2012年03月24日

Radical Face live in Tokyo

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いろんな意味で予想を裏切られたライヴだった。というか、そもそも僕はこのラディカル・フェイスことベン・クーパーという人には予想を裏切られ続けてきている気がする。

僕が彼のファースト・アルバム『Ghost』を買ったのは、08年のことだった。ジャケットとインナーに写る人物の顔の部分はどちらも加工されていて表情すらわからなかったから、よもやあの悲しげな歌声の持ち主があんなにずんぐりとした熊のような体型、ほぼ坊主頭に髭だらけの丸顔だなんて予想もしなかった。そう考えると、あのジャケに写った人物は(少なくとも今の体型の)ベンではないよね。

そして今日、霧雨の中を池袋まで出かけて観てきた動くベン・クーパー(とその仲間たち)が、あの沈鬱な曲を奏でている人たちと同一人物だとは、自分の目の前で本人たちが演奏するのを観ていても、どうにも受け入れがたい気持ちだった。

まるで、肉体を持った幽霊たちが、互いにジョークを飛ばしながら楽しげにじゃれあっているのを見るような、そんなシュールな場面を目撃したかのよう。


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池袋駅からうまく地下道を通れば、ほぼ雨に濡れずにたどり着くことのできる好立地なヴェニュー、ミュージック・オルグ。地下2階にある、かなり小さなハコだ。聞いたところによると、60人だか80人も入れば満員になるらしい。そして今日は、上の小さな写真を見ればわかるように、前売りの段階で既に60人だか80人のお客さんがここに詰めかけることになっているようだ。

開場に入ると、左の壁際にベンチシートと寄せ集めた椅子が一列に。右側には楽器が並んでるけど、ヴォーカルマイクと左側のベンチとの間はたぶん2メートルもない。どこかで見たな、こんな光景。あ、そうか、レジャー・ソサエティを観たロンドンの船だ。あのときは入場したらもうベンチは一杯だったのでほとんどマイクスタンドの隣みたいな場所に立って観たんだったけど、今回は開場一番乗り。まだ開演まで30分もあるから、ゆっくり座って待たせてもらおう。たとえ前に人が入ってきても、せいぜい自分の目の前には2-3人しか立つスペースがないからそんなに見づらいことにもならないだろう。

開演時刻の8時を少し過ぎたあたりで、サポートメンバーのジャックが登場し、置いてあったテレキャスターを抱えて歌い始めた。ベン同様、顔中を覆うような髭が生えているのは来日直後の写真で見ていたけど、なんだか口髭の先がよじったように上を向いてるぞ。ダリかお前は。

30分ほどのジャックの弾き語り(全然期待していなかったわりには結構よかった)の後、そのまま客席(というか、会場中を埋めた60人だか80人の観客)をかき分けて、ベンともう一人のサポーターのジェレマイアが登場。ジャックとジェレマイアはその辺で待機し、まずはベンがテレキャスター(熊のイラストつき)で演奏を始める。

オープニングは『Ghost』から「Along The Road」。アルバムとはずいぶん感じが違うね。ピアノでなくギターだからか。2曲目、「これはまだ録音していない新曲」というのが始まった。そういえばこの人って完璧主義者でボツ曲がやたら多いという話だよな。この時点でセットリストを記憶する努力を放棄。たしかその次が、「シニード・オコーナーのカバー。ほんとはプリンスの曲だけど有名にしたのはシニード。知ってたら一緒に歌ってもいいよ。ただし、オリジナルよりずっとスローで、ずっと憂鬱なバージョンだから」と冗談交じりに紹介した「Nothing Compares 2 U」。

ここでサポートの2名が配置につく。たしか最初はジャックがドラムスで、ジェレマイアがピアノだったかな。この後もこの二人は曲ごとにどんどん楽器を交換しながら演奏する。器用だね。ジャックがドラムス、ピアノ、パーカッション(タンバリンとかマラカスとか)。ジェレマイアがピアノを弾きながらピアニカを吹いたり、ステージ右側に置いてあったストラトを弾いたり(確か1曲ドラムも叩いたっけ?)。

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3人編成になってからは、ほとんどが『Ghost』と『Family Tree: The Roots』からの曲だった。最初が「Wrapped In Piano Strings」だったかな。でも後は曲順覚えてないや。演奏したことを覚えている曲を順不同で書き記すと、

ファーストから、「Welcome Home」、「Glory」、「Wrapped In Piano Strings」、「Along The Road」、「Winter Is Coming」、「Homesick」。

セカンドから、「Names」、「Black Eyes」、「Severus And Stone」、「The Moon Is Down」、「Ghost Town」、「Always Gold」。

セットリストを決めていないようで、ベンは前の曲が終わるたびにポケットから小さなメモ用紙を取り出し、おそらくそこに書いてある演奏候補曲のリストを一回一回結構長い時間をかけて検討し、ときにはメンバーに「次はXXX」と指示し、ときには何も教えずにいきなり演奏を始めたりする。

メンバーの2人もそれを楽しんでいるようで、ベンが演奏しようとしている曲を想像してそれぞれの楽器について演奏を始める。一度、ジェレマイアが「てっきりあの曲かと思ったからギターを持ったのに、そっちの曲だったか。じゃあドラムだ」とか言ってたのを覚えてる(だから彼がドラムスも担当したと思ったんだけど、でも彼がドラムを叩いてるところを見た記憶がないな。というか、僕の位置からはベン以外はほとんど見えなかったんだけどね)。

そう、最初に書いたとおり、彼らが曲間であんなに冗談を飛ばしながら笑い転げる姿を見て、僕はなんだかとてつもない違和感を抱いてしまった。決して悪い意味でなく、ああそうか、この人たちはこういう普通の陽気なアメリカンなんだなと。

それが、ひとたび曲に入ると、あたり一面ラディカル・フェイス色に染まってしまう。おぼえたての日本語で「イチ、ニ、サン、イチ、ニ、サン」とお得意の三拍子のカウントで始めるんだけど、最初のギターの一音、そこにピアノがかぶさり、ブラシで叩くドラムのフィルインが入り、ベンが目を閉じて歌うと、もうそこは違う世界。

そう、ベンは終始目を閉じて歌っていた。まるで、自分が書いた曲の中の死者たちと交信するためにはそうするしかないとでもいうように。

そういえば、どの曲の紹介だったか、「次の曲では誰も死なない」と冗談めかして言ってたね。どの曲もしっかりと内容を説明してから演奏を始めていたのも印象的。たとえ目の前の60人だか80人の日本人のほとんどが歌詞の意味をろくに理解していないかもしれなかったとしても。「次の曲は『Homesick』っていって、えーと、ホームシックになることについての曲」とか適当なのもあったけど(笑)

「次の曲は『Always Gold』」って言ったときに僕が小さな声で「やった」みたいなことを言ったら、ベンが目ざとくこっちを指さして「彼は知ってるね」とか言ってくれた。それほど、それまでどれだけ曲紹介してもほとんど反応がなかったのを気にしていたのかな。もっとイエーとかヒューとか言ってあげればよかったかな。

この日は“クワイエット・ナイト”だったそうで、できるだけギターにディストーションもかけずに静かに演奏していたようだ(それでも、時おり盛り上がることはあったけど)。それが、終盤の「Winter Is Coming」で「ちょっとだけでかい音でやろう。sin、今日は怒られないよね?」とベン(数日前にカフェで大音量で演奏して怒られたらしい)。「この曲は後半にいくにしたがってスピードが速くなるんだ。それを(ドラムスの)ジャックがいつもダメにするんだよ」なんて言いながら演奏開始。いやいや、全然ダメになんてなってなかったよ。かっこよかった。

「Welcome Home」が本編最終曲。「次の曲をもし知っていたらコーラスのところを皆で歌って。アルバムでは沢山の声が入ってるからそういう風にしたいんだ。曲を知らなくても歌詞なんてない部分だから、隣の人が歌うのを聞いて同じように叫べばいいんだよ」と言ってスタート。結果は、60人だか80人の大合唱。ああ気持ちよかった。

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ベンがギターのストラップを外し、ステージを降りようとする間にもアンコールの拍手がすでに始まっている。そのまま再度3人で楽器を持ってアンコールへ。いちばん最後の曲はディズニーのロビンフッドからの曲のメドレー(って言ってたよね?僕は知らない曲だった)。ジャックとジェレマイアがマラカスとタンバリンを持ってベンの周りを踊りまわるという、よもやこれがラディカル・フェイスのライヴだとは思えないような陽気なエンディング。


終演後は、会場奥の物販とベンの前に長蛇の列。なにしろ今回は日本ツアー限定の7曲入りCD-R『Japan 2012』をはじめ、結構貴重なブツが売り出されてたからね。僕はとりあえずそのCD-Rを買い、ベンにサインをもらう。LPも欲しかったんだけど、わざわざ雨の日に持って帰ることはないかとひとまず放流(僕のことを少しでも知っている人は、このあと放流した物を二度手間かけて買いに行くというのを既に予測しているはず)。

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Radical Face 『Japan 2012』

サインをもらいながら少しだけベンと話す。「明日はもっと騒々しくなるよ」とのこと。「『Mountains』演ってくれなかったね、あの曲好きなのに」と言うと、「あれは3人で演奏するのに向いてないんだ。もっと大人数で演るか、もしくは一人のときかな」と言うから、「じゃあ明日オープニングのソロのところで演ってよ」とリクエスト。「うーん、まず練習してみるね」と言ってくれたけど、果たしてどうなることやら。

ということで、“明日”である今日(もう日付が変わった)、今から約16時間後には僕はまた一番乗りを目指して渋谷O-nestに向かっているはず。ベンは「Mountains」を歌ってくれるだろうか。僕が放流したLP(とその他のシングルやらTシャツやら)はちゃんと売れ残っているだろうか。

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2011年12月11日

Tamas Wells live in Osaka 2011

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濃厚な二日間を過ごした大阪を後にして、さっき無事帰宅。タマス・ウェルズの音楽とそれにまつわる諸々についてあまりにも沢山の出来事があったので、もうなんだか頭の中がオーバーフロー気味になってしまっているけれど、なんとか整理して少しでもここに書き記しておこう。

東京公演の余韻も冷めやらぬ12月9日の朝に大阪に移動し、腹ごしらえをした後、FM802のスタジオを訪問。なんでそんなところに行ったかというと、FM802のBEAT EXPOという番組にタマスが出演してインタビューとスタジオライヴを収録するというイベントがあり、僕はその番組で通訳をお手伝いさせてもらうことになったから。

しばらく前にインパートメントのsinさんの通訳募集というツイートを読み、どうせこの日はタマスのライヴまではレコ屋でもうろついてるほかにはやることないからと、通訳なんてやったことなかったけど、ほかに誰もいなければやりますよと言ってみたのがきっかけだった。

20分ほどの短いコーナーだったけど、ポイントを突いたいい内容のインタビューと、DJの早川さんも聞き惚れていたタマスとキムによる2曲。ネタバレになるのでここに内容は書かないけど、12月28日の夜7時から9時までの番組中のどこかで流れるとのことなので、FM802を受信できる関西のタマス・ファンの方はぜひ聞いてみて。なんだかボソボソしゃべってる通訳のことは無視していいからね。

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夜。どうせ時間まで特にやることないし、せっかくならまた前の方で観たいからと思って、また開場の30分前に会場に着いたら、同じビルの他のテナントの邪魔になるので開場時間に来てくださいとのこと。ごもっとも。一旦ずらかり、タコ焼きとビールで軽く腹ごしらえして、今度は7時ちょうどに再来場。前日とは逆の手の甲にペタンとスタンプを押してもらい、中に入る。前日とはうってかわって、とても小さな会場だ。去年タマスを観たsonoriumを、さらに一回り小さくしたぐらいの規模かな。ステージ(といってもまた段差もなにもないけど)の前にスツールが5脚ほどx2列。それより後ろは立ち見になってしまうんだね。僕は前日とほぼ同じ位置。東京より前座が一人増えて長丁場になるかもとのことだったので、年寄りは座らせてもらいますよ。

オープニング・アクトは、ウェザー・スプーン(weather spoon)というバンドのトレノ(toreno)という人。日本語詞だけど、ちょっとブロークン・フライトみたいな感じ。途中のMCで「僕もみなさんと同じような音楽が好きなんですよ」と言っていたのがよくわかるね。メルボルン・コネクションの飛び地、あるいは日本支店、みたいな感じで。

続いてキム・ビールズ。基本的には(5曲目に演った「Wedding Song」以外は)前日と同じ曲目だったけど、曲順は変わってたかな。曲の簡単な背景とかを日本人にもわかるようにゆっくり説明してくれたり、オフィシャルには来年出る予定のアルバムを今日持参したからよければ買ってねと言ったり、彼の書く曲同様、人の好さがにじみ出るようなほのぼのしたステージ(終演後に、思ったよりキムのCDが売れたとsinさんから聞いた。よかったね)。


そして、トリのタマス・ウェルズ(・トリオ)。3人でステージに立つや、まだBGMも鳴り終えてもいおらず、観客もまだざわざわしているうちに、「マイ・ネーム・イズ・タマちゃん」と自己紹介して、いきなり「Fire Balloons」を奏で始める。それを聴いて観客いきなり黙る、みたいな。まったく、勿体つけないにもほどがあるよ。

前日と同じ流れで曲順が進む。前日同様、リラックスしながらも何か新しいことを試してみようという雰囲気が流れている。自分のライヴの客はリピーターが多いということがわかっているから、少しでも飽きさせないように(そして、自分でも飽きてしまわないように)そうしているんだろうね。

同じ曲でも、曲紹介の内容が前日とは違うのがいくつかあったね。「Thirty People Away」では、自分の友達がミャンマーの水かけ祭りに参加していて、誰かが突然群衆に向かって手榴弾を放り投げて数十名死亡・負傷者百名以上という大惨事の、その爆発地点からたった30人の距離にいたという実話をきちんと説明してくれた。

前日はびっくりしたのが先に立ってあっという間に終わってしまった感のあった「Moonlight Shadow」のタマス・ヴァージョンをこうしてじっくり聴いてみると、確かにあの曲のコード進行とかメロディーラインとかって、タマスが書いたと言われればそうかと思えてしまうね(あれをタマスの新曲だと思ったと何人かの友達に言われたので)。

本日の「Valder Fields」はオリジナルに忠実なイントロなしバージョン。「この曲は、04年に初めてミャンマーに行って北部を訪れたときに、泊まった家に古いミャンマーのギターが置いてあって、それを使って作ったんだ」と説明。その話は初耳。ちなみに、終演後にタマスと話していたらその続きを教えてくれて、できたばかりのその曲を奥さんのブロンに聞かせたら、「それよくないからアルバムに入れるのやめたら?」と言われたんだって。ブロン、なんてことを…

「Signs I Can't Read」の紹介では、「ここ数年、ミャンマー国内の雰囲気が変わってきた。(スー・チー女史が解放されるとか)大きな動きもあったけれど、それだけでなく人々が希望について語るようになってきたんだ」とのこと。今まで彼がミャンマーについて話すときに、これだけ明るいトーンで語るのを聞いたのは僕は初めてだった。あとでタマスに聞いたんだけど、実は彼は例のHIV/エイズ関連のNGOでは今は働いておらず、2年ほど前から、より広い意味でミャンマーの人たちの生活が向上するように支援するという活動をしている団体に移ったとのこと。きっと、そういう活動を通じて、今まさにミャンマーが変わっているということを実感しているんだろう。

「For The Aperture」では、前日と同じく拍の頭で観客に手拍子を促すキム。僕は勝手に右手と左手でそれぞれの膝を1・2・3・4全部の拍で叩くことにした。あとでキムに「ちょっとあれやめてよ、やりにくいよ」と文句言ったら、「2・4の拍で手を叩くのは日本人だけだ。アジアの他の国ではどこも1・3で叩くぞ」と逆に言われてしまった。タマスも「オーストラリア人もだいたい1・3だね」と言うのでびっくり。「なんで日本人はそうなの?」とまで言われたけど、知らない。だって、その方が安定するよね。「それはそうだ、スネア叩く箇所も2・4だから、その方が理にかなっている」とキムは納得してくれたけど。

「For The Aperture」のエンディングで例の自転車のベルを鳴らすキム。この日は調子に乗って、お客さんに一音ずつ鳴らさせてたね。僕が座っていたアンソニー側までは残念ながら回ってこなかったけど。

そう、僕が座っていたのは、あの小さな会場の最前列、左側に置かれたキーボードの真ん前だったので、陣取りしてから「あ、まずい、これじゃまたアンソニーにプレッシャーかけてしまうな」と思っていたら、ステージに出てきたときにもう彼はこっち見てニヤニヤしていたな。「ごめん、ここ座ってしまった。緊張しなくていいから」と僕。案の定、この日もお約束のミスタッチがいくつか。そんなときにはなるべく彼の顔は見ないようにしておいてあげたけどね。

でも、「England Had A Queen」では、前日に間違って早く音を入れてしまった箇所で、タマスの顔を見ながらわざと弾こうとする振りとかする余裕があったね(タマスはシカトしてたけど・笑)。まさか、実はあの毎度お馴染みのミスは持ち芸としてやってるのか?

14曲目で、前日には演らなかった「Open The Blinds」を演奏。あ、ここからセットリスト変わるのかな、きっとリクエストした「The Northern Lights」とか「I Can Hear Music」とか演ってくれるかも、と期待していたら、結局その1曲以外はリクエストも含めて前日と全く同じだった。ちょっとがっかり。

終演後、タマスに「昨日リクエストした曲、演ってくれなかったね」と言ったら、「リハーサルのときに演奏し始めたら、どっちの曲も二番の歌詞を忘れていることに気がついた」だって。そんなことだろうと思ったよ。それにしても、「I Can Hear Music」はともかく、なんで自分の書いた曲の歌詞忘れるかね。

昨日書いた、タマス用のセットリストがないことについて訊いてみた。そしたらいともあっさりと「もう覚えてるから、リストなくても大丈夫」だって(「リストは見てもいいから歌詞覚えとけ」と言いたかったけど)。「曲順については、実はけっこう考え抜いてあるんだよ。同じキーの曲が続くとお客さんは飽きるだろうし、アンソニーやキムがどこで抜けて入るかとかも考えないといけないから」とのこと。

「だから、同じ場所で複数回演奏するのでなければ、基本的にセットリストは同じ。今回も、中国での5回からずっと同じリストだよ」とタマス。「複数回観に来る人もいるかもしれないのに」と言うと、そんなのはお前だけだと言われてしまった。

アンコール。アカペラで始まる「Abigail」に続けて「Reduced To Clear」が終わった途端、アンソニーがキーボードの上に置いてあったセットリストを「はい、これ」みたいな感じで僕に手渡してくれた。あ、ありがと。でも今日はもう最後だからもう一曲ぐらい演ってくれるよね、と思っていたけど、そのままアンコールの拍手もなく終了。時計を見てみたらもう10時半を回ってたからしょうがないね。


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タマスとキムのギター。キムに「このロゴのないギター、自分で作ったの?」と聞いたら、目をキラキラ輝かせて「これは木工技師の友達が作ってくれたんだ。この部分がタスマニア産のマホガニーの一枚板で、この部分はどこどこ産の何の木で、ほらこのヘッドの裏にシリアルナンバーが入ってるだろう、これは彼が作った2本目で…」と滔々と説明してくれた。自慢のギターなんだね、気付いてあげてよかった(笑)


数えてみたら、僕がタマスのライヴを観るのはこれでもう9回目になるのに、ちっとも飽きるということがない。日本には09年を除いてほぼ毎年のように来てくれている割には、毎回オーディエンスが拡大しているという感じとは言えないけど(レーベルとアーティスト自身にとっては大変だろうけど、いつも緊密な場所であの声と演奏を楽しめるというのは、申し訳ないけどファンにとっては逆にありがたい)。けっして、日本でツアーすることが彼らにとって大きな収入につながっているわけじゃないだろうけど、できれば毎年続けて来てほしいよ。タマスも来年の中頃にはミャンマーを離れてメルボルンに戻るということだから、今より少しは楽なフライトスケジュールになるだろうし。FM802を聴いて初めてタマスのことを知った関西の人が、きっと来年のツアーには来てくれるだろうしね。


Setlist 09 December 2011 @ Artyard Studio

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Open The Blinds
15. Melon Street Book Club
16. True Believers
17. England Had A Queen
18. Lichen And Bees
19. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear



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p.s. この日わざわざ大阪までタマスを追っかけていったおかげで、翌日、大切な友達の大事な日に一緒にいることができた。タマスも、めったにお目にかかることのできない異国のイベントに立ち会うことができて、よかったよね、きっと。

おめでとう。
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2011年12月10日

Tamas Wells live in Tokyo 2011

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あれからちょうど一年。2010年の暮れに僕たちに素敵な記憶を残してミャンマーに帰って行ったタマス・ウェルズが今年もやってきてくれた。9月末に予定されていた公演が、タマス自身のミャンマービザ更新手続きの関係で延期となっていたのが、ようやく年末ぎりぎりになって実現した。中国5都市でのツアーを終え、今回は東京と大阪で一回ずつ。まずは、東京公演の様子を(「まずは」ということは、お察しの通りこれを書いているのは大阪のホテルの一室なのでした)。

素晴らしい音響空間と最高級のスタインウェイの音を聴かせてくれた去年のsonoriumがこれからタマスの定番ヴェニューになるのかと思っていたら、今回は原宿のVacantというところ。あいにくの(というか、幸いというか)雨のせいで、いつもは女子校行きの満員電車みたいな竹下通りもこの日は人通りもまばら。すいすい歩いて、駅から5分ほどで着けた。一階はおしゃれな雑貨屋さん、二階が150人入るという(今回の限定客数)イベントスペースになっている。

段差のないだだっ広いスペースで、前の方には座布団、後ろの方には店中からかき集めてきたと思しきいろんな種類の椅子やソファが並べてある。ステージにも段差があるわけじゃないから、できるだけ前の方で観たいと思い、ちょっと早めに並んで最前列をキープ。隣に座ったN君はさっそく靴を脱ぎ、「ジャージ着て来ればよかった」などとすっかり自宅モード。

前回同様、前座はキム・ビールズ。今回はエレキギターを持ってきたんだね。ヘッドに何のロゴも入ってないナチュラルカラーの変わった形。ボディがどことなくブライアン・メイのギターっぽい形してるから、もしかしてブライアン同様、自作?

来年発表予定のニューアルバム『Tambourine Sky』からの曲を中心に30分。今回は持ち時間をオーバーすることなく終了。ちなみにこの新作、このツアーのために先に数十枚製作して持ってきたらしい。だから裏ジャケのクレジットも2012年になっている。アルバムのクレジットを見ると、10人ものメンバー構成で、いろんな管楽器やクラシカルな弦楽器も入っているようだ。レジャー・ソサエティみたい。今回はギター一本のシンプルなアレンジだったけど、あれらの曲がどういうアレンジになっているのか聴くのが楽しみ。


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男女一つずつしかないトイレの長蛇の列をクリアして戻ってきたから、実感的にはかなり短かったインターバルを置いて、タマス、アンソニー、キムが登場。キムはステージ左側のノード前に座り、タマスはいつものマーティン、キムはさっきのエレキ。アンソニーの後ろにはお馴染みのミャンマー・バンジョー。タマスの足元にはホルダーにセットされたハーモニカも置いてあるぞ。

いつもの「マイ・ネーム・イズ・タマス・ウェルズ」という挨拶とともにポロポロと弾き始めたメロディーを聴いてびっくり。「Fire Balloons」だ。もう演るの!? 一年ぶりの生タマスを、僕の中では一二を争うこの曲でスタートできるなんて。

この曲をはじめ、ほとんどの曲でキムがハーモニーを効かせる。タマスの声だけを聴いていたいという気持ちもなくはないけど、こうやって聴くのもまた格別。ちなみに、終演後アンソニーに「コーラスに参加しないの?」と聞くと、苦笑いしていたよ(苦笑)

2曲目の「Vendredi」を除いて『Thirty People Away』からの曲を数曲続けた後、タマス自身によるハーモニカを交えた、聞き覚えのないイントロの曲が。なんだろう、新曲かなと思って聴いていたら、歌いだしの歌詞を聞いてまたびっくり。「Moonlight Shadow」だ。マイク・オールドフィールドの。もちろん原曲の派手なギターソロとかはないし、歌詞含めてあちらこちら端折ったバージョンではあったけど、なんか貴重なものを聴いて得した気分。「アーティストも曲もあまりよく知らなかったけど、あの曲のメロディーはずっと昔から耳に残ってたんだ。それで、歌詞を覚えて自分なりのバージョンにして歌ってみた」とは、終演後のタマス談。

ミャンマーのことについて話し始めたので、きっと「Signs I Can't Read」かなと思いきや、次の曲は「Thirty People Away」。たぶんこの曲を日本で演奏するのは初めてじゃなかったかな(もし去年の京都で演ってなければ)。

続けて、また聞き覚えのないイントロ。今度こそ新曲かなと思っていたら、なんと「Valder Fields」。オリジナルではイントロなしで歌い始めるこの曲、ライヴではよくこうやっていろんなイントロをつけてくれるんだけど、そのどれもがまた綺麗なメロディーなんだよね。それにしても、相変わらずこの(ファン目線でいうと)一番の名曲をこういうさりげない箇所であっさり出してしまうんだね。本人的にはそれほど気に入ってるというわけじゃないのかな。

この日初めて『Two Years In April』から、「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。この曲と、前半に演奏した「The Crime At Edmund Lake」には、オリジナルにはないキムとのコーラスのエンディング部分が追加されていた。以前、「Reduced To Clear」のエンディングに、CDでは歌われていないパートを付けて完全版として歌っていたのと同じような感じ。というよりは、キムとリハーサルを続けていて、「この曲はこういう風にした方がよくない?」とか言って改良したんだろうね。なんだか、タマスの曲が少しずつ成長するのを見ているよう。

ここで一旦キムとアンソニーが退き、タマスがキムのエレキギターに持ち替えた。タマスがエレキ弾くのを見るのなんて初めて。ハーモニカホルダーを装着し、誰もがこの日この曲を歌ってくれるであろうことを期待していた台詞を話し始める。「31年前の今日、ジョン・レノンが殺されてしまった。彼の曲を歌おう」と、日本で聴くのは08年の東京公演以来になる「Nowhere Man」。

「2008年の5月2日、僕の住んでいるミャンマーにサイクロン・ナルギスが上陸して、14万人もの人が亡くなってしまったんだ」と、正確な日付と数字を覚えていたことに驚き(帰って調べてみたら、日付は正解、被害人数も13万8千人と、これも正しかった)、続けて演奏された「Signs I Can't Read」に聴き入る。去年のsonoriumでは自らのピアノで聴かせてくれたこの曲を、今回はエレキギターの弾き語りで。

更に「The Opportunity Fair」をエレキで弾いたあと、キムとアンソニーがステージに戻り、エレキはキムに返し、タマスは自分のマーティン、アンソニーがバンジョーを持って、「For The Apperture」。以前、シンガポールでタマスを観たとき、拍の頭で手拍子をするシンガポール人のことを書いたんだけど、今回はギターを置いてタンバリンを持ったキムが、拍の頭で手を叩くように観客を促す(自分は2・4でタンバリンを叩く)。しょうがないから従うけど、ああやりにくい。

続く「Writers From Nepean News」の間奏部分で、お馴染みの(笑)アンソニーのミスタッチ。いい加減毎回同じところでミスるのやめれば?(笑)。終演後に話していて、「いつもミスったときには君の顔見てしまうんだよ」と言われてしまった。ごめんね、そんなにプレッシャーかけていたとは。ちなみに、ラスト近くの「England Had A Queen」でもまた去年と同じくアンソニーが早くキーボードの音を入れてしまって、タマスとキムが苦笑いしながら見ていたよ。

「次はアンソニーによる“Melon Street Book Club”」とタマスが紹介した後、タマスだけがステージを降りる。あれ?キムはどうするの?と思っていたら、アンソニーのピアノにかぶせて、アンビエント風のギターを奏でる。ボリューム調整とかがちょっとうまくいかず、ときどき必要以上に大きな音になってしまったりもしたけど、いい雰囲気。このバージョンもなかなかいいね。

ただ、この曲あたりから、どうも僕が座っていた場所に近いスピーカーから低音のノイズが漏れ始める。ほとんど最後までずっと鳴っていたからもう最後の方には慣れてしまってそれほど気にならなくはなったものの、あれはちょっと残念だったな。

「次が最後の曲。ビーチボーイズのカバーなんだ」と言われて、てっきり『Pet Sounds』期とかの曲を演るのかと思いきや、「Do You Wanna Dance」だなんて。初めて聴いたけど、誰のどんな曲を歌っても、タマスのあの声で歌われるとなんだかすっかりタマス節になってしまうね。

アンコールに応えてまずタマスとキムだけが登場し、「When We Do Fail Abigail」をアカペラで披露。これはよかったね。途中からタマスのギターが入り、更にキムのエレキもかぶさってくるんだけど、すごく美しいバージョンだと思った。あとでキムが「あれ俺が提案したんだよ」とさも自慢気に教えてくれたよ。

例の「メルボルンの中でも僕が住んでいた地域は一番治安が悪くて」という説明を受けてのエンディング曲はもちろん「Reduced To Clear」。今回はコーラス入りの完全版じゃなかったけど、エンディングの演奏がいつもより長かったんじゃないかな。そういえば、今回いつもと何かが違うと思っていたら、いつも両足を揃えて直立不動で歌うタマスが、今回は(もちろん大抵はそうして歌ってるんだけど)比較的ステージ上をうろうろしながら歌っていたね。キムと向かい合ってギター弾いたりなんかして、ロック・コンサートみたい(笑)


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終演後に拾ってきたアンソニーのセットリストがこれ。後で清書するけど、タマスがエレキを持って歌う箇所は「Solo x 3」って書いてあるね。キムのセットリストにもそう書いてあったから、きっとこの部分はタマスがそのときの気分で違う曲を弾くのかも。そういえば、タマスだけは今回セットリストを床に置かずに歌ってたけど、もしかして予定曲順覚えてたの?(あんなに自分の曲に関しては記憶の曖昧な人が?・笑)


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今回会場で買ったCD。左が日本超先行発売のキム・ビールズ『Tambourine Sky』、右が、これも会場限定発売になる予定のタマス・ウェルズ『Signs I Can't Read - Live At Sonorium』(今回150名限定の東京公演と60名限定の大阪公演でどうやって500枚というこのCDの限定数を売り切るつもりなのかは僕は知らないけど・笑)


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この日、開場予定時刻の30分も前に会場に着いて時間を潰してたのは、これを手に入れたかったから(結局そんなに早く来てたのは僕の他には、いつも一緒のN君とか常連のxさんとかだけだったけど)。500枚限定生産のシリアル番号1番いただきました。聞いてもいないのに「1番ここにありますよ」と教えてくれたsinさん、ありがとう。何故読まれているのだろう(笑)


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見開きジャケの内側に、3人にサインしてもらった。キムが「絵描いてほしい?」って言うから何を言ってるのかと思っていたら、「yasのことを描いてやろう。じっとしてて」と、いきなり真剣に絵を描き始めた。あーあ、せっかくのジャケがお絵かき帳になってしまうよ、と思いながら見ていたら、実は結構うまかったりして。なんか目撃者による犯人の似顔絵風だけど(笑)、いいものもらったよ。ありがとう、キム。


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『Tambourine Sky』にもサインをもらう。時間が余っているのか(笑)、こちらにもあれこれ沢山書いてくれるキム(僕にだけじゃなく、見てたらみんなに沢山メッセージを書いてたね。いいやつ)。旧友とか書いてくれて嬉しいよ。


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あと一枚、これは多分タマス本人もまだ持ってないだろうと思って持参した、『Thirty People Away』のフランス盤CD。さんざん自慢してうらやましがらせてあげたよ(笑)。ポスター大のブックレットにサインしてもらったら、「僕より先に持ってるなんて信じられない」とか書かれた。発売元はアーティスト本人にサンプル盤とか送らないのかな。


終演後にタマスたちと話してたときのこと。「明日は何かリクエストある?」って聞いてくれるから、「“The Northern Lights”最近演ってないよね」と。タマスも「お、そうだね。よし、わかった」と言ってくれた。あとは、この日演ったカバー曲の話をしていたときにビーチボーイズのどの曲が好きかという話になり、「“I Can Hear Music”は大好き。あれなら歌えるよ」と言ってくれたのでそれもリクエスト(「God Only Knows」は?とか「Surf's Up」は?とかいうのは全部却下)。

他にもいろんな話をしたけど、翌日の大阪公演後の話題とごちゃまぜになってきた。一旦この東京公演レポートはここまでにして、あとで思い出したことは次の記事に書こう。なんとかこの週末中に仕上げられるかな。


Setlist 08 December 2011 @ Harajuku Vacant

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Melon Street Book Club
15. True Believers
16. England Had A Queen
17. Lichen And Bees
18. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear
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2011年11月27日

Jools Holland & His Rhythm & Blues Orchestra live in London

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前々回の記事に書いたとおり、本当はこの週末はロンドンから7時間かけてドバイに飛び、会議を終えたその足で夜行便に乗り、また7時間かけてパリに戻ってくるという強行スケジュールのはずだったんだけど、ドバイでの会議が急遽キャンセルになり、思いがけずゆっくりした土曜をロンドンで過ごせることになった。

なんかいいライヴやってないかなとタイムアウトで調べてみたら、去年の3月に東京のブルーノートで観たジュールス・ホランドの大所帯バンドがロイヤル・アルバート・ホール(以下RAHと略)で演るというのを見つけた。最初にサイトを見たときは80ポンド超えの席しか残ってないような書き方をしてあったので、去年観たばかりだし、止めとこうかなと躊躇していたんだけど、よく見てみたらアリーナ席もまだちらほら残っていて、何故かスタンド席よりも安い46ポンド。

しかも、スペシャルゲストに、サンディー・ショウとクリス・ディフォード(!!)。音楽の神様、まだこの辺でうろうろしていらっしゃるのか。世間一般的には25年振りにステージに立つというサンディーの方が目玉なんだろうけど、僕にとってはもちろんクリス。これはやっぱり観ておかなければ、ということでRAHのサイトに移ってチケットを買おうとするも、エラーメッセージ続出。なんだかいいかげんなサイトだなあ。しょうがないから当日早めに行ってボックスオフィスで直接買おう。


というわけで、当日の土曜。前夜3時過ぎまでかかってレジャー・ソサエティの記事なんて書いてたもんだから朝起きるのがつらくて、でもまだ引きずってる時差ボケで否応なく目が覚めてしまうから、なんだかぼーっとしたままロンドン市内へ。RAHって初めてだけど、なんだかどこの地下鉄の駅からも遠いね。

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昨晩ネットで見た席がまだ空いてた。アリーナ6列目の一番端。まだこんなに前の方が空いてるなんて。ちなみにボックスオフィスのお姉さんは、上から見下ろす方がステージ全体が見えていいですよと、円形のスタンドのステージに向かって右側(3時方向)の席を勧めてくれたんだけど、やっぱり僕は前で観たいよ。

さてと、無事チケットも取れたし、開演まであと5時間なにして時間つぶそうかな。

なんて迷う必要など当然なし。ダブルデッカーで激混みのオックスフォード・ストリートを抜け、ロンドン随一のレコ屋街、バーウィック・ストリート(Berwick Street)へ。週末のオックスフォード・ストリートって、ものすごい人だね。バスまったく動かず、RAHから1時間かかったよ。まあ、どうせ5時間つぶさないといけないからいいんだけどさ。

2軒まわって6枚ほど捕獲。一番の収穫はこれかな。半年前にロンドンに来たときは、レコード・ストア・デイの一週間前で悔しい思いをしたんだけど、最近はアメリカのブラック・フライデーに合わせて年末にももう一回レコード・ストア・デイがあるんだね。この土曜日はまさにアメリカのブラック・フライデー。沢山あったレコード・ストア・デイ・アイテムから選んできたこれ。

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こないだの来日公演で演った曲だね。それにしてもシングルまでこのおばさんか! この7インチ、ちゃんと昔ながらのドーナツ盤なのがいいね。ちなみに10インチ盤もあったんだけど、そちらは78回転。昔ながらにもほどがあるよ。そんなの買ってもうちでは聴けないので放流。

CD屋見てまわって、腹ごしらえにケバブ食べて、まだ開演まで2時間以上あるなあ。どうせまたバス混んでるだろうから、バス通りに沿って歩いてみようかな。

結局、バーウィック・ストリートからRAHまで、一時間かけて歩いてしまった。ロンドン市内の地理に詳しい人ならわかると思うけど、結構な距離だったよ。まあ、最近運動不足だからちょうどよかったけどね。クリスマス前のライトアップがあちこちでとても綺麗だったし。

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一時間かけて歩いてもまだ開場時刻まで45分ぐらいあったので、RAH内のバーでギネス飲みながら休憩。一時間歩いた疲れで軽く寝てしまいそうになる(日本時間の午前3時)。6時45分にようやくドアが開いたので、Aブロック6列目5番に行ってみたら、6列目とは名ばかりで、僕の列よりも前には3列しかない。しかも僕の席は一番左端なので、実際には僕の真ん前には係員のお姉さんしかいないという状態。これはいい席だったな。ステージまでの距離も、去年ブルーノートで観たときとそう変わらないかも。こんな8000人も収容できる大ホールでだよ。

しかもブルーノートのときは中央右寄りの席だったからジュールスの手元が全然見えなかったんだけど、今回はピアノに向かうジュールスをかなりの至近距離で後方からじっくり観ることができるよ。ピアノはヤマハだね。前回もそうだっけ。

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こんな距離。ちなみに後ろを振り返って見るとこんな感じ。

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周りを見てみると、かなり白髪人口と禿げ人口が多いよ。3日前に行ったレジャー・ソサエティの観客の平均年齢の3倍はあるんじゃないか。皆30年前にスクイーズ聴いてたのかな。

バーからアリーナに向かう通路に貼ってあったお知らせ。前座が25分で、20分休憩してジュールスのバンドが2時間、と。きちんと決まってるんだね。それよりも、その下に書いてあることの方が気になるよ。「シェーン・マクガワンは今回のツアーへの出演をすべてキャンセルしました」って、シェーンもゲスト参加する予定だったの?しばらく前に、もうポーグスとはツアーしないとか言ってるのを読んだけど、なんかあっちこっちでドタキャンしてるんだね(そのわりには来年の日本公演はキャンセル告知出ないけど)。

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オープニング・アクトは、ガリア・アラド(Galia Arad)という女性シンガー。全然期待してなかったけど、なかなかいい曲書くね。声もいいし、結構気に入った。ニューヨークで会社の受付の仕事をしていたら、エルヴィス・コステロからメールがきてスカウトされたとか言ってたよ。あと、今月出たばかりのデビューアルバムには、シェーン・マクガワンが参加してるんだって(それでゲスト参加する予定だったのかな)。バックでギターを弾いてるのは、ジュールスのバンドのマーク・フラナガン(Mark Flanagan)。パーカッションとアコーディオンを弾いてたのはロジャーって呼ばれてたから、同じくジュールスのバンドのトロンボニスト、ロジャー・ゴスリン(Roger Goslyn)だったのかな。隣でコーラスをしていた女性は実の妹だそうだ。


予定時刻の8時15分ほぼぴったりに、まずジュールスが登場。ピアノのイントロを弾き始めてから、他のメンバーもバラバラとステージへ。多いなあ。去年東京で観たときも、ヴォーカルの3人を含めて総勢12人の大所帯だったけど、今回はホーン・セクションだけで12人いるよ。

僕から一番遠い側に、前列にサックス5人、2列目にトロンボーン4人、後列にトランペットが3人。去年観たメンバーは全員いたはず。もちろん、リコ・ロドリゲス(Rico Rodoriguez)も2列目の一番端に。

基本的なコンサートの流れは去年のそれとほぼ同じ。ジュールスは序盤(2曲目)にヴォーカルを取るが、それ以外はだいたいインストか他のシンガーがリードヴォーカルを務める。去年同様、やっぱり僕はほとんどの曲名がわからなかったんだけど、去年は演ってなくて今回「この曲は僕が17歳ぐらいのときに書いたんだ。後で出てくるスペシャル・ゲストと一緒にね」と言って演奏した「Foolish I Know」が嬉しかったな。

あと日本公演とずいぶん違ったのは、ジュールスがハンドマイクでステージ前方をうろうろ歩きながら喋りまくること。客を煽ったり、大げさにメンバー紹介したり、冗談言ったりね。何度もコール&レスポンスをやらせてたね。

最初に出てきたゲストは、一番上に載せたポスターの写真にも小さく載っていた、ハーバート・グロンマイヤー(Herbert Gronemeyer)というドイツ人の歌手。ドイツ人ならヘルベルトなんだろうけど、ジュールスは紹介するときに英語読みだったね。歌うまい人だったよ。ちょっとトム・ジョーンズっぽい感じ。ジュールス、こういうタイプの男性歌手が好きなんだね。2曲を披露して退場。

1時間を過ぎた頃だったかな、何かの曲の途中でギルソン・レイヴィス(Gilson Lavis)のドラム・ソロが始まり、他のメンバーは全員舞台裏へ。結構長かったけど、かっこよかったよ。去年の記事にも書いた、忙しくタムとか叩いてる最中に右手でスティックをくるっと回したりとか。もう見かけはかなりおじいちゃんなのに、やっぱり凄いドラム叩くよね、この人。ロック・ドラマーとしてあまり有名ではないけど、相当上手な部類に入ると思うんだけどな。

ドラムソロが終わり、メンバーが戻ってくる。ジュールスが「そろそろ次のゲストを紹介しよう。後ろに座っているギルソンと僕とこの人は、35年も前に一緒にガタガタ道を走り始めたんだ」と言い始めた途端、聞き覚えのあるドラムのイントロをギルソンが叩き始める。ああっ、これは、「Take Me, I'm yours」!

ここでクリス登場。僕は生まれて初めて本物の動くクリス・ディフォードを見たよ。感激。もしかしてギター持たずに出てくるかなと不安だったんだけど、ちゃんとアクースティック・ギター抱えて出てきたね。「Take Me, I'm Yours」を歌い始めたんだけど、途中からグレンのパートを歌う声が聞こえる。誰が歌ってるんだ?もちろんジュールスじゃないし。

ステージを見渡してみると、左奥で地味にキーボードを弾いてるヒゲの兄ちゃんが歌ってる。あ、あれクリストファー・ホランド(Christopher Holland)じゃないか。彼去年は日本には来なかったよね。

続けて、クリスが「1979年に書いた次の曲のおかげで僕は休暇に出かけることができたんだ。おかげで最初の離婚を経験する羽目にもなったけどね」と、相変わらずシニカルな台詞。ということは、「Cool For Cats」か! もう演るのか。

と思う間もなく、ギルソンのスネアの一撃と、クリスのギターとジュールスのピアノ、デイヴ・スウィフト(Dave Swift)のベースがイントロを奏でる。涙出そうになった。今自分の目の前ほんの数メートルのステージの上で、スクイーズ最盛期メンバーのうち3人が揃って「Cool For Cats」を演奏しているなんて。エンディングのピアノ・ソロ、ジュールス自身が弾くのをこの目で見ることができるなんて。

残念ながら目の前にいた係員のお姉さんに「写真は撮らないでね」と言われていたので演奏中の写真は一枚もないんだけど、僕の位置から見て、ステージ奥のギルソン、手前側のジュールス、中央右側のクリスが一直線上に並んで演奏する姿は、写真なんかなくたって、もうこの先忘れることはないと思う。

本当に残念ながら、クリスはたったの2曲で退場。会場を埋め尽くした白髪と禿げ頭はみんな3/5スクイーズを観にきたんじゃないのか?なんでこんなあっさりした扱いなんだろう。ステージを降りる前にギルソンと握手し、右手に持ったマイクで客を煽るのに忙しいジュールスの左手と握手してニコニコしながら歩いていくクリスにもう一度大きな拍手。

というわけで、僕の本日のメインイベントはこの瞬間で終了。後はさらっといくよ。

クリスのすぐ後に出てきたのがサンディー・ショウ。今何歳なんだろう。もう60は越えてるよね。キラキラ光るミニのワンピース(というか、下はパンツっぽくなった服。あれなんていうんだろう。よく赤ちゃんがああいう形の服着せられてるな)で登場。肌の露出が並大抵じゃないんだけど、さすがに年相応の肌のハリでちょっと痛々しいと思ったのは僕だけなんだろうか。往年のアイドル、サンディー・ショウを知っている会場中の白髪と禿げはあれを見て懐かしい気分に浸っていたんだろうか。

1曲目の「Love Me Do」は当時からの持ち歌だったのかな。その他にも「Always Something There To Remind Me」とか、スタンダード曲が多かった。全部で4曲ぐらい歌ったっけ。そういえば、25年前にステージに立ったのって、もしかしたらスミスが「Hand In Glove」で彼女のことを引っ張り出してきたときかな。

サンディーもステージを降り、もうそろそろ2時間になるかなと思っていた頃、ルビー・ターナー(Ruby Turner)突如登場。このときまでずっと出てこなかったから、今回はいないのかと思ってた。相変わらず凄い歌(と見た目)だねえ。CDのジャケやプロモ写真ではそれなりにスリムに写ってるけど、実物はなんだか架空の生き物みたいに見えるよ。それであんな警報器みたいな声で歌うんだから、すごいよね。

とはいうものの、去年東京で観たときよりも、ルイーズ・マーシャル(Louise Marshall)が相当上手くなっていて、声量ではルビーに負けてなかったかも。あと去年と違ったのは、去年はロージー・ホランド(Rosie Holland)という名前だった彼女が、今はロージー・メイ(Rosie Mae)という名前になってること。結婚したのかな。それとも、ジュールスの身内だということを隠しはじめたのかな(遅いよ)。

本編だけでたっぷり2時間、その後2回のアンコールを含めて合計2時間15分の長尺ライヴ、じっくり堪能しました(特にクリスが参加していた10分間)。僕の目の前はちょうど入口の階段だったんだけど、その2時間強の間、トイレに行くお客さんのまあ多いこと。みんな何か飲みながら観ていたのと、あとはやっぱりお年のせいかな。ステージからの距離は申し分なかったんだけど、それだけがちょっと落ち着いて観てられなかったな。でも、当日思いついてぶらっと行って、あんな豪勢なホールであんな至近距離であんな素敵なライヴを観られたんだから、何も文句はないよ。またこのダラダラした記事のおかげで寝るのが3時になってしまったけどね。


おまけ:物販で買ったTシャツ(10ポンド。安い!)
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あと、ジュールスのサイン入り『Rockinghorse』のLP(15ポンド。安い!)
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2011年11月26日

The Leisure Society live in London (on the boat)

怒涛の海外出張月間のさなか、インパートメントのsinさんのこんなツイートを見たのは、ちょうど2日後に控えた欧州出張に向けて荷造りしていたときだった。

また、The Leisure Societyは11/24にロンドンのパブでフリー・ギグを行うようです。ロンドンのかたはぜひ。

え、11月24日って、ちょうど僕ロンドンにいる日じゃないか。しかも、2日間の滞在中、比較的夜の時間に余裕のありそうな方の日。さらに、調べてみたら、会場のTamesis Dockって、うちのオフィスのある駅から電車で1本だよ。これはもう、音楽の神様が僕の過酷な出張スケジュールを見かねて特別に配慮してくださったに違いない(笑)


そして24日。郊外のオフィスでなくロンドン市内で予想外に早く仕事を終えた後、時間潰しにオックスフォード・ストリートのHMVで目ぼしいのを数枚捕獲。なんだか知らないけど半年前に来たときより格段に安くなってるよ。もちろん円高のせいもあるんだけど。ついつい手に取る枚数が増えてしまう。ただでさえパソコンとか入った重たいカバン抱えてこれからライヴ行かなきゃいけないのに。

ゆっくり買い物して、それでも開演時刻の8時半まで余裕があったけど、腹も減ったし、ちょっと早めにパブに行って腹ごしらえしよう。なにしろ、ドックに係留してあるボートの上でのフリーライヴということだから、どんな大きさの会場で何人ぐらい来るのかさっぱりわからなかったから、早く行くに越したことはないし。

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ヴォクソール駅からテムズ川に沿ってしばらく歩くと、遠くにライトアップされた国会議事堂とロンドン・アイが見えてくる。さらに歩きながらふと見ると、なにやら派手に飾りつけられた、ちょっと年季の入った船が。まさかこれかな。こんなに小さいの?と見てみると、入口のところにちゃんとTamesis Dockという看板が。でも、レジャー・ソサエティのことなんて何も書いてないよ。

甲板に上がり、船の中に入ってみると、すぐバーカウンターになっている。もう結構客入ってるな、まだ開演まで1時間以上あるのに。と、それより、階段を下りた船底部分にあるステージ(?)でもう演奏始まってるよ。「Dust On The Dance Floor」だ。きっとリハーサルかな。

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あわててギネスとハンバーガーを注文し、下の階へ。階段をおりたところのスペースが簡易ステージ(といっても段差とか仕切りがあるわけじゃない)になっていて、反対側の壁際には15人ぐらいしか座れないソファ。もちろんもう全部埋まってる。ステージ前端、というかスタンドマイクの位置からソファまでは2メートルぐらいしかない。ということは、僕も含めた立ち見客はその前後2メートルのスペースに立って観ることになる。なんて近さだ。

階段付近はきっと開演が近づくにつれてどんどん人が入ってくるだろうから、反対側に移動。ちょうど機材を置くテーブルもあるから、そこでまず腹ごしらえ。そうしてるうちに僕の前にでかいのが立ちはだかってステージが全然見えなくなってしまった。しょうがないので僕もそいつの隣に移動。フルートを吹いているヘレン・ウィテカー(Helen Whitaker)のすぐそば。

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あと2曲ほど練習し、一旦解散。メンバーは三々五々ビールを飲んだり、外にタバコを吸いに行ったり。そうこうしているうちにお客さんがどんどん入ってくる。こんな狭い船の中に、きっと50人ぐらいはいたかな(バーのある2階からも見下ろせたはずだから、そっちにも更に何十人かいたはずだし)。大丈夫かな、沈まないのか、この船。僕の後ろや周りにも次々と人が増えてくるから、じりじりと前に移動。もう、ほぼヘレンのスタンドマイクの真横という、なんとも嬉しいというか気まずい立ち位置。


いつの間にかメンバーみんな着替えてきて、開演予定時刻ちょうどにスタート。演奏前にヘレンが「そんなとこにいるとフルートの先が当たるよ」なんて冗談交じりに話しかけてくれる。確かに、こんな距離だからね。

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1曲目は予想外に「We Were Wasted」という静かなオープニング。CDのブックレットには8人のメンバーが載ってるけど、この日は6人だけ。狭いからかな。前列に(僕に近い方から)ヘレン、ニック・ヘミング(Nick Hemming)、キーボードのクリスティアン・ハーディー(Christian Hardy)。後列こちら側からドラムスのセバスチャン・ハンキンス(Sebastian Hankins)、ベースのダレン・ボーンヒル(Darren Bonehill)、チェロのウィリアム・コールダーバンク(Willam Colderbank)。後列の3人は『Into The Murky Water』の録音時からメンバーチェンジしていなければ、だけど。

続く2曲目で、さっき練習していた「Dust On The Dance Floor」。この曲から、クリスとヘレンが場所を交代。クリスがギターを弾いて、ヘレンはキーボードを弾きながらフルートを吹く(もちろん両方いっぺんにはできない)。あーあ、ヘレンあっち行っちゃったと思ってたら、数曲後にはまた戻ってきた。ステージといっても歩けるようなスペースはないし、最前列のお客さんを押し分けながら場所を移動する感じ。忙しいね。

3曲目が僕の知らない曲で、あとはちょっと順番うろ覚え。意外に新作『Into The Murky Water』からは少なく、アンコールで演った「I Shall Forever Remain An Amateur」を入れても、全13曲中5曲だけ。他には、シングル曲「This Phantom Life」、タイトルトラック「Into The Murky Water」と、「Our Hearts Burn Like Damp Matches」かな。

さっきみたいに場所まで交代して楽器を換えてたのは最初の数曲だけだったけど、ニックはクラシック・ギター、アクースティック・ギター、ウクレレを曲によって弾き分け、ヘレンはこっち側にいるときはフルートとウクレレを演奏。CDのブックレット見ても、クリスティアンとこの2人はいろんな楽器演奏してるね。でも、ヘレンは基本的に管楽器だけか。どうりでウクレレちょっとたどたどしかったわけだ。

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たどたどしいといっても、別にリズム外したりミストーン出したりするわけじゃない。この日のライヴを観ていて僕がつくづく思っていたのは、このバンド、CDで聴いただけじゃわからないほど、かなり演奏力あるってこと。ニックのウクレレの弾き語りでスタートして、演奏の途中で他の楽器がふわーっと重なってくるところとか、曲のエンディングでかなり激しい演奏になっても一糸乱れぬところとか。とにかく、ほぼすべてアクースティック楽器だけで醸し出されるこのグルーヴ感はすごいよ。

ライヴ中にも言ってたけど、12月8日にはバービカン・センターというかなり大きめのホールでオーケストラと一緒にライヴ演るらしい。なんか、そういう展開になるというのが他にたくさんいるこの手の若手バンドとは一線を画してるね。まだわずかアルバム2枚しか出してないのに。ディープ・パープルでさえアルバム3枚出してからオーケストラと共演したのに(違)

本編11曲、ステージから降りずに続けて演奏したアンコール2曲を入れても1時間ちょっと。まあ、フリーライヴだからね。Last.fm主催ということで、カメラマンも何人か入ってたし、ビデオも撮ってたみたいだから、もしかしたら録音もしていて、そのうちアップされるのかもしれないね。もし画像や映像がアップされて、ヘレンのすぐそばに場違いな日本人らしき男がいたら、それは僕です。


演奏終了後、デッキでくつろぐメンバーに声をかける。ニックのところにはいろんな人が群がってるので、まずクリスティアンとヘレンに。「君たちのことを観に日本から来たんだよ」(ということにしておく)。クリス「うそでしょ」。僕「ほんと、昨日着いたばかりだから」(これは本当)。

さっきHMVで買った、ボーナスディスク付きで再発された『Into The Murky Water』のブックレットにサインをもらっていると、ヘレンが「これの日本盤持ってるよ。日本語が書いてあるよね」と言うので、「日本盤はこのジャケットのところ、ちゃんと指まで切り込んであるんだよ。帰ったら見てみて」とメンバー本人にレジャー・ソサエティ・トリビアを伝授。「日本には来る予定ないの?」と聞くと、「行きたい行きたい。すっごく楽しみ。フェスとか出られないかなあ」と、半分お世辞だとしても嬉しくなるほどの反応。

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「日本盤を出したレーベルに知り合いがいるんだよ」と言っておいたら、昨日のsinさんのツイートによると早速その話が伝わってる模様。sinさん、彼ら日本に来たがってたのでお願いしますね。絶対に生で観たほうがいいバンドでしたよ(あと、p*disでボーナスディスク付き買うって約束してたのに、ごめんなさい)。

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2011年10月29日

Scrappy Jud Newcomb / Matt The Electrician / Bruce Hughes / Jim Boggia live in Yokohama

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Д ステージに陣取っている4人のメンバーのうち、2人は曲はおろか名前すら聞いたこともなく、1人はこのライヴのために中古で見つけたアルバムを1枚持っているだけ、残りの1人だけを目当てに来てみたこの日のライヴ。期待以上という言葉がずいぶん控えめに聞こえてしまうほど凄いものだった。

Д ただでさえ忙しい週にバンコクの洪水問題なんかも絡まってきて、もしかしたら会社抜け出すのは無理かもと思えるほどだったけど、例によって夕方から周囲を一切無視。無事開場前に横浜Thumbs Upに到着。初めて来たけど、こんなショッピングセンターの中にあるんだね。

Д 一週間ほど前から咳も止まらず、体調的にも結構最悪に近かったけど、そんなあれこれを抱えながら来てよかったと本当に思ったよ。この週末は鎌倉で連日ジム・ボジアだけど、最初で最後かもしれないこの4人の組み合わせを見逃すことにならなくて本当によかった。

Д そんな感じでちょっと無理して早抜けした仕返しで全然ブログを書く時間が取れないんだけど、明日は飲み会、あさってはもう鎌倉初日、ということで、なんとか急いで書いてしまわないとあの素晴らしかったライヴの記憶が薄れてしまう。ということで、4年ぶりに箇条書き風ライヴレポート。なんとか1時間ぐらいで書けるかな。

Д 開演時刻の19時半ちょうどぐらいだったかな、メンバー4人が揃ってステージに出てきたのは。とは言っても、開演前からみんなそのへんをうろうろしたり、ファンと歓談していたりしたんだけどね。客席にはいつもあちこちのライヴで見かける顔がちらほら。客席はほぼ満員だね、すごいな。

Д ステージ左から、ジム・ボジア、スクラッピー・ジャド・ニューカム、マット・ジ・エレクトリシャン、ブルース・ヒューズの順にスツールに腰掛ける。いや、マットが腰掛けているのはカホンだね。カホン大流行り。ブルースはボディもピックガードも白っぽい(でもかなり使い込んでくすんだ色の)フェンダーのプレジション。あと2人はアクースティック・ギター。両方ギブソンだったかな。

Д 今回はまずまずの整理番号で、座った席もそれほど悪いわけじゃなかったんだけど、ちょうど運悪く僕とジムの間に何人もの観客が座ってしまったせいで、お目当てのジムのことはほとんど見えず。でもまあいいや、週末たっぷり観られるからね。今日はこの日がツアー最終日のあとの3人をじっくり観よう。

Д だめだ、やっぱり眠すぎ。もう今日は書けない。明日の飲み会はたぶんエンドレスになるだろうから、土曜日に鎌倉に出かける前にがんばって早起きして続きを書こう(いくら鎌倉まで出かけるとはいっても19時開場に間に合う時刻に起きるのを普通は早起きとは言いません)。ではひとまず寝ます。


Д というわけで今は土曜日。この上の段落までは木曜日の夜中に書いたもの。なんとか午前中に起きることができたので、続きを書こう。ちょっと記憶も薄れてきたし、二日酔いと隣のマンションの工事の音で頭がズキズキするけど、なんとか最後までもつかな。

Д 自分の一番好きな曲をライヴの1曲目に持ってこられてしまったときの喜びともったいなさ感をどう表せばいいんだろう。この日のライヴは座った順に左から1曲ずつ持ち歌を歌うというもので、最初にジムが弾きだしたのは「Listening To NRBQ」。この曲演ってくれればいいなとは思ってたんだけど、まさかオープニングとは。

Д 間奏でスクラッピーがギターソロを入れる。レコードに入っているオリジナルとは違うラインだけど、ばっちり合ってるし格好いい。この人たち、リハーサルする時間どれだけあったんだ? 3人はこの日本ツアー中ずっと一緒だったろうけど、ジムは日本に到着したばかりのはずなのに。初見でこれだけ息ぴったりに演奏できるなんて。

Д 「Listening To NRBQ」のエンディング、NRBQの曲のフレーズがいくつか出てくる箇所。「I Love Her, She Loves Me」をブルースが歌い、続けて他のメンバーも歌う。いいね。やっぱりしっかりお互いのCDは聴きこんではいるんだね。

Д スクラッピーの曲でお返しにギターソロを入れるのはジム。やっぱりうまいねー。その他二人の曲では、ジムかスクラッピーのどちらかがソロを弾いてたかな。スクラッピーは後半スライドバーをつけたりもしていた。スライドプレイもかっこよかった。ブルースの曲で「ジム、もう一回ソロ!」とか急に振られても咄嗟に対応していたし。

Д スクラッピーは、見かけも声もいかにもアメリカンでロッキンな兄貴。はだけたシャツの胸元にごついネックレスが見えたり。しゃがれた声がちょっとジョン・ハイアットっぽいかな。ジムの次に聴いてしまうとちょっと曲自体の魅力は落ちてしまうかもしれないけど、こういう場所でずっと聴いていたい声とギター。

Д 続くはマット。なんで電気屋(電気技師?)なんだ? 顔の下半分をびっしり覆う黒い髭とぴったりした黒い野球帽。ちょっと離れ気味の左右のまゆ毛。赤いクレヨンで塗ったようなぐるぐるほっぺ。真剣な顔をしているときはちょっと近寄り難い雰囲気だけど、ぐるぐるほっぺでニコッと笑ったときはすごくお茶目。

Д なんだか妙に小柄なギターを持ってるね。あれなんて楽器だろう。曲によってはバンジョーに持ち替えたり、さっき書いたカホンを演奏したり。この人、このバンド内での触媒みたいな役割なんだろうな。そういう脇役みたいな楽器を担当してるというだけでなく、存在自体がなんかそんな感じ。

Д とか言いながら、この人の曲かなりいいよ。ちょっとコミカルな曲調もあれば、しんみり聴かせてくれるものもあり。いくつかの曲では外国人のお客さんが大笑いしてるよ。ちゃんと歌詞聞き取れなかったけど、そんなにおかしな曲だったのかな。

Д 4人のラウンドの最後はブルース。やわらかい感じのいいベースラインを弾きながら歌う。なんかベースと一緒に歌ってる感じ。ベース好きとしてはたまらない。くしゃくしゃした金髪と小柄な姿形が、スクラッピーとかと比べるとなんだか全然アメリカ人っぽくないね。

Д そんな感じで前半は3ラウンド、12曲。基本的にジムの曲しか知らないから、ジムがどの曲を演ったかを覚えているだけで全部で何曲演奏したか自動的にわかるという便利なシステム。

Д ちなみにジムがこの日他に歌ったのは(たぶん順番合ってると思うけど)、「To And Fro」、「Let Me Believe」(これはキーボードで)、後半に「No Way Out」、「Annie Also Run」、「That's Not Why I Hate New York」、アンコールでブルースと分け合って歌った「Several Thousand」。

Д ジムがメドレーで「Beast Of Burden」をつないだのはどの曲だっけ。「Annie」かな。「Never!」「Never!」って掛け合いのところで客がちゃんと歌ってくれたのが嬉しかったらしく、「アメリカでは『Never!』シーン…、なんてことよくあるんだよ」なんておどけてた。

Д マットは自分の曲につなげてサイモン&ガーファンクル・メドレー。次はどの曲にしようか考えながら歌ってるみたいで、「Cecillia」、「Me And Julio Down By The Schoolyard」、「Slip Sliding Away」から最後は「Bridge Over Troubled Water」まで繰り出してきて笑わせる。

Д 前半1時間、30分の休憩を挟んで後半も1時間ちょっと。アンコールも2曲、特にマットが歌った2曲目は長尺だったから、全部終了したのが10時半過ぎ。演奏していた時間だけでも2時間半ぐらいはあったね。遠くから来ていた友達は残念ながらアンコールを最後まで聴いていられなくて終電に駆け込まざるをえなかったぐらい。

Д 招聘元のカフェ・ゴーティーさんのサイトにも書いてあったけど、ジムを含めたこの4人での組み合わせはもう二度と観られないかもしれない。たまたまお互いの日本ツアーの最終日と初日が重なったというだけで実現した奇跡的なライヴ。きっとジャム・セッション的なゆるーい感じだろうと想像してたけど、実際は完璧に練り上げられたプロフェッショナルなライヴだった。

Д 4人それぞれ、アメリカでの気の遠くなるような回数のツアーで鍛えられた腕前と、おそらく自分の持ち歌だけを演奏していればいいというほど知られた人たちではないので、カバー曲や他人の曲に臨機応変に合わせるなんてことは朝飯前でできてしまうんだろうね。ものすごくハイレベルな即興をニコニコしながら続けていくのをじっくり見せてもらったよ。3時間があっという間だった。

Д さてと、そろそろ準備して、カフェ・ゴーティーに向かおうかな。今日と明日はジムのソロ・ライヴ。チケット発売初日に押さえたので、なかなかの整理番号。たっぷり堪能してくるとしよう。天気もいいし、鎌倉までの道のりも楽しみだ。
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2011年08月13日

Nick Lowe live in Tokyo Pt. 2

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東京公演最終日。セカンドセット。ちょうど僕が会場に着いたのは、ファーストセットを終えて満足顔のお客さんがぞろぞろと出てくるところだった。みんな本当にニコニコしてるね。テレビ中継は無事行われたようで、友達に頼んである録画ビデオを観るのが楽しみだ。

前日より一つ大きな数字の整理番号で入場したのに、前日より一つ内側に寄ったテーブルに陣取る。僕とステージとの間には何人か座っているから、その人たちに遮られてステージ全体を見渡すという感じではないけれど、ポジション的にはニックの真正面。首を思いっきりひねらないとゲライントのことを観られなかった前日とは逆に、ステージ左側を向いた席。ビルボードにはもう何回も来ているから、下手に最前列まで行くよりもこのあたりの方が音のバランスがいいというのは承知済み。負け惜しみでなく。

前日同様、定時を少し過ぎたあたりでニックが登場。前日はこざっぱりしたモスグリーンの半袖シャツだったのが、この日は一面に薔薇の模様の入った濃紺の長袖シャツ。足元は前日の革靴でなく、スニーカーだった。いくつになってもスタイルいいから、何着ても似合うね、この人は。

どうせ前日と同じセットリストだろうな、最終日だから余裕持ってゆったり観よう、もうしばらく観られないかも知れないからしっかり目に焼き付けておこう、なんて思っていたら、前日と同じようにギターを抱えて弾き始めたイントロがどうも昨日の「Stoplight Roses」とは違う。なんか聴き覚えあるぞ。あ、これ!「People Change」だ。ライヴDVDでもオープニングだった、アルバム『At My Age』中、僕が一番好きな曲。そっか、セットリスト変えてくるんだ、これは楽しみだぞ。

と思っていたら、2曲目は「Heart」。メンバーがまだ楽屋からステージに向かって歩いてきている時に勝手に弾き始めて歌い始めた3曲目の「What Lack Of Love Has Done」も前日と同じ(前日はせめてメンバーがステージに上ってから弾き始めていたけどね)。その後しばらくは同じセットが続いた。

「I Live On A Battlefield」に入る前、「この曲は、ダイアナ・ロスにカバーされたんだ」と紹介。へえ、そうなんだ。まあ、あえて買ってまで聴いてみたいとは思わないけど。そして、その曲が終わったときに、前日同様にメンバー紹介。「みんな、“コンニチハ”を彼に言って」と、右端のマシューから順に。ロバートのときは、「ロバート・トレハーン。グレート・ボビー・アーウィン!」って言ってたね。

「Indian Queens」の間奏で、ドラムがコツ、コツ、と静かにリズムを刻むところでニックが「う〜ん」とか言いながら気持ちよさそうな顔してた。前日は確か「この部分が好きなんだ」とかつぶやいてたな。

曲順もわかってるから前日より冷静に聴けたとはいえ、やっぱりこの「Cruel To Be Kind」のイントロは超かっこいいよ。感動的ですらあるな。そして、この日一番の驚きは、ジョニーのギターがやたら上手かったこと。この曲に限らないけど、前日はヒヤヒヤしながら観ていたプレイの、この日はなんと安定していたことか。この曲のソロは比較的レコードに忠実なラインだったけど、それだけでなく、各曲での的確なピッキング、効果的なトレモロ使い、(もたついてるんじゃなく)タメを持ったカッティング、どれもこれも前日とはまるで別人。そう思いながら観ると、前日はちょっともっさりして見えたグレッチの黄色い大柄なギターもやけに格好よく見えるよ。いやー、さすがテレビ中継が一度入ると違うね(笑)

そんな風にジョニーもよかったけど、ステージ左側を向いて座った僕のこの日のお目当てはやっぱりゲライント。ステージ中央に向けて置かれた黒いローランドと、客席に向けて置かれた真っ赤なノード。曲によって使い分けたり、同じ曲の中で両方を弾き分けたり。この人が演奏するのを、ビデオも含めて何度か観ているけど、どうも猫背で小さくなって弾いているっていう印象があったんだよね。ところが実際にこうして見てみると、背筋はしゃきっと伸びている。大柄な体を小さくして弾いているのかと思うと、背も決して高いわけじゃない。どうしてあんな風に見えるんだろうとずっと観察していてわかったのは、あれ椅子がかなり高いんだね、きっと。それで、自然と下の方にある鍵板を手のひらでふわっふわっという感じで弾くもんだから、なんとなく大きな大人がオモチャのピアノを弾いているように見えるんだな。そしてこの人、本当にいつも目を細めてニコニコしながらキーボードを弾くんだよね。観ているこっちまでつられてニコニコしてしまうよ。

「Cruel To Be Kind」の次はスローな曲、というお決まりどおり、次はライヴDVDと同じ「You Inspire Me」。次はまた「Long Limbed Girl」かなと思っていたら、新曲だ。サビの歌詞とニューアルバムの曲目表を見比べてみると、「Sensitive Man」というやつだね。

「今のはニューアルバムからの新曲。もう一曲新曲を演るよ、“House For Sale”」と紹介して演奏しようとするニック。他のメンバーから一斉に「違うよ」とツッコミ。「ああ、そうか、“Somebody Cares For Me”だ、そっちの方がいいね」と苦笑いのニック。「なんだ、昨日演奏していない“House For Sale”を演ってくれればいいのにな」と思っていたら、「Somebody Cares For Me」のあと、「次が“House For Sale”だったよ」とニック。やった、この中盤に来て前日とかなりセット変えてきたよ。嬉しいな。これもいい曲だね。歌詞の後半に“Peace, Love and Understanding”なんて入ってたのはアドリブなのかな。

曲によって、ベースのマシュー以外の3人が頻繁にコーラスを入れる。みんなさすがに付き合い長いだけあって手慣れたものだね。あと、前日も気づいていたけど書くのを忘れていたのは、曲が終わるたびにニックが敬礼すること。なんか、すごく見馴れた光景だなと思っていたら、あ、そうか、あれ「Cruel To Be Kind」のシングル盤のジャケだ。昔からずっとああしてたんだね。

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「Somebody Cares For Me」の後は、本編終了まで前日と同じ流れ。「Without Love」の、あのシンプルなギターソロの格好いいこと。何度も書くけど、ほんとに昨日のあの頼りなさげなギタリストと同一人物とは思えないよ、まったく。

「I Knew The Bride」の歌詞、“At a flash hotel for a 150 guests”というところで、前日もなんかごちゃごちゃとアドリブ入れてたなと思ってよく聴いてみたら、“広尾ガーデンホテル”って歌い替えてたね。そうか、今回そのあたりに泊まってるのか(笑)

それで本編終了。前日と違ってこの日はちゃんと(?)全員楽屋に引っ込んだね。でも何分も経たないうちにニックとゲライントが二人で登場。「アンコールの拍手が止んでしまう前に出てきたよ。僕らもまだ演奏したいからね」とニック。

アンコールの曲順は前日と同じ。「When I Write The Book」を終えたとき、ニックが客席に向かって人差し指を立て、「もう一曲?」と自ら聞いてくる。そして、あの最高にクールな「Go Away Hound Dog」。一旦全員がステージを降り、それでも鳴りやまない拍手に応えてニックが一人で閉じて行くカーテンの前で唄う「The Beast In Me」。

以上。ああもう、終わっちゃったよ。前日とちょっとだけ違うセットリスト(なにげに前日より1曲多い)とか、期待してなかったところで嬉しい驚きもあったし、終始ニコニコ顔のゲライントのことをずっと見ていられたし、見違えるほど成長した(笑)ジョニーのギタープレイも観られたし、それにやっぱりなんと言っても、あの円熟味溢れる演奏と歌をもう一回聴けたというのが、この日最大の醍醐味。チケット高かったけど、二日間来てよかった。早くこの日のファーストセットの録画観たいな。


Setlist 11 August 2011 @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

1. People Change
2. Heart
3. What Lack Of Love Has Done
4. Ragin' Eyes
5. Lately I've Let Things Slide
6. Has She Got A Friend?
7. I Trained Her To Love Me
8. I Live On A Battlefield
9. Indian Queens
10. Cruel To Be Kind
11. You Inspire Me
12. Sensitive Man
13. Somebody Cares For Me
14. House For Sale
15. Without Love
16. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
17. I Knew The Bride (When She Used To Rock 'n' Roll)

Encore
1. Only A Rose
2. When I Write The Book
3. Go Away Hound Dog

4. The Beast In Me
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2011年08月11日

Nick Lowe live in Tokyo Pt. 1

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「死ぬ前にまた観られたらいいな。できたら今度はもっと小さい会場でね」と記事を締めくくったのは、もう2年近くも前になるのか。あのときはライ・クーダーとのジョイント・ツアーで、しかもやたら馬鹿でかい会場の端の方で観たために、それなりに満足したもののなんとなく個人的には欲求不満気味だったニック・ロウのライヴ。2年振りの来日は本当に“もっと小さい会場”が実現してしまった。ただ、純粋にライヴを観るという意味ではちょっと有難味に欠けるビルボードなんだけど。

二日連続の計4公演。発表されたときは全公演制覇しようかなとも思っていたけど、今回はバンドで来ると知って、多分アドリブ効かないな、ヘタすると4公演ともセットリスト同じかも、と思い、中途半端に一日一回ずつの2公演だけにしておいた。どちらも9時半からのセカンドセット。今日はまず、初日分を書こう。セットリストとか出てくるので、今日これから観に行く予定の人や、明日の大阪公演を楽しみにしている人はネタバレ注意。

最前列ではないけどそれなりに見やすい、ほぼ中央の席を確保し、多分ビルボードでは誰も注文することのないであろう日本酒を(ワイングラスで)ちびちびやりながら待つことしばし、定刻の9時半を少し回ったところでニックが一人で登場。

2年前の来日時、ステージからかなり離れた席から見ててもずいぶん歳食ったなと思っていたけど、今回もその印象は変わらず。というか逆に、あれから2年経ったけど老化は2年分も進んだように見えない。かなり痩せて顔も首もシワシワだけど、おじいちゃんお元気そうでなにより、といった風貌。上の写真でかけている、往年のエルヴィス・コステロ風の黒縁メガネのせいもあってやけに落ち着いて見えるね。

いつものようにサンバーストのギブソンを右脇きっちりに抱え、大きな左手で包み込むようにネックを押さえるスタイル。ピックは使わずに指で弾いてるんだね。といっても、細かなフィンガー・ピッキングをするというわけでもなく、手首から先だけを動かしてなんとなく手癖で弾いているような。

曲紹介もなく歌い始めた1曲目は、歌詞から判断して、来月発売予定の(とんでもないジャケットデザインの)ニューアルバム『The Old Magic』のオープニング曲「Stoplight Roses」だろう。いい曲だなあ。またこんな地味な曲が幕開けなのかとも思うけれど、今回のアルバム結構期待できるかも。あのジャケだけはなんとかしてほしいものだけど。

続く懐かしの「Heart」までは一人で弾き語り、3曲目に移る前にメンバーが登場。ステージ右手でアップライト・ベースを弾くのはマシュー・ラドフォード(Matthew Radford)。その左に、ちょっと斜めにセットしてあるドラムスに座るのは、ロバート・トレハーン(Robert Trehern)。中央のニックの左後方でエレキギターを弾くジョニー・スコット(Johnny Scott)。ステージ左端に2台置いてあるキーボードを弾くのがゲライント・ワトキンス(Geraint Watkins)。07年の前作『At My Age』ライヴDVDのときと同じ布陣。ライヴDVDのときはゴールド・トップと名付けられていたバンドだね。

まだメンバーがストラップを肩にかけたりプラグを挿したりしているのに、ニックがさっさとイントロを弾きはじめる。3曲目は『Dig My Mood』からの「What Lack Of Love Has Done」。最初のヴァースを歌い終える頃に、準備のできた楽器からバラバラと加わり始める。なんか、こういうのいいね。この後にも、最初ニックが一人で弾き歌い始めて、他の楽器が順々に入ってくるというアレンジの曲がいくつかあったな。骨組みだけだった曲が徐々に組み立てられていくのを目前に見ているような感触。

「今日は、とても古い曲や、そこそこ新しめの曲、それからできたばかりのとても新しい曲も演るよ」とニックが話したのはこのあたりかな。4曲目は“とても古い曲”の一つ、「Ragin' Eyes」。どうもあのPVを観て以来、“女の子の目からビームが出る曲”と認識してしまうよ。PVのイメージって重要だね。

その後は、“そこそこ新しめの曲”がしばらく続く。告白してしまうと、僕はいわゆる“ブレントフォード三部作”以降のアルバムって、凄く良いとというのは頭ではわかっていつつも、僕が一番彼の音楽にはまっていた80〜90年代前半のアルバムほど聴き込んでこなかったのは事実。ところが、こうして目の前でライヴで演奏されるのを聴くと、一連のジャジーな雰囲気のアルバムから受ける印象と全く違うのに驚かされる。

はっきり言って、ゲライント以外は取り立ててテクニシャンと呼べるようなメンバーがいるわけでもないし(ゲライントにしても、特に凄いフレーズを弾いたりするわけじゃなく、雰囲気勝負みたいなプレイヤーだしね)、演奏自体もいたってシンプルなものなんだけど、最近のアルバムからの曲がすごく際立って聴こえる。ああ、これってこんなにいい曲だったんだ、と思わされるのがいくつもあった。さっきの「What Lack Of Love Has Done」もそうだし、5曲目に演奏した「Lately I've Let Things Slide」もそう(まあこちらは元々かなりいい曲だというのは認識していたけど)。

インディアン・クイーンズが地名だというのは今回ニックが説明するのを聞いて初めて知った(歌詞をちゃんと読みなさい)。「Indian Queens」、実に目立たない地味な曲だけど、いいよね。今回これを演ってくれたのが個人的には小ヒット。

中盤、ニックがゲライントのことを指さし、ゲライントが真っ赤なノード・エレクトロ3で耳慣れないイントロを弾き始めた。初めて聴くイントロのフレーズだけど、このコードでわかるよ!もうその瞬間、その場で悶絶しそうになった「Cruel To Be Kind」。例のライヴDVDでも、ロバートが自分の膝をスティックで叩いてカウントをとるイントロが最高にかっこよかったしな。

そういえば、そのライヴDVDのその曲でせっかくのギターソロをとちっていたジョニー、今回もなんだかあちらこちらで危なっかしいプレイを見せてくれてたよな。あからさまに間違ったりはしてないんだけど、どうも見ていて不安をぬぐえないというか、おいおい頼むから正しい弦を弾いてくれよ、という気持ちになってしまう。「Cruel To Be Kind」も、オリジナルともライヴDVDの時とも違ったソロを弾いてくれたんだけど、そんな余計なことしないでいいから落ち着いてオリジナル通り弾いてくれと思ってしまう。今朝読んだ五十嵐さんのツイートによると、この人ってゲライント、ロバートと3人でヴァン・モリソンのバックバンドに居たことがあるらしいんだけど、あれで本当に?って感じ。

さっきからロバートロバート書いてるけど、メンバー紹介のときにニックは「ロバート・トレハーン、またの名をボビー・アーウィン」って紹介してたね。あーすっきりした。ボビーでもロバートでもいいんだけど、なんで苗字変わったんだっけ、この人?

ライヴDVDのときはクライマックスの「Cruel To Be Kind」に続けてスローな「You Inspired Me」、そして「Long Limbed Girl」を続けて、あたかも「Cruel To Be Kind」なんてクライマックスでもなんでもない単なる1曲なんだよとでも言いたげな流れだったけど、今回もその曲に続けてスローな「Raining Raining」、そして「Long Limbed Girl」という流れ。この「Long Limbed Girl」という曲は「Cruel To Be Kind」の次の次というポジションに決まっているのかな。

「次は来月出るニューアルバムからの曲」と前置きして(その後「iPodで買って」とかなんとかジョークを言ってたけどよく聞き取れなかった)、「Somebody Cares For Me」。これもなかなかいい曲だったね。そこから先は、本編ラストに向けての怒涛の曲順(セットリスト参照)。

ラストの「I Knew The Bride」を終えたところでステージを離れようとした瞬間、腕時計を見て「あ、やばい、ゲライントそこに居て」とばかりにキーボードを指さして指示するニック。「アンコールで行ったり来たりする時間を省くよ。もう時間ないからね」と説明していたのは終演予定時刻を少し回った10時35分あたり。

「ゲライントはキーボードだけじゃなく歌もうまいんだ」と紹介し、アンコール(?)1曲目はゲライントの「Only A Rose」でスタート。知らない曲だなんて思ってたけど、調べてみたら僕も持ってる『Dial 'W' For Watkins」に入ってる曲じゃないか。買ったCDはちゃんと覚えるまで聴き込みなさい。最初はコーラスをつけていたニックがセカンド・ヴァースはメインで歌い、ゲライントがコーラスに廻る。いいね。

残りの3人がまたステージに戻ってくると同時にステージ背後のカーテンが開き、六本木の夜景と大きな窓ガラスに映るニックの後姿がくっきり見える。例によってニックがソロで歌い始め、他の楽器が追いついてくる感じで「When I Write The Book」。思い起こせばもう30年以上も前、僕が初めてニックのライヴを観たコステロの前座のときのオープニングがこの曲だったな。すっかりアンコールのクローザー的な貫禄あるアレンジに改良されたこの曲を聴くと、立派な社会人に成長した近所の子供を見ているような気になるよ。偉くなったものだね。

もう予定終了時刻を15分以上廻ってるし、それで終わりかなと思っていたら、ロカビリー調のやたら格好いい曲をもうひとつ。調べてみたら、クリフ・ジョンソンという人の「Go Away Hound Dog」という曲のようだ。このバンド、こういう曲を演らせたら鉄壁だね。何度も書いて申し訳ないけど、別にどこが上手いというわけでもないけど、必要最小限の音は全て鳴るべき個所で鳴っているという感じ。ニックがここ数年このバンドにこだわっている理由がよくわかる気がする。

演奏終了後、メンバーが楽屋に下がる。いつもこの瞬間に気付くんだけど、この会場、あの一番左手の席に座っていると、楽屋に戻るメンバーに握手してもらったりできるんだよね。まあ、あえてそれを理由にあんな端っこで観たいとは思わないけど。

鳴りやまないアンコールの拍手。ビルボードルールでもう客電点けられてしまうかな、と思っていたけど、すぐニック一人で戻ってきてくれて、最後はしっとりと「The Beast In Me」で幕。開いていたカーテンもニックが歌うにつれて徐々に閉じていき、この静かなエンディングにぽつんと小さな色を添える。

ああ、いいライヴだった。スルーするつもりだった二日目のファーストセット、やっぱり行こうかな。実は、ネットで調べてみた数カ月前のライヴのセットリストが今回のとほぼ同一だったのを知っていたから、やっぱり今回の4公演、セットリスト変わらないんだろうなと思ったのと、受付で調べてもらったらもうあまりいい席が残っていなかったのと(なんでビルボードって、追加料金を払う指定席の方が後ろなんだ?)、会社サボってテレビに写るのもなんだかなと思ったのが重なり、やはり断念。

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そう、今日のファーストセットは、フジテレビのCSチャンネルで完全生中継なんだって。あと30分ほどで始まるから、この記事をアップされた瞬間に読んで興味がわいて、しかもCS契約している人は是非観てみて(天文学的な確率でいないね、そんな人は)。

さて、そろそろセカンドセットを観に行く準備をしようかな。全く同じセットリストでも別にいいよ、あんなに熟成されたいいライヴをもう一回見せてもらえるならね。


Setlist 10 August 2011 @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

1. Stoplight Roses
2. Heart
3. What Lack Of Love Has Done
4. Ragin' Eyes
5. Lately I've Let Things Slide
6. Has She Got A Friend?
7. I Trained Her To Love Me
8. I Live On A Battlefield
9. Indian Queens
10. Cruel To Be Kind
11. Raining Raining
12. Long Limbed Girl
13. Somebody Cares For Me
14. Without Love
15. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
16. I Knew The Bride (When She Used To Rock 'n' Roll)

Encore
1. Only A Rose
2. When I Write The Book
3. Go Away Hound Dog

4. The Beast In Me
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2011年01月23日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 3)

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昨年末のタマス/ヨンシー/タマスという至福の週末に続く、グレン/グレン/グレンという怒涛の週末の3日目。僕は今回全部で8公演あった日本ツアーのうち結局東京3日間しか参加できなかったので、この日が僕にとっての今回最終日だった。あれからちょっと日が経ってしまったけれど、おぼろげな記憶とメモを頼りに書いてみよう。

この日もそれまでの定位置(のやや中央より)という最高の席に陣取らせてもらった。ほぼ同時に入場した、僕の分のチケットも一緒に取ってくれた全公演皆勤賞の友達が、この日が最後の僕に気を使って、少しでも前の席を譲ってくれたのが本当にありがたい。

珍しく開演時間ぴったりにステージに登場した二人。手にはなにやらメモを持っている。サイモンの方を指さしてグレンが日本語で「ブルース・ウィリスでーす」。サイモン「わたしは、ブルース・ウィリスでは、ありません」だって。ははは、言われてみれば確かに似てるね。きっと前日までのサイン会のときに散々いろんな人に言われたんだろうね。

二人で出てきたのでこの日は一曲目からドラム入り。6弦を持ったグレンが歌いだしたのは僕の知らない曲だった。終演後のサイン会のときにグレンに訊いてみたら、ランディ・クロフォードの「One Day I'll Fly Away」だそうだ。まったく僕の守備範囲のアーティストだけど、今度機会があったら聴いてみようかな。

例によってサイモンのiPadからシンセのイントロを出してスタートした「Take Me, I'm Yours」に続いて、グレンが自分のiPadをいじり始める。「僕はセールスマンじゃないけど、このソフトは本当にいいからお勧めだよ。メロトロンの音なんて本物よりいいぐらいだ」とか言いながら、パイプオルガンの音を出して、なんだかファウストに出てくる悪魔みたいな顔真似で「ワーッハッハッハ」と笑いながら何か台詞を言っていた。次の「Is That Love」の間奏のところでも、ギターソロの代わりにそのパイプオルガンを弾き、また悪魔の顔(笑)。サイモンがすかさず「ワーッハッハッハ」と悪魔の笑い声。へんな人たち。

「Mumbo Jumbo」、「Melody Motel」と、久しぶりに聴く珍しいけど大好きな曲が続く。最近のスクイーズのツアーのセットリストをいちいちチェックしてるわけじゃないけど、こういうマイナーな曲もちゃんと演奏してるのかな。もしそうでないとすると、なんでサイモンは(相変わらず曲紹介もなしで)あんなに出だしから最後までちゃんと叩けるんだろう。一応スクイーズの曲は全部完璧に叩けるように覚えてるのかな。

次の「This Is Where You Ain't」はきっとグレンの現在のマイブームなんだろうね。今回僕の観た回では必ず演っていたよ。僕はもともとそんなに大好きな曲というわけじゃなかったんだけど、これを聴くとグレンがソロ活動を始めた頃のいろんな感情が懐かしく蘇ってくる。この日は相当乗ってたのか、ギターソロが延々終わらない。かっこよかったな。

12弦に持ち替え、「次の曲はスクイーズの最初のアルバムから」と言うから一体何かと思っていたら、「Model」だった。これも珍しいね。ライヴで聴くのは初めてかも。そのままメドレーのように「No Place Like Home」に繋げる。さらに、スティーラーズ・ウィール(Stealers Wheel)の「Stuck In The Middle With You」の一節を挟み、「NPLH」に戻る。

実はこの「Stuck In The Middle With You」、僕はよく知らない曲だったので、休憩時間中に隣に座っていた友達に聞いて教えてもらった。そしたら、前日のサイン会のときに彼がグレンにリクエストしたけど、「歌詞を全部覚えていないから」と断られたそうだ。なのに、こうしてメドレー風に自分が知っている歌詞の部分をちゃんと歌ってくれるなんて、グレンってほんとにこういうことに関しては記憶力いいし、優しいよね。

ところで「よく知らない曲」なんて書いたものの、帰ってからCDラックを調べてみたら、僕の持っているジェリー・ラファティー(Gerry Rafferty)のベスト盤にちゃんとこの曲入ってるよ。ほんとに普段どんなにいい加減に聴いているのやら。スライドギターの格好いい曲だね。というわけでこの記事は引き続きそのベスト盤を聴きながら書いているところ。

iPadに触れてポーン、ポーンとなんだか宇宙的な音を出し始める。なんていうソフトか僕は知らないけど、スクリーンの違う箇所に触れると違う高さと音色の音が鳴り、それがループされていくという、Tenori-Onみたい使い方。そうしてスペイシーに始まったのが「Footprints」。わあ、これは凄いね。前日までは指でなぞって「ウニューン」とかやってただけなのに、ようやくグレンのiPadが音楽的に使われ始めた(笑)。さては前日の夜にこのソフトに気付いたのか?

そのままほぼメドレーっぽく「Annie Get Your Gun」へ。全然勢いも音圧も違うこの曲の背後でまだ「ポーン、ポーン」って音がこっそり鳴ってるのが変な感じ。グレンも間奏のところでまだ律儀に音を出しているiPadを見ながら笑ってたね。自分はギター弾いてるから止められないし。


あっという間の前半セットはそれで終了。後半は引き続き12弦を持ち、「Black Coffee In Bed」へ。前日のようにグレンがアンプラグドで客席を歩き回ってということはなかったけど、サイモンは後の方の客席に座って演奏してたね(スネアを外して持っていってたんだっけ)。演奏しながらサイモンがどんどん前に進んできて、僕の傍を通ってステージに上がり、サビ前のブレイクのところから通常演奏に。この曲も、12弦だとは思えないほどの速弾きのギターソロが冴えていたよ。

グレンがまたアンチョコの紙を取り出して日本語で「だれか、かみのけを、なんとかしてください」と言って笑わせる。暑がりのグレンはステージ上に自分に向けて3つも置いてあるサーキュレーターからの風で結構最近伸び放題のフワフワの髪の毛が常に逆立ったような状態で歌ってるんだけど、それがよっぽど鬱陶しいらしく、日本語でそう言った後に「もしここにヘアドレッサーがいて僕の髪の毛を短くしてくれたらとても嬉しいんだけど」なんて言ってた。そういえば今回、グレンからなんだかヒョロヒョロした金色の糸みたいなのが飛んでいくのをよく目撃したんだけど、あれは風で飛ばされたグレンの髪の毛なんだね。

実はそのアンチョコは休憩中からステージに置いてあり(というか、最初の「ブルース・ウィリスでーす」の裏側に書いてあった)、僕は始まる前にこっそり見ていたんだけど、そこに書いてあった文章はこういうのだった。

 DA LEYCAR CARMINO KAYO NANTOKA SHITEK COO DA SIGH

なるほど、日本語をちゃんと発音しようとすると、こう書くのか。

友達がリクエストした「Stuck In The Middle With You」を忘れていなかったグレンは前日の僕のリクエストもちゃんと覚えてくれていて、「次の曲は新曲、“Chat Line Larry"」と言って歌ってくれた。ちょっとロカビリーっぽい感じかな。終演後にサイモンに会ったら開口一番「君のリクエスト、演ったよ」と言ってくれた。うん、ありがとう、新作も楽しみだよ。

「The Elephant Ride」を終えた後、グレンがサイモンに「次は何にしようか」とか話しかけている。サイモンは「客席にいる友達に聞いてみればいいんじゃない」と答える。グレンはマイクに戻り、電話をかけるような振りをして「あー、ハロー、次の曲は何がいいかな」と聞く。間髪入れず僕の隣の友達が「Vicky Verky!」。やった、嬉しい。

この3日間、毎日それぞれ何をリクエストしようかずっと考えていた。リクエストタイムのときにアコギを持っていたら何で、エレキだったらどれで、と。初日は「Relentless Pursuit」(アコギでもエレキでも)、二日目序盤にその曲を演ってからはアコギなら「Little Ships」、エレキなら「It's So Dirty」、そしてこの日は、前回のツアーではテーマ曲のように歌われていたのに今回は一度も耳にしていない「Best Of Times」をリクエストしたいと思ってたんだけど、毎回出遅れてしまって、でも実際にリクエストに応えて歌われた曲もいいのばかりだったから、まあいいや。でも、もしアンコールまでずっと演奏されなかったら、リクエスト要求されなくても「Best Of Times」叫んでみようかな。

サイモンのiPadでリズムボックス風の音を出して始まったのが「If I Didn't Love You」。この曲の間奏のところでグレンは12弦からストラトに持ち替え、そのままバリバリのギターソロを弾く。かっこいい! 次の曲のイントロもサイモンがリズムボックスの音で始めたらグレンが「また同じリズムか」と言って、「Still」を演奏。これも途中のギターソロがすごかったね。本当にこの日は前日とはうってかわってギターがよかった。グレンも弾いていて気分いいのか、ついオリジナルよりも何小節も追加して弾き続けていたよ。

グレンは毎日スカーフをネクタイっぽく首に巻いていて、この前日はエレキを弾く時にちょうどそれがギターの手元のところに被ってきて弾きにくそうにしていたんだけど、この日はちょっと頭を使って、首から下がってるスカーフの両端に長短差をつけ、長い方をギターの裏側に挟み込み、短い方は手元まで届かないようにしていた。頭いいね。でも、アンコールで出てきたときには一度スカーフを緩めて締め直したのか、また弾き難そうにしてたよ(笑)

「Oh Well」、「Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby」とカバーが続き、この日も最高だった「Another Nail In My Heart」を挟んでまた僕の知らないブルーズのカバー曲。これはサイモンにもわからなかったらしく、イントロでおそるおそる叩き始め、グレンが歌い始めてもまだ怪訝な顔。定型ブルーズだからそんなに難しくなかっただろうけど、演奏後にグレンがサイモンに向かって「ごめん」とか言ってたね。きっと、今まで一緒に演ったことのない曲なんだろう。

終演後、サイン会の前にサイモンが先に出てきたから話していて、「あの曲何だったの?」と訊いたら「俺の方が聞きたいよ」と(笑)。サインをもらうときにグレンに訊いたら、「フリートウッド・マックの“Oh Well”と一緒のアルバムに入っている“Then Play On”という曲だよ」と教えてくれた。うなずく僕とサイモン。同じくセットリストをチェックしていた友達にそう教えると、早速帰宅後に調べて教えてくれた。『Then Play On』というのはアルバム名で、おそらくグレンがこの日に演奏したのは「One Sunny Day」という曲だろうとのこと。僕は演奏中にタイトルが歌われないだろうかと結構熱心に歌詞を聴いて大体覚えていたんだけど、確かにYouTubeで聴いた「One Sunny Day」は出だしの歌詞が同じ。でも中盤の歌詞は違ったような気がしたんだけど、あれは単にグレンが歌詞を覚えてなくて、適当な他のブルーズを混ぜて歌っただけなんだろうか。

「If It's Love」、「Parallel World」からほぼメドレーで演奏された「I Feel Good」で最高潮に達し、グレンが“We had the best of times!”と叫ぶ。そしてあのイントロ。やった!嬉しい!エンディングでグレンがコーラスを歌わせてくれるので、今回いちばんの大声で歌ったよ。もちろんこれが本編のラスト。ああもう、大満足。この日は選曲も曲順も完璧。


アンコールで再登場したグレンが「今日は弦を張り替えたんだ」と嬉しそうに言いながら再びエレキを持って「Tempted」を。やっぱり前日のはバンド用のアレンジだったよね。この日のはしっかりベース・パートまで自分で弾く、安心して聴けるソロ用のアレンジ。そう考えると凄いよね。バンド用に書いた曲をこうしてソロできちんと聴かせるためにアレンジし直した演奏をするなんて。いつもグレンのソロのときにはわざわざそういうことを意識しないで聴いていたけれど、この二日間の「Tempted」の差を聴いて、改めてそう思ったよ。

もうひとつ気付いたこと。次の曲はスネアの一撃で始まるんだけど、それをサイモンに指示するのにグレンは左腕で力こぶを作って「次、これ」みたいな感じで見せる。サイモンも「ああ、これね」と右腕でぐっと力こぶを作り、スネアをダン!と叩く。曲は「Pulling Mussels」。そっか、もうここからは連日の定型の流れだね。

その曲の途中でステージ上のファンを足で脇によせるグレン。当然、スクイーズ・ダンスの準備だ。その際に、正面に置いてあった一番大きなサーキュレーターのプラグが抜けてしまったみたいで、急に風が止まってしまった。にも関わらず次の曲の演奏を始めるグレン(というか、サイモン。iPadでイントロを奏で始め、自分は空のボトルをドラムスティックで叩き始める)。曲はもちろん、今回ツアーのお決まりのラスト曲「Goodbye Girl」。

曲の前半はボトルをスティックで叩いてリズムを取ってステージをうろうろしていたサイモンが、暑そうにしているグレンを慮って、サーキュレーターの抜けたプラグを探し、その場にしゃがみこんで、床に置いたボトルを叩いてリズムを左手でキープしながら、右手で抜けたプラグをコンセントに差し込む。サーキュレーターが動きだした!歌いながら歌詞の途中で「サンキュー」というグレン。そろそろ出番なので急いでドラムキットに戻るサイモン。サビ前で定位置につき、バスドラとフロアタムでドドドドドドドとフィルインし、そこからは通常演奏。いや、お見事。

最後はお決まりのスクイーズ・ダンス。二人とも汗びっしょりになって、ちょっとニコッとしながら、黙々と(ちょっといい加減に)踊っていたね。それを終えて、またアンチョコを持ちだして、グレンとサイモンがお互いに「お前言えよ」とか言いながら、結局最後はサイモンが「コンサートに、きてくれて、ありがとう!」と日本語で言って終了。

いやー、楽しかった。堪能した。結局僕はこの3日間しか観られなかったけど、多分二人の気力も集中力も、この日が最高潮に達していたと思う(横浜の最終公演に行けなかった負け惜しみ)。前日はいつまでも客電が点かなかったからずっとアンコールの拍手をして、予定外のアンコールをしてもらったけど(「Space Oddity」なんて驚きの選曲もあったけれど)、もうこの日はこれでいいやと思った。もう、何も聴かなくてもいい。それぐらい、この日の演奏は充実していた。


これまでの経験を活かし、サイン会には早目に並んだ。さっきも書いたけど、グレンの前に早々とサイモンが出てきてカウンターでビールを飲んでいたから、列のほとんど先頭にいた僕が話しかけてみた。同じ髪型の僕を覚えていてくれたようで、グレンが出てくる前にいろいろ話ができたのが楽しかった。前日の開演前に話していた僕の職業とかも覚えてくれていたみたいで、グレンが出てきたときにわざわざそんなことを伝えようとするから、「いや、そんなこと言わなくていいから」と言ったら、「なんだ、秘密なの?みなさーん、この人の職業はー」とか大声で言うし。ほんとにおかしな奴。

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この日は無難に、グレンからは『Dreams Are Made Of This』に、サイモンからは(以前グレンからはもうサインをもらっていた)『Pandemonium Ensues』にサインをもらってきた。本当に楽しかったな、この3日間。また近いうちに来てくれればいいのにな。そのときは、どんな仮病を使ってでも全公演追っかけよう。


Setlist 16 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. One Day I'll Fly Away
2. Take Me, I'm Yours
3. Is That Love
4. Mumbo Jumbo
5. Melody Motel
6. This Is Where You Ain't
7. Model
8. No Place Like Home ~ Stuck In The Middle With You
9. Letting Go
10. Footprints ~ Annie Get Your Gun

11. Black Coffee In Bed
12. Chat Line Larry
13. The Elephant Ride
14. Vicky Verky
15. If I Didn't Love You
16. Still
17. Oh Well
18. Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby
19. Another Nail In My Heart
20. One Sunny Day
21. If It's Love
22. Parallel World ~ I Feel Good
23. Best Of Times

[Encore]
1. Tempted
2. Pulling Mussels (From The Shell)
3. Goodbye Girl
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2011年01月16日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 2)

Three Guitars 2.JPG Drum Kit 2.JPG

二日目。予想通り明け方まで引っ張ったライヴ終了後の飲みがかなり尾を引いて少し朦朧としているけど、記憶の定かなうちに書いてしまおう。前日よりは少し大きな整理番号のチケットだったけど、運よく僕は前日と同じ席を確保。そこから撮った写真が上の2枚。どうしようもなく退屈な人は昨日の記事と見比べて見て、スポット・ザ・ディファレンス遊びでもどうぞ。

前日と同じ席とはいえ、前日より明らかに密集した椅子の並び。やっぱりこの日のチケットが一番売れているんだろうね。昨日は開場後しばらく「大丈夫かな?」と思うような客の入りだったけど、この日は早い時間からもうびっしり。飲み物を買いに行ったりトイレに行ったりするのも一苦労。上のドラムキットの写真が昨日よりやや大きめに写っているのは別にズームを使ったからじゃなくて、ドラムキットが近付いてきているから。隣の友達に「なんだかドラム昨日よりも近くに置いてない?」と聞くと、「それは私たちが昨日よりもステージに近いんです」との冷静な答え。

歩き回るのは一苦労だけど、席を確保した後ぶらぶらと二階に上がっていったらサイモンがいたので、「今日はあなたと同じ帽子かぶってきたよ」と話しかける。どこかに行ってしまったグレンを待って時間をつぶしてたようで、しばらく話ができた。前日終演後に近くに飲みに行って、ほとんど朝まで飲んでいたとか(グレンはもちろん途中で帰ったらしい)、「Relentless Pursuit」と「She Makes Me」はスクイーズでのグレンとクリスみたいに詞と曲との分業体系ではなく、二人で詞も曲も一緒に書いたとか、スティーヴン・ラージはダフィーのツアーに参加しているとか、ルーシーの子供の名前とか(ローレンスっていったかな)、インタビューよろしくあれこれ聞かせてくれた。彼も僕に「どんな仕事してるの?」とか聞いてくれたので、僕の話なども少し。とかしてる間にグレンが帰ってきたので席に戻る。

ライヴの進行パターンは前日とほぼ同じなので、今日はちょっと短めにあれこれ気付いたことを書いていこう。まずグレンが一人で登場して6弦のヤマハで弾き始めたのが「The Elephant Ride」、そして「Hope Fell Down」。後者のイントロのときにちょっとつまづいたかな。というような、明らかなミスではないけれどちょっとギターソロがたどたどしいぞ、という場面がこの日は後にも何度か見受けられた。ライヴ自体が悪いわけでは全くなかったけど、日本ツアーも終盤に差し掛かってきて、グレンもややお疲れモードなのかも。

2曲を終えたところでサイモンが登場。お互いのiPadでウニョーン、ビヨヨーンみたいな音を出しあって遊んでいる。この日は最初から最後まで、曲間も曲中でも、しょっちゅうそんなことしてたね。新しいおもちゃを与えたら止まらない子供たちの図、みたいな(笑)

模造紙に歌詞を書いている時間はなかったけど、今日もしグレンにリクエストを募られたら、2年前にグレンにリクエストして「次の日に演るよ」と言ってくれたのに今に至るまで実現していない「Relentless Pursuit」をリクエストしようと思っていた。共作者も後ろに座っていることだしね。そしたら、サイモンが来て最初の曲、聴き慣れないギターのイントロだと思ったら、いきなりその曲。あの偽ビーチ・ボーイズみたいなコーラスも二人で一所懸命やってたよ。いいの聴けた。

昨日、曲名を言わずにグレンがいきなりイントロを弾き始めても、サイモンがちゃんとそれについてくるということを書いたけど、この日の5曲目の静かなイントロでサイモンは明らかに戸惑った顔。グレンのソロ公演に何度か来ている人はそのイントロで当然何の曲かわかったけど、きっとスクイーズでこの曲を演奏するときは、オリジナルの速いバージョンなんだろうね。サイモンがドラムを叩きはじめないので、グレンがくるっと後ろを向いて「わかんないでしょ(ニヤリ)」みたいなことを言ってから(何言ったかは聞こえなかったけど)、「Touching Me Touching You」の最初のフレーズを歌いだした。サイモンも「あー、それか」みたいな顔で、ようやくフォロー。

iPadで「ウニョーン、ビヨヨーン」ってやる以外は比較的MCも少なく進行。前日よりも前半セットでのビールの消費が少し早めかな。あと、「Still」のときにはじまって、歌いながらかなり頻繁に「もっとマイクボリューム上げて」というような素振りをしていたね。そんなに聴こえ難くはなかったと思ったけど、自分の声がスピーカーからうまく聴こえていなかったのかな。結局、途中休憩のときに急遽スタッフがステージ上に大きなスピーカーを二つ追加(でも後半でもやっぱり「もっと上げて」ってジェスチャーしてたね)。

前半セットの最後に演奏した「Up The Junction」は前日の不思議ちゃんアレンジでなく通常パターン。うん、やっぱりこっちのほうがしっくりくるよ。それにしても、グレンがどっちのアレンジで弾き始めてもやっぱりサイモンは咄嗟に判断してついてくるよね。


前日は前半セットでギターを持ち替えてたけど、この日は前半中ずっと6弦。休憩を挟んでの後半セットは最初から12弦でスタート。と思ったら、いきなりギターのプラグを抜き、サイモンに「スネア持ってきて」と指示。曲は、思ったとおり「Black Coffee In Bed」。いつもどおり客席中央の通路を通りながらコーラスを入れる場所をお客さんに指示。サイモンがどっか行ったなと思っていたら、二階席に登場。そのままぐるっと回って、客席後方の階段から下りてくる(「いつもどおり」以降はすべて演奏中の話)。演奏と歌を続けたままステージに上り、さっき抜いたプラグを挿そうとするグレンと、それを手伝うサイモン(しつこいけど、これもずっと演奏中。サイモンも床に置いたスネアを左手で叩いてリズムをキープしながら、右手でグレンのギターのプラグを四苦八苦しながら挿してあげていた)。で、曲の途中からプラグド・イン、フルドラムキットに移行。いやー、凄いよね。昨日から「凄い、凄い」ばかり書いてるような気がするけど、ライヴ観てる間もずっとそんな感想しか頭に浮かばないんだからしょうがない。

後半2曲目は珍しいプレスリーのバラッド「Always On My Mind」。歌い始めた瞬間、「あ、ペットショップボーイズのカバー。しかもスローなバージョン」と思ってしまった僕にはこんな偉そうなブログ書いてる資格ないね(苦笑)

続いては、ちょっとびっくり「Another Nail In My Heart」。ええ?もう演るの?いくらセットリストないとはいえ、今それはないんじゃないの?と思っていたら、案の定12弦であのソロを弾くのは至難の業。さっきギターソロがたどたどしいと書いた印象を持ったのは、この曲のせいかも。でも、まったくのノーミスで弾ききったのはさすが。

次の曲は、歌いだした瞬間まったくわからなかったので、他人のカバーかなと思いながら注意深く歌ってる歌詞を聴いていたら、「I Won't Ever Go Drinkin Again (?)」だった(知らない人のために。(?)は別に僕がこの曲に自信がないというわけじゃなく、ここまでが曲名)。京都では既に演奏済みらしいけど、僕はグレンのソロツアーでこの曲を聴くのは初めてかも。

12弦で5曲続け、さあ、エレキのお時間だ。最初は「Someone Else's Bell」。うーん、それは別にアコギのときでいいんじゃないの?最初だからってウォームアップが必要な人じゃないんだし。

モンキーズ、ビートルズ、デイヴ・エドモンズ(「ズ」がついても最後のはグループ名ではありません)のカバー三連発。珍しいのはないなあ。まあ、この日生まれて初めてグレンのライヴを観に来た人も沢山いるだろうから、グレンが演るカバーものの入門編としては最適だけどね。

本編最後は「Is That Love」。終盤、サイモンがいきなりシンバルを外してこっちに来るから何事かと思ったら、僕の隣に座っている友達にドラムスティックを渡し、エンディングのところで叩かせた。叩いたときにグレンがちょっとびっくりしたような顔でそっちを見たのにはこちらもびっくり。あんなステージ前方でバタバタやってたのが目に入ってなかったのかな(笑)。

アンコールは定番の「Pulling Mussels」と「Goodbye Girl」。そして、スクイーズ・ダンス(笑)。ダンスが終わった時にサイモンがグレンを指して「ジャスティン・ティンバーレイク!」と冗談で紹介したら、グレンもサイモンのことを「マイケル・ジャクソン!」だって(笑)

ダンスもやっちゃったし、ちょっと短かったかなと思いつつも念のためにアンコールの拍手をしていたら、二人がまた出てきた。あのダンスって、「もうこれ以上はアンコール受け付けませんよ」という意思表示じゃなかったんだね。ステージ裏から出てくるときに左右二つの入り口があるんだけど、普通はギターの置いてあるステージに向かって左側からグレン、右側からサイモンが出てくるはずなのが、このときは反対だった。そしたら、「あ、違ったね」みたいに一旦戻り、二人いっぺんに左側から出てきたり、「あれ?また間違った」風にまた戻ったり。ドリフの大爆笑か。

「Tempted」を演奏したんだけど、なんだかちょっと妙な感じ。いつものグレンのソロと違って、多分あれスクイーズ用の自分のパートだけを弾いてたよね。サイモンも両手でドラムを叩くんじゃなく、右手にはマラカスの小さめみたいなのを二つ持ってカラカラ言わせてるもんだから、なんとなく演奏全体がスカスカした印象。それで二度目のアンコールは終了。

さすがにもうないだろう、「Tempted」もややお疲れモードでの演奏だったし、と思いつつも念のためにアンコールの拍手を続ける我々。客電も点かないよ。そしたら、また出てきた!(嫌なわけじゃありません 笑)

低い声で歌い始めたなと思ったら、なんと「Space Oddity」!こんなの演るんだ。カウントダウンの「10、9、」というのをサイモンが言うんだけど、最初入るとこ間違えて、グレンも歌いながら「まだ早いよ、ここで10だ」みたいなことを教えていた。「ここで7、6、」とか言ったときにサイモンが「8、」って言うから「上がってってどうすんだよ」とグレン。漫才か。

とか書いてるけど、このカバー結構本格的。この日初めて(笑)サイモンのiPadが音楽的に活躍した曲だった。あの曲、ウニョーンってSEが入ってるでしょ、あれ。グレンもカウントダウンからサビに移るところでギターの弦をマイクスタンドでこすってギュイーンってやるし。よかった。これは珍しいものを聴けたよ。

それが終わると「リクエストタイム!」とグレン。ええ!今やるの? えーと、エレキだったら「It's So Dirty」をリクエストしようとしてたんだよな、元々のリクエストは「Relentless Pursuit」だからもう演ったし、「Little Ships」は今やるような感じじゃないしと慌てて考えていたら(この間約2秒)、シンバルを叩いたのと反対側の隣に座っていた友達が「Electric Trains」をリクエスト。あ、それもいいね。それでいいや。


という感じで、なんとアンコール3回。お疲れさま。終演後は恒例のサイン会。僕はいつも後ろの方に並んでいたんだけど、自分の順が廻ってくる頃にはもうグレンへとへとだから、少しは学習効果を発揮してこの日はわりと早く並ぶ。二枚組の「Spot The Difference」にサインしてもらった。

Autographed Spot The Difference 2.JPG

そして、サイモンと(ほぼ)お揃いの帽子をかぶっての写真撮影。本日二度目のスポット・ザ・ディファレンス遊び。

Glenn Simon and me 2.JPG

推敲するために上から読み返したら、「今日はちょっと短めにあれこれ気付いたことを書いていこう」とか書いてあるぞ。「どこが短いんだ」と突っ込んだ人は初心者。「あなたの嘘はお見通しです」と思った人はジミオン上級者認定(笑)。「昨日話してた新曲、東京では演奏してくれないの?」とグレンに訊いたら、「ああそうか、ごめんごめん、明日演るよ」と言っていたので、はたしてグレンはそれを覚えているかどうか。確かめるために今から準備して吉祥寺に向かおう。


Setlist 15 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. The Elephant Ride
2. Hope Fell Down
3. Relentless Pursuit
4. Product
5. Touching Me Touching You
6. Take Me, I'm Yours
7. No Place Like Home
8. Harper Valley PTA
9. Annie Get Your Gun
10. Still
11. This Is Where You Ain't
12. Up The Junction

13. Black Coffee In Bed
14. Always On My Mind
15. Another Nail In My Heart
16. I Won't Ever Go Drinking Again (?)
17. Third Rail
18. Someone Else's Bell
19. I'm A Believer
20. You Can't Do That
21. I Hear You Knocking
22. Through The Net
23. Slap & Tickle
24. Is That Love

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Goodbye Girl

3. Tempted

4. Space Oddity
5. Electric Trains
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2011年01月15日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 1)

Three Guitars.JPG Drum Kit.JPG

では、気を取り直して本来の白い人格に戻って、待望のグレン・ティルブルック東京公演一日目の模様をお届けするとしよう。会場はいつものスターパインズ。会議やメールを振り切ってなんとか吉祥寺まで辿り着き、既にお客さんが整理番号順に並んでいた列に割り込んだのは開場5分前。無駄にした京都公演のチケットほどではないけど、この日の整理番号もかなりよかったからね、列の前の方に割り込むのはちょっとした快感(笑)

入場すると、ステージ左側にはギターが3本。いつものヤマハの6弦と12弦、それに(おそらく借り物の)黒いフェンダーのストラト。右手にはかなりシンプルな構成のドラムキット。それまでの京都・札幌公演とは違い、この日からフラッファーズ/スクイーズのドラマー、サイモン・ハンソン(Simon Hanson)が参加。ギターとドラムだけという変則構成がどう聴こえるか。YouTubeにアップされている最近のライヴなんかを観るかぎりは、しょぼい音質のせいか、まあリズムキープのためにドラマー入れてるんだね、程度にしか思っていなかったんだけど。

開場から30分ぐらいは客の入りもちょっと少なく、後ろの方はがらんとしていたけど、開演前には一階席はほぼ埋まっていたかな。平日だし、3日間の初日だしね。一時間の待ち時間、京都・札幌皆勤賞の友達にそれまでの様子を聞いたりして過ごしていると、7時半を10分ほどまわったところでグレンが一人で登場。

まず6弦を肩にかけ、オープニングは「Footprints」。わりと珍しい選曲だね。友達によると、今回のツアーではこれが初だとのこと。それが、そのままメドレーで「If I Didn't Love You」へ。へえ、おもしろいね、この流れ。

いつもどおり機嫌のよさそうなグレン。「ギターが3つもある!ドラムキットも!」みたいな感じではしゃいでみせて、サイモンを紹介。自分の譜面台の上に置いてあるiPadでキーボード風の音を出し、「次の曲は」と始めようとするが、なかなかうまくいかない。ようやくうまく操作できてスタートしたのは「Take Me, I'm Yours」。アコギとの音のバランスのためか、サイモンはこの日ほとんどブラシで叩いてたね。

(最初のメドレーを一曲と数えると)5曲目の「Tough Love」から、12弦に持ち替える。何度聴いてもこのアレンジとこの歌メロ、いいよね。アコーディオンが泣かせるオリジナルは僕のお気に入りの一曲なんだけど、その5割増しぐらいで沁みるよ、これは。

その次の曲、僕が今までに自分で観た一番最初の06年東京09年京都のセットリストに「Monkey On You」と書いたのは、その最初の東京公演でグレン自身が「これはクリスと一緒にずっと昔に書いた」との前置き付きでそのタイトルを言ったからだったんだけど、今回の京都公演で友達がアップしたセットリストに「Monkey (Dr. Feelgood)」と書いてあるから、あれ?と思って調べてみた。ドクター・フィールグッドは最初の2枚とボックスセットしか持ってないけど、ボックスに入っていたその曲を聴いてみると、確かにこの曲。でもクレジットを見ると、「Tilbrook/Difford」だ(笑)。ひとつ前の記事のコメント欄に「ドクター・フィールグッドなんて演ったんですね」などと間抜けな感想を書いた自分が恥ずかしいよ。ボックスセットもちゃんと聴け。

前半セットで嬉しかったのは、「This Is Where You Ain't」、「Untouchable」、「Parallel World」など、グレンのソロ曲が多かったこと。最近スクイーズのツアー中だし、この日はサイモンも一緒だから、きっとスクイーズの曲ばかりになるのかなと思っていたからね。後者2曲はともかく、「This Is Where You Ain't」なんて滅多に聴いたことないよ。今ちょっと調べてみたら、僕が観た中では、さっきリンクした06年の東京での一日だけだね。「Untouchable」はいつもグレンのソロでは歌パートが終わったところで終了だけど、ドラム入りの今回はちゃんとオリジナル通りのアウトロ付きだったのがなんだか得した気分。

観ていて凄いなと思ったのは、グレンが次の曲名も言わずにいきなりギターを弾き始めても、寸分の遅れもなくサイモンが何の曲か判断し、きちんとドラムを入れてくること。普段ライヴで演り慣れているスクイーズの曲だけならともかく、「Untouchable」とかのソロ曲でもそうだからね。そう思いながら観ていると、グレンが弾き始めるところを見ているサイモンの目の真剣なこと。それ以外の時間は(演奏中ですら)ちょっとおどけた感じでずっとニコニコしているんだけどね。いいな、サイモン。

前半セットのラストは、ギターソロが凄まじかった「Parallel World」からメドレーで演奏された「Up The Junction」。これが、なんだか今まで聴いたことないような不思議なアレンジ。ドローン風というか、なんだか夢見心地な感じ。僕としては通常のアレンジの方が好きだけど、まあたまにはこういうのもいいか。


30分ほどの休憩を挟み、後半スタート。二人で登場してグレンがまた6弦を持ち、最初に発した言葉が「僕らは次にどの曲を演るか相談していないんだ」。まるで「ついてこれるか?」と挑発するようにサイモンをちらっと見て、いきなり歌いだしたのが(わざわざ選んだイントロなしの)ジェームス・ブラウンの「I Feel Good」。もちろん、グレンがその最初の歌詞を歌った直後、絶妙のタイミングでスネアを叩くサイモン。見事だね。

すると今度はサイモンが、「じゃあ次はこのリズムマシーンでランダムにリズムを選ぶからね」とスイッチを押し、スタタカスタタカと速いリズムが始まった。そのリズムに体を揺らしながら、しばらくの間どの曲にしようかと迷った末にグレンが弾き始めたのは、えらくテンポの速い「Sea Cruise」。そのギターのイントロで何の曲か判断して、またもジャストなタイミングでドラムのフィルイン。他人のカバー曲なのに。「きっと今までで一番ひどいバージョンの“Sea Cruise”だったね」と演奏後にグレンが言ったけど、全然そんなことなかったよ。ほんと、二人ともお見事。

こういう即興性がグレンのソロ(あるいはデュオ)の醍醐味だね。まるでゲームみたいに、二人で演奏だけでなくそのイベント自体を楽しみ尽くしてるのがすごくわかる。そして、こういうことができるぐらいグレンはサイモンのことを信頼してるんだろうな。終演後に友達と飲んでたときに口論(笑)になったんだけど、僕はこれがある限り、スクイーズでなくやっぱりグレンはソロで観たい。

「By The Light Of The Cash Machine」なんてちょっとマニアックな嬉しい選曲も含み、後半開始6曲はそのまま6弦ギターで続けたあと、いよいよストラトに持ち替え。この日は(も)アコギでのギターソロもほぼ完璧だったけど、やっぱりエレキでのソロは物凄いね。昨夏のイベントとか以前のライヴでも彼がエレキを弾くのを何度か観たことあるけど、この日は本当に堪能した。グレン自身もエレキを弾く方が明らかに楽しそうで、そのままアンコール終了までもうずっとそのままだったもんね。

「The Truth」が始まったから、もしかしたらと思ったけど、やっぱりあのギターソロの途中で6弦を咄嗟に緩めてのドローン奏法をやったね。ちょっと遅れて3弦もいじって、ソロ後はなんだか不思議な感じの音色になってたよ。いつも思うけど、よくあんなことを演奏中にできるもんだ。この人、ステージ上でのギターのチューニングも、よくある上の弦の何フレットと次の弦の開放音を合わせて、なんてことせずに、それぞれの弦の開放音を耳で聴いただけで瞬時に合わせていくからね(そういえば、エレキに持ち替えてチューニングしてるときに、サイモンが「アー」ってチューニング音を声に出して言ってあげてたのが可笑しかった)。

最初に書いたギターとドラムだけの変則構成だけど、たとえば今までライヴではアコギのソロでしか聴いたことのなかった「Cash Machine」とかがとても新鮮に聴こえたことだけでなく、それぞれの曲のメリハリをつけることに、サイモンのドラムが大いに貢献している。ベースレスだけど、グレンが(おそらくその編成を意識して)低音弦できっちりベース音をキープしているから全然不自然に聴こえないし。ドラムの直接音ばかり聴こえてしまうかと開演前はちょっと危惧していた僕の観ていた位置ですら、音のバランスはとてもよかったね。

お客さんからのリクエストが「Is That Love」か「If It's Love」か聞きとりにくかったグレンは、「両方演るよ」と、「If It's Love」のイントロを弾き始めた。タイトルは似ているけど曲調もコードも全然違うこの2曲をメドレーで演奏したら凄いなと思ったけどさすがにそれはなく、「If It's Love」をフルコーラス演ってから、「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントして「Is That Love」へ。

本編ラストの「Another Nail In My Heart」のギターソロは圧巻だったね。エリック・クラプトンのブラッキー風の黒いストラトを抱えている姿がふと彼を思い起こさせたけど、お世辞抜きで僕は今のクラプトンよりこの人の方がギター上手いと思う。

アンコール1曲目「Pulling Mussels」は歌詞の順番がちょっとあやふやで本人もちょっと照れ笑い。ギターソロもなかったよ。慌てたのかな。ちょっとスピードアップしたロッキンなアレンジの「Goodbye Girl」がラスト。イントロでサイモンがビールのジョッキとシンバルを交互に叩いてリズムを取っていたのが面白い。その曲で、演奏しながらグレンがステージ上の扇風機を端の方によせていく。何やってんだろと思っていたら、演奏終了後、二人並んでのダンスが始まった。あはは、これかわいいね。ビデオではちらっと見たことあるけど、こうして目の前で真剣な顔してやってるのを見ると微笑ましい。


終演後はいつものサイン会。ちょっと席で友達と歓談してから並んだら、列の進みがこの日はなんだか異様に遅い。皆たっぷり話しこんで、写真撮ったりしてるからね。列に並んでたときにグレンとちょっと目が合い、「お、君のことは知ってるよ」という感じでニコッとしてくれたのが嬉しかったな。延々並んだあと、ようやく自分の番に。京都公演に行けず、前日にサンパウロから24時間かけて帰国したばかりという話をして同情を買う僕(笑)。記念に、未使用の京都公演のチケットにサインしてもらった。

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なんとなく成り行きでサイモンにもサインしてもらったら、グレンが「あれ?おまえ京都にいなかったくせにサインするの?」みたいなこと言ってからかう。そしたらサイモンは僕に「君、京都に行かなくて正解だったよ。僕抜きじゃちっともよくなかったはずだからね」なんて冗談で返す。

京都で演奏したという新曲のタイトルを訊くと、「Chat Line Larry」だと教えてくれた(合ってるかな?⇒某所でスペルミスの指摘を受け、訂正しました)。今ミックス中のニューアルバムに入る予定だそうだ。「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に演ってるんでしょ」と聞くと、そうだとのこと。サイモンも何曲かに参加しているそうだ。「あと3−4ヶ月で出るよ」と言っていたけど、まあグレンのことだから、年内に出ればラッキーだろうな。

出張中伸び放題だった髪を前日刈ってきた僕はサイモンに「ほら、同じ髪型」と言ったら、サイモンは「真似したな」と自分がかぶっていた帽子を僕にかぶせたり(そのときの写真を撮っておけばよかった)。そういえば終演後、後ろの方で観ていた友達が、「yasさんの後ろ姿、サイモンと同じだったよ」だって。わざわざ帽子を取って一緒に撮った写真がこれ。なんだかグレンが変な顔してるね(笑)。アメリカとブラジルで肉ばかり食って太り気味の僕、のことは誰も気にしてないからいいね(苦笑)

Glenn Simon and me.jpg

さてと、そろそろ準備して吉祥寺に向かうとするか。昨日遅くに帰ってきたら、夕方5時半に振り切って出てきた会社の未読メールが100通以上にもなっていて目まいがしそうになったけど、それもやっと片付けたし(メールを開いただけともいう)。リクエストしようと思ってた曲の歌詞書いてる時間なかったな。まあいいや。多分客の入りはこの3日間で最大になるはずの今日、リクエストの競争率も高いだろうしね。ゆっくり楽しんで観てこよう。


Setlist 14 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. Footprints ~ If I Didn't Love You
2. Take Me, I'm Yours
3. They Can't Take That Away From Me
4. Still
5. Tough Love
6. Monkey
7. This Is Where You Ain't
8. Some Fantastic Place
9. Third Rail
10. Untouchable
11. Parallel World ~ Up The Junction

12. I Feel Good
13. Sea Cruise
14. Annie Get Your Gun
15. By The Light Of The Cash Machine
16. Oh Well
17. Through The Net
18. Tempted
19. The Truth
20. Can't Buy Me Love
21. If It's Love
22. Is That Love
23. Another Nail In My Heart

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Slap & Tickle
3. Goodbye Girl
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2010年12月11日

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 2

Santa.JPG

あれからもう一週間も経ってしまった。

先週の金曜、早稲田に時間通り辿り着くために仕事をとっとと切り上げてきてしまったこともあり、また年の瀬の繁忙期ということもあって、この一週間はブログを書く時間も頂いたコメントに返事をする時間もまったく取れなかった。

そんな慌ただしい一週間、僕の後頭部あたりにはずっと、腫瘍のようなものが巣食っていた。腫瘍といっても死に至るようなものじゃない。あの濃厚な日曜日の思い出が、仕事中もラッシュの通勤中も、僕の脳内にずっと留まっていた。そのお蔭で、辛い仕事も乗り越えられたようなものだ。いや、過去形で書くのもおかしいね。まさにこれを書いている今も、延髄のあたりのちょっと深いところに、何やら幸せな気持ちと音がいっぱい詰まった部分があるのを感じとることができる。

記憶のディテールは少しずつ霞みはじめてはいるものの、その幸せの腫瘍をちょっと頭から切り出して、その中身をここに書き記しておこう。急いで書いた初日の記事への訂正事項なんかも少し交えながら。


井の頭線はしょっちゅう利用しているけれど、永福町に降りるのはこの日が初めて。記憶していたとおりに駅からの一本道をまっすぐ歩く。徒歩7分とは聞いていたけれど、本当にこんな普通の住宅街にあるのかとちょっと不安になってきた頃に辿り着いたヴェニュー、sonorium。素晴らしい会場だった。リンク先の写真で見られるような外観や内装だけでなく、音が。本当にいい音を限られた人数の大事な人達に聴いてほしいという願いが込められているのがよくわかる造り。同じサイトのコンサートカレンダーにはどういうわけかタマスのことは載っていないけど、普段はクラシックの演奏会が行われているような場所なんだね。

Tamas Ticket.jpg

実は、今回のタマス・ウェルズ公演二日間の僕のチケットの番号は、初日が1番、この日が2番という、もしこれが整理番号だったなら飛びあがって喜ぶようなものだった。でも、いつものとおり入場は到着順。行きがけに下北沢でちょっとうろうろしてしまった僕は(それでも開場の30分近く前に着いたにも関わらず)、既に何人か並んでいた列の後ろにつくことになった。初日に一緒に一番乗りした友達はちゃっかりこの日も一番前に並んでいたけどね。

もちろん、80名限定のこの小さなホールで、その程度の順番なら些かの問題もない。タマス達も、いつもこんなおっさんに一番前に陣取られているより、最前列は女の子が多い方が嬉しいだろうしね(笑)

初日よりもゆったりと配置された椅子に腰かけて、友達と雑談しながら開演を待つ。強制的に500円を徴収しておきながら実際にドリンクバーに辿り着くのは至難の業という前日のスタジオコーストとは違って、殆ど並ぶこともなく任意で選べるグラスワインなら、同じ500円でもなんだかずっと優雅な気分になれるよ。

真っ白な壁にそのまま投影されるオープニングのショートフィルム。また出だしのところでちょっととちったのはご愛敬ということで。このフィルムの中で(CD音源でなく)実際に演奏されるのは「Fire Balloons」の他に「An Extraordinary Adventure (of Vladimir Mayakovsky in a Summer Cottage)」なんだけど、そのセカンド・ヴァースがCDに収められているのとは違ったメロディーなのが貴重。僕は初日とこの日、二回聴いただけなんだけど、それからすっかりこの歌を口ずさむときにはその初期メロディーで歌ってしまっているよ。確かに、最終的にCDに収められたメロディーの方が洗練されてはいるんだけどね。

初日の記事にも書いた、演奏中に大雨が降りだす「Fire Balloons」のテイク、この日も期待して聴いたら、ちょうどタマスが歌い終えて間奏に入るところで雷が鳴り、演奏を終えたところでもう一度鳴るという、計ったようなタイミングのよさ。さすがにこれは後で編集したんじゃないのかと思って、後でタマスに聞いてみたら、本当にあれはライヴなんだそうだ。すごいね、自然まで味方につけるのか。「あのテイク欲しいんだけど、持ってたらコピーしてくれない?」と聞いてみたけど、自分では持っていないらしい。残念。フィルムが公開されたらそれを聴くことにしよう。


初日よりもリラックスして、初日とは違った曲目をつい時間をオーバーして歌ったキムのオープニングに続いて、いよいよタマス・ウェルズ日本最終公演のスタート。初日とは違い、最初はタマスが一人で登場。「My name is Tama chan」でいきなりリラックスムードに。初日とは選曲を変えるとは聞いていたけど、一曲目が「Stitch In Time」だったのが少し意外。こういう静かなオープニングもいいね。

「From Prying Plans Into The Fire」に続いてピアノに移るタマス。実は、初日の終演後に彼と話していたときに、僕が『Thirty People Away』のレビュー記事の最後に書いたアウン・サン・スー・チーさん解放についてもちかけてみたんだ。「スー・チーさんのニュース、どう思う?よかったよね。今日はてっきりその話をして、Signs I Can't Readを歌ってくれるかと思ってたんだけど」って。そのときはそこから、彼が自分のブログに書いていた南京の話とか、果ては尖閣諸島の話とか、えらく話が広がってしまったんだけど。

鍵盤を確かめながらタマスが喋りはじめたのは、アウン・サン・スー・チーさん解放の話。先日僕に話してくれたように、「いろんな国が平和のために軍備を拡大していくのは悲しい」というような前置きに続いて、「Signs I Can't Read」を歌い始めた。この曲のピアノ・ヴァージョンなんて。あとで「あれ、本当はピアノで書いた曲?」って聞いてみたけど、そうではないらしい。あんなに素晴らしいヴァージョンだったのは、左手で弾く通奏低音の響きが素晴らしかったというのもある。

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このホールのスタインウェイ、あとでアンソニーに聞いたところによると、スタインウェイ本社から調律師が定期的に来ていて、その人曰く、現在東京にあるスタインウェイで一番状態のいいものだそうだ。「弾いていてわかるけど、普通のピアノとは全然違うよ」とのこと。

続く「An Organisation for Occasions of Joy and Sorrow」をピアノで弾き終えると、アンソニーとキムが入場。そこからは、初日とほぼ同じセットだった。客層が初日と重なっているからか(キムが時間をオーバーしたからか)、「Reduced To Clear」の説明などもなくどんどんセットが進んでいく。

白い壁に投影される映像。初日の記事に「(おそらく)ミャンマーの風景と『Two Years In April』の原画」と書いたけど、よく見るとあれミャンマーだけじゃないね。大阪の風景も一枚混じってたよ。オーストラリアの風景も沢山あったみたいだし。訂正。

金曜日に東京の自転車屋さんで見つけたという、『Two Years In April』の鐘と同じ音がするベル、初日はやたら失敗していた(笑)キムだったけど、この日は結構上手く鳴らしていたね。各曲のエンディングでアンソニーのピアノに合わせて鳴らすタイミングだけはどうにも合っていなかったけど。

そうそう、初日の記事に「The Opportunity Fair」でタマスのギターが上手くなったことを書いたけど、その曲でフィンガーピッキングをしているのはキムだったね。タマスは以前と同様コード・ストロークで弾いていた。訂正その2。それでも、以前よりも相当上手に聴こえたのは、彼が上手くなったからか、それとも使っているギターが800円のミャンマー製でなくマーティンになったからなのか。

初日の記事に書き忘れたけど、「True Believers」を書いたのは前回来日したときの東京のホテルの部屋だったそうだ。ミャンマーに帰ってから歌詞を書き終えて完成したらしいけどね。そういうのを聞くと、お気に入りのあの曲が一層身近に思えるね。

「England Had a Queen」の間奏で、アンソニーのピアノの音が少し外れたので「あれ?」と思ったんだけど、そのときはうまく取りつくろって、まるでそういうアドリブだったかのように続けたもんだからてっきりそういうアレンジなのかと思いきや、タマスもキムも今にも噴き出しそうな顔。終了後、キムが「笑いながらタマスの歌にコーラスを入れるのは難しいよ」って。アンソニーは真っ赤な顔で「ふうっ!」って深呼吸。おかしかった。

続く「Vendredi」の曲前の練習で、タマスがわざとカポをつける場所を変えて、アンソニーのピアノがまた間違えているように聴こえるジョークでからかう。「ごめんごめん、今のは僕だ(笑)」と言ってカポをつけ直して歌い始めたはいいが、最初のヴァースを歌ったところで急に噴き出して中断。おいおい、自分のジョークに自分で受けててどうすんの(笑)。この日のリラックスモードが最高潮に達した瞬間だったね。

キビダンゴの話をしたのはどの曲のときだっけ。前日の京都公演にはるばる岡山から駆け付けた人がいて、その人にもらった土産のキビダンゴをタクシーの中に置き忘れてしまったエピソード。最後に「キビダンゴ、ドコデスカ?」と日本語で言ったのが面白かった。

この日のアンソニーのピアノソロは2曲。タマスとアンソニーが昔近所に住んでいて、古い本を持ち寄って読んでいたという通りにちなんで名づけられた「Melon Street Book Club」と、それにメドレーのように続けて演奏された「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」。タマスはどういうわけか後者のタイトルを「A Dark Horse Will Either Finish First Or Last」と紹介していたような気がしたけど。タマスが曲紹介をしているときにアンソニーが後ろで「Melon Street」をポロンポロンと静かに練習していたのが気になったらしく、「話してるんだからそれやめてくれないか」みたいな顔でアンソニーをじっと見て、「ああ、ごめんごめん」みたいなやりとりもおかしかったな。

クライマックスの「Valder Fields」〜「Nepean News」を経て、本編ラストは初日とは違って「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。初日終演後にキム達と話していた通り、この日は観客に「Friday」のコーラスをまず練習させてスタート。「京都ではもっと上手だったよ」とか言ってたけど、sinさんによると京都では観客にコーラスはさせなかったそうだ。お茶目なうそつきタマス。

3人編成になってからここまで、「Friday」を除くと初日とまったく同じセットリスト。約束した「Fire Ballons」とか演ってくれないのかと思い、アンコールで出てきたときにその曲名を叫ぼうかと思っていたら、タマスが爪弾き始めた音はまさにその曲のイントロだった。CDで聴いてもいい曲だとは思っていたけど、こうして目の前で演奏されると、自分の目が潤んでくるのがわかる。かつて『Thirty People Away』発売前に音源を聴いたsinさんが“「Valder Fields」超え”と評しておられたのを読んで「それはないだろう」と思っていたけど、いや、僕が間違っていたよ。

もうこれで十分。他にリクエストした「The Northern Lights」とか演ってくれてないけど、これがラストで全然構わないという気持ちでいたところに、エンディングの「For The Aperture」。最近だいたいラストはこれか「Friday」だね。初来日のときみたいに「Nowhere Man」でしっとり終えるよりも、アップテンポな曲で華やかに終えるのが好きなのかな。いや、もちろん悪くはないけどね。

最後の挨拶で「来てくれてありがとう。今回も本当に楽しかった。キビダンゴが見つからないのが残念だけど」と言って笑わせようとしたら、アンソニーが「それ僕が食べたよ」だって。ほんとにこの二人の掛け合い、おかしいね。

Sonorium Setlist.JPG setlist_0002.jpg

ところで、左のタマスのセットリスト、右のキムのセットリストを見ると、実はアンコールには「Grace And Seraphim」と「Broken By The Rise」が予定されていたようだ。キムのせいで(笑)それらはカットされてしまったんだろうけど、まあいいや、「Fire Balloons」聴けたし。実物をもらってきたキムのリストには、それぞれの曲のカポの位置が書いてある。「これ参考にしてギター練習しようかな」と言ったら、「タマスの曲はだいたいGかCのコードだけだから簡単だよ」とキム。


終演後、また3人とゆっくり話す時間に恵まれた。冷え込む屋外で待っていたのは大変だったけど(生脚むき出しの友達もいたけど・笑)、濃密な日曜日パート2の始まりだ。えーと、何の話をしたかな。

「ジョハンナのことを歌ってるの?」と聞いてみた「Your Hands Into Mine」、答えは「ノー」だった。この日、歌い始める前に「This song is about grace」と確か言ってたね。うまく言えないけど、誰か特定の人を念頭に置いて書いたんじゃなく、もっと大きな愛情についてということなのかな。

レビュー記事に「この曲の背景を教えてくれるだろうか」と書いたけど、結局演奏しなかった「Her Eyes Were Only Scars」の歌詞の意味。あれは、彼の友達のミャンマー人の修道僧の実話だそうだ。その僧の母親も尼僧で、彼女が一人で家にいた時にうっかり熱湯を顔にかぶってしまったとのこと。盲目になってしまったその母親を15年間も面倒を見続けたその僧についての歌なんだって。ローブとかサンダルとかって、そういうのを示唆してたんだね。相変わらず、複線だけを提示して結末は教えてくれない不親切な歌詞(笑)。ちなみに、デニース・ロックヘッドの物語は全てフィクションなんだって。

「いつも歌詞を熱心に聞いてくれてありがとう」とタマスにお礼を言われたのが嬉しかった。「ブログに自分の歌詞の解説を載せてみれば?」と提案してみたらまんざらでもなさそうだったので、そのうち本人による『Thirty People Away』ライナーノーツが載るかもね。

次のyascdのネタにとこっそり考えていたタイトルが、タマス(キムだったかな)の口から出てきたのには驚いた。“メルボルン・コネクション”の話題になって、メルボルンの音楽シーンがどんなに充実しているかという話に進んだ。僕がそのミックスに入れようと考えていたラックスミス(The Lucksmith)とかスタインベックス(The Steinbecks)とかの名前を出すと、「なんでメルボルンのこと、そんなに詳しいの?」とタマス。もちろんそれは、あなたの音楽に影響されたからだよ。

前日に行ったヨンシーのライヴの話をして散々羨ましがらせてもあげた(笑)。ヨンシーのファン度は、キム<アンソニー<タマスの順のようで、特にタマスは「バンドは何人編成だった?」とか「シガーロスの曲は演ったの?」とか「シガーロスの最新アルバムとヨンシーのソロはどっちがいい?」とか「今回ツアーしているのはヨンシー名義?それともバンドとしての名前が付いてるの?」とか「ヨンシーは自分ではどの楽器を演奏するの?」とか、もう延々と質問攻め(笑)。僕のウォークマンで「Go Do」を聴かせてあげたら熱心に聴き入って、隣にいたアンソニーにも「ちょっとこれ聴いてみな。いいよ」とか勧めてたな。


sinさんのツィッターブログで来日後記とかささいなエピソードを読んで幸せの腫瘍に栄養補給。そこからたどって見つけた、会場で写真を撮っておられた三田村さんのブログ。いい写真が沢山。

昔からの友達、初日に知り合った方、この日の終演後に一緒になった方、たくさんの方々とsinさん暢平さん、そしてタマスご一行と一緒にニコニコ笑いながら至福の時間を過ごし、名残惜しく別れてきた。日曜の夜中に相当夜更かししたせいで、ただでさえ忙しいこの一週間は体力的には地獄の苦しみだったけれど、あのとき僕の後頭部に埋め込まれた幸せの種子が大きくなって心地よい腫瘍に育っているから、僕は大丈夫。まだまだ忙しい日は続くけれど、これが頭の中に居残っている間は全然問題なくやっていけるよ。

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Setlist 05 Dec 2010 @ sonorium

1. Stitch In Time
2. From Prying Plans Into The Fire
3. Signs I Can't Read
4. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
5. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
6. When We Do Fail Abigail
7. The Opportunity Fair
8. Reduced To Clear
9. Open The Blinds
10. Lichen And Bees
11. True Believers
12. Your Hands Into Mine
13. England Had A Queen
14. Vendredi
15. The Crime At Edmond Lake
16. Melon Street Book Club
17. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
18. Valder Fields
19. Writers From Nepean News
20. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire

[Encore]
1. Fire Balloons
2. For The Aperture

<12月21日追記>

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2010年12月04日

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 1

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ついに、タマス/ヨンシー/タマス3連日の始まり。初日は早稲田奉仕園スコットホールという、早稲田大学の構内にある洋館。赤レンガ造りで教会っぽいと思っていたら、教会なんだね。ビデオ上映のための大きなスクリーンがステージに掲げてあったから、終了後に機材を撤収するまで後ろの十字架やパイプオルガンが見えなかった。教会でのタマスは08年の青山以来。あのときの素晴らしい印象が蘇るよ。

ステージ上にはちょっとした和風の飾りとクリスマスっぽい電飾。急須と湯呑が3つ置いてあったから、あれメンバーが曲間に飲むのかと思った。その手前に、実際にメンバーが立つステージ(というにはあまりにも低い、高さ15センチほどの台)がある。ヴォーカルマイクとギターマイクが2本ずつ。もちろん、タマス・ウェルズとキム・ビールズ用だ。右手にはベヒシュタインのグランドピアノ。これはもちろん会場備え付けだろう。すごくいい音だったね。

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(写真は奉仕園のサイトから勝手に拝借しました)

予告されていたとおり、ライヴ開始前に、15分間のタマスのドキュメンタリー・フィルム『The Houses There Wear Verandahs Out Of Shiness』を上映。味わい深い、素敵な短編だった。「Fire Balloons」の別テイク(録音途中で例によって窓の外から雑音が入って中断するのも含めて)をあんなに沢山聴けるなんて。最後のテイク、演奏途中で大雨が降りだしても演奏を止めず(もちろん室内)、その雨音をも含んで「これ、いいよね。取っとこうよ」と笑顔で話すタマスがすごく印象的だった。あのビデオ、欲しいな。もうすぐウェブで公開されるらしいけど、タマスが部屋で演奏するタイトルシーンをジャケットに使ったDVD(BDでも可)で持っていたい。Liricoさん、よろしく。

続いて、オープニング・アクトとして、キム・ビールズ(Kim Beales)が一人で登場。僕は彼の音楽はこれまでマイスペースにアップされていたものを数曲流して聴いたことがあるだけで、失礼ながらそれほど印象に残っていなかったんだけど、今回は違ったね。声が綺麗なのはシンガポール公演でタマスの曲にコーラスを被せるのを聴いていたから承知していたけど、こんなにいい曲を書くなんてね。見なおしたよ。会場で売っていた06年のアルバムは入場したときにさっさと買っておいたんだけど、後でキムに聞いたら、今日演った曲はほとんどが来年3月に出る予定の新作からなんだって。新作楽しみ。今回買ったのももちろん楽しみだけど。

全5曲、20分ほどのキムのセットの後、10分ほどの休憩をはさんで、いよいよタマス・ウェルズ。まずは二人で登場し、ステージに向かって左側にキム、右側(ピアノ横)にタマスが立つ。オープニングは、08年の来日時にリクエストしたけど演奏してくれなかった「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。Liricoのsinさんが“個人的にノーマークだった曲”と書いておられたのはこれか。後でタマス達に聞いてみたら、「あれ前回リクエストしてくれたよね。ちゃんと練習したんだよ」だって。なんと、そんなことを覚えていてくれたなんて(しかも僕がこの日に聴きに来ることを知っていたなんて・笑)。そして後半には、やはりあの時リクエストしたけど演奏しなかった「Writers From Nepean News」も。ちょっと感激。

3曲目「The Opportunity Fair」からアンソニー・フランシス(Anthony Francis)がバンジョーで参加。それにしても、初来日のときには単にジャカジャカとギターをかき鳴らしていただけだったのを思い出すと、アンソニーとキムがサポートしていることを差し引いても、タマス演奏上手くなったよなあ。ちゃんとフィンガーピッキングしてるし。

「僕とアンソニーが育ったのはメルボルンでも犯罪率の高い地域で」と話し始めたから、てっきりシンガポールのときと同じく「Stitch In Time」かと思いきや、「Reduced To Clear」に話を持っていった。あの曲、例によっていまいち歌詞を読んでも意味が掴みづらかったんだけど、その地域では空き巣が頻発していて、街の中古品店で盗品が売られていることが多いんだって。そういう背景を聞いて歌詞を読むと、最初から最後まで筋が通る。「自分の持ち物がそんなに安い値段で売られているのなんて認めたくないね」とか言ってたね。あと、「犯罪率が高いのは僕のせいじゃない」とも(笑)

全体的には4枚のアルバムから幅広く選曲されたセット。7曲目に「今回のツアーは新作のプロモーションで、“Thirty People Away"というのはミャンマーで起きた爆破事件のことを友達に聞いたのがきっかけ」と説明しながら、そのタイトル曲ではなく「True Believers」を演奏。新作中でも僕の好きな曲のひとつなので、これは嬉しい。続けて、アルバムと同じ流れで「Your Hands Into Mine」。更に、「England Had A Queen」。しばらく後に、「これは新作からのシングルカット」と言って「The Crime At Edmond Lake」。前回の記事でべた褒めしてるけど、こうして昔の曲と交互に聴いても、この新作に入っている曲のクオリティやっぱり高いね。

それにしても、場内の照明がかなり暗め。教会の高い天井から間接照明で照らしているだけだから、ちょっと下を向くとメンバーの表情もよく見えないぐらい。メンバーの後ろ、本来のステージ上にあるクリスマスの電飾だけがやたら煌々と見えるよ。まあ、こういうのも雰囲気あっていいけどね。あと、後ろのスクリーンにずっとスライドショーで映されていたのは、シンガポールでも流れていた、(おそらく)ミャンマーの風景と『Two Years In April』の原画。

「Edmond Lake」の後、タマスとキムが一旦退場して、アンソニーのピアノソロ「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」。紹介するときにタマスが「これはアンソニーが作曲した」と言ってたよ。後でアンソニーに「CDの作曲クレジットは全部タマス・ウェルズになってるよ」と言ったら、「あれはバンドとしてのタマス・ウェルズということだから」とか、タマスも冗談で「印税あげないよ」とか言ってた。仲良しだから別にいいのか、そういうこと気にしないのか。

二人が戻ってきて、いきなり歌いだしたのが「Valder Fields」。彼もこれが一番の名曲だとわかっているだろうに、いつもライヴではこういう何気ない箇所に配置するんだよね。キムのハーモニーとアンソニーのピアノが格別。

この曲のときもそうだったけど、タマスって、隣でキムの準備が整っていようがいまいがお構いなしで歌い始めることがよくある。キムがまだカポつけたりしてるのにさっさと演奏始めたりね。だからといってキムも別に慌てたりしてるわけじゃないから、いつもああなんだろうね。逆に、イントロでキムのギターが鳴ってなかったのが、(彼の準備が整い次第)徐々に音の層が厚くなるのは聴いてても気持ちいいし。

嬉しかった「Writers From Nepean News」、ラスト定番の(でも手拍子は催促されなかった)「For The Aperture」で本編終了。ちょっと早いな。でもすぐアンコールで出てくるだろう。

アンコールはまずタマスが一人で登場し、そのままグランドピアノへ。おお、今回ピアノの弾き語りを演るとは聞いていたけど、いよいよか。と思ったら、曲は新作から「An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow」。なんだ、歌わないのか。でもタマスも結構ピアノ上手いね。

ピアノ・インストと言えば、これも終演後にアンソニーに聞いたんだけど、さっきの「A Dark Horse」だけじゃなく、セカンドまでに収録されているピアノのインストゥルメンタル曲は全部アンソニーが作曲したんだって。そして、新作の2曲はタマスの作ということらしい。

メンバー二人が合流して、「From Prying Plans Into The Fire」、そしてこれも近頃の終盤の定番「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」で終了。また出てくるだろうとアンコールの拍手をしていたら、そこで客電が点いた。えー、短いよ。「Fire Balloons」演らないの?「The Northern Lights」は?「Nowhere Man」は?

9時には終わらないといけなかったからしょうがなかったんだけど、そういう文句を終演後タマスに言ったら、「わかった、それは日曜日に演るよ」とのこと。「じゃあ、あとアイアン&ワインと、ランバート&ナティカムと」と更にリクエストしてみたけど「いや、それは無理(笑)」とのこと。歌詞書いて持って行ってあげようかな(笑)

あと、キムと話してたときに「キッチンの曲のときに“Friday”のコーラスさせなかったね」と言うと、「今日何曜だっけ?ああっ、金曜日だ。しまった!おーい、タマスー、今日金曜日なのにあれやらなかったー」とか慌ててるし(笑)。「しょうがないからコーラスを“Sunday”に変えて明後日やろうか」とか。おかしい奴。キムは、「シンガポールで話したときからこれをお土産にしようと思って持ってきたんだ」と、会場では売っていなかった自分のシングル盤と、世の中に残り8枚しかないという01年の最初のEPをプレゼントしてくれた。今日の感激その2。

会場で買ったキムのCDも含めて、沢山サインをしてもらったんだけど、持って行ったペンが水性で、コーティングされたジャケの上では乾かないから消えたり汚くなったりしてしまった。今日の失敗その1。『Thirty People Away』用には慌てて友達に油性ペンを借りてサインしてもらったけどね。

というわけで、初日終了。会場の雰囲気も音響もさすがLiricoセレクションのことはあったし、3人のアンサンブルも随分こなれてきて上手だったし(中国ツアーはリハーサルだと思おうと書いたsinさんに賛成)、時間が短かったということさえ除けば、ショートフィルムも前座も含めて、素晴らしいライヴだった。翌日のせっかくのヨンシーに行く気持ちもちょっと萎えてしまうぐらい(もともとあの地の果てみたいな会場に行くのは相当億劫なんだよ)。

ライヴ後、飲み会の帰り、どうやら山手線で問題があったらしく、JRの駅はどこも大混乱。大崎さん曰く、タマスとヨンシーのガチンコ勝負の結果らしい。まあ、そういうことにしておこう(笑)


Tamas Setlist0312.JPG Kim Setlist0312.JPG
タマスとキムのセットリスト。


Setlist 03 Dec 2010 @ Waseda Hoshien Scott Hall

1. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
2. When We Do Fail Abigail
3. The Opportunity Fair
4. Reduced To Clear
5. Open The Blinds
6. Lichen And Bees
7. True Believers
8. Your Hands Into Mine
9. England Had A Queen
10. Vendredi
11. The Crime At Edmond Lake
12. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
13. Valder Fields
14. Writers From Nepean News
15. For The Aperture

[Encore]
1. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
2. From Prying Plans Into The Fire
3. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
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2010年04月03日

Matthew Sweet & Susanna Hoffs live in Tokyo

◆この日のためにわざわざビルボードライブの会員になったぐらい楽しみにしていた、マシュー・スウィートとスザンナ・ホフスの来日公演。初日第二ステージに行ってきた。

◆第二ステージなんで終了時刻も結構遅く、もうこんな時間なんだけど、明日からの週末は来客の接待で、週明けは早朝から出張。帰国したらすぐに次のライヴが待ってるんで、今を逃すともう書けない。

◆ので、久々の箇条書き記事。本当は、こんなにちゃっちゃと書いてしまうのがもったいないぐらいのいいライヴだったんだけどね。

◆この日のためにわざわざビルボードライブの会員になったというのに、会員向け先行発売日のよりによって発売開始時間に会議が重なり、中途半端に気合を入れて取った整理番号だったけど、座席はまずまず。

◆ステージには椅子が4つ、左右に並んでいる。一つ目と二つ目、三つ目と四つ目の間にはそれぞれ丸いテーブルがあり、その上には沢山の飲み物。

◆アクースティックギターばかりが5本、椅子の周りに置いてある。一番左がギブソン。左から二番目の椅子にはテイラーの12弦が2本。右二つの椅子にはテイラーの6弦が1本ずつ。

◆そもそも今回どういう布陣で来るのか全然わかってなかったから、アクースティック・セットだというのにまずびっくり。左右二脚ずつの椅子は、二人があっち行ったりこっち行ったりするためなのか?

◆もちろんそんなわけはなく、開演時間を5分ほどオーバーして出てきたのは、僕が開演前にトイレで隣り合わせたクルクルパーマのギタリスト(デニス・テイラーという人らしい)、予想以上に小柄なスザンナ、予想以上に凄い体型のマシュー、それから、予想外のギタリスト、ヴェルヴェット・クラッシュのポール・チャステイン(紹介されるまで気づかなかったけど)。

◆マシュー、太っているのは知ってたけど、CDのブックレットとかに使われている写真が、あれでも実はいかにそう見えさせないように工夫していたのかを思い知らされたよ。メタボなんて生易しいもんじゃないね。

◆一方、CDのブックレットではどんな遠近法のマジックか、マシューとほぼ同じぐらいの顔の大きさで写っているスザンナの本物は、マシューをナタで割ったら中から3人ぐらい出てきそうなぐらい華奢で小柄。顔も小さいし腕も細いよ。

◆3つ上に名前を書いた順に右から椅子に座る。僕はマシューのほぼ正面だ。やった。メイヤー・ホウソーンのときの教訓から一番前は避けたんだけど(一番前の中央を取れるような整理番号でもなかったんだけど)、こうして皆椅子に座って演奏するんなら、一番前でもよかったかな。でも、ほどよい距離で全員を見渡せるからいいや。

◆オープニングは、『Under The Covers Vol.1』の1曲目、「I See The Rain」。どちらかというと僕は馴染みの薄い曲が多い『Vol.1』を電車の中で予習してきた甲斐があったよ。

◆続いて、『Vol.2』から「I've Seen All Good People」。基本的にデニスがどの曲でもギター・ソロを弾くんだけど、期待していたこの曲の、CDではスティーヴ・ハウ本人が弾いているあの後半のパートはなし。残念。

◆この曲の途中で、スザンナがマイクの高さが合わなかったようで、自分で高さを調整しようとするんだけど、全然うまくいかなくて、お手上げーみたいなポーズをしていたのが可愛かった。

◆おまけに、そんなことをしている間に間奏が終わってしまっていて、照れ笑いしながら「ここから歌えばいい?」みたいなことをマシューに聞いてたり。

◆それだけじゃないね。曲と曲との間にマシューがしゃべっているときに、テーブルに置いてあったペットボトルの水を手にとって、「これ水かな?」みたいな顔でじっと見てから、たかだかペットボトルのキャップごときを、えいっ!て力入れて開けようとしたりとか。

◆なんでこの人はこんなにかわいいんだ?僕よりずっと年上だよ。失礼ながら顔には歳相応のしわがあったりするんだけど、なんだか妖精がそのまま大きくもならずに歳をとったみたいな人。

◆それにあの声。ウイスキー焼けみたいなハスキー・ヴォイス。CDで聴いてもよかったけど(以前の記事では、あまり力みすぎた低音の歌い方は好みじゃないようなことも書いてしまったけど)、生で聴くとこんなにいい声だったなんて。

◆もうこれですでに◆5つ分ぐらいスザンナのことばっかり書いてるけど、いやー、ちょっとかなり気に入ってしまったよ。バングルスなんて僕は「Manic Monday」ぐらいしか知らなかったけど、CD買ってみようかな。

◆正気に戻って、ライヴの続きを。この先、曲順の記憶がいまいちあやふやなんだけど、演った曲はほぼ全部覚えてるから、順不同で書いていこう。そのうちどこかでセットリスト探してこよう。

◆『Vol.1』から他に演った曲は、「Different Drum」(もしもリクエスト募られたらこの曲にしようかなとちょっと思ってたぐらいなので、嬉しかった)と、「Everybody Knows This Is Nowhere」。

◆それから、「今日はニール・ヤングは二曲目だ。『Vol.1』にはニールが二曲入っているから。『Vol.2』で二曲取り上げたのは誰だっけ。トッドか」なんて言いながら始めた「Cinnamon Girl」。ひときわ歓声が高かったね。

◆「Different Drum」の前かな、マシューがスザンナに「起きろ!」って。スザンナが「わかってるよ」なんて返してたね。そのちょっと前にも、時差ぼけがひどいってぼやいてたから。確かにアメリカから着いたばかりで一晩2ステージはきついだろう。

◆一方、『Vol.2』から他に演ったのは、「Second Hand News」、「You're So Vain」、「Hello It's Me」。そして、「Willin'」(「Go All The Way」がなかったのは本当に残念だけど、これを演ったからまあいいや)。

◆それに、「もう一曲、アレックス・チルトンの曲を」と言って始めた「Back Of A Car」。“もう一曲”というのは、この曲よりも前に、「数週間前にアレックス・チルトンが亡くなってしまって驚いた。彼の曲を演ろう。これはスザンナが以前のバンドでカバーしていた曲だ」と言って、『Under The Covers』未収録の「September Gurls」を演奏したから。調べてみたら、ほんとだ。バングルスのセカンドに入ってるよ。

◆さらにもう一曲『Under The Covers』未収録の「Here Comes The Sun」が本編ラスト。それを演る前に「これが最後の曲だ」って言って観客が一斉に不満の声をあげたときに、「そんなの終わるフリしてちょっとあっち行って戻ってくるだけだよ」とかつぶやいてたね。可笑しかった。

◆その他にもステージ上でかなり頻繁に、おもにスザンナとマシューの間でよくわからないジョークみたいなのを言い合ってたね。僕の位置からだとマイクを通さない地声もよく聞こえたんだけど、ジョークの中身がいまいちよくわからなかったのが残念。

◆<追記>演奏曲目を思い出してたときに『Vol.1』と『Vol.2』の曲目表を見ながらだったのでついうっかり忘れていたけど、マシューとスザンナがまたぶつぶつと小さな声で「love」とかつぶやいてるから、てっきり「Alone Again Or」を演るのかなと思いきや、「Peace」、「And Understanding」って。マシューが「Nick Loweは大好きなアーティストだ」とか言ってたな。偶然だね、僕もだよ。

◆さて、アンコール。最初はスザンナの、というかバングルスの「In Your Room」、それにメドレーで続けて「Manic Monday」。

◆続いてはマシューのパート。まずは『Sunshine Lies』から「Byrdgirl」。そして、「I've Been Waiting」。こういうのをアクースティックで聴けたのが、今回のハイライトの一つかも。

◆アンコール含めて1時間ちょうどというのは、やっぱり時差ぼけのせいで早めに切り上げたんだろうね。さっきネットで調べてみた海外での1.5時間のフルセットだと、もっとマシューのソロやバングルスの曲を沢山演奏しているみたいだから(「Sick Of Myself」聴きたかった!)。

◆終了後、物販で売ってた小さな陶器。あれ、アンコールのときにマシューが一番前の席の女の人たちと話してたやつだ。マシューが「こーんな太い指でこんな小さなものを作るんだよ」みたいなことを言ってたけど、観客の受けがいまいち悪かったので、クリスという名の観客をステージに上げて通訳させてた。

◆多分彼は第一部にもいたんだろうね。ステージ上でだらだらとジョークを言い合ってたときに、スザンナがしきりに「クリスを呼んで通訳してもらおうよ」とか言ってたから。

◆そういう、いい意味でも悪い意味でもアットホームな感じの、やっぱりいいライヴだった。ちょっと残念だったのは、マシューがギターソロを一切弾かなかったことかな。

◆わあ、見返してみたら、もうこんなに書いてるよ。相変わらず箇条書きと言いながら単に段落の頭に記号がついてるだけだし。おまけに記事の構成もなにもあったもんじゃないね。

◆でももう2時になってしまったから、このままアップして風呂入って寝よう。明日も早起きしなくちゃ。

◆<追記2>うささこさんのブログとか、あと海外のライヴレポとか見て、おそらくこの人たちほとんどセットリスト替えてないなと推測したこの日のセットリスト。多分間違ってないはず。

1. I See The Rain
2. I've Seen All Good People
3. Everybody Knows This Is Nowhere
4. Willin'
5. September Gurls
6. Hello It's Me
7. Different Drum
8. Cinammon Girl
9. Back Of A Car
10. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
11. You're So Vain
12. Second Hand News
13. Here Comes The Sun

Encore
1. In Your Room / Manic Monday
2. Byrdgirl
3. I've Been Waiting
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2010年03月22日

Jools Holland And His Rhythm & Blues Orchestra live in Tokyo

Jools Holland Blue Note.jpg

どうも今日は朝から体調が悪い。昨晩がっつり飲み食いしたツケが回ってきたのか、休日だというのにいつも会社に行くのと同じ時間に、頭と腹が痛くて起きてしまったぐらい。

夕方になってもどうも体の節々が痛く、元気が出ない。風邪かな。でも鼻やのどはなんともないしな。なんかヘンな病気かも。

という結構グダグダな調子で行ってきた、僕にとっては初めてのブルーノート東京。どうも最近立て続けにビルボードやらブルーノートばかりだな。家に帰ってきた今もなんだかぼーっとしてるから、ちょっと手短にまとめよう。

3日間それぞれ2回公演、トータル6公演の初回。予定時間の6時を数分過ぎたところでメンバーが次々に登場。今回のリズム&ブルーズ・オーケストラは総勢12名なんだけど、最初に出てきたのは、ヴォーカル3名を除いた9名。

ジュールズ・ホランド(Jools Holland) ピアノ
ギルソン・レイヴィス(Gilson Lavis) ドラムス
マーク・フラナガン(Mark Flanagan) ギター
デイヴ・スウィフト(Dave Swift) ベース
フィル・ヴィーコック(Phil Veacock) サックス
リサ・グレアム(Lisa Grahame) サックス
ジョン・スコット(Jon Scott) トランペット
ウィンストン・ロリンズ(Winston Rollins) トロンボーン
リコ・ロドリゲス(Rico Rodriguez) トロンボーン

1曲目のインストは、アルバム『Lift The Lid』のオープニングの「Start Up」だったかな。なにしろ、彼のCDは5−6枚持っているのに、全然曲名を覚えていないもんだから、今日も有名曲のカバーバージョン以外はちっともタイトルがわからなかった。

音、いいなあ。座っていた席も中央の前寄りというなかなかいい場所だったせいもあるけど、こないだのビルボードライブとは大違い。これだけ沢山の楽器の音が、それぞれきちんとバランスを取ってきれいに聴こえる。

初めて生で観るギルソンのドラムが超格好いい。もうすっかり真っ白になった頭をオールバックにした姿は、ちょっと体格のいいニック・ロウみたい(というぐらい、顔もしわだらけ)。ほぼ全員が黒のスーツを着ている中、彼だけが真っ赤なジャケットというのもいかすね。シンバルを下から上に叩きあげたり、ドラムを叩きながらスティックをくるんと回すのがいいね。それも、よくある右手が空いているときに暇つぶしに回すんじゃなく、忙しくドカドカ叩きながらくるんってやるのがなんともクール。

2曲目がジュールズのリード・ヴォーカル。その次の曲からかな、二人の女性ヴォーカリストがバッキング・ヴォーカルで登場。

ルイーズ・マーシャル(Louise Marshall)
ロージー・ホランド(Rosie Holland)

この二人は上のプロモ写真には載っていないね。ロージーはジュールズの娘さんなのかな。この後1曲、「I Got My Mojo Working」を歌ったんだけど、まあ、ご愛嬌程度。決して下手なわけじゃないんだけどね。ちょっとあんなにゴツゴツした曲をこなせるような声質ではないかな。

一方、ルイーズはすごく上手だった。「Tennessee Waltz」歌ったっけ。こんなひょろっとした女性があんなにソウルフルに歌えるなんて、すごいな。聞きほれてしまうよ。

と思っていたら、中盤になって登場したルビー・ターナー(Ruby Turner)を観て度肝を抜かれてしまった。一度見たら二度と忘れられないその容貌。胸囲3メートルぐらいあるんじゃないか。もの凄い歌い方をするね。「Trouble In Mind」他数曲を叫ぶように歌って、退場。なにか、台風一過という感じ。

一番右奥でひっそりトロンボーンを吹いていたリコ・ロドリゲスが、トロンボーンも持たずにステージ中央に出てきたと思ったら、いきなり歌い始めたよ。顔真っ赤にしてニコニコしながら、音程の不確かな歌がほんとに可愛い。いや、こんなおじいちゃん捕まえて「可愛い」もないもんだけど、これはいいもの見せてもらったよ。歌い終わったらまたひょこひょこと後ろに下がっていった。お疲れさま。

普通、バンドのギタリストって一番目立つ位置にいるもんだけど、マーク・フラナガンはリコのちょうど反対側、一番左奥に椅子を置いて、そこで地味にカッティングしていたかと思いきや、ギターソロが回ってきた途端にいぶし銀のような流麗なソロを弾く。音も格好いいけど、その見かけがとてつもなく絵になる人だね。山高帽を被った堀の深い顔立ちは、J.J.ケールを少しだけ若くしたようにも見える。赤紫のサテンのボトムがいいね。

観客を煽る係(?)のフィルと、その横で一所懸命サックスを吹いている小柄なリサのコンビもいいし、ギルソンの横でアップライト・ベースに負けないぐらいの長身でベースを弾くスキンヘッドのデイヴも、目立たないけど要所を締めているね。残念ながら僕の位置からは、もう一人のトロンボーニスト、ジョンがちっとも見えなかったんだけど、本当にこのバンド、それぞれのキャラが立っているよ。いいバンドだな。

肝心のジュールズのことを書いてないね。予想通りずんぐりした体格の彼は、ギルソンとは違って、スクイーズ後期から全然見かけが変わっていないように思える。ピアノは当然すごくいい。僕の位置からは手元がまったく見えなかったのが残念だけど。1曲だけギターを弾いた曲があったな。ギターを持ったジュールズというのがすごく新鮮だった。欲を言えば、もう少し彼自身のヴォーカル曲を聴きたかったな。

ちょうど1時間で本編終了。すぐにアンコールに応えて出てきて、プリンス・バスターの(というか、今日の面子的にはリコも参加したスペシャルズの)「Enjoy Yourself」をはじめ、4曲ほどを演奏。期待していたスクイーズの曲はひとつもなし。うーん、ちょっと残念。

一番前のテーブルにいたお客さんたちは(うち一人は僕も知っている人だ)終演後ジュールズとルビーに握手してもらっていたね。いいな。

キャッシャーが空くのを待ってから外に出ても、まだ7時半ぐらい。本当ならもう少し飲んで帰りたかったんだけど、今日の体調ではどうにも無理。一緒に駅まで歩いていった友達に地下鉄の席を譲ってもらった僕は、なんだかリコ爺さんよりも年老いた気分だったよ。

さて、今日はいいライヴ観たし、風呂入って暖まってさっさと寝ようかな。おやすみ。



<3月25日追記>
ブルーノートのサイトに僕の観た回のセットリストが上がっていたので転載させてもらおう。ブログの方には写真も沢山載ってるけど、それは持ってくると申し訳ないので、見たい人はそちらをどうぞ。ちなみに、セカンドセットはちょっとだけ違う曲を演ったんだね。となると、二日目以降も気になるなあ。

1.DOUBLE O BOOGIE
2.FAT FRED
3.WHEEL OF FORTUNE
4.I GOT MY MOJO WALKING
5.HIGH STREET
6.I WENT BY
7.TENNESEE WALTZ
8.SALLY SUZAS
9.L.O.V.E
10.RECONSIDER BABY
11.HONEY HUSH
12.THE INFORMER
13.TROUBLE IN MIND
14.THIS TRAIN
15.BUMBLE BOOGIE
16.ENJOY YOURSELF(IT'S LATER THAN YOU THINK)
17.YOU ARE SO BEAUTIFUL
18.WELL ALRIGHT
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2010年02月28日

Mayer Hawthorne & The County live in Tokyo

バブルっていつ弾けたんだっけ?と思うような場所だったね、ミッドタウンって。東京に帰ってきてもう2年以上経つというのに、それ以来ほとんど足を踏み入れたことのないこのエリア。ずらりと並んだレストランのエントランスに掲げられたメニューの、冗談みたいな値段を見るにつけ、そんな風に思った。

再来月に来日予定の某アーティストのチケットを取りたくて、ビルボードライブ東京のメンバー登録をした。せっかくだからと、最近聴いてちょっと気になっていたメイヤー・ホウソーンに行ってみようと思い立つ。結構直前になって予約したのに、全然問題ない整理番号だったね。まあ、デビューしたての、しかも日本盤も出ていないようなアーティストのライヴに、ビルボード基準のチケット代を払って来ようという人が何人いるのか。おかげで、一番前のテーブルに席を取ることができた。いろんな人から、ここの最前列は音がよくないって聞いてはいたけど、再来月に備えてどの程度よくないのか確認のために、とも思って。

Mayer Hawthorne & The County.jpg


時間通りに客電が落ち、4人のメンバーがまず登場。ドラムス、ベース、キーボードの3人が黒人、ギターが白人という混成チーム。そして、MCの紹介で出てきたメイヤーは、CDのジャケットどおりのメガネ青年。僕の位置からはかなり見上げる感じになるから実際はどれぐらいなのか見当つけ難いけど、決して背が高いわけでもないこのタレ目のメガネ君が、CDで聴いたあのゴージャスなブルー・アイド・ソウルを歌うというのが、いつまでたっても違和感。蝶ネクタイにベストという格好なのに、足元だけが赤と黒のナイキというミスマッチも可笑しい。

オープニングは、韻を踏んだタイトルもいかした、僕がアルバム中で一番好きな「Your Easy Lovin' Ain't Pleasin' Nothin'」。このモータウン・ビート、いきなり盛り上がるね。

次から次へとメドレーのように曲を繋いでいくところとか、観客に話しかけながらそのまま歌詞になだれ込んでいくところとか、伝統的なソウル・マナーに則ってるよね。2曲目が終わったところで、「昨日J-Waveの番組に出て、この次の曲を演奏してくれるかって訊かれたんだけど」って言いながら「Maybe So, Maybe No」を歌い始めるところなんて、うまいなあって思ったよ。

一番前の席はあまり音がよくないって言われた意味はなんとなくわかった。会場全体に向けたPAよりも、ステージからの音が直接耳に届くから、音のバランスが悪いってことなんだね。でも、僕の位置からは、PAを通さないドラムの音と、VOXのギターアンプの音がストレートに聴こえてきて、それはそれで楽しめたよ。このバックバンド、もの凄く上手い。CDで聴くのとは全然違うよ。この人たちが演ってるのなら、メイヤー・ホウソーンのソロ名義なんかじゃなくて、ちゃんとメイヤー・ホウソーン&ザ・カウンティー名義でアルバムを作ればよかったのに。

A Strange Arrangement.jpgファースト・アルバム『A Strange Arrangement』からの曲と、モータウンとか古いソウル/R&Bの曲を織り交ぜて演奏。僕の席のすぐ近くにセットリストが置いてあり、開演前からそれを見ることができたのと(見ないようにはしていたけど)、曲に入る前に「これは僕たちの好きなモータウンの曲だ」とか「ヒップホップは好き?」とか言っていたのでかろうじてそういう曲だとはわかったけど、実は帰ってきてからセットリストに書いてあった(必ずしも全部正確ではない)曲名を頼りに検索するまでは、誰の曲かも僕にはわからなかった。マーヴェレッツとかアイズリー・ブラザーズとか。なるほど。あと、1曲だけ新曲と言って紹介していた曲は、ギターのお兄ちゃんが歌ってたね。

そのギタリスト、調べてみたらトファー・モーア(Topher Mohr)っていう名前なんだけど、一人だけ飛びぬけてイケメン。上の写真では一番右側に写ってるけど、この写真じゃわからないか。メンバー紹介のときに、他の全員がメイヤーと同じミシガンだったけど、彼だけはLA出身って言ってたっけ。どうしてギターにはピックガードが必要なのかということが逆説的にわかるような、弦の下側の塗装がいい感じに剥げたサンバーストのレスポール・カスタムに、“War Is Not The Answer"と書かれたマーヴィン・ゲイのステッカー。「Green Eyed Love」のギター・ソロはすごかった。へヴィ・メタリックでないギター・ソロの理想形。ソロ・アルバムも出しているようだね。買ってみようとまではまだ思わないけれど。

本編終盤で演った「Love Is All Right」は、『A Strange Arrangement』の初回盤CDに入っていた4インチアナログに収録されているという曲だった。それって、終演後のロビーで売ってたやつだったよ。よく見ずにスルーしてきたけど、そんな珍しいものだったのか、あれは。この曲の最中にメンバー紹介。「ドラムマシーンのように正確なリズムを刻むけど、彼は正真正銘の人間のドラマー」と、やたらと“Human Being”というところを何度も強調されていたドラマーはクエンティン・ジョゼフ(Quentin Joseph)。メイヤーが「みんな、ジェームズ・ブラウンは好き?」と訊いた後にドラム・ソロに入ったけど、あれはJB風のソロだったんだろうか。さっき、このバンドが上手いって書いたけど、その大部分はこの人の技量に負っていると言っても過言ではないね。

他のメンバーは、いかにも60年代風というか、リントン・クゥエシ・ジョンソンをいいとこのお坊ちゃん風にした感じの風貌のキーボーディスト、クインシー・マクラリー(Quincy McCrary)と、ゼブラ柄のベース・ストラップをつけた、ふわふわのアフロヘアのジョー・エイブラムス(Joe Abrams)。この人はアンコールで出てきたときもゼブラ柄のタオルを頭にかぶってたな。

その曲からメドレーで繋げた、アルバム中でもかなり盛り上がる「The Ills」で本編終了。一旦引っ込んで再登場。「When I Said Goodbye」という、デビューシングル「Just Ain't Gonna Work Out」のB面(ということを後で知ったことは後述する)を演奏。「みんな、ディナーはおいしかった?全部平らげているところを見ると、きっとおいしかったんだろうね」とか言いながら僕のテーブルを見て、「君のは残ってるね」なんていじられてしまった。まだ食べてる途中にあんた達が出てきたからだよ。

セットリストには「Mehna Mehna」と書いてあったけど、YouTubeとかで調べてみたら、Piero Umilianiという人の「Mah Na Mah Na」というちょっとコミカルな曲と、最後はアイズリー・ブラザーズの「Work To Do」で、アンコール含めて1時間ちょっとのステージが終了。

完全に予想以上。よかった。予想以上に美味しかった食事や豪華な場所を抜きにしても、本当に贅沢な時を過ごした気がする。でも、本当なら、これはこんな着座のレストランとかじゃなくて、ライヴハウスで聴いてみたかったな。あのバックバンド、ただものじゃないよ。と思いながら、ロビーの物販のところに行くと、『A Strange Arrangement』のインストゥルメンタル版なんていうのがあったから、即座に買ってしまった。あの人たちが演ってるんなら、インスト版でも聴いてみたいと思って。それに、もしかしたら単なるインスト(カラオケ)じゃなくて、ちょっとぐらいはアレンジも変えてあるかもしれないしね。

A Strange Arrangement Instrumental.JPG

帰って見てみたら、このアルバムでほとんどの楽器を演奏してるのは、メイヤー本人だった(よく考えたら、最初にアルバムを買ったときにチェックしてたのを思い出した。宅録ブルー・アイド・ソウルってのがなんともこのオタクっぽい風貌にぴったりだなって)。ザ・カウンティとしてマイスペに名前が載っているメンバーも何名かアルバムに参加しているけど、そのうちの誰も今回の来日メンバーとは重なってないよ。なんだ、この人たちって今回きりなの?でも、もし流動的なメンバーのバンドだったとしても、今後は今回のこの面子で固定してほしいな。だって、改めてアルバム(オリジナルとインスト版の両方)を聴いてみても、今回のバンドの方が圧倒的によかったからね。

ついでに、一緒に売ってたデビューシングル「Just Ain't Gonna Work Out」を購入。特に好きな曲というわけでもなかったんだけど、ハート型ディスクが珍しくて。おかげで、さっき書いた「When I Said Goodbye」がこれのB面だということに気づいたし。

Just Ain't Gonna Work Out.JPG

これがセットリスト。いくつかの曲名は短縮してあるし(「JAGWO」を「Just Ain't Gonna Work Out」だと解読するのに相当時間がかかってしまった…)、一番最初に書いてある「Star Time」は記憶にないんだけど(もしかしたらMCがメイヤーを呼び出すときにバンドが演奏していたインスト曲なのかな)、記憶と検索を元に曲名を修正したものを下に書いておくね。

MH&TC Setlist.JPG


Setlist 27 February 2010 @ Billboard Live Tokyo (1st set)

1. Your Easy Lovin' Ain't Pleasin' Nothin'
2. Make Her Mine
3. Maybe So, Maybe No
4. Shiny & New
5. I Wish It Would Rain
6. Ruthless (lead vocal: Topher Mohr)
7. Don't Mess With Bill (Smokey Robinson / The Marvelettes)
8. One Track Mind
9. Fly Or Die (?)
10. Green Eyed Love
11. Biz (?)
12. Just Ain't Gonna Work Out
13. Love Is All Right
14. The Ills

<encore>
1. When I Said Goodbye
2. Mah Na Mah Na (Piero Umiliani)
3. Work To Do (The Isley Brothers)
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2010年01月24日

Tamas Wells live in Singapore

シンガポールからの空の上で今これを書いているところ。こうして機上でブログの記事を書くのも随分久しぶりなら、アーティストの追っかけで海を渡るというのも、個人的には生涯で二度目。07年8月、まだ僕がオークランドに住んでいたときにその初来日公演を観るためにはるばる東京に飛んできたのと同じく、今回はシンガポールで開催されているアート・フェスティバルに出演するタマス・ウェルズを観るための二泊三日の週末旅行だった。前回もそうだったけど、いつまで待っても来ないなら、こちらから観に出かけるしかないよね。

Fringe Poster.JPG


エスプラナード・シアターズ・オン・ザ・ベイ(Esplanade Theatres On The Bay)という、シンガポールのマリーナ地区でもひときわ目を引く巨大なドーム。こんな馬鹿でかいホールで演るのかと思ったが、実際のライヴが行われたのはその建物の中のリサイタル・スタジオという300人程度収容の小ぢんまりしたところ。客席には傾斜がつけられているし、音響もそこらのライヴハウスなど比べ物にならないぐらいに素晴らしいホールだった。

シンガポールに着いた晩(ライヴの前日)、散歩ついでに会場を下見。7時半開始とチケットには書いてあるけど何時ごろ来ればいいのかなと受付で聞いてみる。「7時半開場、8時開演なので、7時ごろ来ればいいんじゃない」とのこと。なので当日はちょっと余裕を見て7時少し前に到着。ほとんど誰もいないので物販のお姉ちゃんと話していたら、後ろから来たシンガポール娘に先を越されたので慌ててその後ろに並ぶ。まぁ、4番目だから悪くはないよ。

実際には7時15分ごろにはもうドアが開いた。僕の前にいたシンガポール娘たちは何故かちょっと脇の方の席へ。最前列ど真ん中が空いていたのでそこを確保。うん、悪くはないよ。ちなみにこの後、実際にライヴが始まったのは7時45分。昨日の受付嬢の言ってたことは何だったんだろう。まあ、7時に来いというアドバイスだけは的確だったけど。

前座と言ってはなんだが、今回のライヴはタマスとフリカ(flica)というマレーシアのエレクトロニカ・アーティストの共演で、最初に登場するのはフリカ。ステージ(というか、最前列の僕がいる場所とは同じ高さのフロア。仕切りも段差も何もない、目の前3メートルぐらいの場所)にはテーブルが置いてあり、その上にノートPCとごちゃごちゃした機器。いろんな色のコードがあちこちから出て絡み合っていて、間違った色のを迂闊に切ってしまうと爆発しそうだ。

左後方にはグランドピアノ。右後方にはフェンダーのストラトキャスター。後方上部には大きなスクリーンが設置されている。CDにはギターやピアノの音も入っているフリカだから、一体これらの楽器をどう演奏するのか見当もつかない。PCからベーシックトラックを出しながら、ギターやピアノを弾くのかな。

フリカ登場。上に載せたポスターのプロモ写真(中央下段)と同じような、グレイのカーディガンにロールアップしたパンツという、失礼ながらちょっと野暮ったい服装になんだか劇団ひとリみたいなぼさっとした髪型。置いてあったストラトを肩から下げて、テーブルの前へ。

想像どおり、PCから音を出し、それに合わせてギターを弾きはじめた。手元を見ていると単音を延々と反復させて弾いているというのはわかるんだけど、実際の音はエフェクターやPCを通して加工されたうえで(しかもちょっと遅れて)出てきているもんだから、会場に鳴り響く様々な音色のうち、彼が今実際に弾いている音がどれなのかわからない。

今回のライヴのタイトルにもなった新作『Telepathy Dreams』は事前に日本で買って何度か聴いて予習してきたんだけど、さすがにこの手のアブストラクトな曲は全然タイトルを憶えられない。何度か聴いたことのあるフレーズが出てきたので、そのアルバムからの曲をメインに演ったんだろうと思うけど、どちらかというとビートに乏しくアンビエントな造りのそのアルバムよりも一般的には聴きやすいだろうと思われるファーストアルバム『Windvane & Window』からの曲も演っていたかも(セカンドは僕は未聴なので)。

聴きやすいとはいえ、ほとんどがタマス・ウェルズ目当てだと思われる聴衆にとっては、かなりキツい45分間だったんじゃないかな。音同様にアブストラクトな映像が延々と流される後ろのスクリーンも含めて、きっと普段こういう音楽を聴き慣れていない人にとっては、催眠効果十分だったんじゃないかと心配になってしまう。

音的には、僕としては十分楽しめたんだけど、これを着座という形のライヴで観ることにどれだけの意味があるのかはちょっと疑問。ずっとギターを弾いているフリカが曲が終わるときにマウスを使って曲を止める操作をするのがなんだか気になってしまって。それに、極端なことを言えば、あのPCでCDをそのまま再生していたとしても、聴こえてくる音はほとんど同じだったろうし。

やっぱりこういう音楽って、こんな風にきちんと正座して(正座はしてないけど)じっと耳を傾けるものじゃなくて、自分の部屋で何かしながら聴くのが一番なんだと思う。BGMなんて呼んでしまうと身も蓋もないけど、高級なインセンスで部屋の香りを変えるのと同じように、自分の部屋の空気に静かに色を灯すための音楽。僕の印象で言うと、『Windvane & Window』はジャケットよりも濃い目のタンジェリンオレンジで、『Telepathy Dreams』はグレイがかった紺かな。

Windvane & Window.jpg flica 『Windvane & Window』

Telepathy Dreams.jpg flica 『Telepathy Dreams』


15分のインターバルの間に、テーブルとストラトが下げられて、タマスのためのセッティングが始まる。ボーカルマイクとギターマイクが2組ずつ出てきたぞ。もしかして今回は、タマス・ウェルズ・バンドで演るのか。それに、さっきフリカがピアノを使わなかったということは、あのグランドピアノはタマスのために用意されていたんだ。

そんなことを考えていたときに裏手からミャンマー・バンジョーを持って出てきたのは、見覚えのある髭面。アンソニーだ。暗いステージで顔を覗き込むように見ていると、向こうもびっくりした顔で手を振ってくれた。後で話したけど、お互い「なんでお前がこんなところにいるんだ」って思ったね。でも、右側のアクースティック・ギターをセッティングしている人はネイサンじゃないね。誰だろう。新メンバーかな。

客電が落ちて、タマスが一人で登場。前回の来日公演時よりも少し伸びた程度の短髪と、相変わらずの無精髭。少し頬がこけて見えるほど精悍な顔つき。ちょっと痩せたかな。

「My name is Tamas Wells」と、いつもどおりの自己紹介に続いて爪弾き始めたのは、ファーストアルバムからの「When We Do Fail Abigail」。実は、フェスティバルのパンフレットには、「今回の公演はアルバム『Two Years In April』を初の全曲演奏、しかも映像つき」みたいなことが書いてあって、前回の来日公演では聴けなかった数曲を初めて生で聴けるという楽しみと、アルバムそのまま続けて演奏ってなんかサプライズがなくてつまらない、という気持ちの両方が入り混じっていたんだけど、いきなりこの予想外のオープニング。

タマスによると、最初は『Two Years In April』全曲演奏も考えたんだけど、それじゃ面白くないんでいつもどおりにしたとのこと。うん、やっぱりそうだよね。これで前回聴けなかった『Two Years In April』の曲がいくつか聴ければ最高なんだけどな(ちなみに、今回の記事内のタマスの発言は、彼がステージで喋ったことと、ライヴ後の僕との会話を混ぜて書いている)。

タマスが使っているギターは、おなじみのミャンマー製の8ドルのじゃなく、なんとマーティン。フェス用の借り物かなと思って訊いてみたら、最近タイで買ったんだって。でも、ミャンマーは湿気が多すぎていいギターは置いておけないから、今回アンソニーにメルボルンに持って帰ってもらうらしい。

「今日は3枚のアルバムから少しずつ演奏するよ」と言いながら始めたのはセカンドからの「Lichen And Bees」。そんなことを言いながら、終わってみれば実はこの日の演目は半分がセカンド『A Plea En Vendredi』からだった。やっぱりタマスもあのアルバムが一番気に入ってるんだろうか。それとも、また『Two Years In April』の曲は歌詞を忘れたのかな(笑)

「僕が住んでいたのはメルボルンでも特に治安の悪い場所で」と説明を始めたのは3曲目「Stitch In Time」。この曲に出てくる可哀相な女の子の話は何度か聞いたことがあったけど、今回が一番たくさん話してたかな。「もし君が麻薬ビジネスに関わっているなら、僕が住んでいた場所はきっと住むには最適だよ」とかジョークも交えながら。

「Opportunity Fair」に入る前に「皆さん、アンソニー・フランシスです」と呼び出すも、全然出てこない。そのうち「アンソニー・フランシス。アンソニー!」とかって大声で呼んだりして可笑しかったな。「彼の持っているミャンマー・バンジョーはシンガポールドルで5ドルもしない。でも演奏者の魂がそれを補うんだ」とか。やっぱりちゃんとその地の通貨に変換して説明するんだね。そういう細かい気遣いがさすがタマス。

Tamas and Anthony.JPG


アンソニーがそのままピアノに移動して、「Vendredi」。さらに、サポートのギタリストが出てきたのが次の「I Want You To Know It's Now Or Never」からだったかな。やっと『Two Years In April』の曲が出てきた。サポートの兄ちゃん、タマスのあの声のさらに上のパートでハモってるから、きつそう。しっかり声は出てたけどね。

後ろのスクリーンには、ミャンマーの風景(おそらく)や、『Two Years In April』のジャケのアウトテイクみたいな絵が次々に映し出される。その絵のことを後でアンソニーに聞いてみたら、実はあれはもっと大きな絵で、CDのジャケットに使われたのはそのほんの一部分らしい。今回スクリーンに映し出されていたのは、同じ絵の別の部分だそうだ。

「It's Now Or Never」に入る前の話だったかな。今回のツアーに出る前に自宅で練習しようと思ったら、自分の書いた曲の歌詞を完全に度忘れしてしまって、ネットで中国のサイトに行って調べ、いざそれを見ながら歌おうとしたら、全然デタラメな歌詞だったそうで。「中国のサイトは信じるな」だって(笑)

「ビートルズの曲を」と次に「Nowhere Man」を。え、もう演るのか。まさかもう終わりじゃないよね。と思ったら、「今からアンソニーがピアノでインストゥルメンタルを2曲演奏するよ」と言って、タマスは一旦退場してアンソニーのソロコーナー。「Melon Street Book Club」のときに一音あきらかなミストーンを入れてしまい、照れくさそうにしていたのが可愛い。

後でその話をしていたときに、前から気になっていたことをタマスに訊いてみた。CDでは、あの2曲のインストでピアノを弾いてるのは誰? 答えは、「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」がアンソニーで、「Melon Street Book Club」がタマスなんだそうだ。『A Plea En Vendredi』セッションの「Melon Street」の録音のとき、ちょうどアンソニーにお子さんが生まれて参加できなかったんだって。と、ちょっとしたタマス・ウェルズ・トリビア。

Anthony Francis.JPG


再びタマスとサポート・ギタリストのキム・ビールズ(Kim Beales)が参加して、後半一曲目は「Reduced To Clear」。それに続けるように「Open The Blinds」。さらに、2〜3音試し弾きをした後にイントロなしで歌い始めた「Valder Fields」。何度聴いても、いつも息が詰まりそうになるよ、この曲だけは。

今回のシンガポール公演の前に立ち寄った香港での話。観客にリクエストを募ったら、ある女性客に「The Martyn's Are Scared As Hell」という曲をリクエストされ、そんな曲は知らないからできないと断ったら、その客がステージに上がってきて自分のiPodで聴かせてくれて、初めてそれが自分が過去に作ったことを思い出したらしい。アンソニーによると、昔あるコンピレーション・アルバムに提供した曲なんだって。

「だからもうリクエストなんて募らない」と笑わせながら「Broken By The Rise」を演奏した後、ミャンマーの話に。あの国は検閲が厳しくて、ある地元のブルーズ・ミュージシャンが自作の曲を発表するのに歌詞を検閲され、「Everything Is Going To Be Alright」という歌詞を、「Everything Is Alright」と書き直させられた。なんて、ジョークにもならないような可笑しい話を披露。そして、ミャンマーの話が出たらもちろん次は「Signs I Can't Read」。

さっきの「Nowhere Man」や「Open The Blinds」、そしてこの「Signs I Can't Read」など、過去のライヴで締めくくりに歌われた曲が登場するたびに「もうこれで終わってしまうのか」と心配になる。でも、すぐ続けざまに「From Prying Pans Into The Fire」に入ったので一安心。

「今回のツアーは、ヤンゴンの僕、メルボルンのアンソニー、ダーウィンのキムと、3人バラバラの場所から集まったので移動が大変だった。香港に行くためにシンガポール空港で6時間待ちをしていたときに、キムが駐車場で眠り込んでしまって現れなくて大変だったよ」なんて話を(キムによると、それもまたタマスの作り話だそうだよ。まったく)。

なんかこの日のライヴ、最後に近づくにつれてタマスやたらと喋るね。あの初来日のときに、はにかみながら「タマちゃんと呼んでください」なんて言ってたのとは大違い。ライヴの流れみたいなのを考えると、本当はもっと中盤あたりでトークを入れて、終盤はどんどん曲だけで押していった方がいいんだろうけど、そういうことを考えない天然っぽさもまたタマス。

そして、例のキッチンの逸話。一通り話し終えたところで、アンソニーが「まるでその場にいたかのように知ってるよね」と茶々を入れる。あ、そうか、あれって実はタマス自身の話?(と思ったけど、違うらしい。アンソニーも、いつもステージであることないこと冗談にして言われるので、仕返しにああ言ったそうな。ネイサンのシャツの話を思い出すね)。

「“Friday”という歌詞のところで皆でコーラスして」と、「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」を全員で練習。「声が小さい。やり直し」とか、「実際は後半の繰り返しのところだけで歌うんだよ。アンソニーが合図するから彼のことをよく見てて」とか、逐一指図する場馴れしたタマス(笑)

そして、最後は『Two Years In April』から「For The Aperture」。曲が始まる前に「この曲は皆で手拍子を頼むよ」と言ってたんだけど、シンガポール人、何故拍の頭で手を叩く?宴会か。やりにくくてしょうがないよ。タマス達も苦笑いしながら演奏。そして、アンコールはなく、ちょうど一時間のライヴが終了。新曲も一切なく、初めてライヴで聴いたというような珍しい曲もなかったけれど、久しぶりにあの声を生で聴けて、十分に堪能したよ。来てよかった。


会場入り口の物販テーブルのところには既にタマスのサインをもらおうと長蛇の列。そこに向かうタマスが僕のことを見つけ、「終わったら戻ってくるから、待ってて」とか言ってくれて嬉しい。アンソニーとしばらく話してたけど、彼のところにもファンが集ってくるので僕はしばらく離れたところで待機。アンソニーによると、ネイサンが今回不参加なのは、先月子供が生まれたからなんだって。去年はデビューアルバムも出したし、子供も生まれたし、いいこと尽くめだね、ネイサン。

サインをもらおうかと一応日本から『A Plea En Vendredi』を持って行ってたんだけど、物販で見かけた中国盤を見て、それを買うことにした。デジパックの『A Plea En Vendredi』だよ。初めて見た。

Vendredi Digipak.JPG


さっきはあれこれ文句みたいなこと書いてしまったフリカことユーセン・シト君も出てきたので、こちらも日本から持参した『Telepathy Dreams』にサインをもらう。文句書いてごめんよ。CDは大いに気に入ってるんだからね。ジャケにサインをもらおうとしたら、「このジャケットは僕がデザインしたものだから、サインで汚したくないんだ。CDにサインしてもいい?」だって。ははは、僕みたいなこと言うね。結局、サインは内ジャケにしてもらった。

Signed Telepathy Dreams.JPG



タマスたちも疲れてただろうに、ずいぶん遅くまで色々話させてもらった。そこでの話の内容までは逐一書かないけど、きっと日本のファンが一番気にしてるに違いないこの件のことだけは書いても怒らないだろうね。ニューアルバム用の曲はもう既にいくつか書けていて、レコーディングの機会を探してるんだって。今回はどこで?と訊いたら、メルボルンに戻って録音することを考えているらしい。新しいギターを使いたいんだね。そりゃそうだ。

「次回は冬の日本に行って、雪を見てみたい」と話すタマス。なら、それまでにアルバム完成させなきゃね。楽しみにしてるよ。次の来日はキムにベースやってもらって、ネイサンがドラムスで、初めてのバンド編成でのタマス・ウェルズ・バンド公演になればいいな(この部分は僕の妄想)。


Setlist 23 January 2010 @ Esplanade Recital Studio Singapore

1. When We Do Fail Abigail
2. Lichen And Bees
3. Stitch In Time
4. The Opportunity Fair
5. Vendredi
6. I Want You To Know It's Now Or Never
7. Nowhere Man
8. Melon Street Book Club
9. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
10. Reduced To Clear
11. Open The Blinds
12. Valder Fields
13. Broken By The Rise
14. Signs I Can't Read
15. From Prying Plans Into The Fire
16. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
17. For The Aperture


<1月27日追記>


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2010年01月19日

Chris Garneau live in Tokyo

garneau_flyer.jpg


「8時には間に合わないと」

机の上に残った仕事はとりあえずなかったことにして、一路渋谷に向かった。今日行けるとは思ってなかったけど、やっぱり行っとかなくちゃ。下手するともう一生観る機会ないかもしれないし。

2年半前にタマス・ウェルズを観たのと同じ会場、渋谷O-nest。6階の受付にたどり着いたのは、開演時間8時の15分ほど前。なんとか間に合った。

Garneau at O-nest.jpg


5階の会場に降りていくと、なんだかがらんとしている。一番前でもテーブルのところでも、好きな場所に陣取れるよ。うわ、あまりチケット出てないとは聞いてたけど、大丈夫かな。とりあえず前回タマスを観たのと同じあたりで観よう。

8時を10分ぐらい回ったところで、前座のおおはた雄一が登場。夢の中で組み立てたみたいな不思議な形をしたギターを抱えて、優しい声で優しい歌を歌う人。曲ごとにカポをあっちにつけたりこっちにつけたり。スライドバーをはめてかなりヘヴィな演奏も披露したり。糸井重里と共作したという「キリン」という曲とか。そのときについでに作ってもらった歌詞を適当な曲にあてはめた「ロバ」という曲とか。ギター上手いなあ。なんだかんだで、結構気に入ったよ。前座をこんなにちゃんと身を入れて聴いたのも久し振りかも。

彼が退場し、後方に置いてあったキーボードを前に動かしたりしている人たちに混じって、今日の主役のクリス・ガノとチェリストのアナ・コールナー(Anna Callner)が出てきたのは9時ちょうどぐらいだったかな。おもむろに椅子に腰掛け、ホタルの光みたいなかぼそい声でひそひそと挨拶を始めたもんだから、後ろの方でそれが聴こえない観客はまだガヤガヤと喋ってる。

ライヴがもう始まってるんだと皆が気づいて一瞬しんとなって、弾き始めた1曲目は確か新作からの「Hands On The Radio」だったと思う。残念ながら、セットリストをきちんと覚えるほど彼の曲を把握しているわけじゃないので、今日は曲目も順番も全然当てにならないよ。

ファーストアルバム『Music For Tourists』と昨年出た新作『El Radio』からの曲をほぼ交互ぐらいに演奏してたように思う。3曲目が新曲だという「October, October, October…」と何度も繰り返した題名の曲だったな。

両脚をぴったりと揃えてキーボードの前に座り、ちょっとこの世のものでないような光を目に湛えて歌うクリス。おそらく僕よりも背が低いこの人は、今までずいぶん生き難い人生を送ってきたんだろうなと想像してしまう。

いや、背が低いからとかいうんじゃなくてね。なんて言うんだろう。美しい音色のピアノを弾きながら、震えるような悲しい声で歌う、それだけを目的として生まれてきた生き物、みたいな。この人、普段人並みの生活を送るなんてことができるんだろうか、なんて思える。肉食系とか草食系とか言うけど、あえて言うなら草食系にすら食べられてしまいそうな植物系というか。

タマス・ウェルズが、あの天使の歌声に反して地声がごく普通の低めの声なのに比べて、クリスの声は、ボソボソと曲間にしゃべるときですら、まるでタマスの歌声のようなか弱さ。と思えば、歌うときには決して声を高めることのないタマスとは逆に、クリスの歌声は時折りまるで悪魔かなにかが乗り移ったかのように激昂する。きっとこの人は、普段は何か薄い膜のようなものに包まれていて、歌を歌っているときにだけ本当の人生を送っているんじゃないか。

なんてことを考えながら。最近始めて耳にしたセカンドよりも個人的にはもう2年ぐらい聴いて耳に馴染んでいるファーストからの曲が多かったのが嬉しかった。大好きな「Baby's Romance」も、キュートな「Blue Suede Shoes」も演ってくれたし。

「あと2曲」と前置きして歌い始めたのが、エリオット・スミスのカバー「Between The Bars」。Liricoのブログに、つい最近の台湾でのこの曲のライヴ映像が載ってたね。目の前であの声で歌われるとやっぱり全然違うけど。

アンコールは2回。2回目に出てきたときに「もうこれが最後だからね。これ以上呼ばれるとビートルズの曲でも演るしかなくなるよ」なんて冗談言ってたね。ちょうど2年半前にこの場所でそれをやった人がいることを知ってて言ったのかな(笑)


2度目のアンコールが終わったのが、10時をちょっと回った頃だったかな。ちょうど1時間ぐらいか。でも、濃密だったよ。ほんとうに、無理して来てよかった。危うくこれを見逃すところだったかと思うと。東京在住じゃなくて観られなかった人、残念でした。今日来ようと思えば来られたのに、月曜だからとか最近来日ラッシュだからとかいう理由でスルーした人、とんでもなくもったいないことをしたよ。


終演後は6階に戻って、今日は来るつもりじゃなかったからサイン用のCDも何も持ってきてなかったからセカンドアルバムを買おうと思ったら、なんと中国プレスのファーストも売ってるよ。ボートラ3曲入りで、なんだか不思議な作りのケース。スリップケースに入ったボール紙の内側に蛇腹状の歌詞カード。当然これも買いでしょう。2枚まとめて大人買い。つい2日前のコメント欄で「しばらくCDは買わないことにした」なんて書いてたのはどこの誰なのか。

Chinese Music For Tourists.JPG


あ、このボートラの曲(「Blackout」)、さっきアンコールで演った曲だね、きっと。何年か前にニューヨークが2日間停電になったときの曲とか言ってたから。

サイン会が始まったので、列に並んでクリスとアナのサインをもらう。しゃべってみたら、あれ?全然普通の気のいいお兄ちゃんだね。さっきの何かが乗り移ったみたいな雰囲気はどこへやら。でも、サインの字はやっぱりひそひそとかぼそいね。アナの方がよっぽど豪快なサインだよ。ハートマークの中にスマイル描いてくれるし、チェロの絵も描いてくれるし、サービス精神旺盛。

「もう明日NYに帰るの?」と訊いたら、アナのいとこが長野に住んでいるとかで、あと一週間日本に滞在するとのこと。さっきライヴの途中に寒い季節が好きだと言ってたクリス、寒い日本を満喫して帰ってね。

Signed Tourists and Radio.JPG

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2009年12月20日

Yo La Tengo live in Tokyo

今年最後のライヴ。12月17日、品川ステラボールでのヨ・ラ・テンゴに行って来た。

僕は初めて行くホールだけど、会社から歩いて10分程度というのが嬉しい。今回は自分のお疲れモードを予測してゆっくり座って観ようと2階の指定席を押さえたので、6時半まで仕事してても7時の開演に充分間に合うし。

実は、僕はこの人たちのことは、アルバムもほとんど持っていなければ、曲名もろくに憶えていない。なので、セットリストはおろか、なんていう曲を演奏したかすらうろ覚え。いつもに増してトンチンカンな内容になるのは許してほしい。その代わり短めにするからさ。

元々03年の『Summer Sun』というアルバムを一枚だけ持ってて、まあ特に好きでも嫌いでもないバンドの一つだったんだけど、今年出た『Popular Songs』のジャケと評判に惹かれて買ってみたらこれがよくて、ちょうどほぼ同時に来日が発表されたもんだから、曲もろくに知らないくせに急いでチケットを押さえたというのが経緯。

Popular Songs.jpg Yo La Tengo 『Popular Songs』

いいジャケだよね。内ジャケに書いてある解説によると、このカセットは、削った骨、体内の全ての骨を粉状にしたもの、1945年に最初の原爆実験が行われた際に周囲の砂が熱で変質して生成されたトリニタイトという物質、ネジ、サビ、活字、で作られており、はみ出したテープには、軍隊のマーチングドラム、銃器の発射音、戦場での兵士の声、などが実際に録音されている、という凝りまくったものらしい。ちなみに裏ジャケやブックレット内にも同じように凝ったオブジェの写真と解説あり。

全12曲という編成は最近のCDでは珍しくもないが、10曲目・11曲目・12曲目がそれぞれ9分37秒、11分22秒、15分51秒だというのが笑える。ぼわーっとした11曲目でいい加減痺れてきた後の最終曲「And The Glitter Is Gone」の格好いいこと。16分弱が全然長く感じないよ。


ライヴのことを書こう。2階席から見下ろすと、手頃な大きさの会場は超満員というほどでもないけど、かなりびっしりとした客の入り。ステージ奥のドラムキットの前に小さなドラムキット、左手にギターやベースやキーボード、右側にもギターという不思議な楽器編成。

Stellar Ball.JPG

こんな感じ。ライヴ開始後は写真撮ってないから、関係者の皆さん許してくださいね。ステージ上の人物はチューニングするローディー。左側の人はギルって呼ばれてたっけ。

ほぼ定時にバラバラと出てきた3人。カーリーヘアのひょろっとしたチビと、もの凄いデブの巨漢と、女の子(っていう歳じゃないけど、比較してそんな風に見えた)。すごいアンバランスな見た目。

いきなりギターの轟音で始まったのが、「All The Glitter Is Gone」。うわぁ、いきなり15分コースか。アイラ(カーリーヘア)が体を折り曲げたりくねらせたり、アンプにギターを近づけたり振りかざしたり、もうとにかく全身を使ってギターから爆音ノイズを絞り出しているという感じ。見ていて決して格好いい動きではないんだけど、出てくる音は凄いよ。ニール・ヤングの『Arc』を実際にライヴで演ったらこんな風にやるんじゃないかってぐらい。聴いてて神経が麻痺するぐらい格好いいんだけど、軽めに眠りに落ちたりもする。

一転してジョージア(ドラムの女の子)が歌う軽やかな曲へ。続いて(曲順が合ってるかどうか定かではないけど)ジェイムズ(デブ)が歌う「Stockholm Syndrome」。えっ、このニール・ヤングみたいな声でニール・ヤングみたいな歌を歌ってたのは(つい最近同じような文章を書いた気がする)、このデブだったのか。ライヴ前に曲を覚えようとして買った3枚組ベスト盤の中でも結構好きな曲。

ステージにいろんな楽器が置いてあったとおり、曲ごとに3人の楽器編成がころころ変わる。基本はアイラがギター、ジェイムズがベース、ジョージアがドラムなんだけど、ジョージアとジェイムズが二人でドラムを叩いてアイラがキーボードとか、ジェイムズがキーボードでアイラがギターとか、ギター二人にドラム一人とか。

それでいながら、曲と曲のつなぎが相当格好いい。いくつかの曲はメドレーというか、前の曲の最後の音が鳴り終わらないうちに次の曲に入っていったりするんだけど、そういうときのジョージアのスネアの一音とか、ぞくっとするぐらい、いいね。

前日にゆらゆら帝国と共演したことを話して、「次のは日本の曲」とか言って始めたのは、ゆら帝の曲だったんだろうか。あと、アンコールでクリスマスだからと、「Rock'n'Roll Santa」(確か)っていうのも演ってたね。

本編だけでたっぷり1時間半は演ったと思う。数日前のディラン・モンドグリーンが時間的には随分あっさりしたものだったから、もうそれだけで結構お腹一杯気味だったんだけど、日本公演最終日だし、当然アンコールあり。しかも2回。

「You Can Have It All」は楽しかったな。アイラとジェイムズがお揃いのかわいい振り付けでゆらゆらくるくると踊り、その横でジョージアがカラオケ(?)に乗せて歌う。ローディーの二人も途中で出てきて踊りに参加するも、恥ずかしくなったのかすぐに引っ込む。

結局、2度目のアンコールが終わって客電が点いたのは、開始から2時間を越えた9時過ぎ。堪能したよ。こんなにいいとは予想してなかった。途中長尺の曲(最初のだけでなく、10分越えが何曲もあった)の途中で一瞬催眠状態に陥ったことも含めて、とても気持ちのいいライヴだった。

帰りに買おうかなと思っていた『Popular Songs』デザインのTシャツが終演後にはもう売り切れてしまっていたのが残念。開始前に買う時間あったのに、僕としたことが。

何も買わずに帰ろうとしていたら、物販のところにデブとカーリーヘアがにこにこしながら出てきた。あー、サイン会あるんだろうな。でもいいや。ライヴ前よりずっと好きなバンドになったから、これからちょっとずつ遡ってアルバム買って曲を覚えて、次の来日のときにサインもらおう。
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2009年08月02日

Glenn Tilbrook live in Tokyo July 2009

今年4度目のスターパインズ。今年6度目のグレンのライヴ。まさかこんなに短いインターバルでまた観られることになるなんて。またしてもライヴからちょっと日にちが経ってしまって記憶が曖昧になりがちだけど、多分ありったけの記憶を総動員した長い記事になってしまうと思うので、読むつもりの人は覚悟して。

SPC Stage.JPG

前週のベン・フォールズに続いて、この日も東京は小雨。会場に着いた頃には止んでたんだけど、整理番号順に並び始めた頃にまたポツポツと来はじめた。幸い、若い整理番号だったお陰で、傘をさすまでもなく入場。まずは席を確保して、もうすっかりグレンのライヴではお馴染みになった客席の面々としばしの間ご歓談。

ふとステージを見ると、いつもの2本のアコースティック・ギターの他に、グランドピアノ、フェンダーのストラトとジャズベース、そしてドラムセットが、所狭しと置いてある。そうか、フジロックで一緒に演ったメンバーが来るんだ。ということは、もちろんスティーヴ・ナイーヴも! こいつは急にわくわくしてきたぞ。というか、それぐらいあらかじめ予想してろよって感じだけど、ちょっと最近バタバタしてて、そこまで頭回らなかったんだよ。くそー、スティーヴのCD持ってきてサインもらうんだった。

定刻どおりにステージに現れたグレン。いつものピンストライプのスーツに、今日はフラッファーズのTシャツでなく、カーキ色っぽいシャツ。スカーフはなし。夏だしね。

7月19日の記事に「今回は一回しかないからやっぱり選曲は総花的なものになってしまうのかな」なんて書いたのは、いつもその場で頭に浮かんだ曲を即興で演っているかのように新旧織り交ぜた選曲が楽しみのひとつであるグレンのライヴが、もしかしたら今回は一回だけだから、きっと『Singles 45's And Under』に入っているようなヒットパレードだけに終始してしまうんじゃないかと危惧していたから。

そんなのは1曲目で杞憂とわかった。12弦ギターによる印象的なイントロで即座にそれとわかる「By The Light Of The Cash Machine」。1月の7日間でも初日の1回しか演らなかったこの隠れた名曲がオープニング。そうそう、こういうのを聴きたかったんだよ。

こちらも隠れた名曲ながら、1月のときは後半戦のレギュラーだった「The Elephant Ride」に続く短いコメント。「1月に来たときにビデオを撮ったんだけど、まだ編集を終えていないんだ。きっと素晴らしいものになるから待ってて。そのときのことを覚えていたらコーラスをお願い」だって。あのときあの場にいた誰もがずっと気にしているんだけど、恐れ多くて誰も訊けなかったあのビデオ問題。きっとグレンも気にかかってたんだね。

6弦に持ち替えて、続く「Take Me, I'm Yours」では、ギターを弾きながらドラムキットに座り、突然ドラムを叩きながら歌い始めた。おお、結構上手いんだね。ワンコーラスほど歌ってまたギターに戻る。ミュージックプラントさんのブログによると、このフルセットの楽器がバンドのために用意されたのではなく、自分一人で演奏するためだとわざと客にがっかりさせるために、あえて第一部で一人で全部の楽器を演奏したらしいけど、あの−、誰もそんな風に思ってませんから(笑)。かわいいよね、この人。

お馴染みピーター・グリーンの「Oh Well」に続いては、これもまた個人的には待望の「Hostage」。そして、「Melody Motel」。更に、「今のは『Frank』に入ってる曲。次の曲はその次のアルバムから」と前置きして「Letting Go」。この辺の“非Singles 45's And Under”的な選曲が今回は抜群。「初めて生で聴いた!」なんてほどレアなのはないけど、「あれ聴きたかったんだ」ってのが沢山。特に1月のライヴでは『Frank』から1曲も演らなかったので、ちょっとカントリーっぽくアレンジが変わった「Melody Motel」は嬉しかった。

「次は古いのを」と言いながら、「Up The Junction」。新譜からの「Product」を挟んで「Tempted」と、今度はまさに“Singles 45's And Under”的選曲。もちろんどちらも嫌いな曲なんかじゃないから大歓迎。「Up The Junction」って、一緒に歌ってて気持ちいいんだよね。

ピアノに座り、「これはクリスと僕が1974年に書いた曲」と紹介して歌い始めたのは、僕には初めての曲。いつもその前置きだと「Who's That?」を演るんだけど、あまり聴き覚えのないメロディーだったから、もしかしたら「Introvert」かなとも思ったけど、そうでもない。多分「Where Did Your Love Go」というリフレインがそのままタイトルなのかな。これだけは初めて聴いたよ。

ピアノを離れて、今度はエレキギター。この人がストラトキャスターを持ってる姿って、あんまり見たことないかも。結構低い位置で弾くんだね。アコギでの演奏は何度も観た「Voodoo Chile」を、このスタイルで初めて観た。やっぱり、めちゃくちゃ上手いよね、この人のギター。

そのまま続けて、「エレキギターを持つと、こういうのを演りたくなるんだよね」とか言いながら弾きだしたのが、1月の京都の第二部オープニングだった「Sea Cruise」。できたらそのまま自分の曲、それもギターソロのかっこいい「Another Nail」とかも演ってほしかったけど、エレキはとりあえずその2曲のみ。がっかりさせるためにちょっと演奏しただけだもんね(笑)

第一部はあと4曲。“非Singles 45's And Under”的なのとそうじゃないのとをそれぞれ2曲ずつ演って、いつものように休憩タイム。この頃にはもう、カーキ色のシャツが汗で真っ黒に見えたほどだった。


第二部は全員で出てくるのかなと思いきや、またもグレン一人で登場。カラフルなシャツに着替えてきたね。2曲を演奏した後、「友達を紹介するよ」と、スティーヴ・ナイーヴを呼び出す。見かけ的には、アトラクションズの頃の彼しか記憶にないので、ステージに出てきた髭面のがっしりしたオッサンが一瞬誰だかわからず。あの頃は、ノンスタイルの左側みたいな体型だったのに。

グレンと二人で「Nostalgia」という曲(*1)をスティーヴのボーカルで演奏した後、ギターとドラムの二人を呼び出す。若いねー。グレンやスティーヴから見たら、息子と言ってもいいぐらいの歳じゃない?そこでもう1曲スティーヴのボーカルで「Pandemonium」。打楽器っぽいピアノがなんとなくジョン・ケイル風の曲。

 *1)この日演奏されたスティーヴ・ナイーヴ・バンドの曲はおそらくまだどれもオフィシャルに発売されておらず、早口の曲紹介や、曲のリフレインの歌詞から適当にあたりをつけ、タイコウチさんに教えてもらったスティーヴの過去のライヴのセットリストのそれらしき曲名を当てはめていっただけなので、もしかしたらタイトル間違えてる可能性大。

もっとグレンの曲聴きたいなーと思っていたところに、「Still」。ちょっとスティーヴには申し訳ないけど、やっぱり曲のクオリティが全然違うよね。いや、僕だってアトラクションズの『Mad About The Wrong Boy』のスティーヴ作の曲はいいと思ってるよ。「Arms Race」とかね。ただ、グレンの曲が別格なだけ。

Mad About The Wrong Boy.jpg The Attractions 『Mad About The Wrong Boy』

ちょっと文字ばっかりになってきたから写真でも貼ろうかと思ったら、これもう廃盤なんだね。しかもアマゾンのマーケットプレイスじゃ結構な値段で取引されてるし。レコード会社もコステロのCDばかりあんなに何度も何度も再発するぐらいなら、こういうのも一緒に出せばいいのにね。コステロの再発盤が何枚ぐらい売れてるのか知らないけど、10人に1人ぐらいはこれも買うだろうに。

ライヴの話に戻ろう。「Still」の後でグレンがベースを持ち、ドラムの坊やが立って歌い始めたのが(おそらく)「When We Were」という曲。続けてスティーヴが歌う「Burn The Past」。もっとグレンの曲が聴きたいなーと(略)

そしたら今度はギターの坊やがベースに回り、グレンがエレキを持って、今年の1月以降もう何十回も聴いたあのフレーズを弾きだした。「Best Of Times」! 聴き慣れたスティーヴン・ラージのアコーディオンでなく、スティーヴ・ナイーヴの生ピアノ・ソロで聴く「Best Of Times」。こういうのを至福というんだ。

余韻に浸る間もなく、またグレンがベースでドラム坊やがボーカルの「You Don't Know Anything」。次はグレンがギターで「Untouchable」。続いてまたグレンがベースに持ち替えて「Goodbye Girl」。こうして書いてるのを読んでて面倒臭いなと思う人がいるだろうけど、実際そんな感じで、せっかくの「Best Of Times」とか「Untouchable」とかの名演の流れが、楽器交換やらドラム坊やのボーカルとかでどうもブツブツと途切れてしまうのがちょっと残念。

まあ、「Goodbye Girl」のちょっとゆったりしたアレンジ(『Five Live』のときみたいな感じ)とスティーヴのピアノは格別に合ってたし、この日結局バンドで演ることになったいきさつを綴ったミュージックプラントさんのブログを読んだら、そんなのちっとも残念ともなんとも思わなくなったのも事実なんだけどね。ほんとに、いつも周りの人のことを気遣うグレンの優しい性格がひしひしと伝わってくる記事だよ。

スティーヴがボーカルをとる「Life Preserver」(グレンはベースのまま)を終え、そのままスティーヴが曲紹介。「次の曲は、僕たちの友達のニック・ロウの曲で…」。やった! 前の日フジに行った友達に聞いていたけど、やっぱりこの曲がラストだ。「(What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding」。グレンのボーカルで、スティーヴ・ナイーヴのピアノで、ニック・ロウのこの名曲が聴けるなんて! 僕の座っていた位置のせいか、それともグレンのボーカルマイクのボリュームがちょっとオフ気味だったのか、いまいち歌がよく聴こえなかったんだけど、とにかくこの最高の瞬間をもって、本編終了。


アンコールはまずグレン一人で「Another Nail In My Heart」。6弦のアコギでミストーンもなくきっちりと(というか、この素晴らしい演奏を余裕の表情で観ているこっちも、贅沢になったもんだよなーと思ってしまった。06年に最初に観たときの感動を忘れないようにしないと)。

続いて、またバンドメンバーが全員出てきて、グレンがベースで音を出しながら他のメンバーに「こういうコードの曲だよ」みたいなことを言ってそのまま始まった曲。あれ何だったんだろう。「Johnny B Goode風」とでも呼べばいいのか。でも歌詞違うし。終演後その辺の人たちに片っ端から訊いてみたけど、誰もわからず。

その「Johnny B Goode風」で再度退場。アンコールの拍手の中、客電も点きはじめて、もうこれで終わりかと思ったところでグレンがまた登場。「Black Coffee In Bed」を歌い始めた。

曲の途中でステージを降り、客席の間を縫って後ろの方に歩き始めるグレン。今回は“Unamplified”じゃないんで、そろそろシールド目一杯だよと思ったところで立ち止まり、突然「Happy Birthday」を歌いだした。なんと、1月の大阪公演で僕の隣に座ってたMさんじゃないか。ちゃんと名前も歌ってもらってたよ。彼女が物心ついてからこれまでの誕生日がどんなだったかをもちろん僕は知る由もないけれど、きっと今年の誕生日に勝った年はそんなになかっただろうね。おめでとう、Mさん。

歌いながらステージに戻り、また「Happy Birthday」の一節を入れ、「No milk & sugar♪」と「Black Coffee」に戻してから、最後はピアノをポロンと弾いて、ベースの弦にちょっと触れ、ドラムをドタドタドタと叩いて、濃密な2時間のライヴは終了。結局、演ってほしいと思っていた曲も随分演ってくれたし、『Singles 45's And Under』に入ってる曲もほとんど(*2)演ってくれたよ。楽しかったー。

 *2)曲目がそれぞれ違うアメリカ盤とイギリス盤の両方の収録曲を足しても、そのベスト盤に入ってる曲でこの日演奏しなかったのは、「Annie Get Your Gun」、「Labelled With Love」、「If I Didn't Love You」、そして、「Cool For Cats」(笑)のみ。


終演後は恒例のサイン会。ただ、1月もツアーの最後の方はそうだったんだけど、会場にいたファンのほぼ全員が並んでるんじゃないかと思うほどの長蛇の列で、(Mさんを冷やかしたりしながら)終演後の余韻に浸っていた僕らにようやく順番が回ってくる頃には、グレンもかなりお疲れモード。それでも一人ひとりにニコニコと笑いかけ、たどたどしい英語で何かを語りかけてくるファンの話を真剣に聞き、ほぼ全員と何度も写真に納まるこの人は本当に素晴らしいなと、いつもながら思った。

僕が並んだのはほとんど列の最後の方で、あんまり話しかけるのも悪いと思って、あの1974年の曲も、最後の「Johnny B Goode風」も、タイトル訊こうと思ってたのにすっかり忘れてた。

でもサインはちゃっかり2回もらったよ。この日聴けた、隠れた名曲三羽烏(?)の「By The Light Of The Cash Machine」、「Hostage」、「The Elephant Ride」、それから「Untouchable」も入ったこのEP。400枚のうち、サイン入りは一層珍しいだろうとちょっと自慢。

Autographed Aussie P.jpg

そして、やっぱり今年のライヴは今年のCDにサインが欲しいと思って、無理言ってもう一枚これにも。何も催促してないのに、名前だけじゃなくて何か一言添えてくれるところが嬉しいよね。

Autographed Still.jpg

それから、時間的にはちょっと前後するけど、グレンのサインの列に並んでるときに、帰ろうとしていたスティーヴにもサインをもらった。車が出るから急いでるんだと言いながら、集まってくるファン一人ひとりに丁寧にサインをするこの人が、あのアトラクションズのエキセントリックなキーボーディストと同一人物だとはやはり思えず。

Steve Nieve's Autograph.gif

この写真はちょっと加工してあるけど、実際のサインはチケットの裏にしてもらった。やっぱりスティーヴのCD、何か持ってくればよかった。『Costello & Nieve』の箱をきちんと折りたたんで持って来ていたタイコウチさんの用意周到さには負けました。


濃密な2時間の後は、これもまた恒例の二次会へ。それでグレンのライヴの楽しさがかき消されるわけじゃないけど、ライヴ自体に負けず劣らず楽しいひとときだったよ。みなさん、どうもありがとう。また近いうちにね。


Setlist

1. By The Light Of The Cash Machine
2. The Elephant Ride
3. Through The Net
4. Take Me, I'm Yours
5. Ow Well - Fleetwood Mac's cover
6. Hostage
7. Melody Motel
8. Letting Go
9. Up The Junction
10. Product
11. Tempted
12. Where Did Your Love Go (?)
13. Voodoo Chile - Jimi Hendrix's cover
14. Sea Cruise - Frankie Ford's cover
15. Tough Love
16. Happy Disposition
17. Slap & Tickle
18. Is That Love

19. Someone Else's Bell
20. Pulling Mussels (From The Shell)
21. Nostalgia - Steve Nieve
22. Pandemonium - Steve Nieve
23. Still
24. When We Were - Tall Ulyss
25. Burn The Past - Steve Nieve
26. Best Of Times
27. You Don't Know Anything - Tall Ulyss
28. Untouchable
29. Goodbye Girl
30. Life Preserver - Steve Nieve
31. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding - Nick Lowe's cover

32. Another Nail In My Heart
33. Johnny B. Goode-ish (?)

34. Black Coffee In Bed

27 July 2009 at Star Pines Cafe Tokyo
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