入手しにくかったが、05年に無事再発されたようでなにより。


Hot Water Music Hot Water 『Hot Water Music』
3.The Way

ホット・ウォーターというグループの「ホット・ウォーター・ミュージック」というアルバム。ホット・ウォーター・ミュージックというバンドがいるので、僕はこれを彼らの「ホット・ウォーター」というアルバムなのだと思っていた。ややこしい。ホット・ウォーター・ミュージックの方は去年解散するまで10年以上に亘って何枚もアルバムを発表していた中堅バンドだったが、どうやらこちらはこのアルバム1枚で消えてしまったようだ。メジャーレーベルのサイアから96年に発売。現在は廃盤。

でもこれは元気があってなかなかいいアルバム。サニー以外にもハートブレイカーズのベンモント・テンチがオルガンで参加しており、なんでこんな無名バンドにそんな豪華ゲストが?と思わせるが、この曲でのワウワウを効かせたギターとサニーのスライドとの絡みを聴くと、きちんと実力はあったバンドなんだろう。ダミ声ボーカルも迫力あってなかなか聞かせる。


Wish You Were Here Right Now Bobby Charles 『Wish You Were Here Right Now』
4.The Jealous Kind

50年代にビル・ヘイリーがヒットさせた「See You Later Alligator」の作者で、72年にウッドストック関係の豪華ゲストを集めたソロアルバムで有名だった彼が94年に復活を遂げたアルバム。同じルイジアナ出身の先輩のカムバックに一役買ったサニーの、このとろけるようなスライドの音を聴いてみてほしい。


Hound Dog Taylor A Tribute 『Hound Dog Taylor - A Tribute』
5.Taylor's Rock

ブルースギタリスト、ハウンド・ドッグ・テイラーへのトリビュートアルバム。97年発表。他にも実力派スライドギタリストが多数参加しているが、サニーとゴウナーズの演奏するこの爆裂ロックがやはりダントツの出来。貫禄の一曲。


Sail Away 『Sail Away - The Songs Of Randy Newman』
6.Louisiana 1927

yascd003にも入れた、アメリカを代表するソングライター、ランディ・ニューマンへのトリビュートアルバム。タイトル通り、27年にルイジアナを襲ったハリケーンと洪水を歌ったこの曲は、05年のカトリーナ被災地への復興応援ソングとして数々のミュージシャンに取り上げられたものだ。去年出たこのトリビュートアルバムで、僕の一番好きなギタリストが僕の大好きなこの曲を演奏しているのを知ったときには大喜びだった。有名なアーロン・ネヴィルの芳醇なヴァージョンには遠く及ばないかもしれないが、サニーのしみじみとしたボーカルと、彼にしかできないこの見事なスライドとの組み合わせもまた格別。


Is My Love Enough Chris Daniels & The Kings 『Is My Love Enough』
7.Jackhammer

強いて言えばヒューイ・ルイス風のアメリカンロックを演奏するグループの93年のアルバムから。リトル・フィートのアルバムで有名なネオン・パークスのイラストを使ったジャケットが印象的。サニーのこともこのバンドのことも知らないリトル・フィート(ローウェル・ジョージ)のファンがジャケ買いしても、アルバム中5曲に参加しているサニーのこのスライドを聴けば大満足だろう。


Golden Heart Mark Knopfler 『Golden Heart』
8.Je Suis Desole

ダイア・ストレイツを解散したマーク・ノフラーが96年に発表した最初のソロアルバム。その前年にサニーのアルバムにゲスト参加した際に意気投合したようで、今度はこちらにサニーがゲスト参加。僕はダイア・ストレイツ時代からマークのギタープレイも大好きだったので、この組み合わせにはかなり興味を引かれた。その二人がお互いアコースティックギターを使った丁々発止のやりとりが、この曲の醍醐味。


Used Guitars Marti Jones 『Used Guitars』
9.If I Can Love Somebody

ドン・ディクソンの奥さんの3作目のソロアルバム。これも88年発表。ということで、例のドン・ディクソン人脈(マーシャル・クレンショウ、ミッチ・イースター、そしてサニー)、更にはジャニス・イアンも曲の提供とピアノ/コーラスで参加している。これはジョン・ハイアット作のキュートなアコースティック曲。サニーのドブロを使ったスライドプレイが秀逸。ちなみに僕の持ってる日本盤CDはどういうわけかこのポップなジャケでなく、なんだか地味なデザイン。


South Of I-10 Sonny Landreth 『South Of I-10』
10.Cajun Waltz

95年発表の、サニー4枚目のソロアルバム。地元ルイジアナで録音され、トラディショナルなケイジャンミュージックとロックを見事に融合した、彼の最高傑作だ。この曲には入っていないが、元ダイア・ストレイツのマーク・ノフラーと、ルイジアナの名ピアニスト、アラン・トゥーサンが参加している。これはタイトル通り、アルバム中盤で演奏されるスローワルツ。ボーソレイユのエロール・ヴェレによるアコーディオンの音に絡まるサニーのスライドの音が沁みる。


Waitin' On Joe Steve Azar 『Waitin' On Joe』
11.One Good Reason Why

96年にデビューし(僕と殆ど同い年だから、かなり年食ってからだね)、01年にアメリカのカントリーチャートでトップ10ヒットを出した彼の、そのヒット曲を含んだ02年のアルバム。ブルースハープでけだるく始まったかと思いきや、アコギに乗せた歌が徐々に盛り上がっていき、中盤からサニーの手クセ満載のスライドが割り込んでくる、格好いい曲。あちこちの記事やコメント欄で何度も言ってるけど、なんでこういうのがカントリー扱いされるのかがよくわからん。非常に正統派のアメリカンロック。


The Tiki Bar Is Open John Hiatt 『The Tiki Bar Is Open』
12.I'll Never Get Over You

冒頭の話の続きをすると、ジョンとゴウナーズは結局『Slow Turning』一枚だけを残して袂を分かってしまうのだが、13年後にこのアルバムで再会。これと、03年にもう一枚一緒にアルバムを作って、また離別。『Bring The Family』の面子で結成したリトル・ヴィレッジも確かジョンのわがままですぐに頓挫してしまったし、この人の04年のソロツアーのタイトル「I don't play well with others(他の奴とはうまくやれないんだ)」ってのは、自虐的ながら的を射たギャグなのかも。

そんなわけで、もしかしたらこの人、実はすごく性格悪いのかもしれないけど、ソングライターとしては格別。偶然だけど、今回の選曲の9、12、15曲目が彼の作品だ。この曲自体は、彼が93年のアルバムで発表していたものを、ここでゴウナーズと一緒に再演したもの。実はオリジナルバージョンもかなりいいんだけど、やはりこの間奏でのスライドの味わいには勝てないね。


The Road We're On Sonny Landreth 『The Road We're On』
13.Gone Pecan

ライヴアルバムを除いては今のところ最新作の、03年のアルバムから。そのアルバム全体は結構ブルースっぽい仕上がりになっているのだが、この曲はストレートなロック。彼のオフィシャルサイトを見ると、このアルバムに続く4年ぶりの新作を製作中とのこと。楽しみ。


7 Wishes Shana Morrison 『7 Wishes』
14.Sometimes We Cry

ヴァン・モリソンの娘。お父さんのアルバムやコンサートには時々参加しているが、ソロアルバムとしてはこの02年作が最初。この曲はお父さんが97年のアルバム『The Healing Game』で発表していたもの。しみじみとした名曲。途中で出てくるハーモニカはお父さん。それから、もちろん後半のデュエットも。ということで、これはヴァンとサニーの初競演になる。


License To Chill Jimmy Buffett 『License To Chill』
15.Window On The World

サニーは、どういう経緯か、お気楽カントリー系(?)シンガーソングライターであるこの人のバックバンドに属していた時期があるようだ。21世紀に入ってすぐの数枚のアルバムに参加している。このアルバムタイトルのゆるーいオヤジギャグのセンスとかが、実はいまいち僕の趣味に合わないんだけど、さっきも書いたとおりジョン・ハイアットの作であるこの曲と後半のスライドギターの取り合わせは最高。


Bayou Boogie Beausoleil 『Bayou Boogie』
16.Chez Seychelles

ルイジアナを代表するケイジャンバンドのこの87年作を、リーダーのマイケル・ドーセと共にサニーはプロデュースしている。もっとはっきり彼のプレイとわかる演奏が入っている曲も、彼がボーカルを取っている曲もあるんだけど、ここではこの綺麗なワルツを入れよう。マイケルのフィドル、さっきも名前が出てきたエロール・ヴェレのアコーディオンと共に奏でられるサニーのドブロが聴ける。


Levee Town Sonny Landreth 『Levee Town』
17.Z. Rider

00年の、サニー5枚目のアルバムから、これもまた豪快なインスト曲。この曲はゴウナーズのみによる演奏だけど、アルバム自体にはそれに加えて、ボーソレイユのメンバー、ジョン・ハイアット、ボニー・レイットなどが参加している。三方見開きの豪華なデジパックの中には、「堤防の街」とタイトル曲で歌われている、彼の住む南ルイジアナの風景が味のあるセピア色の写真で多数見られる。


Carcassonne Stephan Eicher 『Carcassonne』
18.La Mi Los

ルイジアナ出身ということでサニーもある程度のフランス語を話せるらしいけど、そのためかフランス人アーティストとの共演盤も何枚かある。このステファン・エシェールはフランスでは有名なのかな?ディスコグラフィを見ると何枚もアルバムを出しているシンガーの93年盤。サニー以外のバックのメンバーは、マヌ・カチェ、ピノ・パラディーノ、リチャード・ロイドと、これもまた豪華メンバー。サニーのインタビューによると、フランスのお城のようなホテルに機材を持ち込んで録音したらしい。僕がこのアルバムを探し始めた頃にはもうとっくに廃盤だったのに、パリに旅行したときにFNACで売れ残っていたのを見つけたのは嬉しかった。ということで、僕はあまりよく知らない人なんだけど、この曲の盛り上がり方を聴くと、なんとなくフランス版ブライアン・アダムスって感じの人なのだろうか。


South Of I-10 Sonny Landreth 『South Of I-10』
19.Great Gulf Wind

サニーの名作から最後にもう一曲。この曲でピアノを弾き、マルディ・グラの香りが漂うホーン隊の楽譜をアレンジしているのはアラン・トゥーサン。タイトルのGreat Gulfとは、ルイジアナ州が面したメキシコ湾のことだろう。そこで頻発するハリケーンのことを歌っているのかな。曲調からは、もっと情緒溢れるアメリカ南部のスワンプを吹き渡る風を思い起こさせるけれど。


80分弱に詰め込むために泣く泣く落とした曲も多かったけど、これで彼の情感溢れるギターがたっぷり堪能できるはず。おそらく今を代表するスライドギタリストの一人なのに、一般的な知名度はなかなか上がらないまま(後から出てきたデレク・トラックスが、オールマン・ブラザーズ・バンド加入をきっかけに一気に有名になったのと大違い。まあ彼も素晴らしいスライド奏者なんでそれはそれで喜ばしいことなんだけど)。もうすぐ発売されるニューアルバムがブレイクにつながることを願っている。その前に、とりあえずこのyascdで、この小さな界隈でブレイクすればいいな。
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2007年02月25日

yascd007 真夏の午後と冬の夜に Jeb Loy Nichols

一部の常連コメンターさん達のお陰で、一ヶ月前に書いたクックーの記事のコメント欄が異常に盛り上がっている。今時点でもうコメント数が80に達しそうな勢いだ。呪いをかけられたコメンターの方々が次々に入ってきてはコメントを残していってくれているのだが、ただ一人、最初にクックーに対する感想を書いた後は恒例のマイフィールドに持ち込み、あまつさえ最近は一緒に送られてきた別のCDをヘビロテ中ということをわざわざ公言された方がいる。ちょっとそのCDが何なのか聞いてみたら、なんだ、僕がずっと前の記事で名前とジャケだけ出して、そのうちちゃんとした特集記事を書こうと思っていた人じゃないか。このままではコメント欄右側の余白にココアしめじ(©かえでさん)を生やされかねないので、これを機会に特集することにしよう。にんじんさん、そのお気に入りCDのコメントはこっちの記事に書いて、クックーのところにはちゃんとクックーの話を書くんですよ、わかりましたね。

前置きが長くなった(いつものことだけど)。今日取り上げるのは、ジェブ・ロイ・ニコルズ。アメリカ人だが、現在はウェールズ在住のシンガー・ソングライターだ。僕の持っている彼のCDを元に、まだ公式のベストアルバムが出ていない(しかも初期のアルバムは現在入手困難な)彼の経歴を追いながら、入門編yascdという形で記事にしてみよう。


ワイオミングに生まれ、ミズーリ、テキサスとアメリカ中部を転々とした少年時代に彼が聴いていた音楽は、両親がかけるジャズやブルーグラスの他に、地元のカントリー、ラジオから流れてくるソウルだったらしい。僕は彼の生年は調べられなかったのだが、バイオグラフィーから察するに、僕より幾分年上、きっと今40代中盤というところだと思うから、その世代の人が少年時代に聴いていた音楽がそんなものばかりだったなんて、やっぱりアメリカも内陸部になるとほんとに保守的なんだなと思った。

しかし彼は、セックス・ピストルズを聴いてニューヨークに出ることを決心し、そこでネネ・チェリーやスリッツのアリ・アップと出会い、パンク、レゲエ、ダブ、ヒップホップに心酔していくことになる。そして、やがて彼はホワイト・レゲエの聖地、ロンドンに移り住むことになる。

長々と彼の生い立ちを書いたのは、ここに出てきた音楽ジャンルの数々が、彼の音楽性を語るのに必要不可欠だから。彼の、どういうジャンルと紹介すればいいのかわからない音楽を生み出したのは、彼のこうした雑多な音楽的バックグラウンドだったということをまず説明した。

そう、あえて言うなら、レゲエ+カントリー+ソウル。でも、例えばスパイスから調理して何日も煮込んだカレーにどんな種類のスパイスが入っているかを言い当てるのが困難なように、彼の音楽を単純に「これはレゲエ」「これはカントリー」と分けることは難しい。こればかりは聴いてもらわないとうまく感じをつかんでもらえないんじゃないかな。


ロンドンに渡った彼は、妻のロレイン・モーリーを含むメンバーと、フェロウ・トラヴェラーズ(Fellow Travellers)を結成、90年にファーストアルバムを発表する。

No Easy Way
フェロウ・トラヴェラーズ 「No Easy Way」
1.G.T.O.
2.Promise Of A Kiss
3.New York City Tragedy


後の彼のソロアルバムに比べると、かなり簡素で素朴な音。さっき書いた例で言うと、レゲエやカントリーといった素材がまだうまく溶け込んでいない感じがある。でも、このちょっと鼻にかかったレイジーなボーカルとまったりとした曲作りは今の彼に通じるものがあるのがわかる。


92年にはセカンドアルバム、その翌年サードアルバム(これは僕は持っていない)を発表。

Just A Visitor
フェロウ・トラヴェラーズ 「Just A Visitor」
4.Mary, Her Husband, And Tommy Too
5.Seems Like The Whole World


さっきのファーストを始め、彼のアルバムの殆どは彼自身が手がけた版画をジャケット(だけでなく、ブックレットやCD盤のデザインの多くも)に使っているのだが、これはもしかすると少年時代のジェブ・ロイの写真だろうか。


94年にはドイツで1000枚限定のライヴ盤を発表。でもライヴの割りにこれ全然歓声が入ってないんだよね。スタジオライヴということか。

Love Shines Brighter
フェロウ・トラヴェラーズ 「Love Shines Brighter」
6.Your Own Little World
7.Big Mistake


名義はフェロウ・トラヴェラーズだが、ここでのメンバーはジェブ・ロイとロレインの二人だけ(1曲だけゲストのピアノ奏者が参加)。もしかするともうこの時点で他のメンバーとは袂を分かっていたのかも。彼が自分の写真を表ジャケットに使ったのは、今に至るまでこれが最初で最後。


フェロウ・トラヴェラーズとしての最後のアルバムは、95年に出たダブアルバム。その後彼は97年に最初のソロアルバムを出すことになるのだが、ちょっとここでは時期を入れ替えて、フェロウ・トラヴェラーズが属していたオクラ・レコードが、98年に所属アーティストを集めて出したアルバムから1曲選んでみよう。

Okra All-Stars
オクラ・オールスターズ 「The Okra All-Stars」
8.Purple Rain

タイトルから察せられるとおり、プリンスのカバー。しかも、カントリーバージョン(笑)。これは、ゆるいよ。このアルバム自体はもっと真っ当なカントリー曲を集めたものなんだけど、何故かアルバムを締めくくるのがこの曲。3人のメンバーが交代でリードボーカルを取っており、ジェブ・ロイは最後。


前述のとおり、97年には大手キャピトルからファースト・ソロアルバムを発表。

Lovers Knot
ジェブ・ロイ・ニコルズ 「Lovers Knot」
9.As The Rain
10.Sugar Creek
11.Coming Down Again


「As The Rain」が映画「グッド・ウィル・ハンティング」の挿入曲として使われたことが話題となり、このアルバムも一部で注目されるのだが、残念ながらキャピトルのような大手が期待するほどの売上を達成することができず、これ一枚であえなくクビ。でも、このミックスCDをこの順序で聴く人は、ここから明らかに音のふくらみが違うことを実感するだろう。これは、レゲエ・アルバムでも、カントリー・アルバムでも、シンガー・ソングライターが作ったフォークのアルバムでもない。その全てをよくかき混ぜ、長い時間をかけてぐつぐつ煮込んだものだ。


キャピトルから契約を切られた彼は、3年後に再起をかけてラフトレードと契約。00年にセカンドアルバムを発表。

Just What Time It Is
ジェブ・ロイ・ニコルズ 「Just What Time It Is」
12.Perfect Stranger
13.Double Dose Of You
14.Kissing Gate
15.Hold Me Till I Fall


僕はこのアルバムで彼を知った。日本盤が発売されたのもこのアルバムからだ。贔屓目があると思われるかもしれないけれど、僕は断言できる。これは、彼の最高傑作だ。ジャマイカで録音されたこのアルバムの音は、これまでのアルバムとは明らかに違う。繰り返すようだが、ジャマイカで録音したからといって、単純なレゲエアルバムになっているわけではない。

僕はこのアルバムを聴くといつも思い出す風景がある。じっとりと暑い真夏の昼下がり。場所は、どこか南の島だ。沖縄のひなびた離島でもいいし、バリならクタの喧騒を避けてジンバランあたりのビーチで。温度も湿度もかなり高いはずなのだが、天井でゆっくりと廻っている大きな扇風機のおかげで不快ではない。汗ですこし湿った身体の表面が微風で冷やされ、心地よいほどだ。右手にはきりっと冷えた缶ビール(あるいは、子供時代が懐かしくなるような派手な色のトロピカル・カクテル)。デッキチェアに身体を預けて本を読んでいるのだが、もはや内容はあまり頭に入っていない。そんなときに傍らに置いたラジカセから流れているのは、このアルバムのはずだ。

あるいは、凍てつくような冬の夜でもいい。窓の外には木枯らしが吹き荒れているが、部屋の中はとても暖かい(暖炉があるといいね)。両手で覆うように持った大きなマグに入ったココアから立つ湯気が眼鏡を真っ白に曇らせてしまう。一人でもいいんだけど、やっぱりこの情景では大事な人に隣に座っていてほしいね。そして、部屋のスピーカーから聞こえてきているのはやはりこのアルバムだ。

ああ、ちょっと妄想が過ぎたね。とにかく、僕にとってこれは無人島に持っていくべきアルバムの最有力候補の一枚。無人島に冷えたビールや暖炉があることを願おう。


続いて、02年に3枚目のソロアルバムを発表。

Easy Now
ジェブ・ロイ・ニコルズ 「Easy Now」
16.Letter To An Angel
17.They Don't Know
18.Wild Honeycomb


メンバーも、彼自身を含むプロデューサーも前作と同じ。録音場所だけを彼の自宅のあるウェールズに移して製作したアルバム。そのせいか、音から若干熱さが消えているような感じを受ける。とはいえ、これも前作に負けず劣らずの力作であることに間違いはない。曲も粒より。残念ながらこのアルバムが今のところ最後の日本盤になったのだが、今アマゾンを見てみたら、なんとこれまだ流通してるよ。ビデオアーツ、偉いなあ。上にアフィリエイト貼っておこう。まあ、個人的には、こんな旧譜に2400円も払う必要ないとは思うんだけどね(笑)


03年に、ポールスミス・ジーンズとコラボレートして出したEPがある。

October EP
ジェブ・ロイ・ニコルズ 「The October EP」
19.Don't Dance With Me

どういう経緯なのか実は僕はよく知らないのだが、彼がポールスミス・ジーンズのTシャツをデザインし、同時にこのCDをポールスミスのサポートでリリースしたということだろうか。このEPには何種類か色違いがあって、ここに載せたのはアナログシングルの色使い。僕の持っているCDは、薄い茶色の地に濃い茶色の印刷。ちなみにこれが、僕が別途オークションで手に入れたTシャツ。

Paul Smith


今のところの最新アルバムが、05年に出たこれ。このジャケはかつて「そそるジャケ特集」に載せたね。

Now Then
ジェブ・ロイ・ニコルズ 「Now Then」
20.Sometimes Shooting Stars
21.Morning Love
22.Sweet, Tough And Terrible


今度はカントリーの聖地、ナッシュビル録音。とはいえ、またいつものようにカントリー丸出しの音になっているわけではない。プロデューサーはラムチョップ(バンド名です)のマーク・ネヴァース。僕には、曲の出来が「Just What Time It Is」や「Easy Now」ほどではないかな、という気がする。もちろん、その2枚と比べなければ、これだってかなり優れたアルバムなんだけどね。


というわけで、ここに書いたとおりに全22曲を並べると、合計78分45秒。CD-R一枚にぴったりと収まるサイズになる。彼の音楽の変遷(大枠では殆ど変わっていないんだけど)もよくわかるようになっている。でも、こんな素人が作った寄せ集めじゃ、あの統一感はやっぱり出せないね。これはあくまでも入門編で、この人の音楽を本当に味わいたかったら、「Just What Time It Is」を買ってみることをお勧めする。それが見つからなければ「Easy Now」でもOK。僕は、中古CD屋でこれらが安く出ているのを見るたびに買わずにはおれず、全部買い上げては友達に配ることにしている。今回それがおすそ分けの形でにんじんさんに伝わり、それがきっかけで僕がこの記事を書いて、より多くの人に彼のことを知ってもらうことができたのを喜ばしく思う。

にんじんさん、僕の好きなアルバムを気に入ってもらえて嬉しいです。じゃあ今から恒例の全曲解説交換日記に移りましょうか(笑)
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2007年01月29日

yascd006 2006年の20枚 

1月2日の記事で予告した、僕が去年買ってよかったアルバム(06年発売分)から曲を集めた編集CDを作ってみることにしよう。その記事には僕がベスト10だと思うアルバムについてはあれこれ書いたので、それらのアルバムからの曲については今回は曲名しか書かない。詳細はその記事を参照してもらう、と。誰も今回の記事を読むのに20回も画面をスクロールしたくないだろうからね。

ベスト10のときは一応1位から10位まで順位をつけたんだけど、今回登場するベスト10以外のアルバムにはあえて順位をつけるつもりはない。これが12位で、あれは17位、とか言ってもあんまり意味ないしね。まあ、それら残りの10枚は全部次点ということで。

とにかく、僕にとって2006年を代表するアルバムを20枚選び、それぞれから僕が一番いいと思う曲をピックアップして作った編集CD(一番いいと思う曲が複数あって困った例もあるけど)。順番は順位に関係なく、あくまで1枚のCDとして聴いて気持ちいい並びにした。今回はこれだけ。いつものようにあれこれ自縄自縛ルールのない、いたって簡単な作り。

とはいえ、1月2日記事のコメントにも書いたように、タマス・ウェルズもパニック!アット・ザ・ディスコも一緒くたに1枚のCDに入れて違和感のないように流れを作るのは、そう簡単ではなかった。自分で録音して何度か聴いてみてそう悪くはないと自負しているのだが、客観的にはどうなのかな。


ではまず曲目表。オレンジ色表記のものについては1月2日の記事を参照のこと。

1.オカヴィル・リヴァー 「The President's Dead」
2.クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー 「In This Home On Ice」
3.ジン・ブラッサムズ 「Come On Hard」
4.タマス・ウェルズ 「Valder Fields」

5.マシュー・スイート&スザンナ・ホフス 「Alone Again Or」
6.ビューティフル・サウス 「The Cat Loves The Mouse」
7.アークティック・モンキーズ 「Mardy Bum」
8.ホールド・ステディ 「Chips Ahoy!」
9.ペット・ショップ・ボーイズ 「The Sodom And Gomorrah Show」
10.レイ・ラモンターニュ 「Empty」

11.ダミアン・ライス 「Dogs」
12.スクリッティ・ポリッティ 「Throw」
13.ジョシュ・リター 「Lillian, Egypt」
14.クリス・ディフォード 「Labelled With Love」
15.ブルース・スプリングスティーン&E・ストリート・バンド 「It's Hard To Be A Saint In The City」
16.ブラインド・メロン 「Soak The Sin」
17.フューチャーヘッズ 「Help Us Out」
18.パニック!アット・ザ・ディスコ 「London Beckoned Songs About Money Written By Machines」
19.ゼロ7 「Crosses」
20.バッドリー・ドローン・ボーイ 「A Journey From A To B」



それでは、次点の10枚について少しずつ書いていこう。

5.マシュー・スイート&スザンナ・ホフス 「Alone Again Or」

Under The Covers

パワーポップ界の大御所マシュー・スイートが、元バングルス(ていうか、最早ソロになってからのキャリアの方がはるかに長いけど)のスザンナ・ホフスと一緒に60〜70年代の名曲の数々をカバーしたアルバムから。

斬新さのかけらもないようなアルバムだけど、これが聴いててはまるんだよな。マシューの声とギターには抗えない。バックの面子もほぼ彼のバンドだし。収録されている曲は文句なしの名曲ばかりだし。

どの曲にしようか迷ったけど、去年亡くなってしまったアーサー・リーに敬意を表して、ラヴのこの曲を。そういえば、シド・バレットの追悼記事のコメント欄に「もし例えばアーサー・リーが亡くなったとして」なんて書いたわずか2週間後に本当に彼が死んでしまったのには驚いてしまった。呪った覚えはないのに。


7.アークティック・モンキーズ 「Mardy Bum」

Whatever People Say I Am, That's What I'm Not

7月28日にライヴレポートを書いた彼らのアルバムも、なんだかんだ言ってよく聴いた。あれからしばらくシングルも何も出していないんで、一時のハイプ感はなくなったようだが、それでいいと思う。せっかくいい曲書けるんだから、セカンドアルバムにはじっくり時間かけてほしいよ。たとえそれがどんな内容でもファーストの半分も売れないだろうけど(フランツ・フェルディナンドを見よ!)、きっと僕は買ってあげるから。でもそれがつまらなければもう3枚目は買わないよ。


11.ダミアン・ライス 「Dogs」

9

年末ぎりぎりに手に入れたこれもいいアルバムだった。相変わらずポツポツ唄って地味だけど、ファーストよりも曲ごとのメリハリがついているように思う。ただ、いい曲が多かったのはファーストの方かな。これももう少しちゃんと聴いてみよう。また印象変わるかも。


12.スクリッティ・ポリッティ 「Throw」

White Bread Black Beer

11月10日に取り上げたアルバム。その記事には、過去のアルバムに比べてあまり気に入ってないような書き方をしたけど、やっぱりこの声には抗えない(こればっかり)。次のアルバムまできっとまた7年とか待たないといけないんだから、ちょっと贔屓目で入れといてあげよう。


14.クリス・ディフォード 「Labelled With Love」

South East Side Story

贔屓といえば、これも贔屓の引き倒しだな。元スクイーズの彼がバンド時代に自分が書いた曲を再録という、なんとも後ろ向きな企画。実はこれが出ると聞いたとき、いつもメインボーカルはグレン・ティルブルックに任せていた彼が一体どういう風に主旋律を歌うんだろうという興味はあったんだけど、蓋を開けてみたら、グレンのパートを女性に歌わせているという拍子抜けな内容。

と、本来ならベスト20には入らないようなアルバムなんだけど、去年の僕の一大イベントだったグレン祭りを代表するアルバムとして入れておいてあげよう。グレンも会場で散々このCDを買ってやれって言ってたことだし(笑)

まあ、本当はそこまでこき下ろすほど酷い内容でもないんだけどね。選曲はスクイーズのベストみたいなもんだから悪いわけがないし、ペダルスティールなどをふんだんに使ったカントリー風の演奏も悪くない。ライヴDVDも付いてるし。おまけに発売元はLuna Recordsときた(聞いたことないけど 笑)


15.ブルース・スプリングスティーン&E・ストリート・バンド 「It's Hard To Be A Saint In The City」

Hammersmith Odeon 75

同じ年に「We Shall Overcome」という、コンセプトのしっかりした、力の入ったアルバムを発表した彼に対してこっちを選ぶのは失礼なような気もするけど、この音源の発掘(映像も)は衝撃的だった。75年のスプリングスティーンはこんなにも凄かったのかということを再認識させられたアルバム。

それにしても、数年前に出た「Essential」といい、これといい、この人アルバムジャケットの写真に気を使わなくなったね。これよりもう少し格好いいショットなんていくらでもあっただろうに。


16.ブラインド・メロン 「Soak The Sin」

Live At The Palace

9月25日の記事参照。最近どうやら新しいヴォーカリストを入れて再結成なんて話になってるみたいだけど、これと同じレベルのものを期待するのはもう無理だろうな。このCDはシャノンが亡くなる直前のライブらしいけど、よくこれだけの録音がこれだけの音質で残っていたものだ。


17.フューチャーヘッズ 「Help Us Out」

News And Tributes

このアルバムについては、単独で記事にしようとずっと構想を練っていたのに、タイミングを逸してしまった。数年前からわらわらと出てきたイギリスのニューウェーヴ復古派のひとつ、と紹介するのがいいのかどうかわからないけど。

先述のフランツ・フェルディナンドを初めとして、その手のバンドは(イギリスからの若手バンドの伝統として)もう殆どが最初の勢いをなくしてしまっているんだけど(実はこのバンドも、このセカンドはファーストに比べると、あちこちでかなり地味な扱いになってしまっているんだけど)、でも僕はこういうソリッドなギターとうねるベースに性急なボーカルという組み合わせにはもうパブロフの犬のように反応してしまう。21世紀のジャム、などと呼んだら言いすぎだろうか。きっと、西暦2020年代ぐらいに、ニューウェーヴ・オブ・ニューウェーヴ・オブ・ニューウェーヴなんてブームがあって、同じようなバンドが登場したら、僕はまた同じように反応してしまうんだろう。まだそのとき生きて耳が聞こえてたらね。


19.ゼロ7 「Crosses」

The Garden

9月26日に取り上げたアルバム。その記事にも書いたとおり、僕はこのアルバムを殆どホセ・ゴンザレスのニューアルバムとして聴いている。この曲は、ホセのデビューアルバムに入っていたものをバンド編成で再録したもの。実は全般的にクールでおしゃれなこのアルバム中にあって、この静かに熱く盛り上がる曲はちょっと異色。ホセ効果か。でも、先の記事に書いたように、やはりこれが白眉だと思う。


20.バッドリー・ドローン・ボーイ 「A Journey From A To B」

Born In The U.K.

このアルバムについては、ただもう一言こう書いて終わらせたいぐらいだ。

これを2006年のベスト10に入れなかったのは、不覚。

年末ぎりぎりに買って、ベスト10の選定までにあまり聴く機会がなかったせいなんだけど、その後何回か聴くにつれて、やっぱりこの人は本当にいい曲を書くということに改めて気づいた。彼の今までのアルバムも(映画「アバウト・ア・ボーイ」のサントラも含めて)どれもこれも優れたものばかりだったが、これは多分これまでの彼の最高傑作だろう。

本人の声域が狭いせいでなんだかメリハリのないように聴こえる曲も、よくメロディーラインを追ってみると、実に印象的なメロディーなことがわかる。演奏もいいし、歌詞も切なくて感情移入できる。「Born In The U.K.」というタイトルを自分のアルバムにマジで付けてしまうほどのスプリングスティーンのファンだというのも、すごく親近感がわく(確か自分の息子も「ブルース」と名づけたはず)。

この曲はアルバムの5曲目なんていう中途半端な位置から取ったとは思えないような、しっとりとしたエンディングを持ついい曲。僕は日本盤を買ったんだけど、ボーナストラックもまたよくて、日本盤買って正解だったよ。



この編集CD用に各アルバムから僕の好きな曲を抜き出してみた感想。「2曲目ばっかり!」。さっきの曲目表の番号でいうと、3、4、8、9、10、14曲目がそれぞれオリジナルアルバムの2曲目。パニック!アット・ザ・ディスコも、yascd002に僕が一番気に入っている曲を入れてしまったから今回は別の曲を入れたけど、002に選んだ曲はやはりアルバムの2曲目だったから、今回全20曲のうち実に7曲がアルバム2曲目ということになるはずだった。やっぱり僕がいつも言ってる「アルバム2曲目の法則」ってあるんだな、と思った次第。

でも、そう思いながら他の曲も見てみると、11、12、16、20曲目の4曲がそれぞれオリジナルアルバムの5曲目だということにも気づいた。前回の記事で僕は、アルバムの5曲目なんかに入る曲は目立たない中堅の曲だというようなことを書いたんだけど、この偶然はちょっと見逃せないな。LPでの発表を前提としないアルバムでは、5曲目というのが意外と重要な位置なのかも。ちょっと他のアルバムも調べてみよう。


アメリカ勢ばかりだったベスト10に比べて、次点の10枚はイギリスものが多く、そのつもりはなかったけどうまくバランスが取れたと思う。でも、これらもやっぱり決定版ベスト20ってわけでもないんだよな。ここに入れようと最後まで迷ったアルバムもあるし。まあ、そんなことを言っててもきりがないんで、2006年は買った枚数も自己史上最高だったけど、その分いいアルバムにも沢山出会えたということで満足しておこう。
posted by . at 08:45| Comment(34) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月02日

yascd005 メリー・クリスやすCD

11月4日記事のコメント欄を読まれていない方にはなんだかよくわからない駄洒落タイトルかもしれないけど、とにかくそういう理由で作り始めたミックスCDが、依頼されてから一ヶ月近くかかってしまったけど、ようやく完成した。

正直言って、こいつはちょっと難産だったね。もともと僕の手元にそんなにふんだんにクリスマスソングのCDがある訳ではなかったので、目ぼしいものを急いでアマゾンにオーダーし、あとは近場のCD屋のバーゲン箱からも何枚か掘り出して来た。それらを数回聴いてよさそうな曲をピックアップし、うまく流れができるように並べてみたのだが、出来上がったものを聴いてみるとどういう訳かあんまりクリスマスっぽいムードじゃない。全23曲中13曲ものタイトルに「クリスマス」って単語が付いてるというのに(素人チョイスで恥ずかしい。ほんとはもっと、歌詞をじっくり聴いたらクリスマスソングだってわかるような渋い曲を選びたかったんだけど)。

きっとその理由のひとつは、聴いただけで誰もがクリスマスを思い浮かべるような有名ヒット曲(既にこの界隈ではギャグになっているワム!やマライア・キャリー)や、定番スタンダードのカバー(「White Christmas」とか「Silent Night」とか)を極力入れないようにしたことかも。そういう曲は別に僕がここに入れなくても聴けるだろうし。

そんな感じで突貫工事で作ったので、かえでさんにリクエストされた、

 楽しいパーティを抜け出して、しっぽりすごすカッポーをイメージして…

なんていう高度な筋書きは無理でした(笑)。ごめんなさいね。

まあそういう訳で、この1ヶ月間(出張期間中を除く)頭の中にクリスマスソングを鳴り響かせながら作ったミックスなんで、多少出来が悪くても大目に見てほしい。では曲解説。


1.ポール・マカートニー (Paul McCartney)
Wonderful Christmastime

Paul McCartney.jpg

79年のポールのシングル曲。僕が洋楽を聴き始めた頃のヒット曲なんで、すごく懐かしい。当時は「なんだこんな地味な曲」と思ってたけどね。現在は同時期のウイングスのアルバム「Back To The Egg」にボーナストラックとして収録されている。ちなみにこれは僕が最初に買った洋楽アルバム(当時はミュージックカセットだったけど)。


2.ジェームス・テイラー (James Taylor)
The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)

JT Xmas.jpg

毎年この時期になるといろんなアーティストがクリスマス・アルバムを出すんだけど、今年は結構大物アーティストが揃ったようだ。これもその一つ。元々はファンクラブ向けだか何かで2年ほど前に限定的にリリースされていたものを一般発売したようだ。全編この調子で「JT、クリスマススタンダードを唄う」って感じの好アルバム。ちなみにこの曲、今回リストアップした殆どのCDでいろんなアーティストに歌われてるよ。この曲だけ集めて1枚ミックスCD作れるぐらいに(笑)


3.ベット・ミドラー&ジョニー・マティス(Bette Midler duet with Johnny Mathis)
Winter Wonderland / Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!

Bette.jpg

これもつい最近出たもの。ジャケはちょっとなんだかアレだけど、内容はバラエティーに富んだ、調子いい時の彼女のアルバムに匹敵するもの。名曲「From A Distance」のクリスマス・ヴァージョンなんてのも入ってる。冒頭に定番スタンダードは入れないなんて書いたのに、ここ2曲はいかにもの選曲で悪いね。


4.ブライアン・ウィルソン (Brian Wilson)
On Christmas Day

Brian.jpg

一方これは去年のシーズンに出たブライアンのクリスマス・アルバム。彼がビーチ・ボーイズ時代に書いた曲の再演、スタンダードのカバー、そして新曲と、やっつけ仕事のようでいて中々気合の入ったアルバムだった。これは彼のオリジナル。冒頭のフィル・スペクター風リズムがいかにも。


5.ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys)
Little Saint Nick

BB.jpg

そしてこれが、ブライアンが40年前に書いたクリスマス・ソング。いわゆるスタンダード曲を除けば、このミックスCDの中では一番有名な曲かも。04年の暮れにオークランドでのブライアンのコンサートでは、この曲がオープニングだった(彼のその年最後のショーだった)。


6.ハンソン (Hanson)
Christmas (Baby Please Come Home)
7.ハンソン (Hanson)
Rockin' Around The Christmas Tree

Hanson.jpg

97年に「MmmBop☆」を大ヒットさせたハンソンを誰か覚えているだろうか。3人兄弟の、確か当時一番下のドラマーは10歳にもなっていなかったはずのアイドルグループ。絵に描いたような一発屋だったけど、僕は結構気に入っていたんだ。これはかの曲がヒットしていた頃にレコード会社が「今が書き入れ時」とばかりに過去の音源などいろんな便乗CDをリリースしていたうちの一環。さっきのビーチ・ボーイズもそうだったけど、アイドルバンドのクリスマス・アルバムだ。今回の企画のために殆ど10年ぶりに引っ張り出してきて聴いてみたんだけど、これが見事にはまってしまった。いいよ、これ。声変わり中の真ん中のお兄ちゃんが歌う6、「MmmBop☆」でもリードヴォーカルを勤めていたちびっこが歌う7、僕はどちらもこのセレクションから外せなかった。もしこの2曲を気に入った人がいれば、彼らのCDは皆中古屋で100円ぐらいで簡単に見つかるので、是非どうぞ。僕はこないだ日本で、彼らが大きくなってから出したライヴ盤を300円で買ったよ。


8.エイミー・マン (Aimee Mann)
Whatever Happened To Christmas

Aimee Mann.jpg

実は僕は基本的に女性ヴォーカルってあんまり聴かないんだけど、この人は別格。この、ちょっと低くて艶のある声が最高にいい。これも今シーズンに出たクリスマス・アルバムから、ジミー・ウェブのカバー。彼女は自分でも優れた曲を書くんで、このミックスCDにもう1曲彼女の自作曲を入れる予定だったんだけど、収録時間の関係でやむなく最後に落とした。


9.リヴィングストン・テイラー (Livingston Taylor)
My Perfect Christmas Day

Liv.jpg

ジェイムスの実弟。お兄ちゃんがなめらかなシルクのような声だとしたら、彼のこの洗いざらしたコットンのような声もまた魅力的。これはクリスマス・アルバムではないが、去年出た彼の最新作から。近頃日本では彼の旧作が紙ジャケで再発されたり、久々の来日公演が予定されていたりと、ちょっと盛り上がってるみたいだね。


10.ブルース・スプリングスティーン (Bruce Springsteen)
Santa Claus Is Coming To Town

Springsteen.jpg

75年のライヴ録音。元々は「In Harmony 2」というオムニバスアルバム用の録音だった。ここに写真を載せたのは、アルバム「Born In The U.S.A.」からの何と7枚目のシングルカット曲「My Hometown」。いかに大ヒットアルバムとはいえ、いや、誰もが既に持ってる大ヒットアルバムだからこそ、そこから7枚もシングルを切ってももう誰も買わないだろう、しかもこんな地味な曲を、と思ってたら、なんとB面にこのライヴを持ってくるという卑怯な手に出たのをよく覚えている。そう、あの時点でこのブルースがカバーしたクリスマスソングは、滅多に手に入らない貴重なものだった。僕も泣く泣くそのシングル盤を買ったものだが、思えばあれが、僕がこの人に対して大きなクエスチョンマークを持ち始めた最初だったかもしれない。だって、その2枚前の名盤「The River」(はい、また出ましたよ)からのシングルカットは、アルバムのリードトラックだった「Hungry Heart」と、地味な「Fade Away」の2枚のみ(後者はB面の「Be True」の方がよっぽど魅力的なので、皆そちらを目当てに買ったものだ)。しかも、後に「Tracks」で大々的に披露されるように、あの時期の彼はシングルB面に使えるような佳曲を山ほど作っていたにもかかわらず、だ。そして、この「My Hometown」のCDシングルは今でも廃盤にならずにカタログに残っている。何故って、このライヴ録音は今に至るまでどのベストアルバムにも入らず、このシングルでしか聴けないからだ(他所で出ているオムニバスのクリスマス・アルバムは除く)。ほら、こんなにA面の曲名よりもでかでかと赤字でタイトル書いて… ああ、つい熱くなってこんなに書いてしまった。


11.イーグルス (Eagles)
Please Come Home For Christmas

Eagles.gif

英米の著名アーティストなら誰もが一度は出すクリスマス・シングル。イーグルスも例外ではない。これは確かアルバムで言うと「Hotel California」と「The Long Run」の間だったかな。ということは、もう内部に不協和音が出てきてゆっくりと解散に向けて滑り落ちていた頃か。でもこれはいい曲。ドン・ヘンリーがこの手の曲を書いてこの声で歌えば、たいていはOKと。僕の持ってるのは日本盤7センチCDシングルだが、その写真だとジャケ写が小さくなりすぎるので、ここでは日本盤アナログシングルの写真を載せた。


12.デイヴ・エドモンズ (Dave Edmunds)
Run Rudolph Run

Edmunds.jpg

よし、ちょっとここらで「楽しいパーティー」に趣向を変えよう。これは元々、映画「Party Party」(僕は未見)に使われた曲。僕はそのサントラは持っていないので、何枚も持っている彼のベスト盤のうちの一枚から取った(ええ、ベスト盤ごとにこうして他のオリジナルアルバムに入ってない曲がちょっとずつ入ってるので、どれもこれも買わないといけないんですよ)。


13.ジェームス・テイラー (James Taylor)
Have Yourself A Merry Little Christmas

October Road.jpg

yascd003にも入れた彼の02年のアルバムから。実は今回のクリスマス・アルバムにも再録されているんだけど。このミックスCDは基本的には一人一曲にしたかったんだけど、さっきのハンソンとこの人はちょっと例外。


14.ホール&オーツ (Daryl Hall & John Oates)
No Child Should Ever Cry On Christmas

Hall & Oates.jpg

これも最近の新作。本当に今年は多いなあ。でもこれはどうやら日本だけでの発売みたい(アメリカではオンライン販売のみ?)。ホール&オーツ、かつての栄光は今いずこ、って感じで寂しいね。でもこれもいいアルバムだったよ。6分もあるんでこのミックスCDには入れられなかった冒頭の「The First Noel」とか、彼ら流ブルー・アイド・ソウル・クリスマスって感じで。この曲はジョンの自作で、リードヴォーカルも彼。このデュオってどうしてもダリルにスポットが当たりがちだが、ジョンもなかなかいい曲を書くよね。


15.ベン・フォールズ・ファイヴ (Ben Folds Five)
Brick

Whatever.jpg

yascd002にも入れた彼らの、この曲はセカンド・アルバムから。このジャケは再発されたボーナストラック入りのもの。正確にはこれはクリスマス・ソングではないけど、クリスマス翌朝の別れを描いた(?)悲しい、でも名曲。


16.グレグソン&コリスター (Gregson & Collister)
Snow In Philadelphia

Gregson & Collister.jpg

これもyascd002に入れたエニー・トラブルの元リーダー、クライヴ・グレグソンと、フォーク歌手クリスティン・コリスターとのユニット。これもまたクリスマス・ソングではないけれど、12月の冬の恋をしっとりと歌った曲。


17.チーフテンズ (The Chieftains)
Past Three O'Clock

Chieftains.jpg

アイルランドのチーフテンズが豪華なゲストを迎えて作成した、91年のクリスマス・アルバムから。これにはルネサンス・シンガーズというコーラス・ユニットが参加している。ちょっとここからケルト風味のクリスマス・ソングを続けるよ。


18.ポーグス (The Pogues)
Fairytale In New York

Pogues.jpg

僕の世代のクリスマス・アンセム。スティーヴ・リリワイトのプロデュースによる、彼らのアルバムでは最も端正な音を聞かせる88年のサード・アルバムから。そしてそのお陰で実現した、(後に遊泳中ボートに轢かれるという壮絶な亡くなり方をすることになる)プロデューサーの奥方カースティ・マコールとのデュエット。アメリカン・ドリームを夢見てアイルランドからはるばる渡米したが、今は夢破れてしまった夫婦が過去を懐かしむクリスマスの日、という切ないストーリー。


19.ジャクソン・ブラウン (Jackson Browne)
The Rebel Jesus

Jackson Browne.jpg

これも厳密に言えばクリスマス・ソングではないけれど、キリストを「反逆者」と逆説的に呼んだ(歌詞をちゃんと読めば決して悪い意味ではないというのがわかるのだが)この曲は、最近出た彼のアコースティック・ライヴ・アルバムの最後でも感動的に歌われていた。僕の調べた限りではこの曲は彼のオリジナル・アルバムには入っていなくて、ここに写真を載せたベスト盤、そしてさっきのチーフテンズのクリスマス・アルバムに別ヴァージョンが収録されているのみ。こんなにいい曲なのにな。


20.コーギス (The Korgis)
Wish You A Merry Christmas

Korgis.jpg

隠れた名ポップ・ロック・バンド、コーギスのベスト・アルバムより。このちょっと地味な曲の邦題は、歌詞から取った「クリスマス・イン・ジャパン」。でも、「クリスマスにこんなとこにいないで早く帰りたいよ」って内容なんだけどね(笑)


21.ロリ・カーソン (Lori Carson)
Christmas

Lori.jpg

彼女のことを、僕は元ゴールデン・パロミノズのヴォーカルとしか認識してなかったんだけど、どうやら彼女がそのグループに在籍してたのはほんの一時期だったようだ。でもこのアルバムのプロデューサーはパロミノズのアントン・フィア。音は全然違って、おごそかな感じ。これは特にクリスマス・アルバムという訳ではないんだけど。


22.山下達郎 (Tatsuro Yamashita)
Christmas Eve (English Version)

Yamashita.jpg

思いっきりベタですみません(笑)。でもここでは英語ヴァージョンを入れることにしよう。高校生のときに「Melodies」のLPを買って以来、好きな曲。今やどんなにあちこちで使い倒されて手垢がついていたとしても。


23.オスカー・ピーターソン (Oscar Peterson)
A Child Is Born

Verve.jpg

最後は、ジャズピアノでしっとりと閉めよう。これはヴァーヴ・レーベルのクリスマス・アルバムから。僕はジャズにそんなに強いわけではないんだけど、こういうのは聴いてて気持ちいいというのはわかる。


以上、全23曲、79分06秒。CD-Rに落としてさっきから聴いてみてるけど、先日から頭の中でジングルベルが鳴り響いてる僕の頭では、もうこれがいい出来なのかどうか判断できない(笑)。是非誰かに聴いてもらって、このCDがその人の今年のクリスマスの楽しい思い出の一端にでもなればいいな。
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2006年10月26日

yascd004 クッキング・タイマー

怒涛の記事更新が売りの「喰いしん坊 犯罪!」というブログで、妙に僕の心の琴線に触れる記事に出会ってしまった。詳しくはそちらを読んで貰えばいいんだけど、要は、料理をしている時の3分や7分という待ち時間をなんとか楽しく過ごせないだろうか、という話。その際、例えば3分ぴったりで終わる曲がかかっていれば、時計とにらめっこしていなくてもすむのにね、と。いいアイデアだよね。元々はそこのブログ主と僕の共通の友人である発明家の方にそういうプログラムができる機械を作って欲しいと持ちかけられた話だったのだが、その発明家の方は最近どうも忙しくされているようなので、僕が横から割って入ったというわけ。

それが一昨日の話だったんだけど、一体この話の何がそんなに僕を突き動かしたんだろう。もうそれからというもの、別に頼まれたわけでもないのに、あたかもかぐや姫に求婚して幻の宝を持って来なさいと無理難題をふっかけられた男たちの如く、自らを急き立てて二晩で完成させてしまった。yascd第四弾、音楽を聴くだけで時間も計れる、一石二鳥のクッキング・タイマー!


まずはルール決めから。最初はカップヌードル3分とか、そういう料理によく使われる時間単位の曲を入れていこうと思ったのだが、それよりも組み合わせによって何分でも計れるものにした方が便利じゃないかということに気づいた。CDの1曲目が1分、2曲目が2分、という具合に。そしたら、12曲入れれば78分。ほぼCD1枚のキャパに相当することになる。これなら、1分から78分まで、1分刻みで何分でも計ることができるよ。それに、1曲目が1分、12曲目が12分って決まってれば、CDプレーヤーやPCで選曲する際に待ち時間相当の曲番号を押せばいいだけだから簡単だし。しかもこれは、12曲しか入っていないのに、同じ曲が二回かからないようにしても、おそらく数百通りの選曲ができるはず。例えば5分待つ場合、

?5曲目
?4曲目+1曲目
?3曲目+2曲目

の三通りがあるよね(順序を入れ替えたら更に二通り増えるし)。本当は全部で何通りできます!って書きたかったんだけど、よくわからない。どなたか算数の得意な方、計算お願いします。

本当は、1:00なら1分ちょうどの曲を集めたかったんだけど、さすがにそれはちょっと無理があった。家中のCD引っ掻き回せばなんとかそういう曲が集まらなくもなかったんだろうけど、一応聞いて楽しめる作品にするためには、多少の誤差には目をつぶらざるを得ないと妥協した。でも、僕は「喰い犯」の記事で提案してもらった

20秒程度の誤差ならいいじゃないですか。

なんて甘い規律は自分には課さないから。毎分00秒からプラスマイナス5秒。そこまで。最後がフェードアウトで終わる曲なら、フェードアウトの時間よりも短い誤差になるはず。いくら長年のアジア生活で実生活ではひたすら時間にルーズになってるとはいえ、こういうところはきちんとするよ、僕は。

さすがにこれは自縄自縛かと思ったけど、やってみたら思いのほか簡単に集まった。しかもプラスマイナス5秒どころか、一番離れた曲で4秒差。長いのも短いのもあるから、全12曲で合計78分06秒。これは上出来だろう。しかも、曲調とかでなく時間で並べた曲集のわりには、予想外に流れがスムーズな気がする。それこそフレンチ・フォークから、英ニュー・ウェーヴ、アメリカン・ロック、プログレなど、曲調も滅茶苦茶なはずなんだけど。いや、さっきから自画自賛ばかりして申し訳ないけど、こんな適当なきっかけで作ったミックスCDのわりには、今朝からかなり気に入って聴いてるよ。



では、一応曲目紹介を。

1.カーラ・ブルーニ (Carla Bruni)
  La Derniere Minute (1:04)

Quelqu'un M'a Dit.jpg

イタリアの女優である彼女が、フランス語で歌った02年のデビューアルバム「Quelqu'um M'a Dit」から。僕はその年にパリに旅行に行って、たまたま訪れたCD屋で(というかCD屋ばっかり行ってたんだけど)一押しだったこのアルバムを彼女が誰かもよくわからずに買ってきたんだけど、これが大当たりだった。女優が片手間でやってるとは思えないほどの優れたアルバム。この曲はそのアルバムの最終曲。よく出来たエンディングの曲はオープニングにも使えるという見本(使えてるかな?)。


2.ロックパイル (Rockpile)
  Now And Always (1:58)

Seconds Of Pleasure.jpg

デイヴ・エドモンズとニック・ロウがこの名義で発表した唯一のアルバム「Seconds Of Pleasure」(80年)から。パブロックファンのバイブルみたいなアルバム。特にこの曲は、そのアルバムのおまけEPで二人がカバーしていたエヴァリー・ブラザーズ風の見事なコーラスが最高。この二人の声って、ほんとにこうしてコーラスすると合ってるよね。誰が見てもお似合いの組み合わせだったのに、些細な理由で別れてしまったのがいかにも残念。最近二人とも新作を発表してないけど、そのうちまた一緒にやってくれないかな。


3.エルヴィス・コステロ&アトラクションズ (Elvis Costello & The Attractions)
  Oliver's Army (2:59)

Armed Forces..jpg

ここはパブロックつながり、というかニック・ロウつながりかな。ニックがプロデュースしたコステロの初期の名盤「Armed Forces」(79年)から。最近はすっかり落ち着いたジャズヴォーカルのおじさんになってしまったけど、この頃のコステロのこういうメロディーのきらめきは唯一無比だったね。スティーヴ・ナイーヴのピアノも最高。


4.XTC
  The Mayor Of Simpleton (3:57)

Oranges & Lemons.jpg

個人的にはXTCの全盛期(の終焉時)に発表されたと思っている89年の「Oranges & Lemons」からのリード・シングル。このベースラインがたまらなく格好いい。前回の記事にも彼らの限定盤変形ジャケットを載せたけど、僕が持ってるこの「Oranges & Lemons」も、7インチCDが3枚、キャラメルの箱みたいな紙箱に入ってるという限定仕様。さっきから探してるんだけど見当たらない… しょうがないから通常ジャケットの写真を載せておくけど、そのうち見つけたら写真を差し替えよう。


5.トッド・ラングレン (Todd Rundgren)
  Just One Victory (4:58)

A Wizard, A True Star.jpg

4のXTCと関係なくもないけど、それを書き出すと長くなるので割愛。yascd003にも入れた天才的シンガーソングライターの、「神がかり的な」凄いアルバムのうちの一枚「A Wizard, A True Star」(73年)から。僕が何回か観に行った彼の(あるいは彼のバンド、ユートピアの)コンサートで、ほぼ毎回アンコールでこの曲が演奏されるのを聴くたびに背筋がぞくっとしていたのを思い出す。


6.ダイア・ストレイツ (Dire Straits)
  Romeo & Juliet (6:01)

Making Movies.jpg

中学生の頃に初めて聴いて以来、ずいぶん長い間僕の無人島レコだった80年の「Making Movies」から。85年の「Brothers In Arms」で大ブレイクして超巨大バンドになってしまう前の、本当に味のある曲を書いていた頃の彼ら。リーダーのマーク・ノフラーは解散後逆に地味地味のアルバムばかりを発表しているけど、もう一度こういうアルバムを作ってくれないかなあ。


7.ブルース・スプリングスティーン (Bruce Springsteen)
  Rosalita (Come Out Tonight) (7:04)

The Wild, The Innocent & The E Street Shuffle.jpg

彼の曲は、5分のところに丁度5:00である「The River」を入れようかどうしようか散々迷ったんだけど、やっぱりこの初期の名曲を外すことはできなかったのでこちらに決定(別に同じアーティストの曲を複数入れてもいいんだけど、これもまた自縄自縛ルールの一つということで)。73年の「The Wild, The Innocent & The E Street Shuffle」から。ほとばしる言葉の洪水が、それ自体が物語であるような曲調に乗って歌われるこんな素晴らしい曲を彼はもう書けなくなってしまったけれども、僕は大阪城ホールで観た彼がアンコールでこの曲を演ってくれたのを忘れない。


8.ジェネシス (Genesis)
  Dancing With The Moonlit Knight (8:04)

Selling England By The Pound.jpg

まだジェネシスのリードヴォーカリストがピーター・ゲイブリエルで、フィル・コリンズがドラムに専念していた頃の名作「Selling England By The Pound」(73年)からの、そのアルバムタイトルが歌い込まれた実質上のタイトルトラック。ちなみにそのタイトルは、「イングランドを英ポンドで売る」と「イングランドを切り売りする」の掛詞かな。さっきの曲からのつながりがちょっと不自然かも知れないけど、ここはLPでいうA面とB面の切り替わりだと思ってほしい(本当はこれからどんどん曲が長くなっていくんで、ちっとも全体の半分じゃないんだけど)。ここからしばらくプログレになるよ。Lunaさん、お待たせしました(笑)。


9.イエス (Yes)
  Siberian Khatru (8:57)

Close To The Edge.jpg

おそらく誰もがイエスの最高傑作と認めるであろう、72年の「Close To The Edge」からの最終曲。以前の記事に書いたけど、こういうのを聴くと、いかにピンク・フロイドとかがテクニックでなくムード重視のプログレ・バンドかというのがよくわかる(笑)。オープニングから最後のフェードアウトまで、超絶テクが満喫できる9分間。


10.キャラヴァン (Caravan)
  L'auberge Du Sanglier / A Hunting We Shall Go / Pengola / Backwards / A Hunting We Shall Go (Reprise) (10:03)

For Girls Who Grow Plump In The Night.jpg

カブ子さんお待たせ(笑)。カンタベリー派からはキャラヴァンを入れよう。73年の「For Girls Who Grow Plump In The Night」からのメドレー曲。丁度10分のところでドカンと大きな音が鳴って終わるから、うっかり何のためにこの曲を聴いていたか忘れた場合にも安心です(笑)。それにしても、さっきからなんだか73年発表の曲が多いなあ。これは何の偶然なんだろう。


11.フィッシュ (Phish)
  David Bowie (10:59)

Junta.jpg

えーと、デイヴィッド・ボウイの「Phish」じゃなくて、フィッシュというバンドの「David Bowie」という曲だからね(とは言え、歌詞は別にその有名歌手とは殆ど関係なく、単なる言葉遊び)。今はもう解散してしまった僕のお気に入りグループのデビューアルバム「Junta」(88年)から。ジャム・バンドの代名詞ともなった彼らの代表曲の一つ。元々がこんな長い曲だけど、数多く出ている彼らのライヴアルバムでは、これを更に引き伸ばして演奏している。ドライヴ中なんかに聴くと、最高。


12.へヴィーズ (The Heavy's)
  Slow Down Mix (12:02)

The Heavy's.jpg

これはちょっと反則か?僕もあんまりよく知らないんだけど、いろんなハードロック/へヴィ・メタル系の曲をメドレーにして、本物に似せて歌ったアルバム(全4曲)のうち、スローバラード系の曲を繋げたもの。超有名曲から僕もよく知らないマイナーな曲まで14曲がごちゃ混ぜに入ってて、この辺の曲を知ってる人なら聴いててそれなりに楽しめるかもね。まあ、反則かもしれないけど、この最後の曲は依頼主の、ハードロックファンでもあるかえでさんに捧げる、ということでよしとしよう。



曲を探していると、やっぱり3分、4分、5分あたりの曲はざくざく出てきたから、もし今回選んだ曲が気に入らない人用には別バージョンも作れるかも。例えば、もっとハードな曲を入れてほしいという人には、5のところにラッシュ(Rush)の「The Spirit Of Radio」(4:59)を入れるとか。あとは、オープニングはもっとでたらめでもOKという人のために、1にレジデンツ(The Residents)の「Commercial Album」(1分の曲が40個入ってる)から何か適当なのを一曲入れるとかね。

まあともかく、以上暫定12曲。こんなミックスCD作ったら、誰かタイマーとして使ってくれるかなあ。僕はそんなに料理するわけでもないから、室内で運動するときにでも使おうかな。ルームランナー30分とかね。
posted by . at 20:01| Comment(23) | TrackBack(1) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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