2012年04月22日

Morrissey live in Kawasaki

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正確な日付は記録を見ないと思い出せなかったけど、入ったばかりの大学のキャンパスの桜並木を、中にあの美しいジャケットが入ったビニール袋を誇らしげに抱えて歩いていた情景は、今でもありありと思い出せる。僕が最初にスミスのレコードを買ったのは、1984年の4月28日。「This Charming Man」の12インチシングルだった。

大学の卒業旅行を英国縦断一人旅に決めた理由の一つは、マンチェスターの街を訪れて、数か月前に買ったばかりのスミスの最終アルバムの裏ジャケに写った場所で写真を撮ってみたいと思ったことだった(ネットなんてもちろんなかったからろくに情報も収集できず、結局たどり着くことができなかったストレンジウェイズが刑務所だったなんてのは後になってから知ったこと)。

さわやかにサークル活動なんかを楽しむわけでもない、周りの誰とも趣味も考え方も合わないひねくれた大学生にとっては、スミスは特別なバンドだった。それだけに、スミス解散後のモリッシーは、僕にとっては常に何かが違うと思わされる存在だった。ジョニー・マーではない誰か別の人が書いたスミス風の曲。スミス時代にあれだけこだわっていたレトロな風合いのポートレートとは全く別物の、モリ顔オンパレードのジャケット。等々。

スミスの影を追い求めて、88〜89年当時に出たCDは、シングル盤も含めてことごとく揃えていたが、91年の「Sing Your Life」を最後に熱心に彼のことを追いかけるのを止めてしまい、その次に彼のCDを買ったのは95年の『Southpaw Grammar』、さらにその次は04年の『You Are The Quarry』と、もはやとてもファンとは呼べないような手の抜き様。

そんな程度だから、10年振りの来日が発表されてすぐにチケットは入手したものの、「ついにあのモリッシーをこの目で見られる!」というような昂揚感もそれほどなく、淡々と東海道線に揺られて川崎へ。

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前回クラブチッタに行ったのは、僕の記憶に間違いなければ、92年の4月にファイヴ・サーティーの最初で最後の来日公演を観たときだったはず。確か、海外出張から戻ってきて、成田から川崎に直行したんだった。建物の外観は覚えていなかったけど、中に入るとあのときのことを思い出せる。あのときは開演直前ぐらいに到着したから、入口近く、左後方から観てたんだった。今回はそれとは逆方向の、右側の壁にもたれて観ることにした。

土曜日とはいえ、5時開場、6時開演というやたら早いライヴ。例によって大きな整理番号の僕が入場できたのはほとんど5時半近く。大きな会場のわりにはあまり並ばずにもらえたジントニックを片手に壁にもたれていたら、5時半過ぎにもう暗転。なんだろうと思っていたら、ステージを覆っていた白い緞帳に映像が映し出された。ブリジット・バルドーとかの60年代ポップスのモノクロ映像がずっと流れていて、こういうレトロな演出はさすがモリッシーと思っていたら、画像がカラーになってスパークス、続いてニューヨーク・ドールズと、あ、これってモリッシーが好きな音楽を年代順に並べて見せてるのかな、と。そしたらドールズの次にまた古い白黒映画の映像に変わり、女優がカーテンを掴んで何か叫ぶ画面に。

叫ぶ女優の画像と共に緞帳が切って落とされ、予定時刻の6時ちょうどにメンバーがステージに現れる。いい演出。がっしりした体格のモリッシーは茶色っぽい、胸のはだけたシャツ。それ以外の5人のメンバーはお揃いのTシャツ。赤字に黄色のMのマークが書いてあって、マクドナルドを揶揄したジョークなんだろうとは思うけど、僕の位置からは何て書いてあるのか読めず。ステージの背景には、スミス時代のジャケ画を彷彿とさせるレトロなモノクロ写真。

スミスは来日しなかったから、これまで僕はデレク・ジャーマンの撮ったビデオとかでしか動くモリッシーを観たことがなかった。だから、モリッシーというのはくねくねと踊るひょろっとしたお兄ちゃんだという気がずっとしていた。僕が興味を失ってからどんどん太っていった割れアゴのおじさんは、無意識のうちに僕の知っているモリッシーとは別の人だと思っていた(思おうとしていた)気がする。

でも、今僕の目の前で「You Have Killed Me」を歌いながら最前列のお客さんの手を触ってあげているのは、まぎれもなくモリッシーなんだろう。演歌歌手さながらのそういう仕草を見てまたちょっと醒めてしまう僕。

「カワサキ!カブキ!」と、なんだかよくわからないことを叫ぶモリッシー。この後も、各曲の前に曲名でもなく歌詞でもない(クサい)台詞をひとこと言ってから歌い始めるのは、最近のライヴ盤でもお馴染みのスタイル。「明日、結婚しよう」とか、「愛以外に僕は君に何もあげられない」とか。

そう、こういうことを言いだして(歌いだして)からのモリッシーが、僕にはうんと遠い存在に感じられるようになったんだった。曲調よりもモリ顔ジャケよりもなにより、「君が微笑むのを見たことはあったけど、笑い声を聞いたことなんてなかったね」なんていう、他人とのほんの微妙な距離を測れないでいる気持ちを歌ってくれていたかつてのあの人は何処に行ってしまったんだろうって感じ。

まあ、疎外感を歌にしていたら思いがけずそれに共感してくれるファンが世界中に何万人と現れたことに気づいてしまった人が、それまでと同じように疎外感について歌い続けるというのは欺瞞というものなんだろうけど。自分の貧しい生い立ち、ハングリーさを売りにしていたアーティストが成功して大金を手にした後はどう振る舞えばいいのかというのと同じ問題。難しいよね。

2曲目は知らない曲だった。僕が勝手に作った空白期間中に出た曲だろう(後でセットリストを調べてみたら、97年の『Maladjusted』収録「Alma Matters」とのこと。あの、一連のモリ顔ジャケの中でも一番適当な造りで全く買う気の起こらなかったアルバムか。まあそのうち安く見つけたら買ってみよう)。

「You're The One For Me, Fatty」に続いて、ものすごく聴き覚えのあるギジギジギジギジいうギターのリフレイン。「How Soon Is Now?」だ! スミス・ナンバーの中ではそれほど好みではない部類に入る曲だけど、それでも内心盛り上がる。後半、ドラマーが立ち上がって、横に置いてあったものすごく大きな、リムのところが光ってる大太鼓や、後ろに置いてあった銅鑼を叩いてエンディング。

日本公演初日の仙台ではきっと満開の桜を見たんだろうね。しきりに「チェリーブラッサム」を連発していた。メンバー紹介のときも、左端のギタリストのことを「うちのバンドのチェリーブラッサム」なんて言ってたね(メンバー名さっぱり覚えてないので悪しからず)。何かの曲を歌う前に、「桜と雪の詩を書いたのは誰?」なんて観客にわざわざマイクを渡して質問するものの、誰も答えられず。モリッシーも困ったもんだみたいな顔して「君たちは罰せられるべきだ、この曲でね」なんてまた気障な台詞を言ってから次の曲へ。僕もわからなかったんだけど、桜と雪の詩を書いたのが誰なのか、誰か知ってる?

「アリガトウ」とか「ドウモ」とか、結構日本語での挨拶を交えるモリッシー。「六本木にはいい家があるし、渋谷にはいいアパートがあるよね。NO?どうして?」みたいなことも言ってたね。外国人客も結構多かったからそれなりに会話は成立していたけど、あれこれと客席に問いかけても咄嗟に答えが返ってこないもどかしさみたいなのをちょっと感じてたみたい。

スミス・ナンバー2曲目は「Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me」。うーん、決して嫌いじゃないんだけど、どうもこの手ののったりした曲はそれほど嬉しくはないんだよな。どうせスミスの曲なんて何曲かしか演らないんだろうから、ちょっと大事に取っておいてほしい。定番の「There Is A Light That Never Goes Out」はともかく、あと何曲演るんだろう。

と思っていたら、数曲後で、ギターがこれも聞き覚え満タンの動物の声みたいな音を奏で始めた。うわ、これ演るの?と多大な好感を持って観ていたら、さっきまでのレトロなモノクロ写真に替わって、動物の屠殺場の画像が次々と。ゆったりとした三拍子に乗って歌われる「Meat Is Murder」は僕が聴いてみたかった曲の一つではあったんだけど、あの長尺曲に合わせて延々と上映されるビデオ(各チャプターにわざわざタイトルがついていて、「ニワトリと七面鳥」パートとか「肉牛」パートとか)は、ちょっと直視しているのが辛くなる内容だった。

どよーんとした気持ちでその曲を終え、次の「Everyday Is Like Sunday」のイントロが聞こえてきたときにどれだけ救われた気持ちになったことか(笑)。そして、その曲に続いたのが、イントロのギターのカッティングからアルペジオに移るパートを聴いた瞬間に飛び上がりたくなった「Still Ill」!! ああ、まさかこれを演ってくれるとは。もうてっきりモリッシーはスミス初期の曲なんて演らないんだと勝手に思っていた。僕の本日のハイライト。ここまであれこれネガティブなこと書いてきたのは全部撤回(笑)。もうこれさえ聴ければ、この後どれだけモリッシーが演歌歌手みたいな振る舞いをしようが僕は気にしないよ。

終盤、もわーんとしたキーボードの音に乗せてモリッシーが静かに歌いだした歌詞を聞いてはっとする。「Good times for a change…」。うわぁ、「Please, Please, Please Let Me Get What I Want」だ。ちょっと泣きそうになる。

立て続けに、「First Of The Gang To Die」。このへんはわかるよ、僕がモリッシー聴くのを再開してからの曲だからね。うん、確かにこういう曲は理屈抜きでかっこいいよ。スミス云々とは全然別次元でね。

と思っていたら、それで本編終了。書き忘れてたけど、どの曲のときだったか、モリッシーが汗だくになったシャツを脱ぎ、それで顔とか胸の汗をたっぷり拭いてから客席に投げ入れる。僕の位置からはよく見えなかったけど、さぞかし壮大な争奪戦になっていたことだろう。思いのほか筋肉質なモリッシー。一旦袖に引っ込んで、次に着てきた青いシャツは最新作『Years Of Refusal』のジャケで着ているのとよく似た色(でも長袖だったので違うシャツ)。それは本編終了で脱がなかったのできっと高かったのかな。

アンコールに応えて再登場。また違うシャツだ。また全員で肩を組んで挨拶してから、「毎晩僕は恋人に“サヨナラ”って言うんだ」とかまたクサいことを言って「One Day Goodbye Will Be Farewell」を。またすぐにシャツを脱いで客席に投げ入れたと思ったら、それでステージを降りてしまった。即座にBGMが鳴りだす。ええ?もう終わりなの?「There Is A Light」は??

なんと、7時半前に終わってしまった。どんな健全な時間だ。さてどうしようかとロビーに出てみたら、Tシャツだのポスター(最近出たベスト盤のジャケと同じ、モリさん入浴中のシーン)だの、物販大繁盛。開演直後ぐらいまではあんなにヘソ曲げてた僕が、列に並んだりやっぱりやめようと思ったりを何度か繰り返した挙句に買ったシャツ。3500円也。しかしこんなのいつ着るんだ?(笑)

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20年振りの川崎、せっかく早く終わったんだからと、友達と合流して飲みに行くことに。適当な居酒屋に入ったんだけど、どうも皆の注文するものが野菜系ばかり(笑)。そりゃあのビデオ観せられた後じゃね。久しぶりに会った友達とその友達、ずいぶん長い間楽しく話してワインボトルを2本空け、帰路についたのがまだ10時台。いいね、6時に始まるライヴって。なんかものすごく充実した一日だった。

後日談。というか翌日。せっかくのレコード・ストア・デイだからと日曜の新宿に繰り出してみたら、ちょうどユニオン本館で100円CDセール中。自分を戒めながら千円札1枚で買える範疇で選んでいたら、ちょうど前述の『Maladjusted』が。ついてるね。適当な造りのジャケでも100円ならOK(ごめんモリッシー)。


Setlist 21 April 2012 @ Club Citta Kawasaki

1. You Have Killed Me
2. Alma Matters
3. You're The One For Me, Fatty
4. How Soon Is Now?
5. Ouija Board, Ouija Board
6. I Will See You In Far-Off Places
7. Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me
8. I'm Throwing My Arms Around Paris
9. Action Is My Middle Name
10. Speedway
11. Meat Is Murder
12. Everyday Is Like Sunday
13. Still Ill
14. People Are The Same Everywhere
15. Let Me Kiss You
16. To Give
17. Please, Please, Please Let Me Get What I Want
18. First Of The Gang To Die

Encore
1. One Day Goodbye Will Be Farewell
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2012年04月03日

Gary Jules & Jim Bianco live in Tokyo

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ジム・ボジアのライヴに行って以来、カフェ・ゴーティからライヴのお誘いメールが沢山舞い込んでくるようになった。そのほとんどがよく知らないアーティストばかりだ。その巧みな誘い文句や山ほど貼り付けてくれているビデオを観て、いつも行ってみたいなあとは思ってるんだけど、なにしろ鎌倉はうちからぶらっと出かけられるような場所じゃないし、特に今年になってからは殆ど隔週でいろんなライヴに出かけているから、よく知らない人のライヴにまで足を運ぶほど先立つものが許してくれる状況ではなかった。

今日これから書くゲイリー・ジュールズとジム・ビアンコも、ファウンテンズ・オヴ・ウェインの翌日ということもあり、気になっていながらもスルーしてしまうつもりでいた。ところが、別件でゴーティの松本さんに連絡したとき、「グレン・ティルブルックとか好きならゲイリー絶対気に入るから騙されたと思ってまあ来てみろや」という趣旨のメールをもう少し丁寧な物言いでいただき、そこまで言うならと、まず試しにゲイリーのファースト・アルバム『Greeting From The Side』を某通販サイトの某市場場所で捨て値同然で購入。数回通して聴いた時点で、僕はツアー最終日となる下北沢La Canaでのチケット申し込みメールを送っていた。だってこんなの聴き逃すなんてありえないでしょう。申し込みメールの返信で松本さん曰く「ライヴはもっといいですよ」。わかりましたよ、騙されたと思いながら行ってみましょう。

ということで当日。ぎりぎりに申し込んだ僕は前売りチケットのお客さんが全員入ってから入場という話だったので、急いでもしょうがないと開場時刻の7時を少し過ぎるまで会場のはす向かいの某レコファンで時間潰し。ところが、買ったばかりのコステロのライヴ盤をカバンにしまいながら会場に辿り着くと、チケットを持ったお客さんはほとんどおらず、思いがけずすっと入場することができた。おかげでかなりいい位置で観ることができたよ(アーティストと興行主の名誉のために書いておくと、チケットを持ったお客さんは皆さん余裕を持って来られたようで、僕が入場した後にどんどん入ってきた観客で会場はほぼ満員だった)。

下北に来たときはいつも前を通っているLa Cana(なにしろレコファンの前だから)、中に入るのは初めてだ。ちょっと薄暗くて雰囲気いい場所だね。ステージは木箱のようなものを並べて高くしてあるから、背の高いアーティストなら低くなった天井に頭をぶつけそうなくらい。観客席にはあちこちから集めてきたような様々な種類の椅子。

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ステージの上にはギターが2本とピアノ。ギターは両方ともクラシック・ギターだね。近くでまじまじ見たわけじゃないけど、たぶん両方とも張ってあるのはナイロン弦かな。こういうフォーク系の音楽を演っていてクラシック・ギターを使う人は初めて観るよ。


まずは、一週間の日本ツアーで覚えたであろう「コンバンワ」とかの簡単な日本語であいさつしながら、山高帽をかぶったジム・ビアンコが登場。上の写真では左側にある、ちょっとボディが(色も厚さも)薄い方のギターを手に取ると、ピックアップマイクみたいなのをサウンドホールの下に取り付ける。あれ?ストラップしないんだね。演奏中とかに見ていたら、そのマイクが首にかけている細い紐につながっているように見えたけど、別にそれで支えているというわけではなさそうなので、基本的にはガタイのでかいジムがストラップもなしで文字通りギターを抱えて歌うという図。

繊細なギターに野太い声。まず1曲目はしっとりとしたバラッドで開始。実は、ゲイリーのCDと前後してジムのも注文していたんだけど、残念ながらこの当日まで入手できず(ライヴから帰ったら届いていた)、ユーチューブとかで何曲か観た以外には彼の曲はほとんど予習できていなかった。というわけで曲名はほとんどわからないのでご容赦のほど。

一転してブルージーなギタープレイの2曲目「Downtown」。わあ、クラシックギターをこんな風に弾くんだ。かっこいい。なんでこの曲はタイトルがわかるかというと、ライヴ終了後にその場で買ったCDにサインをもらっていたときにジムが「このアルバムからは今日2曲演ったよ。これとこれ」と言うから、「あ、この『Downtown』ってのは1曲目だっけ?」と聞いたら「いや、2曲目」という会話があったので。間違えはしたけど、一応、よく覚えてるな、という顔で見てはくれていたよ。

曲間のMCも日本人にわかりやすいようにゆっくり喋ってくれるから、ただでさえ野太い地声がまるで回転数を落としたレコードみたいに聞こえる。「日本を離れるのは寂しいよ」とかそういう話題だから、たぶんあそこまでゆっくりしゃべってくれなくてもみんなわかると思うんだけど。「Devilは日本語でなんて言うの?」と訊いてから始めた曲は、ディスコグラフィーを見て推測すると「To Hell With The Devil」というやつかな。

「Elevator Operator」という曲の前で松本さんをステージに呼び、突然「通訳をやれ」と。あっけにとられながらも歌詞を一言一言全部訳す律儀な松本さん。ジムは途中で自分の歌詞を思い出せなくなり、「ちょっと待って」と後ろを向いて、早送りでギターのコードを押さえながら小声で歌って歌詞の続きを思い出す。パートタイムの秘書をやっている彼女がほんとはエレベーターガールになりたいと思っていて、その他にもエルヴィスのそっくりさんとかワニ皮の靴職人のアシスタントとか変な職業に就きたいという、ヘンテコな歌詞がおかげでよくわかったよ(笑)

その次の、長い歌詞を早口で歌う曲を終えた後、「ケイジ(松本さん)、これも訳してくれ」と冗談めかして言うジム。ははは、最初始まったときはジムも僕ら観客もどことなく固い感じだったけど、もうこの頃にはこういうジョークがポンポン出るようになってきたね。

何曲目だか忘れたけど、ゲイリー・ジュールズを呼び、自分はピアノに移動して、ギターとコーラスを任せる。出てきたゲイリーを見てびっくり。僕は彼の姿は98年のファーストのジャケぐらいでしか見たことなかったから、真っ白な髭面に野球帽をかぶった小柄な彼を、失礼ながらどこのお爺さんが出てきたのかと思ってしまった。一瞬J.J.ケールかと。そうか、そういえばあれは14年も前の写真なんだ。

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Gary Jules 『Greeting From The Side』

野太いジムの声に重なる、繊細なゲイリーのハーモニー。うわ、これすごい。ぞくっとするね。一週間にわたるツアーの最終日だから演奏も息が合ってるのは当然なんだろうけど、一旦完璧に合わせるまで一緒に練習して、その後であえてルースに崩してみせている(でも実は最後には完璧に合ってる)みたいな共演が見事。どんだけ懐が深いんだと思わされる。

ある曲で、ジムとゲイリーがそれぞれギターを持ち、観客席の後ろの方に行ったと思ったら、一人の女性客を囲んで歌い始めた。常連客(特に女性)の誕生日にアーティストがバースデイソングを捧げるというのはグレン・ティルブルックジム・ボジアのライヴで経験済みだから、きっとこの日はあのお客さんの誕生日なんだろうなと納得。演奏している曲は特にバースデイソングとかではない感じだけど。なんだか照れくさそうにしているけど、さぞかし嬉しいだろうね、こういうのは。

第一部はそれ以降は基本的にはジムがピアノ、ゲイリーがギターというスタイル。第一部終了までで1時間程度。「5分か10分で次はゲイリーが一人で出てくるから」と言ってステージを降りたけど、みんなトイレ行ったりするから当然5分や10分で第二部が始まるわけもなく、僕はギネスのパイントグラスを手に席で待機。こぼれないようにゆっくり席に戻ろうと思っていたら、ゲイリーが「それは泡が落ち着いてから飲め」と。はい、わかっております、お爺さま(笑)


第二部。ゲイリーがふらっとステージに上がり、ギターのチューニングをしたかと思うと、そのまま挨拶もなくいきなり歌い始める。なんと形容すればいいんだ、この声は。さっきは“繊細”なんて書いたけど、単に細い綺麗な声というわけじゃない。ウィリー・ネルソンみたいなカントリー声になるときもあれば、マイケル・スタイプのように聞こえる瞬間もあるという、なんとも魅力的な声。僕が彼のCDを聴いて惹かれたのは、彼が書く美しい曲だけでなく、この声によるものが大きかったんだと思う。

ところで、Garyというファーストネームを僕はいつも「ギャリー」と表記している。NZに住んでいたときからネイティヴの実際の発音をカタカナ表記するとそれが一番実際に近いと思っていたからそうしていたんだけど、今回ジムが彼を呼ぶのを聞くと、「ギャリー」とも「ゲアリー」とも「ゲイリー」とも聞こえる、なんとも表現しがたい発音(もともとこもって聞こえる声だし)。というわけで、今回はあまり知名度のない彼の名前をネット上で少しでも連呼して広めるために、あえて一番一般的な「ゲイリー」表記とすることにした。

2曲目は、ニール・ヤングの「After The Gold Rush」のカバー。まるでニール本人かという(いや、あの不安定な音程のニールよりはよっぽどしっかりした)繊細ながらも芯の通った綺麗な歌声。これは沁みるね。

「24年前、僕は東京に住んでいたんだ。9か月ほどの間、好きな女の子がいてね。19歳の頃だったな」とゲイリー。え、なに、今43歳なの?その見かけで(失礼)僕より年下なの?(と、とても若いとはいえない見かけの僕があえて言わせてもらいますが)。「六本木に住んでいたんだけど、1か月の家賃が僕の年収よりも高かったんだ」だって。そりゃ、バブル絶頂期の六本木なんてそうだろう。その彼女と別れたときに書いたという曲を、この24年間で初めて披露。ライヴ終了後にタイトルを訊いたら、しばらく考えたあとで「Fear Of Falling」だと教えてくれた(単に出だしの歌詞がそうだっただけで、本当はタイトルなんて付けてなかったのかもしれないけど)。

「JB、ピアノ頼むよ」とジムを呼び出すゲイリー。ジムのことそう呼んでるんだね。ここから後半は再びジムがピアノ、ゲイリーがギターという布陣でしばらく進む。さっきと違ってジムのコーラスはあまりないけど、どこまでが即興か区別のつかない奔放なピアノとギターの絡みが最高。ゲイリーのヴォーカルはピンでも十分以上に聴き応えあるしね。

ボブ・ディランの「The Times They Are A-Changin'」をぶっきらぼうに歌いだすゲイリー。冗談なのか本気なのか判別つかない。セカンドヴァースあたりでちょっと吹き出しそうになったのはやっぱり冗談のつもりだったのか?ジムも「お前なにやってんだ?」てな顔でピアノも弾かずに頬杖ついてゲイリーの顔を見上げている。すると、その曲をふっと終え、続けて「Ghosts」へ。名曲満載のファーストの中でも僕の大のお気に入りだ。さっきの似非ディランのときとは声に宿るオーラが違うよ。崇高なピアノの音とも相まって、ちょっと涙出そうになる。

どの曲だったか忘れたけど、ある曲を終えた瞬間にカポの位置を1フレット内側にずらし、続けて「Falling Awake」を弾き始めた。うまいねーと思っていたら、どうやらチューニングがずれていたみたいで、曲の途中で咄嗟にエフェクターを踏んでオフにし、歌詞の語尾を「えーーーーー」とか言って延々引っ張りながらチューニング。あーあ、せっかくかっこよかったのに(笑)。でも、そういうのまで一つの見どころにできるほどの芸の細かさ。やっぱりうまいなあ。そして、この曲からは確かメドレーでボブ・マーリーの「No Woman No Cry」を続ける。

あんなに綺麗な曲を書ける人が、それでもこんなに沢山のカバー曲を挿入してくるというのは、観客が知っているであろう曲を披露するためという理由に加えて、ゲイリー自身が音楽ファンとしてそういう曲を演奏するのが楽しいからじゃないのかな。だって、繰り出してくる曲がことごとく、僕とそう大きく年齢の変わらない彼がおそらく青春時代にリアルタイムで聴いていたような曲ばかりだから。

映画の挿入曲としてヒットしたという、ティアーズ・フォー・フィアーズの「Mad World」もその一つ。ファーストに続けて事前に購入した04年の『Trading Snakeoil For Wolftickets』に収録されているそのカバーは、ティアーズ・フォー・フィアーズのオリジナルよりも優れていると思うし、この夜に披露してくれたヴァージョンはそれに輪をかけて素晴らしいものだった。

オリジナルよりも思いっきりスローにアレンジされたチープ・トリックの「I Want You To Want Me」もそう。なにか他の曲にまたしてもメドレー形式でくっつけて歌われたドン・マクリーンの「American Pie」も同じく。この曲は24年前に六本木のバーで弾き語りをしていたときにいつも歌わされていたって言ってたっけ。

「Barstool」のコーラス部分を観客に練習させてから一緒に歌ったのも楽しかったな。これは、僕の持ってる2枚のアルバム両方に収録されている、きっと彼にとってもお気に入りの一曲(松本さんが物販で他のお客さんに話しているのを立ち聞きしたところによると、『Trading〜』が再発されたときに最収録されたらしい)。

第二部も約1時間ほどで、最後の曲はジムもギターに替えて二人で並んで歌って終了。素直にステージを降りて観客席を通り抜けてバーの方に消えるジムと、何故かステージわきの物置みたいなところに入っていくゲイリー。アンコールの拍手を受けて、ゲイリー物置から再登場(笑)

松本さんに感謝の言葉を述べながら、レオ・セイヤーの「When I Need You」をおどけて歌う二人。「今のはジョーク。これがアンコールの曲」と言って演奏し始めたのがビートルズの「Two Of Us」。途中でハモるのを失敗して最初からやり直し。オリジナルはもちろん、映画『I Am Sam』のサントラのエイミー・マン&マイケル・ペンのヴァージョンもニール&リアム・フィンのヴァージョンもどれも好きだけど、この二人の全く異なる声質でのハモリも最高だ。願わくは、グレン&クリスのヴァージョンなんかも聴いてみたいな(突然妄想開始)。

もう一度ステージを降り、もう一度バックステージと物置から現れる二人(笑)。「これが本当に最後だからね」と、再度チープ・トリックの今度は「Surrender」。観客大合唱。ああもう、みんな(多かれ少なかれ)同じ世代なんだから。


物販の様子を見ていると、かなりの数のお客さんがCDを買っていく。まあ、二人ともどこのCD屋でも手軽に入手可能というわけじゃないからね(少なくとも僕は、毎週のように通い詰めている某あっちのレコ屋や某こっちのCD屋で彼らのCDを見かけたことがない)。それに、あの生演奏を聴いた後なら、誰もがCDを買って帰って追体験したいと思わずにはいられないだろう。

面白かったのが、どのお客さんも松本さんにどのCDがお勧めかと聞いて、松本さんが「ゲイリーなら1曲しか演らなかった新譜じゃなくてこっち(一つ前のアルバム)」と勧めていたこと。新譜売りたくないの?(笑)。「ジムの最新作には歌詞を書いたマグネットが入っていて、切り離して遊べるんですよ」とか。

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僕が買ったジム・ビアンコの2枚のCD。左側が、ブートかと思うような白地に表面スタンプ、裏面ステッカーという簡素な造りのライヴ盤。収録されている曲から推測して最新作に前後して出たものかと思い、サインをもらいがてらジムに訊いてみたら、去年出た新作『Loudmouth』とほぼ同時期の録音だそうだ。右側は、数年前の来日時に松本さんが作った(?)8曲入り『Steady』。こちらも、ブートレグでも最近もう少しましに作るだろうというような(笑)お手製感満載なペラジャケ。最初の方に書いた「Downtown」はこのCDに収録。

観客からサイン攻めにあっているゲイリーに比べて比較的ヒマそうに座っているジムに話しかける。もう5回目の来日だって?来年もまた来る?「来年はぜひバンドで来たいね。普段アメリカではバンド編成で回ってるんだ」。「このオレンジ色のジャケのはもうあまり売ってない。何年か前に日本に来たときの来日記念盤だ。レアだけど、この中から今日は2曲も演奏したよ」等々。

僕の後ろでサインを待っている女性ファンに気づいて場所を代わる。『Loudmouth』からマグネットを取り出し、「こうやって遊ぶんだ」と、マグネットを次々に切り離し、ジャケに単語を置いて教えるジム。なるほど、そういうマグネットか。でもあのお客さん、持って帰るときにピース無くさなければいいけど。

あ、そういえば、あの二人で取り囲んで歌った女性客は誰だったの?と訊くと、なんと「いや、実はよく知らないんだ。別に誕生日でもないと思うよ。ゲイリーが率先して歩いていって、ああいうことになったんだけど、悪いことしたかな(笑)」だって。。どうりで照れくさそうにしてるわけだよ(笑)

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持参した『Trading〜』のジャケにサインをもらい(会場で売ってたのはデジパックだったな。ちょっと残念)、ゲイリーに薬指の刺青を見せてもらって同じポーズで写真を撮らせてもらう。

ゲイリーともしばし話す。「次に来るときは息子と一緒に来たいと思ってる。8歳になるんだ」。いくら「バンドで来る?またジムと一緒に来る?」と質問しても「息子と一緒に」と答えるゲイリー。子煩悩だね。次の来日(来年?)までには新作をリリースする予定だとのこと。それまでは、今回会場で全部揃えたバックカタログを聴いて予習しながら、楽しみに待っていよう。


さて、時刻も11時に近づき、お客さんは一人また一人といなくなる。でも、ライヴ終了後にサインをもらったりアーティスト本人とダラダラ喋りながらいつまでも会場に居座るのが僕らグレンヘッズの常(笑)。この日も、もう他のお客さんがほぼ居なくなった後、ジムは赤ワインを飲みながらおくつろぎモード、ゲイリーはまだ僕らと話していたところ、松本さんがゲイリーに「この人たち、グレン・ティルブルックのファンだよ」と言ったら、なんとゲイリーがギターを持ってきて、その場で「Pulling Mussels」を弾き始めた。

歌詞はあちこちうろ覚えで鼻歌みたいになったけど、そこは僕らが一緒に歌ってそれなりにフォロー。どうせワンコーラス程度だろうと思いきや、間奏も入れてちゃんと最後まで歌いきってくれた。あの難しいギターソロも途中までちゃんと弾いてくれたし(「そのソロは難しいぞ」とくつろぎながら茶々を入れるジム。でも偉そうにふんぞり返りながらも一緒に歌う)。それにしても、なんであんなの練習もせずに即興で弾けるんだ?すごいよゲイリー。

わずか限定3名向けの超スペシャル・アンコール。しつこく居座っていた甲斐があったよ。松本さん、ありがとう。おかげさまで、ただでさえよかったライヴが本当に特別なものになりましたよ。そしてなによりも、こんな素敵なライヴにしつこく(笑)誘ってくれてありがとう。これでまたCDを全部集めないといけないアーティストが増えてしまった(ゲイリーのはとりあえず揃ったけど)。


ライヴ2日後の今日、東京は暴風雨。本当は一日中会議が詰まっていたんだけど、午後3時頃には夕方にかけて首都圏の交通網がマヒするからと、会社から退去命令が出た。おかげで、週末まで書けないかと諦めていたこの記事も、まだ記憶が新鮮なうちに書き終えることができたよ。きっと、僕の音楽の神様が、友達の雷様みたいな奴(イメージ:往年の高木ブー)に言って天候を調整してくれたに違いない。

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2012年04月01日

Fountains Of Wayne live in Tokyo

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いいライヴだったというのはもちろんだけど、昨夜のこのライヴのセットリストが僕にとってどれだけ特別なものだったかという気持ちを少しでも共有してもらうために、ちょっとライヴとは関係ない前置きを。

僕がファウンテンズ・オヴ・ウェイン(以下FOW)をきちんと買って聴き始めたのは、彼らがもうすっかりメジャーになった後のこと。記録によると、06年に過去盤を何枚か買ったのがきっかけだったようだ。それまでももちろん名前は知っていたし、音もまあそれなりに自分の好きなパワーポップ系ということで嫌いではなかったんだけど、どうも100%しっくりくるという感じではなかったというか。

僕にとってその程度の位置づけだったバンドが、07年のアルバム『Traffic And Weather』を聴いて自分内で大きく前進。そのアルバムは07年の個人的ベストアルバムにも選ばれた。昔からのファンにはイマイチ受けが悪かったアルバムだったけど、引用した記事に書いたように、昔ながらのパワーポップに加えて「Fire In The Canyon」みたいなカントリー系アメリカン・ロックの王道を行くような曲が収録されていたのが大きい。

そんなことを言うなら、その前作(編集盤は除く)にあたる『Welcome Interstate Managers』には「Valley Winter Song」なんてのが実は入っていて、ああそうか、この人たちって単にパワーポップバンドとして括らない方が自分にとってはしっくりくるぞ、そして、そういう王道アメリカンバンドとして捉えたこのバンドは、自分の中では相当上位に来るぞ、と再認識させられた次第。

昨年の個人的ベストアルバムに選出した『Sky Full Of Holes』に収められた「A Road Song」がそれらと同じ系統の曲であり、僕がその曲をこの新作中一番気に入っているというのは、昨年末に作った「2011年のベストアルバム10枚から1曲ずつ選んだミックスCD(暫定版)」を聴かれたことのあるこの世に10名程度の人ならもうご存知のはず。

FOWの昔からのファンの中には随分熱心な方が多いようで、今回の日本ツアーの各地でのセットリストも、ライヴが終わったその晩のうちにもうネットに上がっていた。本当は事前にセットリストを見て内容を知ってしまうのはあまり好きじゃないんだけど、今回だけは上に書いた3曲、特に新作からの「A Road Song」演ってくれるかなとひそかに期待しながらチェックしていた。

毎晩まったく同じセットリストというわけではないけど、初日の大阪、続く名古屋、そして東京1日目のリストを見ると、オープニングと本編ラストの曲は同じで、アンコールもほぼ同じ曲の組み合わせ。本編も多少の曲の入れ替え・順序換えはあるけど、概ね同じようなセットのようだ。

「Fire In The Canyon」は大阪・名古屋ではアンコールで演ったようで、「Valley Winter Song」は名古屋で出ている。でも一番のお目当ての「A Road Song」はどこでも演ってないよ。今回のツアーのセットには入ってないのかな。まあ、地味な曲だからな。大きくセットリストを変える人たちじゃないんだね。それにしても、『Sky Full Of Holes』ツアーだというのに、なんだかやたらと『Welcome Interstate Managers』からの曲を演ってるな。あのアルバムがいちばん好きなのかな。


なんてことを、主に『Welcome Interstate Managers』を予習しながら(新作は暗記するほど聴き込んでいるので)小雨の中を恵比須リキッドルームに向かう。僕はこの会場は確か今回で4回目だけど、(端の方とはいえ)ステージ前の柵にもたれかかれるぐらい前で観るのは初めて。最近、開場〜開演が30分という小さい小屋でのライヴばかり観てるから、もたれられるとはいえ立ったまま1時間待つのは結構つらいけど。

定刻どおり、というか下手したら数分早かったんじゃないかと思うぐらいきっちりした時間に、黒縁メガネに白いシャツというこれまたきっちりしたいでたちのマイク・ヴァイオラが登場。今回FOWの公演が発表されたときには確か彼のことには触れられていなかったから、前座で彼が出るということは大半の熱心なファンがチケットをすでに押さえてから発表されたはず。この豪華すぎる前座が間違いなく今回のFOW公演のハイライトの一つ。前述のセットリストによると、FOWのアンコールにマイクが出た日もあったようだし。

実は僕はマイク・ヴァイオラのことはFOWよりもさらに遅れて聴き始めたので、一応ソロアルバムはライヴ盤も含めて全部持ってるし、キャンディ・ブッチャーズのベスト盤は去年のクリスマスにサンタさんにもらったから、それなりに曲は知っているものの、ライヴで聴いてその場で曲目がわかるというわけにはいかない。こちらもネットでセットリストを見つけたので、それを参考に覚えていることを書いていこう。

ステージに上がり、ジャズマスターを肩にかけて、挨拶もそこそこに1曲目「Soundtrack Of My Summer」。と思ったら、間奏のところで急に演奏を止め、「やあ、東京に来られてうれしいよ」と挨拶。ははは、こんなの初めてだよ。おかしい人だね。それに、声がジム・ボジアそっくりだ。

4曲目、キーボードに移って弾き始めたキャンディ・ブッチャーズの「Let's Have A Baby」の途中でポール・マカートニーの「Maybe I'm Amazed」を挟む。ジム・ボジアも去年この曲演ってたね。この辺の人たち皆これ好きなんだ。

自分がボツにしようとした曲を7歳の娘さんが「それ捨てない方がいいよ」と救ってくれることがよくあるという話。新作『Electro De Perfecto』(このタイトルも娘さんのアイデアだそうだ)からの「Closed Cutter」もそんな中の一曲だそうで、歌い終えた後「変な曲だったろう」と言ってたけど、いやそれほどでもないよ。

マイクのパートはソロセットだと聞いていたので全く期待していなかったけど、ここでFOWのアダム・シュレシンジャーを呼び、「映画の曲を演るよ」と言って、「That Thing You Do!」を。事前に友達にこのタイトルと映画のことを聞いてもピンときていなかった僕だけど、アダムのベースラインを聴いた時点でこの曲かとわかった。

最後は再度新作からの「Get You Back」で締めた、40分弱ほどのコンパクトなセット。なんて贅沢な前座。今回単独公演はないのかな。彼一人でも小さめの小屋なら数日埋められると思うんだけど。もったいない。


楽器はもうほとんどセットしてあったので、15分ほどの休憩を挟んでFOWのメンバーが登場。僕はアダムのことはティンテッド・ウィンドウズのときに観たことがあったけど、クリス・コリングウッドを見るのは初めて。赤茶色の野球帽をかぶったクリスと、前に観たときと同じじゃないかと思った労務者風のシャツのアダムの中心人物2名が、どう見てもその他二人よりもロックミュージシャンらしくないのがなんだかおかしい。

ギターのジョディ・ポーターは胸をはだけた白いヒラヒラのシャツに薄紫色のぴっちりしたパンツ、カールのかかった髪型といい、絵に描いたようなロックンローラー(笑)。ギターのボディーは透明アクリル製だ!(笑)。ドラムスのブライアン・ヤングはどこかで見たことあるなとライヴ中ずっと思っていたけど、そうだ、彼一時ポウジーズでドラマーやってたんだった。

オープニングは事前に調べていたとおり、連日同様「Little Red Light」、かと思いきや、「Bought For A Song」だった。あれ?ここから変えてくるの?もしかして今日は結構違ったセットリストになるのかも。

曲間でクリスが簡単な挨拶を入れる以外はほとんどMCなしでどんどん曲が進む。いやそれにしても音いいね。僕はスピーカーからほど近い場所にいたんだけど、全然うるさくないし。5曲ほど旧作からの曲を続けて演った後、アダムが「僕らはニューアルバムを出したんだ。いや、新しいというほど新しくもないんだけど。そのアルバムからの曲をいくつか演るよ」と言って、「The Summer Place」を。だいたいこのあたりでこの曲を演奏するのも連日同様。

「Richie and Ruben」の前にも曲の内容を解説するアダム。どうやら古い曲はお馴染みだからダーッと続けて演って、新しいのはどういう曲なのかをちゃんと説明しているね。そして、こういう説明は全部アダムからだというところから推察すると、やっぱりこのバンドのメイン・ソングライターは彼なんだろうか。

クリスがそれまで弾いていた黄色いグレッチのセミアコからギブソンのアコギに持ち替えて、アダムが「僕らは色々なことに文句をつける曲を書いているけど、これは気候に文句つけてる曲」と言って演奏を始めたのが「Valley Winter Song」。やった。嬉しいけど、これが出たということは、ほぼ似通った曲調の「A Road Song」はもう演らないんだろうなと、ちょっと残念な気持ちにも。というか、「ニューアルバムからいくつか」というのはたった2曲のことなのかよ。

と思っていたら、またアダムによる解説。「70年代のバンドはよくロードに出ることについての曲を書いていた。僕らもこれでもう一週間ほど日本にいるから、僕らが書いたロード・ソングを演ろう」。え、なんだって?と思う間もなく、一番聴きたかった「A Road Song」が始まる。偶然ではあるけれど、この日に来ることにして本当によかった。観客からのリアクションはいまいち薄かったけれど、そんなの全然関係ない。本当にいい曲。そこはかとなく哀愁漂う歌詞も大好き。

僕にとってのハイライトというだけでなく、コンサート自体もそこで一区切り。アダムが観客を3人ステージに上げ、シャカシャカ鳴る楽器を手渡して、自分はキーボードへ。「Hey Julie」はセットリストによると毎晩これぐらいの位置で演っていたようだけど、毎晩こうしてお客さんを上げてたのかな。

そしてここからは怒涛のクロージングになだれ込む。新作で僕が2番目に好きな「Dip In The Ocean」、かつてグレン・ティルブルックもライヴでカバーしたことがあるという「Red Dragon Tattoo」、メンバーお気に入り(のはず)『Welcome Interstate Managers』のオープニング曲「Mexican Wine」、そしてデビューアルバムのオープニング曲「Radiation Vibe」。もうこの辺は当然解説不要。


アンコールの拍手がいまいち弱かったけど、すぐに再登場。アダムがキーボードの方に行ったなと思っていたら、クリスが「僕らの友達を呼ぼう。マイク・ヴァイオラ!」。ベースレスで、ジョディがエレキ、クリス&マイクがアコギという布陣。クリスが「ホンキートンクなのを演ろう」と言って始めたのが、これまた待望の「Fire In The Canyon」。やった、聴きたかったの全部出たよ。しかも、2番の歌詞をマイクが歌うというスペシャルなおまけ付き。

それまでの3公演では4曲ずつしか演ってなかったアンコール、この日だけは「Survival Car」を追加した全5曲。一番盛り上がる最後の3曲のところはほぼ曲間なしでやりたかったと思うけど、「Survival Car」の後でジョディのエフェクターの調子が悪くなったようで、ちょっと間が開いてしまった。それでも、ラスト2曲「Stacy's Mom」〜「Sink To The Bottom」は大盛り上がり。


僕にとってはこれ以上ないというぐらい完璧なセットリスト。欲を言えば新作からの「Someone's Gonna Break Your Heart」とかも聴きたかったけど(どちらかと言えばこの新作中一番キャッチーな曲を一度も演奏していないことの方が驚き)、もうこれ以上は望みようもないね。密度の濃いライヴだと感じていたけど、MCが少なくてどんどん立て続けに演奏していたせいか、終了時刻は9時を少し回ったぐらい。え、そんなに短かったの?という実感。おかげで、久々に主要メンバーがほぼ全員揃ったいつもの面子(+新加入数名)で、終電までゆっくり飲めたよ。ああ楽しかった。


Setlist 31 March 2012 @ Liquid Room Tokyo

Mike Viola

1. Soundtrack Of My Summer
2. Break Your Heart
3. Till You Die
4. Let's Have A Baby / Maybe I'm Amazed
5. Maybe, Maybe Not
6. Truckstop Sweetheart
7. Closet Cutter
8. That Thing You Do! (with Adam Schlesinger)
9. Get You Back


Fountains Of Wayne

1. Bought For A Song
2. Bright Future In Sales
3. Barbara H.
4. Someone To Love
5. Denise
6. The Summer Place
7. Richie And Ruben
8. Valley Winter Song
9. A Road Song
10. Hey Julie
11. A Dip In The Ocean
12. Red Dragon Tattoo
13. Mexican Wine
14. Radiation Vibe

Encore
1. Fire In The Canyon (with Mike Viola)
2. Cemetery Guns
3. Survival Car
4. Stacy's Mom
5. Sink To The Bottom
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2012年03月26日

Radical Face & Miaou live in Tokyo

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今回のラディカル・フェイスのツアー、僕は東京初日にあたる3月23日(金)の池袋の分しか予約していなくて、最終日の土曜日はぎりぎり直前になるまで行けるかどうか不確かだった。今、日曜日の夜に少し濃い目のハイボールで喉を湿しながら、この週末の記憶を洗いざらいぶちまけるべく準備しているところなんだけど、まず思うのは、最終日も行くことにして本当によかったということ。あやうくとんでもないものを見逃してしまうところだった。

最終日は、というか23日の池袋を除く今回のツアーは、ラディカル・フェイスとミャオウ(miaou)とのジョイントで、前座としてわざわざ大阪からウォーター・ファイ(water fai)という女子バンドが参加。場所は、僕にとってはタマス・ウェルズを最初に観た、懐かしの渋谷O-nest。いつもどおりまず6階に上がり、開場時間まで待機。さすがに3バンド共演だけあって、物販の量が前日とは桁違い。終演後の混雑を予想して、まずラディカル・フェイスの2枚のLPを購入。

時間通りに5階の会場に降り、500円の薄いハイボールで喉を湿しながら開演を待つ。開演時間を10分ほど押して出てきたのは、お揃いの白い衣装を着た5人組。前座のことまであれこれ書いてるときりがないけど、見た目からはちょっと想像つかないような硬派な音。ほとんどインストで、時折変拍子を交えたり、フリーキーなギターソロ(?)が入ったり、なかなか面白い。新作を一週間前に出したばかりで、4月28日にはまたこの同じ会場でレコ発ライヴを演りに来るということだったんだけど、残念ながらさっき調べたら僕その日はもう別件が入ってしまってるよ。次回に期待、ということで。


30分以上のたっぷりとした前座を堪能した後、セットチェンジ。ステージ最前列に左から小さいキーボード、小さい鉄琴、大きい鉄琴、大きいキーボードと、まるでバリケードでも築くように機材を並べるという変わった編成なので、セットチェンジにも結構時間がかかる。ドラムキットや鉄琴のあちこちにチェブラーシカのぬいぐるみが置いてあるぞ。

予習のために、ラディカル・フェイスがミャオウと一緒に録音した「Lost Souls」のビデオはユーチューブで何度も観たけど、このバンド自体にはそれほど興味を持っていなかった。わざわざ事前にCDを買うほどでもないと思っていたし、失礼な言い方をすると、僕にとってはラディカル・フェイスのライヴの2組目の前座みたいなものだと思っていた。

なんていう気持ちも、4人のメンバーが登場して、プログラミングされた不思議なサウンドに鉄琴のキンコンという気持ちいい音がかぶさるオープニングの曲が鳴り響いた瞬間に吹っ飛んでしまった。すごいよ、このバンド。とにかく曲がいいし、音のセンスも特筆もの。ベースの女の子が咄嗟にマレットを持ってキンコンと叩き、ベースの入るパートでそれを床に落としてブンブンとうなるベースに戻るとか、曲の頭でドラマーがステージ前方の鉄琴を叩き、急いでドラムキットに戻るとか、とにかく皆さん忙しそう(笑)。いや、かっこいいよ、マジで。最初見たときはリッケンバッカーのパチもんかと思ったあのベース、ギブソンのリッパーっていうんだね。いい音。覚えとこう。

別に日本のバンドを見下すつもりはないけれど、この音は立派にインターナショナルで通用するよ。前座だなんて思ってごめん。帰りにCD買って帰ろう(ライヴに来て初めて音を聴いて気に入ったからその場でCDを買うなんて、実は僕にとっては結構珍しい話。こう見えて見境なく買ってるわけではないのです)。

ミャオウのパートの最後、さあいよいよ噂に聞いていたラディカル・フェイスとの共演。この瞬間がこの夜の、というよりも今回のツアーのハイライトになるであろうというのは、ツアー中のリリコのブログや一本道さんのツイートで散々喧伝されてきたからね。心して観よう。

結論:涙こそ出なかったものの、こんなに美しい空間が他にあるかと思われるような、至福の10分間だった(本当は何分演ったのか知らないけど)。あのゆったりとした静かなイントロに導かれ、ベンがいつものようにそっと目を閉じてファルセットでハミングを始めた瞬間、二夜連続になってしまったけれど、この日も観に来ることにして本当によかったと思った。これを聴き逃すなんてありえない(とか書いて、昨日の記事に「行きたかった」と早速コメントを入れてくださったxiaoさんの神経を逆撫ですることが本意ではないんだけど)。


この夜のクライマックスは早々に訪れてしまったけれど、もちろんまだ終わりじゃない。ステージから沢山の鉄琴が撤去され、前日のピアノに変わってノードのキーボードがステージ前方に一つと、最初のウォーター・ファイのときからずっとそこにあるドラムキット(タムが一つ取り外されたのはこの時だっけ、それともミャオウの前?)、ずっとシンプルなセッティングになった。あのnestのステージが広く見えるよ。

ラディカル・フェイスの3人がステージに登場したのはもう9時をずいぶん回った頃だったかな。6時半開場なんて、今日はもしかしたら終わったら飲みに行けるぐらい早く終わるかもと思っていたけど、これは長丁場になるぞ。もちろん、前日ほどのフルセットでは演らないだろうことはわかっているけれど。

ベンの前にはヴォーカル・マイクが2本。こちらから見て左側のが通常のヴォーカル用で、右側がコーラスのパートを歌うとき用みたい。前日はTシャツ1枚だったけど、今日はその上にもう1枚チェックのシャツを着てきたね。前の日の方が寒かったのに。

ジャックがドラムス、ジェレマイアがキーボードに着く。ベンが「最初の曲は『A Pound Of Flesh』」と紹介してスタート。実際には、アルバムでその曲につながっている「Names」から始めたから、ここでいきなり『The Roots』オープニングの2曲を演奏。これを聴きながら思ったんだけど、昨日のブログに「Names」を演奏したと書いたのは間違い。演ってないよ、これ。というわけで、あとで消しておきます。

前日よりも若干尺の短かった(かつ、未発表曲とか演らなかった)この日は、ちゃんとセットリストを覚えたはず。2曲目(さっきのを1曲と計算すると)は、前日のバンドセットでのオープニングと同様「Wrapped In Piano Strings」。曲前の説明は前日よりも短めかな。今日は持ち時間が短いから急ぎ気味なのかも(そういえば、メモ用紙を見ながら「えーと、どの曲にしようかな」という時間もずっと短縮されていた気がする)。

前日の“クワイエット・ナイト”はよほど遠慮しながら演奏していたんだろうというのが容易に想像できるほど、この夜の演奏、特にベンのそれは実に活き活きとしていた。あんな陰鬱な曲を書いていながら、ディストーションを効かせて大音量でギターをかき鳴らすのが好きなんだね。

といっても、別にこの日の演奏が雑だったわけじゃない。繊細なアルペジオは冴えわたっていたし、前日ほど頻繁に楽器変更をしなかったせいか、ジャックとジェレマイアの演奏も実に安定していた。そういう意味では、演奏的にも、コンパクトでタイトなセットリストにしても、僕は前日よりもこの日が遥かによかったと思う。もちろん、前日の素晴らしい演奏を貶める気は一切ないけれど、やはりこの長い日本ツアーの最終日ということで3人とも気合が入っていたのかな。

「Winter Is Coming」を演奏する前に、前日にも言っていた「ジャックがこの曲を台無しにしてしまうかも」というのを今日も言ってから演奏したけど、前日にも増して完璧な演奏。少なくとも僕はジャックがこの曲を台無しにしたのを一度も聴いていないよ。曲が始まる前にベンが「うまくいったらあれをやろう」と言ってた“ベリーハイファイブ”を見せてもらったし(見ていない人のために解説:スイーツ好きの二人がシャツをたくし上げて、臨月かと思うような二つの大きなお腹をぶつけ合うという光景は、ジャックが演奏を失敗していたら見られなかったはずの貴重な映像)。

僕の大好きな曲の一つである「Severus And Stone」とか「Always Gold」(もちろんこちらも大好きな曲の一つ)で、ジェレマイアがストラトキャスターのアームを使って幽霊の音を出す。「Always Gold」の間奏のときはジャックもドラムを使ってお化けの音で応答。アルバムのヴァージョンとは全然違うけど、いいね、あれ。

先ほどの「Lost Souls」のお返しのつもりか、本編最後の「Welcome Home」でミャオウのメンバーをステージに呼んでコーラスを任せる(インパートメントのsinさんも呼ばれて引っ張られてたけど、断固として出て行かなかったね・笑)。前日と同様、「曲を知ってたら一緒にコーラスをお願い。知らなくても叫んでいればいいから。もっとアメリカ人みたいに」と言い、曲に入る前に2度ほど観客に練習させる。「声が小さい、もう一度」とか言って。僕はもう二日目だから慣れたけど、これがあの死人の歌ばかり歌ってるラディカル・フェイスのコンサートだとは(笑)

アンコールの「Glory」は素敵だった。前日のこの曲の演奏もよかったけど、これが本当に今回の日本での演奏の最後だとわかっていたからか、実に素晴らしい演奏と歌を聴かせてくれた。そして、アンコールのラストは前日同様、ロビンフッドの曲のメドレーだったんだけど、

ロビンフッドの曲だと、そこまで説明したところでベンがステージ際にいる僕の方に向かって、「ごめん、『Mountains』は練習したんだけど、うまくいかなかったんだ」と、わざわざ断ってくれたんだ。びっくりした。そんな前日のリクエストを覚えていてくれたばかりか、一応は練習していてくれただなんて。そして、そんなことをわざわざ観客席にいる僕に言ってくれるなんて。

ロビンフッドの曲では、前日同様メンバーの2人がマラカスとタンバリンを持ってステージを歩き回る。ジャックに至っては曲が始まる前からステージを降りて観客席でスタンバイ。最前列にいた僕からはよく見えなかったけど、曲の間中、観客席を動き回っていたみたい(ジェレマイアも追って観客席に乱入)。

そういえば、どこで出たジョークだか忘れたけど、前日にジェレマイアの口髭をフレディ・マーキュリー風に整えてあげたらしく、しきりにそのことを言いながら「I Want To Break Free」を歌ったりしてたね。アンコールのときに観客席から「Never Ending Story!」って声が上がったらその曲を歌ったり。この人って、普段もっと暗い曲ばかり聴いてるのかと思いきや、こんなヒット曲ばかりよく知ってるよね。


ライヴ終了が確か10時40分ぐらいだったかな。ウォーター・ファイが始まったのが7時10分過ぎだったから、そこから数えても3時間半。入場した時点からだと実際には4時間ぐらい立ちっぱなしだった。どうりで腰も痛くなるわけだ。ここから、再度6階に戻って物販&サイン会&雑談会タイムの開始。

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まずは、2枚のLPにサインをもらう。『The Family Tree: The Roots』を、僕の去年のベストアルバムだと言ったら、「これを年間ベストアルバムに選んでくれてありがとう」とメッセージを書いてくれた。ちなみに、『Ghost』のジャケットの人物はベン本人だそうで、更に言うと、彼が屋根に座っている建物は、このアルバムが録音された場所だとのこと。

概ねファンに囲まれてサインや写真をせがまれていたベンだけど、暇になる瞬間が時折訪れるようで、そのあたりをうろうろしていた僕と何度も話してくれた。以下、ラディカル・フェイスよもやま話。

『The Roots』に続く『The Family Tree』第二作のレコーディングにはすでに取りかかっていて、おそらく来年のリリースになるとのこと。さらに第三作目はその翌年の2014年になる予定なので、そもそもこのプロジェクトを考え始めた2007年から数えると、7年越しのプロジェクトになるそうだ(もともとは3年ぐらいで終わらせるつもりだったとのこと)。

『The Roots』のリリース直前に『The Bastards: Volume One』がリリースされたように、今後リリースされる2枚のアルバムの前にはそれぞれ未発表曲(というか、その2枚のアルバムからは惜しくも漏れてしまった曲たち)を収録したEPが発表されるそうだ。そして、この壮大なプロジェクトが完成した暁には、3枚のアルバムと3枚のEPをすべて収録した限定生産の本をリリースすることも考えているらしい。

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前日の池袋ミュージック・オルグでの2曲目、“まだ録音していない新曲”というのは、次作『The Branches』に収録される予定の「Mute」というタイトルだそうだ。もっとも、「僕はとても沢山の曲を書いては録音して、最終的にアルバムに収録されるのはその内のほんの一部だから、最後までわからないけどね」とのこと。

ちなみに、前日アンコールの1曲目で演奏されたのは、もともと『The Roots』のシークレットトラックとして彼のウェブサイトに隠されたヒントを頼りにダウンロードできた(今回会場限定で発売されたCD-Rにも収録されているから、そんな面倒な手段は取らなくて済んだ・笑)曲、「Bishop's Song」。

この日の午前中に渋谷の某巨大中古レコード店でLPを漁っていた彼(「12枚買って7000円!」と自慢する姿が他人とは思えなかった・笑)に、「何を買ったの?」と聞いてみたら、デイヴィッド・ボウイの『Space Oddity』とか、キュアの『Boys Don't Cry』とか、サイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water』とか、ラディカル・フェイスがそんなの聴くのかというようなものばかり(いや、別にいいんだけど、もっとマイナーなのを想像していたものだから)。しかも、そのほとんどは、エレクトリック・プレジデントの相棒であるアレックスへのお土産だそうだ。帯付きの日本盤が珍しいからだって。

そうそう、ベン・クーパーの実物を最初に見たときから、身長といい髪型といい(ここ数週間僕も伸ばしている)髭といい、きっと傍から見たら僕らそっくりに違いないぞと思っていたんだけど、一緒に写真を撮ってもらったらこのとおり。

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ミャオウのCDもゲット。メンバー4人(サイドギタリストはサポートだそうで、正式メンバーはMCもしていた方のギタリストと、ベースとドラムスの二人の女性の計3人)のサインと、ゲスト参加しているベン・クーパーのサインももらう。この5人が一同に会することなんてこの先あるかどうかわからないからね、貴重なものを手に入れたよ。ライヴがあれだけよかったから、このCDもちゃんと聴き込もう。

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ジェレマイアとジャックにも、チケットの半券にサインをもらう。ラディカル・フェイスはライヴのたびにメンバーを変えるという話を聞いていたから、ジェレマイアとベンに次にもし来日することがあったら別のメンバーなのかな?と聞いてみたら(そんなこと本人の前で訊くなよと今さらながら自分でも思うけど)、ジャクソンヴィルのミュージックシーンはとても小さなもので、その時々で集まれるメンバーが集まるから、次回も彼らかもしれないし、そうでないかもしれない、とのこと。たとえ次回の来日メンバーが彼らでなくても、それは別に彼らがクビになったとかそういう話ではないんだって。なんかちょっと安心。

ジャックにサインをもらいに行ったら、彼も「『Mountains』できなくて悪かったね」と。彼とは前日話してないのに、なんでそんなの知ってるんだろう。ほんとに3人で練習してくれたんだね、とまたちょっと感動。「あの曲はコーラスが必要だから」と言うから、「僕できるよ」と答えると、「じゃあ次回はスレイベル持ってくるよ」とジャック。彼はずっと冗談ばかり言ってたね。面白いやつ。

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ベンとレコード談義していたときに、いいレコ屋を知らないか?という話になって、翌日安レコの買える店に一緒に行くことになった。というわけで、今日(長々と書き続けていたせいでもう昨日になってしまったけど)は楽しい一日を過ごさせてもらった。オフ日のことまで事細かに書くのは気が引けるから詳細は割愛するけど。

別れるときに、「来年にでもまた来てよ。楽しみにしてるから」と言ったら、「うん、新作と一緒にね」と言ってくれたベン。ほんとに楽しみにしてるからね。僕の2013年と2014年の年間ベスト・アルバムの座は空けて待ってるから。

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Setlist 24 March 2012 @ Shibuya O-nest

1. Names
2. A Pound Of Flesh
3. Wrapped In Piano Strings
4. Black Eyes
5. The Moon Is Down
6. Doorways
7. Ghost Town
8. Severus And Stone
9. Winter Is Coming
10. Always Gold
11. Welcome Home

[Encore]
1. Glory
2. Love Goes On / Oo-De-Lally (?)
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2012年03月24日

Radical Face live in Tokyo

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いろんな意味で予想を裏切られたライヴだった。というか、そもそも僕はこのラディカル・フェイスことベン・クーパーという人には予想を裏切られ続けてきている気がする。

僕が彼のファースト・アルバム『Ghost』を買ったのは、08年のことだった。ジャケットとインナーに写る人物の顔の部分はどちらも加工されていて表情すらわからなかったから、よもやあの悲しげな歌声の持ち主があんなにずんぐりとした熊のような体型、ほぼ坊主頭に髭だらけの丸顔だなんて予想もしなかった。そう考えると、あのジャケに写った人物は(少なくとも今の体型の)ベンではないよね。

そして今日、霧雨の中を池袋まで出かけて観てきた動くベン・クーパー(とその仲間たち)が、あの沈鬱な曲を奏でている人たちと同一人物だとは、自分の目の前で本人たちが演奏するのを観ていても、どうにも受け入れがたい気持ちだった。

まるで、肉体を持った幽霊たちが、互いにジョークを飛ばしながら楽しげにじゃれあっているのを見るような、そんなシュールな場面を目撃したかのよう。


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池袋駅からうまく地下道を通れば、ほぼ雨に濡れずにたどり着くことのできる好立地なヴェニュー、ミュージック・オルグ。地下2階にある、かなり小さなハコだ。聞いたところによると、60人だか80人も入れば満員になるらしい。そして今日は、上の小さな写真を見ればわかるように、前売りの段階で既に60人だか80人のお客さんがここに詰めかけることになっているようだ。

開場に入ると、左の壁際にベンチシートと寄せ集めた椅子が一列に。右側には楽器が並んでるけど、ヴォーカルマイクと左側のベンチとの間はたぶん2メートルもない。どこかで見たな、こんな光景。あ、そうか、レジャー・ソサエティを観たロンドンの船だ。あのときは入場したらもうベンチは一杯だったのでほとんどマイクスタンドの隣みたいな場所に立って観たんだったけど、今回は開場一番乗り。まだ開演まで30分もあるから、ゆっくり座って待たせてもらおう。たとえ前に人が入ってきても、せいぜい自分の目の前には2-3人しか立つスペースがないからそんなに見づらいことにもならないだろう。

開演時刻の8時を少し過ぎたあたりで、サポートメンバーのジャックが登場し、置いてあったテレキャスターを抱えて歌い始めた。ベン同様、顔中を覆うような髭が生えているのは来日直後の写真で見ていたけど、なんだか口髭の先がよじったように上を向いてるぞ。ダリかお前は。

30分ほどのジャックの弾き語り(全然期待していなかったわりには結構よかった)の後、そのまま客席(というか、会場中を埋めた60人だか80人の観客)をかき分けて、ベンともう一人のサポーターのジェレマイアが登場。ジャックとジェレマイアはその辺で待機し、まずはベンがテレキャスター(熊のイラストつき)で演奏を始める。

オープニングは『Ghost』から「Along The Road」。アルバムとはずいぶん感じが違うね。ピアノでなくギターだからか。2曲目、「これはまだ録音していない新曲」というのが始まった。そういえばこの人って完璧主義者でボツ曲がやたら多いという話だよな。この時点でセットリストを記憶する努力を放棄。たしかその次が、「シニード・オコーナーのカバー。ほんとはプリンスの曲だけど有名にしたのはシニード。知ってたら一緒に歌ってもいいよ。ただし、オリジナルよりずっとスローで、ずっと憂鬱なバージョンだから」と冗談交じりに紹介した「Nothing Compares 2 U」。

ここでサポートの2名が配置につく。たしか最初はジャックがドラムスで、ジェレマイアがピアノだったかな。この後もこの二人は曲ごとにどんどん楽器を交換しながら演奏する。器用だね。ジャックがドラムス、ピアノ、パーカッション(タンバリンとかマラカスとか)。ジェレマイアがピアノを弾きながらピアニカを吹いたり、ステージ右側に置いてあったストラトを弾いたり(確か1曲ドラムも叩いたっけ?)。

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3人編成になってからは、ほとんどが『Ghost』と『Family Tree: The Roots』からの曲だった。最初が「Wrapped In Piano Strings」だったかな。でも後は曲順覚えてないや。演奏したことを覚えている曲を順不同で書き記すと、

ファーストから、「Welcome Home」、「Glory」、「Wrapped In Piano Strings」、「Along The Road」、「Winter Is Coming」、「Homesick」。

セカンドから、「Names」、「Black Eyes」、「Severus And Stone」、「The Moon Is Down」、「Ghost Town」、「Always Gold」。

セットリストを決めていないようで、ベンは前の曲が終わるたびにポケットから小さなメモ用紙を取り出し、おそらくそこに書いてある演奏候補曲のリストを一回一回結構長い時間をかけて検討し、ときにはメンバーに「次はXXX」と指示し、ときには何も教えずにいきなり演奏を始めたりする。

メンバーの2人もそれを楽しんでいるようで、ベンが演奏しようとしている曲を想像してそれぞれの楽器について演奏を始める。一度、ジェレマイアが「てっきりあの曲かと思ったからギターを持ったのに、そっちの曲だったか。じゃあドラムだ」とか言ってたのを覚えてる(だから彼がドラムスも担当したと思ったんだけど、でも彼がドラムを叩いてるところを見た記憶がないな。というか、僕の位置からはベン以外はほとんど見えなかったんだけどね)。

そう、最初に書いたとおり、彼らが曲間であんなに冗談を飛ばしながら笑い転げる姿を見て、僕はなんだかとてつもない違和感を抱いてしまった。決して悪い意味でなく、ああそうか、この人たちはこういう普通の陽気なアメリカンなんだなと。

それが、ひとたび曲に入ると、あたり一面ラディカル・フェイス色に染まってしまう。おぼえたての日本語で「イチ、ニ、サン、イチ、ニ、サン」とお得意の三拍子のカウントで始めるんだけど、最初のギターの一音、そこにピアノがかぶさり、ブラシで叩くドラムのフィルインが入り、ベンが目を閉じて歌うと、もうそこは違う世界。

そう、ベンは終始目を閉じて歌っていた。まるで、自分が書いた曲の中の死者たちと交信するためにはそうするしかないとでもいうように。

そういえば、どの曲の紹介だったか、「次の曲では誰も死なない」と冗談めかして言ってたね。どの曲もしっかりと内容を説明してから演奏を始めていたのも印象的。たとえ目の前の60人だか80人の日本人のほとんどが歌詞の意味をろくに理解していないかもしれなかったとしても。「次の曲は『Homesick』っていって、えーと、ホームシックになることについての曲」とか適当なのもあったけど(笑)

「次の曲は『Always Gold』」って言ったときに僕が小さな声で「やった」みたいなことを言ったら、ベンが目ざとくこっちを指さして「彼は知ってるね」とか言ってくれた。それほど、それまでどれだけ曲紹介してもほとんど反応がなかったのを気にしていたのかな。もっとイエーとかヒューとか言ってあげればよかったかな。

この日は“クワイエット・ナイト”だったそうで、できるだけギターにディストーションもかけずに静かに演奏していたようだ(それでも、時おり盛り上がることはあったけど)。それが、終盤の「Winter Is Coming」で「ちょっとだけでかい音でやろう。sin、今日は怒られないよね?」とベン(数日前にカフェで大音量で演奏して怒られたらしい)。「この曲は後半にいくにしたがってスピードが速くなるんだ。それを(ドラムスの)ジャックがいつもダメにするんだよ」なんて言いながら演奏開始。いやいや、全然ダメになんてなってなかったよ。かっこよかった。

「Welcome Home」が本編最終曲。「次の曲をもし知っていたらコーラスのところを皆で歌って。アルバムでは沢山の声が入ってるからそういう風にしたいんだ。曲を知らなくても歌詞なんてない部分だから、隣の人が歌うのを聞いて同じように叫べばいいんだよ」と言ってスタート。結果は、60人だか80人の大合唱。ああ気持ちよかった。

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ベンがギターのストラップを外し、ステージを降りようとする間にもアンコールの拍手がすでに始まっている。そのまま再度3人で楽器を持ってアンコールへ。いちばん最後の曲はディズニーのロビンフッドからの曲のメドレー(って言ってたよね?僕は知らない曲だった)。ジャックとジェレマイアがマラカスとタンバリンを持ってベンの周りを踊りまわるという、よもやこれがラディカル・フェイスのライヴだとは思えないような陽気なエンディング。


終演後は、会場奥の物販とベンの前に長蛇の列。なにしろ今回は日本ツアー限定の7曲入りCD-R『Japan 2012』をはじめ、結構貴重なブツが売り出されてたからね。僕はとりあえずそのCD-Rを買い、ベンにサインをもらう。LPも欲しかったんだけど、わざわざ雨の日に持って帰ることはないかとひとまず放流(僕のことを少しでも知っている人は、このあと放流した物を二度手間かけて買いに行くというのを既に予測しているはず)。

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Radical Face 『Japan 2012』

サインをもらいながら少しだけベンと話す。「明日はもっと騒々しくなるよ」とのこと。「『Mountains』演ってくれなかったね、あの曲好きなのに」と言うと、「あれは3人で演奏するのに向いてないんだ。もっと大人数で演るか、もしくは一人のときかな」と言うから、「じゃあ明日オープニングのソロのところで演ってよ」とリクエスト。「うーん、まず練習してみるね」と言ってくれたけど、果たしてどうなることやら。

ということで、“明日”である今日(もう日付が変わった)、今から約16時間後には僕はまた一番乗りを目指して渋谷O-nestに向かっているはず。ベンは「Mountains」を歌ってくれるだろうか。僕が放流したLP(とその他のシングルやらTシャツやら)はちゃんと売れ残っているだろうか。

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2012年02月19日

The Pains Of Being Pure At Heart live in Tokyo

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純真無垢でいることの痛み、なんて青臭すぎるアーティスト名と、あからさまにジャケ買い心を誘うオシャレな白黒ジャケを見て、へそ曲がりな3年前の僕は逆に手を出さずにおこうとしていた。

それが、あまりにも話題になっていたので、中古で安くなっていたのを買って聴いてみたらなかなかいいなと思ったものの、最近移動中にウォークマンで曲名も見ずに聴くことが多いせいか、アルバム全編似たような曲調ばかりでろくに曲の区別もついていなかった。彼らの曲ってサビのところで曲名がリフレインされないのが多いから、余計にわからないんだよね。

活動初期の入手困難な音源が収録された2枚組編集盤も、なんだかそれまでとは打って変わってちょっと不気味な感じのジャケになってしまったセカンド『Belong』も欠かさず聴いてきたけれど、曲名すら全然覚えられない状態がずっと続いていた。

去年の結構早い時期に発売された今回の来日公演のチケットも、年明けからこんなに沢山のライヴに行くことになるのがもし当時わかっていたら多分僕は買わなかったかもしれない。それぐらい、僕にとってはどうしても観てみたかったというアーティストではなかった。

と、まずはネガティブなコメントを洗いざらい。最近ちょっとライヴ三昧になってしまっているので、どうしても気持ちがちょっと贅沢になってしまっていたというか、慣れからあのライヴ前のわくわくした気持ちが欠けてしまっていたのは事実。

なんて反省の言葉が出てくるほど、思いがけずいいライヴだった。4曲のアンコールまで含めてわずか1時間という潔いライヴに負けないように、簡潔明瞭に書いてみよう(まあ、大方無理だとは思うけどね)。

さすがの人気バンドの再来日公演ということもあって、開場のクラブ・クアトロは(この前のベイルートほどではないものの)開演30分前にはすでに満杯。

前座はウィークエンドというどこかで聞いたことのある名前のスリーピース・バンド。申し訳ないけど僕は3曲ほど聴いたところで飽きてしまった。本編のペインズ・オヴ・ビーイング・ピュア・アット・ハート(長いので以下TPOBPAHと略。略してもまだ長い)の曲がいかに魅力的で、この手の有象無象のシューゲイザー軍団から頭一つ飛びぬけているかということを逆説的に理解させてくれる、そういう意味では最適な前座だった。皮肉な言い方で悪いけど。

凄くタイトなドラムスの音だけは僕は気に入ったんだけど、終演後に一緒に観ていた友達と話していて、あのドラマーきっとフー・ファイターズとか好きなんだろうねと言われ、なるほどと納得。確かにデイヴ・グロールを軽量化したみたいな感じだったね。

前座30分、セットチェンジに30分で、ほぼ定刻通りにTPOBPAHのメンバー5人が登場。ギター&ヴォーカルのキップはセットチェンジのときにずっとドラムキットのところに座っていたので、僕はてっきり彼がドラマーなのかと思っていた(冒頭に書いたとおり僕はそれほど熱心に彼らのことを追っていたわけではないので、アー写を見ても紅一点のペギー以外はどれが誰なのかよくわかっていなかったから)。

セットチェンジの最後に、他のスタッフがチェックした全部の楽器を自分で触ってみて確認していたほどの完璧主義者のキップ、ステージに出てきても「チェック、チェック」とギターやマイクのチェックに余念がない。と思ったら、どうやらベースのアレックスとトランスミッターが入れ替わっていたらしく、交換したトランスミッターを腰につけてようやく開始。1曲目はファーストアルバムから「This Love Is Fucking Right!」。

たぶん演奏曲名が全然わからないだろうと予想した僕は、前日一夜漬けで自分の持っている3枚のCDをちゃんと歌詞を読みながら聴いて予習し、ついでに直近のオーストラリア・ツアーのセットリストを調べていたから、おおよその曲順は予想がついていた。このオープニングも最近のツアーセットそのままの予想どおり。

時々あいさつや感謝の言葉を入れる以外はほとんど曲間もなくどんどん進行していく。僕が聴いていた場所が比較的スピーカーの近くだったということもあって、かなりの爆音。まあ、この手の音楽を小さい音で聴いてもしょうがないからね。轟音に体を委ねる心地良さ。

一応予備の楽器もステージ上には置いてあったけど、最後まで全員が同じ楽器を使い続けた。キップは白のフェンダー・マスタング。アレックスも白いマスタング・ベース。ペギーが赤いノード(赤以外って見たことないけど)。ドラムキットは覚えてないや。セカンドアルバムから新加入のセカンドギタリスト、クリストフは黒いスタインバーガー。スタインバーガーのギターの音を生で聴くのは僕は初めてだったんだけど、あんなにギシギシしたメタリックな音が鳴るんだね。

どちらかというとファースト・アルバムの曲を軸にしてライヴが進行(一夜漬けの甲斐あって、だいたい演奏し始めた曲がどのアルバムに収録されているかぐらいは聴いててわかった)。なかでも、8曲目に演奏したファーストからの疾走ナンバー「Come Saturday」から「Young Adult Friction」、そして疑似モータウンみたいなビートの「A Teenager In Love」という流れが最高だった。似たような曲調ばかりなんてさっき書いてしまったけど、こうして聴くとしっかり盛り上げるべきところにいい曲を持ってきているね。

その3連発の後かな、キップがやっと長いMCを入れたのは。「このあとアシカを観に行ってDJをするんだ。モスコミュールとチューハイ飲んで」とか言ってたから何のことだろうと思って、帰ってから調べてみたら、シー・ライオンズという同じレーベルのバンドが来日していて、この同じ夜にパーティーをやってたんだね。

「日本にはいいものが沢山あるけど、いちばん気に入ったのはレインボーバスとチューハイ。ストロングゼロ、8%」とか言ってたね。レインボーバスって何だ?観光してたのかな。そういえばアメリカにはきっと缶入りのチューハイなんてないよな。

キップに続いてペギーがMC。ところが、ペギーが喋ってるのにかぶせて新人がギシギシとうるさいギターを鳴らして調弦。なんて間の悪いやつなんだ。キップが思いっきり睨みつけてたね。

本編は12曲、わずか40分ほどで駆け抜けた。アンコールの拍手に応えてキップが一人で登場。ファーストアルバムのオープニング曲「Contender」をエレキで弾き語り。アルバムとは全然違うアレンジなのに、これが全然違和感なし。これを聴いて、いかにこのバンドがこの人のワンマンバンドなのかということに気づいた。アルバムもライヴもびっしりと音の壁を築いて構築しているけど、素はこの人のギターとメロディアスな唄だけだということ。アソビ・セクスもそうだったけど、こういうシューゲイザー・バンドがアクースティック・アルバムを作ると意外に曲のよさが引き立ったりするよね。TPOBPAHのアクースティック・アルバム、いつか聴いてみたいな。

アンコール2曲目からメンバー全員が再登場。3曲目、彼らの曲の中で唯一ギターソロのある「Everything With You」でソロを弾くのはやっぱりキップ。うん、ワンマンバンドだね。最後にアルバム『Belong』の最終曲「Strange」で締め、終了後に続いていたフィードバックノイズがぶつっと途切れたところでおしまい。アンコール込みできっちり1時間。アルコール度8%のチューハイみたいにきりっとすっきりしたライヴだった。

日本公演直前のオーストラリア・ツアーや、その前のヨーロッパ・ツアーのセットリストを見ても、だいたい本編10曲程度、アンコールも演ってなかったりしたようなので、本編12曲+アンコール4曲というこの日のライヴは、短かったとはいえ彼らの基準から見ると長いライヴだったのかも。

物販でサイン入りCDとかポスターとか売ってたけど、とてつもない人ごみで近づく気にもなれず(おまけに、クアトロの物販って喫煙所のすぐ隣にあるから、いくら扉付きの喫煙所でも煙がもれてくるから長時間立ってたくないんだよ)。

外に出ると、雪が降り出していた。遅めの晩飯を求めて渋谷の街をさまよっていると、どんどん大粒のボタ雪に変わっていく。楽しい。最近ライヴの後に雪の中を歩くことが多いね。次のライヴはもう3月だからきっともう少し暖かくなっているはず。


Setlist 17 February 2012 @ Shibuya Club Quattro

1. This Love Is Fucking Right!
2. Belong
3. Higher Than The Stars
4. The Tenure Itch
5. Heart In Your Heartbreak
6. Say No To Love
7. Falling Over
8. Come Saturday
9. Young Adult Friction
10. A Teenager In Love
11. Heaven's Gonna Happen Now
12. The Pains of Being Pure at Heart

[Encore]
1. Contender
2. My Terrible Friend
3. Everything With You
4. Strange
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2012年01月26日

Suzanne Vega live in Tokyo

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またこの日も雪。今月早くも5度目となるライヴは、今月2度目のビルボードライブ東京でのスザンヌ・ヴェガ。今回も比較的いい整理番号だったので、懲りもせずまたしても一番前の席に。一緒に行った友達から聞いてはいたけれど、マイクが2本立ててあって、サポート・ギタリストと二人で演るというのがわかる。スザンヌ前の席はもう埋まっているので、もう1本のマイク・スタンドの前に陣取る。スタンドの下にはエフェクターがずらりと並んでいる。

スザンヌ・ヴェガのCDを最初に買ったのは、セカンド『Solitude Standing』が出た87年。CDケースの裏面の表記によると5月21日に発売されたものを、記録によると僕はその約5か月後に買っている。その後のアルバムは、ベスト盤やライヴ盤も含めて全部持っているけど、ファーストだけは今に至るまで買っていないから、確か僕が彼女のことを知ったのはこのセカンドアルバムが出て、シングル「Luka」が話題になっていたからだったと思う。

以来25年にわたって、ほどほどにつかず離れずといった感じで聴いてきたアーティストだけど、ライヴを観るのは今回が初めて。なんだか、ずっとメールとか手紙だけで連絡していた旧友と初めて顔を合わせるような不思議な気分だ。

僕が観たのは21時半開始のセカンドセットだったんだけど、ほぼ定刻通りに終わったファーストセットのお客さんが全員退出するまでえらく時間がかかり、僕らが入場できたのがそもそも予定時刻の20時45分を10分ほど回ってからだった。その流れで、開演時刻も若干押していたように記憶している。

黒いスーツに派手な装飾のついた黒いインナーを着たスザンヌが、ギタリストのジェリー・レオナード(Gerry Leonard)を伴って登場。マイクスタンドの高さから想像はついていたけど、スザンヌって背低いね。160センチぐらいしかないんじゃないかな。25年の間、CDのジャケとかで見慣れた顔はもちろん年齢相応に貫録がついていたけど、なんだかものすごく懐かしい。

「ファーストセットに来ていた人はいる?」というのが最初のことば。「誰もいないの? ひとり?ふたり?」と、パラパラと手を挙げた観客席を見渡しながら喋る。ジェリーが「僕はいたよ」と言うと、「ああ、そうね、あなたのことは見たと思う」と、ちょっとくすっとさせる。

1曲目は、デビューアルバムから「Marlene On The Wall」。僕が今に至るまでファーストを持っていないのは、持っている2種のベストアルバムにそこからほとんどの代表曲が収録されているから。もちろん、彼女の代表曲のひとつと言えるこの曲も。それにしても、デビューの頃から声ほとんど変わらないね。

「When Heroes Go Down」に続けて、最近のセルフ・カバー集『Close-Up』シリーズの紹介をしながら次の曲へ。「Vol 1はラヴソングばかりが入っていて、Vol 2はピープル&プレイセズというタイトル。「Luka」とか「Tom's Diner」はこれに入ってるの。最近出たVol 3には変な曲ばかりが入ってるから、もし変な曲が聴きたかったらそれを買えばいいし、そもそも変な曲なんて聴きたくなければ私のCDなんて買わなければいい」みたいなこと言ってたっけ。「次はラヴソングを演るね」と始めたのが「Small Blue Thing」。

そんな風に、各曲の頭でかなり詳しく曲の説明をしてくれる。あんなに早口で沢山しゃべって、日本のお客さんが全部理解しているかどうか心配じゃないんだろうかと思うけど、時折交えるジョークがそれほど笑いを誘わなくても気にしていない風だったね。わかってくれる人だけわかればいいみたいな感じで。

次の「Caramel」を演奏するのを聴いて、きっと今日のライヴはベストアルバム風に昔の代表曲ばかり演るんだろうなと思ったけど、それに続けて演奏したのは、07年の(オリジナルとしては今のところ最新となる)『Beauty & Crime』からの「Frank & Ava」。「フランク・シナトラの結婚と離婚という壮大なテーマを3分間にまとめた曲」と紹介してたね。

「次の曲は、私が初めて書いたラヴソング。17か18歳のときに山にキャンプに行って、子供たちにフォークソングを教えていたときに、リヴァプールから来て一緒に子供たちを教えていた男の人のこと。キャンプが終わって彼がイングランドに戻り、私がニューヨークに戻らないといけなかったときにこの曲を書いて彼に贈ったの」と説明(最後のオチがちゃんと聞き取れなかった。ふられたみたいなこと言ってたかな)。

というイントロに続けて、この夜初めてジェリーのエレキギター抜きで演奏されたのが、「Gypsy」。僕にとっては、「Luka」よりも「Tom's Diner」よりも、彼女の曲の中でいちばん好きな曲だ。まるで夕日が当たっているようなオレンジ色のスポットライトを受けて一人で歌うスザンヌの姿は感動的ですらあった。この曲が聴けてよかった。この夜の僕のハイライトがこの瞬間。

ここから3曲が、彼女が最近なにかの劇のために書いたという新曲のコーナー。ジェリーの演奏に合わせて、自分はギターを弾かずに、身振り手振りを交えながら歌ってたね。始まって数曲の間は昔からのファン向けの懐古趣味全開なお決まりのセットリストなのかなと思っていたけど(最近出しているのも『Close-Up』シリーズなんてセルフカバー集だし)、でもこのあたりまで来てこういうのを聴くと、彼女は今でもかなり意欲的に現役意識を持って曲を作り、歌っているんだなとよくわかる。

「スザンヌ・ヴェガの世界に戻るよ」と、『Nine Objects Of Desire』から「Tombstone」。昔買っていた猫が死んだときに、小さな船に乗せて川に流し、火をつけて火葬にしたという思い出話につづけて、自分はちゃんと立派な墓石を立ててほしいな、そしたら皆たずねてきてくれるし、ベンチも置いて、なんて話してたね。

ジェリーのギターワークについて。ずらりと並んだエフェクターは伊達じゃなかった。「Tombstone」では最初に弾いた自分のフレーズをループさせて別のフレーズをかぶせたり、次の「Blood Makes Noise」ではピックを弦をこれでもかというほどこすりつけ、あの曲のガリゴリとした音をきちんと再現していた。残念ながら僕の座った位置のせいで彼のギターの音がアンプから直接耳に届いてしまい、時々スザンヌのヴォーカルが聞こえないなんてこともあったけど、曲によってはそれでもいいと思えるほど器用にテクニカルなプレイをするギタリストだった。近くで観られてよかった。

『Close-Up Vol 2』に収録された当時の新曲「The Man Who Played God」の紹介、「この曲はデンジャーマウスと一緒に作ったの。マーク・リンカスに捧げます」と言って演奏を始めた。『Vol 2』のライナーによると、デンジャーマウスとマーク・リンカスのプロジェクトにスザンヌが呼ばれて作った曲なんだね。

「The Queen & The Soldier」(これも個人的には待望だったので嬉しかった)、「Some Journey」と、またファーストアルバムからの曲を続けた後、いよいよフィナーレへ。「フェイスブックで友達申請してね。そしたら5月に出る『Close-Up』の4枚目のこととかすぐわかるし」とか話して、そろそろこれが出るだろうと思っていた「Luka」が登場。さらに贅沢にも「Tom's Diner」に続ける。オリジナルでなく、もはやこっちの方が有名な『Tom's Album』ヴァージョン。ここでもジェリーのループを交えたテクニカルなプレイが炸裂。

一旦ステージを降り、アンコールに応えて二人で再登場。このときステージ後ろのカーテンが開き、降りしきる雪景色が見えてびっくり。もう結構積もってるよ。スザンヌは「Rosemary」を歌って、「サンキュー」と言ってまた引っ込んでしまった。あれ?僕の位置から見えるジェリーのセットリストにはアンコール3曲載ってるのに(曲名までは見ないようにしていたけど、何行書いてあるかぐらいはわかる)。開始から押してたからかな。

と思いきや、これからサイン会があるという。僕はそんなの予測もしてなかったので、CDも何も持ってこなかったよ。しょうがないので売店に行って唯一僕の持っていない『Close-Up Vol 3』を買ってくる(これをまだ買っていなかったのは、どうせ『Vol 1 & 2』みたいに日本盤が『Vol 4』とセットにして発売されるだろうと思ってたから)。

長蛇の列に並んで売店でようやくCDを入手し、また下の階に降りてサイン会の列に並ぶ。いったい何十人並んでるんだろうと思うほどの長い列。観客席の端から端まで、更に階段を上がったところまで続いてるよ。

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30分ほど並んでようやく自分の順が回ってきた。ちょっと話しかけたけど、もうあからさまに疲れの見えるスザンヌ。そりゃそうだよね。1時間以上ライヴ演って、その後すぐに30分以上もサインし続けてるんだから。なんか、サインと一緒に自分の名前も書いてとか言うのも気の毒になり、すぐその場を離れた。

これってどうなんだろうね。そりゃサイン会はそれなりに嬉しいけど、僕としてはサイン会なんてやめにして、セットリストに載っていた残り2曲を演奏してくれた方がよっぽど嬉しかった。少なくとも、あんなに疲れた顔をして、それでも健気にファンに微笑みながら受け答えをするスザンヌを見てるのがちょっと辛かった(ならサインもらわずに帰れよと、今となっては自分でも少し思う)。

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ステージに置いてあったセットリストの写真。終演後、一緒に観ていた友達がこれをもらって、スザンヌにサインしてもらってた。うらやましいけど、僕はとにかくCDの形をしたもの以外の整理能力がないので、こういう紙っぺらは確実にどこかに紛れ込んでしまうんだよね。なので上のCDで十分。

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長かったサイン会のおかげで、晩ごはんをちゃんと食べて帰る時間がなくなってしまった。なのでこの日の晩ごはんは開演前につまんでいたフライドポテトだけ。ほとんど終電間際の電車でたどり着いた駅からの帰り道、つるつる滑る雪道が楽しかったのが、この日最後のハイライトだった。


Setlist 23 January 2012 @ Billboard Live Tokyo

1. Marlene On The Wall
2. When Heroes Go Down
3. Small Blue Thing
4. Caramel
5. Frank & Ava
6. Gypsy
7. New York Is My Destination
8. Anne Marie
9. Harper Lee
10. Tombstone
11. Blood Makes Noise
12. The Man Who Played God
13. The Queen & The Soldier
14. Some Journey
15. Luka
16. Tom's Diner

[Encore]
1. Rosemary
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2012年01月22日

Fleet Foxes live in Tokyo

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この冬初めて東京に雪が降った日。木枯らしの中を新木場駅からスタジオコーストに向かう。雪のせいか何かのトラブルのせいか電車が遅れてしまったんだけど、どっちみちそんなにいい整理番号じゃないから、ちょっと遅れて会場に着いたらちょうど入場するぐらいの時間にあたるだろうと思っていたら、橋の上あたりから見えてきたコーストの入口付近にはほとんど人がいない。いったいどういうことだ。

急ぎ足で入口にたどり着いたら、そのまま待たずに入場。開場からわずか30分ほどで(僕の整理番号だった)500人以上がもう入場済みということ? 不審に思いながら場内へ。先日のベイルート公演で数時間立ちっぱなしでかなり腰にきていた僕は二階の座席に直行しようと思っていたら、なんと二階席は締め切り。

一階の階段部分やもたれられる壁はもう人で埋まっているから、そのまま前の方へ。ステージ左側、前から数人目という、かなりかぶりつきに近い場所で観ることにした。こんなに大きな会場でこんなに前で観るライヴも久しぶりだ。もともと二階席でまったり観るつもりでいたから、予想しなかった臨場感に期待が高まる。この際、腰のことは一旦忘れて楽しもう。

友達に場所を確保してもらってドリンクを取りにいくと、なんと並ばずにゲット。僕はこの会場で飲み物を無事に手に入れられたのは初めてだよ。いつも(開演前も終演後も)長蛇の列で諦めざるを得ないからね。もしかしたら主催者が想定したほどチケットが売れてないのかもしれないけど、いつもこの会場に文句ばっかり言ってる僕にとっては嬉しい展開が続く。

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ステージの背景にはボスポラス海峡に浮かぶ舟の絵。開演前に流れていた音楽は民族音楽風で、どこか2日前のベイルートと東欧趣味が重なる。と思いきや、突然ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがかかったりもする。一筋縄ではいかないね。

開演時間を10分ほど過ぎた頃、メンバーがぞろぞろと登場。背景の絵が消え、降りしきる雪の画像に変わる。この日の天気に合わせたわけではないだろうけど、彼らの音楽によく合ってるね。ライティングが暗いので誰の表情もよく見えない。僕の観ている左側から、キーボードのケイシー・ウェスコット、ベースのクリスティアン・ワーゴ、ヴォーカルとギターのロビン・ペックノルド、ドラムスのジョシュ・ティルマン、ギターのスカイラー・シェルセット、アップライト・ベースのモーガン・アンダーソンの6人。

最初の曲はその楽器編成で始めたものの、みんな相当なマルチ・プレイヤーだ(特にモーガン)。上に書いた楽器以外に、ケイシーはキーボード/マンドリン/テルミン、クリスティアンはエレキギター、ジョシュはタンバリン、スカイラーもマンドリン、モーガンに至ってはギター/フルート/サックス/タンバリンと、弦楽器/管楽器/打楽器全部こなしていた。この人僕の位置からはいちばん遠かったのでちょっと表情までは見えづらかったんだけど、びっしり生えた髭がマット・ジ・エレクトリシャンみたい。ああいう髭を生やすとマルチ奏者になれるのか?

アルバムで聴いていたとおり、やはりコーラスが素晴らしい。リード・ヴォーカルのロビンに合わせて常にコーラスをつけるのはベースのクリスティアンとドラムスのジョシュ(最初、ドラマーが彼だということを忘れていて「へぇ、ドラマーがコーラス入れるんだ」なんて思ったけど、よく考えたら彼はもう何枚も自分のヴォーカル入りのアルバムを作ってるんだもんね)。たまにケイシーも入って四声のコーラス、モーガンがコーラスを入れる曲もあったけど、スカイラーの前にだけはヴォーカルマイクが立ててなかったね。歌下手なのかな。クイーンでいうジョン・ディーコンの立場か?

何曲かはメドレーのように曲間なく演奏したりしていたが、それ以外は1曲1曲終えるたびに実にゆっくりと時間を取って調弦したり喉を潤したりしていた。ロビンはほとんどMCらしいこともせず、もうほぼ「サンキュー」ぐらいしか喋らないので、あの曲間の間(ま)がやたらと長かった気がする。どんなに盛り上がった曲でも、演奏後にそうやって1分ぐらいの間があるんで、ライヴの流れがそのたびに断絶されてしまったのがちょっと残念。

ちょっとした不満があったとすると、それだけ。あとは、さっきも書いた極上のハーモニーと常に安心して聴いていられる盤石の演奏。背景の雪の画像に重なる雪山やレトロな味わいの幾何学模様も彼らの音の世界にすっと入り込む手助けをしていた。比較的ステージ近くで観られたということもあり、どっぷりと至福の時間に浸れる。

僕の位置からよく見えた長髪のクリスティアンの容姿のせいか、途中何度か(70年代の)ピンク・フロイドを観ているような錯覚に陥った。そういえば、フリート・フォクシーズの曲のメロディーって、神秘以降狂気以前のピンク・フロイドっぽかったり、ときにはアメリカ(バンド名)っぽかったりするね。いずれにせよ70年代前半の匂いがぷんぷんする(以前書いた記事では、ファーストのジャケにひっかけて、1550年代っぽいなんて書いたけど)。

コンサート前半は昨年出たセカンドアルバム『Helplessness Blues』からの曲を続け(2曲目でいきなりEP『Sun Giant』から僕の好きな「Mykonos」を演ってくれたのが嬉しかった)、中盤でファーストからの数曲を挟み、後半はまた『Helplessness Blues』の後半をそのままの曲順で、という構成。彼らの代表曲の一つである「White Winter Hymnal」はいきなりアカペラで始まるアルバム・ヴァージョンにギターのイントロが付け加えられていたけど、その他の曲はほとんどスタジオ・ヴァージョン通りのアレンジだったと思う。

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Fleet Foxes 『Helplessness Blues』

本編終了まで1時間15分程度。その後アンコールに応えてロビンが一人で出てきて、「この曲はリクエストされたんだ」と僕の知らない曲を弾き語り(あとで調べてみたら、新曲らしい さらに調べてみたら「Katie Cruel」というトラッドなフォークソングらしい)。さらに弾き語りで「Oliver James」を歌った後、バンドメンバーが全員登場して数曲。けっこう長いアンコールだった。本編〜アンコールで全部で2時間近く演っていたと思う(ただし、曲間の沈黙を全部寄せ集めると10分以上にはなったかも)。

ロビンの数少ないMC(そのほとんどは感謝の言葉だった)のうち、「今日の東京でのライヴが今回のツアーの最終日なんだ」というのがあったけど、アンコールの最後はそれを証明するかのように全員で体力と気力を振り絞った演奏。終了後、ジョシュが自分のドラムキットからシンバルを外し、お客さんにあげていた。なんでそんなことまでするんだろう。お客さんも、あんなのどうやって持って帰るんだ?

僕は帰り道に友達に聞いたんだけど、この日のライヴの数日前にジョシュがフリート・フォクシーズ脱退を表明していたらしい。ソロに専念するんだって。なんてこった。それがあってのあの最後の力ずくの演奏とシンバル進呈だったのか。そのうえ、調べてみたら、ベースのクリスティアンとキーボードのケイシーがプア・ムーン(Poor Moon)という別バンドを作ってサブポップと契約、フリート・フォクシーズ自身はサブポップとの契約は切れてしまったそうだ。なんてこった。このまま解散とかいうんじゃないだろうな。

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そう思うと、終演後に降りしきる雪の画像の上に投影されたこの謝辞が、彼らからのお別れの言葉みたいに見えてくるよ。おい頼むよ、解散なんてしないでくれよ。こんなにいいライヴを見せる息の合ったバンド、あまりにももったいないよ。


Setlist 20 January 2012 @ Studio Coast

1. The Plains / Bitter Dancer
2. Mykonos
3. Battery Kinzie
4. Bedouin Dress
5. Sim Sala Bim
6. Your Protector
7. White Winter Hymnal
8. Ragged Wood
9. Montezuma
10. He Doesn't Know Why
11. English House
12. The Shrine / An Argument
13. Blue Spotted Tail
14. Grown Ocean

[Encore]
1. Katie Cruel
2. Oliver James
3. Sun It Rises
4. Blue Ridge Mountains
5.Helplessness Blues

(曲目訂正しました)
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2012年01月20日

Beirut live in Tokyo

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何故あんなに人気があるのかわからない。

いや、自分が好きで行ったコンサートの感想がいきなりそれじゃ身も蓋もないけど、この「何故」はもちろん「人気がある」ではなく「あんなに」にかけたつもりだ。

最初のCD『Gulag Orkestar』が確か06年発売だから、もうキャリアは足かけ6年にもなるし、オリジナル・アルバム3枚以外にも結構内容の濃そうな(僕は持ってないので)EPも何枚か出ているようだから、今回の初来日は昔からのファンにとってはそりゃ“待望の”という感じなのかもしれない。

でも、07年の『The Flying Club Cup』を、NZから日本に引っ越してくる前日に買って、そのいにしえの東欧風味みたいなエキゾチックな音を気に入って以来、さかのぼってファースト、去年のサードと、アルバムはきちんと買ってはいるものの、どうも一曲一曲をよく覚えられないという程度のにわかファンである僕にとっては、今回のこの来日フィーバー(死語)には違和感を覚えてならなかった。

Gulag Orkestar.jpg Beirut 『Gulag Orkestar』
The Flying Club Cup.jpg Beirut 『The Flying Club Cup』
The Rip Tide.jpg Beirut 『The Rip Tide』


あの音のどこにそれだけのファンを惹きつけるだけの要素があるんだろう。アルバムごとに少しずつ違う、どこか訪れたこともない異国の楽団が奏でているような不思議な音楽はすごく魅力的ではあるし、フロントマンのザック・コンドン(Zach Condon)の粋なクルーナー・ヴォイスとちょっとぽっちゃり可愛いその見かけは女性ファンが多いのもうなずけはする。

だけど、一般的な意味では全然ポップではないよね、あの音は。あれなら、同傾向(だと僕は思う)ファンファーロとかレジャー・ソサエティとかの方がよほど一般受けするような気がするんだけど。僕の耳がもう「一般的」というようなところから遠く離れてしまっているんだろうか。

東京公演のチケットは発売後すぐに完売。確か追加公演もとっくに売り切れてたはず。最初はオープニング・アクトのトクマルシューゴ人気なのかと思ったけど、トクマルが出番を終えたときにどっと前に押し掛けたファンの数をみるとどうやらそれだけでもなさそうだ。

チケットに載っていた番号自体は若かったんだけど、招聘元から直接チケットを買ったファンが数百人いたおかげで、手を抜いてイープラスで入手した僕が場内に入れたときにはもうろくなスペースは残っていなかった。しかたがないので一段高くなった壁際に友達と一緒に陣取る。テーブルがあるからカバンや飲み物も置けるので便利。ステージの半分は死角になって見えないけど。


開演時間を少し回ったところでトクマルシューゴがバンドと共に登場。僕は今のところの最新アルバム『Port Entropy』しか持ってないけど、半分ジャケにつられて買ったそのアルバムは結構気に入ってたから、実は今回かなり楽しみにしていた。いったいどんなライヴになるんだろう。

もっと箱庭ポップみたいな感じの音かと思っていたら、予想以上にしっかりしたバンドの音。曲によってはなんだか“ロック”って感じ。なんだかよくわからない例えかもしれないけど。たくさんいたバンドメンバーのうち、僕の位置からは半数ぐらいしか見えなかったけど、女性メンバーがおもちゃの笛みたいなのやらグルグル回して音を鳴らす楽器やらをとっかえひっかえしながら演奏していたのが観てて微笑ましかった。最後のメンバー紹介のときも、ドラマー以外全員を「いろんな楽器、誰々(メンバー名)」って紹介してたね。

知らない曲が多かったのでセットリストは書けないけど、途中で一曲ベイルートのアコーディオン奏者を呼び出して共演したり(トクマルのアメリカツアーのときに一緒に回ってたらしい)、バグルスの「Video Killed The Radio Star」のカバーをウクレレで演ったり、今制作中だというニューアルバムからの曲を披露したりと、全10曲40分程度の充実した内容だった。一番最後に僕の好きな「Rum Hee」を演ったのが嬉しかったな。

Port Entropy.jpg Shugo Tokumaru 『Port Entropy』


大所帯のトクマルシューゴバンドの機材を全部入れ替え(僕から見えなかったドラムキットだけはそのままだったのかな)、マイクやら楽器やらを並べるのに相当な時間をかけて、ベイルートがステージに登場したのはそれから40分後ぐらいだったろうか。大歓声。すごいや。

さっき書いたとおり、トクマルシューゴが終わった時点で後ろの方から客がどんどん前に押し寄せ、一段高い壁際にいた僕の前方にも次々に人が入ってくる。そんなに背の高い人はいなかったけど、もうすでに僕の位置からはステージなどほとんど見えない。しょうがないので観るのは半分諦め、音を聴くことに集中しよう。

最初の一音が鳴った瞬間にまたウォーッと大歓声(女性ファンが多かったはずなのに、何故か野太い声がよく響いた)。ザックが歌い始めてまたウォーッ。すごいねえ。ステージが見えなくてふてくされ気味の僕は逆にちょっと醒めてしまう。アイドルかよ。

でも、そんな状態の僕でも、あっという間に引き込まれてしまう。音すごいよ、これ。ザックと隣の背の低いメンバー(さっきからメンバー名調べるのが面倒で横着してます)のトランペットのアンサンブルがど迫力。反対側(僕からよく見えるステージ左側)のアコーディオン、さらにオルガンがかぶさり、そこにザックのゴージャスなクルーナー・ヴォイスが入ると、化学反応を起こしたようにオーガニックな音になる。

ベースはアップライト(曲によってはエレキベースのときも)。僕の位置からは見えないドラムと一緒に、ずいぶんしっかりした、ときにはかなり複雑なリズムを刻む。このリズム隊のおかげで、ファーストやセカンドのエキゾチックな曲の数々が、それらのイメージはそのままに、洗練された最新アルバムをさらに力強くしたようなアレンジで演奏されていたのがずいぶんと印象的だった。

それにしても演奏うまかったよなあ。特に凄技を見せるわけじゃないけど、安心して聴いていられる手慣れた音。まるで、ほんとうにジプシーの楽団が演奏するのを聴いているみたいな錯覚に陥ることも数度。ステージがよく見えないことが逆に音を聴いていろんなイメージを膨らませるのに一役買ったのかも。

ときどき人の頭と頭の間から見えたザックは、くしゃくしゃの髪の毛にぽっちゃり色白の愛嬌のある感じのお兄ちゃん。ちょっと雰囲気グレン・ティルブルックに似てる? 高揚して鼻の頭あたりが赤くなってるのがかわいいね。腕まくりしたシャツがずり落ちてくるのか、しきりに右手を高くあげて、まるでニール・ダイアモンドのジャズ・シンガーみたいなポーズを何度も取る(そんなこと言っても今の人はわからないか)。

途中でトランペットの兄ちゃんに「ザックは日本語でジョークが言えるんだよ」とか無茶振りされて、カンペを取り出して「日本に来て、みなさんの前で演奏できて、夢のようです」と普通に挨拶するザック。そういえばトクマルパートに出てきたアコーディオンの兄ちゃんもカンペ出して「シューゴのバンドと一緒に演奏できてうれしいです」って言ってたね。ほほえましいぞ。

聴いたことはあるけれど曲名がわからないのが次から次へと。ときどき知らない曲が出てきたから、きっと僕の持ってないEPからの曲かなと思ってたら、ネットで見つけたセットリストによると確かにそうだった。3枚のアルバムからも、オープニングとか印象的な曲ばかりでなく、アルバム中盤とか後ろの方の地味な曲ばかり演るから、余計にわからない。まあ、曲順覚えるのなんてはなから諦めてるから別にいいんだけどね。どの曲も聴いててすごく気持ちいいし。

最新アルバムから、これだけはリアルタイムで曲名がわかった「Santa Fe」で幕。早っ。まだ1時間も経ってないよ。さっきのトクマルシューゴと同じぐらいの尺かも。

壮絶な勢いのアンコールの拍手に迎えられてまずザックが一人で出てきて、ウクレレで一曲弾き語り。続いてバンドメンバーが登場し、アンコールを続ける。「もう一曲?」とザックが言って最後のインスト曲で終了。そこまで入れても1時間ちょっとだったかな。まあ確かに、あれだけの勢いでトランペット吹きまくって、ウクレレも弾いて歌ってたら、これ以上続けたらぶっ倒れてたかも。というぐらい全力投球のステージだった。うん、満足。

これだけべた褒めした後でも、やっぱりどうしてあの音があれだけのポピュラリティを得られるのかはちょっと不思議。僕の聴き込みが足りないのかな。よし、ちゃんと曲名と歌詞覚えるまで何度も聴き込もう。それからEPも入手して、何年後かにもう少し人気が衰えた頃にまた来日してもらって、もっと小さいハコで少ない人数で、かぶりつきで観たいものだ。


Setlist 18 January 2012 @ Shibuya Quattro

1. Scenic World
2. The Shrew
3. Elephant Gun
4. Vagabond
5. Postcards From Italy
6. East Harlem
7. A Sunday Smile
8. Mount Wroclai (Idle Days)
9. Nantes
10. The Akara
11. Cherbourg
12. After The Curtain
13. Santa Fe

[Encore]
1. The Penalty
2. My Night With The Prostitute From Marseille
3. The Gulag Orkestar
4. Cozak
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2012年01月08日

Matthew Sweet live in Tokyo

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2年ほど前にスザンナ・ホフスと一緒に来たのを観たマシュー・スウィートが、またあのときと同じビルボードライブで、91年のアルバム『Girlfriend』全曲演奏という企画で再来日。例によって2日間4公演だけど、たぶんそういう企画ならすべての回で同じ内容だろうから、2日目のファーストセットだけに行くことにした。

この会場では、特にエレクトリック・セットのときは一番前に座るべからずというのをすっかり忘れて、入場時に係員が「本日のライヴは相当音が大きいので少し後ろの席がよろしいのでは」とせっかく助言してくれたのを無視して最前列やや左に陣取る。結果的には、音の大きさは別に問題なかったんだよ、あちこちのライヴハウスでスピーカーの真ん前に立って聴くことは何度もあるから。ただ、音のバランスが最悪。前にここでメイヤー・ホウソーンを観たときに書いたように、自分の席の正面にあるアンプの音が直接聞こえてくるから、マシューのヴォーカルとか僕の席からは遠かったベースの音がほとんど聞こえない。

ステージは右から順にベースのポール・チャスティン、マシュー、ギターのデニス・テイラー、マシューの真後ろにドラムスのリック・メンク。ポールとデニスは前回も一緒に来てギターを弾いてたね。リックとポールはマシューのアルバムではいつもお馴染みの、ヴェルヴェット・クラッシュのメンバー。この中ではリックだけが『Girlfriend』制作に関わってる。

マシューが弾いてるギターは緑色のボディーに金色っぽいピックガードのついた、ちょっと変わった形。ネットで拾ってきた上の写真でも弾いてるやつ。あれどこのメーカーのなんていうギターなんだろう。デニスはずっと白いストラトで、途中1曲だけ(どの曲だっけ)白いテレキャスターに持ち替えてた。ポールは赤いギブソンSGベース。

ライヴは予定どおり「Divine Intervention」からスタート。たしかに音大きい。この会場でこれだけの音量のライヴを観たのは初めてかも。それだけに、やっぱりちゃんと立って体揺すりながら観たいなと思ってしまう。ビール飲みながら観られるのはありがたいけれど。

「昨日来たファンから、アルバムの曲順通り演るとは思わなかったと言われたけど、今日のライヴはアルバム通りだから。では、2曲目」と言って、「I've Been Waiting」へ。そこから先は、曲間でときどきポールと何やらぼそぼそ話す以外はほとんどMCもなく黙々と続いていく。途中、どの曲のときだったかな、「皆そこにいる?」って聞いてきたね。やっぱり日本の客は静かだと思ってたんだろうね。まあ会場も会場だし。

マシューの最高傑作と言われる『Girlfriend』だけど、実は僕にとってはいまいち馴染みが薄いアルバムだということは白状しておこう。アルバムとしては自分がリアルタイムで聴き始めた95年の『100% Fan』の方がずっと好きだし、99年の『In Reverse』こそが最高傑作だと思っている。

『Girlfriend』って、最初の方に名曲がどかどか入ってるわりに、後半の印象がちょっと薄いんだよね。アルバム6曲目「Evangeline」の後にレコード盤上を針が滑る音が入っていてそこでA面が終わるのがわかるんだけど、そこから先がやたら長くて(日本盤だと最後にボートラも入ってるから)、なんだか最初の完璧な6曲とそれ以外の12曲、みたいな印象があるんだ。ちゃんと聴けば後半にもいい曲も多いのは知ってるんだけどね。

アルバムだとB面4曲目にあたる「I Wanted To Tell You」とB面5曲目「Don't Go」だけ何故か曲名を言ってから演奏。次の「Your Sweet Voice」を終えて、「ここからはボーナストラックが3曲」と説明して「Does She Talk?」へ。その次の「Holy War」は、「これは僕の反戦歌だ」と、初めて歌詞の説明をしたね。

アルバム最終曲「Nothing Lasts」を終え、「これでおしまい。また日本に来たいよ。こないだニューアルバム『Modern Art』を出したから、今度はそのアルバムからも演奏したいし」とマシュー。それが本音だろうね、せっかくの新譜をプロモートできないなんて。僕も本当は、こういうアルバム一枚を通して演奏なんてサプライズのない企画よりも、普通のライヴを(できれば普通のライヴハウスで)観てみたいよ。

「最後に1曲だけ追加で演ろう」というから、実は僕はそれほど気に入っていない『Modern Art』からかなと思っていたら、「『100% Fun』からの曲だ。“Sick Of Myself”」というからもう個人的には狂喜乱舞(ビルボードなので座ったままだけど)。アルバムでもエンディング部分を数回繰り返すところを、それ以上にしつこく何度も何度も繰り返していたのが嬉しかった。繰り返しに入る箇所のリックのスネア、超かっこいいよね。デニスも、リチャード・ロイドのあの特徴あるギターソロを完璧に再現していたし。せっかくのアルバム再現企画に泥を塗るようなことを言わせてもらうけど、この曲が僕のこの日のハイライトだった。

お相撲さんが普段どうして着物を着ているのかが逆説的によくわかったTシャツ姿(あの乳首くっきり胸ゆさゆさは正視に耐え難いよ)とか、一曲終わるごとにコーラがぶ飲みとか、きっとこの人長生きしないんだろうなと思える不摂生さも垣間見せてくれた1時間半。せいぜい元気に動けるうちに(とか言ってこの人僕とほぼ同い年なんだけどね)一枚でも多くアルバムを作って、来日してほしいよ。


Setlist 7 January 2012 @ Billboard Live Tokyo

1. Divine Intervention
2. I've Been Waiting
3. Girlfriend
4. Looking At The Sun
5. Winona
6. Evangeline
7. Day For Night
8. Thought I Knew You
9. You Don't Love Me
10. I Wanted To Tell You
11. Don't Go
12. Your Sweet Voice
13. Does She Talk?
14. Holy War
15. Nothing Lasts
16. Sick Of Myself
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2012年01月07日

David Myhr live in Osaka

The English translation follows the Japanese text.

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年末最後の記事をアップしてすぐに大阪に帰省。本当は年明け5日から仕事始めだったんだけど、東京に戻るフライトが5日まで取れなかったので、顰蹙を買うのは覚悟のうえで、どうせ年末余ることになる有休を1日使うことにした。

1月4日までフルに大阪に居られるということは、その晩に行われるライヴに行けるようになったということだ。東京公演は翌週11日だったんだけど、アメリカ出張が入ってしまっているので見送らざるを得ないと思っていたのが、思わぬところで観られることになった。予想外の今年初ライヴ。どうやら年を越しても僕の音楽の神様はこのあたりをうろうろされているようだ。

僕が関東で観たいくつかのアーティストの大阪公演の場として名前は頻繁に見かけていたClub Wonder、ずいぶん老舗のハコらしいけど僕は今回が初めて。心斎橋、というよりむしろ長堀橋に近い雑居ビルの7階にある、おそらく普段はバーとして営業しているのであろう、こじんまりとしたスペース。よくおとぎ話に全部お菓子でできた家が出てきたりするけど、さしずめここは全部がパワーポップでできた家といったところ。ものすごく素敵な場所だった。もし僕が大阪に住んでいたなら、きっとここに入り浸ってしまっていることだろう。

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開場時刻ちょうどに中に入った客は僕一人。その後、開演30分前になっても客はたったの3人しかおらず、いくらあまり知名度のないアーティストの年明け早々のライヴとはいえ、これは悲惨なことになるかなと思っていたら、開演時間間際になってようやくみんな集まってきた。ああよかった。最終的に全部で20人ぐらいはいたかな。

開演間際にどやどやと入ってきたお客さんにまじって、見慣れたスキンヘッドの外人が一名。北欧人だからてっきりもっと巨漢だと思っていたけど、実際の身長は僕とそう変わらない、ずんぐりした体形のデイヴィッド・ミーア(さてここでちょっと長めの注釈を。ただでさえ読みにくい彼のファミリーネームMYHRを、日本盤CDではマイアーと表記しているけれど、ライヴ中に彼自身が自分の名前を発音しているのを聞くと、どうもそうは聞こえない。ライヴ後に訊いてみたら、「スウェーデン語の発音だとミーエル(最後強い巻き舌)、英語だとミーアかな」とのことだったので、ひねくれたうちのブログでは、デヴィッド・マイアーでなくデイヴィッド・ミーアと表記させていただく。そんなことしてるからアクセス増えないんだけどね)。

さて、ここからは途中休憩を挟んでたっぷり2時間越えのライヴについて、いつものように覚えていることを洗いざらい書いていく。11日の東京公演はパワーポップ・アカデミーの一環だから大阪とは違った内容になるらしいけど、11日に下北沢に行く予定でネタバレを嫌う人は、ここから先は12日以降に読んでね。


アクースティック・ライヴだと聞いていたけど、上の写真にあるように、左からギブソンのレスポール、ヤマハのアコギ、ノードのキーボード、さらに後ろにはマックブックが置いてあって、これは単なるギター弾き語りではないなとすぐにわかる。開演予定時刻の7時半を5分ほど回ったところで、場内後ろの方で歓談していたデイヴィッドが観客をかき分けてステージへ。まずはアコギを肩にかけて、新作『Soundshine』からの「Don't Say No」でスタート。

一番前で聴いていたからというのもあるかもしれないけれど、CDで聴くよりもずっと声の強い人だ。メリーメイカーズが解散してからの活動を僕はよく知らないけど、相当ライヴで歌い込んでるんだろうね。あのちょっと特徴のある声が耳にビンビン響いてくる。あの小さなスペースなら、彼ならマイクなしでも十分いけたんじゃないかな。

「新しいアルバムが出たばかりだけど、今日は新曲と古いのを織り交ぜて演るよ。じゃあ次はメリーメイカーズの曲で、“Troubled Times”」と続ける。自分でもネイティヴ・ランゲージでない英語だからか、それとも日本人相手に話すのが慣れているからか、わかりやすくゆっくり話してくれる。それぞれの曲の紹介だけでなく、歌い終わってからも「今の曲はね」と歌詞の背景なんかをしっかり説明してくれるから、あまりよく覚えていなかった曲でもしっかり頭に残る。自分の曲を大事にしているんだなあというのがよくわかるね。

3曲目はパフィーに書いた曲のセルフカバーらしい「You Stole My Heart Away」。日本盤CDのボートラは2曲ともパフィーに提供した曲のセルフカバーで、PowerPop Academyのブログによると、この曲は最終的に日本盤からオミットされたとのこと。僕はパフィーの曲なんてそれこそ「アジアの純真」ぐらいしか知らないけど、こんなにたくさんデイヴィッドから曲提供されてるんだね(調べてみたら、アンディ・スターマーの曲もたくさんシングルカットされていた)。

キーボードに移り、再び新作から「I Love The Feeling」。これいい曲だよね。さらに続けて「これはヨーロッパ盤のアルバムだと最後の曲(と、デジパックの欧州盤を見せながら)。長い曲だけど聴いてね」と説明しながら、「Ride Along」を。途中のフルートソロは、キーボードの上に置いてあった赤いプラスティックのカズーで代用。「この楽器を知ってる?カズーっていうんだよ。カズ(Club Wonderの東さん)と同じ名前だね」とデイヴィッド。

だめだ、全曲分書いてるときりがない。ちょっとずつ端折って書いていこう。アコギに戻ってからの2曲目「The One」を歌う前に、「この曲は妻のパウラに捧げる」と、客席後ろの方にいた奥さんのことを紹介。小柄でかわいい人だね。それにこの、激甘の歌詞。ライヴ終了後も仲のいいところをたっぷり見せつけてくれていたよ。

「グループを結成してこの曲を最初に書いたのはもう20年も前のことになるんだ」と言いながら歌い始めたのは、確か一番最初のシングル「Andrew's Store」。こんなのまで演るんだ。この曲を収録した日本編集盤のジャケがかつて一度だけこのブログに登場したのを覚えている人はいないだろう(だからどうってことはないんだけど)。

エレキギターに持ち替え、「Honky Tonk Women」とかのリフを弾きながら「これなーんだ?」とイントロ当てクイズ(笑)。「Enter Sandman」のときは「典型的なパワーポップ曲だ」とジョークも。で、実際に演奏したのは、メリーメイカーズ記念すべきファーストアルバムのオープニング「She's A Radio」。この曲好きだったなあ。ファーストの印象は、僕はヒットした「Monument Of Me」よりもこっち。

1曲挟んで、「次の曲は、デイヴィッド・ミーアに伴奏とコーラスを任せよう」と言って、マックブックを操作し始める。ハードディスクに多重録音してあった自分の演奏をバックに、新作からのシングル曲「Looking For A Life」。僕はどこかのサイトでこの曲を聴いて、即座にアルバムを買うことを決めた。これがたっぷり12曲演奏した前半最後の曲。

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David Myhr 『Soundshine』

メリーメイカーズのセカンドが確か97年発表だったから、それ以来14年振りとなる(はずの)デイヴィッド・ミーア初のソロアルバム。

記録によると、僕はメリーメイカーズ(The Merrymakers)のファーストを97年5月25日に買っている。そのCDの裏ジャケを見ると、日本盤が出たのは97年4月28日。何の情報を頼りにあのアルバムにたどり着いたのか今となっては思い出せないけど、とにかく僕はメリーメイカーズが日本に紹介された極初期から聴いていたことになる。さっき書いた編集盤も含めて、日本で出た3枚のCDはすべて持っている。だけど、正直言うと彼らはいつも僕の一番のお気に入りバンドというわけではなかった。アルバムを聴いていいなとは思うものの、それぞれの曲を覚えるまで聴きこんでこなかったのは、キャッチーでありながらあまりにもストレートなメロディーラインが若干物足りなかったからかもしれない。

だから、この新作が出たのを知ったときも、さっき書いた「Looking For A Life」を試聴してみるまで、僕は買おうかどうか相当躊躇してしまっていたのは事実。今日の記事の趣旨はアルバム紹介じゃないからもうこのぐらいにしておくけど、一言だけ書いておくと、今回のソロアルバムはメリーメイカーズのどのアルバムと比べても、一皮どころか何枚もの皮がむけたというほどの出来。およそパワーポップというジャンルの音楽が好きな人なら、有無を言わさず買いの一枚。


さて、ライヴは15分ほどの休憩を挟み、後半戦へ。キーボードで、新作オープニング「Never Mine」、僕のお気に入りの一曲でもある「Loveblind」と続け、メリーメイカーズ初期シングル曲「Magic Circles」へ。「このタイトルはビートルズから盗んだんだ。『Revolver』のワーキングタイトルがこれだったんだけど、彼らが『Revolver』を選んだから、僕は別のを使わせてもらったというわけ」とのこと。

アコギに持ち替え、僕が新作で一ニを争うほど好きな「Record Collection」。なんでこんなにいい曲がボートラ扱いなのかわからない。日本でどれだけヨーロッパ盤が流通しているのか知らないけど、この1曲のためだけに日本盤を買うのが正解というもの。「これは、自分の彼女とレコードの趣味が合わないために別れてしまうという曲なんだ」と紹介。

一旦歌い終わった後、「途中一か所歌詞を歌うの忘れた」と、その飛ばした歌詞の部分からまた歌い始め、律儀にそのままもう一度最後まで歌う。好きな曲だからこれはちょっと嬉しかったな。「この曲の中には有名な曲のタイトルがたくさん出てくるんだ。“Twist And Showt”だろ、“Good Vibrations”だろ、あとなんだっけ」と思い出せなさそうだったから、お客さんが口々に「My Generation!」とか「Fun Fun Fun!」とか(これは僕)覚えてるだけ挙げる。

「Cut To The Chase」も、さっきの「Looking For A Life」同様、ハードディスクに録音した自分の演奏をバックに歌う。どうもこういうキラキラ系の曲はやっぱりギター一本の演奏じゃ物足りない模様。

再度キーボードに移り、「この曲を一人で演奏しなけりゃいけないのは淋しいよ。バンドはどこ行ったんだ」とか言いながら、メリーメイカーズ随一のヒット曲「Monument Of Me」を。途中で観客にコーラスを要求。歌詞もない簡単なフレーズとはいえ、見たところ僕よりずっと若そうなお客さんみんなちゃんと歌う。よく知ってるね。リアルタイムじゃなくてもメリーメイカーズとかはパワーポップ好きなら必須科目なのかな。

観客席から“田中さん”という方が登場してキーボードとコーラスを担当したのはどの曲だっけ。「Icy Tracks」かな。コーラス部分の歌詞はカタカナでメモっていたようだけど、キーボードは上手かったね。どこかのバンドの人なのかな。演奏後、デイヴィッドとハグして客席へ戻る。

第二部最後のパートは、エレキギターで(これもパフィーに提供した)「Boom Boom Beat」と、ハードディスク演奏付きの「Got You Where He Wanted」で終了。そして、ステージを降りる間もなくアンコールの拍手。

「君たちはなんて優しいんだ。実はまだ演奏する曲があと24曲あるんだ」と笑わせ、「リクエストある?」とデイヴィッド。誰かが「Happy New Year!」とリクエスト。あとで調べたら、アバのカバーなんだね。フルコーラスは歌わなかったけど、きちんとリクエストに応え、「ほかにリクエストは?」と再度尋ねる。

リクエストはなかったので、「じゃあこれを演ろう。みんなも好きだろう、ジェリーフィッシュ」と言って、「Baby's Coming Back」で締める。デビュー当初から散々ジェリーフィッシュに例えられ(たぶんそれが僕が彼らのCDを買った理由)、セカンドアルバムではアンディ・スターマーをプロデューサーに迎えていたほどだから、当然このカバーもしっくりはまっていたよ。


第二部も12曲、アンコール2曲の合計26曲という大ボリューム。新作からもメリーメイカーズ時代の曲も目ぼしいのはほぼ全曲演奏したはず。大満足。デイヴィッドは、途中休憩のときから用意していた缶ビールをここで初めて開ける(それまではずっとミネラルウォーターを飲んでいた)。グレン某とかジム某とか(笑)、ライヴ中浴びるほどアルコールを摂取する人たちに慣れている目から見ると、それがとても新鮮だった。

終了後は、20名ほどのお客さんほぼ全員が居残って、写真&サイン&おしゃべりタイム。デイヴィッド自身が持ち込んだという、メリーメイカーズのセカンドアルバムのオーストラリア盤(日本盤とは違ったボートラ1曲入り。この曲はさっき演奏していたね。エミット・ローズのカバーらしい。そういえば、エミット・ローズが13年振りだかなんだかで新作を出すってそのときに言ってたな)のデッドストックがまたたく間に売り切れる。それにサインをもらう人たち。「このアルバムの数曲はアンディがプロデュースしたんだけど、ブックレットには写真を載せさせてくれなかったんだ」とデイヴィッドが話すのが聞こえた。

途中休憩と終演後に記憶していただけのセットリストをメモしたけど、全部は覚えきれなかったので、デイヴィッドに言って、彼のiPadに入っていたリストの写真を撮らせてもらう。

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多分、歌詞もここに入ってて、演奏中に見ていたんだろうと思う。これいいアイデアだよね。ライヴが終わった後に手書きのセットリストをもらうという楽しみは減ってしまうけど。


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デイヴィッドと乾杯の図。週末に東京でマシュー・スウィートのライヴに行くという話をしたら、彼もその予定だって。「どの日のどっちのステージ?」と聞くと、「金曜のセカンドだったはず。いや、土曜かな。ファーストステージだったかも」と相当あやふやな記憶(ごまかそうとしていたのか?)。奥さんのパウラからも「違うわよ、何言ってんの」とツッコミが入る。「もしかしたら君と同じ回かもしれない。そのときにまた会おう」と言ってくれる(いい加減・笑)。

最初に話したときに名前を聞かれたので「yas」と答えた。その後たくさんの人たちと話した後に僕のところに来てくれて、録画中の自分のiPodを向けながら「yas、今日のライヴはどうだった?」と逆インタビュー。とっさのことで「もちろん最高だったよ」とかそんなありふれた台詞しか言えなかったけど、そうやってちょっと聞いただけのお客さんの名前を憶えていてくれたり、ファンの言葉を自分のiPodに残しておこうとしたり、そういうところにちょっと感激。

ビールのおかわりを注文しにカウンターに行くと、東さんが「この店は初めてですか?」と話しかけてくれる。そこからしばし、よもやま話。ついでに、開演前にBGMでかかっていたCDを2枚ほど衝動買い。初対面の常連らしきお客さんもいろいろ話してくれる。なんか、あったかいね。ほんとにいい店。また次に大阪来たときにはライヴなくてもちょっと寄ってみようかな。


Setlist 4 January 2012 @ Osaka Club Wonder

1. Don't Say No
2. Troubled Times
3. You Stole My Heart Away
4. I Love The Feeling
5. Ride Along
6. Smiling In The Sky
7. Under The Light Of The Moon
8. The One
9. Andrew's Store
10. She's A Radio
11. What About?
12. Looking For A Life

13. Never Mine
14. Loveblind
15. Magic Circles
16. Record Collection
17. Monkey In The Middle
18. Cut To The Chase
19. Monument Of Me
20. April's Fool
21. Somebody Made For Me
22. Icy Tracks
23. Boom Boom Beat
24. Got You Where He Wanted

[Encore]
1. Happy New Year
2. Baby's Coming Back


David Myhr live in Osaka

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Back to my hometown Osaka right after I uploaded the last article of my blog for 2011. My office would start from 5th of January but I only could book the return flight on 5th, so I've decided to take a day off, anticipating my colleagues would raise their eyebrows.

I can spend a full day of 4th, that means I can go to the event that evening. I knew the gig in Tokyo would be held on 11th, but as I've already had a business trip plan that week, I had to give it up. Then this Osaka gig suddenly turns out to be my first one this year, thanks to the grace from my personal musical God who’s still around.

I recognized the name Club Wonder as the venue in Osaka for some artists who I've watched live in Tokyo. It's a long established place but this is my first visit. Located close to Nagahoribashi rather than famous Shinsaibashi, the cozy bar is situated on the 7th storey in the multi tenanted building. You know the house made of cookies & candies in the fairy tale. This place is something like that, but only made of power pop. If I'd live in Osaka I'd be here more than frequently. What a wonderful place!

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The door opened on time. There was only me, alone. After 30 minutes, there were just two others. I started to worry about the slack event for the unknown artist on the new year holiday, but when it came closer to the starting time the venue became packed with the audience, perhaps around 20 people. I felt relieved.

There was one familiar looking skinhead foreigner standing among the audiences who came into the bar just before the show. I was imagining him to be taller as a Scandinavian but his actual height wasn't so much higher than me. That was, a bit squabby David Myhr himself. A little bit lengthy annotation here; His family name MYHR is hard to pronounce from its spelling. It says like "my-er" on the booklet of Japanese CD, but when I hear him pronouncing his own name during the show, it didn't sound like that. I asked him the correct pronunciation after the show, and he said it was like "me-er" (with the strong R sound) in Swedish. In English it was like "me-ah". So I've decided to write his name like that in my blog (knowing those who search "my-er" in Japanese wouldn't reach here).

Here I'm going to write everything I remember about the two-hour live performance (including a break). I heard the Tokyo show on 11th would be a different set as it's a part of PowerPop Academy event, but if you are going to the Tokyo show and don't want to read anything about the setlist before the show, please avoid reading from here onwards (though I'm writing this English translation way after the Tokyo set) .


I heard it'd be an acoustic set, but as you see in the photo above, from the left hand side there were Gibson Les Paul, Yamaha acoustic guitar, Nord keyboard and a Macbook situated behind. Well, this shouldn't be just an acoustic set. About five minutes past the planned starting time, David, who was chatting with the audience at the back came straight to the stage. Carrying his acoustic guitar he started the show with 'Don't Say No' from his new album "Soundshine".

Perhaps partly because I was at the front row, I recognized his voice way stronger than what I hear on the CD. I'm not very sure about his activities since the break-up of The Merrymakers, but I guess he should've been singing continuously since then. That distinctive voice resonates quite well. He wouldn't need a microphone in such a small venue.

"The new album was just released but I'll sing both my new songs and the old ones. The next one is The Merrrymakers' song, Troubled Times". Maybe because he's also not a native English speaker, or maybe because he's accustomed to speak to Japanese, he talked a little slowly so that we could understand. Not only just introducing the next songs, but he also explained the background of the songs after finishing them. That impressed me to remember each song though I've already forgotten some old ones. That's how much he cherishes his own songs.

The third song was the self-covered 'You Stole My Heart Away' that he wrote for Puffy. The two bonus tracks in the Japanese edition "Soundshine" are both self-covers for Puffy, and according to the PowerPop Academy blog, this one was omitted from the CD in the end. I only know the debut single of Puffy, but as I check the web there are some songs written by David (and even some by Andy Sturmer).

He sat behind the keyboard and sang 'I Love The Feeling' from the new album. I like it. And then he said "this is the last song of European version (as he shown the digipac European edition of "Soundshine"). It's a little bit long one but please listen", and started 'Ride Along'. The flute solo part was substituted by the red plastic kazoo. He said "do you know this? This is kazoo, same as Kazu (the owner of Club Wonder)".

No, if I write this much for each and every song, this article never ends. I have to skip some part and go ahead. Before he sang the second one back to acoustic guitar, he introduced his wife sitting at the back of the audiences, saying "this next song is dedicated to my wife Paula". She was a cute looking lady. And this sweet lyrics! After the show we witnessed how they love each other:)

"It was twenty years ago when I started the band and wrote this song" and he started 'Andrew's Store' (if I'm not wrong this was the first single of The Merrymakers). I was surprised that he even played such an old song. Maybe nobody remember the album cover of the Japanese edition CD which contains this song once appeared in this blog.

He changed to the electric guitar and gave us some quiz by playing the intro of 'Honky Tonk Women' and some more. He played 'Enter Sandman' and joked "a typical power pop song". And finally he played the opener of The Merrymakers' first album 'She's A Radio'. I liked this one. My impression of the first album is this rather than the hit single 'Monument Of Me'.

He started to operate the Macbook saying "I ask David Myhr to do the chorus and the other instruments". With the pre-recorded backtrack he played, he played the new single 'Looking For A Life'. This was the song that I listened on some web site and immediately decided to buy the album. And this was the last song of the first set which contained 12 songs.

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David Myhr 『Soundshine』

The first solo album by David Myhr, after 14 years (must be) since the second album of The Merrymakers in 1997.

According to my record, I bought the first album of The Merrymakers on 25th of May 1997. And according to the back cover of the Japanese CD that I still own, it was released on 28th of April 1997. I don't remember what information made me buy this by now, anyway I must be one of the earliest listeners of The Merrymakers in Japan. Including the Japanese edition of the early singles which I wrote above, I have all three albums of them. But, honestly speaking, they weren't always my most favourite band. Every album sounded good, but I didn't repeat them enough to remember all the songs. Maybe because the melody lines were too straightforward though they were pretty catchy.

That's why I hesitated to buy the new solo album of David until I listened to 'Looking For A Life' on the web. The purpose of today's article is not the introduction of this album, so I shouldn't continue this too long. One last comment for this album; this new album is way better than any of The Merrymakers' albums. If you're into power pop, this is a must-have.


After the 15 minutes break, the second set started. He played the opener of the new album 'Never Mine' on keyboard, then one of my favourite 'Loveblind'. And then the early single of The Merrymakers 'Magic Circus'. "I stole this song title from The Beatles. It was a working title of "Revolver" but because they didn't use it, I used it instead".

He changed to the acoustic guitar and played another favourite of mine 'Record Collection'. I don't know why such a good song was only a bonus track. I'm not sure how many of European edition are distributed in Japan but you must buy Japanese edition just for this song. He introduced "this song is about you break up with your girlfriend as you can't stand her taste of record collection".

When he finished singing 'Record Collection', he said he forgot to sing one verse, and started to sing once again from that part, dutifully until the end. I was glad to listen to my favourite twice. He said "there are many of the famous song titles in this song. There are 'Twist And Shout', and 'Good Vibrations', and…what else?". The audiences replied one after another; "My Generation!" or "Fun Fun Fun!" (it was me).

Just like 'Looking For A Life', he played 'Cut To The Chase' with the pre-recorded backtracks. Only a guitar sound seemed not enough for these shiny colourful songs.

Once again on the keyboard, he said "it's so sad to play this song alone", and started the big hit of The Merrymakers 'Monument Of Me'. He demanded the audiences to do the chorus, and everyone sang. Even though it was only a simple phrase without lyrics, but I was surprised to hear the young audiences knew the song. Though they didn't know it on time, but this song must be on the textbook of the power pop school.

Which song was that, when one of the audiences Tanaka-san appeared on stage and played the keyboard and do the chorus? Maybe 'Icy Tracks'? He kept the lyrics of the chorus part in Japanese on the paper, but he played the keyboard perfectly. He may be from some local band? After the song he hugged David and back to his seat.

The last part of the second set was 'Boom Boom Beat' (another song for Puffy) and 'Got You Where He Wanted' with the pre-recorded instruments. And before he got off the stage, the applause for encore started heavily.

"You're too kind. I've got another 24 songs to sing" he joked. And "any request?". Somebody requested 'Happy New Year'. I didn't know the song but it was a cover version of Abba. He didn't sing the full chorus but well responded to the request. "Any other request?" he asked again.

No more request, so he said "ok, then I play this one. You must like Jellyfish" and close the show with 'Baby's Coming Back'. The Merrymakers were liken to Jellyfish from its beginning (maybe that was why I bought their first CD) and their second album was produced by Andy Sturmer. This cover version suited very much of course.


He played another 12 songs in the second set. Totally 26 songs including the encore. I guess he played most of the key songs from The Merrymakers to the brand new album. I was satisfied a lot. David finally opened the tin of beer (he kept drinking the water during the show). It looked fresh to me as I've seen Glenn somebody or Jim somebody who keep drinking alcohol while they play:)

The photo shooting and chatting time started after the show, with the twenty-odd audiences (almost everyone). The dead stock Australian version of the second album of The Merrymakers, which David brought himself sold out quickly. The version includes one bonus track which is different from the ones on Japanese edition. This evening David played that song written by Emitt Rhodes. Oh, by the way David said during the show that Emitt would release the new album after 13 years or so. The fans who bought the album got the autograph by David on the spot. I heard David saying "some songs on this album were produced by Andy but he didn't let us put his photo on the booklet".

I took note the song titles during the break and after the show as much as I remembered. As I didn't remember all, I asked David to show me the setlist in his iPad.

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It's a good idea to use iPad (maybe the lyrics were in iPad too), though it's a pity that we can't get the hand-written piece of paper after the gig.

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I cheered with David. I told him that I'd go to Matthew Sweet's gig on the weekend, and he said he would be there too. "Which stage on which day?" I asked him. He replied "The second set on Friday. No, it's Saturday. Maybe the first set". Paula said "no, it's not. What are you saying". It was funny to see them chatting like that. He said "maybe the same one as yours. See you there". Did he mean it?:)

When we first talked he asked me my name, and I said "yas". After a while he came back and pointed his iPod to me, asking "hey yas, how did you like the show tonight?". It was too sudden for me to think of something else than "it was very good". But I was moved that he remembered my name among many audiences and tried to keep the fan's comment in his iPod.

I went to the bar counter for another beer. Kaz asked me if this was my first visit. We chatted for a while. I bought two CDs which he played before the show as the BGM. Some people (must be regular customers) joined and talked to me friendly. What a nice feeling. A real nice bar indeed. Next time I come to Osaka I should come back here, though without a gig.


Setlist 4 January 2012 @ Osaka Club Wonder

1. Don't Say No
2. Troubled Times
3. You Stole My Heart Away
4. I Love The Feeling
5. Ride Along
6. Smiling In The Sky
7. Under The Light Of The Moon
8. The One
9. Andrew's Store
10. She's A Radio
11. What About?
12. Looking For A Life

13. Never Mine
14. Loveblind
15. Magic Circles
16. Record Collection
17. Monkey In The Middle
18. Cut To The Chase
19. Monument Of Me
20. April's Fool
21. Somebody Made For Me
22. Icy Tracks
23. Boom Boom Beat
24. Got You Where He Wanted

[Encore]
1. Happy New Year
2. Baby's Coming Back
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2011年12月11日

Tamas Wells live in Osaka 2011

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濃厚な二日間を過ごした大阪を後にして、さっき無事帰宅。タマス・ウェルズの音楽とそれにまつわる諸々についてあまりにも沢山の出来事があったので、もうなんだか頭の中がオーバーフロー気味になってしまっているけれど、なんとか整理して少しでもここに書き記しておこう。

東京公演の余韻も冷めやらぬ12月9日の朝に大阪に移動し、腹ごしらえをした後、FM802のスタジオを訪問。なんでそんなところに行ったかというと、FM802のBEAT EXPOという番組にタマスが出演してインタビューとスタジオライヴを収録するというイベントがあり、僕はその番組で通訳をお手伝いさせてもらうことになったから。

しばらく前にインパートメントのsinさんの通訳募集というツイートを読み、どうせこの日はタマスのライヴまではレコ屋でもうろついてるほかにはやることないからと、通訳なんてやったことなかったけど、ほかに誰もいなければやりますよと言ってみたのがきっかけだった。

20分ほどの短いコーナーだったけど、ポイントを突いたいい内容のインタビューと、DJの早川さんも聞き惚れていたタマスとキムによる2曲。ネタバレになるのでここに内容は書かないけど、12月28日の夜7時から9時までの番組中のどこかで流れるとのことなので、FM802を受信できる関西のタマス・ファンの方はぜひ聞いてみて。なんだかボソボソしゃべってる通訳のことは無視していいからね。

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夜。どうせ時間まで特にやることないし、せっかくならまた前の方で観たいからと思って、また開場の30分前に会場に着いたら、同じビルの他のテナントの邪魔になるので開場時間に来てくださいとのこと。ごもっとも。一旦ずらかり、タコ焼きとビールで軽く腹ごしらえして、今度は7時ちょうどに再来場。前日とは逆の手の甲にペタンとスタンプを押してもらい、中に入る。前日とはうってかわって、とても小さな会場だ。去年タマスを観たsonoriumを、さらに一回り小さくしたぐらいの規模かな。ステージ(といってもまた段差もなにもないけど)の前にスツールが5脚ほどx2列。それより後ろは立ち見になってしまうんだね。僕は前日とほぼ同じ位置。東京より前座が一人増えて長丁場になるかもとのことだったので、年寄りは座らせてもらいますよ。

オープニング・アクトは、ウェザー・スプーン(weather spoon)というバンドのトレノ(toreno)という人。日本語詞だけど、ちょっとブロークン・フライトみたいな感じ。途中のMCで「僕もみなさんと同じような音楽が好きなんですよ」と言っていたのがよくわかるね。メルボルン・コネクションの飛び地、あるいは日本支店、みたいな感じで。

続いてキム・ビールズ。基本的には(5曲目に演った「Wedding Song」以外は)前日と同じ曲目だったけど、曲順は変わってたかな。曲の簡単な背景とかを日本人にもわかるようにゆっくり説明してくれたり、オフィシャルには来年出る予定のアルバムを今日持参したからよければ買ってねと言ったり、彼の書く曲同様、人の好さがにじみ出るようなほのぼのしたステージ(終演後に、思ったよりキムのCDが売れたとsinさんから聞いた。よかったね)。


そして、トリのタマス・ウェルズ(・トリオ)。3人でステージに立つや、まだBGMも鳴り終えてもいおらず、観客もまだざわざわしているうちに、「マイ・ネーム・イズ・タマちゃん」と自己紹介して、いきなり「Fire Balloons」を奏で始める。それを聴いて観客いきなり黙る、みたいな。まったく、勿体つけないにもほどがあるよ。

前日と同じ流れで曲順が進む。前日同様、リラックスしながらも何か新しいことを試してみようという雰囲気が流れている。自分のライヴの客はリピーターが多いということがわかっているから、少しでも飽きさせないように(そして、自分でも飽きてしまわないように)そうしているんだろうね。

同じ曲でも、曲紹介の内容が前日とは違うのがいくつかあったね。「Thirty People Away」では、自分の友達がミャンマーの水かけ祭りに参加していて、誰かが突然群衆に向かって手榴弾を放り投げて数十名死亡・負傷者百名以上という大惨事の、その爆発地点からたった30人の距離にいたという実話をきちんと説明してくれた。

前日はびっくりしたのが先に立ってあっという間に終わってしまった感のあった「Moonlight Shadow」のタマス・ヴァージョンをこうしてじっくり聴いてみると、確かにあの曲のコード進行とかメロディーラインとかって、タマスが書いたと言われればそうかと思えてしまうね(あれをタマスの新曲だと思ったと何人かの友達に言われたので)。

本日の「Valder Fields」はオリジナルに忠実なイントロなしバージョン。「この曲は、04年に初めてミャンマーに行って北部を訪れたときに、泊まった家に古いミャンマーのギターが置いてあって、それを使って作ったんだ」と説明。その話は初耳。ちなみに、終演後にタマスと話していたらその続きを教えてくれて、できたばかりのその曲を奥さんのブロンに聞かせたら、「それよくないからアルバムに入れるのやめたら?」と言われたんだって。ブロン、なんてことを…

「Signs I Can't Read」の紹介では、「ここ数年、ミャンマー国内の雰囲気が変わってきた。(スー・チー女史が解放されるとか)大きな動きもあったけれど、それだけでなく人々が希望について語るようになってきたんだ」とのこと。今まで彼がミャンマーについて話すときに、これだけ明るいトーンで語るのを聞いたのは僕は初めてだった。あとでタマスに聞いたんだけど、実は彼は例のHIV/エイズ関連のNGOでは今は働いておらず、2年ほど前から、より広い意味でミャンマーの人たちの生活が向上するように支援するという活動をしている団体に移ったとのこと。きっと、そういう活動を通じて、今まさにミャンマーが変わっているということを実感しているんだろう。

「For The Aperture」では、前日と同じく拍の頭で観客に手拍子を促すキム。僕は勝手に右手と左手でそれぞれの膝を1・2・3・4全部の拍で叩くことにした。あとでキムに「ちょっとあれやめてよ、やりにくいよ」と文句言ったら、「2・4の拍で手を叩くのは日本人だけだ。アジアの他の国ではどこも1・3で叩くぞ」と逆に言われてしまった。タマスも「オーストラリア人もだいたい1・3だね」と言うのでびっくり。「なんで日本人はそうなの?」とまで言われたけど、知らない。だって、その方が安定するよね。「それはそうだ、スネア叩く箇所も2・4だから、その方が理にかなっている」とキムは納得してくれたけど。

「For The Aperture」のエンディングで例の自転車のベルを鳴らすキム。この日は調子に乗って、お客さんに一音ずつ鳴らさせてたね。僕が座っていたアンソニー側までは残念ながら回ってこなかったけど。

そう、僕が座っていたのは、あの小さな会場の最前列、左側に置かれたキーボードの真ん前だったので、陣取りしてから「あ、まずい、これじゃまたアンソニーにプレッシャーかけてしまうな」と思っていたら、ステージに出てきたときにもう彼はこっち見てニヤニヤしていたな。「ごめん、ここ座ってしまった。緊張しなくていいから」と僕。案の定、この日もお約束のミスタッチがいくつか。そんなときにはなるべく彼の顔は見ないようにしておいてあげたけどね。

でも、「England Had A Queen」では、前日に間違って早く音を入れてしまった箇所で、タマスの顔を見ながらわざと弾こうとする振りとかする余裕があったね(タマスはシカトしてたけど・笑)。まさか、実はあの毎度お馴染みのミスは持ち芸としてやってるのか?

14曲目で、前日には演らなかった「Open The Blinds」を演奏。あ、ここからセットリスト変わるのかな、きっとリクエストした「The Northern Lights」とか「I Can Hear Music」とか演ってくれるかも、と期待していたら、結局その1曲以外はリクエストも含めて前日と全く同じだった。ちょっとがっかり。

終演後、タマスに「昨日リクエストした曲、演ってくれなかったね」と言ったら、「リハーサルのときに演奏し始めたら、どっちの曲も二番の歌詞を忘れていることに気がついた」だって。そんなことだろうと思ったよ。それにしても、「I Can Hear Music」はともかく、なんで自分の書いた曲の歌詞忘れるかね。

昨日書いた、タマス用のセットリストがないことについて訊いてみた。そしたらいともあっさりと「もう覚えてるから、リストなくても大丈夫」だって(「リストは見てもいいから歌詞覚えとけ」と言いたかったけど)。「曲順については、実はけっこう考え抜いてあるんだよ。同じキーの曲が続くとお客さんは飽きるだろうし、アンソニーやキムがどこで抜けて入るかとかも考えないといけないから」とのこと。

「だから、同じ場所で複数回演奏するのでなければ、基本的にセットリストは同じ。今回も、中国での5回からずっと同じリストだよ」とタマス。「複数回観に来る人もいるかもしれないのに」と言うと、そんなのはお前だけだと言われてしまった。

アンコール。アカペラで始まる「Abigail」に続けて「Reduced To Clear」が終わった途端、アンソニーがキーボードの上に置いてあったセットリストを「はい、これ」みたいな感じで僕に手渡してくれた。あ、ありがと。でも今日はもう最後だからもう一曲ぐらい演ってくれるよね、と思っていたけど、そのままアンコールの拍手もなく終了。時計を見てみたらもう10時半を回ってたからしょうがないね。


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タマスとキムのギター。キムに「このロゴのないギター、自分で作ったの?」と聞いたら、目をキラキラ輝かせて「これは木工技師の友達が作ってくれたんだ。この部分がタスマニア産のマホガニーの一枚板で、この部分はどこどこ産の何の木で、ほらこのヘッドの裏にシリアルナンバーが入ってるだろう、これは彼が作った2本目で…」と滔々と説明してくれた。自慢のギターなんだね、気付いてあげてよかった(笑)


数えてみたら、僕がタマスのライヴを観るのはこれでもう9回目になるのに、ちっとも飽きるということがない。日本には09年を除いてほぼ毎年のように来てくれている割には、毎回オーディエンスが拡大しているという感じとは言えないけど(レーベルとアーティスト自身にとっては大変だろうけど、いつも緊密な場所であの声と演奏を楽しめるというのは、申し訳ないけどファンにとっては逆にありがたい)。けっして、日本でツアーすることが彼らにとって大きな収入につながっているわけじゃないだろうけど、できれば毎年続けて来てほしいよ。タマスも来年の中頃にはミャンマーを離れてメルボルンに戻るということだから、今より少しは楽なフライトスケジュールになるだろうし。FM802を聴いて初めてタマスのことを知った関西の人が、きっと来年のツアーには来てくれるだろうしね。


Setlist 09 December 2011 @ Artyard Studio

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Open The Blinds
15. Melon Street Book Club
16. True Believers
17. England Had A Queen
18. Lichen And Bees
19. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear



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p.s. この日わざわざ大阪までタマスを追っかけていったおかげで、翌日、大切な友達の大事な日に一緒にいることができた。タマスも、めったにお目にかかることのできない異国のイベントに立ち会うことができて、よかったよね、きっと。

おめでとう。
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2011年12月10日

Tamas Wells live in Tokyo 2011

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あれからちょうど一年。2010年の暮れに僕たちに素敵な記憶を残してミャンマーに帰って行ったタマス・ウェルズが今年もやってきてくれた。9月末に予定されていた公演が、タマス自身のミャンマービザ更新手続きの関係で延期となっていたのが、ようやく年末ぎりぎりになって実現した。中国5都市でのツアーを終え、今回は東京と大阪で一回ずつ。まずは、東京公演の様子を(「まずは」ということは、お察しの通りこれを書いているのは大阪のホテルの一室なのでした)。

素晴らしい音響空間と最高級のスタインウェイの音を聴かせてくれた去年のsonoriumがこれからタマスの定番ヴェニューになるのかと思っていたら、今回は原宿のVacantというところ。あいにくの(というか、幸いというか)雨のせいで、いつもは女子校行きの満員電車みたいな竹下通りもこの日は人通りもまばら。すいすい歩いて、駅から5分ほどで着けた。一階はおしゃれな雑貨屋さん、二階が150人入るという(今回の限定客数)イベントスペースになっている。

段差のないだだっ広いスペースで、前の方には座布団、後ろの方には店中からかき集めてきたと思しきいろんな種類の椅子やソファが並べてある。ステージにも段差があるわけじゃないから、できるだけ前の方で観たいと思い、ちょっと早めに並んで最前列をキープ。隣に座ったN君はさっそく靴を脱ぎ、「ジャージ着て来ればよかった」などとすっかり自宅モード。

前回同様、前座はキム・ビールズ。今回はエレキギターを持ってきたんだね。ヘッドに何のロゴも入ってないナチュラルカラーの変わった形。ボディがどことなくブライアン・メイのギターっぽい形してるから、もしかしてブライアン同様、自作?

来年発表予定のニューアルバム『Tambourine Sky』からの曲を中心に30分。今回は持ち時間をオーバーすることなく終了。ちなみにこの新作、このツアーのために先に数十枚製作して持ってきたらしい。だから裏ジャケのクレジットも2012年になっている。アルバムのクレジットを見ると、10人ものメンバー構成で、いろんな管楽器やクラシカルな弦楽器も入っているようだ。レジャー・ソサエティみたい。今回はギター一本のシンプルなアレンジだったけど、あれらの曲がどういうアレンジになっているのか聴くのが楽しみ。


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男女一つずつしかないトイレの長蛇の列をクリアして戻ってきたから、実感的にはかなり短かったインターバルを置いて、タマス、アンソニー、キムが登場。キムはステージ左側のノード前に座り、タマスはいつものマーティン、キムはさっきのエレキ。アンソニーの後ろにはお馴染みのミャンマー・バンジョー。タマスの足元にはホルダーにセットされたハーモニカも置いてあるぞ。

いつもの「マイ・ネーム・イズ・タマス・ウェルズ」という挨拶とともにポロポロと弾き始めたメロディーを聴いてびっくり。「Fire Balloons」だ。もう演るの!? 一年ぶりの生タマスを、僕の中では一二を争うこの曲でスタートできるなんて。

この曲をはじめ、ほとんどの曲でキムがハーモニーを効かせる。タマスの声だけを聴いていたいという気持ちもなくはないけど、こうやって聴くのもまた格別。ちなみに、終演後アンソニーに「コーラスに参加しないの?」と聞くと、苦笑いしていたよ(苦笑)

2曲目の「Vendredi」を除いて『Thirty People Away』からの曲を数曲続けた後、タマス自身によるハーモニカを交えた、聞き覚えのないイントロの曲が。なんだろう、新曲かなと思って聴いていたら、歌いだしの歌詞を聞いてまたびっくり。「Moonlight Shadow」だ。マイク・オールドフィールドの。もちろん原曲の派手なギターソロとかはないし、歌詞含めてあちらこちら端折ったバージョンではあったけど、なんか貴重なものを聴いて得した気分。「アーティストも曲もあまりよく知らなかったけど、あの曲のメロディーはずっと昔から耳に残ってたんだ。それで、歌詞を覚えて自分なりのバージョンにして歌ってみた」とは、終演後のタマス談。

ミャンマーのことについて話し始めたので、きっと「Signs I Can't Read」かなと思いきや、次の曲は「Thirty People Away」。たぶんこの曲を日本で演奏するのは初めてじゃなかったかな(もし去年の京都で演ってなければ)。

続けて、また聞き覚えのないイントロ。今度こそ新曲かなと思っていたら、なんと「Valder Fields」。オリジナルではイントロなしで歌い始めるこの曲、ライヴではよくこうやっていろんなイントロをつけてくれるんだけど、そのどれもがまた綺麗なメロディーなんだよね。それにしても、相変わらずこの(ファン目線でいうと)一番の名曲をこういうさりげない箇所であっさり出してしまうんだね。本人的にはそれほど気に入ってるというわけじゃないのかな。

この日初めて『Two Years In April』から、「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。この曲と、前半に演奏した「The Crime At Edmund Lake」には、オリジナルにはないキムとのコーラスのエンディング部分が追加されていた。以前、「Reduced To Clear」のエンディングに、CDでは歌われていないパートを付けて完全版として歌っていたのと同じような感じ。というよりは、キムとリハーサルを続けていて、「この曲はこういう風にした方がよくない?」とか言って改良したんだろうね。なんだか、タマスの曲が少しずつ成長するのを見ているよう。

ここで一旦キムとアンソニーが退き、タマスがキムのエレキギターに持ち替えた。タマスがエレキ弾くのを見るのなんて初めて。ハーモニカホルダーを装着し、誰もがこの日この曲を歌ってくれるであろうことを期待していた台詞を話し始める。「31年前の今日、ジョン・レノンが殺されてしまった。彼の曲を歌おう」と、日本で聴くのは08年の東京公演以来になる「Nowhere Man」。

「2008年の5月2日、僕の住んでいるミャンマーにサイクロン・ナルギスが上陸して、14万人もの人が亡くなってしまったんだ」と、正確な日付と数字を覚えていたことに驚き(帰って調べてみたら、日付は正解、被害人数も13万8千人と、これも正しかった)、続けて演奏された「Signs I Can't Read」に聴き入る。去年のsonoriumでは自らのピアノで聴かせてくれたこの曲を、今回はエレキギターの弾き語りで。

更に「The Opportunity Fair」をエレキで弾いたあと、キムとアンソニーがステージに戻り、エレキはキムに返し、タマスは自分のマーティン、アンソニーがバンジョーを持って、「For The Apperture」。以前、シンガポールでタマスを観たとき、拍の頭で手拍子をするシンガポール人のことを書いたんだけど、今回はギターを置いてタンバリンを持ったキムが、拍の頭で手を叩くように観客を促す(自分は2・4でタンバリンを叩く)。しょうがないから従うけど、ああやりにくい。

続く「Writers From Nepean News」の間奏部分で、お馴染みの(笑)アンソニーのミスタッチ。いい加減毎回同じところでミスるのやめれば?(笑)。終演後に話していて、「いつもミスったときには君の顔見てしまうんだよ」と言われてしまった。ごめんね、そんなにプレッシャーかけていたとは。ちなみに、ラスト近くの「England Had A Queen」でもまた去年と同じくアンソニーが早くキーボードの音を入れてしまって、タマスとキムが苦笑いしながら見ていたよ。

「次はアンソニーによる“Melon Street Book Club”」とタマスが紹介した後、タマスだけがステージを降りる。あれ?キムはどうするの?と思っていたら、アンソニーのピアノにかぶせて、アンビエント風のギターを奏でる。ボリューム調整とかがちょっとうまくいかず、ときどき必要以上に大きな音になってしまったりもしたけど、いい雰囲気。このバージョンもなかなかいいね。

ただ、この曲あたりから、どうも僕が座っていた場所に近いスピーカーから低音のノイズが漏れ始める。ほとんど最後までずっと鳴っていたからもう最後の方には慣れてしまってそれほど気にならなくはなったものの、あれはちょっと残念だったな。

「次が最後の曲。ビーチボーイズのカバーなんだ」と言われて、てっきり『Pet Sounds』期とかの曲を演るのかと思いきや、「Do You Wanna Dance」だなんて。初めて聴いたけど、誰のどんな曲を歌っても、タマスのあの声で歌われるとなんだかすっかりタマス節になってしまうね。

アンコールに応えてまずタマスとキムだけが登場し、「When We Do Fail Abigail」をアカペラで披露。これはよかったね。途中からタマスのギターが入り、更にキムのエレキもかぶさってくるんだけど、すごく美しいバージョンだと思った。あとでキムが「あれ俺が提案したんだよ」とさも自慢気に教えてくれたよ。

例の「メルボルンの中でも僕が住んでいた地域は一番治安が悪くて」という説明を受けてのエンディング曲はもちろん「Reduced To Clear」。今回はコーラス入りの完全版じゃなかったけど、エンディングの演奏がいつもより長かったんじゃないかな。そういえば、今回いつもと何かが違うと思っていたら、いつも両足を揃えて直立不動で歌うタマスが、今回は(もちろん大抵はそうして歌ってるんだけど)比較的ステージ上をうろうろしながら歌っていたね。キムと向かい合ってギター弾いたりなんかして、ロック・コンサートみたい(笑)


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終演後に拾ってきたアンソニーのセットリストがこれ。後で清書するけど、タマスがエレキを持って歌う箇所は「Solo x 3」って書いてあるね。キムのセットリストにもそう書いてあったから、きっとこの部分はタマスがそのときの気分で違う曲を弾くのかも。そういえば、タマスだけは今回セットリストを床に置かずに歌ってたけど、もしかして予定曲順覚えてたの?(あんなに自分の曲に関しては記憶の曖昧な人が?・笑)


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今回会場で買ったCD。左が日本超先行発売のキム・ビールズ『Tambourine Sky』、右が、これも会場限定発売になる予定のタマス・ウェルズ『Signs I Can't Read - Live At Sonorium』(今回150名限定の東京公演と60名限定の大阪公演でどうやって500枚というこのCDの限定数を売り切るつもりなのかは僕は知らないけど・笑)


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この日、開場予定時刻の30分も前に会場に着いて時間を潰してたのは、これを手に入れたかったから(結局そんなに早く来てたのは僕の他には、いつも一緒のN君とか常連のxさんとかだけだったけど)。500枚限定生産のシリアル番号1番いただきました。聞いてもいないのに「1番ここにありますよ」と教えてくれたsinさん、ありがとう。何故読まれているのだろう(笑)


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見開きジャケの内側に、3人にサインしてもらった。キムが「絵描いてほしい?」って言うから何を言ってるのかと思っていたら、「yasのことを描いてやろう。じっとしてて」と、いきなり真剣に絵を描き始めた。あーあ、せっかくのジャケがお絵かき帳になってしまうよ、と思いながら見ていたら、実は結構うまかったりして。なんか目撃者による犯人の似顔絵風だけど(笑)、いいものもらったよ。ありがとう、キム。


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『Tambourine Sky』にもサインをもらう。時間が余っているのか(笑)、こちらにもあれこれ沢山書いてくれるキム(僕にだけじゃなく、見てたらみんなに沢山メッセージを書いてたね。いいやつ)。旧友とか書いてくれて嬉しいよ。


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あと一枚、これは多分タマス本人もまだ持ってないだろうと思って持参した、『Thirty People Away』のフランス盤CD。さんざん自慢してうらやましがらせてあげたよ(笑)。ポスター大のブックレットにサインしてもらったら、「僕より先に持ってるなんて信じられない」とか書かれた。発売元はアーティスト本人にサンプル盤とか送らないのかな。


終演後にタマスたちと話してたときのこと。「明日は何かリクエストある?」って聞いてくれるから、「“The Northern Lights”最近演ってないよね」と。タマスも「お、そうだね。よし、わかった」と言ってくれた。あとは、この日演ったカバー曲の話をしていたときにビーチボーイズのどの曲が好きかという話になり、「“I Can Hear Music”は大好き。あれなら歌えるよ」と言ってくれたのでそれもリクエスト(「God Only Knows」は?とか「Surf's Up」は?とかいうのは全部却下)。

他にもいろんな話をしたけど、翌日の大阪公演後の話題とごちゃまぜになってきた。一旦この東京公演レポートはここまでにして、あとで思い出したことは次の記事に書こう。なんとかこの週末中に仕上げられるかな。


Setlist 08 December 2011 @ Harajuku Vacant

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Melon Street Book Club
15. True Believers
16. England Had A Queen
17. Lichen And Bees
18. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear
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2011年11月27日

Jools Holland & His Rhythm & Blues Orchestra live in London

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前々回の記事に書いたとおり、本当はこの週末はロンドンから7時間かけてドバイに飛び、会議を終えたその足で夜行便に乗り、また7時間かけてパリに戻ってくるという強行スケジュールのはずだったんだけど、ドバイでの会議が急遽キャンセルになり、思いがけずゆっくりした土曜をロンドンで過ごせることになった。

なんかいいライヴやってないかなとタイムアウトで調べてみたら、去年の3月に東京のブルーノートで観たジュールス・ホランドの大所帯バンドがロイヤル・アルバート・ホール(以下RAHと略)で演るというのを見つけた。最初にサイトを見たときは80ポンド超えの席しか残ってないような書き方をしてあったので、去年観たばかりだし、止めとこうかなと躊躇していたんだけど、よく見てみたらアリーナ席もまだちらほら残っていて、何故かスタンド席よりも安い46ポンド。

しかも、スペシャルゲストに、サンディー・ショウとクリス・ディフォード(!!)。音楽の神様、まだこの辺でうろうろしていらっしゃるのか。世間一般的には25年振りにステージに立つというサンディーの方が目玉なんだろうけど、僕にとってはもちろんクリス。これはやっぱり観ておかなければ、ということでRAHのサイトに移ってチケットを買おうとするも、エラーメッセージ続出。なんだかいいかげんなサイトだなあ。しょうがないから当日早めに行ってボックスオフィスで直接買おう。


というわけで、当日の土曜。前夜3時過ぎまでかかってレジャー・ソサエティの記事なんて書いてたもんだから朝起きるのがつらくて、でもまだ引きずってる時差ボケで否応なく目が覚めてしまうから、なんだかぼーっとしたままロンドン市内へ。RAHって初めてだけど、なんだかどこの地下鉄の駅からも遠いね。

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昨晩ネットで見た席がまだ空いてた。アリーナ6列目の一番端。まだこんなに前の方が空いてるなんて。ちなみにボックスオフィスのお姉さんは、上から見下ろす方がステージ全体が見えていいですよと、円形のスタンドのステージに向かって右側(3時方向)の席を勧めてくれたんだけど、やっぱり僕は前で観たいよ。

さてと、無事チケットも取れたし、開演まであと5時間なにして時間つぶそうかな。

なんて迷う必要など当然なし。ダブルデッカーで激混みのオックスフォード・ストリートを抜け、ロンドン随一のレコ屋街、バーウィック・ストリート(Berwick Street)へ。週末のオックスフォード・ストリートって、ものすごい人だね。バスまったく動かず、RAHから1時間かかったよ。まあ、どうせ5時間つぶさないといけないからいいんだけどさ。

2軒まわって6枚ほど捕獲。一番の収穫はこれかな。半年前にロンドンに来たときは、レコード・ストア・デイの一週間前で悔しい思いをしたんだけど、最近はアメリカのブラック・フライデーに合わせて年末にももう一回レコード・ストア・デイがあるんだね。この土曜日はまさにアメリカのブラック・フライデー。沢山あったレコード・ストア・デイ・アイテムから選んできたこれ。

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こないだの来日公演で演った曲だね。それにしてもシングルまでこのおばさんか! この7インチ、ちゃんと昔ながらのドーナツ盤なのがいいね。ちなみに10インチ盤もあったんだけど、そちらは78回転。昔ながらにもほどがあるよ。そんなの買ってもうちでは聴けないので放流。

CD屋見てまわって、腹ごしらえにケバブ食べて、まだ開演まで2時間以上あるなあ。どうせまたバス混んでるだろうから、バス通りに沿って歩いてみようかな。

結局、バーウィック・ストリートからRAHまで、一時間かけて歩いてしまった。ロンドン市内の地理に詳しい人ならわかると思うけど、結構な距離だったよ。まあ、最近運動不足だからちょうどよかったけどね。クリスマス前のライトアップがあちこちでとても綺麗だったし。

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一時間かけて歩いてもまだ開場時刻まで45分ぐらいあったので、RAH内のバーでギネス飲みながら休憩。一時間歩いた疲れで軽く寝てしまいそうになる(日本時間の午前3時)。6時45分にようやくドアが開いたので、Aブロック6列目5番に行ってみたら、6列目とは名ばかりで、僕の列よりも前には3列しかない。しかも僕の席は一番左端なので、実際には僕の真ん前には係員のお姉さんしかいないという状態。これはいい席だったな。ステージまでの距離も、去年ブルーノートで観たときとそう変わらないかも。こんな8000人も収容できる大ホールでだよ。

しかもブルーノートのときは中央右寄りの席だったからジュールスの手元が全然見えなかったんだけど、今回はピアノに向かうジュールスをかなりの至近距離で後方からじっくり観ることができるよ。ピアノはヤマハだね。前回もそうだっけ。

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こんな距離。ちなみに後ろを振り返って見るとこんな感じ。

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周りを見てみると、かなり白髪人口と禿げ人口が多いよ。3日前に行ったレジャー・ソサエティの観客の平均年齢の3倍はあるんじゃないか。皆30年前にスクイーズ聴いてたのかな。

バーからアリーナに向かう通路に貼ってあったお知らせ。前座が25分で、20分休憩してジュールスのバンドが2時間、と。きちんと決まってるんだね。それよりも、その下に書いてあることの方が気になるよ。「シェーン・マクガワンは今回のツアーへの出演をすべてキャンセルしました」って、シェーンもゲスト参加する予定だったの?しばらく前に、もうポーグスとはツアーしないとか言ってるのを読んだけど、なんかあっちこっちでドタキャンしてるんだね(そのわりには来年の日本公演はキャンセル告知出ないけど)。

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オープニング・アクトは、ガリア・アラド(Galia Arad)という女性シンガー。全然期待してなかったけど、なかなかいい曲書くね。声もいいし、結構気に入った。ニューヨークで会社の受付の仕事をしていたら、エルヴィス・コステロからメールがきてスカウトされたとか言ってたよ。あと、今月出たばかりのデビューアルバムには、シェーン・マクガワンが参加してるんだって(それでゲスト参加する予定だったのかな)。バックでギターを弾いてるのは、ジュールスのバンドのマーク・フラナガン(Mark Flanagan)。パーカッションとアコーディオンを弾いてたのはロジャーって呼ばれてたから、同じくジュールスのバンドのトロンボニスト、ロジャー・ゴスリン(Roger Goslyn)だったのかな。隣でコーラスをしていた女性は実の妹だそうだ。


予定時刻の8時15分ほぼぴったりに、まずジュールスが登場。ピアノのイントロを弾き始めてから、他のメンバーもバラバラとステージへ。多いなあ。去年東京で観たときも、ヴォーカルの3人を含めて総勢12人の大所帯だったけど、今回はホーン・セクションだけで12人いるよ。

僕から一番遠い側に、前列にサックス5人、2列目にトロンボーン4人、後列にトランペットが3人。去年観たメンバーは全員いたはず。もちろん、リコ・ロドリゲス(Rico Rodoriguez)も2列目の一番端に。

基本的なコンサートの流れは去年のそれとほぼ同じ。ジュールスは序盤(2曲目)にヴォーカルを取るが、それ以外はだいたいインストか他のシンガーがリードヴォーカルを務める。去年同様、やっぱり僕はほとんどの曲名がわからなかったんだけど、去年は演ってなくて今回「この曲は僕が17歳ぐらいのときに書いたんだ。後で出てくるスペシャル・ゲストと一緒にね」と言って演奏した「Foolish I Know」が嬉しかったな。

あと日本公演とずいぶん違ったのは、ジュールスがハンドマイクでステージ前方をうろうろ歩きながら喋りまくること。客を煽ったり、大げさにメンバー紹介したり、冗談言ったりね。何度もコール&レスポンスをやらせてたね。

最初に出てきたゲストは、一番上に載せたポスターの写真にも小さく載っていた、ハーバート・グロンマイヤー(Herbert Gronemeyer)というドイツ人の歌手。ドイツ人ならヘルベルトなんだろうけど、ジュールスは紹介するときに英語読みだったね。歌うまい人だったよ。ちょっとトム・ジョーンズっぽい感じ。ジュールス、こういうタイプの男性歌手が好きなんだね。2曲を披露して退場。

1時間を過ぎた頃だったかな、何かの曲の途中でギルソン・レイヴィス(Gilson Lavis)のドラム・ソロが始まり、他のメンバーは全員舞台裏へ。結構長かったけど、かっこよかったよ。去年の記事にも書いた、忙しくタムとか叩いてる最中に右手でスティックをくるっと回したりとか。もう見かけはかなりおじいちゃんなのに、やっぱり凄いドラム叩くよね、この人。ロック・ドラマーとしてあまり有名ではないけど、相当上手な部類に入ると思うんだけどな。

ドラムソロが終わり、メンバーが戻ってくる。ジュールスが「そろそろ次のゲストを紹介しよう。後ろに座っているギルソンと僕とこの人は、35年も前に一緒にガタガタ道を走り始めたんだ」と言い始めた途端、聞き覚えのあるドラムのイントロをギルソンが叩き始める。ああっ、これは、「Take Me, I'm yours」!

ここでクリス登場。僕は生まれて初めて本物の動くクリス・ディフォードを見たよ。感激。もしかしてギター持たずに出てくるかなと不安だったんだけど、ちゃんとアクースティック・ギター抱えて出てきたね。「Take Me, I'm Yours」を歌い始めたんだけど、途中からグレンのパートを歌う声が聞こえる。誰が歌ってるんだ?もちろんジュールスじゃないし。

ステージを見渡してみると、左奥で地味にキーボードを弾いてるヒゲの兄ちゃんが歌ってる。あ、あれクリストファー・ホランド(Christopher Holland)じゃないか。彼去年は日本には来なかったよね。

続けて、クリスが「1979年に書いた次の曲のおかげで僕は休暇に出かけることができたんだ。おかげで最初の離婚を経験する羽目にもなったけどね」と、相変わらずシニカルな台詞。ということは、「Cool For Cats」か! もう演るのか。

と思う間もなく、ギルソンのスネアの一撃と、クリスのギターとジュールスのピアノ、デイヴ・スウィフト(Dave Swift)のベースがイントロを奏でる。涙出そうになった。今自分の目の前ほんの数メートルのステージの上で、スクイーズ最盛期メンバーのうち3人が揃って「Cool For Cats」を演奏しているなんて。エンディングのピアノ・ソロ、ジュールス自身が弾くのをこの目で見ることができるなんて。

残念ながら目の前にいた係員のお姉さんに「写真は撮らないでね」と言われていたので演奏中の写真は一枚もないんだけど、僕の位置から見て、ステージ奥のギルソン、手前側のジュールス、中央右側のクリスが一直線上に並んで演奏する姿は、写真なんかなくたって、もうこの先忘れることはないと思う。

本当に残念ながら、クリスはたったの2曲で退場。会場を埋め尽くした白髪と禿げ頭はみんな3/5スクイーズを観にきたんじゃないのか?なんでこんなあっさりした扱いなんだろう。ステージを降りる前にギルソンと握手し、右手に持ったマイクで客を煽るのに忙しいジュールスの左手と握手してニコニコしながら歩いていくクリスにもう一度大きな拍手。

というわけで、僕の本日のメインイベントはこの瞬間で終了。後はさらっといくよ。

クリスのすぐ後に出てきたのがサンディー・ショウ。今何歳なんだろう。もう60は越えてるよね。キラキラ光るミニのワンピース(というか、下はパンツっぽくなった服。あれなんていうんだろう。よく赤ちゃんがああいう形の服着せられてるな)で登場。肌の露出が並大抵じゃないんだけど、さすがに年相応の肌のハリでちょっと痛々しいと思ったのは僕だけなんだろうか。往年のアイドル、サンディー・ショウを知っている会場中の白髪と禿げはあれを見て懐かしい気分に浸っていたんだろうか。

1曲目の「Love Me Do」は当時からの持ち歌だったのかな。その他にも「Always Something There To Remind Me」とか、スタンダード曲が多かった。全部で4曲ぐらい歌ったっけ。そういえば、25年前にステージに立ったのって、もしかしたらスミスが「Hand In Glove」で彼女のことを引っ張り出してきたときかな。

サンディーもステージを降り、もうそろそろ2時間になるかなと思っていた頃、ルビー・ターナー(Ruby Turner)突如登場。このときまでずっと出てこなかったから、今回はいないのかと思ってた。相変わらず凄い歌(と見た目)だねえ。CDのジャケやプロモ写真ではそれなりにスリムに写ってるけど、実物はなんだか架空の生き物みたいに見えるよ。それであんな警報器みたいな声で歌うんだから、すごいよね。

とはいうものの、去年東京で観たときよりも、ルイーズ・マーシャル(Louise Marshall)が相当上手くなっていて、声量ではルビーに負けてなかったかも。あと去年と違ったのは、去年はロージー・ホランド(Rosie Holland)という名前だった彼女が、今はロージー・メイ(Rosie Mae)という名前になってること。結婚したのかな。それとも、ジュールスの身内だということを隠しはじめたのかな(遅いよ)。

本編だけでたっぷり2時間、その後2回のアンコールを含めて合計2時間15分の長尺ライヴ、じっくり堪能しました(特にクリスが参加していた10分間)。僕の目の前はちょうど入口の階段だったんだけど、その2時間強の間、トイレに行くお客さんのまあ多いこと。みんな何か飲みながら観ていたのと、あとはやっぱりお年のせいかな。ステージからの距離は申し分なかったんだけど、それだけがちょっと落ち着いて観てられなかったな。でも、当日思いついてぶらっと行って、あんな豪勢なホールであんな至近距離であんな素敵なライヴを観られたんだから、何も文句はないよ。またこのダラダラした記事のおかげで寝るのが3時になってしまったけどね。


おまけ:物販で買ったTシャツ(10ポンド。安い!)
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あと、ジュールスのサイン入り『Rockinghorse』のLP(15ポンド。安い!)
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2011年11月26日

The Leisure Society live in London (on the boat)

怒涛の海外出張月間のさなか、インパートメントのsinさんのこんなツイートを見たのは、ちょうど2日後に控えた欧州出張に向けて荷造りしていたときだった。

また、The Leisure Societyは11/24にロンドンのパブでフリー・ギグを行うようです。ロンドンのかたはぜひ。

え、11月24日って、ちょうど僕ロンドンにいる日じゃないか。しかも、2日間の滞在中、比較的夜の時間に余裕のありそうな方の日。さらに、調べてみたら、会場のTamesis Dockって、うちのオフィスのある駅から電車で1本だよ。これはもう、音楽の神様が僕の過酷な出張スケジュールを見かねて特別に配慮してくださったに違いない(笑)


そして24日。郊外のオフィスでなくロンドン市内で予想外に早く仕事を終えた後、時間潰しにオックスフォード・ストリートのHMVで目ぼしいのを数枚捕獲。なんだか知らないけど半年前に来たときより格段に安くなってるよ。もちろん円高のせいもあるんだけど。ついつい手に取る枚数が増えてしまう。ただでさえパソコンとか入った重たいカバン抱えてこれからライヴ行かなきゃいけないのに。

ゆっくり買い物して、それでも開演時刻の8時半まで余裕があったけど、腹も減ったし、ちょっと早めにパブに行って腹ごしらえしよう。なにしろ、ドックに係留してあるボートの上でのフリーライヴということだから、どんな大きさの会場で何人ぐらい来るのかさっぱりわからなかったから、早く行くに越したことはないし。

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ヴォクソール駅からテムズ川に沿ってしばらく歩くと、遠くにライトアップされた国会議事堂とロンドン・アイが見えてくる。さらに歩きながらふと見ると、なにやら派手に飾りつけられた、ちょっと年季の入った船が。まさかこれかな。こんなに小さいの?と見てみると、入口のところにちゃんとTamesis Dockという看板が。でも、レジャー・ソサエティのことなんて何も書いてないよ。

甲板に上がり、船の中に入ってみると、すぐバーカウンターになっている。もう結構客入ってるな、まだ開演まで1時間以上あるのに。と、それより、階段を下りた船底部分にあるステージ(?)でもう演奏始まってるよ。「Dust On The Dance Floor」だ。きっとリハーサルかな。

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あわててギネスとハンバーガーを注文し、下の階へ。階段をおりたところのスペースが簡易ステージ(といっても段差とか仕切りがあるわけじゃない)になっていて、反対側の壁際には15人ぐらいしか座れないソファ。もちろんもう全部埋まってる。ステージ前端、というかスタンドマイクの位置からソファまでは2メートルぐらいしかない。ということは、僕も含めた立ち見客はその前後2メートルのスペースに立って観ることになる。なんて近さだ。

階段付近はきっと開演が近づくにつれてどんどん人が入ってくるだろうから、反対側に移動。ちょうど機材を置くテーブルもあるから、そこでまず腹ごしらえ。そうしてるうちに僕の前にでかいのが立ちはだかってステージが全然見えなくなってしまった。しょうがないので僕もそいつの隣に移動。フルートを吹いているヘレン・ウィテカー(Helen Whitaker)のすぐそば。

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あと2曲ほど練習し、一旦解散。メンバーは三々五々ビールを飲んだり、外にタバコを吸いに行ったり。そうこうしているうちにお客さんがどんどん入ってくる。こんな狭い船の中に、きっと50人ぐらいはいたかな(バーのある2階からも見下ろせたはずだから、そっちにも更に何十人かいたはずだし)。大丈夫かな、沈まないのか、この船。僕の後ろや周りにも次々と人が増えてくるから、じりじりと前に移動。もう、ほぼヘレンのスタンドマイクの真横という、なんとも嬉しいというか気まずい立ち位置。


いつの間にかメンバーみんな着替えてきて、開演予定時刻ちょうどにスタート。演奏前にヘレンが「そんなとこにいるとフルートの先が当たるよ」なんて冗談交じりに話しかけてくれる。確かに、こんな距離だからね。

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1曲目は予想外に「We Were Wasted」という静かなオープニング。CDのブックレットには8人のメンバーが載ってるけど、この日は6人だけ。狭いからかな。前列に(僕に近い方から)ヘレン、ニック・ヘミング(Nick Hemming)、キーボードのクリスティアン・ハーディー(Christian Hardy)。後列こちら側からドラムスのセバスチャン・ハンキンス(Sebastian Hankins)、ベースのダレン・ボーンヒル(Darren Bonehill)、チェロのウィリアム・コールダーバンク(Willam Colderbank)。後列の3人は『Into The Murky Water』の録音時からメンバーチェンジしていなければ、だけど。

続く2曲目で、さっき練習していた「Dust On The Dance Floor」。この曲から、クリスとヘレンが場所を交代。クリスがギターを弾いて、ヘレンはキーボードを弾きながらフルートを吹く(もちろん両方いっぺんにはできない)。あーあ、ヘレンあっち行っちゃったと思ってたら、数曲後にはまた戻ってきた。ステージといっても歩けるようなスペースはないし、最前列のお客さんを押し分けながら場所を移動する感じ。忙しいね。

3曲目が僕の知らない曲で、あとはちょっと順番うろ覚え。意外に新作『Into The Murky Water』からは少なく、アンコールで演った「I Shall Forever Remain An Amateur」を入れても、全13曲中5曲だけ。他には、シングル曲「This Phantom Life」、タイトルトラック「Into The Murky Water」と、「Our Hearts Burn Like Damp Matches」かな。

さっきみたいに場所まで交代して楽器を換えてたのは最初の数曲だけだったけど、ニックはクラシック・ギター、アクースティック・ギター、ウクレレを曲によって弾き分け、ヘレンはこっち側にいるときはフルートとウクレレを演奏。CDのブックレット見ても、クリスティアンとこの2人はいろんな楽器演奏してるね。でも、ヘレンは基本的に管楽器だけか。どうりでウクレレちょっとたどたどしかったわけだ。

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たどたどしいといっても、別にリズム外したりミストーン出したりするわけじゃない。この日のライヴを観ていて僕がつくづく思っていたのは、このバンド、CDで聴いただけじゃわからないほど、かなり演奏力あるってこと。ニックのウクレレの弾き語りでスタートして、演奏の途中で他の楽器がふわーっと重なってくるところとか、曲のエンディングでかなり激しい演奏になっても一糸乱れぬところとか。とにかく、ほぼすべてアクースティック楽器だけで醸し出されるこのグルーヴ感はすごいよ。

ライヴ中にも言ってたけど、12月8日にはバービカン・センターというかなり大きめのホールでオーケストラと一緒にライヴ演るらしい。なんか、そういう展開になるというのが他にたくさんいるこの手の若手バンドとは一線を画してるね。まだわずかアルバム2枚しか出してないのに。ディープ・パープルでさえアルバム3枚出してからオーケストラと共演したのに(違)

本編11曲、ステージから降りずに続けて演奏したアンコール2曲を入れても1時間ちょっと。まあ、フリーライヴだからね。Last.fm主催ということで、カメラマンも何人か入ってたし、ビデオも撮ってたみたいだから、もしかしたら録音もしていて、そのうちアップされるのかもしれないね。もし画像や映像がアップされて、ヘレンのすぐそばに場違いな日本人らしき男がいたら、それは僕です。


演奏終了後、デッキでくつろぐメンバーに声をかける。ニックのところにはいろんな人が群がってるので、まずクリスティアンとヘレンに。「君たちのことを観に日本から来たんだよ」(ということにしておく)。クリス「うそでしょ」。僕「ほんと、昨日着いたばかりだから」(これは本当)。

さっきHMVで買った、ボーナスディスク付きで再発された『Into The Murky Water』のブックレットにサインをもらっていると、ヘレンが「これの日本盤持ってるよ。日本語が書いてあるよね」と言うので、「日本盤はこのジャケットのところ、ちゃんと指まで切り込んであるんだよ。帰ったら見てみて」とメンバー本人にレジャー・ソサエティ・トリビアを伝授。「日本には来る予定ないの?」と聞くと、「行きたい行きたい。すっごく楽しみ。フェスとか出られないかなあ」と、半分お世辞だとしても嬉しくなるほどの反応。

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「日本盤を出したレーベルに知り合いがいるんだよ」と言っておいたら、昨日のsinさんのツイートによると早速その話が伝わってる模様。sinさん、彼ら日本に来たがってたのでお願いしますね。絶対に生で観たほうがいいバンドでしたよ(あと、p*disでボーナスディスク付き買うって約束してたのに、ごめんなさい)。

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2011年11月05日

Jim Boggia live in Kamakura Oct 2011 Pt. 2

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もうあれから一週間近く経ってしまった。記憶もかなりおぼろげになってしまってるけど、当日取ったメモを頼りに思い出せるだけ書いていこう。ジム・ボジア本年二度目の来日公演の最終日、10月30日@鎌倉カフェ・ゴーティー。

気持ちいい秋晴れだった前日とはうってかわって、新宿から向かう湘南新宿ラインの車窓から外を眺めていると、傘をさしている人の数が鎌倉に近づくにつれて次第に増えていく。土砂降りというほどではないし、駅からゴーティーまではたいした距離ではないけれど、せっかくの鎌倉の休日が湿っぽくなってしまうね。

実際には、どうせまた日曜の終電間際までいることになるから開場前に集まって先に腹ごしらえしようというお馴染みのグレンヘッズの面々と4時から飲み始めていたから、湿っぽいどころか、ゴーティーに着く前からもうすっかりいい気持ちに盛り上がっていたんだけどね。「そんなに飲むとまた寝るよ」という優しいMさんの声を無視していろんな味のハイボールを次々に試していく僕。やっぱり甘いのはちょっとチューハイっぽくていまいち。

飲み屋を2時間で追い出され、開場時刻の少し前に小雨の中をゴーティーへ。入口のところで「雨ですねぇ」とまったりされている店長の松本さんに断って、先に店内のCDを物色させてもらう。前日買って聴いてみてすっかり気に入ったマット・ジ・エレクトリシャンの新譜は買おうと決めていたから、ほかになにか一緒に買おうかな。へえ、昔は髭のないこざっぱりした顔だったんだね。「マットのはそれ(02年盤?)あたりから聴いていくといいですよ」と松本さん。うん、そのつもりなんだけど、さすがにこれだけたくさん出てるのを一気に買うのはもったいなくって。少しずつ買い集めていくことにしよう。

リハーサルを終えたジムがすぐ近くで何か飲みながら談笑している。「やあ、今日も来たよ」と挨拶すると、話しかけてきてくれたので、しばらくあれこれ話をさせてもらった。インタビューじゃないのであまり二人で話した内容をこと細かく書くのははばかられるけど、少しだけね。

「5月に来たときにニューアルバムを作ってるって話をしてくれたけど、どうなったの?」と聞くと、「今完成させようとしているのは、7人編成で演ったときのライヴ盤。たぶん年明けに出せると思う。マイク・ヴァイオラとか参加してるよ」とのこと。ブルーハンモックとの契約の関係があって、スタジオ盤はすぐにだせないそうだ。「来年中には出したいんだけどね」とジム。

「歌詞ってどこかに載ってる? なかなか全部聞き取るのは難しくて」と言うと、「それアメリカでもよく言われるんだよね」だって。今ジム版のウィキピディアみたいなサイトを作っていて、そこに歌詞を載せようとしているとのこと。「完成したら僕のサイトから飛べるようになるよ」って言ってたけど、はたしてそんなのいつになることやら。CDのブックレットに歌詞を載せるのは嫌なんだって。

「そういえば、昨日リクエストしたスクイーズの曲ちゃんと練習してきてくれた? “Tempted”とか」と半ば冗談で言うと、「ああっ、そうだった。ちょっと失礼」と、急いでステージの方に向かい、後ろを向いて練習を始めてくれた。あ、そのリフはわかるよ、ほんとに演ってくれるんだね。ありがとう。

そうこうしているうちに開場時刻になった。前日と同じ列の、少し右側から観ることにした。左右にずらっと並ぶのは前日同様、グレンヘッズの皆さん。前日より数人少なかったかもしれないけど、それでも立ち見が出るほどの盛況。ジムはまだこっちに背を向けてブツブツと小声で歌いながらギターを練習してくれているよ。

「よし、これでいい」とギターを置き、一旦カウンターの方に行って、再登場。「君たちはもう今日で僕がアメリカに帰るから拍手しているの?」と冗談めかすジム。この日のオープニングは「To And Fro」。

セットリストは記憶して休憩時間とかにメモしてきたから後で載せるけど、それぞれの曲のときにどうだったかというのはさすがにちょっと記憶が薄れてきた。でもはっきり覚えてるのは、終始ちょっとゆるーい感じで進行した前日とはうって変って、この日はジム自身がビシッと気合を入れてきていたこと。ジョークを飛ばしたりして和やかな雰囲気は前日のままなんだけど、張り詰めた空気感が違ったというか、つまらないミスはしないぞというジムの意気込みまでが見えるようだった。

4曲目で「Annie Also Run」。今回ジムを観た3回ともこの曲を演ったけど、どの回も途中でサンダークラップ・ニューマンの「Something In The Air」をメドレーで歌い込んでいたね(横浜ではさらにそれに続けてストーンズの「Beast Of Burden」も)。

その曲を終えたところで、「何か聴きたいのはある?」とジム。誰も何も言いそうになかったので「Three Weeks Shy」と言ってみたら、向こう側に座っていたお客さんが「So Full」をリクエストしたのとちょうどかぶってしまった。「“Three Weeks Shy”はちょっとヘヴィーだから、焼酎が入ってからにしよう。ちゃんと覚えておくから」と丁寧に断ってくれる。

7曲目に演ったのは、友達のTomが前日にリクエストしていた「The Harry Nilsson Song」。バンドキャンプで買えるダウンロードオンリーのEP『4 Sketches』に入っている曲だね。ほんとにニルソンっぽい曲調で、ちょっと途中でミスして「なんでこんなに面倒なコード進行なんだ」って自分で言ってたね。

「他にリクエストは?」とまた聞くジム。またシーンとしているのを見計らって「Live The Proof」とリクエストしてみる。なんか僕ばかりリクエストしてるみたいですみませんね。「この曲はCMに使われて云々」という例の紹介をごちゃごちゃ言ってから演奏に入るジム。いい曲。なんでこれが毎晩定番として歌われないんだろう。印税もらえなかったことを根に持っているんだろうか(笑)

ピアノで2曲、前日と同じく「Bubblegum 45s」と、前回の最終日にも歌ってくれた「Lady Madonna」。確か前回もそうだったけど、どういうわけか次にこの曲だというときに、まだ一音も弾いてないのに、僕はきっと次はこれじゃないかと気づいてしまう。不思議。

ロッド・スチュワートの「Handbags And Gladrags」のカバーもよかったなあ。「みんなロッドなんてとバカにするけど、何十年も何百年も前の彼はすごかったんだよ」と冗談交じりで(でも真剣に)話すジム。そんなの、ここに来てるようなお客さんはみんな知ってるよ、ジム。

この日の第一部はちょっと短めだったかも。1時間なかったよね。きっとジムも早く焼酎が飲みたかったんだろう。そして、この日はわさび焼酎のオン・ザ・ロックを飲みながら、30分程度の休憩時間を談笑しながら過ごすジム。もうすっかり終わったみたいなくつろぎタイム。僕も同じわさび焼酎のロックを作ってもらって第二部に備える。


後半は前日と同じく「I Realized This Afternoon While Driving To Connecticut」でスタート。2曲目の「Listening To NRBQ」のイントロを弾き始めたときに携帯のシャッター音があちこちで鳴り響くのを気にしたジムは、「オーケー、そんなに写真を撮りたいなら、今から撮影タイムにしよう」とポーズを取り始める。冗談めかしてやってたけど、僕にはあれが「今日は真剣にやってるんだから、そっちも写真撮りながらなんかじゃなくて真剣に聴いてよ」と言っているように見えた。そういうのを嫌味っぽくなく仕切るところがさすがプロだなと感心。

「Listening To NRBQ」のエンディングのところ、レコード同様「I Love Her, She Loves Me」の一節を歌ったあと、ジムが別のNRBQの曲「Captain Lou」に続けると、それに合わせて友達のNさんがサビのところを歌う。あのときのジムのびっくりした顔ったら。「こんなことアメリカじゃ絶対に起こり得ないよ!」だって。ほんとに嬉しそうだったね。「これでアメリカにニコニコしながら帰れるよ」と言いながら、「次の曲は“Made Me So Happy”、だって本当にそうだからね」とジム。Nさん、よかったね、あんなにまで喜んでくれて。

「次の曲はリクエストされて、さっきから練習していたんだ。一応演奏できるとは思うけど、うまくいくかな。ちなみに、“Tempted”ではないよ」と言いながら、「Black Coffee In Bed」のイントロを弾き始める。2列目に陣取ったグレンヘッズだけでなく、いつもグレンのライヴで見かける面々が沢山いたから、もちろんみんなコーラスで応える。

2番の出だしの歌詞が思い出せないジム。僕もうろ覚えで「From the lips without passion?」と言ってみたけど、違った(それは3番。リクエストしたなら覚えておけよ>自分)。ごにょごにょとごまかして歌い始めるジム(答えは「With the way that you left me」でした)。でも、ちゃんとコール&レスポンスの箇所は皆で歌うのでまた大喜び。途中のギターソロのところは省略するよとわざわざ断りながら演奏してたね。

「次もリクエストされた曲。でもこれはヘヴィーだからちょっと落ち込むんだ」ってしきりに言ってたね。確かに、歌詞全部は聞き取れないけど、戦争でお兄さんが亡くなってしまう曲だよね。レコードではエンディングのところで戦死者の名前を告げるアナウンスみたいなのが淡々と流れて終わるし。そんなのリクエストしてごめん、でもいい曲なんだよな、「Three Weeks Shy」。

「今のは僕の兄の話ではないんだ。実際は僕の友達の兄貴の話。じゃあちょっと気分を変えて、実在しない僕の姉の歌を歌おう」と、「8 Track」へ。途中のテープのヒスノイズの部分もやったけど、前日みたいに延々話さずにさらっと。こういうところでもこの日は歌と演奏をしっかり聴いてもらおうという彼の気持ちが見えたね。

ピアノで、他のお客さんからリクエストされていた「Maybe I'm Amazed」を。「もう声が出ないよ。こんな声の調子のときに歌う曲じゃないんだけど」と言い訳しながら歌うジム。途中のキーボード・ソロの箇所を歌ったお客さんはリクエストした本人かな。ジムも喜んでたね。

前日とは違ったテーマ曲でウクレレをケースから取り出し、1曲目の「Ram On」(ほんとにポールの曲ばかり)で、またお客さんが合わせて歌うのを聞いて大喜びのジム。「この焼酎には何か入ってるんじゃないか。これは現実に起こっていることなのか?」だって。

次にウクレレで演った曲がわからなかったんだけど、物知りTomに訊いてみたら、「I Haven't Told Her, She Hasn't Told Me」という曲だと調べてくれた。ピーター・セラーズの曲? それはきっちり1曲歌ったけど、他にもこのウクレレパートではちょろっと一節だけ歌った曲がいくつかあったね。ラヴィン・スプーンフルとかだっけ。そういう細切れなのはセットリストには載せていないので、あれも歌ったとか覚えている人はコメント欄で教えてくださいね。

開演前にNさんから「昨日は自分の左側からyasさんの歌う声、右から五十嵐さんの声がステレオで聞こえてきましたよ」と言われた「Thunder Road」。そんなに大きな声で歌ってた覚えはないんだけどな。だって僕らが歌ってるとジムほんとに嬉しそうな顔するから、つい。というわけで、この日も(五十嵐さんはいらっしゃらなかったけど)定番のその曲のときに小声でボソボソ歌う。

次に、自分が5歳ぐらいのときからウクレレを練習しはじめ、テキストに載ってる曲をアレンジして弾いたら教師に叱られて、「アレンジしたいなら自分で曲を書け」と言われて8歳のときに書いたという曲を披露。ちょっとクラシックぽいアレンジだったけど、あんなの8歳で書いたの? すごいね。

第二部最後のパートは前日と同じ流れ。「Over The Rainbow」で締め、一旦カウンターの方に戻った後で再登場してアンコールで「Several Thousand」。この日はそれでもアンコールの拍手が鳴りやまないので、さらにもう1曲、ピアノで「Let Me Believe」(二回目に出てきたときに「何歌ってほしい?」シーン…「出てきてほしいけど歌ってほしい曲はないのか!」とお決まりのパターン。ごめんよ、もう今日は3曲もリクエストして咄嗟に出てこなかったんだ。今から思えば、今回演ってなかった「Underground」とか言えばよかった)。


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終演後、前日買っておいてジムのオフィシャル・ブートレグにサインを貰う。「“Black Coffee”演ってくれてありがとう。歌詞を覚えてなくてごめん。でもジムも覚えてなかったからお互い様だね」という話をしていたら、またしても話していた内容をそのままジャケットに書かれてしまった。“次回は歌詞を覚えてくる”って、あとで見たら何のことかわからないよ(笑)

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記念に写真を一枚。せっかく着て行ったビートルズのシャツには無反応(笑)。ライヴ中に何度も「また来年来るよ」と言ってくれていたジムのことだから、きっとまたすぐ来てくれるだろう。そのときには開演前に話してたライヴ盤が出ているかな。またこの狭い会場でぎゅうぎゅう詰めになるのが今から楽しみだね。


Setlist 30 October 2011 @ Kamakura Cafe Goatee

1. To And Fro
2. Toy Boat
3. On Your Birthday
4. Annie Also Run
5. So Full
6. Nothing Wrong With Me
7. The Harry Nilsson Song
8. Live The proof
9. Bubblegum 45s
10. Lady Madonna
11. Handbags And Gladrags
12. 3 Steps At A Time

13. I Realized This Afternoon While Driving To Connecticut
14. Listening To NRBQ
15. Made Me So Happy
16. Black Coffee In Bed
17. Three Weeks Shy
18. 8 Track
19. Maybe I'm Amazed
20. That's Not Why I Hate New York
21. Ram On
22. I Haven't Told Her, She Hasn't Told Me
23. It's Only Love
24. Waterloo Sunset
25. Thunder Road
26. (Jim's composition at 8 years old)
27. Getting Better
28. Over The Rainbow

Encore
1. Several Thousand
2. Let Me Believe
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2011年10月30日

Jim Boggia live in Kamakura Oct 2011 Pt. 1

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ジム・ボジア・ウィーク中日の今日(もう日付は昨日)、半年前と同じ、ジムの日本でのホームグラウンド、鎌倉カフェ・ゴーティーからはるばる帰宅。もう夜の1時半か。結構疲れたけど、明日の最終公演もあるので、今日の分は今書いてしまおう。

開場時間の40分ほど前に鎌倉駅に到着。まず軽く腹ごしらえしようと思っていたら、海鮮料理屋のおばちゃんの呼び込みに負けてしらす三昧を猛スピードで食べる羽目に。でも、さすが海沿いの町。生・釜揚げ・かき揚げのしらすが最高に美味かったな。

半年前とほぼ同じ席に着き、左右にずらっと並んだお馴染みのグレンヘッズの面々としばし歓談。今日はすごいね、満席どころか後ろの壁際の人たちは立ち見だよ。ジムがステージに行くためには、そのルートに座ってる人たちがわざわざ立ち上がって道を譲らないといけないほどの人口密度。

開演予定時刻の19時半を10分ほどまわった頃にジムが登場。さっそくギターを肩にかけようとしたらストラップが外れ、それを直すのに延々もたもたと。「ギターを弾くのは慣れてるけどこういうのにはうまくないんだ」とか。今から思えば、なんだか今日のちょっとゆるめのステージを象徴していたオープニング。

1曲目は「Nothing Wrong With Me」。会場で売っていた5月の来日時のライヴ盤でもこの曲がオープニングだね。今日買ってきてまだ聴いてないけど、楽しみ。「It's Time For 焼酎」なんて曲も入ってるね。これ今日も歌ってたな。

2曲目の「Annie Also Run」の途中で、ポール・マカートニーの「Every Night」を挟む。やっぱりこの人ポール好きだね。後半、ウクレレで「Getting Better」も弾いてたし、僕は気付かなかったけど、一緒にいたTomによると、ピアノを演奏してたときに「Flying」も歌ってたらしい。

ジムのライヴを、日本に来たときの全公演はもちろん、アメリカにも追っかけて行ってもう15回も観たというファンの方が偶然今日誕生日だったらしく、ジムが小さな花束をプレゼントし、「On Your Birthday」を捧げていた。最後にはメドレーで「Happy Birthday」を名前入りで歌ってあげてたね。最高だろうね、こんなことしてもらって。あ、その方には、ジムの追っかけで行った大阪みやげのお菓子をおすそ分けで戴いた。ありがとうございました。

さっきの「Every Night」に続く恒例のカバー大会。この日の2曲目はボブ・ディランの「Girl From The North Country」。僕は珍しい曲を演るなと思ったんだけど、彼のライヴにずっと通っている友達によると、定番なんだって。そのわりには曲を始める前のチューニングにやたら手間取ってたね。

この曲に限らずチューニングに苦労していたのは、ジムが今回自分のギターを持ってこなかったから。なんだかアメリカの空港の税関で面倒なことになるらしく、大事なギターは持ってきたくなかったからとのこと。今日使ってたギブソンはレンタルなのかな。店のかな。

「何か聴きたい曲はある?」とジム。誰も答えず、「いいんだ、わかってるよ」といじける。数曲後に「何度でも聞くよ。何か聴きたい曲は?」と負けずに言うから、「セカンドアルバムから“Once”できる?」とリクエスト。「ほら、何度もやれば通じるんだ」と嬉しそうなジム。「Once」は出だしのメロディーとかすごく好きな曲なんだけど、これまでライヴで聴いたことなかったからね。やっぱりいい曲。うれしい。

セカンドアルバムの曲順どおり、「Once」に続けて「Made Me So Happy」。これもいい曲だよね。僕はセカンドは一番最後に買ったこともあり、他の2枚に比べて印象が薄いんだけど、こうして聴いてみると結構いい曲詰まってるね。

「この曲はピアノで書いたんだけど、ピアノで演奏するのは久しぶり」と言いながら「Bubblegum 45s」を。ピアノで続けて「Let Me Believe」。「この曲は“Evan's Lament”というサブタイトルも付いてるから、どちらでもお好きな方で」と。

お客さんのリクエストで、エイミー・マンと共作した「Shine」を演奏。「エイミー・マンといえば、アメリカでは誰にも言ってないけど、さっき歌った“Let Me Believe”の歌詞の一部はマイケル・ペンのパクリなんだ」とか言ってたっけ。

第一部の最後に演った「3 Steps At A Time」は確かダウンロード・オンリーのアルバムに入ってる曲だよね。前回観たときにも演奏してたから、よっぽど好きなんだろうね。確かこの曲を始める直前に、お客さんの携帯が鳴ってしまって、ジムが咄嗟にそのメロディーに合わせてギターを弾き始める。初めて聴いたような曲に合わせて即興でソロを入れるこの人の凄さは昨日書いたばかりだけど、まさか携帯の着メロにまで合わせるなんて(笑)

第一部ではずっとミルクティーを飲んでたね。いつも一部から焼酎のお湯割りを飲みすぎて後半メロメロになるので、今日はセーブしていたらしい。一部の途中で何度も焼酎の話をしていたから、よっぽど飲みたかったんだろうね。後半では確か2回ほどお代わりしてたよ。

だめだ、1時間ぐらいで書けるかなと思ってたけど、1時間でようやく第一部のことしか書けない。なんで実際の演奏時間と同じだけかかるんだよ。もう今日はさっさとシャワーして寝よう。続きはまた明日。早起きして書こう。おやすみ。


というわけで今は日曜の朝。今日は二日酔いも隣の工事もなくすっきり。では第二部の様子を。

焼酎のお湯割りが飲めて嬉しくてしょうがないジムは始終その話ばかり。さっき書いた「It's Time For 焼酎」も確か二部だったね。30分程度のはずだった休憩時間は、ジムが焼酎を飲み始めて客と歓談したりしているもんだから、ちょっと時間超えてたかも。

「No Way Out」ではお客さんが自発的に口笛のパートを吹き始める。そして、後半のコーラスも。演奏後ジムが、「地球を半分も周ってきて、みんなが僕の曲に合わせて口笛を吹いたり歌ってくれたりするのを見ると、本当に感動するよ」って言ってたね。

再度お客さんのリクエストで歌った「8 Track」。途中のブレイクのところで、8トラックテープが無音部分に入ってズーッて音が鳴るのを口真似したり、「でもこれは70年代の話だから、聴いてる人たちは皆飛んでしまってるからそのまま聞いてるんだよ」とか話しだす。「もう今はドラッグはやってないよ」とかね。この日はこんな感じで、歌の途中とか失敗した箇所で突然話し始め、また曲に戻るなんてことが多かった気がする。それがなんだかゆるーい雰囲気を作り出していたな。ま、こういうのもたまには悪くないけど。なごやかな感じで。

再びピアノに座り、「Peter Pan」。メドレー(?)でクッキーモンスターの歌を声マネで歌いだす。「ジョン・レノンの最初の2枚のアルバムのどっちのどの曲だったか忘れたけど、静かなバラッドの途中でクッキーモンスターの声が聞こえるんだ。そんなだからジョンのことは好きなんだよね」とか言ってた。そんなの気付かなかった。聴いてみよう。

第二部の最後にウクレレ登場。スターウォーズのテーマだか何かを歌いながらケースからおごそかに取り出してたよ。「ニュージャージーはフィラデルフィアから橋を渡ったすぐ先で、本当はそのことがあまりうれしくないんだけど(NJって評判悪いのかな?)、でもニュージャージーには4つのいいことがある。ボン・ジョビはそのうちの一つではない」とか笑わせて、ボン・ジョビの曲をちょろっと歌う。

ニュージャージーといえばもちろん「Thunder Road」。何度聴いても素晴らしい指さばき。皆が歌詞を口ずさんでるのを見て嬉しそうな顔をしていたね。もちろん僕も小声で歌ったよ。

ウクレレではあとさっき書いた「Getting Better」を、「最近暇なときはウクレレの練習ばかりしてるんだ。これはまだ完全に自分のものになってないけど」と謙遜しながら、でも完璧に弾きこなしてたよ。そしてラストに、「Thunder Road」からメドレーで演らなかったのであれ?と思っていた「Over The Rainbow」を単独で。

立ち上がって一旦楽屋(?なんてないけど)に戻ろうとするけど、通路もないし時間もないのでそのままアンコールへ。ここはアンコール定番の「Several Thousand」。終わったあと「ほら、みんな電車がなくなるよ」って。でも、半分以上のお客さんは終演後ずっと残ってジムと話したりサインもらったり、ゴーティーさんのCDコレクションから何枚か買ったりしてた(僕もそれらを全部やりました)。

開演前に、持って行った「Misadventures In Stereo (The Mono Version)」のLPをジムに見せて、「わあ、こんなのよく持ってるね。アメリカでももう売ってないし、僕も持ってないんだよ」なんて話をしていたら、友達のTomも同じLPを持ってきてて、僕のちょっと前にサインをもらってた。同じことを言われてたね。

僕の順がまわってきて、「はいこれ、世界でも貴重なLPのうちの2枚目がここにあるよ」って見せたら、一番上に載せた写真のコメントを書かれた。“どうやら僕のLPは全部日本にあるみたいだ”って、これだけ後で見たら意味わからないよ(笑)。どうもこの人はサインしながら話してる話題をそのままジャケットに書く癖があるね。

このアルバムのライナーのサンクス・クレジットにスティーヴン・ラージの名前が載っていることが気になってたので訊いてみた。「このスティーヴン・ラージって、スクイーズのキーボーディストのこと?」そしたら、とっても嬉しそうな顔をして、「そう、彼のことを知ってるの? たしか5-6年前にグレンと一緒にツアーをして、そのときに知り合って、一緒にレコーディングしたことがあるんだよ」だって。バンドキャンプで入手可能な『The Abbey Road Session』というアルバムに参加しているらしい。

ついでに「スクイーズの曲何かできる? 明日歌ってよ」とリクエストするも、「うーん、スクイーズの曲難しいからなあ。一応練習してくるよ」とは言ってくれたけど、お湯割りをすでに5杯以上飲んでいる人の言うことは真に受けないのが賢明というもの。

先日横浜で観て気に入ったマット・ジ・エレクトリシャンやリゼントメンツ(その他二人が参加しているバンド)、安くなってたスクラッピー・ジャド・ニューカムのCDを、ジムのオフィシャル・ライヴ・ブートレグと一緒に購入。マットのCDってこんなに出てるんだ。これは今から散財が思いやられるぞ。

さて、今日はこれから日本ツアー最終日。ジムのことだから昨日とはがらっとセットリスト変えてくれるだろうな。昨日Tomに誘われてぶらっと来ていた友達がその場で今日のチケットを予約していたぐらい、この人のライヴは何度でも観たくなるからね。昨日買ったCDをウォークマンに落としたら、ちょっと早めに鎌倉に出かけるとしよう。


Setlist 29 October 2011 @ Kamakura Cafe Goatee

1. Nothing Wrong With Me
2. Annie Also Run ~ Every Night
3. To And Fro
4. On Your Birthday
5. Johnnie's Going Down
6. Girl From The North Country
7. Once
8. Made Me So Happy
9. Bubblegum 45s
10. Let Me Believe
11. Black And Blue
12. Shine
13. 3 Steps At A Time

14. I Realized This Afternoon While Driving To Connecticut
15. It's Time For Shochu
16. Listening To NRBQ
17. Weather
18. No Way Out
19. 8 Track
20. O/P
21. Peter Pan
22. Thunder Road
23. Getting Better
24. Over The Rainbow
25. Several Thousand
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2011年10月29日

Scrappy Jud Newcomb / Matt The Electrician / Bruce Hughes / Jim Boggia live in Yokohama

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Д ステージに陣取っている4人のメンバーのうち、2人は曲はおろか名前すら聞いたこともなく、1人はこのライヴのために中古で見つけたアルバムを1枚持っているだけ、残りの1人だけを目当てに来てみたこの日のライヴ。期待以上という言葉がずいぶん控えめに聞こえてしまうほど凄いものだった。

Д ただでさえ忙しい週にバンコクの洪水問題なんかも絡まってきて、もしかしたら会社抜け出すのは無理かもと思えるほどだったけど、例によって夕方から周囲を一切無視。無事開場前に横浜Thumbs Upに到着。初めて来たけど、こんなショッピングセンターの中にあるんだね。

Д 一週間ほど前から咳も止まらず、体調的にも結構最悪に近かったけど、そんなあれこれを抱えながら来てよかったと本当に思ったよ。この週末は鎌倉で連日ジム・ボジアだけど、最初で最後かもしれないこの4人の組み合わせを見逃すことにならなくて本当によかった。

Д そんな感じでちょっと無理して早抜けした仕返しで全然ブログを書く時間が取れないんだけど、明日は飲み会、あさってはもう鎌倉初日、ということで、なんとか急いで書いてしまわないとあの素晴らしかったライヴの記憶が薄れてしまう。ということで、4年ぶりに箇条書き風ライヴレポート。なんとか1時間ぐらいで書けるかな。

Д 開演時刻の19時半ちょうどぐらいだったかな、メンバー4人が揃ってステージに出てきたのは。とは言っても、開演前からみんなそのへんをうろうろしたり、ファンと歓談していたりしたんだけどね。客席にはいつもあちこちのライヴで見かける顔がちらほら。客席はほぼ満員だね、すごいな。

Д ステージ左から、ジム・ボジア、スクラッピー・ジャド・ニューカム、マット・ジ・エレクトリシャン、ブルース・ヒューズの順にスツールに腰掛ける。いや、マットが腰掛けているのはカホンだね。カホン大流行り。ブルースはボディもピックガードも白っぽい(でもかなり使い込んでくすんだ色の)フェンダーのプレジション。あと2人はアクースティック・ギター。両方ギブソンだったかな。

Д 今回はまずまずの整理番号で、座った席もそれほど悪いわけじゃなかったんだけど、ちょうど運悪く僕とジムの間に何人もの観客が座ってしまったせいで、お目当てのジムのことはほとんど見えず。でもまあいいや、週末たっぷり観られるからね。今日はこの日がツアー最終日のあとの3人をじっくり観よう。

Д だめだ、やっぱり眠すぎ。もう今日は書けない。明日の飲み会はたぶんエンドレスになるだろうから、土曜日に鎌倉に出かける前にがんばって早起きして続きを書こう(いくら鎌倉まで出かけるとはいっても19時開場に間に合う時刻に起きるのを普通は早起きとは言いません)。ではひとまず寝ます。


Д というわけで今は土曜日。この上の段落までは木曜日の夜中に書いたもの。なんとか午前中に起きることができたので、続きを書こう。ちょっと記憶も薄れてきたし、二日酔いと隣のマンションの工事の音で頭がズキズキするけど、なんとか最後までもつかな。

Д 自分の一番好きな曲をライヴの1曲目に持ってこられてしまったときの喜びともったいなさ感をどう表せばいいんだろう。この日のライヴは座った順に左から1曲ずつ持ち歌を歌うというもので、最初にジムが弾きだしたのは「Listening To NRBQ」。この曲演ってくれればいいなとは思ってたんだけど、まさかオープニングとは。

Д 間奏でスクラッピーがギターソロを入れる。レコードに入っているオリジナルとは違うラインだけど、ばっちり合ってるし格好いい。この人たち、リハーサルする時間どれだけあったんだ? 3人はこの日本ツアー中ずっと一緒だったろうけど、ジムは日本に到着したばかりのはずなのに。初見でこれだけ息ぴったりに演奏できるなんて。

Д 「Listening To NRBQ」のエンディング、NRBQの曲のフレーズがいくつか出てくる箇所。「I Love Her, She Loves Me」をブルースが歌い、続けて他のメンバーも歌う。いいね。やっぱりしっかりお互いのCDは聴きこんではいるんだね。

Д スクラッピーの曲でお返しにギターソロを入れるのはジム。やっぱりうまいねー。その他二人の曲では、ジムかスクラッピーのどちらかがソロを弾いてたかな。スクラッピーは後半スライドバーをつけたりもしていた。スライドプレイもかっこよかった。ブルースの曲で「ジム、もう一回ソロ!」とか急に振られても咄嗟に対応していたし。

Д スクラッピーは、見かけも声もいかにもアメリカンでロッキンな兄貴。はだけたシャツの胸元にごついネックレスが見えたり。しゃがれた声がちょっとジョン・ハイアットっぽいかな。ジムの次に聴いてしまうとちょっと曲自体の魅力は落ちてしまうかもしれないけど、こういう場所でずっと聴いていたい声とギター。

Д 続くはマット。なんで電気屋(電気技師?)なんだ? 顔の下半分をびっしり覆う黒い髭とぴったりした黒い野球帽。ちょっと離れ気味の左右のまゆ毛。赤いクレヨンで塗ったようなぐるぐるほっぺ。真剣な顔をしているときはちょっと近寄り難い雰囲気だけど、ぐるぐるほっぺでニコッと笑ったときはすごくお茶目。

Д なんだか妙に小柄なギターを持ってるね。あれなんて楽器だろう。曲によってはバンジョーに持ち替えたり、さっき書いたカホンを演奏したり。この人、このバンド内での触媒みたいな役割なんだろうな。そういう脇役みたいな楽器を担当してるというだけでなく、存在自体がなんかそんな感じ。

Д とか言いながら、この人の曲かなりいいよ。ちょっとコミカルな曲調もあれば、しんみり聴かせてくれるものもあり。いくつかの曲では外国人のお客さんが大笑いしてるよ。ちゃんと歌詞聞き取れなかったけど、そんなにおかしな曲だったのかな。

Д 4人のラウンドの最後はブルース。やわらかい感じのいいベースラインを弾きながら歌う。なんかベースと一緒に歌ってる感じ。ベース好きとしてはたまらない。くしゃくしゃした金髪と小柄な姿形が、スクラッピーとかと比べるとなんだか全然アメリカ人っぽくないね。

Д そんな感じで前半は3ラウンド、12曲。基本的にジムの曲しか知らないから、ジムがどの曲を演ったかを覚えているだけで全部で何曲演奏したか自動的にわかるという便利なシステム。

Д ちなみにジムがこの日他に歌ったのは(たぶん順番合ってると思うけど)、「To And Fro」、「Let Me Believe」(これはキーボードで)、後半に「No Way Out」、「Annie Also Run」、「That's Not Why I Hate New York」、アンコールでブルースと分け合って歌った「Several Thousand」。

Д ジムがメドレーで「Beast Of Burden」をつないだのはどの曲だっけ。「Annie」かな。「Never!」「Never!」って掛け合いのところで客がちゃんと歌ってくれたのが嬉しかったらしく、「アメリカでは『Never!』シーン…、なんてことよくあるんだよ」なんておどけてた。

Д マットは自分の曲につなげてサイモン&ガーファンクル・メドレー。次はどの曲にしようか考えながら歌ってるみたいで、「Cecillia」、「Me And Julio Down By The Schoolyard」、「Slip Sliding Away」から最後は「Bridge Over Troubled Water」まで繰り出してきて笑わせる。

Д 前半1時間、30分の休憩を挟んで後半も1時間ちょっと。アンコールも2曲、特にマットが歌った2曲目は長尺だったから、全部終了したのが10時半過ぎ。演奏していた時間だけでも2時間半ぐらいはあったね。遠くから来ていた友達は残念ながらアンコールを最後まで聴いていられなくて終電に駆け込まざるをえなかったぐらい。

Д 招聘元のカフェ・ゴーティーさんのサイトにも書いてあったけど、ジムを含めたこの4人での組み合わせはもう二度と観られないかもしれない。たまたまお互いの日本ツアーの最終日と初日が重なったというだけで実現した奇跡的なライヴ。きっとジャム・セッション的なゆるーい感じだろうと想像してたけど、実際は完璧に練り上げられたプロフェッショナルなライヴだった。

Д 4人それぞれ、アメリカでの気の遠くなるような回数のツアーで鍛えられた腕前と、おそらく自分の持ち歌だけを演奏していればいいというほど知られた人たちではないので、カバー曲や他人の曲に臨機応変に合わせるなんてことは朝飯前でできてしまうんだろうね。ものすごくハイレベルな即興をニコニコしながら続けていくのをじっくり見せてもらったよ。3時間があっという間だった。

Д さてと、そろそろ準備して、カフェ・ゴーティーに向かおうかな。今日と明日はジムのソロ・ライヴ。チケット発売初日に押さえたので、なかなかの整理番号。たっぷり堪能してくるとしよう。天気もいいし、鎌倉までの道のりも楽しみだ。
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2011年09月10日

パワーポップ・アカデミー2!

下北沢駅のいちばん賑やかな出口を出て南へ向かう商店街。この日は長丁場になるのは見えてたから、終演まで何も食べられなかった二日前の反省を活かして、商店街に新しくできた丸亀製麺でまず腹ごしらえ。もう開場まであまり時間はなかったけど、隣にあるレコファンについ立ち寄ってしまうと、緑色のおばさんジャケのニック・ロウの新譜に「本日入荷」のタグがついていたので迷わずゲット。そこからは早足で会場へと向かうが、入り口がよくわからなかったのでつい通り過ぎてしまい、バーミヤンのあたりまで歩いてしまってから引き返す。

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僕は初めての参加になる、今回が2回目のパワーポップ・アカデミーの会場THREEは、こじんまりとした居心地のいいラウンジのような場所だった。先日のFEVERよりもかなり小さなステージは、会場の角っこに作られているので三角形だ。アナウンスされていたとおり、DJブースもあるし、CDやレコードやTシャツが売られている物販コーナーもある。あ、ホットドッグも売ってるね。あとで腹減ったら食べよう。

この日のイベントは、トトス(totos)、ナッヂ・エム・オール(Nudge'em All)、ウェリントンズ(The Wellingtons)の3バンドのライヴと、それぞれのライヴの間の機材セッティングの時間を使った、観客が持参した携帯プレイヤーから数珠つなぎ的に音楽を鳴らすDJタイムという楽しい企画。その全部についていつものように事細かに書いていると多分とんでもなく長文になってしまいかねないので、なるべく短めにまとめてみよう。とか言っていつも全然短くなんてできないんだけどね。


トトスのときには僕はステージ右側のアンプにもたれかかっていたから、耳のすぐ後ろから出てくるとんでもない爆音を聴く羽目になってしまった。洗脳されてしまうかと思うほどの爆音は気持ちいいんだけど、ちょっとこれでは最後まで耳がもたない。まあ、いちバンドあたり30分程度ということなので、とにかくこのバンドはここで観よう。

既に解散してしまっているこのバンドが、今回のイベントに合わせて再結成したらしい。久しぶりなのでちょっと(MCも含めて)たどたどしいところもあったけど、なかなかポップでよかった。ちょっとうつむき加減で歌うボーカル&ギターの男の子と楽しそうにタンバリンを叩きながら歌うボーカルの女の子との対比が面白かったね。最後の曲はオエイシスの「Don't Look Back In Anger」のカバー。この日はアカデミーということで(?)各バンド必ずカバー曲を演奏することが決まりだそうだ。「Don't Look Back In Anger」がパワーポップかどうかは別として。

途中、楽屋からステージ前をちょこちょこっと横切って、ウェリントンズのケイトがステージ右側のアンプ前、つまり僕のすぐ隣に来た。トトスのメンバーの写真を撮りにきただけなんだけど、緊張する。なんかスイカっぽいいい匂いがするよ! 「背が高すぎてごめんね」と言ってくれたけど、多分身長は僕と同じぐらい。でも彼女の肩の位置はきっと僕のアゴぐらいだったよな。


トトス後のDJタイム。何名かの観客に混じってまずはサマーキャンプの「Nowhere Near」をかけてもらう。実は僕はこの日のために10曲ほど選曲して、それなりに曲の流れを考えて配置してきたんだけど、当然自分の持ってきた曲が続けて流れるわけじゃないから、自分の前に流れている曲からのつなぎを考えて10曲のうちから選ぶ。DJをしていたTHISTIMEオンラインストアの店長YASUさんが「この曲いいですよね」と、サマーキャンプのボーカリスト、ティムがソロで来日した話とかしてくれる。マニアックでいいね。


一回のDJタイムも30分程度。ナッヂ・エム・オールの出番のときには僕はDJブース近辺にいたので、さっきよりはバランスのいい穏やかな音で聴ける。二日前に観たスコット・ゴーズ・フォーでギターを弾いていた人がメインボーカルだ。スコットではこの人コーラスだけだったんだけど、曲間に話してるのを聞いて、いい声だなと思ってたんだ。ちょっと中村一義っぽい感じ?中村一義をいい声というかどうかはともかく。

オープニングの「Pilot」をはじめ、カバー曲を除いて全部新作『See』からの選曲だったかな。『See』は二日前に受け取ってからもう何度か聴いたけど、かなり好きな感じ。ちょっと懐かしのボックス(杉真理とか松尾清憲の)を思い出すね。僕はこのアルバム、THISTIMEオンラインストアで買ったから、秋のツアーに招待してもらえるよ。各会場先着順ということだから、早く申し込まなくちゃ。一応アマゾンにリンクを貼るけど、このアルバムに興味がある人は是非下の方にリンクを貼るTHISTIMEのオンラインストアでどうぞ。

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Nudge'em All 『See』

本来のべーシストが“洗濯物がたまっているから”(笑)とかでベースは代理の人らしい。そういう、ちょっと可笑しいMCが多かったね。そういえば、このフルアルバムとしては4枚目になるらしいアルバム『See』の前のアルバムのタイトルは『Sunn』だって。日本語を勉強しているウェリントンズのザックには意味がわかるかな。


続いてのDJタイム。今度のDJはトトスのベースの人だね。この人がパワーポップ・アカデミーの学長なのか。さっきよりも積極的に参加する人が増えてきて、遠慮してるとたぶんもう順番が回ってこない。かといってあんまりでしゃばるつもりもないから、あと1曲だけかけてもらおうかな。僕よりずっと若い客層にこれだけは聴いてもらいたいと、スクイーズの「Misadventure」を。さっきはスタートをちょっととちったけど、今度は前後の曲とのつなぎは完璧だったのでうれしい。


トリのウェリントンズ。二日前と同じ楽器のセッティングだけど、ステージはうんと狭いのでもうほとんど5人が肩を寄せ合うかのごとくひしめきあっている。ザックのギターはこないだのサンバーストのテレキャスターでなく、Fホールのついたフェンダーのクラシック・テレキャスター。もちろん左利き用。ライヴ後にザックに聞いたら、前日にお茶の水の左利き専用ショップ(そんなのがあるんだ)で買ったばかりなんだって。

二日前はアンコール1曲目だった「Come Undone」がオープニング。ということは、きっと全然セットリスト変えてくるね。2曲目はケイトの歌う「I'm Feeling The Same」だったけど、もうそこから後はほとんど曲順覚えてないよ。パワーポップ・アカデミー恒例のカバー大会はウィーザーの「Keep Fishin'」。こないだ予定してて演らなかった曲だね。この曲のときにトトスのメンバーとかTHISTIMEのYASUさんとかがステージに乱入して皆で歌ったり踊ったり。

僕が観ていたポジションがよくて音がよかったせいなのかもしれないけど、FEVERのときよりもずっとしっかりした演奏に思える。メンバー皆あんまり動き廻れないのに、それでもその場でジャンプしたりしてかっこいいよ。僕もこの時点で既に3時間以上立ちっぱなしで腰がイヤな感じになってきたけど、体を動かさずにはいられない。

終盤、「Freak Out」を演奏中にダナのギターの弦が切れ、その曲が終わってから「誰かギター貸してくれないか」と募る。あの青緑のジャズマスターはトトスの人のだっけ。すぐに外れてしまうストラップをガムテープで留めたり、それまでにも何度も抜けていたエフェクターのプラグを直したりと結構時間がかかっている間、ザックがMCとかメンバー紹介とかで場をつなぐ。アナとは同じ職場仲間って言ってた?

ようやくダナの準備ができて、「Keep Me Holding On」で再開。さらに「Popped Balloon」でエンディング。そして、メンバーがステージを降りる間もなくアンコール。ザックが「まだ演るの?フツカヨイ、ツライ」とか日本語で言って笑わせる。

アンコールは2曲。当初30分ぐらいって言ってたのに、結局それを含めて1時間ぐらい演ったんじゃないかな。終演後に拾ってきたケイトのセットリストによると、アンコール込みで15曲も演奏したんだ。途中アクシデントもあったのに、二日前よりも曲間も短くMCも少なめでぶっ飛ばしてたからね。


終了後もDJタイムが続く。もうかなり遅い時間なのに、お客さんほとんど帰ってないんじゃないかな。3バンドのメンバーもそのあたりをうろうろしながら、お客さんと話したりしてるよ。僕も先日ザックだけにサインをもらった『In Transit』に残りのメンバーからサインをもらいながら、ちょっとずつ話すことができた。

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場所がなくなったのでアナとケイトにはディスクにサインしてもらった。ケイトには飛行機から飛び降りるパラシュートの絵とか描いてもらって嬉しい。この人、そんなに美人というわけじゃないんだけど(失礼)、こういうところとかステージでのちょっとした仕草とか、えらく可愛いんだよね。僕が彼女にサインをもらえたのはもうかなり遅くなってからで、早く踊りに行きたそうにしてたのに引き留めて悪かったな。でも、「名古屋公演が終わったらそのまま成田に行って、次はスペイン、それからヨーロッパとアメリカツアーに出るんだよ」とかいろんな話をしてくれた。

さらに、開演前に物販で買った、ダナとザックのバンド、コインシデンツ(The Coincidents)のCDにも、ダナとザックにサインしてもらった。最初ダナには自分の写真がある内ジャケにサインしてもらったら、ザックの写真はCDトレイの裏側。「ダナは僕のことをCDで隠したがってるんだ」とか言いながら表ジャケにサイン。「ごめん、名前なんだっけ」と訊かれてもう一度教えたけど、名前忘れられたことよりも二日前に話したことを覚えてくれていたことの方が嬉しいよ。

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The Coincidents 『Modern Heart』

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正直言うと、ダナの参加していない『In Transit』にサインをもらうのも気が引けたから、最初はサインをもらうためだけもでいいやと半分ご祝儀気分で買ったこのCD、帰って聴いてみたら凄くいいんでびっくりした。ダナと同じシモンズ姓のメンバーが全部で3人もいるぞ。ファミリーバンドなのかな。アマゾンでは扱ってないみたいなので、THISTIMEオンラインストアをリンクしておいた。興味のある人はそちらでどうぞ。

打ち上げパーティーがずっと続いていてほんとは帰りたくなかったんだけど、次の日も朝早いので適当な時間で切り上げる。THISTIMEのフジさんと話せたのも楽しかったな。フジさん、YASUさん、ありがとう。次回もまた来るからね。


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Setlist 8 August 2011 @ Shimokitazawa Three

1. Come Undone
2. I'm Feeling The Same Way
3. Girls In Magazines
4. Song For Kim
5. Help Me Fall
6. Top 10 List
7. I Feel For You
8. Keep Fishin'
9. Sight For Sore Eyes
10. Adamant
11. Freak Out
12. Keep Me Holding On
13. Popped Balloon

Encore
1. I Get My Heart Broken Everyday
2. Yeah Yeah Yeah Yeah
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2011年09月08日

The Wellingtons live in Tokyo

楽しかった。出張直後、しかも結構重要な会議が立て続けに入っている週の火曜日なのでかなりムリをしたけど、ほんとに行ってよかったと思う。家に帰ってきた今もまだ耳の奥で鳴り響いているキーーンという耳鳴りまでが心地いい。

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今日は会社から直行したけど実は僕の家からは結構近い新代田FEVERに来るのは、これが初めて。あらかじめ地図を見て大体の場所はわかっていたけれど、井の頭線の駅を出てびっくり。こんな駅前にあるライヴハウスなんて初めて見るよ。超便利。同じ敷地内にお洒落なカフェも併設されていて、立て懸けてあるメニューを見るだけでお腹が鳴る。夕方の会議を振りきって何も食べずに来たからね。もう少し早く来られれば先に軽く食べられたのにな。

開場時間のほんの数分前に着いたので、さほど待たずに入場。招聘元THISTIMEのオンラインでチケットを購入して、当日入り口で受け取りということだったので、てっきり先に入れるのかと思いきや、前売りチケットを持った人からの入場だった。ちぇ。でもそんなに大勢いたわけでもないので、すぐに入れたよ。おまけに、受け取ったチケットには1番のスタンプが。なんか嬉しい。

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赤ワインのグラスを受け取り、6月にクアトロでポウジーズを観たのとほぼ同じポジションに陣取る。端っこだけどステージ全体が見渡せるから満足。最近はライヴに来ると誰かしら仲間がいるというのが普通になってしまっていたから、一人でじっと開演を待つというのも随分久しぶり。でもまあ今回は前座もあるから、開場から開演までほんの30分なんだけどね。

予定開演時刻を15分ほど廻った頃、スコット・ゴーズ・フォー(Scott Goes For)の4人が登場。前座のことまで事細かに書いてるときりがないので単刀直入に書くと、僕にとってはかつてオークランドでボブ・ディランの前座として観たフレイムズや、同じくオークランドでジョン・ケイルの前座で出てきた名前も知らない地元のバンドと並ぶレベルの大当たりだった。

ぱっと見はケバくもチャラくもない普通のお兄ちゃん(ライヴ中の会話によると、もう40を越えてるんだって。そうは見えない)ばかりなんだけど、一旦演奏に入るとメチャクチャ格好いい。声もいいし書く曲もいい。後述するウェリントンズのはっちゃけた爆音とは違って、豪快ながらも端正な音。これは拾い物だよ。今制作中のアルバムが年末か1月頃に出るらしいから、これは買おう。ちなみにこのバンドのギタリストが本来所属しているナッヂ・エム・オール(Nudge'em All)というバンドの新作をこの日のチケットと一緒に通販で買ったら、ライヴから帰宅したところにちょうど届いていた。発売日前なのに嬉しいね。さっそくウォークマンに入れて明日の通勤中に聴こうっと。

全部で8曲ほど演ったかな。ラスト前に演った、クリストファー・クロスの「Arthur's Theme」の高速カバーが痛快だった。あれもアルバムに収録されるかな。あっという間に30分の持ち時間終了。後ろに控えてるのがウェリントンズじゃなかったら、僕はあれで帰ってもいいってぐらい気に入ったよ。


30分ほどの機材セッティングを経て(当然のことながらセットしているのはメンバー本人達。でも誰もさほど騒がず)、いよいよウェリントンズ登場。ステージ中央に左利き用のテレキャスターを抱えたヴォーカルのザック、ステージ右側のケイトは「Keep Me Holding On」のPVで弾いているファイアバードじゃなくてペイルピンクのジャズベース。ステージ中央後方にドラムスのグスタフ。そのすぐ左にキーボードのアナ。アナの前、というか僕の真ん前で赤いギブソンのESを持っているのは、あれ?コージ君じゃないぞ。金髪のオージーだ。もしかしてコージ辞めたの?

1曲目は予想通り、先日の記事で紹介した新作『In Transit』のオープニングでもある「Keep Me Holding On」。うひゃー、音でかい。さっきのスコット・ゴーズ・フォーとは打って変わって、バリバリに歪んだ音。僕がスピーカーの真ん前にいるからかとも思ったけど、スコットのときはこんなに耳に突き刺さるような感じじゃなかったもんね。レスポール2本とテレキャス+セミアコとの差なのかな。まあ、それにしてもいい曲には変わりない。知らない人用にちょっとPV貼っておこう。



続けざまに曲を繰り出してくる。知ってる曲ばかりなんだけど、なかなか曲名が出てこない。前回の記事に僕はこのバンドのCDはセカンドアルバムしか持っていなかったと書いたけど、新作を気に入った直後、ファーストとサードをすぐさま購入。07年に買ったセカンド以外の曲はほぼ一気に覚えることになったので、とても曲名までは無理。3曲目に演ったイントロの印象的な「Song For Kim」とか、最近かなりヘビーローテーションだった新作からの曲なんかは大体わかったけどね。

実は僕のすぐ目の前のステージ上にセットリストが置いてあって、見ようと思えばいつでも見られたんだけど、そんなつまらないことはせずに、ライヴ中はずっとそこから目をそらして、終演後に写真を撮らせてもらうだけにしておいた。その写真とセットリストは最後に。

4曲目までほぼ曲間なしで歌い続けたザックが、「そこにいる彼女はケイトっていうんだ。次は彼女が歌うよ」と紹介して始まったのは、新作2曲目の「I'm Feeling The Same Way」。これもかわいくていい曲だよね。とにかく、CDを聴いても今回ライヴを観ても思ったのが、新作の曲はこれまでとはランク違いによくできてるってこと。

10曲終えたところで(曲数だけは数えてた)、ザックとケイト以外のメンバーが一旦退場。ザックがギブソンのアコギを持ち、ケイトはコーラス。アンプも通さず、二人ともオフマイクで歌う。綺麗なハーモニー。下手すると一本調子になりがちなこの手のライヴで、いいアクセントになったね。もう一曲「ファーストアルバムから」と「Tired Eyes」をアンプラグドで歌ったところで他のメンバーが再登場。ザックはそのままアコギで何曲か演奏を続ける。

メンバー紹介。僕の正面のブロンドのギタリストを「彼はダニエル。ダナって呼ばれてるんだ」。続けて「キーボードの彼女はアナ。新人だよ」とザックが紹介。そしたらダニエルが自分を指さして「ダナ」、後ろを向いて「アナ」、ドラマーのグスタフを指して「バナナ」だって。特に面白いギャグでもないはずなのに何故か受ける。

「ダナと僕は別のバンドもやってるんだ(名前は失念)。ダナが曲を書いて歌ってる。僕はベースを弾いてるんだよ。そこの物販のところに売ってるから後で買ってね」とザック。終演後に買おうかどうか迷ったけど、木曜日もあるからちょっと保留。

ダナがもう、演奏中暴れまわること。ジャンプはするわ、ぐにゃぐにゃ踊るわ(ダンスに非ず)。アンコールのときかな、自分のマイクスタンド倒してもうそのままにしてステージ動き回ってたのは。でも、ギターを弾きながらのジャンプって、誰もがかっこよくできるってわけじゃないんだなと思った。だってダナのジャンプ、へろへろなんだもんな。フォール・アウト・ボーイのピートとかって、よっぽど練習してるんだろうね、あんなにステージで格好良く走ったり回転しながらジャンプするなんて。

グスタフのドラムソロのパートが入ったのは、本編終了間近の「Adamant」のときだったかな。ケイトとダナは腕組みをしてじっと見てたり、ザックはこっち向いてあくびをするふりをしたりで可笑しい。グスタフって、ずっと歯を見せて笑っているような顔が、どことなくこざっぱりしたデイヴ・グロールといった趣き。髭もデイヴより短めだし。

ザックがMCのときに結構日本語をしゃべる。「スコット・ゴーズ・フォーに拍手を(ここは英語)。メッチャ、サイコー」とか。そういえばケイトと二人で、開演前に食べた併設のカフェでのカレーのことも「メッチャ、サイコー」って言ってたね。でも、二日後のイベント(パワーポップアカデミー)のことを説明するときにザックは「下北沢」がどうも覚えられなかったらしく、ケイトに耳打ちしてもらってたよ。ケイトはよく覚えられるね、そんな長い地名。

ステージ上での飲み物。ケイトは缶チューハイ。氷結だったかな。ダナもチューハイとかスーパードライとか。ザックはミネラルウォーター。グスタフのはちょっと遠くて見えなかったけど、多分あれもチューハイかな。アナは何も飲んでなかったように思う。終始冷静だったアナ以外は皆かなりはじけてたのは、アルコールが入ってたこともあるのかな。


アンコールで一旦退き、数分もしないうちに再登場。1曲目はサードアルバム『Heading North For The Winter』から僕の好きな「Come Undone」。このアルバムタイトル、寒い寒い冬のことかなと一瞬錯覚したけど、よく考えたら「寒い冬には暖かい北へ向かおう」だね。メルボルンのバンドだった。NZ暮らしから4年も離れてしまうともう感覚マヒしてくるよ。

ラストはキッスの「Rock 'n' Roll All Night」。セットリストに載ってた「Keep Fishing」は演らなかったね。ウィーザーの曲? この写真(アナのリスト)にはタイトル載ってるけど、ザックのは一番下の行が黒く塗りつぶされてたから、きっと始まる前から既に予定から外れてたんだろう。スコット・ゴーズ・フォーが始まるときからもう15分ほど押してたからね。残念。


たっぷり2時間強。アンコールも入れて全部で20曲かな。堪能した。終わってからしばらくは耳が聴こえなかった。会場を見渡すと見知った顔がちらほらいてしばらく話したんだけど、耳がギンギンして何言ってんだかさっぱり聞こえないよ。

少しはまばらになった客席にメンバーが出てくる。観客に囲まれるというほどでもないけど、たくさんの人が話しに行ったり、一緒に写真撮ったりサインもらったり。ザックとケイトは見当たらないな。僕もよほどサインもらおうかなと思ったけど、もう結構時間も遅かったし、まだ木曜日もあるからいいやと思って、雑談していたK君と別れて会場の外へ。

そしたら出口のところザックが。しばらく見ていて彼と話していたお客さんが帰ったところで、「あさって会おうね」と挨拶して僕も帰ろうとしたら、「あさっても来てくれるの。それはいいね。君なんて名前?」とか聞いてきてくれるから、「yas。ああ、そういえばサインくれる?」となんだか申し訳ない展開に。最初からサインくださいと言えよ。

持参していた『In Transit』の中ジャケにサインをもらう。ここにも日本語。

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「日本語を勉強してるんだよ。君も英語上手だね」となんだか向こうに気を使わせてばかりの会話。NZに住んでいたとか「僕はオークランドには行ったことがないよ」とか。あ、そんなことよりあれ訊かなくちゃ。「ねえ、コージはどうしたの?」

そしたら、彼の奥さんが臨月で、もうすぐ赤ちゃんが生まれるからメルボルンを離れられないんだって。ああ、そうなんだ。よかった。ステージでもそんなこと何も言わないから、てっきり辞めてしまったのかと思ってたよ。「コージは僕らにはかけがえのないメンバーだからね。辞めないよ」とのこと。

とか言ってるうちに別のファンの方がザックに近づいてきたので、「じゃあまた明後日ね」と会場を後に。出口の階段を上って信号を渡ればもうすぐそこが新代田の駅。便利だね。カバンの中には今サインをもらったばかりの『In Transit』の他に、平日に二日も会社を早抜けして(既にチケットを取っていたパワーポップアカデミーに加えて)この日のライヴに来るように僕の背中をうんと押してくれた、THISTIMEさんからの素敵なお土産が。

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なんと、入場者全員に、アルバム『In Transit』から漏れたデモ10曲をコンパイルしたCD-Rのプレゼント。これだけでもこの夜のチケット代分ぐらいの価値あるよね。しかも、メンバー全員の直筆サイン入り。日本に着いてからライヴが始まるまでに全部サインしたんだって。帰って2回ほど聴いてみたら、さすがに『In Transit』ほど超優良曲満載ではないものの、たとえばウェリントンズのB面曲集とか言われても全然遜色のないぐらいの出来。うれしいなあ。


昨日家にたどり着いてから、なんとか寝る前にこの記事をアップしようと頑張ったけど、なにしろ書きたいことが次から次へと出てくるもんだから(この上にあるだけの量です)、午前2時あたりでギブアップ。さっき会社から帰ってきて続きを書き始めて、足かけ3日でようやく完成。ふう。明日は、というか日付の上ではもう今日は下北沢でパワーポップアカデミーか。ライヴとかDJとか、どういうイベントになるんだろうな。昨日届いたナッヂ・エム・オールのアルバムもすごくよかったし。楽しみ。


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Setlist 6 August 2011 @ Shindaita Fever

1. Keep Me Holding On
2. Popped Balloon
3. Song For Kim
4. I Get My Heart Broken Everyday
5. I'm Feeling The Same Way
6. Girls In Magazines
7. I Feel For You
8. Baby's Got A Secret
9. Goodbye Heartbreaker
10. Top 10 List
11. For Friends In Far Away Places
12. Tired Eyes
13. Your One
14. Help Me Fall
15. Yeah Yeah Yeah Yeah
16. Sight For Sore Eyes
17. Adamant
18. Freak Out

Encore
1. Come Undone
2. Rock 'N' Roll All Night
posted by . at 00:13| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする