2018年07月22日

kirim live in Tokyo & Omiya

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月見ル君想フにディラン・モンドグリーンを観に行ったのは、3年前の3月のことだった。彼のライヴももちろん悪くはなかったんだけど、それよりも、前座で歌った、その当時は名前すら知らなかったsugar meのことを気に入ってしまい、それ以来、彼女のライヴがあるたびに、行けるときには毎回通うようになった。

その度にソロだったりバンド形式だったりしたけど、今年の3月に観たときには、キーボードの女性との2人組だった。最初は、それぐらいの方が音が単調にならなくていいのかな、なんて思いながら見始めたのが、終わってみたら、僕はライヴ中きっと半分ぐらいの時間、ステージの奥に座ってピアノを弾いていた彼女の方に注意を引かれていた気がする。いや、僕の位置からは姿はほとんど見えなかったんだけど、それぐらい魅力的な音だった。そんなにすごいテクニックをひけらかすわけじゃなく、出しゃばってこないところは歌伴の見本みたいなんだけど、少しそっちに耳を傾けてみたら、とてもふくよかな音色が丁寧に奏でられていて、ついそっちばかりに集中してしまうような。このキーボード、すごくいい。もっと聴いてみたい。誰なの?

「メンバー紹介です。彼女はしゃおりん。キリムっていうバンドから来てもらいました」



それから4か月、ようやくkirimのライヴを観る機会が巡ってきた。あれからすぐにアマゾンで買ったファーストはやっぱり僕の好きな感じで何度もリピートしていたけど、ライヴはどうもタイミングが合わなかったりして、本当にようやく、という感じで。

うちから直線距離だとそう遠くはない元住吉のPowers2というバーのドアを開けると、しゃおりんこと柏佐緒里さんが「おひさしぶりです」と声をかけてくれる。5月のsugar meのライヴのときにちょっと話して以来かな。覚えていてくれて嬉しい。それから開演まで2時間近くあったので、タコライス(うまかった)と各種アルコールで時間をつぶす。思ったより広かった店内は、満員というわけじゃないけど全てのテーブルが埋まるぐらいの準盛況。

最初にステージに上がった、こちらも初見のikanimoという3人組もよかったな。ほっこりした感じ、失敗したときのゆるーい冗談なんかも含めて。長くなってしまうので詳細は省くけど、僕はホーミーを初めて生で聴いたよ。どこからあんな音が出るんだろう。不思議。

kirimの登場はもう9時ぐらいになってたかな。簡素なドラムセットだったさっきのikanimoと違ってフルキットがステージ左側、赤いノードのキーボードは右側だ(赤くないノードは見たことないけど)。ステージ中央にはアコギが1本だけ置いてある。

ベースレスなので、普通のバンドならきっとこの音はベースギターが担当するだろうというところまでキーボードがカバー。特にアップテンポの曲では左手はずっとそんな感じで忙しく動かしていながら、右手でメロディを奏で、曲によってはとっさにメロディカ(ピアニカ?呼び名を統一してほしい)の吹き口をくわえてそっちも弾く。忙しいね。僕は鍵盤を弾けるわけじゃないので、あれがどれぐらい難易度の高いものなのかわからないんだけど、少なくとも僕が聴いていた限りでは一回のミスもなく、あいかわらず魅力的な演奏を聴かせてくれた。やっぱり、すごいテクニックなんだろうね。そう思わせないところがすごいのか。

キーボードのことばかり書いてるけど、きっとこのバンドを初めて聴く人は真っ先にボーカルに耳が行くんだろうと思う。三橋ハルカさん。声もいいし歌も上手い。ノラ・ジョーンズの、しかも「Sunrise」なんて誰でも知ってる有名曲をストレートにカバーするなんて、よっぽどの実力と勇気(笑)がないとね。別に馬鹿にしてるわけじゃないよ。すごくよかった。もちろんカバーだけじゃなく、結構バラエティに富んだ、英語と日本語が半分ずつぐらいのオリジナル曲(ほぼ全曲ハルカさんの作詞作曲)もよい。いくつかの曲はパイレーツ・カヌーを思い出させるところがあるね。ラストに演った、ファーストアルバムでも最後に収められている「Michi」っていう8分半もある曲が僕は好き。

アンコールも含めて全部で1時間ちょっとだったかな。セトリ覚えてないけど、ファーストから聴きたかった曲はほとんど演ってくれたと思うし、よく知らなかったおそらくセカンドからの曲も同じくクオリティ高かった。カバー曲はさっきのと、「Take Me Home, Country Roads」。うむ、かなりベタな選曲しますね(笑)

終演後、お目当てだったセカンドアルバムを買いに物販のところへ。見たことのなかったファーストEPも置いてあって、曲目を確認してみたらもう持ってるファーストアルバムと3曲ともダブってたから、ハルカさんに「これってアルバムとはアレンジ違い?」と訊いてみたら、「ほぼ同じだけど、より初々しいです」だって。じゃあ、初々しいのも買っとこ。そのうち凄いプレミアムが付くかもしれないし。あと、7インチのアナログにさっきのカバー2曲が入ったのも置いてあったので、それもゲット。7インチはジャケとか含めて所有欲そそるよね。でも、せっかくのピクチャージャケットがセカンドアルバムと同じデザイン(タイトルだけ違う)なのはちょっと残念。

CDとレコードにサインをもらったりしながら、もうしばらくメンバーと話させてもらった。「明日は大宮でインストア、明後日は群馬なんですよ」「そっかー、行けたら行くね」とか言いながら、名残惜しいけどお店を後に。直線距離だとそう遠くはないけど、ここからうちに帰るにはなんだか沢山の電車をジグザグに乗り継がないといけないんだよ。



関西では「行けたら行くわ」は「行く気なんかサラサラないんやけど、はっきり言うたら傷つくしな」とほぼ同義語なんだけど、Powers2からの帰り道、僕はもう大宮までの電車と、駅からお店までの道順を検索していた。初めて行ったライヴがあまりによくて即リピートしたのも、3年前のパイレーツ・カヌーのとき以来かも。

初めて訪れるモア・レコードは、一言で言ってとんでもないCD屋だった。なんでこんなところ(失礼)に、こんなマニアックな店があるの?駅からのアクセスもそんなに悪くない好立地でそれなりに広いスペース。なんでこれで経営続けてられるの?(再度失礼)。大宮ってそんな街なの? 僕はこの方面の音楽にはそこそこ詳しいつもりだけど、店全体見渡しても、持ってるもの・知ってるアーティストが半分もない。トイレに貼ってあった古いチラシを見たら、マーチング・バンド(スウェーデンの)が来日したときにここでインストアあったんだって。何者なの?この店。

さて、kirimのインストア。ドラムは前日のフルセットじゃなくて、スネアとシンバル類だけの簡単なセット。いくら広めのお店とはいえ、さすがにあんなにでっかいドラムキットで音を出せるほどではない。ドラマーの和田佳憲さんによると、こういう簡素なセットで演奏するのは結成以来初めてだとのこと。本人も言ってたけど、全然悪くなかったよ。これだけ身軽にできるなら、もっといろんな場所でライヴできるかもね。

彼の叩く軽快なドラムも心地いいんだけど、「寝んねよ ころりよ」でのグロッケンの音色がすごく素敵。まだ何度も聴けてないけど、今のところ新譜で一番好きな曲かも。

インストアなので、前日よりも短めのセット。それでも、30分ぐらいしか演らないのかなと思っていたら、もう少し長く、確か7〜8曲ぐらいは演奏したと思う。前日演らなかったような珍しい曲は(多分)なかったと思うけど、なんとなくこの日の方がのびのびと演奏できていて、よかったような気がする。和田さんに「おもしろい話して」と突然無茶振りされたハルカさんの歯の治療&スリランカ旅行とかの、曲間のゆるーいおしゃべりもね。

残念ながら、観に来たお客さんはほんの数えるほどだった。お店の常連さんなのか、kirimのファンの方なのか。あんなによかったのに、もったいないね。終演後にみなさんCD買ってサインもらったりしてるのを、前日買ったばかりの僕は関係者風の装いで(笑)横から眺めたりして。あとは、メンバーが機材片付けたりしてる間にこの宝島みたいな店の試聴機を片っ端から聴き倒して、とりあえず3枚ゲット。「とりあえず」と書いたのは、僕は間違いなくまたこの店に来ることになるだろうから。

それにしても、前日の3枚と、この日家に帰ったらTHISTIMEから届いてた4枚と合わせて、2日間で10枚もCDやらレコードやら買ってしまったよ。今ちょうど多すぎるから売るCDを四苦八苦しながら選出してる最中だってのに。でも、ディラン・モンドグリーンからsugar meにつながって、そこからつながったkirim。音楽聴いてて楽しいのってこういうところだよね。わらしべ長者的に次々に自分好みのアーティストを発掘していく楽しみ。この次はどこにつながるかな。


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2017年12月03日

Tamas Wells live in Shenzhen 2017

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開演の1時間半前に着いたのに入口前の長蛇の列に悔しい思いをした去年の反省を活かして、今回は開演の3時間半ほど前にB10に行ってみた。

もちろん、誰もいない。しょうがないので、B10周辺、深圳随一のおしゃれスポット華僑城の中を写真など撮りながらうろうろする。相変わらずマニアックなノイズ系のレコードばかり置いてあるおそらく深圳唯一のレコ屋を覗いたりして。

まだ誰もいないのはわかってるけど、なんだか気が気でなくて1時間ほどでまたB10に戻る。やっぱり誰もいない。入口前でぼーっとしていると、そこに現れたタマス達が僕に気が付いて声を掛けてくれた。去年この場所でライヴは観たけど、こうして会って話すのは3年半ぶりか。去年は不参加だったクリス・リンチもいるよ。

「今から他にすることないなら一緒に楽屋おいでよ。これからサウンドチェックだからあまり相手できないけど」とネイサン。というわけで、思いがけずリハーサルまで見られることになった。

ステージ上には、去年はなかったグランドピアノが置いてある。「これがあるなら、持ってきたキーボードは使わないからセッティングしなくていいよ」とタマスが言っているのが聞こえる。ドラムキットも既に置いてあって、そこに持参のシンバルをセットするクリス・ヘルム。足元は裸足にサンダルだ。

ネイサンは赤いフェンダーのベースでしきりに新曲「I Threw A Shoe At Their Alsatian」を練習している。クリス・リンチの綺麗なサンバーストのテレキャスターに「それいいね」と言うと、新しく買ったんだと嬉しそう。タマスは会場の一番後ろに立って、おそらく、ステージがどんな風に見えるか、音がどう聴こえるか、難しい顔をしていた。

ステージに戻ってきたタマスがピアノで「Melon Street」を弾き出すと、クリス・ヘルムがメロディカを持って来て隣の床に座り、合わせて演奏を始める。これは、今まで聴いた中で一番素敵なバージョンの「Melon Street」かもしれない。期待が高まる。


本番に移ろう。今回はめでたくほぼ最前列(ぎりぎりまでタマス達と楽屋で話してて、開場の瞬間に出遅れた)で、タマスとクリス・リンチの中間ぐらいの場所を確保。ここならステージ左手のピアノもよく見える。予定時刻の20時半ちょうどに暗転。メンバー4人が登場して、1曲目は「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。去年のツアーではこの曲は演ってないから、中国のファンにとっても久々に聴く曲のはずだ。

ステージ中央に、いつものマーティンを抱えたタマス。右側にクリス・リンチ。左側にグランドピアノが置いてあって、その後ろあたりでネイサンがベースを弾き、中央後方のドラムキットにクリス・ヘルムが座る。そういえば、タマスのライヴでベーシストが入るのを見たのは今回が初めてかも。

間髪入れずに「Bandages On The Lawn」、そして、「次の曲は今度新しく作ったアルバムから」と「I Threw A Shoe At Their Alsatian」へ。一旦演奏を始めてから、「曲の説明をするのを忘れてた」と止めて説明を始めるタマス。「抽象画を習い始めたけど、まだ下手なんだ。で、近所に住む人が僕の絵を見てヘタクソだと言うから、彼らが飼ってるジャーマンシェパードに靴を投げてやった」「みんな、犬には靴を投げるよね?投げないの?僕だけ?」とか言って笑わせる。そして、今作屈指のポップなメロディーを持つこの曲へ。

続いてタマスが「Vendredi」のイントロを弾き始めると、ドラムキットのところからクリス・ヘルムが走ってきて、ピアノでイントロの「ポーン」という音を間一髪で間に合わせる。お見事。二音目の「ポーン」は、間違えたのかわざとなのか、最初の音より高い(でも、和音が合ってるから、彼の前任者のように間違っては聴こえない)。そして、三音目に(今度は確信犯で)更に高い「ピーン」って音を出したら、タマスがそこで笑ってしまって歌えない。「ごめん、もうしません」とクリス。

すっかり複雑になった「Friday」の後半のコーラスを聴いて、上手になったものだと思う。僕がタマスのライヴを最初に観た10年前のO-nestでは、もちろん彼一人だったからコーラスなんてなかったんだけど、その後何度も観たいろんなメンバーの組み合わせの中でも、4人全員がハモれることなんてなかったからね。

ハーモニーもそうだけど、楽器演奏についても、マルチプレイヤーがバンドに2人いるというのは大きいね。基本の編成は最初に書いた通りだけど、クリス・ヘルムがピアノを弾くときはネイサンがドラムス。逆にクリスがドラムスに留まったままネイサンがピアノを弾く曲もあり(ネイサンによると、ピアノソロでアルバムを作っている自分よりもクリスの方がピアノが上手なんだそうだ)。ちなみに、クリス・ヘルムはメルボルンのスキッピング・ガール・ヴィネガー(Skipping Girl Vinegar)というバンドのドラマーらしく、そのバンドのことをクリス・リンチの奥さんが在籍していたことで知っていた僕にはちょっとした驚き。

タマスがピアノに座り、聴いたことのないイントロを弾き始める。なんだろうと思っていると、歌いだした歌詞は「Fire Balloons」だった。鳥肌。もうこんな早くに演るのか。そして、去年同様、後半はクリス・ヘルムの何かに取り憑かれたかのようなドラムスに、クリス・リンチのドローン効果満載のギターとネイサンのベースによるフィードバックノイズの嵐。やはり今回の公演の白眉もこの曲だろう。

そのノイズがまだ鳴っている間に、タマスが「Melon Street Book Club」を弾く。動から静へ。途中からクリス・ヘルムがメロディカで合奏。ところが、前曲のとてつもない演奏で息が上がっているのか、ロングブレスが続かない。それで焦ったか、ミストーンも目立つ。ああ、これはもったいない。終演後、こっそりネイサンに「あれはリハーサルの方がよかったね」と言うと「うん、そうだね。クリスも謝ってたよ。完全に消耗してしまったって。曲順考えないとな」って言ってた。

タマス以外の3人が右側のボーカルマイクの前に立ち、一本のマイクに顔を寄せ合ってのコーラスコーナー。まずは「Grace And Seraphim」。クリス・ヘルムは裸足だ。この人裸足でドラムやってるのか。手になんか持ってるから楽器かなと思ったら、水のペットボトル。「Fire Balloons」でそんなに消耗したんだね(笑)。「オールドスクールタイプの合唱隊みたいにしようとしたんだ。次の曲は君達がコーラスを頼むよ。きっとこいつらより上手くできるはず」と言って、「Valder Fields」へ。もちろん大合唱の観客。

もう1曲、「The Opportunity Fair」をそのスタイルで歌った後、各位持ち場に戻って、「The Northern Lights」。またしても鳥肌。「England Had A Queen」を挟み、「A Riddle」では観客の一人をステージに上げて口笛を吹かせ、続く「Writers From Nepean News」では初めてクリス・リンチがベースに移り、ネイサンがピアノ、クリス・ヘルムがドラムスという編成に。そして、「次の曲が最後」と言ってタマスがピアノに座って歌い始めたのは、「那些花儿」という去年とは別の中国語の歌。毎年違う曲を覚えてすごいなあ。「歌詞の意味はわからないんだ」とは言ってたけど。



曲の後半、他の3人がまだ演奏を続けているときに、タマスは歌を続けながらピアノからボーカルマイクに移り、腕を大きく振ったりステージ左右に挨拶をしに行ったりと、すっかりエンターテイナー。10年前の、「タマチャンと呼んでください」と恥ずかしそうにしていたあの人と同一人物とはとても思えない。成長したなあ。もう髪の毛にも結構白いものが混じり始めてるし、タマスも40だもんな。

そういえば、楽屋でタマスと話してたときに「いつか、家族で中国に一か月か二か月住もうと思ってるんだ。この国は気に入ってるし、娘たちも中国語を勉強できるかもしれない。アパートの家賃はいくらぐらいかな?」って聞くから「よくわからないけど、きっと1000ドルぐらい?」って言うとまんざらでもなさそうな顔をしてたから、かなり真剣に考えてるのかも。でも、適当に答えてしまったけど、深圳で月1000ドル(米ドルか豪ドルかも言ってないけど)なんてちょっと厳しいか。ごめん、タマス。

アンコールに応えてすぐ再登場し、「The Crime At Edmond Lake」。そして、最後は新曲「Prone To Losing」。これも後半、「Fire Balloons」に負けないほどの激しい盛り上がりを見せて終了。実は、終演後にクリスに見せてもらった自分用のセトリによると、これまでの数公演ではこの後に「Postcards On The Bathroom Door(「Archibald」という仮題で書いてあった)」があったとのこと。あれも好きな曲なのに、聴けなくて残念。

更に言うと、「Melon Street」の代わりに「Benedict Island」を演奏した日もあったらしいし、「First Time」という仮題も書いてあった。ネイサンと話してたんだけど、中国ではすぐに観客がおしゃべりしたりするから、なんとか楽しませようと違う曲を試したり、観客をステージに上げて口笛を吹いてもらったり、いろいろと趣向を凝らしてるんだそうだ。「日本人はその点、真剣に聴いてくれるからね」って言ってたけど、確かに日本のライヴで誰か一人ステージに上がってきて口笛を吹けと言われても手を挙げる人はいなさそう。

【12/4追記】クリス・リンチから返事が来た。「First Time」は「A Reason Not To Stay」の仮題だって。ちなみに「The Northern Lights」と「England Had A Queen」の間に演奏していたようだ。最初の4公演では新作から5曲も演奏したんだ。なんで深圳では落としたんだろう。それだけがちょっと残念。

終演後、ロビーの物販のところでサイン会。日本盤の『The Plantation』は紙ジャケだけど、中国盤はプラケース(ちなみに前作『On The Volatility Of The Mind』も)。しかも、今回のツアーで販売しているものはこのツアー用に急遽特別プレスしたもので、オフィシャルリリースは来年になるらしい。

殆どが若い女性ファンで、花束を持ってきた人や、メンバーの似顔絵を額縁に入れて持ってきた人など、熱心なファンが多い。サイン会と写真撮影も、ほとんどライヴ本編と同じぐらいの長さがあったんじゃないだろうかと思うほど、延々と続いていた。決してそういうことに嫌な顔をするメンバー達じゃないけど、最後の方はさすがに疲れていたみたいだ。そりゃ、4日間で4つのライヴをこなし、更にこの後2日残ってるからね。少しは体力を温存しておきたいと思ってもおかしくないだろう。


その他、タマス達と話せたことの備忘録。

やっぱり、アルバムにもツアーにも参加していないアンソニーのことが気になったので真っ先に聞いてみたんだけど、お子さん達が中学生になって、ちょっと今は音楽に没頭する気分じゃないだけで、別に喧嘩別れしたとかヘタクソだから外したとかそんなんじゃないらしい。「確か、前作のツアーの一環でメルボルンでライヴをしたときには、彼も参加してくれたよ」とネイサン。「いつかもっと先に、子供たちが手を離れたら、また一緒に演れるんじゃないかな」って。アルバムの参加メンバーに彼の名がなかったのは寂しかったけど、サンクスクレジットの一番最後に、アンソニーへの特別の謝辞を見つけたときはちょっとじわっときたよ。

オーストラリア本国での『The Plantation』のリリースも来年になるとのこと。長年彼のアルバムを出してきたポップブーメランはもうレーベルとして機能していないらしいけど、そこのスコット・サーリングが自分のコネクションを使ってリリースしてくれる会社を探してくれているらしい。ちなみにタマス曰く「スコットは確か2万枚だかなんだかのCDを持っているよ。君とどっちが多いかな」って、そんなレコード会社の社長と比べないでくれ。さすがにうちには2万はないよ。

最初、『The Plantation』は11曲入りのアルバムとタマスが自分のFBでアナウンスしていたけど、結局10曲になった件。実は、メドレーぽくつながった2曲があったんだけど、どうもその前半の曲が少し弱かったために途中でカットし、後半だけを収録したそうで、その後半が今作唯一のインスト曲「A Wife To A Gunfight」なんだって。

僕が観に行った2012年のシンガポールでのライヴで、オープニングで会場が明るくなった時に最前列に座っていた僕を見て笑いそうになったタマス、実はライヴが始まる前に楽屋で、場内を映したモニターを見ていたら僕がいることに気づいていたらしい。なんでいるんだ?って。でも、そこに座ってるのを知っていたのに、いざステージに出て僕の顔を見たら笑い出しそうになってしまったんだって。

去年のツアーからタマス・ウェルズ・バンドに参加し始めたクリス・ヘルムは、実はタマスの学生時代からの友達だそうだ。あんなに上手なのに、なんで今まで一緒にやってなかったのかな。まあ、最初から彼が入ってたら、きっとアンソニーの居場所がなかったかもしれなかったから、僕にとっては結果オーライだけどね。ちなみにネイサンとクリス・リンチも学生時代からの付き合いらしい。その他にも、誰と誰の家がどれぐらい近いとか(タマスとアンソニーの家は2ブロックしか離れてないらしい)、キム・ビールスがタスマニアのホバートに引っ越すとか、ずいぶんいろんなことを教えてもらってとても覚えきれない(笑)


Setlist 02 December 2017 @ B10 Live Shenzhen, China

1. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
2. Bandages On The Lawn
3. I Threw A Shoe At Their Alsatian
4. Vendredi
5. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
6. Please Emily
7. Thirty People Away
8. Moonlight Shadow
9. Fire Balloons
10. Melon Street Book Club
11. Grace And Seraphim
12. Valder Fields
13. The Opportunity Fair
14. The Northern Lights
15. England Had A Queen
16. A Riddle
17. Writers From Nepean News
18. 那些花儿

[Encore]
1. The Crime At Edmond Lake
2. Prone To Losing
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2017年04月08日

From The Jam + Madness live in Hong Kong

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7人制ラグビーの大会 HK Sevensが香港で開催されるのに合わせて、マッドネスとフロム・ザ・ジャムがダブルヘッドライナーでライヴをやるというので、香港に来てみた。チケットには18時〜23時なんて書いてあるけど、2組でどうやって5時間ももたせるんだ? よくわからないけど、本当に23時までかかったらもう帰れないので、念のためコーズウェイベイに宿を確保。予約した安宿がたまたま(?)HMVの正面だったのでついついライヴ前にお買い物。

ちょっと迷ったけどなんとか18時前にたどり着いたインディアン・リクリエーション・クラブは、隣に巨大なラグビースタジアムが見えるオープンエアの会場。コーズウェイベイから少し歩いただけでこんな静かな場所があるんだ。

18時にようやく開場。別にみなさん走ってステージ前に行くとかじゃないんだね。まあ、これから5時間もあるからね。僕もまずビールを確保して(ハッピーアワーだというので2パイントもらった。トイレは大丈夫かな)、特に他に居場所もないので、ステージ前の柵にもたれかかって時間つぶし。場所は、当然ステージに置いてあるプレシジョンベースの真ん前。

19時前になってようやく前座が出てきた。オーストラリアから来たと言ってたお兄ちゃん。名前は失念。アコギを膝に乗せてボトルネックで弾いたり、インド音階のブルーズっぽい曲を演ったりと、なかなか興味深かった。まあさしあたりCD買ってまで聴こうとは思わなかったけど。名前忘れたからCDも買えないけど。

もうこの頃にはビールを2杯とも飲み干してしまって手持ち無沙汰。たまたますぐ隣が日本人のカップルだったので、しばらく話をしているうちに、ポツポツと雨も落ちてきた。大丈夫かな。最後までもつかな。

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そうこうしているうちに、たぶん20時前ぐらいだったかな? いよいよフロム・ザ・ジャムの出番。昔ながらのモッズスーツを着たブルースが僕の正面。ステージ中央やや左寄りにラッセル・ヘイスティングス。歌い方がポール・ウェラーそっくりと思ってたら、ブロンドに染めた髪も黒いリッケンバッカーも、もう何から何までポールのコピー。喋り方までそっくりだった。自分に何が求められてるのかよくわかってて、いいね。

あとはドラムとキーボード。ドラマーがリック・バックラーの間に一度見たかったな。というか、もはやこの布陣なら、フロム・ザ・ジャムなんて名前じゃなくて、レコードと同じくブルース・フォクストン名義でいいと思うけどな。どうせメンバー同じなんだし。

「A Town Called Malice」のイントロ。しかもそれを弾いてるのがブルース・フォクストン本人。もうそれだけで泣きそうになる。中学生の頃毎年来日していたジャムのライヴに行こうとしていたけどいつも行けなくて、じゃあ来年こそと思ってたら解散してしまった1982年から35年、ずっとこれを観たかったんだよ。

一曲一曲書いてられない。セトリは最後に載せるよ。もう出て来る曲全部イントロの最初の音でわかる(エレキで演奏した「That's Entertainment」だけは最初わからなかったけど)。全曲歌詞わかって歌えるなんてライヴ、いつ以来だろう。全部大声張り上げて、ライヴ中盤になると喉がガラガラで自分の声域が突然狭くなってしまうあの感じ、ずいぶん久しぶりに体験した。

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やっぱりフロム・ザ・ジャム名義だとブルースのソロアルバムの曲なんて演らないのかなと思ってたら、途中で1曲「新譜からの曲を」と言って「Now The Time Has Come」を演奏。ジャムのセカンド前後のブルース作のいくつかの曲を彷彿とさせるいい曲。ブルースのアルバムなんて何枚売れてるのか知らないけど、僕はポールのソロよりはよっぽど好きだけどね。まるっきりあの頃のジャムそのまま。どれだけ懐古趣味と言われようが。

あっという間の1時間弱、アンコールの2曲を入れても1時間なかったんじゃないだろうか。なんで全部で5時間もあるのにこれだけしか演らないんだよ。全13曲、さっきのブルースのソロ曲以外はほんとに基本的なベスト盤的選曲だったけど(そのわりには「In The City」も「Beat Surrender」もなかったけど)、もう少しマニアックな曲も聴いてみたかったな。まあ、自分たちメインのライヴでもなく、しかも香港だからどんな客層かわからなかったのかもしれないけど。

ステージを降りる前にブルースが投げたピックがちょうど僕のすぐ近くに落ちて、それを(さっきの日本人カップルと僕の間に入ってきた)僕の隣あたりにいた女性がゲット。写真だけ撮らせてもらった。欲しかったけど、僕はCDとLP以外の形をしたものの収納が下手でね。

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フロム・ザ・ジャムのセットを片付けて、もともと置いてあったマッドネスのセットだけに変更。実は僕はマッドネスはずっとベスト盤ぐらいでしか聴いてなくて、今回のこのライヴがあったから新譜を買ってみた程度のにわかファン。その新譜が地味ながらかなりよかったので、ちょっと疲れてきてたけどステージ最前列をそのままキープ。というか、後ろを振り返ってみても、もう出て行こうにも身動き取れないぐらいの人数だったし。

21時ぐらいにマッドネス登場。1曲目は新譜のタイトル曲「Can't Touch Us Now」。僕はサグス以外メンバー名もよくわからなくて(さらに言うと、実はマッドネスが何人組なのかすらよくわかっていなかったり)、そんな奴が最前列で観ていいのかという気がしないでもないけど、サックス君がおどけ役で、それをサグスがいじるというのが笑いを取るパターンなんだね。

ステージ上は、一番左にサックス、やや後ろに(マッドネスのロゴがついた)キーボード、中央やや左後ろにドラムス、その右にコンガ、さらに右にブラス隊3名(サックス、トランペット、トロンボーン)、その前にベース、一番右にギター。中央にボーカル。総勢10名か。正式メンバーはブラス隊以外の7名? と思って新譜のブックレット見てみたら、パーカッション君も正式メンバーじゃないね。あと、サグスって本名じゃないのも今知った(汗)

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フロム・ザ・ジャムはイメージ通りのストイックな感じであくまでも恰好よく走り抜けていった感があったけど、こちらのベテランチームはもうとにかく面白いステージを作ろうというのがありありと感じられるね。訛りの強いサグスのMCは時々何言ってるのかわからなくなるけど、サックス君をいじったり、今度はギター君にちょっかいかけたり、余裕の楽しいステージ。そんなやりとりを挟みながら「One Step Beyond」とか「Our House」とか、誰でも知ってるようなヒット曲がどんどん出て来るもんだから、楽しくないわけがない。

降ったり止んだりの雨が、マッドネスのステージが始まってから結構強くなってきた。まあ、ずぶ濡れになるってほどでもなかったけど。でもカメラ持ってたりするとちょっと気が気でない。それは自分のせいなんだけどね。それさえ気にしなければ、小雨の中のライヴってなんか、いいね。

こちらも多分1時間弱のステージで、本編ラストが「It Must Be Love」(いい曲だよね)。ステージ後ろのスクリーンがハートマークでいっぱいになる。そしてアンコールに応えて再登場し、更に2曲。結果的に、ベスト盤と最新盤を押さえていればほぼ全曲わかったという、僕にやさしい(笑)セットだった。

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終演は結局、22時15分ぐらいだったかな。まだ地下鉄も余裕で走ってる時間だけど、歩いて戻れる場所に宿を取っておいたから、春の香港の生暖かい風に吹かれながら、楽しい二つのステージを反芻しながら帰った。雨もいつの間にかすっかりあがってたし。マッドネス、いいね。今からでもちょこちょこ集めてみようかな。


Setlist 6 April 2017 @ HSBC Sevens Village

From The Jam
1. A Town Called Malice
2. The Modern World
3. Strange Town
4. David Watts
5. Butterfly Collector
6. Smithers-Jones
7. That's Entertainment
8. Now The Time Has Come
9. When You're Young
10. Start!
11. Down In The Tube Station At Midnight

[Encore]
1. Going Underground
2. Eton Rifles


Madness
1. Can't Touch Us Now
2. Embarrassment
3. The Prince
4. NW5
5. My Girl
6. Herbert
7. Wings Of A Dove
8. Mumbo Jumbo
9. The Sun And The Rain
10. Mr. Apples
11. One Step Beyond
12. House Of Fun
13. Baggy Trousers
14. Our House
15. It Must Be Love

[Encore]
1. Madness
2. Night Boat To Cairo
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2016年12月04日

Tamas Wells live in Shenzhen

中国に住んでてよかったと思えることなんてそう滅多にあるもんじゃないけど、これだけはひそかに期待していた。そして、思ったより早くその期待は実現した。今のところ最後の来日になる2014年6月から約2年半、ここ中国でタマス・ウェルズのライヴを観る機会がまた巡ってきた。

会場は地下鉄の橋城北駅から徒歩すぐのなんだかおしゃれな地域。A1、A2…とブロックごとに名前のついた一角にあるB10 Liveという名前のライヴ会場は、何故かB10ブロックではなくC2ブロック全部を占める、思ったより大きなハコだった。橋城北はうちから電車一本で行けるものの、万が一迷うといけないと思ってかなり早めに家を出ておいてよかった。改装工事中だったB10ブロックにまずたどり着いたときには、一体何がおこっているのかと焦ってしまった。

そうして迷いながらも開場の1時間も前にB10 Liveに来てみてびっくり。もう既に何十人も並んでるよ。整理番号も何もないから、とにかく並んだ順に入場。慌てて近くのバーで重慶の辛い麺と生ビールを腹に入れ、会場に戻って列の最後尾に並ぶ。これじゃ、ちょっと期待していた最前列なんてとんでもないな。

開場時刻の20時になる結構前(10〜15分ぐらい前かな)に、列がどんどん動き出す。きっと、あまりに列が長すぎて、早めに開場することにしたんだね。綺麗な作りのロビーに入っていくと物販エリアがあって、おなじみのタマスのCDと並んで見たことのない安っぽいジャケの09年北京公演のCD/DVDが売っていたから、迷わず購入。見るからに海賊盤ぽいんだけど、ちゃんとポケットレコーズから出てるオフィシャル盤なんだね。おまけにバッヂももらえてうれしい。

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だだっ広い会場に入っていくと、もうステージ前には人がびっしり集まっていて、左右の壁に沿って置いてある椅子もほとんど埋まっていた。まだ開演まで30分以上あるし、中途半端に真ん中あたりで見るよりはいいかと思い、左側の壁沿い中ほどの椅子に腰かけて待つことにした。会場の広さは、そうだな、東京でいつもタマスが使う会場で言うと、O-nestを縦に三つつなげて、天井を体育館並みに高くしたぐらい?

その大きな会場が、開演時刻の20時半近くになるともうほぼ満員。後ろの方に若干の余裕があったとはいえ、あれはたぶん600〜700人ぐらいは入っていたんじゃないかな。もちろん、座ってる僕の目の前にももうたくさん人が来ていたので、とても座ったままじゃ観られない。

ステージを見ると、マイクスタンドが2本、アコギとエレキ、キーボードが左右2台、後ろにはドラムキットもある。事前にどのサイトを見ても参加メンバーがわからなかったから、きっと今回はタマスのソロかと思っていたんだけど、バンドなんだね。ドラムまであるということはネイサンも来ているだろうし。あとは、前回来日時と同じくアンソニーとクリスかな。それともギターはキムかな。

20時30分ちょうどに中国語と英語でアナウンスがあり、会場が暗転。ものすごい大歓声に迎えられて、タマスと2人のメンバーが登場。ネイサンはドラムキットのところでなくステージ右手に行き、置いてあったフェンダージャガーを肩にかける。ドラムの人は誰だろう。新メンバーかな。アンソニーもクリスもキムもいないや。結構長く伸びた髪の毛をきちんとセットし、グレーのジャケットを着たタマスは、いつものマーティンのアクースティックギターを持ってステージ中央に。

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オープニングは「Vendredi」。歌い始めた途端、僕のすぐそばで「キャーッ」と大声を張り上げる女性ファン。すごいな、日本でのタマスのライヴじゃ想像もできないよ。何人かはタマスに合わせて歌ってるし。まあ、ステージで何が起こってようとずっと友達同士でしゃべり続けてるようなのもあちこちにいるんだけどね。まあいいや、中国のライヴがこんなんだってのは前からYouTubeとか見てわかってるから、こっちは集中してステージを観てよう。

「Writers From Nepean News」の後、タマスが中国語で自己紹介。「こっちは友達のネイサン。友達は“朋友”でよかったよね?」って言うだけで大歓声。そして「こっちのクリスは友達じゃない」と笑わせる。あ、この新キャラもクリスって名前なのか。タマスたちよりちょっと若い感じかな。彼はドラムス、キーボード、メロディカ、ウクレレ担当。あと例のチーンって鐘も。

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「真夏のメルボルンから南京に着いたら雪が降ってたんだ。深圳はなんていい気候なんだ」とか言いながら、セカンド以降の4枚のアルバムから満遍なく選曲されたセットが進む(セトリは最後に)。新譜からの「The Treason At Henderson's Pier」の後、「最近覚えた曲があるんだ。うまく歌えるかどうか自信ないけど」と言って、なんと中国語の歌を披露。もちろん大歓声。そして見渡す限りのスマホ動画撮影者。後で調べたら、「宝貝(Baobei)」って曲だった。これがオリジナル。これがタマスのあの声で歌われるのを想像してみて。



「誰か二人、ステージに来て手伝ってくれないか。口笛の吹ける人がいいんだけど」というのはもちろん「A Riddle」の時。うち一人はどうやら曲を知らなかったようで、例の口笛のフレーズをタマスが主旋律を歌ってる横でずっと吹いてるもんだから、歌ってるタマスも聴いてるこちらもちょっと苦笑い。まあでも、よくできました。

さっきクリスがいろんな楽器を担当してると書いたけど、もちろん彼が動くときはネイサンも別の楽器を担当する。器用な彼のことだから、ギター、キーボード、ドラムスそれぞれそつなくこなし、タマスの声に合わせてハーモニーを入れる。タマスは基本的にギターで、「Melon Street Book Club」をはじめ数曲でキーボードも弾いてたな。

久しぶりに聴く曲はいくつかあったけど(基本的に彼のライヴを観ること自体が2年半ぶりなので何でも久しぶりなんだけど)、新曲はないし、こんなの聴いたことなかったってのはさっきの中国語の曲だけ。曲の紹介にしても、タマスがまたこの話をし始めたなと思った時点でもう次が何の曲かわかってしまうから、「人間には理性に支配されている面ともっと内面から出てくるところがあって」という話をしたときに、あ、次は「Valder Fields」だと先に読めたんだけど、いざタマスがその曲目を口にすると、それはもうものすごい大歓声。そして、大合唱。うわ、こんなタマスのライヴ初めて。

「Valder Fields」の次に「The Northern Lights」と、僕内タマスソングベスト3のうち2曲みたいなのが続く。残る1曲も今回のツアーで演奏していることは知っていたから、もしかしたら本編終盤のここで3曲続けて演るのかなとも思ったけど、本編ラストはまた「何人かステージに来てくれないか。今度はコーラスが要るんだ」と、「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。タマスはもう「次の曲はThe Kitchen Is On Fire」としか言わないね。実話だかどうだか結局よくわからない例の逸話ももう紹介しないし。

男女2人ずつ、それぞれみんな背の高さの違う子たちがステージ左手のマイクのところでスマホに歌詞を映しながらコーラス。違うところから上がってきてたから友達同士じゃなかったんだろうけど、なんだか絵になるね。僕ももっと前にいたら手を挙げてステージに上がりたかったんだけど、残念ながら十数メートル離れたこの壁際から中国人をかき分けて前進する勇気はなかった。いきなり(おそらく)会場内最年長みたいな日本人が出て行ってもみんなびっくりしただろうし。

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それが本編ラスト。3人がステージ脇に消えると、すぐさまアンコールを求める歓声。でもこっちの人は「アンコール!」って言うだけで拍手とかしないんだね。そして、すぐに再登場。タマスはキーボードのところに行き、ネイサンがエレキ、クリスがドラムで始まったのは「Fire Balloons」。僕にとってのタマスソングベスト3の三つ目。これ確か前のツアーじゃ演ってないから、ずいぶん久しぶりに聴くことになる。

そしてこれが、ものすごいバージョンに化けていた。タマスが歌い終えた後、キーボード、ギター、ドラムの三つの楽器がそれぞれ同じフレーズを延々と繰り返しながら、どんどん高揚していく。クリスのドラムなんて、決して上手くはないんだけど、どこのハードロックバンドかというぐらいの激しさ。右腕をぶんぶん振り回して憑りつかれたように叩き続けている。

確か前回のツアーでは、エフェクターを通したクリス・リンチのギターの音と、ネイサンがiPadやらなんやらで出す効果音が不思議な空間を作っていたんだけど、今回はまた違った意味で、聴いているこちらの神経が麻痺してしまうようなドローン効果を生み出していた。まさかタマス・ウェルズのライヴでこんな爆音を聴くことになろうとは。

果てしないと思われた「Fire Balloons」でもう終わりだろうと思っていたら、最後は3人が真ん中のマイクに集まって、タマスのギター、クリスのウクレレ、3人の声だけで「Grace And Seraphim」でエンディング。ああ、これは美しいラストだな。

1時間半があっという間だった。しばらく会場にたむろしていたら、楽器を片付けに来るタマス達に会えるかなと思ってたけど、警備員に追い立てられてしまった。しょうがないので会場の外へ。物販には長蛇の列が。開演前に買っといてよかったよ。

外にもしばらくいたんだけど、たぶんまだ数百名残ってるこの場所でたとえタマス達に会えたとしても、とても話なんてできないだろうから、楽しかった余韻を味わいながら地下鉄の駅に向かった。

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後日談:タマスとネイサンにライヴの感想と撮った写真をメールしたら、2人から「会えると思って終演後に外を探したのに」って言われてしまった。ああ、そうだったんだ、もったいないことをした。新メンバーの名前はクリス・ヘルム(Chris Helm)といって、子供が生まれたばかりのクリス・リンチの代わりの参加だそうだ。でも、クリス・リンチが戻ってきたとしても、もう一人のメンバーよりはキーボードも上手く、ドラムも叩けるクリス・ヘルムが外れることはないんじゃないかな。この先、あの人懐っこいアンソニーに会えることはもうないのかなと、ちょっと淋しくなってしまった。


Setlist 27 November 2016 @ B10 Live Shenzhen, China

1. Vendredi
2. Writers From Nepean News
3. Thirty People Away
4. Lichen And Bees
5. Melon Street Book Club
6. The Crime At Edmond Lake
7. The Treason At Henderson's Pier
8. 宝贝
9. A Riddle
10. Signs I Can't Read
11. England Had A Queen
12. Never Going To Read Your Mind
13. Bandages On The Lawn
14. Moonlight Shadow
15. I Left that Ring On Draper Street
16. The Opportunity Fair
17. For The Aperture
18. Valder Fields
19. The Northern Lights
20. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire

[Encore]
1. Fire Balloons
2. Grace And Seraphim
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2015年12月25日

Jeffrey Foskett live in Tokyo

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来年4月の最後の『Pet Sounds』再現ライヴとかその直前の日程に割り込むように決まったビルボードでのビーチボーイズとか、僕はどちらも今のところ行く予定はないけど、その手のファンの人たちにとっては結構な散財が予定される来日ラッシュなのに、そこに追い打ちをかけるように突如ジェフリー・フォスケットの来日が決まったのは確か先月も末になってからだったはず。

ろくな事前告知もなく、12月23日のライヴに12月4日にヴィヴィッドのサイトで抽選開始という強気な販売方法だったけど、当日スタジオを埋めた多分100名弱のお客さんを見ると、それほど強気というわけでもなかったのかも。

今にも雨が落ちてきそうな冬空の下、目黒駅からどんどん坂を下って行ったところにあったヴィヴィッド・サウンド・スタジオ。ちょっと早く着きすぎたと思ったけど、来た順番に整理番号を配り始めたのでラッキー。場内では整理番号順に椅子が並べてあって(一番早く来た人が一番端になるというのはちょっと解せないだろうけど。それは僕じゃなかったけどね)、終演後のサイン会も同じ整理番号順というのはいいシステムだと思う。少なくともあんな大勢の出入りもままならない会場ではね。

それほど広くない会場にパイプ椅子がびっしりと敷き詰めてあって、後ろを振り返ると壁際には立ち見のお客さんも入っているほどだったから、一旦席に着くとなかなか動き回れる風でもない。トイレも多分数箇所にしかないから、缶ビールとか売っていたけどちょっと遠慮してしまう。なので、開演までの30分ほどを、ずっと流れていたチップマンクスの虫声を聴きながら過ごした。

前座はペンフレンドクラブという男女混成6人組のバンド。ペットサウンズ風のバンドロゴから想像していたほどビーチボーイズ風ではなかったけど、いかにもジェフリーの前座を務めそうないい感じのバンド。僕の座っていた位置のせいか、バンドの音にかき消されてリードボーカルの声がほとんど聞こえなかったのがちょっと残念だった。もしかしたらジェフリーが自分のパートで演るかもと期待していた「New York's A Lonely Town」などのカバー曲が大半に、オリジナルを2曲ほど取り混ぜて、全部で40分ほどのステージ。

長門芳郎さんがマイクを持って出てきて(本人を見たのは初めて)、ジェフリーを呼び出す。白っぽいアロハシャツみたいなのを着ている。ペンフレンドクラブのボーカル君が「すごい大きな人ですよ」と言ってたほどの長身ではないね。最近のアー写や新作のジャケどおり、僕が04年にブライアンのバンドで観たときよりはかなり痩せたと思う(一般的にはとてもスリムとは言えない体形だけど)。

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楽器も持たずに「新譜を出したのでそこからの曲を歌うよ」と言い、ステージ脇のDJさんに合図してボーカルトラック抜きの音源を流させる。なんとカラオケか。登場前からマイク下に置いてあった歌詞カードでネタバレしていた1曲目は「No Matter What」。やっぱりいい声だね。高音がちょっと苦しそうではあるけど。ギターソロのときには両手で後ろに置いてあるギターを指さしたりして。

「クリスマスだからこれを歌わないとね」と言って、これも新譜からの「I Wish It Could Be Christmas Everyday」、さらに「これはボブ・ディランが書いた曲だけど僕の友達のロジャー・マッギンが歌った歌だ」と、新作中では僕の一番のお気に入りである「My Back Pages」がもう登場。この曲からカラオケに合わせてギターも弾きながら歌ったんだけど、ソロとかなんかちょっとたどたどしいぞ。

カラオケはそこまでの3曲で、次が確かバディ・ホリーの「True Love Ways」。むー、パンダチーズの曲だ。思わず笑そうになるのをこらえる。それより、さっきよりはましとはいえ、ギターがどうも平凡だね。この人って、ブライアンのバンドのバンマスだったんじゃないの?もっと安定した演奏するんだと思ってたんだけどな。

「何かリクエストはある?」と訊くジェフリーに、客席から次々に曲名が。ほとんど誰もがビーチボーイズの曲をリクエストするね。「それは後でペンフレンドバンド(よく間違えてた)が再登場したときに一緒に演奏するから」「ごめん、それは歌詞を忘れた」「それも後でペンフレンドバンドが再登場したときに一緒に演奏するから」「それも後でペンフレンド(以下略)」てな感じで、最後には「ごめん、リクエストを募った僕が悪かった」と、結局ロイ・オービソンの「Crying」の弾き語りを。

でも、そのすぐ後で申し訳なさそうに「リクエストしてくれたSurfer Girl、最初のコーラスだけなら歌えるよ」と、短いバージョンを歌ってくれた。魔法のような声だね。あれが聴けただけでも来た甲斐があったと思える約1分。

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ここでペンフレンドクラブを呼び出し、共演を。どうやら最初は全員一列に並んでコーラスをやるような手筈になっていたようで、突然「バンドで演ろう」と言いだしたジェフリーに一同戸惑い、キーボードの子は楽譜を取りに楽屋に戻る始末(ジェフリーは「彼女は辞めたのか?」とか訊いてるし)。

そこからは(実は僕の位置からは床に置いてあるセトリが丸見えだったので最初から全部ネタバレだった)主にビーチボーイズの5曲を一気に。リクエストコーナーでも声が掛かっていた曲ばかりだけあって、ここは盛り上がる。曲順は後述。ジェフリーのギターもこのあたりまで来るとエンジンがかかってきた感じでよかった。

デュッセルドルフから到着したばかりだというジェフリーは、あまり寝られていないのか、しきりに喉を気にしていたし、冒頭からほとんどの曲間でミネラルウォーターを飲んでいたし、トローチぽいタブレットも何枚も補給していたね。でも、あれだけ苦しそうにしていながら、あの声が出るのはやっぱりすごい。

個人的には、かつて友人たちと一緒に作って聴かせ合った人生ベスト20ミックスCDに入れたぐらい好きな「Don't Worry Baby」がやっぱり一番よかった。この曲をカールのオリジナルトーンそのままに歌える人が、今自分のすぐ目の前で歌ってくれてるなんて。感動。

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本日2曲目のクリスマスソング「Little Saint Nick」から最後は「Fun, Fun, Fun」で予定通りの曲数を終了。前座のバンドより短いぐらいのセットだね。一旦引っ込んでアンコールかと思いきや、長門さんが登場して「すみません」と。デュッセルドルフから飛んできたばかりで喉の調子が悪いのはしょうがないけど、28日にコロラドでライヴがあるからというのは言わなくてもよかったんじゃない?

あと、そこまでタイトなスケジュールで肝心のライヴが本調子でないなら、このライヴの翌日とさらに次の日に予定されていたインハウスライヴとサイン会、順番を入れ替えた方がよかったと思うのに(クリスマス当日とかイヴにライヴだとお客さんが入らないと思ったのかな)。

整理番号通り最初の方に列に並び、ジェフリーにサインをもらう。僕より前の方の人の番を見ていると、いろいろファンの方が話しかけてもほとんどジェフリーはにこやかにうなずくだけであまり会話していないね。僕の番になって「貴方のソロの曲を聴きたかったです」と言ったら、かすれそうな声で「サンキュー」と返してくれた。そんなに喉の調子が悪かったのか。ニューアルバムに几帳面なサインをもらい、一緒に写真を撮ってもらって、ライヴ中に降り出してもう止んでいた、雨に濡れた坂道を目黒駅の方に上って行った。

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23 December 2015 @ Vivid Sound Studio

1. No Matter What
2. I Wish It Could Be Christmas Everyday
3. My Back Pages
4. True Love Ways
5. Crying
6. Surfer Girl
7. Darling
8. Guess I'm Dumb
9. Don't Worry Baby
10. Little Saint Nick
11. Fun, Fun, Fun
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2015年12月13日

Matt The Electrician live in Kamakura Autumn 2016 Part 2

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年末進行でバタバタしててこの数週間ブログを書いてる時間が全然なかった。さすがにライヴから三週間も経ってしまうとかなり記憶も薄い。でも、今回観た三公演で最高の出来だったこの最後の夜のことを書かないわけにはいかない。なんとか記憶を辿りつつ書いてみよう。

三連休の最終日だったからなのか、満員だった前日と比べるとちょっとさびしい客の入り。それを反映したかのような若い整理番号のチケットで、前日とは反対側になる最前列の席を確保。友達も一緒だったから、赤ワインのボトルを開けて開演を待つ。

「Accidental Thief」がこの日のオープニング。「毎日同じセットにしないように努めるけど、確約はできないよ」と前の日に言ってたとおり、この日は前日とも、そして初日の新丸子公演ともかなりセットリストを変えてきてくれた。2曲目の「I'm Sorry Hemingway」なんて、たしか僕はライヴでは初めて聴いたはず。

「ジョン・エリオットを知ってる?」とマット。そのタイトルの彼の曲なら知ってるけど。「彼は僕の友達。知らなくても別にかまわないけど」と言いながら、そのジョン・エリオットの曲を歌い始めた。最初のさわりだけ歌って(結構いい曲だったよ)、そのまま自作の「John Elliott」へ。後日、サンフランシスコのソングライターのジョン・エリオットを検索して(検索には相当苦労する名前だ)何曲か聴いてみたけど、悪くない。ちょっと時間ができたらちゃんと腰を落ち着けて聴いてみようかな。

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「僕は煙草を止めたわけじゃない。ただ、数か月の間吸ってないだけ」という説明をしたのはこの日ではなかったかな。「止めるなんて決心するのは大変だからね。でも、たしか最後に吸ったのは4か月ぐらい前かも」と。それが、4月に出るシングル第三弾のB面「I Don't Have Anything To Do With My Hands」の前説。

この日の「It's A Beacon It's A Bell」はいつもとは違ったイントロだった。もう彼のライヴは両手の指でも足りないかもしれないぐらいの回数を観てきているから、よほど普段は演らないような珍しい曲やカバー以外は最初の一音でわかるんだけど、これはいったい何だろうと思っていたところに“Was exactly at the right time”とお馴染みの歌詞が出てきたのはやけに新鮮だった。

友達がリクエストしていた「Water」を挟み、「この曲も先日の結婚式で歌ったんだ」と、ニール・ヤングの「Comes A Time」。これはよかった。こんなのが聴けるとは。

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前半の残りは確か今回恒例の「Crying」や「Got Your Back」などおのろけコーナー。この日は初日の新丸子で着ていた奥さん手製の刺繍入りシャツを着ていて、「これもう見せたっけ?」と何度も背中を見せて笑わせていたね。僕の大好きな「I Wish You Didn't Feel Like My Home」と、去年の来日時にも歌っていたキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で前半終了。

後半1曲目は「Pioneer Bride」。もしかしてライヴでこの曲聴くのは初めてだったかも。と思ってたら、続く「Daydreamer」もたぶん初聴きのはず。前日とセトリを変えようと一所懸命考えてくれてたんだろうな。でも、その次の(これも今回の新丸子/鎌倉では演奏していない)「Muddy Waters」では、途中まで歌ったところで恒例の歌詞忘れ発令。もうこのときは完全に演奏を止めてしまって「今のはテスト」とか言って最初からやり直してたね。

アラスカに行ってきたという話に続けて歌った「Bridge To Nowhere」もおそらく初聴きで、毎回セトリは変えるけどなんだかんだ言って同じような曲ばかり演ってる誰かさんとは違って、この日はかなり懐の深いところを見せつけてくれた。これだから、この人のライヴには何度も足を運んでしまうんだよね。三連休の最後で翌日仕事だからとこの日は敬遠した人たち、残念でした。

「Never Had A Gun」は曲を始める前の試し弾きのときからやけに強いカッティングをしてるな、とは思ってたんだ。そしたら案の定(?)、曲の途中で4弦が切れてしまった。そのまま最後まで演奏したけど、やっぱり4弦なんてメインで使う弦が切れてしまうとさすがに変な音で、最後は苦笑しながらのエンディング。それにしても、1弦とか細いのが切れるのはよく見るけど、あんな真ん中の弦が切れることってあるんだね。

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常連のJさんが弦を張り替えてあげている間、マットはバンジョレレに持ち替えて「Little Hands」を。これもまた珍しい。途中のソロのところまでに弦を張り終えていたJさんに、まだチューニングもきちんとできていないそのギターでソロを弾かせるという無茶振りまでしていた。しかしまあ、ここまでお客さんと一体になるなんて、ゴーティならではの光景だね。

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「次の曲では3弦が切れるよ」と笑わせて(実際にはD StringsとかG Stringsって言ってた)、僕の中では既に名曲認定されている「The Bear」へ。そして、そのまま曲紹介もなしに、たしか前回の来日時にリクエストして歌ってもらった「Lost」が次に出てきたときにはちょっと感動してしまった。

トム・フロインド絡みの逸話を紹介して始めた「Osaka In The Rain」では会場から小さなコーラスが入る。やっぱりこの曲は日本公演では定番で外せないと思ってるんだろうね。こちらもちゃんと応えないと。

この日の昼にマットがインスタグラムに沖縄料理の豚丼の美味しそうな写真をアップしていたのを見たんだけど、ここで前日からリクエストしておいた「Bacon Song」を、「今回の日本ツアーで食べた沢山の豚にささげる」みたいな紹介をして歌ってくれた。途中で歌詞に出て来る「Turducken」の説明もきちんと入れて(七面鳥に鴨を入れて、さらにその中に鶏を詰める料理? 帰って写真を検索してみたけど、ちょっとグロテスク。あんなのがクリスマス料理なんだね、アメリカでは)。

最後は、今回の来日公演で披露してくれた未発売の4曲のうちでは一番の出来なんじゃないかと思う「20/20」で一旦締め、特にどこに行くともなくそのままアンコールへ。最初は、たしかかつてジム・ボジアもこの場所で歌ったことがあったはずの、マイケル・ペンの「No Myth」。子供の頃に好きだった曲って言ってたね。

「一日一回はポール・サイモンの歌を歌わずにはいれない」と、「Papa Hobo」を。彼の歌うポール・サイモンの曲はメドレーに挟み込んだ短いフレーズも含めるとこれまで沢山聴いてきたと思うけど、この曲はたしか初めて。本当に初披露(僕にとっては、ということだけど)の沢山詰まったセットだったな、この日は。

マットがそれで終了しようとしたら、松本さんが「もう一曲」と(超ロングセットだった前日に比べると物足りないと思ったのか)催促。ここで再度バンジョレレに持ち替え、もう最後はこれしかないだろうという「Train」で声を絞り出し、今回の日本公演はすべて終了。

「シリーズのシングル盤を出すたびに来日するの?」と何人ものお客さんが(僕も含めて)マットに質問する場面に遭遇して、そのたびに彼は「いやそれは無理だよ」と答えていたんだけど、今回で確か8回目の来日になるほど頻繁に来てくれている彼のことだから、次もそんなに間を開けずに来てくれることだろう。

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23 November 2015 @ Cafe Goatee

1. Accidental Thief
2. I'm Sorry Hemingway
3. Concerning The Lincoln And Douglas Debates Or Love Found Lost
4. John Elliott
5. I Don't Have Anything To Do With My Hands
6. It's A Beacon It's A Bell
7. Water
8. Comes A Time
9. Crying
10. I Wish You Didn't Feel Like My Home
11. Got Your Back
12. When I Win The Lottery

13. Pioneer Bride
14. Daydreamer
15. Muddy Waters
16. Bridge To Nowhere
17. Never Had A Gun
18. Little Hands
19. The Bear
20. Lost
21. Osaka In The Rain
22. Bacon Song
23. 20/20

[Encore]
1. No Myth
2. Papa Hobo
3. Train
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2015年11月29日

Matt The Electrician live in Kamakura Autumn 2016 Part 1

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新丸子公演に続いて金沢、京都と廻り、前日の土曜日には千葉でどなたかの結婚式で演奏したあと(元々今回の来日はそれが主目的だったそうだ)、日本でのホームグラウンドともいえる鎌倉カフェ・ゴーティに戻ってきたマット。もう一週間も経ってしまったので若干記憶がおぼろげなところもあるけど、まずは鎌倉初日、日曜日の様子について書こう。

この日はカウンターの方までずらりと立ち見の出るほどの満員御礼だった。子どもを連れてきていたお客さんも何名かいたね(ほとんどの子はゴーティのなる君が遊び相手になってあげていたけど、ひとり僕のすぐ近くに座っていた女の子が、最後までじっと座って音楽を聴いていたのが印象的だった)。

比較的いい整理番号だったので、ピアノ側のわりと観やすい席を確保。マットはリハーサルが終わったらどこかに出かけてしまったのであまり話せなかったんだけど(もしかしたら僕にリクエスト責めにされるのが嫌だったのかも)、それでも彼が戻ってきたときに、ここしばらく聴いていない気がする「College」をリクエストしたのと、「あとどうせポール・サイモン演るんだったら、The Boxerはできる?」と訊いてみたけど、残念ながら歌詞が全部わからないとのこと。「じゃあ、ポール・サイモン・メドレーの一部でお願い」と更にしつこく。

第一部。冒頭3曲は新丸子公演と曲順まで含めて同じだった。新丸子にも来ていたお客さんは何人ぐらいいたかな。僕を含めてたぶん4〜5人ってとこかな。別に誰も同じセトリだったとしても気にするような人はいないんだけど、逆に、ソロのときはきちんとセットリストを作らないって言ってたマットがこんなに同じ流れで演奏するのも珍しいのかなとも思った。

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その後に出てきた曲も、基本的には新丸子で聴いたものがほとんど。奥さんと付き合い始めた頃にラブソングは書かないと言った云々は「Crying」のエピソードだったね。1曲、知らない曲だなと思っていたら、デイヴ・アルヴィンの「King Of California」のカバーだった。「日本の作家(歌詞にも出てくる谷崎潤一郎)に影響された」と説明して歌い始めた「Under The Wire」は初めて生で聴いたかな?と思ったけど、帰って調べてみたら2012年に一回鎌倉で聴いてるね。

「次の曲で前半は終わり。リクエストのある人は休憩中に話しかけてきて」と言いながら、「最後の曲はさっきリクエストされたんだ」と、「College」を演ってくれた。「この曲には数字が沢山出てくるから、ちゃんと数字を合わせて歌わないと」と言っていたとおり、最後の「18年前」って歌詞を「23年前」って替えて歌ってたね。

第二部の最初は「The Family Grave」。休憩中にお客さんと話していた、今着ているシャツは新しいのかどうかという話を受けて、「ちゃんと説明しておこう。これは新しいビンテージのシャツ。あと、僕は昨日千葉で演奏したけど、ディズニーランドに行ったわけじゃない」と(これは、前日に僕が彼のインスタグラムを見て「ディズニーランドのところにあるリゾートホテルで演奏したの?と開演前に訊いたのを受けての話)。

そして、結果的には僕のリクエストとなった「Party」が2曲目。これもたしか開始前に、新丸子ではシングル盤シリーズの11月A/B面、1月A/B面、4月B面の曲は演奏したのに、どうして4月に出るA面の曲は演らないの?という話をしていたから。

「この曲はライブで歌うのは初めてなんだ」と、歌詞を書いた紙を前列のお客さんに渡し、それを読むためにメガネをかけて歌いだした。「メガネをかけて歌うのも初めて」って言ってたね。演奏後、「本当はこの曲にはかっこいいギターソロが入ってるんだ、こんなの」と言いながら真似しようとしてたけど、あんまりよくわからなかった。きっと、4月のシングルを一緒に作った人がレコードでは弾いてるんだろう。

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ハーモニカの話もこの曲のときだっけ。それとも「20/20」かな。レコードでハーモニカを吹いてるのは自分だけど、その後ライヴでもハーモニカホルダーを装着して演奏してみたら、髭が挟まって抜けたりして大層難しかったと。「だからもうハーモニカはやらないよ」って。

ポール・サイモンの「Train In The Distance」を歌い、「この曲は昨日の結婚式で歌ったんだけど、よく考えたらこれって離婚する歌詞だった」と笑わせる。「あと、さっきのKing Of Californiaも歌ったけど、あれは離婚こそしないものの、結婚前に死んでしまう人の歌だ」だって。日本人はあまりちゃんと歌詞がわからなくてよかったね。

後半、「The Bear」〜「Loma Prieta」という新丸子パターンの曲順の後、マットがバンジョレレを手にしたときに松本さんがあるお客さんに「リクエストしなよ」と声をかけ、そのお客さんは「All I Know」をリクエスト。マットは「じゃあこの曲を演ってからその次にね」と先に「Animal Boy」を。

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その4曲でラストかと思っていたら、「これもリクエストされた曲。実話に基づいてるんだ」ときた。いや、僕は「For Angela」はもうリクエストしてないよ。でも、たしか開演前に別のお客さんとマットと3人で話していたときに、そのお客さんが「For Angela」はいい曲だという話を切りだし、僕が「いつもマットは歌詞忘れるからもうリクエストしないでおくよ」と言ったら、マットは「いや、あの曲はアメリカではよく演奏してるんだよ」というやりとりがあったんだけど、あれはリクエストしたということになっていたんだろうか。

マットの言葉どおり、手慣れた感じで(いつものように歌詞を忘れる前に急いで歌うような雰囲気でもなく)途中までは歌っていたんだけど、お客さんが二度くしゃみをしたときに「Bless You」なんていちいち言うもんだから、やっぱりそこでポカンと歌詞が抜けてしまった。どんなギャグだ、まったく。でも、ようやく最後まで到達したらもう余裕で、通常の歌詞「彼女の給料を上げてください。組合に入れてあげてください」にアドリブで追加して「セクシャルハラスメントで困っていたら集団訴訟団に入れてあげてください」とか歌ってて可笑しかった。

そして、本編ラストは「Milo」。あ、これも僕がポール・サイモン・メドレーの話をしたもんだから、それを覚えてて演ってくれようとしているのかな。「The Boxer」も歌い込んでくれるんだろうか。

なんて思いながら聴いていたら、これがものすごく長いバージョン。「April Come She Will」とか「Slip Sliding Away」とか普段は挟まないような曲まで歌ったはいいものの、でもどちらも途中で歌詞がわからなくなってふにゃふにゃとごまかしながら歌い、最後もう収拾がつかなくなったところで「Bridge Over Troubled Water」で締め、「Milo」に戻した。「あの曲はすべてを丸く収めるんだ」とか終わってから言ってたね。結局あのメドレー、10分ぐらい歌ってたんじゃないだろうか。そして「The Boxer」は結局忘れていたようだ。

アンコールに入ろうとしたときに松本さんが「マット、後半もう80分も演ってるんだけど、まだ演るの?」と訊いたけど、マットは「長すぎる? 別にいいよね。誰かもう眠いかな」とやる気満々。そして「Only For You」へ。

最後にもう1曲、今の奥さんの前に付き合っていた彼女の名前がレインボーだったからと練習したという「Rainbow Connection」で幕。「僕が歌うと、カーミットというよりはゴンゾみたいだよね」って言ってたけど、残念ながら僕はセサミストリートとかマペットのキャラクターあんまりよく知らない。

終わったときにはもう10時前になってたかな。マットもお疲れの様子だったけど、僕の持っている彼のCDではもう数少なくなってしまったサインなしのこのアルバムにサインしてもらって、「ではまた明日」と言いながら鎌倉を後にした。

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22 November 2015 @ Cafe Goatee

1. I Don't Have Anything To Do With My Hands
2. Mountains
3. It's A Beacon It's A Bell
4. I Will Do The Breathing
5. Ghost Story
6. Crying
7. King Of California
8. Under The Wire
9. College

11. The Family Grave
12. Party
13. Osaka In The Rain
14. Train In The Distance
15. Prison Bones
16. Never Had A Gun
17. 20/20
18. The Bear
19. Loma Prieta
20. Animal Boy
21. All I Know
22. For Angela
23. Milo

[Encore]
1. Only For You
2. Rainbow Connection
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2015年11月21日

Matt The Electrician live in Kawasaki

調べてみると意外に直線距離だとうちから近いことがわかった新丸子のバー、デレク&ザ・ドミノス、ジグザグに走っている東急線のおかげで電車だと妙に時間がかかってしまうので今まで訪れたことはなかったんだけど、今回のマットのツアーで鎌倉以外にもう一回ぐらい観ておきたいなと思い、今にも雨が落ちてきそうな中、足を運んでみた。

メールで予約しておいたら、ちゃんと席のところに名前を書いた紙が置いてあった。カウンターかアーティストの真ん前の丸椅子か選べるというから、じゃあ丸椅子でと言ったつもりだったんだけど、用意されていたのはカウンターの前の方だった。結果的には、飲み物も置けたし開演前に腹ごしらえもできたからカウンターでよかったけどね。

カウンターにはマットのCDが何枚かと、なぜかゴスペルビーチのCDと、あとは前回の来日時にアナウンスされていた、出たばかりのマットの7インチシングルが置いてあった。もちろんそれは買う。松本さんによると、1月に出る予定の次のシングルも特別に1枚だけ持ってきてくれたそうだ(プレイヤーがないから聴けていないらしいけど)。そんなに制作意欲があるんなら小出しにせずに新作アルバム作ればいいのに。楽器のセッティングをしていたマットのところに行って、新曲演ってねとお願いしておいた。

5か月前のティム・イーストンとの来日時、鎌倉でも前座を務めたホテル・コングレス君がこの日もオープニングを務めた。わずか3曲だったけど、あいかわらずの渋い声でまずは場を暖めてくれた(実際、満員の会場はこの時点では汗ばんでしまうほどの室温だった)。

マットはいつものチェックのネルシャツやTシャツではなく、襟のついた黒い半袖シャツにジーンズといういでたち。ギターもバンジョレレもいつものやつだ(どこのメーカーかわからないけど、ギターにはM、バンジョレレにはSという文字っぽいロゴがついている。まさか、MattとSeverの頭文字じゃないだろうな)。

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1曲目、いきなり知らない曲だ。これが噂の新曲なのかな。曲紹介も何もないまま、続く2曲目も知らない曲。どちらも、一回聴いただけですごい名曲と判断できるほどのものじゃなかったけど、6月に初めて聴いた「The Bear」が、今回シングルを繰り返して聴いてみてあんなにいい曲だとすぐには思わなかったのと同じパターンなのかもしれないから、あえて今時点でコメントするのは避けよう。たぶん今回の鎌倉でまた聴けるだろうし。

3曲目でようやく知ってる「It's A Beacon It's A Bell」。さっそく途中でポカンと歌詞を忘れるマット。おいおい、こんな新しい、しかも今や代表曲と言ってもいいほどの曲の歌詞を忘れるかね。

「新しいシングルを出したんだ」と、この日初めてのMC。「そのシングルのB面の曲を」と言って「Never Had A Gun」を演奏。6月は僕の観た日にはこの曲は演らなかったから、松本さんがアップしていたビデオ以外で、生で観るのはこれが初めて。今までにあまりないタイプの曲だよね。かっこいい。

メモを取っていたわけじゃないので特にこの先はちょっと曲順があやふやなんだけど、演奏した曲は全部網羅しているはず(一応最後にセトリは載せておこう)。この日はウォームアップの意味もあったのか、新曲の他はほぼ代表曲と言ってもいいようなスタンダードな選曲。

最初の数曲、なんだかどんどん音が割れてくるなあと思っていたら、どうやらマットのエフェクターの電池が切れかけていたようで、途中で一旦そのエフェクターを外して結線し直すためにしばし中断。その後はギターからアンプに直接つないでいたようで、音もすっきり(正直言って、普段はどんなエフェクターを使ってどんな効果が出ていたのかよくわからないんだけど)。

マットの奥さんが刺繍をやっていて、ネットで販売していることは知っていたけど、この日彼が着ていた黒いシャツも、既製品の背中部分に野球選手の刺繍をしてくれたと、途中でくるっと背中を見せてくれた。「今日は何曜日だっけ?」という話から始まって(火曜日)、「日曜日にオースティンを出発したんだけど、前日の土曜は僕らの17回目の結婚記念日だったんだ」と、いつになく奥さんの話が沢山出る。高校の同級生で、知り合ってからもう25年にもなるんだとか。ラブソングは書かない、と奥さんにはずっと言ってたそうで、「でもこれは彼女のために書いた曲なんだ」と言いながら、「Got Your Back」を演奏。

前半最後にもう一つ知らない曲を演奏して、休憩へ。満員の場内にトイレが一つしかないから全然列が途切れない。マットのところに行って、早速新曲のことを聞く。一番最初に演ったのはなんと来年の4月に出す予定の次の次のシングルからの曲「I Don't Have Anything To Do With My Hands」、2曲目が1月のシングルのA面「Mountains」、そして前半ラストがそのB面「20/20」(一応マットの眼前でメモを取っていたので表記は正しいと思うけど、発音は「トゥエンティ―・トゥエンティ―」だった)。

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後半1曲目は「Accidental Thief」、そして「I Will Do The Breathing」。この曲演ってくれるんだ。これは大好き。さらに、「この曲も奥さんのために書いた」と「Crying」。同じアルバムからの曲が続く。さらに後半には「I Wish You Didn't Feel Like My Home」も演ったな。この日はリクエストはしないでおいたのに(新曲は別)、次々に大好きな曲がでてくる。うれしい。

ただ、やはり初日だからか、歌詞を忘れたのが他にも何曲か(やっぱり途中でアドリブで余計なひと言を挟んで、そのせいで続きの歌詞を忘れるといういつものパターン)、あと演奏ミスもちょっと散見されたね。それに、最後の方でしきりに謝っていたけど、到着してすぐのショーでは弦を張り替えたばかりだから演奏中にすぐチューニングが狂ってしまって、調弦にやたらと時間を取られていた。

でも、決して内容が悪かったというわけじゃない。僕の隣にいたお客さんはマットのライヴに来るのは初めてと言っていたけど、もうほとんどの曲で「いいねーこれ」とつぶやいておられた(笑)。カウンターに置いてあったCDを一枚を残してほとんど購入されていたから、残る一枚(たしか『Made For Working』)も、「これもいいですよ」と、カフェ・ゴーティーの売上に貢献してあげた(笑)

休憩時間中に新曲の話をしていたときに「The Bearの日本語覚えてる?」と思い出させてあげたのを、曲紹介のときにお礼を言ってくれた(別に僕の名前を呼んでくれたわけではないけど)。この日は初めて見たマットのTシャツが二種類売っていて、一つには豹、もう一つには山羊の図柄が書いてあった。マット曰く「ずっと自分のシャツには強い動物の絵を描きたかったんだ」と(山羊が強いのかどうかは僕は知らない)。

「学校のチームはたいてい、強い動物をマスコットにするよね。パンサーズとかクーガーズとか、タイガースとか。でも、僕の中学のマスコットは何だったと思う? チキンだったんだ。そんなチームが勝てるわけないよね」とまたそこはかとなく可笑しい話を。「高校のときは海岸に近かったせいか、ブレイカーズ(波?)というチームだった」。

山羊と豹を日本語で何と呼ぶのか教えてもらって「やぎ、ひょー」とか言ってるのがかわいかった。でも絶対もう忘れてるね。そして、「The Bear」へ。さっきも書いたけど、これってこんなにいい曲だったんだと再認識。帰ってきてからもうシングル盤を何度ひっくり返したことか。

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後半最後の2曲はバンジョレレに持ち替えて、定番の「Animal Boy」とこれは久しぶりに聴いた「All I Know」で一旦終了。とはいえこの狭い店でマットもどこにも行けるわけでもなく(当然楽屋なんてない)、お客さんもまだマットがそこにいるので終わったのかどうかもよくわからず、アンコールの拍手もなんだかパラパラとしたものだった。そこでマットが「なに、もう一曲聴きたいの?」とギターを抱える。

こちらも既に彼のライヴでは定番と言っていい、ポール・サイモンの「Duncan」。そして今度はマットがギターを下ろした瞬間に大きなアンコールの拍手。「何を演ろうか」としばらく悩んだあげく、あまりなじみのない曲を歌いだした。途中の歌詞でわかったけど、あれもポール・サイモンだね。「Under African Skies」だ。こちらはちょっと歌詞が危うかったけど。

機材を片づけているマットのところに行って、シングル盤にサインをもらった。いつもならもう少し長居するんだけど、まだ週の頭だったので、「また日曜日にね」と挨拶して、この時間にはもうすっかり雨模様になった新丸子の商店街を歩いて帰った。

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17 November 2015 @ Bar Derek And The Dominos

1. I Don't Have Anything To Do With My Hands
2. Mountains
3. It's A Beacon It's A Bell
4. Never Had A Gun
5. Osaka In The Rain
6. Ghost Story
7. Got Your Back
8. Valedictorian
9. The Kids
10. 20/20

11. Accidental Thief
12. I Will Do The Breathing
13. Crying
14. John Elliott
15. I Wish You Didn't Feel Like My Home
16. Only For You
17. The Bear
18. Loma Prieta
19. Animal Boy
20. All I Know

[Encore]
1. Duncan
2. Under African Skies
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2015年10月14日

Squeeze live in Southend

どうして僕がロンドンにいるのかという説明は省略し、リヴァプールストリート駅からC2Cに乗り込んで約一時間、ウェストクリフ駅に僕が降り立ったあたりから今日の話をはじめよう。中途半端な時間に宿を出てきたのでお昼ご飯というには遅すぎる時刻だったけど、何かあるだろうと期待していた駅の真ん前にあるフィッシュ&チップス屋のウィンドウに「To Let」の張り紙がしてあるほどの寂れた駅だ。こんな小さな街でライヴを演るんだね。

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会場のクリフズ・パヴィリオン(Cliffs Pavilion)までの道を確かめながらブラブラ歩く。ロンドンからほどよい距離の、もしかしたら昔は海辺の観光地としてそれなりに人を集めたところだったのかも。昔ながらの家並みは、海風にさらされて石造りがかなり傷んでいるように見える。

途中で別のフィッシュ&チップス屋を見つけ、しばらく歩いて会場に到着。駅に近い方の裏口には大きな観光バスや、機材を積んできたと思しきバンが数台、それにキャンピングカーが一台停めてある。崖のパビリオンという名前のとおり、(崖というには大げさだけど)海辺に建った建物で、沖合にはドクター・フィールグッドゆかりのオイル・シティ、キャンベイ・アイランドがうっすら見える。

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建物の壁にはこれから予定されているコンサートや演劇のポスターが沢山。ロック系の音楽だと、スティーヴ・ハケットやホットハウス・フラワーズのポスターが貼ってあった。ホットハウス・フラワーズってもうリアムがソロでやってるだけかと思ってたけど、まだバンドで続けてるんだね。そして、肝心の今日の出し物は、ちっちゃなチラシが貼ってあるだけだった。ポスター作ってないんだね。

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正面入り口にまわり、中に入ってみると、リハーサル中のようだ。「Snap, Crackle & Pop」が聴こえる。へえ、この曲ライヴで演るんだ。ネタバレしたくないという気持ちと、リハーサルを聴いていたいという気持ちが葛藤した結果、もちろんのこと後者が圧勝。地元の敬老会みたいなおばあさん達が行きかう中、謎の日本人がステージ脇のドアのところにずっと突っ立っている姿はさぞかし異様な光景だったことだろう。

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あとリハーサルでは何を聴いたっけ。「Everything」とか「Nirvana」とか「Slap & Tickle」だったかな。誰かグレンでもクリスでもない人が歌っていた、僕の知らない曲もあった。サイモンの声は知ってるから、消去法でいくとあれはスティーヴンだったのかな。しばらくすると客席の柵の搬入のためにステージ脇のドアが開けられたので、リハーサル中のステージが見えるという幸運にも恵まれた。グレンは緑色のTシャツ、ルーシーは白いシャツを着ていた。グレンと話しているギターを持った小さいのはレオンだ。スクイーズをバックにまたあのディスト―ション満載のギターソロを練習してるよ(そのときの様子がスクイーズのインスタグラムにアップされてた)。

物販に次々にグッズが並べられているのを見ていると、係のお兄ちゃんが胡散臭そうにこっちを見る。怪しいもんじゃないと、ひと段落した頃に話しかける。「きっと日本から来た価値はあるライヴになるよ」と、プログラムの最後のページに書かれた苗字が間違えられているというニール君(Brownと書いてあるけど、本当はBronだかBranだって言ってたかな)。まだ他に誰も客がいないので、プログラムの中身やクリスの詩集を見せてもらったりしてた。クリスの詩集、綺麗な装丁でなかなか魅かれたんだけど、冷静に考えてみると歌詞カードと同じ内容のものに20パウンドはちょっと二の足を踏んでしまう。

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結局、この夜のライヴを録音するCD-Rを自分のと友達の分、マグカップとマットのセット(あのキモかわいいジャケのデザインが結局このマットにしかなかったから)、あとニット帽を買った。Tシャツが数種あったけど、どれもデザインがどうもいただけない。ストレートに新作ジャケのデザインのを作ればいいのに。「I'd Forgotten How Much I Like Squeeze」って、いや僕は片時も忘れてないし。そんなシャツを着るのは屈辱的ですらある。

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しばらくニールと話していると、「その机の上に置いてあるクリスのポストカード、持って行っていいよ」と言ってくれた。「友達の分ももらっていいかな?」と訊くと、「箱一杯あるから、何枚でも好きなだけどうぞ」だって。クリス…(笑) というわけで、何かお土産を期待している友達には、もれなくクリス・ディフォードのポストカードを差し上げます。

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リハーサルも終わってしばらく経った頃、時間を持て余して裏口の方に歩いて行ってみると、グレンがいた。呼び止めて、東京から来たんですよと言ってみたけど、なんだか通り一遍の返事。彼のことだから決して冷たいなんて風じゃなかったけど、やっぱりライヴ直前で神経が張りつめてたんだろうね。「ライヴを楽しんでね」と握手をしてくれた後、そそくさとキャンピングカーの中に入っていった。でも、偶然聴けたリハーサルとこの邂逅で、早めに来た甲斐があったよ。

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立見席は入場前にチケットとリストバンドを交換。チケットを取り上げられたから返してほしいと言うと、管理ができなくなるから、もし持って帰りたければ、ライヴ終了後にカウンターに取りに来てと言われた。ただでさえ終了予定時刻(ニールによるといつも22時半過ぎ)と終電時刻(23時22分リヴァプールストリート行き最終)の間にライヴCD-Rを受け取ったりサイン会に並んだりとやること満載なのに。

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19時の開場前から入口前になんとなく列ができはじめたので、慌てて並ぶ。10番目ぐらいかな。出遅れた。せっかく何時間も前から一番乗りしたのに、真っ先に場内に入れないのは残念。それでも、最前列ほぼ中央左寄り、クリス正面の場所を確保できた。グレンの手元もしっかり見える好位置だ。後ろを振り返ってみると、まだフロアは半分ぐらいの入りといったところか。やっぱり年配のお客さんが多いから、二階席の方はもう結構埋まっている。全部で何人ぐらい入るんだろう。東京でいうと、渋谷公会堂を二回りぐらい小さくしたキャパなのかな。こんな辺鄙なところまで観に来るのは大変だったけど、逆に日程の関係でこんな小さな会場で観られたのはラッキー(ロンドンだとロイヤルアルバートホール級だから)。

定刻通り19時半に司会者が出てきて、ドクター・ジョン・クーパー・クラークを呼び入れる。この人、いつから芸名にドクターが付いたんだっけ。スクイーズの楽器を覆い隠すような大きな垂れ幕の前にオルガンが置いてあったから、もしかしてオルガンを弾きながら語ったりするのかと思っていたけど一切そんなこともなく、結局一時間ぶっ通しでしゃべり倒して行った。

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彼のCDは初期のを2枚と、あといくつかのコンピレーションに入ったライヴ録音を持っているけど、マンチェスター訛りの強いあの超弾丸早口はほとんど聞き取れない。皆さんよく笑ってたから結構面白いことを言ってたんだろうけど。ときどき僕にもわかる内容があったけど(何が可笑しかったかは忘れた)、語りだけで一時間はちょっときつかったかな。僕でも知ってる「Beasley Street」とか古い曲(?)に交えて、新作をノートを見ながら読んだりしてた。

10月23日にソニーからアンソロジーボックスセットが出るらしく、しきりにそれを宣伝してたね。僕の知るかぎり、70年代後半に数枚のアルバムを出したきり(アマゾンを見ると、その後にも数枚出ているようだけど、それがオリジナルアルバムなのか編集盤なのかは不明)なこの人が、そんなメジャーレーベルからボックスが出るほどの人気があるなんて。

どこかでクリス・ディフォードのインタビューを読んだときにジョン・クーパー・クラークは時間を引き伸ばしがちというのを読んで心配してたんだけど、一旦引っ込んでアンコールのつもりの最後の一曲を含めてぴったり予定通りの一時間でステージを降り、クルーが垂れ幕を解体してセットチェンジを開始。セットチェンジと言ってもマイクを入れ替えてスクイーズの弦楽器類をステージに置いてチューニングするだけなんだけどね。それがだいたい20分ぐらい。

20時50分ごろだったかな、暗転したかと思うとすぐに(2012年のライヴアルバムでもおなじみの)メンバーをちょっとしたジョークを交えて紹介するMCの声が場内に流れ始めた。ジョン・クーパー・クラークを紹介した司会者とは違う声だね(あの人はあれだけのために来たのか?)。そして、まだステージには誰もいないうちに、ギターの音が聴こえはじめ、ステージ右手からメンバーが順に小走りに登場。なんとギターの音はグレンが実際に弾いている音だ。各メンバーが配置に着いた瞬間、そのギターの音がイントロとなって、「Hourglass」へ。出だしから鳥肌モノの演出。

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隣のおっさんも後ろの奴も大声で歌う歌う。普段ならお前らの歌聴きにきたんじゃないと思ったかもしれないけど、これもグレンマジックなのか、あんまり気にならない。僕も適度な大声で歌う。後ろの奴はきちんと32回の手拍子も入れてたね。今、買ってきたライヴCDを聴きながらこれを書いてるけど、演奏中の観客の声はしっかり聞こえるけど決して演奏と歌の邪魔にはなってない、いいバランスの録音になってるよ。

ステージ中央のグレンは派手な紫色のスーツ(このスーツ自体は見たことなかったけど、いつもの安定したグレンの素っ頓狂ないでたちに安心する)。左側のクリスは黒いスーツ。以前ジュールズのライヴにゲスト参加したのを観たことがあったけど、こんな近距離でこの人を観るのは初めて。両脚を開いてギターを弾く姿を見て、そうだこの人こんな風に立つんだったと、ちょっと感慨深くなる。

クリスの真後ろ、一段高くなったところにキーボードのスティーヴン。鮮やかなブルーのスーツに、ネクタイまでしているのは彼だけ。クリスがマイク前に立つと、僕の位置からはスティーヴンは隠れて見えなくなってしまうんだけど、クリスはどういうわけかコーラスを入れるとき以外はやたらと後ろに下がってギターを弾くので、いい塩梅でクリスもスティーヴンも見られた。

ステージ中央後ろのドラムキットには、Tシャツの上にもはやトレードマークのような黒いベストを着たサイモン。彼の向こう側にはペダルスティールほかマンドリンなどの弦楽器が沢山置いてある。ツアーメンバーのメルヴィン・ダフィー用だけど、この時点では彼はまだいない。そして、グレンの向こうがわ、ステージ右手に銀色のワンピースを着たルーシー。最初に使っていたのは白いジャズベース。

間髪入れずに二曲目「Is That Love?」、そして「Another Nail In My Heart」と、イントロを聴いただけで狂喜乱舞な曲を連発。こんな序盤からなんて贅沢な選曲をするんだ。そしてここで初めてグレンが曲紹介。「クリスがElectric Trainsを歌います」というから、てっきり彼のソロバージョンの「Playing With Electric Trains」を聴けるのかと一瞬期待したが、単に一オクターブ低いスクイーズバージョンだった。まあこれはこれでレア。

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ここでようやく一息入れて、ニューアルバムからの曲を演奏すると話すグレン。まずは、これは多分演らないだろうと思っていた「Only 15」からだったのがちょっと意外。さらに続けて同アルバムから「Beautiful Game」。ここからメルヴィンが参加。僕の位置からはちょうどグレンの後ろに隠れて見えないけど、まあしょうがない。昔の歌を大声で歌っていた周りのおっさん達はここで黙るが、こちらはもうそこそこ歌詞も覚えてるのでこのへんの曲も歌うよ。

グレンのソロライヴでは定番の「Some Fantastic Place」を、彼がエレキギターを使って弾くのを聴いたことはあったっけ。あのギターソロを生でエレキで聴いたのは、もしかしたらこれが初めてかもしれない。ずっとオリジナルと同じラインを弾いていたのが、途中で(グレンが一瞬やばいと思った表情をしたように見えた僕の目に狂いがなければ)違うフレットを押さえてしまって、でもそんなことには一切気付かれないように最後の4小節を新しいメロディーで弾き終えたのを見たときは、ちょっと鳥肌ものだった。まあ、もしかしたらあれが今のお気に入りのフレーズなのかもしれないけどね。それを確かめるために、そのうち今回のツアーの他の日のライヴ盤も手に入れて聴いてみよう。

聴いたことのないおごそかなキーボードのイントロはなんだろうと思っていたら、「The Truth」だった。今回のライヴ、おなじみの曲でもイントロや全体の曲のアレンジが変わっていたものが多かったけど、これもそのひとつ。グレンがソロではいつもやる、6弦のペグを緩めて弾くソロはなかったけど、そういえばこの曲も僕は彼がエレキで弾くのを聴くのは初めてのはずだから、今回のツアーも中盤でかなり指さばきもこなれてきているグレンのソロが堪能できた。いつもアコギのソロを感嘆して見ているけど、やっぱりこうしてエレキのソロを見てしまうと、ほれぼれしてしまうね。

アルバムを聴いたときからイントロが哀愁のマンデイ(笑)だと思っていた「Nirvana」がこの日3つ目の新作からの選曲。それが終わると、オルガンのところに腰掛けたグレン以外は全員ステージ裏に下がり、真上からスポットが当たってグレンが歌いだす。「The Elephant Ride」か。これ、グレンのライヴではしょっちゅう聴いてるから、こうしてソロで演奏されてもちょっとありがたみないんだよね。

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なんて贅沢な文句を言ってるうちに、すぐにメンバーが再登場し、またも新作からの「Everything」。曲の冒頭からずっと鳴り響いてるキーボードのループ音が演奏が終わってもずっと鳴り止まないなと思っていたら、それをバックにグレンが突然「Labelled With Love」を歌い始めた。観客総合唱。そして、最初のフレーズを歌い終えたところでバンド演奏が入る。しびれるねえ。

もともとカントリー風味のこの曲に、メルヴィンのペダルスティールが抜群に合う。もう、なんで今までスクイーズにペダルスティール奏者がいなかったんだろうと思うぐらいのはまりよう。せっかくベントレーがルーシーに交代して見た目のもっさり感が少し薄らいだと思っていたところにまたこのずんぐりもっさり君かと思っていたんだけど、ここでのペダルスティールに限らず実にいい働きをしていたよ、この人。当面はツアーメンバーとしてだけの参加なのかな。それとも正式メンバーとして加入するのかな。

この手の常連曲はほとんど観客全員が最初から最後まで歌ってたと思うんだけど、一番最後のフレーズをグレンが手振りで観客だけに歌わせてそれがばっちり決まると、ほんとうに嬉しそうにしてたね。今、ライヴCDを聴き返してみたら、歌が終わったところでグレンが「ハハハ」って笑ってたよ。

ルーシーの向こう側の高いドラムスタンドにタムが二つ置いてあるなとは思ってたんだ、最初から。そしたら、ここでサイモンが前に出てきて一番向こうに。ルーシーはウッドベースに持ち替え、マットはマンドリン、スティーヴンはアコーディオンで、全員でフロントに一列に並んでアク―スティックセッションの始まりだ。こんなヴァージョンの「Slap & Tickle」は初めて聴いたよ。

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定番コースは「Black Coffee In Bed」へと続く。この曲でもペダルスティール弾きますか。「Labelled With Love」ほどには似合ってないね。まあ、新鮮だけど。ところで、グレンのソロライヴに慣れた日本の僕たちはこの曲とかでは必ずかけあいボーカルの方を歌うのが常なんだけど、どうもこっちのお客さんは皆さんグレンと一緒にメインボーカルのところを歌うね。間延びするでしょうに。と思ってたら、次の「Goodbye Girl」では当たり前だけどメインボーカルのところ、というかサビのタイトルのところを大合唱。

ここでもペダルスティールと、ひき続きスティーヴンのアコーディオンがいい味を出している。それにしても、スティーヴンを初めて見たけど、なんだかひょうきんな動きをするね、この人。サイモンのところに行っておどけてみたり(それに律儀に反応して演奏中なのに変顔するサイモン)、後ろからジャンプしてルーシーの隣に行ってびっくりさせたり。グレンと並んで今やこのバンドの音楽面での要でもある彼がこんなお調子者だっただなんて。

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「次もまたニューアルバムから」と言って、「Open」。意外な曲ばかり演るね。これは新作の中でも好きな部類に入る曲だから嬉しいけど。この曲ってこんなにスティール鳴り響いてたっけ。気持ちいい。そして、グレンがウクレレに持ち替えたのですぐにわかった次の曲は、ニューアルバムのタイトル曲。新曲どんどん演るね。このツアーの初期のレビューにあった「観客が“新曲をもっと演れ!”と叫んだ」てのは何だったんだ。

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カバー曲が2曲、どちらも『Cradle To The Grave』のアナログ盤のD面にボートラとして収録されている、グレンが歌う「Harper Valley PTA」(グレンのソロでは聴いたことがあったはず)と、クリスの「I Don't Wanna Grow Up」(オリジナルはトム・ウェイツって言ってたけど、もう僕が聴かなくなってから久しい92年の『Bone Machine』からの曲か。どうりで知らない曲だったはずだ)。

開始からどれだけ経ってたのかわからなかったけど、もうそろそろラスト間近か。ここからがまた怒涛の名曲集。まずは「Tempted」。途中、クリスと交互にリードヴォーカルを分け合うときに一瞬自分の番だというのを忘れた箇所があって、苦笑いのグレン。かわいい。ソロのときは全部のパートを自分で歌うから、久し振りに(でもないだろうけど、こんなツアーの中盤で)こうして掛け合いやってみてうっかりしたのかな。この曲のエンディングでメンバー紹介。スティーヴンとクリスにだけ「ミスター」を付けてたね(そのお返しに「ギターと素晴らしい声、ミスター・グレン・ティルブルック、レディース&ジェントルメン」と紹介するクリス)。

間髪入れずに「Pulling Mussels」でワウ踏みまくりのギターソロ、そしてとどめの「Up The Junction」。このあたりで、それまでずっと弾いてたヤマハのテレキャスターもどきみたいなギターから1曲だけ日本にも持ってきていた黒いストラトに持ち替えたはずだったんだけど、どの曲だっけ。こうして録音聴いてみるとこの3曲ほとんど曲間なしで演奏してるから、もう少し前の「I Don't Wanna Grow Up」とかだったかな。それともあれはアンコールのとき?

一旦バックステージに戻り、(最近のライヴにありがちなお決まりのようにすぐ出てくる感じでなくしばらくじらしてから)アンコールで再登場。「Snap, Crackle & Pop」と意外な曲でスタート(リハーサルで聴いていたから演奏するのは知ってたけど)。アルバムラストの曲だから、なんだかこれでまた終わってしまって引っ込むのかと思ったけど、グレンが「次はラジオでかかってる曲だよ」とアナウンスするのを聞いてそんな杞憂は吹っ飛んだ。待ってました、「Happy Days」だ。

これもいい曲なんだけどまさかこれが最後なんてことはないだろう、あと演ってないのは何があったっけ、「Take Me, I'm Yours」かな、あとは、えーと…とか思っていたところにグレンが後ろを向いてメンバーに「ワン、ツー、スリー、フォー」と身振りで合図して、「Cool For Cats」! そうだった、なんでこれを忘れてるんだ僕は。イントロ一発だけで大興奮、みたいな曲はこの日も沢山あったけど、その中でもダントツで一番はこれ。僕この曲ほんとに好きだ(それが高じてグレンにまで歌わせたこともあったほど)。

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このときちらっと見た腕時計の針はもうとっくに終了予定時刻の22時35分を廻っていたけど、まだ終わらない。最後はもうこれしか残ってないだろうという「Take Me, I'm Yours」を、またもステージの前の方に全員が出てきて(サイモンは首から下げたタム、スティーヴンはメロディカ、ルーシーとグレンはウクレレ、あとの2人はアコギ)ステージをぐるぐる歩きまわりながら演奏。そして最後は、ステージ左手から観客席に降り、(僕からは見えなかったけど)そのままどんどん後ろのドアの方まで練り歩いて行って、そこで演奏終了。ああもうこれじゃこれ以上のアンコールはできないよ(僕も終電の時刻が迫っていたのでもうそれ以上いられなかったけど)。

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ライヴ中ずっといろんな映像(昔の演奏風景や写真のコラージュやPVなど)が流れてたステージ後ろのスクリーンで、メンバーとクルーの紹介が続いていたけど、ゆっくりそれを見ている余裕のない僕は一刻も早くライヴCDを受け取ってサイン会の列の前の方に並ばないと帰れなくなるので、出口に向かう人の波をかきわけて進む。ドアを出た頃にはCD売り場にもう十数人の列ができていた。

10分ほど待っていると、ようやく列が進み始めた。待ってる間は早く早くと思っていたけど、よく考えたら今ライヴが終わったばかりの音源が、きちんとトラック分けまでされて、たったの10分で売り出されるんだもんね。すごいよ、このシステム。今聴き返してみると、ディスク1の最後にディスク2冒頭の「Slap & Tickle」のイントロがちらっと入り込んでしまっていたり、ディスク2の「Slap & Tickle」の最初の25秒ぐらいが無音になっていたり(その二か所をつないでもたぶん25秒ぐらい音が欠けてる)と、ちょっとした瑕疵はあるんだけど、それ以外は音もいいし、自分の声がときどき聞こえたりと、僕にとっては最高のCDだ。このオフィシャルブートレグを今年のベスト10に入れるかどうかは自分内ルールでは微妙だけど、番外編で入れてもいいんならきっとこれは今年第一位間違いなし。

やっと自分の番が回ってきたと思ったら、CDを手売りしているのはスザンヌじゃないか。数枚分の引換券を手渡すと「一人でこんなに?」と言うから「東京で待ってる友達の分とね」と答えたら、「あらそういえば貴方とは東京で話したかも」なんて言ってくれる。グレンが僕のことを覚えてないのはもうしかたないけど、まさかスザンヌが覚えていてくれているなんて(社交辞令かもしれないけどね)。

そして、僕がCDを手にした頃にはもう数十名の列になっていたサイン会の列に移動。この時点で終電まで残り20分ぐらいだったかな(駅までは速足でも5分は見ておかないと)。サイン会中は写真を撮らないでと注意されたので、残念ながらここでの写真はなし。テーブルに着いているのは右からグレン、メルヴィン、スティーヴン、ルーシー、サイモン、クリスの順。グレンが、僕の番が回ってきたら、まるでさっき(ライヴ前に会ったとき)はすまなかったねと言わんばかりに色々と話しかけてくれる。やっぱりライヴ直前とは全然気の張りつめ方が違うね。あまり沢山のCDにサインしてもらったら悪いかなと思っていたけど、日本から持参した『Cradle To The Grave』も含めて全部にサインをしてくれ、最後には向こうから握手までしてくれた。「また日本に来てくださいね」というリクエストには相変わらず煮え切らない返事だったけど(そんなの「イエス!」って言っておけばいいのにね、正直な人)。

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メルヴィンからルーシーまではもう何をしゃべったか覚えてないや。バンドに正式に加入したの?とかグレンと一緒に日本に来てね、とかそんなことを言ったつもりだったけど、こちらももう早く出ないといけないやら緊張しているやらで自分でも何言ってるかよくわからない。さぞかし英語の下手な日本人が来たと思われたことだろう。

サイモンの前に行くと「さっき君が最前列にいるのを見たよ」と言ってくれるからお返しに「3年前に君を東京で観たよ」と言ったら、「あーっ!!」と大声で僕を指さす。覚えていてくれたんだ。嬉しいね、グレン以外は全員覚えてくれてる(笑)

「明日もう日本に戻らないといけないから、今日はこれからヒースローのホテルまで戻らないと」と言うと、隣のクリスに「ねえ聞いた?この人これからヒースローまで戻るんだって」とか言ってる(クリスはあのシニカルな顔で「隣にいるんだから聞こえてるよ」と言わんばかりの適当な相槌)。なんか、本当にいい人だね、サイモンって。会うたびにこの人には惹きつけられるよ。

そしてクリス。あのスクイーズのクリス・ディフォードと自分がこんな距離で喋ってるんだ、と思うとまた緊張。えーと、何言おう。「他の人には日本に来てくださいって言ってるけど、貴方が飛行機に乗らないのは知ってますよ」何言ってるんだ僕は。「うん、乗らない」あと何かボソボソと(きっとシニカルな)ジョークを言ってたけど残念ながら聞き取れなかった。もうサイン会にも疲れたのか、彼のサインはほとんど数字の9みたいにくりくりっとペンを動かすだけだ。まあ、サイン会なんて嫌でしょうがないんだろうね、この人。そういうところも含めて、いかにもクリス・ディフォード。もっとゆっくり話したかったな。飛行機ぐらい乗ってよ。

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ああ終わった。と感慨にふける間もなく駅へ急ぐ。まだ間に合う時間ではあるけれど、この国のこんなローカルな列車が時間通りに来るのか、それとも早く着いて早く行ってしまうことがあるのかよくわからないから、とにかく一刻も早く駅へ。

駅に着いたらまだ沢山の人がいたので(おそらく100%スクイーズファン)ようやくほっとする。あ、しまった、チケット取り返してくるの忘れた。。 しょうがない、このリストバンド(スクイーズともなんとも書いてないけど)を記念にするか。

そして、リヴァプールストリート駅まで最終便で1時間、地下鉄の終電に乗り継いでハマースミスまで1時間、さらに深夜バス(こんな時間に10分に一本ぐらいの頻度で走ってるなんて、なんて便利なんだ!)で1時間と、合計3時間ぴったりかけて宿にたどり着いた。へとへとだけど、スクイーズのあんなに凄いライヴを、しかもあんな距離で観られたなんて、今でも夢のように思える。この分だと、今回のこのスクイーズ熱も当分冷めそうにないな。


Setlist: 10 October 2015 @ Southend Cliffs Pavilion

1. Hourglass
2. Is That Love?
3. Another Nail In My Heart
4. Electric Trains
5. Only 15
6. Beautiful Game
7. Some Fantastic Place
8. The Truth
9. Nirvana
10. The Elephant Ride
11. Everything
12. Labelled With Love
13. Slap & Tickle
14. Black Coffee In Bed
15. Goodbye Girl
16. Open
17. Cradle To The Grave
18. Harper Valley PTA
19. I Don't Wanna Grow Up
20. Tempted
21. Pulling Mussels (From The Shell)
22. Up The Junction

[Encore]
1. Snap, Crackle & Pop
2. Happy Days
3. Cool For Cats
4. Take Me, I'm Yours
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2015年09月27日

Gareth Dickson live in Tokyo

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以前この近くに住んでいたことがあるので懐かしい思いをしながら歩いてたどり着いたんだけど、砧公園というのは本当にどこの駅からもちょっとした距離があるよね。前日までの雨がやっと止んだのは幸いだったけど、会場の世田谷美術館に着くころにはちょっとシャワーでも浴びたいほど汗をかいてしまっていた。

前日にはなかったガレスの『The Dance』という2010年発売のインストアルバムが数枚物販に置いてあったので、なくなってしまう前にゲット。なにしろ前日に、そこそこの枚数があったヴァシュティ・バニヤンのLP数種が開場直後にまたたく間に売り切れてしまったのを目撃しているからね。案の定、この日も開演時刻の14時になる前に『The Dance』はもう売り切れてしまっていた。

リハーサルがちょっと押しているという話だったけど、なんとか定刻の14時にドアが開いた。いい整理番号だったから好きな席を選べたけど、なんだかやけにステージから客席までの距離が遠い会場だな。ゴーティ基準で言うと、ステージからトイレぐらいまでの距離があるんじゃないか(ゴーティに行く人にしかわからない単位)。

オープニングアクトはmoskitooという背の高い日本人女性。「5曲聴いてください」と言って始めたけど、抽象的なインスタレーションに時折ウィスパーヴォイスを乗せながら延々と続く音像は、どこでどう4回途切れたのかよくわからなかった。

ガレスが登場したのは、15時20分ぐらいだったかな。さっきのmoskitooのときもそうだったけど、演奏が始まるときに一瞬会場が完全に真っ暗闇になってしまうのがちょっとびっくりする。そして、前日の品川教会同様に演者のすぐ前にある暖かい色の電球と、前日ほど豪華ではないものの、ステージ上のスポットライトをうまく組み合わせた照明がガレスの演奏に色を添える。

簡単な挨拶の後、何も言わずに弾き始めたのはライヴ盤『Invisible String』のラストを飾っていた(そのアルバムタイトルを歌詞に持つ)「Amber Sky」。続いては、同じアルバムの1曲目だった「This Is The Kiss」と、そこまでは曲順を覚えてるけど、あとはちょっと自信がない。

前日に品川教会で一曲だけ披露されたあの雰囲気をそのまま持ってきた感じ。深いリバーブのかかったギターの音に、クルーナーヴォイスといってもいいぐらいのガレスの声。どちらの手の指もそんなにせわしく動いてるわけではないのに、すごく細かいテクニカルなフレーズが次々に出てくる。最前列(といっても5メートルぐらい距離があるけど)から観ていても、いったいどの弦を弾いてひとつひとつの音を奏でているのかよくわからない。

歌うとき以上にボソボソと、かなりグラスゴー訛りの強い喋り方をするガレスだから、僕も何を言ってるのかわからないことが多々あったし、一体会場にいた人たちはどれだけ内容を理解していたんだろうと思う。ガレスも自分で「僕がなにを言ってるかわからないだろう」とか「曲の合間にもっとストーリーを話せばいいんだろうけど、思いつかないしどうせ理解できないだろうから」とかいやに自虐的に喋ってたね。きっと、英語圏ですらあちこちで何言ってるかわからないって言われるんだろうね。

「カバーを演るよ、ジョイ・ディヴィジョンの」と言ったときにちょっと会場がざわっとなり、「でもLove Will Tear Us Apartじゃないよ」と牽制してから弾き始めたのは「Atmosphere」だった。これはよかった。ニック・ドレイクのカバーもそうだけど、よく似せてあるのにしっかりと自分のバージョンにしているところがすごいよね、この人。

今制作中だというニューアルバム用の新曲を3曲ほど披露。これがまた、どれもいい曲だった。曲名なんて一切紹介しないし、歌詞もよく聞き取れないから、タイトルはどれもわからないけど、2曲目、3曲目などはまるで極限まで手の込んだ硝子細工を音に変換したものを見ているような気持ちで聴いていた。

それにしても、演奏中に写真を撮りたくなる気持ちはわかるけど(僕も撮っていたけど)、こんなに静かな音楽の最中に携帯のシャッター音や電子音をカシャカシャピコピコ鳴らすのは止めてほしいよ。写真撮るならもうちょっと音がならない工夫してくれないかな。会場にはプロのカメラマンが二人入っていたけど、どちらも演奏中はシャッター音を鳴らさないようにしてくれていたよね。素晴らしいライヴだったけど、それだけが気になった。

本編ラストは何だっけな。イントロのメロディーが「さくら」に似た「Technology」だったかな。とにかく「時間を計ってないからわからないけど、たぶんあと1曲で終わりだと思う」と言って演奏し、挨拶をして出て行ったと思ったら、ほぼ間髪入れずに戻って来てアンコール。「拍手が鳴り止むといけないから」と笑わせる。アンコールは、前日にも演ったヴァシュティ・バニヤンもお気に入りの「Two Trains」。

アンコール込みで1時間ちょっとの短いライヴだったけど、しっかり堪能させてもらった。終わって電気が点いて、ドアを開けたらまだ明るい夕方だったのがすごく違和感があったほど、どこか別世界に連れていかれていたかのような1時間だった。

サイン会が始まる前にアルとヴァシュティに挨拶をしていた僕のところ(というかヴァシュティたちのところ)に来たガレスと少し話す。今度はジョイ・ディヴィジョンのカバーアルバム作ってみれば?と言ったら、「他ににあんまり知らないからなあ。次のアルバムには“ジョイ・ディヴィジョンのカバーは入ってません”って書いておかなくちゃ」なんて言ってた。

ライヴ盤にサインをもらい、ガレスに「また次のアルバムのツアーのときに会おう」と言って、昔住んでいた懐かしい界隈を(またも汗だくになりながら)歩いて帰路についた。

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2015年09月26日

Vashti Bunyan live in Tokyo

一応公開されていたメッセージなので書いていいと思うけど、いつもすてきな音楽を奏でるミュージシャンばかりを呼んでくれているプロモーターの友だちがライヴ会場で人手が足りないと困っていたので、ちょうどその日ならお手伝いできますよと声を掛けてみた。たまたま場所も会社から歩いてすぐの場所だったから、少し早めにオフィスを抜け出せば集合時間に十分間に合うし。

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キリスト品川教会グロリアチャペル。ここでマーク・コズレックを観たのは確か2012年だったかな。雨の中を、約束していた開場時刻の30分前に着いてみると、もう入口の前には十人以上ものお客さんが集まっていた。急遽50枚出ることがアナウンスされた当日券狙いの人たちなのかな。それにしても、開演時刻から逆算すると一時間半も前だよ。熱心なお客さんがたくさんいるんだ。

慣れない手つきでチケットのもぎりをひとしきりお手伝いした後、開演前に「もうお客さんはほとんど入られたから、yasさん中で観てきていいですよ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて会場最後列に座らせてもらった。

自分の聴いている音楽のジャンルが偏っているのかもしれないけど、まさかマーク・コズレックよりヴァシュティ・バニヤンの方が日本で、こんなにまで圧倒的に、ファンが多いとは思ってなかった。あのときは最前列から演者までがやけに遠いなという印象だったけど、今回は教会据え付けの椅子では足りずに前後にパイプ椅子を並べてあったのが、全部びっしりと埋まっている。確か300枚ソールドアウトの前売り券に加えて50枚の当日券が出たという話だったから、あれで350人だったのか。前日の東京公演初日も同じ規模でソールドアウトだったから、二日続けて観た人が何人いるのか知らないけど、あの雨の中を、決して便利とはいえない場所にあるこんな会場に駆けつけるファンが東京だけで700人もいるんだね。

定刻の7時を少し回ったところで、ヴァシュティとガレス・ディクソンが並んで現れる。広いステージの真ん中に向い合せるようにぽつんと置いてある二つの椅子に、ヴァシュティが向かって左側、ガレスが右側の位置で座る。二人のちょうど真ん中にセットしてあった暖かい色合いの電球や、真上からのスポットライト、あちこちにちりばめられた小さな豆電球(LEDかな?)など、ライティングのとても素敵なライヴだった。背面の壁の大きな十字架を照らして影を作っていたのも不思議な雰囲気の演出でよかったし。

一曲目は「Here Before」、二曲目は「Just Another Diamond Day」だったと思う。申し訳ないけど、彼女のアルバムをそんなに熱心に聴いてきたわけではないので、その後なんていう曲を何曲演ったかはあまりよく覚えていない。でも、それぞれの曲の演奏を始める前に、たぶん日本人にもわかるようにとてもゆっくりと丁寧に、それらの曲の成り立ちとか作ったときの思い出なんかを説明してくれていたから、ほとんど歌詞はわからなくてもすっと感情移入して聴くことができた。

もう70歳だなんて思えないほど、1970年のアルバムで聴ける声とさほど遜色のない透き通ったヴォーカル。彼女自身はそれほどテクニカルなフレーズを弾いているわけではなさそうだけど、それに絶妙にサポートするガレスの巧妙なギター。この大きな教会の豊かな音響効果もあって、シンプルで親しみやすいのにとてもおごそかな音楽が場を満たしていく。

曲が終わるたびに盛大な拍手。そして、小さな声で「アリガトウ」と、たぶん唯一覚えた日本語でほんとうに嬉しそうにお礼を言うヴァシュティ。隣でにこやかに見守るガレス。ときどきヴァシュティが話しかけて会話になったとき以外は彼はほとんどしゃべることはなかったけど、今回唯一のソロ公演である今日の自分のライヴ会場の場所をヴァシュティに聞かれたときに「世田谷」とちゃんと発音できていたのが印象に残った。

1966年に出したというシングルは、「Train Song」という曲だね。この人がシングルを出していたなんてことも知らなかったけど、本人も「ラジオ局に何枚か配られたけど、ほとんどオンエアされることがなかったので、誰も聴いたことのない曲」なんて自虐的に笑わせてたね。シングル曲といっても別にそんなにキャッチ―な感じというわけでもなく、あくまでもいつもどおりの彼女の優しいメロディの弾き語り曲。

セットリスト的にはこの位置だというのはライヴ後に言われてわかったんだけど、「Train Song」に続いてガレスのソロコーナー。ヴァシュティがガレスのことを紹介し、彼といつどうやって知り合ったかなんて話をしばらくした後、彼女が初めて聴いて気に入ったという「Two Trains」を演奏。ほぼガレスの弾き語りに、ときおりヴァシュティが小さくコーラスを入れていた。

実を言うと僕はどちらかというと今回の来日ではガレスを観るのが目的で、今日のソロ公演もまっ先にチケットを押さえたぐらいだったから、あるとは思っていなかったこの一曲だけのソロコーナーは嬉しいサプライズだった。ニック・ドレイクを例えに出すのはあまりにもベタだとは思いつつも、きっとニックが演奏するのを目の前で見たらこんな感じなんだろうと思わせる、素晴らしいギターと落ち着いた声。

あの満員のお客さんのうち彼のことをちゃんと知っていた人がどれだけいたのかわからないけど、きっとあれを聴いて今日のソロ公演に行ってみようと思った人も多かったんじゃないかな(実際、終演後に物販のところにいたら、ソロ公演を予約したいという人やガレスのソロアルバムをいろいろ質問しながら買っていく人が何人もいた)。

たしか本編ラストは「Heartleap」だったかな。彼女の娘さんが描いたというジャケットの鹿の絵の話から、ずっと頭の中に流れていたというメロディをこの曲に仕立て上げ、鹿の絵のタイトルを少し変えてこの曲につけたというくだりを話してくれた。

丁寧なお辞儀をして出て行った二人を、当然の如く大きなアンコールの拍手が呼び戻す。アンコールはなんて曲だったかな(もしかしたらアンコールが「Heartleap」だった?)。一曲だけ演奏して、また楽屋に戻ったところを、さらに大きな拍手。

「もう演奏できる曲がないから」と、「Just Another Diamond Day」をもう一回演奏して、この日のライヴは終了。二回のアンコールを入れても、一時間ちょっとの短いライヴだった。だけど、実感としてはもう一時間も経ったのかと思えるほど充実したライヴだったと思う。

そこから先があんなに長い夜になるとは。終演後に会場の出口のところでサイン会が行われたんだけど、たぶん350人のお客さんのほとんどがそれに参加したんじゃないかと思えるほどの長蛇の列。たぶん時間制限のためか、写真撮影は禁止という話だったんだけど、それでもヴァシュティはひとりひとりと話しながら丁寧にサインをしているから、長蛇の列が一向に減らない。結局、会場の撤収なんかも少し手伝いながら列のほぼ最後尾で僕もガレスとヴァシュティにサインをもらったのは、終演後のほぼ二時間後だった。ライヴ自体もそうだけど、70歳の彼女によくあれだけのサイン会をこなせる体力と気力と笑顔が残っているもんだ。

そこまでダラダラいたおかげで、ヴァシュティとガレス、それに一緒に来ていたヴァシュティのパートナーのアルと少し話をする機会ももらえた。ガレスに「ライヴで一曲だけ演奏できるとしたら、いつもあの曲(「Two Trains」)なの?」と訊くと、ヴァシュティが「あれは私がすきな曲だから。私が親分だから決めていいの」と冗談をいい、アルが「ヴァシュティのTrain Songに続けての演奏だから、Two Trainsがぴったりだろう」とフォロー。なるほど。

もうあと何時間かで支度して家を出ないと。砧公園の世田谷美術館というライヴ会場としては一風変わった場所で、2時開場というこれまたやけに早い時刻のライヴ。なんでも、美術館が5時に閉まってしまうから、それに十分間に合うような時間設定だとのこと。昨日一曲だけ観られたあのガレスの独特の世界を今日はたっぷり堪能してこよう。ヴァシュティとアルも観に来るって言ってたから、どこかでまた会えるかな。

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2015年08月23日

Elliott Murphy live in Tokyo

ロックンローラーとして長いキャリアを築いたアーティストが、そのキャリアの途中でぽつりと生ギターの弾き語りライヴアルバムを出すことがある。雑誌なんかで取り上げられるライヴの名盤リストに名を連ねることはないけれど、そういう類の地味なライヴアルバムの中には、僕にとっては珠玉の名作といえるものが少なくない。たとえば、グレアム・パーカーの『Live! Alone In America』。たとえば、ウォーレン・ジヴォンの『Learning To Flinch』。

エリオット・マーフィーの25年ぶりの来日になるという昨日のライヴを観ながら、もしこれが録音されていたら、きっとそれらの名作に匹敵するんだろうな、なんて思っていた。いいライヴだった。

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僕はけっしてこの人の優秀なファンだったわけではない。2年半前に観たスティーヴ・フォーバート同様、それこそ中学の頃から入口は常に開いていたのに、どういうわけかその扉をちゃんとくぐったことはなかった。僕がエリオットのCDやLPを買い始めたのも、サニー・ランドレスやガーランド・ジェフリーズが参加してるからという、極めて副次的な理由が主だった。

それでも、そういうアルバム群を聴いてみれば、いいのはもちろんわかる。もっと聴いてみたくなる。そうしてたまに中古ショップで手頃な値段のアルバムを見かけるたびにぽつぽつと買い足して、何年にもわたって何十年も遅れて少しずつこの人のことを聴くようになっていた矢先に発表されたのが、今回の25年ぶりの来日というわけだ。もちろん、1990年には僕はこの人のライヴに出かけるどころか、アルバムの1枚も持っていなかったから、本当に待ちわびた真のファンの人たちと一緒に感慨にふけるのはおこがましいんだけど。


ライヴ中にエリオットも「この会場の名前はいったいどういう意味だ?」と言っていたぐらい読み方も意味もよくわからないZher The Zooという、代々木駅から至近の便利な会場。こんなところにこんなハコがあったんだね。会場の大きさとしては、数か月前にヒュー・コーンウェルを観た高円寺Highをやや小さ目にした感じかな。立ち見で満員まで押し込めば200人は入るかも、という程度の手頃な規模。

そこに、入場してみたらずらりと椅子が置いてある。ざっと見たところ、50脚ぐらいかな。そうか、残念だけどそんな程度の売れ行きなんだね。もちろん、直近になって花田裕之との共演が発表された今日の新宿公演はもっと大きなキャパでもっと沢山の集客があるんだろうけど。

興行的にはやや残念かもしれないけど、観ているこちらとしては、こんな小さなキャパの会場で、しかも僕は発売とほぼ同時にチケットを入手できて、かなりの良席をゲットできたんだから、もちろん文句なんか言うつもりはまったくない。

こんな小さな会場で、開場から開演まで1時間はさすがに間延びするなぁと思っていたら、最近にしては珍しく開演時刻の19時を過ぎてもなかなか始まらない。結局、19時15分過ぎぐらいだったかな、テイラーのアコギを手にしたエリオットが登場したのは。カフスボタンのついた白いシャツのボタンを胸の下ぐらいまで開き、その上には黒いベスト。黒いズボン。黒い革靴。茶色いパナマ帽の下には水色のバンダナが見え隠れする。もうほとんど白いといっていいぐらいの金色の長髪に、同じく白い不精髭。かなり度の強そうな遠視の眼鏡をかけている。

かなりスローにテンポを落とした「Last Of The Rock Stars」を弾き語り始めた瞬間から、僕の頭には冒頭に書いた感想が浮かんできた。これは、かなりいいライヴになりそうだ。

さっき書いた程度のにわかファンだから、知らない曲もどんどん出てくる。でも、そんなこと全然気にならない。同じようなアーティストのライヴだと、たとえばグレアム・パーカーやジョン・ハイアットのときは、それこそイントロの一音(もしくは、イントロを弾き始める前に弦を爪弾く音)でそれが何の曲だか全部わかってしまって、それはそれで楽しくはあるんだけど、こうして、ほとんど初めて聴く曲でも同じように楽しめてしまうのは、やっぱりアーティストの力量と曲の良さゆえなんだろう。

きっと日本人向けだからなんだろうけど、かなりゆっくり喋ってくれる。これが3回目の来日で、前回は1990年の10月だったこと。そのときは息子さんが生まれた直後で日本にいる間も気が気じゃなかったけど、今や25歳の息子はもう両親がツアーに出ていることで羽を伸ばしているだろうなんて冗談。35枚もアルバムがあるから、今回どんな選曲にしようかかなり迷ったこと。テーブルに置いてあったエヴィアンを指さして、「フランスの水だ」とか言ったり。先日のパイレーツ・カヌーの後だからすごく可笑しいMCとは思えなかったけど(変な免疫ができてしまった)、来てくれたお客さんにゆっくり話しかけよう、楽しませよう、というのがよく伝わってくる。いい人なんだろうなということがよくわかる。

僕でも知っていた「Sonny」とか、「昔からのファンに捧げるよ」と言って始めた「You Never Know What You're In For」とかの曲では特に、間奏のハーモニカがとても沁みた。ギターソロなんて呼べるような間奏はほとんどなかったけど、そのかわりと言ってはなんだが、あのハーモニカソロには、時折本当に涙が出そうになった。日本のトンボ製をずっと使ってるって言ってたね。

10曲ほどもそうやって時折MCを挟みながら続けた後だったろうか、「誰かリクエストはある?」ときた。聴きたかった曲がなくもないけど、にわかファンは黙ってますよ。そうすると、客席のあちこちからパラパラとリクエストの声があがる。びっくりしたような顔をしていたり、手首をぐるんぐるん回して「そいつは難しそうだ」なんて言ってたのを見ると、結構レアな曲だったんだろうね(もちろん、最初のリクエスト曲「Anastasia」は僕でも知ってたけど)。

2つのリクエスト曲を挟み、またセトリ通りの進行に戻って、「And General Robert E. Lee」のときかな、歌ってる途中で咳が止まらなくなってしまったんだけど、演奏は止めずに、「どうして咳が出たかわかってる。ウソをついたからだ。今“2本のギター”って歌ったけど、ここには1つしかない」って冗談を挟み、1本のギターという歌詞に替えて歌いなおした。あのせいでもうライヴ盤になることはないだろうけど(元々そんな予定もなかっただろうけど)、あんなアクシデントまで見せ場に変えてしまうなんて、さすが。

本編ラスト2曲は名盤『Just A Story From America』からの「Rock Ballad」と「Drive All Night」(後者は、さっきリクエストを募ったときに客席から声があがって、「それは後で演るから」と言っていた曲だ。この手の代表曲はあんな中盤でリクエストするもんじゃない。そういえばこないだのジョン・ハイアットのときも中盤で「Have A Little Faith In Me」なんてリクエストしてた客がいたな)。


アンコールでも、出てきた途端にリクエストを募るエリオット。NYの高層アパートに住んでいたときに眼下の街明かりを見ながら書いたという2曲目の「Diamonds By The Yard」を紹介するときに「今回東京の高層ホテルに泊まって、これはDiamonds By The Yard Part 2を書かなければと思ったよ」だって。

2曲のアンコールを終え、「もう全部演ったかな?」と問いかける。「Just A Story From America」演ってないじゃないかとは思ったけど、にわかファンが何か言う前に「Niagara Falls」と後ろの席からリクエストが。「僕より曲を覚えてるね」とエリオット。

案の定、恐る恐る始めたその曲は途中で歌詞がわからなくなり、でもやはり演奏は止めずに、パリに旧友のルー・リードが訪ねてきた時の話を始めた。おお、なんかこういうのもいいねと思っていたら、「じゃあせっかくだからルーの曲を歌おうか」と言って、偶然なのかほとんど同じコード(だったはず)の「Walk On The Wild Side」にメドレーでつなげた。うわ、すごいよこれ。こんな貴重(たぶん)なのが聴けたよ。

歌い終えてギタースタンドにギターを置き、楽屋に歩いていこうとしたときにシールドに足を引っ掛けてしまい、ギターが倒れそうになってしまった。慌ててギターに戻り、上を見て「ルー、見てたのかい?」と言ってからステージを去る。


終わっても、50人ほどの客のほとんどが誰も会場を去らない。もちろんサイン会あるんだろうね。と思っていたらすぐに出てきた。ライヴ本番は出てくるのにあんなに時間かかったのに。そして、ほとんどのお客さんが何枚ものCDやレコードにサインをもらい、一緒に写真を撮ったりしている。僕もせっかくだから、CDは持って行かなかったけど、開演前に買っておいた白いTシャツの背中にサインをもらった。Tシャツのサインって洗濯したらどんどん薄くなっていってしまうから迷ったんだけど。

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終演後は、せっかく代々木まで来たからということで、友達と一緒にひさしぶりのひつじやへ。ほんとにここは安くて旨い。ワインのボトルがどんどん空いてしまうよ。いいライヴといい酒。最高の夜だった。


Setlist 22 August 2015 @ Zher The Zoo
1. Last Of The Rock Stars
2. Benedict's Blues
3. Sweet Honky Tonk
4. Take That Devil Out Of Me
5. Sonny
6. Take Your Love Away
7. You Never Know What You're In For
8. Hangin' Out
9. On Elvis Presley's Birthday
10. Blissed Out In The Land Of Nod
11. Anastasia
12. Deco Dance
13. And General Robert E. Lee
14. Even Steven
15. Rock Ballad
16. Drive All Night

Encore
1. Graveyard Scrapbook
2. Diamonds By The Yard
3. Niagara Falls / Walk On The Wild Side

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終演後に写真を撮らせてもらったセトリ。予定されていたアンコールの3曲は演奏されなかった。
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2015年08月02日

The Deedees live in Kyoto

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観に行きたいと思うライヴ全部に行ってしまうこの自分の性格はなんとかならないものか。前週に鎌倉で観たパイレーツ・カヌーがあまりによくって、次のツアーが待ち遠しいなぁなんて思っていたけど、よく考えたら今回のツアーまだ終わってないんだ、エリザベスまだ日本にいるんだ、と思うともう居ても経ってもいられず、京都まで日帰りで追っかけることにした。世間的にはフジロックの日曜日に。

事前に調べていたとおり(実はアクセスを調べるのにもちょっと手間取るような、そんなに普段からライヴが行われているような場所ではなかったんだけど)、京都駅からバスに揺られること約40分、地図で見るかぎりは金閣寺からそう遠くない、でもバスを降りたらライヴハウスどころか喫茶店の一軒も見当たらないような、何の変哲もないごく普通の街並みだった。

これは間違えたかなと思いながら道を歩いていたら、これまたごく普通の三階建ての住宅の外階段を上がったところにPapas Door 12Bと書いた小さな看板が。あ、これなの? 思ったより早く着きすぎたのを割り引いても、外には誰もいない。階段のところに並んでようかと思ったけど、並ぶもなにもそんな民家の外階段に一人で立ってたら単なる不審者。中からリハーサル中っぽい音が聴こえてきたので、ライヴがあることだけは間違いなさそうだから、ちょっと安心してその辺をうろつきながら時間を潰すことにした。

ところが、7月末の真昼の京都なんて、とてもうろつけるはずがないと気付くまでに5分もかからなかった。あっという間に汗だく。しょうがないので正面のコンビニに入って汗を乾かしていると、さっきの外階段を誰か降りてくるのが見えたので行ってみる。ああ、ドブロの名手、岩城さんだ。僕が近づいていったら、すぐ気付いてくれた。「ほんまに来てくださったんですね」と。

しばらく話してると、他のメンバーも降りてきた。前週のライヴで一回会っただけなのに、皆さんすぐ思い出してくれて嬉しい。開場時刻の14時になった頃に、メンバーの昔馴染みらしいお客さんも一人現れ、じゃあそろそろ上がりましょうかと皆で会場へ。

まったく普通の家のリビングルーム。キッチンカウンターがあって、オーナーの日向さんと奥さんがその中で飲み物なんかを用意している。カウンターのこっち側にはこないだのゴーティのようにいろんな楽器が所狭しと置いてある。客席側、壁に沿って椅子が確か八脚、床には座布団が八枚。キャパ16名か。たぶん今までに行ったライヴ会場で最小だなこれは。一応最初に来たので、ステージ近くの楽そうな椅子に座らせてもらおう。

開演予定の14時半まで、ぞろぞろとお客さんが入ってきて、ほとんどの席があっという間に埋まる。お客さんの大半はメンバーやオーナーとは昔からの知り合いみたいだね。日向さんは、パイレーツ・カヌー結成前にメンバーの何人かが一緒にバンドを組んでたらしいし、彼らがエリザベスの歌を初めて聴いたのもこの場所だったんだって。メンバーとそれぞれ別々に話していて、皆が異口同音に「ここは思い出の場所なんですよ」と言っていたのが印象的だった。

エリザベスのお父さん、オウエン・ハントとも開演前なのに色々と話させてもらった。セトリを見ながらこれは誰の曲だとかこれは知ってるかとか。いや、かなりディープなフォークソング集ですね。半分もわかりません。「ディーディーズってどういう意味ですか?」「父ちゃんと娘」ああ、そういうことね。

そんな風に会場のあちこちで和気藹々と話の輪ができていたけど、やがて時間になって、そういえばライヴだみたいな感じでおもむろにエリザベスとオウエンがそれぞれアコギを持って座る。オウエンのはクラシックギター。エリザベスのはあまり見たことない不思議な形のギターだったな。

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こないだのパイレーツ・カヌーのとき同様、一曲目は伴奏なしのコーラス曲「Canaan's Land」。見事なハーモニーが決まってほっとした表情のエリザベス。「始まりの合図するの忘れてた」と、歌い始めてから天井のライトの調整をすることになってしまった日向さんに照れながら謝ってたな。ライヴ前にあんなになごやかにお客さんたちと話してたのに、やっぱり緊張してたのかな。

次からも、歌い始める前にオリジナルアーティストと簡単な曲紹介(ときどき歌詞の内容なども)を話しながら進めていく。僕なんかは全然知らないような曲でも、紹介した途端に拍手をするようなお客さんもいて、皆さんやっぱりこういう類の音楽に精通してるんだなあ。オウエンの日本語はそれほど流暢というわけではないけど、ときどき言い間違えたのをエリザベスが補足したりして、それがなんだかいい感じのボケと突っ込みみたいで可笑しかった。

二人で6曲(セトリにはもう1曲書いてあったんだけど、時間の関係か残念ながらそこまで)、最後は僕でも知ってるリチャード・トンプソンの「Withered And Died」で締め。30分ほどの短いステージだった。でも、失礼ながらこの二人だけのこの前半セットがこんなに本格的なものだとは想像もしていなかった。開演前にオウエンが自分たちは素人みたいなもんだからなんて謙遜しながら話してたのは話半分に聞いていたつもりではいたけれど、もう3曲目ぐらいまで聴いて僕は京都までの往復新幹線代の元は取れたと思ったね。

休憩をはさんで、今度はパイレーツ・カヌーの男性陣三名がバックについてのセカンドステージ。キッチンカウンターと壁際に置いてあるピアノとの間に全員が無理やり入ることになるから、なんだか電車ごっこでもしているかのような二列縦隊の不思議なポジション。エリザベスの真後ろにドラムスのヨッシー、オウエンの後ろに各種弦楽器の岩城さん、そのまた後ろにベースの潤さん。それぞれほぼ身動きできない状態で。

うわぁ、やっぱりこのバンドが入ると全然違うな。さっきも書いたとおり、ファーストステージも決して悪くなかった、というか僕はファーストだけでも数万円払って来た甲斐があったと思えたほどだったんだけど、このセカンドステージはそれのさらに豪華版。特に、曲ごとに演奏する楽器を持ち替える岩城さんがすごい(確か、1曲目がドブロ、2曲目がバンジョー、3曲目がマンドリン、あとは何曲目か忘れたけどウクレレも弾いてたし。なんであんなに違う楽器をそれぞれあんなに見事に弾くことができるんだ?)。ところであのウクレレは自作で、日向さんに売ったものを使わせてもらってたんだって。

ほとんどがカバー曲だったけど、後半にエリザベスとオウエンの自作曲を数曲披露。すごくいい曲だったのに、ディーディーズでCDを出す予定もないし、もちろんそれらの曲はパイレーツ用ではないんだって。なんてもったいない。

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自作曲を演ろうとしたときに、イントロを演奏し始めてから歌詞を書いた紙を忘れたことに気付いたエリザベスが笑いながらバンドを止め、お父さんに歌詞カードを探してもらい、再び演奏開始。と思ったら、歌おうとした途端にそれが別の曲の歌詞だったことに気付いて大爆笑、みたいなこともあったな。

セカンドステージはほとんど一時間近くあったかな。最後の方はエリザベスがほとんど一曲ごとにお父さんに「今何時?」って聞きながら進めてたから、よっぽど時間に制約でもあったのかな。結局、セトリに書いてあった残り2曲を残して「これで最後です」と。当然、アンコールの拍手が出る。

「じゃあ最後にもう1曲やります」と言いながら、エリザベスがバンジョーとドブロをそれぞれお客さんに手渡して回る。戸惑いながらもすんなり受け入れる二名のお客さん。きっと、普段一緒に演奏している人たちなんだろうね。そしてエリザベス自身はギターからアコーディオンに持ち替えて、(セトリからは結局1曲飛ばして)ラストの「Goodnight Irene」へ。ろくに練習もしてないのに無茶振りされた二人のお客さんもそれぞれ少しずつのソロを決めて、和やかに終演。

ライヴ中、キッチン内でぐつぐつと煮立っていたカレーがもう夕方の腹にはとても耐えられないほどのいい匂いを放っていたので、終演後はお客さんもメンバーも即座にカレーを注文(鎌倉常連にはお馴染みの、ゴーティ商法ですね)。帰りの新幹線はちょっと余裕を持って遅めのを予約していた僕も、カレーと何杯目かのアルコールを注文し、ひき続きメンバーやエリザベスのお母さんと談笑させてもらった。いろんな裏話みたいなのや楽しい話も沢山あったけど、プライベートな話はどこまで書いていいものかよくわからないので割愛。

お客さんも名残惜しそうにぽつぽつと帰られ、やがて僕と最初に来ていた数名ほどのお客さんになった頃に、僕もそろそろ出ないと新幹線に間に合わない時刻になってしまった。別に僕に気を使って皆さんゆっくりしていてくれたわけじゃなかったんだろうけど、おかげでライヴ前後にも本当に沢山楽しい会話ができたよ。なんだか、ほんの一週間前に知り合ったばかりの友達のホームパーティーに誘われたような錯覚に陥ってしまった。あんな豪華なバンド入りのホームパーティーになんて呼ばれたことないけどね。

「じゃあ、お先に帰ります」と部屋を後にしようとしたら、エリザベスは玄関のところまで見送ってくれたし、ヨッシーはわざわざ階段を下りたところまで来てくれた。嬉しいな。

会場から数分歩いた先のバス停でなかなか来ないバスを待っていたら、道の反対側の駐車場に停めてあった車に戻るハント一家が見えたので、そのまま通りを横切ってまた会いに行ってしまった。なんか個人的な最後のアンコールみたいな感じで、車に乗り込む直前のエリザベスに挨拶して(そのとき彼女が手に持っていたプルーンの種は、捨てようと思って持ってるだけで別に渡そうと持ってきたわけじゃないと、最後の最後までちょっと可笑しな話で締めくくって)最高に幸せな気分のままバスに揺られて京都駅に向かった。

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2015年07月25日

Pirates Canoe & Daisuke Nakai live in Kamakura

友達に勧められてパイレーツ・カヌーのCDを買ったのがだいたい半年前ぐらい。いい印象は持ったけどヘビロテというまでには至らず(たとえば、似たジャンルではそのしばらく後に買った『Same Trailer Different Park』の我が家でのリピート率なんかに比べると、という意味で)。渡米していたヴォーカルのエリザベスが久々に来日しての全国ツアーという触れ込みにもかかわらず、ライヴは別にいいかなとか思っていた。タイミングの悪いことにこの七月の三連休の前半はちょっと肉体労働を伴う予定も入っていたので、体調がよければ前日の夜に判断して鎌倉に行ってみようかな、ぐらいのかなり軽い気持ちで、でも結局、海の日の人混みでごった返す小町通りに向かうことになった。

このブログでこの手のセリフを何度書いたことだろう。これを見逃していたかもしれないなんて、本当に危ないところだった。めちゃくちゃよかった。楽しかった。今からほぼ一か月前に同じゴーティで観たセス・ウォーカーのライヴレポートを書かないとなぁなんて思いながらずるずると引っ張っていたのを追い越して、この平日の夜の時間を細々と使って少しずつでも毎日書こう。あの記憶が薄れてしまう前にちゃんと記録に残しておきたい。そんなわけで、ちょっととりとめなくなりそうな気もするけど、思い出せることをあれこれ書いていくよ。

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事前の気合いの入ってなさを象徴するかのように、僕にしては珍しく時間の目測を誤って開場時刻を少し過ぎてからゴーティに辿りついた。この日は整理番号関係なしと言われていたのに。でもまあ、最前列ではないものの、ほぼ正面から観られる背もたれ(壁)付きの席。そう悪くない。すぐ隣にはお馴染みの常連さんたちもいて話もできたから、開演までそんなに退屈することもなかったし。

あの大所帯バンドがほんとにこんな狭い場所で演奏できるんだろうかと思っていたけど、左から床に寝かせたプレシジョンベース(ギタースタンドが足りなかったのかな)、マンドリン、簡単なドラムキット、ギブソンのセミアコ、マーティンのアコギ、ドブロ、バンジョーと、弦楽器を中心にずらりと並んでいる(演奏には使わなかった備え付けのピアノは数に入れてない)。そして、開演時刻ほぼぴったりにメンバーがぞろぞろとステージへ。

ギターのチューニングに合わせて、メンバーや(おそらくパイレーツカヌー常連の)お客さんが同じ音階で「んー」と声を出す。「何の会や!」と突っ込む中井氏。あとで何かの曲のMCのときに種明かししてたけど、京都の別のアーティスト(名前失念)の持ちネタ(?)らしい。

で、せっかくチューニングしたのに、1曲目はアカペラ(もしかしたらギターは弾いてたかな?マンドリンだったかな?)で「Spider Tattoo」。もうここで一気に引き込まれる。うまいねー。オリジナルはバンドアレンジだけど、最近はこのバージョンで歌ってるんだそうだ。そりゃ、プロのアカペラ・コーラス・グループみたいに流暢ってわけじゃないけど、後で沙羅さんが言ってたように、ほんとに楽しそうにハモってるよ。一番上のパートはもちろんエリザベスで、一番低音はドブロの岩城氏。途中ソロで歌うところがかっこよかった。

間髪入れずに「Leaving Places」。『For The Pain In My Heart』のラストを飾る、しっとりと、まるで空気の色を刷毛で幾重にも染めているのを目の前で見ているような演奏と、なによりもあの声。和気藹々と楽しそうにやっていた1曲目からのこの格段の落差。もうここで、目も耳も心も釘づけになってしまった。このCDの中では一・二を争う僕のお気に入り曲で、もしライヴ中にリクエストを求められるようなことがあったらこれと思っていたのがもう登場。

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「せっかくの連休最後の海の日に来てくれてありがとうございます。次の曲は明日仕事の人に捧げます。明日からの仕事のことを思い出しながら聴いてください」と京風にヒネリの聴いたMCから「Gull Flying North」へ。アイリッシュケルト風のこれも抜群にいい曲。もうこの序盤から既に大団円かというような風格。そしてここからは、全部『For The Pain In My Heart』からの選曲。それぞれの演奏前にたっぷりと愉快な前フリ付きで。アンコールまで全部入れて正味一時間ぐらいのライヴだったけど、あれもしかしたらそのうち1/3ぐらいはずっと喋ってたぞ。それがちっとも長いとは感じなかったけど。

あの狭い会場なので、マンドリンの沙羅さんのぴったり後ろに立つことになっていたベースの谷口氏のことを「私のお母さんによく間違われるんです」と沙羅さん。なんだかそんな風によくいじられていたベースとドブロのお二人。初めて観たバンドであんなに人数居るのに、メンバー全員それぞれにキャラが立ってるから(しかも全員かなりおもろい)、誰が誰かすぐに覚えられたよ。

ラスト前の「Rainmaker」を終えた後に「もう次で終わりなのに宣伝するのを忘れてた」と、物販の宣伝を。「今度出る新しいCDを先行発売してます」とか「Tシャツもいろいろあります。印字がすごく薄くてほとんど無地のもあるから、パイレーツカヌーファンでなくても着られます」とか。「クリアファイルを買ってくれたら、今日のセットリスト入りです」と言ったときの反応が薄くて「ほらやっぱりそんなん誰も要らんやん」とか、もうそんな紹介されたら買わずにいられますか(笑)

ラストは、新しく出た『Live In New York』でも最期を飾っていた「Guitar Blue」。ドブロソロ弾きまくりのこれも大好きな曲。そして、ステージを降りる間もなく、アンコールの拍手。一旦はCDをかけた松本さんもすぐに止めて、1曲だけアンコールいいよ、と。ヴォーカルの二人とドラムスの吉岡氏がしばらく相談した後、沙羅さんが「レディーガガを演れと言われました」。冗談かと思いきや、かなり手慣れた感じでカントリー風「Born This Way」を。ああ、これはアメリカでは大受けだったろうね。

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あっという間の一時間だった。愉快なMCも含めて、すっかりファンになってしまったよ。ライヴ中のMCで沙羅さんがずいぶんと自虐的に宣伝していたやつを買いに表の物販へ。「セトリ入りのクリアファイルください。あと印字の薄いシャツ」。物販係をしていた沙羅さんとひとしきりお話。『Prologue』がそれまでのCDからの選曲+ライヴレコーディングで、『One For The Pain In My Heart』とそれを持っていれば主要曲はほぼ揃うと教えてもらった。でも初期盤の曲が全部入ってないとなると、やっぱり結局そっちも欲しくなるんだよね。もう手持ちの現金がかなり少なくなってきてたから買わなかったけど。あと、もうその時点でライヴ盤は売り切れてた。始まる前に買っておいてよかった。セトリには全員分のサインもらえたし。

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その時点では名前もろくに憶えてなかったけど、“マンドリンの女の人”に会ったらこれだけは伝えておきたかった「あの変拍子の曲と次の曲、書いてるでしょう。いい曲書きますね」と、お世辞のつもりはまったくなく言うと、「わたしが曲を書いてるのは黙ってたのに」と。ほんとにもう、この人の冗談のセンス大好き。

エリザベスも物販のところに来た。いきなり「たくさん目が合いましたね」と言われた。むう、そんなにガン見してたとは。そして「楽器演奏されるんですか?」と。いや、ほとんどできないんで。。練習しないと。そんな風にこちらがどぎまぎしてると向こうからいろいろと話しかけてくれる。もうこちらはそれだけでめろめろである(つい二か月前にも同じことを書いた気がする)。鈴加ハントがエリザベス・エタになった話とか(エタはおばあさんの名前なんだって)、来週お父さんと一緒にライヴを演る話とか、なんか短い休憩時間にたくさん話せてすごく楽しかった。


30分ほどの休憩の後、鎌倉の大スター(と、パイレーツカヌーのステージでいじられていた)中井大介のステージ。女性陣二人を除いたパイレーツカヌーのメンバーがバックを務める。「もうみんなやりきった感ありありやん。これからみんなで海行きましょうか」といきなりゆるく笑わせる。

パイレーツカヌーのあのアメリカ南西部とアイルランドが融合したような独特の世界観とは打って変わって、こちらは日本語詞でしっとり聴かせる、あくまでも日本のシンガーソングライター然とした演奏。バンドで演るのは久しぶりだって言ってたかな。一人で弾き語りをしていた曲とは、バンドが入ると当然だけどやっぱり雰囲気変わるね。シティポップス(死語?)みたいな感じで。

アンコールでパイレーツカヌーの残りのメンバーも呼んで、結局ファーストセットと同じメンバーで(リードヴォーカルだけは違って)1曲演奏。結局こちらもアンコールまで入れて一時間ぐらいだったかな。感想文短くて申し訳ないけど、決してよくなかった訳じゃないよ。ただ、最初に中井氏が言った「やりきった感」という言葉がいみじくも言い当てていたように、この日は本当に初めて観たパイレーツカヌーに思いっきりやられてしまった。気持ち全部持っていかれた。

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終演後。さっきもうセトリにはサインもらったけど、せっかく持参した『One For The Pain In My Heart』にももらおうと、出口のあたりでうろうろしていたメンバーにまた話しかける。沙羅さんが「そのシャツいいですね」と言ってくれたので、マニラで買ったことを伝えると、彼女も以前サマール島に行ったことがあるらしく、フィリピン話でひとしきり盛り上がる。

楽器を片づけていた中井さんとも話す。「(沙羅さんを指して)彼女とは去年結婚したんですよ」と。前からファンの人にとっては周知の事実なんだろうけど、そんなことちっとも知らなかったからびっくりした。元はパイレーツ・カヌーの追っかけだったとか(半分自虐的に言ってたんだろうけど)、一緒にレーベルを始めたとか、新米ファンにはいろいろと新鮮な話が聞けた。

ライヴ中に沙羅さんが「エリザベスが次に日本に来るのはきっと冬かな」と振ると、エリザベスは「うーん、まだ決まってないけど」という話をしていたので、「冬にはまた日本に来てくれますか?」と聞いてみたら、やっぱり同じような返事。まあ、いろんな事情があるんだろうけど、日本のバンドだからってそう頻繁に観られるというわけでもないんだね。来日アーティストのつもりでいないと。ちょっとそうなると、今回のツアーの残り数回、全部京都らしいけど、追っかけて行きたくなってしまうよ。

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2015年06月28日

Matt The Electrician & Tim Easton live in Kamakura (Part 2)

ツアー最終日。もう二週間も前の話になるし、つい昨日は同じ場所で別のライヴを観てきたばかりだから、思い出せることをとっとと書いてしまおう。結論を先に述べると、演奏内容も選曲的にも、僕にとってはこの日が圧倒的によかった。マットとティムにリクエストした曲を演ってもらえたというのもあるけど、それ以外にも実は聴きたかったという曲が次々に演奏されて、かなりの満足度だった。

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さて、前日の終盤に某常連ファンのYさんにリクエストされたマットの「Accidental Thief」でこの日は開幕。ティムの曲を挟んでのマット2曲目は、いつもなら僕がリクエストしていたとしてもおかしくない「I Will Do The Breathing」。マットの繊細なアルペジオとティムのギターとの絡みがまた素晴らしい。

一方のティムは、「Sitting On Top Of The World」、「Deep River Blues」と、ドク・ワトソンのカバーを連発。今回のお土産CDのタイトルも彼の名をもじった『Dark Watson』だし、もしかしたらこれまでもずっとそうだったのかもしれないけど、なんかティム今はドク・ワトソンづいてるのかな。

「ティムが自分のヒーローの曲を演るなら、僕も」と言って、マットは(もちろん)ポール・サイモンの「Duncan」を。ほんとにこの人、ポール・サイモン好きだね。前日もこの日も、こうやって相手が演奏した曲にひっかけて、同じテーマで自分の次の曲を決めるなんてことがときどきあった。

「クモの曲を歌うよ」と言ってみて、前列のお客さんから「それって雲か蜘蛛のこと?」と訊かれてとまどうマット。「ああ間違えた。歌いだしを聞いてみれば、雲か蜘蛛か熊かどれかの歌だってわかるよ」と照れながら言って始めたのは「The Bear」という新曲だった。終演後にマットに聞いてみたら、9月ごろにリリース予定の7インチシングルに入る曲だそうだ(もう片面の曲は別の日に演奏したらしい)。

「今までアナログなんて出したこともないのに、シングル盤なんて珍しいね」と言うと、なんでも計画では二か月ごとぐらいに7インチを6枚ぐらい出そうとしているそうな。それが全部完了したら、全部の曲を1枚のCDにまとめるかも、なんてことも言ってたな。これはまた楽しみな企画。

前半ではほかにマットが「The Kids」とか「Loma Prieta」(カリフォルニアに住んでたときの地震の経験を書いた曲って言ってたかな)とか、ティムだと「Next To You」とか「Burgundy Red」とか、もうとにかくこの前半は僕が聴いてみたいなと思っていた曲がぴったりはまる。特に前半パートのラストだった「Burgundy Red」は、さすがの盛り上がりだった。マットのカホンもバシバシとすごい音だったよ。

前半が終わって途中休憩に入るときに、僕の横をすり抜けながらティムが「Get Some Lonesomeはセカンドセットでやるよ!」と、忘れてないぞアピール。たぶん隣にいたNさんがリクエストしたとおぼしき「Festival Songもね」とも言ってた。ありがとうね、覚えててくれて。

「今回のは比較的長いツアーだったから、もう今日で終わりだと思うとちょっと感傷的になるよ」とティム。「だから僕らは二人とも黒い服を着ているんだ。特に僕のはウディ・ガスリーだし」と笑わせる。マットのTシャツのデザインはよく見えなかったけど、近くでよく見たらスーパートランプのコンサートチケット柄だ。休憩時間中に「ファンなの? Breakfast In America演ってよ」と冗談で言うと、冗談じゃないといった表情で即座に「ノー」。

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マットの後半1曲目は、僕が前日にリクエストしていた「Lost」だった。ライヴで聴くのはこれが初めて。地味だけどいい曲だよね、これ。マットの2曲目「Only For You」に続いて、「淋しい曲パートか、じゃあこれだ」と言って、ティムは「Get Some Lonesome」を。二年越しでようやく聴けたよ。これも名曲。

途中で1曲、マットの曲で全然わからなかったのがあって、終演後に本人に訊くのを忘れてたけど、FBでメッセージを送って教えてもらったら、ケヴィン・ウェルチという人の「Working」という曲だった。相変わらずマイナーな曲カバーするね。いい曲だったかどうかは、忘れた(笑

僕が座っていたところからは反対側で、冒頭に書いたYさんが自分のタブレットに曲名を出してティムにちらちらと見せている。ちゃんと声に出してリクエストすればいいのに(笑) それを見てティムが、「次はFestival Songを演ろうと思ってたけど、そっちにしよう」と「Maid Of The Mist」を。

終盤、マットが「たしかあと1曲、リクエストされたのがあったはずだ」と言うから、もうこっちはそれだけで前回の悪夢(笑)が蘇ってきてドキドキする。「僕の曲はほとんど実話に基づいてるんだけど、この曲だけは全部のディテールに至るまでほんとのことだ」と説明をしながら弾きはじめたそれはもちろん「For Angela」。頼むから歌詞忘れないでよ。

途中やっぱり一か所歌詞が頭から飛んでしまったところがあって(だって、歌ってる途中で必ず余計なセリフ入れたりするんだから)一旦途中まで戻って歌い直し、なんてことを数回やって、ようやく軌道に戻った。そんな感じでヨロヨロと歌い進めたものだから、あの一番盛り上がる「天使が僕の目の前にあらわれて」という歌詞もなんかさらっと流されてしまって、ちょっとだけ残念。

そして、本編ラストはお待ちかねの「Festival Song」。そういえば前回名古屋でティムを観たときのラスト2曲が「Burgundy Red」と「Festival Song」だったな。この日はその名曲2曲が、それぞれ前半と後半のラストだった。曲の途中で、観客に腕を上げて左右に振るように指示するティム。照れ笑いしながら腕を振る観客。そしたら、「あの窓の外で腕組みしてる奴が腕を振るまでは止めないぞ」と、表から観ていた松本さんをティムがからかう。しょうがなく小さく腕を振る松本さん。

「楽屋に引っ込んだと思ってくれ」と、後ろを向いて隠れるフリをする二人。そしてすぐに、バンジョレレを簡単にチューニングして(一弦ずつ弾きながら「だいたい合ってる」「これもだいたい合ってる」と、ギターに比べると実に適当な合わせかただったな)、あの印象的なイントロのフレーズを聴けば一発でわかる、「Train」。最後は声が続く限り引っ張って終了。

さあ、ティムはこの最後にどれだけ盛り上がる曲を演ってくれるのか、と思ってたら、「みんなが無事に帰れますように」みたいなことを言って、しめやかに「Don't Walk Alone」でエンディング。そのあと、もうこれで最後だからと、元々はティムの持ち歌だったけど、今回のツアー初日で二人で演ってみたらやけにしっくりきたので、毎晩少しずつ違うバージョンで演奏しているというフリーディ・ジョンソンの「Tucumcari」をこの日もオーラスに持ってきて、ようやく終了。

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マットの『Animal Boy』のCDとティムの『Special 20』のLPにそれぞれサインをもらう。ティムは必ずあのギターのイラストを描いてくれるね。

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そして、このアルバムを持っている人は多かれ少なかれ疑問に思っていたんじゃないかな。イーストン・スタガー・フィリップスの『Resolution Road』。ティムとリロイ・スタガーとイヴァン・フィリップスの声って、なんか区別付きづらいんだよね。僕はこのアルバムを入手したあと、イヴァンのアルバムを2枚ほど買ったほど彼のことも気に入ったんだけど、それでもこのアルバムで、誰がどの曲でリードヴォーカルを取っているのかいまいちよくわかっていなかった。そこで、本人に訊いてみたというわけ。そしたら、それぞれの曲名の横に歌い手の名前を書いてくれて、頼んでもいないのに下にサインまでしてくれた(ギターの絵はなし)。

前日で懲りているから、名残惜しいけど22時22分発の電車に乗るために、みんなと一緒にゴーティを後にした。マットはなんだかまたすぐに来るよみたいなこと言ってたね。そのときは秋に出るシングル盤をちゃんと持ってきてね。まあ、ほっといてもゴーティには入荷するんだろうけど。
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2015年06月21日

Matt The Electrician & Tim Easton live in Kamakura (Part 1)

店主の松本さんが自分の好きなアーティストを同時期に呼んで一緒に演奏させるというのが、カフェゴーティ企画の醍醐味の一つ。これまでに僕が観たのだと、2011年にボジア目当てに行ったはずがそのあと彼以上にはまってしまうことになるマット・ジ・エレクトリシャンを知った横浜での四人組ライヴ、その翌年に下北沢で観たゲイリー・ジュールズ&ジム・ビアンコ(特に、松本さんの見立て通り僕はそのライヴでゲイリーの大ファンになってしまったのに、その後ぜんぜん音沙汰がないのがさびしい)、さらにその翌年の鎌倉でのブルース・ヒューズ&ニール・カサールと、それぞれ芸達者なアーティストが一回だけリハーサルしましたみたいなお互いほとんど初聴き同然の状態で相方の曲に伴奏をつけ、ギターソロを入れ、ハーモニーを聴かせてくれるという離れ業を見せてくれるもんだから、これはもう病みつきになる。そんな異種格闘技戦(?)の最新回が、先述のとおり僕の大のお気に入りアーティストの一人であるマット・ジ・エレクトリシャンと、二年前にスティーヴ・フォーバートのオープニングアクトとして観た(そのときは残念ながら二人の共演はなかった)ティム・イーストンの共演。

オープニングアクトに、二日前に松本さんから電話で依頼があったというホテル・コングレス名義のソロ・アーティスト。あれ?この人たしかここで(お客さんとして)何度か会ったことがある人だね。ちょっと枯れた渋い声で、サザンロック風の自作曲2曲と、オールマン・ブラザーズ・バンドのカバー1曲、汗をだらだら流しながら演奏。うん、悪くないね。

マットが僕の横をすり抜けてステージに向かうとき、僕の肩をぽんと叩いて「元気?」と言ってくれる。ああ、覚えていてくれたんだ。うれしいね。そのまま彼はステージ右側のカホンに腰掛け、あのいつもの小柄なギターのチューニングを始める。そしてティムは左側に立って、前回にも見た(おそらく彼のトレードマークの)あちこち塗装のはげた黒いギブソンを肩にかける。ピアノの上にはハーモニカがずらりと並ぶ。

カホンに腰掛けたままのマットが演奏を始める。イントロの最初の一音でわかるよ、名曲「It's A Beacon It's A Bell」。アク―スティックな作りのアルバムのタイトル曲、これまで何度か彼の弾き語りで聴いたけど、この日のこれはティムが寄り添うような素敵なギターのフレーズと沁みるようなハーモニカを入れてくる。もうちょっとこれだけで鳥肌レベルだよ。

続いてティムのブルージーな曲。サビで「Elmore James」という名前が出てくるからきっとそれがタイトルだろうと思っていたら、会場で売っていた彼の日本公演向け限定盤にその名の曲が入っていた。ティムと娘さんが一枚一枚手作りしたというジャケット、僕は開演前に一番変わった色合いのを選んで買った(他に残っていたのはだいたい黒いジャケだった)。

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ちなみにこのアルバム、どういう経緯の曲が入ってるのかわからないけど、かなりの名曲揃い。普通にティムの新譜として出しても遜色ないと思う。2年前の名古屋公演で聴いて、その後のアルバム『Not Cool』には収録されなかった「On My Way」も入ってるし。完売しなかった数枚がまだゴーティに残ってるって松本さんがツイートしてたから、これ読んでちょっとでも気になる人は急いで。

「あまり暗くなってしまう前に幽霊の曲を演ろう」と、つづいてのマットの曲は「Ghost Story」。さらに続けてティムは『Not Cool』のオープニング「Don't Lie」。そういう感じで、二人が交代で自分の曲(またはカバー)を歌い、相方が伴奏をつける。マットの曲ではティムがギターとハーモニカ。ティムの曲ではマットがカホン、ギター、バンジョレレのどれか。そして、二人ともが相手の曲のコーラスパートで綺麗にハモる。

これがほとんど二週間近くにわたるツアーの最終公演地だから、それまでにリハーサルしたり本番で一緒に演奏した曲もあるんだろうけど、どうも見ているといくつかの曲の最初のヴァースは真剣な目で相手の演奏と歌詞を聴き、コーラスのあたりからさりげなく伴奏をつけていくというパターンが多かったから、もしかしたら本当にあの場で初めて聴いて、それに合わせて演奏したりコーラスをつけたりしてたのかも。そういうのって、冒頭に書いたいくつかの共演で見てきたけど、ものすごい量の経験と技量が要るんだと思う。

過去何度かのマットのライヴで、好きな曲をリクエストしてはそれなりに大変な目にもあったりしてるので(前回来日時の「For Angela」とか「Permanent Record」とか、快くリクエストを受けてくれるのはいいんだけど、歌ってる途中で歌詞がスコーンと抜けてしまうみたいで、そのたびに雨に濡れた子犬のような目でこっちを見られる)、この僕にとっての今回来日初日はリクエストなしでいこうと決めていた。

そしたら、これまでの3回の来日(僕が観たのは5公演)では聴いたことのないような珍しい選曲が聴けた。「Left Coast」とか「Rotary」とか「Little Hands」とか。あんなに歌詞を忘れてしまう人だからもうてっきりお決まりの曲しか演奏しないのかと思ってたけど、懐深いねえ。

珍しくない方の選曲「Milo」では、いつもの通りポール・サイモン・メドレーを挟む。でもあれって、今回のツアーの他の公演地でも演ったのかな。間奏から「You Can Call Me Al」に移るところで、ティムがあれ?って感じで一旦演奏を止め、ギターを縦に持って(ティムのあのポーズかっこいい)しばらく考えてからまた演奏に入ったところを見ると、ほんとに即興だったのかも。いつものゴーティよりずっと外国人比率の多かった客席もこのメドレーで大受け。最後はみなさんでコーラスしてたね。

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マットのこの日のいでたちは、白いTシャツの上にスリーヴレスの緑のシャツの重ね着。今回のツアーでジョギングしようと思って持ってきたらしいんだけど、結局この日まで周りで誰も走ってないから走れず、この日のステージで着ようと思ったけど、いつも奥さんに袖なしのシャツでステージに上がるなんて馬鹿みたいと言われてるから下に白いTシャツを着てみたら、どうもさらにバカみたいに見えるね」と笑わせる。

今回の長いツアーのほとんどをハシゴしたというつわものファンのTさんがマットにリクエストしたのは「Left Coast」だったかな。案の定途中でマットが何度か歌詞を忘れ、そのたびに焦った顔つきで宙を見上げたりTさんの方を見たり(Tさん、その気持ちよくわかります・笑)、ティムも「今日はこれまでで一番の出来だったのにね、ほんのさっきまでは」とか言ってプレッシャーかけるし、僕にとっても二年前のあの歌詞を思い出せないのは人ごとではない気持ちがありありと蘇ってきた。

マットで始めて交互に歌うので、前半最後はティムの番。こちらも常連Tさんのリクエストだという「Porcupine」で締め。かっこいい曲だね。そのタイトルトラックのアルバム、まだ持ってないから買おう。でも、ティムもちょっと途中で歌詞がやばかったね。「後半は僕らが知ってる曲ばかりを演るよ」とティム。

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休憩に向かうときに、僕らがいたあたりに「何かほかにリクエストしたい曲はある?」とティムが訊くから、「Get Some Lonesome演ってよ」とリクエストした。「二年前にもリクエストしたんだけど聴けなかった」と言ったら「ああそれはすまなかった。でも今日は覚えてないから、明日も来る?明日演ってあげるよ。リクエストしてくれてありがとう」と言ってくれた。

休憩中には、ゴーティのマスコット、なる君(もう4年生になったとか)と、なぜかこの日たくさんいた子供達のうちの一人の小学生ぐらいの女の子がやたらとなついてきてくれて、その子たちと遊んでいるうちにあっという間に時間が過ぎてしまった。

後半もマットから。「このツアーではできるだけ同じ曲を演奏しないようにしてるんだ。複数回観に来てくれているお客さんもいるからね。でもこれはもう何度か演奏している。僕が日本について書いた唯一、いや二曲のうちの一曲」との説明でもうわかる人にはわかる「Osaka In The Rain」(ちなみにもう一曲は『Cafe Mundi』のライヴ盤に入ってる「Tokyo」かな)。

その曲を書いたときのことの説明が続く。最初の来日で松本さんではない別のプロモーターに大阪に連れて行ってもらったはいいが、「ちょっとここで待ってて」と知らない場所に携帯も通じないのに一人で放っておかれたこと、その逸話をトム・フロインドに話したら「それについての曲を書けばいい。もしお前が書かないなら俺が書く」と言われて書いたら後にトムは「Kamakura In The Rain」という曲を書いたこと、最初のヴァースは日本にいた間に書いたけど残りはオースティンに帰ってから仕上げたこと、「当時はマイスペースというものがあったんだよ」と笑わせたり、などなど。

観客の一人がテキサス人のソングライターだというのは前半でも言ってたけど、ウィリアム・ウォレスというその若いお客さんを本当にステージに引っ張り出し、彼の曲に合わせて三人で演奏したのにはちょっと驚いた。マットが彼の曲のいくつかを知っていて、それを演る?と訊くと、ウィリアムは「いえ、それじゃなくて火山の曲を」と言って歌いだしたのにも、ティムがギター、マットがバンジョレレでしっかり合わせる。さすがにマットやティムの曲に比べると見劣りはするものの、バックの二人のおかげでなかなか聴かせる演奏だったよ。ちょっと聴き入ってしまった。彼もさぞかし嬉しかったことだろう。

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ティムがピアノソロを入れたのはマットの「Little Hands」だったかな。実はこの日、ゴーティに到着したときに中でティムがピアノの練習をしていたのが見えて、ティムはピアノも弾くんだろうと思っていたら、ほとんどそんな機会はなく、ようやくこの曲で軽快なソロを弾いてくれた。

「一昔前は、オンラインで日記を公開するなんて考えられなかったんだ。これはそんな時代に書いた曲」と「Diaryland」をマットのパートの最後に。ハローキティスティッカーの歌詞のあとのギターソロのときに「ティム“ハローキティ”イーストン!」と笑わせるマット。

本編ラストのティムの曲はタイトルがわからなかった(元々、廃盤の1枚を除いて全アルバムを集め終わったマットと違ってうちのCDラックにはティムのアルバムはまだ結構な抜けがあるから、知らない曲も多かったんだけど)。そのままステージを降りずに(立ち見も含めたぎゅうぎゅう詰めの客席を乗り越えて行くのは結構な手間だったからね)アンコールに入る。「I've Just Seen A Face」だ。この二人でビートルズの、しかもこんなスタンダードな曲を演るとは思ってなかったのでこれはちょっと新鮮な驚き。そしてラストは、今回のツアーの初日を終えたときに松本さんがユーチューブにアップしていたフリーディ・ジョンストンのカバー「Tucumcari」。コーラスが超かっこよい。

終演後、表で煙草を吸いながらウィリアムや他の何名かのお客さんと談笑していたマットのところに行く。マットがあらためて「ひさしぶり。元気? まだ今でもフィリピンに住んでるの?」と訊いてきてくれる。CDにサインをもらうときに僕の名前の綴りは覚えていなかったけど、そんなことを覚えていてくれたなんて、ちょっと感激。「もう僕の持ってるマットのCDのほとんどにはサインをもらったから、今日は残る数枚のうちからこれを持ってきたよ」と、『Accidental Thief』のジャケにサインをもらう。

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次はティムのところへ。『Not Cool』のジャケにサインをもらいながら、さっきの「Get Some Lonesome」のリクエストの話を。「ほかにも何かリクエストはある?」と訊いてくれるから、「このアルバムのタイトルソング好きなんだけど」と言うと「そういえばその曲は今までライヴで演奏したことがないんだ。それこそNot Coolだよね」とか言ってるし。そうして僕の『Not Cool』のLPジャケには、おなじみのギターのイラストが。

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僕がサインをもらったりティムたちと話してるときに、東京へ戻る常連ファンの人たちが一斉に出て行ったと思ったら、22時22分発の電車に乗るためだったんだね。ろくに電車の時刻も調べてなかった僕はその直後にのこのこと鎌倉駅に向かったら、10分以上も次の電車をぼーっと待つ羽目になってしまった。こんなことなら、あと10分マットやティムと話してればよかった。22時台から終電までの鎌倉発の電車の時刻はちゃんと覚えておこう。
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2015年05月31日

Wallis Bird live in Tokyo

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Wallis Bird 『Bird Songs -The Best of Wallis Bird-』

虫の知らせみたいなものってやっぱりあるみたい。来日することはずっと前から知っていたんだけど、ちょっとここのところライヴ多すぎるし(この二か月、平均すると週一以上のペースになってる)、気になってるけどまあ行かなくてもいいやと思っていたこのライヴ、開催二日前になってやっぱり急に思い立ってチケットと来日記念のベスト盤(こんなのが日本で出ることにびっくり)を買って行くことにした。それが、今から書くけど、こんなの見逃してたらもう絶対に後悔してたはずという凄いライヴだったから、知らせてくれた虫どうもありがとうってな感じで。

そんなぎりぎりに買ったチケットだから、一応開場時刻にスターパインズに着いたものの、列の最後尾に並ぶことになった。まあ、その時点では別に観られれば席はどこだっていいやと思っていたから、気持ち的にはそんなに焦ることもなく黙ってゆっくりと場内へ。

前回ここで観たグレンのライヴのときに味をしめた一ノ蔵の枡を手に、客席後ろの方のちょっと小高くなってるところの最前列に席を見つけて座った。テーブルもあるし、前の人の頭は邪魔にならないし、中途半端に空いてた真ん中あたりの席に座るよりはよっぽどいい席かも。ステージからは10メートルぐらいかな。うん、悪い席じゃない。あんなとんでもなく大きな整理番号にしては。

当日券の入場が開演10分前の17時50分と張り紙がしてあったのを見たんだけど、ちょうどその時間ぐらいにまたどんどん人が入ってくる。きっと、前日にあった新宿タワレコでのインストアを観て、やっぱり急遽来ることにした人も多かったんだろうね。そういう人たちがそこかしこに残ってた空席をひとつひとつ占めて、結局開演の頃にはもう席は全部埋まってたんじゃないかな。いや、すごい人気なんだね。おどろいた。

ファーストアルバム『Spoon』はしばらく前に手に入れて愛聴してたからそこからの曲はある程度わかるものの、あとは二日前に買ってこの日までに繰り返し聴いたベスト盤の曲がわかるかどうかというぐらいのにわかファンだけど、ステージに登場したウォリスが「これまでの4枚のアルバム、私の人生が詰まったベスト盤から今日は演奏するよ」と言ってくれたので、知ってる曲が多いだろうとちょっとほっとする。

ビデオや写真で見ていたとおりの小柄な彼女。黒いワンピース(だったかな?)とあちこち好き勝手な方向に伸びている真っ白な髪の毛のコントラストがいいね。ステージに置いてあった2本のギターのうち、グレー地に白と黒とくすんだ水色で幾何学模様のようなペイントのしてある方のフォークギターを手に取って歌い始めた。最初の曲は「Daze」。

すごいよ。この距離で聴いていてもマイクいらんだろうと思うほどの声量。その色合いもあいまって、ガシガシとものすごいストロークで弾いてるギターがなんだか楽器というよりは武器みたいに見えてくる。子供の頃に事故で左手の指を全部切り落としてしまったのをつなぎ直したってエピソードはベスト盤のライナーに書いてあったけど、そんなこと言われないと全然わからないよ(ちなみに、そのライナーには親指は戻らなかったって書いてあるけど、なかったのは小指だったと思う。親指ないとピック持てないよね)。

僕の好きな「The Circle」は確か3曲目に演ったはず。4曲目と5曲目をメドレーで歌ったところまで、すべてアップテンポの曲。どの曲もガンガン動き回ったりジャンプしたりしながら演奏して、うまく活用すればこのまま発電でもできるんじゃないかと思えるほどものすごいエネルギー。「次はちょっとスローなのを演ろうね」と言ったのが冗談に聞こえてクスクス笑いが起こるほどヘトヘトに見えたよ。

そのとき「何か歌ってほしい曲ある?」って訊くから、スローな曲ならリクエストしたいなと思ってた曲があったんだけど、曲名が出てこない。「あのほら、ファーストからの曲で、ベスト盤の最後から4曲目」とか言うわけにもいかず、他にも誰も何もリクエストしないので、ウォリスが「じゃあ、これはファーストアルバムから。2007年に出したCDだからもうずっと昔の曲」と言って、「You Are Mine」を歌いはじめた。あ、それも好きな曲だからいいや。

曲間のチューニングには結構時間かかってたね。「私は強く弾きすぎるから」と、ときにはもうイントロ弾き始めてるのに、弾きながらペグをいじったりもしてた。どの曲のときだったかな、床に置いてある(僕のところからは見えないけど)サウンドボードか何かをいじって音を出しながら、ギターを弾きながらチューニングをし、いつの間にかカポも付けて、さらにそのままビールを一口飲んでから歌い始めたなんてのもあったな。おみごと。

そう、ビールといえば、この人かなりの量のビール飲んでたよ。たぶんステージ上で大ジョッキを2杯は飲んでたと思うし、終演後のサイン会でもまたテーブルにジョッキ二つ用意して飲んでたからね。ライヴの最初の方で、乾杯って言いながら「日本に来てもう日本酒もキリンもその他も全部飲んだ」とか言ってたよ。あんなにおいしそうに飲む人は見ていて気持ちいいね。

「先週の金曜にアイルランドで大きな出来事があって」というのは同性婚が合法化されたことだね。それについての新曲と言って、アカペラで歌い始めた。タイトルを言わなかったので後でサインをもらうときに聞いたら、たしか「Life」って言ってたかな。てっきりサビで何度も出てきた「We Can Try」かと思ってた。いい曲だったし、なにより無伴奏であれだけ聴かせるのは素晴らしいと思った。この人、ほんとにすごい。

別の曲では、ウォリスが床のなにかをいじってシンセぽい音を出し、ギターを弾きはじめると、どこか上の方からバイオリンの音が聴こえてきて、僕の座ってる席の斜め後ろ上あたりからクラリネットの音も聴こえてきた。なんか不思議な聴こえ方するなあと思っていたら、最後尾のPA卓のところにいた人がクラリネットを吹きながら客席をゆっくり前の方に歩いていき、中央あたりで止まってそこで演奏しはじめた。僕の席からは見えなかったけど、二階席(いつもサイン会のある場所の奥あたりかな)にはバイオリニストが実際いたみたいだね。クラリネットの人はエイデンって名前で、ウォリスと一緒に来日したみたい。

本編ラストは、ベスト盤の中でも僕がいちばん気に入った「To My Bones」。ラストにふさわしい盛り上がりだった。この曲はセカンドアルバムからシングルカットされたのかな。ネットにかわいいPVがあるね。気に入ったのでここに載せてしまおう。


ほとんど間を開けずにアンコールで再登場。また「何かリクエストある?」と訊くと、今度は前の方にいた女性が二人リクエストして、それを両方とも演奏していた。最初のはベスト盤にも入ってる「LaLaLand」だったけど、2曲目は知らない曲だったな。これはちゃんと全アルバム集めないといけないかな。全アルバムと言ってもあと3枚も集めれば済むから、僕基準ではたぶん再来月ぐらいには揃ってるとは予想するけど。

本編を終えるときに「弦を一本も切らなかったのは珍しいよ。いつもは何本も切ってしまうから」と言っていた言葉どおり、その2曲を終えるまでに2本の弦が切れてしまい、曲の最後には残りの4弦も全部手で引きちぎってしまった。アンコール最後の曲を演奏するときにそっちのギターを使おうとして、そういえば弦がないんだった、とか。

日本がとても気に入ってくれたのはお世辞ではないと思うけど、「これは最初で、最後じゃないから。またきっとすぐに来るよ」とか「アイルランドに来たらうちに泊まってね」とか言ってたな。「最後の曲で、あなたたちをちゃんと起きたまま家に帰さないと」と笑わせて歌い始めたのは「In Dictum」。後半ではギターのプラグをぶち抜き、オフマイクで歌い始めた。マイクなくても全然遜色ないね。すごいすごい。

全部で1時間半をちょっと切るぐらいだったかな。もうとにかくエネルギーの塊を延々とぶつけられてたようで、座って観ていたはずなのにこちらもかなり消耗したよ。さて、きっとサイン会があるだろうから、上に行って並ぼう。いつもと違って後ろの方に座ってるから、すぐに階段登って列に並んだ。かなり前の方だ。きっとあの明るくおしゃべりな彼女のことだから、後ろに並ぶとなかなか順番が回ってこないはず。案の定、係員が時間節約のためにサインはいいけど写真はお断りと言ってる。ちょっとそれは残念。

案の定、サインをもらわずに帰る人はほとんどいない。満員のスターパインズは多分200人ぐらいいたのかな。これは長丁場になりそうだぞ、と思っていたところでウォリス登場。あんな壮絶なステージの直後なのに元気そうだね。お客さんに一個ずつ持って帰ってもらおうと、テーブルに大きなチュッパチャプスのケースを置いてた。なんかこういうのもうれしいね。

僕の順番が回ってきたところで、ウォリスの方から「あれ?どこかで会ったっけ?」と言ってくる。「うーん、会ってないと思うよ」と言うと「そうか、じゃあきっと前世で会ったんだね」と返してくる。くーっ、惚れてまうやろー。「さっき“All For You”をリクエストしようとしたけど、タイトルが出てこなかったんだ。次に来てくれたときにまたリクエストするね」なんて話をしていたら、CDのジャケットにこんなことを書いてくれた。
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そんなことに感動しつつ最後に握手したら、両頬にあいさつのキスをしてくれた。もうなんかこちらはめろめろである。チュッパチャプスも何色を取ったんだか覚えていない。一緒に写真は撮れなかったけど、前の人がサインをもらっているところを写したので、それでもあげておこう。

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つい最近までは日本盤のCDも出ていない状態での初来日だから東京一回以上のブッキングを入れることもできなかったんだろうけど、蓋を開けてみるとこの盛況。そして、今回このライヴを観た人は次があれば確実に来るだろうから、本人がステージ上で何度も繰り返していたように、再来日を期待しよう。そのときはきっと複数回(もしかしたら地方も?)の公演が組まれるだろうし、僕にとってはチケットを発売と同時に押さえるべきアーティストがまた一人増えてしまったということだ。


いつもこの会場でライヴを観たときは、終演後に連れだって飲みに行く仲間がいるんだけど、この日はあいにく誰も知り合いがいなかったので、そのまま帰途についた。さっさと帰って何か食べようと。そしたら、山手線新宿を出たところであの小笠原地震が発生。僕は動いている電車の中だったので全然気づかなかったんだけど、次の代々木で運転見合わせ。小一時間ほどそのまま座っていたけど進展なさそうだったので、動き出した地下鉄を3本乗り継いで、なんとか家にたどり着くことができた。

空腹で山手線にずっと座っていたときにウォリスにもらった青リンゴ味のチュッパチャプスでお腹をなだめたこと、地下鉄の乗り継ぎ間隔がすべてゼロ分だったことと、結局山手線が動き出したのが僕がとっくに家についてウィスキーでほろ酔い加減になっていた夜中の11時半だったことを考えると、この日は勝ち負けで言うと勝ち。ウォリスのライヴの件を加えていいなら、圧勝の一日だった。あとは、ウォリスが地震を怖がって日本にはもう来たくないなんて思ってなければいいけど。


p.s. 本人のFBに写真がいくつか上がってたので勝手にコピーさせてもらおう。黒い服はワンピースじゃなかったね。まあなんであれ、かっこよかった。
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2015年05月30日

John Hiatt live in Tokyo (Part 2)

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結局この日のファーストセットは諦め、そのかわりというわけでもないけど、会場裏手の芝生でやってた世界のハイボールフェアみたいなので、刻々と色が変わっていく初夏の夕空とそれにつれて次第にライトアップされる東京タワーや六本木の街並みを眺めながら、いい風に吹かれて腹ごしらえをすることができた。ラフロイグってのが気に入ったから、今度買って家でも飲んでみよう。

前日より少しだけいい整理番号だったけど、結局前日と同じ二列目のテーブルに席を取った。以前ここでいろんなバンドセットを観たときに、最前列のテーブルは各楽器の音がスピーカーからでなくそれぞれバラバラに聞こえてきてバランスが悪いからそれ以来敬遠するようになっていたんだけど、アコギの弾き語りだとそんな問題はないんだろうなと前日思った。でもやっぱり、ほぼ真上を見上げるようなことになる最前列よりも、二列目中央ぐらいの方がやっぱり全体を見渡しやすいし(あとツバも飛んでこないし)総合点では上だな。

ネクタイを締めていなかった以外は前日とほぼ同じいでたちで登場。この回のオープニングは前日のラストだった「Drive South」だ。セトリは全ステージで変えてくるとは思っていたけど、まさか曲順入れ替えるだけじゃないよな。なんてふとした不安も、次の「The Open Road」のイントロを聴いた瞬間に杞憂だとわかった。これは楽しみだ。どこまで新しいのが聴けるかな。昨日のペースだとおそらく15曲前後演るうちの、半分でも入れ替わっていたらよしとしよう。

前日使わなかった少し大ぶりな方のギターを抱えて出てきて最初の曲を歌ったあとは、前日ずっと使っていたサウンドホールの下の部分がピッキングで削れてしまっている小さな方のギターに持ち替えてた。前日も「Drive South」のときだけあの大きな方のギターに持ち替えてたっけ。覚えてないや。素人耳にはどう音が違うのかまではよくわからなかったけど。

これまでの三回のステージを通しで観ている客も多いんだろう。ジョンが結構リクエストに応えてくれるというのがわかっているから、もうこの時点でリクエスト曲のコールが主に上階のあちこちから飛ぶ。「Across The Borderline」をリクエストされ、「それはできないけど、同じアルバムからのこの曲を」なんて言うから一体何かと思っていたら、前日にも演奏した「Like A Freight Train」だった。え、この曲ってライのアルバムでも演ってるの?と思って調べてみたけど同じタイトルの曲は見当たらず。あれどういう意味だったんだろう。しかしまさかこの曲を二回聴くことになるとは。

「Tennessee Plates」、「Crossing Muddy Waters」と続いて、好きな曲ばっかりでうれしいものの、やっぱりほとんどの曲は全ステージ通して同じなのかなと思っていたところに「Icy Blue Hearts」、そして咄嗟には何の曲かわからないぐらい歌メロがアレンジされていた「Cry Love」ときた。『Bring The Family』以前の曲は「Riding With The King」ぐらいしか残していないとしても、それ以降の曲の抽斗も無限といっていいぐらいある人だから、こういう名曲がぽんと出てくるサプライズがいいね。

ときどき歌詞を忘れたり間違えたりするのは、年齢を考えても持ち歌の豊富さを考えてもしょうがないし(むしろ、何十年も前に書いたあれだけたくさんの曲の歌詞を一言一句間違えずに歌えることの方が驚きだ)、ハモニカを取り換えてホルダーに装着するときに細かい文字見えねぇみたいなそぶり(ほんとにそうだったんだろうけど)みたいな自虐芸も板についていた。

リクエストを受けて「本当はこの曲はバンドが要るんだけど」といいながらも演奏してくれた「Slow Turning」もよかった。どうしてもこの僕にとっては一番のアルバムからの曲は脳内でサニーのスライドが聴こえてきてしまうので、嬉しいのと物足りないのと複雑な気持ちにはなってしまうんだけど。それにしても、この曲に限らずこの日は声が出ていたね。高音で叫ぶところとか、これでもかというぐらい息の続く限りエンディングを延ばすとか、とても62歳とは思えない。

リクエストについてはいろいろ書きたいこともあるんだけど、まああんまりグチっぽくなってもいけないので一言、リクエストするにもセンスが必要だよなぁとだけ書いておこう。僕もリクエストできるならあの曲とこの曲、というのは決めていたんだけど、あれだけ曲間で延々叫ばれていると、ちょっとそれに対抗してまでとは思わなかった。最後の方にはジョンも、あまり曲間あけてチューニングに時間取ってると次から次へとリクエストが入ってきてきりがないと思ったのか、もう前の曲から間髪入れず次の曲に移ってしまっていたようにも見えた。

前日の本編ラストだった「Drive South」は最初に演ってしまっていたから最後は何で締めるのかなと思っていたら、「Memphis In The Meantime」だった。やっぱり久々の日本だからか、『Bring The Family』と『Slow Turning』からの曲を骨組みのように最初と最後の要所に配置して、あとはそれより新しめの曲を少しずつという風に決めていたのかな。それとも、もう最近のライヴはこういう構成なんだろうか。地味渋の新譜からばかりだとちょっときついかなと開演前には思っていたものの、あの優れた最新盤からここまで少ない(この日は「Long Time Comin'」のみ)というのもちょっと逆に現役感なさそうに見えてしまう。

短いアンコールの拍手に迎えられて再登場し、「Have A Little Faith In Me」を情感たっぷりに弾き語って終えるところも、ステージを降りるときにサインと握手を求める客にもみくちゃにされるところも前日と同じ。サインはできたらもらいたいなとは思ってCDとペンは持参していたけど、これもやっぱりあれだけの人だかりを見てしまうとあそこに割り込んでまでとは思えなくて引いてしまった。正式にサイン会をやらなかったのは本人が嫌がったのかビルボードの意向かどっちなんだろうね。

曲数としては前日よりも2曲減(でも時間的にはほとんど同じぐらいだったと思うから、どれかの曲が長かったんだろう)、前日には演奏しなかったのがセトリ中ちょうど半分の7曲だから、開演前の予想がぴったり当たった。今日であれからちょうど一週間、ネットにちらほら上がっている、僕が行かなかった日(東京両日のファーストセットと大阪)のライヴレヴューやセトリを見ると、基本は変わらないものの、聴いてみたかった曲のタイトルがいくつか。大阪も含めて全ステージ制覇なんてはなから無理だったけど、こうして知ってしまうとやっぱり行きたかったなと思ってしまう。

まあ、あれだけ集客できて儲かるのがわかっただろうから(ビルボードの細かく設定された入場料のうちいくらがギャラになるのか知らないけど、ソロのアコギ弾き語りセットなのにこの会場のほとんど最高設定額だったから、本人への実入りも相当なものだったはず)、また来てくれるだろう。今度は27年も空けずに。


Setlist 23 May 2015 @ Billboard Live Tokyo [2nd Show]

1. Drive South
2. The Open Road
3. Like A Freight Train
4. Tennessee Plates
5. Crossing Muddy Waters
6. Icy Blue Heart
7. Cry Love
8. Slow Turning
9. Long Time Comin'
10. Thing Called Love
11. Lipstick Sunset
12. Riding With The King
13. Memphis In The Meantime

Encore
1. Have A Little Faith In Me
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2015年05月24日

John Hiatt live in Tokyo (Part 1)

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「ジョン・ハイアット27年ぶりの来日」。その文言をビルボードからのメルマガで見たときは、それはもう身体が固まってしまったかのようだった。僕が彼の最初の来日公演を観たのが88年の確か2月か3月? 保管してあるはずのチケットがちょっと見当たらないので正確な日時は覚えてないけど、85年の『Warming Up To The Ice Age』あたりから彼のアルバムを聴きはじめていた僕にとってはその当時ですら既に待ちに待った来日だったこと、何の予備知識もなしに観たサニー・ランドレスがとんでもなかったこと、ライヴが始まったときに自分のより五列ほど前の空いていた席にこっそり移動したこと、そしてその待ち望んだライヴ自体が期待通りだったことなんかがそれこそ走馬灯のように目の前によみがえってきた。

なんて書いておきながらせこいこと言うけど、さすがに9400円のセットを四回全部観るのはちょっときついのと、初日のファーストセットはいずれにせよ間に合わなくて無理なので、とりあえずは両日セカンドセットを押さえた。悪い番号ではない。初日を観てどうしても我慢できなければ二日目のファーストも検討しよう。そして、ヒュー・コーンウェルのライヴが終わった瞬間から、編集盤やブートも含めて40枚近くある彼のアルバムを手当たり次第引っ張り出して予習(復習?)を始めた。今世紀に入ってからのアルバムはちょっと聴き込みが甘かったからね。

セカンドセットといえど、平日の夜はなかなか時間の調整が難しい。会社の会食を少し早めに切り上げ、汗だくになりながら受付時刻前にビルボードに到着。それなりに気合いを入れて取った整理番号なので、かなりの好ポジションから観ることができた。いつもゴーティで顔を合わせる方も偶然同席で、少し豪華なゴーティにいるみたいな錯覚。

開演時刻ぴったりにジョン登場。「コンバンハ」と日本語で挨拶し、間髪入れず「Master Of Disaster」を弾きはじめる。これはなんというか、嬉しいサプライズ。僕としてはリクエストしてまで聴きたいような曲ではないけど、できれば聴きたかった曲のひとつ。

ジョンのいでたちは、褪せた色のジャケットにニットタイ、シャツの裾をジーンズから出して、頭にはストローハットという、いかにも最近のジョン・ハイアットらしいスタイル。顔には年相応のしわがびっしりと刻まれている。曲間でハーモニカホルダーを装着したり外したりするときに帽子を脱ぐと、昔ながらのオールバックはかなり白く薄くなってしまっているね。

ときおり短い曲紹介を挟みながら、次々にいろんな時代の曲を繰り出してくる。我ながらびっくりしたのは、オリジナルアルバムとは全然違うアコギ弾き語りなのに、イントロを弾きはじめた瞬間に、ほとんどの曲のタイトルがわかってしまったこと。オープニングの「Master Of Disaster」をはじめ、こんなところから持ってくるかと思うようなちょっとマニアックな曲も多かったのに。アコギのアレンジを何度も聴いて覚えてしまってるグレンのライヴとは違って、今回初めて聴くようなバージョンも多かったのに。さすが伊達にこの人のことを30年聴いてきてないね。

「ロードソングを演ろう」と前置きして弾きはじめたのが「Tennessee Plates」。待ってました! 「Japanese model or make」の歌詞のところでは、こんなこと言っちゃっていいのかな風に目をキョロキョロさせながら歌ってたのがおかしかった。古いビデオなんかを観ると、結構演奏中にお茶目な寸劇風のアクションしたりしてる人だから、この日ももっと何かあるかと思ってたけど、さすがにひとりの弾き語りだとたまに変顔したりするのが精一杯だったね。

床に置いてあるセトリを観ながら次の曲を用意していると、上の方から「Living A Little, Laughing A Little」のリクエストが飛んできた。「それは古すぎてできないよ。もう脳がチーズみたいになってるんだ」とか言いながら他にリクエストを募ってみると、あちこちから結構マニアックなリクエストの声があがる。どの曲も古すぎるのか練習してないのか次々に却下されたあと、結局「Terms Of My Surrender」に落ち着いた。「それはついこないだ書いたばかりだ」って。まあ他人のリクエストに文句つけるわけじゃないけど、最新アルバムのタイトル曲なんて、べつにリクエストしなくても演ったよねきっと。

二本置いてあったギターのうち、少し小ぶりな方だけを使ってたな。もう一本はスペアだったのかな。例の曲でキーボードかピアノを弾くかと思ってたけど、ステージ上には楽器はそれだけ。あとは曲によってハーモニカホルダーをつけて、いくつかのハーモニカを(結構間違えながら)付け替えて吹いてた。ちょっと感心したのは、何曲かで披露した口笛がすごくいい音だったこと。「Perfectly Good Guitar」でちょっと音外したかなとは思ったけど、それ以外はオリジナルならギターソロが入っているようなところで吹いたりして、印象的だった。

「これは2008年のアルバムから。ちょっとアレンジが違うけど」と言って始めたのが、僕としてはこの日唯一イントロを聴いて何の曲かわからなかった「Like A Freight Train」。うわーこんな渋い曲演るのか。と思ったけど、これって『The Open Road』の曲だよね。2010年ですよ先生(笑)

後半の「Crossing Muddy Waters」〜「Feels Like Rain」〜「Riding With The King」〜「Lipstick Sunset」と続いたあたりが一般的にはハイライトか。「Riding With The King」のリクエストを受けたときに「あの男の歌か」って言ってたね。BBキング亡くなったばかりだから、リクエストなんてしなくてもこの曲は演るとは思ってたけどね。

「Lipstick Sunset」なんて、誰もが間奏のところでライ・クーダーのあのスライドを空耳してしまうから、ジョンのアコギ弾き語りだときついかもと思っていたんだけど、これがまた驚いたことに実に聴かせるソロを披露してくれた。この人って、こんなにギター上手かったんだ。一応脳内ではライのギターがサポートしてはいるものの、この曲のこの演奏がこの日のベストだったかも。

本編ラスト前の「My Old Friend」も確か観客からのリクエストだったかな。「それはいいね」と言って即答。僕的には待ち望んでいたというほどではないけど、これも聴けるとは思ってなかったような曲なので嬉しい。そして、本編ラストが「Drive South」。やっぱり締めるところはこういう定番を持ってくるね。

アンコールは一曲だけ、こちらも定番中の定番「Have A Little Faith In Me」。ギターでこの曲を聴くのは初めてかも。もうあまりにもスタンダード化してしまったこの曲だけど、どんなバージョンでもよいものはよい。もう何曲か演ってくれるかなとは思ったけど、この時点で開演から1時間20分ぐらい経ってたのと、ステージを降りようとするジョンにファンが群がってサインを求め、ジョンも承諾するもんだから、その場でもう客電が点いてしまった。あーなんかもったいない。

いやよかった。声が全然衰えてない。いぶし銀なんて、この人のことを形容するのに使い古された文言を使いたくはないけど、あの声をまたこんな間近で聴くことのできる日がくるなんて思ってもいなかった。すぐに受付のところに行って、翌日のファーストセットの状況を訊いてみたけど、自由席はもうすでに90番台、上のカジュアルシートはほぼ満席で、(僕的には自由席よりもよっぽどランク下の)指定席はわずかに空いてはいたけどとんでもない値段。うーん、ちょっとこれは迷うなあ。もう既にいい番号を押さえている東京最終公演に期待するかな。


Setlist 22 May 2015 @ Billboard Live Tokyo [2nd Show]

1. Master Of Disaster
2. Real Fine Love
3. Marlene
4. Lift Up Every Stone
5. Tennessee Plates
6. Terms Of My Surrender
7. Perfectly Good Guitar
8. Through Your Hands
9. Like A Freight Train
10. Crossing Muddy Waters
11. Feels Like Rain
12. Riding With The King
13. Lipstick Sunset
14. My Old Friend
15. Drive South

Encore
1. Have A Little Faith In Me
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2015年05月09日

Hugh Cornwell live in Tokyo

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当初2月に予定されていた来日がこの5月のGWの最終日に延期されたのはこの呼び屋さん主催公演ではよくあることで、いつぞやのメタル・ボックス・イン・ダブみたいに延期された挙句に中止なんてことにならなかっただけよしとしよう。中央線ちょっと先の吉祥寺でライヴを観ることは多いし、手前の中野にはなんだかんだでよく行くけど、高円寺駅に降り立つのは実は初めて。ちょっと早めに来てうろついてみたら、古着屋ばっかりだねここは。ネットで調べてみたら名前を聞いたことのある中古レコ屋があったけど、残念ながらこの日は定休日。会場の場所を確認してから、開場時刻まで腹ごしらえ。よさそうな飲み屋は多いけど、さすがに午後3時にやってるところは限られるね。そういうところはもう昼間から飲んだくれてる人たちでほぼ満席だし。

それほどいい整理番号でもなかったので開場ぎりぎりに行ってみたら、ざっと百人ぐらいの客が会場前にたむろしている。いかにもパンク!みたいな奴はひとりもいないね。前日の吉祥寺公演で買ったTシャツを着ていた友人のRさんを見つけて声をかけてみたら、「さっきそこにヒューがいて、CDにサインもらったんですよ」とのこと。ああしまった、のんきに仕上げの砂肝漬けなんて食ってないでもう少し早く来ればよかった。せっかく白いジャケのCD持ってきてたのに。

入場はスムーズ。らせん状の階段をぐるんと降りると、意外にコンパクトな会場だった。客席部分だけで言ったらネストより小さいんじゃないかな。ステージ前はもう先に入ったファンでびっしりだったけど、運よく壁際にまだ比較的スペースがあったので、かなり端っこになってしまうけど、一応最前列と言ってもいいような場所を確保できた。Rさんはさすが、ヒューのマイクスタンドど真ん前に陣取ってるね。

今回に限らないんだけど、この規模の会場で開場から開演まで一時間というのはちょっと長すぎるよ。指定席だったらもう少しぎりぎりに入場するんだけど、場所取りが重要な立ち見ライヴだとろくにトイレにも行けないからあんまり飲み物ガブガブ飲んでもいられないし。今回は友達と一緒だったからちょっとはうろつく余裕あったけどね。でも物販に行ってみたら、お目当ての『Black And White』アレンジの白いTシャツは残念ながらもう売り切れ。注文できるとは言われたけど、送料込みで四千円近くというのにちょっと引いてしまう。

ステージ上、左側に黒とナチュラルのテレキャスター、中央にドラムキット、僕から遠い右奥にはよく見えないけど緑色っぽいプレジションベースが置いてある。なんの飾りもないすごくシンプルなステージ。何かで読んだヒューのインタビューで、キーボードを入れるとストラングラーズの劣化バージョンみたいになってしまうから、シンプルにスリーピースで、ギターとベースでキーボードのパートまでカバーするアレンジにしているというようなことを読んだ。いや、ベーシストはただでさえあの複雑なJJのベースラインをコピーするのに忙しいだろうし、ヒューが歌いながらあのキーボードのフレーズをギターで再現とか、いくらなんでも無理でしょ。まあ、どんなアレンジになってるのか楽しみにしておこう(ということで、あえてライヴ前の予習は最近のライヴ映像とかは見ないようにしていた)。

開演予定時刻を15分ぐらい過ぎたところでメンバーがステージに登場。ヒューはすっかり痩せて、頭も少し薄くなって、なんだかおじいさんっぽいね。事前にツイッター読んだからわかってたけど、ドラマーは現ポウジーズのダリウス。なんでそこがつながるのかと一瞬不思議だったけど、そういえば『Blood/Candy』にはヒューが参加してるんだった。あのときから時々一緒に演ってるのかな。ヒューは黒い方のギターを肩にかけ、『Totem & Taboo』からとストラングラーズの曲を交互に演奏すると宣言。うわあ、見かけがあんななのに声が完全に昔のまま。すごいや。これは期待できそう。

元の2月の公演前に今は亡きミュージックアンリミテッドで予習してたので、そのアルバムは持ってない僕にも多少は聞き覚えのあったタイトル曲「Totem & Taboo」でスタート。続いてのストラングラーズ曲一発目は何かなと期待していたら、僕的にはかなり(ポジティブな意味で)意表をつかれた「Skin Deep」。来日直後のリハーサルではストラングラーズを20曲ほども演奏し、両日違ったセトリで演る予定と読んでいたから、聴いてみたい10曲は何だろうと考えていたけど、その自己リストには確実に入れていた曲だ。後期の地味な曲だけど好きなんだよね。

奇数番のソロ曲はなんとなく聞き覚えがある程度にしかわからないけど、だからといって決して悪いわけじゃない。申し訳ないけどヒューのソロアルバムはほとんどフォローしてなくて、沢山出てるというぐらいにしか知らないんだけど、このライヴ観てやっぱりちゃんと揃えなければと思ってしまうほどには良い曲揃い。

なんて言っても、次の曲のイントロを聞いてしまうともうどうしてもこっちの頭のリミッターも振り切ってしまう。「Grip」だ! やった、これは聴きたかった。オリジナルよりも、それよりもっと馴染んだ『X-Cert』のライヴヴァージョンよりもややテンポを落とした演奏だったけど、そんなのまったく気にならない。それより、鳴ってないデイヴ・グリーンフィールドのあの印象的なキーボードの音が聴こえるよ。なんて空耳だ。ははは、確かにこれじゃキーボードプレイヤーは要らないわ。

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音響のいい会場だと思った。それぞれの楽器の音はすごくクリアに分離して聴こえるんだけど、ミックスのせいか、僕のいた位置のせいなのか、どうもヒューのボーカルが演奏に埋没してすごく聴こえづらかった。途中でヒューが日本語で「スイマセン」とミキサーに声をかけて、ギターとドラムの音をもっと上げてくれというような仕草をしてたから、もしかしたらステージ上では逆に楽器の音が聴こえづらかったのかも。その話をライヴ後にRさんにしたら、「でも前日はもっと音悪かったですよ」とのことだったから、あれでも改善していたのかもしれないけど。

「誰かオーストラリアに行ったことはあるか?」とヒュー。まばらな観客からの返事を聞いて、「お前らもっと外に出ないと」と言って始めた「Nuclear Device」。やった、これもツボ。そういえば、後の方で「Peaches」を演奏する前にも「お前ら今日ビーチに行ったか? もっと外に出ないと」って言ってたな。なんか日本人は家にこもってるってイメージがあるのかな。それともあれはなんかのギャグだったのか。

ギャグといえば、やたらと(Good Eveningの代わりに)「Good Afternoon」と言ってたし、「ティーパーティーにようこそ」とか言ってたのも、こんな早い時間にライヴやるなんて(ちなみに開場17時、開演18時)というような話をきっとしてたんだろうね。馬鹿にしてたのか、単なる冗談なのかよくつかめなかったけど。

自分の目の前でRさんが両腕を振り上げて大声で「い゛え゛ー!」というのが気に入ったのかこれも茶化しているのか、彼の方を見ながら何度もステージ上でヒューが同じように「イエー!」って言ってたのも印象的。「昔に戻ったみたいだ」みたいなことを言ってたから、あれは好意的だったんだろうけど。

ドラムキットの調子が悪かったようで、曲間で頻繁にヒューとダリウスがなにか相談してた。シンバルがちゃんと固定されてなかったのかな。ヒューが客席にむかって「誰かドラムキット持ってる人いる?」なんて訊いてたのが、この日の微妙なギャグの中では一番笑えたかも。

曲紹介もなしで12曲目に始めた「Always The Sun」が個人的には白眉だった(偶数曲だけ覚えていればいいから結構楽)。ある意味、一番聴きたかった曲かもしれない。後期ストラングラーズ(ヒューのいた90年まででの後期という意味。脱退後は僕にとってはもうストラングラーズじゃないから、一枚も聴いてない)ではいちばん好きな曲。サビのところで観客が自然発生的にコーラスしていたのを聞くと(当然僕も)、やっぱりこの曲みんな好きなのかな。

これも『Live X-Cert』を彷彿とさせた、抜群にかっこよかった「Straighten Out」で本編終了。予定調和的にすぐ出てくるアンコールが最近多いなか、もう出てこないんじゃないかとすら思ったぐらいの長時間(それでも5分弱ぐらい?)の拍手を経て、再登場。そこまでずっとソロ曲とストラングラーズ曲を交互に演奏していたルールを破り、ソロ1曲とストラングラーズ3曲を演奏。「Hanging Around」は嬉しかった。もうこの日は演ってほしいなと思っていた曲がズバズバ当たる。ここでも観客大合唱。最後はお約束の(?)「No More Heroes」で幕。客電が点いてもまだ拍手はしばらく続いてたけど、「これで終了」とのアナウンスが入って、残念ながらそこまで。

(鼻炎薬を服用しているせいか)あまりにも喉が渇いたので、終演後にあと500円追加して生ビールで友達と乾杯。Rさんと一緒にいた、初めて会う方とも乾杯。そのうちにサイン会やりますとのアナウンスがあったけど、まず物販で何か買ってからという話だったので、もうほしいTシャツも売り切れだったから諦めて外に飲みに出ることにした。「この列の長さだと、一人一人とゆっくり話すヒューのことだから、全員終わるまで一時間ぐらいかかるかも」という声も聞こえたし。

結局、もう一枚サインをもらってから途中で合流してくれたRさんも含めて、結構遅い時間まで落ち着いて飲んでしまった。連休最終日だというのに。なんやかんやと感想を言い合ってたけど、結論としては観に行ってよかったライヴだったということ。ライヴ中にヒューが言ってた「近い将来じゃないかもしれないけど、また来るから」というのはほんとに期待してもいいのかな。

後日、ネットで見つけたというセットリストをRさんが送ってきてくれた(オリジナルの持ち主の方、ごめんなさい。勝手に転載させてもらいます)。ソロ曲のタイトルがわからなかったのでうれしい。あと、初日分と見比べてみても、圧倒的に僕の行った日の方が、僕が聴きたいと思っていた曲ばかりだったのが一番うれしかった。

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Setlist 6 May 2015 @ Koenji High

1. Totem & Taboo
2. Skin Deep
3. Stuck In Daily Mail Land
4. (Get A) Grip (On Yourself)
5. I Want One Of Those
6. Nuclear Device
7. Rain On The River
8. Golden Brown
9. God Is A Woman
10. Peaches
11. Bad Vibrations
12. Always The Sun
13. A Street Called Carroll
14. Straighten Out

Encore
15. In The Dead Of Night
16. Hanging Around
17. Duchess
18. No More Heroes

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