2011年08月13日

Nick Lowe live in Tokyo Pt. 2

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東京公演最終日。セカンドセット。ちょうど僕が会場に着いたのは、ファーストセットを終えて満足顔のお客さんがぞろぞろと出てくるところだった。みんな本当にニコニコしてるね。テレビ中継は無事行われたようで、友達に頼んである録画ビデオを観るのが楽しみだ。

前日より一つ大きな数字の整理番号で入場したのに、前日より一つ内側に寄ったテーブルに陣取る。僕とステージとの間には何人か座っているから、その人たちに遮られてステージ全体を見渡すという感じではないけれど、ポジション的にはニックの真正面。首を思いっきりひねらないとゲライントのことを観られなかった前日とは逆に、ステージ左側を向いた席。ビルボードにはもう何回も来ているから、下手に最前列まで行くよりもこのあたりの方が音のバランスがいいというのは承知済み。負け惜しみでなく。

前日同様、定時を少し過ぎたあたりでニックが登場。前日はこざっぱりしたモスグリーンの半袖シャツだったのが、この日は一面に薔薇の模様の入った濃紺の長袖シャツ。足元は前日の革靴でなく、スニーカーだった。いくつになってもスタイルいいから、何着ても似合うね、この人は。

どうせ前日と同じセットリストだろうな、最終日だから余裕持ってゆったり観よう、もうしばらく観られないかも知れないからしっかり目に焼き付けておこう、なんて思っていたら、前日と同じようにギターを抱えて弾き始めたイントロがどうも昨日の「Stoplight Roses」とは違う。なんか聴き覚えあるぞ。あ、これ!「People Change」だ。ライヴDVDでもオープニングだった、アルバム『At My Age』中、僕が一番好きな曲。そっか、セットリスト変えてくるんだ、これは楽しみだぞ。

と思っていたら、2曲目は「Heart」。メンバーがまだ楽屋からステージに向かって歩いてきている時に勝手に弾き始めて歌い始めた3曲目の「What Lack Of Love Has Done」も前日と同じ(前日はせめてメンバーがステージに上ってから弾き始めていたけどね)。その後しばらくは同じセットが続いた。

「I Live On A Battlefield」に入る前、「この曲は、ダイアナ・ロスにカバーされたんだ」と紹介。へえ、そうなんだ。まあ、あえて買ってまで聴いてみたいとは思わないけど。そして、その曲が終わったときに、前日同様にメンバー紹介。「みんな、“コンニチハ”を彼に言って」と、右端のマシューから順に。ロバートのときは、「ロバート・トレハーン。グレート・ボビー・アーウィン!」って言ってたね。

「Indian Queens」の間奏で、ドラムがコツ、コツ、と静かにリズムを刻むところでニックが「う〜ん」とか言いながら気持ちよさそうな顔してた。前日は確か「この部分が好きなんだ」とかつぶやいてたな。

曲順もわかってるから前日より冷静に聴けたとはいえ、やっぱりこの「Cruel To Be Kind」のイントロは超かっこいいよ。感動的ですらあるな。そして、この日一番の驚きは、ジョニーのギターがやたら上手かったこと。この曲に限らないけど、前日はヒヤヒヤしながら観ていたプレイの、この日はなんと安定していたことか。この曲のソロは比較的レコードに忠実なラインだったけど、それだけでなく、各曲での的確なピッキング、効果的なトレモロ使い、(もたついてるんじゃなく)タメを持ったカッティング、どれもこれも前日とはまるで別人。そう思いながら観ると、前日はちょっともっさりして見えたグレッチの黄色い大柄なギターもやけに格好よく見えるよ。いやー、さすがテレビ中継が一度入ると違うね(笑)

そんな風にジョニーもよかったけど、ステージ左側を向いて座った僕のこの日のお目当てはやっぱりゲライント。ステージ中央に向けて置かれた黒いローランドと、客席に向けて置かれた真っ赤なノード。曲によって使い分けたり、同じ曲の中で両方を弾き分けたり。この人が演奏するのを、ビデオも含めて何度か観ているけど、どうも猫背で小さくなって弾いているっていう印象があったんだよね。ところが実際にこうして見てみると、背筋はしゃきっと伸びている。大柄な体を小さくして弾いているのかと思うと、背も決して高いわけじゃない。どうしてあんな風に見えるんだろうとずっと観察していてわかったのは、あれ椅子がかなり高いんだね、きっと。それで、自然と下の方にある鍵板を手のひらでふわっふわっという感じで弾くもんだから、なんとなく大きな大人がオモチャのピアノを弾いているように見えるんだな。そしてこの人、本当にいつも目を細めてニコニコしながらキーボードを弾くんだよね。観ているこっちまでつられてニコニコしてしまうよ。

「Cruel To Be Kind」の次はスローな曲、というお決まりどおり、次はライヴDVDと同じ「You Inspire Me」。次はまた「Long Limbed Girl」かなと思っていたら、新曲だ。サビの歌詞とニューアルバムの曲目表を見比べてみると、「Sensitive Man」というやつだね。

「今のはニューアルバムからの新曲。もう一曲新曲を演るよ、“House For Sale”」と紹介して演奏しようとするニック。他のメンバーから一斉に「違うよ」とツッコミ。「ああ、そうか、“Somebody Cares For Me”だ、そっちの方がいいね」と苦笑いのニック。「なんだ、昨日演奏していない“House For Sale”を演ってくれればいいのにな」と思っていたら、「Somebody Cares For Me」のあと、「次が“House For Sale”だったよ」とニック。やった、この中盤に来て前日とかなりセット変えてきたよ。嬉しいな。これもいい曲だね。歌詞の後半に“Peace, Love and Understanding”なんて入ってたのはアドリブなのかな。

曲によって、ベースのマシュー以外の3人が頻繁にコーラスを入れる。みんなさすがに付き合い長いだけあって手慣れたものだね。あと、前日も気づいていたけど書くのを忘れていたのは、曲が終わるたびにニックが敬礼すること。なんか、すごく見馴れた光景だなと思っていたら、あ、そうか、あれ「Cruel To Be Kind」のシングル盤のジャケだ。昔からずっとああしてたんだね。

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「Somebody Cares For Me」の後は、本編終了まで前日と同じ流れ。「Without Love」の、あのシンプルなギターソロの格好いいこと。何度も書くけど、ほんとに昨日のあの頼りなさげなギタリストと同一人物とは思えないよ、まったく。

「I Knew The Bride」の歌詞、“At a flash hotel for a 150 guests”というところで、前日もなんかごちゃごちゃとアドリブ入れてたなと思ってよく聴いてみたら、“広尾ガーデンホテル”って歌い替えてたね。そうか、今回そのあたりに泊まってるのか(笑)

それで本編終了。前日と違ってこの日はちゃんと(?)全員楽屋に引っ込んだね。でも何分も経たないうちにニックとゲライントが二人で登場。「アンコールの拍手が止んでしまう前に出てきたよ。僕らもまだ演奏したいからね」とニック。

アンコールの曲順は前日と同じ。「When I Write The Book」を終えたとき、ニックが客席に向かって人差し指を立て、「もう一曲?」と自ら聞いてくる。そして、あの最高にクールな「Go Away Hound Dog」。一旦全員がステージを降り、それでも鳴りやまない拍手に応えてニックが一人で閉じて行くカーテンの前で唄う「The Beast In Me」。

以上。ああもう、終わっちゃったよ。前日とちょっとだけ違うセットリスト(なにげに前日より1曲多い)とか、期待してなかったところで嬉しい驚きもあったし、終始ニコニコ顔のゲライントのことをずっと見ていられたし、見違えるほど成長した(笑)ジョニーのギタープレイも観られたし、それにやっぱりなんと言っても、あの円熟味溢れる演奏と歌をもう一回聴けたというのが、この日最大の醍醐味。チケット高かったけど、二日間来てよかった。早くこの日のファーストセットの録画観たいな。


Setlist 11 August 2011 @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

1. People Change
2. Heart
3. What Lack Of Love Has Done
4. Ragin' Eyes
5. Lately I've Let Things Slide
6. Has She Got A Friend?
7. I Trained Her To Love Me
8. I Live On A Battlefield
9. Indian Queens
10. Cruel To Be Kind
11. You Inspire Me
12. Sensitive Man
13. Somebody Cares For Me
14. House For Sale
15. Without Love
16. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
17. I Knew The Bride (When She Used To Rock 'n' Roll)

Encore
1. Only A Rose
2. When I Write The Book
3. Go Away Hound Dog

4. The Beast In Me
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2011年08月11日

Nick Lowe live in Tokyo Pt. 1

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「死ぬ前にまた観られたらいいな。できたら今度はもっと小さい会場でね」と記事を締めくくったのは、もう2年近くも前になるのか。あのときはライ・クーダーとのジョイント・ツアーで、しかもやたら馬鹿でかい会場の端の方で観たために、それなりに満足したもののなんとなく個人的には欲求不満気味だったニック・ロウのライヴ。2年振りの来日は本当に“もっと小さい会場”が実現してしまった。ただ、純粋にライヴを観るという意味ではちょっと有難味に欠けるビルボードなんだけど。

二日連続の計4公演。発表されたときは全公演制覇しようかなとも思っていたけど、今回はバンドで来ると知って、多分アドリブ効かないな、ヘタすると4公演ともセットリスト同じかも、と思い、中途半端に一日一回ずつの2公演だけにしておいた。どちらも9時半からのセカンドセット。今日はまず、初日分を書こう。セットリストとか出てくるので、今日これから観に行く予定の人や、明日の大阪公演を楽しみにしている人はネタバレ注意。

最前列ではないけどそれなりに見やすい、ほぼ中央の席を確保し、多分ビルボードでは誰も注文することのないであろう日本酒を(ワイングラスで)ちびちびやりながら待つことしばし、定刻の9時半を少し回ったところでニックが一人で登場。

2年前の来日時、ステージからかなり離れた席から見ててもずいぶん歳食ったなと思っていたけど、今回もその印象は変わらず。というか逆に、あれから2年経ったけど老化は2年分も進んだように見えない。かなり痩せて顔も首もシワシワだけど、おじいちゃんお元気そうでなにより、といった風貌。上の写真でかけている、往年のエルヴィス・コステロ風の黒縁メガネのせいもあってやけに落ち着いて見えるね。

いつものようにサンバーストのギブソンを右脇きっちりに抱え、大きな左手で包み込むようにネックを押さえるスタイル。ピックは使わずに指で弾いてるんだね。といっても、細かなフィンガー・ピッキングをするというわけでもなく、手首から先だけを動かしてなんとなく手癖で弾いているような。

曲紹介もなく歌い始めた1曲目は、歌詞から判断して、来月発売予定の(とんでもないジャケットデザインの)ニューアルバム『The Old Magic』のオープニング曲「Stoplight Roses」だろう。いい曲だなあ。またこんな地味な曲が幕開けなのかとも思うけれど、今回のアルバム結構期待できるかも。あのジャケだけはなんとかしてほしいものだけど。

続く懐かしの「Heart」までは一人で弾き語り、3曲目に移る前にメンバーが登場。ステージ右手でアップライト・ベースを弾くのはマシュー・ラドフォード(Matthew Radford)。その左に、ちょっと斜めにセットしてあるドラムスに座るのは、ロバート・トレハーン(Robert Trehern)。中央のニックの左後方でエレキギターを弾くジョニー・スコット(Johnny Scott)。ステージ左端に2台置いてあるキーボードを弾くのがゲライント・ワトキンス(Geraint Watkins)。07年の前作『At My Age』ライヴDVDのときと同じ布陣。ライヴDVDのときはゴールド・トップと名付けられていたバンドだね。

まだメンバーがストラップを肩にかけたりプラグを挿したりしているのに、ニックがさっさとイントロを弾きはじめる。3曲目は『Dig My Mood』からの「What Lack Of Love Has Done」。最初のヴァースを歌い終える頃に、準備のできた楽器からバラバラと加わり始める。なんか、こういうのいいね。この後にも、最初ニックが一人で弾き歌い始めて、他の楽器が順々に入ってくるというアレンジの曲がいくつかあったな。骨組みだけだった曲が徐々に組み立てられていくのを目前に見ているような感触。

「今日は、とても古い曲や、そこそこ新しめの曲、それからできたばかりのとても新しい曲も演るよ」とニックが話したのはこのあたりかな。4曲目は“とても古い曲”の一つ、「Ragin' Eyes」。どうもあのPVを観て以来、“女の子の目からビームが出る曲”と認識してしまうよ。PVのイメージって重要だね。

その後は、“そこそこ新しめの曲”がしばらく続く。告白してしまうと、僕はいわゆる“ブレントフォード三部作”以降のアルバムって、凄く良いとというのは頭ではわかっていつつも、僕が一番彼の音楽にはまっていた80〜90年代前半のアルバムほど聴き込んでこなかったのは事実。ところが、こうして目の前でライヴで演奏されるのを聴くと、一連のジャジーな雰囲気のアルバムから受ける印象と全く違うのに驚かされる。

はっきり言って、ゲライント以外は取り立ててテクニシャンと呼べるようなメンバーがいるわけでもないし(ゲライントにしても、特に凄いフレーズを弾いたりするわけじゃなく、雰囲気勝負みたいなプレイヤーだしね)、演奏自体もいたってシンプルなものなんだけど、最近のアルバムからの曲がすごく際立って聴こえる。ああ、これってこんなにいい曲だったんだ、と思わされるのがいくつもあった。さっきの「What Lack Of Love Has Done」もそうだし、5曲目に演奏した「Lately I've Let Things Slide」もそう(まあこちらは元々かなりいい曲だというのは認識していたけど)。

インディアン・クイーンズが地名だというのは今回ニックが説明するのを聞いて初めて知った(歌詞をちゃんと読みなさい)。「Indian Queens」、実に目立たない地味な曲だけど、いいよね。今回これを演ってくれたのが個人的には小ヒット。

中盤、ニックがゲライントのことを指さし、ゲライントが真っ赤なノード・エレクトロ3で耳慣れないイントロを弾き始めた。初めて聴くイントロのフレーズだけど、このコードでわかるよ!もうその瞬間、その場で悶絶しそうになった「Cruel To Be Kind」。例のライヴDVDでも、ロバートが自分の膝をスティックで叩いてカウントをとるイントロが最高にかっこよかったしな。

そういえば、そのライヴDVDのその曲でせっかくのギターソロをとちっていたジョニー、今回もなんだかあちらこちらで危なっかしいプレイを見せてくれてたよな。あからさまに間違ったりはしてないんだけど、どうも見ていて不安をぬぐえないというか、おいおい頼むから正しい弦を弾いてくれよ、という気持ちになってしまう。「Cruel To Be Kind」も、オリジナルともライヴDVDの時とも違ったソロを弾いてくれたんだけど、そんな余計なことしないでいいから落ち着いてオリジナル通り弾いてくれと思ってしまう。今朝読んだ五十嵐さんのツイートによると、この人ってゲライント、ロバートと3人でヴァン・モリソンのバックバンドに居たことがあるらしいんだけど、あれで本当に?って感じ。

さっきからロバートロバート書いてるけど、メンバー紹介のときにニックは「ロバート・トレハーン、またの名をボビー・アーウィン」って紹介してたね。あーすっきりした。ボビーでもロバートでもいいんだけど、なんで苗字変わったんだっけ、この人?

ライヴDVDのときはクライマックスの「Cruel To Be Kind」に続けてスローな「You Inspired Me」、そして「Long Limbed Girl」を続けて、あたかも「Cruel To Be Kind」なんてクライマックスでもなんでもない単なる1曲なんだよとでも言いたげな流れだったけど、今回もその曲に続けてスローな「Raining Raining」、そして「Long Limbed Girl」という流れ。この「Long Limbed Girl」という曲は「Cruel To Be Kind」の次の次というポジションに決まっているのかな。

「次は来月出るニューアルバムからの曲」と前置きして(その後「iPodで買って」とかなんとかジョークを言ってたけどよく聞き取れなかった)、「Somebody Cares For Me」。これもなかなかいい曲だったね。そこから先は、本編ラストに向けての怒涛の曲順(セットリスト参照)。

ラストの「I Knew The Bride」を終えたところでステージを離れようとした瞬間、腕時計を見て「あ、やばい、ゲライントそこに居て」とばかりにキーボードを指さして指示するニック。「アンコールで行ったり来たりする時間を省くよ。もう時間ないからね」と説明していたのは終演予定時刻を少し回った10時35分あたり。

「ゲライントはキーボードだけじゃなく歌もうまいんだ」と紹介し、アンコール(?)1曲目はゲライントの「Only A Rose」でスタート。知らない曲だなんて思ってたけど、調べてみたら僕も持ってる『Dial 'W' For Watkins」に入ってる曲じゃないか。買ったCDはちゃんと覚えるまで聴き込みなさい。最初はコーラスをつけていたニックがセカンド・ヴァースはメインで歌い、ゲライントがコーラスに廻る。いいね。

残りの3人がまたステージに戻ってくると同時にステージ背後のカーテンが開き、六本木の夜景と大きな窓ガラスに映るニックの後姿がくっきり見える。例によってニックがソロで歌い始め、他の楽器が追いついてくる感じで「When I Write The Book」。思い起こせばもう30年以上も前、僕が初めてニックのライヴを観たコステロの前座のときのオープニングがこの曲だったな。すっかりアンコールのクローザー的な貫禄あるアレンジに改良されたこの曲を聴くと、立派な社会人に成長した近所の子供を見ているような気になるよ。偉くなったものだね。

もう予定終了時刻を15分以上廻ってるし、それで終わりかなと思っていたら、ロカビリー調のやたら格好いい曲をもうひとつ。調べてみたら、クリフ・ジョンソンという人の「Go Away Hound Dog」という曲のようだ。このバンド、こういう曲を演らせたら鉄壁だね。何度も書いて申し訳ないけど、別にどこが上手いというわけでもないけど、必要最小限の音は全て鳴るべき個所で鳴っているという感じ。ニックがここ数年このバンドにこだわっている理由がよくわかる気がする。

演奏終了後、メンバーが楽屋に下がる。いつもこの瞬間に気付くんだけど、この会場、あの一番左手の席に座っていると、楽屋に戻るメンバーに握手してもらったりできるんだよね。まあ、あえてそれを理由にあんな端っこで観たいとは思わないけど。

鳴りやまないアンコールの拍手。ビルボードルールでもう客電点けられてしまうかな、と思っていたけど、すぐニック一人で戻ってきてくれて、最後はしっとりと「The Beast In Me」で幕。開いていたカーテンもニックが歌うにつれて徐々に閉じていき、この静かなエンディングにぽつんと小さな色を添える。

ああ、いいライヴだった。スルーするつもりだった二日目のファーストセット、やっぱり行こうかな。実は、ネットで調べてみた数カ月前のライヴのセットリストが今回のとほぼ同一だったのを知っていたから、やっぱり今回の4公演、セットリスト変わらないんだろうなと思ったのと、受付で調べてもらったらもうあまりいい席が残っていなかったのと(なんでビルボードって、追加料金を払う指定席の方が後ろなんだ?)、会社サボってテレビに写るのもなんだかなと思ったのが重なり、やはり断念。

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そう、今日のファーストセットは、フジテレビのCSチャンネルで完全生中継なんだって。あと30分ほどで始まるから、この記事をアップされた瞬間に読んで興味がわいて、しかもCS契約している人は是非観てみて(天文学的な確率でいないね、そんな人は)。

さて、そろそろセカンドセットを観に行く準備をしようかな。全く同じセットリストでも別にいいよ、あんなに熟成されたいいライヴをもう一回見せてもらえるならね。


Setlist 10 August 2011 @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

1. Stoplight Roses
2. Heart
3. What Lack Of Love Has Done
4. Ragin' Eyes
5. Lately I've Let Things Slide
6. Has She Got A Friend?
7. I Trained Her To Love Me
8. I Live On A Battlefield
9. Indian Queens
10. Cruel To Be Kind
11. Raining Raining
12. Long Limbed Girl
13. Somebody Cares For Me
14. Without Love
15. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
16. I Knew The Bride (When She Used To Rock 'n' Roll)

Encore
1. Only A Rose
2. When I Write The Book
3. Go Away Hound Dog

4. The Beast In Me
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2011年07月10日

音霊 Sea Studio 2011 が〜まるちょば x →Pia-no-jaC←

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涼しい夏の欧州を後にして、灼熱の東京に戻ってきた翌日。横須賀線に乗って、タマス・ウェルズやジム・ボジアのライヴを観た鎌倉の、一駅先の逗子へと向かう。梅雨明けの日曜の昼下がり、うちからだとちょっとした遠足気分。

逗子駅からひなびた商店街を海岸に向かって歩いていく。同じ方向に歩く人達も沢山。外国人も多いね。かすりの甚平に下駄という、ライヴ参加の際の僕のいでたち夏バージョン。きっと傍から見ると、ホウキを忘れてきたレレレのおじさんといった佇まいだろうな。

また500番越えという整理番号だったので、日中の海岸で延々並ぶよりはと、開場時間をしばらく過ぎてから会場に到着したら、ちょうど自分の番号が呼ばれるタイミングだった。そのまま左腕にリストバンドを巻いてもらい、中へ。

夏の間、66日間だけオープンする海辺のライヴハウス、音霊(おとだま)Sea Studio。昔NZで見逃したパントマイムコンビ、が〜まるちょばが、→Pia-no-jaC←と共演するというので、これはちょっと観てみたいと思って、時差ぼけで朦朧とした頭ではるばる出かけてきた。

真っ黒に塗られた、頑丈な作りの海の家といった風体の音霊Sea Studio、僕が入場した頃にはもうかなり満杯だった。1000人ぐらいいるかな。もうそんな状態なので前の方に行くなんてのは諦めて、入場口あたりまで続いていた列の最後尾につき、500円ドリンクをお買い求め。せっかくなので、普段飲むことのないマリブコークなんてのを頼んでみる。夏の味がする。

客席後方に沢山開いている窓から時折風が入ってくるけれど、基本的には高温高湿無風の蒸し風呂状態。汗とサンオイルの混じった匂いが充満している。ほぼ身動きできない状態だけど、たまに下駄を脱いで素足で砂の上に立ってみる。なつかしい感じだね、前にこんな風に砂浜に立ったのなんていつだっけ。

開演時間の4時ぴったりに、オープニングアクトのキマグレンがステージに登場。僕にとっては、2年半前のジェイソン・ムラーズのライヴの前座で観て以来だ。あのときよりも遥かに自分たちのファンが多い状況だとはいえ、一曲目から観客にコーラスを求めるスタイルは、彼らの歌を全然知らない(そして、歌詞も曲もいまいち好みではない)僕にとってはちょっとトゥーマッチという感じ。悪いね。でも、僕のすぐ近くにいた女の子のように、完全に後ろ向いて無視してたわけじゃないからね。

わずか3曲、20分ほどでキマグレンが退場。次のステージを準備し始めたのを見てちょっとびっくり。パーカッションとカホンを運び出してきたよ。ええっ?ピアノジャックがトリなんじゃないの?ステージの準備にしても、一番大がかりな→PJ←を最後にした方がスムーズだと思うんだけど、が〜まるちょばってそんなに人気あるんだ。知らなかった。だいたい、この界隈(主に天然記念物体)だけで邦楽情報を得ていると、→PJ←がAKBや嵐と並ぶほどの人気グループだという錯覚に陥ってしまうけれど、現実というのはそういうものなんだね。

砂浜の簡易会場には不似合いなほど大ぶりなキーボードを設置し、いよいよ→PJ←の登場。二人とも、PとJの字を使った立方体ぽいデザインの家紋を入れた黒い浴衣。かっこいいね。金髪にしてからのHAYATOを見るのはこれが初めて。日中リハーサルもせずに遊んでいたのか(?)、顔は日焼けして真っ赤。

オープニングは「花火」(以下、インスト曲のタイトルを覚えるのが苦手な僕が必死で記憶してきた曲順なので、間違えている可能性大)。間髪入れず「台風」、そして「残月」。去年観た九段会館でのライヴと若干異なる順序だけど、スローな曲で始めてこの2曲を続けるというのが定番のオープニングなのかな。

3曲続けたところで、いつものとおりテンション高いMCをHIROが中心になって入れる。そして、次の曲紹介「うさぎDASH」エコーバージョン。もう演るのか、って感じだけど、多分今日みたいに尺の短いステージだと、有名曲ばかり立て続けで出てくるんだろうな。

どの曲のときだか忘れたけど、タオル回しも登場(ひよりさんがブログに書いているように「それでも猫は追いかける」のときかな)。あれだけ言われていたのにタオルを持ってこなかった僕はどうしようかと思っていたら、「タオルがなければ手を回せー!」とHIROに言われたので手をぐるぐる。

どの曲のときだか忘れたけど、キーボードを縦にして弾く技も登場。でも、まだ夕方で客席後方の窓から西日が差しこんできていたので、残念ながら暗転しての蛍光手袋はなし。若干短めの命名「縦型鍵盤速弾空中乱舞」だった。

HIROは相変わらずいろんな楽器や楽器以外の音の出るものを次から次へと持ちだして来る。超高速で演奏しながら、もう使わないそういうものを無造作にぽいっと後ろに放り投げるところがなんかいいね。

あっという間の50分、全9曲を弾き終えて退場。最後の曲の前あたりに、9月に出るというベストアルバムや、東京では東京ドームシティーホールで演るという秋ツアーの宣伝をしていたね。東京ドームシティーホールって昔でいう後楽園ホールのことか?それともあのへんにできた新しい会場か?いずれにせよ、ツアーのたびに大きな会場になっていくね。ここ(音霊)みたいに鍵盤の上で動く指まで見えるような規模で観られる機会はもうあまりないのかも(ひよりさん向け限定自慢)。


トリのが〜まるちょば、面白かった。パントマイムを言葉で説明するなんて困難かつ野暮なことはやめておくけど。ちょっと客席をいじりすぎかなというのと、一時間のあいだ次から次へと出てくるネタの中にはちょっと稚拙かなと思うものが混じっていたのは頂けないけど(さすがに3時間立ちっぱなしの状態で執拗に繰り返された最後のネタはちょっと勘弁という感じだった)。一番好きだったのはロボットネタ。山手線内のスクリーンでも見たことあったけど、実際に目の前で観る実物はお見事だった。

人波の上を腹ばいのまま運ばれて行き、そのまま会場を飛び出してスーツのまま海に飛び込んで帰ってくるなんて捨て身のネタも披露。捨て身といえば、途中ショットグラスでテキーラを飲み干すというネタも。その後酔っぱらって吐きそうという身振りを散々していたけど、あれはどこまで芸だったんだろう。

3組の中で一番長かった一時間強のステージが終わり、6時半を回ったところで終了。観客が後ろの方から順番に帰り始めたとき、「15分待ってね」という横断幕を持ったビキニのお姉さんが二人、ステージに現れた。あ、アンコールあるんだな、きっと。人が減ったのでやや前方へ移動。

と思っているうちに、再びステージに運ばれるカホンとピアノとその他。ステージ前方にはマイクが2本。もしかして、これからが本当の共演なのかな。でも、マイクってことはキマグレンとか?

と思っているうちに、ずぶ濡れのスーツからが〜まるちょばロゴのTシャツに着替えたが〜まるちょばの二人が登場。一人はギターを持ってるよ。ギターを弾き始め、歌い始めた二人、もちろん、口からマイクが離れても歌は続いてるし、よく見るとギターには弦が張ってない。ステージ両袖から、キマグレンの二人が演奏しながら登場。が〜まるちょばは慌てて退散、というベタな展開。

そこに→PJ←の二人が参加し、バックを務める。今度はお馴染みのPとJが白く染め抜かれた真っ黒なツナギ。僕の知らないキマグレンの曲だけど、こういのはいいね。そのまま、メドレーのように「組曲『 』」へと続ける。更に、最後にまたスローになってキマグレンの曲へ。ときどき現れては茶々を入れるが〜まるちょば。ははは、共演ってこういうのか、いいね。

その共演が終わると、また人波の上を運ばれようとが〜まるちょばが提案。そして、キマグレンの二人、さらに→PJ←の二人が次々に運ばれて行く。僕はステージに向かって左手(→PJ←で言うとHAYATO方面)に居たんだけど、その四人が運ばれていったのはステージの右の方。僕の周りのファンたちも、四人を運びたいと、どっとそっちの方に押し寄せて行く。

きっとひよりさんがその場にいたら同じようにうさぎDASHでステージ右手に走っていったんだろうけど、僕はそうまでして→PJ←のメンバーの体のあちこちに触りたいわけじゃなかったから、その場に残った。そしたら、が〜まるちょば(の黄色い方)がこっちにダイブしてきたもんだから、そのまま人波となって後方に運んであげた。汗びっしょりだったよ。

そして、先ほどのが〜まるちょばと同様に、六人がそのまま会場を飛び出して、砂浜を駆けて海へ。また戻ってくるんだろうと思っていたら、「本日の公演は、以上となります」とのアナウンス。「ええ〜っ!!」という不満の声とともに、会場内に残っていた観客は、メンバーを追っかけて海岸に走り出す。

僕ものこのこ付いていって、海の中ではしゃいでいる六人の写真を撮ったり。もう夕暮れだったからブレブレだけどね。

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しばらくその場にいて、下駄のままちょっと海に入ってみたりしていたけど、そろそろお腹もすいてきたので、そのあたりで退散。帰りにさっきの商店街に沢山あったシラス丼の店に入ってみようと思ったけど、どこも満員。しょうがないので家の近くまで帰り、初めて入ってみる海鮮料理の店が意外においしかったので満足の一日だった。


Setlist 9 July 2011 @ Otodama Sea Studio

1. 花火〜HANABI〜
2. 台風
3. 残月
4. うさぎDASH
5. Spin Doll
6. 合唱
7. それでも猫は追いかける
8. 結婚行進曲
9. 美しく青きドナウ

<Encore>
1. 組曲『 』(キマグレンの曲とのメドレー)

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2011年06月04日

The Posies live in Tokyo +

第一章 2006年3月7日(火) 雨 オークランド Studio

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たしかあの日も小雨がぱらついていた。オークランド市内南側、当時僕が週末毎に足繁く通っていたリアル・グル―ヴィーからほど近い、オークランドでは有名な歓楽街であるカランガペ・ロード、通称Kロードの中ほどにあるパブ、ステューディオ。平日の夜ならどこにでも駐車できたけれど、さすがにKロードに路駐というのは難しいので、少し離れたマイヤーズ・パークあたりに車を置き、オークランドでは傘をさすほどではない霧雨の中を、僕は初めて訪れるそのパブ兼ライヴハウスに歩いて行った。


僕がこのブログを始める4か月前のことだ。ライヴでのセットリストをできるだけ記憶してメモに取っておくことは、それこそ中学生の頃に生まれて初めて行ったクラッシュの来日公演からずっと続けていたけど、単に記録としてセットリストを残しておくだけじゃなく、どんなライヴだったかも書き残しておければいいなと思い始めたのは、もしかしたらこのときが最初だったかもしれない。折りしも、あちこちのブログでネット上の友達と交流を始め、自分が書いた文章やコメントに他人から反応が起こることの楽しさみたいなものに気付き始めた頃。

今回、日本に来るのも(そのときと同じEvery Kind Of Lightツアーの一環だから)5年振りとなる東京公演について書くにあたり、ふとそのときのことを思い出し、ちょうどいい機会だから一緒に書いてしまおうと思った。ちょっと長くなってしまうかもしれないけど、ジミオン前史のお蔵出し。5年も前のことで、もう記憶も霞んでいるから、あまり大したことは書けないと思うけどね。


場所はすぐにわかった。今までその場所にそんな会場があるなんて知らなかったけれど、特に新しいというわけでもなさそうだ。7時開場・8時開演(確か前座が何組かいたはず)のところを7時ちょっと前に着いたはずなのに、ドアも開いてなければ一人の客もいない。間違えたのか?と思ったけれど、ドアのところには確かに今晩ポウジーズのライヴがあると書いてある。7時になっても開かないので、近くのヴェトナム料理店で腹ごしらえをすませ、半時間ほど時間を潰してからようやく入場した。

今ならきっとツィッターで「まだはじまらない」とか「退屈なう」とかつぶやいていることだろう。覚えているのは、ほとんど誰もいないガラガラの会場で、予定開演時間の8時を大きく遅れて始まった(NZのライヴはそんなのばっかりだった)前座のバンドを観たりしながら、その日誘ったのに来られなかった友達(2メートル君がこのブログに登場するのも久しぶり)にSMSを送ったりしていたこと。

多分本来の終了予定時刻ぐらいになってようやく登場したポウジーズ。その頃には観客席(立ち見だけど)もほぼ満員。最前列右手で観ていた僕の正面にはジョン・アウア(Jon Auer)、左側に長身のケン・ストリングフェロウ(Ken Stringfellow)、彼らの後ろにベースのマット・ハリス(Matt Harris)とドラムスのダリウス・ミンワラ(Darius Minwalla)。マットとダリウスは05年の再結成アルバム『Every Kind Of Light』から参加したメンバーだったけど、まあ僕にとってはケンとジョンが観られれば後は誰でもよかったというのが正直なところ。

それにしても、初めて観るジョン、とんでもないデブだなと思った印象が強く残っている。『School Of Rock』のジャック・ブラックとイメージが重なる。このバンド、二人とも結構声質が似ているから、どの曲を誰が歌っているのかあまりよくわからなかったんだけど、主にリードヴォーカルを取り、全てのギターソロを弾いていたのがまさかこっちのデブだったなんて。ポウジーズのグレン・ティルブルックは彼だったのか。人は見かけで判断してはいけないね。

一方のケン、要所要所で素晴らしいコーラスを入れる以外は、もう跳ねる跳ねる。あの痩身でジャンプしまくり、キレたようにヘッドバンギングをしながら唾を吐くのを観て、それまで彼に対して抱いていたイメージが一転した。アブない、でも超かっこいい。こんなにステージ上でサマになる人、そういないよ。

後述するセットリストのとおり、当時の新作『Every Kind Of Light』からの曲を中心に、本編最後は名盤『Frosting On The Beater』からの必殺4連発。この流れが最高だった。そして、アンコール最後の「Flood Of Sunshine」。CDでも8分以上あるこの曲、永遠に続くかと思われるジョンの流麗なギターソロと、1本しか持ってきていなかったギターの弦をブチブチ切りながらカッティングを続けるケンの姿が、今でもくっきりと頭に残っている。


Setlist 3 Mar 2006 @ Studio, Auckland

1. It's Great To Be Here Again!
2. Please Return It
3. Throwaway
4. I Guess You're Right
5. Could He Treat You Better?
6. Conversations
7. Precious Moments
8. I Am The Cosmos
9. Ontario
10. Dream All Day
11. Definite Door
12. Flavor Of The Month
13. Solar Sister

<Encore>
1. Coming Right Along
2. Terrorized
3. Flood Of Sunshine



第二章 2011年6月1日(水) 曇 東京 渋谷Club Quattro

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時計の針を5年と3カ月ほどぐるんと進めて、場所は変わって東京。夕方には雨になると言われていたけど、僕が渋谷ブックオフの裏口から建物に入り、エスカレーターでクアトロに上がっていったときにはまだ降ってはいなかった。一階の入り口のところには、“ポウジーズのチケットあります。整理番号一桁台”と書いた紙を持った人がいたね。ちぇ、いいな、僕の整理番号はまた三ケタ台だよ。

途中の階で友達と出くわし、一緒に受付階まで上がるも、まだほとんど誰もいない。もう開場15分前なのに。開場時間になってもまだ人はまばらで、三ケタ台の整理番号の僕も予想外に早く入場することができた。500円のドリンクチケットで交換できた唯一のアルコール飲料だった淡麗を手に、クアトロ名物の柱の前、ステージを一番左から観ることになる場所へ。淡麗は15秒ほどで飲み干し、後はバラバラと集まってくる友達としゃべりながら時間つぶし。

前座のオーシャンレーン(Oceanlane。僕はてっきりエコー&ザ・バニーメンのアルバムタイトルから取ったOcean Rainだと思ってた)が開演時間を少し回った頃に登場。僕は初めて観る人達だったけど、友達によると結構長いキャリアの本来は4人組で、今日はフロントの二人だけがアクースティック・セットで出ているとのこと。全て英語詞で、なかなかいい曲を書くね。二人とも声もいいし。CDを買うほどではないけど、こうして前座で観る分には「退屈なう」とかツィッターしなくても済みそうな感じ。途中でちょっとメロディーをアレンジして歌ったオエイシスの「Wonderwall」もよかった。

オーシャンレーンが30分ほどで退場し、楽器とアンプの配置換え。ギターやキーボードをセットしに出てきたのは、あれれ、ジョンとケン本人達だ。オーシャンレーンの時でさえローディーの人達がセットしてたのに。きっとそういうことは自分たちでやりたいのかな。けど、客席からは誰も反応なし。まあ、グレーのフーディーを着たジョンは、知らない人にはローディーにしか見えなかっただろうけどね。ケンはえらく髪を短く切ったね。なんだか七三分けみたい。

さあ本番。8時ちょうどにバラバラとステージに出てきた4人。5年前のオークランドとは逆に、今回はステージ前方左側にジョン(また目の前だ)、向こう側にケン。ケンの後ろにマット、中央後方にダリウスのドラムキット。ケンの前にはキーボードも置いてある。1曲目は、新作『Blood/Candy』のオープニングでもある「Plastic Paperbacks」。メインヴォーカルはケンで、CDでは元ストラングラーズのヒュー・コーンウェルが歌っているパートをジョンが歌う。

ケンのギターは黒いグレッチ。ジョンはイエローサンバーストのエピフォンのセミアコ。確か前からずっとそうだよね。マットのベースも形こそプレジションだけどフェンダーロゴじゃないし、ダリウスのヤマハのドラムは明らかにレンタルだし、なんかこう、お高い楽器じゃないところがいいよね。

短い挨拶の後に弾きだしたイントロは「Flavor Of The Month」。ええ、もう演るの?って感じだけど、これで盛り上がらない訳がない。「Please Return It」に続いて「この曲を日本で演奏するのは初めて」とジョンが前置きして「Sad To Be Aware」。

5年前はケンばかりが飛び跳ねていたように記憶していたけど、意外にジョンもジャンプする。ときには大股で、ときには膝が胸につくほど曲げて大きな格好いいジャンプをするケンと違って、若干体重に不自由があると思われるジョンのジャンプは、その場でぴょん、という感じで。たまに右足を前に、左足を後ろに伸ばしてぴょん。高さも数センチほど。何かに似ていると思ったら、あれだね、ネズミを見たときのドラえもん。でも、いろんな曲のキメのところで二人同時にジャンプするのが最高だったね。僕は主にケンの方を観ていたけど(笑)

七三分けだと思っていたケンの髪型、顎ぐらいまでの長さの前髪を右耳のところにひっかけていたんだね。ジャンプしたりヘッドバンギングしたりするたびに前髪が乱れる。後ろより前の方が長い不思議な髪型なのに、この人がすると妙にかっこいいね。かっこいい人は何やっても似合う、と。一方のジョンはセンター分けのウェイヴィーな髪型。生え際が白くなっていたのは見なかったことにしよう。

「(CDではブロークン・ソーシャル・シーンのリサ・ロブシンガーとデュエットしている)この曲をライヴで演奏するときは、いつも地元のシンガーに協力してもらっているんだ」と始めるケン。そういえば、ライヴ告知にマイス・パレードのヴォーカルが参加するということが書いてあったっけ。「じゃあステージに出てきてもらおう。キャロライン!」と呼びだす。僕はマイス・パレードって名前だけしか知らなかったから、出てきた小柄な女性を見てびっくりした。日本人じゃないか。調べてみたら、キャロライン・ラフキン(Caroline Lufkin)という沖縄出身の人らしいね。

CDに比べるとちょっと声量足りなかったかな、という感じだったけど、いい雰囲気で「Licenses To Hide」をケンとデュエット。キャロラインがケンの立っていた位置でマイクの高さを半分ぐらいに調整している間、ケンはキーボードへ。首に青筋立てて口を大きく開けて絶唱するケン。相変わらず熱いね。

キャロラインを送り出し、ケンがマイクの高さを倍ぐらいに伸ばしながら、ケンとジョンの二人がほぼ同時に「キャロラインと言えば」と口ぐちに言ったのが面白かった。次の曲も新作からの「So Caroline」。「この曲を彼女に」と歌い始めたけど、そういえばアルバムでもこの2曲は並んでるんだったね。なんか不思議な感じ。

曲の途中や曲が終わった後に自分のピックを観客席に投げるジョン。一度、僕は気付かなかったんだけど、こちらの方に飛んできたのを僕のすぐ横で観ていたN君がゲットしてた。小さめの白いティアドロップ型だったと思う。いいな。

ケンのキーボードの横に貼ってあったセットリストが、僕の位置からだと目を凝らすと読めてしまうんだけど、先に曲順を知ってしまうと面白くないから敢えてそっちは見ないようにしていた。後でネットに上がったそのセットリストには載っていなかった曲が次の「Everybody Is A Fucking Liar」。続いて、ダリウスだけが退場し、ドラムレスで「Throwaway」。

この日唯一のスローな「Throwaway」を終えてダリウスが戻ってきて、いきなり始まったイントロが「Solar Sister」。ええっ、もう演るの!? もしかしてもう終わり?と思わずケンのセットリストの方を見てしまった。よかった、まだ何曲も残ってるよ。ジョンのギターソロは相変わらずぶっ飛ぶほどかっこよかった。CDとはちょっとソロ部分の構成を変えて、ソロの入りの部分のフレーズを後半もう一回弾いてたね。

ここから『Blood/Candy』コーナー。僕が勝手に唱えている“アルバム2曲目の法則”を裏切らない佳曲「The Glitter Prize」に続き、日本盤を出してくれたThistimeレーベルのフジさんを始め、通訳のショウコさんや招聘元のスマッシュなど沢山の人達にお礼を言って、「次の曲は彼らに捧げます」と言って始めたのは、『Blood/Candy』の日本盤ライナーでジョンが新作で一番好きな曲として挙げていた「For The Ashes」。

すぐさま次の曲のイントロを弾き始めようとしたジョンを制してケンが曲の説明を始める。全部は聞きとれなかったけど、「この曲は、南太平洋の美しい環礁が何度も何度も水爆実験の対象にされてしまったことを歌っているんだ。狂気の沙汰だよ、単にそうしたら何が起こるかを見るためだけにそんなことをするなんて」というようなことを言っていたと思う。僕はこの曲のタイトルの意味がわからなかったんだけど、その話を聞いてから帰って調べてみたら、日本では有名なビキニ島と同じマーシャル環礁にある島で、ビキニ島よりも早くアメリカによる水爆実験が行われた場所が、エニウィータク島なんだって。美しい砂浜の写真も見たけど、あんなところで54回も核実験が行われたなんて。

もともと『Blood/Candy』内でも一二を争うほど好きなクローザーだったこの曲、そんなケンの話を聞いて一層好きになったよ。そう考えると、この曲のエンディング、一旦曲が終わった後に出てくるビーチ・ボーイズ風のコーラスが凄く意味深に思えてくる。「エニウィータクではもうサーフィンはできないんだよ」って。

「Conversations」、「She's Coming Down Again!」と続いて、本編ラストの「Dream All Day」へ。うーん、やっぱり本編ラストへの流れは5年前のセットがよかったなあ。まあいいや、それにしても今回認識を新たにしたのは、ケンがやたらとよく喋ること。もちろん、前回同様、大股開いてジャンプし続けるし、これでもかとばかりに周囲に唾を吐き散らしていたけど、一旦MCを任されると(「Sad To Be Aware」の紹介以外のMCは全てケン)、あの大きな目をキラキラさせて、本当に誠実に話していた。前回僕が持った“今にもキレそうな危なっかしいロックンローラー”という印象とは180度変わってしまったよ。そして、ケンが何度か言っていた「ありがとうございました」という流暢な日本語がとても印象に残っている。

アンコールで再登場し、Thistimeの震災救済コンピレーションアルバム『Together We Are Not Alone』(このタイトルもジョンの案だそうだ)に収録された「Tomorrow We Are Not Alone」を紹介するときもそう。「僕たちの来日は3月の震災よりも前には決まっていたんだけど、あれが起こったときに一体どうしようかと思ってしまったのは事実だ。沢山のアーティストが来日を取りやめたのは知っている。日本に来るのが怖くなってしまった人達もいただろうし、こんなときに音楽を演奏しに来るのがふさわしくないと思って取りやめた人達もいただろう。だけど、もし誰よりも君たちにとってふさわしいのであれば、僕らは日本に来て君たちのために演奏しようと思ったんだ」というケンによる長い長いMCがちょっと感動的だった。あのコンピレーション、買おう。ダウンロードだけじゃなくCDのリリースも進行中だということだし。知っているアーティストは半分ぐらいしか入っていないけど、Thistimeさんのチョイスに外れはないからね。

「I Guess You're Right」、「Definite Door」と続け、後者からほぼメドレーのようにして始まった「Burn And Shine」が、5年前の「Flood Of Sunshine」をも彷彿させるような長尺ギターソロ入りだったのが嬉しかった。一体何分ぐらい演ったんだろう。10分近かったんじゃないかな。演奏後、ギターを床に置いてハウリングさせながら去っていったジョンがかっこよかった。あ、そういえば、何かの曲の途中でジョンが天井から下がっているケーブルに自分のギターをひっかけてたね。

もう終わりかと思いつつもアンコールの拍手をしていたら、再登場。最後は知らない曲だと思って目を凝らしてセットリストを読んでみたら、「Beautiful One」?そんな曲あったっけと思っていたけど、帰りに友達に「『Success』に入っている曲ですよ」と教えてもらった。え、あんな地味なアルバム、予習さえしてこなかったよ。帰って見てみたら、確かにアルバム2曲目「You're The Beautiful One」という曲が入っているね。聴いてみたら、確かにあの最後の曲だ。お恥ずかしい。

実はセットリストにはもう1曲、「Everything Flows」と最後に書いてあった。ティーンエイジ・ファンクラブの曲だね。あれ演る予定だったのか。聴けなくてちょっと残念。

帰りに、いつもグレンのライヴでお見かけする五十嵐正さんとお会いして、階段を降りながらちょっと雑談。その後、物販のところにあったTシャツのデザインを見てもう居ても立ってもいられず、即買いしてしまった。

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“すべて一点物”とのふれこみで、何枚かのアナログ盤も置いてあった。『Frosting On The Beater』や『Amazing Disgrace』のLPが5000円、『Success』のLPがちょっと安くて3000円だったかな。「Flavor Of The Month」のシングル3000円とか。うーん、欲しかったけどちょっと高かったよなあ。『Frosting On The Beater』も少し迷っているうちに目の前で誰かが買って行ってしまった。太っ腹だなあ。

一緒に観ていたグレン仲間やタマス仲間の皆さんと一緒に、すぐ近くの台湾料理店へ。「明日のインストアも行くでしょ」と誘うものの、誰も乗ってこない。なんで?あんなによかったのに。アクースティックもきっといいよ。でもそうだね、普通は平日2日連続なんて無理だよね。僕は運よく(?)ずっと鼻風邪をひいているのを口実に、明日もさっさとオフィスから消えよう。


Setlist 1 Jun 2011 @ Shibuya Club Quattro

1. Plastic Paperbacks
2. Flavor Of The Month
3. Please Return It
4. Sad To Be Aware
5. Licenses To Hide
6. So Caroline
7. Everybody Is A Fucking Liar
8. Throwaway
9. Solar Sister
10. The Glitter Prize
11. For The Ashes
12. Enewetak
13. Conversations
14. She's Coming Down Again!
15. Dream All Day

<Encore>
1. Tomorrow We Are Not Alone
2. I Guess You're Right
3. Definite Door
4. Burn And Shine

5. You're The Beautiful One



第三章 2011年6月2日(木) 雨 東京 新宿Tower Records

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結局昨日は家に辿り着くまで雨はもったけど、この日は朝から結構な雨。先日のベン・フォールズあたりからずっと降ったりやんだりしてるよなあ。もう東京も梅雨入りしたんだっけ。2日連続で会社を早く抜けようとしたら、「ちょっと歩きながらでいいので」と仕事の話を持ちかけられ、新宿タワーレコードのイベント会場に辿り着いたのは、開始時間7時の15分ほど前。昨日のこともあるから、どうせ直前までガラガラに違いないとたかをくくっていたら、もうその頃にはびっしりと人が。やむなく右側のア二ソンCDの試聴機が置いてあるあたりに潜り込む。この位置からだと、スピーカーが邪魔になって、キーボードに座ったケンの顔がちょうど見えないかもな。あと、その後ろに置いてあるドラムキットも見えづらいし。

ん?ドラム?今日はケンとジョンの二人でアクースティック・セットじゃなかったっけ?と思いながらステージをよく見たら、昨日と同じベースが置いてあるし、ジョンのポジションに置いてあるギターはアコギじゃなく昨日と同じエピフォンだ。そうか、今日も4人でアンプつないで演るのか。しかし、あの狭い場所にちゃんと4人乗るのか?新宿タワーのイベント会場に行ったことがある人ならわかると思うけど、あのステージに大人4人とドラムキットとキーボードというのはかなり無理があるよね。行ったことがない人なら、そうだな、四畳半の部屋ぐらいの大きさを想像してもらえばいい。立錐の余地もないというのはこのことだ。

またしてもジョン本人が楽器のセットアップを済ませ(相変わらず誰も騒がない)、ほぼ定刻通りに4人が登場。今日は僕はケン側だけど、さすがにあの狭さではケンもジャンプしたり唾吐いたりできまい。それにしても、ケン昨日と全く同じシャツ着てるよ(イカリの図柄のグレーのTシャツ)。よっぽど気に入ってるのか?

オープニングは「So Caroline」。音でかっ。この場所はかつてマーク・コズレックがインストアを演ったときに店内BGMを消さず、マークに「これじゃ演奏できない」と言われた(僕の中では)悪名高い場所なんだけど、この音量だと多分同じフロアの試聴機でジャニーズを聴いていた中学生は皆店から出て行ったに違いない。次の「Plastic Paperbacks」では、昨日同様首に青筋を立ててサビのパートを叫ぶケン。いいね、インストアだということ忘れてるね。

「昨日僕らのことを観にきた人は?」とか「昨日と今日とどっちがいい音出してる?」とかケンが訊くんだけど、ほとんど反応なし。まっ先に手を挙げた僕のことをケンはちらっと見てくれたけど、あとはパラパラとしか挙がらない手にちょっと拍子抜けの様子。

「今日は僕らのニューアルバムのプロモーションに来たんだ。レディー・ガガのニューアルバムが出たのも知ってるけど、僕らのアルバムの方がいいよ」とケン。ジョンは、すぐ目の前に展示してあったジャスティン・ビーバーのブルーレイを後ろにぽいっと投げる。

さすがにこの狭さではケンも昨日のようにジャンプするわけにはいかず、不完全燃焼っぽく不動の姿勢でギターを弾き続けるが、たまに堪りかねてその辺に唾を吐く。おいおい、メンバーにかかるよ(昨日だってきっとマットは飛沫を浴びまくっていたはずだけど)。ジョンのコンパクトなドラえもんジャンプは今日も不変。時折その場でぴょん、と跳ねる。かわいいね。

「The Glitter Prize」に続き、ケンがキーボードに座って(やっぱり顔見えないや)、ポロンポロンと弾き始める。「驚いたよ、このキーボード、カシオだ。今何時だろう(カシオは時計メーカーだという洒落か)。“Licenses To Hide”を演奏する時間だ」と言って、その曲へ。今日はゲストヴォーカルはなしで、ジョンがコーラス。いくらキャロラインが小柄だと言っても、あのステージにもうあれ以上人が乗るのは無理だったろうし。

いろんな音色の出るカシオのキーボードが気に入ったのか、次の「Enewetak」を始める前にいろんな音を試し、「次の曲をどの音色で演奏してほしい?これ?それともこれ?」と次々に音を出し始めるケン。そのたびに「♪Who's gonna take you home〜」(カーズの「Drive」)とか「♪Dearly beloved,」(プリンスの「Let's Go Crazy」)とか、そのイントロの音に合った曲を口ずさむジョン。

「Enewetak」の途中で一旦音が途切れ、例のビーチ・ボーイズ風のコーラスが入る前にもう拍手する観客。おいおい、まだだよ。君ら皆ここでCD買ってサイン会の整理券もらって来たんじゃないのか?ちゃんと聴いて覚えてこいよ。ジョンも、手で「まだだよ」と制するようにしながらコーラス。ああ、ちょっと残念。あのパートがいいのに。

今日もThistimeのフジさんや通訳のショウコさんに礼を言って、「次の曲はニューアルバムからじゃないんだ。これを彼らに捧げるよ」と、「Flavor Of The Month」。曲前のMCで何かジョークを言ってたようで(ギズムがどうとか言ってた?)、この曲の歌詞のあちこちにそれらしきジョークを挟むジョン。ところが、それが自分のツボに入ってしまったのか、途中で笑って歌えなくなる。何度か歌詞が途切れるゆるーい「Flavor Of The Month」。せっかくの名曲が。まあ、たまにはこういうのもいいか。インストアだしね。

昨日よりは若干短めのMCに続けて(おそらく昨日よりは英語を解しない観客だと思ったのかな)、「Tomorrow We Are Not Alone」で幕。その時点で30分をちょっとまわったぐらい。インストアには珍しくアンコールの拍手が沸いたけど、残念ながらそこで終了。ステージを片づけ、テーブルを並べてサイン会の準備。ちゃんと自分が放り投げたジャスティン・ビーバーのブルーレイを元に戻す律儀なジョン。

あんまり前の方に並ぶとあっという間に終わってしまったりペンがかすれて出なかったりするので、ちょっと余裕を持って並ぶ。ちょうどサイン会を始めるときにメンバーの正面に並ぶことになったので、写真を少し。

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「いいカメラ持ってるね」とケンが話しかけてくれてせっかく目線くれたのに、慌ててブレブレの二枚目。がっかり。そうこうしてるうちに「関係者以外の撮影はお控えください」とか言われて撮れなくなる(僕だけじゃないけどね、写真撮ってたのは)。

ようやく自分の番が回ってきて、メンバーそれぞれと少しずつ話しながらベルトコンベア式に左から右へ流されてゆく。ケンに「今日はアクースティック・セットのはずじゃなかったの?」と訊いたら、「こっちの方が好きなんだ」との答え。ケンにサインしてもらいながら彼とマットに「僕5年前にオークランドで貴方達のこと観たんだよ」と言ったら、マットが「へえー、そうなんだ。じゃあNice To See You Againだね」とか言ってくれる。

そんなこと話しながらCDの受け渡しをしていたら、せっかくのケンの日本語サイン『健』が生乾きのときに指でこすってしまった。ああもう、なんてどんくさいんだ僕は。

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偶然隣に並んで、ちょっとだけ僕が通訳というかジョンとの話のお手伝いをしたファンの人のCDを見せてもらい、こすれてない『健』の写真を撮らせてもらった。漢字、上手だよね。書き順だってちゃんとしてたよ。4年前にジョン・ウェズリー・ハーディングと一緒に来たジョンと違って、ケンの方はそんなに来日してるわけでもないのに、どうやってこんなの覚えたんだろう。

サイン会のときの短い会話でしか判断できないけど、ジョンはどちらかというと醒めた目をしてシニカルなことをぼそっと喋るタイプ(なんだか僕みたい)で、ケンはキラキラした目で「うんうん、それで?」とこっちの話を引き出してくれるようなタイプ。そういえば、クアトロのライヴのときに曲が終わるごとにいちいち「ムーチャス・グラシャス」とか「メルシボクー」とか外国語で言ってたのもジョンだったな。なんか、最初の印象と全く違ったね。例の長いMCといい、ちょっとしたそんな会話といい、『健』という漢字を一所懸命覚えてくれることといい、もうこの2日間で僕はすっかりケンのファンになってしまったよ。明日からの長い出張、僕が持ってるケンのソロアルバム全部ウォークマンに入れて持って行くことにしよう。


Setlist 2 Jun 2011 @ Shinjuku Tower Records

1. So Caroline
2. Plastic Paperbacks
3. The Glitter Prize
4. Licenses To Hide
5. Enewetak
6. Flavor Of The Month
7. Tomorrow We Are Not Alone
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2011年05月30日

Ben Folds live in Tokyo 2011

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力強く、且つ軽やかに動く二対・四本の手。ずっとそれに目が釘付けだった。

確か先行予約で押さえたはずなのに、またしてもあまりぱっとしない番号の席だなと思っていたけれど、実際会場に入って席についてみると、実はかなりいい位置だということに気付いた。ステージ上、中央よりやや左寄りにグランドピアノ。最近また悪くなってきた僕の目には読みづらいけど、ロゴの形状と文字数からいってヤマハだと思う。中央後方、一段高くなったところにドラムキット。その左にパーカッション、右にキーボード(これは僕の位置からはアンプが邪魔で殆ど見えなかったけど)。そして、ピアノの向こう側に、フェンダーのプレジションとジャズベース。

僕の席は、一階席のかなり左寄り。つまり、ステージ上でピアノを弾くベン・フォールズを後ろから観ることになる場所だ。ときおりピアノを離れてステージを歩き回ったり、わざわざこっちを向いて話をしたりする以外には彼の顔は殆ど見えなかったけど、細マッチョな彼の両腕と、ぴかぴかに磨き上げられたグランドピアノの前面板に映って彼の手と全く同じ動きをするもう一対の両腕の動きに、僕はまるで金縛りにあったかのように魅入られていた。


思えば、2年前に初めて生ベン・フォールズを観たときも、雨がしとしと降っていた。あのときと違うのは、今回のは既に九州に台風2号が上陸していて、それに伴った土砂降りだということ。最近たまにうちから歩いて訪れる散歩経路の三軒茶屋駅から徒歩数分、昭和女子大学人見記念講堂に辿り着く頃にはもうジーンズがずっしり重くなるほど濡れてしまっていた。この会場、初めてかな。いや、ずっと昔にジョー・ジャクソンを観たのはここだったっけ。

指定席制の着座の会場でライヴを観るのは久しぶり。普段はクラシックのリサイタルが行われているというこの会場、規模でいうと、二日後・三日後にベンのライヴが行われるC.C.レモンホールよりも若干小ぶりといったところか。最前列から数列分は平坦だけど、後ろに行くにつれて徐々に傾斜がついていて、後ろの方でも見やすいようにと配慮されている。さっきかなり左寄りと書いた僕の席は、その傾斜が始まったあたりの場所。ベンの両腕(とその複製)だけでなく、ステージ全体を俯瞰できる好位置だった。距離的にも、2年前にベンを観たリキッドなら一番後ろあたりかなという程度で、ベンや他のメンバーの表情もはっきり見えたし。

会場入口に、開場6時・終了予定時刻8時と書いてあったので、ああ、こういうところは時間もきっちり終わらないといけないんだろうなと思っていたら、案の定6時ちょうどに客電が落ち、ベンと4人のメンバーが登場した。「Eddie Walker」〜「Zack And Sara」〜「Annie Waits」という怒涛のオープニングだった2年前から一転、今回のオープニングはブルージーな「Levi Johnston's Blues」。まあ、文句は言うまい。"Lonely Avenue"ツアーなんだしね。のっけから椅子に座るつもりもない、いつもの中腰でガンガン弾きまくる。こんなスローな曲でも。

日本語で軽く挨拶したあと、続けて同じアルバムから「Doc Pomus」。ファースト・ソロからの「Gone」を挟んで、ニューアルバムからもう1曲「Belinda」。この曲のときもそうだったけど、演奏前に結構丁寧に説明してたね。ニック・ホーンビィが書いたこの曲の歌詞、ロックスターが(既に別れてしまったかつての奥さんのことを歌った)往年のヒット曲をいつまでも歌い続けないといけないという説明に続けて、「今から僕もそういう気持ちになって歌ってみるよ」と、しばらく黙祷の後に歌い始めた。

続いて、たまたま僕が今日出かける前に見つけた、日本へのチャリティーアルバム『Tsunami Relief』にベンが提供している、ケイシャの「Sleazy」という曲。演奏前の説明によると、特にこの曲が好きだからというわけでなく、どの曲をカバーしようかと迷ったときに、そのときどの曲がチャートで1位だったかを調べ、単にその曲をカバーしただけとのこと。「これを聴いて気に入ったら、ケイシャのCD買ってよね」なんて言ってたね。ピアノを離れてうろつきまわるベンのラップが楽しかった。

「Sentimental Guy」〜「You To Thank」と、『Songs For Silverman』の曲を続け、「今日は実はライヴ録音をしているんだ。次の曲を一緒に歌ってくれないか。でも僕の日本語どうかな」と言いながら演奏を始めたのは、もちろん「Hiroshima」。さらに、「もう一曲、これも録音しよう」と前回同様に低中高のコーラスを練習させてから始めたのは「Not The Same」。

一応ここ数カ月のセットリスト(日本に来る前にオーストラリアやインドネシアを廻ってたんだね)を参考に、今日のセットリストをなんとか思い出してるけど、もしかしたら結構間違えてるかも。この中盤あたりで演奏したのは、「Still Fighting It」、「Bastard」、「You Don't Know Me」、「Saskia Hamilton」あたりかな。

途中で、ベンが後ろのパーカッショニストの隣に移動し、ドラマーと3人でパーカッション合戦をやり出し、その曲が続いている間に袖に引っ込み、そのとき既に汗びっしょりで背中に貼りついていた青い長袖のシャツを黒いTシャツに着替えて出てきて、また演奏を続けるなんて展開も。あれどの曲のときだっけな。

「Annie Waits」の手拍子が綺麗に決まった後、ベン以外のメンバーが一旦袖に引き上げる。スポットライトを浴びたベンがソロで弾き始めたのは、「Picture Window」。沁みる。ここから数曲、ベンのソロコーナーが続くんだけど、やっぱり僕こっちの方がいいよ。今日のバンド、決して悪かったわけでもないし、素晴らしいコーラスや色んな趣向を凝らして楽しませてくれようとしていたんだけど、ベンのピアノソロを聴いてしまうと、もうそこに他の音を付け加えてくれなくてもいいと思ってしまった。

弾き語りのパートで演った他の曲。「The Last Polka」、「Brick」、「Gracie」、「Boxing」、そして、「うまく歌えるかな」と「Song For The Dumped」というか「金返せ」。さっきの「Hiroshima」はアンチョコをピアノの上に乗せて歌ってたけど、これはソラで歌えてたよ。すごいね。

メンバーが戻ってきて最初は何だったかな。「Underground」?あとは、「Effington」、「Zack And Sara」、「Rockin' The Suburbs」とか、とにかく盛り上がるやつなんでも、という感じで。最後は「Army」。観客コーラスがちょっと弱かったかな。ベンも「まあいいや、ありがとう」って感じで退場。

もうこの時点でお約束の2時間はゆうに過ぎてたはず。お堅い会場はもうこれで終了にしてしまうのかなと心配しながらアンコールの拍手をしていたら、すぐにベンが再登場。またピンスポットのあたるグランドピアノに座り、静かに奏で始めたのは、「The Luckiest」。これ、ほんとうに名曲だよね。サビのところで全身に鳥肌が立ったよ。

余韻を味わう間もなくメンバー全員が再登場。ここはもうお約束の「Philosophy」で締め。あ、この2曲のアンコールの流れ、今見返してみたら、2年前と全く同じだね。2年前と違うのは、あのときは客電が点いても延々とアンコールの拍手が続いていたんだけど、今回は演奏が終わってメンバーが袖に移動しだした途端に客電が点き、ほぼ強制退場状態。まあ、予定時刻を20分以上過ぎてたからね。


楽しかった。2年前の記事に「今後ベン・フォールズが来る際には全部観に行くことが自分内ルールとして先日設定されました」と書いたのに、今週火曜・水曜はどうしても時間が取れないのでやむなく一日だけになってしまったけれど。アンコールのときにベンが「15年も前からずっと応援してくれていてありがとう。日本は僕の大好きな場所だ」と言ってくれたのがすごくうれしかった。こちらこそありがとうね、こんなに原発やら何やらでバタバタしているときに来てくれて。

明日からまた忙しい日が始まるのでなんとしても今日中に書いてしまいたかったから、ほぼ殴り書き状態。もう1時半過ぎてしまったよ。明日時間があったら推敲することにして、とりあえずアップしてしまおう。セットリストはそのうちどっかから拾ってこよう。最後に、終演後には既に温帯性高気圧に変わっていたはずの元台風がもたらした雨の中を歩いて帰ってきたおかげでしっとりしてしまった今日のチラシの写真。

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<5月31日追記>

昨日はあまりに眠くてもう最後の方はとにかく書き終えることだけを目標にしていたから、今日になって「あ、そういえばあんなことも言ってた」とか「あれも書いておかないと忘れる」とかいうことをボロボロ思い出して仕事にならなかったので(仕事にならないのは別にそのせいではなく)、頭に残っていることを順不同で落ち穂拾い的に書き連ねていこう。あと、某所にもうセットリストがアップされていたので、それも書き写させてもらおう。

まずは、メンバー紹介。ウドーのサイトによると、今回の来日メンバーはベンの他に、

Sam Smith (ds)
Ryan Lerman (b)
Andrew Higley (key)
Chad Chapin (per)

ということで、べーシスト以外は最新作『Lonely Avenue』でのバックバンド。もしかしたらもっと以前から一緒に演っている人達かもしれないけど、どうもこのバンドのメンバーあまり覚える気にならず。べーシストは僕の位置ぐらい遠目で見るとなんとなくインド人っぽい風貌だったね。

一応担当楽器は上記のとおりだけど、パーカッションのチャドはアコギも弾いていたし(どれか一曲でベースのライアンがそのギターを弾いてた。その曲のときはベースレスだった)、キーボードのアンドリューは1〜2曲でフレンチホルンを吹いていたね。前述のとおり僕の位置からは彼のことがほとんど見えなかったので、ほんとにホルンを吹いているのか、キーボードでその音を出しているのかなかなか判断つかなかったんだけど。

「You Don't Know Me」の歌詞(というか台詞)、"Say it!"ってところ、ベンは“言ってみて!”って日本語で言ってたね。確かそこだけじゃなくて、いろんな曲でちょこちょこ日本語使ってたと思う。そんなに咄嗟に一言だけ日本語で言われても何言ったのかほとんどわからなかったけど、そういうサービス精神がすごいよね、この人。最後に言ってた「日本は僕の大好きな場所」というのが決してお世辞じゃないと思えてしまう。今回は残念ながらあとの2公演観られないけど、また来てよね。今度こそちゃんと全部歌詞憶えてくるから。

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Setlist 29 May 2011 @ Hitomi Memorial Hall

1. Levi Johnston's Blues
2. Doc Pomus
3. Gone
4. Belinda
5. Sleazy
6. Sentimental Guy
7. You to Thank
8. Effington
9. Hiroshima (in Japanese)
10. Not the Same
11. Still Fighting It
12. Adelaide
13. Bastard
14. Saskia Hamilton
15. You Don't Know Me
16. Rock This Bitch
17. Annie Waits
18. Picture Window
19. The Last Polka
20. Brick
21. Gracie
22. Boxing
23. Song for the Dumped (Japanese version)
24. Underground
25. Zak & Sara
26. Kate
27. Rockin' the Suburbs
28. Army

<Encore>
1. The Luckiest
2. Philosophy
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2011年05月07日

Jim Boggia live in Kamakura

GW初日に引いた風邪が結局ずっと尾を引いてしまい、何年振りかで訪れた病院でもらった薬のせいか、もしくは服薬中にもかかわらず毎晩かかさず飲んでいる酒のせいか、ここのところ始終頭がぼーっとした状態が続いている。そんなさえないGWの中日、5月5日の子供の日に、ジム・ボジアを聴きに鎌倉まで出かけてきた。

僕が彼のことを知ったのはつい最近、半年ほど前に来日した際のうささこさんのブログのライヴレポートを読んだのが最初だったと思う。どうしてそれまで名前も知らなかったんだろうと思えるほど僕の趣味に合う感じのSSWで、さっそく3枚出ているオフィシャルCDのうち、99年のファーストと08年の最新作を入手。まさかわずか半年で再来日するとは思ってもいなかったが、結果的にそれがいい予習になった。

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ジム・ボジア『Fidelity Is The Enemy』
ジム・ボジア『Misadventures In Stereo』

08年の七夕の頃にタマス・ウェルズを観に来たCafe Vivement Dimancheのすぐ近所、これがオープン12周年のイベントだというCafe Goateeは、そこで何度もライヴが行われているというのがにわかに信じられないほどこぢんまりしたところだった。きっと普段はテーブルが置いてあるんだろうと思われる店の一角にヴォーカル用とギター用のマイクスタンドが立ててあり、壁際にはアクースティック・ギターとウクレレが1本ずつ。もう一方の壁には(これはきっと店に備え付けの)アップライト・ピアノ。

DSC02554.JPG

おそらく店中からかき集めてきたありとあらゆる大きさと形の椅子がマイクスタンドを囲むようにびっしりと配置してある。チケットを事前受け取りにせず当日最後の方の入場になってしまった僕も、前から2列目という好位置(でも後ろから1列目・笑)。お客さんは全員で30人弱だったと思うけど、ちょっと表に出た小町通りにも負けないほどの人口密度。

最初から店の反対側に座っていたジムが、開演時刻の7時をちょっと回った頃、人をかき分けるようにステージ(?)に登場。ギターを手にし、1曲目はファーストからの「Bugglegum 45s」。のっけから好きな曲でうれしい。続いて「O/P」、「Toy Boat」と、ファーストからの曲が続く。

知らない曲はきっと僕が持っていないセカンドからだろう。いちおう知っている曲だけでも何曲目にどれを演ったかを覚えようとしたけど、このあたりから風邪薬と赤ワインのせいで(ということにしておこう)記憶がおぼろげに。5曲目からメドレーのようにしてつないだ曲はフェイセズの「Debris」だったはず。フェイセズ・ファンのうーららさんことN君はうれしいだろうな(もしかしたら彼のリクエストだったのかも)。ちなみに、彼やうささこさんをはじめとしたグレン・ティルブルックのライヴでお馴染みの面々はこの三夜連続ライヴのために鎌倉まで2〜3回通ったらしい。最終日にしか行かなかった自分はまだまだ未熟だと反省。

「次の曲はCMに使われたんだけど、僕には印税は入ってこなかったんだ。それがミュージック・ビジネスというもんだ」みたいなことを言って始めたのは、Cafe Goateeのサイト“2008年にはセカンド・アルバム『Safe in Sound』収録の「Live The Proof」がBlackberryのテレビCMに使用され一気に知名度アップ”と書いてあった曲だろう。いかにもCM向けのキャッチーな曲。

「On Your Birthday」の前には、「これはデイヴィッド・ポーと一緒に書いた曲」と紹介。08年のアルバムから演奏したのはこの曲が最初かも。これ、アルバムの中では決して目立つわけじゃないけど、いい曲だよね。ポール・マカートニーあたりがちょこちょこっと書いてアルバムに入れそうな感じ。

休憩前、前半部の最後に演奏したのが、僕の一番好きな「Listening To NRBQ」だった。僕はNRBQ自体は友達に教えてもらったアルバム1枚しか持っていなくてよく知らないんだけど、この「Listening To NRBQ」みたいな曲調は大好き。この日のライヴが終わってからというもの、僕の頭の中ではずっとこの曲が延々鳴り響いていた(ちなみにうささこさんのテーマソングは「Several Thousand」だったらしいね)。


店内にひとつしかないトイレを皆が使うのを待って、余裕を持って始まった第二部。1曲目は、CDだとイントロのドラムが格好いい「To And Fro」。続いて、さっき引き合いに出したポールの昔のヒット曲「Live And Let Die」。この曲の「You know you did, you know you did, you know you did〜」ってファルセットのコーラスを客に歌わせようとするんだけど、全然声が出ていない(そりゃ無理だよ)。何度かやり直させた挙句、「もうそれでいいよ」と半分投げやりにOKが出て継続。

ところが、次の自作曲「No Way Out」では、観客が皆で自発的にコーラス(こっちは歌詞のないコーラスで簡単だからね)。途中で「You know you did, you know did…」と前曲の歌詞を入れて笑わせる。歌い終わって「感激したよ、ポールの曲より僕のを覚えていて歌ってくれるなんて」とジム。もちろんそれも半分ジョークで。

ピアノに移ってポロポロと練習しながら始めた聴き覚えのあるイントロのメロディーはビーチ・ボーイズの「God Only Knows」。さらに、何故か僕はこの曲を続けて演るんじゃないだろうかと頭の中で予測していた「Lady Madonna」が出てきてちょっとびっくり。うささこさんもさっきリンクした記事に書いておられたけど、ジムってきっとポールの曲が好きなんだね。

ウクレレで歌ったボウイの「Life On Mars?」はグレン友達のIさんのリクエストだったらしい。さらにそのままウクレレで弾きだしたイントロは、スプリングスティーンの「Thunder Road」。これは嬉しかったね。ちゃんと「Well I got this Ukulele」って歌詞を変えて歌ってたし。最後まできっちり弾いたあと、メドレーで「Over The Rainbow」へ。どうもこのメドレーは彼の定番らしいね。終演後、「なんかあれ観たらウクレレ買って練習したくなった」と言った友達の言い分もよくわかる、ほんとに気持ちのいい演奏だった。

この日3曲目のポール・マカートニーのカバー「Jet」を紹介するときに「この曲は僕が10歳の頃」って言ってたから、彼って63年生まれっていうこと? とてもそんな歳には見えないね。てっきり自分よりも年下かと思ってた。道理で、カバー曲のセンスがどっぷり70年代なはずだ。そんないかにも70年代風のこの曲のシンセサイザー・ソロの部分も口でうにょうにょ言ってコピーし、ソロ最後の「うにょうにょうにょうにょ…」って部分は手ぶりも交えて笑わせる。

本編最後の「Several Thousand」(これが定番らしいね)の後、一旦下がってあっという間に再登場。アンコールはなんとプリンスの「Kiss」。これも生ギター一本で完コピ(途中の振りも・笑)。まさかこんなカバーで終わるとはね。


休憩も含めてたっぷり3時間弱。途中、ギターや歌をちょっととちってやり直しなんて場面もちらほらあったけど、基本的にはもの凄くギターも歌も上手な人(普段グレン・ティルブルックの生ギター弾き語りなんて超ハイレベルなものを見馴れているから麻痺してしまっているけど、これだけテクニカルなギターを弾きながらあれだけソウルフルに歌えるというのは大したもの)。日によってセットリストが替わったらしいから、これは連日通いたくなるのもわかるね。細かい字でびっしりと曲名が書いてあるノートを脇に、連日来ている人達のためにまだ演奏してない曲を探そうとする姿もよかったし。

終演後は皆で写真を撮ったりサインをもらったり。いろんなプレゼントを持ってきている人が沢山いて、ジムほんとに嬉しそうだったね。僕は持って行った最新作のジャケにサインをもらった。ちょうどそのとき「今回一晩だけしか来られなくて残念。次回はきっと複数回観に来るから」という話をしていたのでこういうメッセージに。

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他にも、「ニューアルバムはいつ出るの?」との質問には「今ちょうど曲を書き貯めているところで、今年中に録音して、来年出すよ」と言ってもらったり(どこまで本当なんだか)。帰りに、マイナーなCDを沢山扱っているCD屋さんでもあるCafe Goateeで、僕が唯一持っていなかった05年のセカンドアルバムも購入。

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ジム・ボジア『Safe In Sound』

リンク先のアマゾンでもいいけど、Goateeさんで買った方が安いので、気になる人はさっきのリンクをたどってそちらでどうぞ。Goateeさんにお金を落として、来年またジムを呼んでもらおう。本人はライヴ中も終演後も、何度も「また来るから」って言ってくれてたしね。

帰りの電車が(全然離れた山手線での人身事故のせいで)30分近くもストップしていたなんていうちょっとしたトラブルもあったけど、体調も天候もいまいちぱっとしない今年のGWの、この日は文句なしのハイライトだった。楽しみにしていた終演後の飲み会が人身事故のせいでお流れになってしまったのだけは残念だったけれど。
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2011年04月16日

Johnny Winter live in Tokyo

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予定されていたいろんな来日アーティストの公演が軒並みキャンセルになる中、これも多分そのうちキャンセルが発表されるんだろうなと思っていたのに、最後までそうはならず、とうとう実現してしまったジョニー・ウィンター初来日(&おそらく最後の)公演。欧州出張をなにげに最後の一日早く切り上げて、三日間連続公演の最終日に間に合うように帰ってきた甲斐があった。

せっかく発売初日に招聘元に直接チケットを申し込んで、郵便振込なんて面倒な手続きまで踏んだのに、手元に届いたチケットに印刷してあった整理番号は見ただけでがっかりするような大きな番号(僕よりも後に申し込んだ友達が僕の半分以下の番号だったなんて、一体どういう仕組みになっているんだ。抽選ならそう書いておいてくれよ)。ほぼ開場時刻に会場に到着して、自分の番号通りに入場したけど、案の定前の方と中央の一段小高くなっているところはもうほぼ満員状態。しょうがなくその小高くなっているところのすぐ前の手すりのあたりに落ち着く。

ステージまで遠いな。しかも開演間際になって結構背の高いのやら無闇に頭部の体積の大きいのやらがすぐ前に立ちはだかるから、ステージなんてほとんど見えやしない。上に写真を載せた、『Captured Live!』のジャケのロゴを模したジョニーの名前がステージ上方に大きく掲げてあるのが見えるぐらい。あとはステージ後方のドラムセット。前の人達がごそごそ動くと、たまに置いてあるギターやベースが見える。ストラトが置いてあるということは、セカンドギタリストが入るんだね。

それにしても、予想していたとはいえ、場内オッサンばかり。たぶん僕をもってしても平均年齢を若干下回ってたんじゃないかと思えるぐらいのご高齢の方々がここぞとばかりに集まってきている。かなり白いものが目立つ無理目のロン毛のおじさんやら、なにやら怖そうなイラストが描いてある皮ジャンを羽織った方やらがあちらこちらに。見た目よりは加齢臭に悩まされずに済んだことぐらいが不幸中の幸いか。

定刻通りにまずはカウボーイ・ハットを被った人がステージに登場してメンバーを呼び寄せる。一瞬ジョニー本人かと思ったけど、まあそんなわけはなく。ベース、ドラムス、サイドギターの3人が登場、インストゥルメンタル曲を演奏し始める。曲目わからないなあと思って、後でセットリストを見たら、単に「Intro」と書いてあった。

その曲の演奏中にジョニー登場。これがまた、予想していたとはいえ、かなりよぼよぼ。最近はあまり体調もすぐれず、もうずっと座って演奏しているという話は聞いていたけど、まさか歩くときまであんなに腰を曲げてゆっくりだなんて。もしこの人が電車に乗ってきたら、別にACのCMに言われなくても迷わず席を譲ってあげようと思えるほどだ。

最近はもっぱらこちらばかりを使っているというヘッドレスのレイザーを持ち、ステージ中央まで来て、やっぱり椅子に座ってしまった。僕の位置からだと辛うじて顔が見え、たまにちらちらとギターが見えるという程度。やっぱりもうちょっと前で観たかったな。それか、こんなに大きな会場で演るときはせめてドラムセットと同じぐらいの高さの台の上に椅子を置いてほしいよ(でも、ジョニーがそこに上るのにまた一苦労か)。

昔のライヴ盤でのプレイを期待しているとがっかりするかもしれないからと、覇気がなくなったとちょっと評判の悪い(今のところオフィシャル盤としては最新の)98年のライヴアルバム『Live In NYC '97』をしばらく前に買って聴き込んでいたところだったから、なんとなく聴き覚えのあるジョニー参加後1曲目が、そのアルバムのオープニングと同じ「Hideaway」だったというのは後で確認できた(インストは曲名を覚えるのどうも苦手)。

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このアルバムからは、4曲目に演った(ようやく曲名のわかるのがでてきた)「She Likes To Boogie Real Low」と、その2曲後の「Got My Mojo Working」も演奏したので、結果的にいい予習盤になったよ(でも、「Johnny B. Goode」の次に演った「Black Jack」もこのアルバムに収録されているのに、その場ではわからなかった。こういうスロー・ブルーズは曲名を覚えるのどうも苦手)。

かつてのような物凄い速弾きはもうできないのかもしれないけれど、それでも「Good Morning Little School Girl」とか「Johnny B. Goode」とかのアップテンポなロックンロールでのギターはかっこよかった。ギターだけでなく全体的に若干音がつぶれがちだったけど、それも大きな音の塊がゴツンと来る感じで気分よく聴けたので結果オーライ。少なくともジョニーとサイドギタリストの出す二つの音はきちんと聴き分けられたからね。

ギタープレイと比較すると、ジョニーのヴォーカルはさすがに年齢を感じさせたね。あの、喉をゴロゴロいわせるような、不思議に繊細なダミ声で叫ぶようなシーンはもうほとんどなく、淡々と歌う(それにしてもいい意味で暑苦しいヴォーカルではあるものの)。一曲、確か9曲目だか10曲目でドラマーが歌っていたね(後で調べてみたら、9曲目の「Tore Down」という曲だった。フレディ・キングのカバー)。

本編終盤、「Bony Moronie」と「It's All Over Now」という、名盤『Captured Live!』でお馴染みのロックンロールを連発。きっとベタベタのブルーズ・ショウにはしないだろうと予想はしていたものの、まさかこんなにロック寄りの選曲にしてくれるなんて、嬉しいね。

Captured Live!.jpg

ほとんど切れ目なくぶっ続けで演奏してきたのであっという間な気がしたけれど、そこで本編終了。ちょうど一時間ぐらいか。ジョニーはメンバーに手を貸してもらいながら、よぼよぼと退場。あの速度で歩いていたら、きっとアンコールで出てくるのは10分後ぐらいになるぞと思っていたら、意外なほど早く再登場。きっとあれ、楽屋の壁にタッチして戻ってきただけだね。リハビリ運動か。

メンバーと一緒にまたよぼよぼと歩いて出てきたものの、左手に握られているギターを見て驚喜(僕からはヘッドしか見えなかったけれど)。ギブソン・ファイヤバードだ。もうあんな重いギター弾けないのかと思っていたから、彼のトレードマークであるファイヤバードを抱えるところを観られただけでも嬉しい。しかも、演奏を始めてみたら、やっぱりレイザーとは音が全然違うよ。あの野太い音。かっこいいねー。弾く手元を見ようと何度もジャンプしてしまった。

アンコール1曲目、なんか最近聴いたことある。後でセットリスト見せられて思い出した。「Dust My Broom」。去年トッド・ラングレンも演奏したんだった。そして、絶対最後に演ってくれると思っていた「Highway 61 Revisited」。これも『Captured Live!』でお馴染み、というか、僕にとっては、ジョニーのことを初めて観たボブ・ディラン30周年記念コンサートでのあのぶっ飛んだ演奏を彷彿とさせる。ジョニー・ウィンターが、ファイヤバードで、スライドで、この曲を演奏するところを、この目で観た(ほとんど見えなかったけど)。もうそれだけで十分。


終演後は、同じライヴに来ていた友達と、恵比寿でリトル・バーリーを観てきた別の友達や、特にライヴがあったわけでもないのに何故かはるばる出てきてくれた例のN君たちと合流して銀座のロックバーへ。それもまた楽しかったな。あそこまたちょくちょく行こう。

ネット上で見つけた東京初日のセットリスト。僕が行った最終日も多分曲順まで含めて全部同じだった。

1. (intro)
2. Hideaway
3. Sugar Coated Love
4. She Likes To Boogie Real Low
5. Good Morning Little School Girl
6. Got My Mojo Working
7. Johnny B. Goode
8. Black Jack
9. Tore Down
10. Lone Wolf
11. Don't Take Advantage on Me
12. Bony Moronie
13. It's All Over Now

[Encore]
1. Dust My Broom
2. Highway 61 Revisited
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2011年02月05日

Mogwai live in Tokyo

まずは、HMVのお粗末な「独占企画」の話から。あれは去年の11月のことだった。モグワイのニューアルバムが発売されること、それと同時に来日公演が行われること、しかも、ニューアルバムからの曲だけで構成されるという一夜限りのその来日公演のチケットはHMV通販で初回盤CD+Tシャツとのセットでのみ発売、つまりHMVで一万円弱を払った人だけが手にできるという企画が発表された。

2年前の来日公演はグレン・ティルブルックの来日と重なってしまったために断念。それ以来の来日、しかもあのときの(僕の中では悪名高い)スタジオコーストではなく、地理的にも会場の規模的にもずっと好感の持てる恵比寿リキッドルームということなので、発表当時はどんなデザインなのかもよくわからなかったTシャツも込みで9450円というのはちょっと気が引けたけど、こんな機会も滅多にないだろうと思い、クリックした。

確かにその当時からHMVのサイトには、CDとTシャツは1月31日頃の発送になるということが書いてあったと思う。公演日のわずか二日前だ。届いたら急いで聴き込まないとね。平日の夜の公演だから、Tシャツを着て行くのはちょっと無理かな。

そのうち、どこかのサイトでモグワイの追加公演が発表されたのを見た。僕の行く公演の翌日、同じリキッドルームで、こちらは新作の曲だけでなく、通常のセットリストのライヴだという。なんだ、そっちの方がいいんじゃないの。新作いいのかどうかもまだわからないし、そんなに全作品聴き込んでいるわけでもない僕でも、やっぱりファーストの「Mogwai Fear Satan」とか聴きたいしね。

と思っていた矢先、HMVからいつもの箱が届いた。でもやけに軽いぞ。と思ったら、中身はチケット。ずるいよな、チケットだけ先に送って、こっちをキャンセルして通常公演に乗り換えられるのを防ぐなんて(でも、HMVのサイトを読んだら、最初にクリックした時点でキャンセル不可だった)。まあ、しょうがないか、普通のライヴのチケットだって、一回申し込んだらキャンセルなんてできないんだし。でも、通常セットリスト公演とのチョイスが最初から提示されていたらと思うと、やっぱりなんか納得いかない。

そうこうしているうちに公演日の2月2日が近づいてきた。1月31日頃発送だけど、もしかしたらちょっと早めに届くかも。某CDショップから30日に届いたメルマガにはそのアルバムが入荷したことが書いてあったし。でも、31日には届かなかった。やっぱり31日に発送したのか。

ところが、翌日になってもまだ届かない。なんなの、これ。HMVのサイトに行っても、チケットが発送された時点でそのオーダーは「発送済み」になってしまっていてトレースすらできないし。一応HMVのカスタマーサービスには商品が届かない旨を連絡。

ライヴ当日。開場時間の1時間ほど前、そろそろ仕事を切り上げて恵比寿に向かおうかと思っていた頃に、HMVからメールが返ってきた。「お客様の商品は本日配達完了しています」。なにそれ。当日自宅待機していないと事前に聴けないのなら最初からそう言ってよ(自宅待機なんて無理に決まってるけど)。きちんと事前に届けられる実力がないんなら、こんな「独占企画」なんて組まないでくれよ。

早々と届いたはいいけれど抽選でろくでもない大きな整理番号が割り振られたチケットを手に、かなりやさぐれた気分で恵比寿に向かう。二階で開演を待つ間、今回のオリジナルTシャツを着た人をちらほら見かける。そっか、ちゃんと昨日のうちに届いた人もいたんだね。あるいは、今日届いたのを早速着てきたのかな。少なくともここにいる全員が完全に予習なしで来たというわけではないのか。と思うと悔しさもひとしお。



文句はこれぐらいにしておいて、ライヴのことを書こう。大きな整理番号のわりには、運よく会場左側やや後方の、ちょっと小高くなったカウンターの端っこをキープすることができた。ステージ左端がちょっと見えづらいけど、全然問題なし。モスコミュールの冷たいカップもカウンターに置けるし。

開演時間を15分ほど廻ったところで、前座のバンドが登場。にせんねんもんだいって名前しか知らなかったけど、女の子だけのスリーピースなんだね。何も喋らずに演奏開始。モグワイのオープニングを務めるだけあって、かなり硬質なインスト・バンド。しかも曲がどれも長尺。40分ほどでたったの3曲。ちょっと単調なところもあって仕事帰りの身にはふっと意識が遠のく瞬間もあったけど、いや、でもなかなかよかったよ。ステージを去る時に初めて喋った普通の女の子の声とそれまで鳴り響いていた轟音とのギャップがすごかった。二日後にO-nestで公開ライヴ録音があるんだって。行ってみようかな(結局仕事が押して行けなかった)。


30分ほどのセット変換の後、モグワイ登場。(後で知ったセットリストによると)新作『Hardcore Will Never Die, But You Will』からの曲順そのままに演奏した新曲群は、かなりいい出来だった。インストゥルメンタル主体でなかなか曲ごとのメリハリがつけ難いと思うけど、ちょっとしたSEやボコーダーを通したぼそぼそとしたボーカルをうまく交えて飽きさせない流れにしているね。

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僕はあまりメンバーの名前とか、構成すらよくわかっていない程度のにわかファンなんだけど、いつも写真で見て、なんだか坊主頭のオッサンばかりだというのに妙に親近感を持っていた。この日も、にせんねんもんだいのセットを片づけてモグワイのステージセットに変更するとき、楽器の調律をしていた地味な坊主頭の人達が、後でライヴを見たらやっぱりメンバーだった。あの人たち、きっとそのへん歩いててもわからないよ。

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MC担当は、ステージ右側に立つ背の低いギタリスト、スチュワート・ブレスウェイト。とはいえ、曲が終わったときに「サンキュー、アリガトウ」と繰り返す程度。後は早口のグラスゴー訛りで何か言ってたけどなかなか聞きとりにくかった。僕はNZに住んでいたからイギリス発音の英語にはそれなりに親しんでいるつもりだけど、やっぱり北国の訛りはきついね。

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何曲演ったかわからないけど、終盤にある曲のイントロで一斉に会場がどよめく。僕は知らなかった曲だけど、そこからは過去の曲を演奏するんだね。セットリストによると、まず「Christmas Steps」。名盤だとは聞いているけどジャケがなんとなく気持ち悪くて僕は持っていない『Come On Die Young』からの曲だ。

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その次の次は、僕も知ってるイントロ。「Mogwai Fear Satan」だ。これが聴けたのは嬉しい。この曲(というかモグワイの音楽)を特徴付けている、延々とした静寂を突如打ち破るような轟音が入る瞬間、それこそ0.1秒の遅れもなく会場全体が大声を上げる。すごいね、みんな。あの果てしない曲のどの瞬間にあの轟音が入ってくるかわかるんだ。

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それが本編のラスト。アンコールに応えて再登場し、最初に演奏した曲はよかったな。セットリストを見ると「2 Rights」と書いてある。えーっと、『Rock Action』収録の「2 Rights Make 1 Wrong」だね。あれも中古屋で頻繁に見かけるから、そのうち買ってみようかな。

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その曲を終え、お別れの挨拶をするスチュワート。他のメンバーから「おいおい、もう1曲あるよ」と突っ込まれて赤面。最後は「Batcat」。このエンディングも超かっこよかった。これはEPの曲か。でも最近出たライヴCD(+DVD)にも収録されてるね。それも買うのか。CDで聴くのとは全然違うこのライヴのダイナミズムをどこまでライヴCDやDVDで再現できているのかは興味あるけどね。

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ここに載せた写真は全部この日のもの。会場に貼ってあったバーコード先にメールを送ったら、後でこれらの写真が見られるパスワードが送られてきた。ブログに貼っていいかどうかは書いてなかったけど、まあいいよね。後で怒られたら消そう。

そのサービスもなかなか気が効いててよかったけど、更によかったのは、終演後に出口で配っていたメンバー直筆サイン入りのセットリスト。何百枚もサインしたのかと一瞬思ったけど当然そんなことはなく、サインしたものをコピーしたんだね。

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「Too Raging」のところに手書きで「Sorry」と書いてあるのは、確かイントロを間違えてやり直した曲かな。ということは、これ終演後に書いたのか?でも終演後に何百枚もコピーする時間なんてないよな。じゃああの曲のことじゃないのかな。じゃ、何を謝ってるんだ。うーん、謎。


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Mogwai 『Hardcore Will Never Die, But You Will』

僕の買ったニューアルバム(からチケットとTシャツを除いたもの)。初回限定の2枚組で、日本盤のボートラ2曲に加え、2枚目には23分の長尺曲「Music For A Forgotten Future (The Singing Mountain)」を収録。おまけに、モグワイのロゴがついたギターピックも封入されている。デジブック仕様のなかなか綺麗な作りもいいね。ブックというほど沢山のページはないけど、このジャケのように綺麗な写真が何枚か収められている。この風景、グラスゴーなのかな。

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Setlist 2 Feb 2011 @ Ebisu Liquidroom

1. White Noise
2. Mexican Grand Prix
3. Rano Pano
4. Death Rays
5. San Pedro
6. Letters To The Metro
7. George Square Thatcher Death Party
8. How To Be A Werewolf
9. Too Raging To Cheers
10. You're Lionel Richie
11. Christmas Steps
12. Killing All The Flies
13. Mogwai Fear Satan

[Encore]
1. 2 Rights Make 1 Wrong
2. Batcat
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2011年01月23日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 3)

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昨年末のタマス/ヨンシー/タマスという至福の週末に続く、グレン/グレン/グレンという怒涛の週末の3日目。僕は今回全部で8公演あった日本ツアーのうち結局東京3日間しか参加できなかったので、この日が僕にとっての今回最終日だった。あれからちょっと日が経ってしまったけれど、おぼろげな記憶とメモを頼りに書いてみよう。

この日もそれまでの定位置(のやや中央より)という最高の席に陣取らせてもらった。ほぼ同時に入場した、僕の分のチケットも一緒に取ってくれた全公演皆勤賞の友達が、この日が最後の僕に気を使って、少しでも前の席を譲ってくれたのが本当にありがたい。

珍しく開演時間ぴったりにステージに登場した二人。手にはなにやらメモを持っている。サイモンの方を指さしてグレンが日本語で「ブルース・ウィリスでーす」。サイモン「わたしは、ブルース・ウィリスでは、ありません」だって。ははは、言われてみれば確かに似てるね。きっと前日までのサイン会のときに散々いろんな人に言われたんだろうね。

二人で出てきたのでこの日は一曲目からドラム入り。6弦を持ったグレンが歌いだしたのは僕の知らない曲だった。終演後のサイン会のときにグレンに訊いてみたら、ランディ・クロフォードの「One Day I'll Fly Away」だそうだ。まったく僕の守備範囲のアーティストだけど、今度機会があったら聴いてみようかな。

例によってサイモンのiPadからシンセのイントロを出してスタートした「Take Me, I'm Yours」に続いて、グレンが自分のiPadをいじり始める。「僕はセールスマンじゃないけど、このソフトは本当にいいからお勧めだよ。メロトロンの音なんて本物よりいいぐらいだ」とか言いながら、パイプオルガンの音を出して、なんだかファウストに出てくる悪魔みたいな顔真似で「ワーッハッハッハ」と笑いながら何か台詞を言っていた。次の「Is That Love」の間奏のところでも、ギターソロの代わりにそのパイプオルガンを弾き、また悪魔の顔(笑)。サイモンがすかさず「ワーッハッハッハ」と悪魔の笑い声。へんな人たち。

「Mumbo Jumbo」、「Melody Motel」と、久しぶりに聴く珍しいけど大好きな曲が続く。最近のスクイーズのツアーのセットリストをいちいちチェックしてるわけじゃないけど、こういうマイナーな曲もちゃんと演奏してるのかな。もしそうでないとすると、なんでサイモンは(相変わらず曲紹介もなしで)あんなに出だしから最後までちゃんと叩けるんだろう。一応スクイーズの曲は全部完璧に叩けるように覚えてるのかな。

次の「This Is Where You Ain't」はきっとグレンの現在のマイブームなんだろうね。今回僕の観た回では必ず演っていたよ。僕はもともとそんなに大好きな曲というわけじゃなかったんだけど、これを聴くとグレンがソロ活動を始めた頃のいろんな感情が懐かしく蘇ってくる。この日は相当乗ってたのか、ギターソロが延々終わらない。かっこよかったな。

12弦に持ち替え、「次の曲はスクイーズの最初のアルバムから」と言うから一体何かと思っていたら、「Model」だった。これも珍しいね。ライヴで聴くのは初めてかも。そのままメドレーのように「No Place Like Home」に繋げる。さらに、スティーラーズ・ウィール(Stealers Wheel)の「Stuck In The Middle With You」の一節を挟み、「NPLH」に戻る。

実はこの「Stuck In The Middle With You」、僕はよく知らない曲だったので、休憩時間中に隣に座っていた友達に聞いて教えてもらった。そしたら、前日のサイン会のときに彼がグレンにリクエストしたけど、「歌詞を全部覚えていないから」と断られたそうだ。なのに、こうしてメドレー風に自分が知っている歌詞の部分をちゃんと歌ってくれるなんて、グレンってほんとにこういうことに関しては記憶力いいし、優しいよね。

ところで「よく知らない曲」なんて書いたものの、帰ってからCDラックを調べてみたら、僕の持っているジェリー・ラファティー(Gerry Rafferty)のベスト盤にちゃんとこの曲入ってるよ。ほんとに普段どんなにいい加減に聴いているのやら。スライドギターの格好いい曲だね。というわけでこの記事は引き続きそのベスト盤を聴きながら書いているところ。

iPadに触れてポーン、ポーンとなんだか宇宙的な音を出し始める。なんていうソフトか僕は知らないけど、スクリーンの違う箇所に触れると違う高さと音色の音が鳴り、それがループされていくという、Tenori-Onみたい使い方。そうしてスペイシーに始まったのが「Footprints」。わあ、これは凄いね。前日までは指でなぞって「ウニューン」とかやってただけなのに、ようやくグレンのiPadが音楽的に使われ始めた(笑)。さては前日の夜にこのソフトに気付いたのか?

そのままほぼメドレーっぽく「Annie Get Your Gun」へ。全然勢いも音圧も違うこの曲の背後でまだ「ポーン、ポーン」って音がこっそり鳴ってるのが変な感じ。グレンも間奏のところでまだ律儀に音を出しているiPadを見ながら笑ってたね。自分はギター弾いてるから止められないし。


あっという間の前半セットはそれで終了。後半は引き続き12弦を持ち、「Black Coffee In Bed」へ。前日のようにグレンがアンプラグドで客席を歩き回ってということはなかったけど、サイモンは後の方の客席に座って演奏してたね(スネアを外して持っていってたんだっけ)。演奏しながらサイモンがどんどん前に進んできて、僕の傍を通ってステージに上がり、サビ前のブレイクのところから通常演奏に。この曲も、12弦だとは思えないほどの速弾きのギターソロが冴えていたよ。

グレンがまたアンチョコの紙を取り出して日本語で「だれか、かみのけを、なんとかしてください」と言って笑わせる。暑がりのグレンはステージ上に自分に向けて3つも置いてあるサーキュレーターからの風で結構最近伸び放題のフワフワの髪の毛が常に逆立ったような状態で歌ってるんだけど、それがよっぽど鬱陶しいらしく、日本語でそう言った後に「もしここにヘアドレッサーがいて僕の髪の毛を短くしてくれたらとても嬉しいんだけど」なんて言ってた。そういえば今回、グレンからなんだかヒョロヒョロした金色の糸みたいなのが飛んでいくのをよく目撃したんだけど、あれは風で飛ばされたグレンの髪の毛なんだね。

実はそのアンチョコは休憩中からステージに置いてあり(というか、最初の「ブルース・ウィリスでーす」の裏側に書いてあった)、僕は始まる前にこっそり見ていたんだけど、そこに書いてあった文章はこういうのだった。

 DA LEYCAR CARMINO KAYO NANTOKA SHITEK COO DA SIGH

なるほど、日本語をちゃんと発音しようとすると、こう書くのか。

友達がリクエストした「Stuck In The Middle With You」を忘れていなかったグレンは前日の僕のリクエストもちゃんと覚えてくれていて、「次の曲は新曲、“Chat Line Larry"」と言って歌ってくれた。ちょっとロカビリーっぽい感じかな。終演後にサイモンに会ったら開口一番「君のリクエスト、演ったよ」と言ってくれた。うん、ありがとう、新作も楽しみだよ。

「The Elephant Ride」を終えた後、グレンがサイモンに「次は何にしようか」とか話しかけている。サイモンは「客席にいる友達に聞いてみればいいんじゃない」と答える。グレンはマイクに戻り、電話をかけるような振りをして「あー、ハロー、次の曲は何がいいかな」と聞く。間髪入れず僕の隣の友達が「Vicky Verky!」。やった、嬉しい。

この3日間、毎日それぞれ何をリクエストしようかずっと考えていた。リクエストタイムのときにアコギを持っていたら何で、エレキだったらどれで、と。初日は「Relentless Pursuit」(アコギでもエレキでも)、二日目序盤にその曲を演ってからはアコギなら「Little Ships」、エレキなら「It's So Dirty」、そしてこの日は、前回のツアーではテーマ曲のように歌われていたのに今回は一度も耳にしていない「Best Of Times」をリクエストしたいと思ってたんだけど、毎回出遅れてしまって、でも実際にリクエストに応えて歌われた曲もいいのばかりだったから、まあいいや。でも、もしアンコールまでずっと演奏されなかったら、リクエスト要求されなくても「Best Of Times」叫んでみようかな。

サイモンのiPadでリズムボックス風の音を出して始まったのが「If I Didn't Love You」。この曲の間奏のところでグレンは12弦からストラトに持ち替え、そのままバリバリのギターソロを弾く。かっこいい! 次の曲のイントロもサイモンがリズムボックスの音で始めたらグレンが「また同じリズムか」と言って、「Still」を演奏。これも途中のギターソロがすごかったね。本当にこの日は前日とはうってかわってギターがよかった。グレンも弾いていて気分いいのか、ついオリジナルよりも何小節も追加して弾き続けていたよ。

グレンは毎日スカーフをネクタイっぽく首に巻いていて、この前日はエレキを弾く時にちょうどそれがギターの手元のところに被ってきて弾きにくそうにしていたんだけど、この日はちょっと頭を使って、首から下がってるスカーフの両端に長短差をつけ、長い方をギターの裏側に挟み込み、短い方は手元まで届かないようにしていた。頭いいね。でも、アンコールで出てきたときには一度スカーフを緩めて締め直したのか、また弾き難そうにしてたよ(笑)

「Oh Well」、「Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby」とカバーが続き、この日も最高だった「Another Nail In My Heart」を挟んでまた僕の知らないブルーズのカバー曲。これはサイモンにもわからなかったらしく、イントロでおそるおそる叩き始め、グレンが歌い始めてもまだ怪訝な顔。定型ブルーズだからそんなに難しくなかっただろうけど、演奏後にグレンがサイモンに向かって「ごめん」とか言ってたね。きっと、今まで一緒に演ったことのない曲なんだろう。

終演後、サイン会の前にサイモンが先に出てきたから話していて、「あの曲何だったの?」と訊いたら「俺の方が聞きたいよ」と(笑)。サインをもらうときにグレンに訊いたら、「フリートウッド・マックの“Oh Well”と一緒のアルバムに入っている“Then Play On”という曲だよ」と教えてくれた。うなずく僕とサイモン。同じくセットリストをチェックしていた友達にそう教えると、早速帰宅後に調べて教えてくれた。『Then Play On』というのはアルバム名で、おそらくグレンがこの日に演奏したのは「One Sunny Day」という曲だろうとのこと。僕は演奏中にタイトルが歌われないだろうかと結構熱心に歌詞を聴いて大体覚えていたんだけど、確かにYouTubeで聴いた「One Sunny Day」は出だしの歌詞が同じ。でも中盤の歌詞は違ったような気がしたんだけど、あれは単にグレンが歌詞を覚えてなくて、適当な他のブルーズを混ぜて歌っただけなんだろうか。

「If It's Love」、「Parallel World」からほぼメドレーで演奏された「I Feel Good」で最高潮に達し、グレンが“We had the best of times!”と叫ぶ。そしてあのイントロ。やった!嬉しい!エンディングでグレンがコーラスを歌わせてくれるので、今回いちばんの大声で歌ったよ。もちろんこれが本編のラスト。ああもう、大満足。この日は選曲も曲順も完璧。


アンコールで再登場したグレンが「今日は弦を張り替えたんだ」と嬉しそうに言いながら再びエレキを持って「Tempted」を。やっぱり前日のはバンド用のアレンジだったよね。この日のはしっかりベース・パートまで自分で弾く、安心して聴けるソロ用のアレンジ。そう考えると凄いよね。バンド用に書いた曲をこうしてソロできちんと聴かせるためにアレンジし直した演奏をするなんて。いつもグレンのソロのときにはわざわざそういうことを意識しないで聴いていたけれど、この二日間の「Tempted」の差を聴いて、改めてそう思ったよ。

もうひとつ気付いたこと。次の曲はスネアの一撃で始まるんだけど、それをサイモンに指示するのにグレンは左腕で力こぶを作って「次、これ」みたいな感じで見せる。サイモンも「ああ、これね」と右腕でぐっと力こぶを作り、スネアをダン!と叩く。曲は「Pulling Mussels」。そっか、もうここからは連日の定型の流れだね。

その曲の途中でステージ上のファンを足で脇によせるグレン。当然、スクイーズ・ダンスの準備だ。その際に、正面に置いてあった一番大きなサーキュレーターのプラグが抜けてしまったみたいで、急に風が止まってしまった。にも関わらず次の曲の演奏を始めるグレン(というか、サイモン。iPadでイントロを奏で始め、自分は空のボトルをドラムスティックで叩き始める)。曲はもちろん、今回ツアーのお決まりのラスト曲「Goodbye Girl」。

曲の前半はボトルをスティックで叩いてリズムを取ってステージをうろうろしていたサイモンが、暑そうにしているグレンを慮って、サーキュレーターの抜けたプラグを探し、その場にしゃがみこんで、床に置いたボトルを叩いてリズムを左手でキープしながら、右手で抜けたプラグをコンセントに差し込む。サーキュレーターが動きだした!歌いながら歌詞の途中で「サンキュー」というグレン。そろそろ出番なので急いでドラムキットに戻るサイモン。サビ前で定位置につき、バスドラとフロアタムでドドドドドドドとフィルインし、そこからは通常演奏。いや、お見事。

最後はお決まりのスクイーズ・ダンス。二人とも汗びっしょりになって、ちょっとニコッとしながら、黙々と(ちょっといい加減に)踊っていたね。それを終えて、またアンチョコを持ちだして、グレンとサイモンがお互いに「お前言えよ」とか言いながら、結局最後はサイモンが「コンサートに、きてくれて、ありがとう!」と日本語で言って終了。

いやー、楽しかった。堪能した。結局僕はこの3日間しか観られなかったけど、多分二人の気力も集中力も、この日が最高潮に達していたと思う(横浜の最終公演に行けなかった負け惜しみ)。前日はいつまでも客電が点かなかったからずっとアンコールの拍手をして、予定外のアンコールをしてもらったけど(「Space Oddity」なんて驚きの選曲もあったけれど)、もうこの日はこれでいいやと思った。もう、何も聴かなくてもいい。それぐらい、この日の演奏は充実していた。


これまでの経験を活かし、サイン会には早目に並んだ。さっきも書いたけど、グレンの前に早々とサイモンが出てきてカウンターでビールを飲んでいたから、列のほとんど先頭にいた僕が話しかけてみた。同じ髪型の僕を覚えていてくれたようで、グレンが出てくる前にいろいろ話ができたのが楽しかった。前日の開演前に話していた僕の職業とかも覚えてくれていたみたいで、グレンが出てきたときにわざわざそんなことを伝えようとするから、「いや、そんなこと言わなくていいから」と言ったら、「なんだ、秘密なの?みなさーん、この人の職業はー」とか大声で言うし。ほんとにおかしな奴。

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この日は無難に、グレンからは『Dreams Are Made Of This』に、サイモンからは(以前グレンからはもうサインをもらっていた)『Pandemonium Ensues』にサインをもらってきた。本当に楽しかったな、この3日間。また近いうちに来てくれればいいのにな。そのときは、どんな仮病を使ってでも全公演追っかけよう。


Setlist 16 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. One Day I'll Fly Away
2. Take Me, I'm Yours
3. Is That Love
4. Mumbo Jumbo
5. Melody Motel
6. This Is Where You Ain't
7. Model
8. No Place Like Home ~ Stuck In The Middle With You
9. Letting Go
10. Footprints ~ Annie Get Your Gun

11. Black Coffee In Bed
12. Chat Line Larry
13. The Elephant Ride
14. Vicky Verky
15. If I Didn't Love You
16. Still
17. Oh Well
18. Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby
19. Another Nail In My Heart
20. One Sunny Day
21. If It's Love
22. Parallel World ~ I Feel Good
23. Best Of Times

[Encore]
1. Tempted
2. Pulling Mussels (From The Shell)
3. Goodbye Girl
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2011年01月16日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 2)

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二日目。予想通り明け方まで引っ張ったライヴ終了後の飲みがかなり尾を引いて少し朦朧としているけど、記憶の定かなうちに書いてしまおう。前日よりは少し大きな整理番号のチケットだったけど、運よく僕は前日と同じ席を確保。そこから撮った写真が上の2枚。どうしようもなく退屈な人は昨日の記事と見比べて見て、スポット・ザ・ディファレンス遊びでもどうぞ。

前日と同じ席とはいえ、前日より明らかに密集した椅子の並び。やっぱりこの日のチケットが一番売れているんだろうね。昨日は開場後しばらく「大丈夫かな?」と思うような客の入りだったけど、この日は早い時間からもうびっしり。飲み物を買いに行ったりトイレに行ったりするのも一苦労。上のドラムキットの写真が昨日よりやや大きめに写っているのは別にズームを使ったからじゃなくて、ドラムキットが近付いてきているから。隣の友達に「なんだかドラム昨日よりも近くに置いてない?」と聞くと、「それは私たちが昨日よりもステージに近いんです」との冷静な答え。

歩き回るのは一苦労だけど、席を確保した後ぶらぶらと二階に上がっていったらサイモンがいたので、「今日はあなたと同じ帽子かぶってきたよ」と話しかける。どこかに行ってしまったグレンを待って時間をつぶしてたようで、しばらく話ができた。前日終演後に近くに飲みに行って、ほとんど朝まで飲んでいたとか(グレンはもちろん途中で帰ったらしい)、「Relentless Pursuit」と「She Makes Me」はスクイーズでのグレンとクリスみたいに詞と曲との分業体系ではなく、二人で詞も曲も一緒に書いたとか、スティーヴン・ラージはダフィーのツアーに参加しているとか、ルーシーの子供の名前とか(ローレンスっていったかな)、インタビューよろしくあれこれ聞かせてくれた。彼も僕に「どんな仕事してるの?」とか聞いてくれたので、僕の話なども少し。とかしてる間にグレンが帰ってきたので席に戻る。

ライヴの進行パターンは前日とほぼ同じなので、今日はちょっと短めにあれこれ気付いたことを書いていこう。まずグレンが一人で登場して6弦のヤマハで弾き始めたのが「The Elephant Ride」、そして「Hope Fell Down」。後者のイントロのときにちょっとつまづいたかな。というような、明らかなミスではないけれどちょっとギターソロがたどたどしいぞ、という場面がこの日は後にも何度か見受けられた。ライヴ自体が悪いわけでは全くなかったけど、日本ツアーも終盤に差し掛かってきて、グレンもややお疲れモードなのかも。

2曲を終えたところでサイモンが登場。お互いのiPadでウニョーン、ビヨヨーンみたいな音を出しあって遊んでいる。この日は最初から最後まで、曲間も曲中でも、しょっちゅうそんなことしてたね。新しいおもちゃを与えたら止まらない子供たちの図、みたいな(笑)

模造紙に歌詞を書いている時間はなかったけど、今日もしグレンにリクエストを募られたら、2年前にグレンにリクエストして「次の日に演るよ」と言ってくれたのに今に至るまで実現していない「Relentless Pursuit」をリクエストしようと思っていた。共作者も後ろに座っていることだしね。そしたら、サイモンが来て最初の曲、聴き慣れないギターのイントロだと思ったら、いきなりその曲。あの偽ビーチ・ボーイズみたいなコーラスも二人で一所懸命やってたよ。いいの聴けた。

昨日、曲名を言わずにグレンがいきなりイントロを弾き始めても、サイモンがちゃんとそれについてくるということを書いたけど、この日の5曲目の静かなイントロでサイモンは明らかに戸惑った顔。グレンのソロ公演に何度か来ている人はそのイントロで当然何の曲かわかったけど、きっとスクイーズでこの曲を演奏するときは、オリジナルの速いバージョンなんだろうね。サイモンがドラムを叩きはじめないので、グレンがくるっと後ろを向いて「わかんないでしょ(ニヤリ)」みたいなことを言ってから(何言ったかは聞こえなかったけど)、「Touching Me Touching You」の最初のフレーズを歌いだした。サイモンも「あー、それか」みたいな顔で、ようやくフォロー。

iPadで「ウニョーン、ビヨヨーン」ってやる以外は比較的MCも少なく進行。前日よりも前半セットでのビールの消費が少し早めかな。あと、「Still」のときにはじまって、歌いながらかなり頻繁に「もっとマイクボリューム上げて」というような素振りをしていたね。そんなに聴こえ難くはなかったと思ったけど、自分の声がスピーカーからうまく聴こえていなかったのかな。結局、途中休憩のときに急遽スタッフがステージ上に大きなスピーカーを二つ追加(でも後半でもやっぱり「もっと上げて」ってジェスチャーしてたね)。

前半セットの最後に演奏した「Up The Junction」は前日の不思議ちゃんアレンジでなく通常パターン。うん、やっぱりこっちのほうがしっくりくるよ。それにしても、グレンがどっちのアレンジで弾き始めてもやっぱりサイモンは咄嗟に判断してついてくるよね。


前日は前半セットでギターを持ち替えてたけど、この日は前半中ずっと6弦。休憩を挟んでの後半セットは最初から12弦でスタート。と思ったら、いきなりギターのプラグを抜き、サイモンに「スネア持ってきて」と指示。曲は、思ったとおり「Black Coffee In Bed」。いつもどおり客席中央の通路を通りながらコーラスを入れる場所をお客さんに指示。サイモンがどっか行ったなと思っていたら、二階席に登場。そのままぐるっと回って、客席後方の階段から下りてくる(「いつもどおり」以降はすべて演奏中の話)。演奏と歌を続けたままステージに上り、さっき抜いたプラグを挿そうとするグレンと、それを手伝うサイモン(しつこいけど、これもずっと演奏中。サイモンも床に置いたスネアを左手で叩いてリズムをキープしながら、右手でグレンのギターのプラグを四苦八苦しながら挿してあげていた)。で、曲の途中からプラグド・イン、フルドラムキットに移行。いやー、凄いよね。昨日から「凄い、凄い」ばかり書いてるような気がするけど、ライヴ観てる間もずっとそんな感想しか頭に浮かばないんだからしょうがない。

後半2曲目は珍しいプレスリーのバラッド「Always On My Mind」。歌い始めた瞬間、「あ、ペットショップボーイズのカバー。しかもスローなバージョン」と思ってしまった僕にはこんな偉そうなブログ書いてる資格ないね(苦笑)

続いては、ちょっとびっくり「Another Nail In My Heart」。ええ?もう演るの?いくらセットリストないとはいえ、今それはないんじゃないの?と思っていたら、案の定12弦であのソロを弾くのは至難の業。さっきギターソロがたどたどしいと書いた印象を持ったのは、この曲のせいかも。でも、まったくのノーミスで弾ききったのはさすが。

次の曲は、歌いだした瞬間まったくわからなかったので、他人のカバーかなと思いながら注意深く歌ってる歌詞を聴いていたら、「I Won't Ever Go Drinkin Again (?)」だった(知らない人のために。(?)は別に僕がこの曲に自信がないというわけじゃなく、ここまでが曲名)。京都では既に演奏済みらしいけど、僕はグレンのソロツアーでこの曲を聴くのは初めてかも。

12弦で5曲続け、さあ、エレキのお時間だ。最初は「Someone Else's Bell」。うーん、それは別にアコギのときでいいんじゃないの?最初だからってウォームアップが必要な人じゃないんだし。

モンキーズ、ビートルズ、デイヴ・エドモンズ(「ズ」がついても最後のはグループ名ではありません)のカバー三連発。珍しいのはないなあ。まあ、この日生まれて初めてグレンのライヴを観に来た人も沢山いるだろうから、グレンが演るカバーものの入門編としては最適だけどね。

本編最後は「Is That Love」。終盤、サイモンがいきなりシンバルを外してこっちに来るから何事かと思ったら、僕の隣に座っている友達にドラムスティックを渡し、エンディングのところで叩かせた。叩いたときにグレンがちょっとびっくりしたような顔でそっちを見たのにはこちらもびっくり。あんなステージ前方でバタバタやってたのが目に入ってなかったのかな(笑)。

アンコールは定番の「Pulling Mussels」と「Goodbye Girl」。そして、スクイーズ・ダンス(笑)。ダンスが終わった時にサイモンがグレンを指して「ジャスティン・ティンバーレイク!」と冗談で紹介したら、グレンもサイモンのことを「マイケル・ジャクソン!」だって(笑)

ダンスもやっちゃったし、ちょっと短かったかなと思いつつも念のためにアンコールの拍手をしていたら、二人がまた出てきた。あのダンスって、「もうこれ以上はアンコール受け付けませんよ」という意思表示じゃなかったんだね。ステージ裏から出てくるときに左右二つの入り口があるんだけど、普通はギターの置いてあるステージに向かって左側からグレン、右側からサイモンが出てくるはずなのが、このときは反対だった。そしたら、「あ、違ったね」みたいに一旦戻り、二人いっぺんに左側から出てきたり、「あれ?また間違った」風にまた戻ったり。ドリフの大爆笑か。

「Tempted」を演奏したんだけど、なんだかちょっと妙な感じ。いつものグレンのソロと違って、多分あれスクイーズ用の自分のパートだけを弾いてたよね。サイモンも両手でドラムを叩くんじゃなく、右手にはマラカスの小さめみたいなのを二つ持ってカラカラ言わせてるもんだから、なんとなく演奏全体がスカスカした印象。それで二度目のアンコールは終了。

さすがにもうないだろう、「Tempted」もややお疲れモードでの演奏だったし、と思いつつも念のためにアンコールの拍手を続ける我々。客電も点かないよ。そしたら、また出てきた!(嫌なわけじゃありません 笑)

低い声で歌い始めたなと思ったら、なんと「Space Oddity」!こんなの演るんだ。カウントダウンの「10、9、」というのをサイモンが言うんだけど、最初入るとこ間違えて、グレンも歌いながら「まだ早いよ、ここで10だ」みたいなことを教えていた。「ここで7、6、」とか言ったときにサイモンが「8、」って言うから「上がってってどうすんだよ」とグレン。漫才か。

とか書いてるけど、このカバー結構本格的。この日初めて(笑)サイモンのiPadが音楽的に活躍した曲だった。あの曲、ウニョーンってSEが入ってるでしょ、あれ。グレンもカウントダウンからサビに移るところでギターの弦をマイクスタンドでこすってギュイーンってやるし。よかった。これは珍しいものを聴けたよ。

それが終わると「リクエストタイム!」とグレン。ええ!今やるの? えーと、エレキだったら「It's So Dirty」をリクエストしようとしてたんだよな、元々のリクエストは「Relentless Pursuit」だからもう演ったし、「Little Ships」は今やるような感じじゃないしと慌てて考えていたら(この間約2秒)、シンバルを叩いたのと反対側の隣に座っていた友達が「Electric Trains」をリクエスト。あ、それもいいね。それでいいや。


という感じで、なんとアンコール3回。お疲れさま。終演後は恒例のサイン会。僕はいつも後ろの方に並んでいたんだけど、自分の順が廻ってくる頃にはもうグレンへとへとだから、少しは学習効果を発揮してこの日はわりと早く並ぶ。二枚組の「Spot The Difference」にサインしてもらった。

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そして、サイモンと(ほぼ)お揃いの帽子をかぶっての写真撮影。本日二度目のスポット・ザ・ディファレンス遊び。

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推敲するために上から読み返したら、「今日はちょっと短めにあれこれ気付いたことを書いていこう」とか書いてあるぞ。「どこが短いんだ」と突っ込んだ人は初心者。「あなたの嘘はお見通しです」と思った人はジミオン上級者認定(笑)。「昨日話してた新曲、東京では演奏してくれないの?」とグレンに訊いたら、「ああそうか、ごめんごめん、明日演るよ」と言っていたので、はたしてグレンはそれを覚えているかどうか。確かめるために今から準備して吉祥寺に向かおう。


Setlist 15 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. The Elephant Ride
2. Hope Fell Down
3. Relentless Pursuit
4. Product
5. Touching Me Touching You
6. Take Me, I'm Yours
7. No Place Like Home
8. Harper Valley PTA
9. Annie Get Your Gun
10. Still
11. This Is Where You Ain't
12. Up The Junction

13. Black Coffee In Bed
14. Always On My Mind
15. Another Nail In My Heart
16. I Won't Ever Go Drinking Again (?)
17. Third Rail
18. Someone Else's Bell
19. I'm A Believer
20. You Can't Do That
21. I Hear You Knocking
22. Through The Net
23. Slap & Tickle
24. Is That Love

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Goodbye Girl

3. Tempted

4. Space Oddity
5. Electric Trains
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2011年01月15日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 1)

Three Guitars.JPG Drum Kit.JPG

では、気を取り直して本来の白い人格に戻って、待望のグレン・ティルブルック東京公演一日目の模様をお届けするとしよう。会場はいつものスターパインズ。会議やメールを振り切ってなんとか吉祥寺まで辿り着き、既にお客さんが整理番号順に並んでいた列に割り込んだのは開場5分前。無駄にした京都公演のチケットほどではないけど、この日の整理番号もかなりよかったからね、列の前の方に割り込むのはちょっとした快感(笑)

入場すると、ステージ左側にはギターが3本。いつものヤマハの6弦と12弦、それに(おそらく借り物の)黒いフェンダーのストラト。右手にはかなりシンプルな構成のドラムキット。それまでの京都・札幌公演とは違い、この日からフラッファーズ/スクイーズのドラマー、サイモン・ハンソン(Simon Hanson)が参加。ギターとドラムだけという変則構成がどう聴こえるか。YouTubeにアップされている最近のライヴなんかを観るかぎりは、しょぼい音質のせいか、まあリズムキープのためにドラマー入れてるんだね、程度にしか思っていなかったんだけど。

開場から30分ぐらいは客の入りもちょっと少なく、後ろの方はがらんとしていたけど、開演前には一階席はほぼ埋まっていたかな。平日だし、3日間の初日だしね。一時間の待ち時間、京都・札幌皆勤賞の友達にそれまでの様子を聞いたりして過ごしていると、7時半を10分ほどまわったところでグレンが一人で登場。

まず6弦を肩にかけ、オープニングは「Footprints」。わりと珍しい選曲だね。友達によると、今回のツアーではこれが初だとのこと。それが、そのままメドレーで「If I Didn't Love You」へ。へえ、おもしろいね、この流れ。

いつもどおり機嫌のよさそうなグレン。「ギターが3つもある!ドラムキットも!」みたいな感じではしゃいでみせて、サイモンを紹介。自分の譜面台の上に置いてあるiPadでキーボード風の音を出し、「次の曲は」と始めようとするが、なかなかうまくいかない。ようやくうまく操作できてスタートしたのは「Take Me, I'm Yours」。アコギとの音のバランスのためか、サイモンはこの日ほとんどブラシで叩いてたね。

(最初のメドレーを一曲と数えると)5曲目の「Tough Love」から、12弦に持ち替える。何度聴いてもこのアレンジとこの歌メロ、いいよね。アコーディオンが泣かせるオリジナルは僕のお気に入りの一曲なんだけど、その5割増しぐらいで沁みるよ、これは。

その次の曲、僕が今までに自分で観た一番最初の06年東京09年京都のセットリストに「Monkey On You」と書いたのは、その最初の東京公演でグレン自身が「これはクリスと一緒にずっと昔に書いた」との前置き付きでそのタイトルを言ったからだったんだけど、今回の京都公演で友達がアップしたセットリストに「Monkey (Dr. Feelgood)」と書いてあるから、あれ?と思って調べてみた。ドクター・フィールグッドは最初の2枚とボックスセットしか持ってないけど、ボックスに入っていたその曲を聴いてみると、確かにこの曲。でもクレジットを見ると、「Tilbrook/Difford」だ(笑)。ひとつ前の記事のコメント欄に「ドクター・フィールグッドなんて演ったんですね」などと間抜けな感想を書いた自分が恥ずかしいよ。ボックスセットもちゃんと聴け。

前半セットで嬉しかったのは、「This Is Where You Ain't」、「Untouchable」、「Parallel World」など、グレンのソロ曲が多かったこと。最近スクイーズのツアー中だし、この日はサイモンも一緒だから、きっとスクイーズの曲ばかりになるのかなと思っていたからね。後者2曲はともかく、「This Is Where You Ain't」なんて滅多に聴いたことないよ。今ちょっと調べてみたら、僕が観た中では、さっきリンクした06年の東京での一日だけだね。「Untouchable」はいつもグレンのソロでは歌パートが終わったところで終了だけど、ドラム入りの今回はちゃんとオリジナル通りのアウトロ付きだったのがなんだか得した気分。

観ていて凄いなと思ったのは、グレンが次の曲名も言わずにいきなりギターを弾き始めても、寸分の遅れもなくサイモンが何の曲か判断し、きちんとドラムを入れてくること。普段ライヴで演り慣れているスクイーズの曲だけならともかく、「Untouchable」とかのソロ曲でもそうだからね。そう思いながら観ていると、グレンが弾き始めるところを見ているサイモンの目の真剣なこと。それ以外の時間は(演奏中ですら)ちょっとおどけた感じでずっとニコニコしているんだけどね。いいな、サイモン。

前半セットのラストは、ギターソロが凄まじかった「Parallel World」からメドレーで演奏された「Up The Junction」。これが、なんだか今まで聴いたことないような不思議なアレンジ。ドローン風というか、なんだか夢見心地な感じ。僕としては通常のアレンジの方が好きだけど、まあたまにはこういうのもいいか。


30分ほどの休憩を挟み、後半スタート。二人で登場してグレンがまた6弦を持ち、最初に発した言葉が「僕らは次にどの曲を演るか相談していないんだ」。まるで「ついてこれるか?」と挑発するようにサイモンをちらっと見て、いきなり歌いだしたのが(わざわざ選んだイントロなしの)ジェームス・ブラウンの「I Feel Good」。もちろん、グレンがその最初の歌詞を歌った直後、絶妙のタイミングでスネアを叩くサイモン。見事だね。

すると今度はサイモンが、「じゃあ次はこのリズムマシーンでランダムにリズムを選ぶからね」とスイッチを押し、スタタカスタタカと速いリズムが始まった。そのリズムに体を揺らしながら、しばらくの間どの曲にしようかと迷った末にグレンが弾き始めたのは、えらくテンポの速い「Sea Cruise」。そのギターのイントロで何の曲か判断して、またもジャストなタイミングでドラムのフィルイン。他人のカバー曲なのに。「きっと今までで一番ひどいバージョンの“Sea Cruise”だったね」と演奏後にグレンが言ったけど、全然そんなことなかったよ。ほんと、二人ともお見事。

こういう即興性がグレンのソロ(あるいはデュオ)の醍醐味だね。まるでゲームみたいに、二人で演奏だけでなくそのイベント自体を楽しみ尽くしてるのがすごくわかる。そして、こういうことができるぐらいグレンはサイモンのことを信頼してるんだろうな。終演後に友達と飲んでたときに口論(笑)になったんだけど、僕はこれがある限り、スクイーズでなくやっぱりグレンはソロで観たい。

「By The Light Of The Cash Machine」なんてちょっとマニアックな嬉しい選曲も含み、後半開始6曲はそのまま6弦ギターで続けたあと、いよいよストラトに持ち替え。この日は(も)アコギでのギターソロもほぼ完璧だったけど、やっぱりエレキでのソロは物凄いね。昨夏のイベントとか以前のライヴでも彼がエレキを弾くのを何度か観たことあるけど、この日は本当に堪能した。グレン自身もエレキを弾く方が明らかに楽しそうで、そのままアンコール終了までもうずっとそのままだったもんね。

「The Truth」が始まったから、もしかしたらと思ったけど、やっぱりあのギターソロの途中で6弦を咄嗟に緩めてのドローン奏法をやったね。ちょっと遅れて3弦もいじって、ソロ後はなんだか不思議な感じの音色になってたよ。いつも思うけど、よくあんなことを演奏中にできるもんだ。この人、ステージ上でのギターのチューニングも、よくある上の弦の何フレットと次の弦の開放音を合わせて、なんてことせずに、それぞれの弦の開放音を耳で聴いただけで瞬時に合わせていくからね(そういえば、エレキに持ち替えてチューニングしてるときに、サイモンが「アー」ってチューニング音を声に出して言ってあげてたのが可笑しかった)。

最初に書いたギターとドラムだけの変則構成だけど、たとえば今までライヴではアコギのソロでしか聴いたことのなかった「Cash Machine」とかがとても新鮮に聴こえたことだけでなく、それぞれの曲のメリハリをつけることに、サイモンのドラムが大いに貢献している。ベースレスだけど、グレンが(おそらくその編成を意識して)低音弦できっちりベース音をキープしているから全然不自然に聴こえないし。ドラムの直接音ばかり聴こえてしまうかと開演前はちょっと危惧していた僕の観ていた位置ですら、音のバランスはとてもよかったね。

お客さんからのリクエストが「Is That Love」か「If It's Love」か聞きとりにくかったグレンは、「両方演るよ」と、「If It's Love」のイントロを弾き始めた。タイトルは似ているけど曲調もコードも全然違うこの2曲をメドレーで演奏したら凄いなと思ったけどさすがにそれはなく、「If It's Love」をフルコーラス演ってから、「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントして「Is That Love」へ。

本編ラストの「Another Nail In My Heart」のギターソロは圧巻だったね。エリック・クラプトンのブラッキー風の黒いストラトを抱えている姿がふと彼を思い起こさせたけど、お世辞抜きで僕は今のクラプトンよりこの人の方がギター上手いと思う。

アンコール1曲目「Pulling Mussels」は歌詞の順番がちょっとあやふやで本人もちょっと照れ笑い。ギターソロもなかったよ。慌てたのかな。ちょっとスピードアップしたロッキンなアレンジの「Goodbye Girl」がラスト。イントロでサイモンがビールのジョッキとシンバルを交互に叩いてリズムを取っていたのが面白い。その曲で、演奏しながらグレンがステージ上の扇風機を端の方によせていく。何やってんだろと思っていたら、演奏終了後、二人並んでのダンスが始まった。あはは、これかわいいね。ビデオではちらっと見たことあるけど、こうして目の前で真剣な顔してやってるのを見ると微笑ましい。


終演後はいつものサイン会。ちょっと席で友達と歓談してから並んだら、列の進みがこの日はなんだか異様に遅い。皆たっぷり話しこんで、写真撮ったりしてるからね。列に並んでたときにグレンとちょっと目が合い、「お、君のことは知ってるよ」という感じでニコッとしてくれたのが嬉しかったな。延々並んだあと、ようやく自分の番に。京都公演に行けず、前日にサンパウロから24時間かけて帰国したばかりという話をして同情を買う僕(笑)。記念に、未使用の京都公演のチケットにサインしてもらった。

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なんとなく成り行きでサイモンにもサインしてもらったら、グレンが「あれ?おまえ京都にいなかったくせにサインするの?」みたいなこと言ってからかう。そしたらサイモンは僕に「君、京都に行かなくて正解だったよ。僕抜きじゃちっともよくなかったはずだからね」なんて冗談で返す。

京都で演奏したという新曲のタイトルを訊くと、「Chat Line Larry」だと教えてくれた(合ってるかな?⇒某所でスペルミスの指摘を受け、訂正しました)。今ミックス中のニューアルバムに入る予定だそうだ。「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に演ってるんでしょ」と聞くと、そうだとのこと。サイモンも何曲かに参加しているそうだ。「あと3−4ヶ月で出るよ」と言っていたけど、まあグレンのことだから、年内に出ればラッキーだろうな。

出張中伸び放題だった髪を前日刈ってきた僕はサイモンに「ほら、同じ髪型」と言ったら、サイモンは「真似したな」と自分がかぶっていた帽子を僕にかぶせたり(そのときの写真を撮っておけばよかった)。そういえば終演後、後ろの方で観ていた友達が、「yasさんの後ろ姿、サイモンと同じだったよ」だって。わざわざ帽子を取って一緒に撮った写真がこれ。なんだかグレンが変な顔してるね(笑)。アメリカとブラジルで肉ばかり食って太り気味の僕、のことは誰も気にしてないからいいね(苦笑)

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さてと、そろそろ準備して吉祥寺に向かうとするか。昨日遅くに帰ってきたら、夕方5時半に振り切って出てきた会社の未読メールが100通以上にもなっていて目まいがしそうになったけど、それもやっと片付けたし(メールを開いただけともいう)。リクエストしようと思ってた曲の歌詞書いてる時間なかったな。まあいいや。多分客の入りはこの3日間で最大になるはずの今日、リクエストの競争率も高いだろうしね。ゆっくり楽しんで観てこよう。


Setlist 14 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. Footprints ~ If I Didn't Love You
2. Take Me, I'm Yours
3. They Can't Take That Away From Me
4. Still
5. Tough Love
6. Monkey
7. This Is Where You Ain't
8. Some Fantastic Place
9. Third Rail
10. Untouchable
11. Parallel World ~ Up The Junction

12. I Feel Good
13. Sea Cruise
14. Annie Get Your Gun
15. By The Light Of The Cash Machine
16. Oh Well
17. Through The Net
18. Tempted
19. The Truth
20. Can't Buy Me Love
21. If It's Love
22. Is That Love
23. Another Nail In My Heart

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Slap & Tickle
3. Goodbye Girl
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2010年12月11日

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 2

Santa.JPG

あれからもう一週間も経ってしまった。

先週の金曜、早稲田に時間通り辿り着くために仕事をとっとと切り上げてきてしまったこともあり、また年の瀬の繁忙期ということもあって、この一週間はブログを書く時間も頂いたコメントに返事をする時間もまったく取れなかった。

そんな慌ただしい一週間、僕の後頭部あたりにはずっと、腫瘍のようなものが巣食っていた。腫瘍といっても死に至るようなものじゃない。あの濃厚な日曜日の思い出が、仕事中もラッシュの通勤中も、僕の脳内にずっと留まっていた。そのお蔭で、辛い仕事も乗り越えられたようなものだ。いや、過去形で書くのもおかしいね。まさにこれを書いている今も、延髄のあたりのちょっと深いところに、何やら幸せな気持ちと音がいっぱい詰まった部分があるのを感じとることができる。

記憶のディテールは少しずつ霞みはじめてはいるものの、その幸せの腫瘍をちょっと頭から切り出して、その中身をここに書き記しておこう。急いで書いた初日の記事への訂正事項なんかも少し交えながら。


井の頭線はしょっちゅう利用しているけれど、永福町に降りるのはこの日が初めて。記憶していたとおりに駅からの一本道をまっすぐ歩く。徒歩7分とは聞いていたけれど、本当にこんな普通の住宅街にあるのかとちょっと不安になってきた頃に辿り着いたヴェニュー、sonorium。素晴らしい会場だった。リンク先の写真で見られるような外観や内装だけでなく、音が。本当にいい音を限られた人数の大事な人達に聴いてほしいという願いが込められているのがよくわかる造り。同じサイトのコンサートカレンダーにはどういうわけかタマスのことは載っていないけど、普段はクラシックの演奏会が行われているような場所なんだね。

Tamas Ticket.jpg

実は、今回のタマス・ウェルズ公演二日間の僕のチケットの番号は、初日が1番、この日が2番という、もしこれが整理番号だったなら飛びあがって喜ぶようなものだった。でも、いつものとおり入場は到着順。行きがけに下北沢でちょっとうろうろしてしまった僕は(それでも開場の30分近く前に着いたにも関わらず)、既に何人か並んでいた列の後ろにつくことになった。初日に一緒に一番乗りした友達はちゃっかりこの日も一番前に並んでいたけどね。

もちろん、80名限定のこの小さなホールで、その程度の順番なら些かの問題もない。タマス達も、いつもこんなおっさんに一番前に陣取られているより、最前列は女の子が多い方が嬉しいだろうしね(笑)

初日よりもゆったりと配置された椅子に腰かけて、友達と雑談しながら開演を待つ。強制的に500円を徴収しておきながら実際にドリンクバーに辿り着くのは至難の業という前日のスタジオコーストとは違って、殆ど並ぶこともなく任意で選べるグラスワインなら、同じ500円でもなんだかずっと優雅な気分になれるよ。

真っ白な壁にそのまま投影されるオープニングのショートフィルム。また出だしのところでちょっととちったのはご愛敬ということで。このフィルムの中で(CD音源でなく)実際に演奏されるのは「Fire Balloons」の他に「An Extraordinary Adventure (of Vladimir Mayakovsky in a Summer Cottage)」なんだけど、そのセカンド・ヴァースがCDに収められているのとは違ったメロディーなのが貴重。僕は初日とこの日、二回聴いただけなんだけど、それからすっかりこの歌を口ずさむときにはその初期メロディーで歌ってしまっているよ。確かに、最終的にCDに収められたメロディーの方が洗練されてはいるんだけどね。

初日の記事にも書いた、演奏中に大雨が降りだす「Fire Balloons」のテイク、この日も期待して聴いたら、ちょうどタマスが歌い終えて間奏に入るところで雷が鳴り、演奏を終えたところでもう一度鳴るという、計ったようなタイミングのよさ。さすがにこれは後で編集したんじゃないのかと思って、後でタマスに聞いてみたら、本当にあれはライヴなんだそうだ。すごいね、自然まで味方につけるのか。「あのテイク欲しいんだけど、持ってたらコピーしてくれない?」と聞いてみたけど、自分では持っていないらしい。残念。フィルムが公開されたらそれを聴くことにしよう。


初日よりもリラックスして、初日とは違った曲目をつい時間をオーバーして歌ったキムのオープニングに続いて、いよいよタマス・ウェルズ日本最終公演のスタート。初日とは違い、最初はタマスが一人で登場。「My name is Tama chan」でいきなりリラックスムードに。初日とは選曲を変えるとは聞いていたけど、一曲目が「Stitch In Time」だったのが少し意外。こういう静かなオープニングもいいね。

「From Prying Plans Into The Fire」に続いてピアノに移るタマス。実は、初日の終演後に彼と話していたときに、僕が『Thirty People Away』のレビュー記事の最後に書いたアウン・サン・スー・チーさん解放についてもちかけてみたんだ。「スー・チーさんのニュース、どう思う?よかったよね。今日はてっきりその話をして、Signs I Can't Readを歌ってくれるかと思ってたんだけど」って。そのときはそこから、彼が自分のブログに書いていた南京の話とか、果ては尖閣諸島の話とか、えらく話が広がってしまったんだけど。

鍵盤を確かめながらタマスが喋りはじめたのは、アウン・サン・スー・チーさん解放の話。先日僕に話してくれたように、「いろんな国が平和のために軍備を拡大していくのは悲しい」というような前置きに続いて、「Signs I Can't Read」を歌い始めた。この曲のピアノ・ヴァージョンなんて。あとで「あれ、本当はピアノで書いた曲?」って聞いてみたけど、そうではないらしい。あんなに素晴らしいヴァージョンだったのは、左手で弾く通奏低音の響きが素晴らしかったというのもある。

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このホールのスタインウェイ、あとでアンソニーに聞いたところによると、スタインウェイ本社から調律師が定期的に来ていて、その人曰く、現在東京にあるスタインウェイで一番状態のいいものだそうだ。「弾いていてわかるけど、普通のピアノとは全然違うよ」とのこと。

続く「An Organisation for Occasions of Joy and Sorrow」をピアノで弾き終えると、アンソニーとキムが入場。そこからは、初日とほぼ同じセットだった。客層が初日と重なっているからか(キムが時間をオーバーしたからか)、「Reduced To Clear」の説明などもなくどんどんセットが進んでいく。

白い壁に投影される映像。初日の記事に「(おそらく)ミャンマーの風景と『Two Years In April』の原画」と書いたけど、よく見るとあれミャンマーだけじゃないね。大阪の風景も一枚混じってたよ。オーストラリアの風景も沢山あったみたいだし。訂正。

金曜日に東京の自転車屋さんで見つけたという、『Two Years In April』の鐘と同じ音がするベル、初日はやたら失敗していた(笑)キムだったけど、この日は結構上手く鳴らしていたね。各曲のエンディングでアンソニーのピアノに合わせて鳴らすタイミングだけはどうにも合っていなかったけど。

そうそう、初日の記事に「The Opportunity Fair」でタマスのギターが上手くなったことを書いたけど、その曲でフィンガーピッキングをしているのはキムだったね。タマスは以前と同様コード・ストロークで弾いていた。訂正その2。それでも、以前よりも相当上手に聴こえたのは、彼が上手くなったからか、それとも使っているギターが800円のミャンマー製でなくマーティンになったからなのか。

初日の記事に書き忘れたけど、「True Believers」を書いたのは前回来日したときの東京のホテルの部屋だったそうだ。ミャンマーに帰ってから歌詞を書き終えて完成したらしいけどね。そういうのを聞くと、お気に入りのあの曲が一層身近に思えるね。

「England Had a Queen」の間奏で、アンソニーのピアノの音が少し外れたので「あれ?」と思ったんだけど、そのときはうまく取りつくろって、まるでそういうアドリブだったかのように続けたもんだからてっきりそういうアレンジなのかと思いきや、タマスもキムも今にも噴き出しそうな顔。終了後、キムが「笑いながらタマスの歌にコーラスを入れるのは難しいよ」って。アンソニーは真っ赤な顔で「ふうっ!」って深呼吸。おかしかった。

続く「Vendredi」の曲前の練習で、タマスがわざとカポをつける場所を変えて、アンソニーのピアノがまた間違えているように聴こえるジョークでからかう。「ごめんごめん、今のは僕だ(笑)」と言ってカポをつけ直して歌い始めたはいいが、最初のヴァースを歌ったところで急に噴き出して中断。おいおい、自分のジョークに自分で受けててどうすんの(笑)。この日のリラックスモードが最高潮に達した瞬間だったね。

キビダンゴの話をしたのはどの曲のときだっけ。前日の京都公演にはるばる岡山から駆け付けた人がいて、その人にもらった土産のキビダンゴをタクシーの中に置き忘れてしまったエピソード。最後に「キビダンゴ、ドコデスカ?」と日本語で言ったのが面白かった。

この日のアンソニーのピアノソロは2曲。タマスとアンソニーが昔近所に住んでいて、古い本を持ち寄って読んでいたという通りにちなんで名づけられた「Melon Street Book Club」と、それにメドレーのように続けて演奏された「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」。タマスはどういうわけか後者のタイトルを「A Dark Horse Will Either Finish First Or Last」と紹介していたような気がしたけど。タマスが曲紹介をしているときにアンソニーが後ろで「Melon Street」をポロンポロンと静かに練習していたのが気になったらしく、「話してるんだからそれやめてくれないか」みたいな顔でアンソニーをじっと見て、「ああ、ごめんごめん」みたいなやりとりもおかしかったな。

クライマックスの「Valder Fields」〜「Nepean News」を経て、本編ラストは初日とは違って「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。初日終演後にキム達と話していた通り、この日は観客に「Friday」のコーラスをまず練習させてスタート。「京都ではもっと上手だったよ」とか言ってたけど、sinさんによると京都では観客にコーラスはさせなかったそうだ。お茶目なうそつきタマス。

3人編成になってからここまで、「Friday」を除くと初日とまったく同じセットリスト。約束した「Fire Ballons」とか演ってくれないのかと思い、アンコールで出てきたときにその曲名を叫ぼうかと思っていたら、タマスが爪弾き始めた音はまさにその曲のイントロだった。CDで聴いてもいい曲だとは思っていたけど、こうして目の前で演奏されると、自分の目が潤んでくるのがわかる。かつて『Thirty People Away』発売前に音源を聴いたsinさんが“「Valder Fields」超え”と評しておられたのを読んで「それはないだろう」と思っていたけど、いや、僕が間違っていたよ。

もうこれで十分。他にリクエストした「The Northern Lights」とか演ってくれてないけど、これがラストで全然構わないという気持ちでいたところに、エンディングの「For The Aperture」。最近だいたいラストはこれか「Friday」だね。初来日のときみたいに「Nowhere Man」でしっとり終えるよりも、アップテンポな曲で華やかに終えるのが好きなのかな。いや、もちろん悪くはないけどね。

最後の挨拶で「来てくれてありがとう。今回も本当に楽しかった。キビダンゴが見つからないのが残念だけど」と言って笑わせようとしたら、アンソニーが「それ僕が食べたよ」だって。ほんとにこの二人の掛け合い、おかしいね。

Sonorium Setlist.JPG setlist_0002.jpg

ところで、左のタマスのセットリスト、右のキムのセットリストを見ると、実はアンコールには「Grace And Seraphim」と「Broken By The Rise」が予定されていたようだ。キムのせいで(笑)それらはカットされてしまったんだろうけど、まあいいや、「Fire Balloons」聴けたし。実物をもらってきたキムのリストには、それぞれの曲のカポの位置が書いてある。「これ参考にしてギター練習しようかな」と言ったら、「タマスの曲はだいたいGかCのコードだけだから簡単だよ」とキム。


終演後、また3人とゆっくり話す時間に恵まれた。冷え込む屋外で待っていたのは大変だったけど(生脚むき出しの友達もいたけど・笑)、濃密な日曜日パート2の始まりだ。えーと、何の話をしたかな。

「ジョハンナのことを歌ってるの?」と聞いてみた「Your Hands Into Mine」、答えは「ノー」だった。この日、歌い始める前に「This song is about grace」と確か言ってたね。うまく言えないけど、誰か特定の人を念頭に置いて書いたんじゃなく、もっと大きな愛情についてということなのかな。

レビュー記事に「この曲の背景を教えてくれるだろうか」と書いたけど、結局演奏しなかった「Her Eyes Were Only Scars」の歌詞の意味。あれは、彼の友達のミャンマー人の修道僧の実話だそうだ。その僧の母親も尼僧で、彼女が一人で家にいた時にうっかり熱湯を顔にかぶってしまったとのこと。盲目になってしまったその母親を15年間も面倒を見続けたその僧についての歌なんだって。ローブとかサンダルとかって、そういうのを示唆してたんだね。相変わらず、複線だけを提示して結末は教えてくれない不親切な歌詞(笑)。ちなみに、デニース・ロックヘッドの物語は全てフィクションなんだって。

「いつも歌詞を熱心に聞いてくれてありがとう」とタマスにお礼を言われたのが嬉しかった。「ブログに自分の歌詞の解説を載せてみれば?」と提案してみたらまんざらでもなさそうだったので、そのうち本人による『Thirty People Away』ライナーノーツが載るかもね。

次のyascdのネタにとこっそり考えていたタイトルが、タマス(キムだったかな)の口から出てきたのには驚いた。“メルボルン・コネクション”の話題になって、メルボルンの音楽シーンがどんなに充実しているかという話に進んだ。僕がそのミックスに入れようと考えていたラックスミス(The Lucksmith)とかスタインベックス(The Steinbecks)とかの名前を出すと、「なんでメルボルンのこと、そんなに詳しいの?」とタマス。もちろんそれは、あなたの音楽に影響されたからだよ。

前日に行ったヨンシーのライヴの話をして散々羨ましがらせてもあげた(笑)。ヨンシーのファン度は、キム<アンソニー<タマスの順のようで、特にタマスは「バンドは何人編成だった?」とか「シガーロスの曲は演ったの?」とか「シガーロスの最新アルバムとヨンシーのソロはどっちがいい?」とか「今回ツアーしているのはヨンシー名義?それともバンドとしての名前が付いてるの?」とか「ヨンシーは自分ではどの楽器を演奏するの?」とか、もう延々と質問攻め(笑)。僕のウォークマンで「Go Do」を聴かせてあげたら熱心に聴き入って、隣にいたアンソニーにも「ちょっとこれ聴いてみな。いいよ」とか勧めてたな。


sinさんのツィッターブログで来日後記とかささいなエピソードを読んで幸せの腫瘍に栄養補給。そこからたどって見つけた、会場で写真を撮っておられた三田村さんのブログ。いい写真が沢山。

昔からの友達、初日に知り合った方、この日の終演後に一緒になった方、たくさんの方々とsinさん暢平さん、そしてタマスご一行と一緒にニコニコ笑いながら至福の時間を過ごし、名残惜しく別れてきた。日曜の夜中に相当夜更かししたせいで、ただでさえ忙しいこの一週間は体力的には地獄の苦しみだったけれど、あのとき僕の後頭部に埋め込まれた幸せの種子が大きくなって心地よい腫瘍に育っているから、僕は大丈夫。まだまだ忙しい日は続くけれど、これが頭の中に居残っている間は全然問題なくやっていけるよ。

sonorium_0001.jpg


Setlist 05 Dec 2010 @ sonorium

1. Stitch In Time
2. From Prying Plans Into The Fire
3. Signs I Can't Read
4. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
5. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
6. When We Do Fail Abigail
7. The Opportunity Fair
8. Reduced To Clear
9. Open The Blinds
10. Lichen And Bees
11. True Believers
12. Your Hands Into Mine
13. England Had A Queen
14. Vendredi
15. The Crime At Edmond Lake
16. Melon Street Book Club
17. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
18. Valder Fields
19. Writers From Nepean News
20. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire

[Encore]
1. Fire Balloons
2. For The Aperture

<12月21日追記>

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2010年12月05日

Jonsi live in Tokyo

JonsiCoast.JPG

どう表現すればいいのかわからない。とにかく、とてつもなく凄いライヴだった。本編最終曲「Around Us」が途切れた瞬間の、背中を電流が駆け抜けたようなあの衝撃。そのままアンコールになだれ込み、極彩色の被りものを頭に付けたヨンシーが一心不乱に踊る「Sticks And Stones」での祝祭感。わずか1時間半の間、荘厳さから高揚感までのダイナミックレンジがあれほどまでに広かったライヴは初めて経験したかもしれない。

2年前に同じ会場でシガー・ロスを観たときは喉を傷めて苦しそうにしていたヨンシーだったが、今回は絶好調。CDで聴くよりも一段と伸びやかなあのファルセットを、あんなボリュームで、あんなに息継ぎもせず歌う様は、もはや人間とは思えない。声だけでなくパフォーマンス全てがそう。たとえば、大友克洋の『AKIRA』で鉄雄やアキラが超能力で月を破壊したり核爆弾級の爆発を起こさせたりといったシーンがあるけど、ああいうものを実際に目前で見せられているような気分だった。


ちょっと冷静に、いつものように日記風に書きだしてみよう。昨日の記事に書いたように、タマス・ウェルズ公演の初日と最終日に挟まれる形になったこのライヴ、僕の家からは果てしなく遠い新木場という場所のことも考えると、かなり醒めた気持ちで挑んだのは事実。整理番号はまたどうしようもなく大きな番号だったし、以前書いたフォール・アウト・ボーイのライヴ記事で文句たらたらだったのと同じく、ドリンクチケット代の500円は単なるお賽銭みたいなもんだったし、あの広い会場があっという間にソールドアウトになったぐらいの超満員のせいで、臨場感という言葉とは程遠い場所から眺めるように観ていたから(幸運なことに、視界を遮る人がいなかったので、常にステージ全体を見渡せていたんだけど)、ほとんど真っ暗なままのステージにヨンシーともう一人のメンバーが現れて、「Stars In Still Water」の弾き語りを始めるまでは、それほどわくわくしていたわけでもなかった。せっかくのヨンシーなのに。

そう、ステージは終始暗かった。前日のスコットホールでのタマス・ウェルズ公演にも負けず劣らず。さすがにこの規模の会場で間接照明というわけではなく、ライティングにはすごく凝っていたんだけど、僕が観ていた遠い場所のせいもあって、ステージ上で誰がどこにいるのかよくわからないような状態にも度々なっていた。そうだな、イメージ的には、アミーナのファーストアルバムのジャケみたいな、薄暗い狭い部屋で数人がコツコツと作業しているといった雰囲気かな。結構広いステージなんだけど、所狭しといろんな楽器が置いてあったこともあるし。

JonsiWall.JPG

開演前からステージの背景にはこんな鬱蒼とした森林のイメージが投影されていた。ステージ前方の左右には大きなスクリーンも配置され、それら全てを使って、演奏中に様々な映像が繰り出される。主にこの森林のイメージを起点に、いろんな動物や昆虫の実写やアニメーション、炎や雲、雨などのイメージと、演奏するメンバーのイメージが次から次へと映し出される。シガー・ロスのライヴのときもこういう映像が実に効果的に使われていたけど、今回のも圧巻だった。ステージがよく観えないこともあって、僕はこの映像ばかりをずっと観ていたような気がする。あのせかせかしたリズムの「Animal Arithmetic」のときのバックが、蟻がわーっと出てくる映像だったのが妙に合っていて面白かったな。

もちろん、冒頭に書いたように、例え暗くて小さくてよく見えなくても、ヨンシーの存在感は凄いものだった。『Go』のジャケと同じ服装で、主にアクースティックギター、時にはキーボードやパーカッションを自ら演奏。先述の「Sticks And Stones」やあと何曲かはハンドマイクで歩き回り、踊りながら唄う。あの人間離れした声で。

Go.jpg
ヨンシー 『Go』

ヨンシー以外のメンバーは4人。主にギターを弾いているのが、ボーイフレンドのアレックスだろう(みんな楽器をころころ変えるので、誰がどこにいるのかよくわからなくなる。顔見えないし)。スキンヘッドのドラマーは、シガー・ロスのオリーっぽい黒い王冠みたいなのを被っているね。オリーほどとてつもない感じじゃないけど、この人も凄いドラム叩くね。いや、この人だけでなく、みんな演奏上手。サンプリングっぽい音も含めて、誰がどの音を出しているのかいまいちよくわからなくもあるんだけど、一糸乱れぬ見事な演奏。もうこのツアーも終盤だしね、手慣れたものだ。

終始無言だったヨンシーが、一回だけ、「Go Do」の曲紹介のときに喋ったんだけど、あれ何語だった?あまり英語の発音の綺麗な人じゃないけど、とても英語には聞こえなかったぞ。どうせわからないからと、アイスランド語で紹介してたのかな(笑)。でも、その曲が終わったときには、「アリガトウゴザイマス」ときちんとした日本語で挨拶したのにはちょっと驚いた。あ、この人って人間だったんだ、みたいな(笑)

最後のアンコール「Grow Till Tall」を感動的に終え、一旦ステージ脇に下がったメンバーが、アンコールの拍手に応えて再登場し、ステージに横一列に並んで肩を組んで深々と挨拶をして終了したのも、シガー・ロスのときと同じ。このときだけは、ステージに煌々と明かりが点いた。なんだ、明るくしようと思えばできるんじゃないか(笑)。あれ?このフィナーレの感じ、どこかで観たことある。あ、そうか、前に何度か記事にしたシルク・ドゥ・ソレイユを観た時に、それまで超人的な演技を見せていたメンバーが最後の挨拶のときには人間に戻ったように思えたのと同じだ。それぐらい、この日の演奏中のヨンシーとバンドは、超人間的な存在に見えた。


来たときとは正反対の高揚した気分で新木場までの道のりを歩き、家に辿り着いたら、タイミングのいいことに、オーダーしていたこれが届いていた。

Go Live.jpg
ヨンシー 『Go Live』

日本では来日記念の限定生産盤として発売されたばかりの、ライヴCD+DVD。僕の記憶している限りでは、今回のライヴはこのCDと全く同じセットリストだった(CDは主に5月のブリュッセル公演での録音)。まあ、あれだけ完成されたセットだから、そう簡単に曲順変えたりできないだろうし。「Go Do」の手前でだけ喋るところも一緒。あれ?でもこのCDではちゃんと英語で話してるぞ。

あの、最後に背中に電流が走るような感じは、さすがに目の前で観ないとわからないだろうけど(観てない人、本当に残念でした)、それでもこのライヴCDはあの素晴らしいライヴを十分に再現しているよ。今ちょうどその箇所がかかったのを聴いて、背中と両腕に鳥肌が立った。詳しい解説と歌詞対訳がついた日本盤は初回盤だけらしいので、ちょっとでも興味のある人は是非どうぞ。『Go』には未収録の新曲が(DVDだけに収録のものも含めて)5曲も入ってるし。またその新曲がどれもやたらといいし。

ただ、リンクしたアマゾンのカスタマーレビューにもあるけど、このDVD、どういうわけか音飛びがある。うちにはBDプレイヤーとDVDプレイヤーが一台ずつあって、それぞれで音飛びの箇所と度合いが違うというなんだかよくわからない不良具合だけど、幸いどちらも(一回観た限りでは)実際の演奏が始まってからは音飛びがないのでまあそれなりに観られる。これ、交換してくれないのかな。

DVDの内容も、いつも見事な映像作品をリリースしているヨンシーらしく、かなり充実。残念ながらCDのようにライヴの様子を全て網羅したものではないし、途中にインタビューなどを挟んでいるから、今回観たライヴのように最初から最後まで没頭して観るにはちょっと流れが途切れてしまうんだけど。でもまあ、繰り返しの視聴に耐える、いい音楽DVDであることには違いない。


さて、今晩はいよいよタマスの最終公演。今時点での気持ちはもうそっちに移ってしまっているから、ヨンシーのことは自分の中ではひとまず横に置いておくことになるんだけど、この素晴らしいライヴ盤、長い目で見ると、僕の中で相当重要な位置を占めることになると思う。あと、どういうわけかうちに沢山あるいろんなヴァージョンの『Go』。それぞれに付いているDVDは実は時間がなくてまだ観れていないから、タマス熱が一段落した頃に早いとこまとめて観よう。

Go+Go.JPG
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2010年12月04日

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 1

Scott Hall.JPG

ついに、タマス/ヨンシー/タマス3連日の始まり。初日は早稲田奉仕園スコットホールという、早稲田大学の構内にある洋館。赤レンガ造りで教会っぽいと思っていたら、教会なんだね。ビデオ上映のための大きなスクリーンがステージに掲げてあったから、終了後に機材を撤収するまで後ろの十字架やパイプオルガンが見えなかった。教会でのタマスは08年の青山以来。あのときの素晴らしい印象が蘇るよ。

ステージ上にはちょっとした和風の飾りとクリスマスっぽい電飾。急須と湯呑が3つ置いてあったから、あれメンバーが曲間に飲むのかと思った。その手前に、実際にメンバーが立つステージ(というにはあまりにも低い、高さ15センチほどの台)がある。ヴォーカルマイクとギターマイクが2本ずつ。もちろん、タマス・ウェルズとキム・ビールズ用だ。右手にはベヒシュタインのグランドピアノ。これはもちろん会場備え付けだろう。すごくいい音だったね。

Bechstein.jpg
(写真は奉仕園のサイトから勝手に拝借しました)

予告されていたとおり、ライヴ開始前に、15分間のタマスのドキュメンタリー・フィルム『The Houses There Wear Verandahs Out Of Shiness』を上映。味わい深い、素敵な短編だった。「Fire Balloons」の別テイク(録音途中で例によって窓の外から雑音が入って中断するのも含めて)をあんなに沢山聴けるなんて。最後のテイク、演奏途中で大雨が降りだしても演奏を止めず(もちろん室内)、その雨音をも含んで「これ、いいよね。取っとこうよ」と笑顔で話すタマスがすごく印象的だった。あのビデオ、欲しいな。もうすぐウェブで公開されるらしいけど、タマスが部屋で演奏するタイトルシーンをジャケットに使ったDVD(BDでも可)で持っていたい。Liricoさん、よろしく。

続いて、オープニング・アクトとして、キム・ビールズ(Kim Beales)が一人で登場。僕は彼の音楽はこれまでマイスペースにアップされていたものを数曲流して聴いたことがあるだけで、失礼ながらそれほど印象に残っていなかったんだけど、今回は違ったね。声が綺麗なのはシンガポール公演でタマスの曲にコーラスを被せるのを聴いていたから承知していたけど、こんなにいい曲を書くなんてね。見なおしたよ。会場で売っていた06年のアルバムは入場したときにさっさと買っておいたんだけど、後でキムに聞いたら、今日演った曲はほとんどが来年3月に出る予定の新作からなんだって。新作楽しみ。今回買ったのももちろん楽しみだけど。

全5曲、20分ほどのキムのセットの後、10分ほどの休憩をはさんで、いよいよタマス・ウェルズ。まずは二人で登場し、ステージに向かって左側にキム、右側(ピアノ横)にタマスが立つ。オープニングは、08年の来日時にリクエストしたけど演奏してくれなかった「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。Liricoのsinさんが“個人的にノーマークだった曲”と書いておられたのはこれか。後でタマス達に聞いてみたら、「あれ前回リクエストしてくれたよね。ちゃんと練習したんだよ」だって。なんと、そんなことを覚えていてくれたなんて(しかも僕がこの日に聴きに来ることを知っていたなんて・笑)。そして後半には、やはりあの時リクエストしたけど演奏しなかった「Writers From Nepean News」も。ちょっと感激。

3曲目「The Opportunity Fair」からアンソニー・フランシス(Anthony Francis)がバンジョーで参加。それにしても、初来日のときには単にジャカジャカとギターをかき鳴らしていただけだったのを思い出すと、アンソニーとキムがサポートしていることを差し引いても、タマス演奏上手くなったよなあ。ちゃんとフィンガーピッキングしてるし。

「僕とアンソニーが育ったのはメルボルンでも犯罪率の高い地域で」と話し始めたから、てっきりシンガポールのときと同じく「Stitch In Time」かと思いきや、「Reduced To Clear」に話を持っていった。あの曲、例によっていまいち歌詞を読んでも意味が掴みづらかったんだけど、その地域では空き巣が頻発していて、街の中古品店で盗品が売られていることが多いんだって。そういう背景を聞いて歌詞を読むと、最初から最後まで筋が通る。「自分の持ち物がそんなに安い値段で売られているのなんて認めたくないね」とか言ってたね。あと、「犯罪率が高いのは僕のせいじゃない」とも(笑)

全体的には4枚のアルバムから幅広く選曲されたセット。7曲目に「今回のツアーは新作のプロモーションで、“Thirty People Away"というのはミャンマーで起きた爆破事件のことを友達に聞いたのがきっかけ」と説明しながら、そのタイトル曲ではなく「True Believers」を演奏。新作中でも僕の好きな曲のひとつなので、これは嬉しい。続けて、アルバムと同じ流れで「Your Hands Into Mine」。更に、「England Had A Queen」。しばらく後に、「これは新作からのシングルカット」と言って「The Crime At Edmond Lake」。前回の記事でべた褒めしてるけど、こうして昔の曲と交互に聴いても、この新作に入っている曲のクオリティやっぱり高いね。

それにしても、場内の照明がかなり暗め。教会の高い天井から間接照明で照らしているだけだから、ちょっと下を向くとメンバーの表情もよく見えないぐらい。メンバーの後ろ、本来のステージ上にあるクリスマスの電飾だけがやたら煌々と見えるよ。まあ、こういうのも雰囲気あっていいけどね。あと、後ろのスクリーンにずっとスライドショーで映されていたのは、シンガポールでも流れていた、(おそらく)ミャンマーの風景と『Two Years In April』の原画。

「Edmond Lake」の後、タマスとキムが一旦退場して、アンソニーのピアノソロ「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」。紹介するときにタマスが「これはアンソニーが作曲した」と言ってたよ。後でアンソニーに「CDの作曲クレジットは全部タマス・ウェルズになってるよ」と言ったら、「あれはバンドとしてのタマス・ウェルズということだから」とか、タマスも冗談で「印税あげないよ」とか言ってた。仲良しだから別にいいのか、そういうこと気にしないのか。

二人が戻ってきて、いきなり歌いだしたのが「Valder Fields」。彼もこれが一番の名曲だとわかっているだろうに、いつもライヴではこういう何気ない箇所に配置するんだよね。キムのハーモニーとアンソニーのピアノが格別。

この曲のときもそうだったけど、タマスって、隣でキムの準備が整っていようがいまいがお構いなしで歌い始めることがよくある。キムがまだカポつけたりしてるのにさっさと演奏始めたりね。だからといってキムも別に慌てたりしてるわけじゃないから、いつもああなんだろうね。逆に、イントロでキムのギターが鳴ってなかったのが、(彼の準備が整い次第)徐々に音の層が厚くなるのは聴いてても気持ちいいし。

嬉しかった「Writers From Nepean News」、ラスト定番の(でも手拍子は催促されなかった)「For The Aperture」で本編終了。ちょっと早いな。でもすぐアンコールで出てくるだろう。

アンコールはまずタマスが一人で登場し、そのままグランドピアノへ。おお、今回ピアノの弾き語りを演るとは聞いていたけど、いよいよか。と思ったら、曲は新作から「An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow」。なんだ、歌わないのか。でもタマスも結構ピアノ上手いね。

ピアノ・インストと言えば、これも終演後にアンソニーに聞いたんだけど、さっきの「A Dark Horse」だけじゃなく、セカンドまでに収録されているピアノのインストゥルメンタル曲は全部アンソニーが作曲したんだって。そして、新作の2曲はタマスの作ということらしい。

メンバー二人が合流して、「From Prying Plans Into The Fire」、そしてこれも近頃の終盤の定番「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」で終了。また出てくるだろうとアンコールの拍手をしていたら、そこで客電が点いた。えー、短いよ。「Fire Balloons」演らないの?「The Northern Lights」は?「Nowhere Man」は?

9時には終わらないといけなかったからしょうがなかったんだけど、そういう文句を終演後タマスに言ったら、「わかった、それは日曜日に演るよ」とのこと。「じゃあ、あとアイアン&ワインと、ランバート&ナティカムと」と更にリクエストしてみたけど「いや、それは無理(笑)」とのこと。歌詞書いて持って行ってあげようかな(笑)

あと、キムと話してたときに「キッチンの曲のときに“Friday”のコーラスさせなかったね」と言うと、「今日何曜だっけ?ああっ、金曜日だ。しまった!おーい、タマスー、今日金曜日なのにあれやらなかったー」とか慌ててるし(笑)。「しょうがないからコーラスを“Sunday”に変えて明後日やろうか」とか。おかしい奴。キムは、「シンガポールで話したときからこれをお土産にしようと思って持ってきたんだ」と、会場では売っていなかった自分のシングル盤と、世の中に残り8枚しかないという01年の最初のEPをプレゼントしてくれた。今日の感激その2。

会場で買ったキムのCDも含めて、沢山サインをしてもらったんだけど、持って行ったペンが水性で、コーティングされたジャケの上では乾かないから消えたり汚くなったりしてしまった。今日の失敗その1。『Thirty People Away』用には慌てて友達に油性ペンを借りてサインしてもらったけどね。

というわけで、初日終了。会場の雰囲気も音響もさすがLiricoセレクションのことはあったし、3人のアンサンブルも随分こなれてきて上手だったし(中国ツアーはリハーサルだと思おうと書いたsinさんに賛成)、時間が短かったということさえ除けば、ショートフィルムも前座も含めて、素晴らしいライヴだった。翌日のせっかくのヨンシーに行く気持ちもちょっと萎えてしまうぐらい(もともとあの地の果てみたいな会場に行くのは相当億劫なんだよ)。

ライヴ後、飲み会の帰り、どうやら山手線で問題があったらしく、JRの駅はどこも大混乱。大崎さん曰く、タマスとヨンシーのガチンコ勝負の結果らしい。まあ、そういうことにしておこう(笑)


Tamas Setlist0312.JPG Kim Setlist0312.JPG
タマスとキムのセットリスト。


Setlist 03 Dec 2010 @ Waseda Hoshien Scott Hall

1. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
2. When We Do Fail Abigail
3. The Opportunity Fair
4. Reduced To Clear
5. Open The Blinds
6. Lichen And Bees
7. True Believers
8. Your Hands Into Mine
9. England Had A Queen
10. Vendredi
11. The Crime At Edmond Lake
12. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
13. Valder Fields
14. Writers From Nepean News
15. For The Aperture

[Encore]
1. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
2. From Prying Plans Into The Fire
3. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
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2010年10月13日

Kasim Sulton live in Tokyo

Kasim Sulton Solo.jpg

<前回までのあらすじ>
3連休の最終日、予想外に満喫したトッド・ラングレンのライヴ会場で知った、翌日のカシム・サルトン、ソロ公演。今回僕がある意味トッドより観てみたかった彼の、おそらく日本で最初のアクースティック・ライヴ。この機会を逃すと、もしかしたらもう一生観られないかもしれない。果たして僕は連休明けのオフィスを6時に抜け出すことはできるのか。手に汗握る展開!


というわけで、ここは銀座。誰も手に汗なんて握ってなかったと思うけど。朝一で「今日は6時に消えるので用のある人はそれまでに」とのメールで関係者を牽制。5時を過ぎたあたりで誰とも口をきくのを止めて防災体制。6時きっかりに予言通りオフィスから消え、電車を乗り継いでここに来た。銀座5丁目の交差点をちょっと裏通りに入ったところにある老舗のライヴハウス、タクト。僕は名前を聞くのも入場するのも初めてなんだけど、なんと1958年創業とのこと。すごいね。

会場に着いたあたりでちょうど地下のお店に人がぞろぞろ入っていくところが見えた。ちょうど開場したばかりか。階段を下り、入口で当日券を買う。手書きの番号は25番。なるほど、テーブル席の前の方は半分方埋まっているよ。皆ちゃんと予約して来たのかな。熱心だね。しかも、意外なことに(?)女性客が多いのにはびっくり。

7時の開演時間までには、ほぼ全部の席がゆったり気味に埋まるぐらい(おそらく50人ぐらい?)の入りとなった。ろくに宣伝もしていなかった(僕が知らなかっただけかもしれないけど)こんなマイナー(失礼)なアーティストの弾き語りライヴにこれだけ人が入るんだもんね。たいしたもんだ。

昨日同様に開演時間を10分弱押した頃、ギターヘッドのところにカポとチューナーをくっつけたギブソンのアコギを片手に、カシム登場。さすがにこの至近距離で見るとピーコには全然似ていない。とはいえ、ユートピア時代の彼しか知らない僕から見ると、やっぱり年相応だなあという感じ。最後に彼を見た92年の五反田ゆうぽうとは、とても顔のしわまで見える距離じゃなかったからね。それでも、若い頃は美形だったというのは、今見てもよくわかる。確かにこれは女性ファンが多いのもうなづけるね。

「こんばんは」「ありがとう」という日本語も交えた丁寧な挨拶のあと、ギターをゆっくりつま弾きながら歌い始めたスローバラッドは、なんと「I Just Want To Touch You」。ユートピアが80年に発表したビートルズのパロディ(というにはあまりにもオリジナルすぎる)アルバム『Deface The Music』のオープニング曲。ビートルズよりもビートルズらしいこの曲、てっきりトッドが書いたのかと思ってたけど、言われてみればコード進行とかやっぱりカシム節全開だね。ちょっともう、いきなり声も出ないぐらい感激。

僕はカシムのソロアルバムは、ちょっと前にひょんなことでLPを手に入れた82年のファースト『Kasim』しか持っていないので、ソロ曲はほとんどわからない。でも、どれもこれも、カシム・サルトンが書いたとすぐにわかる、奇妙かつ気持ちのいいコード進行の曲ばかり。

Kasim.jpg
カシム・サルトン 『Kasim』 (当然廃盤)

そんなにわかファンの気持ちを察したのか、「次の曲は、みんなにコーラスを手伝ってほしいんだ」と、「Libertine」の一節を歌う。ところが、僕も含めてみんな声が小さい(笑)。だって、あんな高い声出ないよ。それにしても、この人全然声が変わらないね。相変わらずちょっと甘めのいい声。これ82年の『Utopia』の1曲目だよ。もう30年近く前になるのか。あれLPしか持ってないから最近はなかなか聴くことないけど、地味ながらいい曲の多いアルバムなんだよね。忘れないようにレコードラックからここに持ってきたから、この週末にでもゆっくり聴こう。

またソロ曲を挟み、数年前にトッドと一緒に参加したバンドの話を。もちろん、トッドのファンにもカーズのファンにも賛否両論だった、ニュー・カーズ(The New Cars)だ。「こんなにいい曲を歌わせてもらえて感謝している」と言いながら歌い始めたのはもちろん、ニュー・カーズで故ベンジャミン・オーに代わって歌ったカーズの大ヒット曲、「Drive」。

キーボードに移り、「ユートピアのファンはいる?」と質問。逆に、ユートピアのファンじゃなかった人はここにいるのか?とも思ったよ。曲は、もう一枚80年に出た(こっちの方が先だったけど)アルバム『Adventures In Utopia』から、「Love Alone」。そういえば、この時期、ユートピアとトッドのソロとで(あと、カシムのソロも)物凄い数のアルバムを出してたよね。しかも、問題作はあれど失敗作なんて一つもなかった。一体、80年から82年までに何枚関連アルバム出てたんだっけ。

続けて、ユートピアに20歳で参加して(76年だっけ?)最初に書いた曲、「ベアズヴィル・レコードのアルバート・グロスマンに却下されたんだよ」と説明しながら歌い始めたのは、同じアルバムからの「Set Me Free」。なんでこんないい曲を却下できるんだ? 4年間もお蔵入りしてたのか。

ビートルズのコピーバンドでポール・マカートニー役を頼まれたけど、真似をするのは嫌だからと断ったエピソードに続けて、「でもこの曲は大好きなんだ」と、「The Long And Winding Road」、そして更に「Lady Madonna」。あまりにもベタだけど、これも、日本のファンが知ってる曲を演奏してあげようという気持ちからかな。と、そんな風になんでもポジティブに取ってしまうほど、あらゆる局面でこれ以上ないほど感謝の気持ちを述べまくっていた彼。日本なんかで今でもこんなにファンが集まってくれるというのがよほど嬉しかったんだろうね。なんか、いい人オーラ出まくりだったよ。

ギターに戻り、トッドとの出会いを語る。20歳の自分をユートピアに入れてくれてとても感謝しているということ(実際にはトッドは嫌がったけど、ロジャーとウィリーが薦めてくれたんだとか。あれは冗談なのかな)。それ以来、自分のライヴでは必ず1曲は感謝の気持ちを込めてトッドの曲を歌っているということ。この日歌ったのは、「Cliche」。まだベーシストがジョン・シーグラーだった頃のユートピアが実質バックを務めたトッドの76年のソロアルバム『Faithful』から。

前日のトッドの会場でも情報の載ったカードが配られていたけど、カシムはニューアルバムを製作中で、先着1000名の写真がモザイク状に使われてカシムの顔になるというジャケットになるらしい。参加料金とCDの送料を足すと70ドルになるけど、高くて悪いね、いや、今円高だから高くないよね、とかいろいろ言いながら宣伝してたのがかわいいね。「抽選で誰かの家まで出張して生演奏もするし」と。でも、カードの日本語訳を見ると、「日本の方が当選された場合は(交通費と宿泊費は)別途ご相談」とか書いてあるぞ。下手に抽選に当たると、70ドルどころじゃない出費かも(笑)

またしてもビートルズのカバーを2曲続けて。「I'm Looking Through You」と「Across The Universe」。さっきほどベタな選曲ではないけど、こんなにビートルズ演るんなら、どうせなら『Deface The Music』からの曲をもっと演ってほしかったな。あのアルバム、作曲クレジットは全部ユートピアになってるけど、他はどれがカシムの曲なんだろうな。「That's Not Right」とか「Life Goes On」とか?

ラストは、82年の『Swing To The Right』から「One World」。え?これもカシムの曲なの?てっきりトッドの代表曲だと思ってたのに。いくつか聴いたトッドのライヴ録音ではそれぞれご当地の地名に置き換えて歌っている“From Berlin to San Francisco, From New York to Tokyo”の歌詞は当然そのままで。

アンコールに応えて1曲。この前後でもまた何度も何度も感謝の言葉を述べるカシム。「もしまた日本に来れたらライヴに来てくれる?」って、本当に今日は嬉しかったんだね。最後に主催者が挨拶して、もう一回楽屋からカシムを引っ張り出して挨拶させる。「パーティーで会おう」と言い残して去るカシム。あ、そうか、今日はこのままこの場所でパーティーがあるんだね。いいな。きっと予約してまで来た女の人たち(カシムに“Kasim Girls”って呼ばれてたね)とか参加するんだろうね。

僕は、会場で500円で売っていた、カシムのソロアルバム3枚のうち1枚をダウンロードできるコードのついたクーポンを購入して、おとなしく帰ることにした。帰って、トッドのライヴ記事を仕上げて、さて3枚のうちどれにしようと思ってサイトを覗くが、当然のごとく決められない。しまった、あと1000円ぐらいけちらないでクーポン3枚買っとけばよかった。というか、CD-Rに焼いてジャケットつけて売ってくれていれば、たとえ1枚1500円でも僕はその場で3枚とも買ったのにな。いくら嫌いでも、もうそろそろこういうダウンロード・オンリーみたいなのに慣れないといけないのかな、と未使用のコードの載ったクーポンを眺めながら思う今日この頃(というか、今日)。
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2010年10月12日

Todd Rundgren live in Tokyo

Todd Rundgren's Johnson.jpg

正直言うと、自分でお金を出してチケットを買ったコンサートでは、ここ数年で一番乗り気じゃなかった。トッド・ラングレンのことは、もう20年以上も前からずっと大好きだったから、今まで僕が日本にいる限りは全ての来日公演に足を運んでいたぐらいだったけど、今回のは、ロバート・ジョンソンの曲だけを演奏するという企画と聞いたから。なんなんだ、それは。この人ってそんなにどっぷりブルーズに浸かっていたっけ。どちらかというと出自はもっとソウル〜R&B系の人だったはずだよね。エリック・クラプトンと間違えて観に来る人がいるとでも思ったのか。

そんな心境だったので、そこそこの整理番号のチケットを持っていたにも関わらず、会場に着いたのは開場時刻をちょっとまわった後。僕が入り口に着いたときにはもう僕のチケットよりもうんと大きな番号を呼んでいた。入場しても、前の方に陣取るわけでなく、さりとて椅子席ももう空いていない。なんだか中途半端な場所で開演までの1時間をぼーっと過ごす。腹減ったな。朝起きてパスタ食ったきりだよ。いつも仲良くしてくれる友達が何人か来ていたので、終わったら一緒に何食べようかな、とかそんなことばかり考えながら。

開演時間を10分ほど過ぎて、メンバーが姿を現す。トッドは一時写真で見かけていたほどは太っていないけど、黒のタンクトップが似合うとはお世辞にもいえない中年体型。ナチュラルのテレキャスターを持っている。珍しいな。どうせなら上に載せたチラシの写真もテレキャスを弾いてるとこにすればよかったのにね。

ステージ左にはレスポールを抱えたジェシ・グレス(Jesse Gress)。あまりよく知らない人だけど、ずっとトッドと一緒に演ってるんだね。ステージ奥にはドラムスのプレイリー・プリンス(Prairie Prince)。終わってから友達に聞いたんだけど、この人チューブスのドラマーなんだって。全員、黒の上下にサングラス。プレイリー君は白縁サングラスだったけど。

そして、ステージ右側には、今日の僕のお目当て気分の半分ぐらいを占めていた、カシム・サルトン(Kasim Sulton)。トッドと並ぶと、背低いな。カシムを観るのは、僕が最後にトッドを観たユートピア(Utopia)のライヴ以来のはずだから、92年のことかな。あの、ライヴCD/DVDになった公演。それにしても、茶色いサングラスをかけたカシム、遠目にはピーコに似てるぞ。

ロバート・ジョンソンのCDは、2枚持っている。あの一番有名なジャケのやつじゃないけど、まあ、入っている曲はほぼそっちと同じだし、そもそもどの曲を聴いても区別つかないからね。普段めったに聴くCDじゃないけど、今回のチケットを押さえたときに予習しようと思って聴いて、今朝また予習のためにもう一回ずつ聴いてみたけど、やっぱり全然曲覚えられない。インストゥルメンタルでもないのに。全然最後まで集中して聴けない。駄目だ、やっぱり僕、ブルーズって性に合わないのかも。

King Of The Delta Blues Singers.jpg King Of The Delta Blues Singers Vol.2.jpg


そんなわけで、トッドがそういう僕にはよくわからないブルーズ曲を1-2時間演奏するのをぼんやり聴いて帰ろう、もしかしたらアンコールで自分の曲を演るかもしれないし、ぐらいの気分でのんびり構えていたら、演奏が始まった。おそらくロバート・ジョンソンの曲だというのはわかるけど、曲名わからない。

何曲も演らないうちに、自分のそんな姿勢が思いっきり間違っていたことに気付く。これ、めちゃくちゃ格好いいよ。4人それぞれ演奏は完璧と言っていいほど上手だし、トッドは年齢を全く感じさせないほど声が出ているし(あんなに叫びまくるとは)、それに、クアトロってもう十何年ぶりかに来たけど、やっぱりここ音いいね。下手にステージ直前とかに行かなかったのが逆によかったのかな。

何曲進んでも相変わらず曲名は殆どわからないけど、トッドが新曲ばかりを披露しているライヴだと思えば全然違和感ない。元々この人、こういうブルーズがかったハードロック(ヘヴィメタに非ず)も沢山演ってるし。聴いてて連想するのは、オールマン・ブラザーズ・バンドとか、ジョニー・ウィンターとか、ロリー・ギャラガーとか。普段このブログにはあまり書かないけど、そういえば僕はその人たちのCD、何十枚も持ってるじゃないか。こういう音、大好きだったよね。

典型的なブルーズ・マナーに則った曲ばかりだから、全部の曲にギターソロが入る。これがまた、いい。この人、あまりギターテクニックについて語られることはないけど、ギター上手いんだよね。それこそ、上に書いた人たちに匹敵すると言っても過言ではないほどに(異論のある人は多いと思うけど)。

どんなブルーズを演っても、カシムがコーラスにまわると、なんだかどれもユートピアの曲みたいに聴こえるんだよね。なんかおかしい。この人の声、そんなにすごく特徴あるってわけでもないのに、こうして聴いてみると、むしろトッドの声よりもユートピアを象徴しているような気がする。

「ブルーズィーというよりは、ちょっとファンキーなのを演ろう」。そう言って始めたのは、なんだか聴き覚えのあるメロディー。“Don't be sad, now”え?これ「Bleeding」? すごいや。僕が一番最初に聴いたトッドのアルバム『Runt: The Ballad Of Todd Rundgren』収録の、同アルバム内ではそれほどバラッドではない曲だけれど、それをこんなアレンジで聴けるとは。

ギターをお馴染みの赤のギブソンSGに持ち替えて、今度は「Black Maria」。トッドの曲の中では一二を争うブルーズ曲とはいえ、まさかこんなに自分の持ち歌バンバン演るとはね。その後も、「Broke Down And Busted」とか「I Went To The Mirror」とか「Born To Synthesize」とか、とにかく初期の曲、それも普段のライヴでは滅多に演奏しないような曲ばかり(「Born To Synthesize」なんて、タイトルを歌うまで何の曲かさっぱりわからなかったよ)。比較的新しめの曲は、89年の『Nearly Human』からの「Unloved Children」ぐらいか。もっと最近のももしかしたら演ったかもしれないけど、あんまり覚えていないもので。

そんな中でいきなり飛び出してきたあの印象的なリフ。「Open My Eyes」! なんと! トッドのプロデビューを飾る、ナッズ(The Nazz)のファーストアルバム冒頭のあの曲。僕に言わせれば、世界で一番かっこいいギターリフを持つナンバー。年甲斐もなくちょっとぴょんぴょん跳ねながら観てしまったよ。足つりそう。涙出そうになった、ほんとに。いや、足つったからじゃなくて。

「今のは全然ブルーズじゃなかったね」とは、その「Open My Eyes」を終えたときのトッド。「じゃあ次は思いっきりブルーズィーなのを演ろう」と言って始めたのは何だったかな。またロバート・ジョンソンの曲だっけ。とにかくそんな風に、「今度はちょっとジャズ風のブルーズ」とか、一応バラエティをもたせて延々と演奏が続く。本編最後の曲が何だったかもう覚えてないや。

アンコールにすぐ応えて再登場。「みんな、本当はブルーズなんて聴きに来たんじゃないんだろ」とニヤリ。そして、自らの代表曲「I Saw The Light」を。さらに、「Boogies (Hunburger Hell)」。どひゃー、超かっこいい。この手のハード・ロック・トッド、普段の自分のライヴやユートピアではあんまり演奏することないからね。ほんとに、来てよかったよ。あんなに乗り気じゃなかったのが嘘みたい。“今年のベストライヴかも”と思う瞬間も何度もあったからね。

また退場してしばらくじらすから、最後にもう一回アンコールあるかな、「Just One Victory」で来るだろう、と思っていたら、残念ながらそこで客電が点いた。初日だからセーブしたのかな。でも、アンコール入れて2時間は演ったよな。満足、満足。ちょっとこれ、金曜の最終公演も行きたくなってきたよ。


ところで、入場したときにもらったチラシを見てびっくり。カシム・サルトンのソロ公演があるって? 全然知らなかった。しかも、明日! 連休明けの火曜日かよ。それはちょっと厳しいよなあ。でも、カシムのソロなんて、これ逃したらもう一生観られないかも。うーん、どうしようか。迷う… <続く>
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2010年10月10日

→Pia-no-jaC← live in Tokyo

Autographed This Way Up.JPG

3時間越え。3500円のチケット代で割ると1時間あたり1000円ちょっと。今どきの大学生のバイトの時給並み。しかも、単に安いだけでなく、笑いありシャカシャカありピアノありカホンあり、の充実したライヴだった。

朝からあいにくの降りしきる雨で、こんな用事がなければなんとかして家に引きこもっていたいような空模様。電車を乗り継いで来たのは、僕にとっては88年のニック・ロウ以来となる、ほぼ四半世紀ぶりの九段会館。地下鉄の出口からなにげに道を間違えて武道館の方に歩いて行きそうになったのも四半世紀ぶり。

九段会館ってこんなに狭かったっけ。二階席・三階席がなければ、最近のちょっとしたライヴハウスよりも小さいかも。僕は二階席の前の方。ステージ奥まで見やすい、遠すぎることもない、いい席だった。下手に一階の真ん中あたりなんかよりよっぽどよかったかも。前の席との間隔がやたら短くて膝がつかえるけど、通路沿いだったのがラッキー。

開演時刻の5時を10分ほど過ぎたところで暗転。白い緞帳に緑色のレーザー光線が幾何学模様を描くオープニング。それが止むと、緞帳の向こうに赤いライトで照らされた二人が演奏を始める。ステージ奥から赤いライトで照らしているから、緞帳に映る大きな影と透けて見える本人達のコントラストが不思議な感じ。

僕は彼らのCDは一応(コラボ盤などを除いて)全部持っているんだけど、なかなか曲名を覚えられない。みんなインストゥルメンタル曲のタイトルってどうやって覚えているんだろう。この緞帳の向こうのオープニング曲は、新作『This Way Up』の1曲目でもある「Chaos In "Em"」のはず。だとすると、CD同様にこの曲がふっと途切れた瞬間に…

真っ白な緞帳が切って落とされ、床から壁から一面真っ黒なステージが現れる。曲は、『This Way Up』2曲目の「残月」。相変わらずのもの凄い速弾き。ピアノも、カホンも。ステージだけでなく、メンバー二人も上から下まで真っ黒ないでたち。いつものつなぎでなく、黒いベストに黒いシャツ、それに黒いパンツ。HAYATOはお馴染みの黒い帽子。HIROはもちろん黒いサングラス。

2曲目が終わったところで、これまたいつものハイテンションなMC。しゃべるのは主にカホンのHIRO。HAYATOもしゃべる。「それでは、次が最後の曲です」。相変わらずのゆるいボケ。

MCのコーナーが結構長い。今回のツアーのこと。どんどんメジャー展開してきた今年あった色々なこと(僕が行きそこなった1月1日の下北沢ヴィレッジ・ヴァンガードでの年明けライヴから、嵐のレコーディングの話、そのあとすぐに偶然お茶の水のVVで生ニノと会ったことなど)。「この前のクラブでのイベントに来てくれた人は?」と手を上げさせて、「あのメガネをかけて首にタオルを巻いた人がイベントの話をしてくれるから、このライヴの後であの人のところに集まるように。サインももらえます」とかお客さんをいじったり。

そんな風なMCも面白いんだけど、僕にとってもっと面白かったのが、演奏中のネタ。キーボードを弾きながら演奏のテンポを全く変えずにそのままぐるっとキーボードの後ろ側まで廻り込んで反対側から演奏するとか。キーボードと全然違う方を向いてエアピアノをしながら、後ろ足で鍵板を叩いて音を出すとか。去年の暮に観たインストアでもやってた、HIROが手を振って退場した途端にHAYATOがピアノをジャーンって弾いてHIROが慌てて戻ってくるやつとか。

ピアノの速弾きもすごいんだけど、HIROのカホン(+その他沢山の打楽器類)も圧巻。基本は素手の左手と右手に持った金属製のブラシみたいなのでカホンを叩き、同じ曲中でドラムスティックや大太鼓を叩くようなスティックに次から次へと持ち替えて、ものすごく多彩な音を出す。マイクスタンドに据え付けてあるパフは、当然「うさぎDASH」専用。

開始後ちょうど1時間でお色直し。ステージ背後のスクリーンにYouTubeからピックアップした→PJ←のコピーバンドの演奏を次々に流す。小学生もいるよ。みんな上手だね。

お馴染みのPとJの文字が胸のところと背中についた黒いつなぎを着て二人が再登場したのが、その約30分後。「これから後半戦」と言ってたときには、まさか本当にそれからアンコールまで含めて1時間半もぶっ続けで演るとは思わなかった。後半戦1曲目は確か「第九」だったかな。

ひよりさんのブログを事前に読んでいたので、ちゃんと家から用意して行ったシャカシャカ袋。とはいえもちろん僕のは本物のシャカシャカ大作戦袋じゃなく、先日10枚のLPが入っていたフラッシュ・ディスク・ランチの透明袋。大きいからシャカシャカ音も大きくていいと思って。黄色いロフトの袋を持ってきてた人はカメラで大写しされて指摘されてたね。僕ももっと目立つ袋持ってくればよかった。

ステージ直前に敷かれたレールの上を左右に移動するカメラを始め、ステージ上や僕のいる二階席などに沢山のプロ用のビデオカメラが設置されていると思っていたら、やっぱり今日のこのライヴがDVD化されるんだって。これは楽しみ。僕の実物を知っている人なら、一部の方々にはお馴染みの僕のトレードマークの例のシャツを着て行ったので、そのDVDが出たら二階席を探してみて。

そのDVDのお知らせ以外にも、来月ソウルと東京で行われる日韓共同音楽フェスに出演することや、来年1月に渋谷で五夜連続ライヴが決定したことなどをアナウンス。うーん、1月の日程、既にチケットを確保したGのつく人の東京公演と思いっきりかぶってるな。かぶってないのはとても6時半の開演時間には間に合わないような平日だし。残念。

本編最後はHAYATOのしみじみとした語りに続けて、また新作からの「Friends」。いい曲だね。この曲と、あと途中で弾いた何曲かは自前のキーボード(ヤマハのS90XS)でなく、グランドピアノを演奏。「グランドピアノはめっちゃ緊張するわ」って言ってたね。もちろん、とても上手だったけど。

アンコールは2回。白いシャツに胸のところに黄色い→PJ←シールを貼ったオーバーオールのお揃いの二人。最初のアンコールが「うさぎDASH]で2回目が「組曲『 』」だったかな。そのうちどこかにセットリストがあがるかもしれないし、件のDVDが出たらきっとわかるだろう。アンコールが全部終わっても、二人は延々とステージに残って挨拶しながら、いろんなものを客席に投げ込む。ハロウィンのバケツに入ったお菓子とか、自分たちの汗を拭いたサイン入りのタオルとか。HAYATOはがんばって三階席まで届かせるけど、二階には全然飛んでこないよ。

終演後、物販でも見てから帰ろうかと思ってたけど、予想通り物凄い人出。会場限定グッズとかサイン入りCDやDVDも売ってたみたいだけど、とてもあの人混み(しかもほぼ100%女子)に割り込んでいく気力なし。それでもこの記事の冒頭にサイン入り『This Way Up』の写真が載っているのは、先日出かけた下北沢のVVで偶然見つけたのを入手したから。

夜になってもまだ降り止まない雨の中を、ロシア料理ではなく黒胡麻坦々麺を食べてから帰った。坦々麺屋のオヤジがなにやら日本人離れした顔立ちだったのは、もしかしたらひよりさんとグリンさんが食べたロシア料理店のオヤジと入れ替わっていたのかも。
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2010年08月28日

Mike Peters live in Tokyo

LHSF.jpg

グレン・ティルブルックが、彼の参加するラヴ・ホープ・ストレングスという癌患者へのチャリティ団体のイベントで富士登山に来るという話はずっと前から聞いていたけれど、参加費用はちょっと気軽に手の出せるようなものではなかったし、ましてや富士登山なんてそんな気軽にできるものじゃないから、今回はネットでイベントの様子を見ているだけかと思っていたら、とあるルートから、登山の打ち上げパーティーがあるらしいという情報を入手。しかも、調べてみると、打ち上げといってもちゃんと入場料を取るライヴのようだから、登山に参加していなくても遠慮せずに観にいけるようだ。

パーティーの告知にグレンの名前は一切出ていないけれど、僕の興味はむしろ、このパーティーの主役、というか、ラヴ・ホープ・ストレングスの主催者であるマイク・ピーターズだった。僕にとっては1986年のアラームの二度目の来日公演以来となる彼のアクースティック・ライヴが観られるのなら、万一グレンが出なくたって構わない。まあ、登山前にも登山中でもいたるところで飛び入りで演奏しているグレンが、こんなイベントに出てこないわけはないけれど。

21時半開場・22時開演という、日本のライヴにしてはやたら遅いスタート。一旦終電までには終えるが、その後オールナイトになるとのこと。場所は西新宿のはずれにあるクラブ・ドクターというところ。21時半に会場に着くと、既にそこには見なれたグレンヘッズの面々が。皆さん久しぶり。アラームのTシャツを着た方々もそこかしこに。決して多い人数ではないけれど、こんなろくに宣伝もされていないイベントを嗅ぎつけてみんなよく集まってくるよね。

マイク直筆の看板。

DSC02347.JPG

機材トラブルでリハーサルが押してるとのことで、実際にドアが開いたのは22時ちょっと前。アクースティック・ライヴとのことだったけど、漏れ聞こえてくるリハーサルの音はエレキギターやドラムスの音だよ。まあ、オールナイトだし、グレンもいる(だろう)し、なんでもありなんだろう。楽しみ。

客席右側の一団は、外人の団体。おそらくマイク達と一緒に富士山に登った人たちだろう。ほとんどが結構若い女性なのにびっくり。歓談しながらバーに飲み物を取りに行って戻ってきたら、もうマイクがステージに立って歌ってるよ。いくら開場が押したからって、そんな律儀に時間通り始めなくても。

というわけで出だしをちょっとだけ聴き逃した一曲目は、もしマイクにリクエストを募られたらまずこれを、と思っていた「Unsafe Building」。いきなりですか。

続いては、「1984年に初めて日本に来た頃に作った曲」との前置きで、「The Stand」。もうそんな感じで、初期の曲ばかりどんどん続けて演奏。曲順ちゃんと覚えてないけど、「Declaration〜Marching On」、「Where Were You Hiding When The Storm Broke?」、「Sixty Eight Guns」、登山レディースにリクエストされた「Rain In The Summertime」、「Rescue Me」、「Bells Of Rhymney」、「Walk Forever By My Side」、「Knife Edge」とかは演ったね。

1時間弱で一旦交代する直前に演奏したのが、76年にセックス・ピストルズを観たことを語りながら始めた「Spirit Of '76」。ブライアン・マクヴァーノンのセットを挟んで第二部の冒頭に演奏したのが「Absolute Reality」。さっき書いた曲のうち、半分は第二部の演奏だったかな。きっと日本のファンは活動再開後の曲なんて知らないだろうと気を使ってくれたのか、ここまでで新しめの曲は「Breathe」ぐらい。今晩ここに来ているのは、最新アルバムまで全部追っかけてるようなコアなファンか、彼のことなんてほとんど知らないグレンのファンばかりなのにね(笑)

お蔭で、最近の曲は覚えるほど聴き込めていない僕でも歌える曲ばかり。「Where Were You Hiding」とか「Spirit Of '76」とか「Sixty Eight Guns」とか、ライヴ盤でもおなじみのコール&レスポンスのパートも大声で歌えて気持ちいい。もうこのへんで喉ガラガラ。

第二部のあと、いよいよグレン・ティルブルックの登場。「ほんとはここにいるはずじゃなかったのに」とかなんとかブツブツいいながら、観客席からステージへ。誰に言い訳してるんだろう。大人の事情なのかね。オープニングはちょっと意表をついた「The Day I Get Home」。あとは「(You're So Square) Baby I Don't Care」とか比較的お馴染みのカバーをふんだんに織り交ぜながら、オリジナルは「Annie Get Your Gun」と「Goodbye Girl」だけだったかな。途中でアイアン・バタフライの「In A Gadda Da Vida」を途中まで演奏し、「みんなアイアン・バタフライは知ってる?じゃあ次のアイアン・バタフライのリクエストは?」とか言って笑わせたり。

「They Can't Take That Away From Me」でグレンのパートは終了。マイクとブライアンがギターを持って戻ってきて、グレンはそのままエレキギターに持ち替え。「ドラマーはいない?」と客席に呼びかけ、そこからは次々に観客を交えて演奏。最初はクラッシュの「Should I Stay Or Should I Go?」だったかな。観客の中にドラマーがいないとなると、グレンがドラムキットに座って、客にギターを弾かせたり。いいな、あの人たち、一生の思い出だろうね。ろくに楽器も弾けない僕としては、マイク・ピーターズとグレン・ティルブルックが一緒のステージにいるのを観られただけでも一生の思い出だけどね。

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登山メンバーの30名を全員ステージに上げて、「Love Hope & Strength」で一旦締め。この時点でもう0時を回ってたかな。グレンが最後にギターをかき鳴らして、「Ziggy Stardust」の一節を歌ってまた笑わせる。その後は三々五々バーに向かい、グレンとマイクはあちこちでファンにとっつかまってサインだの写真だのをねだられる時間。

しばらくそうして飲んでいたら、マイクとブライアンがまたステージへ。ドラムスにはまた別のお客さんが。この第何部になるのか最早わからないステージが一番盛り上がったね。「London Calling」は演るわ、「Brand New Cadillac」は演るわ、「Rock This Town」は演るわ、僕もこの回はほぼ一番前、マイクの正面でかぶりつき。ガラガラ声で全部歌う。

「45 R.P.M.」からメドレーで「Blitzkrieg Bop」、さらに「White Riot」も。なるほど、確かにこれ全部同じような曲だね。同じようといえば、このドラマー君、どの曲のラストも必ず「Tommy Gun」のフレーズ叩いてくれて、途中からマイク達も面白がって、ドラマーが普通にドドン、とか終えると「いや、違うよ」と「Tommy Gun」エンディングに変えさせたり。最後は、04年のライヴ盤『Live In The Poppy Fields』のDVDでもエンディングだった「Get Down And Get With It」を延々と。

再び飲みタイム。人気者のグレンはグレンヘッズの皆さんに任せておいて(もう結構酔ってるしね)、マイクに話しに行く。オリジナル・アラームの3人とはまだ連絡を取っているとか(ナイジェルとはつい先日メールしたばかりだそう)、デイヴ・シャープのソロアルバムの話とか、初めて観たクラッシュのライヴの話とか(「さっきは76年にピストルズを観た話をしたけど、クラッシュを最初に観たのは77年だった」って言ってた)。

アラームの初来日公演のチケットの半券にサインをもらう。“Respect”なんて書いてくれてうれしい。御堂会館ってまだあるのかな。「ぬ列」というのがなんかすごいね。いろは順だとすると10列目で観たのか。

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いつかこのブログにアラームのことを書く機会があれば触れたいと思っていたこのボックスセット。2000年に、オリジナルメンバーでの全アルバムとものすごい量のボートラ、総計150曲以上を8枚のCDに満載したもの。それにも増してすごいのは、このボックスをオーダーするときに自分の好きな曲とメッセージを書いて送ると、マイクが自分にそのメッセージを(ちょっとアレンジして)読んでくれて、その曲を演奏してくれたものが収録されたサイン入りのCD-Rがついてくること(右下の写真)。

僕がリクエストしたのは、僕がアラームを知るきっかけになった、たしか渋谷陽一のラジオ番組でかかった「Across The Border」。初期の曲のうちでもこれは珍しくデイヴ・シャープが書いて歌った曲だったけれど、それをわかったうえでマイクにリクエストしたんだった。そのことを伝えると、「あの曲は俺も手伝ってあげたんだ」だって。へえ、それは初耳。

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バーに並んでいたときにたまたま後ろがグレンだったので、自分がオーダーしたついでに日本酒を一杯彼にもご馳走。とはいえあの状態の彼はもうそんなこと覚えてないだろうから、自分の記憶のためだけにここに記入(苦笑)

ステージに立った3人のうち一番知名度の低いブライアンに貴方は何者か?と突撃質問。オーストラリアのレトロ・ロケッツ(The Retro Rockets)というバンドのメンバーらしい。名刺をもらったよ。名刺裏の写真を見ると、もういかにもストレイ・キャッツ直系という感じのロカビリーさん達。せっかくなのでちょっと聴いてみようかな。興味のある人はこちらへどうぞ。最新ニュースが08年の4月だけどね(笑)

マイクやグレンが帰ったのは何時ごろだっけ。2時過ぎだったかな。オールナイトじゃなかったのか。まあ、登山後でさぞかし疲れてるだろうし、グレンはもういつもの泥酔モードだったから、あれ以上引きとめても可哀想だったけどね。というわけでこちらも場所を替えて、始発が出るまで時間つぶし。会場で知り合ったアラームファンの方も誘って、13人の大所帯。遠くの席にいた人たちとはほとんど話せなかったけど、いつもながら楽しい時間を夜明けまで。

久々の完徹の後、帰宅。今日の12時にVinyl Japanにマイクが来ることは聞いていたんだけど、仮眠して起きたらもう11時半。大急ぎで出かけてももう無理だよね。残念。またいつか観られるかな。アラームで来るのは無理でも、グレンみたいにソロでちょくちょく来日してくれればいいのにな。
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2010年08月01日

Them Crooked Vultures live in Tokyo

久しぶりのライヴ。初めての渋谷AX。ゼム・クルーキッド・ヴァルチャーズ。もうとにかく、デイヴ・グロールのドラムスがとてつもなく凄かった。今からいつも通りつべこべ書くけど、もうそれだけ書いて終わってもいいぐらい。僕は彼のライヴを観るのはこれで3回目なんだけど(3回とも違うバンド)、今回改めてそう思ったね。

まず、つべこべ始めに、バンド名の表記から。日本盤の表記は「ゼム・クルックト・ヴァルチャーズ」だけど、形容詞としての“Crooked”は“e”を発音するので、上に書いた読み方が近いはず。と、いつもながらのどうでもいいこだわり。これで、カタカナで検索する人を端から除外してしまうんだけどね(あ、でも日本盤の表記も書いたから大丈夫か。と余計な心配でまた行数ばかりが増える)。

渋谷AXとは名ばかりで、最寄り駅は原宿。そこからテクテク歩いていくと、会場前にはこんなトラックが。たった一日だけの公演によくやるね。

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結構早めにチケットを押さえたんだけど、僕が入場できたのはもうほとんど最後の方。途中でMGMTが急遽前座で出演することが発表された頃にはもうソールドアウトだったんじゃなかったっけ。とにかく、チケットの売れ行きどおりの超満員。2階席含めて2500人ぐらいは入るのかな、結構大きな会場なのにね。

定刻どおりの7時にMGMT登場。僕はCD持ってないんだけど、結構いいよと友達に聞いていたのでちょっと期待。うーん、まあまあかな。きっと、名も知れぬ新人バンドがこの演奏なら、掘り出し物だと思ってすぐにCD買いに走ったかもしれないけど、少々期待が大きすぎたか。30分の持ち時間なのに、途中で機材トラブルがあって、1曲カラオケ(?)で歌わないといけなかったのが可哀想だったな。

1時間のセットアップ後、8時ちょっと過ぎにいよいよゼム・クルーキッド・ヴァルチャーズが登場。前列左から、ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)、ジョシュ・オム(Josh Homme)、サポート・ギタリストのアラン・ヨハネス(Alain Johannes)。中央後方にデイヴ・グロール(Dave Grohl)。

オーソドックスにアルバム1曲目「No One Loves Me & Neither Do I」からスタート。スキンヘッドのアランがベースを弾いてるので、僕からは遠い位置にいたジョーンジーは何を弾いてるんだろうと思って、背を伸ばして見てみると、例の洗濯板みたいなネックの10弦ベース。「例の」と言われても知らない人にはわからないだろうけど、とにかくこの人やたらと弦の本数の多いベースギターを弾くね。

3人ともギターを持ち替えて(ジョーンジーは今度は8弦ベース)、2曲目は「Gunman」。こういう、へヴィかつキャッチーなリフのキラーチューンがやたらと多いこのバンド、作曲クレジットは全てバンド名義だけど、きっとデイヴ・グロールの貢献度が高いんだろうな。僕はクイーン・オブ・ザ・ストーン・エイジは聴いたことないから、ジョシュ・オムが元々どういう曲を書くのか知らないけど、明らかにフー・ファイターズ系列な「Mind Eraser, No Chaser」をはじめ、デイヴがレッド・ゼッペリンを意識して書いたような曲ばかり。この「Gunman」もその一つ。

「Gunman」の最後、ちょっと端折ったかな。と思ったら、次の「Scumbag Blues」は延々とアドリブで引き伸ばす。タイトルに反して全然ブルーズじゃないハード・ロック・ナンバー。今度はジョーンジーは普通の4弦ベース。

全曲書いてると大変なので(セットリストは後ほど)、あとは印象に残ったところを飛ばし飛ばしで。短めのドラム・ソロで始まったのが、5曲目の「Elephants」。この、途中で突然二倍速になったりするプチ変拍子が、(おそらく)デイヴ作のゼッペリンもどきの中ではいちばん上出来かも。

アルバム未収録曲を3曲。ウィキとセットリスト.fmとYouTubeを駆使して調べた結果、6曲目に演ったのが「Hwy 1」、13曲目が「You Can't Possibly Begin To Imagine」と判明。後者ではジョーンジーがバイオリンの弓でマンドリン(かな?)の弦を弾いてた。8曲目はアランのギターソロ曲。これはタイトルわからなかった。この曲の間は他の3人は休憩。

アルバムで「Mind Eraser, No Chaser」を歌っているのはてっきりデイヴだと思ってたのに、リード・ヴォーカルはこれもジョシュ。コーラスの部分が他の3人。ジョーンジーまで歌ってるのにはびっくり。マイクのボリュームのせいか、あまり彼の声が聞こえなかったのが残念だったけど。

14曲目「Spinning In Daffodils」のエンディングでは、それまでベースを弾いていたジョーンジーがキーボードに移り、しめやかなピアノのフレーズで終了。もうそろそろこれで終わりかと思いきや、まだ続く。「Reptiles」。これも超クールなリフを持った曲。そして更に「Warsaw Or The First Breath You Take After You Give Up」。もうこれでアルバムの曲全部だよ。これはさすがに演らないだろうと思っていた「Interlude With Ludes」まで途中で演ったし。

その「Warsaw〜」が最終曲。エンディングに相応しい、これも凄まじくへヴィなブギ。途中でとりとめのないスペイシーな展開に入り、それが最後に収束してまた元のへヴィ・ブギ・パートに戻るところが超快感。のはずだったんだけど、肝心のキメのギターのフレーズがちょっとぼやっとした感じで今いち肩すかし。

そうなんだよね、確かにこの人(ジョシュ)、ギター上手だと思うんだけど、ソロのフレーズとかがちょっと僕の好みじゃない感じ。それもあって、ライヴの間中ずっとジョーンジーとデイヴのことばかり見ていたし、耳に入ってくるのは凄まじいドラムスの音ばかり(残念ながら、ちょうど僕の視線とドラムキットの間にジョシュがずっと立って歌っていたから、デイヴのことはほとんど見えなかったんだけど)。

そうやって見ていると、ジョーンジーがしょっちゅうデイヴの方を見ながらリズムを取り、実に嬉しそうに演奏しているのが目に入った。きっと彼も、レッド・ゼッペリン時代のボンゾとのコンビネーションを思い出してたんじゃないだろうか。年齢的には他のメンバーのお父さんと言ってもおかしくないぐらいの彼が、実に自然に溶け込んでいたね。

でも、最初に書いたように、どう贔屓目に見ても、終始圧巻だったのは、デイヴ・グロールのドラムス。まず、音圧からして違う。もしかしたら会場での音のミックスのせいもあるのかもしれないけど、あの一音一音耳に突き刺さるようなスネアの音。それに、彼に手足がそれぞれ2本ずつしかないというのが、今自分の目で見ているにも関わらず信じ難くなるあの超高速プレイ。マジでこれほどドラムスの音ばかりに集中していたライヴも珍しいかも。

「Warsaw〜」が終わって、全員が前列に並んで肩を組んで深々と挨拶。本来ならここからアンコールに入るところなんだろうけど、もうこれだけ演られたら十分。無茶なアンコールの拍手は最早誰もしない。放心状態。ふと時計を見たら、もう10時。2時間ぶっ続けで演ってたのか。改めて、あの超高速・超強力ドラムスが2時間もの間ほぼ休みなく、寸分のリズムの狂いもなく叩き続けられていたことに驚く。

帰りに物販でTシャツを購入。ジャケット通りのド派手な真っ赤なのしかないかと思いきや、結構いろんなデザインのがあってちょっと迷う。「アメリカン・サイズのLなので大きいですよ。返品ききませんよ」と親切に何度も念押しされたこいつにした。ちょっと裾長いけど、サイズぴったり。なんかこうして、よかったライヴの後にTシャツ買うのなんて久しぶり。

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会場を出ると、例のトラックがまだいた。真っ赤に光って。

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よく見ると、今回の来日を記念して、2枚組のスペシャル・エディションが日本盤で発売されたことが書いてある。さっきの物販にも置いてあったんだけど、CDはどこでも買えるからいいやと、ついTシャツ売り場に直行してしまった。

ライヴから帰ってきてすぐに書き始めたこの記事、時間が足りなくて結局こうして週末までかかって毎晩少しずつ書き足してるんだけど、その合間を縫って今日そのスペシャル・エディションを買ってきた。

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ゼム・クルーキッド・ヴァルチャーズ 『Them Crooked Vultures』

リンク先のアマゾンではどういうわけかDVDとの2枚組ということになっているけど、実際はライヴCDとの2枚組。今年の頭にシドニーで行われたライヴ演奏が5曲収録されている。「Elephants」冒頭のドラムソロとか、延々と演る「Scumbag Blues」とか、今回のライヴを思い出させるね。本編アルバム未収録の「Hwy 1」も入ってるし。2枚組の1枚目はもともと持っていたのと全く同じなので、また売りにいかないと。

彼らの今回の来日の本来の目的であったフジロック登場は昨晩だったはず。最初にこの記事を書き始めたときはネタバレを気にしてたけど、フジで観てきた人ももうきっと同じ感想を抱いているはず。どれぐらい真面目に継続させるつもりで作ったのか知らないバンドだったけど、どうやらセカンドアルバムを年内に、という話になっているようだ。楽しみ。


Setlist 28 July 2010 @ Shibuya AX Tokyo

1. No One Loves Me & Neither Do I
2. Gunman
3. Scumbag Blues
4. Dead End Friends
5. Elephants
6. Hwy 1
7. New Fang
8. (Alain Johannes Guitar Solo)
9. Bandoliers
10. Interlude With Ludes
11. Mind Eraser, No Chaser
12. Caligulove
13. You Can't Possibly Begin To Imagine
14. Spinning In Daffodils
15. Reptiles
16. Warsaw Or The First Breath You Take After You Give Up
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2010年05月05日

ロボット週間

このゴールデンウィークは特にどこへも遠出することなく、久々に家と近場でのんびり過ごしている。まあ、のんびりと言っても、連休中に会社のメールボックスがパンクしない程度にメールは消化しないといけないし、ゴールデンウィークなんて知ったこっちゃない海外駐在員からはガンガン電話がかかってくるんで、心底リラックスできるわけでもないんだけどね。

もう何年も前から買ったまま積んであったDVDを観ようと思い、こんなときでもないと連続ものは観られないからと、スター・ウォーズ・トリロジーを三夜連続で観たり、遅ればせながらまとめて入手した浦沢直樹のPLUTOを一気読みしたり。

特に意図したわけじゃなかったんだけど、なんだかロボットが出てくる話ばかり。そんなロボット週間にうってつけ(?)のイベントが月曜日に新宿であったので、行ってきた。アイ・アム・ロボット・アンド・プラウド(I Am Robot And Proud)のインストアライヴ。

と、もう一つ。その一時間前に同じ場所で、エレクトロニカのコンピレーションCD『Songs Of Twilight』の発売記念イベントもあったので、まずはそちらに参加。

Songs Of Twilight.jpg 『Songs Of Twilight』

タイトルとジャケの雰囲気から気がついた人がいるかもしれないけど、このアルバムは、僕がおととしの暮れにブログに取り上げた『Songs Of Seven Colors』の続編。前のがジャケの雰囲気そのままのカラフルなエレクトロニカ集だとしたら、今回のはこのちょっと胸が締め付けられそうになるような夕暮れジャケに合うセンチメンタルな音が並んでいる。僕がシンガポールで観たフリカ(Flica)も1曲入ってるね。

この記念イベントは、このアルバムに唯一2曲収録されているアメツブ(Ametsub)というアーティストのライヴ。ステージのセットアップは、基本的には前に観たフリカのと同じような感じ。キーボードにノートPCが2台。足元には大きなミキシング・コンソール。キーボードの上には親指ピアノも置いてある。

キーボードとPCとミキシング・コンソールをせわしなくいじり、順々にいろんな音を重ねていく。スター・ウォーズづいている身には、R2-D2がしゃべってる音みたいにも聴こえる。なるほど、よくエレクトロニカ系のCDで聴こえるああいう音はああやって出しているのか、と思ったりする(「ああやって」と言っても、単につまみを回したりしているだけなんだけど)。

最初ビートのない状態で延々と音を重ねているときはちょっときついかな、という感じ。でもやがてそういう音の重なりがきちんとしたビートになり、親指ピアノも含んだ様々なリズムを聴いていると、だんだん神経が麻痺してくるよ。いいね。目の前にいるのは朴訥とした日本人のお兄ちゃんなんだけど、時折音の感触がキャバレー・ヴォルテールとかスロッビング・グリスルぽくなったりする。そういう音を目指してるんじゃないとは思うけど。

スピーカーに近い位置にいたせいか、急に大音量で鳴らされる音が時々ヒステリックに響いたことと、やっぱり煌々とライトの点いたタワレコのイベントスペースでほぼ直立不動のまま聴くようなタイプの音楽じゃないと思ったことがちょっと心残り。

でもまあ、なかなか楽しめたよ。あの25分ぶっ通しの全一曲、いろんな音のパートが次から次へと出てくるロード・ムーヴィーみたいな展開を、もう一回再現してみてって言ったら、できるんだろうか。

イベント終了後は、『Songs Of Twilight』を買った人向けの、アメツブ君の未発表音源の無料ダウンロード券の配布。さっき演ったあの25分のやつならいいなと思ったけど、実際は「Untitled 3」というそっけないタイトルの4分の曲だった。うーん、これはちょっと期待外れかな。


ステージを片付ける間、一旦客が引けて、30分後にはアイ・アム・ロボット・アンド・プラウドのステージ。こちらも新作発売記念のイベントで、前に記事にした『Uphill City』のリミックス盤『Uphill City Remix & Collaborations』を買うと、後でサインがもらえるというもの。

さっきのも結構満員だったけど、この回もかなりびっしりと入ってるね。さっきよりもうんと女子率高し。僕はさっきからの30分そのへんでうろうろしていたお陰で、わりといい場所で観られた。僕より後ろになった女子、前にでかいのがいてごめん。ステージはさっきよりも一層シンプルで、キーボード一台、PC一台、Tenori-On一台。足元にはサスティン・ペダル。

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これはリハーサル中。トクマル シューゴの新作ジャケのTシャツがいいね。あのジャケだけでCD買いたくなったよ。

実際に演奏が始まってみると、女子率の高い理由がなんとなくわかる気がする。上にリンクを貼った前の記事にも書いたけど、音の一つひとつが人懐っこいというか、丸っこい感じ。アメツブ君がキャブスだとしたら、こちらはYMOといった趣(どちらも音の傾向としてはあまり似てないけど)。

Tenori-On、僕は以前確かヤマハのショールームかどこかで触って遊んだことがあるんだけど、こうしてセンスのいいプロが演奏するのを聴くと、当然のことながら全然違うね。あれ欲しいな。高くて到底買えないけど。そういえば確かこの人、この楽器のプロモーションイベントで来日したこともあったんだっけ。

一応3曲ぐらいに区切れていたはずだけど、曲名が全然わからなかった。最後の曲は、ステージの前に出てきて、前列のお客さんにTenori-Onを一音ずつ弾かせ、それを基にして演奏開始。終盤かなりノイジーな音になったところで、キーボードでとても綺麗なフレーズを重ねてフィナーレ。あれはよかった。

終演後のサイン会、僕はたまたま居た位置のおかげで列の一番前になってしまった。やあやあと挨拶しながらジャケットを差し出す。金色のマジックでサインを書こうとするショウハン君。インクが出ない。振っても出ない。仕方なく銀色のマジックに持ち替えて上から書く。それも出ない。

黒いのに持ち替えて、金銀の上から書く。かろうじて出た。この手のマジックはちゃんと試し書きしないと。というか、僕のジャケで試し書きされてしまったよ。「最後の曲よかったね」とか言っても、ショウハン君はインクが出なくて返事する余裕なし。なんとか書き上げてくれて、ちょっと汚くなってしまったサインのことを謝られただけで、順番が過ぎてしまった。

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I Am Robot And Proud 『Uphill City Remix & Collaborations』

ショウハン君苦心の作(笑)。


せっかく新宿に出たからと、久しぶりにユニオンの中古センターへ。あ、前から探してたアイ・アム・ロボット・アンド・プラウドのファーストがあった。偶然。なんか、ほんとにロボット週間だなあ。

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I Am Robot And Proud 『The Catch & Spring Summer Autumn Winter』

じゃあ、この週末は偶然ついでにトクマル シューゴ探しにいこう。ロボット週間の締めくくりということで。ジャケットの絵、あれロボットかな。まあいいや、そういうことにしておこう。
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