2015年04月29日

Sin Fang / Soley / Miaou live in Tokyo

3月末からのコンサートラッシュ。グレン4デイズに始まり、急きょ決まったピート・ドネリー、そしてこのシンファン&ソーレイ2デイズ。さすがにひと月に7回は体力的にも金銭的にもきついけど(あとこうして各ライヴの後に長文レポート書くのもきついけど・苦笑)、こんなメンツが次々に来るならやむをえない。そうして、4月25日の土曜日、金銭的に余裕のある大勢の音楽ファンが東京ドームに集結している中、僕はひとり渋谷に向かった。

物販が充実しているというインパートメントのsinさんのツイートを見て、ちょっと早めに出かけてみたものの、O-nestのエレベーター前には準備中なので一階で待ってなさいとの立札が。あれ?ネストってそんなシステムだっけ。よほど物販の準備が大変なのかな。

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やがて開場時刻になり、エレベーターで六階へ。たしかに、このフロアの右側ほぼ全部の壁を埋めるぐらいの、ICELANDia(ずっと昔にこのブログでちらっと触れたことのあるアイスランド専門サイト)、Miaouコーナー、インパートメントコーナー(というか、Sin Fang & Soleyコーナー)のテーブルがずらりと並ぶ。でも、最近たまに利用するライブポケットのシステムは整理番号がないから(せっかく発売時刻ちょうどに申し込んで印刷してある番号はかなり若かったのに)、テーブルの上のCDやらTシャツやらを眺めながら開場を待つ。

もうすでに押していたせいか、そんなに待つこともなくすぐに入場できたので、ドリンク引換券でジントニックをもらって場内へ。まだあんまり人もいないので、一番前まで行ってステージに腰を下ろさせてもらった。まだこれから長丁場だからね。目の前には、もうこれで三度目になるのですっかり見慣れた小さなぬいぐるみが沢山乗ったキーボードが。

開場から開演まで30分というのは楽でいいなと思っていたのに、7時になっても誰も出てこない。結局ベースのまゆみさんから順番にステージに出てきて楽器の調整を始め、演奏が始まったのは7時を15分ほど回った頃だったろうか。

あいかわらずインストゥルメンタルばかりでちっとも曲名を覚えられないけど、あいかわらずの盤石の演奏。三人のメンバーがそれぞれ同じ曲の中で忙しそうに複数の楽器を操り、複雑な長尺の曲を淡々と演奏する。キーボードがすぐ目の前だったので弾いてるところがよく見えたんだけど、ループを使えば簡単に済ませられるようなフレーズもずっと指で弾いてるんだね。そういう実直なところにまた好感が持てる。

三年前に初めて観たライヴで初めて見ていいなと思ったギブソンのリッパーベースに代わって、赤いフェンダーのムスタングになってる(終演後にその話を本人にしたら、好みが変わったからと言ってた。僕はあのリッパーの音も好きだったんだけどな。というか、音の違いなんてほんとはそんなに聴き分けられてないんだけど)

曲ごとにほんとに忙しそうに小さなキーボードをつないだり、アイパッドでなにやら調整したりしてる。途中で一曲、ギターのたつきさんがもうイントロの音を出し始めてるのに、まゆみさんのキーボードから全然音が出なくてやり直したのがあった。まあそんなささやかなミスを除けば、僕はこれまでに観た彼らの三回のライヴの中では一番よかったんじゃないかと思った。「これが最後の曲です」と言われて、なんだもう終わるのか、もっと聴きたいと咄嗟に反応してしまった前座を観たのなんていったいいつ以来のことだろう。


たくさん人が出てきて大急ぎでステージじゅうのいろんな楽器を片づけ、ドラムキットも組み替えて、ソーレイのセットにそなえる時間が結構かかった。三人しかメンバーがいなくても楽器の多いバンド(特に床置き系の楽器)は大変だね。ソーレイのステージはキーボード(これも沢山のケーブルがあちこちで複雑に絡み合ってる)とドラムス、それにMiaouのたつきさんのギターがそのまま置いてある。シンファン用のシーケンサーももう用意してあるから、途中で一緒に演ったりするのかな。

大きなメガネをかけてもっさりしたポニーテール風の髪を後ろで束ね、緑や橙のアースカラー系のカラフルな色合いのすとんとした形のワンピースといういでたちでソーレイが登場。アンチョコを見ながら「こんな晩は」と言い出すからなにかと思ったら、「こんばんは」だった。つづけて「わたしはソーレイです」とかひととおり頑張って日本語で挨拶し、「この紙は次にまた来るまで取っておこう」と言って後ろのアンプの上に置く。

ほとんどの曲をキーボード、たしか1−2曲はギターを弾きながら歌う。最初にファーストアルバム『We Sink』からの曲を何曲か続け、さっき物販で見かけた新譜『Ask The Deep』からの曲も途中で織り交ぜる。新譜の紹介のときに、これはまだリリースされてないけど、外で売ってるから、いや外と言っても本当の外でなくて建物の内側で、とかなんかアイスランド訛りの強い英語で一所懸命しゃべってるのがかわいい。「もし聞きたかったら持っていくという手もあるけど、お金を払わないと泥棒だから」みたいなことも言ってたかな。「酒を飲みすぎちゃった」とか、シリアスそうな曲の合間にたくさん軽口をたたいて、「私はしゃべりすぎだね」って。

しっとりとしたピアノ(キーボード)弾き語りの曲もあれば、その場で発した音を次々ループに重ねて複雑な伴奏にしたうえでビョークぽい雰囲気のちょっと不思議な歌を歌うこともある。曲によって、すごくいいと思うものもあれば、ちょっとこれは今の自分には合ってないなと思うものもあり、外で売ってたアルバムを買うかどうか迷う。

曲が終わるごとに「ありがとっ」てかわいい言い方で挨拶。「日本人はとても礼儀正しいね。アイスランド人は全然そんなことないよ」っていったい何回言っただろう。こうして見てる限りは、とても礼儀正しく見えるけどな。一所懸命日本語話そうとしてくれるし。突然「ノリノリだぜ」とか言ってまた笑わせるし。

新曲を紹介するときに「次の曲のタイトルはDeeper、あ、違った。もっと長いタイトルにしようとして別の名前をつけたんだった。でも、やっぱり自分にとってはこの曲はDeeperなので、今になって失敗したと思ってるの。アルバムを買ったら、タイトルを線で消して上からDeeperって書いておいて」と言ってた曲は結局なんていうタイトルだったんだろう。

途中で一曲「スペシャルゲストを呼ぶよ」と言ってシンファンを呼び出す。なんだか眠そうなシンファン。二人で冗談を言い合いながら、曲目をコールするときに二人の声がかぶってしまい、またクスクス笑う。仲いいね。この曲はシンファンはシーケンサーをいじりながら(どの音が彼が出してるのかあんまりよくわからなかったけど)、地味なコーラスを入れただけですぐにステージを降りてしまった。あらら、控えめなスペシャルゲストだこと。

あいかわらずこの会場は上だか下のフロアからの音が結構漏れてくる。とくにこういう静かな音楽のときは。ソーレイは「パーティやってるね。これ終わったら行こうか」とか言ってたかな。ああ見えてパーティ好きなのかな。ノリノリだしね(笑)

「ソロのライヴは久しぶり」って言ってたかな。「あ、でもソロじゃないな。ドラマーもいるし。彼はキャルタン(元シガーロスのあの人と同じ名前なんだけど、いわゆる“キャータン”ではなく、もっとかなり強くRの音を発音するというのがわかった)、ソロじゃなくでデュオだね」と。そのキャルタン、リムやハイハットやその上に乗せたタンバリンなんかをカツカツシャリシャリと叩くことが多く、決して手数が多かったりパワフルなドラマーというわけじゃないんだけど、こういう雰囲気の音楽によく合ってるね。さすがシーベアからずっと一緒に演ってるだけあって、息もぴったり。

ソーレイもMiaouと同じぐらいの30分ステージだったかな。もうちょっと長かったっけ。彼女がステージを降りたのが確か8時半ぐらいだったと思う。シンファン用の楽器はもうセットしてあるから、すぐに出てくるだろう。と思ってたけど、意外に待たされ、結局シンファンがステージに現れたのはもう9時近かったはず。それとも、待たされたと思ったのはその時点で既に二時間近く立ちっぱなしで腰にきていた僕の錯覚か。

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スタスタとステージを横切り、「ハロー」と言いながらシーケンサーのところに来て、なにやらつまみをいじって音を出し始める。長袖シャツの袖口のところから刺青が見える。もしや両腕びっしりと刺青なのかな。一曲目は今のところの最新作『Flowers』から「Look At The Light」。なんだけど、そう言われても咄嗟にわからないぐらいアルバムとアレンジが違ってた。これ結構好きな部類の曲だったはずなんだけどな。

たしかその次がファーストソロ『Clangour』からのほぼタイトルトラック「Clangour And Flutes」。これも歌メロはそれとわかるものの、アルバムバージョンとかなり違う気がする。僕の聴き込みが足りないのかな。その後もよく知らない曲が続く。むー。いくらグレンとピートで忙しかったとはいえ、それなりに予習はしてきたつもりだったんだけど、ここまでわからないとは。それとも、もしかしたらこれも知ってる曲のアレンジ違いなのかな。

「いま新しいアルバムを作ってるところで、一旦アイスランドに帰ったらすぐにアメリカに飛んでミックスをするんだ」と言ってたから、たぶんこの日に演った曲の多くはそのアルバムからだったのかも(実際、何曲かはその新作からと紹介してたし)。

まあ、曲がわからなくても別につまらないわけではない。両ひざをせかせかと交互に軽く曲げてリズムをとりながらあいかわらずせわしくシーケンサーのつまみをあちこち動かしていろんな音を出すシンファン。演奏中はほとんど無表情で中空を見つめるように歌う。そしてここでもリムショットを多用して細かいリズムを刻むキャルタン。

途中で長袖を脱ぎ、白いノースリーヴのシャツだけになったときに腕の刺青が見えた。びっしりというより、小さなイラストみたいな刺青が両腕のあちこちに入れてある。いかにもシンファンが自分でデザインしたと思われるピラミッドとか動物のイラストや、腰骨みたいなデザインとか、よくもまああんなに沢山と思えるほど。

「新作には何人かのゲストヴォーカリストが入ってて、ソーレイもそのうちの一人なんだけど」と、いくつめかの新曲を紹介するシンファン。「別の曲にはシガーロス(これもほとんど“シグロス”ってぐらいの発音に聞こえた)のヨンシーも参加してくれているんだ。今からその曲を演ろうと思うけど、今日は彼がいないから、彼が参加する前までの古いバージョンにしよう。だって僕はあんな“アーーーッ”なんて甲高い声は出ないからね」と笑わせる。その「Candyland」って曲は複雑な伴奏といい、ちょっと印象に残ったな。ヨンシーの声入りのファイナル版が楽しみ。

「次が最後の曲。Young Boys」だって。なに、もう終わりなの? せっかく知ってる曲が出てきて嬉しいけど、これはあまりにも短いんじゃないか。前に出た二組とそんなに変わらない長さだよ。これはちょっと物足りないな。当然のごとく沸き起こるアンコールの拍手。そして1分もしないうちにすぐさま出てくるシンファン。予定調和。

一旦こっちのシーケンサーの方まで歩いてきて、思い直したかのようにソーレイのキーボードのところに戻る。「ピアノはあんまり得意じゃないんだ。うまく弾けるかな」と言いながら、本編でも演った「Walk With You」のピアノ・ヴァージョンを静かに歌いはじめる。

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曲名がわからないとか書いてたのになんでそんなヴァージョン違いがわかったのかというと、終演後にシンファンから直接色紙にセットリストを書いてもらってたファンの方がいて、その色紙の写真を撮らせてもらったから(でも、この「Never Let Me Go」という曲はもっと早く演ったはず。「Never Let Me Go」とか「Please Don't Go」とか似たタイトルの曲が多いなとライヴ中に思ったのを覚えてるから)

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てっきりシンファンがフルにセットをこなして終演が10時半ぐらいになるかと身構えてたのに、この時点でまだ10時にもなっていない。階段を上がり、ものすごい人数がごったがえすフロアで物販コーナーをようやく物色。たくさんあると嬉しいね。ソーレイのアルバムはどうしようかな。ちょっと聴いてはみたいものの、二枚のLPがそれぞれ3000円と3500円というのはちょっと気軽には決断できない。かといって目の前にLPが売ってるのにCDで済ませるのも許せないし。

シンファンのもシーベアのももう全部持ってるから、ICELANDiaのテーブルに行く。小倉さん(ネットではもう七年も知ってるつもりだったけど、初めてお会いした)にいろいろお勧めしてもらうけど、音も聴かずに2500〜3000円のCDはちょっと気軽に決断できない(こればっかり)。シンファンが自分でイラストを描いたTシャツもほしかったけど、もうこれ以上うちにTシャツを増やしてどうするのかという気もするし。

Miaouのコーナーで自ら手売りしていたメンバーに、家から持参したCDにサインをもらい、一緒に写真も撮らせてもらった。あんまり見たことのなかったEPを一枚だけ買い、ちょっと物販の波がひと段落ついて落ち着いたみなさんと話すこともできた。やっぱりシンファンのこの日のアレンジは、それまでの京都や名古屋公演からはずいぶん変えてきていたそうだ。

シンファンのサインの列が異様に長い。なんでかなと思っていたら、ひとつひとつのジャケットにサインだけじゃなくて沢山のイラストやらコメントやら描いてくれてた。僕の『Flowers』もこんなにぎやかなジャケになってしまった。もう何十人にもそんなサインやらイラストやら描いて、写真も一緒に撮って話もして、さぞかし疲れてるだろうに、ずっとにこやかに相手してくれる。

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そんな感じでほぼサイン会が終了するぐらいまでいてしまったから、せっかく10時前にライヴが終わったのに、家路についたのはもう終電間際みたいな時間だった。まあいいや、シンファンともMiaouのメンバーとも結構ゆっくり話せたし。とりあえず一旦家に戻って、翌日また来よう。



というわけで、もうこのまま二日分続けて書いてしまおう。4月26日(日)、シンファン&ソーレイ日本ツアーの最終日。この日は前日よりも開場・開演が一時間早かったので、前日よりちょうど一時間早い電車に乗って渋谷に向かう。前日の小さなバッグではなく、この日はシーベアの『The Ghost That Carried Us Away』のLPを入れた大きめのメッセンジャーバッグを肩にかけて。また一階のエレベーター前で待たされるのはわかってるけど、だからといってゆっくり出かける気分になんてなれない。

もうそこからデジャヴのように前日と同じ光景が繰り返される。物販のテーブルを横目で見ながら列に並び(この日は演奏しないMiaouのCDはもう置いてなくて、代わりにシンファンデザインのTシャツが増えてた)、開場と同時に手の甲にスタンプを押してもらって下のフロアに行く。

前日とは反対側のソーレイ側で観ようか、いやまだ真ん中も空いてるから正面から観ようかと迷いつつ、結局モスコミュールのカップを片手に前日と全く同じ場所に陣取ることにした。反対側からだとパソコンが邪魔になってシンファンのことがよく見えなさそうだったから。

ライヴの代わりにこの日はMiaouのお二人(ひろみさんは欠席)で開演前のDJタイム。僕は知らない曲ばっかりだったけど、気持ちよかったね。30分強の待ち時間があっという間。さすがに前売りが売り切れただけあって、この日は前日にも増してフロアを埋めた客数が多かったように思える。一番前から振り返って見ただけだから、正確に何人ぐらいいたのかわからないけど。

この最終日はMiaouのセットがないかわりに、二人のセットがそれまでの公演よりも長いということなので、昨日とはセットリストを変えてくるかなとちょっと期待(実は、前日の終演後にMiaouのまゆみさんから、シンファンがソーレイのセットに客演したこと以外は、そこまでの三公演でセトリがずっと一緒だったことを聞いていたから)

前日より若干早く、6時を10分ほどまわったところでソーレイとキャルタンが登場。「マイネームイズソーレイ」と話し始め、途中で「あ、日本語で挨拶するのを忘れてた」とメモを取り出す。練習したのにまた「こんな晩は」みたいな発音になってたね。

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この日は演奏していないMiaouのたつきさんのギターで「Smashed Birds」を弾き語りするところから、前日とまったく同じセット、ほぼ同じMCが繰り返される。まあ、二日続けて来ているようなファンはそう沢山はいなかっただろうから、同じ展開だろうと特に問題ではないけどね。というか、むしろ僕にとっても、前日のがいい予習になって、この日はそれぞれの曲の歌詞や構成をよりじっくり聴けてよかったと思う。

お客さんの反応はさすが満員だけあってこの日の方がよかったかな。例の「ノリノリだぜ」で爆笑され、「ねえ、ノリノリってそんなにおかしな言葉なの? なんか失礼なこと言った?」とちょっととまどうソーレイがかわいい。Miaouのまゆみさんに教えてもらったって言ってたかな。たしかに、シンファンが言うよりソーレイが言った方がおもしろい。

そのシンファンをまたステージに呼び出すときに「シンジャ」って呼んでた。「彼はシンファンだけど、日本にいる間はシンジャなの」って。あ、それは忍者とかけてるのか。昨日からの間にそういうギャグが二人の間で流行ったのかな。あとは、日本は人が多すぎ、アイスランドには32万人しかいないから、日本で言うと一軒の家に入るぐらいだとか冗談言ってたね。

ソーレイは前日より一曲多かったかなあ。もともと曲がわからないからよく覚えてないや。でも、前日より長めに演るって聞いてたのに、また40分ほどでステージを降りてしまったのはちょっと残念。まあ、つい最近グレンみたいなアドリブありリクエストありのフレキシブルなライヴを観てしまっているからこっちがやや贅沢になってしまってるんだろうけどね。

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実は、前日にライヴを観て、帰ってからユーチューブ観て、さっき「二枚のLPがそれぞれ3000円と3500円というのはちょっと気軽には決断できない」なんて書いてた気持ちがどんどん小さくなっていって、この二日目のライヴにでかける直前にSin君に「やっぱり買うから売り切れる前にLP取り置きしといて」とメールしてしまっていたんだ。


ステージ上の楽器類はそのまま、ソーレイが袖に引っ込んでほどなくシンファンが出てきた。今日は黒のボトムにナイキのロゴの入った黒のノースリーヴ。にぎやかな両腕のタトゥーがよく見える。僕の位置からいちばんよく見える右ひじのところのタトゥーは腕を伸ばせば馬みたいな動物に見えるし、肘を立てたらFという文字にも見えるな。

シンファンのセットリストも前日とほぼ同一。出だしの音がとんでもなく馬鹿でかくてびっくりした。途中でたしか一曲多く演奏したかな(たぶん、さっき載せた写真のセトリには入ってた実は前日演奏してなかった「Lost Girls」をこの日は演ったと記憶してるんだけど)。ソーレイ同様、前日は一風変わったアレンジも含めてちょっと戸惑ったのが、この日は安心して聴けたという利点はあったけれど、演奏自体は前日の方がよかったかな。でもお客さんの反応はこの日の方が上だったとも思うし、いろいろ総合するとどちらかの日が飛びぬけてよかったというわけではなかったかも。

本編ラストでソーレイを呼び出して三人で「Young Boys」を演奏したのはこの日が初めて。その後すぐに出てきたアンコールでキーボードに向かったのは前日同様だけど、この日は最初に『Summer Echoes』から「Two Boys」を演ってくれた(これがまた、すごくよかった)。そしてラストは、ピアノヴァージョンの「Walk With You」。

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なんかあっという間に終わってしまった。一時間早く始めてこんなに短く終わるんなら、今日もMiaouに演奏させればよかったのに。なんかちょっと物足りない。まあその分は、また上のフロアでだらだら時間つぶして埋めよう。

ソーレイのLPはもう二枚ともライヴ前にゲットして、Sin君に発売前のピーター・ブロデリックを売りつけられ(笑・ちゃんと買うつもりではいましたよ)、前日家に帰ってからICELANDiaのサイトで試聴して気に入ったCDを一枚買う。ああもう、最近ライヴ会場で買うCDの枚数が多すぎ。実はMiaouのも何か買おうかなと思っていたけど、この日はもう売ってなかったので散財せずにすんだ(笑)

前日の教訓を生かして、シンファンの列には早めに並ぶ。とはいえ、それでも20〜30分はたっぷり並んだんじゃないかな。まあ、列の前の方の人が楽しそうに写真を撮ったりしてるのを見てたり、自分の前に並んだ人たちとちょっとしたきっかけで話してたりしたおかげで、それほど退屈せずに過ごせたけど。

列に並んでる僕を見たシンファンが、「ああまた来てくれたのか」みたいな顔をして微笑んでくれる。前日は『Flowers』のジャケにアイスランド語で“会えてうれしい”みたいなことを書いてくれたんだけど、この日持参した『The Ghost That Carried Us Away』のLPジャケには“また会えてうれしい”というようなことを書いてくれた。

またたっぷりと時間をかけてラクガキしてくれたジャケットがこれ。このジャケを持ってフロアをうろうろしていたら、何人かのファンに「すいません、それ写メ撮らせてもらっていいですか」って言われたよ。たしかにかわいい。シーベアのLPなので、元メンバーのソーレイとキャルタンにもサインをもらった。キャルタンはなんでわざわざこんな濃い色の背景のところに書いて読みにくくするんだ。

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ソーレイにも新譜のジャケにサインをもらい、「ねえ、あのDeeperってのはどの曲?」と訊いて、ソーレイ本人にタイトル(「Follow Me Down」)を消して「Deeper」に書き直してもらった。やった、世界で一枚限定の本人公認オリジナルタイトルの入ったジャケ(笑)

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前日にも増して、たっぷりと時間をかけていろいろと話をすることができた。アメリカに行ってミックスするシンファンの新譜の共同プロデューサーがアレックスだとか、僕の来ていたTシャツから話が飛んだ某グループが今年の後半に来日するだとか(どこまでオープンにしていい話なのかわからないので適当にぼかして)、ソーレイはベジタリアンだとか(Sin君によると「でも寿司食べてましたよ」だって)、あとは何の話をしたっけな。こんなに楽しいなら、ライヴが短かったことぐらいいくらでも大目に見るよ。

そんなに頻繁に日本に呼べるようなアーティストじゃないだろうから(それだから多少無理をして、サーポールも振り切ってこっちに二日間来た)、もうしばらくはライヴで観られるようなことはないと思うけど、作成中のニューアルバム(「多分数年のうちに出ると思うけど、うまくいけば今年」と言ってたのは冗談だろう)が今から楽しみだ。
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2015年04月25日

Pete Donnelly live in Kamakura

また平日の夜。しかも鎌倉。しかも天気予報を裏切って降り出した雨。だけど二年ぶりにピート・ドネリーが来日して、この日が唯一のライヴだというなら、仕事も早々に切り上げて小雨に濡れながらでも行かなくては。幸い、調べてみたら鎌倉まで乗り換えなしで開場時刻直前にたどり着ける電車もあるようだし。

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ゴーティに着いてみたら、まだお客さんはほとんど誰も並んでいない。ピートは中でまだリハ中。階段を上がってきた僕の方を見て目で挨拶してくれる。入口の横には思ったよりたくさんのCDやらレコードやらTシャツが置いてある。『Face The Bird』のジャケT(色違いが三種類)に惹かれたけど、Sサイズしかなく断念。ここに来る前に買うのを決めていた、出たばかりのフィグスの新譜と去年サイトオンリーで出ていたピートのソロ2枚は在庫が十分あるようなので今すぐに確保しておかなくても大丈夫。

開場時刻間近になるとお客さんがぞろぞろと集まってくる。ほとんど、いつもこの同じ場所で顔を合わせる人たちばかりだ。結局、熱心に練習していたピートが荷物をまとめて楽屋(そんなものはないけど)に下がってゴーティのドアが開いたのは、開場時刻を5分ほど過ぎてからだったかな。赤ワインのグラスとゴーティ名物のカレーを注文し、席を確保。

この規模の会場で開場から開演まで一時間というのは結構時間を持て余す。周りは顔なじみの人たちばかりなのでお互いに近況報告などしていたけど、そのうちトイレに行きがてらセットリストを作っていたピートに声をかけてみる。「This Way The Back Doorはできる?」。セトリから顔を上げてにっこり笑うピート。「リクエストしてくれるなんて嬉しいな。その曲は実はライヴでは演奏したことないんだ。歌詞わかるかな」とか言いながら「ほかにリクエストはある?」と聞いてくる。ええと、咄嗟に曲名が出てこないや。ちょっと待って、ウォークマンで好きな曲のタイトルを確認してくるから。

僕が自分の席で次にリクエストしたい曲をチェックしている傍をピートが通り抜け、ギターを持って会場の外に出て行ってしまった。二つ目は「Hear It From Me First」をリクエストしてみようと思って外の階段のところまで追いかけていくと、そこでハミングしながら「This Way The Back Door」を練習しているピート。うれしいな。

「やっぱり歌詞わからないや」と言うから、携帯でピートのサイトに行って歌詞を検索してあげた。「ああ、そうだった。昨日ホテルで自分の曲をユーチューブとかで探そうと思ったけどうまく見つからなかったんだよ。このサイトでよかったのか」とピート。僕が「Hear It From Me Firstもできる?」と追加すると、「もちろん、でも歌詞を見せて」と。「あと、Low Flying Planesってどんな歌詞だっけ」と、次々に僕の携帯で検索するピート(でも結局この曲は演奏しなかったはず)。そのあともいろいろ話題を振ってくれるからしばらく話してたけど、ちゃんと練習してもらわないといけないので「じゃあまた後で」と自分の席に戻る。

開演。借り物だという赤いギブソン330を持ち、まずは「Got Caught Up」から。前回のボジアとのライヴではピートの演奏したかなりの曲がわからなかったけど、今日はどうだろうな。まあ、あれからフィグスのアルバムを集め始めたわけでもないから、ソロ曲しかわからないという僕側の状況は二年前から何も変わってないけど。

案の定、知らない曲がどんどん出てくる。もちろん、知らないからって楽しめないようなタイプの音楽ではないからそれほど気にはならないけど、つい最近全部の曲を知っててどれも口ずさめるようなライヴに行ったばかりだから、そういう意味ではちょっとアウェイ感。

ちょっと静かめな曲が始まったと思っていたら、あ、これは「Hear It From Me First」だ、と気付いた。これもあんまり演奏したことないって言ってたから、少し慎重に、丁寧に弾いていたね。弾き終えた後、「これは彼がリクエストしてくれたんだ」と僕の方を指す。「歌詞がわからないって言ったら、こんな風にささっと携帯で検索してくれたんだよ。それをこの紙に書き写してたんだ」とか。そして、続いて最初にリクエストした「This Way The Back Door」も続けて演奏してくれた。

この日はゴーティの16周年記念ということで、ハッピーバースデイを歌うピート。常連のお客さんの一人もちょうど誕生日だったらしく、16周年記念ケーキのろうそくをその人が吹き消してた。その方と、あと同じくこの日が誕生日だったジム・ボジアの名前もバースデイソングに歌いこんでいた。仲良しなんだね。次はまたボジアと一緒に来てくれればいいな。

ライヴ中に何度も「音大きすぎない?」とか聞きながらアンプのボリュームを調整したり、前日に到着して買ったという日本語のアンチョコを見ながら「たすけて」とか「火事だ」とか言って笑わせる、ほのぼのとした瞬間が続く。ホテルで自分の曲の歌詞をチェックしようとユーチューブを見たら“お住まいの地域ではこのビデオの閲覧は禁止されています”なんてメッセージが出て、「こういうのは誰に文句を言えばいいんだ。圭司か?」とかも言ってたね。

その松本さんに「あと何分ぐらいある?」と訊いて、「じゃあもう一曲だけ演ろう。僕は普段から二部構成のライヴにしてるんだ。でもアメリカでそうするのは、休憩中にみんな帰っちゃうこともあるから危険なんだ」とか言ってたっけ。第一部最後の曲が何だったか忘れたけど、客席を通り抜けて後ろに行くときに僕の肩をぽんと叩いていってくれた。

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10分ぐらいの休憩って言ってたのに、10分経っても全然始まらない。またピートのところに行って、さっきはリクエスト曲演ってくれてありがとうと伝えると、「こちらこそ、リクエストしてくれてありがとう。他にもある?」とまた訊いてくれるから、「えーと、じゃあOriginal Wonderかな」と言ったら、「ああ、それは普段からセットリストに入れてるから、もちろん演るよ」とピート。

「シャーラのことは紹介したっけ?」と、隣に座っていた奥さんを紹介してくれる。「そういえば君って、たしか前に来たときにドライマンゴ―くれた人だよね?」とピート。なんでそんなことを覚えてるんだ?びっくり。「彼女はカリビアンだから、ああいうトロピカルフルーツが大好きなんだよ」って、なんかこの人って、本当にそうやって話してる相手が嬉しくなるような話題をずっと振ってくれるよね。本当にいい人。

「前に、デス・ヴェッセル(Death Vessel)のアルバムのことメッセンジャーで質問したでしょ?」と言うと、「ああ、あれも君だったのか」とまた喜んでくれる。年末に友達の薦め(音楽通のその友達の2014年ベストだというから)で買ってみたそのアルバムのクレジットを読んでいたら、ベーシストがピート・ドネリーという名前だったので、これってもしかして貴方のことなの?って質問してみたら正解だったという話。

ヨンシーが参加して、アレックスがプロデュースしているその『Island Intervals』というアルバムとピートの音楽性がなんとなく自分の中では繋がらなかったんだけど、ピートによるとデス・ヴェッセルだけでなく、その中心人物のジョエルが前にやっていたストリング・ビルダーというバンドからずっと関わってきているんだって。さすがに某友達のお勧めだけあって、すごくいいアルバムだったよ。ピートも薦めてくれたから、ちょっとこのバンド掘り下げてみようかな。

そんなところからまた奥さんも一緒にどんどん話題が広がっていくんだけど、もうこれ以上休憩時間を僕のせいで延ばさせるわけにもいかないので、またそこで失礼して先に席に戻る(まあ、まだ外で煙草吸ってたりするお客さんも多かったから、誰もそんなに気にしてなかったようだけど)。結局、30分近く休憩して第二部が始まった。

リクエストした「Original Wonder」をはじめ、第二部の方が知ってる曲は多かったかな。「Can't Talk At All」では何人かのお客さんが手で膝を叩きながらリズムを取ってるのを見て、「ちょっとそのまま皆で手拍子してよ」と言って、演奏後に「こういうのがほしかったんだ」とご満悦。

「アメリカには車で売りに来るアイスクリーム屋さんがいてね、日本にもいるかな?(僕は知らない。小さいころロバのパン屋は来てたけど、そんな話をしてもしょうがないし)そのアイスクリーム屋の車から聞こえてくるメロディーがすごく印象的だったから、それをイントロに使った」と説明して始めた曲が「Behind The Train」。彼が1999年にカセットで出したというソロアルバムにボートラを追加して去年再発したCD『Another Day On You』から。

「もう一曲、同じアルバムから演ろう」と言って演奏したのが確か「Shooting Away」だったかな。そんな感じで、何かの曲を演奏したら、続けて同じアルバムから演奏することが多かったね。セットリストの写真撮ってくるの忘れたけど、実はかっちりと曲順を決めてたわけじゃなくて、今日自分が演奏できる曲をリストアップしてただけなのかな。それで、その場の気分で連想する曲を順番に演ってたとか。

第二部の途中で、「圭司がベースを弾けと僕にチャレンジするんだ」と言って、フェンダーのムスタングベースに持ち替える。これも常連のお客さんから借りたって言って、何度もお礼言ってたね。そういえば前回も同じベースを使ってて、そのときはボディの裏側にあるブルース・ヒューズとかいろんな人のサインを見せてたけど、今回それらのサインはもうすっかり全部消えてしまっていて、「ブルース・ヒューズはきっとまた来るから、今度は表にサインをもらえばいいよ」とピート。彼自身はこの日の最後にサインしてあげたのかな?

入口のところでLPを売っていた『Badger』というアルバムから二曲(「If I Lose My Heart」と「Smoking A Lot」だったかな。後者は松本さんに捧げるとか言ってた)、そのあともう一曲と言ってイントロを弾きはじめたけど、歌に入るところで歌詞が頭が抜けてしまったようで、咄嗟に奥さんのシャーラが客席から「♪I get the feeling」と歌ってあげて復活。ほほえましい。曲は『Face The Bird』からの「Toodle-oo」。

普段はフィグスで演るときはベースを弾きながら歌ったりしないのかな。確かに単純にリズムをキープするだけというよりは結構テクニカルなフレーズを弾くから、弾き語りをするのは難しいのかもしれないけど、僕は彼のことをベーシストだと思っていたから、ベースをリクエストされてチャレンジングだと言うのにはちょっと驚いてしまった。ギターの弦の押さえ方なんて、かなりベーシストっぽい感じだと思ったんだけどな。

雨が降っていたからか、平日なのに満員を少し欠くぐらいに会場を埋めたお客さんのせいか、もうこの頃になるとかなりの湿気で、窓も真っ白だった。「蒸し暑いね」とピート。「あ、でもここが嫌というわけじゃないんだよ」とまた気を遣う。

「サン・ラーのファンはいる?」と訊いたけど誰も手を上げない。ニューアルバムのタイトル『Other Planes Of Here』は、サン・ラーが自称する宇宙から来たミュージシャンというのに触発されて付けたって言ってたね。そのアルバムからも確か二曲。はっきり覚えてないけど、単独クレジットになっている「Oh My」と「The Cool Down」だと思う。

第二部も後半になってまた「誰かリクエストある?」とピート。間髪入れず「The Trench」と答えるお客さん。調べてみたらフィグスの『Slow Charm』というアルバムからだね。かっこいい曲だった。確かそれで第二部終了。リクエストなんてしなくても演奏するだろうと当然のように思っていたソロアルバムのタイトル曲二曲は結局演奏しなかった。

ステージは降りずに、「まだ時差ボケがひどいんだ」とか言いながら「あと一曲だけでいい?」とアンコールに応えるピート。そこでまたベースをリクエストされ、しばらく迷った後また僕の知らない(たぶんフィグスの)ちょっとスローな曲を演奏して終了。ライヴの最後っぽいムードの曲ではなかったけど、もうあのお疲れピートを見ると誰もそれ以上アンコールしようなんて気にはならなかったようだ。だって、そんなコンディションで、第一部も第二部もびっしり一時間ずつ演ってくれたんだからね。

ステージを降りるときに向こうから握手をしてくれた。たまたま通路のところに座っていたからというのもあるけど、うれしいね。そのまま歩きながら何名かのお客さんとも握手していた(さすがに福岡のグレンのように客席全員と握手するようなことはなかったけど)。

外で煙草を吸ってるピートのところに(吸い終わるのを見計らって)話しかけに行く。「Smoking A Lotを松本さんに捧げるだけじゃなくて、自分でも止めないと」と僕が言うと「もう今じゃほとんど吸ってないんだよ。ライヴの後とセックスの後だけ」とか言って笑うピート。そんな他愛のない冗談も含めて、この日は本当にたくさん彼と話すことができてよかった。別に僕が独占していたわけでなく、他のお客さんともいっぱい話してたから、本当に話好きなんだね、この人は。

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買った三枚のうちから最新のフィグスのアルバムにサインをもらい、一緒に写真を撮らせてもらって会場を後にした。まだほとんどの常連のお客さんは残っていたし、ピートもお疲れモードながら話しかければいつまでも会話を続けてくれたんだけど、平日の鎌倉から終電で帰るというのもちょっとタフなので、名残惜しいけど「今度はフィグスで来てね」と挨拶して、途中まで一緒に帰れる友達と、もうすっかり雨も止んで道も乾いた小町通りに降りて行った。
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2015年04月22日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 3)

行かない理由なら次から次へといくらでも出てきた。あの最高に盛り上がった東京公演二日目から一日の休みをおいて(こっちは仕事だったけど、ミュージックプラントさんのブログによるとグレンは家族で遊園地に行ったみたいだね)、追加公演の出た4月7日の火曜日。もう行かないと決めたからには行かない。でも、朝からなんだかそわそわと落ち着かなくて、同じく追加公演には行かないと言っていた友達にお昼休みについチャットで話しかける。「グレンもう帰ったよね」。友達「まだ東京にいるような気がする」。僕「グレンはもうロンドンに帰った。グレンはもうロンドンに帰った」。友達「むー」。僕「気になるのう」。友達「うむ」

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そしてその6時間後、当日券と一ノ蔵の枡を手に、僕はまたスターパインズの客席に座っていた。きちんと前売り券を買っていたさっきとは別の友達が仕事を急いで片づけて駆けつけ、「あら、どこかでお見かけしましたっけ」と隣の席に座る。「来ないって言ってたのに、yasさんいい人だね」。いや、別にいい人だから来たわけじゃない。と思う。その証拠に、お昼に話したNさんも遠路はるばるちゃっかり二階席に座っていた。みんな気持ちは一緒なんだよね。グレンがまだそこにいて、自分が絶対に行けないか無理すれば行けるかの二択になったときの答えが「行ける」であれば、ほかにどれだけ行かない理由があろうと、観に行かないなんて選択肢は目の前から消えてしまう。

オープニングは初日の福岡と同じ「Persephone」。続いて「The Elephant Ride」、「Ter-wit Ter-woo」、さらに「Tough Love」と、なんだか一巡して初日と同じセトリなんじゃないかと思ってしまうぐらい既視感、いや既聴感のある選曲(実際には曲順は初日とは違ってたんだけど、その場ではそこまで思い出せないからね)。しかし、さすがに四公演を済ませて、前日に休暇でジェットコースターにまで乗ってきただけあって、指さばきは日曜公演に引けを取らない流麗さ。

ただ、ちょっと声が出てないというか、日曜よりは若干体調悪そうかなと思っていたら、途中のMCで「昨夜は眠れなくて」なんて話してたな。しょうがなくて未明に散歩に出かけてようやく寝られたとのことだったけど、この一週間以上にわたる日本滞在のよりによって最後にきて時差ボケがでてきたのかな。それとも、ジェットコースターで興奮しすぎた? いや、グレンの調子というよりは、僕の主観かもしれないけど、フロアのお客さんが日曜に比べるとかなり静かな気がする(ひとり、ライヴの間ずっと大きな音で咳をしていた人もいたけど)。

レオンのパートは何かそれまでの日に比べて特筆すべきことはあったかな。登場してすぐにアンプから音が出なくて、グレンがあちこちの接続を一つ一つ調べてあげてたのがいかにもお父さんぽくて和んだとか。レオンはイギリスの外で演奏するのは今回が初めてという話だったけど、もうこれで4日目になるし、日本の客の雰囲気もつかめてきただろうから、リラックスして演奏できたかな。正直言って、レオンの曲で楽しめたかと訊かれたら、さすがに三日間同じセットを観るのはちょっとトゥーマッチだったけど、この超英才教育を受けた子がこれからどう成長していくのかを見守っていけるというのは、グレンのファン冥利につきるというかなんというか、ちょっと感慨深いね。

「Up The Junction」でグレン単独パートに戻ってからも、びっくりするほど初日の福岡公演と似たセトリが続く。カバー曲の「Wichita Limeman」とその紹介の仕方まで同じ。まあ、福岡とこの日の両方を観たのは、たぶん僕を含めて3人ぐらいだったろうから、特に問題のある人はいなかっただろうと思うけど(別に僕も問題視していたわけではない。だけど、もうちょっとレアなのも聴いてみたかったという気持ちがライヴ中ずっとつきまとってたのも事実)。

「Dennis」の曲紹介は日曜よりも詳細だったね。スクイーズが最初の解散コンサートをジャマイカだかどこかのフェスで演ったときにビーチボーイズが同じステージにいて、デニスが「君たちみたいな優れたバンドが解散なんてしちゃいけない」って言ってくれたときのことを話してた。グレンがブライアンのことを好きなのは知ってたけど、デニスとそんなつながりがあったなんて聞いたことなかったよ。あとは、「Rupert」がルパート・マードックのことだとも紹介してたね。西洋一の危険な男、とか言ってたっけ。

綴りの不明な「ウェイト」や「You」や「Haywire」といった未発表新曲を挟みながら、比較的冷静にセットが進む。もう僕もこの四日目になると、カポを12フレットにつけたら「Ray」で、13フレットなら「Chat Line Larry」だというのが、イントロを弾くより前からわかってしまうぐらいには馴染んでしまっていたけど、ある意味ちょっと演奏がたどたどしかった福岡公演(福岡だけに行った人、ごめん)のセトリを、一週間かけて練習しなおした指で再演しているなあと思いながら聴いていた。

そんな雰囲気ががらっと一転したのが、「Chat Line Larry」後半のかけあいの後、日曜で学習したのか楽譜台に歌詞カードを貼り付けて持ってきた「Ice Cream」から。それまで拍手はするけど歌うでも叫ぶでもなくおとなしく座っていたフロアのお客さんがちゃんと歌い終えたのを見て、こいつら実は歌える曲を待ってたな、と気付いたのだろうか。続けて「Piccadilly」を弾きはじめた。なんと、いきなりこの難しいやついきますか。結局、これは今回の来日では唯一この日だけ演奏したレア曲となったわけだけど。さっきの譜面台を後ろに投げたり蹴飛ばすフリして「ロックンロールだ」とか言ったりして。

でもみんなたどたどしいながらもがんばって「♪A heart like a gun was just a half of the battle」を一所懸命、できるだけ大きな声で歌ったよ。続いて「Best Of Times」(もうここまで来るとギターソロも冴えわたっていたね)、そして「Black Coffee In Bed」と「歌える」曲を連発。グレンも大声で歌う観客に触発されたのか、ここにきてすっかり本調子に戻った感じ。さあ次は「Annie」かな、と思ってたらそこで本編は終了。ああ、せっかく盛り上がってきたのに。

アンコール。「Pulling Mussels」に続いてレオンを呼び出すグレン。「この曲を一緒に作ったときは楽しかったよね」とレオンに言い、「あのときはね」と返されて苦笑い。「Bongo Bill」だね。そこからの流れは日曜同様。「Goodbye Girl」でのレオンのエフェクターノイズ調整はもう手慣れたもので、この日の方がずっと音楽的(?)だった。一度バックステージに下がり、再登場したグレンが「Another Nail In My Heart」で締めるのも日曜と同じパターン。ああもうこれで充分、と思っていたら、最後に「Annie Get Your Gun」が待っていた。これで最後とばかりに歌う観客。グレンも満足そう。ギターのリフもなんだかいつもと違う感じでアレンジいれまくってるし。


サイン会のグレンは本当にお疲れに見えた。相変わらず飲んでいるのはアダルトウォーターだったけど、もういかにも疲れたので早く休みたいといった風情。ウェズリーもサイン中に飽きてしまってうろうろと歩き出してしまう。しょうがないね、なんでこんなに何百回も異国の文字で自分の名前を書かないといけないかなんてまだよくわかってないだろうし。

サイン会なんだけどさ、本来は物販で売っているCDとかをちゃんと買ってそれにサインをもらうのが筋というものだと思うけど(物販で売っているCDはもう全部持っているからそれ以外のを持参している身としてはあんまり偉そうなことは言えないのはわかってはいるものの)、一人で5枚も6枚ものジャケットやら昔のチラシやらを持ってきて、それらに次々にサインをさせるっていうのはどうなの。長蛇の列に並んでる後ろの人にも迷惑だし、なによりアーティストに失礼だと思うんだけど。機械じゃないんだからさ。

この日は僕はもうサインをもらわず(もともと来ないつもりだったから何も持ってきてなかったし、途中でブックオフに寄って『Ridiculous』を買ってるような時間もなかったから)、サイン会を終えたレオンに「今度はファーストEP持ってきてよ」と言っては苦笑され、グレンには「じゃあまた来年ね!」と言って「え、ああ、そうだね」と「そんなこと思ってもいなかった」という顔をされて、三日間を過ごした会場を後にした。

今、自分では行かなかった京都公演も含めた五公演分のセトリを眺めながらつくづく思うのは、どの日も計ったようにアンコール含めて30ないし31曲(途中で曲を止めたのが2曲あった土曜日の東京だけは合計32曲)、時間にして1時間半ぴったりで終えてること(時間については京都はわからないけど)。ライヴ中腕時計や壁時計を見ていたわけでもないし、同じセットリストを演奏してるわけでもないのに、どうしてこんなに寸分の狂いもなくステージを進められるんだろう。ほんとすごいね、この人。

まあ、すごいと言えば、多少調子のよくない日やちょっとしたミスはあったものの、57にもなってあれだけの演奏と歌をあのテンションで何回も何回も繰り返せるというのは、この人は本当にすごいミュージシャンだと思う。なんだかんだあったけど、この最終日に来てやっぱりよかった。

欲を言えば、その時々でかなり変わる彼の自分内ブームが、もう少し自分の聴きたいものに合致してたらな、とは思ったけどね。最近全然演らないね、と友達と話してた『Frank』からの「Melody Motel」や「She Doesn't Have To Shave」、「If It's Love」、11年の来日時には(その頃のスクイーズ再結成の影響が大きかったはずの)初期スクイーズの「Model」や「It's So Dirty」、09年や06年にはよく演奏していたソロ曲「Hostage」、「By The Light Of The Cash Machine」、「This Is Where You Ain't」、「Neptune」(これは今のクリスとの良好な関係を考えたらもう演らないか)とか、そんなにレアじゃないはずなのに何故か演奏してくれないお気に入りがたくさんあるのにな。次の来日がもし決まったら、日本に来る前に、ストーカーよろしくこの手の曲のリクエストをグレンに送り付けて練習してもらおうかな。「次は4年もあけないように」と、ミュージックプラントさんも言ってくれてるからね。


Setlist: 07 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Persephone
2. The Elephant Ride
3. Ter-wit Ter-woo
4. Tough Love
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Up The Junction
10. You
11. Dennis
12. Black Sheep
13. Wichita Lineman
14. Rupert
15. If I Didn't Love You
16. Wait (Weight?)
17. Tempted
18. Haywire
19. Someone Else's Bell
20. Ray
21. Chat Line Larry
22. Ice Cream
23. Piccadilly
24. Best Of Times
25. Black Coffee In Bed

[Encore 1]
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Bongo Bill (Glenn + Leon)
28. Walking Away (Glenn + Leon)
29. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
30. Another Nail In My Heart
31. Annie Get Your Gun
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2015年04月21日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 2)

一夜明けて、なんだかすっきりしない天気の中を再び吉祥寺へと向かう。ハモニカ横丁の、こんどは前日とは別の店で腹ごしらえしていたら、そういえばグレンにサインをもらうためのCDを持ってくるのを忘れていたことに気付いた。開場時刻よりもちょっと早めに飲みを切り上げ、スターパインズ側に新しくできたブックオフに向かう。

比較的大きめの店舗だから、スクイーズなら何のCDでもいいから置いてあるだろうと思って280円コーナーを物色していたら、案の定あった。『Frank』の旧盤か。『Frank』なんてもううちに2枚もあるし、カットアウトの米盤なんて珍しくもなんともないけど(ちなみに既にうちにあるのは英プレスの旧盤とボートラ入りの08年欧盤)サイン色紙を買うより安いからと購入。500円コーナーには初回プレスの日本盤『Ridiculous』が置いてあって、サイン用なら余白の多いそっちのジャケがいいかなとも思ったんだけど、こういうところで220円けちってしまうしみったれた僕。『Frank』と『Ridiculous』の旧盤があるということは、これは08年のボートラ入りを買った奴が放出したんだろうなと、しなくてもいいブックオフ客のプロファイリングまでしてしまう。

前日とほぼ同じポジションだけど少しだけ前の席に座り、最前列の仲間は前日とまったく同じ並びだなあと、グレンにとってはスポット・ザ・ディファレンスみたいな客席だろうなと思いながら、この日も並々と注がれた一ノ蔵をゆっくり空けていく。

登場と同時にピアノに向かうグレン。このオープニングのパターンは初めてだね。と思っていたら、全然聴いたことのない曲を歌い始めた。ちょっと高音の音程が不安定かな、ピアノも弾きなれていない感じだしと思っていたら、「今のはスクイーズの新曲」だって。おお、今公演で四曲目だ。終演後にサインをもらうときにタイトルを訊いて、「ウェイト」って言うから「ウェイトってW-A-I-T?」って念を押したら、グレンとレオンがほぼ同時に否定し、「いやそっちじゃなくって、W-E-I…なんだっけ」とグレンが言うから、てっきり「Weight」だと思っていたんだけど、最近あきまもさんのサイトみたらグレンの直筆で「Wait」って書いてあるね。一体どっちなんだ。

「次は1987年の曲」と紹介した「Tough Love」に続き(今回のグレン、やけに曲紹介のときの年号にこだわるね。グレアム・パーカーみたい)、「デニス・ウィルソンのことを書いた曲」と新作から「Dennis」を。実はろくに歌詞を聴いてなかったからこの曲があのデニスのことだとは知らなかったのでちょっとびっくりしたと言ってたら、タイコウチさんが「せっかく訳してんだからSong By Song読んでよ」と。すみません。。そういえば、歌詞にホウソーンだとかファンファンだとかでてくるよね。

やけにひねくりまわしたフレーズをたくさんくっつけたイントロから、もうこの序盤で「Black Coffee In Bed」へ。こういう余計な(失礼。もちろんいい意味で)フレーズを弾きまくるときのグレンって調子いいんだよね。今日は楽しみだ。そしたら、特にグレンから何も催促していないのに、この日のお客さんはこの曲の掛け合いコーラスを大声で入れる入れる。思わず歌いながら顔をほころばせて「サンキュー」というグレン。もうこの日の盛り上がりはこのあたりで確約されたようなもの。

ここで前日同様にレオンが登場。内容はまったく同じだったけど、前日より少しはリラックスしていたかな。くすくすと照れ笑いしながら大人びたMCをはさむレオンがかわいい。グレンは「Take Me, I'm Yours」の途中で(その前曲の)「Why」の歌メロをソロで弾いたりして、絶好調ぶりをアピール。もう、指が動いてしょうがないって感じだよね。何度も観ていると必ずこういう状態のグレンに出くわすことがある。

ここまで全公演で聴いてきた、新譜ではかなり正統派グレン曲な「Everybody Sometimes」に続き(京都では演ってないみたいだけど僕は行ってないからね)、なにやら聴いたことあるようなないようなイントロを弾きはじめたと思ったら、「♪When daylight appears〜」ときた。わあ、「I Won't Ever Go Drinking Again(?)」だ。この曲ってこんなメロディーだっけ。昔のブログを読み返してみたら、11年の東京二日目でも演ってるね(そのときも僕はイントロでこの曲を当てられなかったんだった)。

さらに続けて同じアルバムから「No Place Like Home」。うー、福岡に着て行ったこのシングルのジャケTシャツ、この日に着てくればよかった。『Cosi Fan Tutti Frutti』好きを公言していたK君は大喜びだろう。どうせならさらにさらに続けて「King George Street」も演ってもらいたかったけど、さすがの絶好調グレンもあの面倒くさい曲はやめておこうと思ったのか。

もうさっきから曲紹介もなく(それどころか曲間もほとんどなく、まるでメドレーのように)次から次へと曲が出てくる。「Persephone」(今公演での定番曲)、「The Truth」(今公演ではこの日だけ。せっかくあの6弦ペグ緩め技があったのに、その6弦にはほとんど触れずにやたら弾きまくったギターソロ)、「Black Sheep」(最近のこの曲は僕の好きなあのギターソロを端折ったバージョンばっかりだったから、ギターの調子のいいこの日こそは弾いてくれるかなと期待したけどやっぱり駄目だった)、「Some Fantastic Place」(オープニングにもエンディングにもアンコールにも、こういうなんでもない途中にも使える万能の名曲)、「Ter-wit Ter-woo」(今公演の定番曲その2、というかこの曲こんなにいいというのに今さらながら気付いた)と、ここまで一気に通して、グレンも「こんなに続けて歌ったの初めてだよ」と一息つく。一気に書いたこの段落もメドレー感を表せたかな。単に読みづらいだけか。

なにやら書いた大きな紙を取り出してきた。「Ice Cream」だな。てっきり今公演では毎回この曲を歌うことになるんだろうと思って練習してきたのに、前日まで全然機会がなかったから一体どうしたのかと思ってたところだ。歌詞を説明して、「これをちょっとこの壁に貼っておこう。皆が見やすいようにね」と、最前列のNさんにセロテープを渡して壁に貼らせる(この方は6年前にも僕が持参した同じような模造紙の「Grouch Of The Day」の歌詞を持たされた、グレン公演ではなぜか常にテレビのAD並みの扱いをされてしまう運命のようである)。でも、せっかくステージ横の壁に貼ったその紙、たぶん客席の半分ぐらいからはちゃんと見えてないよ、グレン。

「この曲は僕のひいひいひいじいさんが110年も前に書いた曲で、彼は道化師とかやってたんだ」とか一通り紹介した後、飄々と「もちろんウソだけどね」と歌い始めるグレン。さすがに何も言わなくても「Black Coffee」のコーラス部分を全部大声で入れられるこの日のお客さん、何の問題もなくこの曲を歌い、グレンを大はしゃぎさせる。彼もよっぽど気分いいのか、続けてまた僕らが歌える「Annie Get Your Gun」へ。大声で歌えるのはこっちも気持ちいいね。やっぱり周りのお客さんが歌えるかどうかでこっちのムードも左右されてしまう。

次の「Up The Junction」ももちろんソラで全部歌えるけど、さすがにそんな野暮なことはしない。せいぜい小声でつぶやきながら、イントロのブレイクでタカタッタ、タカタッタと膝を叩く程度にしておく。そして、ここから本編ラストまではもう怒涛の定番曲オンパレード(今回結局全公演で演奏した新曲「Haywire」は仮定番曲扱いにしておく)。「Is That Love?」のエンディングのところは当然のように全員でしっとりとコーラスで締める。ラストの「Tempted」は再びピアノに戻って演奏。この日はピアノで初めてピアノで締めたね。

この日もアンコールはエレキで。まずは「Slap & Tickle」。前日にも増して冴えわたるギター。もうイントロからこれでもかというほど弾き倒してたね。こちらも絶好調の「Pulling Mussels (From The Shell)」を終えたところでレオンを呼び戻し、彼が11歳の頃に一緒に書いたという曲を紹介。ところがレオンは「あのちょっと安っぽい曲ね」と一蹴。ショックを受けた(笑)グレンは「まあ、成長するというのはそういうことだ」と構わず、レオンと一緒に「Bongo Bill」へ。もう12歳で大人のレオンは曲中の「It's me!」ってセリフは言ってくれなかったね。

レオンの「Walking Away」に続けての「Goodbye Girl」への流れは前日と同じ。ところが「Goodbye Girl」の途中でレオンが急にしゃがんでエフェクターをいじりはじめ、グレンがまだギターを弾きながら歌ってるのに、すごいノイズを出し始めた。これ、わざとなのか?それともレオンが自分のギターのエフェクターを調整しようと思って失敗してるの?まあ、これはこれでめったに聴けない不思議なバージョンの「Goodbye Girl」でよかった。いつもは入れないようなソロも弾いたし、コーラス部分ももちろん大合唱で、もはやグレンはその部分は自分では歌ってなかったぐらい。

再度引き上げたグレンをアンコールの拍手が引き戻す。そりゃ、今日の調子ならもうちょっとやってくれるよ。まだ「Another Nail」残ってるしね。と思ったら、再登場して黒のストラトを肩にかけたグレンが何音か試し弾きした後、あの印象的なイントロを弾きはじめた。「Another Nail In My Heart」だ! ギターソロの入りでちょっととちって、「あ、失敗」みたいなこと言いながら再挑戦。でもそのあとはもちろん今公演最高のソロを聴かせてくれた。あのソロって、ほんとに0.000何秒みたいな微妙なタイム感で聴こえが全然違ってくるんだよね。

「上で待ってるから、ハローって言いにきてよ」と言ってステージを後にするグレン。ああもう終わってしまった。前日がレア度一番なら、この日は演奏的には今回の日本公演で一番だったと思う。お客さんのノリも、人数的にはより多かった前日よりもむしろよかったと思うし。

さっき買った『Frank』にグレンとレオンにサインをもらい、一緒に座っていたウェズリーにも「日本語で名前書けるようになったんでしょ。サインちょうだいよ」と書いてもらう。あとで近くにいたスザンヌにもサインをもらって、ティルブルック一家全員のサイン入りフランクが完成したと思ったんだけど、やっぱりこのジャケだと見づらいね。220円けちらないで『Ridiculous』にしとけばよかった。

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サインをもらいながらレオンに「さっきの“Goodbye Girl”のときのノイズ、あれわざとやったの?」と訊いたらニヤニヤしてるから、グレンが「ねえ、あれわざとなのかって訊かれてるよ」と念を押されて「Yes」って言ってた。あ、やっぱりそうだったんだ。あんまりノイズが大きくて途中でグレンは笑ってしまってたけど、ああいうのをやってみようかって二人でライヴ前に相談したりしてたんだろうね。いいね、こんな親子。

これで本公演は終了。二日後の火曜日に追加公演が出たけど、この時点では僕はちょっとあれこれ事情があってそれには参加しないつもりでいた。今年のグレンのライヴの最後がこの凄まじい演奏ならもういいやとも思ったしね。


Setlist: 05 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Wait (Weight?)
2. Tough Love
3. Dennis
4. Black Coffee In Bed
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Everybody Sometimes
10. I Won't Ever Go Drinking Again (?)
11. No Place Like Home
12. Persephone
13. The Truth
14. Black Sheep
15. Some Fantastic Place
16. Ter-wit Ter-woo
17. Ice Cream
18. Annie Get Your Gun
19. Up The Junction
20. Haywire
21. Is That Love?
22. Someone Else's Bell
23. Chat Line Larry
24. Tempted

[Encore 1]
25. Slap & Tickle
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Bongo Bill (Glenn + Leon)
28. Walking Away (Glenn + Leon)
29. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
30. Another Nail In My Heart
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2015年04月20日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 1)

さすがに年度末〜初のクソ忙しい週に何度も休みを取るわけにもいかず、グレン来日公演の二日目にあたる京都はパス。翌日、福岡でなくそっちに出かけた友達から速報が入る。曰く、オープニングは福岡では演らなかった「Best Of Times」、予定どおりレオン登場、これも福岡にはなかったリクエストコーナーがあって「Without You Here」を演奏、などなど。そうか、まあその両曲はまた演るだろうし、行かなかったことが致命的なミスというわけではなさそうと、とりあえず自分を落ち着かせる。

そして土曜日、4年ぶりのスターパインズカフェへ。ハモニカ横丁で軽く腹を満たして会場に向かう途中、ヨドバシの向かいあたりで友達を発見して声をかけると、「あそこでグレン一家が証明写真撮ってますよ」と。あ、ほんとだ。あんな狭い箱に四人でひしめきあって写真撮ってる。出てきたグレンに手を振って会場へ。グレンたちはそのまま商店街の方に歩いて行った。グレン、なんだかもう顔が赤い?

この日はちょっと大きな番号だったので最前列ではなく、それでもかなり見やすい席で周りの友達と話しながら開演時刻を待つ。一番コスパのいい飲み物はこれに違いないと600円の一ノ蔵を選んだら、グラスを入れた枡に並々とついでくれた。これはありがたい。でもあんまりペースあげて酔っぱらわないようにしないと。

ステージ上、左側には福岡と同じセットの三本のギター。中央にはグランドピアノ、そして右側には小さなサイズのアコギとストラトタイプのエレキが置いてある。レオンがどういう風に絡むのかは友達にはあまり詳しく聞かなかったから、楽しみにしておこう。まあ、グレンの持ち時間を食ってしまうほど沢山演らなくてもいいけどね。

この日のオープニングは「Everybody Sometimes」。それまでの二公演とは変えてきているね。と思っていたら続いて「The Day I Get Home」。わあ、これはかなり珍しいんじゃないか。少なくとも、僕が観た今までの日本公演ではこれは演奏していないはず。

「Persephone」、「Ter-wit Ter-woo」と続ける。結局今回の五公演のセトリを見てみると、全てのコンサートで演って当然みたいな定番曲と並んで、この二曲と「Chat Line Larry」を毎回必ず演奏していたことになる。「Black Coffee」とか「Some Fantastic Place」ですら毎回演ってないというのに。単にグレンの今時点でのマイブームなのか(そういうのよくある)、それともこれらは今後定番として定着する曲になっていくのか。まあ、「Persephone」はあのスタジオ録音でのストリングスを模したリフをアコギで完コピしたのを披露したかっただけなのかもしれないけど。

ここでレオンが登場し、まずはエレキギターでスライドのソロを披露。うまいね。続いてアコギを肩にかけたままピアノのところへ。「次に演る曲は上に売ってるEPに入ってるから、気が向いたら買ってよ」と、やけに大人びた言い方がおかしい。「日本で売らないといけないから急いで録音して、アルバムタイトルを思いつかなかったから単に『Leon Tilbrook』にしてしまったんだけど、セカンドEPなのに自分の名前をつけるなんて変な感じ」とか「ファーストEPはとても聴かせられるような出来じゃない」とか。

「Living The Dream」はピアノから途中でギターに替え、次の「Why」はグレンが出てきてギターの伴奏とコーラスを入れる。声変わり前の不安定な子供声だからアマチュアっぽさはぬぐえないけど、いつも家でグレンと一緒に練習してるんだろうなということがよくわかる、息の合った手慣れた演奏。

続けて二人で「Take Me, I'm Yours」。がんばってギターで伴奏しているんだけど、演奏中にグレンに話しかけようとして右手を口のところに持っていったら、グレンが演奏中は手を休めるなとばかりに一瞬厳しい顔になったのが印象的だった。それまではニコニコと親バカ丸出しでレオンのことを見てたのに、やっぱりさすがプロだね。

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携帯で観客と自分のビデオを撮っていたレオンがステージを降りたところで「次の曲は彼が生まれたときのことを歌ってるんだ。最後のコーラスのところは一緒に歌って」と言うからこれはもちろん「Best Of Times」。曲を始める前にみんなでコーラスの練習。いつまでたってもこの曲を聴くとあの09年初頭の素晴らしい来日公演のことが頭に蘇ってくるね。

「Ray」に続けてこれも久しぶりの「Slightly Drunk」。今日は珍しい曲が多くてうれしいなあと思っていたら、「今の曲はクリスと僕が21歳の時に作った。次は僕が彼と会った翌年、16歳の頃に一緒に書いた曲」だというのでまた「Monkey」か何かかなと思いきや、「Halfway」というこれまで聴いたこともない曲だった。これは今回の日本公演一番の驚き。もちろん僕の知る限りでは今までのどのアルバムにも入ってないし、Packet Of Threeによると、あのデイヴィッドでさえ去年の7月にグレンとクリスがその曲を演奏するのを初めて聴いたと書いてある。「Magical」だって。まさしく。

作成中のニューアルバムからの「Haywire」はこれで聴くのが二度目になるけど、正直言って最初はそれほどたいした曲でもないかなと思っていたのがずいぶん印象よくなってきた。早くバンドで演奏したバージョンが聴いてみたい。またゴテゴテした音になってなければいいけど。

ピアノに移ってこれも久々の「Letting Go」。ところが、間奏の途中でどうにも収拾つかなくなってしまい、あーもう失敗!みたいに投げ出してしまった。「本当にごめん。埋め合わせにリクエストされた曲なんでも演るよ。踊れと言われたら踊ってもいい」と言ったところで場内から「Jolly Comes Home」と声がかかる。いつものTさんだ。「歌詞わからないかも」と言いながら演奏を始めるグレン。最初のヴァースまで歌ったところで「ここまでしか歌詞わからないから、同じアルバムからの曲につなげるよ」と、メドレーで「Cold Shoulder」へ。おお、なんか怪我の功名みたいな珍しいのが次々と。

「次も同じアルバムから、タイトル曲を演ろう」と「Some Fantastic Place」へ。あらためてあのアルバムは名曲が多い(名曲が多いグレンやスクイーズのアルバムは他にも沢山あるけど)と思う。さらに定番二曲に新曲「You」と続け、これもまた久しぶりの「Woman's World」(06年以来だ)で歓喜していたら、「次はエルヴィス・コステロの曲を」。なんだって?「From A Whisper To A Scream」なんて歌詞覚えてるの?これは今回一番の驚き。あ、それはさっき書いたか。じゃあ今回二番目でいいや。とにかくこの日は本当に珍しい曲がいくつも聴けた。

その後は定番候補の「Chat Line Larry」(今回の各公演ではどうもグレンのギターソロはロカビリー風味に流れることが多かった気がするから、この曲なんて今の気分にぴったりなんだろうね)、すでに定番の「Through The Net」、鉄板コンビ「Tempted」「Annie」で一旦幕。さっきの「Best Of Times」に続いて、「Annie」では観客大合唱。

すぐにアンコールで再登場し、エレキに持ち替えて「Another Nail In My Heart」。初日にちょっともたついてたのがウソのような好演。やっぱりこの曲のソロをエレキでこうやって聴けるのは何にも代えがたい。いつまでも聴いていたいのに3分弱で終わってしまう罪作りな曲。

間髪入れず「Pulling Mussels」の『Argybargy』オープニング逆パターン。このギターソロもオリジナルにいろんなフレーズを付け足した超ロングバージョン。こういうことやるときのグレンって調子いいというのがよくわかるね。ここでまたレオンを呼び戻し、彼の曲を一緒に演奏してから二人で「Goodbye Girl」。レオンにサイドギターを任せてグレンはソロを弾きまくったり、途中でダブ風にゆるーい演奏にしてみたり。この楽しさが頭にあったから、レオン抜きの初日はこの曲を演奏したくなかったのかな。

それで終わりかと思ったけど、鳴り止まないアンコールに応えてグレン再登場。「Slap & Tickle」は予想の範囲内だったけど(ものすごいギターソロは予想以上)、そのままエレキで弾きだしたスローな曲はなんと「Without You Here」。こんなバージョンのこの曲、初めて聴いたよ。もうこの日は最後までそういうレア曲・レアバージョン満載だった。いや、満足。これでこそグレンのライヴだよね。

終演後、二階での長蛇の列に並んで、この日は『Arse About Face』にサインをもらった。前の方でサインをもらっている人たちを見てると、だいたい『Happy Ending』にグレンとレオンがサインをしていたけど、レオンの参加していないこのデモ集に彼のサインは要らないかなと思ったので、僕の番がまわってきたときにグレンにこれを、レオンには彼のEPを差し出してそれぞれサインをもらい、グレンがレオンにジャケを渡す前にそれを取り上げ、「ところで今回の新曲なんだけど」と話しかけて注意をそらし作戦成功。

いつもと違ってライヴ中はステージで水しか飲んでいなかったグレン、このサイン会では大ジョッキのビールを美味そうに飲んでたね。あっという間に飲み干すと、スザンヌに「アダルトウォーターもう一杯」って頼んでたのが可笑しかった。さすがにあのライヴの後に百人以上へのサインを終えてお疲れの様子は隠せないけど、家族みんな病気から復帰してあきらかに楽しそうなグレン。演奏も目に見えて上り調子だし、これは翌日も楽しみだ。

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Setlist: 04 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Everybody Sometimes
2. The Day I Get Home
3. Persephone
4. Ter-wit Ter-woo
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Best Of Times
10. Ray
11. Slightly Drunk
12. Halfway
13. Haywire
14. Letting Go
15. Jolly Comes Home
16. Cold Shoulder
17. Some Fantastic Place
18. If I Didn't Love You
19. Up The Junction
20. You
21. Woman's World
22. From A Whisper To A Scream
23. Chat Line Larry
24. Through The Net
25. Tempted
26. Annie Get Your Gun

[Encore 1]
27. Another Nail In My Heart
28. Pulling Mussels (From The Shell)
29. Walking Away (Glenn + Leon)
30. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
31. Slap & Tickle
32. Without You Here
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2015年04月19日

Glenn Tilbrook live in Fukuoka 2015

一旦サボり癖がついてしまうとそれまで習慣としてやっていたことも途端に面倒になってしまうもので、このブログももう更新することはないかなと思っていたんだけど、4年ぶりのグレン・ティルブルックのライヴで4年ぶりに顔を合わせた何人もの懐かしい友達が口々に「楽しみにしてたのに」なんて背中を散々押してくれたもんだから、またちょっと書いてみようかなと重い腰を上げてみた(このダラダラと長い文章もカッコ入りの文末も、ああそういえばこのブログってこんな文章なんだったと我ながら懐かしくなってみたり)。

一番最後にアップした去年9月以降、今回のグレンまでに行ったライヴが八つもあるから、気が向けばそのうちそれらのことも思い出して書いてみるかもしれない。もう何か月も経ってしまっているから細かい部分は忘れてしまっているだろうけど、それでもここに書いて残しておくかどうかで、後々まで記憶が蘇るかどうかが決定的に違ってくるというのは、自分でもそう思うし、今回声をかけてくれた、僕と一緒のライヴに行った友達もみんなそう言ってくれたからね。

さて、途中で丸一週間の出張が入ってしまっていたというのもあって、もうすでに三週間も前のことになってしまったグレンの福岡公演、どこまで思い出せるかな。セットリストは全公演分あるから、それを頼りに思い出せることをあれこれ書いてみよう。

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3月30日。期末の忙しい時期だけど、月曜の昼便に乗り、翌朝一番の便で東京に戻れば会社は半休を取るだけで済むというのが福岡公演の長所だということに今回気付いた。やっぱり空港が街の中心部から近いというのはいいね。今回行くのを諦めた京都なんかだとこうはいかない。

博多のホテルに荷物を置いて、去年タマス・ウェルズを観たときにも降りた赤坂駅からすこし歩いたところにある会場のLiv Laboは、そのときの会場だったpapparayrayからもそんなに遠くない場所だった。福岡の地理にはそんなに詳しくないけど、このあたりはこういう小さなライヴ会場が多いのかな。

papparayrayもライヴ会場というよりは古民家を改造したイベントスペースという趣きだったけど、今回の会場はもっと普通に近代的なイベントスペースという感じ。建物の外階段を二階にあがったところにある、普通に椅子を置いて50人も座れば一杯になってしまうようなこぢんまりした場所。ステージのところにはスノコがいくつか敷き詰めてあるだけだけど、この広さなら一番後ろの席からでも問題なく観られるはず。

でもせっかくいい整理番号のチケットだったので、久しぶりのグレンはやっぱり一番前で観る。東京から来た僕も含めて、最前列を埋めたのはほとんどいつもお馴染みの、日本各地から集まってきた筋金入りのおっかけ衆の皆様。このうちの何人かは、このあと一週間のうち何度も顔を合わせることになる。

今回は奥さん(兼マネージャー)と二人の子供を帯同しての初めての日本ツアー(家族旅行とどちらが先に決まったのかは不明)で、二人のうち年上のレオンがグレンと一緒にステージに立つという話だったのに、この日はグレン以外の三人が体調を崩してしまったとのことで、変則的、というかいつもの二部構成のグレンのライヴだった。なのでこの日だけは、ステージ上にはグレンの二本のアコギ(どちらもいつものヤマハ)と黒いストラトキャスターが置いてあるだけ。

開演時刻の19時ぴったりに会場後方にある中二階の楽屋からグレンが降りてきて、二つのうちのシンプルなデザインの方のギターを手に取る(ヤマハのギターの種類には詳しくなかったから調べてみたら、グレンが使っているようなエレアコはもう全部生産中止なんだね)。ちなみに僕が観た今回の全公演では、グレンはもう一本の(多分LJXというシリーズの、ちょっと派手なデザインの方)は結局一回も使わなかった。

久々の日本公演最初の曲は、最新作『Happy Ending』からの「Persephone」。さすがロウリー・レイサムが制作にかかわってるだけあって今までのソロになく凝った装飾のこのアルバム、僕としてはいささか微妙な評価なんだけど、こうしてアコギ一本で聴くとずいぶんと印象が変わる。

「今のは『Happy Ending』、これは『East Side Story』から」と言って「Someone Else's Bell」へ。僕にとっては、“どこがそんなにいいのかわからないけどグレンのお気に入りプレイリストから落ちることがない”という一曲。いや、別にけなしてるわけじゃないよ。これを聴くとグレンのライヴに来たなという実感が今さらながらわいてくる。

続けて、「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に作った、何年前のアルバムだっけ」と言いながら「Ter-wit Ter-woo」。前回の11年の来日でもうすぐ出るそれに収められることになると「Chat Line Larry」を紹介していたから、「4年前」というのが正解なそのアルバム、今回の来日前に久しぶりに引っ張り出して予習していたときに、実はこんなに正統派のグレン節が収められていたということに気付いたのがこの曲だった。グレンが全曲リードボーカルを取っているわけじゃないし、さっきの「Chat Line Larry」やビートルズのカバーが収録されているという以外の印象が薄かったから、あまり聴いてなかったんだよね。

「アイパッドを持ってくるのを忘れた」と言って、一旦会場後方にさがってステージに駆け戻ってきたときに、勢いあまってスノコをすべらせてしまうグレン。固定してあるわけじゃないんだ。台の上に置いてあった水はこぼれずに済んだけど、09年の京都公演(あのときもこんな感じの即席ステージだった)でビールのジョッキを倒してしまった光景が頭をよぎった。

そのアイパッドを開きながら、つい前週、日本に来る直前までスクイーズでレコーディングしていた曲を演奏しようと歌詞を探し始めるのに、なかなか見つからない。ページをスクロールするのに複数の指で操作しているもんだから、たぶん全然スクロールできないんだと思う。もう何年も前に買っていつも愛用しているはずなのに、まだ使い方に慣れてないんだね。こういうところがいかにもグレンぽくて微笑ましい。

結局お目当ての曲の歌詞が出てこず、「代わりにこの曲を演ろう」と言って歌い始めた別の新曲。曲紹介のときに僕には「Beautiful Hand」と聞こえて、後でグレンに確認したときに「Yes」と言われたんだけど、ネットで探してみると「Beautiful Game」となっているね。

またしても苦戦しながらアイパッドを操作して、やっと出てきたお目当ての新曲は「Haywire」という曲。「成長することについて」とかなんとか説明してたっけ。途中、「ページをめくる」という歌詞を歌いながらアイパッドのページをスクロールしたのが可笑しかったのか、歌詞を見ないと次のフレーズが出てこなかったのが照れくさかったのか、苦笑いしながら歌うグレン。

ちょっとたどたどしく二曲の新曲を歌い終えた後、アイパッドを脇に置いて、手慣れた感じでお馴染みの「Is That Love?」へ。ただ、この曲に限らず、この日はギターソロが若干もたついていた感じがしたかな。そんなにあからさまに失敗したとかいうわけじゃないけど、完璧なときのグレンの指さばきからはちょっと遠かった気がする。確かにいつも来日初日はちょっとエンジンが暖まってないようなことがあるから、まあこんなもんかな。

セトリ見ながら書いてると、思い出せることありったけ書いてしまうな。このままじゃ四日分書くのにとんでもない時間がかかってしまう。ちょっと端折りながら進めよう。じゃあちょっと飛ばして、新譜からの「Ray」を紹介するときに「この曲は僕ぐらいの歳の男の歌で、でも僕のことじゃないからね」とか言ってたかな。

その曲も含めて、前半最後は「Some Fantastic Place」、「Annie Get Your Gun」、「Up The Junction」など鉄壁の代表曲をずらっと並べて(なぜか途中で新参の「Chat Line Larry」も挟んで)、最後は「Tempted」で締め。45分ぴったりで休憩に入る。前半は45分と決めていたんだろうけど、よくもまあこんなにぴったり合わせられるもんだ。

後半は「Rupert」、「Everybody Sometimes」と新譜からのナンバーが続き、「この曲を書いたジミー・ウェブと光栄にも共演することができた」と「Wichita Lineman」を演奏。たしか前にもこのカバーを演ったことがあったね。09年の来日だったかな。

翌日以降はレオンと一緒に演奏することになる「Take Me, I'm Yours」をこの日はひとりで演奏(そういう意味ではレアなこの日)。ギターソロで拍手が沸いて、歌ってる途中で「サンキュー」って言ってた。つづいて僕の“どこがそんなにいいのか(以下略)”リストからもう一曲「The Elephant Ride」、実は久々に聴いた気がする(というか全部4年ぶりなんだけど)「Untouchable」と、どんどん定番曲が続く。なかでも、ソロでのこのバージョンがお決まりとなった「Tough Love」がやっぱりじんとくる。

ストラトに持ち替えての「Another Nail In My Heart」が格別だった。やっぱりギターソロがほんのちょっとだけタイム感が合ってないような気がしたんだけど、それでもエレキでこの曲を演奏してくれるのはものすごく嬉しい。もしかしたらこれまで僕が観た来日公演では初だったんじゃないかな。

大好きな『Pandemonium Ensues』から少ないなと思っていた頃に「Still」が出てきた。結局今回の来日ではこの日しか聴けなかった曲のひとつ。続けて、「Pulling Mussels (From The Shell)」。ああもうこれで終わりかと思ったけど、まだステージを降りない。アコギに持ち替えてそのままチロチロとあまり聴いたことのないフレーズを弾いていたと思ったら、なんとそれが「Vanity Fair」のイントロにつながってびっくり。こんな曲いままで演ったことあったっけ、と思って調べてみたら、僕が観た中では06年で一回だけ演奏してるね。これももちろん、今回の来日でこの日にしか聴けなかった曲。

「作成中のスクイーズのアルバムからもう一曲」と言って、「You」という曲を。うわー、今日の後半セットは長いなと思っていたら、その曲が最後だった。とりたててライヴの最後に演奏するような雰囲気の曲じゃなかったのに、その時点で実は「Annie」も「Pulling Mussels」も「Another Nail」も「Take Me」も「Slap & Tickle」も「Black Coffee」も演奏してしまっていたことに急に気付いたのかな。「Goodbye Girl」はアンコール用に取っておかないといけないんだろうし。

そんな感じで実に尻切れトンボぽく静かな二曲で本編を終えたあとは、当然アンコールで再登場。幻のビデオ撮影が懐かしい「Through The Net」(この曲のサビのところでパンパンと手を叩く人はもうあまり見かけなくなってしまったし、ましてや「ラララララララー」とコーラスを入れる人は僕も含めてさっぱりいなくなってしまった)、そしてそういえばまだこれがあった定番曲の「Hourglass」(手拍子を32回できっちり止めない人が多くてちょっとキレが悪かったけど、初めての福岡の地でちゃんと説明しないグレンが悪い)。

てっきり最後は「Goodbye Girl」かと思いきや、そこで終了。歌い終えたところで最前列真ん中に座っていたMさんに「サンキュー」と握手をしてきて、ああやっぱり常連の彼女のことは覚えてるんだなと思ったら、続いて隣にいた僕にも「サンキュー」と握手、さらに次々に同じようにお客さんに握手をしていって、とうとうそのまま一番後ろまで行ってしまった。ははは、これじゃもうアンコールできないや。それを狙ってたのかな。だとしても、こんなことしてくれる人ほかにいないよね。これでこそグレン。

終演後のサイン&写真撮影タイム。最初はどうなることかと思ってたけど開演前にはきっちり全部席を埋めた50人ほどのお客さんのほとんどが並ぶ。福岡公演は初めてだから、グレンにサインをもらうのはこれが初めてという方が多かっただろうね。グレンも時差ボケとか家族が病気で早く帰りたい気持ちとかあったろうに、いつもどおり丁寧に全員と歓談してくれる。

僕はシリーズの中で唯一サインをもらっていなかった『The Demo Tapes』シリーズの『When Daylight Appears』にサインをもらい、これまでのライヴでサインをもらっていた3枚を並べて見せて、ほらこれで全部揃ったとグレンに自慢。ところでこのシリーズ、全部で5枚出るという話だったのに、07年、08年、09年、11年と続けてリリースされた後はすっかりご無沙汰だね。年代で言うと81年〜84年、アルバムに置き換えると『Sweets From A Stranger』〜『Difford & Tilbrook』期がまだ出てない。再結成スクイーズのライヴとレコーディングが忙しくてそれどころじゃないんだろうけど、このままお蔵入りにならなければいいな。

サインをもらいながら、アイパッドの画面をスクロールするには指は複数じゃなくて一本だけにした方がいいとアドバイスをしてあげたら、ああそうだったのかと嬉しそうにしてくれるグレン。ほんとに知らなかったんだね。「じゃあまた週末に、東京で」と別れる。早く片づけて病気の家族のところに戻ってあげないとね。


グレンのライヴの後にはなぜか、知らなかった人にも声をかけて飲みに行ってしまう(本当にグレンのライヴにはそういうマジックみたいなのがあると思う)。この日も久々に会ったグレンヘッズの面々と古くからの友人に加え、たまたま近くに座った方もお誘いして近所の九州料理屋(?)へ。なんだかバタバタして結局その人の連絡先は聞かなかったんだけど、またどこかのライヴでばったり会えるかな。

久しぶりのブログなので四公演分まとめて記事にしようと思っていたのに、福岡の分だけでもうこんな量になってしまった。ちょっとこのまま続ける体力ないので、これはこれでアップしてしまおう。続きはまた明日。

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Setlist: 30 March 2015 @ Liv Labo Fukuoka

1. Persephone
2. Someone Else's Bell
3. Ter-wit Ter-woo
4. Beautiful Hand (Beautiful Game?)
5. Haywire
6. Is That Love?
7. Black Sheep
8. Some Fantastic Place
9. Ray
10. Annie Get Your Gun
11. Up The Junction
12. Chat Line Larry
13. Tempted

14. Rupert
15. Everybody Sometimes
16. Wichita Lineman
17. Take Me, I'm Yours
18. The Elephant Ride
19. Untouchable
20. If I Didn't Love You
21. Tough Love
22. Black Coffee In Bed
23. Another Nail In My Heart
24. Slap & Tickle
25. Still
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Vanity Fair
28. You

[Encore]
29. Through The Net
30. Hourglass
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2014年09月13日

Clap Your Hands Say Yeah live in Tokyo

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期待値超え。それもかなりの。今年に入ってほぼ月一ペースでライヴに行ってるが、正直なところ今回のこれは月一のペースを守るために行っとくかなといった程度の気持ちで出かけたのも半分事実。先月LPを買って聴いてみた新譜がちょっとイマイチだったからね。なので期待値自体が低かったというのはあるけれども。

各メンバーが別ユニットでやったりしてても、これまでのアルバムではオリジナルメンバーが少なくともレコーディングには戻って来ていたのに(前作『Hysterical』のCDケースには何の情報も載ってないのでよくわからないけど、ネットで調べてみたらおそらくそうみたい)、今作『Only Run』のクレジットによると、アレック・オウンズワースとドラムスのショーン・グリンハル以外には正式メンバーはもう誰もいないようだ。もうこれはほぼアレックのソロアルバム。しかも、腕利きミュージシャンとアレックのへろへろ声のミスマッチが面白かった『Mo Beauty』や凝りに凝った音作りのフラッシー・パイソン名義『Skin And Bones』とは違って、これまでのCYHSYのアルバムから疾走感だけをそぎ落としたような、どうにも煮え切らない感じ。

新作発表ツアーだから当然そのアルバムからの曲が中心になるだろうとここ数週間ずっと予習はしていたものの、やっぱりつい手が伸びてしまうのはファーストや『Hysterical』になってしまっていた(セカンドの『Some Loud Thunder』もあまり好きじゃないんだよね)。

しかも、比較的遅く買ったチケットの整理番号は400番台の後半。まだそんなに人気あるんだと思いながらも、そんな番号じゃどうせ後ろか端の方からしか見えないだろうと、事前の期待値が一層下がる。まあそれでも、開場時刻の17時ちょっと前には会場に着くようにでかけたけどね(実際にはその前にユニオンとレコファンを散策したから、開場の2時間近く前には渋谷に着いていたんだけど)。

ところが、開場からの整理番号の呼び順がかなりざっくり。最初こそ「1番から10番までの方」みたいな呼び方してたけど、17時時点での集まり具合があまり芳しくないと見てか、次第に「200番台の方、300番台の方」なんて感じでどんどん進む。おかげで思っていたよりずっと早く入場できた。

さすがにステージ前数メートルのフロアは熱心なファンで一杯だったけど、フロア後方や両サイドはかなりまばら。おかげでステージ左手の柱が邪魔にならない結構いい場所を取ることができた。なんだ、人気あるんじゃなかったのか?もしかしてかなりの枚数がばらまかれてたりして。

ステージの両サイドにキーボード。真ん中後方にドラムキット。ギターが何本かと、向こう側にベースが1本立てかけてある。新譜ではアレックはキーボードばかり弾いてるようだったけど、この配置だと彼はギターだけかな今日は。

開演予定時刻の18時を20分ぐらい過ぎた頃かな。聞き覚えのあるキーボードとドラムマシンの音が鳴り出し、メンバー4人がバラバラとステージに現れた。新作2曲目の「Blameless」だ。やっぱりこういうぼわーんとした曲で始めるんだ。

と思っていたら、間髪を入れずに「In This Home On Ice」。うわ、もう演るのか。というか、この流れってまるで新作からの曲をイントロ扱いしてるな。まあ、それで正解だと思うけど。アレックもへろへろながらよく声が出てるし、サポートメンバーが誰だかよくわからないけど演奏はしっかりしているしね(ドラムスはショーンなのかな?顔わからないから不明。ベースが東洋人ぽい顔してたから、新作にも参加しているマット・ウォンというのがきっとこの人なんだろう)。

次の「Satan Said Dance」では、特にアレックに促されなくても「Said Dance!」のところを皆で歌う。やっぱり熱心に聴いてきているファンはそれなりにいるんだね。そう思いながら会場を見渡してみると、いつの間にかもう後ろの方までびっしり。東京一日だけとはいえ(それに、もしかしたら招待券がばらまかれたのかもしれないけど)まだまだクアトロを埋められるだけの人気はあるんだ。

「戻ってこられてうれしい。東京はニューオーリンズと、あとどこだっけ、ベルリンか。とにかく、僕が住めるものなら住んでみたい三つの都市の一つなんだ」とリップサービス。不思議な組み合わせの三都市だね。「魚市場に行った」とか言ってたな。

新作からの曲(ぼわーんとしたのも「Coming Down」みたいなそれほどでもないのも)を何曲か続けた後でふいに出てくる「Is This Love?」とかのファーストからの曲のイントロのカタルシスと破壊力といったらもう大変なもの。どういう構成にしたら盛り上がるのかよくわかってるね。

アレックが演奏するのを観るのは生でも録画でもこれが初めてだったんだけど、ボーカルのへろへろ具合に比べてあまりアクションは大きくないね。両脚をきっちり揃えてギターを弾きながら歌うところはまるでタマス・ウェルズかマット・ジ・エレクトリシャンかといったところ。逆に、このバンドのへろへろした印象(あくまでもアルバムを聴いただけの印象ではあったけど)を体現していたのが、名前もわからないキーボーディストのお兄ちゃん。キーボードを弾くときもギターを弾く時もとにかく体をくねくねさせてた。無表情で。

ライヴで聴いた『Only Run』の曲は、アルバムとはかなり印象が違った。やっぱりアレックが一人多重録音でやるのと、こうして4人で一緒に音を出すのとは違うというのもあるんだろうけど、どの曲も(ぼわーんとはしつつも)かなり好印象。アレンジももう既に変えてきていたのもあったしね。一方で、『Hysterical』からの「Same Mistake」とか、オリジナルはちゃんと盛り上がるテンポの曲を、あえてギター1本でスローに演奏したりとか。こんなにフレキシブルなことやるんだ。なんか、デビュー時の逸話なんかから、永遠のアマチュアバンドみたいな印象でいたけど、実は音作りにしてもこういうライヴの構成にしてもすごく高度なことをやってるんだ。

「In This Home On Ice」も「Is This Love?」も「The Skin Of My Yellow Country Teeth」もあんなに早く演ってしまって後半大丈夫かと思っていたけど、後半になってもファーストからの残りの曲と『Hysterical』からの「Ketamine And Ecstacy」とかのガンガン盛り上がる曲でたたみかける。「一旦引っ込むけどまたアンコールで戻ってくることになってるから」なんてことを照れながら話し、本編ラストは「Upon This Tidal Wave Of Young Blood」。

アンコールの拍手に応えて、まずアレックが一人で登場。ギターの弾き語りで歌い始めたのは、トム・ペティの「Yer So Bad」。このブログを書くために彼らの最近のセトリを調べてみたけど、カバー曲を演奏したなんて記述はどこにもなかった。あと、最近のツアーのどのセットよりも、この日のライヴは本編で1-2曲、アンコールも2曲多かったみたいだ。「東京が好き」というのもあながちリップサービスだけではなかったみたいだね。

もう一曲、「Into Your Alien Arms」を同じようにエレキギターの弾き語りで歌ったところで残りのメンバーが再登場。ニューアルバムの1曲目「As Always」をここに持ってきて、最後はアゲアゲの「Heavy Metal」で幕。いやー、よかった。演奏もかっこよかったし(アレックのソロの弾き語りはちょっとだけ間延びした感があったけど)、各アルバムからの選曲のバランスもよかったし(僕がいまいち気に入っていないセカンドからだけは僅か2曲というのを見ると、やはりアレック本人もそう思ってるのかな)。

ステージを降りる前にアレックが「今からそっちに出ていくから」と、サイン会があるらしき発言をしていたけど、何も準備してきていなかったので今回はパス(売っていたTシャツのデザインもあまり好みではなかったし、そもそもうちにTシャツが多すぎるから今自分内Tシャツ購買禁止令発令中)。しかしまさかクアトロでサイン会があるとは。次からは一応何か持ってくるようにしよう。

そういえば、黒字にカラフルな文字だけというそっけない今回の公演チラシを会場でもらったんだけど、ニューアルバムのタイトルが『Only』になっちゃってるよ。ここで散々けなした僕が言うのもなんだけど、もうちょっとちゃんとプロモーションしてあげてよ。僕ももう少し聴きこんでみよう。もう少し馴染めば、今年のベスト10候補には残ったりするかも。


Clap Your Hands Say Yeah 6 September 2014 @ Shibuya Club Quattro

1. Blameless
2. In This Home On Ice
3. Satan Said Dance
4. Gimmie Some Salt
5. Coming Down
6. Only Run
7. Beyond Illusion
8. Is This Love?
9. The Skin Of My Yellow Country Teeth
10. Same Mistake
11. Some Loud Thunder
12. Over And Over Again (Lost And Found)
13. Misspent Youth
14. Impossible Request
15. Ketamine And Ecstasy
16. Upon This Tidal Wave Of Young Blood

[Encore]
1. Yer So Bad
2. Into Your Alien Arms
3. As Always
4. Heavy Metal
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2014年08月31日

Mike Peters live in Tokyo 2014

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2010年のラヴ・ホープ・ストレンクス(LHS)のイベント以来となるマイク・ピーターズのソロ来日公演。あのときのライヴが半エンドレスのミニフェスみたいな趣で本当に楽しかったから、今回の会場がビルボードだと聞いてその点だけはちょっと残念。

チケット発売時刻がちょうど地方に出張に行く飛行機に乗っていた時間で、これはあまりいい番号が取れないだろうなと思っていたら比較的若い番号だったので、もしガラガラだったらどうしようと危惧していたものの、ふたを開けてみるとこのセカンドセットは1階席はほぼ満員。上の方のさらし首席はそれほど混んでいるようには見えなかったけど、マイク・ピーターズってこんなに集客力あるんだと改めて感心した。

最近のライヴ写真同様、足元にバスドラが置いてあるステージ。ソロ公演なのになぜかマイクが3本も立ててある。後ろには黒いアコギが2本とマンドリンが1本。開演時刻が迫ってステージ後ろのカーテンが降りると、そこには最近リリースされた『Declaration』(マイクが一人でアラーム名義で再録したもの)のジャケットのデザインが。

そう、今回はそのアラームのファーストを30周年記念で全曲演奏するというツアーの一環。もともと僕はアルバム一枚通して演奏するライヴってあんまり好きじゃないんだけど、まあそれ以外にも演るっていうし、インタビューを読むとアンコールも受け付けるとは書いてあったから、それなりに楽しめるだろう。

アラームのサイトで買い忘れていたその新録版『Declaration』、マイク・ピーターズ・オフィスに問い合わせてみたら今回のツアーに持ってきているとのことだったので、席に着くやいなや早速購入。もう一枚、アラーム極初期の曲をこれもマイクが一人で再録音した『Peace Train』というアルバムと、あとはこの六本木公演特製デザイン(上の版画)のTシャツも。

で、その新録版『Declaration』、曲順までもがオリジナルと全然違う。あのアルバムを「Declaration / Marching On」以外の曲で幕開けできるものかと思うんだけど、なぜか1曲目に書いてあるのは「Shout To The Devil」。中の曲もほぼ順不同に近い順番で収録されていて、最後が「We Are The Light」。なにその盛り上がらなさそうな曲順。もしや、今回の“全曲演奏”というのもこの順序なのか。

そう思いながら待機していたら、ステージに現れたマイクが最初に歌ったのは「Unsafe Building」。「この曲でバンドが始まったんだ」と。たしか前回の来日公演もこの曲が最初だったな。1曲目からすでに『Declaration』と関係ないし。まあその方が僕としてはサプライズがあって嬉しいけど。

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続いて「Shout To The Devil」。最初の曲もそうだったけど、何年の何月(ときには何日まで)にその曲をリリースしてとかいう事細かな説明をして歌い始める。そうか、今回の新録版がこの曲で始まっているのは、この曲がアルバムで一番最初に録音されたから(作曲された?)からなのか。

足元のバスドラをずっと踏みながら歌うのかと思っていたら、ループを駆使してドラム、タンバリン、ギターとどんどん音を重ねていく。後の曲ではコーラスも聞こえてきたから、その場でのループだけでなく結構いろんなプリレコーデッドの音も使ってたようだ。その点は自分内でもちょっと賛否両論というか、もっとシンプルな弾き語りを聴きたかったというのと、ここまで厚い音ならいっそバンドで観たかったというのと、でもこんなに頑張ってループとか駆使して少しでも意図した音を聴かせようとしてくれるのを評価したいというのとちょっと複雑な思い。

曲間の語りが長い。84年に最初に日本に来たこと(「12月15日に渋谷で観た人もこの中にいるだろう」って、あれ日付は事前に予習してるんだろうね、まさか覚えてるなんてことは…)、その次の年に初めてTOTPに出たときのこと。エコー&ザ・バニーメンが共演だったと「Killing Moon」の一節をイアンの真似して歌ったり、同じ日に出たマドンナはほとんど服なんて着てなかったとか、自分たちはこんなすごい髪型で、とか笑わせる。

同様に出演していたモリッシーとマーにサインをもらおうと楽屋を訪ねたら、モリッシーはズボンの後ろに花を挿していて、(当時まだ新人だった)マイクのことを知ってただけでなく「その場で次の曲のコーラス部分を歌ってくれたんだ。この曲はモリッシーに捧げるよ。みんなも同じ個所を歌ってくれ」と、「Where Were You Hiding When The Storm Broke」へ。

この曲の途中ではお馴染みの、トランプをばらまくパフォーマンスもあった。結構いい席に座っていたので、特に苦労もせず自分のところに落ちてきた3枚をゲット。3・4・5のストレート。拾えたのはうれしいけど、3枚もあると逆に持て余してしまうな。

そこからは新録版の曲順に沿って「The Stand」、(デイヴ・シャープによる素晴らしい歌詞との前ふりで)「Tell Me」、(イントロでまずマンドリンの音をループさせて)「Howling Wind」と続けた後、4年前の来日の話に。LHSの説明を始めたからもしかしたらその同名の曲を始めるのかと思ったら、その言葉を最初に歌詞に使った「Strength」だった。あれ?ファースト全曲演奏じゃないの?

さらに、「Walk Forever By My Side」に続けて76年にセックス・ピストルズを観た話を始めたものだから、ああこれは「Spirit Of '76」だとわかる。もうこの辺まで来ると『Declaration』全曲演奏なんてお題目はどっか行ってしまって、単にアラーム初期の曲だけを演奏するライヴになってしまっているよ。もしかして時間制限があって端折ってるのかな。まあ、最初に書いたとおり、僕としては予定調和じゃないそっちの方が逆にうれしいんだけどね。

次の「Sixty Eight Guns」で『Declaration』に戻る。これまでの曲もオリジナルと若干違ったアレンジが施されていたけど、これはなんだか、オリジナルにあったカタルシスを一切排除したようなもっさりしたバージョンだな。テンポも緩いし、あのジャカジャカジャッジャーンという恰好いいリフが、ドドンガドン、ドドンガドンなんて音頭みたいになってる。本当にマイクは今はこっちのバージョンの方がいいと思ってるのか。

ほとんどの曲で、ほぼ1コーラスごとに3本のマイクの間をうろうろと移動して歌う。それほど広いステージでもないのに、ちゃんと両端のお客さんにも見えるようにとの配慮だろうね。こんなことをする人を見たのは初めてだ。さすがの気配り。ほんとにこういうところも含めてファンになってしまうんだよね、この人。

「もし君が30年前のライヴに来ていたなら、オープニングで僕がギターを高く揚げてこの曲を演奏するところを見たはずだ」と言って、「Declaration」、そしてもちろんそれに続けて「Marching On」(これもまたちょっともっさりしたアレンジだった)。これが本編ラスト。うーん、なんか違和感。結局、マイクのボーカルで聴いてみたかったと思っていた「Third Light」や、彼が使っていたギターに大きなステッカーが貼ってあった「The Deceiver」は演らなかった(一度も使わなかった予備のギターにも同じステッカーが貼ってあった)。

アンコールで登場し、「来年また来れたらいいね」と言いながら、「One Guitar」を。ここでとうとう初期の曲縛りまで外れてしまった。そこからメドレーで「Rescue Me」、「Absolute Reality」と畳み掛ける。もうこのあたりで(少なくとも僕のいた位置ぐらいまでは)観客は総立ち。やっぱり、下手に(失礼)ドラムのループを入れたりするよりも、こうしてアコギ一本で観客とのコール&レスポンスを絡ませて歌う方がいいよ。まあ、この辺は楽曲の良さというのが歴然としてあるんだけどね。

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最後は、『Declaration』からこのオーラスに取っておいた「Blaze Of Glory」。さっきからずっと立って歌ってた客が最後のコーラスと両手を上げるのもお約束。後ろのカーテンが開いて、六本木の夜景が綺麗。最後にマイクが「Stay Alive!」と何度も叫ぶのを見て、この人がくぐり抜けてきた試練を思い出してちょっとうるっとなる。ライヴ中ほとんどの歌でずっと歌ってたつもりだったけど、やっぱり4年前の長丁場とは違って喉は全然大丈夫。とはいえ、アンコールも含めて1時間20分というのはこの会場にしては長かった方だろう。さあ、これからサイン会だ。

9時半開始のセカンドセットで1時間20分も演るもんだから、サイン会で最後の方に並ぼうなんて余裕はあまりない。それでも数十分並んだ後、ようやく自分の番に。マイクが僕を見て「Hey Yas」と言ったように聞こえたんだけど、まさかそんなことないよね。「4年前にも観ました、あと30年前にも」と言うが早いか、「知ってるよ、クラブドクターでね」と返してくれる。本当に覚えてくれてるのか??まさか。

会場で買った2枚の新譜のほかに、もし買えなかったときのためにと思って持参して行った3枚のCDを「ほら」って見せたら、それにもサインしてくれようとするマイク。係員にも注意されたし、いやそんな全部はいいからって言っても、「いいから貸して、あとそっちの新しいやつはビニール外して」と全部にサインをくれる。そんなやりとりがあったもんだから、もう少し時間があれば話そうと思っていたこともスコーンと頭から抜けるし、係員に撮ってもらった写真は手ブレがひどかったけどそれもろくにチェックもせず、「また来年ね」とだけ言ってその場を後にした。

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家に帰って、買ってきた2枚の新譜を聴く。『Declaration』は会場で聴いたのとほぼ同じアレンジと曲順だ。『Peace Train』の方も、かつてボックスセットに収められていたオリジナルのバージョンとはずいぶん違った感じになっているものが多かった。どちらも、申し訳ないけど素晴らしくいいというわけではなかったけれど、うちにある20〜30枚のマイク/アラーム関連のアルバムのうちの一部だと思えば、もちろん持っている価値十分なものだ。ときどき引っ張りだしては、このもっさりしたアレンジを聴きながら、今回のライヴを思い出すことにしよう。
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2014年08月09日

FRF14

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去年のフジロックはほぼウィルコ・ジョンソンだけを観る目的で出かけたら、意外とそれ以外にも見どころがたくさんあって、土砂降りの天気はともかくとして結構楽しめたなという感想だった。あれが一年前。

そんな去年のラインアップに比べると、正直言って今年は最後の最後まで僕を惹きつけるアーティストの名前は出てこなかった。早い段階でひっそりとリストに名前が載っていたある一人を除いては。

ガーランド・ジェフリーズ。81年の名作『Escape Artist』で彼のことを知り、当時ですら既に廃盤だった過去盤を血眼になって何年にもわたって揃えていた頃、最後のアルバムリリースから4年も経った87年に突然の来日。ミューズホールで観たライヴは今でも僕の生涯ベスト5に入る凄まじいものだった。

その後、91年、97年、06年とどんどんアルバム発表の間隔が広がり(06年の『I'm Alive』はほぼベスト盤みたいな内容だったし)、この人はもう新作も出さず、たまに地元でひっそりとライヴをやるだけなんだろうなと思っていたら、12年に『The King Of In Between』、そして去年『Truth Serum』と、またしても突然狂い咲いたように立て続けに(しかも内容の濃い)アルバムを発表。そして、今年のフジロックの第一弾ラインアップに名前が。

もしかしたらフジの前後に東京で単独公演があるかもと思っていたけど、どうやらその気配もなさそうなので、これはもう他のアーティストがどんなに僕の興味から外れていようと、彼が出演する日だけを目指して行くことにした。それが何曜日であろうと問題ない。とは思っていたけど、よりによって初日の金曜日か。しょうがない、会社はサボって三連休。でも苗場に三日間いる体力も財源もないので初日だけ参加。

通勤客と観光客と中国人でごった返している金曜早朝の東京駅で友達と待ち合わせて上越新幹線に乗り込む。席について、シラス弁当と一緒にさっそく今日一本目のビール。飲んでると越後湯沢なんてあっという間だね。いったん宿に荷物を置いて、去年の教訓をもとに長靴に履き替え、雨具をバックパックに詰めて出かける。雨の気配なんて一切ない猛暑の晴天だけど。

なんか会場行きのバスの列もリストバンド交換所もやけに空いてるな。初日の朝なんてこんなもんなのかな。グッズ売り場も覗いてみたかったけど、そこだけは長蛇の列だったのでパス。先に来ているはずの仲間とはまだ連絡取ってなかったけど、去年の基地あたりに目安を付けて行ってみたら即合流できた。みなさん、今年も基地お借りします。

今日二杯目のビールを飲みながら基地で寝そべっていたら、グリーンで一番最初のバンドが始まった。後ろの方で寝転んでるから直接にはステージはほとんど見えないけど、これは豪華な顔ぶれだね。ルート17・ロックンロール・オーケストラって、毎年オープニングをやってるのか。トータス松本やら甲本ヒロトがロックンロールのカバー(オリジナルの歌詞だったり日本語版だったり)をやってて、僕がもう少しこの手の日本のバンドに入れ込んでたらたまらないだろうなと思うようなステージだった。チャボの歌った(おそらく)オリジナル曲がなにからなにまでハングリーハートだったのが印象的。でも、もしかしてあれもカバーなのか。

さらに基地でごろごろしていたら、ルミニアーズ開始。よさそうなら前に行って観ようかなと思ってたけど、なんだかこれ去年ここで観たマムフォード&サンズの二番煎じぽい感じだね。同じようにやろうとしても、どうにも曲が弱いというか。決してひどかったわけじゃないんだけど、僕を基地のシートからひっぺがして前に歩かせるほどには至らず。

まだガーランドまで3時間近くあるけど、僕はもうそっち方面に移動したくて気が気じゃない。ちょうど友達が木道亭で阿部芙蓉美を観るというから、じゃあ僕も一緒に。ヘヴンまでの通り道だしね。ところ天国で友達が飲み物を買っている間に森のハイジカレーを喉に流し込む。カレーは飲み物。でも並んでいる友達に頼んでちゃっかりモヒートも飲む。

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木道亭って、ほんとにボードウォークの横にちょこんとくっついてるだけの場所なんだね。開演少し前に行ったらもうほとんど観る場所なんてない。全然知らない人だったけど、こんなに人気なんだ。でも、繊細な曲を歌っているのに、すぐ隣のヘヴンからドカドカと大きな音が聞こえてきて、ちょっとかわいそうだったね。もう少し静かな山奥で歌わせてあげればよかったのに。

阿部芙蓉美のあと、ヘヴンへ。でもまだ前のバンドが演奏してるね。じゃあ隣で時間つぶそう。オレンジでちょうどスティーヴ・ナイーヴが始まるところだ。前にグレンと一緒に吉祥寺に来たときとほぼ同じメンバーで、ベースはスティング息子か。

15時10分開演なのに、15時すぎになっても客席にはほとんど誰もいない。一応熱心なファンが10名ほど一番前の柵のところに陣取っていたけど、とてもこれが今からライヴが始まる場所だとは思えないぐらい。ところが、スティーヴがまずひとりで登場してキーボードのインストゥルメンタル曲を演奏しだすと、そこらにいた観客がわっと集まってくる(といっても50人いるかいないかぐらいだけど)。

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2曲目からはバンドが入る。ヴォーカルはスティーヴの息子だったよね。「Peace, Love & Understanding」のカバーなんだけど、なんだかもっさりしたアレンジ。息子君はそのあとドラムに移動(別にもう一人ドラマーがいたけど、その人は息子君がドラムキットに座るときはパーカッションとかプログラミングとかほかのことをしていたので、ダブルドラムみたいな感じではなかった)。

ジョー・サムナーってこんなにスティングに似てたっけ。2曲ヴォーカルを取ったけど、歌い方までそんなにお父さんに似せなくていいのに。曲のエンディングでジャンプするところまでお父さん似。かなり流暢な日本語のMCとか聞いてる限りは、お父さんよりはよっぽど性格よさそうだったけどね。

また息子のトール君が前に出てきて「Oliver's Army」のカバー。お父さんとデュエットするんだけど、どうしてまたこんなにテンポ落としてゆっくりもっさり歌うんだろう。さらにもう一曲ゆったりと歌ったところで隣のヘヴンに移動。まだガーランドのステージ開始まで20分ぐらいあるけど、万が一お客さんがたくさんいたら大変だからね。

早めに来てよかった(というかもっと早く来ればよかった)。リハーサルやってるよ。バンドメンバーが「96 Tears」や「Hail Hail Rock'n'Roll」のイントロの音を出してる。ガーランドは前に出てきてメンバーと打ち合わせしたり後ろの方で誰かと話したり、特にリハーサルに参加してるわけじゃないけど。前に見たときよりもかなりお腹が大きくなったね。もともとそんなに背の高い人じゃないから、ずんぐりした体形がきんどーちゃんみたいな感じ。

スタッフが、ステージから下に降りるステップをセットしてる。2メートル近くあるステージだから、あの数段のステップだと降りるにしても上がるにしても相当大変だと思うけど、71歳の小太りガーランドにそんなことできるのか?まあ、もしかしたら最終曲あたりで盛り上がったときに降りて来られるようにとの準備なんだろうけど。せっかく一番前に陣取ることができたから、こっちにも来てくれたらいいな。

ガーランド以外にメンバーは4人。ドラムスのトム・キュリアーノとベースのブライアン・スタンリーは『Truth Serum』に、ギターのマーク・ボッシュは『The King Of In Between』にそれぞれ参加してる人たち。キーボードのマット・キーティングだけはレコーディング・アーティストのはずだね、僕は聴いたことないけど。一緒に観ていた友達いわく、マシュー・スウィートが太らずに歳を取ったらああなるはずと。うん、そんな感じ。

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さあ開演。黒いジーンズに黒いTシャツというシンプルないでたちで登場したガーランドの第一声が「ニューヨークシティー!」。それはどう反応すればいいのか。曲は『The King Of In Between』のオープニングでもある「Coney Island Winter」。もしかしたら懐メロ大会になるのかなとも予想していたけど、ぜんぜんそんなことない。そして、間髪入れず「35 Millimeter Dreams」。スライドが恰好いい。

「'til John Lee Hooker Calls Me」、「I May Not Be Your Kind」と、『The King Of In Between』〜『Ghost Writer』の並びがもう一回続く。後者の紹介をするときに「I May Not Be Your…」まで言ってじらすのも27年前と同じ。それに続けて「Kind!」とつい叫んでしまうのも同じ。

「I May Not〜」の最後のアドリブのところで今度は「Tokyo」「I'm in the middle of Tokyo」と歌う。それはどう反応すればいいのか。。

どの曲のときだったかな、ステージ上でうろうろしながら歌っていたガーランドがもうさっそくステップに飛び降りて、ステージ下の観客席のところまで来て歌ったのは。柵の土台に乗って、観客にばたばた触られながら歌う。残念ながら僕がいた場所からは離れていたけど。そのあとまた歌いながらステップを上がっていくのがちょっと危なっかしかった。でもよく息も切らさずに歌えるね。70過ぎてるのに、すごいや。

「ニューアルバムが出たんだ」と言って「Any Rain」を。やった、この曲が一番好き。ニューアルバムと言ってももうほとんど丸一年前になるんだね。そして続けて「It's What I Am」。新曲ばんばん演るね。現役感。「今晩この後ニューアルバムを買いに行ってくれ」なんて半分冗談めかして言ってたけど、もっと東京とかでちゃんとプロモーションツアーすればいいのに。こんなライヴの後だったらきっとその場で何十枚も売れると思うんだけどな。それとも、本当にここが東京だと思ってるのか。

「最近友達が亡くなったんだ。ルー・リードとは50年来の友達だった。あいつは俺に扉を開けてくれた。ずっとサポートしてくれた。俺も少しは扉を開けてあげたけどね」と、もしかしたらこの話が出るだろうなとは思っていたけど、それに続けて「彼の曲を歌おう」ときたのには驚いた。「I'm Waiting For The Man」だ。

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またステージから降りて客席へ。またあっちの方だよ(あとでガーランドがリツイートしてたのを読んだら、どうもクロマニヨンズご一行様がそっちの方にいたらしい)。今度はそのまま柵をよじ登り、客席を練り歩きながら歌う。僕はその時初めて後ろを振り返って客席を観たけど、100人ぐらいはいたかな。少なくともスティーヴ・ナイーヴよりはずっと多い。始まった頃はガーランドもステージの上から「前の方に来てくれているみんな、大好きだよ。後ろの方の奴らはどうして寝てるんだ」とか言って、なんか後ろの方にいたお客さんをいじってたぐらいだったのに。

冒頭から熱いライヴだったけど、ラストの「Hail Hail Rock'n'Roll」でそれが最高潮に(ただ、時間は少し余っていたから、あれは最初からアンコール目当てで切り上げたのかも)。メンバー紹介のときにマットのことを「マシュー・スウィート」と呼んだのはおかしかった。公然の冗談になっているんだろうか。

ステージから下がろうとしたところで大きなアンコールの歓声。すぐに戻ってきて、どっちの曲を演ろうかみたいなことを言ってから「96 Tears」。そして「また会おう」と言って裏に引っ込むけど、まだアンコールの歓声が続く。

ニコニコしながら「こんなのは東京じゃないよ」と言って出てくるガーランド(そうだね、東京じゃないね)。最後は「Wild In The Streets」。あー、こっちか。「R.O.C.K.」聴きたかったんだけどな。まあ、しょうがない。それにしても最後まで全然声衰えないね。そして、今度こそ時間切れ。「今度はちゃんとツアーをしに戻ってくるから」と言ったのを覚えておくからね。

もしかしたらふらっと歩いて出てくるかもしれないと思って、次に観ようと思っていたフォスター・ザ・ピープルを諦めてしばらくうろうろしていたけど、どうやら車に乗って出て行ったようなのでとぼとぼとグリーンに戻る(これも後でガーランドのツイッターを見たら、そのままバンで成田に行って、次のカナダのフェスに出るために翌朝もう出発だったそうだ。すごい強行スケジュール)。

ふう、疲れてきた。もう後はさらっと書こう。グリーンに戻る途中でフォスターの知ってる曲(曲名は覚えてない)が聞こえてきた。基地に戻ろうかとも思ったけど、せっかくなので中途半端に前の方で観ることにした。せっかく折りたたみ椅子持ち歩いてるから、座って観よう。

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でも、そこから先はあまり知ってる曲が出てこなくて、いいライヴだったけど半分で残念な感じで基地に戻る。お腹すいたね、ということで、みんなでオアシス行って牛スジ丼を食す。うまし。食ってるうちに電気グルーヴが聞こえてきたので基地に戻る。一度ライヴ観てみたかったんだ。

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でも、寝転がって聴く音楽じゃないね。なんか大がかりなセットを組んだステージは遠くてよく見えないし、スクリーンも派手に点滅するステージをずっと映してるだけだから、一緒に観ていた友達はことごとく撃沈してる。なんかの曲からガリガリ君に移るところとかかっこいいなと思ったけど、オーラスの「富士山」は「お待たせしましたー」と言われるほどには僕は待っていなかったので、いまいち盛り上がれず。

グリーントリのフランツにはいまいち興味がなかったので、モーを観にヘヴンに戻ることに。なんか道がやけに混んでる。みんな誰を観に行くんだ? ベースメント・ジャックスにはまだ早いよな。

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昼間通ったときとは打って変わって、ミラーボールとかキラキラ光ってすごく綺麗なボードウォークを歩いているうちに気持ちいいギターソロの音が聞こえてきた。長丁場のモーは座ってみよう。結構ガラガラだし。でも着いたらすぐに15分の休憩に入ってしまった。あれ? 3時間のライヴの1時間終わったところでもう休憩?

というわけで第二部からのモー。うーん、長いギターソロとかすごく気持ちいいんだけど、やっぱりどうしてもフィッシュと比べてしまうから、曲自体の出来がもうひとつかな。これまであんまり聴いたことなくて、今回聴いてみてよかったらアルバム揃えようかなと思ってたけど、どうもそこまでじゃないかな。

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というわけでずっと座ってるだけでも疲れてきたので、またみんなに合流しようとグリーンに戻ることにした。ところが、途中そこを通らないといけない作りになっているホワイトステージが、ベースメント・ジャックスの客で通れない。満員電車の中をじりじりと歩いているような感じで、何十分もかけてようやく抜ける。もうちょっとルート作り考えてよ。

ようやくグリーンにたどりついたら、もうフランツ・フェルディナンドが終わるところ。基地の撤収をちょこっと手伝って、みんなでぞろぞろとバスに戻る。フランツが終わったところだからもっと大混雑かと思ってたら、道を歩いてるのはほんの数十名で拍子抜け。みんなまだベースメント・ジャックス観てるのかな。

結局、一日中ボコボコ音言わせながら長靴はいてたけど雨は一滴も降らず。両腕だけが真っ黒に日焼け(これを書いている今はもうボロボロに皮がむけてるけど)。疲労度が去年と全然違うのは天候のせいか、それともほとんど座るか寝転がって観ていたせいか。でも、あと2日同じことを繰り返せと言われても、ちょっとその気力はないなあ。最終日のボーグスとか観てみたかったけど。

来年もまた一日だけ行こう。どうか、僕の観たいアーティストが沢山来ていろんな日にばらけませんように。
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2014年07月13日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 2

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梅雨の合間のものすごい晴天だったんだ、一日中この日は。真夏みたいに。なのに、新宿でちょっとタワーに寄って、マイク・オールドフィールドの『Crises』の旧規格盤が安く出ていればオリジナルを持っていないと言っていたタマスへのお土産に買っていこうなんて思ったのが運の尽き。

結局、高い『Crises』デラックスエディションかスペクトラムからの安っぽいベスト盤しか「Moonlight Shadow」の入っているアルバムはなく、それなら今度自分で選曲してあげた方がマシと思って、何も買わずに開場時刻にちょうど間に合う時間に山手線に乗って原宿駅に着いたら、ホームから階段から改札までものすごい人混み。外は滝のような雨。誰もが改札を出たところで立ち止まってしまっていて誰一人身動きができないような状態になってしまっている。

それでもなんとか人をかき分けて改札を抜け、土砂降りの雨を浴びながら信号を渡る。でもどこにも雨宿りができるような場所がない。しょうがないからもう行ってしまおう。一緒に行った友達が折りたたみの傘を分けてくれたんだけど、そんな小さな傘だと二人の頭部を濡らさないようにするのが限界。全身ずぶ濡れ、脛ぐらいまでの深い川のようになった竹下通りをじゃぶじゃぶと進んだ靴は中まで完全に水浸しの状態でようやく会場のVacantにたどり着いた。

前回(2011年)と違ってこの日は、前の方の席にも小さな箱のようなベンチが置いてあり、靴を脱ぐ必要はなかったんだけど、僕は水浸しの靴を脱いで、その日は終演までずっと裸足で過ごした。ああ気持ちいい。外に靴下を絞りに行ったら、もう雨が上がってるよ。ほんの30分ぐらいの夕立だったの? ああいうのをゲリラ豪雨っていうのか。なんというタイミングの悪さ。あのタワーでの30分ほどが裏目に出てしまった。

そんな酷い天気でも、ほとんどのお客さんは定時に会場入りしていて、大きく開演時間をずらすことなく、前座のクリス・リンチのセットが始まった。この日は最初の2日間同様にクリスがステージ右側。いつも置いてあったピアノはなく、ステージ左側にキーボード。ドラムキットは前日と同じ、バスドラがやけに小さい3点セット。

クリスのセットは福岡とは曲順が違っていたけど、演奏した曲自体は確か同じだったはず。全部で5曲だったかな。1曲目の「Church Steeples & Spires」(福岡での2曲目)がカントリーぽいメロディーと曲調で、これまでのブロークン・フライトのイメージとは大きく違うのが印象的だった。終演後にもブロンがクリスに「あのカントリーっぽい曲いいね」と言っていたな。

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最終日のオープニングは「I’m Sorry That The Kitchen Is On Fire」、そして「England Had A Queen」と続いた。これは初日の福岡公演のセットリストそのままで来るのかなと思った矢先、従弟がバイク事故で骨折したエピソードを話し始め(あの話を聞くのは初めてだったと思う)、「その実話に基づいて書いたんだ」と、「Broken By The Rise」を演奏。これ聴くのはずいぶん久しぶりな気がする(調べてみたら、僕がこの曲を最後に聴いたのは、2010年のシンガポール公演だった)。

続けて、これも今回のツアー初披露となる「Fire Balloons」。僕だけでなく、前日の光明寺で久々に再会したファンの方や、ブロンまでもがこの曲を演ってほしいとタマスにリクエストし続けてきた甲斐があって、ようやくこの最終日に演奏してくれた。というか、僕はこれを数あるタマス・ウェルズの曲の中でも名曲中の名曲だと思ってるんだけど、それが本人にとっては下手すると歌詞を忘れてしまう程度の扱いだということが信じられないんだけど。終演後タマスが僕に「ほら、今日は歌ってあげたでしょ」とニコニコしながら言ってくれたのが忘れられない。

その後のセットはほぼ福岡公演と同様だったんだけど、途中のソロコーナーではこれも今回初となった「Open The Blinds」や、前日の咄嗟のアンコールで急に思い出したのか「Opportunity Fair」を演奏。今回のツアーでのアンコール定番「Lichen And Bees」も早々に出たから、聴いていた限りではセットリストの印象はどの日ともえらく違った。

どこから聞こえてくるのか、おそらく屋根にたまった水がぽつん、ぽつんと、結構大きな音で延々と鳴っていたのが気になった。曲と合わないメトロノームがずっと鳴っているようなもんだから、きっと演奏してる方はもっと気になったことだろう。たぶん、ライヴの中盤ぐらいまでずっと鳴ってたんじゃないかな。タマスも「あれはスペシャルエフェクトだ。楽しんでもらえたらいいけど」なんて冗談めかして言ってたね。

「エスキモーの子どもが誤って友達を殺してしまうストーリーの映画を見て」と話しだしたはいいけど、タマス自身はその映画のタイトルを覚えておらず、「誰か知らない?」とお客さんやメンバーに訊いてみるけどそれだけのヒントでわかるだけの映画通もいなかったようで、そういうどこにも行き着かない話をつい始めてしまうのがいかにもタマス。後でブロンに「あの映画って一緒に観たの?」と聞くと「知らない。きっとマイナーな映画ばかりやってるケーブル局で観たんでしょ」だって。タマス、それは誰にもわからないよ。

「Draper Street」や「Signs I Can’t Read」など、ネイサンがアイパッドとシンセを使って効果音を奏でる曲では、アンソニーがネイサンの隣に行って操作を手伝っていた。アンソニーの本職が実は大学の偉い教授で、ネイサンもアンソニーと一緒に働いているという話を聞いていたので、こと演奏に関してはこうしてネイサンがアンソニーにあれこれ指示を出しているのが、きっと彼らの大学の生徒が見たら不思議な光景なんだろうなとちょっと可笑しくなった(山崎シゲルと部長を連想)。

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今回のツアーでのハイライトだと思っていたその「Signs I Can’t Read」に続けての「Melon Street Book Club」がなかったのが少し期待外れだったけど、後でタマスにそう言うと「セトリ変えろと言ったのは君だろう」と。はい、たしかにそのとおりですね。

本編最後は解説付きの「Valder Fields」と、口笛指導付きの「A Riddle」。そういえば、「Valder Fields」をこうしてライヴ終盤の重要な場所に位置づけたのも今回のツアーが最初じゃなかったっけ。だいたいいつも中盤にぽつんと歌って何事もなかったかのように残りのライヴを続けてたもんだけど、ようやくお客さんがこの曲を一番聴きたがってるというのに気づいたのかな。

アンコールには何を持ってくるんだろうと思っていたら、まずは「True Believers」、そしてメンバー紹介の際にまたアンソニーがいないという定番ジョークみたいなのを挟み、本来のアンコール定番「For The Aperture」。そこで一旦メンバーが退き、さあ昨日同様もう一回最後のアンコールを演ってくれるかなと思っていたら、あっという間に客電が点いてしまった。うー、残念。後で床に置いてあったセトリを見てみたら、ちゃんとそこには「Grace And Seraphim」と書いてあったから、なおのこと残念。

ニューアルバムのジャケットにサインをもらう(本当はこの日にもらったんじゃないんだけど)。「またずっと一緒に居ることができて嬉しい」と、あの綺麗なジャケいっぱいに銀色のペンで書いてくれた。こちらこそ、こんなに長い時間を共有できて、ほんとうに嬉しいよ。でもそのジャケをすぐにビニール袋に入れてしまって、せっかくのサインを滲ませてしまうどんくさい僕。

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アンソニーに「ずっと前に話してた、制作中だというソロアルバムはどうなったの?」と聞くと、「1年半ほど前にいくつか録音はしたんだけど、そこからなかなか進まなくてね」と。「じゃあ、もしそれが完成して、地元でお披露目ライヴをやるってことになったら、メルボルンまで観に行くから」と言ったら、タマス達も(半分冗談めかして)それはいいと。でも、もしそんなことになったら、無理やりにでもタマスにも同日にライヴ企画してもらうからね。さて、次はいよいよメルボルンでタマスのライヴを観るのを実現できるかな。


Tamas Wells Setlist 29 June 2014 @ Vacant Harajuku, Tokyo

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. Broken By The Rise
4. Fire Balloons
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Open The Blinds
11. Opportunity Fair
12. Never Going To Read Your Mind
13. Lichen And Bees
14. Vendredi
15. The Treason At Henderson's Pier
16. Signs I Can't Read
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. True Believers
2. For The Aperture
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2014年07月06日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 1

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東京初日。当初予定していた富士見が丘教会から急遽変更になった会場の光明寺は、六本木のすぐ近くにこんな閑静な場所があるのかと思うほどの、都会の中のエアポケットみたいな空間だった。直前での場所探しにsinさんが苦労してたのは知ってたけど、よくもまあこんな場所を見つけてきたものだ。

朝10時にポートライナーの三ノ宮駅で懐かしい人と待ち合わせ、その人と一緒に、思いのほか混んでいた新幹線と山手線・地下鉄を乗り継いで神谷町へ。初日の福岡からしとしとと降り続いてる雨がなかなか止まないね。まあ、荷物も少ないし、傘をさすほどの雨でもないから別に気にならないけど。

会場は、お寺。わかってはいたものの、本当にお寺だ。奥の方には仏様の頭が置いてあったりする。ブロンがしきりに言ってたけど、敬虔な仏教徒の多いミャンマーなら、仏様に背を向けて演奏するなんてあり得ないセッティング。この日から参加するアンソニー・フランシスのために、これまでの二日間とは違って右手にピアノ、左手にキーボードを設置。タマスとクリスの立ち位置もいつもとは逆だ。

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前座は前日と同様、n. markことネイサン・コリンズ。曲名は全然わからないけど、多分前日と同じ曲目。最後の曲でクリス・リンチが出てきてアンビエントなギターを添えるところも同じ。ついでに言うとすごくよかったのにやっぱり途中で眠くなってしまったのも同じだった。ところで、確かn. mark名義の音源が4-5曲ほどサウンドクラウドに上がってたと記憶していたのに、いくら探しても見当たらない。こんな検索しづらい名前にしないでほしいよ。

さっぱりと髭を剃って髪の毛も短くしたアンソニーを含めた4人編成で登場。オープニングは「Vendredi」。また今日もセトリ変えてくれるんだ。クリスの弾くこの曲のピアノのフレーズ、ごく簡単なものなのに、微妙なタメというかタイミングがアンソニーやキムとはまた違ってすごくいい。連日同じようなセットで同じようなコメントばかりで恐縮だけど、ほんとにこの人が参加したことでこのバンドの音の幅というか余裕が格段に広がった気がする。

2曲目はクリスがギター、代わってアンソニーがピアノに座り、「The Northern Lights」。ピアノソロで早速心配していたミスタッチが・・・ むう、この先大丈夫かな。このライヴ中はもう絶対彼のことを見てプレッシャーかけるようなことはしないでおこう(事実、僕はまた彼の近くに座ってしまっていたんだけど、お互いもうわかってるから、登場以来すでに一切お互い目を合わせていない)。

彼が参加していないニューアルバムからの曲では、アンソニーはおとなしく下がって、ピアノの裏の方で体育座りしたり楽屋の方に引っ込んだりしていた。一度、どの曲のときだったか、タマスが突然「皆さん、キーボードのアンソニー・フランシスです」と紹介したら、その場にいなかったということがあったね。あれはわざとなのか。お笑い要員フランシス教授。

ネイサンがいつものようにアイパッドで音を操作していたら、タマスが曲間の紹介で「中国ツアーのときに彼がああいう風にしていたら、終演後にお客さんにどうしてライヴ中にメールしてるんだって聞かれてたよ」だって。まあ確かにドラマーがいきなりドラムも叩かずにうつむいてタブレット覗き込んでたらそう思ってもおかしくないかも。

「数年前に(ちなみにタマスはどんな昔の話でも「A few years ago」と言うね)駐車場というロマンティックな場所である女性にプロポーズしたら、『わからない』って返事だったんだ。そのときの経験を基にして書いた曲」といいながら「Benedict Island Pt. One」を演奏。プロポーズの結果はうまくいったと話してたからもちろんブロンのことなんだけど、今回この話をブロンとするのを忘れてたな。

ちょっと「あれ?」と思ったのが、お寺で演奏する話からミャンマーのお寺の話になって、「次の曲はミャンマーで書いたんだ」と言って「True Believers」を演奏したこと。あの曲って日本で書いたって言ってたよね。終演後に早速タマスに聞いてみたら、最初にメロディーを思いついたのが日本ツアーのときで、歌詞を書き上げたのがミャンマーに戻ってからという話。ちなみに前回の記事に書いた、キビダンゴ事件とこの曲を書いた時期はまったく別だったそうだ。たまたま前日この曲を演奏する前にキビダンゴの話をしただけだって。

今回のツアーでのハイライトのひとつである「Signs I Can’t Read」から「Melon Street Book Club」へのメドレー、最初の2日間よりも「Melon Street」を始める前にタマスがやけにじらしてたような気がする。あれはアドリブだったのかな。それにしても、自分が作曲したこの曲をタマスがライヴで弾くのを聞くのはどういう気持ちだったんだろう、フランシス教授。

「僕はお好み焼きが大好きで、日本に来たらいつも食べるんだ。でも今回は、今まで僕には秘密にされていた重要なことを知ってしまった。お好み焼きよりもすごいものを食べさせてもらったんだ。それは、もんじゃ焼き」と笑わせるタマス。僕は大阪人として決してもんじゃがお好み焼きの上だとは思わないけど、もんじゃ焼き好きのオーストラリア人というのも珍しいよね。

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「For The Apperture」みたいな音の厚い曲は、さすがにアンソニーが入ったことで音がよりふくよかになったね。いつもはこの曲ではバンジョーを弾いていたアンソニーはキーボードで参加。最初の「The Northern Lights」での失敗以降は目立ったミスタッチもなく、概ね安心して聞いていられた。ただ、ほかの3人が弾くピアノと違って、ちょっとやっぱりおっかなびっくり弾いてるせいか、アンソニーが弾くときだけはピアノの音が小さかったように思う。

「A Riddle」のときにアンソニーが顔を真っ赤にして照れながらステージ前のマイクのところに立つ。口笛要員だ。いつもタマスが自分でこうやって吹くんだよとお手本を見せる代わりに彼に見本を見せさせて、「でも僕らは口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。口笛要員の立場は・・・

「前回のツアーでは教会で演奏したし、今日はお寺。もしかしたら次回はモスクかな」と笑わせ、そして「最後はマイケル・オールドフィールドの曲」と「Moonlight Shadow」で幕。実は、リハーサルのときにクリスに前日話していたオリジナルを聞かせてあげたんだけど、とても無理と諦められてしまった。でも、もうすっかりクロージングとして定着した感のあるこの曲で、できるだけ凝ったギターを弾いてくれようとはしていたと思う。ありがとうね。

結局、前日のセトリとは1曲目と3曲目が入れ替わって、そこに初日に演った「Benedict Island」を加えただけだったこの日のリスト。アンコールでまずタマスが一人で登場して「Grace And Seraphim」、そこにメンバー全員が加わって「Lichen And Bees」で終了。と思いきや、この日はアンコールの拍手が鳴り止まない。しょうがないのでタマスが再度一人で出てきて、「Opportunity Fair」を歌う。おお、これは今回のツアーでは初。結局、それも含めて全22曲と、今回のツアーでもっとも曲数の多い日となった。

さて、いよいよ明日はこの4日間のツアーの千秋楽。前回の東京公演で使った原宿Vacant。これまでの3日間がとんでもなく異色な場所ばかりだったから普通のハコみたいに思えてしまうけど、あそこも実はかなり気持ちのいい空間なんだよね。さあ、楽しみだ。


Tamas Wells Setlist 28 June 2014 @ Komyoji Kamiya-cho, Tokyo

1. Vendredi
2. The Northern Lights
3. Bandages On The Lawn
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. Benedict Island, Pt. One
8. True Believers
9. The Crime At Edmund Lake
10. Signs I Can't Read
11. Melon Street Book Club
12. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
13. Thirty People Away
14. Never Going To Read Your Mind
15. Valder Fields
16. For The Aperture
17. I Left The Ring On Draper Street
18. A Riddle
19. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
3. Opportunity Fair
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2014年07月04日

Tamas Wells live in Hyogo

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一夜明け、白いご飯に明太子とシラスが乗ったものに牛蒡の天麩羅を添えただけの博多丼なるものを頂いて(日本のご飯は本当においしい)、博多駅で偶然会ったタマス・ウェルズ様ご一行と一緒の新幹線で東へ向かう。会場は、旧グッゲンハイム邸というこれまた古風な洋館。僕が宿を取った三宮から電車でほんの20分足らずの場所なのに、その駅の周りだけがどこか違う時代にタイムスリップしたような錯覚に陥るとても不思議な街に建つ素敵な空間だった。

靴を脱いで中にお邪魔する(ほんとに、他人の家にお邪魔するような感じ)。リビングとダイニングをぶち抜いたような広い部屋の前方に座布団が敷き詰められ、手前側には椅子が20脚ほど並べてある。今日は椅子席でゆっくり観ようかなと思ってたけど、もたもたしてる間に座ろうと思っていた席が早々に埋まってしまったので、いつものとおり前方の座布団席へ。

今日の前座はn. markことネイサン・コリンズ。ステッドファスト・シェパード名義はもうやめたんだって。クラシカルなピアノの弾き語りが30分弱。いや、なめてかかってましたよ僕は、申し訳ないけど。すごくよかった。クラシカルと言っても別にクラシックを演奏するわけではなく、いつもの彼らの音楽(メルボルン・コネクションとかつて僕はここに書いたね)のエッセンスをグランドピアノだけで表現したような感じ。今回のタマスのライヴ、それにこの独奏を聴いて、やっぱりこの人がこの仲間の音楽的な肝なんだと再認識。

単調なフレーズの執拗な反復とそれが徐々に形を変えていくのを観る(聴く)快感。最期の曲ではクリスが入ってアンビエントなフレーズでそれに彩りを添える。正直言って疲れと寝不足で落ちそうになってしまう瞬間もあったけど(後で本人にそう言って謝ったら「ああいう音楽はそういうもんだ」と言ってくれた)、これマジでCD出してほしい。とりあえずサウンドクラウドのやつはDLできるのかな。

そういえば、ネイサンの演奏中に外の庭かどこかから子供の叫ぶ声が聞こえてきて、ふと「Sanctuary Green」みたいと思った。あと、すぐ近くの山陽電車の音がけっこう頻繁に聞こえてくるね。まあそんなに気になるほど大きな音というわけじゃないけど。

休憩後、3人がステージに登場したのが確か8時20分過ぎごろ。楽器の位置は前日と同じ。借り物のドラムキットは当然前日とは違うものだけど編成は同じ。左側にはDiapasonという僕の知らないブランドのグランドピアノ。ネイサンも知らなかったけど、凄くいい音がすると終演後にまたためし弾きして音を確かめていたほど凄いピアノだった。小さく浜松って書いてあったから日本のブランドなんだね。ヤマハと関係あるのかな。

日本に来る前の中国ツアーは四公演とも同じセットだったという話だったから(福岡公演もその同じセット)いくら僕が全部観ることを気にしてくれているとはいえタマスもそう大きく変えてくることはないだろうと思っていたら、オープニングがいきなりニューアルバムからの「Bandages On The Lawn」。ああ、ちゃんとセトリ変えてくれるんだ、嬉しいな。

と思っていたら、間髪入れずに「The Northern Lights」。昨日と全然違うセットだ。その後も、演奏している曲自体はほとんど同じだけど(後でセトリをチェックしたら初日とは2曲が入れ替わってただけ)、受ける印象が前日とは全く違った。

例のキビダンゴを電車に置き忘れた逸話を話しだしたから何を今頃?と思ったら、その話とは何の脈絡もなく「True Believers」を歌い始めた。本人の中では脈絡ないわけでもないのかな。確かこの曲って日本で書いたんだよね。あれがそのキビダンゴ事件のときだったのか。彼の書く歌詞と同じく、皆まで語らず推し量れということなのかもしれないけど、それちょっと難易度高すぎ。まあ、大好きなこの曲を演ってくれたこと自体には何の文句もないけれど。

「For The Aperture」とかいくつかの曲でのクリスの歌伴の演奏が凄い。目立たないけれど結構テクニカルなフレーズを弾いているし、それに加えてエフェクターやボリュームのフェードイン&アウトで、もう僕にとっては何十回も聴いた曲に新たな表情を加えている。今回のライヴでプロデューサー的役割を果たしている(と僕は勝手に想像している)ネイサンとのバッキングは、今のタマス・ウェルズの音楽をライヴで再現するならきっとこうなる、というのをきっちり具現化したような音だった。

部屋に大きな床置きのエアコンは置いてあるけど、たぶん音が邪魔になるせいか、電源が切ってある。なので、これだけの人数が入るとけっこう暑い。それなのに、ときおりふっとそよ風が吹いた気がする瞬間が何度もあった。大好きな曲でタマスが歌い始めた瞬間とかね。演奏後にタマスがギターを下ろしたら、シャツの前の部分が汗でびっしょりになってたね。彼も相当暑かったんだろう。

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前日は吹き抜けの天井がうんと高かったからできなかったようだけど、この日はプロジェクターを使って天井に『On The Volatility Of The Mind』のジャケットとその色違いバージョンを投影していたのが印象的だった。ただでさえ古風な装飾のランプとかが素敵な天井なのに、それにあの不思議な版画が重なったときの一種荘厳な雰囲気はなんともいえない。

「A Riddle」を「ニューアルバムからのシングルカット」と紹介して、「僕は口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。自分で口笛を吹いていると周りの音はよく聞こえないけど、みんなちゃんと吹いてたかな。

それで最後かと思ったら、「次の曲で終わり。マイケル・オールドフィールドの曲」と言って「Moonlight Shadow」を。よっぽど気に入ったんだね、この曲。終演後、クリスに「あの曲のギターソロがいいから、今度演奏してよ。明日ウォークマン持ってきて聞かせてあげるから」と無茶振りしておいた。

アンコールはまずタマス一人で「Grace And Seraphim」。ああこれも嬉しい。ステージ脇で二人がひざまずくように座ってしんみり聴いていたのが印象的だった。そして、二人が参加して前日同様「Lichen And Bees」で締め。

前日の素晴らしかった福岡公演を貶めるつもりは全くないし、福岡で聴いた人をがっかりさせるのが目的ではないけれど、この日は、歌も演奏もセトリもどれを取っても、僕がこれまでに観た11回のタマスのライヴの中でもトップクラスの出来だったと思う。終演後にタマスと話していてそう伝えたらとても嬉しそうにしていた。

でも、「今日のセットリストがそんなによかったなら今回はこれで固定しよう」とタマスが言うのにいやそれは困ると文句をつけたり、僕が「またFire Balloons演らなかったね」とか言ってると、タマスがもう最後に「わかった、明日のセットリストは君に任せるよ」とまで言われてしまった。あのね、僕にそういうこと言うと冗談ではすまないよ、僕の性格もう知ってると思うけど(笑)


Tamas Wells Setlist 27 June 2014 @ Guggenheim House Hyogo

1. Bandages On The Lawn
2. The Northern Lights
3. Vendredi
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. True Believers
8. The Crime At Edmund Lake
9. Signs I Can't Read
10. Melon Street Book Club
11. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
12. Thirty People Away
13. Never Going To Read Your Mind
14. Valder Fields
15. For The Aperture
16. I Left The Ring On Draper Street
17. A Riddle
18. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
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2014年06月30日

Tamas Wells live in Fukuoka

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会場のpapparayrayって変わった名前、なんて思いながら下校途中の高校生をよけつつ閑静な住宅街をしばらく歩いてたどり着いたら、その一画だけ時代を巻き戻したようにうっそうと木が茂った古民家だった。いつもタマスのライヴ会場の選択の妙には感心させられるけど、今回もまたすごいところで演るなあ。

小さな庭を抜けて中に入ると、会場にあたる部分は民家の二階の床をぶち抜いた吹き抜けの広い空間。椅子が70-80脚ぐらい置いてあるな。失礼ながら、福岡にタマスを聴く人なんてどれぐらいいるのか全然見当もつかなかったけど、開場時刻からそう長く経たないうちにあっという間に満員になってしまった。

それほど大きなキャパの会場でもないのに、開場から開演まで1時間もある。赤のグラスワインを飲み干してしまわないように気をつけよう。なにしろここに着く前にちょっと腹ごしらえと思って福岡の地酒を二合ほど腹にしまってきたばかりだから(酒も肴も美味しかった)。

予定時刻の8時を15分ほど回ったところで暗転。オープニングはクリス・リンチ。このブログで7年も前に取り上げたブロークン・フライトの中心人物だ。それ以来時々連絡を取りながら、まだ次のアルバム出さないの?なんて話してたクリスと、7年越しでようやく会うことができた。実は、今回のタマスのツアーに彼が参加することを知ったときに、前座でブロークン・フライトとして演りなよ、なんてけしかけてみたんだけど、それがこうして実現して小さく感無量。

フェンダーのテレキャスターにエフェクター類を8個もつないで、一人であの名盤『On Wings, Under Water』の世界を可能な限り再現。そのアルバムからの曲と聴いたことのないおそらく新曲を合わせた6曲ほどのセットで30分ほどの簡素なセット。これはもう少し聴いていたかったな。せっかくそのアルバムのプロデューサーも一緒なんだから、ネイサンにも参加してもらって「A Strange Love」の神経が麻痺してしまいそうな演奏を10分続けるとか、贅沢な妄想が膨らんでしまう。

十数分の休憩を挟んで(なにしろトイレがひとつしかないから大変)、タマス・ウェルズのセット開始。ネイサンが後ろのドラムキット、クリスがさっき立っていたステージ右側、そしてタマスが正面のマイクの前にマーティンを持って立つ。左側にはアップライトピアノ。ドラムキットのところにもノードやら小さなキーボードやらごちゃごちゃ置いてある。

オープニングの選曲にはかなり意表を突かれた。「Friday」こと「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。いつもならエンディングやアンコールに持ってくることが多いこの曲で開始。その後、過去のアルバムからランダムに演奏(いつもなら最後の方に演奏する「For The Aperture」なんかも3曲目で早々に)。「しばらく前にニューアルバムが出たのでそこから何曲か演るよ」と言って「Bandages On The Lawn」を。

イントロもなく歌いだしたのが「The Northern Lights」。うわ、これは嬉しい。前回のツアーでは歌ってくれなくて、封印でもしたのかと思いきや、単に歌詞を忘れたからという理由だったのが、今回はちゃんと覚えてきたんだね(ちなみにsinさんが「あれyasさんがリクエストしたから覚えてきたの?」と後で訊いたら、「そうだっけ?」という反応だったらしいけど)。

「Thirty People Away」など、曲によっては歌詞の背景を訥々と説明してから歌いはじめる。昔からそうだったけど、どの曲のことを説明するかはそのツアーによって違うみたいだね。初期のツアーでは「Friday」や「Reduced To Clear」、しばらく前のツアーは「Signs I Can't Read」を説明してたけど、今回はこれといくつかの新曲についてだった。

前回のツアー以来すっかりレパートリーに収まった「Moonlight Shadow」。たぶんこの日の若いお客さん達もあれがタマスの新曲だと思って聴いてるんだろうな。オリジナルのドラマティックな展開はないし、歌詞やメロディーもところどころ変えてるけど、やっぱりいい曲だしタマスの声に合ってるよね。

ネイサンは主にブラシで簡素なドラムキット(バスドラ、スネア、シンバル)を叩くほか、脇に置いてあるキーボードやiPadや僕の位置からは見えない何かの機械をしきりにいじって、効果音やループを入れ続ける。クリスもギターのボリュームやエフェクターを駆使してそれに応える。これがあるから今回の音は同じ3人でもいつものタマス・ウェルズ・バンドの演奏とは全然違って聞こえるね。

それが最高潮に達したのが、タマスがピアノを弾きながら歌った「Signs I Can't Read」。ピアノ独奏に、曲のイメージどおりの幽玄なバックグラウンドノイズが覆い被さり、そのノイズの中をタマスがふと手を止め、そしてそのまま「Melon Street Book Club」に続けたところは、ある意味僕にとってこの日のハイライトだった。今思い出しても背中がぞくぞくする。

「人間には二面性があって、理性や意思に支配されたところともっと内面から自然に出てくるところ」と説明を始めたとき、ふーん次は何の曲なんだろ、なんて思ってたら、「そういう自然発生的な領域のことをValder Fieldと呼んでるんだ」と。そして、イントロなしバージョンのこの名曲を。当然ここもこの日のハイライト。ハイライト沢山あって申し訳ないけど。

「最後は新しいシングル曲」(へえ、あれシングルという位置付けだったんだ)。プロモーターの河崎さんをステージに呼んで一緒に口笛を吹いてもらう。いつも華やかにライヴを締める「Friday」や「For The Aperture」を前の方に持っていったのは、今後はこの曲がその位置を取って代わるという意味なのかな。この曲、最後どこで手拍子止めるかタイミング計るのが難しいんだけど(笑)

アンコールは「Lichen And Bees」。なんかもうこういう曲を聴いてると旧友に再会したような気持ちになる。これを最初に聴いたのももう8年前になるのか。いや、それにしても本当に今回は磐石の演奏。今までで一番プロフェッショナルな演奏だと思う。申し訳ないけどアンソニーがいないとここまで演奏が安定するのか(苦笑)

終演後にネイサンとクリスが近寄ってきてくれて(というか僕が近くにいたステージに片付けに来ただけだけど)しばらく歓談。7年前に一度会っただけのブロンまで僕のことを覚えていてくれていて嬉しい。ステッドファスト・シェパードのファーストアルバムと、ブロークン・フライトのファーストとEPを持ってきたので両名にサインをもらう。ファースト『On Wings』はさすがにあの美術品みたいなジャケにサインをするのを僕もクリスもためらったので、EPのみに簡素なサインをもらった。

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プロモーターの河崎さんやスタッフの方々とも少し話をさせてもらった。今回のこの満員のお客さんは必ずしもタマスのファンというわけじゃなく、河崎さん主催のライヴであれば観に来るという常連客が多かったようだ(九州のカフェゴーティみたいなもんだね)。逆に、「今回はいつも見かけないお客様がたくさんいらっしゃってました」なんて言われてしまった。

25年ぶりに訪れた福岡で、1年半ぶりのタマスのライヴ。この四夜連続公演のまずは完璧なスタートだった。例によって終演後にタマスにあれこれリクエストして苦笑いされたけど、残り三日間、少しはセットを変えてきてくれるかな。


Tamas Wells Setlist 26 June 2014 @ Papparayray Fukuoka

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. For The Aperture
4. Bandages On The Lawn
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Benedict Island, Pt. One
11. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
12. Never Going To Read Your Mind
13. Vendredi
14. The Treason At Henderson's Pier
15. Signs I Can't Read
16. Melon Street Book Club
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. Lichen And Bees
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2014年04月20日

Johnny Winter live in Tokyo 2014

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「奇跡の初来日」からわずか1年で再来日、それから2年後の今回、個人的にはこれでもう4度目となるジョニー・ウィンターの来日公演。前3回を観て、内容なんてもう大きく変わるものでもないとはわかっているものの、不謹慎ながらももしかしたらこれが最後かもなんて思って、つい観に行ってしまう。

去年のオープン以来いろんな来日アーティストの公演が行われている六本木EXシアター。僕は今回大江戸線で行ったもんだから、まずあの地獄からの脱出みたいなエスカレーターをひたすら歩いて上り(ミッドタウン側だと秘密のエレベーターで一気に上がれるのに、日比谷線連絡側にはエレベーターないのかな)、そこから更に延々と歩いた六本木ヒルズお向かいという、まあちょっとした徒競走みたいな距離を歩いてようやくたどり着いた。

6時の開演前の5時開場はともかく、4時のラウンジオープンとは何かと思いながら5時20分前ぐらいに着いてみると、それは単に会場のドアが開いて中のカフェに入れるというだけの話だった。別にホットドッグとかスパゲティとか食べたいわけじゃないし、どうせ入場時に500円も払ってプラスチックコップ一杯の飲み物買わされるんだから、わざわざその前に更に500円追加で払ってビールとか飲みたくもなく。そうするとあとは寒風吹きすさぶ中庭で神社のハトのようにじっとうずくまってるか、カフェに続く階段の脇にあるひな壇状の座席で雛人形みたいに座るぐらいしかすることがない。どっちもやってみたけどあまり楽しくない。

毎回律儀に主催者からチケットを買っているせいか、今回はかなりの良席。ギターを弾く手の見づらい右側とは言え、前から2列目。ステージ上に置いてあるベースがほぼ目の前という、結構中央寄りの席。ここの1階フロアはスタンディングにもなるようで、席は立派なパイプ椅子といった風情。1階といっても、このフロアまで降りてくるためには地下3階までエスカレーターで降りてこないといけない。

さてそろそろ本編について書こう。暗転したときに時計を見るのを忘れたけど、確かほぼ定刻どおりに始まったいつもどおりのバンドメンバーだけによるイントロ。左手に黒のストラトを弾くポール・ネルソン、僕の正面にベースのスコット・スプレイ。こちらはヤマハの黒いベース。ドラムスはいつもと違う人だね。見かけエドガー・ウィンターをちょっとふくらませたようなさらさら金髪のこの人はトム・キュリアルといって、リック・デリンジャーのバンドにいた人らしい。最初の来日のときにはMCみたいな人が出てきてジョニーを呼び出したりしてたけど、今回この人がドスの利いた声で紹介したりあおったりしていた。

イントロの途中でジョニーが左手からよろよろと登場。あ、ギターがいつものレイザーじゃないね。なんかレスポールぽい形で全面マホガニーっぽい色のギター(調べてみたら、ディーンというメイカーのカスタムメイドモデルとのこと)。椅子に座って、曲の後半に参加。

いやそれにしても近い。2年前に野音で観たときもかなりステージに近い席だったけど、今回はそれを上回るね。既に不鮮明な幾何学模様と化してしまっているジョニーの刺青はもとより、しわの一本一本やいまだにさらさらの髪の毛まで仔細に見える。ただ、本当に残念なことに、僕の位置からだとギターを弾く手元が殆ど見えない。ギタリストを観たいライヴのときはステージ左手に限るね。まあ、今回のように自分で席を選べないときはしょうがないけど。

ジョニーが弾きはじめたイントロのフレーズでびっくり。1曲目から「Johnny B. Goode」か。続けて「Good Morning Little School Girl」、さらに「Got My Mojo Working」と、定番かつわかりやすいナンバーが続く。最初の頃すこし指がもたついてるかなという場面もあって、ジョニーの表情もちょっと険しかったようだけど、2曲も演奏しないうちにすぐに回復。表情のつかみにくい人ではあるけれど、時折ちょっと微笑すら浮かべながら弾いているようにも見えた。

ほとんどの曲に入る前に自分で曲紹介をするんだけど、まあこれが聞き取りにくいこと。ぼそぼそと早口でしゃべる南部訛。だいたい「次の曲は新しいCDに入っていて」とか「これはハウリン・ウルフの曲で」とか言ってるだけだからなんとかわからなくもないんだけど、僕はこの人と一対一で話したとしたら会話を聞き取る自信ないよ。

いつもに増して、ブルーズ色の薄い選曲だった。中盤、ブルーズマナーの曲もいくつか挟んだものの、べったべたのスローブルーズは1曲ぐらい。あとは、後半に行くにしたがってロックンロール大会。やっぱり日本ではこの方が受けるというのを、これまでの来日で学んだのかな。

「Bony Moronie」から「Jumpin' Jack Flash」、そして「Don't Take Advantage On Me」からいつの間にか「Gimme Shelter」に移っているメドレー、さらに「It's All Over Now」まで演ったところで、何も言わずに急に椅子から立ち上がるジョニー。え?もう終わりなの? そのままポールとスコットに手を貸してもらいながらよろよろとステージを降りていく。そうか、これまでもずっとこの曲で本編終了だったのを忘れてた。

ほかのお客さんもあっけにとられていたのか、なんとなくまばらなアンコールの拍手。それでも、「もう1曲聴きたいかー!」みたいなMCが会場に鳴り響き、お約束どおりジョニーがファイアバードを持って再登場。もうここはお馴染みの展開だろう。まずは「Dust My Broom」でスライドを弾きまくる。

そしてこれもお約束の「Highway 61 Revisited」だなあと思っていたら、これがまたものすごいスピード。スラッシュメタルかと思うほど。まあ指の動くこと動くこと。この人、椅子にきちんと腰掛けたまま指先と口以外もう殆ど動かないんだけど、その両方の指先が本当に信じられないような動きをするね(まあ、残念ながら僕のところからは殆ど見えないんだけどね)。60年間も同じことをやってたら、そこだけは退化しないということか。

ただ、ボーカルの方はもうこの速度についていけないのかもうどうでもいいのか、以前のようにそれなりにメロディーをつけて歌うことはもうやめたようで、ぼそぼそと歌詞をつぶやくのみ。そういう意味ではオリジナルのディラン的でもある。

曲の最後のブレイクあたりでトムがドラムスティックを1本客席に放り投げ、最前列中央の人がそれを受け取ってた。片手スティックのまま演奏を終え、もう1本も大きく弧を描いて客席へ。これも残念ながら僕の座っていたのとは反対方向に飛んでいった。前の来日時のようにジョニーが演奏時に立ち上がることはなかったけど、演奏が終わって立ち上がったあと、歩き出す前にちょこんとお辞儀をしたのは忘れられない。

本編がちょうど1時間、アンコールまで全部終わって1時間半。7時半にはもう解散になってしまった。ビルボードあたりで何かいいのやってればセカンドセットとハシゴできるぐらいの時間だよ。まあ、ドリンク代込みで1万円超えのライヴを観たあとにあえてあそこに行きたいとは思わないけどね。

地下3階のフォイヤーに出てみたら、エスカレーターまで長蛇の列。じゃあトイレにでも行って時間潰すかと思ったら、男子トイレですらこれまた外まで続く長蛇の列。これはひどいね。これって、地下で火災でも発生したら大惨事になるんじゃないの。この建物は耐震構造だから地震があっても慌てないようにって書いてあったけど、この構造と密閉感はたしかにちょっと不安になる。

でもエスカレーターのところまで行ってみると、まあご丁寧に皆さん左側一列に並んで立ってるよ。わずか3階分をじっと立ったまま上がらないといけないほどこちらは疲れてもいないので、右側を歩いて一気に外に出させてもらった。外に出てみると、やっぱり寒いね。4月も後半に差し掛かって、桜ももうすでに散りきっているというのに、なんでこんな気候なんだろう。

今年で70歳だというのに、2−3年前に観たときよりもよくなっている気がするよ。確かに演奏中に立ち上がることはなくなったけど、まああれは儀式みたいなもんだから。どうやら、もしかしたらこれが最後なんて、当分は心配する必要もないかもね。でも、この人とウィルコ・ジョンソンは、それを理由に毎年来日してくれてもかまわないよ。こちらとしてもできる限り会いに行くので。

Setlist 19 April 2014 @ Roppongi EX Theatre

1. Intro
2. Johnny B. Goode
3. Good Mornin' Schoolgirl
4. Got Mojo Working
5. I Don't Want No Woman
6. Black Jack
7. Killin' Floor
8. Bony Moronie
9. Jumpin' Jack Flash
10. Don't Take Adavantage On Me ~ Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[Encore]
1. Dust My Broom
2. Highway 61 Revised
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2014年04月06日

Matt The Electrician live in Kamakura 2014 Pt. 2

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一夜明けた大船は霧のような雨が朝から降っていた。雨に濡れながら近所の大型ブックオフを攻略し(運のいいことにこの週末はCD/DVDが10%オフだったからつい8枚も買ってしまった)、開場時刻のちょっと前に鎌倉の行きつけのお店で友達とアルコールを適度に摂取した後、時間通りにゴーティへ。来ているお客さんも半分ぐらいは昨日と同じ顔触れだね。もうしっかり飲んで来たから今日は最初の一杯でやめとこうと思ってたのに、「今日は安くていいワイン入ってるよ」と松本さんに簡単に乗せられてまた一本買い。

本日の前座はWada Mambo、とてもギターのうまいお兄ちゃんだった。前座って当たり外れあるけど、これは聴いてて気持ちよかったね。しきりに「すぐ終わります」とかなんだかえらく腰も低かったし(笑)。帰りにまたCD一枚買ってしまったよ。サインももらって。なんかほかにもたくさんアクセサリー売ってたね。そっちは僕は買わなかったけど。

マットのライヴを観るのはこれで4回目になるけれど、だいたいいつもしっとりとした静かな曲で始めるよね。この日は奇しくも僕が前回富士で観たときと同じく「The Last Ones Left」で開始。続く「Accidental Thief」のときに、床に置いてあった僕のワイングラスを後ろの席の人が間違って倒してしまうというちょっとしたアクシデントが。曲が終わったときに松本さんが雑巾を持って拭きにきてくれたんだけど、その間を埋めるためにマットがなにやら即興でバンブルビーの曲を延々歌っていたのがおかしくて。

前日、松本さんにカバー曲多すぎと言われたためか、この日は自作曲を淡々と続ける。前半も半分を超えた頃だったろうか、「これまでのところ昨日とは全然かぶってないだろう?」と、なぜか僕の顔を見て訊かれる。セトリもないし適当に歌ってるように見えて、一応曲順とか考えながらやってるのかな。でもそのあと、「ここで1曲、昨日も演った曲を。ごめんなさい」と。別に謝る必要なんてないのに。

それが、前日はレベッカがコーラスをつけていた「Osaka In The Rain」だったんだけど、なんとこの日は自発的にお客さんが一緒に歌いだすという展開に。嬉しそうなマット。途中からはコーラス部分はお客さんだけに歌わせてた。

卒業生代表の女の子がスピーチのときに服を脱いでしまったというのが実話だと紹介しながら始めた「Valedictorian」。これを前に演奏した江津では高校生の女の子が3人観に来ていたけど、この曲を聴いて服を脱いでしまうほどには触発されなかったよ、と冗談を。後ろに座っていた外国人の女性客が日本語でValedictorianの意味を説明してくれていたね。そういえば前日もこの日も、マットのライヴになるとゴーティは結構外国人のお客さんが多い気がする。

前半にはほかに僕が前日にリクエストした「College」も演奏してくれたな。ほかにはこれも一昨年の富士で演ったアーロン・リー・タスジャンの「Summer Of Legs」とか。そして、前半最後は昔ファンだったというキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で締め。

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後半はこれもまた地味に「Arkansas」でスタート。数曲演ったところで、「リクエストされたのでこれを。覚えているかどうかわからないけど」と、「Permanent Record」を歌い始めた。やった、これも僕のリクエストだ(というか、たぶん他にわざわざリクエストしてた人はいなかったように思う)。

ところが、サビのところまで来ると「ランランラララララー♪」とまたしても歌詞忘れ。「たしかこんなメロディーだったよな」と。えー、一昨年リクエストしたときは普通に歌ってたのに。しばらくそのまま同じコードを弾きながら歌詞を思い出そうとして、でも諦めて僕に「コーラスの歌詞わかる?」と。「I saved every little thing」と歌ってあげると、ああそうだったとばかりに残りのサビ部分を歌う。で、二番に移るとまた歌詞が出てこない。うわー、もうその目でこっちを見るのをやめてくれー。俺が悪かった。

結局この日も松本さんが携帯に歌詞を検索して持ってきてくれたので残りは無事に終了。次回からはリクエストしたい曲は自分で歌詞を覚えてくること、というのが今回の一番の教訓。

次の「The Kids」もちょっと歌詞が危うい。でもそれは僕のリクエストじゃないからね、僕のせいじゃないよ。なんとかつっかえつつ歌っていたそのとき、今度は僕の前に座っていた人が誤ってワイングラスを倒してしまい、「このあたりは呪われているんだ」とマットが僕の方を指をさす。うむ、そうかもしれない。なんかこれからも僕の顔を見るたびに歌詞を度忘れしそうで嫌だな。

これも僕がリクエストした「I Wish You Didn't Feel Like My Home」に続け、休憩時間中に他のお客さんがリクエストをしていたのを見ていた「I Will Do The Breathing」を、「この曲は昨日演ったんだけど、リクエストされたから」と演奏。いや、こんないい曲は別に連日歌ってくれて全然かまわないから。誰も気にしないから。

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終盤、Wada Mamboを呼んでギターを弾いてもらう。前日も演奏した「Lullaby Of Birldand」のカバーに続いて、ポリースの「Bring On The Night」。ああこれは嬉しい。かっこいい。さらに続けて二人で演奏した「Train」で幕かと思いきや、最後はまたしっとりと「You And I」で終了。アルバム最後の静かな曲でコンサートを終えることの多い人だね。

アンコール1曲目は珍しい「Divided By 13」。そして、前日リクエストしたけどやっぱり演ってくれなかったなと思っていた「Facebook Friend」をここにきて演奏。やった。歌詞もちゃんと覚えてたし、安心して聴けたよ。

これで終わりかと思いきや、まだ鳴り止まないアンコールの拍手に応えて「Rocky Raccoon」、さらに「Hold On」で幕。こんなにたくさんアンコール演ってくれるなんて。

終了後はまた表で雑談しつつ、最新盤にもサインをもらう。前日の『Baseball Song』には「Play Ball」と寄せ書きしてあったけど、スケートボードを持ったジャケのこのアルバムには「Skate On」と。

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ずっと話してたかったけど、マットもお疲れだろうし、僕も翌朝の便で帰国してそのまま会社行かないといけなかったから、「また来年」とゴーティを後にした。8年目、8回目の来日では今度はどんな日本語を覚えてくるかな。
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2014年03月31日

Matt The Electrician live in Kamakura 2014 Pt. 1

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飛行機の車輪がドン!と着地してから成田空港の手荷物検査を通り抜けるまでわずか20分。たぶん自己最短記録だ。なんとか15時14分発のNEXに乗らないと、18時の開場時刻に間に合わなくなってしまう。

前の週に別件で東京に来ていたときには3月とは思えないほどの寒さだったのに、この日はまた3月とは思えないほどの陽気で、大急ぎでNEXの座席にたどり着いたときには1枚しか着ていなかったシャツの下に汗がにじむほどだった。でもこれで、2時間ほど座っているだけで大船まで乗り換えなし。東京からだとやたら遠いが、海外からのアクセスは意外に便利なカフェゴーティ。

急いで駆けつけたものの、開場から開演まで1時間もあったから、いつか食べてみたいと思っていたゴーティのカレーを食べて(おいしかった)、外の階段のところに座って一服していたマットに話しかける。最初に階段に並んでいた僕の顔を見たときに手を上げて挨拶してくれたからきっと顔は覚えていてくれたんだと思うけど、今日もマニラから着いたばかりという話をしたら嬉しそうにしてくれた。しばらく話したついでに、また例によってリクエストをいくつかお願いしておいた。

11日間で9都市・10公演というハードなツアーの終盤にあたる鎌倉ゴーティ2デイズの初日。マットが新譜をプロデュースしたという同郷のレベッカ・ロービが30分ほどの前座を務め、19時45分ぐらいにいよいよマットが登場。いつもお馴染みの赤と黒のチェックのシャツ(今回のツアーには同じのを10着持ってきたらしい)。上に載せた最近のアー写よりもずいぶん髪の毛が伸びている。髭はいつもどおり。

レベッカが使っていたのよりも小振りなサイズのギターを抱えて(ヘッドのところにMみたいなロゴがあったけど、あれはどこのメーカーなんだろう)、一曲目は新作のタイトル曲「It's A Beacon It's A Bell」。一昨年のライヴでもこれを新曲として既に演奏していたけど、もう8枚目にもなるアルバムにまだこんなに新鮮な(でもすごく彼らしい)メロディーの曲が入っているのがすごく嬉しい。4枚目のスタジオアルバムがなかなか出せないでいるゴーティお馴染みの某アーティストにも見習ってもらいたいものだ。

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2曲目に「I Will Do The Breathing」というのは一昨年の富士でのライブと同じ構成(今年の富士公演も観た友達によると、そのときもこの最初の2曲は同じだったらしい)。それを終えたところで、「今日来ているお客さんのうちの大勢はきっと明日も来てくれるだろうから、できるだけ違う曲を演るようにするよ」と。それは嬉しい。こういうのがあるからこの人の(あとボジアやグレンも)ライヴには連日で足を運んでしまうんだよね。

日本語で「オバケ」と連発しながら、次の「Ghost Story」を演奏。ゴーティのピアノの上に並んでいる山羊のぬいぐるみを指差して「ほらそこにもオバケが。…ゴーツ」と冗談も交えて。7年間の7回の来日で7つの日本語を覚えたという話をしながら、「ありがとう、こんにちは、サルのオバケ。なんて変な文章だ」と笑わせる。

バンジョレレに持ち替えた「Osaka In The Rain」のときにレベッカを呼んでコーラスをさせる。とても歌の上手な彼女だけど、こういうのを聴くと余計にシーラのコーラスで観たいと思ってしまうよ。「これは7年前に大阪に行ったときに書いた曲。歌詞にあるように奥さんをいつか日本に連れてきたいと思っているんだけど、彼女は怖がって来たがらないんだ」と。理由ははぐらかしてたけど、きっと原発事故のこととかが後を引いているのかな。

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前半最後の「Milo」に入る前にサバイバーの「Eye Of The Tiger」のイントロを弾き始め、「いやこれじゃない」と中断。前日の静岡ではレッド・ゼッペリンの「Good Times Bad Times」を演ったというから、てっきりこれもありかと思ったけど。

「Milo」にはいつものようにポール・サイモン・メドレーを挟む。「Diamonds On The Soles Of Her Shoes」は定番だけど、この日は「You Can Call Me Al」をつなげてた。そのあと、「これは皆で歌って」といきなり振るからなにかと思いきや、「Happy Birthday」。どうやら最前列のお客さんがこの日誕生日だったようだ。たしか一昨年の富士でも同じようにやってたな。

休憩を挟んで後半1曲目は「One Thing Right」。そして、「10年前に酒は止めたんだ」と「Change The Subject」を。僕がリクエストしたうちの一曲だ。アルバムバージョンじゃなくてライヴ盤の速いやつを、と。10年前って、アルバムの写真を見る限りは、あのものすごい髭を伸ばし始めた頃だよね。もしかしたらその頃にイスラムに改宗でもしたのかな。

その後も「この曲は長いこと演ってない」とか言いながら僕のリクエストした「These Boots」とか「For Angela」とか演奏してくれた。ところが、わざわざ松本さんに曲の解説をさせて始めた後者の途中、「my car is not American made」という箇所でアドリブで「ホンダ、スゴイ」とか言ったもんだから、続きの歌詞がスコンと頭から抜けてしまった。「あれ?なんだっけ」と必死に思い出そうとするものの全然出てこず、何名かのお客さんがその直前の歌詞のヒントをいくつか投げかけても駄目。最初に戻って早送りで歌いだしたけどまたその箇所でつっかえる。焦った表情で僕のことを見るんだけど、ごめん、リクエストしたものの僕も歌詞出てこないよ。

結局松本さんが携帯で検索した歌詞を持って助け舟。その箇所さえ思い出せれば後はすらすら出てきたから後半は問題なかったけど、なんかリクエストして逆に悪いことしてしまったな。大好きな曲なのに、今やCDでこれを聴くとあのときのマットの焦った顔ばかりを思い出してしまう。

この日の後半はアンコールも含めて、松本さんが「もっと自分の曲演ってよ」とリクエストしたほどカバー曲が多かった。一昨年の富士でも演ったメルヴァーン・テイラーの「Sad And Blue」とか。あと僕は知らなかったけど友達に後で教えてもらったマイケル・ペンの「No Myth」とか。

アンコールのラストは「Love On The Moon」で静かに終了。開演前に僕が『Made For Working』が好きだという話をしていたせいか、あのアルバムからの曲が比較的多かったような気がする。トム・フロインドの家に呼ばれて朝っぱらから彼の娘のために「Diaryland」を歌わされたという逸話付きでその曲も演ったし。

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終演後は外の階段のところでひとしきり雑談。『Baseball Song』と『Long Way Home』にサインをしてもらうときに「この辺のCDは僕も持っていないんだよ」とびっくりした顔で見られる。そういうものなのか。僕が「あと『Home』だけ持ってないんだ。ダウンロードでしか見かけたことないから」と言うと、「うん、僕もダウンロードしたよ」だって。あんまり音質とか気にしないんだね。LPも出すつもりはないみたいだし。

あとは、4枚売っていたレベッカのCDのうち、マットがプロデュースしたやつを買って彼女にもサインをもらう。ついでにそこにあったメーリングリストにもアドレスを書いてきた。彼女と、一緒に来日してたけどその日は歌わなかったリンジー(二人ともThe Voice出身らしい)に手を振って、マットに「また明日ね」と、やたら暖かかった昼間とはうって変わってえらく寒くなった小町通りを鎌倉駅に向かった。

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2013年11月17日

Neal Casal & Bruce Hughes live in Kamakura

また運よく東京出張の日程にちょうど重なった、ニール・カサールとブルース・ヒューズのライヴ。ニールはこの日が日本公演最終日で翌日には帰国、ブルースは来日したばかりでこれから日本各地を回ることになるという、ちょうどこの夜、このタイミングでしか実現できなかった組み合わせ。一昨年のジム・ボジアとスクラッピー/ブルース/マット以来の夢の競演だ。

僕はニールのアルバムは近作を3枚持っていただけで、この来日に合わせて予習用に数枚買い足したばかり。知ってる曲は聴けばわかるけど、タイトルや歌詞を覚えるほどには聴き込めていない。ブルースにいたっては、リゼントメンツのCDを何枚か持っているけど、こちらも予習用にソロアルバムを一枚先月聴いただけ。そんな程度の乏しい知識でどれだけ楽しめるかわからなかったけど、こんなのを観られる機会はもしかしたら二度とないだろうと、東京での会議を早々に切り上げ、鎌倉に向かった。

友達に一緒に取ってもらったチケットは比較的いい整理番号だったけど、そんなにわかファンのおっさんが一番前に陣取るのもはばかられたので、正面二列目のベンチシートを確保(ゆったりもたれて座ってられるというのがもっと大きな理由)。周りは見知った顔ばかり。「どうせおかわりするんでしょ?ボトルの方がいいんじゃない?」との松本さんの誘惑に抗えず、赤ワインのボトルを入れて小さく乾杯。

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開演予定の19時半を15分ほど過ぎたところで、物販スペース(?)あたりで知り合いのお客さんたちと話していた二人がようやく楽器のところに来る。ブルースが右側に座り、くすんだ白のフェンダー・プレジションと、ギルドのアコギ。左側のピアノ前のニールは赤いギブソンES339と同じくギブソンのアコギ。まず一曲目は、二人ともアクースティックでブルースの曲から。

一曲ごとにそれぞれの持ち歌を歌い、その都度二人とも楽器を持ち換える。今までこの二人でデュオで演奏したことはなく、この日初めて会ってお互いの曲を覚えないといけなかったなんてとても思えないほど見事に息の合った演奏。もちろん二人とも優秀なセッションマンだから他人の曲に合わせて弾くのはお手のものなんだろうけど、単にスリーコードの曲とかをジャムセッションするのとはわけが違うからね。コーラスも綺麗にハモってるし。すごいや。

当然といえば当然なんだけど、ニールのエレキとブルースのベースという組み合わせが、やっぱり一番しっくりくる。連綿と続くギターソロの繊細なフレーズもよかったけど、なんといってもブルースのベースライン。決して凄いテクニックを使ってるわけじゃないのに、この箇所はこういう音が鳴っていれば気持ちいいなという音をぜんぶ的確に当ててきたり、へえここにこんなフレーズを入れるんだと新鮮な驚きを与えてくれたり、実に雄弁。松本さんがどこかに書いてたけど、本当にまるでベースが歌っているみたい。

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曲自体とヴォーカルは僕はどちらかというとニールの方が好きかな。前半でさっさと披露してしまった「You Don't See Me Crying」(一緒に観ていたN君の生涯ベスト20のうちの一曲だったはず)とかを聴いていると、なんで僕はこの人のアルバムをまだ全部集めていないんだろうと思ってしまう。ライヴ中にブルースも言ってたけど、とても沢山のアルバムを出しているから(客演盤まで入れたらきっと数え切れないほどだろう)、これから気長に揃えていかないと。

なんて思いながら聴いていたけど、本編第二部の最後に演奏したブルースの「People Ask Me」が僕にとってのこの日のハイライト。二年前の横浜のライヴで聴いて知っていた好きな曲だというのもあるけど、途中スローなヴォーカルだけになる部分でニールがソロを入れようとするのを手で制し、その後のギターソロに入るところで「そらここだ、思う存分弾いてくれ」とばかりに場をコントロールするブルース。そしてそれに応えて最高のソロを奏でるニール。確かニールが長いソロを終えようとしたところでブルースが「もうちょっと」と催促してたね。同感。あんなに気持ちいいソロ、終わってほしくなかったもの。

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30分ほどの休憩を挟んだ本編とアンコール1曲で、全部終わったときはもう22時半を回っていたはず。N君は某県までその日中に帰るのをもうとっくに諦めてるし、僕の左右のベンチシート組も二本目のワインボトルを綺麗に空にしたぐらいの長時間ライヴ。きっと、二人の曲のオリジナルバージョンをよく知っていればもっと細かい楽しみ方ができただろうなというのはよくわかるけど、こんなにほとんど何も知らない状態で挑んで、こんなに楽しめたライヴも久し振りだ。

終演後は例によって演者観客入り混じって談笑しているところを、ニールには持参した『Return In Kind』、ブルースにはその場で購入した新譜『Trapdoor』にサインをもらう。ブルースは丁寧に名前も聞いて書いてくれたし、“Keep It Real”ってメッセージも入れてくれた。「この新譜からは今日どの曲を演奏した?」と聞いたら、「1〜3曲目と、あとこれ」と確か5曲目の「Fearless」だって。

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そのブルースの新譜に加えて、取り置きしてもらっていたティム・イーストンの新譜LPとマット・ジ・エレクトリシャンの新譜CD(最近ハイレゾ音源とかに目覚め始めてしまって、どうもCDの音質だと物足りなくなってきてしまった。みんなLP出してくれればいいのに)を購入。ゴーティにはなかなか来られないから、少しでもお金落として行かないと。もうこんな素敵なライヴが観れなくなってしまうと困るからね(笑)。マットのは開演前にBGMで流れてたけど、すごくよさそうだったよ。これから帰って聴くのが楽しみ。

酔いも手伝って帰りの道中きっとしつこいぐらいに友達に言ってたのは、音楽が好きでいて本当によかったと思える瞬間があるよねってこと。ちょうど日本的にはとてつもなく盛り上がっている元ビートルズの11年振りの来日公演を観てもきっと同じように思うんだろうけど(僕の出張タイミングさえ合えばもちろん観に行きたかったんだけど)、その大興行の裏番組でひっそりとこんな贅沢な夜があったことは、ポールのライヴを観た人口の何千分の一の僕たちだけしか知らない。こういう音楽が好きでいて、本当によかった。
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2013年10月26日

Gin Blossoms live in Manila

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SugarSmashGin

マニラのライヴ情報サイトを見ていたときに、この妙な名前だけだったらついうっかり素通りしてしまっていたところだった。同じページに出ていたバナー広告に、見覚えのあるジン・ブラッサムズのロゴが小さく載っているのに気づかなければ。

ジン・ブラッサムズがマニラに来る! これは観に行かなければ。でも、そのイベント名が示唆しているように、これは彼らの単独公演でなく、シュガー・レイ、スマッシュ・マウスとの合同ライヴ、しかもどうやら広告に載っている格付けから推測すると、ジン・ブラッサムズの出番は一番最初みたいだ。他の二つのバンドのことは名前ぐらいしか知らないけど、人気度でいうとそんな順番なの? なんかおかしくないか?

例によってチケットの値段は、アリーナ席だと、日本だったら今話題の元ビートルズの公演が観られるほど。単独公演ならともかく、前座扱いのジン・ブラッサムズを観るのにちょっとそのお金は出せないよ。やむなくスタンド席の最前列。それでも結構な値段だったけどね。

チケットを買ってしばらくした頃、偶然ラジオでスマッシュ・マウスの曲がかかったとき、DJが「彼らはもうすぐマニラに来るんだ。シュガー・レイと、もうひとつ誰だっけ、えーと、とにかく3バンド合同で」みたいなことを言ってるのを聞いてちょっと唖然とした。やっぱりここではそんな程度の認知度なんだ。

そして当日。余裕を持ってオフィスを出たのに相変わらずの大渋滞で、アラネタ・コロシアムに着いたのは開演予定時刻寸前の18時55分。物販を横目で見ながら会場内へ(ちなみに売られていたのは、3バンドの名前(バンドロゴですらない)と会場名と日付だけが胸のところに書いてあるだけの、見事なまでに購買欲をそそらないお粗末なデザインのTシャツのみ)。

会場に入った瞬間、自分の目を疑ったほどに、誰もいない。空席の海。確か15000人ぐらい収容できるはずのこの大会場に、ざっと見渡しても15人ぐらいしか座ってない。一瞬、来る日にちを間違えたのかと思った。でも、さっきちゃんとチケットもぎられたし。Tシャツも売ってたし。

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上のほうを見上げると、室内スキー場で言うとさあこれから滑りますというぐらいの標高の席だけにびっしりと人が。一番安い自由席か。まあそうだよね、スティングやムラーズやPSBと違って、こんなバンドのこと聴くような客層がそう簡単に万単位(円換算)のチケット買えないよね。

とにかく、急いで損した。晩飯食ってる時間もなかったから、オフィスを出る前にたまたま配られてたクリスピークリームをひとつかじってきただけなのに。こんなことなら入場前に腹ごしらえすればよかった。しかも、そんなガラガラの会場なのに、なぜか僕の隣の席だけに既に着席していた、きっと僕とシーソーに乗ったら僕の方が浮きっぱなしになるだろうなと思われる体格のご婦人が肉マンにかぶりついてるし。周囲の空間の広さと対照的にここだけ妙な圧迫感。傍から見たらきっと僕ら一緒に観に来たと思われてるんだろうか。むう。

そのまま待つことひたすら1時間強。20時15分頃だったかな。ようやくアリーナ席が半分ぐらい埋まったかという頃合いで、これから前座のフィリピンバンドが登場するとのアナウンスが。まじかよ。今から前座? 30分演ったとして、それから本番の3組が1時間ずつだとしても、どんなにセットチェンジを急いでも終了は24時過ぎだよ。勘弁してくれよ。これはもう、ジン・ブラッサムズが終わった時点で帰るしかないかな。翌日から出張だし。

前座のバンド(カラー・イン・レッド)はまあ、歌も演奏も上手だけど、とりたてて僕の興味を大きくそそるほどのものでもなかった。35分ほどの演奏が終わると時刻は既に20時50分。日本のライヴだったらもう終了時刻と言ってもおかしくないぐらいの時間だよ。

その時点でもアリーナ席には空席が目立ったし、後ろを振り向くとスタンド席の二列目以降には殆ど誰も座っていない(僕は横側から観ていたけど、さすがにステージ正面はスタンド席もそれなりに埋まっていたけどね)。どれだけ控えめに言ってもがら空きの会場。もったいないよな。もう少し小さなハコでやればよかったのに。

前座が出てくる前からステージ上にはドラムキットとキーボードがセットしてあったから、セットチェンジにはさほど時間はかからなかった。ん? でもなんでキーボードなんて置いてあるんだ?ジン・ブラッサムズ、サポートメンバーでも連れて来てるのかな。

と思っていたら、21時15分頃に暗転し、ステージ後方のLEDスクリーンにスマッシュ・マウスのロゴが。なんと、まさかの順番変更。ジン・ブラッサムズが一番小さな扱いじゃなかったのは嬉しいけど、会場を出られる時間がこれで早くても23時過ぎになることがほぼ確定。やれやれ。

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スマッシュ・マウスとシュガー・レイのことは全然聴いたことなかったから、このライヴに来ることを決めた直後に中古でそれぞれのベスト盤を買って聴いてみたんだけど、なんだか僕には全然ひっかかるところがなかった。きっと、ライヴ映えのするバンドなんだろうなとは思うことにしておいたけど、申し訳ないがこのスマッシュ・マウスのアンコールも含めた1時間のライヴを観ても、CDを聴いたときの僕の印象はまったく覆されることはなかった。

んー、曲がつまらない。唯一かっこいいなと思ったのが、アンコールで演奏した「You Really Got Me」だというのがもう、何をかいわんやですよ。僕のとなりに座っていたカップル(ふくよかな方とは反対側)は喜んで立ち上がって観ていたから、なにか人を惹きつけるものはあるんだろうけどね。

スマッシュ・マウス終了時点で22時20分。ステージ上でセットチェンジが始まる。まずキーボードをどけて、ドラムキットの解体。おいおい、もういいから同じキットでやってくれよ。頼むよ。

別のドラムキットを運んできて、マイクスタンドやギターをセットし終わる頃にはもう22時45分。シュガー・レイを観ずに帰ったとしても家に着くのはもう1時近くになってしまうなあと思っていたちょうどその時に暗転。なんと次に登場したのはシュガー・レイ。なんと、そう来ますか。結局ジン・ブラッサムズがトリなの?

シュガー・レイはよかった。その前のバンドと比べても曲の出来が全然違うし、盛り上げ方も上手だね(客席のあおり方という意味ではスマッシュ・マウスも悪くはなかったけどね、さすが百戦錬磨だけあって)。白いスーツに黒いシャツという姿で登場したシンガーが、何曲目かでジャケットを脱いだときに黄色い歓声が上がったのにも納得できるほどの半アイドル乗り。

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後半、「カラオケ競争をやろう」と、観客席から二人の男性客をステージに上げ、ガムナムスタイル(と、あと一曲は何だったかな)にあわせて口パク・振り付けをさせる。さすがフィリピン人、そういうのは大得意で、恥ずかしがることもなく踊ったりしてたね。両方勝者だと言って、最後に二人ともにTシャツを渡してあげてたのはよかったな。途中のMCでもしきりにいろんな言葉で感謝を示していたし、なんか全然見かけによらない人たちだね。

シュガー・レイはアンコールなしで1時間。またドラムキットの入れ替えがあって、ローディーがステージ上のギターやベースを一人でゆっくりチェックしている間に日付が火曜日に変わった。それにしても、この時間でもほとんど帰る客はいないね。みんな別にシュガー・レイとスマッシュ・マウスだけを観に来たわけじゃなかったんだ。

そして、0時15分、ついにジン・ブラッサムズ登場。長かった。それまでの2バンドのときは最初は座っていたアリーナ席の客が、このときには一斉に立ち上がったのがちょっと驚き。なんだ、やっぱりそうだよね、みんなこのバンドを観に来たんだよな。

1曲目は、現時点での最新作『No Chocolate Cake』からの「Don't Change For Me」。正直言って、ドラム、特にスネアの音が、さっきまで聴いてたシュガー・レイに比べてかなり低音寄りで、なんだか演奏全体がやたらもっさりして聴こえる。リードヴォーカリストの見た目も、さっきの白いスーツにサングラスとは対照的に、ごく普通の黒いジャケットに地味なパンツのロビン。白いタンバリン片手に「さあみんな大きく手を挙げて!」みたいな盛り上げ方だし。うーん、華がないなあ(苦笑)。

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このもっさりした感じはどこかで聴いたことがあるなあと思っていたら、アルバム『Live In Concert』でいつも聴き慣れた曲の数々がどうもちょっとどんくさい演奏だと思ったのと同じだった。何が違うんだろうね。スネアの音かなやっぱり。スタジオ録音の方がもっとタイトな感じがする。

まあ、そうは言っても、やっぱりこの次から次へと繰り出されてくる楽曲のクオリティは、さっきちょっと褒めたシュガー・レイなんかとはもう果てしないほどにレベルが違う。1時間のセットだから代表曲のショーケースみたいになってしまうのは当然だけど、もうどの曲もこの曲もイントロ一発で体中しびれてしまうようなのばかり。

唯一、へえこんな曲も演るんだと思ったのが、「何故だか知らないけど、この曲が一番よくリクエストされるんだ。フィリピン以外ではね」と言って始めた「29」。うん、いい曲だよね。リクエストしたくなる気持ちはよくわかる。タイトルも言いやすいし。

このバンドのリードギタリストは、写真を見てても今このステージで見ても唯一ロックミュージシャン然としたスコッティなんだろうなとずっと思ってたんだけど、曲によって彼とジェシがそれぞれリードを取り分けてたね。特にライヴ用にギターソロをアレンジするようなこともなかったけど、元々クオリティの超高いソロばかりだから、オリジナルをそのまま弾いてるのを観るだけで感激。

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ステージからかなり体を乗り出して前列の客と握手したりしていたロビン。タンバリンを客に渡して鳴らさせ、自分は裏からもうひとつ同じ白いタンバリンを持ってくる。今度はそのタンバリンもあっち側の客に渡し、こっちに戻ってきたときにさっきの客から最初のタンバリンを返してもらう。そのときに、ロビンのほうから手のひらを出してタンバリンの客にハイタッチを求めてたのが微笑ましかったね。

ここんちのベーシスト、あんなおっさんだったっけ?と思っていたら、メンバー紹介のときに「今日のベーシストはツアー・マネージャーのギャリー」だって。どうしたんだろう。ビルまさか辞めたのかな。あるいは、飛行機に乗り遅れたか。今回のメンバーの見かけのもっさり度を一人で引き上げていた張本人もこのツアー・マネージャーだったな。

「As Long As It Matters」では、イントロが終わった時点でロビンのヴォーカルがかき消されるほどの大合唱。ロビンの嬉しそうな顔。僕もこれにはちょっとびっくり。なんだ、このバンドのこと知らないのはマニラ中であのラジオのDJだけなんじゃないのか。すごい人気じゃないか。これと、あとは「Found Out About You」と「Hey Jealousy」と「Follow You Down」かな、ロビンのほうから言わなくても観客が全部歌うみたいな状態になってたのは。みんなよく歌詞知ってるね。

途中のMCでロビンが「僕らはダラスから30時間かけて来たんだ。ほんの30分前に着いたところだよ」と。30分前が誇張なのかどうかわからなかったけど、もしかしたら、本当はやっぱりジン・ブラッサムズが最初に出る予定だったのに到着が遅れて、それで開演を一時間遅らせて、それでも来ないからスマッシュ・マウスにまずやらせて、それでもまだ来ないからしょうがなくトリ予定のシュガー・レイにも出させたのかな。そんな綱渡りみたいなブッキングするか? 下手したら今回ジン・ブラッサムズだけキャンセルなんて最悪ケースになってたのかも。

ちょっと気になっていたのは、隣のカップルの男のほうは最初の2バンドのときは楽しそうに観ていたのに、ジン・ブラッサムズには明らかに興味がないらしく、彼女が真剣に観ている横で携帯をいじったり大声で彼女にちょっかいかけたり馬鹿笑いしたり、かなりうっとうしかったこと。観たくないならもうこんな時間なんだから帰ればいいのに。と思っていたら、1時ちょっと前にまだ観たそうにしていた彼女を連れて帰って行った。彼女、せっかくいい音楽の趣味してるんだから、そんな奴とは早めに別れたほうがいいよ。

反対側のデブも1時に帰って行ったから、きっとみなさん今日は1時には帰ると決めてあったのかな。もうそんな時間だから終電とかじゃないだろうし。おかげで、一番盛り上がった最期の「Hey Jealousy」〜「Follow You Down」の鉄壁コンビは広々と観ることができたよ。

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終了。1時15分。さすがにこの時間だともうアンコールの拍手をする客もいないな。いや、でもよかった。晩飯も食わずに6時間半近く缶詰めというのはちょっときつかったけど、観に来てよかった。聞くところによるとこれでマニラ公演は何度目かみたいだから、是非次は単独で、もう少し小さいところで演ってくれたら最高なんだけどな。


Setlist 21 October 2013 @ Smart Araneta Coliseum Manila

1. Don't Change For Me
2. Lost Horizons
3. Miss Disarray
4. As Long As It Matters
5. Found Out About You
6. 29
7. Learning The Hard Way
8. Until I Fall Away
9. Alison Road
10. Till I Hear It From You
11. Hey Jealousy
12. Follow You Down
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2013年09月28日

Relient K live in Manila

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つい2-3日前、車で通りがかったとあるショッピングモールの外壁にどでかい看板が。なに、リライアントK来るの? 全然知らんかった。あとで調べてみたら、この週末3日間でマニラ市内4つの同系列のショッピングモールでライヴだって。金曜18時、土曜16時と18時半、日曜18時の4回公演。なにその新人歌手みたいなドサ回りツアー。

サイトのどこ見てもチケット代金とか書いてない。同じページに載ってるティーガン&サラとかファットボーイ・スリムとかは、ちょっと観てみたいなという気持ちを根こそぎ剥ぎ取られてしまうほどの値段設定なのに。“入場方法”を読んでみると、それぞれのモールで前日までに500ペソ以上の買い物をして、そのレシートを入場券に引き換えろと。500ペソて、1000円ちょっと? そんなんでいいの?

基本的にモール内の広場でのライヴだから、別に入場券とかなくてもぶらっと立ち寄っていくらでも周りから観られるはずなんだけど、まあそんな値段で(というか、それも基本的にチケット代ですらない)観られるならと、昨日会社帰りに閉館間際のモールに立ち寄って、ユニクロで590ペソのTシャツ買って入場券ゲット。

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さて今日。開演18時半の30分前に入場しないと権利失うよとか書いてある入場券の文句を真に受けて18時よりも少し前に行ってみたら、案の定半分ぐらいはまだガラガラ。それでも10列あるうちの後ろから2列目に座らされる。前の方はモール発行のなんとかカードのVIP席だとか。まあいいんだけどね、十分近いし、別に一番前で観たいわけでもなし。1000円ちょっとでユニクロのTシャツ付きで観に来た者が文句を言ってはいけない。

この前のイベントがここから結構南に下ったところにあるモールで16時開演だったから、この渋滞のひどいマニラで本当に18時半に間に合うのかなと思っていたけど、思いがけず18時過ぎにはローディが楽器を運び込み始めた。おお、この国でこんなに予定通りにコトが運ぶなんて。

メンバーも出てきて楽器のセットを終える頃になると、200席以上はある座席はもうびっしり。すごいな、フィリピンでこんなに人気あるんだ。CD屋でこの人たちのCD見かけたことないけど、この場内を埋め尽くした高校生ぐらいの女の子たちはCDなんて買わないんだろうな。

もうほぼ全員高校生、せいぜい大学生ぐらいの年齢。女子率7割といったところ。またどうせ僕が場内で最年長かと思いきや、ふと真後ろに僕よりご年配の方が。なんだ、その隣に座ってる女の子のお父さんか。きっと僕も含めてこのあたりの席は保護者枠だと思われているに違いない。

モールの広場だから、二階・三階から見下ろしている人たちもたくさん。あの人たちも全部数えるときっと300人ぐらいは観てたことになるね。それを4回。普通にライヴやってもちょっとした会場は埋められるはずなのに。なんで全世界で何十万枚もアルバム売って、グラミー賞にノミネートされてるようなこんなバンドがフィリピンまで来てこんなドサ(ry

開演予定時刻を10分ほど回ったところで暗転。まだモールの営業時間内なのにこんなに暗くしてしまっていいのかね。というか、このもの凄い音量で周りの店ちゃんと営業できるのか。

もう15年も前になる結成以来ずっと一緒にやってきているリードヴォーカルとギターの二人が両方マットという名前だということ以外はメンバー名も顔もほとんどわからないぐらいのにわかファンだから、そのリードヴォーカルのマット・ティーセンが登場したとき、へえ、こんなアイドル顔のくしゃくしゃ頭のすらっとスリムな兄ちゃんなんだとちょっとびっくり。まあ、アイドル顔は言い過ぎかもしれないけど、往年のダリル・ホールをちょっと思い起こさせる目鼻立ちくっきりさん。

実は彼らのCDは2枚持ってはいるものの、曲名とか全然覚えていないので、とてもセトリとか書ける状態ではない。1曲目はマットが楽器なしで歌い、2曲目からギブソンのセミアコを弾き始めた。こんな類の音楽で指弾きなのは珍しいね(リードギターのマット・フープスはピックで弾いてた)。

3曲目は僕も知ってる曲だ。タイトルわからないけど。そこで一気に総立ち。おお、やっぱりこういうのは椅子に座って聴くもんじゃないよね。僕もそこからはずっと最後まで立って観た。たまに背の高いのはいるけど、基本的に背の低いフィリピン人、しかも女子ばかりなので、9列目でも見やすい。

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「この曲は新曲だからフィリピンで演るのは初めてだけど、そもそもフィリピンに来たのが初めてだからどの曲も演るのは初めてだ」とか言いながら、7月に出たばかりのニューアルバムからの曲を何曲か演奏。びっくりしたのが、そんな新しいアルバムの曲まで客席の皆さん歌う歌う。だってこっちのCD屋に売ってないんだよ。みんなダウンロードして買ったりYouTubeで聴いたりしてるのかな。

マットTは途中で白いテレキャスターとかレスポールジュニアに結構頻繁に持ち替える。リードのマットHは基本的にストラトで確か一回だけその白いテレキャスターを弾いたかな。ラストの曲になって舞台裏からわざわざキーボードを運んできて、マットTがそれを弾きながら歌った。最後にわーっと盛り上がるべきところでそんな風にキーボードを数名でえっちらおっちら運んできてセットアップとかしてるから、マットTがいろいろ喋って間をつないでいたとはいえ、最後にちょっと間が抜けてしまったのがちょっと残念。

全体的にも、僕がCDを聴いて持っていた、溜めに溜めてここぞというところでドカッと盛り上がるようなエモ的な箇所が意外と少なく、なんとなくちょっと大味なアメリカンロックぽいなと思ってしまう瞬間がときどきあったのも少し想像とは違ったな。曲も演奏も決して悪くはないんだけど。

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右腕の前腕のあたりを怪我したのか(ちょうどギターのボディに当たるあたり)、血がにじんでいるのをしきりに気にしていたマットT。キーボードをセットしていた時に前の方の女子がバンドエイドを渡してあげていて、「ありがとう、これが終わったら貼るよ」とか言っていたのがまたなんか微笑ましかった。

1時間を少しだけ回ったあたりで終了。アンコールを叫ぶ声はあったけど、みんな意外にあっさり諦めるんだね。まあ、この後にミート&グリートとかサイン会とかあるから、ほとんどの女の子はそっちの方に関心が移ってしまっているのかも。僕も機会があればサインもらおうかなと一応手持ちのCDを持ってきてたけど、いやちょっとあの女子の列に混ざって並ぶ厚顔さは持ち合わせていないよ。

ところで、7月に出た新譜『Collapsible Lung』、アマゾンを見てもリライアントKのサイトを見てもダウンロードでしか買えないようになっていたから、てっきりフィジカルCDは出てないんだと思っていたら、なんと会場で売ってた。僕は入場するときには気づかなかったんだけど、席についてからアナウンスをよく聴いてみると、その場でCDを買った人は入場券をもらえるとのこと(しかも、後で知ったけど、前日にわざわざ500ペソの買い物をして入場券をもらった僕のエリアよりも前の方に入れたなんて)。先に言ってよ、そんなのは、どうせ買うんだから…

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『Collapsible Lung』

買って帰ってきてから既に3回ほど繰り返して聴いているこの35分ほどのアルバム、最初に通して聴いたときにはまさに今日のライヴで感じたのと同様、今までのエモ風な作りからえらく大人しくなってしまったなと思ったんだけど、繰り返して聴いているとなかなかしっくり来るようになってきた。よく作られてるよ。

モノvsステレオというレーベルからの発売だけど、配給はソニーなんだね。コロムビアロゴがついてるよ。もしかしてフィリピン盤なのかなと思ったけど、アメリカ盤だな。リサイクルペーパー風のざらっとした手触りの紙で、開くとタカアシガニみたいになる結構凝った作りのジャケ。

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明日もう一回別のモールであるけど、こないだのGPとは違ってさすがにもう一回観たいという感じでもないかな。ちょっと仕事も立て込んでるし(先々週サボったせいではありません)、このニューアルバムを聴きながら明日はうちで仕事でもしよう。
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2013年09月22日

Graham Parker live in Tokyo Pt.3

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さあ、いよいよ最終公演。前日よりもいい整理番号だったけど、前日と同じ四人掛けテーブルの同じ席に着席。友達と二人だったのに、それぞれの隣の席に鞄を置いていいですよと言われた。そうか、どうも自由席スカスカだと思ったら、あまり売れてない公演はこうやってあまり相席にならないようにするんだね。こっちは広々観られていいんだけど、演ってる方はどうなんだろう。

大貫憲章DJも前日とよく似た選曲。前日はあまりしゃべらなかったのが、この日は開演直前になって「盛り上がってくれた方が本人も喜びますので」とのコメント。ああ、やっぱり前日とかさっきのファーストセットとか、客席の反応が薄いことを気にしてたのかな、GP。せっかく前の方にいるから、ちょっと盛り上がってやろうか。

定刻どおり、前日セカンドセットとほぼ同じいでたちで登場。あれ、1曲目は前日と同じ「Watch The Moon Come Down」だ。そして、2曲目もこれまた前日と同じ「Over The Border (To America)」。まさか、昨日と同じセトリ? そんなことはしないよね。

と思っていたら、そこから「ファーストアルバムの曲をいくつか演ろう」と、「Nothing's Gonna Pull Us Apart」、「Silly Thing」と続ける。ああよかった。こうでないと、複数回観に来てる意味がないよ(いちおう「Silly Thing」の歌詞にちょっとだけ掛けてます)。

今回3公演聴いて思ったのが、ディランほどではないけどこの人も結構オリジナルのメロディーを崩して歌うようになったなと。オリジナルでは全然違うメロディーとアレンジの曲が、どれもこれもかなり似かよった感じで演奏されているから、もしオリジナルを知らない人が聴いたら、なんだか一本調子に聴こえてしまうんじゃないかなと勝手に心配してしまう。

おや?と思ったのが、『Deepcut To Nowhere』からの「High Horse」を演奏する前に、「この曲は俺のお気に入りの1991年の『Struck By Lightning』から」と説明したこと。いつもどの曲がどのアルバムからか正確に覚えてるGPにしては珍しいミス、と思ったけど、もしかしたらこの曲、本当は『Struck』のために書かれたのがボツになって、10年後の『Deepcut』で日の目を見たということなのか。それで本人の頭の中では91年の曲として記憶されてるとか。

「『Imaginary Television』はその名のとおり架空の物語ばかりで作ったアルバムだ。そこから、日本人のスノーボーダーを題材にした曲を演ろう」と、「Snowgun」を。ああそれ、そういう歌詞の曲だったんだね。あのアルバムはちょっと深く追っかけるのをさぼってるからな。ちゃんと歌詞探して聴こう。「俺はスノーボードよりもスキーなんだけどね」とGP。

「Waiting For The UFOs」の演奏前には、「これは79年の『Squeezing Out Sparks』の中でいちばん酷い曲」と紹介。はは、そんなことわざわざ言わなくていいのに。途中のコーラスのところではちょっと客席からの歌声も上がったね。もちろん僕も一応歌ったよ。

しばらく前にいつも一緒に集まる友達のために作ったミックスCDに入れた「Life Gets Better」を演奏してくれたのは嬉しかったな。『The Real Macaw』、どうにも評価の低いアルバムだけど、僕結構好きなんだよね。

この回も『Howlin' Wind』からの曲が5曲と一番多かった。18年ぶりに訪れる日本向け特別仕様なのか、それともファーストの曲が最近のお気に入りなのか。まあとにかく、アクースティックセットの最後で「Hotel Chambermaid」を演ってくれたのは嬉しかった。それにしても、ここまでですでに11曲。この前に観た2公演よりもずっとアコギ曲が多かったから、もうこの回はエレキほとんど弾かないのかと思ってしまったよ。

毎回おなじみのギター紹介とともにエレキに持ち替え、「ファーストアルバムのタイトル曲」と言い間違えて(イントロのコードでわかってたから、「サード!」と一応声をかけてあげた)「Stick To Me」へ。これは前日にも演ったね。そしてその次も前日同様の「Lady Doctor」。どうせ前日と同じ曲を演奏するんなら、これじゃなくて「That's What They All Say」とか「Fool's Gold」を演ってくれればよかったのに。

「次の曲はそこに載ってる人にカバーされたんだ」と、前列のテーブルに置いてあったビルボードのパンフレットを指さす。表紙はニック・ロウだ。「俺の『Steady Nerves』の数年後に出た『Pinker And Prouder Than Previous』ってアルバムに入ってる。誰も聴いたことないだろうけど」だって。いやもちろん聴いたことあるけど、それよりなんでそんな他人のアルバムのタイトルとか発表年とか覚えてんの?ほんとにびっくり。

その「Black Lincoln Continental」を演奏し終えた後も、「ニックが来月この同じ会場で演るんだってね、こないだ会ったときに話したよ。ぜひこの曲をリクエストしてくれ。絶対演らないだろうけど」と冗談めかすGP。

本編最後の3曲は、それまでの2公演の本編ラストを再編したような選曲。もちろん4回目の「Discovering Japan」入り。それまでの2公演は本編15曲・アンコール3曲だったのに、この回はここまでで既に18曲。最後だから大奮発してくれてるんだろうな、まさかこのままアンコールなしなんてことはないだろう。

恒例の楽屋に戻るふりジョークを経て、アンコールへ。スタンディングオベーションになったのをきっかけにここからはもう立って聴く。「この曲は今日のセットリストに入ってたんだけど、演奏するのを忘れてた」と、『Don't Tell Columbus』からの「Stick To The Plans」。あんまりアンコール向きの曲じゃないけど珍しいからまあいいか。ほんとは『Don't Tell Columbus』からはもっと他に演ってほしい曲がたくさんあったんだけどね。

そして今回の日本公演の最終曲は、「Local Girls」。ああそうだ、これをまだ聴いてなかった。ほんとに切り札として使える曲がいくらでも出てくるね、この人は。ここでも最後のヴァースで観客コーラス。ようやく最後の最後になって盛り上がった感じかな。GPも満足してくれただろうか。

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この日も終演後にサイン会。よくもまあここまで酷いジャケにできるものだと思って今まで買ってなかった『Live Alone At The Freight And Salvage』を今回の来日に合わせて日本に送っておいたので、それにサインをもらう。どうせなら上の黄色い部分にサインしてくれればいいのに。

ほとんど何もしゃべれなかった前日の反省を活かして、この日はサインをもらいながら少しだけ話を。「フィリピンから観に来たんですよ」「へえ、何時間かかるの?」「4時間」「なんだ、俺は11時間もかけて来たんだぞ」とか。後ろにもずらっと並んでたので、ピートのライヴを観たとかそんな込み入った話まではできず。

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同じく、今回買って日本に届けておいた『This Is Live』のBDにもサインをもらう。真っ黒なジャケにサインしてもらうわけにもいかないからと、中に入っていたチラシの裏側にサインしてもらった。

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そしたら、話してる間に僕が手に持っていたジャケも取り上げられて、BDケースのプラスチックの上からサインしてくれた。消えないように大事に取っておこう。

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頭の形は違うけど、髪型とヒゲが少し似てるのが嬉しい。この人、今回こうして初めて間近で顔を見たけど、普段サングラスをしていて見えない目がすごく優しいんだよね。“怒れる若者”としてデビューするには、道理でサングラスをトレードマークにするしかなかったわけだ。


15 September 2013 2nd Set

1. Watch The Moon Come Down
2. Over The Border (To America)
3. Nothing's Gonna Pull Us Apart
4. Silly Thing
5. High Horse
6. Snowgun
7. Old Soul
8. Black Honey
9. Waiting For The UFOs
10. Life Gets Better
11. Hotel Chambermaid
12. Stick To Me
13. Lady Doctor
14. Blak Lincoln Continental
15. Get Started, Start A Fire
16. Discovering Japan
17. White Honey
18. Hey Lord, Don't Ask Me Questions

<Encore>
1. Stick To The Plans
2. Local Girls
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