2015年04月21日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 2)

一夜明けて、なんだかすっきりしない天気の中を再び吉祥寺へと向かう。ハモニカ横丁の、こんどは前日とは別の店で腹ごしらえしていたら、そういえばグレンにサインをもらうためのCDを持ってくるのを忘れていたことに気付いた。開場時刻よりもちょっと早めに飲みを切り上げ、スターパインズ側に新しくできたブックオフに向かう。

比較的大きめの店舗だから、スクイーズなら何のCDでもいいから置いてあるだろうと思って280円コーナーを物色していたら、案の定あった。『Frank』の旧盤か。『Frank』なんてもううちに2枚もあるし、カットアウトの米盤なんて珍しくもなんともないけど(ちなみに既にうちにあるのは英プレスの旧盤とボートラ入りの08年欧盤)サイン色紙を買うより安いからと購入。500円コーナーには初回プレスの日本盤『Ridiculous』が置いてあって、サイン用なら余白の多いそっちのジャケがいいかなとも思ったんだけど、こういうところで220円けちってしまうしみったれた僕。『Frank』と『Ridiculous』の旧盤があるということは、これは08年のボートラ入りを買った奴が放出したんだろうなと、しなくてもいいブックオフ客のプロファイリングまでしてしまう。

前日とほぼ同じポジションだけど少しだけ前の席に座り、最前列の仲間は前日とまったく同じ並びだなあと、グレンにとってはスポット・ザ・ディファレンスみたいな客席だろうなと思いながら、この日も並々と注がれた一ノ蔵をゆっくり空けていく。

登場と同時にピアノに向かうグレン。このオープニングのパターンは初めてだね。と思っていたら、全然聴いたことのない曲を歌い始めた。ちょっと高音の音程が不安定かな、ピアノも弾きなれていない感じだしと思っていたら、「今のはスクイーズの新曲」だって。おお、今公演で四曲目だ。終演後にサインをもらうときにタイトルを訊いて、「ウェイト」って言うから「ウェイトってW-A-I-T?」って念を押したら、グレンとレオンがほぼ同時に否定し、「いやそっちじゃなくって、W-E-I…なんだっけ」とグレンが言うから、てっきり「Weight」だと思っていたんだけど、最近あきまもさんのサイトみたらグレンの直筆で「Wait」って書いてあるね。一体どっちなんだ。

「次は1987年の曲」と紹介した「Tough Love」に続き(今回のグレン、やけに曲紹介のときの年号にこだわるね。グレアム・パーカーみたい)、「デニス・ウィルソンのことを書いた曲」と新作から「Dennis」を。実はろくに歌詞を聴いてなかったからこの曲があのデニスのことだとは知らなかったのでちょっとびっくりしたと言ってたら、タイコウチさんが「せっかく訳してんだからSong By Song読んでよ」と。すみません。。そういえば、歌詞にホウソーンだとかファンファンだとかでてくるよね。

やけにひねくりまわしたフレーズをたくさんくっつけたイントロから、もうこの序盤で「Black Coffee In Bed」へ。こういう余計な(失礼。もちろんいい意味で)フレーズを弾きまくるときのグレンって調子いいんだよね。今日は楽しみだ。そしたら、特にグレンから何も催促していないのに、この日のお客さんはこの曲の掛け合いコーラスを大声で入れる入れる。思わず歌いながら顔をほころばせて「サンキュー」というグレン。もうこの日の盛り上がりはこのあたりで確約されたようなもの。

ここで前日同様にレオンが登場。内容はまったく同じだったけど、前日より少しはリラックスしていたかな。くすくすと照れ笑いしながら大人びたMCをはさむレオンがかわいい。グレンは「Take Me, I'm Yours」の途中で(その前曲の)「Why」の歌メロをソロで弾いたりして、絶好調ぶりをアピール。もう、指が動いてしょうがないって感じだよね。何度も観ていると必ずこういう状態のグレンに出くわすことがある。

ここまで全公演で聴いてきた、新譜ではかなり正統派グレン曲な「Everybody Sometimes」に続き(京都では演ってないみたいだけど僕は行ってないからね)、なにやら聴いたことあるようなないようなイントロを弾きはじめたと思ったら、「♪When daylight appears〜」ときた。わあ、「I Won't Ever Go Drinking Again(?)」だ。この曲ってこんなメロディーだっけ。昔のブログを読み返してみたら、11年の東京二日目でも演ってるね(そのときも僕はイントロでこの曲を当てられなかったんだった)。

さらに続けて同じアルバムから「No Place Like Home」。うー、福岡に着て行ったこのシングルのジャケTシャツ、この日に着てくればよかった。『Cosi Fan Tutti Frutti』好きを公言していたK君は大喜びだろう。どうせならさらにさらに続けて「King George Street」も演ってもらいたかったけど、さすがの絶好調グレンもあの面倒くさい曲はやめておこうと思ったのか。

もうさっきから曲紹介もなく(それどころか曲間もほとんどなく、まるでメドレーのように)次から次へと曲が出てくる。「Persephone」(今公演での定番曲)、「The Truth」(今公演ではこの日だけ。せっかくあの6弦ペグ緩め技があったのに、その6弦にはほとんど触れずにやたら弾きまくったギターソロ)、「Black Sheep」(最近のこの曲は僕の好きなあのギターソロを端折ったバージョンばっかりだったから、ギターの調子のいいこの日こそは弾いてくれるかなと期待したけどやっぱり駄目だった)、「Some Fantastic Place」(オープニングにもエンディングにもアンコールにも、こういうなんでもない途中にも使える万能の名曲)、「Ter-wit Ter-woo」(今公演の定番曲その2、というかこの曲こんなにいいというのに今さらながら気付いた)と、ここまで一気に通して、グレンも「こんなに続けて歌ったの初めてだよ」と一息つく。一気に書いたこの段落もメドレー感を表せたかな。単に読みづらいだけか。

なにやら書いた大きな紙を取り出してきた。「Ice Cream」だな。てっきり今公演では毎回この曲を歌うことになるんだろうと思って練習してきたのに、前日まで全然機会がなかったから一体どうしたのかと思ってたところだ。歌詞を説明して、「これをちょっとこの壁に貼っておこう。皆が見やすいようにね」と、最前列のNさんにセロテープを渡して壁に貼らせる(この方は6年前にも僕が持参した同じような模造紙の「Grouch Of The Day」の歌詞を持たされた、グレン公演ではなぜか常にテレビのAD並みの扱いをされてしまう運命のようである)。でも、せっかくステージ横の壁に貼ったその紙、たぶん客席の半分ぐらいからはちゃんと見えてないよ、グレン。

「この曲は僕のひいひいひいじいさんが110年も前に書いた曲で、彼は道化師とかやってたんだ」とか一通り紹介した後、飄々と「もちろんウソだけどね」と歌い始めるグレン。さすがに何も言わなくても「Black Coffee」のコーラス部分を全部大声で入れられるこの日のお客さん、何の問題もなくこの曲を歌い、グレンを大はしゃぎさせる。彼もよっぽど気分いいのか、続けてまた僕らが歌える「Annie Get Your Gun」へ。大声で歌えるのはこっちも気持ちいいね。やっぱり周りのお客さんが歌えるかどうかでこっちのムードも左右されてしまう。

次の「Up The Junction」ももちろんソラで全部歌えるけど、さすがにそんな野暮なことはしない。せいぜい小声でつぶやきながら、イントロのブレイクでタカタッタ、タカタッタと膝を叩く程度にしておく。そして、ここから本編ラストまではもう怒涛の定番曲オンパレード(今回結局全公演で演奏した新曲「Haywire」は仮定番曲扱いにしておく)。「Is That Love?」のエンディングのところは当然のように全員でしっとりとコーラスで締める。ラストの「Tempted」は再びピアノに戻って演奏。この日はピアノで初めてピアノで締めたね。

この日もアンコールはエレキで。まずは「Slap & Tickle」。前日にも増して冴えわたるギター。もうイントロからこれでもかというほど弾き倒してたね。こちらも絶好調の「Pulling Mussels (From The Shell)」を終えたところでレオンを呼び戻し、彼が11歳の頃に一緒に書いたという曲を紹介。ところがレオンは「あのちょっと安っぽい曲ね」と一蹴。ショックを受けた(笑)グレンは「まあ、成長するというのはそういうことだ」と構わず、レオンと一緒に「Bongo Bill」へ。もう12歳で大人のレオンは曲中の「It's me!」ってセリフは言ってくれなかったね。

レオンの「Walking Away」に続けての「Goodbye Girl」への流れは前日と同じ。ところが「Goodbye Girl」の途中でレオンが急にしゃがんでエフェクターをいじりはじめ、グレンがまだギターを弾きながら歌ってるのに、すごいノイズを出し始めた。これ、わざとなのか?それともレオンが自分のギターのエフェクターを調整しようと思って失敗してるの?まあ、これはこれでめったに聴けない不思議なバージョンの「Goodbye Girl」でよかった。いつもは入れないようなソロも弾いたし、コーラス部分ももちろん大合唱で、もはやグレンはその部分は自分では歌ってなかったぐらい。

再度引き上げたグレンをアンコールの拍手が引き戻す。そりゃ、今日の調子ならもうちょっとやってくれるよ。まだ「Another Nail」残ってるしね。と思ったら、再登場して黒のストラトを肩にかけたグレンが何音か試し弾きした後、あの印象的なイントロを弾きはじめた。「Another Nail In My Heart」だ! ギターソロの入りでちょっととちって、「あ、失敗」みたいなこと言いながら再挑戦。でもそのあとはもちろん今公演最高のソロを聴かせてくれた。あのソロって、ほんとに0.000何秒みたいな微妙なタイム感で聴こえが全然違ってくるんだよね。

「上で待ってるから、ハローって言いにきてよ」と言ってステージを後にするグレン。ああもう終わってしまった。前日がレア度一番なら、この日は演奏的には今回の日本公演で一番だったと思う。お客さんのノリも、人数的にはより多かった前日よりもむしろよかったと思うし。

さっき買った『Frank』にグレンとレオンにサインをもらい、一緒に座っていたウェズリーにも「日本語で名前書けるようになったんでしょ。サインちょうだいよ」と書いてもらう。あとで近くにいたスザンヌにもサインをもらって、ティルブルック一家全員のサイン入りフランクが完成したと思ったんだけど、やっぱりこのジャケだと見づらいね。220円けちらないで『Ridiculous』にしとけばよかった。

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サインをもらいながらレオンに「さっきの“Goodbye Girl”のときのノイズ、あれわざとやったの?」と訊いたらニヤニヤしてるから、グレンが「ねえ、あれわざとなのかって訊かれてるよ」と念を押されて「Yes」って言ってた。あ、やっぱりそうだったんだ。あんまりノイズが大きくて途中でグレンは笑ってしまってたけど、ああいうのをやってみようかって二人でライヴ前に相談したりしてたんだろうね。いいね、こんな親子。

これで本公演は終了。二日後の火曜日に追加公演が出たけど、この時点では僕はちょっとあれこれ事情があってそれには参加しないつもりでいた。今年のグレンのライヴの最後がこの凄まじい演奏ならもういいやとも思ったしね。


Setlist: 05 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Wait (Weight?)
2. Tough Love
3. Dennis
4. Black Coffee In Bed
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Everybody Sometimes
10. I Won't Ever Go Drinking Again (?)
11. No Place Like Home
12. Persephone
13. The Truth
14. Black Sheep
15. Some Fantastic Place
16. Ter-wit Ter-woo
17. Ice Cream
18. Annie Get Your Gun
19. Up The Junction
20. Haywire
21. Is That Love?
22. Someone Else's Bell
23. Chat Line Larry
24. Tempted

[Encore 1]
25. Slap & Tickle
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Bongo Bill (Glenn + Leon)
28. Walking Away (Glenn + Leon)
29. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
30. Another Nail In My Heart
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2015年04月20日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 1)

さすがに年度末〜初のクソ忙しい週に何度も休みを取るわけにもいかず、グレン来日公演の二日目にあたる京都はパス。翌日、福岡でなくそっちに出かけた友達から速報が入る。曰く、オープニングは福岡では演らなかった「Best Of Times」、予定どおりレオン登場、これも福岡にはなかったリクエストコーナーがあって「Without You Here」を演奏、などなど。そうか、まあその両曲はまた演るだろうし、行かなかったことが致命的なミスというわけではなさそうと、とりあえず自分を落ち着かせる。

そして土曜日、4年ぶりのスターパインズカフェへ。ハモニカ横丁で軽く腹を満たして会場に向かう途中、ヨドバシの向かいあたりで友達を発見して声をかけると、「あそこでグレン一家が証明写真撮ってますよ」と。あ、ほんとだ。あんな狭い箱に四人でひしめきあって写真撮ってる。出てきたグレンに手を振って会場へ。グレンたちはそのまま商店街の方に歩いて行った。グレン、なんだかもう顔が赤い?

この日はちょっと大きな番号だったので最前列ではなく、それでもかなり見やすい席で周りの友達と話しながら開演時刻を待つ。一番コスパのいい飲み物はこれに違いないと600円の一ノ蔵を選んだら、グラスを入れた枡に並々とついでくれた。これはありがたい。でもあんまりペースあげて酔っぱらわないようにしないと。

ステージ上、左側には福岡と同じセットの三本のギター。中央にはグランドピアノ、そして右側には小さなサイズのアコギとストラトタイプのエレキが置いてある。レオンがどういう風に絡むのかは友達にはあまり詳しく聞かなかったから、楽しみにしておこう。まあ、グレンの持ち時間を食ってしまうほど沢山演らなくてもいいけどね。

この日のオープニングは「Everybody Sometimes」。それまでの二公演とは変えてきているね。と思っていたら続いて「The Day I Get Home」。わあ、これはかなり珍しいんじゃないか。少なくとも、僕が観た今までの日本公演ではこれは演奏していないはず。

「Persephone」、「Ter-wit Ter-woo」と続ける。結局今回の五公演のセトリを見てみると、全てのコンサートで演って当然みたいな定番曲と並んで、この二曲と「Chat Line Larry」を毎回必ず演奏していたことになる。「Black Coffee」とか「Some Fantastic Place」ですら毎回演ってないというのに。単にグレンの今時点でのマイブームなのか(そういうのよくある)、それともこれらは今後定番として定着する曲になっていくのか。まあ、「Persephone」はあのスタジオ録音でのストリングスを模したリフをアコギで完コピしたのを披露したかっただけなのかもしれないけど。

ここでレオンが登場し、まずはエレキギターでスライドのソロを披露。うまいね。続いてアコギを肩にかけたままピアノのところへ。「次に演る曲は上に売ってるEPに入ってるから、気が向いたら買ってよ」と、やけに大人びた言い方がおかしい。「日本で売らないといけないから急いで録音して、アルバムタイトルを思いつかなかったから単に『Leon Tilbrook』にしてしまったんだけど、セカンドEPなのに自分の名前をつけるなんて変な感じ」とか「ファーストEPはとても聴かせられるような出来じゃない」とか。

「Living The Dream」はピアノから途中でギターに替え、次の「Why」はグレンが出てきてギターの伴奏とコーラスを入れる。声変わり前の不安定な子供声だからアマチュアっぽさはぬぐえないけど、いつも家でグレンと一緒に練習してるんだろうなということがよくわかる、息の合った手慣れた演奏。

続けて二人で「Take Me, I'm Yours」。がんばってギターで伴奏しているんだけど、演奏中にグレンに話しかけようとして右手を口のところに持っていったら、グレンが演奏中は手を休めるなとばかりに一瞬厳しい顔になったのが印象的だった。それまではニコニコと親バカ丸出しでレオンのことを見てたのに、やっぱりさすがプロだね。

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携帯で観客と自分のビデオを撮っていたレオンがステージを降りたところで「次の曲は彼が生まれたときのことを歌ってるんだ。最後のコーラスのところは一緒に歌って」と言うからこれはもちろん「Best Of Times」。曲を始める前にみんなでコーラスの練習。いつまでたってもこの曲を聴くとあの09年初頭の素晴らしい来日公演のことが頭に蘇ってくるね。

「Ray」に続けてこれも久しぶりの「Slightly Drunk」。今日は珍しい曲が多くてうれしいなあと思っていたら、「今の曲はクリスと僕が21歳の時に作った。次は僕が彼と会った翌年、16歳の頃に一緒に書いた曲」だというのでまた「Monkey」か何かかなと思いきや、「Halfway」というこれまで聴いたこともない曲だった。これは今回の日本公演一番の驚き。もちろん僕の知る限りでは今までのどのアルバムにも入ってないし、Packet Of Threeによると、あのデイヴィッドでさえ去年の7月にグレンとクリスがその曲を演奏するのを初めて聴いたと書いてある。「Magical」だって。まさしく。

作成中のニューアルバムからの「Haywire」はこれで聴くのが二度目になるけど、正直言って最初はそれほどたいした曲でもないかなと思っていたのがずいぶん印象よくなってきた。早くバンドで演奏したバージョンが聴いてみたい。またゴテゴテした音になってなければいいけど。

ピアノに移ってこれも久々の「Letting Go」。ところが、間奏の途中でどうにも収拾つかなくなってしまい、あーもう失敗!みたいに投げ出してしまった。「本当にごめん。埋め合わせにリクエストされた曲なんでも演るよ。踊れと言われたら踊ってもいい」と言ったところで場内から「Jolly Comes Home」と声がかかる。いつものTさんだ。「歌詞わからないかも」と言いながら演奏を始めるグレン。最初のヴァースまで歌ったところで「ここまでしか歌詞わからないから、同じアルバムからの曲につなげるよ」と、メドレーで「Cold Shoulder」へ。おお、なんか怪我の功名みたいな珍しいのが次々と。

「次も同じアルバムから、タイトル曲を演ろう」と「Some Fantastic Place」へ。あらためてあのアルバムは名曲が多い(名曲が多いグレンやスクイーズのアルバムは他にも沢山あるけど)と思う。さらに定番二曲に新曲「You」と続け、これもまた久しぶりの「Woman's World」(06年以来だ)で歓喜していたら、「次はエルヴィス・コステロの曲を」。なんだって?「From A Whisper To A Scream」なんて歌詞覚えてるの?これは今回一番の驚き。あ、それはさっき書いたか。じゃあ今回二番目でいいや。とにかくこの日は本当に珍しい曲がいくつも聴けた。

その後は定番候補の「Chat Line Larry」(今回の各公演ではどうもグレンのギターソロはロカビリー風味に流れることが多かった気がするから、この曲なんて今の気分にぴったりなんだろうね)、すでに定番の「Through The Net」、鉄板コンビ「Tempted」「Annie」で一旦幕。さっきの「Best Of Times」に続いて、「Annie」では観客大合唱。

すぐにアンコールで再登場し、エレキに持ち替えて「Another Nail In My Heart」。初日にちょっともたついてたのがウソのような好演。やっぱりこの曲のソロをエレキでこうやって聴けるのは何にも代えがたい。いつまでも聴いていたいのに3分弱で終わってしまう罪作りな曲。

間髪入れず「Pulling Mussels」の『Argybargy』オープニング逆パターン。このギターソロもオリジナルにいろんなフレーズを付け足した超ロングバージョン。こういうことやるときのグレンって調子いいというのがよくわかるね。ここでまたレオンを呼び戻し、彼の曲を一緒に演奏してから二人で「Goodbye Girl」。レオンにサイドギターを任せてグレンはソロを弾きまくったり、途中でダブ風にゆるーい演奏にしてみたり。この楽しさが頭にあったから、レオン抜きの初日はこの曲を演奏したくなかったのかな。

それで終わりかと思ったけど、鳴り止まないアンコールに応えてグレン再登場。「Slap & Tickle」は予想の範囲内だったけど(ものすごいギターソロは予想以上)、そのままエレキで弾きだしたスローな曲はなんと「Without You Here」。こんなバージョンのこの曲、初めて聴いたよ。もうこの日は最後までそういうレア曲・レアバージョン満載だった。いや、満足。これでこそグレンのライヴだよね。

終演後、二階での長蛇の列に並んで、この日は『Arse About Face』にサインをもらった。前の方でサインをもらっている人たちを見てると、だいたい『Happy Ending』にグレンとレオンがサインをしていたけど、レオンの参加していないこのデモ集に彼のサインは要らないかなと思ったので、僕の番がまわってきたときにグレンにこれを、レオンには彼のEPを差し出してそれぞれサインをもらい、グレンがレオンにジャケを渡す前にそれを取り上げ、「ところで今回の新曲なんだけど」と話しかけて注意をそらし作戦成功。

いつもと違ってライヴ中はステージで水しか飲んでいなかったグレン、このサイン会では大ジョッキのビールを美味そうに飲んでたね。あっという間に飲み干すと、スザンヌに「アダルトウォーターもう一杯」って頼んでたのが可笑しかった。さすがにあのライヴの後に百人以上へのサインを終えてお疲れの様子は隠せないけど、家族みんな病気から復帰してあきらかに楽しそうなグレン。演奏も目に見えて上り調子だし、これは翌日も楽しみだ。

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Setlist: 04 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Everybody Sometimes
2. The Day I Get Home
3. Persephone
4. Ter-wit Ter-woo
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Best Of Times
10. Ray
11. Slightly Drunk
12. Halfway
13. Haywire
14. Letting Go
15. Jolly Comes Home
16. Cold Shoulder
17. Some Fantastic Place
18. If I Didn't Love You
19. Up The Junction
20. You
21. Woman's World
22. From A Whisper To A Scream
23. Chat Line Larry
24. Through The Net
25. Tempted
26. Annie Get Your Gun

[Encore 1]
27. Another Nail In My Heart
28. Pulling Mussels (From The Shell)
29. Walking Away (Glenn + Leon)
30. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
31. Slap & Tickle
32. Without You Here
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2015年04月19日

Glenn Tilbrook live in Fukuoka 2015

一旦サボり癖がついてしまうとそれまで習慣としてやっていたことも途端に面倒になってしまうもので、このブログももう更新することはないかなと思っていたんだけど、4年ぶりのグレン・ティルブルックのライヴで4年ぶりに顔を合わせた何人もの懐かしい友達が口々に「楽しみにしてたのに」なんて背中を散々押してくれたもんだから、またちょっと書いてみようかなと重い腰を上げてみた(このダラダラと長い文章もカッコ入りの文末も、ああそういえばこのブログってこんな文章なんだったと我ながら懐かしくなってみたり)。

一番最後にアップした去年9月以降、今回のグレンまでに行ったライヴが八つもあるから、気が向けばそのうちそれらのことも思い出して書いてみるかもしれない。もう何か月も経ってしまっているから細かい部分は忘れてしまっているだろうけど、それでもここに書いて残しておくかどうかで、後々まで記憶が蘇るかどうかが決定的に違ってくるというのは、自分でもそう思うし、今回声をかけてくれた、僕と一緒のライヴに行った友達もみんなそう言ってくれたからね。

さて、途中で丸一週間の出張が入ってしまっていたというのもあって、もうすでに三週間も前のことになってしまったグレンの福岡公演、どこまで思い出せるかな。セットリストは全公演分あるから、それを頼りに思い出せることをあれこれ書いてみよう。

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3月30日。期末の忙しい時期だけど、月曜の昼便に乗り、翌朝一番の便で東京に戻れば会社は半休を取るだけで済むというのが福岡公演の長所だということに今回気付いた。やっぱり空港が街の中心部から近いというのはいいね。今回行くのを諦めた京都なんかだとこうはいかない。

博多のホテルに荷物を置いて、去年タマス・ウェルズを観たときにも降りた赤坂駅からすこし歩いたところにある会場のLiv Laboは、そのときの会場だったpapparayrayからもそんなに遠くない場所だった。福岡の地理にはそんなに詳しくないけど、このあたりはこういう小さなライヴ会場が多いのかな。

papparayrayもライヴ会場というよりは古民家を改造したイベントスペースという趣きだったけど、今回の会場はもっと普通に近代的なイベントスペースという感じ。建物の外階段を二階にあがったところにある、普通に椅子を置いて50人も座れば一杯になってしまうようなこぢんまりした場所。ステージのところにはスノコがいくつか敷き詰めてあるだけだけど、この広さなら一番後ろの席からでも問題なく観られるはず。

でもせっかくいい整理番号のチケットだったので、久しぶりのグレンはやっぱり一番前で観る。東京から来た僕も含めて、最前列を埋めたのはほとんどいつもお馴染みの、日本各地から集まってきた筋金入りのおっかけ衆の皆様。このうちの何人かは、このあと一週間のうち何度も顔を合わせることになる。

今回は奥さん(兼マネージャー)と二人の子供を帯同しての初めての日本ツアー(家族旅行とどちらが先に決まったのかは不明)で、二人のうち年上のレオンがグレンと一緒にステージに立つという話だったのに、この日はグレン以外の三人が体調を崩してしまったとのことで、変則的、というかいつもの二部構成のグレンのライヴだった。なのでこの日だけは、ステージ上にはグレンの二本のアコギ(どちらもいつものヤマハ)と黒いストラトキャスターが置いてあるだけ。

開演時刻の19時ぴったりに会場後方にある中二階の楽屋からグレンが降りてきて、二つのうちのシンプルなデザインの方のギターを手に取る(ヤマハのギターの種類には詳しくなかったから調べてみたら、グレンが使っているようなエレアコはもう全部生産中止なんだね)。ちなみに僕が観た今回の全公演では、グレンはもう一本の(多分LJXというシリーズの、ちょっと派手なデザインの方)は結局一回も使わなかった。

久々の日本公演最初の曲は、最新作『Happy Ending』からの「Persephone」。さすがロウリー・レイサムが制作にかかわってるだけあって今までのソロになく凝った装飾のこのアルバム、僕としてはいささか微妙な評価なんだけど、こうしてアコギ一本で聴くとずいぶんと印象が変わる。

「今のは『Happy Ending』、これは『East Side Story』から」と言って「Someone Else's Bell」へ。僕にとっては、“どこがそんなにいいのかわからないけどグレンのお気に入りプレイリストから落ちることがない”という一曲。いや、別にけなしてるわけじゃないよ。これを聴くとグレンのライヴに来たなという実感が今さらながらわいてくる。

続けて、「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に作った、何年前のアルバムだっけ」と言いながら「Ter-wit Ter-woo」。前回の11年の来日でもうすぐ出るそれに収められることになると「Chat Line Larry」を紹介していたから、「4年前」というのが正解なそのアルバム、今回の来日前に久しぶりに引っ張り出して予習していたときに、実はこんなに正統派のグレン節が収められていたということに気付いたのがこの曲だった。グレンが全曲リードボーカルを取っているわけじゃないし、さっきの「Chat Line Larry」やビートルズのカバーが収録されているという以外の印象が薄かったから、あまり聴いてなかったんだよね。

「アイパッドを持ってくるのを忘れた」と言って、一旦会場後方にさがってステージに駆け戻ってきたときに、勢いあまってスノコをすべらせてしまうグレン。固定してあるわけじゃないんだ。台の上に置いてあった水はこぼれずに済んだけど、09年の京都公演(あのときもこんな感じの即席ステージだった)でビールのジョッキを倒してしまった光景が頭をよぎった。

そのアイパッドを開きながら、つい前週、日本に来る直前までスクイーズでレコーディングしていた曲を演奏しようと歌詞を探し始めるのに、なかなか見つからない。ページをスクロールするのに複数の指で操作しているもんだから、たぶん全然スクロールできないんだと思う。もう何年も前に買っていつも愛用しているはずなのに、まだ使い方に慣れてないんだね。こういうところがいかにもグレンぽくて微笑ましい。

結局お目当ての曲の歌詞が出てこず、「代わりにこの曲を演ろう」と言って歌い始めた別の新曲。曲紹介のときに僕には「Beautiful Hand」と聞こえて、後でグレンに確認したときに「Yes」と言われたんだけど、ネットで探してみると「Beautiful Game」となっているね。

またしても苦戦しながらアイパッドを操作して、やっと出てきたお目当ての新曲は「Haywire」という曲。「成長することについて」とかなんとか説明してたっけ。途中、「ページをめくる」という歌詞を歌いながらアイパッドのページをスクロールしたのが可笑しかったのか、歌詞を見ないと次のフレーズが出てこなかったのが照れくさかったのか、苦笑いしながら歌うグレン。

ちょっとたどたどしく二曲の新曲を歌い終えた後、アイパッドを脇に置いて、手慣れた感じでお馴染みの「Is That Love?」へ。ただ、この曲に限らず、この日はギターソロが若干もたついていた感じがしたかな。そんなにあからさまに失敗したとかいうわけじゃないけど、完璧なときのグレンの指さばきからはちょっと遠かった気がする。確かにいつも来日初日はちょっとエンジンが暖まってないようなことがあるから、まあこんなもんかな。

セトリ見ながら書いてると、思い出せることありったけ書いてしまうな。このままじゃ四日分書くのにとんでもない時間がかかってしまう。ちょっと端折りながら進めよう。じゃあちょっと飛ばして、新譜からの「Ray」を紹介するときに「この曲は僕ぐらいの歳の男の歌で、でも僕のことじゃないからね」とか言ってたかな。

その曲も含めて、前半最後は「Some Fantastic Place」、「Annie Get Your Gun」、「Up The Junction」など鉄壁の代表曲をずらっと並べて(なぜか途中で新参の「Chat Line Larry」も挟んで)、最後は「Tempted」で締め。45分ぴったりで休憩に入る。前半は45分と決めていたんだろうけど、よくもまあこんなにぴったり合わせられるもんだ。

後半は「Rupert」、「Everybody Sometimes」と新譜からのナンバーが続き、「この曲を書いたジミー・ウェブと光栄にも共演することができた」と「Wichita Lineman」を演奏。たしか前にもこのカバーを演ったことがあったね。09年の来日だったかな。

翌日以降はレオンと一緒に演奏することになる「Take Me, I'm Yours」をこの日はひとりで演奏(そういう意味ではレアなこの日)。ギターソロで拍手が沸いて、歌ってる途中で「サンキュー」って言ってた。つづいて僕の“どこがそんなにいいのか(以下略)”リストからもう一曲「The Elephant Ride」、実は久々に聴いた気がする(というか全部4年ぶりなんだけど)「Untouchable」と、どんどん定番曲が続く。なかでも、ソロでのこのバージョンがお決まりとなった「Tough Love」がやっぱりじんとくる。

ストラトに持ち替えての「Another Nail In My Heart」が格別だった。やっぱりギターソロがほんのちょっとだけタイム感が合ってないような気がしたんだけど、それでもエレキでこの曲を演奏してくれるのはものすごく嬉しい。もしかしたらこれまで僕が観た来日公演では初だったんじゃないかな。

大好きな『Pandemonium Ensues』から少ないなと思っていた頃に「Still」が出てきた。結局今回の来日ではこの日しか聴けなかった曲のひとつ。続けて、「Pulling Mussels (From The Shell)」。ああもうこれで終わりかと思ったけど、まだステージを降りない。アコギに持ち替えてそのままチロチロとあまり聴いたことのないフレーズを弾いていたと思ったら、なんとそれが「Vanity Fair」のイントロにつながってびっくり。こんな曲いままで演ったことあったっけ、と思って調べてみたら、僕が観た中では06年で一回だけ演奏してるね。これももちろん、今回の来日でこの日にしか聴けなかった曲。

「作成中のスクイーズのアルバムからもう一曲」と言って、「You」という曲を。うわー、今日の後半セットは長いなと思っていたら、その曲が最後だった。とりたててライヴの最後に演奏するような雰囲気の曲じゃなかったのに、その時点で実は「Annie」も「Pulling Mussels」も「Another Nail」も「Take Me」も「Slap & Tickle」も「Black Coffee」も演奏してしまっていたことに急に気付いたのかな。「Goodbye Girl」はアンコール用に取っておかないといけないんだろうし。

そんな感じで実に尻切れトンボぽく静かな二曲で本編を終えたあとは、当然アンコールで再登場。幻のビデオ撮影が懐かしい「Through The Net」(この曲のサビのところでパンパンと手を叩く人はもうあまり見かけなくなってしまったし、ましてや「ラララララララー」とコーラスを入れる人は僕も含めてさっぱりいなくなってしまった)、そしてそういえばまだこれがあった定番曲の「Hourglass」(手拍子を32回できっちり止めない人が多くてちょっとキレが悪かったけど、初めての福岡の地でちゃんと説明しないグレンが悪い)。

てっきり最後は「Goodbye Girl」かと思いきや、そこで終了。歌い終えたところで最前列真ん中に座っていたMさんに「サンキュー」と握手をしてきて、ああやっぱり常連の彼女のことは覚えてるんだなと思ったら、続いて隣にいた僕にも「サンキュー」と握手、さらに次々に同じようにお客さんに握手をしていって、とうとうそのまま一番後ろまで行ってしまった。ははは、これじゃもうアンコールできないや。それを狙ってたのかな。だとしても、こんなことしてくれる人ほかにいないよね。これでこそグレン。

終演後のサイン&写真撮影タイム。最初はどうなることかと思ってたけど開演前にはきっちり全部席を埋めた50人ほどのお客さんのほとんどが並ぶ。福岡公演は初めてだから、グレンにサインをもらうのはこれが初めてという方が多かっただろうね。グレンも時差ボケとか家族が病気で早く帰りたい気持ちとかあったろうに、いつもどおり丁寧に全員と歓談してくれる。

僕はシリーズの中で唯一サインをもらっていなかった『The Demo Tapes』シリーズの『When Daylight Appears』にサインをもらい、これまでのライヴでサインをもらっていた3枚を並べて見せて、ほらこれで全部揃ったとグレンに自慢。ところでこのシリーズ、全部で5枚出るという話だったのに、07年、08年、09年、11年と続けてリリースされた後はすっかりご無沙汰だね。年代で言うと81年〜84年、アルバムに置き換えると『Sweets From A Stranger』〜『Difford & Tilbrook』期がまだ出てない。再結成スクイーズのライヴとレコーディングが忙しくてそれどころじゃないんだろうけど、このままお蔵入りにならなければいいな。

サインをもらいながら、アイパッドの画面をスクロールするには指は複数じゃなくて一本だけにした方がいいとアドバイスをしてあげたら、ああそうだったのかと嬉しそうにしてくれるグレン。ほんとに知らなかったんだね。「じゃあまた週末に、東京で」と別れる。早く片づけて病気の家族のところに戻ってあげないとね。


グレンのライヴの後にはなぜか、知らなかった人にも声をかけて飲みに行ってしまう(本当にグレンのライヴにはそういうマジックみたいなのがあると思う)。この日も久々に会ったグレンヘッズの面々と古くからの友人に加え、たまたま近くに座った方もお誘いして近所の九州料理屋(?)へ。なんだかバタバタして結局その人の連絡先は聞かなかったんだけど、またどこかのライヴでばったり会えるかな。

久しぶりのブログなので四公演分まとめて記事にしようと思っていたのに、福岡の分だけでもうこんな量になってしまった。ちょっとこのまま続ける体力ないので、これはこれでアップしてしまおう。続きはまた明日。

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Setlist: 30 March 2015 @ Liv Labo Fukuoka

1. Persephone
2. Someone Else's Bell
3. Ter-wit Ter-woo
4. Beautiful Hand (Beautiful Game?)
5. Haywire
6. Is That Love?
7. Black Sheep
8. Some Fantastic Place
9. Ray
10. Annie Get Your Gun
11. Up The Junction
12. Chat Line Larry
13. Tempted

14. Rupert
15. Everybody Sometimes
16. Wichita Lineman
17. Take Me, I'm Yours
18. The Elephant Ride
19. Untouchable
20. If I Didn't Love You
21. Tough Love
22. Black Coffee In Bed
23. Another Nail In My Heart
24. Slap & Tickle
25. Still
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Vanity Fair
28. You

[Encore]
29. Through The Net
30. Hourglass
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2014年09月13日

Clap Your Hands Say Yeah live in Tokyo

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期待値超え。それもかなりの。今年に入ってほぼ月一ペースでライヴに行ってるが、正直なところ今回のこれは月一のペースを守るために行っとくかなといった程度の気持ちで出かけたのも半分事実。先月LPを買って聴いてみた新譜がちょっとイマイチだったからね。なので期待値自体が低かったというのはあるけれども。

各メンバーが別ユニットでやったりしてても、これまでのアルバムではオリジナルメンバーが少なくともレコーディングには戻って来ていたのに(前作『Hysterical』のCDケースには何の情報も載ってないのでよくわからないけど、ネットで調べてみたらおそらくそうみたい)、今作『Only Run』のクレジットによると、アレック・オウンズワースとドラムスのショーン・グリンハル以外には正式メンバーはもう誰もいないようだ。もうこれはほぼアレックのソロアルバム。しかも、腕利きミュージシャンとアレックのへろへろ声のミスマッチが面白かった『Mo Beauty』や凝りに凝った音作りのフラッシー・パイソン名義『Skin And Bones』とは違って、これまでのCYHSYのアルバムから疾走感だけをそぎ落としたような、どうにも煮え切らない感じ。

新作発表ツアーだから当然そのアルバムからの曲が中心になるだろうとここ数週間ずっと予習はしていたものの、やっぱりつい手が伸びてしまうのはファーストや『Hysterical』になってしまっていた(セカンドの『Some Loud Thunder』もあまり好きじゃないんだよね)。

しかも、比較的遅く買ったチケットの整理番号は400番台の後半。まだそんなに人気あるんだと思いながらも、そんな番号じゃどうせ後ろか端の方からしか見えないだろうと、事前の期待値が一層下がる。まあそれでも、開場時刻の17時ちょっと前には会場に着くようにでかけたけどね(実際にはその前にユニオンとレコファンを散策したから、開場の2時間近く前には渋谷に着いていたんだけど)。

ところが、開場からの整理番号の呼び順がかなりざっくり。最初こそ「1番から10番までの方」みたいな呼び方してたけど、17時時点での集まり具合があまり芳しくないと見てか、次第に「200番台の方、300番台の方」なんて感じでどんどん進む。おかげで思っていたよりずっと早く入場できた。

さすがにステージ前数メートルのフロアは熱心なファンで一杯だったけど、フロア後方や両サイドはかなりまばら。おかげでステージ左手の柱が邪魔にならない結構いい場所を取ることができた。なんだ、人気あるんじゃなかったのか?もしかしてかなりの枚数がばらまかれてたりして。

ステージの両サイドにキーボード。真ん中後方にドラムキット。ギターが何本かと、向こう側にベースが1本立てかけてある。新譜ではアレックはキーボードばかり弾いてるようだったけど、この配置だと彼はギターだけかな今日は。

開演予定時刻の18時を20分ぐらい過ぎた頃かな。聞き覚えのあるキーボードとドラムマシンの音が鳴り出し、メンバー4人がバラバラとステージに現れた。新作2曲目の「Blameless」だ。やっぱりこういうぼわーんとした曲で始めるんだ。

と思っていたら、間髪を入れずに「In This Home On Ice」。うわ、もう演るのか。というか、この流れってまるで新作からの曲をイントロ扱いしてるな。まあ、それで正解だと思うけど。アレックもへろへろながらよく声が出てるし、サポートメンバーが誰だかよくわからないけど演奏はしっかりしているしね(ドラムスはショーンなのかな?顔わからないから不明。ベースが東洋人ぽい顔してたから、新作にも参加しているマット・ウォンというのがきっとこの人なんだろう)。

次の「Satan Said Dance」では、特にアレックに促されなくても「Said Dance!」のところを皆で歌う。やっぱり熱心に聴いてきているファンはそれなりにいるんだね。そう思いながら会場を見渡してみると、いつの間にかもう後ろの方までびっしり。東京一日だけとはいえ(それに、もしかしたら招待券がばらまかれたのかもしれないけど)まだまだクアトロを埋められるだけの人気はあるんだ。

「戻ってこられてうれしい。東京はニューオーリンズと、あとどこだっけ、ベルリンか。とにかく、僕が住めるものなら住んでみたい三つの都市の一つなんだ」とリップサービス。不思議な組み合わせの三都市だね。「魚市場に行った」とか言ってたな。

新作からの曲(ぼわーんとしたのも「Coming Down」みたいなそれほどでもないのも)を何曲か続けた後でふいに出てくる「Is This Love?」とかのファーストからの曲のイントロのカタルシスと破壊力といったらもう大変なもの。どういう構成にしたら盛り上がるのかよくわかってるね。

アレックが演奏するのを観るのは生でも録画でもこれが初めてだったんだけど、ボーカルのへろへろ具合に比べてあまりアクションは大きくないね。両脚をきっちり揃えてギターを弾きながら歌うところはまるでタマス・ウェルズかマット・ジ・エレクトリシャンかといったところ。逆に、このバンドのへろへろした印象(あくまでもアルバムを聴いただけの印象ではあったけど)を体現していたのが、名前もわからないキーボーディストのお兄ちゃん。キーボードを弾くときもギターを弾く時もとにかく体をくねくねさせてた。無表情で。

ライヴで聴いた『Only Run』の曲は、アルバムとはかなり印象が違った。やっぱりアレックが一人多重録音でやるのと、こうして4人で一緒に音を出すのとは違うというのもあるんだろうけど、どの曲も(ぼわーんとはしつつも)かなり好印象。アレンジももう既に変えてきていたのもあったしね。一方で、『Hysterical』からの「Same Mistake」とか、オリジナルはちゃんと盛り上がるテンポの曲を、あえてギター1本でスローに演奏したりとか。こんなにフレキシブルなことやるんだ。なんか、デビュー時の逸話なんかから、永遠のアマチュアバンドみたいな印象でいたけど、実は音作りにしてもこういうライヴの構成にしてもすごく高度なことをやってるんだ。

「In This Home On Ice」も「Is This Love?」も「The Skin Of My Yellow Country Teeth」もあんなに早く演ってしまって後半大丈夫かと思っていたけど、後半になってもファーストからの残りの曲と『Hysterical』からの「Ketamine And Ecstacy」とかのガンガン盛り上がる曲でたたみかける。「一旦引っ込むけどまたアンコールで戻ってくることになってるから」なんてことを照れながら話し、本編ラストは「Upon This Tidal Wave Of Young Blood」。

アンコールの拍手に応えて、まずアレックが一人で登場。ギターの弾き語りで歌い始めたのは、トム・ペティの「Yer So Bad」。このブログを書くために彼らの最近のセトリを調べてみたけど、カバー曲を演奏したなんて記述はどこにもなかった。あと、最近のツアーのどのセットよりも、この日のライヴは本編で1-2曲、アンコールも2曲多かったみたいだ。「東京が好き」というのもあながちリップサービスだけではなかったみたいだね。

もう一曲、「Into Your Alien Arms」を同じようにエレキギターの弾き語りで歌ったところで残りのメンバーが再登場。ニューアルバムの1曲目「As Always」をここに持ってきて、最後はアゲアゲの「Heavy Metal」で幕。いやー、よかった。演奏もかっこよかったし(アレックのソロの弾き語りはちょっとだけ間延びした感があったけど)、各アルバムからの選曲のバランスもよかったし(僕がいまいち気に入っていないセカンドからだけは僅か2曲というのを見ると、やはりアレック本人もそう思ってるのかな)。

ステージを降りる前にアレックが「今からそっちに出ていくから」と、サイン会があるらしき発言をしていたけど、何も準備してきていなかったので今回はパス(売っていたTシャツのデザインもあまり好みではなかったし、そもそもうちにTシャツが多すぎるから今自分内Tシャツ購買禁止令発令中)。しかしまさかクアトロでサイン会があるとは。次からは一応何か持ってくるようにしよう。

そういえば、黒字にカラフルな文字だけというそっけない今回の公演チラシを会場でもらったんだけど、ニューアルバムのタイトルが『Only』になっちゃってるよ。ここで散々けなした僕が言うのもなんだけど、もうちょっとちゃんとプロモーションしてあげてよ。僕ももう少し聴きこんでみよう。もう少し馴染めば、今年のベスト10候補には残ったりするかも。


Clap Your Hands Say Yeah 6 September 2014 @ Shibuya Club Quattro

1. Blameless
2. In This Home On Ice
3. Satan Said Dance
4. Gimmie Some Salt
5. Coming Down
6. Only Run
7. Beyond Illusion
8. Is This Love?
9. The Skin Of My Yellow Country Teeth
10. Same Mistake
11. Some Loud Thunder
12. Over And Over Again (Lost And Found)
13. Misspent Youth
14. Impossible Request
15. Ketamine And Ecstasy
16. Upon This Tidal Wave Of Young Blood

[Encore]
1. Yer So Bad
2. Into Your Alien Arms
3. As Always
4. Heavy Metal
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2014年08月09日

FRF14

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去年のフジロックはほぼウィルコ・ジョンソンだけを観る目的で出かけたら、意外とそれ以外にも見どころがたくさんあって、土砂降りの天気はともかくとして結構楽しめたなという感想だった。あれが一年前。

そんな去年のラインアップに比べると、正直言って今年は最後の最後まで僕を惹きつけるアーティストの名前は出てこなかった。早い段階でひっそりとリストに名前が載っていたある一人を除いては。

ガーランド・ジェフリーズ。81年の名作『Escape Artist』で彼のことを知り、当時ですら既に廃盤だった過去盤を血眼になって何年にもわたって揃えていた頃、最後のアルバムリリースから4年も経った87年に突然の来日。ミューズホールで観たライヴは今でも僕の生涯ベスト5に入る凄まじいものだった。

その後、91年、97年、06年とどんどんアルバム発表の間隔が広がり(06年の『I'm Alive』はほぼベスト盤みたいな内容だったし)、この人はもう新作も出さず、たまに地元でひっそりとライヴをやるだけなんだろうなと思っていたら、12年に『The King Of In Between』、そして去年『Truth Serum』と、またしても突然狂い咲いたように立て続けに(しかも内容の濃い)アルバムを発表。そして、今年のフジロックの第一弾ラインアップに名前が。

もしかしたらフジの前後に東京で単独公演があるかもと思っていたけど、どうやらその気配もなさそうなので、これはもう他のアーティストがどんなに僕の興味から外れていようと、彼が出演する日だけを目指して行くことにした。それが何曜日であろうと問題ない。とは思っていたけど、よりによって初日の金曜日か。しょうがない、会社はサボって三連休。でも苗場に三日間いる体力も財源もないので初日だけ参加。

通勤客と観光客と中国人でごった返している金曜早朝の東京駅で友達と待ち合わせて上越新幹線に乗り込む。席について、シラス弁当と一緒にさっそく今日一本目のビール。飲んでると越後湯沢なんてあっという間だね。いったん宿に荷物を置いて、去年の教訓をもとに長靴に履き替え、雨具をバックパックに詰めて出かける。雨の気配なんて一切ない猛暑の晴天だけど。

なんか会場行きのバスの列もリストバンド交換所もやけに空いてるな。初日の朝なんてこんなもんなのかな。グッズ売り場も覗いてみたかったけど、そこだけは長蛇の列だったのでパス。先に来ているはずの仲間とはまだ連絡取ってなかったけど、去年の基地あたりに目安を付けて行ってみたら即合流できた。みなさん、今年も基地お借りします。

今日二杯目のビールを飲みながら基地で寝そべっていたら、グリーンで一番最初のバンドが始まった。後ろの方で寝転んでるから直接にはステージはほとんど見えないけど、これは豪華な顔ぶれだね。ルート17・ロックンロール・オーケストラって、毎年オープニングをやってるのか。トータス松本やら甲本ヒロトがロックンロールのカバー(オリジナルの歌詞だったり日本語版だったり)をやってて、僕がもう少しこの手の日本のバンドに入れ込んでたらたまらないだろうなと思うようなステージだった。チャボの歌った(おそらく)オリジナル曲がなにからなにまでハングリーハートだったのが印象的。でも、もしかしてあれもカバーなのか。

さらに基地でごろごろしていたら、ルミニアーズ開始。よさそうなら前に行って観ようかなと思ってたけど、なんだかこれ去年ここで観たマムフォード&サンズの二番煎じぽい感じだね。同じようにやろうとしても、どうにも曲が弱いというか。決してひどかったわけじゃないんだけど、僕を基地のシートからひっぺがして前に歩かせるほどには至らず。

まだガーランドまで3時間近くあるけど、僕はもうそっち方面に移動したくて気が気じゃない。ちょうど友達が木道亭で阿部芙蓉美を観るというから、じゃあ僕も一緒に。ヘヴンまでの通り道だしね。ところ天国で友達が飲み物を買っている間に森のハイジカレーを喉に流し込む。カレーは飲み物。でも並んでいる友達に頼んでちゃっかりモヒートも飲む。

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木道亭って、ほんとにボードウォークの横にちょこんとくっついてるだけの場所なんだね。開演少し前に行ったらもうほとんど観る場所なんてない。全然知らない人だったけど、こんなに人気なんだ。でも、繊細な曲を歌っているのに、すぐ隣のヘヴンからドカドカと大きな音が聞こえてきて、ちょっとかわいそうだったね。もう少し静かな山奥で歌わせてあげればよかったのに。

阿部芙蓉美のあと、ヘヴンへ。でもまだ前のバンドが演奏してるね。じゃあ隣で時間つぶそう。オレンジでちょうどスティーヴ・ナイーヴが始まるところだ。前にグレンと一緒に吉祥寺に来たときとほぼ同じメンバーで、ベースはスティング息子か。

15時10分開演なのに、15時すぎになっても客席にはほとんど誰もいない。一応熱心なファンが10名ほど一番前の柵のところに陣取っていたけど、とてもこれが今からライヴが始まる場所だとは思えないぐらい。ところが、スティーヴがまずひとりで登場してキーボードのインストゥルメンタル曲を演奏しだすと、そこらにいた観客がわっと集まってくる(といっても50人いるかいないかぐらいだけど)。

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2曲目からはバンドが入る。ヴォーカルはスティーヴの息子だったよね。「Peace, Love & Understanding」のカバーなんだけど、なんだかもっさりしたアレンジ。息子君はそのあとドラムに移動(別にもう一人ドラマーがいたけど、その人は息子君がドラムキットに座るときはパーカッションとかプログラミングとかほかのことをしていたので、ダブルドラムみたいな感じではなかった)。

ジョー・サムナーってこんなにスティングに似てたっけ。2曲ヴォーカルを取ったけど、歌い方までそんなにお父さんに似せなくていいのに。曲のエンディングでジャンプするところまでお父さん似。かなり流暢な日本語のMCとか聞いてる限りは、お父さんよりはよっぽど性格よさそうだったけどね。

また息子のトール君が前に出てきて「Oliver's Army」のカバー。お父さんとデュエットするんだけど、どうしてまたこんなにテンポ落としてゆっくりもっさり歌うんだろう。さらにもう一曲ゆったりと歌ったところで隣のヘヴンに移動。まだガーランドのステージ開始まで20分ぐらいあるけど、万が一お客さんがたくさんいたら大変だからね。

早めに来てよかった(というかもっと早く来ればよかった)。リハーサルやってるよ。バンドメンバーが「96 Tears」や「Hail Hail Rock'n'Roll」のイントロの音を出してる。ガーランドは前に出てきてメンバーと打ち合わせしたり後ろの方で誰かと話したり、特にリハーサルに参加してるわけじゃないけど。前に見たときよりもかなりお腹が大きくなったね。もともとそんなに背の高い人じゃないから、ずんぐりした体形がきんどーちゃんみたいな感じ。

スタッフが、ステージから下に降りるステップをセットしてる。2メートル近くあるステージだから、あの数段のステップだと降りるにしても上がるにしても相当大変だと思うけど、71歳の小太りガーランドにそんなことできるのか?まあ、もしかしたら最終曲あたりで盛り上がったときに降りて来られるようにとの準備なんだろうけど。せっかく一番前に陣取ることができたから、こっちにも来てくれたらいいな。

ガーランド以外にメンバーは4人。ドラムスのトム・キュリアーノとベースのブライアン・スタンリーは『Truth Serum』に、ギターのマーク・ボッシュは『The King Of In Between』にそれぞれ参加してる人たち。キーボードのマット・キーティングだけはレコーディング・アーティストのはずだね、僕は聴いたことないけど。一緒に観ていた友達いわく、マシュー・スウィートが太らずに歳を取ったらああなるはずと。うん、そんな感じ。

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さあ開演。黒いジーンズに黒いTシャツというシンプルないでたちで登場したガーランドの第一声が「ニューヨークシティー!」。それはどう反応すればいいのか。曲は『The King Of In Between』のオープニングでもある「Coney Island Winter」。もしかしたら懐メロ大会になるのかなとも予想していたけど、ぜんぜんそんなことない。そして、間髪入れず「35 Millimeter Dreams」。スライドが恰好いい。

「'til John Lee Hooker Calls Me」、「I May Not Be Your Kind」と、『The King Of In Between』〜『Ghost Writer』の並びがもう一回続く。後者の紹介をするときに「I May Not Be Your…」まで言ってじらすのも27年前と同じ。それに続けて「Kind!」とつい叫んでしまうのも同じ。

「I May Not〜」の最後のアドリブのところで今度は「Tokyo」「I'm in the middle of Tokyo」と歌う。それはどう反応すればいいのか。。

どの曲のときだったかな、ステージ上でうろうろしながら歌っていたガーランドがもうさっそくステップに飛び降りて、ステージ下の観客席のところまで来て歌ったのは。柵の土台に乗って、観客にばたばた触られながら歌う。残念ながら僕がいた場所からは離れていたけど。そのあとまた歌いながらステップを上がっていくのがちょっと危なっかしかった。でもよく息も切らさずに歌えるね。70過ぎてるのに、すごいや。

「ニューアルバムが出たんだ」と言って「Any Rain」を。やった、この曲が一番好き。ニューアルバムと言ってももうほとんど丸一年前になるんだね。そして続けて「It's What I Am」。新曲ばんばん演るね。現役感。「今晩この後ニューアルバムを買いに行ってくれ」なんて半分冗談めかして言ってたけど、もっと東京とかでちゃんとプロモーションツアーすればいいのに。こんなライヴの後だったらきっとその場で何十枚も売れると思うんだけどな。それとも、本当にここが東京だと思ってるのか。

「最近友達が亡くなったんだ。ルー・リードとは50年来の友達だった。あいつは俺に扉を開けてくれた。ずっとサポートしてくれた。俺も少しは扉を開けてあげたけどね」と、もしかしたらこの話が出るだろうなとは思っていたけど、それに続けて「彼の曲を歌おう」ときたのには驚いた。「I'm Waiting For The Man」だ。

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またステージから降りて客席へ。またあっちの方だよ(あとでガーランドがリツイートしてたのを読んだら、どうもクロマニヨンズご一行様がそっちの方にいたらしい)。今度はそのまま柵をよじ登り、客席を練り歩きながら歌う。僕はその時初めて後ろを振り返って客席を観たけど、100人ぐらいはいたかな。少なくともスティーヴ・ナイーヴよりはずっと多い。始まった頃はガーランドもステージの上から「前の方に来てくれているみんな、大好きだよ。後ろの方の奴らはどうして寝てるんだ」とか言って、なんか後ろの方にいたお客さんをいじってたぐらいだったのに。

冒頭から熱いライヴだったけど、ラストの「Hail Hail Rock'n'Roll」でそれが最高潮に(ただ、時間は少し余っていたから、あれは最初からアンコール目当てで切り上げたのかも)。メンバー紹介のときにマットのことを「マシュー・スウィート」と呼んだのはおかしかった。公然の冗談になっているんだろうか。

ステージから下がろうとしたところで大きなアンコールの歓声。すぐに戻ってきて、どっちの曲を演ろうかみたいなことを言ってから「96 Tears」。そして「また会おう」と言って裏に引っ込むけど、まだアンコールの歓声が続く。

ニコニコしながら「こんなのは東京じゃないよ」と言って出てくるガーランド(そうだね、東京じゃないね)。最後は「Wild In The Streets」。あー、こっちか。「R.O.C.K.」聴きたかったんだけどな。まあ、しょうがない。それにしても最後まで全然声衰えないね。そして、今度こそ時間切れ。「今度はちゃんとツアーをしに戻ってくるから」と言ったのを覚えておくからね。

もしかしたらふらっと歩いて出てくるかもしれないと思って、次に観ようと思っていたフォスター・ザ・ピープルを諦めてしばらくうろうろしていたけど、どうやら車に乗って出て行ったようなのでとぼとぼとグリーンに戻る(これも後でガーランドのツイッターを見たら、そのままバンで成田に行って、次のカナダのフェスに出るために翌朝もう出発だったそうだ。すごい強行スケジュール)。

ふう、疲れてきた。もう後はさらっと書こう。グリーンに戻る途中でフォスターの知ってる曲(曲名は覚えてない)が聞こえてきた。基地に戻ろうかとも思ったけど、せっかくなので中途半端に前の方で観ることにした。せっかく折りたたみ椅子持ち歩いてるから、座って観よう。

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でも、そこから先はあまり知ってる曲が出てこなくて、いいライヴだったけど半分で残念な感じで基地に戻る。お腹すいたね、ということで、みんなでオアシス行って牛スジ丼を食す。うまし。食ってるうちに電気グルーヴが聞こえてきたので基地に戻る。一度ライヴ観てみたかったんだ。

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でも、寝転がって聴く音楽じゃないね。なんか大がかりなセットを組んだステージは遠くてよく見えないし、スクリーンも派手に点滅するステージをずっと映してるだけだから、一緒に観ていた友達はことごとく撃沈してる。なんかの曲からガリガリ君に移るところとかかっこいいなと思ったけど、オーラスの「富士山」は「お待たせしましたー」と言われるほどには僕は待っていなかったので、いまいち盛り上がれず。

グリーントリのフランツにはいまいち興味がなかったので、モーを観にヘヴンに戻ることに。なんか道がやけに混んでる。みんな誰を観に行くんだ? ベースメント・ジャックスにはまだ早いよな。

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昼間通ったときとは打って変わって、ミラーボールとかキラキラ光ってすごく綺麗なボードウォークを歩いているうちに気持ちいいギターソロの音が聞こえてきた。長丁場のモーは座ってみよう。結構ガラガラだし。でも着いたらすぐに15分の休憩に入ってしまった。あれ? 3時間のライヴの1時間終わったところでもう休憩?

というわけで第二部からのモー。うーん、長いギターソロとかすごく気持ちいいんだけど、やっぱりどうしてもフィッシュと比べてしまうから、曲自体の出来がもうひとつかな。これまであんまり聴いたことなくて、今回聴いてみてよかったらアルバム揃えようかなと思ってたけど、どうもそこまでじゃないかな。

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というわけでずっと座ってるだけでも疲れてきたので、またみんなに合流しようとグリーンに戻ることにした。ところが、途中そこを通らないといけない作りになっているホワイトステージが、ベースメント・ジャックスの客で通れない。満員電車の中をじりじりと歩いているような感じで、何十分もかけてようやく抜ける。もうちょっとルート作り考えてよ。

ようやくグリーンにたどりついたら、もうフランツ・フェルディナンドが終わるところ。基地の撤収をちょこっと手伝って、みんなでぞろぞろとバスに戻る。フランツが終わったところだからもっと大混雑かと思ってたら、道を歩いてるのはほんの数十名で拍子抜け。みんなまだベースメント・ジャックス観てるのかな。

結局、一日中ボコボコ音言わせながら長靴はいてたけど雨は一滴も降らず。両腕だけが真っ黒に日焼け(これを書いている今はもうボロボロに皮がむけてるけど)。疲労度が去年と全然違うのは天候のせいか、それともほとんど座るか寝転がって観ていたせいか。でも、あと2日同じことを繰り返せと言われても、ちょっとその気力はないなあ。最終日のボーグスとか観てみたかったけど。

来年もまた一日だけ行こう。どうか、僕の観たいアーティストが沢山来ていろんな日にばらけませんように。
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2014年07月13日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 2

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梅雨の合間のものすごい晴天だったんだ、一日中この日は。真夏みたいに。なのに、新宿でちょっとタワーに寄って、マイク・オールドフィールドの『Crises』の旧規格盤が安く出ていればオリジナルを持っていないと言っていたタマスへのお土産に買っていこうなんて思ったのが運の尽き。

結局、高い『Crises』デラックスエディションかスペクトラムからの安っぽいベスト盤しか「Moonlight Shadow」の入っているアルバムはなく、それなら今度自分で選曲してあげた方がマシと思って、何も買わずに開場時刻にちょうど間に合う時間に山手線に乗って原宿駅に着いたら、ホームから階段から改札までものすごい人混み。外は滝のような雨。誰もが改札を出たところで立ち止まってしまっていて誰一人身動きができないような状態になってしまっている。

それでもなんとか人をかき分けて改札を抜け、土砂降りの雨を浴びながら信号を渡る。でもどこにも雨宿りができるような場所がない。しょうがないからもう行ってしまおう。一緒に行った友達が折りたたみの傘を分けてくれたんだけど、そんな小さな傘だと二人の頭部を濡らさないようにするのが限界。全身ずぶ濡れ、脛ぐらいまでの深い川のようになった竹下通りをじゃぶじゃぶと進んだ靴は中まで完全に水浸しの状態でようやく会場のVacantにたどり着いた。

前回(2011年)と違ってこの日は、前の方の席にも小さな箱のようなベンチが置いてあり、靴を脱ぐ必要はなかったんだけど、僕は水浸しの靴を脱いで、その日は終演までずっと裸足で過ごした。ああ気持ちいい。外に靴下を絞りに行ったら、もう雨が上がってるよ。ほんの30分ぐらいの夕立だったの? ああいうのをゲリラ豪雨っていうのか。なんというタイミングの悪さ。あのタワーでの30分ほどが裏目に出てしまった。

そんな酷い天気でも、ほとんどのお客さんは定時に会場入りしていて、大きく開演時間をずらすことなく、前座のクリス・リンチのセットが始まった。この日は最初の2日間同様にクリスがステージ右側。いつも置いてあったピアノはなく、ステージ左側にキーボード。ドラムキットは前日と同じ、バスドラがやけに小さい3点セット。

クリスのセットは福岡とは曲順が違っていたけど、演奏した曲自体は確か同じだったはず。全部で5曲だったかな。1曲目の「Church Steeples & Spires」(福岡での2曲目)がカントリーぽいメロディーと曲調で、これまでのブロークン・フライトのイメージとは大きく違うのが印象的だった。終演後にもブロンがクリスに「あのカントリーっぽい曲いいね」と言っていたな。

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最終日のオープニングは「I’m Sorry That The Kitchen Is On Fire」、そして「England Had A Queen」と続いた。これは初日の福岡公演のセットリストそのままで来るのかなと思った矢先、従弟がバイク事故で骨折したエピソードを話し始め(あの話を聞くのは初めてだったと思う)、「その実話に基づいて書いたんだ」と、「Broken By The Rise」を演奏。これ聴くのはずいぶん久しぶりな気がする(調べてみたら、僕がこの曲を最後に聴いたのは、2010年のシンガポール公演だった)。

続けて、これも今回のツアー初披露となる「Fire Balloons」。僕だけでなく、前日の光明寺で久々に再会したファンの方や、ブロンまでもがこの曲を演ってほしいとタマスにリクエストし続けてきた甲斐があって、ようやくこの最終日に演奏してくれた。というか、僕はこれを数あるタマス・ウェルズの曲の中でも名曲中の名曲だと思ってるんだけど、それが本人にとっては下手すると歌詞を忘れてしまう程度の扱いだということが信じられないんだけど。終演後タマスが僕に「ほら、今日は歌ってあげたでしょ」とニコニコしながら言ってくれたのが忘れられない。

その後のセットはほぼ福岡公演と同様だったんだけど、途中のソロコーナーではこれも今回初となった「Open The Blinds」や、前日の咄嗟のアンコールで急に思い出したのか「Opportunity Fair」を演奏。今回のツアーでのアンコール定番「Lichen And Bees」も早々に出たから、聴いていた限りではセットリストの印象はどの日ともえらく違った。

どこから聞こえてくるのか、おそらく屋根にたまった水がぽつん、ぽつんと、結構大きな音で延々と鳴っていたのが気になった。曲と合わないメトロノームがずっと鳴っているようなもんだから、きっと演奏してる方はもっと気になったことだろう。たぶん、ライヴの中盤ぐらいまでずっと鳴ってたんじゃないかな。タマスも「あれはスペシャルエフェクトだ。楽しんでもらえたらいいけど」なんて冗談めかして言ってたね。

「エスキモーの子どもが誤って友達を殺してしまうストーリーの映画を見て」と話しだしたはいいけど、タマス自身はその映画のタイトルを覚えておらず、「誰か知らない?」とお客さんやメンバーに訊いてみるけどそれだけのヒントでわかるだけの映画通もいなかったようで、そういうどこにも行き着かない話をつい始めてしまうのがいかにもタマス。後でブロンに「あの映画って一緒に観たの?」と聞くと「知らない。きっとマイナーな映画ばかりやってるケーブル局で観たんでしょ」だって。タマス、それは誰にもわからないよ。

「Draper Street」や「Signs I Can’t Read」など、ネイサンがアイパッドとシンセを使って効果音を奏でる曲では、アンソニーがネイサンの隣に行って操作を手伝っていた。アンソニーの本職が実は大学の偉い教授で、ネイサンもアンソニーと一緒に働いているという話を聞いていたので、こと演奏に関してはこうしてネイサンがアンソニーにあれこれ指示を出しているのが、きっと彼らの大学の生徒が見たら不思議な光景なんだろうなとちょっと可笑しくなった(山崎シゲルと部長を連想)。

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今回のツアーでのハイライトだと思っていたその「Signs I Can’t Read」に続けての「Melon Street Book Club」がなかったのが少し期待外れだったけど、後でタマスにそう言うと「セトリ変えろと言ったのは君だろう」と。はい、たしかにそのとおりですね。

本編最後は解説付きの「Valder Fields」と、口笛指導付きの「A Riddle」。そういえば、「Valder Fields」をこうしてライヴ終盤の重要な場所に位置づけたのも今回のツアーが最初じゃなかったっけ。だいたいいつも中盤にぽつんと歌って何事もなかったかのように残りのライヴを続けてたもんだけど、ようやくお客さんがこの曲を一番聴きたがってるというのに気づいたのかな。

アンコールには何を持ってくるんだろうと思っていたら、まずは「True Believers」、そしてメンバー紹介の際にまたアンソニーがいないという定番ジョークみたいなのを挟み、本来のアンコール定番「For The Aperture」。そこで一旦メンバーが退き、さあ昨日同様もう一回最後のアンコールを演ってくれるかなと思っていたら、あっという間に客電が点いてしまった。うー、残念。後で床に置いてあったセトリを見てみたら、ちゃんとそこには「Grace And Seraphim」と書いてあったから、なおのこと残念。

ニューアルバムのジャケットにサインをもらう(本当はこの日にもらったんじゃないんだけど)。「またずっと一緒に居ることができて嬉しい」と、あの綺麗なジャケいっぱいに銀色のペンで書いてくれた。こちらこそ、こんなに長い時間を共有できて、ほんとうに嬉しいよ。でもそのジャケをすぐにビニール袋に入れてしまって、せっかくのサインを滲ませてしまうどんくさい僕。

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アンソニーに「ずっと前に話してた、制作中だというソロアルバムはどうなったの?」と聞くと、「1年半ほど前にいくつか録音はしたんだけど、そこからなかなか進まなくてね」と。「じゃあ、もしそれが完成して、地元でお披露目ライヴをやるってことになったら、メルボルンまで観に行くから」と言ったら、タマス達も(半分冗談めかして)それはいいと。でも、もしそんなことになったら、無理やりにでもタマスにも同日にライヴ企画してもらうからね。さて、次はいよいよメルボルンでタマスのライヴを観るのを実現できるかな。


Tamas Wells Setlist 29 June 2014 @ Vacant Harajuku, Tokyo

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. Broken By The Rise
4. Fire Balloons
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Open The Blinds
11. Opportunity Fair
12. Never Going To Read Your Mind
13. Lichen And Bees
14. Vendredi
15. The Treason At Henderson's Pier
16. Signs I Can't Read
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. True Believers
2. For The Aperture
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2014年07月06日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 1

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東京初日。当初予定していた富士見が丘教会から急遽変更になった会場の光明寺は、六本木のすぐ近くにこんな閑静な場所があるのかと思うほどの、都会の中のエアポケットみたいな空間だった。直前での場所探しにsinさんが苦労してたのは知ってたけど、よくもまあこんな場所を見つけてきたものだ。

朝10時にポートライナーの三ノ宮駅で懐かしい人と待ち合わせ、その人と一緒に、思いのほか混んでいた新幹線と山手線・地下鉄を乗り継いで神谷町へ。初日の福岡からしとしとと降り続いてる雨がなかなか止まないね。まあ、荷物も少ないし、傘をさすほどの雨でもないから別に気にならないけど。

会場は、お寺。わかってはいたものの、本当にお寺だ。奥の方には仏様の頭が置いてあったりする。ブロンがしきりに言ってたけど、敬虔な仏教徒の多いミャンマーなら、仏様に背を向けて演奏するなんてあり得ないセッティング。この日から参加するアンソニー・フランシスのために、これまでの二日間とは違って右手にピアノ、左手にキーボードを設置。タマスとクリスの立ち位置もいつもとは逆だ。

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前座は前日と同様、n. markことネイサン・コリンズ。曲名は全然わからないけど、多分前日と同じ曲目。最後の曲でクリス・リンチが出てきてアンビエントなギターを添えるところも同じ。ついでに言うとすごくよかったのにやっぱり途中で眠くなってしまったのも同じだった。ところで、確かn. mark名義の音源が4-5曲ほどサウンドクラウドに上がってたと記憶していたのに、いくら探しても見当たらない。こんな検索しづらい名前にしないでほしいよ。

さっぱりと髭を剃って髪の毛も短くしたアンソニーを含めた4人編成で登場。オープニングは「Vendredi」。また今日もセトリ変えてくれるんだ。クリスの弾くこの曲のピアノのフレーズ、ごく簡単なものなのに、微妙なタメというかタイミングがアンソニーやキムとはまた違ってすごくいい。連日同じようなセットで同じようなコメントばかりで恐縮だけど、ほんとにこの人が参加したことでこのバンドの音の幅というか余裕が格段に広がった気がする。

2曲目はクリスがギター、代わってアンソニーがピアノに座り、「The Northern Lights」。ピアノソロで早速心配していたミスタッチが・・・ むう、この先大丈夫かな。このライヴ中はもう絶対彼のことを見てプレッシャーかけるようなことはしないでおこう(事実、僕はまた彼の近くに座ってしまっていたんだけど、お互いもうわかってるから、登場以来すでに一切お互い目を合わせていない)。

彼が参加していないニューアルバムからの曲では、アンソニーはおとなしく下がって、ピアノの裏の方で体育座りしたり楽屋の方に引っ込んだりしていた。一度、どの曲のときだったか、タマスが突然「皆さん、キーボードのアンソニー・フランシスです」と紹介したら、その場にいなかったということがあったね。あれはわざとなのか。お笑い要員フランシス教授。

ネイサンがいつものようにアイパッドで音を操作していたら、タマスが曲間の紹介で「中国ツアーのときに彼がああいう風にしていたら、終演後にお客さんにどうしてライヴ中にメールしてるんだって聞かれてたよ」だって。まあ確かにドラマーがいきなりドラムも叩かずにうつむいてタブレット覗き込んでたらそう思ってもおかしくないかも。

「数年前に(ちなみにタマスはどんな昔の話でも「A few years ago」と言うね)駐車場というロマンティックな場所である女性にプロポーズしたら、『わからない』って返事だったんだ。そのときの経験を基にして書いた曲」といいながら「Benedict Island Pt. One」を演奏。プロポーズの結果はうまくいったと話してたからもちろんブロンのことなんだけど、今回この話をブロンとするのを忘れてたな。

ちょっと「あれ?」と思ったのが、お寺で演奏する話からミャンマーのお寺の話になって、「次の曲はミャンマーで書いたんだ」と言って「True Believers」を演奏したこと。あの曲って日本で書いたって言ってたよね。終演後に早速タマスに聞いてみたら、最初にメロディーを思いついたのが日本ツアーのときで、歌詞を書き上げたのがミャンマーに戻ってからという話。ちなみに前回の記事に書いた、キビダンゴ事件とこの曲を書いた時期はまったく別だったそうだ。たまたま前日この曲を演奏する前にキビダンゴの話をしただけだって。

今回のツアーでのハイライトのひとつである「Signs I Can’t Read」から「Melon Street Book Club」へのメドレー、最初の2日間よりも「Melon Street」を始める前にタマスがやけにじらしてたような気がする。あれはアドリブだったのかな。それにしても、自分が作曲したこの曲をタマスがライヴで弾くのを聞くのはどういう気持ちだったんだろう、フランシス教授。

「僕はお好み焼きが大好きで、日本に来たらいつも食べるんだ。でも今回は、今まで僕には秘密にされていた重要なことを知ってしまった。お好み焼きよりもすごいものを食べさせてもらったんだ。それは、もんじゃ焼き」と笑わせるタマス。僕は大阪人として決してもんじゃがお好み焼きの上だとは思わないけど、もんじゃ焼き好きのオーストラリア人というのも珍しいよね。

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「For The Apperture」みたいな音の厚い曲は、さすがにアンソニーが入ったことで音がよりふくよかになったね。いつもはこの曲ではバンジョーを弾いていたアンソニーはキーボードで参加。最初の「The Northern Lights」での失敗以降は目立ったミスタッチもなく、概ね安心して聞いていられた。ただ、ほかの3人が弾くピアノと違って、ちょっとやっぱりおっかなびっくり弾いてるせいか、アンソニーが弾くときだけはピアノの音が小さかったように思う。

「A Riddle」のときにアンソニーが顔を真っ赤にして照れながらステージ前のマイクのところに立つ。口笛要員だ。いつもタマスが自分でこうやって吹くんだよとお手本を見せる代わりに彼に見本を見せさせて、「でも僕らは口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。口笛要員の立場は・・・

「前回のツアーでは教会で演奏したし、今日はお寺。もしかしたら次回はモスクかな」と笑わせ、そして「最後はマイケル・オールドフィールドの曲」と「Moonlight Shadow」で幕。実は、リハーサルのときにクリスに前日話していたオリジナルを聞かせてあげたんだけど、とても無理と諦められてしまった。でも、もうすっかりクロージングとして定着した感のあるこの曲で、できるだけ凝ったギターを弾いてくれようとはしていたと思う。ありがとうね。

結局、前日のセトリとは1曲目と3曲目が入れ替わって、そこに初日に演った「Benedict Island」を加えただけだったこの日のリスト。アンコールでまずタマスが一人で登場して「Grace And Seraphim」、そこにメンバー全員が加わって「Lichen And Bees」で終了。と思いきや、この日はアンコールの拍手が鳴り止まない。しょうがないのでタマスが再度一人で出てきて、「Opportunity Fair」を歌う。おお、これは今回のツアーでは初。結局、それも含めて全22曲と、今回のツアーでもっとも曲数の多い日となった。

さて、いよいよ明日はこの4日間のツアーの千秋楽。前回の東京公演で使った原宿Vacant。これまでの3日間がとんでもなく異色な場所ばかりだったから普通のハコみたいに思えてしまうけど、あそこも実はかなり気持ちのいい空間なんだよね。さあ、楽しみだ。


Tamas Wells Setlist 28 June 2014 @ Komyoji Kamiya-cho, Tokyo

1. Vendredi
2. The Northern Lights
3. Bandages On The Lawn
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. Benedict Island, Pt. One
8. True Believers
9. The Crime At Edmund Lake
10. Signs I Can't Read
11. Melon Street Book Club
12. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
13. Thirty People Away
14. Never Going To Read Your Mind
15. Valder Fields
16. For The Aperture
17. I Left The Ring On Draper Street
18. A Riddle
19. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
3. Opportunity Fair
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2014年07月04日

Tamas Wells live in Hyogo

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一夜明け、白いご飯に明太子とシラスが乗ったものに牛蒡の天麩羅を添えただけの博多丼なるものを頂いて(日本のご飯は本当においしい)、博多駅で偶然会ったタマス・ウェルズ様ご一行と一緒の新幹線で東へ向かう。会場は、旧グッゲンハイム邸というこれまた古風な洋館。僕が宿を取った三宮から電車でほんの20分足らずの場所なのに、その駅の周りだけがどこか違う時代にタイムスリップしたような錯覚に陥るとても不思議な街に建つ素敵な空間だった。

靴を脱いで中にお邪魔する(ほんとに、他人の家にお邪魔するような感じ)。リビングとダイニングをぶち抜いたような広い部屋の前方に座布団が敷き詰められ、手前側には椅子が20脚ほど並べてある。今日は椅子席でゆっくり観ようかなと思ってたけど、もたもたしてる間に座ろうと思っていた席が早々に埋まってしまったので、いつものとおり前方の座布団席へ。

今日の前座はn. markことネイサン・コリンズ。ステッドファスト・シェパード名義はもうやめたんだって。クラシカルなピアノの弾き語りが30分弱。いや、なめてかかってましたよ僕は、申し訳ないけど。すごくよかった。クラシカルと言っても別にクラシックを演奏するわけではなく、いつもの彼らの音楽(メルボルン・コネクションとかつて僕はここに書いたね)のエッセンスをグランドピアノだけで表現したような感じ。今回のタマスのライヴ、それにこの独奏を聴いて、やっぱりこの人がこの仲間の音楽的な肝なんだと再認識。

単調なフレーズの執拗な反復とそれが徐々に形を変えていくのを観る(聴く)快感。最期の曲ではクリスが入ってアンビエントなフレーズでそれに彩りを添える。正直言って疲れと寝不足で落ちそうになってしまう瞬間もあったけど(後で本人にそう言って謝ったら「ああいう音楽はそういうもんだ」と言ってくれた)、これマジでCD出してほしい。とりあえずサウンドクラウドのやつはDLできるのかな。

そういえば、ネイサンの演奏中に外の庭かどこかから子供の叫ぶ声が聞こえてきて、ふと「Sanctuary Green」みたいと思った。あと、すぐ近くの山陽電車の音がけっこう頻繁に聞こえてくるね。まあそんなに気になるほど大きな音というわけじゃないけど。

休憩後、3人がステージに登場したのが確か8時20分過ぎごろ。楽器の位置は前日と同じ。借り物のドラムキットは当然前日とは違うものだけど編成は同じ。左側にはDiapasonという僕の知らないブランドのグランドピアノ。ネイサンも知らなかったけど、凄くいい音がすると終演後にまたためし弾きして音を確かめていたほど凄いピアノだった。小さく浜松って書いてあったから日本のブランドなんだね。ヤマハと関係あるのかな。

日本に来る前の中国ツアーは四公演とも同じセットだったという話だったから(福岡公演もその同じセット)いくら僕が全部観ることを気にしてくれているとはいえタマスもそう大きく変えてくることはないだろうと思っていたら、オープニングがいきなりニューアルバムからの「Bandages On The Lawn」。ああ、ちゃんとセトリ変えてくれるんだ、嬉しいな。

と思っていたら、間髪入れずに「The Northern Lights」。昨日と全然違うセットだ。その後も、演奏している曲自体はほとんど同じだけど(後でセトリをチェックしたら初日とは2曲が入れ替わってただけ)、受ける印象が前日とは全く違った。

例のキビダンゴを電車に置き忘れた逸話を話しだしたから何を今頃?と思ったら、その話とは何の脈絡もなく「True Believers」を歌い始めた。本人の中では脈絡ないわけでもないのかな。確かこの曲って日本で書いたんだよね。あれがそのキビダンゴ事件のときだったのか。彼の書く歌詞と同じく、皆まで語らず推し量れということなのかもしれないけど、それちょっと難易度高すぎ。まあ、大好きなこの曲を演ってくれたこと自体には何の文句もないけれど。

「For The Aperture」とかいくつかの曲でのクリスの歌伴の演奏が凄い。目立たないけれど結構テクニカルなフレーズを弾いているし、それに加えてエフェクターやボリュームのフェードイン&アウトで、もう僕にとっては何十回も聴いた曲に新たな表情を加えている。今回のライヴでプロデューサー的役割を果たしている(と僕は勝手に想像している)ネイサンとのバッキングは、今のタマス・ウェルズの音楽をライヴで再現するならきっとこうなる、というのをきっちり具現化したような音だった。

部屋に大きな床置きのエアコンは置いてあるけど、たぶん音が邪魔になるせいか、電源が切ってある。なので、これだけの人数が入るとけっこう暑い。それなのに、ときおりふっとそよ風が吹いた気がする瞬間が何度もあった。大好きな曲でタマスが歌い始めた瞬間とかね。演奏後にタマスがギターを下ろしたら、シャツの前の部分が汗でびっしょりになってたね。彼も相当暑かったんだろう。

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前日は吹き抜けの天井がうんと高かったからできなかったようだけど、この日はプロジェクターを使って天井に『On The Volatility Of The Mind』のジャケットとその色違いバージョンを投影していたのが印象的だった。ただでさえ古風な装飾のランプとかが素敵な天井なのに、それにあの不思議な版画が重なったときの一種荘厳な雰囲気はなんともいえない。

「A Riddle」を「ニューアルバムからのシングルカット」と紹介して、「僕は口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。自分で口笛を吹いていると周りの音はよく聞こえないけど、みんなちゃんと吹いてたかな。

それで最後かと思ったら、「次の曲で終わり。マイケル・オールドフィールドの曲」と言って「Moonlight Shadow」を。よっぽど気に入ったんだね、この曲。終演後、クリスに「あの曲のギターソロがいいから、今度演奏してよ。明日ウォークマン持ってきて聞かせてあげるから」と無茶振りしておいた。

アンコールはまずタマス一人で「Grace And Seraphim」。ああこれも嬉しい。ステージ脇で二人がひざまずくように座ってしんみり聴いていたのが印象的だった。そして、二人が参加して前日同様「Lichen And Bees」で締め。

前日の素晴らしかった福岡公演を貶めるつもりは全くないし、福岡で聴いた人をがっかりさせるのが目的ではないけれど、この日は、歌も演奏もセトリもどれを取っても、僕がこれまでに観た11回のタマスのライヴの中でもトップクラスの出来だったと思う。終演後にタマスと話していてそう伝えたらとても嬉しそうにしていた。

でも、「今日のセットリストがそんなによかったなら今回はこれで固定しよう」とタマスが言うのにいやそれは困ると文句をつけたり、僕が「またFire Balloons演らなかったね」とか言ってると、タマスがもう最後に「わかった、明日のセットリストは君に任せるよ」とまで言われてしまった。あのね、僕にそういうこと言うと冗談ではすまないよ、僕の性格もう知ってると思うけど(笑)


Tamas Wells Setlist 27 June 2014 @ Guggenheim House Hyogo

1. Bandages On The Lawn
2. The Northern Lights
3. Vendredi
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. True Believers
8. The Crime At Edmund Lake
9. Signs I Can't Read
10. Melon Street Book Club
11. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
12. Thirty People Away
13. Never Going To Read Your Mind
14. Valder Fields
15. For The Aperture
16. I Left The Ring On Draper Street
17. A Riddle
18. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
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2014年06月30日

Tamas Wells live in Fukuoka

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会場のpapparayrayって変わった名前、なんて思いながら下校途中の高校生をよけつつ閑静な住宅街をしばらく歩いてたどり着いたら、その一画だけ時代を巻き戻したようにうっそうと木が茂った古民家だった。いつもタマスのライヴ会場の選択の妙には感心させられるけど、今回もまたすごいところで演るなあ。

小さな庭を抜けて中に入ると、会場にあたる部分は民家の二階の床をぶち抜いた吹き抜けの広い空間。椅子が70-80脚ぐらい置いてあるな。失礼ながら、福岡にタマスを聴く人なんてどれぐらいいるのか全然見当もつかなかったけど、開場時刻からそう長く経たないうちにあっという間に満員になってしまった。

それほど大きなキャパの会場でもないのに、開場から開演まで1時間もある。赤のグラスワインを飲み干してしまわないように気をつけよう。なにしろここに着く前にちょっと腹ごしらえと思って福岡の地酒を二合ほど腹にしまってきたばかりだから(酒も肴も美味しかった)。

予定時刻の8時を15分ほど回ったところで暗転。オープニングはクリス・リンチ。このブログで7年も前に取り上げたブロークン・フライトの中心人物だ。それ以来時々連絡を取りながら、まだ次のアルバム出さないの?なんて話してたクリスと、7年越しでようやく会うことができた。実は、今回のタマスのツアーに彼が参加することを知ったときに、前座でブロークン・フライトとして演りなよ、なんてけしかけてみたんだけど、それがこうして実現して小さく感無量。

フェンダーのテレキャスターにエフェクター類を8個もつないで、一人であの名盤『On Wings, Under Water』の世界を可能な限り再現。そのアルバムからの曲と聴いたことのないおそらく新曲を合わせた6曲ほどのセットで30分ほどの簡素なセット。これはもう少し聴いていたかったな。せっかくそのアルバムのプロデューサーも一緒なんだから、ネイサンにも参加してもらって「A Strange Love」の神経が麻痺してしまいそうな演奏を10分続けるとか、贅沢な妄想が膨らんでしまう。

十数分の休憩を挟んで(なにしろトイレがひとつしかないから大変)、タマス・ウェルズのセット開始。ネイサンが後ろのドラムキット、クリスがさっき立っていたステージ右側、そしてタマスが正面のマイクの前にマーティンを持って立つ。左側にはアップライトピアノ。ドラムキットのところにもノードやら小さなキーボードやらごちゃごちゃ置いてある。

オープニングの選曲にはかなり意表を突かれた。「Friday」こと「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。いつもならエンディングやアンコールに持ってくることが多いこの曲で開始。その後、過去のアルバムからランダムに演奏(いつもなら最後の方に演奏する「For The Aperture」なんかも3曲目で早々に)。「しばらく前にニューアルバムが出たのでそこから何曲か演るよ」と言って「Bandages On The Lawn」を。

イントロもなく歌いだしたのが「The Northern Lights」。うわ、これは嬉しい。前回のツアーでは歌ってくれなくて、封印でもしたのかと思いきや、単に歌詞を忘れたからという理由だったのが、今回はちゃんと覚えてきたんだね(ちなみにsinさんが「あれyasさんがリクエストしたから覚えてきたの?」と後で訊いたら、「そうだっけ?」という反応だったらしいけど)。

「Thirty People Away」など、曲によっては歌詞の背景を訥々と説明してから歌いはじめる。昔からそうだったけど、どの曲のことを説明するかはそのツアーによって違うみたいだね。初期のツアーでは「Friday」や「Reduced To Clear」、しばらく前のツアーは「Signs I Can't Read」を説明してたけど、今回はこれといくつかの新曲についてだった。

前回のツアー以来すっかりレパートリーに収まった「Moonlight Shadow」。たぶんこの日の若いお客さん達もあれがタマスの新曲だと思って聴いてるんだろうな。オリジナルのドラマティックな展開はないし、歌詞やメロディーもところどころ変えてるけど、やっぱりいい曲だしタマスの声に合ってるよね。

ネイサンは主にブラシで簡素なドラムキット(バスドラ、スネア、シンバル)を叩くほか、脇に置いてあるキーボードやiPadや僕の位置からは見えない何かの機械をしきりにいじって、効果音やループを入れ続ける。クリスもギターのボリュームやエフェクターを駆使してそれに応える。これがあるから今回の音は同じ3人でもいつものタマス・ウェルズ・バンドの演奏とは全然違って聞こえるね。

それが最高潮に達したのが、タマスがピアノを弾きながら歌った「Signs I Can't Read」。ピアノ独奏に、曲のイメージどおりの幽玄なバックグラウンドノイズが覆い被さり、そのノイズの中をタマスがふと手を止め、そしてそのまま「Melon Street Book Club」に続けたところは、ある意味僕にとってこの日のハイライトだった。今思い出しても背中がぞくぞくする。

「人間には二面性があって、理性や意思に支配されたところともっと内面から自然に出てくるところ」と説明を始めたとき、ふーん次は何の曲なんだろ、なんて思ってたら、「そういう自然発生的な領域のことをValder Fieldと呼んでるんだ」と。そして、イントロなしバージョンのこの名曲を。当然ここもこの日のハイライト。ハイライト沢山あって申し訳ないけど。

「最後は新しいシングル曲」(へえ、あれシングルという位置付けだったんだ)。プロモーターの河崎さんをステージに呼んで一緒に口笛を吹いてもらう。いつも華やかにライヴを締める「Friday」や「For The Aperture」を前の方に持っていったのは、今後はこの曲がその位置を取って代わるという意味なのかな。この曲、最後どこで手拍子止めるかタイミング計るのが難しいんだけど(笑)

アンコールは「Lichen And Bees」。なんかもうこういう曲を聴いてると旧友に再会したような気持ちになる。これを最初に聴いたのももう8年前になるのか。いや、それにしても本当に今回は磐石の演奏。今までで一番プロフェッショナルな演奏だと思う。申し訳ないけどアンソニーがいないとここまで演奏が安定するのか(苦笑)

終演後にネイサンとクリスが近寄ってきてくれて(というか僕が近くにいたステージに片付けに来ただけだけど)しばらく歓談。7年前に一度会っただけのブロンまで僕のことを覚えていてくれていて嬉しい。ステッドファスト・シェパードのファーストアルバムと、ブロークン・フライトのファーストとEPを持ってきたので両名にサインをもらう。ファースト『On Wings』はさすがにあの美術品みたいなジャケにサインをするのを僕もクリスもためらったので、EPのみに簡素なサインをもらった。

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プロモーターの河崎さんやスタッフの方々とも少し話をさせてもらった。今回のこの満員のお客さんは必ずしもタマスのファンというわけじゃなく、河崎さん主催のライヴであれば観に来るという常連客が多かったようだ(九州のカフェゴーティみたいなもんだね)。逆に、「今回はいつも見かけないお客様がたくさんいらっしゃってました」なんて言われてしまった。

25年ぶりに訪れた福岡で、1年半ぶりのタマスのライヴ。この四夜連続公演のまずは完璧なスタートだった。例によって終演後にタマスにあれこれリクエストして苦笑いされたけど、残り三日間、少しはセットを変えてきてくれるかな。


Tamas Wells Setlist 26 June 2014 @ Papparayray Fukuoka

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. For The Aperture
4. Bandages On The Lawn
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Benedict Island, Pt. One
11. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
12. Never Going To Read Your Mind
13. Vendredi
14. The Treason At Henderson's Pier
15. Signs I Can't Read
16. Melon Street Book Club
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. Lichen And Bees
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2014年04月06日

Matt The Electrician live in Kamakura 2014 Pt. 2

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一夜明けた大船は霧のような雨が朝から降っていた。雨に濡れながら近所の大型ブックオフを攻略し(運のいいことにこの週末はCD/DVDが10%オフだったからつい8枚も買ってしまった)、開場時刻のちょっと前に鎌倉の行きつけのお店で友達とアルコールを適度に摂取した後、時間通りにゴーティへ。来ているお客さんも半分ぐらいは昨日と同じ顔触れだね。もうしっかり飲んで来たから今日は最初の一杯でやめとこうと思ってたのに、「今日は安くていいワイン入ってるよ」と松本さんに簡単に乗せられてまた一本買い。

本日の前座はWada Mambo、とてもギターのうまいお兄ちゃんだった。前座って当たり外れあるけど、これは聴いてて気持ちよかったね。しきりに「すぐ終わります」とかなんだかえらく腰も低かったし(笑)。帰りにまたCD一枚買ってしまったよ。サインももらって。なんかほかにもたくさんアクセサリー売ってたね。そっちは僕は買わなかったけど。

マットのライヴを観るのはこれで4回目になるけれど、だいたいいつもしっとりとした静かな曲で始めるよね。この日は奇しくも僕が前回富士で観たときと同じく「The Last Ones Left」で開始。続く「Accidental Thief」のときに、床に置いてあった僕のワイングラスを後ろの席の人が間違って倒してしまうというちょっとしたアクシデントが。曲が終わったときに松本さんが雑巾を持って拭きにきてくれたんだけど、その間を埋めるためにマットがなにやら即興でバンブルビーの曲を延々歌っていたのがおかしくて。

前日、松本さんにカバー曲多すぎと言われたためか、この日は自作曲を淡々と続ける。前半も半分を超えた頃だったろうか、「これまでのところ昨日とは全然かぶってないだろう?」と、なぜか僕の顔を見て訊かれる。セトリもないし適当に歌ってるように見えて、一応曲順とか考えながらやってるのかな。でもそのあと、「ここで1曲、昨日も演った曲を。ごめんなさい」と。別に謝る必要なんてないのに。

それが、前日はレベッカがコーラスをつけていた「Osaka In The Rain」だったんだけど、なんとこの日は自発的にお客さんが一緒に歌いだすという展開に。嬉しそうなマット。途中からはコーラス部分はお客さんだけに歌わせてた。

卒業生代表の女の子がスピーチのときに服を脱いでしまったというのが実話だと紹介しながら始めた「Valedictorian」。これを前に演奏した江津では高校生の女の子が3人観に来ていたけど、この曲を聴いて服を脱いでしまうほどには触発されなかったよ、と冗談を。後ろに座っていた外国人の女性客が日本語でValedictorianの意味を説明してくれていたね。そういえば前日もこの日も、マットのライヴになるとゴーティは結構外国人のお客さんが多い気がする。

前半にはほかに僕が前日にリクエストした「College」も演奏してくれたな。ほかにはこれも一昨年の富士で演ったアーロン・リー・タスジャンの「Summer Of Legs」とか。そして、前半最後は昔ファンだったというキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で締め。

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後半はこれもまた地味に「Arkansas」でスタート。数曲演ったところで、「リクエストされたのでこれを。覚えているかどうかわからないけど」と、「Permanent Record」を歌い始めた。やった、これも僕のリクエストだ(というか、たぶん他にわざわざリクエストしてた人はいなかったように思う)。

ところが、サビのところまで来ると「ランランラララララー♪」とまたしても歌詞忘れ。「たしかこんなメロディーだったよな」と。えー、一昨年リクエストしたときは普通に歌ってたのに。しばらくそのまま同じコードを弾きながら歌詞を思い出そうとして、でも諦めて僕に「コーラスの歌詞わかる?」と。「I saved every little thing」と歌ってあげると、ああそうだったとばかりに残りのサビ部分を歌う。で、二番に移るとまた歌詞が出てこない。うわー、もうその目でこっちを見るのをやめてくれー。俺が悪かった。

結局この日も松本さんが携帯に歌詞を検索して持ってきてくれたので残りは無事に終了。次回からはリクエストしたい曲は自分で歌詞を覚えてくること、というのが今回の一番の教訓。

次の「The Kids」もちょっと歌詞が危うい。でもそれは僕のリクエストじゃないからね、僕のせいじゃないよ。なんとかつっかえつつ歌っていたそのとき、今度は僕の前に座っていた人が誤ってワイングラスを倒してしまい、「このあたりは呪われているんだ」とマットが僕の方を指をさす。うむ、そうかもしれない。なんかこれからも僕の顔を見るたびに歌詞を度忘れしそうで嫌だな。

これも僕がリクエストした「I Wish You Didn't Feel Like My Home」に続け、休憩時間中に他のお客さんがリクエストをしていたのを見ていた「I Will Do The Breathing」を、「この曲は昨日演ったんだけど、リクエストされたから」と演奏。いや、こんないい曲は別に連日歌ってくれて全然かまわないから。誰も気にしないから。

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終盤、Wada Mamboを呼んでギターを弾いてもらう。前日も演奏した「Lullaby Of Birldand」のカバーに続いて、ポリースの「Bring On The Night」。ああこれは嬉しい。かっこいい。さらに続けて二人で演奏した「Train」で幕かと思いきや、最後はまたしっとりと「You And I」で終了。アルバム最後の静かな曲でコンサートを終えることの多い人だね。

アンコール1曲目は珍しい「Divided By 13」。そして、前日リクエストしたけどやっぱり演ってくれなかったなと思っていた「Facebook Friend」をここにきて演奏。やった。歌詞もちゃんと覚えてたし、安心して聴けたよ。

これで終わりかと思いきや、まだ鳴り止まないアンコールの拍手に応えて「Rocky Raccoon」、さらに「Hold On」で幕。こんなにたくさんアンコール演ってくれるなんて。

終了後はまた表で雑談しつつ、最新盤にもサインをもらう。前日の『Baseball Song』には「Play Ball」と寄せ書きしてあったけど、スケートボードを持ったジャケのこのアルバムには「Skate On」と。

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ずっと話してたかったけど、マットもお疲れだろうし、僕も翌朝の便で帰国してそのまま会社行かないといけなかったから、「また来年」とゴーティを後にした。8年目、8回目の来日では今度はどんな日本語を覚えてくるかな。
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2014年03月31日

Matt The Electrician live in Kamakura 2014 Pt. 1

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飛行機の車輪がドン!と着地してから成田空港の手荷物検査を通り抜けるまでわずか20分。たぶん自己最短記録だ。なんとか15時14分発のNEXに乗らないと、18時の開場時刻に間に合わなくなってしまう。

前の週に別件で東京に来ていたときには3月とは思えないほどの寒さだったのに、この日はまた3月とは思えないほどの陽気で、大急ぎでNEXの座席にたどり着いたときには1枚しか着ていなかったシャツの下に汗がにじむほどだった。でもこれで、2時間ほど座っているだけで大船まで乗り換えなし。東京からだとやたら遠いが、海外からのアクセスは意外に便利なカフェゴーティ。

急いで駆けつけたものの、開場から開演まで1時間もあったから、いつか食べてみたいと思っていたゴーティのカレーを食べて(おいしかった)、外の階段のところに座って一服していたマットに話しかける。最初に階段に並んでいた僕の顔を見たときに手を上げて挨拶してくれたからきっと顔は覚えていてくれたんだと思うけど、今日もマニラから着いたばかりという話をしたら嬉しそうにしてくれた。しばらく話したついでに、また例によってリクエストをいくつかお願いしておいた。

11日間で9都市・10公演というハードなツアーの終盤にあたる鎌倉ゴーティ2デイズの初日。マットが新譜をプロデュースしたという同郷のレベッカ・ロービが30分ほどの前座を務め、19時45分ぐらいにいよいよマットが登場。いつもお馴染みの赤と黒のチェックのシャツ(今回のツアーには同じのを10着持ってきたらしい)。上に載せた最近のアー写よりもずいぶん髪の毛が伸びている。髭はいつもどおり。

レベッカが使っていたのよりも小振りなサイズのギターを抱えて(ヘッドのところにMみたいなロゴがあったけど、あれはどこのメーカーなんだろう)、一曲目は新作のタイトル曲「It's A Beacon It's A Bell」。一昨年のライヴでもこれを新曲として既に演奏していたけど、もう8枚目にもなるアルバムにまだこんなに新鮮な(でもすごく彼らしい)メロディーの曲が入っているのがすごく嬉しい。4枚目のスタジオアルバムがなかなか出せないでいるゴーティお馴染みの某アーティストにも見習ってもらいたいものだ。

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2曲目に「I Will Do The Breathing」というのは一昨年の富士でのライブと同じ構成(今年の富士公演も観た友達によると、そのときもこの最初の2曲は同じだったらしい)。それを終えたところで、「今日来ているお客さんのうちの大勢はきっと明日も来てくれるだろうから、できるだけ違う曲を演るようにするよ」と。それは嬉しい。こういうのがあるからこの人の(あとボジアやグレンも)ライヴには連日で足を運んでしまうんだよね。

日本語で「オバケ」と連発しながら、次の「Ghost Story」を演奏。ゴーティのピアノの上に並んでいる山羊のぬいぐるみを指差して「ほらそこにもオバケが。…ゴーツ」と冗談も交えて。7年間の7回の来日で7つの日本語を覚えたという話をしながら、「ありがとう、こんにちは、サルのオバケ。なんて変な文章だ」と笑わせる。

バンジョレレに持ち替えた「Osaka In The Rain」のときにレベッカを呼んでコーラスをさせる。とても歌の上手な彼女だけど、こういうのを聴くと余計にシーラのコーラスで観たいと思ってしまうよ。「これは7年前に大阪に行ったときに書いた曲。歌詞にあるように奥さんをいつか日本に連れてきたいと思っているんだけど、彼女は怖がって来たがらないんだ」と。理由ははぐらかしてたけど、きっと原発事故のこととかが後を引いているのかな。

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前半最後の「Milo」に入る前にサバイバーの「Eye Of The Tiger」のイントロを弾き始め、「いやこれじゃない」と中断。前日の静岡ではレッド・ゼッペリンの「Good Times Bad Times」を演ったというから、てっきりこれもありかと思ったけど。

「Milo」にはいつものようにポール・サイモン・メドレーを挟む。「Diamonds On The Soles Of Her Shoes」は定番だけど、この日は「You Can Call Me Al」をつなげてた。そのあと、「これは皆で歌って」といきなり振るからなにかと思いきや、「Happy Birthday」。どうやら最前列のお客さんがこの日誕生日だったようだ。たしか一昨年の富士でも同じようにやってたな。

休憩を挟んで後半1曲目は「One Thing Right」。そして、「10年前に酒は止めたんだ」と「Change The Subject」を。僕がリクエストしたうちの一曲だ。アルバムバージョンじゃなくてライヴ盤の速いやつを、と。10年前って、アルバムの写真を見る限りは、あのものすごい髭を伸ばし始めた頃だよね。もしかしたらその頃にイスラムに改宗でもしたのかな。

その後も「この曲は長いこと演ってない」とか言いながら僕のリクエストした「These Boots」とか「For Angela」とか演奏してくれた。ところが、わざわざ松本さんに曲の解説をさせて始めた後者の途中、「my car is not American made」という箇所でアドリブで「ホンダ、スゴイ」とか言ったもんだから、続きの歌詞がスコンと頭から抜けてしまった。「あれ?なんだっけ」と必死に思い出そうとするものの全然出てこず、何名かのお客さんがその直前の歌詞のヒントをいくつか投げかけても駄目。最初に戻って早送りで歌いだしたけどまたその箇所でつっかえる。焦った表情で僕のことを見るんだけど、ごめん、リクエストしたものの僕も歌詞出てこないよ。

結局松本さんが携帯で検索した歌詞を持って助け舟。その箇所さえ思い出せれば後はすらすら出てきたから後半は問題なかったけど、なんかリクエストして逆に悪いことしてしまったな。大好きな曲なのに、今やCDでこれを聴くとあのときのマットの焦った顔ばかりを思い出してしまう。

この日の後半はアンコールも含めて、松本さんが「もっと自分の曲演ってよ」とリクエストしたほどカバー曲が多かった。一昨年の富士でも演ったメルヴァーン・テイラーの「Sad And Blue」とか。あと僕は知らなかったけど友達に後で教えてもらったマイケル・ペンの「No Myth」とか。

アンコールのラストは「Love On The Moon」で静かに終了。開演前に僕が『Made For Working』が好きだという話をしていたせいか、あのアルバムからの曲が比較的多かったような気がする。トム・フロインドの家に呼ばれて朝っぱらから彼の娘のために「Diaryland」を歌わされたという逸話付きでその曲も演ったし。

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終演後は外の階段のところでひとしきり雑談。『Baseball Song』と『Long Way Home』にサインをしてもらうときに「この辺のCDは僕も持っていないんだよ」とびっくりした顔で見られる。そういうものなのか。僕が「あと『Home』だけ持ってないんだ。ダウンロードでしか見かけたことないから」と言うと、「うん、僕もダウンロードしたよ」だって。あんまり音質とか気にしないんだね。LPも出すつもりはないみたいだし。

あとは、4枚売っていたレベッカのCDのうち、マットがプロデュースしたやつを買って彼女にもサインをもらう。ついでにそこにあったメーリングリストにもアドレスを書いてきた。彼女と、一緒に来日してたけどその日は歌わなかったリンジー(二人ともThe Voice出身らしい)に手を振って、マットに「また明日ね」と、やたら暖かかった昼間とはうって変わってえらく寒くなった小町通りを鎌倉駅に向かった。

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2013年11月17日

Neal Casal & Bruce Hughes live in Kamakura

また運よく東京出張の日程にちょうど重なった、ニール・カサールとブルース・ヒューズのライヴ。ニールはこの日が日本公演最終日で翌日には帰国、ブルースは来日したばかりでこれから日本各地を回ることになるという、ちょうどこの夜、このタイミングでしか実現できなかった組み合わせ。一昨年のジム・ボジアとスクラッピー/ブルース/マット以来の夢の競演だ。

僕はニールのアルバムは近作を3枚持っていただけで、この来日に合わせて予習用に数枚買い足したばかり。知ってる曲は聴けばわかるけど、タイトルや歌詞を覚えるほどには聴き込めていない。ブルースにいたっては、リゼントメンツのCDを何枚か持っているけど、こちらも予習用にソロアルバムを一枚先月聴いただけ。そんな程度の乏しい知識でどれだけ楽しめるかわからなかったけど、こんなのを観られる機会はもしかしたら二度とないだろうと、東京での会議を早々に切り上げ、鎌倉に向かった。

友達に一緒に取ってもらったチケットは比較的いい整理番号だったけど、そんなにわかファンのおっさんが一番前に陣取るのもはばかられたので、正面二列目のベンチシートを確保(ゆったりもたれて座ってられるというのがもっと大きな理由)。周りは見知った顔ばかり。「どうせおかわりするんでしょ?ボトルの方がいいんじゃない?」との松本さんの誘惑に抗えず、赤ワインのボトルを入れて小さく乾杯。

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開演予定の19時半を15分ほど過ぎたところで、物販スペース(?)あたりで知り合いのお客さんたちと話していた二人がようやく楽器のところに来る。ブルースが右側に座り、くすんだ白のフェンダー・プレジションと、ギルドのアコギ。左側のピアノ前のニールは赤いギブソンES339と同じくギブソンのアコギ。まず一曲目は、二人ともアクースティックでブルースの曲から。

一曲ごとにそれぞれの持ち歌を歌い、その都度二人とも楽器を持ち換える。今までこの二人でデュオで演奏したことはなく、この日初めて会ってお互いの曲を覚えないといけなかったなんてとても思えないほど見事に息の合った演奏。もちろん二人とも優秀なセッションマンだから他人の曲に合わせて弾くのはお手のものなんだろうけど、単にスリーコードの曲とかをジャムセッションするのとはわけが違うからね。コーラスも綺麗にハモってるし。すごいや。

当然といえば当然なんだけど、ニールのエレキとブルースのベースという組み合わせが、やっぱり一番しっくりくる。連綿と続くギターソロの繊細なフレーズもよかったけど、なんといってもブルースのベースライン。決して凄いテクニックを使ってるわけじゃないのに、この箇所はこういう音が鳴っていれば気持ちいいなという音をぜんぶ的確に当ててきたり、へえここにこんなフレーズを入れるんだと新鮮な驚きを与えてくれたり、実に雄弁。松本さんがどこかに書いてたけど、本当にまるでベースが歌っているみたい。

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曲自体とヴォーカルは僕はどちらかというとニールの方が好きかな。前半でさっさと披露してしまった「You Don't See Me Crying」(一緒に観ていたN君の生涯ベスト20のうちの一曲だったはず)とかを聴いていると、なんで僕はこの人のアルバムをまだ全部集めていないんだろうと思ってしまう。ライヴ中にブルースも言ってたけど、とても沢山のアルバムを出しているから(客演盤まで入れたらきっと数え切れないほどだろう)、これから気長に揃えていかないと。

なんて思いながら聴いていたけど、本編第二部の最後に演奏したブルースの「People Ask Me」が僕にとってのこの日のハイライト。二年前の横浜のライヴで聴いて知っていた好きな曲だというのもあるけど、途中スローなヴォーカルだけになる部分でニールがソロを入れようとするのを手で制し、その後のギターソロに入るところで「そらここだ、思う存分弾いてくれ」とばかりに場をコントロールするブルース。そしてそれに応えて最高のソロを奏でるニール。確かニールが長いソロを終えようとしたところでブルースが「もうちょっと」と催促してたね。同感。あんなに気持ちいいソロ、終わってほしくなかったもの。

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30分ほどの休憩を挟んだ本編とアンコール1曲で、全部終わったときはもう22時半を回っていたはず。N君は某県までその日中に帰るのをもうとっくに諦めてるし、僕の左右のベンチシート組も二本目のワインボトルを綺麗に空にしたぐらいの長時間ライヴ。きっと、二人の曲のオリジナルバージョンをよく知っていればもっと細かい楽しみ方ができただろうなというのはよくわかるけど、こんなにほとんど何も知らない状態で挑んで、こんなに楽しめたライヴも久し振りだ。

終演後は例によって演者観客入り混じって談笑しているところを、ニールには持参した『Return In Kind』、ブルースにはその場で購入した新譜『Trapdoor』にサインをもらう。ブルースは丁寧に名前も聞いて書いてくれたし、“Keep It Real”ってメッセージも入れてくれた。「この新譜からは今日どの曲を演奏した?」と聞いたら、「1〜3曲目と、あとこれ」と確か5曲目の「Fearless」だって。

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そのブルースの新譜に加えて、取り置きしてもらっていたティム・イーストンの新譜LPとマット・ジ・エレクトリシャンの新譜CD(最近ハイレゾ音源とかに目覚め始めてしまって、どうもCDの音質だと物足りなくなってきてしまった。みんなLP出してくれればいいのに)を購入。ゴーティにはなかなか来られないから、少しでもお金落として行かないと。もうこんな素敵なライヴが観れなくなってしまうと困るからね(笑)。マットのは開演前にBGMで流れてたけど、すごくよさそうだったよ。これから帰って聴くのが楽しみ。

酔いも手伝って帰りの道中きっとしつこいぐらいに友達に言ってたのは、音楽が好きでいて本当によかったと思える瞬間があるよねってこと。ちょうど日本的にはとてつもなく盛り上がっている元ビートルズの11年振りの来日公演を観てもきっと同じように思うんだろうけど(僕の出張タイミングさえ合えばもちろん観に行きたかったんだけど)、その大興行の裏番組でひっそりとこんな贅沢な夜があったことは、ポールのライヴを観た人口の何千分の一の僕たちだけしか知らない。こういう音楽が好きでいて、本当によかった。
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2013年09月22日

Graham Parker live in Tokyo Pt.3

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さあ、いよいよ最終公演。前日よりもいい整理番号だったけど、前日と同じ四人掛けテーブルの同じ席に着席。友達と二人だったのに、それぞれの隣の席に鞄を置いていいですよと言われた。そうか、どうも自由席スカスカだと思ったら、あまり売れてない公演はこうやってあまり相席にならないようにするんだね。こっちは広々観られていいんだけど、演ってる方はどうなんだろう。

大貫憲章DJも前日とよく似た選曲。前日はあまりしゃべらなかったのが、この日は開演直前になって「盛り上がってくれた方が本人も喜びますので」とのコメント。ああ、やっぱり前日とかさっきのファーストセットとか、客席の反応が薄いことを気にしてたのかな、GP。せっかく前の方にいるから、ちょっと盛り上がってやろうか。

定刻どおり、前日セカンドセットとほぼ同じいでたちで登場。あれ、1曲目は前日と同じ「Watch The Moon Come Down」だ。そして、2曲目もこれまた前日と同じ「Over The Border (To America)」。まさか、昨日と同じセトリ? そんなことはしないよね。

と思っていたら、そこから「ファーストアルバムの曲をいくつか演ろう」と、「Nothing's Gonna Pull Us Apart」、「Silly Thing」と続ける。ああよかった。こうでないと、複数回観に来てる意味がないよ(いちおう「Silly Thing」の歌詞にちょっとだけ掛けてます)。

今回3公演聴いて思ったのが、ディランほどではないけどこの人も結構オリジナルのメロディーを崩して歌うようになったなと。オリジナルでは全然違うメロディーとアレンジの曲が、どれもこれもかなり似かよった感じで演奏されているから、もしオリジナルを知らない人が聴いたら、なんだか一本調子に聴こえてしまうんじゃないかなと勝手に心配してしまう。

おや?と思ったのが、『Deepcut To Nowhere』からの「High Horse」を演奏する前に、「この曲は俺のお気に入りの1991年の『Struck By Lightning』から」と説明したこと。いつもどの曲がどのアルバムからか正確に覚えてるGPにしては珍しいミス、と思ったけど、もしかしたらこの曲、本当は『Struck』のために書かれたのがボツになって、10年後の『Deepcut』で日の目を見たということなのか。それで本人の頭の中では91年の曲として記憶されてるとか。

「『Imaginary Television』はその名のとおり架空の物語ばかりで作ったアルバムだ。そこから、日本人のスノーボーダーを題材にした曲を演ろう」と、「Snowgun」を。ああそれ、そういう歌詞の曲だったんだね。あのアルバムはちょっと深く追っかけるのをさぼってるからな。ちゃんと歌詞探して聴こう。「俺はスノーボードよりもスキーなんだけどね」とGP。

「Waiting For The UFOs」の演奏前には、「これは79年の『Squeezing Out Sparks』の中でいちばん酷い曲」と紹介。はは、そんなことわざわざ言わなくていいのに。途中のコーラスのところではちょっと客席からの歌声も上がったね。もちろん僕も一応歌ったよ。

しばらく前にいつも一緒に集まる友達のために作ったミックスCDに入れた「Life Gets Better」を演奏してくれたのは嬉しかったな。『The Real Macaw』、どうにも評価の低いアルバムだけど、僕結構好きなんだよね。

この回も『Howlin' Wind』からの曲が5曲と一番多かった。18年ぶりに訪れる日本向け特別仕様なのか、それともファーストの曲が最近のお気に入りなのか。まあとにかく、アクースティックセットの最後で「Hotel Chambermaid」を演ってくれたのは嬉しかった。それにしても、ここまでですでに11曲。この前に観た2公演よりもずっとアコギ曲が多かったから、もうこの回はエレキほとんど弾かないのかと思ってしまったよ。

毎回おなじみのギター紹介とともにエレキに持ち替え、「ファーストアルバムのタイトル曲」と言い間違えて(イントロのコードでわかってたから、「サード!」と一応声をかけてあげた)「Stick To Me」へ。これは前日にも演ったね。そしてその次も前日同様の「Lady Doctor」。どうせ前日と同じ曲を演奏するんなら、これじゃなくて「That's What They All Say」とか「Fool's Gold」を演ってくれればよかったのに。

「次の曲はそこに載ってる人にカバーされたんだ」と、前列のテーブルに置いてあったビルボードのパンフレットを指さす。表紙はニック・ロウだ。「俺の『Steady Nerves』の数年後に出た『Pinker And Prouder Than Previous』ってアルバムに入ってる。誰も聴いたことないだろうけど」だって。いやもちろん聴いたことあるけど、それよりなんでそんな他人のアルバムのタイトルとか発表年とか覚えてんの?ほんとにびっくり。

その「Black Lincoln Continental」を演奏し終えた後も、「ニックが来月この同じ会場で演るんだってね、こないだ会ったときに話したよ。ぜひこの曲をリクエストしてくれ。絶対演らないだろうけど」と冗談めかすGP。

本編最後の3曲は、それまでの2公演の本編ラストを再編したような選曲。もちろん4回目の「Discovering Japan」入り。それまでの2公演は本編15曲・アンコール3曲だったのに、この回はここまでで既に18曲。最後だから大奮発してくれてるんだろうな、まさかこのままアンコールなしなんてことはないだろう。

恒例の楽屋に戻るふりジョークを経て、アンコールへ。スタンディングオベーションになったのをきっかけにここからはもう立って聴く。「この曲は今日のセットリストに入ってたんだけど、演奏するのを忘れてた」と、『Don't Tell Columbus』からの「Stick To The Plans」。あんまりアンコール向きの曲じゃないけど珍しいからまあいいか。ほんとは『Don't Tell Columbus』からはもっと他に演ってほしい曲がたくさんあったんだけどね。

そして今回の日本公演の最終曲は、「Local Girls」。ああそうだ、これをまだ聴いてなかった。ほんとに切り札として使える曲がいくらでも出てくるね、この人は。ここでも最後のヴァースで観客コーラス。ようやく最後の最後になって盛り上がった感じかな。GPも満足してくれただろうか。

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この日も終演後にサイン会。よくもまあここまで酷いジャケにできるものだと思って今まで買ってなかった『Live Alone At The Freight And Salvage』を今回の来日に合わせて日本に送っておいたので、それにサインをもらう。どうせなら上の黄色い部分にサインしてくれればいいのに。

ほとんど何もしゃべれなかった前日の反省を活かして、この日はサインをもらいながら少しだけ話を。「フィリピンから観に来たんですよ」「へえ、何時間かかるの?」「4時間」「なんだ、俺は11時間もかけて来たんだぞ」とか。後ろにもずらっと並んでたので、ピートのライヴを観たとかそんな込み入った話まではできず。

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同じく、今回買って日本に届けておいた『This Is Live』のBDにもサインをもらう。真っ黒なジャケにサインしてもらうわけにもいかないからと、中に入っていたチラシの裏側にサインしてもらった。

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そしたら、話してる間に僕が手に持っていたジャケも取り上げられて、BDケースのプラスチックの上からサインしてくれた。消えないように大事に取っておこう。

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頭の形は違うけど、髪型とヒゲが少し似てるのが嬉しい。この人、今回こうして初めて間近で顔を見たけど、普段サングラスをしていて見えない目がすごく優しいんだよね。“怒れる若者”としてデビューするには、道理でサングラスをトレードマークにするしかなかったわけだ。


15 September 2013 2nd Set

1. Watch The Moon Come Down
2. Over The Border (To America)
3. Nothing's Gonna Pull Us Apart
4. Silly Thing
5. High Horse
6. Snowgun
7. Old Soul
8. Black Honey
9. Waiting For The UFOs
10. Life Gets Better
11. Hotel Chambermaid
12. Stick To Me
13. Lady Doctor
14. Blak Lincoln Continental
15. Get Started, Start A Fire
16. Discovering Japan
17. White Honey
18. Hey Lord, Don't Ask Me Questions

<Encore>
1. Stick To The Plans
2. Local Girls
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2013年09月21日

Graham Parker live in Tokyo Pt.2

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前日のセカンドセットの後は久々に会場で再会した友達と日付が変わるあたりまで飲み、明けて翌日。本当はこの空き時間はCD屋にでも行こうと思ってたんだけど、前日のライヴを観ていたときにもう今回の残りの来日公演は全部観ることに決めた。台風もどんどん近づいていたので、下手に渋谷や新宿のCD屋とか行ってる間にずぶ濡れになっても嫌だったから、この日は一日ミッドタウンにたむろすることに決定。

できればまた自由席(ステージ前)で観たかったけど、電話で訊いてみるともうかなり大きな整理番号。前日は比較的席に余裕があったと思ったけど、それなりに客入ってるんだね。しょうがないので初めてのカジュアル席で観ることにした。

ステージを斜め上から見下ろす感じで、比較的見やすくはある。指定席だから開場前に並ばなくてもいいし、ウエイターにサーブされなくてすむのは逆に気楽なんだけど、やっぱりちょっと外様感はぬぐえないね。まあ、3回観るうちの1回だから我慢しよう。でも、ステージ前の席、やっぱり前日と同じぐらいスカスカしてるよ。最前列の四人掛けテーブルなんて二人ずつしか座ってないし。

前日同様、定刻にDJが終わるのと同時にステージにGP登場。薄紫のTシャツと(前日のサイン会のときにかけていた)赤いサングラス以外は、ほぼ前日と同じいでたち。無言で引き始めたイントロは、へえ、こんな曲から演るんだと思った『Deepcut To Nowhere』からの「Depend On Me」。前日もそうだったけど、ウォームアップ風にゆったりとした曲から始めることが多いんだね。

セットリストはまとめて後述するけど、今回の4公演をできるだけ違ったセトリで演奏しようというGPの意志がもっともあからさまに表れていたのがこの二日目のファーストセット(初日のファーストは未見だけど、まさか初回からそんな奇抜な選曲はしないだろうから)。

前日のセカンドセットは、全18曲中12曲が初期の4枚のアルバムから(うち5曲が『Heat Treatment』から)という極端に偏った選曲だったのに対し、この回はファースト『Howlin' Wind』から4曲演った他は、初期から最新作までバラバラな時期の10枚のアルバムからそれぞれ1〜2曲ずつ、しかもあえてこんなのを選びますかというレアな曲ばかり、それとカバー1曲という全18曲。同会場で二日間4回連続なんてシチュエーションでもなければまず聴けないだろうというこのセトリを聴けただけで、やっぱりこの回も来ることにして正解。

2曲目は「ファーストアルバムの中でも俺のお気に入りだ」と前置きして、「Between You And Me」。いいね、僕も同感。もし今回リクエストを募られることがあれば言おうと思っていたリストの4番目か5番目に入っていた曲(一体何曲自分のリクエストが通ると思っていたのか)。もともと飄々とした曲が、こうして弾き語りで歌われると一層あっさりした雰囲気になるね。

「2020年にオリンピックが決まったね、おめでとう」という話を挟むが、客席の静かな反応にとまどうGP。上の席からいえーとか言ってみたけどあんまり聞こえてないね。「どうしたんだ、オリンピックだぜ!ロンドンが決まったときはもう皆で飲み明かして床に転がっていたのに!」みたいなことを言ってたね。「俺はもうホテルを予約したから」とか。ということは、次の来日は2020年か!?

『Songs Of No Consequence』からの「Evil」を演るときに、「このアルバムはフィグズという俺より20歳以上若い奴らと一緒に作った」と話してたな。サイン会のときとかもう少しゆっくり時間があればピートの話とかしたのに。それにしてもこのアルバムからあえてこれですか。「Bad Chardonnay」とか「Vanity Press」とか聴きたかったな。歌い終えたときに「Evilといえばイーヴル・クニーヴル」という話をしてたけど、これまた無反応。まあ、日本で一般受けする話じゃないのもわかるけど、ステージ前で観てる人たちもう少しなんとか反応してあげてよ。

5曲目でようやく前日セカンドとかぶる「Problem Child」が登場。続いて僕がyascd024に入れた曲がやっと出てきた。『Imaginary Television』からの「Always Greener」。さらに続けて、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの「Pride And Joy」のカバー。今回僕が観た3公演でカバーを演ったのは唯一これだけだったね。たしか歌いだす前にこの曲はライヴでは演奏したことがないって言ってたよ。レア。

ハーモニカの代わりにカズーをホルダーにつけて吹いた「Last Bookstore In Town」。『Three Chords Good』からの曲を演奏する前には必ず「この最新アルバムはとあるバンドと一緒に作った(あくまでルーモアとは言わない)」とか「3コードの曲は完璧なんだけど、今から演るこの曲は4コードなのでよくないんだ」とか言ってた。日本盤も出ていないその最新作はあまり誰も聴いてないと思ったのか、意外なほどに新作披露会ではなかったね。今回のセトリを見る限りは、あくまでも過去に出した何枚ものアルバムのうちの一枚という位置づけみたい。

アコギの曲は前日より1曲多い9曲。エレキに持ち替えたときにそのギターを紹介するセリフは昨日と同じ。自分のために作ってもらったギターって言ってたっけ。お気に入りなんだね。この人の自作曲に対するこだわりについては前日分の記事に書いたけど、こうやって自分のお気に入りのギターとかに対する愛着も大きいんだろう。好感持てるなあ。

エレキに持ち替えてから2曲目のファーストアルバムのタイトルトラック、毎日必ず演奏すると言っていた「Discovering Japan」を本編ラスト前に、そして本編ラストにファーストからの定番「White Honey」というクラシックを演った以外は極めてマニアックな選曲の本編15曲。前日セカンドとのかぶりは前述した2曲のみ。

またステージ袖まで歩いて行ってアンプか何かの後ろにこっそり隠れるふりをして、アンコールに再登場。珍しい曲は演り飽きたのか、ここは王道の3曲。おそらく、この回だけを聴きにきた昔のファンにとっては、この本編最後からアンコールまでの流れでようやく待ってましたという感想だったのかも。もちろん僕にとっても、大好きなセカンドアルバムのタイトルトラックや、鉄壁「Soul Shoes」が聴けたのは嬉しかった。

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ファーストセットだからと手を抜かず、この回もアンコール含めてたっぷり1時間20分ぐらいの演奏。終わってステージ後ろのカーテンが開いたときに外がまだ明るかったのがなんだか変な感じ。セカンドセットの準備があるので当然サイン会はなし。さて、ラストセットの開場までの数時間、まだ明るいけど、せっかくおしゃれな六本木ミッドタウンなんかにいるんだから、ワインでも飲みながら時間つぶそうか。


15 September 2013 1st Set

1. Depend On Me
2. Between You And Me
3. Under The Mask Of Happiness
4. Evil
5. Problem Child
6. Always Greener
7. Pride And Joy
8. Last Bookstore In Town
9. I Discovered America
10. Love Gets You Twisted
11. Howlin' Wind
12. Devil's Sidewalk
13. Long Emotional Ride
14. Discovering Japan
15. White Honey

<Encore>
1. Heat Tretment
2. Soul Shoes
3. The Raid
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2013年09月17日

Graham Parker live in Tokyo Pt.1

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9月14日。朝一で家を出て、ファーストステージ開始の直前に六本木にはたどり着いたから、カジュアル席で観ようと思えばできなくもなかったけど、ここはちょっと我慢して予定通り夜のセカンドステージから。なかなかの整理番号だったから、かなりいい席をゲットできた。あちこちのライヴでよく一緒になる人たちもたまたま続きの整理番号だったので、テーブルひとつ仲良く占拠。

大貫憲章のDJ、もっとガンガン煽りながらやるのかと思っていたら、殆ど無言で(レコードに合わせて一人で小声で歌ったりエアギターしながら)淡々と進んでいく。ビルボード仕様か。最初はストーンズとかキンクスから始まって、徐々にGPと同世代のクラッシュとかイアン・デューリーとかドクター・フィールグッドとかへ(GP本人の「Back Door Love」をかけたのは反則じゃないのか)。

開演時刻ちょうどの9時に、最後に回していたディランを終え、「面白い人ですよ」との紹介とともに憲章氏ステージを降り、同時にギブソンのアコギを抱えたGPがステージに上がる。黒いTシャツに黒いジーンズ。靴も黒のスニーカー。トレードマークのティアドロップシェイプのサングラスは濃い青。ギターのヘッドのところに金色と赤の二つのカポをはめているのは、近作BD『This Is Live』の裏ジャケ同様。赤いのは結局最後まで使わなかったけど。

イントロのアレンジが結構変わっていたから弾き始めたときはなんだろうと思ったけど、最初の歌詞でわかった1曲目「Watch The Moon Come Down」。僕の大好きなライヴアルバム『Live! Alone In America』で聴き慣れたこの曲のソロアレンジヴァージョンを、遂にこうして目の前数メートルで今観ているということを実感するたびに背中がぞくぞくする。いま、すぐそこで、GPが歌っている。そんなことがひしひしと身に沁みるライヴなんていつ以来だろう。

どの曲もオリジナルとは相当アレンジが違っていたけど、歌い始めてすぐに、曲によっては弾き始めのコード進行でそれが何の曲かわかる自分が誇らしい。それは別にこの回のセトリが極端に初期に偏ってたからという理由だけではないと思う。自分のセトリはGPが持って帰ってしまって写真を撮る隙もなかったけど、全曲メモってきたので、下に書いてあるセトリで間違いないはず。

相変わらずGPも曲紹介のたびに、「今のは76年のアルバムから。じゃあ次は1年進めて77年のアルバムから演ろう」とか、きっちりどの曲がどのアルバムからかを説明しながら歌う。何枚かのライヴアルバムを聴いてていつも思うんだけど、本当に自分の曲にしっかり愛着があるんだろうね。一回だけ、「『Your Country』、あれは2003年だったっけ」と言ってたけど、発売年は04年。まあ、偉そうにそんなことを書いてる僕も調べてみないと覚えていないから、1年の誤差とはいえそんなことをしっかり覚えてるGPは本当に凄いと思う。

「面白い人ですよ」との憲章氏の言葉に相違なく、曲間のMCであれこれ喋るGP。寿司が好物らしく、ハマチだのマグロだの、寿司ネタの名前がどんどん出てくる。「Squidは何て言ったっけ。イカ? あれを俺はこんな風に生きたまま格闘しながら食べたんだ」と自分の首に絡みつくイカの足を表現しながら話したり。「アメリカ(アラバマって言った?)でも寿司は食べられるけど、日本の寿司は生きたネタで作るから最高だね」と。“Fatty Toro”が一番の好物だとか。

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8曲目の「Hotel Chambermaid」を終えて(この回はほんとに『Heat Treatment』からの曲が多かった)、最初からステージに置いてあったエレキに持ち替える。薄いサーモンピンク色のギルフォード、テレキャスターをちょっとアレンジしたみたいな形の小柄なギター。12フレットあたりにGPと書いてある。ここからハードな曲に入っていくのかと思いきや、「88年のアルバムから演ろう」と弾きだしたのは「Blue Highway」。ああ、いいねえ、このアルバムものすごく思い出深い。大好きな曲。

「今回は4ステージ全部違うセットで演るけど、この曲だけは4回とも歌うよ」と言いながら始めたのはもちろん「Discovering Japan」。この曲とか、ちょっと前に演った「Stick To Me」とか、ギターを弾きながらふと取るポーズがすごく格好いい。この人、170あるかないかみたいな小柄な人なんだけど、ギター持たせるとすごく様になるよね。筋肉びっしりの前腕とか胸板とか、この年で贅肉一切ゼロみたいなのも凄いし。

次の「Don't Let It Bring You Down」では、途中でギターリフを「Here Comes The Sun」に変え(そういえば似ている)、その曲をちょっとだけ口ずさんでまた最後は元曲に戻して終了。

本編ラストの「Don't Ask Me Questions」を終えたのがちょうど始まってから1時間ぐらいだったかな。ステージを降りる振りしてわざとステージの隅っこで隠れたりしているのが可愛かった。形式としてのアンコール。CD聴いててここからB面とか思うのと同じような感じか。違うか。

アンコールはまたアコギで、僕の好きな曲ばかり、まさか3曲も演ってくれるとは思わなかったので大満足。全部で1時間20分ぐらいは演ったかな。ライヴ中何度も「明日もあるから来てくれ」みたいなことを言ってたけど、始まって数曲目でおそらくファーストステージにも来ていたらしい前列のお客さんに向かって「さっきとは全然曲目違うだろう」と言ってるのを聞いた時点でもう僕は既に行く予定のなかった翌日ファーストセットにも行くつもりになっていた。数千円の追加出費? GPの日替わりセットが数千円で聴けるのに、それを聴き逃すなんて選択肢があるか?

終了後、会場でCD/DVDを買った人を対象にサイン会が開催された。僕も持参した『Live! Alone In America』のLP(マニラで買ったやつ)にサインしてもらった。沢山話したいことがあったのに、緊張して殆ど言葉がまともに出てこない自分に腹が立つ。GPはステージではずっとミネラルウォーターを飲んでたけど、このときはビールだったね。あと、サングラスも赤い縁のに着替えてきてた。

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というわけで、今日はここまで。あと数時間後にもうファーストセットが始まる。台風18号がどんどんこっちに向かってくるけど、まあそのことは終わってから心配しよう。ミッドタウンが竜巻で飛ばされることはないだろう。というところまで書いて二日目に繰り出したので、アップできたのが結局今日17日。その後台風がらみでいろいろ大変だったけど、それはまた次の記事にでも書こう。

それにしてもこの回のセトリ、『Heat Treatment』からの5曲を筆頭に(CDにボートラ収録された「Hold Back The Night」含む)、最初の3枚からだけで全18曲中11曲。『Squeezing Out Sparks』まで入れると最初の4枚から12曲。初期の曲も多く演るよと言ってたけど、まさかここまで極端に極初期に偏った選曲になるとは。個人的には「Fool's Gold」と「That's What They All Say」を一度に聴けたのが大収穫。

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14 September 2013 2nd Set

1. Watch The Moon Come Down
2. Over The Border (To America)
3. Fool's Gold
4. Stop Cryin' About The Rain
5. Almost Thanksgiving Day
6. Black Honey
7. Problem Child
8. Hotel Chambermaid
9. Blue Highways
10. Stick To Me
11. Tornado Alley
12. Lady Doctor
13. Discovering Japan
14. Don't Let It Bring You Down
15. Hey Lord, Don't Ask Me Questions

<Encore>
1. That's What They All Say
2. The Raid
3. Hold Back The Night
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2013年08月01日

FRF13

いろんな人から一度は行ってみるべきだとかよく言われるし、近しい友達からも何度も誘われてはいたんだけど、「やだよあんなに金もかかるし人も多いところにわざわざ行くなんて。それにいつも雨降るんでしょ」というのが、フジロックに対するこれまでの僕のスタンスだった。そう、数週間前に突如ウィルコ・ジョンソンが参加を表明するまでは。

たまたま7月いっぱいで期限が切れてしまう会社の有給をこの週末にくっつけて、いろんな乗り物を乗り継いで、最終日の朝に苗場に到着。途中のバスの列やらホテル入口への遠路やら、その段階で相当うんざりしてたんだけど、聞いたところでは初日からちゃんと来たらあんな行列じゃ済まなかったらしいね(この時点で「来年はもう来るもんか指数」やや上昇)。

リストバンドをもらって入場しようかというところで初日から来ている友達から連絡があり、うまく合流できた。グリーンステージ後方。みなさん当然ビニールシートとか色々持参してるんだね。ありがたく使わせてもらいました。ろくにくつろいでる間もなく、この日の僕にとっての最初のアクト、ヨ・ラ・テンゴのステージが始まる。

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09年の12月に品川で観て以来だね、この人たちは。そして、ステージの尺と新曲以外はその時と何一つ変わっていない。出てきていきなりジェームズ(別名デブ)がドラムキットのところに行き、ジョージアがギター(アイラもギターなので、ベースレス)という珍しい編成で開始。デブが歌う「Stockholm Syndrome」は3曲目だったかなと思っていたら、某所にアップされていたセトリを見ると2曲目だった。とにかく、曲ごとにデブとジョージアが楽器をとっかえひっかえ、アイラは(曲によって違う機種を使い分けてはいたけれど)ギターをもうこれでもかというほどくねくねと体をよじって轟音ノイズを発し続ける。

前回観たときからこの人たちに対する僕の知識もそう増えてはいないけど、一応予習のために買った新譜『Fade』から、1曲目の「Ohm」とあと1−2曲は演奏したはず。最後の挨拶のときのアイラの「ウィルコやキュアと共演できるなんて、僕らみたいな若いバンドにとってはとても光栄です」というジョークがどれだけの人に受けていたのかはわからないけど。


さあもう次だ。ウィルコ! 一体どれだけの人がこの人目当てに来てるんだかよくわからないけど、とりあえず万一に備えてヨラが終わった時点でトイレにダッシュして急いで戻ってくる。まだそんなにぎゅうぎゅう詰めでもなかったから、ヨラのときと同じく若干後ろで観ようとしていた友達を置いて前の方に進む。なにしろ前夜に小さ目の小屋で演ったときは、一時間以上前から長蛇の列で入場制限がかかったらしいからね。

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出てきた! 意外に元気そう。いつも通りの、上下真っ黒ないでたちに赤いピックガードの黒いテレキャスターを抱えて。ベースがノーマン・ワット・ロイだというのがまた嬉しい。僕の目の前だよ。ちなみにドラムスはスティーヴ・ハウの息子。なんか途中もたったりしてあんまり上手くないなと思ったのは気のせいか?

ウィルコのソロアルバムはほとんど聴いてないから、知らない曲ばかりだったらどうしよう、まあどうせノリノリのロックンロールばかりだろうからいいや、なんて思っていたら、1曲目から「All Through The City」。

その後も数曲ごとにドクター・フィールグッド時代の曲がどんどん出てくる。「Sneakin' Suspicion」とか「Roxette」とか。「Back In The Night」とか「She Does It Right」とか。フェス用に素人向けの選曲にしてくれてるのかな。

上半身固定の横移動も健在(前に僕が観たのはもう20年以上も前のことだから、あのときの高速移動に比べるとずいぶんおごそかな(笑)動きにはなっていたけど)。ギターをマシンガンに見立て、ミュートしたカッティングの音でタカタカタカタカと観客めがけての銃撃ももはや伝統芸。

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病気の本人よりもよっぽど老けて見えたノーマン。でも相変わらず不気味な顔でニコニコと、体を反らせてファンキーなベースを弾きまくる。この人、ブロックヘッズの頃はなんて気持ち悪い顔なんだろうと思っていたけど、加齢とともになんだかかっこよく見えてきたね。大人になってからモテるタイプかも。

この早い時間帯のステージで驚きのアンコール。年明けの日本公演でも最後の曲だったという「Bye Bye Johnny」で締め。演奏前に「晴れててくれてありがとう、ミスター・サン」とか話してたね。そういえば、ヨラのときは途中で降ったり止んだりしてた雨も、ウィルコのときは一切降らなかったよ。なんかこういうのも奇跡的というか。

他にもいろいろステージ上で話してたんだけど、なにしろその時点で僕の周りはモッシュ大会。足踏まれたり踏み返したりで落ち着いて演奏も聴いてられやしない。後で友達に聞いたら、「僕のために幸運を祈ってくれ」みたいなことも言ってたみたいで、演奏後もうそこら中の人が目を真っ赤にしてたよ。多少は近くで観られたのはよかったけど、ああいうステージのときはあんまり前に行かない方がいいというのを、よりにもよって肝心のウィルコのステージで学んだ次第。

会場で、限定発売されることは聞いていた前回の東京公演のDVDがTシャツとセットで売ってたので買い。収益はすべて福島への義援金というのを見てまたじわっとくる。

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さすがに朝から駅弁だけなので、3時を回ったこの時点でもう腹ペコ。友達に連れられてところ天国に何か食べに行く。沼地みたいな道をしばらく歩いてたどり着いたら、ちょうど聴いてみたいなと思ってたサヴェージズの音が隣のホワイトステージから聴こえてくる。ベースかっこいいな。

食料調達したりアルコール補給したりしているうちにどんどんと土砂降りの雨に。不用意にもTシャツ一枚で来ていた僕は、今このままプールに飛び込んでもあんまり状態変わらないだろうというぐらいにずぶ濡れ。「来年はもう来るもんか指数」この時点でMAX。気を利かせて友達がグリーンの基地から持ってきてくれたウィンドブレーカーを羽織る頃にはすっかり雨が止んでいたのも、ウィルコのときと同じ神様の仕業だろうか。


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友達が調子に乗ってウォッカどんどん入れさせたブルドッグで、びしょ濡れのパンツも気にならないほど心地よくなったところでグリーンに戻る。マムフォード&サンズって日本でこんなに人気あるの?ものすごい量の観客。今度は友達と一緒に、柵の後ろあたりで落ち着いて観る。

この人たちのセカンドって、ファーストと同じ曲が順不同で入ってるんじゃないのかと思うほどどれもこれも似た曲ばかりだけど、そのワンパターンさも含めてかっこいいんだよね。生では当然初めて観たけど、演奏うまいねー。4人のうちメインヴォーカルの兄ちゃん以外は結構いろんな楽器をとっかえひっかえ。そのうち3人のホーン隊(トランペット2本とトロンボーンだったかな)とかストリングス隊(チェロとヴァイオリン?)の3人とかがどんどん加わって音が分厚くなっていく。最後の方の曲では、レッドマーキーで演奏を終えたばかりだというハイムの3姉妹が飛び入りしてた。ハイムってよく知らないからいまいち僕にはありがたみ薄かったけど。

最後はセカンドからのシングル曲(これは区別つく)「I Will Wait」で終了。いやこれはいいバンドだね。純粋に演奏だけのことを言えば、僕がこの日に観た5組では一番だったかも。聞くところによると、この直後に行われた東京でのライヴもソールドアウトだったそうな。2枚のアルバム、ちゃんと聴き込んで曲覚えよう。


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もうこの時点で夜7時。曇ってることもあって辺りはどんどん暗くなってくる。雨も降ったり止んだりだし、なによりもう腰が限界。一応楽しみにしてたヴァンパイア・ウィークエンドは後方の基地に座って観ることにする。ほかの友達は引き続き前で観てたり、ホワイトに相対性理論を観に行ったり、酔っぱらって行方不明になったりと好き勝手に行動中。

後ろで観てるのがもったいないほどいいステージだったね。さすがグリーンのトリ前。「A-Punk」のイントロでギターの調子がおかしかったみたいで(弦が切れたのかな)、一旦止めてギターを取り換えて再開(その間リズム隊はずっと継続中)、あの気持ちいいイントロを二度楽しめるみたいなこともあったな。

なんかこうやって、こんなにいいライヴを後ろの方でぼーっと観てるのがもったいなくて。僕がフェスというものを心から楽しめないでいるのはこういうところにもあるのかも。誰かのライヴを途中まで観て別のステージに移動して途中から観るとかかなり嫌だし。自分が観てない別のステージでいいライヴをやってるなんてのも嫌だし(単なるわがまま)。


さてと、いよいよ大トリのキュア。21時半開始で予定終了時刻24時だって。2時間半かよ。でもできるだけ前行って観よう。椅子持って。ところが、大御所バンドとは思えないほどの人の入り(の少なさ)。さっきマムフォードを観た場所からそう遠くないところに椅子置いてゆっくり開演待ち。まあ、今の日本でキュアみたいなバンドがトリ取るって相当ムリあるよな。かと言って本人たちのプライド考えるとトリ以外じゃ来てくれないだろうし。友達曰く「ロキシーのときも相当なもんだったよ」。なるほど。

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これがあの、ドラムキットとアンプしか置いてなかったウィルコのときと同じステージかと思うほど豪華絢爛なセットを1時間近くかけて組み上げ、メンバーが登場する段にはもうもうとスモークが焚かれる。さあ、2時間半ライヴの開始だ。

なんだかんだ言ってこの日観た5組の中では一番長く、子供の頃から聴いているキュアだから、そりゃ書きたいことはたくさんあるけど、久しぶりに書く長文に疲れてきたので適当に端折って。ロバート以外のメンバーはもう全員若い新規メンバーなのかと思っていたら、左側で地味な姿で変な形のギターを弾いてるのはポール・トンプソンだねあれ。ロバートと同じバンドに在籍とは思えない普通のおじさんになっている(腕の刺青はすごかったけど)。あと、体を不自然に折り曲げて膝下でベースを弾いてるのは誰かと思いきやサイモン・ギャラップ。なんであんな若いの?ロボット?

地味ーな最近(といっても僕があまり聴かなくなってからのことだからここ10年前後の話)の曲をいくつか続けた後、これでもか系のポップなシングル曲を数曲挟むという、お前ら帰れるもんなら帰ってみろと言わんばかりの意地悪セトリ。さすが百戦錬磨、カタルシスというものをよくわかっていらっしゃる。

とはいえ、さすがに23時近くなってくると、腰は洗濯板みたいに固まってくるわ朝からの数千キロ移動の疲れで眠気が襲ってくるわで、持参した椅子に腰かけてしまう。夏なのにさすがに山中の夜は冷えるね。ずぶ濡れのTシャツの代わりにさっき買ったウィルコのTシャツ着ててよかった。ちょっとうとうとしかけたところに「Friday I'm In Love」のイントロとか突然繰り出されてくるもんだからおちおち寝てもいられない。

演奏はさすがに整ってて上手いんだけど、やっぱりちょっとスタジアムバンドっぽいゴテゴテした音になってしまっていたのがちと残念。「A Forest」のあの透徹なまでのストイックなベースプレイを期待していた身にとっては、あの派手なエンディングは逆に拍子抜け。これがゴスってもんなのか。

24時15分前ぐらいという、とても中途半端な時刻に一旦ステージを降りる。観客の皆さんもそうとうお疲れのようで、もうこれで終わりなのかどうか見極めつかない中途半端なアンコールの拍手をぱらぱらと始める。

そんなまばらな拍手で出て行っていいものなのかどうかこちらもわかりかねるよと言わんばかりにメンバーがぞろぞろと再登場。ロバートが「アリガト、なんとかかんとか、ごにょごにょ」と日本語の真似みたいなMCを入れたあと、「ところでこれはアンコールだから」と妙に自虐的だったのがかわいい。さすがロバくん人形のオリジナル。

と、そんな感じで遠慮がちに始めたアンコールが、これがもう80年代シングル曲連発みたいな超弩級選曲で、僕みたいにちょうどその頃に聴き始めたファンにとってはイントロ一発でやられてしまうのばかり。そりゃ、これだけの曲を取っておいたら、アンコールで出てこないわけにはいかないよね。「The Lovecats」、「The Caterpillar」、「 Close to Me」、「Hot Hot Hot!!!」、「Let's Go to Bed」、「Why Can't I Be You? 」と、もうタイトル書いてるだけであの時の興奮がよみがえってくる。

そして、そのあとはもうお約束の「Boys Don't Cry」、「10:15 Saturday Night」、「Killing An Arab」という必殺のファースト曲3連発。最後のやつでは最近よく歌ってる(らしい)キリングアナザーとかじゃなくて、ちゃんとオリジナル通りの歌詞で歌ってたね。どれもこれもよかったけど、この曲がやっぱり白眉。このアンコールだけでライヴ一回分ぐらいの元は取れた気がするよ。

終わってみたら、すでにほぼ24時半。そうか、どうしても3時間演ったという記録を作りたかったんだね。なんかアンコールのときに冷たい反応してごめん(あと、途中で落ちかけてごめん)。最後にステージの端から端まで一人で挨拶して回ってるロバートを見て、なんだかこのバンドのこともう一回ちゃんと聴きなおしてみようと反省。どうも最近のアルバムは買っては売り買っては売りを繰り返してしまってるからね。


この時点でもう半分以上の友達とははぐれてしまっていたけど、最後に一緒だった3人で深夜の腹ごしらえをしてホテルに戻る。豚スタミナ丼うまし。心底疲れたけど、楽しかったよな。来年また行くかと聞かれたら、今の時点ではうーんって言うと思うけど、「もう来るもんか指数」不思議にずいぶん減ってるよ。そうだね、不死身のウィルコがもしまた来年も来てくれたら、間違いなく行くと思う。
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2013年04月03日

Steve Forbert & Tim Easton live in Nagoya

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朝一番にマニラ空港を出発して、成田でセントレア行きの国内線に乗り換え。更に3つの電車への乗り継ぎはどれもとてもスムーズに進み、思いがけず開場時刻の18時には今池の得三に到着してしまった。僕の持っていたチケットには開場18時半、開演19時半と書いてあったのでちょっと早く着き過ぎたかなと思っていたら、小雨の中をたどり着いた会場ではもう番号順の入場が始まっていたので、結構いい整理番号のチケットを持っていた僕は慌てて階段を上って中に入れてもらう。

運よくまだ最前列のテーブルは人がまばらだったので、うんと見やすいほぼ真ん中の席を確保。そこからはチケット記載の手違いを含めて開演までの1時間半を、ジョッキたっぷりのワインとキムチピザで小腹を満たしながらぼーっとつぶす。途中からは、すぐ近くに座っていたほぼ全公演追っかけ中のダイハードなスティーヴファンの方に色々話を聞かせてもらったり、後ろの物販のところにいたゴーティの松本さんや今回の主催者のダグに話しかけたりと、それほど暇を持て余さずに開場時刻を迎えることができた。


スティーヴ・フォーバート33年振りの来日に合わせてわざわざマニラから観に来るなんて、僕もよっぽどのファンなんだろうと思われるかもしれないけれど、33年前にはクラッシュやジャムを熱心に聴いていた背伸び中学生にとっては、朴訥とした人のよさそうな兄さんがこっち向いて微笑んでいるジャケットには手が伸びなかった。もちろん、ヒットした「Romeo's Tune」をはじめ、ラジオやなんかで彼の曲を聴く機会は沢山あったのでいい曲を書くシンガーだとは認識していたけど、僕にとっての彼は、気がつくとまだそこにいるなといった程度の、ちょっと向こうの道をずっと一緒に走っているアーティストといった感じのポジションにいた(僕は別にアーティストとして走っているわけじゃないけど、これだけ長くいろんなのを聴いてると、30年以上前からずっと知ってる人がまだ現役でやってるのを見ているだけで、なんだか勝手に戦友みたいな気持ちになってしまう)。

なので、今回の来日が発表になったときも、即座に飛びついたというよりは、結構悩んだ。連休明けの期初に3日有給を取るには、目をつぶってその後何が起こるかを考えないようにする技術が必要(そして、僕は最近その技術に長けてきた)。でも、久しぶりに彼の曲をいくつか聴き直してみたら、これがもうどれもこれも今の僕のツボに入りまくるものばかり。なんで僕はこの人のことをずっと追っかけてこなかったんだと、改めて中学生の自分を恨んだ。さらにそんな僕の背中を押したのが、前から一度観てみたいと思っていたティム・イーストンがここ名古屋でスティーヴの前座として出演するのを知ったこと(そして、翌日に少人数限定でスティーヴの追加公演が発表されたこと)。もうこれは目をつぶる技術を発揮するしかないと。今回観ておかないと次はまた33年後かもしれないし。


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その、(会場をぎっしり埋めた80人ほどのお客さんのほとんどにとっては単なる前座だったかもしれないけれど)僕にとっては今回の大きなお目当ての一人、ティムが開演時刻ちょうどにステージに現れ、ピックガードのネック寄りのところの塗装がピッキングではげてしまっている黒いギブソンを肩にかける。意外に背が低いね。それに、ジャケ写でよく見る長髪・ヒゲ面でなく、こざっぱりと髪を刈り揃えた男前。

彼のアルバムはオリジナルを2枚と最近出たベスト盤を1枚持ってるだけなので、演奏した半分ぐらいは知らない曲だったりタイトルがぱっと出てこなかったりしたけど、きっと僕以上に彼のことを知らなかったスティーヴ目当てのお客さんたちにとっても、知らない曲だろうがタイトルが何だろうが、そんなことは全然問題にならない素晴らしい演奏だった。

ブルーズマナーの曲で初め、しっとりとしたスローな曲、ポップなアップテンポの曲など、まるでこれが彼の広範な音楽趣味のショーケースだと言わんばかりに、あえてバラエティに富んだ選曲が続く。ギターの上側に紙が張ってあって時々それを見てたから、きっとあれがセットリストなんだと思っていたけど、ライヴが終わってから聞いてみたら、あれはレパートリーが60曲ほど書いてあって、それを見ながらどの曲を演ろうかと考えるだけで、こういうライヴではセットリストは作ってないんだって。

曲によってハーモニカホルダーを首にかけたりカポをつけたり、曲調の多彩さもあいまって、一人でも曲ごとにがらっとイメージが変わる。足元に50センチ角ぐらいの木の板が敷いてあって、それを靴底でガンガン鳴らしながらリズムを取るから、まるでベースの打楽器まで自分で演奏しているよう。

ギターがもう、とにかく上手。グレン・ティルブルックやジム・ボジアみたいにアコギでも流麗なギターソロを延々と披露するというようなタイプではないけれど、歌いながらよくあれだけ味のある細かいプレイができるなと思うほど、観ていても聴いていても気持ちいい演奏。曲によってピック使ったり指弾きしたり。速いピッキングもアルペジオも実に正確。そして、どの曲ももうちょっと聴いていたいなというぐらいのところで絶妙に終わるタイミングのよさ。余計にエンディングを引っ張ったり冗長なソロを入れたりとか一切なし。

途中でちょろちょろ日本語の挨拶を入れたり(子供の頃日本に住んでいて、子役でテレビに出たりしたらしい)、「何か僕に質問はある?」とか、急いでいたせいかそもそもそんなに喋る人じゃないのか、MCもそこそこにプログラムはどんどん進む。多分、冒頭の開演時刻記載違いのせいで押してしまってるので、時間通りに終えないといけなかったんだろうね。

30分ぐらい経ったところで「あと2曲」(と言ったときに後ろの方で拍手が起こったけど、そこは拍手するところか?)と、確か「Burgundy Red」と「Festival Song」を演奏して退場。きっちり45分だったね。なんか全然物足りない。今回彼のフルセットの公演を観られないのが本当に残念に思えた45分間だった。

ライヴ後に彼と話していたときに、「『Get Some Lonesome』聴きたかったな。何か質問は?って言われたときにリクエストすればよかった」と伝えたら、「僕はいつも『質問は?』って訊くんだ。そういえば『Get Some Lonesome』は長いこと演奏してないな。思い出させてくれてありがとう。この後の公演で演奏するよ」だって。くーっ、余計に悔しい。どうせなら週末の鎌倉で演奏して、『Live At Cafe Goatee』CDにして出さないかな。

あとは、途中で「これは新曲」と言って歌った自分の娘についての曲は、8月に出るという予定の次のアルバムには入らないんだとか。「僕は常に曲を書いてるから、結構新しい曲がどんどんできて未発表になってるんだ」とのこと。いい曲だったから、そのうち未発表曲集とか次の次のアルバムとかシングルB面とか(と言ったら彼は笑ってたけど)に入らないかな。


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15分ほどの短い休憩を経て、いよいよスティーヴ・フォーバートが登場。サンバーストのギブソンをチューニングしながらステージ上でしばらくスタッフと談笑中。横のテーブルの上にはセトリを書いた紙の上にハーモニカとカポがずらっと並んでいる(一番上の写真)。ハーモニカはともかく、なんでカポがあんなに沢山いるんだ?

ティムと違って随分背が高いな。58歳という年齢相応の見かけだけど、あのファーストアルバムの兄ちゃんがそのまま年食って髪の毛白くなったという感じ(当たり前か)。チューニングしてたと思ったらなんとなくジャカジャカ始まったみたいなゆるいオープニングはそのファーストからの「Thinkin'」。

いろんな意味で、「こんな人だとは思わなかった」というのが一言でまとめた僕の感想。もっと、なんというか爽やかな感じでギターをかき鳴らしながらアツくせつなく歌うSSWなんだろうなと勝手にイメージしていたんだけど、初めて観るスティーヴはどちらかというとふらふらーっと動きまわり、ギターもテクニカルなフレーズを弾くというよりもあくまでもリズムキープに徹する感じで、ときおりわざと音程を外して大声で歌ったりするところなんかは、タイプは違うけどちょっとトム・ウェイツを彷彿とさせる瞬間もあった。こんな人だとは思わなかった。

演奏しながら「そこの二人は手拍子をするな」とか、同じ曲で観客が延々手拍子をしていると「手拍子するなって言ってるんだ」とかわざわざ歌の途中に言ったり、歌い終えてから「誰もが生まれついてのドラマーじゃないんだ、ジンジャー・ベイカーみたいに」とか言うから、どんだけ気難しい人なんだと思っていたら、どうやらそういうのは全部ジョークのつもりで言ってたみたい。別の曲では手拍子を促したり、観客にリクエストを募っておいて、あえて違う曲を演奏したり(あとの方で「君のことはちゃんと覚えてるよ」と言いながらリクエストされた曲を演ったり)、初対面でそんな難しいジョーク真顔で言われてもわかんないよ(苦笑)

沢山置いてあるハーモニカの中からAのキーのがなかなか見つけられず、やっと見つけて演奏し始めたと思ったら結局その曲ではハーモニカをほとんど吹かなくて「なんだあんなに探したのに要らなかった」とか、とにかくなんか思いついた可笑しなことを言わないと気がすまないんだね(それが相手にとって面白いかどうかは別にして)。そういうところは気が合う気がする(笑)

途中からは、彼がそういう人だというのを僕が把握し始めたせいか、それとも彼も静かな観客に慣れてきたのか、見るからに乗りが違ってきた。相変わらずひょろひょろふらふらしながら歌ってるんだけど、このゆるい感じに引き込まれると逃れられないというような錯覚に陥ってしまう。そんな時にファーストアルバム冒頭の「Goin' Down To Laurel」とか繰り出されてくるもんだから、こちらはいとも簡単に喉のあたりがぐっときてしまう。

「じゃあ次の曲はみんなで歌おう」と言って、観客にコーラスを任せるシーンも何度かあったけど、案の定ほとんどのお客さんは歌詞わからないから皆小声でぼそぼそ歌う。それでもめげずに何度もコーラスさせて、終わったときには(お世辞だろうけど)「ありがとう、すごくよかった」と言ってくれる(それとも、あれもジョークなのか?)。

最後「あと3曲」と言って4曲演奏した最後の2曲が、僕みたいなほとんど初期の曲しかわかりませんという観客にとってはお待ちかねの「What Kinda Guy?」と、ビートルズの「Good Night」からメドレーで出てきたハーモニカのイントロにうるっときた「Romeo's Tune」。後者も聴き慣れたスタジオ版みたいなかちっとした歌い方じゃなくて今のスティーヴのへろへろっとした感じだったけど、それでも名曲。

ここまででほぼ1時間半かな。その後、短いアンコールの拍手に迎えられて、リクエストされた曲と、最後に「You Cannot Win If You Do Not Play」で幕。もっと去年の新作から演奏するかと思って予習して行ったけど、思ったよりも初期の曲を演ってくれたね。きっと、日本のお客さんはみんな33年待ち続けてくれたと思っていたのかな。

二人を初めていっぺんに観た印象。ティムは例えて言えばカチッとチューンアップされた小型のスポーツカーで的確にギアシフトしながらぐいぐい山道を攻めるような感じ。一方のスティーヴは、でっかいアメ車のオープンカーでどこまでも続く道を砂埃を上げながらガーッと進んでいく感じ。ときどきエンジンの調子悪いのかな?と思うけど、それはそれでまた楽しい。ティムの出番が短くて残念ではあったけど、両方いっぺんに観られてよかった。


終了後は物販のところにスティーヴが来て、販売&サイン&写真撮影会。僕はもうマニラ行きの終電に間に合わないので宿を取ってあったからゆっくりと後の方にして、通常はネット通販でしか買えないCDの中からおすすめを隣に座っていたファンの方に教えてもらって買ったり、松本さんお勧めのCDを買ったり、ダグとガーランド・ジェフリーズの話をしてひとしきり盛り上がったりしていた。スティーヴが古い携帯カメラで撮ったというレトロな色合いが抜群な写真(フレーム入りで1枚3000円)も欲しいのが沢山あったんだけど、今回は現金に限りがあるので断念。

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いつまでたっても列が途切れないスティーヴと違って、ほんとにこの日はティム目当てのお客さんは少なかったんだね。手持ち無沙汰に座っていたティムのところに行ってちょっと話をしてサインをもらった(ありがたいことにその後もティムとは少し長く話せた)。ティムはやけに疲れて見えたけど、日本に来てもう一週間近くになるのにどうやらまだ時差ぼけに悩まされているらしい。

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セットリストは、各曲のイントロを聴いただけでもう題名をメモしていたほどのダイハードファンに教えてもらいました(さきほどご丁寧に追加情報も教えてくださったけど、ここにお名前を載せていいものかどうかわからないので)。ありがとうございました。


Steve Forbert Setlist 02 April 2013 @ Tokuzo

1. Thinkin'
2. Something's Got A Hold On Me
3. That'd Be Alright
4. Listen To The Mockingbird
5. Worried Life Blues
6. Schoolgirl
7. Tonight I Feel So Far Away From Home
8. Any Old Time
9. It Isn't Gonna Be That Way
10. All I Need To Do
11. Sing It Again, My Friend
12. Goin' Down To Laurel
13. There's Everybody Else, And Then There's You
14. It Sure Was Better Back Then
15. Blackbird Tune
16. Get Well Soon
17. Lonesome Cowboy Bill's Song
18. About A Dream
19. What Kinda Guy?
20. Good Night / Romeo's Tune

Encore
1. I Blinked Once
2. You Cannot Win If You Do Not Play
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2013年02月18日

Jim Boggia & Pete Donnelly live in Kamakura Pt. 2

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ジム・ボジア&ピート・ドネリー日本公演の最終日。朝っぱらから大船のカラオケボックスに集合し、約半日かけて2012年ベストアルバム発表会を終えたいつもの仲間たちと鎌倉に向かう。駅前で軽く蕎麦など食しつつ、寒風吹きすさむ中をゴーティへ。

日曜の夜だというのに、観客の入りは前日より数割増しといった感じ。店中のベンチや椅子を総動員した上で、最後部は立ち見のお客さんがずらりと並び、身動きも取れないほど。前の方に陣取っているのはいつも見る顔ぶれだけど、あまり見かけないお客さんもちらほらと見かける。きっと、初日の東京公演を観て、もう一度観てみたいと思った人たちかな。なんにせよ、客層が広がるのはいいことだ。

開場から開演まで、またできればジムやピートと話そうかなと思っていたけれど、二人がおそらく腹ごしらえに出掛けてしまったのと、びっしり詰まった座席から身動きするのが大変だったのとで、結局ずっと椅子に腰掛けたまま半時間ほどを過ごす。

腹ごしらえに出かけるときに、ピートがすれ違いざまに「ああ、昨日訊かれた(金曜日の3曲目に演奏した、僕の友達が曲名がわからなくて前日にピートに教えてもらった)カバー曲、昨日教えたルー・リードの曲じゃなかったよ。あれはNRBQの『Kick Me Hard』のCDのボートラ曲だった」と、わざわざ正解を教えてくれる。なんと律儀な。

開演予定の19時を何分ぐらい回った頃だろう、半袖Tシャツ姿のジムと、昨日のスーツとはうって変わってラフなネルシャツ姿のピートが登場。「今日は最終日だし日曜の夜だから長く演るよ」と言いながら、前日と同様にピートのヴォーカル、ジムのベースで開幕。

基本的な進行は前日と同様、二人でベースとエレキとアコギ(これはジムのみ)をとっかえひっかえしながら、お互いの持ち歌を数曲ずつ交互に歌う。演奏している曲自体は前日とそう大きく変わらないけど、曲順を大きく変えてきているね。ジムは前日の後半1曲目だった「Made Me So Happy」を自分のパートの最初に持ってきたのに続き、エンディングの定番曲「Several Thousand」をここで早くも披露。

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前日にはなかった組み合わせが、ジムにアコギを任せたまま、ピートが1曲でピアノを弾いたこと。最後ちょっととちったりしてたけど、随分上手に弾くね。この曲のとき、ジムがギターをマイクスタンドにぶつけてしまい、ピートがびっくりして振り向いたり、ジムのエフェクターの具合がおかしくなったりといったハプニングも。

ジムは前日断念した「Once」を歌ったり、「Three Steps At A Time」を入れたり、常連のファンのリクエストに応えて「O/P」を歌ったりと、前日とは微妙に曲を変えてきている。「次の曲は『I Can Barely Wait』」と言ったときに咄嗟に反応した僕と隣のNさんのことを指差してうなずいたり。それにしても、何故未発表のままなのかわからないほどのいい曲。前日終演後にジムと「次のスタジオアルバムはいつ作るの?」という話をしていて「まだアルバムを作れるほどの曲が書けていなくてね」とやけに消極的だったけど、こんなレベルの曲ばかりが入ったアルバムなら、あと何年でも待つよ。

ピートもフィグスのファンのリクエストに応えて、これまで演奏したことのないというフィグス時代の曲を何曲か披露。でもこの日の(僕にとっての)ピートのベストは、アンコールの最後で手書きの歌詞カードを見ながら歌ったクラッシュの「Train In Vain」だろう。「僕は他人の曲の歌詞を覚えるのがとんでもなく苦手なんだ」と、前日に僕があれこれとリクエストした曲を却下したときと同じく、「僕には脳みそというものがないんだ」なんて冗談めかしながら譜面台を持ってきて歌い始めたけれど、やっぱりかっこいいよな。無理やりな見方をすれば、(若い頃の)ミック・ジョーンズに似ていなくもない。

ジムのパートは、どちらかといえば前日の後半に演奏した曲を前半に持ってきて、前日の前半の曲を最後の方に演ったりしていたけど、ラスト前のこの曲の位置だけは変わらない。すでにライヴのクライマックスの定位置を確保した感のある「Listening To NRBQ」。4フレットにカポをつけて、実に静かに弾き始めるけれど、最初の一音でこの曲とわかり、いつも息を呑んでしまう。本日はラストのNRBQ曲の挿入曲も含め、かなりオリジナルに忠実な仕上がり。

続く「To And Fro」で本編は終了。「最後はロックするぜ!」とか「盛り上がってるか!」とか、散々ロックンローラーぽく叫び、「これで一旦終わった振りをするぜ!」とやはり最後は笑わせる。

その言葉通り、一旦後ろに引っ込んだ後、すぐにジムが再登場。ウクレレを抱え、日本に来てから書いたというヴァレンタインの曲(帰りにタイトル訊いてくるの忘れた!)と、最近彼の別ユニット、マッド・ドッグス&ドミノスで演奏しているレオン・ラッセルの「A Song For You」を。その後、ピートをステージに呼んで、先述のクラッシュのカバーともう1曲を演奏したところで幕。

<追記>
ジムにツィッターでヴァレンタインの曲名を訊いたら教えてくれた。「Candy Heart」。いい曲。

3枚にも亘る手書きのセトリの写真を撮らせてもらってきたけど、またしてもジムが即興で歌った変な歌や、ピートが突然弾き始めたベースラインに合わせてジムも乗ってきた「Tighten Up」なども含めて、どこまでが本日の実際の演奏曲に忠実なのかはもうよく覚えていない。一応参考までに写真を載せておこう。

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アンコールが終わったのはもう22時を大きく回っていただろうか。またしても二人と談笑したりサインをもらったりするお客さんも多かったけど、そろそろ終電に間に合わなくなりそうな人たちがバタバタと帰りを急いでいくのも見える。

そんな感じだから、僕ももうジムにあれこれ話しかけるのをやめておいて、「今度はいつ来るの?クリスマスぐらいかな」みたいに軽くジャブを振ってみたら、「ゴールデンウィークに来るよ」だって。ははは、いいね。「ジムが来るときには僕も必ず飛んでくるから」と、サインと一緒にジャケに書かれても差し支えのない話題に誘導しながらサインをもらう。

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外でタバコを吸いながら他のお客さんと歓談していたピートのところにも(タバコを吸い終わるのを見計らって)行き、サインと写真をもらう。前日に僕がお土産として渡したフィリピン産のドライマンゴのことを「あれすごくおいしかったよ。あっという間に全部食べてしまった」とかわざわざ感想を言ってくれる。写真を撮るときにも、何度も「Nice to meet you」と言ってくれる。もちろんそんなのお世辞にすらならない単なる挨拶だけど、(こんなかっこいい奴に)こんなに嬉しそうに言われると、こっちも心底嬉しくなってしまう。

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あっという間の二日間だった。二人だからその場での咄嗟なリクエストができないとか、ジムの曲がどうしても定番に固まってしまうとか、ジムがちっとも新曲を披露しないとか、リラックスし過ぎたせいか歌詞忘れなどのチョンボが多かったりとか、小さな不満がないわけではないけれど、こんなに楽しいライヴを観られるなら、そんな不満なんて全然たいした問題ではない。ゴールデンウィークなんてとても無理だろうけど、また近いうちに来てほしいな。まあ、僕がマイレージを使い果たしてしまわない程度の頻度でね。
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2013年02月17日

Jim Boggia & Pete Donnelly live in Kamakura Pt. 1

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2013年海外追っかけ企画第一弾。下手な日本人アーティストよりも日本ツアーの回数が多いことで知られるジム・ボジアが、去年の6月以来となる来日公演を行うのに合わせ、マニラから片道4時間(プラス成田〜鎌倉約2時間)の道のりを駆けつけた。今回のツアーは、フィグスのベーシスト、ピート・ドネリーとのジョイント公演。

「フィグスの」とは書いたものの、僕はフィグスのことなんて90年代の一時期にグレアム・パーカーのバックを勤めていたことぐらいしか知らないし、彼が一時的に在籍していたNRBQもろくに聴いていないから、去年出たソロアルバムがほぼ僕の持っている彼の全音源。それなりに予習してきたけど、果たしてどれだけわかるものか。

一週間前の東京に始まり、日本各地でほぼ毎日のように公演をこなしてきた二人の、この週末の鎌倉3Daysが最終公演となる。3Daysとは書いたものの、金曜日の公演はわりと最近になってから急遽発表になった追加公演。二人で(事前リクエストに答える形での)カバー曲だけを演奏するという興味深い催し。くーっ、それを先に知っていたら、マニラからのフライトをあと半日早めたのに。残念ながら僕が成田空港に降り立ったのは、ちょうどそのカバー曲大会が始まったのと同日同時刻だった。

いつものように開場時刻より少し前に鎌倉に集合し、初日の東京公演・前日のカバー曲大会に参加した友達からそのときの様子を聞かされつつ(あの曲もあんな曲も演ったなんて)、事前の腹ごしらえ&アルコール摂取。

ボジアのライヴでよく見る面々と一緒に入場し、カウンター近くでセットリストを作成しながら話しているジムとピートに挨拶。嬉しいことにジムは僕の顔を覚えていてくれたようで、「やあ、来てくれたの」と向こうから声をかけてくれる。「今マニラに住んでいるんだ。このライヴのために飛んできたんだよ」と言うと、サービス精神旺盛なジムらしく、大げさに喜んでくれた。

ピートもセットリストを書く手を休めて向こうから握手をしてくれ、「名前はなんていうの?」と聞いてくれる。「yas」と答えると、ジムが「ああそうだった、Y-A-S-Sだよね?」と言うから、「いや、それは別のYassさん。僕はSが一つ。ややこしいよね」と、その後しばし談笑。

セットリストを指差しながら「今日はリスト決まってるなら、リクエストなんて駄目だよね?」と聞いてみると、ジムが「いや、そんなことはないよ。言ってみて」と言うから、「じゃあ、NRBQの『Me And The Boys』できる?」と聞くと、ジムは「それはお前の担当」と言わんばかりにピートの方を見る。ピートは「うーん、あの曲は歌ったことがないんだ。それにあれほとんどドラムがメインだから」と。「じゃあ、デイヴ・エドモンズのカバー・バージョンがあるよね。あれならギターメインだし」としつこく振ってみるけど、今度までに練習しとくよ、とかわされた。

「それなら、『Chalk One Up For Albert's Side』は?」と聞いてみたら、ジムがその曲がどんな風に二つのコードを同時に重ね合わせて(?)複雑に演奏されているかを説明してくれた。あんまり難しくてここに正確に書けるほど覚えていないけど、「(その曲でメインに使われている)ピアノで演奏するのは無理だけど、明日の昼にギターで練習してみて、できそうなら明日演ってあげるよ」とのこと。「じゃあ、あの印象的なベースはピートに弾いてもらってよ」とさらに無理強い。ピートも「うーん、曲は知ってるけど」とちょっと自信なさげ。果たして、最終日にこの曲を演ってくれるだろうか。

「今回ってほんとに僕らのライヴのためだけに来たの?」と聞いてくれるから、「いや、たまたま翌日にベン・フォールズ・ファイヴのライヴがあるから、それも観てから帰る」と言うと、ジムはBFFがいかにロバート・スレッジがメインのバンドであるかを切々と語りだす。「それに、あのドラマーも凄いよね。名前何てったっけ(ダレンです)ああそうそう、ダレン、あんな凄いビートを叩き出す奴もなかなかいないよ」みたいな。ベンは?「BFF好きなんだ。じゃあ、何かカバー演ってよ」と振ると、0.1秒で「無理。あんなピアノできない」と却下。

明らかにセットリスト作成の邪魔をしているので、「じゃあ、続きはライヴの後で」と、自分の席に戻る。ライヴは、定刻の19時をちょっと回った頃に始まったかな。ちょっと遅れたのは僕のせいでなく、その後もいろんなお客さんと話していたジムのせいだと思う(ことにしよう)。

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まずは、ピートがフェンダーのテレキャスター、ジムが同じくフェンダーのマスタングベースを抱え、ピートのリードヴォーカル曲から開始。予想通り、付け焼刃の知識だとピートの曲名はほとんどわからない。噂通りの阿部寛似。背丈はジムよりちょっと高い程度だから180もないと思うけど、顔が小さい。というか、顔の面積に対してやたら目鼻がくっきりしてるから余計に小さく見えるんだな。ジムのベースは、コードに沿って基本的な音を押さえているだけのようだけど、まあこの人は何をやらせてもサマになるよね。

ピートが2曲歌った後、お互いの楽器を交換して、ジムの「Bubblegum 45s」、さらにジムがピアノに移って「Let Me Believe」、またギターで「Annie Also Run」と定番曲が続く。今回の来日前に、僕がこれまでに見た5回のジムのライヴ(4人編成の1回を含む)で、どの曲を何回演奏したかをリストにしてみたら、「Bubblegum」はソロ公演の4回、「Let Me Believe」と「Annie」は全5回で演奏しているほどの超定番。なんでそんな暇なことをしたかというと、今回はこれまでライヴで聴いたことのない曲をリクエストしてみようと思って(それがあっての「Albert's Side」話)。

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ピートはさすが本職のベーシスト、しかも色んなアーティストのバックを勤めてきた経歴の持ち主だけあって、ジムの曲に合わせて実に綺麗なベースラインを入れる。時折ベースギターを持ち上げるようにして弾くのがまたかっこいいね。まあ、かっこいい人は何やらせてもかっこいいと。

その後もジムがギブソンのアコギにピートがベース(あるいはテレキャスター)など、様々な組み合わせで楽器をとっかえひっかえしてセットが進行する。ジムがアコギのソロで演った曲(確か「Annie」?)のときには、ピートはたまたま空いていた客席に座ってご観覧モード。ゴーティならではの風景だよね。ピートの曲名はなかなかわからないけど、彼のソロ『When You Come Home』で僕が今のところ一番気に入っている「Can't Talk At All」はピート2度目のリードパートで演ったかな。

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お互い(確か)6曲ずつの持ち歌を演奏したところで前半終了。1時間弱といったところか。休憩時間も沢山のお客さんと延々と話しこんでいたジムとピートのせいで、ほとんど30分ぐらいあった途中休憩を挟んで、後半はジムの「Made Me So Happy」からスタート。

アンプの上に無造作に置いてあったセトリのせいで、後半1曲目がこの曲だというのはわかってしまっていたんだけど、次に書いてあった曲名「Once」をちらっと見たジムは、なにやらあやしげな即興曲を歌いだす。「♪このカポをどこにつけよう」「♪この曲にカポはいらないんだった。ピートにあげよう。ピートはカポを使うかな」みたいな可笑しな歌詞を次々に繰り出し、ピートもつられてベースの(結構上の方、11フレットあたり?)にカポをつけて伴奏。ああおかしい。

引き続き、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの「Just The Two Of Us」を突然歌いだすジム。ピートも慌ててベースで合わせたりしてたけど、完奏せずに終了。ジムはそのまま(セトリにはなかった)「To And Fro」へ。なんだ、「Once」やらないのか。終了後に訊いてみたら、「あー、今日の喉の調子だと『Once』は無理。最後絶対に声出ないし」だって。「明日演るよ」という言葉に期待。

第二部はピートもフィグスの曲(「Some Desperate Measure」って言った?)などを交えつつ、前半よりもかなりいいペースで進む。僕にとっての後半最初のピークは(さっきのカポの即興曲を別にすれば)、ジムが「昨日のカバーソングナイトではこの曲を演奏しようと思っていたけど演らなかったんだ」と言いながらアコギで弾き始めたポール・マカートニーの「Junk」。ああこれ、いつか機会があればジムに歌って欲しいと思ってたんだ。よくぞ昨日演らないでおいてくれたものだ。大好き、この曲。

そして、後半最大のピークは、ピートが「これは僕が少しの間在籍したバンドについてジムが書いた曲。あのバンドにいられたことはとても光栄だ」みたいなことを話し始めた時に訪れた。もちろん、「Listening To NRBQ」だ。ライヴ前の飲み会で、「前にやった人生の20曲、今の僕ならこれを入れるね」と言ったほどに、僕にとっての存在が大きくなってしまった一曲。いつものジムの弾き語りもいいけど、ピートの雄弁なベースに支えられての演奏は最高だった。

「ああもう、これで終わってもいい」と思ったけど、最後に続けてこれも定番の「Several Thousand」。ちなみにこの最後の2曲も、僕が観た過去のライヴで必ず演奏している超定番曲だ。演奏終了後、「アシタノバン」とか流暢なジムの日本語を交えて一旦ステージ(?)を下りたものの、ほとんど間髪入れずに戻ってくるジム。

この日初めてウクレレを持ち(プラグを挿してアンプにつないだのは今回が初めて?)、これも定番のブルース・スプリングスティーン「Thunder Road」〜「Over The Rainbow」のメドレー。いつ聴いてもいいよね、これ。実はマニラで現地製のウクレレをもらってポロポロ弾いているんだけど、目の前で見ているこの楽器がとても同じものだとは到底思えない。

「すごいね、それ」とか言いながらピートもステージに戻ってくる。「なんて素晴らしい観客なんだ。ここに住みたいよ。あ、それより君たちアメリカに来なよ」みたいなこと言ってる。ジムもいつも言う台詞だね。そりゃ、これだけ密接なライヴができたら、ずっとこれを続けたいと思うよね。僕もそう思うよ。アメリカには住まないと思うけどね。

ピートのソロ『When You Come Home』からタイトル曲を演奏し、一旦下がってまた出てきた二人は、最後にキンクスの「Waterloo Sunset」を。ジムの最新ライヴ盤『Ample Seating Available』とゴーティでのライヴ盤を彼のサイトから買ったらおまけで付いてくるCD-R『Handmade Live Rarities』の最後を飾るカバーだ。そのライヴ盤同様、観客にコーラスを求めるジム。例によってそんな高い声は出ない僕。隣に座っていたNさんは最初からしっかりコーラスを入れて、ジムに指差されてたね。

アンコールも含めた第二部はしっかり1時間以上演ったかな。最後の曲が終わってBGMのCD(最初はブルース・ヒューズの「Several Thousand」だ)が流れ始めてもほとんど誰も席を立たない。やがて、二人にサインを求めに行ったり話しかけたりする人がちらほらと。僕も頃合いを見計らって、持参したCDを持って行く。まずは、友人のRさんが持ってきた『Songs Of No Consequence』(ピートがプロデューサー)をきっかけにグレアム・パーカー話でひとしきり盛り上がる。ピートは「新しいアルバム聴いた?『Three Chords Good』」と熱心に話し出す。確か「Live In Shadows」が一番好きって言ってたかな。「もうグレアムとは一緒に演らないの?」なんて訊いてしまったけど、それは愚問というもの。なんといってもピート自身が「ルーモア再結成だよ。最高だね」なんて言ってたのにね。

僕は、グレアム&フィグスの97年のライヴアルバム『The Last Rock 'n' Roll Tour』のジャケにサインをもらう。裏ジャケの写真を見て、「これは確か20代前半ぐらいの写真だよ。この当時にしてもずっと若い。グレアムがどっかから探してきて載せたんだ」だって。

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その後、ジムのところに行って『4 Way Street』のジャケにサインをもらう。「これって何年のアルバムだっけ、結構古いよね」という話をしていたら、案の定脳内ダダ漏れジムにそのときの会話をそのままサインと一緒に書かれた。ちなみに、開演前にジムが僕と間違えていたYassさんへのサインは「君の名前は少し長いからインクを沢山消費するよ」というものだった。僕とジムがその会話をしていたときにはYassさんはいなかったから、彼にとっては完全に意味不明のメッセージだよね。たまたま帰り道が一緒になったので、説明させてもらった。(僕のせいでは全くないはずなんだけど)なんだか申し訳ないよ。

別れ際に「また明日」と言ってジムと握手をしてゴーティを後にする。実は今回は鎌倉2Daysだったので大船に宿を取ってあるから、もっと終電ぎりぎりまでいてもよかったんだけど、まだ先は長いからというのと、このブログを今晩中に上げてしまいたかったからというので(もう4時過ぎてしまった!)、早々に切り上げることにした。というわけで、明日の最終日につづく。

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2012年11月05日

Matt The Electrician live in Fuji

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この季節になるとかなり早い時間に日が落ちてしまう。20時開場の富士でのライヴ会場にたどり着く途中で雪を被り始めた富士山が見られるかなと期待していたけど、もうあたりは真っ暗。

生まれて初めて降り立つ富士駅。駅前にあるチェーン店の顔ぶれは地方駅でも東京でも同じだね。もちろん、この地方ならではの海産物を売り物にするお店もあちこちに見受けられるけれど。会場のネヴァーランドは駅からほど近い建物の、外から上がる階段を2階に上がったところにある、ほんとに小さなお店だった。

長方形の店のかたちに沿ってコの字型のカウンター。その手前部分だけに何脚かのスツールが置いてあり、向こう側には椅子が7脚とPA卓、あとはマットの楽器とマイクスタンドがところ狭しと設置してある。一番前の椅子に座るためにはマイクにぶつからないように注意しないといけないような至近距離だ。

開演時刻が近づくにつれて店は満杯になる。でもほとんどのお客さんはカウンターの演者とは反対側から場所を埋めていくね。最終的にはコの字の短辺の椅子のない場所にまで立ち見のお客さんが何人もいたから、全部で30人弱はいたことになるのかな。おそらく、今回マット・ジ・エレクトリシャンというアーティスト目当てでわざわざこの場所に足を運んだ客は、僕と一緒に行った友達の他にはあまりいなかったんじゃないだろうか。ほとんどのお客さんは顔見知りみたいで、きっとここでライヴがあるたびに集まってくるんだろうね。

なんだかこういうのいいね。まるでロンドンのパブやNYのコーヒーハウスみたいに、行きつけのお店で(きっと)名も知らぬアーティストのライヴを観て盛り上がるなんて。しかも、ゴーティー主催のライヴは結構な頻度でここを使っているから、(大変失礼ながら)こんな地方都市の小さなお店でこんな質の高い(でも一般的には無名の)アーティストのライヴを何度も観られて、富士の音楽ファンは相当目が肥えてしまうよね。

開演前に外の階段のところで一服しているマットのところに行く。「昨日帰るときにリクエストしてくれた曲は『Breathing』とあと何だっけ?」と、向こうから訊いてきてくれる。あれとこれと、それから今日新たにリクエストしたい曲もいくつかあるんだけどと、相手がきっちりセットリストを作ってライヴに臨むような人じゃないとわかった途端に図々しく何曲もリクエストする僕。「オーケー、それとそれはできるかどうかわからないけど、やってみるよ」と、一応承諾してくれた。はたして全部覚えていてくれるかな。

開演予定時刻の8時半を過ぎてしばらくした頃、他のお客さんや松本さんと歓談していたマットがようやくステージ(というものはないけど)のところに来てギターのチューニングを始める。昨日と同じ赤と黒のチェックのネルシャツの下に着ている赤いTシャツはさすがに昨日とは違うね。彼が腰掛けているのはスツールじゃなくてカホンだ。「これは座っていてしっくりくるね」とマット。曲によっては右足でカホンを叩いてリズムを加えていた。

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オープニングは僕の知らない静かな曲だった。終演後にマットに聞いてみたら「あれも新曲」。今回聞いたどの新曲も結構レベル高いよ。来年のアルバムが楽しみ。2曲目は昨日のオープニングだった「Accidental Thief」。

続いて弾き始めたイントロでわかった、僕のリクエストした「I Will Do The Breathing」。去年の僕のベスト10の第九位だった『Accidental Thief』の粒揃いの曲の中でも、悲しげなメロディが際立つ名曲だ。歌い終えたときに、おそらくこの曲を知らなかった沢山のお客さんがひときわ大きな拍手をしてくれたのは、あながち僕の思い込みのせいではなかったと思う。

前半では他に「My Dog」とか「Osaka In The Rain」とか演ったかな。1曲僕の知らない曲があったからまた新曲かと思っていたら、演奏後にカバーだと説明。説明されても知らない人だったけど、松本さんのツイートによると、アーロン・リー・タスジャン(Aaron Lee Tasjan)という、ニューヨークドールズの再結成に参加したギタリストの「Summer Of Legs」という曲だそうだ。マットが「ニューヨークドールズに参加していたギタリストで当時19歳、今でもまだ若くて26歳ぐらい」と説明したときはてっきり冗談かと思ってたけど、再結成のときの話だったんだね。

「今日も45分のセットを2つ演るよ」と言っていたのに、最初の曲から30分ほどで「次が前半最後の曲」と言って「Milo」を始めた。途中にポール・サイモンの曲を2つとグレイトフル・デッドを挟む。確か去年の横浜でのライヴでポール・サイモン・メドレーを演ったのもこの曲だったかな。当時はまだこの人の曲を全然知らなかったからわからなかったけど。デッドを演ったのは、ちょうど演奏しているマットの真後ろにデッドのロゴのネオンがあったからだって。

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休憩時間中にマットに「前半短かったね」と言うと、「今日は後半しっかり長く演るから」とのこと。その言葉通り、後半は充実したセットだった。まずは、「Got Your Back」でスタート。

続いて、僕がリクエストした「Wish You Didn't Feel Like My Home」。地味でライヴ映えするような曲じゃないけど、これも『Accidental Thief』の中で大好きな曲。しっとりと滲みる。

さらに続けて、これもリクエストした「Permanent Record」。さっきできるかどうかわからないと言われた曲なのに、ちゃんと演ってくれた。スタジオバージョンではリズムボックスやらホーンやらがせかせかと入った曲だけど(それはそれでいいアレンジなんだけど)、素のメロディはコステロばりの名曲だと思う。これは是非弾き語りで聴いてみたかった。案の定素晴らしい演奏で、このときも大きな拍手が。

次が「College」で、その次が「Diaryland」だったはず。とにかく僕がリクエストした曲をこの第二部前半で立て続けに(きっと、忘れてしまう前に)ほとんど演奏してくれたのが嬉しかった。マットは特に何も言わなかったけど、僕にとっては一大リクエストコーナーだった。いやー、満足。

小さなバンジョーを“バンジョレレ”と紹介し、昨日同様「Animal Boy」を。でもこれが最終曲というわけではない。続けてスタンダードの「On The Sunny Side Of The Street」を。ユーチューブではもっとベタな(アバとかの)カバーが沢山観られるけど、この日は地味渋なカバーが多かったな。

「All I Know」を歌い終えたときに、何人ものお客さんがおもしろがってサビの「アウーー」ってところを繰り返して歌ってたのが可笑しかった。

この日は常連のお客さんの一人の誕生日だったらしく、「Happy Birthday」を歌う一幕も。そして、「最後の1曲」と言い、左膝に置いた歌詞を見ながら、ピーターパンの「I Won't Grow Up」を、観客にコーラスを要求して歌う。途中の「I will never grow a mustache」って歌詞が可笑しかったね。

アンコールに答え、「じゃあもう1曲だけ」と言って、カバー曲をファルセットで。これも知らない曲だったので終演後にマットに訊いて、それでもわからなかったから紙にメモしてもらった。メルヴァーン・テイラー(Melvern Taylor)の「Sad And Blue」という曲だそうだ。このアンコールも含めて後半は1時間超。合計で辻褄合わせてくれたね。

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マニラから持参した『Made For Workin』のジャケに、前日鎌倉の文房具店で買った白い油性ペンでサインをしてもらう。このどう見ても「nb」としか読めない簡単なサイン、本人によると「Sever」と書いてあるんだそうだ。でもどの部分がどう「Sever」なのかは本人にも解読不能(笑)

「リクエストした曲ほとんど演奏してくれてありがとう。でも『For Angela』は演ってくれなかったね」と言うと、「うん、あの歌詞は日本人にはきっと難しいから」と。まあそうだね。今度いつかアメリカに観に行ってリクエストすることにするよ。

帰り際、「マニラまで気をつけて帰って」と言ってくれる優しいマット。「来年も日本に来てくれたら観にくるから。またそのときに」と言い残して、もうすっかり寒くなった道を富士駅に向かった。
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