2012年11月04日

Matt The Electrician & Goro Nakagawa live in Kamakura

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先月のジョー・ヘンリー&リサ・ハニガンはたまたま入った東京出張のついでに観たんだけど、去年の横浜でのライヴを観て以来すっかりファンになってしまったマット・ジ・エレクトリシャンの来日公演を観るために、今度は自腹で(と言っても航空券代はマイレージで賄ったんだけど)日本に駆けつけた。おあつらえ向きに11月1日からフィリピンでは4連休。ちょうどそのスケジュールに合う、1日の鎌倉と2日の富士での公演を観ることにした。

まずは鎌倉公演。この日は通常のライヴではなく、中川五郎とのジョイントライヴ+トークショー。マニラの自宅を朝7時半に出て、飛行機とNEXと在来線を乗り継いで鎌倉に着いたのは夕方5時前。開場までまだ2時間ほどあるなと思いつつ、キャリーバッグを転がしてカフェゴーティーへ。ちょうどリハーサルというか打ち合わせが始まるところだったので、バッグだけ預かってもらって時間まで鎌倉の町をうろうろする。

08年にタマス・ウェルズを観て以来、その後は主にゴーティーでのライヴのたびに何度かうろついている小町通り、来るたびにあちこちのお店が変わってる気がする。やっぱりこういう観光地の商店街は競争が激しいんだろうね。そんな中、(表通りではないとはいえ)ゴーティーさん地道にがんばってるよなあ。あの規模で、決して毎回儲かってるという訳でもないであろう(失礼)、でも凄く質の高いライヴを提供しながら。

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開場と同時に入店し、正面の席を確保して、あとは時間までいつものように店頭のCDを見たりしながら過ごす。店の外でタバコを吸っているマットに話しかけ、しばし世間話も。前日の新丸子でのライヴは45分のセットx2という充実したものだったそうだ。去年の横浜でのジム・ボジアを含めた4人のライヴの話とかもした。でもトークショーの際に質問コーナーもあるということなので、音楽関係の質問は控えめに。

まず最初は中川五郎。バンジョーを抱えた姿がなんだウディ・ガスリーみたいだなあと思っていたら、後のほうのMCで、自分が音楽を始めたのはウディやピート・シーガーに影響を受けてということを話していたから、きっと意識しているんだね。マットとはオースティンつながりだということでジェリー・ジェフ・ウォーカーの「Mr. Bojangle」を日本語でカバーしたものを含めて5曲を披露。3.11以降に書かれた反原発の曲が2曲もあったのを聴いて、この人は過去45年間ずっと(いい意味で)このままなんだろうなと思った。

10分の休憩の後、中川さんとマットの座談会、というか質問コーナー。「一番最初に影響を受けたアーティストは?」「ポール・サイモン」(だから去年のライヴでポール・サイモン・メドレーを演ったんだね)。「一番最初に書いた曲は?」「94年に詩のクラスで、詩の代わりに当時の彼女のために曲を書いたのが最初。でももう忘れた」。「覚えている中で最初に書いた曲は?」「確か96年に書いた曲で、『Heater』というやつ。でももう長い間演奏していない」。などなど。中川さんは話を聞くのに夢中でつい訳すのを忘れがちで、結局ゴーティーの松本さんがほとんど通訳をすることに。それにしても松本さん詳しいな。マットが話してないことまで注釈つきで解説してるよ。

この会のために特別に中川さんが翻訳したマットの3曲「Accidental Thief」「Animal Boy」「Osaka In The Rain」のプリントを全員に配布し、それらについての本人による詳しい解説も。こういうのはいいね。

観客からの質問コーナー。「マットの祖先はどこから来たの?」「スロベニア。セヴァー(Sever)という苗字はスロベニアのものなんだ。でも僕はサンフランシスコ生まれだから(と、アメリカ人だということをしきりに強調)」。「トム・フロインドのためにマットの奥さんがデザインしたシャツは日本からも買える?」(なんてマニアックな質問・笑)「買えるはずだよ。ramonsterwear.comにアクセスしてみて」(見てみたけど、とても日本人が着こなせる感じではない相当カウボーイッシュなシャツでした)。

僕からもいくつか質問。「ニューアルバムは作ってる?」「曲を書き始めたところ。春になったらデンマークに行って録音するよ。たぶん来年の9月ぐらいにはリリースできるはず」「デンマークにはバンドは連れて行ってないからソロアルバムになるね」。「(アルバム『Animal Boy』収録の)「For Angela」の歌詞は実話?」「うん、ウォルマートに実際に手紙を送ったし、彼女にCDを渡そうと思って何度かあの店に行ってみたけど、もう会えなかった」などなど。

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45分の予定だったトークショーは、なごやかに(時にゆるーい感じで)過ぎてゆき、あっという間に1時間近くになってしまった。また5分ほどの休憩を挟み、いよいよ本日のメインイベント、マット・ジ・エレクトリシャンのライヴへ。

18フレットしかない小柄なギターを抱え、オープニングは「Accidental Thief」をしめやかに演奏。2曲目に入るところで「バンジョー使っていい?」と、中川さんのバンジョーを弾き始める。ほとんどチューニングもせずにそのまま弾けるものなんだね。その後知らない曲がいくつか続いたのは、ニューアルバムのための新曲かな。

5曲目でまた自分のギターに持ち替え、「Osaka In The Rain」を。どうやら今日は短いセットの中に、トークショーで話した3曲を全部演奏するつもりだな。それどころか、なんと次の曲は「Heater」。さっきのトークショーで自分はライヴのときには特にセットリストは作らないで、最初の数曲以外は思いつきで演奏するって言ってたけど、今日話題に出た曲を全部こうして聴かせてくれようという気配りが嬉しいね(さすがに「For Angela」は演らなかったけど)。

別の新曲を弾き始めようとして途中で止め、「やっぱりこっちの曲にしよう。これも新曲」と途中で別の曲にし、「やっぱりこの曲はバンジョーで演りたい」とまた途中で止め、後ろに置いてあったバンジョーに持ち換えるという場面も。

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最後は自分の小柄なバンジョーで「Animal Boy」。その後、客席で観ていた中川さんを呼んで「Goodnight Eileen」を二人で分け合って歌い、終了。全部で10曲ちょっと演ったかな。あっさり終わってしまったけど、まだ翌日もあるし、トークショー楽しかったからこれはこれでいいや。

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終演後にまた外でタバコを巻いていたマットをつかまえ、持参した『One Thing Right』にサインをもらう。一緒に写真も撮ってもらった。もう少しゆっくり話してたかったけど、終電の時刻が刻々と近づいてきていたので、ゴーティー印のCDを何枚か急いで買って帰路についた。

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2012年05月28日

Japan Blues & Soul Carnival 2012

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日比谷公園。快晴。もう午後3時前だというのに、新橋駅から10分ほど歩いただけで、麻のジャケットも着ていられなくなるほどの陽気だ。もう5月も末だからね。おあつらえ向きに今日は日比谷オクトーバーフェスの最終日だとのこと。人混みに酔いながら、なるべく短い列のブースを探してドイツビールにありつく。時折涼しい風が吹く木陰で飲む、ちょっと色と味の濃いビールは最高だね。それ自体がずっしりと重いジョッキにたっぷりと注がれた500ミリの黒い液体があっという間になくなってしまう。

そうこうしているうちに3時15分の開場時刻が近づく。今日も指定席だから別に開場時刻に並ばなくてもいいんだけど、これ以上ビールを腹に入れるとライヴ中トイレに通うことになってしまうので、早々に入場。公園には何度か来たことがあるけれど、この歴史ある野外音楽場でライヴを観るのは僕はこれが初めて。

果てしなく遠い2階席の後ろから数えて2列目という、先行予約で押さえたとはやにわに信じがたい劣悪な座席の前日とは打って変わって(劣悪だったのは目前に座った座高男のせいだったんだけど)、今日はかなりステージに近い、しかも自分の前が通路なのでゆったりと脚を伸ばせる嬉しい席番号。しかも、ステージに向かって左側、つまり、サニー側だ。

サニーとジョニーだけだった前日とは違って、ジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニヴァルというイベントの今日は、その2組に加えてさらに2組(+ゲストシンガー)という盛り沢山な内容。どうせサニーが出てくるのは6時ぐらいだろうから、あまりよく知らない他の人たちはパスしてそれぐらいの時間に来ようかなとも思ったけど、ドイツビールにも惹かれてやっぱり定刻通りに到着。

その2組についてまでこと細かく書いていたら本当にきりがないので、ごく手短かにすませよう。まずはMCも務めたゴトウゆうぞう率いるワニクマ・デロレン&マキ、控えめに言ってもすっごくよかった。「What's Going On」とか「What A Wonderful World」とかの有名曲を日本語(関西弁)に翻訳して歌うんだけど、アドリブで入れる時事問題とか、まるで河内屋菊水丸かランキン・タクシーかというぐらい。ギタリストのカメリヤ・マキはなんでこんな綺麗な人がブルーズ・ギターなんてやってるんだ?という、いい意味での違和感ありまくりの存在感。そしてなりより、ゴトウゆうぞうの語り。彼は自分のステージだけでなく、最後までセット間のMCを務めたんだけど、まあこれがとにかく面白い。場つなぎのブルーズ・クイズとか、三味線を持ち出しての弾き語りとか、ユーモアいっぱいのメンバー紹介とか。夏に西麻布でライヴ演るっていうから、観に行ってみようかな。

ああ、どこが手短かなんだ。毎度のこととはいえ、すみませんね。次に登場したのは近藤房之助。名前は聞いたことあるかなあと思っていたら、BBクィーンズの人か、おどるポンポコリンの(とか本人は言われたくないのかもしれないけどね)。これがまた剛速球ストレートみたいな、「Stormy Monday」で始まるバリバリのブルーズ大会。いい声してるねぇ。ブルーズ・ハープ(ハーモニカ)だけのメンバーがいるというのもまた凄いよね。

以上二組がそれぞれ大体30〜40分ずつぐらい。セットチェンジ(といっても前日同様アンプぐらいしか換えるものはないけど)の間はゴトウゆうぞうの爆笑トークであっという間に過ぎ、サニー・ランドレスとバンドが登場したのが確か5時半頃。サニーは紫色の絞り染めみたいなシャツと、一見ジーンズに見えるけどあれは多分もっとゆったりした素材のストレートなパンツ。前日同様もうほとんど鎖骨のところまで持ち上げた赤いストラトキャスターを抱えて登場。

僕は前日ほとんど姿を見なかったデイヴ・ランソンは、銀色の髪の毛をオールバックになでつけ、サニー同様銀縁の眼鏡をかけた、ちょっとインテリっぽい風貌。なんだか、(エルヴィス・コステロの)アトラクションズにいそうな見かけ。特にアトラクションズの誰に似ているというわけでもないんだけど。

ドラムスのブライアンは、僕の位置から見るとちょうど後ろのライトが直接目に入ってきて(あれ結構ずっと目障りだったんだけど、この会場っていつもああなのかな)、今日はほとんど彼の方は見なかった。というか、この至近距離からサニーがギターを弾くのを観れるのに、他に何を見るというのか。

「Z Rider」から始まるセットリストは前日とほぼ同じ。詳細なセットリストは後述するけど、昨日書いた赤とサンバーストのストラトを頻繁に交換して弾く件、もしかしたら1曲ごとにチューニングが狂うからなのかなんて書いたけど、今日はそれに注意して見てたら、違うね。あれは意図的に(おそらく違うチューニングで)曲によってギターを使い分けていたと思う。簡単に言うと、冒頭の「Z Rider」以外はヴォーカル曲で赤い方を使っていたかな。

昨日タイトルがわからなかった4曲目、今日必死で歌詞を聴き取ってきて、ネットで調べてようやく見当がついた。スキップ・ジェイムズの「Cherry Ball Blues」という曲だね。ああわかってよかった。

その4曲目までが前日と同じで、「Hell At Home」を演らずに「新しいアルバムを出してね」と紹介し始めたから、これは前日とはセットリスト変えてきてるのかなとほんのり期待。しかも、新作から演ったのは前日とは違って「Wonderide」だった。

ただ、その新曲の次に「The Milky Way Home」も演らずに「この曲はハリケーン・カトリーナのことについて書いたんだ」と紹介したときにちょっと嫌な予感が。これって、もしかしてセットリスト変えてきてるんじゃなくて、単に端折ってるんじゃないのか?

その悪い予感は的中し、「Blue Tarp Blues」の後は前日同様「Brave New Girl」から「Uberesso」のメドレー。そこでメンバー紹介をしてステージを去るサニー。なんだって?40分も演ってないんじゃない?これじゃ最初の二組よりも短いぐらいだよ。

と思っていたら、MCのゴトウゆうぞうが出てきて、サニーを再度呼び出す。ああよかった。アンコールは前日も最後に演奏した「Pedal To Metal」。ものすごい演奏だよね。今日何人もギタリストを見たけど、こんな人他にいないよ。例えて言えば、一秒間に何十個も精密部品を作る工業機械か何かを見ているような感じ。前にも書いたかもしれないけど、自分の目の前で見ているのに、何をどうやったらギターからあんな音が出てくるのかがわからない、まるで高速の手品のような演奏。

あ、そういえば一つ今回発見したのが、「Blue Tarp Blues」のあの印象的なイントロの金属音のような音とドローン音の組み合わせは、右掌を震わせて全部の弦に触れると同時に、スライドバーの後ろで左の人差し指で弦を爪弾いて出していたということを発見。凄いなというよりも、どうしてそんなことをしてあんな音を出そうと(出せると)思ったかということの方が驚きだよ。


サニーのパートが前日よりも2曲分短かったのは残念でしょうがないけれど、1時間弱に亘って彼の手元を凝視し続けることができたのは何よりも幸せだった。もう今日はこれだけで来た甲斐あり。あとは、ジョニー・ウィンターはどうせ前日と同じセットだろうから、缶チューハイでも飲みながらまったりとくつろいで観てよう。

なんてすかしたことを言ってはみても、やはりこの至近距離でジョニー・ウィンターを観られるというのはちょっとした感激。腕の刺青もくっきりと見えるよ(刺青自体はもうすでにくっきりしてはいないけど)。本編のセットリストは前日と全く同じ。演奏の内容もほぼ同じと言っていいだろう(ジョニーが立ち上がる箇所も同じ・笑)。改めて感心したのが、ちょっと危なっかしいところも散見されるジョニーをサポートする3人のメンバーの確実な演奏技術。誰一人としてジョニーを差し置いて出しゃばったりはしないけど、この人たちだからこそお客さんもあれだけ盛り上がることができるんだなあと思わせる卓越した演奏。ベースの音とか超かっこよかったよね。

満員の日比谷野音のお客さんは前座扱いのサニーよりもジョニーの方で相当盛り上がっていたようだけれど、明日も朝から会社に行かないといけない身としては、ちょっとアンコールまで飛ばさせてもらおう。

アンコールの拍手に応えて、ファイアバードを手に再登場したジョニー。左手の小指にはサニーのガラス製のとは違って金属製のスライドバーが嵌っている。ここまで前日と同じセットリストだったから、この後すぐにサニーが出てくるかと思っていたら、椅子に座るや否や「Highway 61」と言って超高速演奏を始めた。ええっ?もしかしてここも端折るの?

と思ったら、長尺のその曲を終えてもジョニーはギターを下ろさない。そして、「君たちが待ち望んでいたゲストを呼ぶよ。そんなに待ち望んでいたかどうかはわからないけど」とかなんだか微妙な紹介で、サニーを呼び出す。いや、当然僕は待ち望んでいましたよ。予想通り、サニーだけでなく、本日の出演者一同、とまではいかないけれど、三味線のゴトウゆうぞう、同バンドからギターのカメリヤ・マキ、近藤房之助バンドからブルーズ・ハープのKOTEZが参加。曲は、これまた予想通り前日同様の「Dust My Broom」。

最初の数回のソロは自分が弾いて、後半「サニー・ランドレス!」とサニーにソロを譲り、12小節終えたところで再度「サニー・ランドレス!」ともう一回ソロを取らせる。ただ、その後、サニーも自分がソロを弾いていいものやら、誰か他のゲストに譲っていいものやら、妙な譲り合いみたいな12小節が2回ほど続いた。誰も弾かないとわかるとKOTEZが咄嗟にブルーズ・ハープを入れたりね。

なんていうのは、あの幸せな空間の中ではほんの些細なこと。中央で椅子に腰かけてギブソン・ファイアバードでスライドを弾きまくるジョニー御大を囲んだ拡大ブルーズ・バンドの面々が演奏する「Dust My Broom」は格別だった。観ている途中、「あ、もしかしたらジョニーを観るのはこれが最後なのかも」なんて不謹慎にも思ってちょっとうるっとしてしまったけど、きっとあのよぼよぼした見かけよりもずっと元気だよね、あの人。あと何回来日してくれるかわからないけど、こうして人間国宝みたいな佇まいでこれからもずっとやっていってほしいよ。


Setlist 27 May 2012 @ Hibiya Open-Air Concert Hall

Sonny Landreth
1. Z Rider
2. Native Stepson
3. Promised Land
4. Cherry Ball Blues
5. Wonderide
6. Blue Tarp Blues
7. Brave New Girl
8. Uberesso

[Encore]
1. Pedal To Metal


Johnny Winter
1. (Intro)
2. Hideaway
3. She Likes To Boogie Real Low
4. Good Morning Little School Girl
5. Got My Mojo Working
6. Johnny B. Goode
7. Black Jack
8. Tore Down
9. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me / Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[encore]
1. Highway 61 Revisited
2. Dust My Broom w/ all stars
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2012年05月27日

Sonny Landreth & Johnny Winter live in Tokyo

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2月にこのジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニバルの先行予約葉書が送られてきたときに書いてあった会場名Zepp DiverCity Tokyoが、うちからはやたら遠いことで僕の中では悪名高いあのZepp東京が、最近オープンした話題のショッピングセンター、ダイバーシティ東京の中に作った同じ名前の会場だということを知ったのは比較的最近。元々この辺のお台場とか有明とかの地理に疎い僕が最寄駅の東京テレポートに降り立ってみたら、なんだ、元のZeppと同じ駅、しかもずっと駅近じゃないか。会場に入ってみたら、元のZeppよりは若干小ぶりな造り、とはいえそんなに大きな違いがあるわけじゃなさそう。これは、こっちの方がよっぽど便利だよね。元の方は取り壊すのかな。

ただし、ウェブサイトに書いてあった、東京テレポート駅より徒歩3分というのはかなり誇張してあるぞ。なにしろオープンしたばかりのショッピングセンター、その中でも一番駅から遠い場所にある会場までは、ダイバーシティの入口に到達してから更に3分以上かかることを覚悟しておいた方がいい。ましてや、途中でフードコートの中を通り過ぎる作りになっているもんだから、下手に食事時に急いで通り過ぎようものなら、ラーメンをトレイに乗せて席を確保しようとキョロキョロしている親子にぶつかってラーメン汁を頭からかぶる羽目になるよ(これも誇張済み)。まあ、次回からは建物の外を通って行くけどね。皆さんも是非そうしてください。

先行予約でも僕のことならどうせろくな整理番号が当たるまいと思い、今回は1000円高い2階の指定席を予約してみた。去年のジョニー・ウィンターのときみたいに、ギタリストの顔しか見えないというのもちょっと冴えないからね。なので、今回は開場時刻(なんと、夕方4時)のことは気にせず、開演時刻5時の20分ぐらい前に会場に着くように出かけた。

500円のコインを生ビールと交換し、2階席へ。先行予約でも僕のことだからやっぱり5列しかないのに4列目だったりしたけど、ほぼ中央付近の席で、しかも結構前後に傾斜がついているから、ステージまではかなりの距離があるけど、まあ見やすいかな。僕の前の数列には誰も座ってないし。このまま誰もこなければいいのに。

と思っていたら、開演5分前になって、僕の真ん前に左右のお客さんよりも明らかに20センチは座高の高い、しかもやたらと頭部の大きい男が座った。ステージ半分見えないよ… なんてついてないんだ。1万円の席でこれかよ。

しょうがないので左に片寄りながら、少なくともサニーの立つステージ左半分だけは観ようとしていると、開演時刻を少し過ぎたあたりでメンバー登場。サニーがステージを去るときにいつものようにざっと早口で紹介したのを聞くと、ベースはもちろんサニーとずっと一緒に演ってるデイヴィッド・ランソン(David Ranson)、ドラムスはブライアン・ブリグナック(Brian Brignac)だったようだ。結局今回僕がデイヴィッドのことを見られたのは、この登場時と、ステージを降りる時だけだったけど。

オープニングは「Z Rider」!これは盛り上がるなあ。サニーが赤いストラトキャスターを弾いてるのを見るのはこれが初めてかも(もちろん、僕が実物のサニーを見たのは、昨日の記事に書いたとおり1988年のジョン・ハイアットのライヴと、金曜日のサイン会の2回だけだから、何色のストラトキャスターを弾くところも実際には見るのはほとんど初めてのようなものなんだけどね。そういうことじゃなくて、彼がギターを弾いている写真は、大抵サンバーストのストラトか、(こちらは最近滅多に見ることがなくなったけど)同じくサンバーストのファイアバードだったから。

続いて、サニーが調弦しながら単音を弾いた音を聴いて、あ、次はあれだろうなとわかってしまった(それが何の音なのかは楽器もろくにできないし絶対音感もない僕にはわからないけど、どの曲のイントロの最初の音かはわかる。伊達に彼の音楽を聴き続けているわけじゃない)、「Native Stepson」だ。金曜のサイン会がもしインストア・ライヴだったら、最前列に陣取って、どさくさまぎれにこの曲をリクエストしようと思ってたぐらい、あるいは携帯の着信音なんてプリセットのものしか使わない僕にしては珍しく一時期この曲のアクースティック・ヴァージョン(サニーのサイトからダウンロードした)を着うたにしていたぐらいに、大好きな曲。いみじくも、昨日の記事で僕が書いたサニーの代表的な3つのインスト曲のうち2つを冒頭から立て続けに演奏。

2曲演奏したところで、挨拶。どの曲のときだったか、日本語で「コンバンハ」とか言ってたっけ。「アリガトウゴザイマス」だったかな。最初の2曲を聴いて、もしかしたら今回は新譜のコンセプトに合わせてインスト曲しか演らないのかもと一瞬思ってしまったけど、3曲目は歌入りの「Promised Land」。88年の来日時はもちろんサニーは1曲も歌ってないから、これが僕がサニーの歌声を生で聴く最初の瞬間だった。この人、いい声してるよね。

4曲目は知らない曲だった。僕にわからないサニーの曲があるなんて、軽いショック。特に説明もなく始めたから、新曲というわけでもなさそうだし。ミディアム・テンポのブルーズ曲。どっかで聴いたことあるような気がしたけど、こういう感じの頭の歌詞を二度繰り返すミディアム・テンポのブルーズ曲なんて星の数ほどあるから、わからないよ。あの曲、どのアルバムかに入ってたっけ。もし誰かわかった人がいたら、教えてください。

それ以外の曲は、もちろん全部わかった。その場で咄嗟にタイトルの出てこないものもあったけど、“あのアルバムのあの辺に入ってる曲”とかいう感じで大体記憶してメモってきた(咄嗟にタイトルが出てこないのは大体インスト曲)。セットリストは(4曲目以外)後述するので、後は印象的だったことをいくつか書こう。

印象的といえば一番印象的だったのが、サニーがさっき書いた赤いストラトと、お馴染みのサンバーストのストラトを、殆ど1-2曲ごとに取り換えていたこと。どっちもストラトキャスターだから出てくる音にそう大きな違いはないはずなんだけど、もしかしたら2本とも違う調弦してあるのかな。それとも、1曲弾いたらチューニングが狂ってくるから、一旦交換してバックステージでチューニングしてもらってたんだろうか。謎。

ほとんど動き回ることなく、胸のうんと上の方にギターを抱えるようにして、1曲たりともスライドバーを指から外すことなく(僕の位置からはっきり見えるわけもないんだけど、ときどき光を受けて反射する具合を見ると、ガラス製だったみたい)、右脚でリズムを取りながら演奏するサニー。指先とかまでよく見えないけど、右手をパーにしたりネックの方で弾いたり、あの多彩な音はああやって出してるんだなあと感激。

「新しいアルバムを出してね、それがインストゥルメンタル・アルバムなんだ。そこから1曲」と言って始めたのが「Forgotten Story」。アルバムではスティール・ドラムスのロバート・グリニッジをゲストに迎えた曲だけど、もちろんここでは3人によるストレートな演奏(でも途中のレゲエっぽいリズムはそのままで)。

「次はロックンロールいってみる?」みたいなことを言って、なんだろうと思っていたら、「The Milky Way Home」だった。こちらももちろん、アルバムではエリック・ジョンソンが弾いているパートまで一人で全部演奏。これで、昨日の記事に書いた僕が好きなサニーのインスト曲3つ全部演ってくれた。嬉しいな。

「この曲はハリケーン・カトリーナのことについて書いたんだ」と始めたのは、「Blue Tarp Blues」。歌詞読めば歌ってることはわかるんだけどなんのことだろね、と思っていたけど、そう言われて改めて歌詞読んでみたら、あ、そうかと納得。08年のアルバムでカトリーナのことを歌ってるとは思わなかったもので。

再び新譜からの「Brand New Girl」を終えた瞬間、ほとんどメドレーのように始めたのが「Uberesso」。そして、ラストは『Levee Town』の09年の再発盤ボーナスディスク収録の「Pedal To Metal」。結局、11曲中7曲がインストだったね。そういう意味では新譜のコンセプトに合わせたのかもしれないけど、肝心の『Elemental Journey』からはそのうちわずか2曲だけ。まあ、他の5曲が超悶絶的にかっこいい曲ばかりだったから僕としては何の問題もないけど。

さっき書いたようにざっとメンバーを紹介して、1時間弱の演奏を終えてあっさりとステージを去るサニー。あーあ、もう終わっちゃった。次にジョニー・ウィンターが控えてるから、アンコールはなし。ステージのセット交換が始まるが、ドラムキットは共用しているからほとんど換えるものがない。アンプを交換してギターやベースをちょっと試し弾きして、あっという間に終了。あとは、ジョニー・ウィンター用の黒い(たぶん革張りの)椅子。


それからしばらくして(確かサニー達が去ってから20分後ぐらい)、ジョニー・ウィンター・バンドの3人とカウボーイ・ハットをかぶったMCが登場。去年とまったく同じパターンだね。そして、バンドがイントロ曲(きっとまた「Intro」というタイトルなんだろう)を演奏していると、お馴染みヘッドレスのレイザーを手にしたジョニーが、腰を曲げてよぼよぼと登場。そして、イントロ曲の間は、椅子の前で立ったまま演奏(!)。まあ、2階席から見ている限りは、別に座ってても直立不動で立っててもあんまり見た目変わらないんだけどね。

殆どの曲を、曲目紹介しながら演奏していくんだけど、椅子に腰かけての最初の曲が「Hideaway」だというのを聞いて、もしかしたら今日のセットリスト、去年とまったく同じかもという疑念が頭をよぎる。まあ、去年のセトリ全部覚えてるわけじゃないし、たとえ同じであっても別に問題ないんだけどね。

続いて、「She Likes To Boogie Real Low」。やっぱり同じだ。と思っていたけど、帰ってきて去年のセトリ見てみたら、去年はこの2曲の間に「Sugar Coated Love」を演ってるね。微妙には変えてたんだ。

演奏もジョニーの歌も、去年観たときとほとんど同じ感想。曲によってはかなりヴォーカルが聴きづらいほど弱ってしまった声がやっぱり悲しい。ギターソロも、失礼ながらテクニックという意味ではサイドギタリストのポール・ネルソン(Paul Nelson)の方が冴えていたんじゃないだろうか。まあ、テクニックといっても、別にきらびやかな速弾きができることが偉いわけじゃないからね。

というわけで、去年の記事を読み返してしまったら、なんだか同じようなことばかり書いてしまいそうなので、適当に飛ばしながら書き進めよう。もうサニーのパートで散々書き散らかしたから、後半適当でもいいよね。

「マディー・ウォーターズの曲を」と言って始めた「Got My Mojo Working」や、その次に「ロックンロールを演るよ」と言って始めた(昔みたいに「ロックンローーール!!」じゃなかったのがやっぱり寂しい)「Johnny B. Goode」みたいな僕でも知ってる超有名曲から、去年の記事や直近のツアーのセトリを見ないと曲名を思い出せなかったようなマイナーなブルーズ曲まで、淡々と、でもそこはさすが腐ってもジョニー・ウィンターなのでアツくステージが進む。1階のお客さんも、サニーのときは借りてきた猫みたいだったのが、今書いた2曲のサビとかでは歌う歌う。

「Don't Take Advantage Of Me」(という曲だというのは帰ってきてセトリを見るまで思い出せなかったけど)にメドレーで続けて、いつの間にか知ってる曲になってるなあと思いながら歌詞聴いていたら、「Gimme Shelter」じゃないか。

そして、いよいよ本編ラストというところでステージ脇からスタッフが出てきてジョニーのマイクスタンドの高さを上げる。おおっ!と思っていたら、ジョニー立ち上がる(笑)。ここでまた大歓声(笑)。ラストはこれも去年と同じく「It's All Over Now」。

アンコールの拍手に応えて再度登場。メンバー3人とジョニー、そしてジョニーのお手伝いのスタッフも。ジョニーが手にしているのは、これも去年と同じく、彼のトレードマークのギブソン・ファイアバード。やっぱりそっけないデザインのレイザーよりも、この人はこっちの方が遥かに絵になるよね。

ジョニーが椅子に腰かけている間にステージ脇からもう一人現れた。サニーだ!!やった!この二人の共演が観られるなんて!しかも、僕から観やすいように、座高男を避けてジョニーの左側に立ってくれたよ!(笑)。

曲は、ジョニーの新作『Roots』から、サニー参加曲「T-Bone Shuffle」ではなく、何故かデレク・トラックスが参加していた「Dust My Bloom」(「何故か」というか、これも去年と同じということね)。本編では一切披露しなかったジョニーのスライドプレイを堪能。曲中で何度か訪れるギターソロを全部ジョニーが弾くもんだから、おいおいサニーは隣で伴奏してるだけかよ、と思い始めた矢先、ジョニーが「サニー・ランドレス!」と言ってサニーのソロへ。それも数小節とかの短いのじゃなく、たっぷりと弾き倒してくれたよ。超満足。

そこでサニーだけがステージを降り(あーあ…)、ジョニーとバンドは恒例の超高速「Highway 61 Revisited」で幕。ずっと見づらかったけど、なんだかんだ言って結構楽しめたよ。ジョニーもまだまだ元気そうでよかった(歩くときにいちいちポールに手助けしてもらわないといけないのが見ててちょっと不安になるけど)。遠くてよく見えなかったところは、明日(もう今日だ)の日比谷でじっくり観よう。

さあ帰ろうと、椅子の下に置いてあったカバンを手に取ると、なんだか湿ってる。。椅子の下を覗き込むと、隣の席の奴が飲み残したビールのカップを倒して行ってやがる。最悪。道理でさっきアンコールのときに急にビール臭くなったと思ったよ。あーあ、なんだかライヴ本体以外はどうもついてない日だったな。予想外にかなり早く終わった(まだたったの8時過ぎ)のでさっきのダイバーシティのフードコートで何か食べて帰ろうかと思ったけど、とても一人で席を確保できるような状態じゃなかったし。まあ、今日はもうこの記事をさっさと書いて、野音に備えて早いとこ寝よう。


Setlist 26 May 2012 @ Zepp DiverCity Tokyo

Sonny Landreth
1. Z Rider
2. Native Stepson
3. Promised Land
4. Cherry Ball Blues
5. Hell At Home
6. Forgotten Story
7. The Milky Way Home
8. Blue Tarp Blues
9. Brave New Girl
10. Uberesso
11. Pedal To Metal


Johnny Winter
1. (Intro)
2. Hideaway
3. She Likes To Boogie Real Low
4. Good Morning Little School Girl
5. Got My Mojo Working
6. Johnny B. Goode
7. Black Jack
8. Tore Down
9. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me / Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[encore]
1. Dust My Broom w/ Sonny Landreth
2. Highway 61 Revisited
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2012年04月30日

Ron Sexsmith live in Tokyo

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派手なところは一切ないけれど、いい曲を達者なバンドの演奏に乗せて1時間ちょっと聴かせるだけ、そんな感じの実にシンプルなライヴだった。ロン・セクスミスのビルボードライヴ東京での来日公演。僕が行ったのは2日目のセカンドセット。東京での最終公演だ。

にも書いたことがあるけれど、僕は16年前に彼のデビューアルバムを買ったものの、周囲の高い評判に反してどうも今一つのめり込むことができず、その後に買ったアルバムはなんだかどれ聴いても同じ曲ばかりだなあと、中古屋に売り飛ばしていた程度の、とてもファンとは呼べないような立場だった。

それが、昨年のベストアルバムにも選んだ『Long Player Late Bloomer』を聴いて、あれ?この人ってこんなにいい曲書くんだっけと、昔からのファンにとっては今更何をというような感想を持ち、ちょうどタイミングよく来日公演が発表されたので、足を運んでみることにしたというわけ。

チケットを押さえてから、ちゃんと曲を予習しないとと思って、中古で何枚か買って聴いてみたものの、やっぱりどれ聴いても同じ曲に聴こえる(失礼)。まあ、新譜の曲はかなり聴き込んであるから、それだけでもわかればいいやと六本木に向かった。

そんないい加減なファンである僕が、どういうわけかこういう時に限ってえらくいい整理番号で、正面真ん中、ベストポジションに陣取ることができた。ステージを見渡してみると、中央のロンのマイクのところには楽器は置いてないが、その後ろにはヤマハのドラムキット。その右側に、ダンエレクトロの相変わらずふざけた形のベース(ダンエレクトロってベースなんて出してたんだね。調べたらDano 63って型だった)、更に右にはごっついアームのついたギブソンのセミアコと、これまたふざけた形の、なんだか紫色の虫みたいな12弦のエレクトリック・マンドリン(帰って調べてみたら、たぶんヴォックスのマンドギターってやつ)。そして、ステージ左側にもの凄い存在感ででんと構えているのが、スタインウェイのグランドピアノ。上にノードらしき赤いキーボードが置いてあるね。

ほぼ定刻にロンとメンバー登場。ハンチングをかぶった右端のギタリストがティム・ボヴァコンティ(Tim Bovaconti)、隣のヒゲメガネのベーシストがジェイスン・マーサー(Jason Mercer)、僕の位置からはロンが邪魔で全く見えない長髪ドラマーがドン・カー(Don Kerr)、ピアニストは妖怪人間ベムみたいな黒いハットに黒いスーツのデイヴィッド・マシスン(David Matheson)。と、かつてロンと一緒にアルバムを作ったドン以外は全く知らないメンバー名をビルボードのサイトから(どうでもいい見た目情報と共に)丸写し。ちなみに新作の制作メンバーとは全然違うんだね。

最近のアルバムジャケから推測して、いったいどんなに太ってしまっているんだろうと想像していたロン(なにしろ、この同じビルボードで目撃したマシュー・スウィートは、一連のアー写がいかに細く見せようとうまく撮られていたかを実感させられたほどの凄さだったからね)、意外に超デブというわけではなかった。なんだか一所懸命ダイエットしてるんだろうなと思わせるような涙ぐましい体型を、黒い襟のついたエンジ色の芸人みたいなジャケットと相変わらずヒラヒラしたフリルの沢山ついた水色のシャツに包んで。真上からスポットの当たったカーリーヘアは金髪かと錯覚したけど、上の写真でもわかるとおり普通に黒髪。手にしたアコギは小ぶりなテイラー。ペグからはみ出た弦をカットしてないから、6本の弦がヘッドのところでぐちゃぐちゃに絡まってる。

何も言わずに演奏を始めたオープニングは「Heart's Desire」(僕と違って全アルバムをきちんと聴き込んでいる一緒に観ていた友達が、いくつかの曲名を教えてくれた)。ティムがチロチロと弾く繊細なギターの音が心地良い。

その曲が終わって「じゃ、おやすみ!」と去ろうとするロン。あ、こういうお茶目なキャラだったんだね。「新作から何曲か演るよ」と、『Long Player Late Bloomer』の曲順通り最初の2曲を続けて。

その後も、「これは懐かしいファーストアルバムから」とか「これはセカンド『Other Songs』から」とか、比較的古いアルバムからの曲が多かったように思う。まあ、僕にとってはどれも同じ曲に聴こえるんだけど。

「また新作から何曲か。まずはアルバムのタイトルトラック」と言って「Late Bloomer」。それに続けて何も言わずに演奏したのが、僕が去年のベストアルバム10枚から1曲ずつ集めて作ったCD-Rに収録した、アルバム中一番好きな「Believe It When I See It」。ああこれは嬉しい。

10曲目でジェイスンとデイヴィッドがステージを降り、ロンとドンが並んでアコギを持って並ぶ(ドンのは4弦だったな。ベースでもなくウクレレでもなく、なんだか小ぶりなアコギ。ほんとにこの人たち不思議な楽器ばかり持ってるね)。隣でティムがマンドギターを添える。05年のセクスミス&カー名義のアルバムから「Listen」。これいい曲だね。アルバム買おう。

次の曲でさらにドンとティムがステージを降り、ロンが一人でピアノに座って1曲。ピアノもうまいね。ピアノといえば、ここで書くのが妥当なのかどうかわからないけど、デイヴィッドが弾いてもロンが弾いても、ピアノの音が本当に綺麗に聴こえる。僕にグランドピアノの音の何がわかるのかと言いたい人もいるかもしれないけど、いやほんとに、さすがスタインウェイと思わされたよ。

「次の曲はカバー」と言って始めた、アルバム『Exit Strategy Of The Soul』からの「Brandy Alexander」。誰のカバーと言ったのか聴こえなかったけど、コンサート前半からやたらと騒いでいた最上階にいたカナダ人らしき観客に向かって「君たちなら彼女のことわかるだろう」とロンが話しかけていたので、きっとカナダ人女性アーティストなんだろう。と思って、帰ってから調べてみたら(このアルバムは予習のために買っておいた)、ロンとファイスト(Feist)の共作曲だった。

9時に始まった本編は10時10分にひとまず終了(なんできっちり時刻を覚えてるかというと、この日の夜10時に発売開始となっていたジム・ボジア5月公演のチケットを押さえるべく、本編終了と同時にアンコールの拍手もせずに携帯からメールを送っていたから)。

ちょうどメールを送信したところでメンバーが再登場。「東京で最後の公演だから2曲演るよ」と、「Tell You」と、その曲が終わって間髪入れず歌い始めた、僕みたいなにわかファンにすらよくわかる、デビューアルバム1曲目「Secret Heart」で幕。「Secret Heart」では、自分でギターソロを弾いていたね。


これからまたバックカタログを全部集めなおすかというとちょっと疑問だけど、聴いてきて気に入った曲が入ったアルバムは買ってみようかなと思わされるような、いいライヴだった。アルバムカバーでもライヴ中でもいつも眉間に皺を寄せて人のことを睨んでるような三白眼のロンだけど(ひどい言い方)、アットホームなライヴは安心して聴いていられる気持ちいいものだった。ついでに、終演後に友達と行った飲み屋も、ふらっと入ったにしては中々味もよく料金も良心的だったので、今後ビルボードのときは贔屓にしてあげようかと思う。


Setlist 28 April 2012 (second set) @ Billboard Live Tokyo

1. Heart's Desire
2. Get In Line
3. The Reason Why
4. Wastin' Time
5. Late Bloomer
6. Believe It When I See It
7. Nothing Good
8. Gold In Them Hills
9. Nowadays
10. Listen
11. Fallen
12. Up The Road
13. Imaginary Friends
14. All In Good Time
15. Love Shines
16. Brandy Alexander
17. How On Earth
18. It Never Fails

Encore
1. Tell You
2. Secret Heart
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2012年04月03日

Gary Jules & Jim Bianco live in Tokyo

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ジム・ボジアのライヴに行って以来、カフェ・ゴーティからライヴのお誘いメールが沢山舞い込んでくるようになった。そのほとんどがよく知らないアーティストばかりだ。その巧みな誘い文句や山ほど貼り付けてくれているビデオを観て、いつも行ってみたいなあとは思ってるんだけど、なにしろ鎌倉はうちからぶらっと出かけられるような場所じゃないし、特に今年になってからは殆ど隔週でいろんなライヴに出かけているから、よく知らない人のライヴにまで足を運ぶほど先立つものが許してくれる状況ではなかった。

今日これから書くゲイリー・ジュールズとジム・ビアンコも、ファウンテンズ・オヴ・ウェインの翌日ということもあり、気になっていながらもスルーしてしまうつもりでいた。ところが、別件でゴーティの松本さんに連絡したとき、「グレン・ティルブルックとか好きならゲイリー絶対気に入るから騙されたと思ってまあ来てみろや」という趣旨のメールをもう少し丁寧な物言いでいただき、そこまで言うならと、まず試しにゲイリーのファースト・アルバム『Greeting From The Side』を某通販サイトの某市場場所で捨て値同然で購入。数回通して聴いた時点で、僕はツアー最終日となる下北沢La Canaでのチケット申し込みメールを送っていた。だってこんなの聴き逃すなんてありえないでしょう。申し込みメールの返信で松本さん曰く「ライヴはもっといいですよ」。わかりましたよ、騙されたと思いながら行ってみましょう。

ということで当日。ぎりぎりに申し込んだ僕は前売りチケットのお客さんが全員入ってから入場という話だったので、急いでもしょうがないと開場時刻の7時を少し過ぎるまで会場のはす向かいの某レコファンで時間潰し。ところが、買ったばかりのコステロのライヴ盤をカバンにしまいながら会場に辿り着くと、チケットを持ったお客さんはほとんどおらず、思いがけずすっと入場することができた。おかげでかなりいい位置で観ることができたよ(アーティストと興行主の名誉のために書いておくと、チケットを持ったお客さんは皆さん余裕を持って来られたようで、僕が入場した後にどんどん入ってきた観客で会場はほぼ満員だった)。

下北に来たときはいつも前を通っているLa Cana(なにしろレコファンの前だから)、中に入るのは初めてだ。ちょっと薄暗くて雰囲気いい場所だね。ステージは木箱のようなものを並べて高くしてあるから、背の高いアーティストなら低くなった天井に頭をぶつけそうなくらい。観客席にはあちこちから集めてきたような様々な種類の椅子。

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ステージの上にはギターが2本とピアノ。ギターは両方ともクラシック・ギターだね。近くでまじまじ見たわけじゃないけど、たぶん両方とも張ってあるのはナイロン弦かな。こういうフォーク系の音楽を演っていてクラシック・ギターを使う人は初めて観るよ。


まずは、一週間の日本ツアーで覚えたであろう「コンバンワ」とかの簡単な日本語であいさつしながら、山高帽をかぶったジム・ビアンコが登場。上の写真では左側にある、ちょっとボディが(色も厚さも)薄い方のギターを手に取ると、ピックアップマイクみたいなのをサウンドホールの下に取り付ける。あれ?ストラップしないんだね。演奏中とかに見ていたら、そのマイクが首にかけている細い紐につながっているように見えたけど、別にそれで支えているというわけではなさそうなので、基本的にはガタイのでかいジムがストラップもなしで文字通りギターを抱えて歌うという図。

繊細なギターに野太い声。まず1曲目はしっとりとしたバラッドで開始。実は、ゲイリーのCDと前後してジムのも注文していたんだけど、残念ながらこの当日まで入手できず(ライヴから帰ったら届いていた)、ユーチューブとかで何曲か観た以外には彼の曲はほとんど予習できていなかった。というわけで曲名はほとんどわからないのでご容赦のほど。

一転してブルージーなギタープレイの2曲目「Downtown」。わあ、クラシックギターをこんな風に弾くんだ。かっこいい。なんでこの曲はタイトルがわかるかというと、ライヴ終了後にその場で買ったCDにサインをもらっていたときにジムが「このアルバムからは今日2曲演ったよ。これとこれ」と言うから、「あ、この『Downtown』ってのは1曲目だっけ?」と聞いたら「いや、2曲目」という会話があったので。間違えはしたけど、一応、よく覚えてるな、という顔で見てはくれていたよ。

曲間のMCも日本人にわかりやすいようにゆっくり喋ってくれるから、ただでさえ野太い地声がまるで回転数を落としたレコードみたいに聞こえる。「日本を離れるのは寂しいよ」とかそういう話題だから、たぶんあそこまでゆっくりしゃべってくれなくてもみんなわかると思うんだけど。「Devilは日本語でなんて言うの?」と訊いてから始めた曲は、ディスコグラフィーを見て推測すると「To Hell With The Devil」というやつかな。

「Elevator Operator」という曲の前で松本さんをステージに呼び、突然「通訳をやれ」と。あっけにとられながらも歌詞を一言一言全部訳す律儀な松本さん。ジムは途中で自分の歌詞を思い出せなくなり、「ちょっと待って」と後ろを向いて、早送りでギターのコードを押さえながら小声で歌って歌詞の続きを思い出す。パートタイムの秘書をやっている彼女がほんとはエレベーターガールになりたいと思っていて、その他にもエルヴィスのそっくりさんとかワニ皮の靴職人のアシスタントとか変な職業に就きたいという、ヘンテコな歌詞がおかげでよくわかったよ(笑)

その次の、長い歌詞を早口で歌う曲を終えた後、「ケイジ(松本さん)、これも訳してくれ」と冗談めかして言うジム。ははは、最初始まったときはジムも僕ら観客もどことなく固い感じだったけど、もうこの頃にはこういうジョークがポンポン出るようになってきたね。

何曲目だか忘れたけど、ゲイリー・ジュールズを呼び、自分はピアノに移動して、ギターとコーラスを任せる。出てきたゲイリーを見てびっくり。僕は彼の姿は98年のファーストのジャケぐらいでしか見たことなかったから、真っ白な髭面に野球帽をかぶった小柄な彼を、失礼ながらどこのお爺さんが出てきたのかと思ってしまった。一瞬J.J.ケールかと。そうか、そういえばあれは14年も前の写真なんだ。

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Gary Jules 『Greeting From The Side』

野太いジムの声に重なる、繊細なゲイリーのハーモニー。うわ、これすごい。ぞくっとするね。一週間にわたるツアーの最終日だから演奏も息が合ってるのは当然なんだろうけど、一旦完璧に合わせるまで一緒に練習して、その後であえてルースに崩してみせている(でも実は最後には完璧に合ってる)みたいな共演が見事。どんだけ懐が深いんだと思わされる。

ある曲で、ジムとゲイリーがそれぞれギターを持ち、観客席の後ろの方に行ったと思ったら、一人の女性客を囲んで歌い始めた。常連客(特に女性)の誕生日にアーティストがバースデイソングを捧げるというのはグレン・ティルブルックジム・ボジアのライヴで経験済みだから、きっとこの日はあのお客さんの誕生日なんだろうなと納得。演奏している曲は特にバースデイソングとかではない感じだけど。なんだか照れくさそうにしているけど、さぞかし嬉しいだろうね、こういうのは。

第一部はそれ以降は基本的にはジムがピアノ、ゲイリーがギターというスタイル。第一部終了までで1時間程度。「5分か10分で次はゲイリーが一人で出てくるから」と言ってステージを降りたけど、みんなトイレ行ったりするから当然5分や10分で第二部が始まるわけもなく、僕はギネスのパイントグラスを手に席で待機。こぼれないようにゆっくり席に戻ろうと思っていたら、ゲイリーが「それは泡が落ち着いてから飲め」と。はい、わかっております、お爺さま(笑)


第二部。ゲイリーがふらっとステージに上がり、ギターのチューニングをしたかと思うと、そのまま挨拶もなくいきなり歌い始める。なんと形容すればいいんだ、この声は。さっきは“繊細”なんて書いたけど、単に細い綺麗な声というわけじゃない。ウィリー・ネルソンみたいなカントリー声になるときもあれば、マイケル・スタイプのように聞こえる瞬間もあるという、なんとも魅力的な声。僕が彼のCDを聴いて惹かれたのは、彼が書く美しい曲だけでなく、この声によるものが大きかったんだと思う。

ところで、Garyというファーストネームを僕はいつも「ギャリー」と表記している。NZに住んでいたときからネイティヴの実際の発音をカタカナ表記するとそれが一番実際に近いと思っていたからそうしていたんだけど、今回ジムが彼を呼ぶのを聞くと、「ギャリー」とも「ゲアリー」とも「ゲイリー」とも聞こえる、なんとも表現しがたい発音(もともとこもって聞こえる声だし)。というわけで、今回はあまり知名度のない彼の名前をネット上で少しでも連呼して広めるために、あえて一番一般的な「ゲイリー」表記とすることにした。

2曲目は、ニール・ヤングの「After The Gold Rush」のカバー。まるでニール本人かという(いや、あの不安定な音程のニールよりはよっぽどしっかりした)繊細ながらも芯の通った綺麗な歌声。これは沁みるね。

「24年前、僕は東京に住んでいたんだ。9か月ほどの間、好きな女の子がいてね。19歳の頃だったな」とゲイリー。え、なに、今43歳なの?その見かけで(失礼)僕より年下なの?(と、とても若いとはいえない見かけの僕があえて言わせてもらいますが)。「六本木に住んでいたんだけど、1か月の家賃が僕の年収よりも高かったんだ」だって。そりゃ、バブル絶頂期の六本木なんてそうだろう。その彼女と別れたときに書いたという曲を、この24年間で初めて披露。ライヴ終了後にタイトルを訊いたら、しばらく考えたあとで「Fear Of Falling」だと教えてくれた(単に出だしの歌詞がそうだっただけで、本当はタイトルなんて付けてなかったのかもしれないけど)。

「JB、ピアノ頼むよ」とジムを呼び出すゲイリー。ジムのことそう呼んでるんだね。ここから後半は再びジムがピアノ、ゲイリーがギターという布陣でしばらく進む。さっきと違ってジムのコーラスはあまりないけど、どこまでが即興か区別のつかない奔放なピアノとギターの絡みが最高。ゲイリーのヴォーカルはピンでも十分以上に聴き応えあるしね。

ボブ・ディランの「The Times They Are A-Changin'」をぶっきらぼうに歌いだすゲイリー。冗談なのか本気なのか判別つかない。セカンドヴァースあたりでちょっと吹き出しそうになったのはやっぱり冗談のつもりだったのか?ジムも「お前なにやってんだ?」てな顔でピアノも弾かずに頬杖ついてゲイリーの顔を見上げている。すると、その曲をふっと終え、続けて「Ghosts」へ。名曲満載のファーストの中でも僕の大のお気に入りだ。さっきの似非ディランのときとは声に宿るオーラが違うよ。崇高なピアノの音とも相まって、ちょっと涙出そうになる。

どの曲だったか忘れたけど、ある曲を終えた瞬間にカポの位置を1フレット内側にずらし、続けて「Falling Awake」を弾き始めた。うまいねーと思っていたら、どうやらチューニングがずれていたみたいで、曲の途中で咄嗟にエフェクターを踏んでオフにし、歌詞の語尾を「えーーーーー」とか言って延々引っ張りながらチューニング。あーあ、せっかくかっこよかったのに(笑)。でも、そういうのまで一つの見どころにできるほどの芸の細かさ。やっぱりうまいなあ。そして、この曲からは確かメドレーでボブ・マーリーの「No Woman No Cry」を続ける。

あんなに綺麗な曲を書ける人が、それでもこんなに沢山のカバー曲を挿入してくるというのは、観客が知っているであろう曲を披露するためという理由に加えて、ゲイリー自身が音楽ファンとしてそういう曲を演奏するのが楽しいからじゃないのかな。だって、繰り出してくる曲がことごとく、僕とそう大きく年齢の変わらない彼がおそらく青春時代にリアルタイムで聴いていたような曲ばかりだから。

映画の挿入曲としてヒットしたという、ティアーズ・フォー・フィアーズの「Mad World」もその一つ。ファーストに続けて事前に購入した04年の『Trading Snakeoil For Wolftickets』に収録されているそのカバーは、ティアーズ・フォー・フィアーズのオリジナルよりも優れていると思うし、この夜に披露してくれたヴァージョンはそれに輪をかけて素晴らしいものだった。

オリジナルよりも思いっきりスローにアレンジされたチープ・トリックの「I Want You To Want Me」もそう。なにか他の曲にまたしてもメドレー形式でくっつけて歌われたドン・マクリーンの「American Pie」も同じく。この曲は24年前に六本木のバーで弾き語りをしていたときにいつも歌わされていたって言ってたっけ。

「Barstool」のコーラス部分を観客に練習させてから一緒に歌ったのも楽しかったな。これは、僕の持ってる2枚のアルバム両方に収録されている、きっと彼にとってもお気に入りの一曲(松本さんが物販で他のお客さんに話しているのを立ち聞きしたところによると、『Trading〜』が再発されたときに最収録されたらしい)。

第二部も約1時間ほどで、最後の曲はジムもギターに替えて二人で並んで歌って終了。素直にステージを降りて観客席を通り抜けてバーの方に消えるジムと、何故かステージわきの物置みたいなところに入っていくゲイリー。アンコールの拍手を受けて、ゲイリー物置から再登場(笑)

松本さんに感謝の言葉を述べながら、レオ・セイヤーの「When I Need You」をおどけて歌う二人。「今のはジョーク。これがアンコールの曲」と言って演奏し始めたのがビートルズの「Two Of Us」。途中でハモるのを失敗して最初からやり直し。オリジナルはもちろん、映画『I Am Sam』のサントラのエイミー・マン&マイケル・ペンのヴァージョンもニール&リアム・フィンのヴァージョンもどれも好きだけど、この二人の全く異なる声質でのハモリも最高だ。願わくは、グレン&クリスのヴァージョンなんかも聴いてみたいな(突然妄想開始)。

もう一度ステージを降り、もう一度バックステージと物置から現れる二人(笑)。「これが本当に最後だからね」と、再度チープ・トリックの今度は「Surrender」。観客大合唱。ああもう、みんな(多かれ少なかれ)同じ世代なんだから。


物販の様子を見ていると、かなりの数のお客さんがCDを買っていく。まあ、二人ともどこのCD屋でも手軽に入手可能というわけじゃないからね(少なくとも僕は、毎週のように通い詰めている某あっちのレコ屋や某こっちのCD屋で彼らのCDを見かけたことがない)。それに、あの生演奏を聴いた後なら、誰もがCDを買って帰って追体験したいと思わずにはいられないだろう。

面白かったのが、どのお客さんも松本さんにどのCDがお勧めかと聞いて、松本さんが「ゲイリーなら1曲しか演らなかった新譜じゃなくてこっち(一つ前のアルバム)」と勧めていたこと。新譜売りたくないの?(笑)。「ジムの最新作には歌詞を書いたマグネットが入っていて、切り離して遊べるんですよ」とか。

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僕が買ったジム・ビアンコの2枚のCD。左側が、ブートかと思うような白地に表面スタンプ、裏面ステッカーという簡素な造りのライヴ盤。収録されている曲から推測して最新作に前後して出たものかと思い、サインをもらいがてらジムに訊いてみたら、去年出た新作『Loudmouth』とほぼ同時期の録音だそうだ。右側は、数年前の来日時に松本さんが作った(?)8曲入り『Steady』。こちらも、ブートレグでも最近もう少しましに作るだろうというような(笑)お手製感満載なペラジャケ。最初の方に書いた「Downtown」はこのCDに収録。

観客からサイン攻めにあっているゲイリーに比べて比較的ヒマそうに座っているジムに話しかける。もう5回目の来日だって?来年もまた来る?「来年はぜひバンドで来たいね。普段アメリカではバンド編成で回ってるんだ」。「このオレンジ色のジャケのはもうあまり売ってない。何年か前に日本に来たときの来日記念盤だ。レアだけど、この中から今日は2曲も演奏したよ」等々。

僕の後ろでサインを待っている女性ファンに気づいて場所を代わる。『Loudmouth』からマグネットを取り出し、「こうやって遊ぶんだ」と、マグネットを次々に切り離し、ジャケに単語を置いて教えるジム。なるほど、そういうマグネットか。でもあのお客さん、持って帰るときにピース無くさなければいいけど。

あ、そういえば、あの二人で取り囲んで歌った女性客は誰だったの?と訊くと、なんと「いや、実はよく知らないんだ。別に誕生日でもないと思うよ。ゲイリーが率先して歩いていって、ああいうことになったんだけど、悪いことしたかな(笑)」だって。。どうりで照れくさそうにしてるわけだよ(笑)

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持参した『Trading〜』のジャケにサインをもらい(会場で売ってたのはデジパックだったな。ちょっと残念)、ゲイリーに薬指の刺青を見せてもらって同じポーズで写真を撮らせてもらう。

ゲイリーともしばし話す。「次に来るときは息子と一緒に来たいと思ってる。8歳になるんだ」。いくら「バンドで来る?またジムと一緒に来る?」と質問しても「息子と一緒に」と答えるゲイリー。子煩悩だね。次の来日(来年?)までには新作をリリースする予定だとのこと。それまでは、今回会場で全部揃えたバックカタログを聴いて予習しながら、楽しみに待っていよう。


さて、時刻も11時に近づき、お客さんは一人また一人といなくなる。でも、ライヴ終了後にサインをもらったりアーティスト本人とダラダラ喋りながらいつまでも会場に居座るのが僕らグレンヘッズの常(笑)。この日も、もう他のお客さんがほぼ居なくなった後、ジムは赤ワインを飲みながらおくつろぎモード、ゲイリーはまだ僕らと話していたところ、松本さんがゲイリーに「この人たち、グレン・ティルブルックのファンだよ」と言ったら、なんとゲイリーがギターを持ってきて、その場で「Pulling Mussels」を弾き始めた。

歌詞はあちこちうろ覚えで鼻歌みたいになったけど、そこは僕らが一緒に歌ってそれなりにフォロー。どうせワンコーラス程度だろうと思いきや、間奏も入れてちゃんと最後まで歌いきってくれた。あの難しいギターソロも途中までちゃんと弾いてくれたし(「そのソロは難しいぞ」とくつろぎながら茶々を入れるジム。でも偉そうにふんぞり返りながらも一緒に歌う)。それにしても、なんであんなの練習もせずに即興で弾けるんだ?すごいよゲイリー。

わずか限定3名向けの超スペシャル・アンコール。しつこく居座っていた甲斐があったよ。松本さん、ありがとう。おかげさまで、ただでさえよかったライヴが本当に特別なものになりましたよ。そしてなによりも、こんな素敵なライヴにしつこく(笑)誘ってくれてありがとう。これでまたCDを全部集めないといけないアーティストが増えてしまった(ゲイリーのはとりあえず揃ったけど)。


ライヴ2日後の今日、東京は暴風雨。本当は一日中会議が詰まっていたんだけど、午後3時頃には夕方にかけて首都圏の交通網がマヒするからと、会社から退去命令が出た。おかげで、週末まで書けないかと諦めていたこの記事も、まだ記憶が新鮮なうちに書き終えることができたよ。きっと、僕の音楽の神様が、友達の雷様みたいな奴(イメージ:往年の高木ブー)に言って天候を調整してくれたに違いない。

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2012年03月26日

Radical Face & Miaou live in Tokyo

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今回のラディカル・フェイスのツアー、僕は東京初日にあたる3月23日(金)の池袋の分しか予約していなくて、最終日の土曜日はぎりぎり直前になるまで行けるかどうか不確かだった。今、日曜日の夜に少し濃い目のハイボールで喉を湿しながら、この週末の記憶を洗いざらいぶちまけるべく準備しているところなんだけど、まず思うのは、最終日も行くことにして本当によかったということ。あやうくとんでもないものを見逃してしまうところだった。

最終日は、というか23日の池袋を除く今回のツアーは、ラディカル・フェイスとミャオウ(miaou)とのジョイントで、前座としてわざわざ大阪からウォーター・ファイ(water fai)という女子バンドが参加。場所は、僕にとってはタマス・ウェルズを最初に観た、懐かしの渋谷O-nest。いつもどおりまず6階に上がり、開場時間まで待機。さすがに3バンド共演だけあって、物販の量が前日とは桁違い。終演後の混雑を予想して、まずラディカル・フェイスの2枚のLPを購入。

時間通りに5階の会場に降り、500円の薄いハイボールで喉を湿しながら開演を待つ。開演時間を10分ほど押して出てきたのは、お揃いの白い衣装を着た5人組。前座のことまであれこれ書いてるときりがないけど、見た目からはちょっと想像つかないような硬派な音。ほとんどインストで、時折変拍子を交えたり、フリーキーなギターソロ(?)が入ったり、なかなか面白い。新作を一週間前に出したばかりで、4月28日にはまたこの同じ会場でレコ発ライヴを演りに来るということだったんだけど、残念ながらさっき調べたら僕その日はもう別件が入ってしまってるよ。次回に期待、ということで。


30分以上のたっぷりとした前座を堪能した後、セットチェンジ。ステージ最前列に左から小さいキーボード、小さい鉄琴、大きい鉄琴、大きいキーボードと、まるでバリケードでも築くように機材を並べるという変わった編成なので、セットチェンジにも結構時間がかかる。ドラムキットや鉄琴のあちこちにチェブラーシカのぬいぐるみが置いてあるぞ。

予習のために、ラディカル・フェイスがミャオウと一緒に録音した「Lost Souls」のビデオはユーチューブで何度も観たけど、このバンド自体にはそれほど興味を持っていなかった。わざわざ事前にCDを買うほどでもないと思っていたし、失礼な言い方をすると、僕にとってはラディカル・フェイスのライヴの2組目の前座みたいなものだと思っていた。

なんていう気持ちも、4人のメンバーが登場して、プログラミングされた不思議なサウンドに鉄琴のキンコンという気持ちいい音がかぶさるオープニングの曲が鳴り響いた瞬間に吹っ飛んでしまった。すごいよ、このバンド。とにかく曲がいいし、音のセンスも特筆もの。ベースの女の子が咄嗟にマレットを持ってキンコンと叩き、ベースの入るパートでそれを床に落としてブンブンとうなるベースに戻るとか、曲の頭でドラマーがステージ前方の鉄琴を叩き、急いでドラムキットに戻るとか、とにかく皆さん忙しそう(笑)。いや、かっこいいよ、マジで。最初見たときはリッケンバッカーのパチもんかと思ったあのベース、ギブソンのリッパーっていうんだね。いい音。覚えとこう。

別に日本のバンドを見下すつもりはないけれど、この音は立派にインターナショナルで通用するよ。前座だなんて思ってごめん。帰りにCD買って帰ろう(ライヴに来て初めて音を聴いて気に入ったからその場でCDを買うなんて、実は僕にとっては結構珍しい話。こう見えて見境なく買ってるわけではないのです)。

ミャオウのパートの最後、さあいよいよ噂に聞いていたラディカル・フェイスとの共演。この瞬間がこの夜の、というよりも今回のツアーのハイライトになるであろうというのは、ツアー中のリリコのブログや一本道さんのツイートで散々喧伝されてきたからね。心して観よう。

結論:涙こそ出なかったものの、こんなに美しい空間が他にあるかと思われるような、至福の10分間だった(本当は何分演ったのか知らないけど)。あのゆったりとした静かなイントロに導かれ、ベンがいつものようにそっと目を閉じてファルセットでハミングを始めた瞬間、二夜連続になってしまったけれど、この日も観に来ることにして本当によかったと思った。これを聴き逃すなんてありえない(とか書いて、昨日の記事に「行きたかった」と早速コメントを入れてくださったxiaoさんの神経を逆撫ですることが本意ではないんだけど)。


この夜のクライマックスは早々に訪れてしまったけれど、もちろんまだ終わりじゃない。ステージから沢山の鉄琴が撤去され、前日のピアノに変わってノードのキーボードがステージ前方に一つと、最初のウォーター・ファイのときからずっとそこにあるドラムキット(タムが一つ取り外されたのはこの時だっけ、それともミャオウの前?)、ずっとシンプルなセッティングになった。あのnestのステージが広く見えるよ。

ラディカル・フェイスの3人がステージに登場したのはもう9時をずいぶん回った頃だったかな。6時半開場なんて、今日はもしかしたら終わったら飲みに行けるぐらい早く終わるかもと思っていたけど、これは長丁場になるぞ。もちろん、前日ほどのフルセットでは演らないだろうことはわかっているけれど。

ベンの前にはヴォーカル・マイクが2本。こちらから見て左側のが通常のヴォーカル用で、右側がコーラスのパートを歌うとき用みたい。前日はTシャツ1枚だったけど、今日はその上にもう1枚チェックのシャツを着てきたね。前の日の方が寒かったのに。

ジャックがドラムス、ジェレマイアがキーボードに着く。ベンが「最初の曲は『A Pound Of Flesh』」と紹介してスタート。実際には、アルバムでその曲につながっている「Names」から始めたから、ここでいきなり『The Roots』オープニングの2曲を演奏。これを聴きながら思ったんだけど、昨日のブログに「Names」を演奏したと書いたのは間違い。演ってないよ、これ。というわけで、あとで消しておきます。

前日よりも若干尺の短かった(かつ、未発表曲とか演らなかった)この日は、ちゃんとセットリストを覚えたはず。2曲目(さっきのを1曲と計算すると)は、前日のバンドセットでのオープニングと同様「Wrapped In Piano Strings」。曲前の説明は前日よりも短めかな。今日は持ち時間が短いから急ぎ気味なのかも(そういえば、メモ用紙を見ながら「えーと、どの曲にしようかな」という時間もずっと短縮されていた気がする)。

前日の“クワイエット・ナイト”はよほど遠慮しながら演奏していたんだろうというのが容易に想像できるほど、この夜の演奏、特にベンのそれは実に活き活きとしていた。あんな陰鬱な曲を書いていながら、ディストーションを効かせて大音量でギターをかき鳴らすのが好きなんだね。

といっても、別にこの日の演奏が雑だったわけじゃない。繊細なアルペジオは冴えわたっていたし、前日ほど頻繁に楽器変更をしなかったせいか、ジャックとジェレマイアの演奏も実に安定していた。そういう意味では、演奏的にも、コンパクトでタイトなセットリストにしても、僕は前日よりもこの日が遥かによかったと思う。もちろん、前日の素晴らしい演奏を貶める気は一切ないけれど、やはりこの長い日本ツアーの最終日ということで3人とも気合が入っていたのかな。

「Winter Is Coming」を演奏する前に、前日にも言っていた「ジャックがこの曲を台無しにしてしまうかも」というのを今日も言ってから演奏したけど、前日にも増して完璧な演奏。少なくとも僕はジャックがこの曲を台無しにしたのを一度も聴いていないよ。曲が始まる前にベンが「うまくいったらあれをやろう」と言ってた“ベリーハイファイブ”を見せてもらったし(見ていない人のために解説:スイーツ好きの二人がシャツをたくし上げて、臨月かと思うような二つの大きなお腹をぶつけ合うという光景は、ジャックが演奏を失敗していたら見られなかったはずの貴重な映像)。

僕の大好きな曲の一つである「Severus And Stone」とか「Always Gold」(もちろんこちらも大好きな曲の一つ)で、ジェレマイアがストラトキャスターのアームを使って幽霊の音を出す。「Always Gold」の間奏のときはジャックもドラムを使ってお化けの音で応答。アルバムのヴァージョンとは全然違うけど、いいね、あれ。

先ほどの「Lost Souls」のお返しのつもりか、本編最後の「Welcome Home」でミャオウのメンバーをステージに呼んでコーラスを任せる(インパートメントのsinさんも呼ばれて引っ張られてたけど、断固として出て行かなかったね・笑)。前日と同様、「曲を知ってたら一緒にコーラスをお願い。知らなくても叫んでいればいいから。もっとアメリカ人みたいに」と言い、曲に入る前に2度ほど観客に練習させる。「声が小さい、もう一度」とか言って。僕はもう二日目だから慣れたけど、これがあの死人の歌ばかり歌ってるラディカル・フェイスのコンサートだとは(笑)

アンコールの「Glory」は素敵だった。前日のこの曲の演奏もよかったけど、これが本当に今回の日本での演奏の最後だとわかっていたからか、実に素晴らしい演奏と歌を聴かせてくれた。そして、アンコールのラストは前日同様、ロビンフッドの曲のメドレーだったんだけど、

ロビンフッドの曲だと、そこまで説明したところでベンがステージ際にいる僕の方に向かって、「ごめん、『Mountains』は練習したんだけど、うまくいかなかったんだ」と、わざわざ断ってくれたんだ。びっくりした。そんな前日のリクエストを覚えていてくれたばかりか、一応は練習していてくれただなんて。そして、そんなことをわざわざ観客席にいる僕に言ってくれるなんて。

ロビンフッドの曲では、前日同様メンバーの2人がマラカスとタンバリンを持ってステージを歩き回る。ジャックに至っては曲が始まる前からステージを降りて観客席でスタンバイ。最前列にいた僕からはよく見えなかったけど、曲の間中、観客席を動き回っていたみたい(ジェレマイアも追って観客席に乱入)。

そういえば、どこで出たジョークだか忘れたけど、前日にジェレマイアの口髭をフレディ・マーキュリー風に整えてあげたらしく、しきりにそのことを言いながら「I Want To Break Free」を歌ったりしてたね。アンコールのときに観客席から「Never Ending Story!」って声が上がったらその曲を歌ったり。この人って、普段もっと暗い曲ばかり聴いてるのかと思いきや、こんなヒット曲ばかりよく知ってるよね。


ライヴ終了が確か10時40分ぐらいだったかな。ウォーター・ファイが始まったのが7時10分過ぎだったから、そこから数えても3時間半。入場した時点からだと実際には4時間ぐらい立ちっぱなしだった。どうりで腰も痛くなるわけだ。ここから、再度6階に戻って物販&サイン会&雑談会タイムの開始。

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まずは、2枚のLPにサインをもらう。『The Family Tree: The Roots』を、僕の去年のベストアルバムだと言ったら、「これを年間ベストアルバムに選んでくれてありがとう」とメッセージを書いてくれた。ちなみに、『Ghost』のジャケットの人物はベン本人だそうで、更に言うと、彼が屋根に座っている建物は、このアルバムが録音された場所だとのこと。

概ねファンに囲まれてサインや写真をせがまれていたベンだけど、暇になる瞬間が時折訪れるようで、そのあたりをうろうろしていた僕と何度も話してくれた。以下、ラディカル・フェイスよもやま話。

『The Roots』に続く『The Family Tree』第二作のレコーディングにはすでに取りかかっていて、おそらく来年のリリースになるとのこと。さらに第三作目はその翌年の2014年になる予定なので、そもそもこのプロジェクトを考え始めた2007年から数えると、7年越しのプロジェクトになるそうだ(もともとは3年ぐらいで終わらせるつもりだったとのこと)。

『The Roots』のリリース直前に『The Bastards: Volume One』がリリースされたように、今後リリースされる2枚のアルバムの前にはそれぞれ未発表曲(というか、その2枚のアルバムからは惜しくも漏れてしまった曲たち)を収録したEPが発表されるそうだ。そして、この壮大なプロジェクトが完成した暁には、3枚のアルバムと3枚のEPをすべて収録した限定生産の本をリリースすることも考えているらしい。

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前日の池袋ミュージック・オルグでの2曲目、“まだ録音していない新曲”というのは、次作『The Branches』に収録される予定の「Mute」というタイトルだそうだ。もっとも、「僕はとても沢山の曲を書いては録音して、最終的にアルバムに収録されるのはその内のほんの一部だから、最後までわからないけどね」とのこと。

ちなみに、前日アンコールの1曲目で演奏されたのは、もともと『The Roots』のシークレットトラックとして彼のウェブサイトに隠されたヒントを頼りにダウンロードできた(今回会場限定で発売されたCD-Rにも収録されているから、そんな面倒な手段は取らなくて済んだ・笑)曲、「Bishop's Song」。

この日の午前中に渋谷の某巨大中古レコード店でLPを漁っていた彼(「12枚買って7000円!」と自慢する姿が他人とは思えなかった・笑)に、「何を買ったの?」と聞いてみたら、デイヴィッド・ボウイの『Space Oddity』とか、キュアの『Boys Don't Cry』とか、サイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water』とか、ラディカル・フェイスがそんなの聴くのかというようなものばかり(いや、別にいいんだけど、もっとマイナーなのを想像していたものだから)。しかも、そのほとんどは、エレクトリック・プレジデントの相棒であるアレックスへのお土産だそうだ。帯付きの日本盤が珍しいからだって。

そうそう、ベン・クーパーの実物を最初に見たときから、身長といい髪型といい(ここ数週間僕も伸ばしている)髭といい、きっと傍から見たら僕らそっくりに違いないぞと思っていたんだけど、一緒に写真を撮ってもらったらこのとおり。

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ミャオウのCDもゲット。メンバー4人(サイドギタリストはサポートだそうで、正式メンバーはMCもしていた方のギタリストと、ベースとドラムスの二人の女性の計3人)のサインと、ゲスト参加しているベン・クーパーのサインももらう。この5人が一同に会することなんてこの先あるかどうかわからないからね、貴重なものを手に入れたよ。ライヴがあれだけよかったから、このCDもちゃんと聴き込もう。

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ジェレマイアとジャックにも、チケットの半券にサインをもらう。ラディカル・フェイスはライヴのたびにメンバーを変えるという話を聞いていたから、ジェレマイアとベンに次にもし来日することがあったら別のメンバーなのかな?と聞いてみたら(そんなこと本人の前で訊くなよと今さらながら自分でも思うけど)、ジャクソンヴィルのミュージックシーンはとても小さなもので、その時々で集まれるメンバーが集まるから、次回も彼らかもしれないし、そうでないかもしれない、とのこと。たとえ次回の来日メンバーが彼らでなくても、それは別に彼らがクビになったとかそういう話ではないんだって。なんかちょっと安心。

ジャックにサインをもらいに行ったら、彼も「『Mountains』できなくて悪かったね」と。彼とは前日話してないのに、なんでそんなの知ってるんだろう。ほんとに3人で練習してくれたんだね、とまたちょっと感動。「あの曲はコーラスが必要だから」と言うから、「僕できるよ」と答えると、「じゃあ次回はスレイベル持ってくるよ」とジャック。彼はずっと冗談ばかり言ってたね。面白いやつ。

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ベンとレコード談義していたときに、いいレコ屋を知らないか?という話になって、翌日安レコの買える店に一緒に行くことになった。というわけで、今日(長々と書き続けていたせいでもう昨日になってしまったけど)は楽しい一日を過ごさせてもらった。オフ日のことまで事細かに書くのは気が引けるから詳細は割愛するけど。

別れるときに、「来年にでもまた来てよ。楽しみにしてるから」と言ったら、「うん、新作と一緒にね」と言ってくれたベン。ほんとに楽しみにしてるからね。僕の2013年と2014年の年間ベスト・アルバムの座は空けて待ってるから。

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Setlist 24 March 2012 @ Shibuya O-nest

1. Names
2. A Pound Of Flesh
3. Wrapped In Piano Strings
4. Black Eyes
5. The Moon Is Down
6. Doorways
7. Ghost Town
8. Severus And Stone
9. Winter Is Coming
10. Always Gold
11. Welcome Home

[Encore]
1. Glory
2. Love Goes On / Oo-De-Lally (?)
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2012年03月24日

Radical Face live in Tokyo

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いろんな意味で予想を裏切られたライヴだった。というか、そもそも僕はこのラディカル・フェイスことベン・クーパーという人には予想を裏切られ続けてきている気がする。

僕が彼のファースト・アルバム『Ghost』を買ったのは、08年のことだった。ジャケットとインナーに写る人物の顔の部分はどちらも加工されていて表情すらわからなかったから、よもやあの悲しげな歌声の持ち主があんなにずんぐりとした熊のような体型、ほぼ坊主頭に髭だらけの丸顔だなんて予想もしなかった。そう考えると、あのジャケに写った人物は(少なくとも今の体型の)ベンではないよね。

そして今日、霧雨の中を池袋まで出かけて観てきた動くベン・クーパー(とその仲間たち)が、あの沈鬱な曲を奏でている人たちと同一人物だとは、自分の目の前で本人たちが演奏するのを観ていても、どうにも受け入れがたい気持ちだった。

まるで、肉体を持った幽霊たちが、互いにジョークを飛ばしながら楽しげにじゃれあっているのを見るような、そんなシュールな場面を目撃したかのよう。


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池袋駅からうまく地下道を通れば、ほぼ雨に濡れずにたどり着くことのできる好立地なヴェニュー、ミュージック・オルグ。地下2階にある、かなり小さなハコだ。聞いたところによると、60人だか80人も入れば満員になるらしい。そして今日は、上の小さな写真を見ればわかるように、前売りの段階で既に60人だか80人のお客さんがここに詰めかけることになっているようだ。

開場に入ると、左の壁際にベンチシートと寄せ集めた椅子が一列に。右側には楽器が並んでるけど、ヴォーカルマイクと左側のベンチとの間はたぶん2メートルもない。どこかで見たな、こんな光景。あ、そうか、レジャー・ソサエティを観たロンドンの船だ。あのときは入場したらもうベンチは一杯だったのでほとんどマイクスタンドの隣みたいな場所に立って観たんだったけど、今回は開場一番乗り。まだ開演まで30分もあるから、ゆっくり座って待たせてもらおう。たとえ前に人が入ってきても、せいぜい自分の目の前には2-3人しか立つスペースがないからそんなに見づらいことにもならないだろう。

開演時刻の8時を少し過ぎたあたりで、サポートメンバーのジャックが登場し、置いてあったテレキャスターを抱えて歌い始めた。ベン同様、顔中を覆うような髭が生えているのは来日直後の写真で見ていたけど、なんだか口髭の先がよじったように上を向いてるぞ。ダリかお前は。

30分ほどのジャックの弾き語り(全然期待していなかったわりには結構よかった)の後、そのまま客席(というか、会場中を埋めた60人だか80人の観客)をかき分けて、ベンともう一人のサポーターのジェレマイアが登場。ジャックとジェレマイアはその辺で待機し、まずはベンがテレキャスター(熊のイラストつき)で演奏を始める。

オープニングは『Ghost』から「Along The Road」。アルバムとはずいぶん感じが違うね。ピアノでなくギターだからか。2曲目、「これはまだ録音していない新曲」というのが始まった。そういえばこの人って完璧主義者でボツ曲がやたら多いという話だよな。この時点でセットリストを記憶する努力を放棄。たしかその次が、「シニード・オコーナーのカバー。ほんとはプリンスの曲だけど有名にしたのはシニード。知ってたら一緒に歌ってもいいよ。ただし、オリジナルよりずっとスローで、ずっと憂鬱なバージョンだから」と冗談交じりに紹介した「Nothing Compares 2 U」。

ここでサポートの2名が配置につく。たしか最初はジャックがドラムスで、ジェレマイアがピアノだったかな。この後もこの二人は曲ごとにどんどん楽器を交換しながら演奏する。器用だね。ジャックがドラムス、ピアノ、パーカッション(タンバリンとかマラカスとか)。ジェレマイアがピアノを弾きながらピアニカを吹いたり、ステージ右側に置いてあったストラトを弾いたり(確か1曲ドラムも叩いたっけ?)。

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3人編成になってからは、ほとんどが『Ghost』と『Family Tree: The Roots』からの曲だった。最初が「Wrapped In Piano Strings」だったかな。でも後は曲順覚えてないや。演奏したことを覚えている曲を順不同で書き記すと、

ファーストから、「Welcome Home」、「Glory」、「Wrapped In Piano Strings」、「Along The Road」、「Winter Is Coming」、「Homesick」。

セカンドから、「Names」、「Black Eyes」、「Severus And Stone」、「The Moon Is Down」、「Ghost Town」、「Always Gold」。

セットリストを決めていないようで、ベンは前の曲が終わるたびにポケットから小さなメモ用紙を取り出し、おそらくそこに書いてある演奏候補曲のリストを一回一回結構長い時間をかけて検討し、ときにはメンバーに「次はXXX」と指示し、ときには何も教えずにいきなり演奏を始めたりする。

メンバーの2人もそれを楽しんでいるようで、ベンが演奏しようとしている曲を想像してそれぞれの楽器について演奏を始める。一度、ジェレマイアが「てっきりあの曲かと思ったからギターを持ったのに、そっちの曲だったか。じゃあドラムだ」とか言ってたのを覚えてる(だから彼がドラムスも担当したと思ったんだけど、でも彼がドラムを叩いてるところを見た記憶がないな。というか、僕の位置からはベン以外はほとんど見えなかったんだけどね)。

そう、最初に書いたとおり、彼らが曲間であんなに冗談を飛ばしながら笑い転げる姿を見て、僕はなんだかとてつもない違和感を抱いてしまった。決して悪い意味でなく、ああそうか、この人たちはこういう普通の陽気なアメリカンなんだなと。

それが、ひとたび曲に入ると、あたり一面ラディカル・フェイス色に染まってしまう。おぼえたての日本語で「イチ、ニ、サン、イチ、ニ、サン」とお得意の三拍子のカウントで始めるんだけど、最初のギターの一音、そこにピアノがかぶさり、ブラシで叩くドラムのフィルインが入り、ベンが目を閉じて歌うと、もうそこは違う世界。

そう、ベンは終始目を閉じて歌っていた。まるで、自分が書いた曲の中の死者たちと交信するためにはそうするしかないとでもいうように。

そういえば、どの曲の紹介だったか、「次の曲では誰も死なない」と冗談めかして言ってたね。どの曲もしっかりと内容を説明してから演奏を始めていたのも印象的。たとえ目の前の60人だか80人の日本人のほとんどが歌詞の意味をろくに理解していないかもしれなかったとしても。「次の曲は『Homesick』っていって、えーと、ホームシックになることについての曲」とか適当なのもあったけど(笑)

「次の曲は『Always Gold』」って言ったときに僕が小さな声で「やった」みたいなことを言ったら、ベンが目ざとくこっちを指さして「彼は知ってるね」とか言ってくれた。それほど、それまでどれだけ曲紹介してもほとんど反応がなかったのを気にしていたのかな。もっとイエーとかヒューとか言ってあげればよかったかな。

この日は“クワイエット・ナイト”だったそうで、できるだけギターにディストーションもかけずに静かに演奏していたようだ(それでも、時おり盛り上がることはあったけど)。それが、終盤の「Winter Is Coming」で「ちょっとだけでかい音でやろう。sin、今日は怒られないよね?」とベン(数日前にカフェで大音量で演奏して怒られたらしい)。「この曲は後半にいくにしたがってスピードが速くなるんだ。それを(ドラムスの)ジャックがいつもダメにするんだよ」なんて言いながら演奏開始。いやいや、全然ダメになんてなってなかったよ。かっこよかった。

「Welcome Home」が本編最終曲。「次の曲をもし知っていたらコーラスのところを皆で歌って。アルバムでは沢山の声が入ってるからそういう風にしたいんだ。曲を知らなくても歌詞なんてない部分だから、隣の人が歌うのを聞いて同じように叫べばいいんだよ」と言ってスタート。結果は、60人だか80人の大合唱。ああ気持ちよかった。

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ベンがギターのストラップを外し、ステージを降りようとする間にもアンコールの拍手がすでに始まっている。そのまま再度3人で楽器を持ってアンコールへ。いちばん最後の曲はディズニーのロビンフッドからの曲のメドレー(って言ってたよね?僕は知らない曲だった)。ジャックとジェレマイアがマラカスとタンバリンを持ってベンの周りを踊りまわるという、よもやこれがラディカル・フェイスのライヴだとは思えないような陽気なエンディング。


終演後は、会場奥の物販とベンの前に長蛇の列。なにしろ今回は日本ツアー限定の7曲入りCD-R『Japan 2012』をはじめ、結構貴重なブツが売り出されてたからね。僕はとりあえずそのCD-Rを買い、ベンにサインをもらう。LPも欲しかったんだけど、わざわざ雨の日に持って帰ることはないかとひとまず放流(僕のことを少しでも知っている人は、このあと放流した物を二度手間かけて買いに行くというのを既に予測しているはず)。

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Radical Face 『Japan 2012』

サインをもらいながら少しだけベンと話す。「明日はもっと騒々しくなるよ」とのこと。「『Mountains』演ってくれなかったね、あの曲好きなのに」と言うと、「あれは3人で演奏するのに向いてないんだ。もっと大人数で演るか、もしくは一人のときかな」と言うから、「じゃあ明日オープニングのソロのところで演ってよ」とリクエスト。「うーん、まず練習してみるね」と言ってくれたけど、果たしてどうなることやら。

ということで、“明日”である今日(もう日付が変わった)、今から約16時間後には僕はまた一番乗りを目指して渋谷O-nestに向かっているはず。ベンは「Mountains」を歌ってくれるだろうか。僕が放流したLP(とその他のシングルやらTシャツやら)はちゃんと売れ残っているだろうか。

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2011年12月11日

Tamas Wells live in Osaka 2011

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濃厚な二日間を過ごした大阪を後にして、さっき無事帰宅。タマス・ウェルズの音楽とそれにまつわる諸々についてあまりにも沢山の出来事があったので、もうなんだか頭の中がオーバーフロー気味になってしまっているけれど、なんとか整理して少しでもここに書き記しておこう。

東京公演の余韻も冷めやらぬ12月9日の朝に大阪に移動し、腹ごしらえをした後、FM802のスタジオを訪問。なんでそんなところに行ったかというと、FM802のBEAT EXPOという番組にタマスが出演してインタビューとスタジオライヴを収録するというイベントがあり、僕はその番組で通訳をお手伝いさせてもらうことになったから。

しばらく前にインパートメントのsinさんの通訳募集というツイートを読み、どうせこの日はタマスのライヴまではレコ屋でもうろついてるほかにはやることないからと、通訳なんてやったことなかったけど、ほかに誰もいなければやりますよと言ってみたのがきっかけだった。

20分ほどの短いコーナーだったけど、ポイントを突いたいい内容のインタビューと、DJの早川さんも聞き惚れていたタマスとキムによる2曲。ネタバレになるのでここに内容は書かないけど、12月28日の夜7時から9時までの番組中のどこかで流れるとのことなので、FM802を受信できる関西のタマス・ファンの方はぜひ聞いてみて。なんだかボソボソしゃべってる通訳のことは無視していいからね。

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夜。どうせ時間まで特にやることないし、せっかくならまた前の方で観たいからと思って、また開場の30分前に会場に着いたら、同じビルの他のテナントの邪魔になるので開場時間に来てくださいとのこと。ごもっとも。一旦ずらかり、タコ焼きとビールで軽く腹ごしらえして、今度は7時ちょうどに再来場。前日とは逆の手の甲にペタンとスタンプを押してもらい、中に入る。前日とはうってかわって、とても小さな会場だ。去年タマスを観たsonoriumを、さらに一回り小さくしたぐらいの規模かな。ステージ(といってもまた段差もなにもないけど)の前にスツールが5脚ほどx2列。それより後ろは立ち見になってしまうんだね。僕は前日とほぼ同じ位置。東京より前座が一人増えて長丁場になるかもとのことだったので、年寄りは座らせてもらいますよ。

オープニング・アクトは、ウェザー・スプーン(weather spoon)というバンドのトレノ(toreno)という人。日本語詞だけど、ちょっとブロークン・フライトみたいな感じ。途中のMCで「僕もみなさんと同じような音楽が好きなんですよ」と言っていたのがよくわかるね。メルボルン・コネクションの飛び地、あるいは日本支店、みたいな感じで。

続いてキム・ビールズ。基本的には(5曲目に演った「Wedding Song」以外は)前日と同じ曲目だったけど、曲順は変わってたかな。曲の簡単な背景とかを日本人にもわかるようにゆっくり説明してくれたり、オフィシャルには来年出る予定のアルバムを今日持参したからよければ買ってねと言ったり、彼の書く曲同様、人の好さがにじみ出るようなほのぼのしたステージ(終演後に、思ったよりキムのCDが売れたとsinさんから聞いた。よかったね)。


そして、トリのタマス・ウェルズ(・トリオ)。3人でステージに立つや、まだBGMも鳴り終えてもいおらず、観客もまだざわざわしているうちに、「マイ・ネーム・イズ・タマちゃん」と自己紹介して、いきなり「Fire Balloons」を奏で始める。それを聴いて観客いきなり黙る、みたいな。まったく、勿体つけないにもほどがあるよ。

前日と同じ流れで曲順が進む。前日同様、リラックスしながらも何か新しいことを試してみようという雰囲気が流れている。自分のライヴの客はリピーターが多いということがわかっているから、少しでも飽きさせないように(そして、自分でも飽きてしまわないように)そうしているんだろうね。

同じ曲でも、曲紹介の内容が前日とは違うのがいくつかあったね。「Thirty People Away」では、自分の友達がミャンマーの水かけ祭りに参加していて、誰かが突然群衆に向かって手榴弾を放り投げて数十名死亡・負傷者百名以上という大惨事の、その爆発地点からたった30人の距離にいたという実話をきちんと説明してくれた。

前日はびっくりしたのが先に立ってあっという間に終わってしまった感のあった「Moonlight Shadow」のタマス・ヴァージョンをこうしてじっくり聴いてみると、確かにあの曲のコード進行とかメロディーラインとかって、タマスが書いたと言われればそうかと思えてしまうね(あれをタマスの新曲だと思ったと何人かの友達に言われたので)。

本日の「Valder Fields」はオリジナルに忠実なイントロなしバージョン。「この曲は、04年に初めてミャンマーに行って北部を訪れたときに、泊まった家に古いミャンマーのギターが置いてあって、それを使って作ったんだ」と説明。その話は初耳。ちなみに、終演後にタマスと話していたらその続きを教えてくれて、できたばかりのその曲を奥さんのブロンに聞かせたら、「それよくないからアルバムに入れるのやめたら?」と言われたんだって。ブロン、なんてことを…

「Signs I Can't Read」の紹介では、「ここ数年、ミャンマー国内の雰囲気が変わってきた。(スー・チー女史が解放されるとか)大きな動きもあったけれど、それだけでなく人々が希望について語るようになってきたんだ」とのこと。今まで彼がミャンマーについて話すときに、これだけ明るいトーンで語るのを聞いたのは僕は初めてだった。あとでタマスに聞いたんだけど、実は彼は例のHIV/エイズ関連のNGOでは今は働いておらず、2年ほど前から、より広い意味でミャンマーの人たちの生活が向上するように支援するという活動をしている団体に移ったとのこと。きっと、そういう活動を通じて、今まさにミャンマーが変わっているということを実感しているんだろう。

「For The Aperture」では、前日と同じく拍の頭で観客に手拍子を促すキム。僕は勝手に右手と左手でそれぞれの膝を1・2・3・4全部の拍で叩くことにした。あとでキムに「ちょっとあれやめてよ、やりにくいよ」と文句言ったら、「2・4の拍で手を叩くのは日本人だけだ。アジアの他の国ではどこも1・3で叩くぞ」と逆に言われてしまった。タマスも「オーストラリア人もだいたい1・3だね」と言うのでびっくり。「なんで日本人はそうなの?」とまで言われたけど、知らない。だって、その方が安定するよね。「それはそうだ、スネア叩く箇所も2・4だから、その方が理にかなっている」とキムは納得してくれたけど。

「For The Aperture」のエンディングで例の自転車のベルを鳴らすキム。この日は調子に乗って、お客さんに一音ずつ鳴らさせてたね。僕が座っていたアンソニー側までは残念ながら回ってこなかったけど。

そう、僕が座っていたのは、あの小さな会場の最前列、左側に置かれたキーボードの真ん前だったので、陣取りしてから「あ、まずい、これじゃまたアンソニーにプレッシャーかけてしまうな」と思っていたら、ステージに出てきたときにもう彼はこっち見てニヤニヤしていたな。「ごめん、ここ座ってしまった。緊張しなくていいから」と僕。案の定、この日もお約束のミスタッチがいくつか。そんなときにはなるべく彼の顔は見ないようにしておいてあげたけどね。

でも、「England Had A Queen」では、前日に間違って早く音を入れてしまった箇所で、タマスの顔を見ながらわざと弾こうとする振りとかする余裕があったね(タマスはシカトしてたけど・笑)。まさか、実はあの毎度お馴染みのミスは持ち芸としてやってるのか?

14曲目で、前日には演らなかった「Open The Blinds」を演奏。あ、ここからセットリスト変わるのかな、きっとリクエストした「The Northern Lights」とか「I Can Hear Music」とか演ってくれるかも、と期待していたら、結局その1曲以外はリクエストも含めて前日と全く同じだった。ちょっとがっかり。

終演後、タマスに「昨日リクエストした曲、演ってくれなかったね」と言ったら、「リハーサルのときに演奏し始めたら、どっちの曲も二番の歌詞を忘れていることに気がついた」だって。そんなことだろうと思ったよ。それにしても、「I Can Hear Music」はともかく、なんで自分の書いた曲の歌詞忘れるかね。

昨日書いた、タマス用のセットリストがないことについて訊いてみた。そしたらいともあっさりと「もう覚えてるから、リストなくても大丈夫」だって(「リストは見てもいいから歌詞覚えとけ」と言いたかったけど)。「曲順については、実はけっこう考え抜いてあるんだよ。同じキーの曲が続くとお客さんは飽きるだろうし、アンソニーやキムがどこで抜けて入るかとかも考えないといけないから」とのこと。

「だから、同じ場所で複数回演奏するのでなければ、基本的にセットリストは同じ。今回も、中国での5回からずっと同じリストだよ」とタマス。「複数回観に来る人もいるかもしれないのに」と言うと、そんなのはお前だけだと言われてしまった。

アンコール。アカペラで始まる「Abigail」に続けて「Reduced To Clear」が終わった途端、アンソニーがキーボードの上に置いてあったセットリストを「はい、これ」みたいな感じで僕に手渡してくれた。あ、ありがと。でも今日はもう最後だからもう一曲ぐらい演ってくれるよね、と思っていたけど、そのままアンコールの拍手もなく終了。時計を見てみたらもう10時半を回ってたからしょうがないね。


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タマスとキムのギター。キムに「このロゴのないギター、自分で作ったの?」と聞いたら、目をキラキラ輝かせて「これは木工技師の友達が作ってくれたんだ。この部分がタスマニア産のマホガニーの一枚板で、この部分はどこどこ産の何の木で、ほらこのヘッドの裏にシリアルナンバーが入ってるだろう、これは彼が作った2本目で…」と滔々と説明してくれた。自慢のギターなんだね、気付いてあげてよかった(笑)


数えてみたら、僕がタマスのライヴを観るのはこれでもう9回目になるのに、ちっとも飽きるということがない。日本には09年を除いてほぼ毎年のように来てくれている割には、毎回オーディエンスが拡大しているという感じとは言えないけど(レーベルとアーティスト自身にとっては大変だろうけど、いつも緊密な場所であの声と演奏を楽しめるというのは、申し訳ないけどファンにとっては逆にありがたい)。けっして、日本でツアーすることが彼らにとって大きな収入につながっているわけじゃないだろうけど、できれば毎年続けて来てほしいよ。タマスも来年の中頃にはミャンマーを離れてメルボルンに戻るということだから、今より少しは楽なフライトスケジュールになるだろうし。FM802を聴いて初めてタマスのことを知った関西の人が、きっと来年のツアーには来てくれるだろうしね。


Setlist 09 December 2011 @ Artyard Studio

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Open The Blinds
15. Melon Street Book Club
16. True Believers
17. England Had A Queen
18. Lichen And Bees
19. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear



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p.s. この日わざわざ大阪までタマスを追っかけていったおかげで、翌日、大切な友達の大事な日に一緒にいることができた。タマスも、めったにお目にかかることのできない異国のイベントに立ち会うことができて、よかったよね、きっと。

おめでとう。
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2011年12月10日

Tamas Wells live in Tokyo 2011

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あれからちょうど一年。2010年の暮れに僕たちに素敵な記憶を残してミャンマーに帰って行ったタマス・ウェルズが今年もやってきてくれた。9月末に予定されていた公演が、タマス自身のミャンマービザ更新手続きの関係で延期となっていたのが、ようやく年末ぎりぎりになって実現した。中国5都市でのツアーを終え、今回は東京と大阪で一回ずつ。まずは、東京公演の様子を(「まずは」ということは、お察しの通りこれを書いているのは大阪のホテルの一室なのでした)。

素晴らしい音響空間と最高級のスタインウェイの音を聴かせてくれた去年のsonoriumがこれからタマスの定番ヴェニューになるのかと思っていたら、今回は原宿のVacantというところ。あいにくの(というか、幸いというか)雨のせいで、いつもは女子校行きの満員電車みたいな竹下通りもこの日は人通りもまばら。すいすい歩いて、駅から5分ほどで着けた。一階はおしゃれな雑貨屋さん、二階が150人入るという(今回の限定客数)イベントスペースになっている。

段差のないだだっ広いスペースで、前の方には座布団、後ろの方には店中からかき集めてきたと思しきいろんな種類の椅子やソファが並べてある。ステージにも段差があるわけじゃないから、できるだけ前の方で観たいと思い、ちょっと早めに並んで最前列をキープ。隣に座ったN君はさっそく靴を脱ぎ、「ジャージ着て来ればよかった」などとすっかり自宅モード。

前回同様、前座はキム・ビールズ。今回はエレキギターを持ってきたんだね。ヘッドに何のロゴも入ってないナチュラルカラーの変わった形。ボディがどことなくブライアン・メイのギターっぽい形してるから、もしかしてブライアン同様、自作?

来年発表予定のニューアルバム『Tambourine Sky』からの曲を中心に30分。今回は持ち時間をオーバーすることなく終了。ちなみにこの新作、このツアーのために先に数十枚製作して持ってきたらしい。だから裏ジャケのクレジットも2012年になっている。アルバムのクレジットを見ると、10人ものメンバー構成で、いろんな管楽器やクラシカルな弦楽器も入っているようだ。レジャー・ソサエティみたい。今回はギター一本のシンプルなアレンジだったけど、あれらの曲がどういうアレンジになっているのか聴くのが楽しみ。


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男女一つずつしかないトイレの長蛇の列をクリアして戻ってきたから、実感的にはかなり短かったインターバルを置いて、タマス、アンソニー、キムが登場。キムはステージ左側のノード前に座り、タマスはいつものマーティン、キムはさっきのエレキ。アンソニーの後ろにはお馴染みのミャンマー・バンジョー。タマスの足元にはホルダーにセットされたハーモニカも置いてあるぞ。

いつもの「マイ・ネーム・イズ・タマス・ウェルズ」という挨拶とともにポロポロと弾き始めたメロディーを聴いてびっくり。「Fire Balloons」だ。もう演るの!? 一年ぶりの生タマスを、僕の中では一二を争うこの曲でスタートできるなんて。

この曲をはじめ、ほとんどの曲でキムがハーモニーを効かせる。タマスの声だけを聴いていたいという気持ちもなくはないけど、こうやって聴くのもまた格別。ちなみに、終演後アンソニーに「コーラスに参加しないの?」と聞くと、苦笑いしていたよ(苦笑)

2曲目の「Vendredi」を除いて『Thirty People Away』からの曲を数曲続けた後、タマス自身によるハーモニカを交えた、聞き覚えのないイントロの曲が。なんだろう、新曲かなと思って聴いていたら、歌いだしの歌詞を聞いてまたびっくり。「Moonlight Shadow」だ。マイク・オールドフィールドの。もちろん原曲の派手なギターソロとかはないし、歌詞含めてあちらこちら端折ったバージョンではあったけど、なんか貴重なものを聴いて得した気分。「アーティストも曲もあまりよく知らなかったけど、あの曲のメロディーはずっと昔から耳に残ってたんだ。それで、歌詞を覚えて自分なりのバージョンにして歌ってみた」とは、終演後のタマス談。

ミャンマーのことについて話し始めたので、きっと「Signs I Can't Read」かなと思いきや、次の曲は「Thirty People Away」。たぶんこの曲を日本で演奏するのは初めてじゃなかったかな(もし去年の京都で演ってなければ)。

続けて、また聞き覚えのないイントロ。今度こそ新曲かなと思っていたら、なんと「Valder Fields」。オリジナルではイントロなしで歌い始めるこの曲、ライヴではよくこうやっていろんなイントロをつけてくれるんだけど、そのどれもがまた綺麗なメロディーなんだよね。それにしても、相変わらずこの(ファン目線でいうと)一番の名曲をこういうさりげない箇所であっさり出してしまうんだね。本人的にはそれほど気に入ってるというわけじゃないのかな。

この日初めて『Two Years In April』から、「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。この曲と、前半に演奏した「The Crime At Edmund Lake」には、オリジナルにはないキムとのコーラスのエンディング部分が追加されていた。以前、「Reduced To Clear」のエンディングに、CDでは歌われていないパートを付けて完全版として歌っていたのと同じような感じ。というよりは、キムとリハーサルを続けていて、「この曲はこういう風にした方がよくない?」とか言って改良したんだろうね。なんだか、タマスの曲が少しずつ成長するのを見ているよう。

ここで一旦キムとアンソニーが退き、タマスがキムのエレキギターに持ち替えた。タマスがエレキ弾くのを見るのなんて初めて。ハーモニカホルダーを装着し、誰もがこの日この曲を歌ってくれるであろうことを期待していた台詞を話し始める。「31年前の今日、ジョン・レノンが殺されてしまった。彼の曲を歌おう」と、日本で聴くのは08年の東京公演以来になる「Nowhere Man」。

「2008年の5月2日、僕の住んでいるミャンマーにサイクロン・ナルギスが上陸して、14万人もの人が亡くなってしまったんだ」と、正確な日付と数字を覚えていたことに驚き(帰って調べてみたら、日付は正解、被害人数も13万8千人と、これも正しかった)、続けて演奏された「Signs I Can't Read」に聴き入る。去年のsonoriumでは自らのピアノで聴かせてくれたこの曲を、今回はエレキギターの弾き語りで。

更に「The Opportunity Fair」をエレキで弾いたあと、キムとアンソニーがステージに戻り、エレキはキムに返し、タマスは自分のマーティン、アンソニーがバンジョーを持って、「For The Apperture」。以前、シンガポールでタマスを観たとき、拍の頭で手拍子をするシンガポール人のことを書いたんだけど、今回はギターを置いてタンバリンを持ったキムが、拍の頭で手を叩くように観客を促す(自分は2・4でタンバリンを叩く)。しょうがないから従うけど、ああやりにくい。

続く「Writers From Nepean News」の間奏部分で、お馴染みの(笑)アンソニーのミスタッチ。いい加減毎回同じところでミスるのやめれば?(笑)。終演後に話していて、「いつもミスったときには君の顔見てしまうんだよ」と言われてしまった。ごめんね、そんなにプレッシャーかけていたとは。ちなみに、ラスト近くの「England Had A Queen」でもまた去年と同じくアンソニーが早くキーボードの音を入れてしまって、タマスとキムが苦笑いしながら見ていたよ。

「次はアンソニーによる“Melon Street Book Club”」とタマスが紹介した後、タマスだけがステージを降りる。あれ?キムはどうするの?と思っていたら、アンソニーのピアノにかぶせて、アンビエント風のギターを奏でる。ボリューム調整とかがちょっとうまくいかず、ときどき必要以上に大きな音になってしまったりもしたけど、いい雰囲気。このバージョンもなかなかいいね。

ただ、この曲あたりから、どうも僕が座っていた場所に近いスピーカーから低音のノイズが漏れ始める。ほとんど最後までずっと鳴っていたからもう最後の方には慣れてしまってそれほど気にならなくはなったものの、あれはちょっと残念だったな。

「次が最後の曲。ビーチボーイズのカバーなんだ」と言われて、てっきり『Pet Sounds』期とかの曲を演るのかと思いきや、「Do You Wanna Dance」だなんて。初めて聴いたけど、誰のどんな曲を歌っても、タマスのあの声で歌われるとなんだかすっかりタマス節になってしまうね。

アンコールに応えてまずタマスとキムだけが登場し、「When We Do Fail Abigail」をアカペラで披露。これはよかったね。途中からタマスのギターが入り、更にキムのエレキもかぶさってくるんだけど、すごく美しいバージョンだと思った。あとでキムが「あれ俺が提案したんだよ」とさも自慢気に教えてくれたよ。

例の「メルボルンの中でも僕が住んでいた地域は一番治安が悪くて」という説明を受けてのエンディング曲はもちろん「Reduced To Clear」。今回はコーラス入りの完全版じゃなかったけど、エンディングの演奏がいつもより長かったんじゃないかな。そういえば、今回いつもと何かが違うと思っていたら、いつも両足を揃えて直立不動で歌うタマスが、今回は(もちろん大抵はそうして歌ってるんだけど)比較的ステージ上をうろうろしながら歌っていたね。キムと向かい合ってギター弾いたりなんかして、ロック・コンサートみたい(笑)


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終演後に拾ってきたアンソニーのセットリストがこれ。後で清書するけど、タマスがエレキを持って歌う箇所は「Solo x 3」って書いてあるね。キムのセットリストにもそう書いてあったから、きっとこの部分はタマスがそのときの気分で違う曲を弾くのかも。そういえば、タマスだけは今回セットリストを床に置かずに歌ってたけど、もしかして予定曲順覚えてたの?(あんなに自分の曲に関しては記憶の曖昧な人が?・笑)


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今回会場で買ったCD。左が日本超先行発売のキム・ビールズ『Tambourine Sky』、右が、これも会場限定発売になる予定のタマス・ウェルズ『Signs I Can't Read - Live At Sonorium』(今回150名限定の東京公演と60名限定の大阪公演でどうやって500枚というこのCDの限定数を売り切るつもりなのかは僕は知らないけど・笑)


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この日、開場予定時刻の30分も前に会場に着いて時間を潰してたのは、これを手に入れたかったから(結局そんなに早く来てたのは僕の他には、いつも一緒のN君とか常連のxさんとかだけだったけど)。500枚限定生産のシリアル番号1番いただきました。聞いてもいないのに「1番ここにありますよ」と教えてくれたsinさん、ありがとう。何故読まれているのだろう(笑)


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見開きジャケの内側に、3人にサインしてもらった。キムが「絵描いてほしい?」って言うから何を言ってるのかと思っていたら、「yasのことを描いてやろう。じっとしてて」と、いきなり真剣に絵を描き始めた。あーあ、せっかくのジャケがお絵かき帳になってしまうよ、と思いながら見ていたら、実は結構うまかったりして。なんか目撃者による犯人の似顔絵風だけど(笑)、いいものもらったよ。ありがとう、キム。


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『Tambourine Sky』にもサインをもらう。時間が余っているのか(笑)、こちらにもあれこれ沢山書いてくれるキム(僕にだけじゃなく、見てたらみんなに沢山メッセージを書いてたね。いいやつ)。旧友とか書いてくれて嬉しいよ。


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あと一枚、これは多分タマス本人もまだ持ってないだろうと思って持参した、『Thirty People Away』のフランス盤CD。さんざん自慢してうらやましがらせてあげたよ(笑)。ポスター大のブックレットにサインしてもらったら、「僕より先に持ってるなんて信じられない」とか書かれた。発売元はアーティスト本人にサンプル盤とか送らないのかな。


終演後にタマスたちと話してたときのこと。「明日は何かリクエストある?」って聞いてくれるから、「“The Northern Lights”最近演ってないよね」と。タマスも「お、そうだね。よし、わかった」と言ってくれた。あとは、この日演ったカバー曲の話をしていたときにビーチボーイズのどの曲が好きかという話になり、「“I Can Hear Music”は大好き。あれなら歌えるよ」と言ってくれたのでそれもリクエスト(「God Only Knows」は?とか「Surf's Up」は?とかいうのは全部却下)。

他にもいろんな話をしたけど、翌日の大阪公演後の話題とごちゃまぜになってきた。一旦この東京公演レポートはここまでにして、あとで思い出したことは次の記事に書こう。なんとかこの週末中に仕上げられるかな。


Setlist 08 December 2011 @ Harajuku Vacant

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Melon Street Book Club
15. True Believers
16. England Had A Queen
17. Lichen And Bees
18. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear
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2011年11月27日

Jools Holland & His Rhythm & Blues Orchestra live in London

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前々回の記事に書いたとおり、本当はこの週末はロンドンから7時間かけてドバイに飛び、会議を終えたその足で夜行便に乗り、また7時間かけてパリに戻ってくるという強行スケジュールのはずだったんだけど、ドバイでの会議が急遽キャンセルになり、思いがけずゆっくりした土曜をロンドンで過ごせることになった。

なんかいいライヴやってないかなとタイムアウトで調べてみたら、去年の3月に東京のブルーノートで観たジュールス・ホランドの大所帯バンドがロイヤル・アルバート・ホール(以下RAHと略)で演るというのを見つけた。最初にサイトを見たときは80ポンド超えの席しか残ってないような書き方をしてあったので、去年観たばかりだし、止めとこうかなと躊躇していたんだけど、よく見てみたらアリーナ席もまだちらほら残っていて、何故かスタンド席よりも安い46ポンド。

しかも、スペシャルゲストに、サンディー・ショウとクリス・ディフォード(!!)。音楽の神様、まだこの辺でうろうろしていらっしゃるのか。世間一般的には25年振りにステージに立つというサンディーの方が目玉なんだろうけど、僕にとってはもちろんクリス。これはやっぱり観ておかなければ、ということでRAHのサイトに移ってチケットを買おうとするも、エラーメッセージ続出。なんだかいいかげんなサイトだなあ。しょうがないから当日早めに行ってボックスオフィスで直接買おう。


というわけで、当日の土曜。前夜3時過ぎまでかかってレジャー・ソサエティの記事なんて書いてたもんだから朝起きるのがつらくて、でもまだ引きずってる時差ボケで否応なく目が覚めてしまうから、なんだかぼーっとしたままロンドン市内へ。RAHって初めてだけど、なんだかどこの地下鉄の駅からも遠いね。

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昨晩ネットで見た席がまだ空いてた。アリーナ6列目の一番端。まだこんなに前の方が空いてるなんて。ちなみにボックスオフィスのお姉さんは、上から見下ろす方がステージ全体が見えていいですよと、円形のスタンドのステージに向かって右側(3時方向)の席を勧めてくれたんだけど、やっぱり僕は前で観たいよ。

さてと、無事チケットも取れたし、開演まであと5時間なにして時間つぶそうかな。

なんて迷う必要など当然なし。ダブルデッカーで激混みのオックスフォード・ストリートを抜け、ロンドン随一のレコ屋街、バーウィック・ストリート(Berwick Street)へ。週末のオックスフォード・ストリートって、ものすごい人だね。バスまったく動かず、RAHから1時間かかったよ。まあ、どうせ5時間つぶさないといけないからいいんだけどさ。

2軒まわって6枚ほど捕獲。一番の収穫はこれかな。半年前にロンドンに来たときは、レコード・ストア・デイの一週間前で悔しい思いをしたんだけど、最近はアメリカのブラック・フライデーに合わせて年末にももう一回レコード・ストア・デイがあるんだね。この土曜日はまさにアメリカのブラック・フライデー。沢山あったレコード・ストア・デイ・アイテムから選んできたこれ。

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こないだの来日公演で演った曲だね。それにしてもシングルまでこのおばさんか! この7インチ、ちゃんと昔ながらのドーナツ盤なのがいいね。ちなみに10インチ盤もあったんだけど、そちらは78回転。昔ながらにもほどがあるよ。そんなの買ってもうちでは聴けないので放流。

CD屋見てまわって、腹ごしらえにケバブ食べて、まだ開演まで2時間以上あるなあ。どうせまたバス混んでるだろうから、バス通りに沿って歩いてみようかな。

結局、バーウィック・ストリートからRAHまで、一時間かけて歩いてしまった。ロンドン市内の地理に詳しい人ならわかると思うけど、結構な距離だったよ。まあ、最近運動不足だからちょうどよかったけどね。クリスマス前のライトアップがあちこちでとても綺麗だったし。

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一時間かけて歩いてもまだ開場時刻まで45分ぐらいあったので、RAH内のバーでギネス飲みながら休憩。一時間歩いた疲れで軽く寝てしまいそうになる(日本時間の午前3時)。6時45分にようやくドアが開いたので、Aブロック6列目5番に行ってみたら、6列目とは名ばかりで、僕の列よりも前には3列しかない。しかも僕の席は一番左端なので、実際には僕の真ん前には係員のお姉さんしかいないという状態。これはいい席だったな。ステージまでの距離も、去年ブルーノートで観たときとそう変わらないかも。こんな8000人も収容できる大ホールでだよ。

しかもブルーノートのときは中央右寄りの席だったからジュールスの手元が全然見えなかったんだけど、今回はピアノに向かうジュールスをかなりの至近距離で後方からじっくり観ることができるよ。ピアノはヤマハだね。前回もそうだっけ。

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こんな距離。ちなみに後ろを振り返って見るとこんな感じ。

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周りを見てみると、かなり白髪人口と禿げ人口が多いよ。3日前に行ったレジャー・ソサエティの観客の平均年齢の3倍はあるんじゃないか。皆30年前にスクイーズ聴いてたのかな。

バーからアリーナに向かう通路に貼ってあったお知らせ。前座が25分で、20分休憩してジュールスのバンドが2時間、と。きちんと決まってるんだね。それよりも、その下に書いてあることの方が気になるよ。「シェーン・マクガワンは今回のツアーへの出演をすべてキャンセルしました」って、シェーンもゲスト参加する予定だったの?しばらく前に、もうポーグスとはツアーしないとか言ってるのを読んだけど、なんかあっちこっちでドタキャンしてるんだね(そのわりには来年の日本公演はキャンセル告知出ないけど)。

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オープニング・アクトは、ガリア・アラド(Galia Arad)という女性シンガー。全然期待してなかったけど、なかなかいい曲書くね。声もいいし、結構気に入った。ニューヨークで会社の受付の仕事をしていたら、エルヴィス・コステロからメールがきてスカウトされたとか言ってたよ。あと、今月出たばかりのデビューアルバムには、シェーン・マクガワンが参加してるんだって(それでゲスト参加する予定だったのかな)。バックでギターを弾いてるのは、ジュールスのバンドのマーク・フラナガン(Mark Flanagan)。パーカッションとアコーディオンを弾いてたのはロジャーって呼ばれてたから、同じくジュールスのバンドのトロンボニスト、ロジャー・ゴスリン(Roger Goslyn)だったのかな。隣でコーラスをしていた女性は実の妹だそうだ。


予定時刻の8時15分ほぼぴったりに、まずジュールスが登場。ピアノのイントロを弾き始めてから、他のメンバーもバラバラとステージへ。多いなあ。去年東京で観たときも、ヴォーカルの3人を含めて総勢12人の大所帯だったけど、今回はホーン・セクションだけで12人いるよ。

僕から一番遠い側に、前列にサックス5人、2列目にトロンボーン4人、後列にトランペットが3人。去年観たメンバーは全員いたはず。もちろん、リコ・ロドリゲス(Rico Rodoriguez)も2列目の一番端に。

基本的なコンサートの流れは去年のそれとほぼ同じ。ジュールスは序盤(2曲目)にヴォーカルを取るが、それ以外はだいたいインストか他のシンガーがリードヴォーカルを務める。去年同様、やっぱり僕はほとんどの曲名がわからなかったんだけど、去年は演ってなくて今回「この曲は僕が17歳ぐらいのときに書いたんだ。後で出てくるスペシャル・ゲストと一緒にね」と言って演奏した「Foolish I Know」が嬉しかったな。

あと日本公演とずいぶん違ったのは、ジュールスがハンドマイクでステージ前方をうろうろ歩きながら喋りまくること。客を煽ったり、大げさにメンバー紹介したり、冗談言ったりね。何度もコール&レスポンスをやらせてたね。

最初に出てきたゲストは、一番上に載せたポスターの写真にも小さく載っていた、ハーバート・グロンマイヤー(Herbert Gronemeyer)というドイツ人の歌手。ドイツ人ならヘルベルトなんだろうけど、ジュールスは紹介するときに英語読みだったね。歌うまい人だったよ。ちょっとトム・ジョーンズっぽい感じ。ジュールス、こういうタイプの男性歌手が好きなんだね。2曲を披露して退場。

1時間を過ぎた頃だったかな、何かの曲の途中でギルソン・レイヴィス(Gilson Lavis)のドラム・ソロが始まり、他のメンバーは全員舞台裏へ。結構長かったけど、かっこよかったよ。去年の記事にも書いた、忙しくタムとか叩いてる最中に右手でスティックをくるっと回したりとか。もう見かけはかなりおじいちゃんなのに、やっぱり凄いドラム叩くよね、この人。ロック・ドラマーとしてあまり有名ではないけど、相当上手な部類に入ると思うんだけどな。

ドラムソロが終わり、メンバーが戻ってくる。ジュールスが「そろそろ次のゲストを紹介しよう。後ろに座っているギルソンと僕とこの人は、35年も前に一緒にガタガタ道を走り始めたんだ」と言い始めた途端、聞き覚えのあるドラムのイントロをギルソンが叩き始める。ああっ、これは、「Take Me, I'm yours」!

ここでクリス登場。僕は生まれて初めて本物の動くクリス・ディフォードを見たよ。感激。もしかしてギター持たずに出てくるかなと不安だったんだけど、ちゃんとアクースティック・ギター抱えて出てきたね。「Take Me, I'm Yours」を歌い始めたんだけど、途中からグレンのパートを歌う声が聞こえる。誰が歌ってるんだ?もちろんジュールスじゃないし。

ステージを見渡してみると、左奥で地味にキーボードを弾いてるヒゲの兄ちゃんが歌ってる。あ、あれクリストファー・ホランド(Christopher Holland)じゃないか。彼去年は日本には来なかったよね。

続けて、クリスが「1979年に書いた次の曲のおかげで僕は休暇に出かけることができたんだ。おかげで最初の離婚を経験する羽目にもなったけどね」と、相変わらずシニカルな台詞。ということは、「Cool For Cats」か! もう演るのか。

と思う間もなく、ギルソンのスネアの一撃と、クリスのギターとジュールスのピアノ、デイヴ・スウィフト(Dave Swift)のベースがイントロを奏でる。涙出そうになった。今自分の目の前ほんの数メートルのステージの上で、スクイーズ最盛期メンバーのうち3人が揃って「Cool For Cats」を演奏しているなんて。エンディングのピアノ・ソロ、ジュールス自身が弾くのをこの目で見ることができるなんて。

残念ながら目の前にいた係員のお姉さんに「写真は撮らないでね」と言われていたので演奏中の写真は一枚もないんだけど、僕の位置から見て、ステージ奥のギルソン、手前側のジュールス、中央右側のクリスが一直線上に並んで演奏する姿は、写真なんかなくたって、もうこの先忘れることはないと思う。

本当に残念ながら、クリスはたったの2曲で退場。会場を埋め尽くした白髪と禿げ頭はみんな3/5スクイーズを観にきたんじゃないのか?なんでこんなあっさりした扱いなんだろう。ステージを降りる前にギルソンと握手し、右手に持ったマイクで客を煽るのに忙しいジュールスの左手と握手してニコニコしながら歩いていくクリスにもう一度大きな拍手。

というわけで、僕の本日のメインイベントはこの瞬間で終了。後はさらっといくよ。

クリスのすぐ後に出てきたのがサンディー・ショウ。今何歳なんだろう。もう60は越えてるよね。キラキラ光るミニのワンピース(というか、下はパンツっぽくなった服。あれなんていうんだろう。よく赤ちゃんがああいう形の服着せられてるな)で登場。肌の露出が並大抵じゃないんだけど、さすがに年相応の肌のハリでちょっと痛々しいと思ったのは僕だけなんだろうか。往年のアイドル、サンディー・ショウを知っている会場中の白髪と禿げはあれを見て懐かしい気分に浸っていたんだろうか。

1曲目の「Love Me Do」は当時からの持ち歌だったのかな。その他にも「Always Something There To Remind Me」とか、スタンダード曲が多かった。全部で4曲ぐらい歌ったっけ。そういえば、25年前にステージに立ったのって、もしかしたらスミスが「Hand In Glove」で彼女のことを引っ張り出してきたときかな。

サンディーもステージを降り、もうそろそろ2時間になるかなと思っていた頃、ルビー・ターナー(Ruby Turner)突如登場。このときまでずっと出てこなかったから、今回はいないのかと思ってた。相変わらず凄い歌(と見た目)だねえ。CDのジャケやプロモ写真ではそれなりにスリムに写ってるけど、実物はなんだか架空の生き物みたいに見えるよ。それであんな警報器みたいな声で歌うんだから、すごいよね。

とはいうものの、去年東京で観たときよりも、ルイーズ・マーシャル(Louise Marshall)が相当上手くなっていて、声量ではルビーに負けてなかったかも。あと去年と違ったのは、去年はロージー・ホランド(Rosie Holland)という名前だった彼女が、今はロージー・メイ(Rosie Mae)という名前になってること。結婚したのかな。それとも、ジュールスの身内だということを隠しはじめたのかな(遅いよ)。

本編だけでたっぷり2時間、その後2回のアンコールを含めて合計2時間15分の長尺ライヴ、じっくり堪能しました(特にクリスが参加していた10分間)。僕の目の前はちょうど入口の階段だったんだけど、その2時間強の間、トイレに行くお客さんのまあ多いこと。みんな何か飲みながら観ていたのと、あとはやっぱりお年のせいかな。ステージからの距離は申し分なかったんだけど、それだけがちょっと落ち着いて観てられなかったな。でも、当日思いついてぶらっと行って、あんな豪勢なホールであんな至近距離であんな素敵なライヴを観られたんだから、何も文句はないよ。またこのダラダラした記事のおかげで寝るのが3時になってしまったけどね。


おまけ:物販で買ったTシャツ(10ポンド。安い!)
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あと、ジュールスのサイン入り『Rockinghorse』のLP(15ポンド。安い!)
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2011年11月26日

The Leisure Society live in London (on the boat)

怒涛の海外出張月間のさなか、インパートメントのsinさんのこんなツイートを見たのは、ちょうど2日後に控えた欧州出張に向けて荷造りしていたときだった。

また、The Leisure Societyは11/24にロンドンのパブでフリー・ギグを行うようです。ロンドンのかたはぜひ。

え、11月24日って、ちょうど僕ロンドンにいる日じゃないか。しかも、2日間の滞在中、比較的夜の時間に余裕のありそうな方の日。さらに、調べてみたら、会場のTamesis Dockって、うちのオフィスのある駅から電車で1本だよ。これはもう、音楽の神様が僕の過酷な出張スケジュールを見かねて特別に配慮してくださったに違いない(笑)


そして24日。郊外のオフィスでなくロンドン市内で予想外に早く仕事を終えた後、時間潰しにオックスフォード・ストリートのHMVで目ぼしいのを数枚捕獲。なんだか知らないけど半年前に来たときより格段に安くなってるよ。もちろん円高のせいもあるんだけど。ついつい手に取る枚数が増えてしまう。ただでさえパソコンとか入った重たいカバン抱えてこれからライヴ行かなきゃいけないのに。

ゆっくり買い物して、それでも開演時刻の8時半まで余裕があったけど、腹も減ったし、ちょっと早めにパブに行って腹ごしらえしよう。なにしろ、ドックに係留してあるボートの上でのフリーライヴということだから、どんな大きさの会場で何人ぐらい来るのかさっぱりわからなかったから、早く行くに越したことはないし。

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ヴォクソール駅からテムズ川に沿ってしばらく歩くと、遠くにライトアップされた国会議事堂とロンドン・アイが見えてくる。さらに歩きながらふと見ると、なにやら派手に飾りつけられた、ちょっと年季の入った船が。まさかこれかな。こんなに小さいの?と見てみると、入口のところにちゃんとTamesis Dockという看板が。でも、レジャー・ソサエティのことなんて何も書いてないよ。

甲板に上がり、船の中に入ってみると、すぐバーカウンターになっている。もう結構客入ってるな、まだ開演まで1時間以上あるのに。と、それより、階段を下りた船底部分にあるステージ(?)でもう演奏始まってるよ。「Dust On The Dance Floor」だ。きっとリハーサルかな。

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あわててギネスとハンバーガーを注文し、下の階へ。階段をおりたところのスペースが簡易ステージ(といっても段差とか仕切りがあるわけじゃない)になっていて、反対側の壁際には15人ぐらいしか座れないソファ。もちろんもう全部埋まってる。ステージ前端、というかスタンドマイクの位置からソファまでは2メートルぐらいしかない。ということは、僕も含めた立ち見客はその前後2メートルのスペースに立って観ることになる。なんて近さだ。

階段付近はきっと開演が近づくにつれてどんどん人が入ってくるだろうから、反対側に移動。ちょうど機材を置くテーブルもあるから、そこでまず腹ごしらえ。そうしてるうちに僕の前にでかいのが立ちはだかってステージが全然見えなくなってしまった。しょうがないので僕もそいつの隣に移動。フルートを吹いているヘレン・ウィテカー(Helen Whitaker)のすぐそば。

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あと2曲ほど練習し、一旦解散。メンバーは三々五々ビールを飲んだり、外にタバコを吸いに行ったり。そうこうしているうちにお客さんがどんどん入ってくる。こんな狭い船の中に、きっと50人ぐらいはいたかな(バーのある2階からも見下ろせたはずだから、そっちにも更に何十人かいたはずだし)。大丈夫かな、沈まないのか、この船。僕の後ろや周りにも次々と人が増えてくるから、じりじりと前に移動。もう、ほぼヘレンのスタンドマイクの真横という、なんとも嬉しいというか気まずい立ち位置。


いつの間にかメンバーみんな着替えてきて、開演予定時刻ちょうどにスタート。演奏前にヘレンが「そんなとこにいるとフルートの先が当たるよ」なんて冗談交じりに話しかけてくれる。確かに、こんな距離だからね。

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1曲目は予想外に「We Were Wasted」という静かなオープニング。CDのブックレットには8人のメンバーが載ってるけど、この日は6人だけ。狭いからかな。前列に(僕に近い方から)ヘレン、ニック・ヘミング(Nick Hemming)、キーボードのクリスティアン・ハーディー(Christian Hardy)。後列こちら側からドラムスのセバスチャン・ハンキンス(Sebastian Hankins)、ベースのダレン・ボーンヒル(Darren Bonehill)、チェロのウィリアム・コールダーバンク(Willam Colderbank)。後列の3人は『Into The Murky Water』の録音時からメンバーチェンジしていなければ、だけど。

続く2曲目で、さっき練習していた「Dust On The Dance Floor」。この曲から、クリスとヘレンが場所を交代。クリスがギターを弾いて、ヘレンはキーボードを弾きながらフルートを吹く(もちろん両方いっぺんにはできない)。あーあ、ヘレンあっち行っちゃったと思ってたら、数曲後にはまた戻ってきた。ステージといっても歩けるようなスペースはないし、最前列のお客さんを押し分けながら場所を移動する感じ。忙しいね。

3曲目が僕の知らない曲で、あとはちょっと順番うろ覚え。意外に新作『Into The Murky Water』からは少なく、アンコールで演った「I Shall Forever Remain An Amateur」を入れても、全13曲中5曲だけ。他には、シングル曲「This Phantom Life」、タイトルトラック「Into The Murky Water」と、「Our Hearts Burn Like Damp Matches」かな。

さっきみたいに場所まで交代して楽器を換えてたのは最初の数曲だけだったけど、ニックはクラシック・ギター、アクースティック・ギター、ウクレレを曲によって弾き分け、ヘレンはこっち側にいるときはフルートとウクレレを演奏。CDのブックレット見ても、クリスティアンとこの2人はいろんな楽器演奏してるね。でも、ヘレンは基本的に管楽器だけか。どうりでウクレレちょっとたどたどしかったわけだ。

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たどたどしいといっても、別にリズム外したりミストーン出したりするわけじゃない。この日のライヴを観ていて僕がつくづく思っていたのは、このバンド、CDで聴いただけじゃわからないほど、かなり演奏力あるってこと。ニックのウクレレの弾き語りでスタートして、演奏の途中で他の楽器がふわーっと重なってくるところとか、曲のエンディングでかなり激しい演奏になっても一糸乱れぬところとか。とにかく、ほぼすべてアクースティック楽器だけで醸し出されるこのグルーヴ感はすごいよ。

ライヴ中にも言ってたけど、12月8日にはバービカン・センターというかなり大きめのホールでオーケストラと一緒にライヴ演るらしい。なんか、そういう展開になるというのが他にたくさんいるこの手の若手バンドとは一線を画してるね。まだわずかアルバム2枚しか出してないのに。ディープ・パープルでさえアルバム3枚出してからオーケストラと共演したのに(違)

本編11曲、ステージから降りずに続けて演奏したアンコール2曲を入れても1時間ちょっと。まあ、フリーライヴだからね。Last.fm主催ということで、カメラマンも何人か入ってたし、ビデオも撮ってたみたいだから、もしかしたら録音もしていて、そのうちアップされるのかもしれないね。もし画像や映像がアップされて、ヘレンのすぐそばに場違いな日本人らしき男がいたら、それは僕です。


演奏終了後、デッキでくつろぐメンバーに声をかける。ニックのところにはいろんな人が群がってるので、まずクリスティアンとヘレンに。「君たちのことを観に日本から来たんだよ」(ということにしておく)。クリス「うそでしょ」。僕「ほんと、昨日着いたばかりだから」(これは本当)。

さっきHMVで買った、ボーナスディスク付きで再発された『Into The Murky Water』のブックレットにサインをもらっていると、ヘレンが「これの日本盤持ってるよ。日本語が書いてあるよね」と言うので、「日本盤はこのジャケットのところ、ちゃんと指まで切り込んであるんだよ。帰ったら見てみて」とメンバー本人にレジャー・ソサエティ・トリビアを伝授。「日本には来る予定ないの?」と聞くと、「行きたい行きたい。すっごく楽しみ。フェスとか出られないかなあ」と、半分お世辞だとしても嬉しくなるほどの反応。

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「日本盤を出したレーベルに知り合いがいるんだよ」と言っておいたら、昨日のsinさんのツイートによると早速その話が伝わってる模様。sinさん、彼ら日本に来たがってたのでお願いしますね。絶対に生で観たほうがいいバンドでしたよ(あと、p*disでボーナスディスク付き買うって約束してたのに、ごめんなさい)。

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2011年10月29日

Scrappy Jud Newcomb / Matt The Electrician / Bruce Hughes / Jim Boggia live in Yokohama

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Д ステージに陣取っている4人のメンバーのうち、2人は曲はおろか名前すら聞いたこともなく、1人はこのライヴのために中古で見つけたアルバムを1枚持っているだけ、残りの1人だけを目当てに来てみたこの日のライヴ。期待以上という言葉がずいぶん控えめに聞こえてしまうほど凄いものだった。

Д ただでさえ忙しい週にバンコクの洪水問題なんかも絡まってきて、もしかしたら会社抜け出すのは無理かもと思えるほどだったけど、例によって夕方から周囲を一切無視。無事開場前に横浜Thumbs Upに到着。初めて来たけど、こんなショッピングセンターの中にあるんだね。

Д 一週間ほど前から咳も止まらず、体調的にも結構最悪に近かったけど、そんなあれこれを抱えながら来てよかったと本当に思ったよ。この週末は鎌倉で連日ジム・ボジアだけど、最初で最後かもしれないこの4人の組み合わせを見逃すことにならなくて本当によかった。

Д そんな感じでちょっと無理して早抜けした仕返しで全然ブログを書く時間が取れないんだけど、明日は飲み会、あさってはもう鎌倉初日、ということで、なんとか急いで書いてしまわないとあの素晴らしかったライヴの記憶が薄れてしまう。ということで、4年ぶりに箇条書き風ライヴレポート。なんとか1時間ぐらいで書けるかな。

Д 開演時刻の19時半ちょうどぐらいだったかな、メンバー4人が揃ってステージに出てきたのは。とは言っても、開演前からみんなそのへんをうろうろしたり、ファンと歓談していたりしたんだけどね。客席にはいつもあちこちのライヴで見かける顔がちらほら。客席はほぼ満員だね、すごいな。

Д ステージ左から、ジム・ボジア、スクラッピー・ジャド・ニューカム、マット・ジ・エレクトリシャン、ブルース・ヒューズの順にスツールに腰掛ける。いや、マットが腰掛けているのはカホンだね。カホン大流行り。ブルースはボディもピックガードも白っぽい(でもかなり使い込んでくすんだ色の)フェンダーのプレジション。あと2人はアクースティック・ギター。両方ギブソンだったかな。

Д 今回はまずまずの整理番号で、座った席もそれほど悪いわけじゃなかったんだけど、ちょうど運悪く僕とジムの間に何人もの観客が座ってしまったせいで、お目当てのジムのことはほとんど見えず。でもまあいいや、週末たっぷり観られるからね。今日はこの日がツアー最終日のあとの3人をじっくり観よう。

Д だめだ、やっぱり眠すぎ。もう今日は書けない。明日の飲み会はたぶんエンドレスになるだろうから、土曜日に鎌倉に出かける前にがんばって早起きして続きを書こう(いくら鎌倉まで出かけるとはいっても19時開場に間に合う時刻に起きるのを普通は早起きとは言いません)。ではひとまず寝ます。


Д というわけで今は土曜日。この上の段落までは木曜日の夜中に書いたもの。なんとか午前中に起きることができたので、続きを書こう。ちょっと記憶も薄れてきたし、二日酔いと隣のマンションの工事の音で頭がズキズキするけど、なんとか最後までもつかな。

Д 自分の一番好きな曲をライヴの1曲目に持ってこられてしまったときの喜びともったいなさ感をどう表せばいいんだろう。この日のライヴは座った順に左から1曲ずつ持ち歌を歌うというもので、最初にジムが弾きだしたのは「Listening To NRBQ」。この曲演ってくれればいいなとは思ってたんだけど、まさかオープニングとは。

Д 間奏でスクラッピーがギターソロを入れる。レコードに入っているオリジナルとは違うラインだけど、ばっちり合ってるし格好いい。この人たち、リハーサルする時間どれだけあったんだ? 3人はこの日本ツアー中ずっと一緒だったろうけど、ジムは日本に到着したばかりのはずなのに。初見でこれだけ息ぴったりに演奏できるなんて。

Д 「Listening To NRBQ」のエンディング、NRBQの曲のフレーズがいくつか出てくる箇所。「I Love Her, She Loves Me」をブルースが歌い、続けて他のメンバーも歌う。いいね。やっぱりしっかりお互いのCDは聴きこんではいるんだね。

Д スクラッピーの曲でお返しにギターソロを入れるのはジム。やっぱりうまいねー。その他二人の曲では、ジムかスクラッピーのどちらかがソロを弾いてたかな。スクラッピーは後半スライドバーをつけたりもしていた。スライドプレイもかっこよかった。ブルースの曲で「ジム、もう一回ソロ!」とか急に振られても咄嗟に対応していたし。

Д スクラッピーは、見かけも声もいかにもアメリカンでロッキンな兄貴。はだけたシャツの胸元にごついネックレスが見えたり。しゃがれた声がちょっとジョン・ハイアットっぽいかな。ジムの次に聴いてしまうとちょっと曲自体の魅力は落ちてしまうかもしれないけど、こういう場所でずっと聴いていたい声とギター。

Д 続くはマット。なんで電気屋(電気技師?)なんだ? 顔の下半分をびっしり覆う黒い髭とぴったりした黒い野球帽。ちょっと離れ気味の左右のまゆ毛。赤いクレヨンで塗ったようなぐるぐるほっぺ。真剣な顔をしているときはちょっと近寄り難い雰囲気だけど、ぐるぐるほっぺでニコッと笑ったときはすごくお茶目。

Д なんだか妙に小柄なギターを持ってるね。あれなんて楽器だろう。曲によってはバンジョーに持ち替えたり、さっき書いたカホンを演奏したり。この人、このバンド内での触媒みたいな役割なんだろうな。そういう脇役みたいな楽器を担当してるというだけでなく、存在自体がなんかそんな感じ。

Д とか言いながら、この人の曲かなりいいよ。ちょっとコミカルな曲調もあれば、しんみり聴かせてくれるものもあり。いくつかの曲では外国人のお客さんが大笑いしてるよ。ちゃんと歌詞聞き取れなかったけど、そんなにおかしな曲だったのかな。

Д 4人のラウンドの最後はブルース。やわらかい感じのいいベースラインを弾きながら歌う。なんかベースと一緒に歌ってる感じ。ベース好きとしてはたまらない。くしゃくしゃした金髪と小柄な姿形が、スクラッピーとかと比べるとなんだか全然アメリカ人っぽくないね。

Д そんな感じで前半は3ラウンド、12曲。基本的にジムの曲しか知らないから、ジムがどの曲を演ったかを覚えているだけで全部で何曲演奏したか自動的にわかるという便利なシステム。

Д ちなみにジムがこの日他に歌ったのは(たぶん順番合ってると思うけど)、「To And Fro」、「Let Me Believe」(これはキーボードで)、後半に「No Way Out」、「Annie Also Run」、「That's Not Why I Hate New York」、アンコールでブルースと分け合って歌った「Several Thousand」。

Д ジムがメドレーで「Beast Of Burden」をつないだのはどの曲だっけ。「Annie」かな。「Never!」「Never!」って掛け合いのところで客がちゃんと歌ってくれたのが嬉しかったらしく、「アメリカでは『Never!』シーン…、なんてことよくあるんだよ」なんておどけてた。

Д マットは自分の曲につなげてサイモン&ガーファンクル・メドレー。次はどの曲にしようか考えながら歌ってるみたいで、「Cecillia」、「Me And Julio Down By The Schoolyard」、「Slip Sliding Away」から最後は「Bridge Over Troubled Water」まで繰り出してきて笑わせる。

Д 前半1時間、30分の休憩を挟んで後半も1時間ちょっと。アンコールも2曲、特にマットが歌った2曲目は長尺だったから、全部終了したのが10時半過ぎ。演奏していた時間だけでも2時間半ぐらいはあったね。遠くから来ていた友達は残念ながらアンコールを最後まで聴いていられなくて終電に駆け込まざるをえなかったぐらい。

Д 招聘元のカフェ・ゴーティーさんのサイトにも書いてあったけど、ジムを含めたこの4人での組み合わせはもう二度と観られないかもしれない。たまたまお互いの日本ツアーの最終日と初日が重なったというだけで実現した奇跡的なライヴ。きっとジャム・セッション的なゆるーい感じだろうと想像してたけど、実際は完璧に練り上げられたプロフェッショナルなライヴだった。

Д 4人それぞれ、アメリカでの気の遠くなるような回数のツアーで鍛えられた腕前と、おそらく自分の持ち歌だけを演奏していればいいというほど知られた人たちではないので、カバー曲や他人の曲に臨機応変に合わせるなんてことは朝飯前でできてしまうんだろうね。ものすごくハイレベルな即興をニコニコしながら続けていくのをじっくり見せてもらったよ。3時間があっという間だった。

Д さてと、そろそろ準備して、カフェ・ゴーティーに向かおうかな。今日と明日はジムのソロ・ライヴ。チケット発売初日に押さえたので、なかなかの整理番号。たっぷり堪能してくるとしよう。天気もいいし、鎌倉までの道のりも楽しみだ。
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2011年09月10日

パワーポップ・アカデミー2!

下北沢駅のいちばん賑やかな出口を出て南へ向かう商店街。この日は長丁場になるのは見えてたから、終演まで何も食べられなかった二日前の反省を活かして、商店街に新しくできた丸亀製麺でまず腹ごしらえ。もう開場まであまり時間はなかったけど、隣にあるレコファンについ立ち寄ってしまうと、緑色のおばさんジャケのニック・ロウの新譜に「本日入荷」のタグがついていたので迷わずゲット。そこからは早足で会場へと向かうが、入り口がよくわからなかったのでつい通り過ぎてしまい、バーミヤンのあたりまで歩いてしまってから引き返す。

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僕は初めての参加になる、今回が2回目のパワーポップ・アカデミーの会場THREEは、こじんまりとした居心地のいいラウンジのような場所だった。先日のFEVERよりもかなり小さなステージは、会場の角っこに作られているので三角形だ。アナウンスされていたとおり、DJブースもあるし、CDやレコードやTシャツが売られている物販コーナーもある。あ、ホットドッグも売ってるね。あとで腹減ったら食べよう。

この日のイベントは、トトス(totos)、ナッヂ・エム・オール(Nudge'em All)、ウェリントンズ(The Wellingtons)の3バンドのライヴと、それぞれのライヴの間の機材セッティングの時間を使った、観客が持参した携帯プレイヤーから数珠つなぎ的に音楽を鳴らすDJタイムという楽しい企画。その全部についていつものように事細かに書いていると多分とんでもなく長文になってしまいかねないので、なるべく短めにまとめてみよう。とか言っていつも全然短くなんてできないんだけどね。


トトスのときには僕はステージ右側のアンプにもたれかかっていたから、耳のすぐ後ろから出てくるとんでもない爆音を聴く羽目になってしまった。洗脳されてしまうかと思うほどの爆音は気持ちいいんだけど、ちょっとこれでは最後まで耳がもたない。まあ、いちバンドあたり30分程度ということなので、とにかくこのバンドはここで観よう。

既に解散してしまっているこのバンドが、今回のイベントに合わせて再結成したらしい。久しぶりなのでちょっと(MCも含めて)たどたどしいところもあったけど、なかなかポップでよかった。ちょっとうつむき加減で歌うボーカル&ギターの男の子と楽しそうにタンバリンを叩きながら歌うボーカルの女の子との対比が面白かったね。最後の曲はオエイシスの「Don't Look Back In Anger」のカバー。この日はアカデミーということで(?)各バンド必ずカバー曲を演奏することが決まりだそうだ。「Don't Look Back In Anger」がパワーポップかどうかは別として。

途中、楽屋からステージ前をちょこちょこっと横切って、ウェリントンズのケイトがステージ右側のアンプ前、つまり僕のすぐ隣に来た。トトスのメンバーの写真を撮りにきただけなんだけど、緊張する。なんかスイカっぽいいい匂いがするよ! 「背が高すぎてごめんね」と言ってくれたけど、多分身長は僕と同じぐらい。でも彼女の肩の位置はきっと僕のアゴぐらいだったよな。


トトス後のDJタイム。何名かの観客に混じってまずはサマーキャンプの「Nowhere Near」をかけてもらう。実は僕はこの日のために10曲ほど選曲して、それなりに曲の流れを考えて配置してきたんだけど、当然自分の持ってきた曲が続けて流れるわけじゃないから、自分の前に流れている曲からのつなぎを考えて10曲のうちから選ぶ。DJをしていたTHISTIMEオンラインストアの店長YASUさんが「この曲いいですよね」と、サマーキャンプのボーカリスト、ティムがソロで来日した話とかしてくれる。マニアックでいいね。


一回のDJタイムも30分程度。ナッヂ・エム・オールの出番のときには僕はDJブース近辺にいたので、さっきよりはバランスのいい穏やかな音で聴ける。二日前に観たスコット・ゴーズ・フォーでギターを弾いていた人がメインボーカルだ。スコットではこの人コーラスだけだったんだけど、曲間に話してるのを聞いて、いい声だなと思ってたんだ。ちょっと中村一義っぽい感じ?中村一義をいい声というかどうかはともかく。

オープニングの「Pilot」をはじめ、カバー曲を除いて全部新作『See』からの選曲だったかな。『See』は二日前に受け取ってからもう何度か聴いたけど、かなり好きな感じ。ちょっと懐かしのボックス(杉真理とか松尾清憲の)を思い出すね。僕はこのアルバム、THISTIMEオンラインストアで買ったから、秋のツアーに招待してもらえるよ。各会場先着順ということだから、早く申し込まなくちゃ。一応アマゾンにリンクを貼るけど、このアルバムに興味がある人は是非下の方にリンクを貼るTHISTIMEのオンラインストアでどうぞ。

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Nudge'em All 『See』

本来のべーシストが“洗濯物がたまっているから”(笑)とかでベースは代理の人らしい。そういう、ちょっと可笑しいMCが多かったね。そういえば、このフルアルバムとしては4枚目になるらしいアルバム『See』の前のアルバムのタイトルは『Sunn』だって。日本語を勉強しているウェリントンズのザックには意味がわかるかな。


続いてのDJタイム。今度のDJはトトスのベースの人だね。この人がパワーポップ・アカデミーの学長なのか。さっきよりも積極的に参加する人が増えてきて、遠慮してるとたぶんもう順番が回ってこない。かといってあんまりでしゃばるつもりもないから、あと1曲だけかけてもらおうかな。僕よりずっと若い客層にこれだけは聴いてもらいたいと、スクイーズの「Misadventure」を。さっきはスタートをちょっととちったけど、今度は前後の曲とのつなぎは完璧だったのでうれしい。


トリのウェリントンズ。二日前と同じ楽器のセッティングだけど、ステージはうんと狭いのでもうほとんど5人が肩を寄せ合うかのごとくひしめきあっている。ザックのギターはこないだのサンバーストのテレキャスターでなく、Fホールのついたフェンダーのクラシック・テレキャスター。もちろん左利き用。ライヴ後にザックに聞いたら、前日にお茶の水の左利き専用ショップ(そんなのがあるんだ)で買ったばかりなんだって。

二日前はアンコール1曲目だった「Come Undone」がオープニング。ということは、きっと全然セットリスト変えてくるね。2曲目はケイトの歌う「I'm Feeling The Same」だったけど、もうそこから後はほとんど曲順覚えてないよ。パワーポップ・アカデミー恒例のカバー大会はウィーザーの「Keep Fishin'」。こないだ予定してて演らなかった曲だね。この曲のときにトトスのメンバーとかTHISTIMEのYASUさんとかがステージに乱入して皆で歌ったり踊ったり。

僕が観ていたポジションがよくて音がよかったせいなのかもしれないけど、FEVERのときよりもずっとしっかりした演奏に思える。メンバー皆あんまり動き廻れないのに、それでもその場でジャンプしたりしてかっこいいよ。僕もこの時点で既に3時間以上立ちっぱなしで腰がイヤな感じになってきたけど、体を動かさずにはいられない。

終盤、「Freak Out」を演奏中にダナのギターの弦が切れ、その曲が終わってから「誰かギター貸してくれないか」と募る。あの青緑のジャズマスターはトトスの人のだっけ。すぐに外れてしまうストラップをガムテープで留めたり、それまでにも何度も抜けていたエフェクターのプラグを直したりと結構時間がかかっている間、ザックがMCとかメンバー紹介とかで場をつなぐ。アナとは同じ職場仲間って言ってた?

ようやくダナの準備ができて、「Keep Me Holding On」で再開。さらに「Popped Balloon」でエンディング。そして、メンバーがステージを降りる間もなくアンコール。ザックが「まだ演るの?フツカヨイ、ツライ」とか日本語で言って笑わせる。

アンコールは2曲。当初30分ぐらいって言ってたのに、結局それを含めて1時間ぐらい演ったんじゃないかな。終演後に拾ってきたケイトのセットリストによると、アンコール込みで15曲も演奏したんだ。途中アクシデントもあったのに、二日前よりも曲間も短くMCも少なめでぶっ飛ばしてたからね。


終了後もDJタイムが続く。もうかなり遅い時間なのに、お客さんほとんど帰ってないんじゃないかな。3バンドのメンバーもそのあたりをうろうろしながら、お客さんと話したりしてるよ。僕も先日ザックだけにサインをもらった『In Transit』に残りのメンバーからサインをもらいながら、ちょっとずつ話すことができた。

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場所がなくなったのでアナとケイトにはディスクにサインしてもらった。ケイトには飛行機から飛び降りるパラシュートの絵とか描いてもらって嬉しい。この人、そんなに美人というわけじゃないんだけど(失礼)、こういうところとかステージでのちょっとした仕草とか、えらく可愛いんだよね。僕が彼女にサインをもらえたのはもうかなり遅くなってからで、早く踊りに行きたそうにしてたのに引き留めて悪かったな。でも、「名古屋公演が終わったらそのまま成田に行って、次はスペイン、それからヨーロッパとアメリカツアーに出るんだよ」とかいろんな話をしてくれた。

さらに、開演前に物販で買った、ダナとザックのバンド、コインシデンツ(The Coincidents)のCDにも、ダナとザックにサインしてもらった。最初ダナには自分の写真がある内ジャケにサインしてもらったら、ザックの写真はCDトレイの裏側。「ダナは僕のことをCDで隠したがってるんだ」とか言いながら表ジャケにサイン。「ごめん、名前なんだっけ」と訊かれてもう一度教えたけど、名前忘れられたことよりも二日前に話したことを覚えてくれていたことの方が嬉しいよ。

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The Coincidents 『Modern Heart』

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正直言うと、ダナの参加していない『In Transit』にサインをもらうのも気が引けたから、最初はサインをもらうためだけもでいいやと半分ご祝儀気分で買ったこのCD、帰って聴いてみたら凄くいいんでびっくりした。ダナと同じシモンズ姓のメンバーが全部で3人もいるぞ。ファミリーバンドなのかな。アマゾンでは扱ってないみたいなので、THISTIMEオンラインストアをリンクしておいた。興味のある人はそちらでどうぞ。

打ち上げパーティーがずっと続いていてほんとは帰りたくなかったんだけど、次の日も朝早いので適当な時間で切り上げる。THISTIMEのフジさんと話せたのも楽しかったな。フジさん、YASUさん、ありがとう。次回もまた来るからね。


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Setlist 8 August 2011 @ Shimokitazawa Three

1. Come Undone
2. I'm Feeling The Same Way
3. Girls In Magazines
4. Song For Kim
5. Help Me Fall
6. Top 10 List
7. I Feel For You
8. Keep Fishin'
9. Sight For Sore Eyes
10. Adamant
11. Freak Out
12. Keep Me Holding On
13. Popped Balloon

Encore
1. I Get My Heart Broken Everyday
2. Yeah Yeah Yeah Yeah
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2011年09月08日

The Wellingtons live in Tokyo

楽しかった。出張直後、しかも結構重要な会議が立て続けに入っている週の火曜日なのでかなりムリをしたけど、ほんとに行ってよかったと思う。家に帰ってきた今もまだ耳の奥で鳴り響いているキーーンという耳鳴りまでが心地いい。

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今日は会社から直行したけど実は僕の家からは結構近い新代田FEVERに来るのは、これが初めて。あらかじめ地図を見て大体の場所はわかっていたけれど、井の頭線の駅を出てびっくり。こんな駅前にあるライヴハウスなんて初めて見るよ。超便利。同じ敷地内にお洒落なカフェも併設されていて、立て懸けてあるメニューを見るだけでお腹が鳴る。夕方の会議を振りきって何も食べずに来たからね。もう少し早く来られれば先に軽く食べられたのにな。

開場時間のほんの数分前に着いたので、さほど待たずに入場。招聘元THISTIMEのオンラインでチケットを購入して、当日入り口で受け取りということだったので、てっきり先に入れるのかと思いきや、前売りチケットを持った人からの入場だった。ちぇ。でもそんなに大勢いたわけでもないので、すぐに入れたよ。おまけに、受け取ったチケットには1番のスタンプが。なんか嬉しい。

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赤ワインのグラスを受け取り、6月にクアトロでポウジーズを観たのとほぼ同じポジションに陣取る。端っこだけどステージ全体が見渡せるから満足。最近はライヴに来ると誰かしら仲間がいるというのが普通になってしまっていたから、一人でじっと開演を待つというのも随分久しぶり。でもまあ今回は前座もあるから、開場から開演までほんの30分なんだけどね。

予定開演時刻を15分ほど廻った頃、スコット・ゴーズ・フォー(Scott Goes For)の4人が登場。前座のことまで事細かに書いてるときりがないので単刀直入に書くと、僕にとってはかつてオークランドでボブ・ディランの前座として観たフレイムズや、同じくオークランドでジョン・ケイルの前座で出てきた名前も知らない地元のバンドと並ぶレベルの大当たりだった。

ぱっと見はケバくもチャラくもない普通のお兄ちゃん(ライヴ中の会話によると、もう40を越えてるんだって。そうは見えない)ばかりなんだけど、一旦演奏に入るとメチャクチャ格好いい。声もいいし書く曲もいい。後述するウェリントンズのはっちゃけた爆音とは違って、豪快ながらも端正な音。これは拾い物だよ。今制作中のアルバムが年末か1月頃に出るらしいから、これは買おう。ちなみにこのバンドのギタリストが本来所属しているナッヂ・エム・オール(Nudge'em All)というバンドの新作をこの日のチケットと一緒に通販で買ったら、ライヴから帰宅したところにちょうど届いていた。発売日前なのに嬉しいね。さっそくウォークマンに入れて明日の通勤中に聴こうっと。

全部で8曲ほど演ったかな。ラスト前に演った、クリストファー・クロスの「Arthur's Theme」の高速カバーが痛快だった。あれもアルバムに収録されるかな。あっという間に30分の持ち時間終了。後ろに控えてるのがウェリントンズじゃなかったら、僕はあれで帰ってもいいってぐらい気に入ったよ。


30分ほどの機材セッティングを経て(当然のことながらセットしているのはメンバー本人達。でも誰もさほど騒がず)、いよいよウェリントンズ登場。ステージ中央に左利き用のテレキャスターを抱えたヴォーカルのザック、ステージ右側のケイトは「Keep Me Holding On」のPVで弾いているファイアバードじゃなくてペイルピンクのジャズベース。ステージ中央後方にドラムスのグスタフ。そのすぐ左にキーボードのアナ。アナの前、というか僕の真ん前で赤いギブソンのESを持っているのは、あれ?コージ君じゃないぞ。金髪のオージーだ。もしかしてコージ辞めたの?

1曲目は予想通り、先日の記事で紹介した新作『In Transit』のオープニングでもある「Keep Me Holding On」。うひゃー、音でかい。さっきのスコット・ゴーズ・フォーとは打って変わって、バリバリに歪んだ音。僕がスピーカーの真ん前にいるからかとも思ったけど、スコットのときはこんなに耳に突き刺さるような感じじゃなかったもんね。レスポール2本とテレキャス+セミアコとの差なのかな。まあ、それにしてもいい曲には変わりない。知らない人用にちょっとPV貼っておこう。



続けざまに曲を繰り出してくる。知ってる曲ばかりなんだけど、なかなか曲名が出てこない。前回の記事に僕はこのバンドのCDはセカンドアルバムしか持っていなかったと書いたけど、新作を気に入った直後、ファーストとサードをすぐさま購入。07年に買ったセカンド以外の曲はほぼ一気に覚えることになったので、とても曲名までは無理。3曲目に演ったイントロの印象的な「Song For Kim」とか、最近かなりヘビーローテーションだった新作からの曲なんかは大体わかったけどね。

実は僕のすぐ目の前のステージ上にセットリストが置いてあって、見ようと思えばいつでも見られたんだけど、そんなつまらないことはせずに、ライヴ中はずっとそこから目をそらして、終演後に写真を撮らせてもらうだけにしておいた。その写真とセットリストは最後に。

4曲目までほぼ曲間なしで歌い続けたザックが、「そこにいる彼女はケイトっていうんだ。次は彼女が歌うよ」と紹介して始まったのは、新作2曲目の「I'm Feeling The Same Way」。これもかわいくていい曲だよね。とにかく、CDを聴いても今回ライヴを観ても思ったのが、新作の曲はこれまでとはランク違いによくできてるってこと。

10曲終えたところで(曲数だけは数えてた)、ザックとケイト以外のメンバーが一旦退場。ザックがギブソンのアコギを持ち、ケイトはコーラス。アンプも通さず、二人ともオフマイクで歌う。綺麗なハーモニー。下手すると一本調子になりがちなこの手のライヴで、いいアクセントになったね。もう一曲「ファーストアルバムから」と「Tired Eyes」をアンプラグドで歌ったところで他のメンバーが再登場。ザックはそのままアコギで何曲か演奏を続ける。

メンバー紹介。僕の正面のブロンドのギタリストを「彼はダニエル。ダナって呼ばれてるんだ」。続けて「キーボードの彼女はアナ。新人だよ」とザックが紹介。そしたらダニエルが自分を指さして「ダナ」、後ろを向いて「アナ」、ドラマーのグスタフを指して「バナナ」だって。特に面白いギャグでもないはずなのに何故か受ける。

「ダナと僕は別のバンドもやってるんだ(名前は失念)。ダナが曲を書いて歌ってる。僕はベースを弾いてるんだよ。そこの物販のところに売ってるから後で買ってね」とザック。終演後に買おうかどうか迷ったけど、木曜日もあるからちょっと保留。

ダナがもう、演奏中暴れまわること。ジャンプはするわ、ぐにゃぐにゃ踊るわ(ダンスに非ず)。アンコールのときかな、自分のマイクスタンド倒してもうそのままにしてステージ動き回ってたのは。でも、ギターを弾きながらのジャンプって、誰もがかっこよくできるってわけじゃないんだなと思った。だってダナのジャンプ、へろへろなんだもんな。フォール・アウト・ボーイのピートとかって、よっぽど練習してるんだろうね、あんなにステージで格好良く走ったり回転しながらジャンプするなんて。

グスタフのドラムソロのパートが入ったのは、本編終了間近の「Adamant」のときだったかな。ケイトとダナは腕組みをしてじっと見てたり、ザックはこっち向いてあくびをするふりをしたりで可笑しい。グスタフって、ずっと歯を見せて笑っているような顔が、どことなくこざっぱりしたデイヴ・グロールといった趣き。髭もデイヴより短めだし。

ザックがMCのときに結構日本語をしゃべる。「スコット・ゴーズ・フォーに拍手を(ここは英語)。メッチャ、サイコー」とか。そういえばケイトと二人で、開演前に食べた併設のカフェでのカレーのことも「メッチャ、サイコー」って言ってたね。でも、二日後のイベント(パワーポップアカデミー)のことを説明するときにザックは「下北沢」がどうも覚えられなかったらしく、ケイトに耳打ちしてもらってたよ。ケイトはよく覚えられるね、そんな長い地名。

ステージ上での飲み物。ケイトは缶チューハイ。氷結だったかな。ダナもチューハイとかスーパードライとか。ザックはミネラルウォーター。グスタフのはちょっと遠くて見えなかったけど、多分あれもチューハイかな。アナは何も飲んでなかったように思う。終始冷静だったアナ以外は皆かなりはじけてたのは、アルコールが入ってたこともあるのかな。


アンコールで一旦退き、数分もしないうちに再登場。1曲目はサードアルバム『Heading North For The Winter』から僕の好きな「Come Undone」。このアルバムタイトル、寒い寒い冬のことかなと一瞬錯覚したけど、よく考えたら「寒い冬には暖かい北へ向かおう」だね。メルボルンのバンドだった。NZ暮らしから4年も離れてしまうともう感覚マヒしてくるよ。

ラストはキッスの「Rock 'n' Roll All Night」。セットリストに載ってた「Keep Fishing」は演らなかったね。ウィーザーの曲? この写真(アナのリスト)にはタイトル載ってるけど、ザックのは一番下の行が黒く塗りつぶされてたから、きっと始まる前から既に予定から外れてたんだろう。スコット・ゴーズ・フォーが始まるときからもう15分ほど押してたからね。残念。


たっぷり2時間強。アンコールも入れて全部で20曲かな。堪能した。終わってからしばらくは耳が聴こえなかった。会場を見渡すと見知った顔がちらほらいてしばらく話したんだけど、耳がギンギンして何言ってんだかさっぱり聞こえないよ。

少しはまばらになった客席にメンバーが出てくる。観客に囲まれるというほどでもないけど、たくさんの人が話しに行ったり、一緒に写真撮ったりサインもらったり。ザックとケイトは見当たらないな。僕もよほどサインもらおうかなと思ったけど、もう結構時間も遅かったし、まだ木曜日もあるからいいやと思って、雑談していたK君と別れて会場の外へ。

そしたら出口のところザックが。しばらく見ていて彼と話していたお客さんが帰ったところで、「あさって会おうね」と挨拶して僕も帰ろうとしたら、「あさっても来てくれるの。それはいいね。君なんて名前?」とか聞いてきてくれるから、「yas。ああ、そういえばサインくれる?」となんだか申し訳ない展開に。最初からサインくださいと言えよ。

持参していた『In Transit』の中ジャケにサインをもらう。ここにも日本語。

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「日本語を勉強してるんだよ。君も英語上手だね」となんだか向こうに気を使わせてばかりの会話。NZに住んでいたとか「僕はオークランドには行ったことがないよ」とか。あ、そんなことよりあれ訊かなくちゃ。「ねえ、コージはどうしたの?」

そしたら、彼の奥さんが臨月で、もうすぐ赤ちゃんが生まれるからメルボルンを離れられないんだって。ああ、そうなんだ。よかった。ステージでもそんなこと何も言わないから、てっきり辞めてしまったのかと思ってたよ。「コージは僕らにはかけがえのないメンバーだからね。辞めないよ」とのこと。

とか言ってるうちに別のファンの方がザックに近づいてきたので、「じゃあまた明後日ね」と会場を後に。出口の階段を上って信号を渡ればもうすぐそこが新代田の駅。便利だね。カバンの中には今サインをもらったばかりの『In Transit』の他に、平日に二日も会社を早抜けして(既にチケットを取っていたパワーポップアカデミーに加えて)この日のライヴに来るように僕の背中をうんと押してくれた、THISTIMEさんからの素敵なお土産が。

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なんと、入場者全員に、アルバム『In Transit』から漏れたデモ10曲をコンパイルしたCD-Rのプレゼント。これだけでもこの夜のチケット代分ぐらいの価値あるよね。しかも、メンバー全員の直筆サイン入り。日本に着いてからライヴが始まるまでに全部サインしたんだって。帰って2回ほど聴いてみたら、さすがに『In Transit』ほど超優良曲満載ではないものの、たとえばウェリントンズのB面曲集とか言われても全然遜色のないぐらいの出来。うれしいなあ。


昨日家にたどり着いてから、なんとか寝る前にこの記事をアップしようと頑張ったけど、なにしろ書きたいことが次から次へと出てくるもんだから(この上にあるだけの量です)、午前2時あたりでギブアップ。さっき会社から帰ってきて続きを書き始めて、足かけ3日でようやく完成。ふう。明日は、というか日付の上ではもう今日は下北沢でパワーポップアカデミーか。ライヴとかDJとか、どういうイベントになるんだろうな。昨日届いたナッヂ・エム・オールのアルバムもすごくよかったし。楽しみ。


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Setlist 6 August 2011 @ Shindaita Fever

1. Keep Me Holding On
2. Popped Balloon
3. Song For Kim
4. I Get My Heart Broken Everyday
5. I'm Feeling The Same Way
6. Girls In Magazines
7. I Feel For You
8. Baby's Got A Secret
9. Goodbye Heartbreaker
10. Top 10 List
11. For Friends In Far Away Places
12. Tired Eyes
13. Your One
14. Help Me Fall
15. Yeah Yeah Yeah Yeah
16. Sight For Sore Eyes
17. Adamant
18. Freak Out

Encore
1. Come Undone
2. Rock 'N' Roll All Night
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2011年08月13日

Nick Lowe live in Tokyo Pt. 2

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東京公演最終日。セカンドセット。ちょうど僕が会場に着いたのは、ファーストセットを終えて満足顔のお客さんがぞろぞろと出てくるところだった。みんな本当にニコニコしてるね。テレビ中継は無事行われたようで、友達に頼んである録画ビデオを観るのが楽しみだ。

前日より一つ大きな数字の整理番号で入場したのに、前日より一つ内側に寄ったテーブルに陣取る。僕とステージとの間には何人か座っているから、その人たちに遮られてステージ全体を見渡すという感じではないけれど、ポジション的にはニックの真正面。首を思いっきりひねらないとゲライントのことを観られなかった前日とは逆に、ステージ左側を向いた席。ビルボードにはもう何回も来ているから、下手に最前列まで行くよりもこのあたりの方が音のバランスがいいというのは承知済み。負け惜しみでなく。

前日同様、定時を少し過ぎたあたりでニックが登場。前日はこざっぱりしたモスグリーンの半袖シャツだったのが、この日は一面に薔薇の模様の入った濃紺の長袖シャツ。足元は前日の革靴でなく、スニーカーだった。いくつになってもスタイルいいから、何着ても似合うね、この人は。

どうせ前日と同じセットリストだろうな、最終日だから余裕持ってゆったり観よう、もうしばらく観られないかも知れないからしっかり目に焼き付けておこう、なんて思っていたら、前日と同じようにギターを抱えて弾き始めたイントロがどうも昨日の「Stoplight Roses」とは違う。なんか聴き覚えあるぞ。あ、これ!「People Change」だ。ライヴDVDでもオープニングだった、アルバム『At My Age』中、僕が一番好きな曲。そっか、セットリスト変えてくるんだ、これは楽しみだぞ。

と思っていたら、2曲目は「Heart」。メンバーがまだ楽屋からステージに向かって歩いてきている時に勝手に弾き始めて歌い始めた3曲目の「What Lack Of Love Has Done」も前日と同じ(前日はせめてメンバーがステージに上ってから弾き始めていたけどね)。その後しばらくは同じセットが続いた。

「I Live On A Battlefield」に入る前、「この曲は、ダイアナ・ロスにカバーされたんだ」と紹介。へえ、そうなんだ。まあ、あえて買ってまで聴いてみたいとは思わないけど。そして、その曲が終わったときに、前日同様にメンバー紹介。「みんな、“コンニチハ”を彼に言って」と、右端のマシューから順に。ロバートのときは、「ロバート・トレハーン。グレート・ボビー・アーウィン!」って言ってたね。

「Indian Queens」の間奏で、ドラムがコツ、コツ、と静かにリズムを刻むところでニックが「う〜ん」とか言いながら気持ちよさそうな顔してた。前日は確か「この部分が好きなんだ」とかつぶやいてたな。

曲順もわかってるから前日より冷静に聴けたとはいえ、やっぱりこの「Cruel To Be Kind」のイントロは超かっこいいよ。感動的ですらあるな。そして、この日一番の驚きは、ジョニーのギターがやたら上手かったこと。この曲に限らないけど、前日はヒヤヒヤしながら観ていたプレイの、この日はなんと安定していたことか。この曲のソロは比較的レコードに忠実なラインだったけど、それだけでなく、各曲での的確なピッキング、効果的なトレモロ使い、(もたついてるんじゃなく)タメを持ったカッティング、どれもこれも前日とはまるで別人。そう思いながら観ると、前日はちょっともっさりして見えたグレッチの黄色い大柄なギターもやけに格好よく見えるよ。いやー、さすがテレビ中継が一度入ると違うね(笑)

そんな風にジョニーもよかったけど、ステージ左側を向いて座った僕のこの日のお目当てはやっぱりゲライント。ステージ中央に向けて置かれた黒いローランドと、客席に向けて置かれた真っ赤なノード。曲によって使い分けたり、同じ曲の中で両方を弾き分けたり。この人が演奏するのを、ビデオも含めて何度か観ているけど、どうも猫背で小さくなって弾いているっていう印象があったんだよね。ところが実際にこうして見てみると、背筋はしゃきっと伸びている。大柄な体を小さくして弾いているのかと思うと、背も決して高いわけじゃない。どうしてあんな風に見えるんだろうとずっと観察していてわかったのは、あれ椅子がかなり高いんだね、きっと。それで、自然と下の方にある鍵板を手のひらでふわっふわっという感じで弾くもんだから、なんとなく大きな大人がオモチャのピアノを弾いているように見えるんだな。そしてこの人、本当にいつも目を細めてニコニコしながらキーボードを弾くんだよね。観ているこっちまでつられてニコニコしてしまうよ。

「Cruel To Be Kind」の次はスローな曲、というお決まりどおり、次はライヴDVDと同じ「You Inspire Me」。次はまた「Long Limbed Girl」かなと思っていたら、新曲だ。サビの歌詞とニューアルバムの曲目表を見比べてみると、「Sensitive Man」というやつだね。

「今のはニューアルバムからの新曲。もう一曲新曲を演るよ、“House For Sale”」と紹介して演奏しようとするニック。他のメンバーから一斉に「違うよ」とツッコミ。「ああ、そうか、“Somebody Cares For Me”だ、そっちの方がいいね」と苦笑いのニック。「なんだ、昨日演奏していない“House For Sale”を演ってくれればいいのにな」と思っていたら、「Somebody Cares For Me」のあと、「次が“House For Sale”だったよ」とニック。やった、この中盤に来て前日とかなりセット変えてきたよ。嬉しいな。これもいい曲だね。歌詞の後半に“Peace, Love and Understanding”なんて入ってたのはアドリブなのかな。

曲によって、ベースのマシュー以外の3人が頻繁にコーラスを入れる。みんなさすがに付き合い長いだけあって手慣れたものだね。あと、前日も気づいていたけど書くのを忘れていたのは、曲が終わるたびにニックが敬礼すること。なんか、すごく見馴れた光景だなと思っていたら、あ、そうか、あれ「Cruel To Be Kind」のシングル盤のジャケだ。昔からずっとああしてたんだね。

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「Somebody Cares For Me」の後は、本編終了まで前日と同じ流れ。「Without Love」の、あのシンプルなギターソロの格好いいこと。何度も書くけど、ほんとに昨日のあの頼りなさげなギタリストと同一人物とは思えないよ、まったく。

「I Knew The Bride」の歌詞、“At a flash hotel for a 150 guests”というところで、前日もなんかごちゃごちゃとアドリブ入れてたなと思ってよく聴いてみたら、“広尾ガーデンホテル”って歌い替えてたね。そうか、今回そのあたりに泊まってるのか(笑)

それで本編終了。前日と違ってこの日はちゃんと(?)全員楽屋に引っ込んだね。でも何分も経たないうちにニックとゲライントが二人で登場。「アンコールの拍手が止んでしまう前に出てきたよ。僕らもまだ演奏したいからね」とニック。

アンコールの曲順は前日と同じ。「When I Write The Book」を終えたとき、ニックが客席に向かって人差し指を立て、「もう一曲?」と自ら聞いてくる。そして、あの最高にクールな「Go Away Hound Dog」。一旦全員がステージを降り、それでも鳴りやまない拍手に応えてニックが一人で閉じて行くカーテンの前で唄う「The Beast In Me」。

以上。ああもう、終わっちゃったよ。前日とちょっとだけ違うセットリスト(なにげに前日より1曲多い)とか、期待してなかったところで嬉しい驚きもあったし、終始ニコニコ顔のゲライントのことをずっと見ていられたし、見違えるほど成長した(笑)ジョニーのギタープレイも観られたし、それにやっぱりなんと言っても、あの円熟味溢れる演奏と歌をもう一回聴けたというのが、この日最大の醍醐味。チケット高かったけど、二日間来てよかった。早くこの日のファーストセットの録画観たいな。


Setlist 11 August 2011 @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

1. People Change
2. Heart
3. What Lack Of Love Has Done
4. Ragin' Eyes
5. Lately I've Let Things Slide
6. Has She Got A Friend?
7. I Trained Her To Love Me
8. I Live On A Battlefield
9. Indian Queens
10. Cruel To Be Kind
11. You Inspire Me
12. Sensitive Man
13. Somebody Cares For Me
14. House For Sale
15. Without Love
16. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
17. I Knew The Bride (When She Used To Rock 'n' Roll)

Encore
1. Only A Rose
2. When I Write The Book
3. Go Away Hound Dog

4. The Beast In Me
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2011年08月11日

Nick Lowe live in Tokyo Pt. 1

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「死ぬ前にまた観られたらいいな。できたら今度はもっと小さい会場でね」と記事を締めくくったのは、もう2年近くも前になるのか。あのときはライ・クーダーとのジョイント・ツアーで、しかもやたら馬鹿でかい会場の端の方で観たために、それなりに満足したもののなんとなく個人的には欲求不満気味だったニック・ロウのライヴ。2年振りの来日は本当に“もっと小さい会場”が実現してしまった。ただ、純粋にライヴを観るという意味ではちょっと有難味に欠けるビルボードなんだけど。

二日連続の計4公演。発表されたときは全公演制覇しようかなとも思っていたけど、今回はバンドで来ると知って、多分アドリブ効かないな、ヘタすると4公演ともセットリスト同じかも、と思い、中途半端に一日一回ずつの2公演だけにしておいた。どちらも9時半からのセカンドセット。今日はまず、初日分を書こう。セットリストとか出てくるので、今日これから観に行く予定の人や、明日の大阪公演を楽しみにしている人はネタバレ注意。

最前列ではないけどそれなりに見やすい、ほぼ中央の席を確保し、多分ビルボードでは誰も注文することのないであろう日本酒を(ワイングラスで)ちびちびやりながら待つことしばし、定刻の9時半を少し回ったところでニックが一人で登場。

2年前の来日時、ステージからかなり離れた席から見ててもずいぶん歳食ったなと思っていたけど、今回もその印象は変わらず。というか逆に、あれから2年経ったけど老化は2年分も進んだように見えない。かなり痩せて顔も首もシワシワだけど、おじいちゃんお元気そうでなにより、といった風貌。上の写真でかけている、往年のエルヴィス・コステロ風の黒縁メガネのせいもあってやけに落ち着いて見えるね。

いつものようにサンバーストのギブソンを右脇きっちりに抱え、大きな左手で包み込むようにネックを押さえるスタイル。ピックは使わずに指で弾いてるんだね。といっても、細かなフィンガー・ピッキングをするというわけでもなく、手首から先だけを動かしてなんとなく手癖で弾いているような。

曲紹介もなく歌い始めた1曲目は、歌詞から判断して、来月発売予定の(とんでもないジャケットデザインの)ニューアルバム『The Old Magic』のオープニング曲「Stoplight Roses」だろう。いい曲だなあ。またこんな地味な曲が幕開けなのかとも思うけれど、今回のアルバム結構期待できるかも。あのジャケだけはなんとかしてほしいものだけど。

続く懐かしの「Heart」までは一人で弾き語り、3曲目に移る前にメンバーが登場。ステージ右手でアップライト・ベースを弾くのはマシュー・ラドフォード(Matthew Radford)。その左に、ちょっと斜めにセットしてあるドラムスに座るのは、ロバート・トレハーン(Robert Trehern)。中央のニックの左後方でエレキギターを弾くジョニー・スコット(Johnny Scott)。ステージ左端に2台置いてあるキーボードを弾くのがゲライント・ワトキンス(Geraint Watkins)。07年の前作『At My Age』ライヴDVDのときと同じ布陣。ライヴDVDのときはゴールド・トップと名付けられていたバンドだね。

まだメンバーがストラップを肩にかけたりプラグを挿したりしているのに、ニックがさっさとイントロを弾きはじめる。3曲目は『Dig My Mood』からの「What Lack Of Love Has Done」。最初のヴァースを歌い終える頃に、準備のできた楽器からバラバラと加わり始める。なんか、こういうのいいね。この後にも、最初ニックが一人で弾き歌い始めて、他の楽器が順々に入ってくるというアレンジの曲がいくつかあったな。骨組みだけだった曲が徐々に組み立てられていくのを目前に見ているような感触。

「今日は、とても古い曲や、そこそこ新しめの曲、それからできたばかりのとても新しい曲も演るよ」とニックが話したのはこのあたりかな。4曲目は“とても古い曲”の一つ、「Ragin' Eyes」。どうもあのPVを観て以来、“女の子の目からビームが出る曲”と認識してしまうよ。PVのイメージって重要だね。

その後は、“そこそこ新しめの曲”がしばらく続く。告白してしまうと、僕はいわゆる“ブレントフォード三部作”以降のアルバムって、凄く良いとというのは頭ではわかっていつつも、僕が一番彼の音楽にはまっていた80〜90年代前半のアルバムほど聴き込んでこなかったのは事実。ところが、こうして目の前でライヴで演奏されるのを聴くと、一連のジャジーな雰囲気のアルバムから受ける印象と全く違うのに驚かされる。

はっきり言って、ゲライント以外は取り立ててテクニシャンと呼べるようなメンバーがいるわけでもないし(ゲライントにしても、特に凄いフレーズを弾いたりするわけじゃなく、雰囲気勝負みたいなプレイヤーだしね)、演奏自体もいたってシンプルなものなんだけど、最近のアルバムからの曲がすごく際立って聴こえる。ああ、これってこんなにいい曲だったんだ、と思わされるのがいくつもあった。さっきの「What Lack Of Love Has Done」もそうだし、5曲目に演奏した「Lately I've Let Things Slide」もそう(まあこちらは元々かなりいい曲だというのは認識していたけど)。

インディアン・クイーンズが地名だというのは今回ニックが説明するのを聞いて初めて知った(歌詞をちゃんと読みなさい)。「Indian Queens」、実に目立たない地味な曲だけど、いいよね。今回これを演ってくれたのが個人的には小ヒット。

中盤、ニックがゲライントのことを指さし、ゲライントが真っ赤なノード・エレクトロ3で耳慣れないイントロを弾き始めた。初めて聴くイントロのフレーズだけど、このコードでわかるよ!もうその瞬間、その場で悶絶しそうになった「Cruel To Be Kind」。例のライヴDVDでも、ロバートが自分の膝をスティックで叩いてカウントをとるイントロが最高にかっこよかったしな。

そういえば、そのライヴDVDのその曲でせっかくのギターソロをとちっていたジョニー、今回もなんだかあちらこちらで危なっかしいプレイを見せてくれてたよな。あからさまに間違ったりはしてないんだけど、どうも見ていて不安をぬぐえないというか、おいおい頼むから正しい弦を弾いてくれよ、という気持ちになってしまう。「Cruel To Be Kind」も、オリジナルともライヴDVDの時とも違ったソロを弾いてくれたんだけど、そんな余計なことしないでいいから落ち着いてオリジナル通り弾いてくれと思ってしまう。今朝読んだ五十嵐さんのツイートによると、この人ってゲライント、ロバートと3人でヴァン・モリソンのバックバンドに居たことがあるらしいんだけど、あれで本当に?って感じ。

さっきからロバートロバート書いてるけど、メンバー紹介のときにニックは「ロバート・トレハーン、またの名をボビー・アーウィン」って紹介してたね。あーすっきりした。ボビーでもロバートでもいいんだけど、なんで苗字変わったんだっけ、この人?

ライヴDVDのときはクライマックスの「Cruel To Be Kind」に続けてスローな「You Inspired Me」、そして「Long Limbed Girl」を続けて、あたかも「Cruel To Be Kind」なんてクライマックスでもなんでもない単なる1曲なんだよとでも言いたげな流れだったけど、今回もその曲に続けてスローな「Raining Raining」、そして「Long Limbed Girl」という流れ。この「Long Limbed Girl」という曲は「Cruel To Be Kind」の次の次というポジションに決まっているのかな。

「次は来月出るニューアルバムからの曲」と前置きして(その後「iPodで買って」とかなんとかジョークを言ってたけどよく聞き取れなかった)、「Somebody Cares For Me」。これもなかなかいい曲だったね。そこから先は、本編ラストに向けての怒涛の曲順(セットリスト参照)。

ラストの「I Knew The Bride」を終えたところでステージを離れようとした瞬間、腕時計を見て「あ、やばい、ゲライントそこに居て」とばかりにキーボードを指さして指示するニック。「アンコールで行ったり来たりする時間を省くよ。もう時間ないからね」と説明していたのは終演予定時刻を少し回った10時35分あたり。

「ゲライントはキーボードだけじゃなく歌もうまいんだ」と紹介し、アンコール(?)1曲目はゲライントの「Only A Rose」でスタート。知らない曲だなんて思ってたけど、調べてみたら僕も持ってる『Dial 'W' For Watkins」に入ってる曲じゃないか。買ったCDはちゃんと覚えるまで聴き込みなさい。最初はコーラスをつけていたニックがセカンド・ヴァースはメインで歌い、ゲライントがコーラスに廻る。いいね。

残りの3人がまたステージに戻ってくると同時にステージ背後のカーテンが開き、六本木の夜景と大きな窓ガラスに映るニックの後姿がくっきり見える。例によってニックがソロで歌い始め、他の楽器が追いついてくる感じで「When I Write The Book」。思い起こせばもう30年以上も前、僕が初めてニックのライヴを観たコステロの前座のときのオープニングがこの曲だったな。すっかりアンコールのクローザー的な貫禄あるアレンジに改良されたこの曲を聴くと、立派な社会人に成長した近所の子供を見ているような気になるよ。偉くなったものだね。

もう予定終了時刻を15分以上廻ってるし、それで終わりかなと思っていたら、ロカビリー調のやたら格好いい曲をもうひとつ。調べてみたら、クリフ・ジョンソンという人の「Go Away Hound Dog」という曲のようだ。このバンド、こういう曲を演らせたら鉄壁だね。何度も書いて申し訳ないけど、別にどこが上手いというわけでもないけど、必要最小限の音は全て鳴るべき個所で鳴っているという感じ。ニックがここ数年このバンドにこだわっている理由がよくわかる気がする。

演奏終了後、メンバーが楽屋に下がる。いつもこの瞬間に気付くんだけど、この会場、あの一番左手の席に座っていると、楽屋に戻るメンバーに握手してもらったりできるんだよね。まあ、あえてそれを理由にあんな端っこで観たいとは思わないけど。

鳴りやまないアンコールの拍手。ビルボードルールでもう客電点けられてしまうかな、と思っていたけど、すぐニック一人で戻ってきてくれて、最後はしっとりと「The Beast In Me」で幕。開いていたカーテンもニックが歌うにつれて徐々に閉じていき、この静かなエンディングにぽつんと小さな色を添える。

ああ、いいライヴだった。スルーするつもりだった二日目のファーストセット、やっぱり行こうかな。実は、ネットで調べてみた数カ月前のライヴのセットリストが今回のとほぼ同一だったのを知っていたから、やっぱり今回の4公演、セットリスト変わらないんだろうなと思ったのと、受付で調べてもらったらもうあまりいい席が残っていなかったのと(なんでビルボードって、追加料金を払う指定席の方が後ろなんだ?)、会社サボってテレビに写るのもなんだかなと思ったのが重なり、やはり断念。

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そう、今日のファーストセットは、フジテレビのCSチャンネルで完全生中継なんだって。あと30分ほどで始まるから、この記事をアップされた瞬間に読んで興味がわいて、しかもCS契約している人は是非観てみて(天文学的な確率でいないね、そんな人は)。

さて、そろそろセカンドセットを観に行く準備をしようかな。全く同じセットリストでも別にいいよ、あんなに熟成されたいいライヴをもう一回見せてもらえるならね。


Setlist 10 August 2011 @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

1. Stoplight Roses
2. Heart
3. What Lack Of Love Has Done
4. Ragin' Eyes
5. Lately I've Let Things Slide
6. Has She Got A Friend?
7. I Trained Her To Love Me
8. I Live On A Battlefield
9. Indian Queens
10. Cruel To Be Kind
11. Raining Raining
12. Long Limbed Girl
13. Somebody Cares For Me
14. Without Love
15. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
16. I Knew The Bride (When She Used To Rock 'n' Roll)

Encore
1. Only A Rose
2. When I Write The Book
3. Go Away Hound Dog

4. The Beast In Me
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2011年01月23日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 3)

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昨年末のタマス/ヨンシー/タマスという至福の週末に続く、グレン/グレン/グレンという怒涛の週末の3日目。僕は今回全部で8公演あった日本ツアーのうち結局東京3日間しか参加できなかったので、この日が僕にとっての今回最終日だった。あれからちょっと日が経ってしまったけれど、おぼろげな記憶とメモを頼りに書いてみよう。

この日もそれまでの定位置(のやや中央より)という最高の席に陣取らせてもらった。ほぼ同時に入場した、僕の分のチケットも一緒に取ってくれた全公演皆勤賞の友達が、この日が最後の僕に気を使って、少しでも前の席を譲ってくれたのが本当にありがたい。

珍しく開演時間ぴったりにステージに登場した二人。手にはなにやらメモを持っている。サイモンの方を指さしてグレンが日本語で「ブルース・ウィリスでーす」。サイモン「わたしは、ブルース・ウィリスでは、ありません」だって。ははは、言われてみれば確かに似てるね。きっと前日までのサイン会のときに散々いろんな人に言われたんだろうね。

二人で出てきたのでこの日は一曲目からドラム入り。6弦を持ったグレンが歌いだしたのは僕の知らない曲だった。終演後のサイン会のときにグレンに訊いてみたら、ランディ・クロフォードの「One Day I'll Fly Away」だそうだ。まったく僕の守備範囲のアーティストだけど、今度機会があったら聴いてみようかな。

例によってサイモンのiPadからシンセのイントロを出してスタートした「Take Me, I'm Yours」に続いて、グレンが自分のiPadをいじり始める。「僕はセールスマンじゃないけど、このソフトは本当にいいからお勧めだよ。メロトロンの音なんて本物よりいいぐらいだ」とか言いながら、パイプオルガンの音を出して、なんだかファウストに出てくる悪魔みたいな顔真似で「ワーッハッハッハ」と笑いながら何か台詞を言っていた。次の「Is That Love」の間奏のところでも、ギターソロの代わりにそのパイプオルガンを弾き、また悪魔の顔(笑)。サイモンがすかさず「ワーッハッハッハ」と悪魔の笑い声。へんな人たち。

「Mumbo Jumbo」、「Melody Motel」と、久しぶりに聴く珍しいけど大好きな曲が続く。最近のスクイーズのツアーのセットリストをいちいちチェックしてるわけじゃないけど、こういうマイナーな曲もちゃんと演奏してるのかな。もしそうでないとすると、なんでサイモンは(相変わらず曲紹介もなしで)あんなに出だしから最後までちゃんと叩けるんだろう。一応スクイーズの曲は全部完璧に叩けるように覚えてるのかな。

次の「This Is Where You Ain't」はきっとグレンの現在のマイブームなんだろうね。今回僕の観た回では必ず演っていたよ。僕はもともとそんなに大好きな曲というわけじゃなかったんだけど、これを聴くとグレンがソロ活動を始めた頃のいろんな感情が懐かしく蘇ってくる。この日は相当乗ってたのか、ギターソロが延々終わらない。かっこよかったな。

12弦に持ち替え、「次の曲はスクイーズの最初のアルバムから」と言うから一体何かと思っていたら、「Model」だった。これも珍しいね。ライヴで聴くのは初めてかも。そのままメドレーのように「No Place Like Home」に繋げる。さらに、スティーラーズ・ウィール(Stealers Wheel)の「Stuck In The Middle With You」の一節を挟み、「NPLH」に戻る。

実はこの「Stuck In The Middle With You」、僕はよく知らない曲だったので、休憩時間中に隣に座っていた友達に聞いて教えてもらった。そしたら、前日のサイン会のときに彼がグレンにリクエストしたけど、「歌詞を全部覚えていないから」と断られたそうだ。なのに、こうしてメドレー風に自分が知っている歌詞の部分をちゃんと歌ってくれるなんて、グレンってほんとにこういうことに関しては記憶力いいし、優しいよね。

ところで「よく知らない曲」なんて書いたものの、帰ってからCDラックを調べてみたら、僕の持っているジェリー・ラファティー(Gerry Rafferty)のベスト盤にちゃんとこの曲入ってるよ。ほんとに普段どんなにいい加減に聴いているのやら。スライドギターの格好いい曲だね。というわけでこの記事は引き続きそのベスト盤を聴きながら書いているところ。

iPadに触れてポーン、ポーンとなんだか宇宙的な音を出し始める。なんていうソフトか僕は知らないけど、スクリーンの違う箇所に触れると違う高さと音色の音が鳴り、それがループされていくという、Tenori-Onみたい使い方。そうしてスペイシーに始まったのが「Footprints」。わあ、これは凄いね。前日までは指でなぞって「ウニューン」とかやってただけなのに、ようやくグレンのiPadが音楽的に使われ始めた(笑)。さては前日の夜にこのソフトに気付いたのか?

そのままほぼメドレーっぽく「Annie Get Your Gun」へ。全然勢いも音圧も違うこの曲の背後でまだ「ポーン、ポーン」って音がこっそり鳴ってるのが変な感じ。グレンも間奏のところでまだ律儀に音を出しているiPadを見ながら笑ってたね。自分はギター弾いてるから止められないし。


あっという間の前半セットはそれで終了。後半は引き続き12弦を持ち、「Black Coffee In Bed」へ。前日のようにグレンがアンプラグドで客席を歩き回ってということはなかったけど、サイモンは後の方の客席に座って演奏してたね(スネアを外して持っていってたんだっけ)。演奏しながらサイモンがどんどん前に進んできて、僕の傍を通ってステージに上がり、サビ前のブレイクのところから通常演奏に。この曲も、12弦だとは思えないほどの速弾きのギターソロが冴えていたよ。

グレンがまたアンチョコの紙を取り出して日本語で「だれか、かみのけを、なんとかしてください」と言って笑わせる。暑がりのグレンはステージ上に自分に向けて3つも置いてあるサーキュレーターからの風で結構最近伸び放題のフワフワの髪の毛が常に逆立ったような状態で歌ってるんだけど、それがよっぽど鬱陶しいらしく、日本語でそう言った後に「もしここにヘアドレッサーがいて僕の髪の毛を短くしてくれたらとても嬉しいんだけど」なんて言ってた。そういえば今回、グレンからなんだかヒョロヒョロした金色の糸みたいなのが飛んでいくのをよく目撃したんだけど、あれは風で飛ばされたグレンの髪の毛なんだね。

実はそのアンチョコは休憩中からステージに置いてあり(というか、最初の「ブルース・ウィリスでーす」の裏側に書いてあった)、僕は始まる前にこっそり見ていたんだけど、そこに書いてあった文章はこういうのだった。

 DA LEYCAR CARMINO KAYO NANTOKA SHITEK COO DA SIGH

なるほど、日本語をちゃんと発音しようとすると、こう書くのか。

友達がリクエストした「Stuck In The Middle With You」を忘れていなかったグレンは前日の僕のリクエストもちゃんと覚えてくれていて、「次の曲は新曲、“Chat Line Larry"」と言って歌ってくれた。ちょっとロカビリーっぽい感じかな。終演後にサイモンに会ったら開口一番「君のリクエスト、演ったよ」と言ってくれた。うん、ありがとう、新作も楽しみだよ。

「The Elephant Ride」を終えた後、グレンがサイモンに「次は何にしようか」とか話しかけている。サイモンは「客席にいる友達に聞いてみればいいんじゃない」と答える。グレンはマイクに戻り、電話をかけるような振りをして「あー、ハロー、次の曲は何がいいかな」と聞く。間髪入れず僕の隣の友達が「Vicky Verky!」。やった、嬉しい。

この3日間、毎日それぞれ何をリクエストしようかずっと考えていた。リクエストタイムのときにアコギを持っていたら何で、エレキだったらどれで、と。初日は「Relentless Pursuit」(アコギでもエレキでも)、二日目序盤にその曲を演ってからはアコギなら「Little Ships」、エレキなら「It's So Dirty」、そしてこの日は、前回のツアーではテーマ曲のように歌われていたのに今回は一度も耳にしていない「Best Of Times」をリクエストしたいと思ってたんだけど、毎回出遅れてしまって、でも実際にリクエストに応えて歌われた曲もいいのばかりだったから、まあいいや。でも、もしアンコールまでずっと演奏されなかったら、リクエスト要求されなくても「Best Of Times」叫んでみようかな。

サイモンのiPadでリズムボックス風の音を出して始まったのが「If I Didn't Love You」。この曲の間奏のところでグレンは12弦からストラトに持ち替え、そのままバリバリのギターソロを弾く。かっこいい! 次の曲のイントロもサイモンがリズムボックスの音で始めたらグレンが「また同じリズムか」と言って、「Still」を演奏。これも途中のギターソロがすごかったね。本当にこの日は前日とはうってかわってギターがよかった。グレンも弾いていて気分いいのか、ついオリジナルよりも何小節も追加して弾き続けていたよ。

グレンは毎日スカーフをネクタイっぽく首に巻いていて、この前日はエレキを弾く時にちょうどそれがギターの手元のところに被ってきて弾きにくそうにしていたんだけど、この日はちょっと頭を使って、首から下がってるスカーフの両端に長短差をつけ、長い方をギターの裏側に挟み込み、短い方は手元まで届かないようにしていた。頭いいね。でも、アンコールで出てきたときには一度スカーフを緩めて締め直したのか、また弾き難そうにしてたよ(笑)

「Oh Well」、「Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby」とカバーが続き、この日も最高だった「Another Nail In My Heart」を挟んでまた僕の知らないブルーズのカバー曲。これはサイモンにもわからなかったらしく、イントロでおそるおそる叩き始め、グレンが歌い始めてもまだ怪訝な顔。定型ブルーズだからそんなに難しくなかっただろうけど、演奏後にグレンがサイモンに向かって「ごめん」とか言ってたね。きっと、今まで一緒に演ったことのない曲なんだろう。

終演後、サイン会の前にサイモンが先に出てきたから話していて、「あの曲何だったの?」と訊いたら「俺の方が聞きたいよ」と(笑)。サインをもらうときにグレンに訊いたら、「フリートウッド・マックの“Oh Well”と一緒のアルバムに入っている“Then Play On”という曲だよ」と教えてくれた。うなずく僕とサイモン。同じくセットリストをチェックしていた友達にそう教えると、早速帰宅後に調べて教えてくれた。『Then Play On』というのはアルバム名で、おそらくグレンがこの日に演奏したのは「One Sunny Day」という曲だろうとのこと。僕は演奏中にタイトルが歌われないだろうかと結構熱心に歌詞を聴いて大体覚えていたんだけど、確かにYouTubeで聴いた「One Sunny Day」は出だしの歌詞が同じ。でも中盤の歌詞は違ったような気がしたんだけど、あれは単にグレンが歌詞を覚えてなくて、適当な他のブルーズを混ぜて歌っただけなんだろうか。

「If It's Love」、「Parallel World」からほぼメドレーで演奏された「I Feel Good」で最高潮に達し、グレンが“We had the best of times!”と叫ぶ。そしてあのイントロ。やった!嬉しい!エンディングでグレンがコーラスを歌わせてくれるので、今回いちばんの大声で歌ったよ。もちろんこれが本編のラスト。ああもう、大満足。この日は選曲も曲順も完璧。


アンコールで再登場したグレンが「今日は弦を張り替えたんだ」と嬉しそうに言いながら再びエレキを持って「Tempted」を。やっぱり前日のはバンド用のアレンジだったよね。この日のはしっかりベース・パートまで自分で弾く、安心して聴けるソロ用のアレンジ。そう考えると凄いよね。バンド用に書いた曲をこうしてソロできちんと聴かせるためにアレンジし直した演奏をするなんて。いつもグレンのソロのときにはわざわざそういうことを意識しないで聴いていたけれど、この二日間の「Tempted」の差を聴いて、改めてそう思ったよ。

もうひとつ気付いたこと。次の曲はスネアの一撃で始まるんだけど、それをサイモンに指示するのにグレンは左腕で力こぶを作って「次、これ」みたいな感じで見せる。サイモンも「ああ、これね」と右腕でぐっと力こぶを作り、スネアをダン!と叩く。曲は「Pulling Mussels」。そっか、もうここからは連日の定型の流れだね。

その曲の途中でステージ上のファンを足で脇によせるグレン。当然、スクイーズ・ダンスの準備だ。その際に、正面に置いてあった一番大きなサーキュレーターのプラグが抜けてしまったみたいで、急に風が止まってしまった。にも関わらず次の曲の演奏を始めるグレン(というか、サイモン。iPadでイントロを奏で始め、自分は空のボトルをドラムスティックで叩き始める)。曲はもちろん、今回ツアーのお決まりのラスト曲「Goodbye Girl」。

曲の前半はボトルをスティックで叩いてリズムを取ってステージをうろうろしていたサイモンが、暑そうにしているグレンを慮って、サーキュレーターの抜けたプラグを探し、その場にしゃがみこんで、床に置いたボトルを叩いてリズムを左手でキープしながら、右手で抜けたプラグをコンセントに差し込む。サーキュレーターが動きだした!歌いながら歌詞の途中で「サンキュー」というグレン。そろそろ出番なので急いでドラムキットに戻るサイモン。サビ前で定位置につき、バスドラとフロアタムでドドドドドドドとフィルインし、そこからは通常演奏。いや、お見事。

最後はお決まりのスクイーズ・ダンス。二人とも汗びっしょりになって、ちょっとニコッとしながら、黙々と(ちょっといい加減に)踊っていたね。それを終えて、またアンチョコを持ちだして、グレンとサイモンがお互いに「お前言えよ」とか言いながら、結局最後はサイモンが「コンサートに、きてくれて、ありがとう!」と日本語で言って終了。

いやー、楽しかった。堪能した。結局僕はこの3日間しか観られなかったけど、多分二人の気力も集中力も、この日が最高潮に達していたと思う(横浜の最終公演に行けなかった負け惜しみ)。前日はいつまでも客電が点かなかったからずっとアンコールの拍手をして、予定外のアンコールをしてもらったけど(「Space Oddity」なんて驚きの選曲もあったけれど)、もうこの日はこれでいいやと思った。もう、何も聴かなくてもいい。それぐらい、この日の演奏は充実していた。


これまでの経験を活かし、サイン会には早目に並んだ。さっきも書いたけど、グレンの前に早々とサイモンが出てきてカウンターでビールを飲んでいたから、列のほとんど先頭にいた僕が話しかけてみた。同じ髪型の僕を覚えていてくれたようで、グレンが出てくる前にいろいろ話ができたのが楽しかった。前日の開演前に話していた僕の職業とかも覚えてくれていたみたいで、グレンが出てきたときにわざわざそんなことを伝えようとするから、「いや、そんなこと言わなくていいから」と言ったら、「なんだ、秘密なの?みなさーん、この人の職業はー」とか大声で言うし。ほんとにおかしな奴。

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この日は無難に、グレンからは『Dreams Are Made Of This』に、サイモンからは(以前グレンからはもうサインをもらっていた)『Pandemonium Ensues』にサインをもらってきた。本当に楽しかったな、この3日間。また近いうちに来てくれればいいのにな。そのときは、どんな仮病を使ってでも全公演追っかけよう。


Setlist 16 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. One Day I'll Fly Away
2. Take Me, I'm Yours
3. Is That Love
4. Mumbo Jumbo
5. Melody Motel
6. This Is Where You Ain't
7. Model
8. No Place Like Home ~ Stuck In The Middle With You
9. Letting Go
10. Footprints ~ Annie Get Your Gun

11. Black Coffee In Bed
12. Chat Line Larry
13. The Elephant Ride
14. Vicky Verky
15. If I Didn't Love You
16. Still
17. Oh Well
18. Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby
19. Another Nail In My Heart
20. One Sunny Day
21. If It's Love
22. Parallel World ~ I Feel Good
23. Best Of Times

[Encore]
1. Tempted
2. Pulling Mussels (From The Shell)
3. Goodbye Girl
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2011年01月16日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 2)

Three Guitars 2.JPG Drum Kit 2.JPG

二日目。予想通り明け方まで引っ張ったライヴ終了後の飲みがかなり尾を引いて少し朦朧としているけど、記憶の定かなうちに書いてしまおう。前日よりは少し大きな整理番号のチケットだったけど、運よく僕は前日と同じ席を確保。そこから撮った写真が上の2枚。どうしようもなく退屈な人は昨日の記事と見比べて見て、スポット・ザ・ディファレンス遊びでもどうぞ。

前日と同じ席とはいえ、前日より明らかに密集した椅子の並び。やっぱりこの日のチケットが一番売れているんだろうね。昨日は開場後しばらく「大丈夫かな?」と思うような客の入りだったけど、この日は早い時間からもうびっしり。飲み物を買いに行ったりトイレに行ったりするのも一苦労。上のドラムキットの写真が昨日よりやや大きめに写っているのは別にズームを使ったからじゃなくて、ドラムキットが近付いてきているから。隣の友達に「なんだかドラム昨日よりも近くに置いてない?」と聞くと、「それは私たちが昨日よりもステージに近いんです」との冷静な答え。

歩き回るのは一苦労だけど、席を確保した後ぶらぶらと二階に上がっていったらサイモンがいたので、「今日はあなたと同じ帽子かぶってきたよ」と話しかける。どこかに行ってしまったグレンを待って時間をつぶしてたようで、しばらく話ができた。前日終演後に近くに飲みに行って、ほとんど朝まで飲んでいたとか(グレンはもちろん途中で帰ったらしい)、「Relentless Pursuit」と「She Makes Me」はスクイーズでのグレンとクリスみたいに詞と曲との分業体系ではなく、二人で詞も曲も一緒に書いたとか、スティーヴン・ラージはダフィーのツアーに参加しているとか、ルーシーの子供の名前とか(ローレンスっていったかな)、インタビューよろしくあれこれ聞かせてくれた。彼も僕に「どんな仕事してるの?」とか聞いてくれたので、僕の話なども少し。とかしてる間にグレンが帰ってきたので席に戻る。

ライヴの進行パターンは前日とほぼ同じなので、今日はちょっと短めにあれこれ気付いたことを書いていこう。まずグレンが一人で登場して6弦のヤマハで弾き始めたのが「The Elephant Ride」、そして「Hope Fell Down」。後者のイントロのときにちょっとつまづいたかな。というような、明らかなミスではないけれどちょっとギターソロがたどたどしいぞ、という場面がこの日は後にも何度か見受けられた。ライヴ自体が悪いわけでは全くなかったけど、日本ツアーも終盤に差し掛かってきて、グレンもややお疲れモードなのかも。

2曲を終えたところでサイモンが登場。お互いのiPadでウニョーン、ビヨヨーンみたいな音を出しあって遊んでいる。この日は最初から最後まで、曲間も曲中でも、しょっちゅうそんなことしてたね。新しいおもちゃを与えたら止まらない子供たちの図、みたいな(笑)

模造紙に歌詞を書いている時間はなかったけど、今日もしグレンにリクエストを募られたら、2年前にグレンにリクエストして「次の日に演るよ」と言ってくれたのに今に至るまで実現していない「Relentless Pursuit」をリクエストしようと思っていた。共作者も後ろに座っていることだしね。そしたら、サイモンが来て最初の曲、聴き慣れないギターのイントロだと思ったら、いきなりその曲。あの偽ビーチ・ボーイズみたいなコーラスも二人で一所懸命やってたよ。いいの聴けた。

昨日、曲名を言わずにグレンがいきなりイントロを弾き始めても、サイモンがちゃんとそれについてくるということを書いたけど、この日の5曲目の静かなイントロでサイモンは明らかに戸惑った顔。グレンのソロ公演に何度か来ている人はそのイントロで当然何の曲かわかったけど、きっとスクイーズでこの曲を演奏するときは、オリジナルの速いバージョンなんだろうね。サイモンがドラムを叩きはじめないので、グレンがくるっと後ろを向いて「わかんないでしょ(ニヤリ)」みたいなことを言ってから(何言ったかは聞こえなかったけど)、「Touching Me Touching You」の最初のフレーズを歌いだした。サイモンも「あー、それか」みたいな顔で、ようやくフォロー。

iPadで「ウニョーン、ビヨヨーン」ってやる以外は比較的MCも少なく進行。前日よりも前半セットでのビールの消費が少し早めかな。あと、「Still」のときにはじまって、歌いながらかなり頻繁に「もっとマイクボリューム上げて」というような素振りをしていたね。そんなに聴こえ難くはなかったと思ったけど、自分の声がスピーカーからうまく聴こえていなかったのかな。結局、途中休憩のときに急遽スタッフがステージ上に大きなスピーカーを二つ追加(でも後半でもやっぱり「もっと上げて」ってジェスチャーしてたね)。

前半セットの最後に演奏した「Up The Junction」は前日の不思議ちゃんアレンジでなく通常パターン。うん、やっぱりこっちのほうがしっくりくるよ。それにしても、グレンがどっちのアレンジで弾き始めてもやっぱりサイモンは咄嗟に判断してついてくるよね。


前日は前半セットでギターを持ち替えてたけど、この日は前半中ずっと6弦。休憩を挟んでの後半セットは最初から12弦でスタート。と思ったら、いきなりギターのプラグを抜き、サイモンに「スネア持ってきて」と指示。曲は、思ったとおり「Black Coffee In Bed」。いつもどおり客席中央の通路を通りながらコーラスを入れる場所をお客さんに指示。サイモンがどっか行ったなと思っていたら、二階席に登場。そのままぐるっと回って、客席後方の階段から下りてくる(「いつもどおり」以降はすべて演奏中の話)。演奏と歌を続けたままステージに上り、さっき抜いたプラグを挿そうとするグレンと、それを手伝うサイモン(しつこいけど、これもずっと演奏中。サイモンも床に置いたスネアを左手で叩いてリズムをキープしながら、右手でグレンのギターのプラグを四苦八苦しながら挿してあげていた)。で、曲の途中からプラグド・イン、フルドラムキットに移行。いやー、凄いよね。昨日から「凄い、凄い」ばかり書いてるような気がするけど、ライヴ観てる間もずっとそんな感想しか頭に浮かばないんだからしょうがない。

後半2曲目は珍しいプレスリーのバラッド「Always On My Mind」。歌い始めた瞬間、「あ、ペットショップボーイズのカバー。しかもスローなバージョン」と思ってしまった僕にはこんな偉そうなブログ書いてる資格ないね(苦笑)

続いては、ちょっとびっくり「Another Nail In My Heart」。ええ?もう演るの?いくらセットリストないとはいえ、今それはないんじゃないの?と思っていたら、案の定12弦であのソロを弾くのは至難の業。さっきギターソロがたどたどしいと書いた印象を持ったのは、この曲のせいかも。でも、まったくのノーミスで弾ききったのはさすが。

次の曲は、歌いだした瞬間まったくわからなかったので、他人のカバーかなと思いながら注意深く歌ってる歌詞を聴いていたら、「I Won't Ever Go Drinkin Again (?)」だった(知らない人のために。(?)は別に僕がこの曲に自信がないというわけじゃなく、ここまでが曲名)。京都では既に演奏済みらしいけど、僕はグレンのソロツアーでこの曲を聴くのは初めてかも。

12弦で5曲続け、さあ、エレキのお時間だ。最初は「Someone Else's Bell」。うーん、それは別にアコギのときでいいんじゃないの?最初だからってウォームアップが必要な人じゃないんだし。

モンキーズ、ビートルズ、デイヴ・エドモンズ(「ズ」がついても最後のはグループ名ではありません)のカバー三連発。珍しいのはないなあ。まあ、この日生まれて初めてグレンのライヴを観に来た人も沢山いるだろうから、グレンが演るカバーものの入門編としては最適だけどね。

本編最後は「Is That Love」。終盤、サイモンがいきなりシンバルを外してこっちに来るから何事かと思ったら、僕の隣に座っている友達にドラムスティックを渡し、エンディングのところで叩かせた。叩いたときにグレンがちょっとびっくりしたような顔でそっちを見たのにはこちらもびっくり。あんなステージ前方でバタバタやってたのが目に入ってなかったのかな(笑)。

アンコールは定番の「Pulling Mussels」と「Goodbye Girl」。そして、スクイーズ・ダンス(笑)。ダンスが終わった時にサイモンがグレンを指して「ジャスティン・ティンバーレイク!」と冗談で紹介したら、グレンもサイモンのことを「マイケル・ジャクソン!」だって(笑)

ダンスもやっちゃったし、ちょっと短かったかなと思いつつも念のためにアンコールの拍手をしていたら、二人がまた出てきた。あのダンスって、「もうこれ以上はアンコール受け付けませんよ」という意思表示じゃなかったんだね。ステージ裏から出てくるときに左右二つの入り口があるんだけど、普通はギターの置いてあるステージに向かって左側からグレン、右側からサイモンが出てくるはずなのが、このときは反対だった。そしたら、「あ、違ったね」みたいに一旦戻り、二人いっぺんに左側から出てきたり、「あれ?また間違った」風にまた戻ったり。ドリフの大爆笑か。

「Tempted」を演奏したんだけど、なんだかちょっと妙な感じ。いつものグレンのソロと違って、多分あれスクイーズ用の自分のパートだけを弾いてたよね。サイモンも両手でドラムを叩くんじゃなく、右手にはマラカスの小さめみたいなのを二つ持ってカラカラ言わせてるもんだから、なんとなく演奏全体がスカスカした印象。それで二度目のアンコールは終了。

さすがにもうないだろう、「Tempted」もややお疲れモードでの演奏だったし、と思いつつも念のためにアンコールの拍手を続ける我々。客電も点かないよ。そしたら、また出てきた!(嫌なわけじゃありません 笑)

低い声で歌い始めたなと思ったら、なんと「Space Oddity」!こんなの演るんだ。カウントダウンの「10、9、」というのをサイモンが言うんだけど、最初入るとこ間違えて、グレンも歌いながら「まだ早いよ、ここで10だ」みたいなことを教えていた。「ここで7、6、」とか言ったときにサイモンが「8、」って言うから「上がってってどうすんだよ」とグレン。漫才か。

とか書いてるけど、このカバー結構本格的。この日初めて(笑)サイモンのiPadが音楽的に活躍した曲だった。あの曲、ウニョーンってSEが入ってるでしょ、あれ。グレンもカウントダウンからサビに移るところでギターの弦をマイクスタンドでこすってギュイーンってやるし。よかった。これは珍しいものを聴けたよ。

それが終わると「リクエストタイム!」とグレン。ええ!今やるの? えーと、エレキだったら「It's So Dirty」をリクエストしようとしてたんだよな、元々のリクエストは「Relentless Pursuit」だからもう演ったし、「Little Ships」は今やるような感じじゃないしと慌てて考えていたら(この間約2秒)、シンバルを叩いたのと反対側の隣に座っていた友達が「Electric Trains」をリクエスト。あ、それもいいね。それでいいや。


という感じで、なんとアンコール3回。お疲れさま。終演後は恒例のサイン会。僕はいつも後ろの方に並んでいたんだけど、自分の順が廻ってくる頃にはもうグレンへとへとだから、少しは学習効果を発揮してこの日はわりと早く並ぶ。二枚組の「Spot The Difference」にサインしてもらった。

Autographed Spot The Difference 2.JPG

そして、サイモンと(ほぼ)お揃いの帽子をかぶっての写真撮影。本日二度目のスポット・ザ・ディファレンス遊び。

Glenn Simon and me 2.JPG

推敲するために上から読み返したら、「今日はちょっと短めにあれこれ気付いたことを書いていこう」とか書いてあるぞ。「どこが短いんだ」と突っ込んだ人は初心者。「あなたの嘘はお見通しです」と思った人はジミオン上級者認定(笑)。「昨日話してた新曲、東京では演奏してくれないの?」とグレンに訊いたら、「ああそうか、ごめんごめん、明日演るよ」と言っていたので、はたしてグレンはそれを覚えているかどうか。確かめるために今から準備して吉祥寺に向かおう。


Setlist 15 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. The Elephant Ride
2. Hope Fell Down
3. Relentless Pursuit
4. Product
5. Touching Me Touching You
6. Take Me, I'm Yours
7. No Place Like Home
8. Harper Valley PTA
9. Annie Get Your Gun
10. Still
11. This Is Where You Ain't
12. Up The Junction

13. Black Coffee In Bed
14. Always On My Mind
15. Another Nail In My Heart
16. I Won't Ever Go Drinking Again (?)
17. Third Rail
18. Someone Else's Bell
19. I'm A Believer
20. You Can't Do That
21. I Hear You Knocking
22. Through The Net
23. Slap & Tickle
24. Is That Love

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Goodbye Girl

3. Tempted

4. Space Oddity
5. Electric Trains
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2011年01月15日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 1)

Three Guitars.JPG Drum Kit.JPG

では、気を取り直して本来の白い人格に戻って、待望のグレン・ティルブルック東京公演一日目の模様をお届けするとしよう。会場はいつものスターパインズ。会議やメールを振り切ってなんとか吉祥寺まで辿り着き、既にお客さんが整理番号順に並んでいた列に割り込んだのは開場5分前。無駄にした京都公演のチケットほどではないけど、この日の整理番号もかなりよかったからね、列の前の方に割り込むのはちょっとした快感(笑)

入場すると、ステージ左側にはギターが3本。いつものヤマハの6弦と12弦、それに(おそらく借り物の)黒いフェンダーのストラト。右手にはかなりシンプルな構成のドラムキット。それまでの京都・札幌公演とは違い、この日からフラッファーズ/スクイーズのドラマー、サイモン・ハンソン(Simon Hanson)が参加。ギターとドラムだけという変則構成がどう聴こえるか。YouTubeにアップされている最近のライヴなんかを観るかぎりは、しょぼい音質のせいか、まあリズムキープのためにドラマー入れてるんだね、程度にしか思っていなかったんだけど。

開場から30分ぐらいは客の入りもちょっと少なく、後ろの方はがらんとしていたけど、開演前には一階席はほぼ埋まっていたかな。平日だし、3日間の初日だしね。一時間の待ち時間、京都・札幌皆勤賞の友達にそれまでの様子を聞いたりして過ごしていると、7時半を10分ほどまわったところでグレンが一人で登場。

まず6弦を肩にかけ、オープニングは「Footprints」。わりと珍しい選曲だね。友達によると、今回のツアーではこれが初だとのこと。それが、そのままメドレーで「If I Didn't Love You」へ。へえ、おもしろいね、この流れ。

いつもどおり機嫌のよさそうなグレン。「ギターが3つもある!ドラムキットも!」みたいな感じではしゃいでみせて、サイモンを紹介。自分の譜面台の上に置いてあるiPadでキーボード風の音を出し、「次の曲は」と始めようとするが、なかなかうまくいかない。ようやくうまく操作できてスタートしたのは「Take Me, I'm Yours」。アコギとの音のバランスのためか、サイモンはこの日ほとんどブラシで叩いてたね。

(最初のメドレーを一曲と数えると)5曲目の「Tough Love」から、12弦に持ち替える。何度聴いてもこのアレンジとこの歌メロ、いいよね。アコーディオンが泣かせるオリジナルは僕のお気に入りの一曲なんだけど、その5割増しぐらいで沁みるよ、これは。

その次の曲、僕が今までに自分で観た一番最初の06年東京09年京都のセットリストに「Monkey On You」と書いたのは、その最初の東京公演でグレン自身が「これはクリスと一緒にずっと昔に書いた」との前置き付きでそのタイトルを言ったからだったんだけど、今回の京都公演で友達がアップしたセットリストに「Monkey (Dr. Feelgood)」と書いてあるから、あれ?と思って調べてみた。ドクター・フィールグッドは最初の2枚とボックスセットしか持ってないけど、ボックスに入っていたその曲を聴いてみると、確かにこの曲。でもクレジットを見ると、「Tilbrook/Difford」だ(笑)。ひとつ前の記事のコメント欄に「ドクター・フィールグッドなんて演ったんですね」などと間抜けな感想を書いた自分が恥ずかしいよ。ボックスセットもちゃんと聴け。

前半セットで嬉しかったのは、「This Is Where You Ain't」、「Untouchable」、「Parallel World」など、グレンのソロ曲が多かったこと。最近スクイーズのツアー中だし、この日はサイモンも一緒だから、きっとスクイーズの曲ばかりになるのかなと思っていたからね。後者2曲はともかく、「This Is Where You Ain't」なんて滅多に聴いたことないよ。今ちょっと調べてみたら、僕が観た中では、さっきリンクした06年の東京での一日だけだね。「Untouchable」はいつもグレンのソロでは歌パートが終わったところで終了だけど、ドラム入りの今回はちゃんとオリジナル通りのアウトロ付きだったのがなんだか得した気分。

観ていて凄いなと思ったのは、グレンが次の曲名も言わずにいきなりギターを弾き始めても、寸分の遅れもなくサイモンが何の曲か判断し、きちんとドラムを入れてくること。普段ライヴで演り慣れているスクイーズの曲だけならともかく、「Untouchable」とかのソロ曲でもそうだからね。そう思いながら観ていると、グレンが弾き始めるところを見ているサイモンの目の真剣なこと。それ以外の時間は(演奏中ですら)ちょっとおどけた感じでずっとニコニコしているんだけどね。いいな、サイモン。

前半セットのラストは、ギターソロが凄まじかった「Parallel World」からメドレーで演奏された「Up The Junction」。これが、なんだか今まで聴いたことないような不思議なアレンジ。ドローン風というか、なんだか夢見心地な感じ。僕としては通常のアレンジの方が好きだけど、まあたまにはこういうのもいいか。


30分ほどの休憩を挟み、後半スタート。二人で登場してグレンがまた6弦を持ち、最初に発した言葉が「僕らは次にどの曲を演るか相談していないんだ」。まるで「ついてこれるか?」と挑発するようにサイモンをちらっと見て、いきなり歌いだしたのが(わざわざ選んだイントロなしの)ジェームス・ブラウンの「I Feel Good」。もちろん、グレンがその最初の歌詞を歌った直後、絶妙のタイミングでスネアを叩くサイモン。見事だね。

すると今度はサイモンが、「じゃあ次はこのリズムマシーンでランダムにリズムを選ぶからね」とスイッチを押し、スタタカスタタカと速いリズムが始まった。そのリズムに体を揺らしながら、しばらくの間どの曲にしようかと迷った末にグレンが弾き始めたのは、えらくテンポの速い「Sea Cruise」。そのギターのイントロで何の曲か判断して、またもジャストなタイミングでドラムのフィルイン。他人のカバー曲なのに。「きっと今までで一番ひどいバージョンの“Sea Cruise”だったね」と演奏後にグレンが言ったけど、全然そんなことなかったよ。ほんと、二人ともお見事。

こういう即興性がグレンのソロ(あるいはデュオ)の醍醐味だね。まるでゲームみたいに、二人で演奏だけでなくそのイベント自体を楽しみ尽くしてるのがすごくわかる。そして、こういうことができるぐらいグレンはサイモンのことを信頼してるんだろうな。終演後に友達と飲んでたときに口論(笑)になったんだけど、僕はこれがある限り、スクイーズでなくやっぱりグレンはソロで観たい。

「By The Light Of The Cash Machine」なんてちょっとマニアックな嬉しい選曲も含み、後半開始6曲はそのまま6弦ギターで続けたあと、いよいよストラトに持ち替え。この日は(も)アコギでのギターソロもほぼ完璧だったけど、やっぱりエレキでのソロは物凄いね。昨夏のイベントとか以前のライヴでも彼がエレキを弾くのを何度か観たことあるけど、この日は本当に堪能した。グレン自身もエレキを弾く方が明らかに楽しそうで、そのままアンコール終了までもうずっとそのままだったもんね。

「The Truth」が始まったから、もしかしたらと思ったけど、やっぱりあのギターソロの途中で6弦を咄嗟に緩めてのドローン奏法をやったね。ちょっと遅れて3弦もいじって、ソロ後はなんだか不思議な感じの音色になってたよ。いつも思うけど、よくあんなことを演奏中にできるもんだ。この人、ステージ上でのギターのチューニングも、よくある上の弦の何フレットと次の弦の開放音を合わせて、なんてことせずに、それぞれの弦の開放音を耳で聴いただけで瞬時に合わせていくからね(そういえば、エレキに持ち替えてチューニングしてるときに、サイモンが「アー」ってチューニング音を声に出して言ってあげてたのが可笑しかった)。

最初に書いたギターとドラムだけの変則構成だけど、たとえば今までライヴではアコギのソロでしか聴いたことのなかった「Cash Machine」とかがとても新鮮に聴こえたことだけでなく、それぞれの曲のメリハリをつけることに、サイモンのドラムが大いに貢献している。ベースレスだけど、グレンが(おそらくその編成を意識して)低音弦できっちりベース音をキープしているから全然不自然に聴こえないし。ドラムの直接音ばかり聴こえてしまうかと開演前はちょっと危惧していた僕の観ていた位置ですら、音のバランスはとてもよかったね。

お客さんからのリクエストが「Is That Love」か「If It's Love」か聞きとりにくかったグレンは、「両方演るよ」と、「If It's Love」のイントロを弾き始めた。タイトルは似ているけど曲調もコードも全然違うこの2曲をメドレーで演奏したら凄いなと思ったけどさすがにそれはなく、「If It's Love」をフルコーラス演ってから、「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントして「Is That Love」へ。

本編ラストの「Another Nail In My Heart」のギターソロは圧巻だったね。エリック・クラプトンのブラッキー風の黒いストラトを抱えている姿がふと彼を思い起こさせたけど、お世辞抜きで僕は今のクラプトンよりこの人の方がギター上手いと思う。

アンコール1曲目「Pulling Mussels」は歌詞の順番がちょっとあやふやで本人もちょっと照れ笑い。ギターソロもなかったよ。慌てたのかな。ちょっとスピードアップしたロッキンなアレンジの「Goodbye Girl」がラスト。イントロでサイモンがビールのジョッキとシンバルを交互に叩いてリズムを取っていたのが面白い。その曲で、演奏しながらグレンがステージ上の扇風機を端の方によせていく。何やってんだろと思っていたら、演奏終了後、二人並んでのダンスが始まった。あはは、これかわいいね。ビデオではちらっと見たことあるけど、こうして目の前で真剣な顔してやってるのを見ると微笑ましい。


終演後はいつものサイン会。ちょっと席で友達と歓談してから並んだら、列の進みがこの日はなんだか異様に遅い。皆たっぷり話しこんで、写真撮ったりしてるからね。列に並んでたときにグレンとちょっと目が合い、「お、君のことは知ってるよ」という感じでニコッとしてくれたのが嬉しかったな。延々並んだあと、ようやく自分の番に。京都公演に行けず、前日にサンパウロから24時間かけて帰国したばかりという話をして同情を買う僕(笑)。記念に、未使用の京都公演のチケットにサインしてもらった。

Unused Kyoto Ticket.jpg

なんとなく成り行きでサイモンにもサインしてもらったら、グレンが「あれ?おまえ京都にいなかったくせにサインするの?」みたいなこと言ってからかう。そしたらサイモンは僕に「君、京都に行かなくて正解だったよ。僕抜きじゃちっともよくなかったはずだからね」なんて冗談で返す。

京都で演奏したという新曲のタイトルを訊くと、「Chat Line Larry」だと教えてくれた(合ってるかな?⇒某所でスペルミスの指摘を受け、訂正しました)。今ミックス中のニューアルバムに入る予定だそうだ。「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に演ってるんでしょ」と聞くと、そうだとのこと。サイモンも何曲かに参加しているそうだ。「あと3−4ヶ月で出るよ」と言っていたけど、まあグレンのことだから、年内に出ればラッキーだろうな。

出張中伸び放題だった髪を前日刈ってきた僕はサイモンに「ほら、同じ髪型」と言ったら、サイモンは「真似したな」と自分がかぶっていた帽子を僕にかぶせたり(そのときの写真を撮っておけばよかった)。そういえば終演後、後ろの方で観ていた友達が、「yasさんの後ろ姿、サイモンと同じだったよ」だって。わざわざ帽子を取って一緒に撮った写真がこれ。なんだかグレンが変な顔してるね(笑)。アメリカとブラジルで肉ばかり食って太り気味の僕、のことは誰も気にしてないからいいね(苦笑)

Glenn Simon and me.jpg

さてと、そろそろ準備して吉祥寺に向かうとするか。昨日遅くに帰ってきたら、夕方5時半に振り切って出てきた会社の未読メールが100通以上にもなっていて目まいがしそうになったけど、それもやっと片付けたし(メールを開いただけともいう)。リクエストしようと思ってた曲の歌詞書いてる時間なかったな。まあいいや。多分客の入りはこの3日間で最大になるはずの今日、リクエストの競争率も高いだろうしね。ゆっくり楽しんで観てこよう。


Setlist 14 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. Footprints ~ If I Didn't Love You
2. Take Me, I'm Yours
3. They Can't Take That Away From Me
4. Still
5. Tough Love
6. Monkey
7. This Is Where You Ain't
8. Some Fantastic Place
9. Third Rail
10. Untouchable
11. Parallel World ~ Up The Junction

12. I Feel Good
13. Sea Cruise
14. Annie Get Your Gun
15. By The Light Of The Cash Machine
16. Oh Well
17. Through The Net
18. Tempted
19. The Truth
20. Can't Buy Me Love
21. If It's Love
22. Is That Love
23. Another Nail In My Heart

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Slap & Tickle
3. Goodbye Girl
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2010年12月11日

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 2

Santa.JPG

あれからもう一週間も経ってしまった。

先週の金曜、早稲田に時間通り辿り着くために仕事をとっとと切り上げてきてしまったこともあり、また年の瀬の繁忙期ということもあって、この一週間はブログを書く時間も頂いたコメントに返事をする時間もまったく取れなかった。

そんな慌ただしい一週間、僕の後頭部あたりにはずっと、腫瘍のようなものが巣食っていた。腫瘍といっても死に至るようなものじゃない。あの濃厚な日曜日の思い出が、仕事中もラッシュの通勤中も、僕の脳内にずっと留まっていた。そのお蔭で、辛い仕事も乗り越えられたようなものだ。いや、過去形で書くのもおかしいね。まさにこれを書いている今も、延髄のあたりのちょっと深いところに、何やら幸せな気持ちと音がいっぱい詰まった部分があるのを感じとることができる。

記憶のディテールは少しずつ霞みはじめてはいるものの、その幸せの腫瘍をちょっと頭から切り出して、その中身をここに書き記しておこう。急いで書いた初日の記事への訂正事項なんかも少し交えながら。


井の頭線はしょっちゅう利用しているけれど、永福町に降りるのはこの日が初めて。記憶していたとおりに駅からの一本道をまっすぐ歩く。徒歩7分とは聞いていたけれど、本当にこんな普通の住宅街にあるのかとちょっと不安になってきた頃に辿り着いたヴェニュー、sonorium。素晴らしい会場だった。リンク先の写真で見られるような外観や内装だけでなく、音が。本当にいい音を限られた人数の大事な人達に聴いてほしいという願いが込められているのがよくわかる造り。同じサイトのコンサートカレンダーにはどういうわけかタマスのことは載っていないけど、普段はクラシックの演奏会が行われているような場所なんだね。

Tamas Ticket.jpg

実は、今回のタマス・ウェルズ公演二日間の僕のチケットの番号は、初日が1番、この日が2番という、もしこれが整理番号だったなら飛びあがって喜ぶようなものだった。でも、いつものとおり入場は到着順。行きがけに下北沢でちょっとうろうろしてしまった僕は(それでも開場の30分近く前に着いたにも関わらず)、既に何人か並んでいた列の後ろにつくことになった。初日に一緒に一番乗りした友達はちゃっかりこの日も一番前に並んでいたけどね。

もちろん、80名限定のこの小さなホールで、その程度の順番なら些かの問題もない。タマス達も、いつもこんなおっさんに一番前に陣取られているより、最前列は女の子が多い方が嬉しいだろうしね(笑)

初日よりもゆったりと配置された椅子に腰かけて、友達と雑談しながら開演を待つ。強制的に500円を徴収しておきながら実際にドリンクバーに辿り着くのは至難の業という前日のスタジオコーストとは違って、殆ど並ぶこともなく任意で選べるグラスワインなら、同じ500円でもなんだかずっと優雅な気分になれるよ。

真っ白な壁にそのまま投影されるオープニングのショートフィルム。また出だしのところでちょっととちったのはご愛敬ということで。このフィルムの中で(CD音源でなく)実際に演奏されるのは「Fire Balloons」の他に「An Extraordinary Adventure (of Vladimir Mayakovsky in a Summer Cottage)」なんだけど、そのセカンド・ヴァースがCDに収められているのとは違ったメロディーなのが貴重。僕は初日とこの日、二回聴いただけなんだけど、それからすっかりこの歌を口ずさむときにはその初期メロディーで歌ってしまっているよ。確かに、最終的にCDに収められたメロディーの方が洗練されてはいるんだけどね。

初日の記事にも書いた、演奏中に大雨が降りだす「Fire Balloons」のテイク、この日も期待して聴いたら、ちょうどタマスが歌い終えて間奏に入るところで雷が鳴り、演奏を終えたところでもう一度鳴るという、計ったようなタイミングのよさ。さすがにこれは後で編集したんじゃないのかと思って、後でタマスに聞いてみたら、本当にあれはライヴなんだそうだ。すごいね、自然まで味方につけるのか。「あのテイク欲しいんだけど、持ってたらコピーしてくれない?」と聞いてみたけど、自分では持っていないらしい。残念。フィルムが公開されたらそれを聴くことにしよう。


初日よりもリラックスして、初日とは違った曲目をつい時間をオーバーして歌ったキムのオープニングに続いて、いよいよタマス・ウェルズ日本最終公演のスタート。初日とは違い、最初はタマスが一人で登場。「My name is Tama chan」でいきなりリラックスムードに。初日とは選曲を変えるとは聞いていたけど、一曲目が「Stitch In Time」だったのが少し意外。こういう静かなオープニングもいいね。

「From Prying Plans Into The Fire」に続いてピアノに移るタマス。実は、初日の終演後に彼と話していたときに、僕が『Thirty People Away』のレビュー記事の最後に書いたアウン・サン・スー・チーさん解放についてもちかけてみたんだ。「スー・チーさんのニュース、どう思う?よかったよね。今日はてっきりその話をして、Signs I Can't Readを歌ってくれるかと思ってたんだけど」って。そのときはそこから、彼が自分のブログに書いていた南京の話とか、果ては尖閣諸島の話とか、えらく話が広がってしまったんだけど。

鍵盤を確かめながらタマスが喋りはじめたのは、アウン・サン・スー・チーさん解放の話。先日僕に話してくれたように、「いろんな国が平和のために軍備を拡大していくのは悲しい」というような前置きに続いて、「Signs I Can't Read」を歌い始めた。この曲のピアノ・ヴァージョンなんて。あとで「あれ、本当はピアノで書いた曲?」って聞いてみたけど、そうではないらしい。あんなに素晴らしいヴァージョンだったのは、左手で弾く通奏低音の響きが素晴らしかったというのもある。

Steinway.JPG

このホールのスタインウェイ、あとでアンソニーに聞いたところによると、スタインウェイ本社から調律師が定期的に来ていて、その人曰く、現在東京にあるスタインウェイで一番状態のいいものだそうだ。「弾いていてわかるけど、普通のピアノとは全然違うよ」とのこと。

続く「An Organisation for Occasions of Joy and Sorrow」をピアノで弾き終えると、アンソニーとキムが入場。そこからは、初日とほぼ同じセットだった。客層が初日と重なっているからか(キムが時間をオーバーしたからか)、「Reduced To Clear」の説明などもなくどんどんセットが進んでいく。

白い壁に投影される映像。初日の記事に「(おそらく)ミャンマーの風景と『Two Years In April』の原画」と書いたけど、よく見るとあれミャンマーだけじゃないね。大阪の風景も一枚混じってたよ。オーストラリアの風景も沢山あったみたいだし。訂正。

金曜日に東京の自転車屋さんで見つけたという、『Two Years In April』の鐘と同じ音がするベル、初日はやたら失敗していた(笑)キムだったけど、この日は結構上手く鳴らしていたね。各曲のエンディングでアンソニーのピアノに合わせて鳴らすタイミングだけはどうにも合っていなかったけど。

そうそう、初日の記事に「The Opportunity Fair」でタマスのギターが上手くなったことを書いたけど、その曲でフィンガーピッキングをしているのはキムだったね。タマスは以前と同様コード・ストロークで弾いていた。訂正その2。それでも、以前よりも相当上手に聴こえたのは、彼が上手くなったからか、それとも使っているギターが800円のミャンマー製でなくマーティンになったからなのか。

初日の記事に書き忘れたけど、「True Believers」を書いたのは前回来日したときの東京のホテルの部屋だったそうだ。ミャンマーに帰ってから歌詞を書き終えて完成したらしいけどね。そういうのを聞くと、お気に入りのあの曲が一層身近に思えるね。

「England Had a Queen」の間奏で、アンソニーのピアノの音が少し外れたので「あれ?」と思ったんだけど、そのときはうまく取りつくろって、まるでそういうアドリブだったかのように続けたもんだからてっきりそういうアレンジなのかと思いきや、タマスもキムも今にも噴き出しそうな顔。終了後、キムが「笑いながらタマスの歌にコーラスを入れるのは難しいよ」って。アンソニーは真っ赤な顔で「ふうっ!」って深呼吸。おかしかった。

続く「Vendredi」の曲前の練習で、タマスがわざとカポをつける場所を変えて、アンソニーのピアノがまた間違えているように聴こえるジョークでからかう。「ごめんごめん、今のは僕だ(笑)」と言ってカポをつけ直して歌い始めたはいいが、最初のヴァースを歌ったところで急に噴き出して中断。おいおい、自分のジョークに自分で受けててどうすんの(笑)。この日のリラックスモードが最高潮に達した瞬間だったね。

キビダンゴの話をしたのはどの曲のときだっけ。前日の京都公演にはるばる岡山から駆け付けた人がいて、その人にもらった土産のキビダンゴをタクシーの中に置き忘れてしまったエピソード。最後に「キビダンゴ、ドコデスカ?」と日本語で言ったのが面白かった。

この日のアンソニーのピアノソロは2曲。タマスとアンソニーが昔近所に住んでいて、古い本を持ち寄って読んでいたという通りにちなんで名づけられた「Melon Street Book Club」と、それにメドレーのように続けて演奏された「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」。タマスはどういうわけか後者のタイトルを「A Dark Horse Will Either Finish First Or Last」と紹介していたような気がしたけど。タマスが曲紹介をしているときにアンソニーが後ろで「Melon Street」をポロンポロンと静かに練習していたのが気になったらしく、「話してるんだからそれやめてくれないか」みたいな顔でアンソニーをじっと見て、「ああ、ごめんごめん」みたいなやりとりもおかしかったな。

クライマックスの「Valder Fields」〜「Nepean News」を経て、本編ラストは初日とは違って「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。初日終演後にキム達と話していた通り、この日は観客に「Friday」のコーラスをまず練習させてスタート。「京都ではもっと上手だったよ」とか言ってたけど、sinさんによると京都では観客にコーラスはさせなかったそうだ。お茶目なうそつきタマス。

3人編成になってからここまで、「Friday」を除くと初日とまったく同じセットリスト。約束した「Fire Ballons」とか演ってくれないのかと思い、アンコールで出てきたときにその曲名を叫ぼうかと思っていたら、タマスが爪弾き始めた音はまさにその曲のイントロだった。CDで聴いてもいい曲だとは思っていたけど、こうして目の前で演奏されると、自分の目が潤んでくるのがわかる。かつて『Thirty People Away』発売前に音源を聴いたsinさんが“「Valder Fields」超え”と評しておられたのを読んで「それはないだろう」と思っていたけど、いや、僕が間違っていたよ。

もうこれで十分。他にリクエストした「The Northern Lights」とか演ってくれてないけど、これがラストで全然構わないという気持ちでいたところに、エンディングの「For The Aperture」。最近だいたいラストはこれか「Friday」だね。初来日のときみたいに「Nowhere Man」でしっとり終えるよりも、アップテンポな曲で華やかに終えるのが好きなのかな。いや、もちろん悪くはないけどね。

最後の挨拶で「来てくれてありがとう。今回も本当に楽しかった。キビダンゴが見つからないのが残念だけど」と言って笑わせようとしたら、アンソニーが「それ僕が食べたよ」だって。ほんとにこの二人の掛け合い、おかしいね。

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ところで、左のタマスのセットリスト、右のキムのセットリストを見ると、実はアンコールには「Grace And Seraphim」と「Broken By The Rise」が予定されていたようだ。キムのせいで(笑)それらはカットされてしまったんだろうけど、まあいいや、「Fire Balloons」聴けたし。実物をもらってきたキムのリストには、それぞれの曲のカポの位置が書いてある。「これ参考にしてギター練習しようかな」と言ったら、「タマスの曲はだいたいGかCのコードだけだから簡単だよ」とキム。


終演後、また3人とゆっくり話す時間に恵まれた。冷え込む屋外で待っていたのは大変だったけど(生脚むき出しの友達もいたけど・笑)、濃密な日曜日パート2の始まりだ。えーと、何の話をしたかな。

「ジョハンナのことを歌ってるの?」と聞いてみた「Your Hands Into Mine」、答えは「ノー」だった。この日、歌い始める前に「This song is about grace」と確か言ってたね。うまく言えないけど、誰か特定の人を念頭に置いて書いたんじゃなく、もっと大きな愛情についてということなのかな。

レビュー記事に「この曲の背景を教えてくれるだろうか」と書いたけど、結局演奏しなかった「Her Eyes Were Only Scars」の歌詞の意味。あれは、彼の友達のミャンマー人の修道僧の実話だそうだ。その僧の母親も尼僧で、彼女が一人で家にいた時にうっかり熱湯を顔にかぶってしまったとのこと。盲目になってしまったその母親を15年間も面倒を見続けたその僧についての歌なんだって。ローブとかサンダルとかって、そういうのを示唆してたんだね。相変わらず、複線だけを提示して結末は教えてくれない不親切な歌詞(笑)。ちなみに、デニース・ロックヘッドの物語は全てフィクションなんだって。

「いつも歌詞を熱心に聞いてくれてありがとう」とタマスにお礼を言われたのが嬉しかった。「ブログに自分の歌詞の解説を載せてみれば?」と提案してみたらまんざらでもなさそうだったので、そのうち本人による『Thirty People Away』ライナーノーツが載るかもね。

次のyascdのネタにとこっそり考えていたタイトルが、タマス(キムだったかな)の口から出てきたのには驚いた。“メルボルン・コネクション”の話題になって、メルボルンの音楽シーンがどんなに充実しているかという話に進んだ。僕がそのミックスに入れようと考えていたラックスミス(The Lucksmith)とかスタインベックス(The Steinbecks)とかの名前を出すと、「なんでメルボルンのこと、そんなに詳しいの?」とタマス。もちろんそれは、あなたの音楽に影響されたからだよ。

前日に行ったヨンシーのライヴの話をして散々羨ましがらせてもあげた(笑)。ヨンシーのファン度は、キム<アンソニー<タマスの順のようで、特にタマスは「バンドは何人編成だった?」とか「シガーロスの曲は演ったの?」とか「シガーロスの最新アルバムとヨンシーのソロはどっちがいい?」とか「今回ツアーしているのはヨンシー名義?それともバンドとしての名前が付いてるの?」とか「ヨンシーは自分ではどの楽器を演奏するの?」とか、もう延々と質問攻め(笑)。僕のウォークマンで「Go Do」を聴かせてあげたら熱心に聴き入って、隣にいたアンソニーにも「ちょっとこれ聴いてみな。いいよ」とか勧めてたな。


sinさんのツィッターブログで来日後記とかささいなエピソードを読んで幸せの腫瘍に栄養補給。そこからたどって見つけた、会場で写真を撮っておられた三田村さんのブログ。いい写真が沢山。

昔からの友達、初日に知り合った方、この日の終演後に一緒になった方、たくさんの方々とsinさん暢平さん、そしてタマスご一行と一緒にニコニコ笑いながら至福の時間を過ごし、名残惜しく別れてきた。日曜の夜中に相当夜更かししたせいで、ただでさえ忙しいこの一週間は体力的には地獄の苦しみだったけれど、あのとき僕の後頭部に埋め込まれた幸せの種子が大きくなって心地よい腫瘍に育っているから、僕は大丈夫。まだまだ忙しい日は続くけれど、これが頭の中に居残っている間は全然問題なくやっていけるよ。

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Setlist 05 Dec 2010 @ sonorium

1. Stitch In Time
2. From Prying Plans Into The Fire
3. Signs I Can't Read
4. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
5. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
6. When We Do Fail Abigail
7. The Opportunity Fair
8. Reduced To Clear
9. Open The Blinds
10. Lichen And Bees
11. True Believers
12. Your Hands Into Mine
13. England Had A Queen
14. Vendredi
15. The Crime At Edmond Lake
16. Melon Street Book Club
17. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
18. Valder Fields
19. Writers From Nepean News
20. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire

[Encore]
1. Fire Balloons
2. For The Aperture

<12月21日追記>

posted by . at 18:18| Comment(7) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする