2009年08月16日

鳥肌 - Matthew Sweet & Susanna Hoffs

Under The Covers Vol. 2.jpg
『Under The Covers Vol. 2』 Matthew Sweet & Susanna Hoffs

Under The Covers.jpg
『Under The Covers Vol. 1』 Matthew Sweet & Susanna Hoffs

ドタタドタタ、ドドン。乱れ打ち風のドラムスに被さる、聴き覚えのあるギターリフ。失敗。一瞬の間を置いて、再スタート。

後世に残るパワーポップの名曲を書きたければ、こんなリフを作ればいい。いつ聴いてもそう思えるソリッドなあのイントロ。“Ma-ma, Yeah!”オリジナルのエリック・カルメンと同じキーで叫ぶスージー。流れるようなAメロを歌い始めるのは、シド。そのメロディが五線譜上を駆け上がり、さあコーラスに入るぞというその瞬間、歌詞でいうと“Baby, please”のちょうど真ん中で絡まるように分け入ってくるスージーのボーカル。

こんな描写をしても、曲を知らない人には何のことだかわからないだろうけど、これはこのアルバムの2曲目。ラズベリーズの「Go All The Way」のカバー・バージョンだ。僕はそのコーラスまで聴いた瞬間、特に悲しいわけでも感動したわけでもないのに、自分の目に涙が浮かぶのを感じて、ちょっとショックを受けた。え?何これ。土曜の朝だよ。別に酒を飲んで気持ちが昂ぶっていたというわけでもない(僕がそのとき飲んでいたのはコーヒーだ)。両腕にはびっしりと鳥肌が立っている。


このブログを昔から読んでくださっている方なら、上に載せた二枚の写真のうち、下側のは見た覚えがあるかも。そう、おととしの1月(もうそんなになるのか…)にその前年のベスト20アルバムを特集した記事に登場している、シドことマシュー・スウィートと、スージーことスザンナ・ホフスの二人による、60年代ポップスのカバー・アルバム。

そのアルバムのブックレットの最後に「See you next time! XO」と記されていたように、それから3年後の今年(こんなに待たされることになるとは思ってもみなかったけど)、見ての通り、オレンジと黄緑と薄茶という、一層夏らしさを増した色合いのジャケに包まれた第二集が発売された。

実は、1月のときもそうだったように、今回もやはり“ティルブルック・シンドローム”に罹ってしまっていて、先月末からこちら、CD屋にも行かなければ、新譜をチェックするためにオンラインショップのサイトを見ることすらしていなかった。なんだかスクイーズ/グレン以外の音楽を聴く気分になれなくてね。

このアルバムも、グレンのライヴのしばらく前に、いつも巡回しているLA MOSCAさんのブログを見てリリースされていることを知り、早く買わなくちゃなんて思ってたのに、ようやく入手したのが昨日という次第。

アルバムとしては素晴らしかった『Vol. 1』だけど、60年代という時代背景のため、僕が元々知っていた曲はアルバム中約半数程度だった。それに比べて今回の『Vol. 2』は70年代特集。大半の曲は知っている。それどころか、さすがマシュー、やっぱりこの人のやることに間違いはないね、と思える、ツボを突いた選曲。

おととしの記事に「斬新さのかけらもないようなアルバム」なんて書いてしまっているけど、きっと僕がマシューのファンでなければ、こんな後ろ向きの企画、と切り捨ててしまっていたかもしれない。だって、よくあるよね、もう曲が書けなくなってしまったアーティストが、過去の他人の名曲を再現、なんて。そしてその大半は、過去の他人の名曲をそのまま聴いていた方がいくらかマシというような出来でしかない。

ところが、冒頭に書いたような始末だ。お馴染みのマシュー・スウィート・バンド(この記事あたりで紹介済み)による、ワイルドながらタイトな、小気味のいい演奏。そしてデビューから何年経とうと何十キロ太ろうと全く不変な、マシューのあの声。それらが一緒になって編み出す魔法のような音楽を前にすれば、もうそれがどんな陳腐な企画であろうと僕は抗えない。

他にも、エリック・クラプトンとデュエイン・オールマンのツイン・リードを再現した(さすがに彼らほど達者ではないものの)、マシューとグレッグ・リーズのギターの絡みが嬉しい、デレク&ザ・ドミノズの「Bell Bottom Blues」(『Layla And Other Assorted Love Songs』からならもうどの曲を選んでくれてもOKだというのに、よりによってこいつをピックアップするそのセンスがたまらない)。

ジョン・レノンの「Gimme Some Truth」も嬉しい。マシューの声質を活かすなら、この選曲は大当たりだと思う。スザンナによるイントロの「アー」ってコーラスも、このざらっとした曲にほどよい甘さを加えているし、かと思えば、曲がフェードアウトしていくところでの彼女のハスキーなシャウトもいいよね。そしてまたこの曲でも、グレッグのスライドが実に魅力的にきまっている。

『Vol. 1』にニール・ヤングの曲だけが2回(どうしてもどちらも落せなかったからという理由で)出てきたように、この『Vol. 2』にはトッド・ラングレンが2曲収められている。そういうところも僕的にはかなりツボ。ちょうど前回が『Everybody Knows This Is Nowhere』からメロウなタイトル曲とハードな「Cinnamon Girl」の2曲が選ばれていたように、今回は『Something/Anything?』からの代表的バラッド「Hello It's Me」と元祖パワーポップみたいな「Couldn't I Just Tell You」が収録されている。

そして、「Willin'」! リトル・フィートの数ある名曲の中で、おそらく僕が一番好きなのがこれ。ライ・クーダー、ローウェル・ジョージという名だたるスライド・ギタリストが奏でてきたあの旋律をなぞるのはもちろん、グレッグのペダル・スティール。滲みるね。

順不同ながら、もうこのまま全曲について書いてしまってもいいぐらいだけど、夜も更けてきたのであと1曲だけ。おそらく今回のソングリストの中で一番異色なのが、イエスの「I've Seen All Good People」だろう。ゲスト・ギタリストはなんとスティーヴ・ハウご自身。でも、(かつてyascd002に入れた)「Thunderstorm」みたいな9分半もある組曲を作ったりとか、この人ってきっとプログレも好きなんだろうなとは思ってたよ。彼自身が書いたライナーによると、イエスのレコードを聴いてベースの練習をしたとか。クリス・スクワイアだよ。あんなの真似できないよ。すごいね。

ああ、それに、きっとこの人はイエスのファンだったんだろうなと僕が最初に思ったのが、97年の『Blue Sky On Mars』。このタイトルと名前のロゴ、わざわざロジャー・ディーンに描いてもらったんだよね。

Blue Sky On Mars.jpg 『Blue Sky On Mars』 Matthew Sweet

せっかくリンクしたのに、廃盤なの?これ。地味だけどいいアルバムなのにね、もったいない。まあ、中古で150円とかで売ってるから、これからマシューのアルバム集めたいという人は、5枚目か6枚目あたりはこれにすればいい。

マシューの前作『Sunshine Lies』を取り上げた記事のコメント欄で僕が悔しがっていたように、『Vol. 1』はマイナーなレコード会社からボートラ入りの日本盤が出たんだよね(まだ買ってないや。廃盤になる前になんとかしないと)。実はこの『Vol. 2』も9月16日に日本盤が出るということで、もしかしたらまたそれもボートラ入りで、悔しい思いをすることになるのかもしれないけど、そのボートラの選曲次第では、もう一枚買っても構わない。それより、日本盤を待ってる間こんなに素敵なアルバムを1ヶ月も聴けないなんて方が僕には問題だから、ちっとも悔しくなんてないよ。

そして嬉しいことに、今回のブックレットの最後のページにも、「SEE YOU NEXT TIME! XO」の一文が。次は80年代編だね。すっごく楽しみ。たとえまた3年待たないといけないとしてもね。
posted by . at 01:37| Comment(10) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月28日

期間限定1ドル - Fanfarlo

Reservoir.jpg Fanfarlo 『Reservoir』

ここのところちょっと忙しくしていて、スクイーズとニック・ロウの記事に沢山頂いている超マニアックな(笑)コメントにもろくに返事ができておらず、申し訳なく思っている。まあ、そちらの方はこの週末になんとかするとして、もう一つ、次の週末になる前に書いておかないといけない記事があるので、手短にやっつけてしまおう。

確かあれは、先月アップル・クランブル・レコードでまとめ買いをしようと、気になったのを片っ端からクリックして試聴していたときだった。この、シャイニングの双子を思い出させるセピア色の写真が目に留まり、試聴してみたらよさそうだったので買おうと思ったら、生憎売り切れていた(今日時点でもまだ売り切れているみたい)。

よく似た雰囲気のジャケのシングル盤もあって、そっちも気になったんだけど、確かその時は全部で8枚ほど、金額にして1万円を余裕で越える枚数が既にショッピングカートに入っていたので、いくら数十秒試聴して気に入ったたとはいえ、知らないバンドの、2曲しか入っていない7インチ盤、しかも1000円越えモノはやむなく選から落としてしまったんだった。

それからしばらくして、ふと何かのきっかけでこのバンド名を思い出し、検索してみたところ、なんと、あの売り切れていたアルバムが、7月4日まで1ドルでダウンロードできるというニュースを見つけた。しかも、アルバム全曲に4曲のボーナストラック付き。

この「1ドルで」ってところが上手いと思うんだよね。誰にでも当てはまる心情かどうかわからないけど、少なくとも僕は、もしこれが「無料ダウンロード」とかだと、逆に興味を失っていたと思う。もちろん、例えば今アイアン&ワインのオフィシャルサイトでやっているみたいな、既に自分が持っているアルバムのアウトテイクだとか、好きなバンドのライヴだとかなら喜んでダウンロードするけど、よく知らない新人バンドのアルバム1枚タダ!って言われても、「いや、他に聴くものいっぱいあるからいいっす」という気持ちになってしまう。

たまにCD屋でオマケに付いてくるサンプラーCDも積極的に聴きたいと思うことは少ないし、例えは変だけど、駅前で配っているティッシュとかをわざわざ受け取りたくないと思う心情に似てるのかも。それが、1ドルと値段をつけられた途端、自分はこのアルバムを意思を持って買うんだという気持ちに切り換えられてしまうんだろう。しかも時期限定のうえ、おまけに安い(笑)

と、なんだかわかったようなわからないような自己分析は置いといて、とにかく1ドル払ってダウンロードしてみたこのアルバム、ジャケ写から受けたイメージとは微妙に違ったんだけど、かなり僕の好みのツボを突いたものだった。

さっきリンクを載せたアップル・クランブルの解説によると、ペイル・ファウンテンズが引き合いに出されているロンドンのバンドだという。そういうイメージを持って聴いてみたんだけど、どうも僕にはアメリカのバンドばかりが頭に浮かんできた。ほんとにこれ、イギリスのバンドなの?

ヴォーカルのよれ具合、アコースティック楽器主体でガチャガチャと(でも決してやかましくはなく)かき鳴らされるちょっとねじれた楽曲、曲によってストリングスやソウ(アミーナのアルバムでお馴染みの、木霊が出てくるときみたいなあの音)の効果的な使われ方。僕には、クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー、オカヴィル・リヴァー、ベイルートあたりの良質なアメリカのグループのエッセンスをぐるぐるとよくかき混ぜたような音に聴こえる。ボートラを含めて数曲の短いインストも、とてもいい雰囲気。

1ドルダウンロードが上手いやり方だと書いたけど、普通の人はそうやってダウンロードしてしまったらそれで満足してしまうのかな。だとすると、期間限定だとはいえ、本当はセールス的には上手いやり方とは言えないのかもね。でも、僕は例えばこの素敵なジャケットのアルバムがLPで出たら、買うと思う。残念ながらLPは出ていないようだけど、彼らのサイトを見ていると、5月25日にロンドンのラフトレードで無料ライヴを演った際に、枚数限定でこのアルバム手作りパッケージ版を出していたみたい。ちょっと間に合わなかったよ。悔しい。

同じくオフィシャルサイトから、アルバム中の一曲「Finish Line」のアコースティック・ヴァージョンのビデオが配られていたので、貼り付けておくね。こういう映像を観ると、ああロンドンのバンドなんだ、って気がするね。誰かの裏庭に集まって演奏しているような風景(三輪車がいいね)。英国風のジャケットを着た女性メンバーがマンドリンを弾いたり膝を叩いてリズムをとったりするのも味があるし、グロッケンを弾いていたメンバーが曲の途中でメロディカからトランペットへと忙しく動き回るところもいいね。それに、曲が終わったときにちょっと聴こえる鳥のさえずりがまたなんともいえない。



ビデオの最後にも出てくるけど、1ドルダウンロードの期限まであと一週間。これ観て聴いて気に入った人はダウンロードしてみて。もし7月4日までにダウンロードできなかった人は、次にアップル・クランブルさんに入荷するのを待ちましょう。
posted by . at 12:36| Comment(5) | TrackBack(1) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月06日

横入り - Tinted Windows

Tinted Windows.jpg 『Tinted Windows』

5月のGWは遠出をせずに、東京でも普段あまり行かない街に行って、ちょっとした小旅行気分を味わっていた。僕がリゾートでなく都会に旅行に行ったらすることは大体決まっていて、今まで雑誌広告でしか名前を見たことがなかったような輸入盤店や、初開拓のブックオフなんかを手当たり次第に攻略していた。

1月のグレン・ティルブルック公演以来あまりCDを買っていなかった反動か、そのGWをきっかけに、5月になってから結構な枚数のCDやレコードを買い続けてしまっている。もう6月なのに「5月になってから」なんて書いてるのは、6月になってからも引き続き、通販で買ったものが届いたり、昨晩もセールをやっていた某店で6枚買い込んできたりしているという、現在進行形のお話だから。

それだけの枚数を買っていればそれなりに当たり盤も多かったから、どれから書こうかと考えていたところ、5月の最終日になって通販で届いた1枚のCDが、順番待ちをしていた数十枚の行列に横入りして、今日の記事の候補になってしまった。聴いたばかりのCDのことをこんなに急いで書きたくなったのなんて、おととしの10月のこの記事以来のことだったと思う。結局そのときのアルバムは2007年の僕の個人的ベストアルバムでトップに立ったことを思えば、今から書くこのアルバムのことを僕がどれだけ気に入っているか、想像はつくかもしれない。

輸入盤を買ったのにシュリンクラップに貼ってあった日本語のステッカーによると、“全米で話題沸騰の「超」スーパーグループ誕生!”だそうだ。

果たしてスーパーグループなのか、しかもそれが「超」なのかどうかは微妙なところだと思う。4人のメンバーそれぞれが属していた(いる)グループと、それらのグループ内での各メンバーの立ち位置を考えると。

まず、このグループの音楽的な核であろう、ファウンテンズ・オヴ・ウェイン(Fountains Of Wayne)のアダム・シュレシンジャー(Adam Schlesinger)。主に僕のブログからのみ音楽的知識を仕入れている数名の奇特な読者の方々は、さっきのコワい犬の翌日に書いたこの記事を覚えておられるかもしれない。そのバンドのソングライターコンビのうちの一人。でも、担当楽器はベースで、歌は歌わない方。

そのFOWのアルバムにもゲスト参加していた(そして僕は彼についてわざわざ「まあ、そっちは僕にとってはわりとどうでもいいんだけどね」なんて書いた)元スマッシング・パンプキンズのジェームス・イハ(James Iha)がギター。“スーパーグループ”が目的なら、スマパンからならビリー・コーガンを連れてくる方がいいんだろうけど、ここはアダムのお友達ということで。

ヴォーカルのテイラー・ハンソン(Taylor Hanson)が、一般的には一番の失笑モノなのかもね。いや、一般的にはもう10年以上も前にヒットした「MmmBop☆」なんて忘れられているから、「ハンソン?誰?」ってな感じか。「一般的には」なんて書き方をしているのは、もちろん僕的にはハンソンは大のお気に入りグループだったから。奇特な読者様はこの記事の6・7曲目のところを参照。その6曲目を声変わり中のハスキーヴォイスで歌っていたお兄ちゃんが、やあしばらく見ない間にすっかり大きくなって、と親戚のおじさん気分。

この3人が意気投合して「バズコックスからナック、チープ・トリックまで」を意識して作ったグループがこのティンテッド・ウィンドウズ(Tinted Windows)。「チープ・トリックのバーニー・カルロス(Bun E. Carlos)みたいに叩けるドラマーはいないものか」と探して、たどり着いたのがバーニー本人、ということらしい。きっとグループ内では彼がほんとにおじさん気分でいることだろう。チープ・トリック全盛期にはテイラーなんてまだ生まれてもいなかったからね。チープ・トリックを知らない奇特な読者様はこちらをどうぞ。10曲目のジャケの右端が彼。

こうして見ると、スマパン以外は少なくとも一度は僕のブログで取り上げてきたバンドばかりだから、この「スーパーグループ」は僕にとってはそれなりに興味の的ではあった。ただ、ニック・ロウやジョン・ハイアットやライ・クーダーという、僕にとってより「スーパー」なメンバーが結成したリトル・ヴィレッジのアルバムがイマイチだったのを始め、こういう所謂スーパーグループってあんまりうまくいったためしがないのも事実。

なので、それほど期待せずに聴いてみた。これを買ったのも、某通販サイトの「○枚買ったら○%引き」の数合わせのためというのが正直なところだったし。おまけに安かったし(上にリンクしたアマゾンでも、輸入盤954円?35分ちょっとしかないとはいえ、11曲も入ったれっきとしたフルアルバムだよ)。

聴いてみた結果が、冒頭三段落目に書いたとおり。これがもう、とにかくかっこいい。ジリジリしたメタリックなギターの音に導かれて始まる、シングル曲「Kind Of A Girl」がオープニング。そこにドカドカドカドカと切り込んでくるバーニーのドラム。ああ、この音が欲しかったんだね、というのがよくわかるよ。

そして、この声!てっきり僕は、ハンソンのアルバムでのテイラーの声は声変わり中だからあんなにハスキーで時折り裏返ったりかすれたりするんだと思ってたけど(そしてそれが理由で、子供なのにあんなにセクシーな歌声になっているんだと)、あの声と歌い方は今もそのまま。全然変わってないよと思って、ハンソンのファーストを聴きかえしてみたら、さすがに声のトーンは随分低くなっていたけれど。

FOW内でのクリスとアダムの作曲分担がどうなっているのかは知らないけど、きっとヴォーカリストでもあるクリスが詞を書いて、アダムが曲を書いているのかもしれない。そして彼がFOWで使わなかったかっこいい曲は全部こっちに持ってきたんじゃないかと思えるぐらい、粒揃いのポップでキャッチーな曲が次から次へと出てくる。11曲中、7曲が彼の作で、2曲がイハ、1曲がテイラー、最後の1曲がテイラーとアダムの共作なんだけど、アダムが作曲した曲のクオリティーがどう聴いてもダントツに高い。

安いと思って輸入盤買ったけど、こうなってくると日本盤に入ってるボートラも気になるな。だれかにこれを売りつけて、そっちに買いなおそうかな。ちょっと誰か、マイスペースで試聴してみて、気に入ったら連絡ちょうだい。

tinted_window_b&w.jpg

posted by . at 17:49| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月30日

軽めの呪術 - Winterpills

Central Chambers Vinyl.jpg Winterpills 『Central Chambers』

仲間内では皆に知れ渡っているほど大変なことがあったという友達。様子を見がてら心配して会いに行ったら、これが意外なほどに元気でちょっと拍子抜けしてしまった。だけど、話がふと途切れたときに見せる彼の表情が覆っている、その下にある想像もできないほど深い悲しみを垣間見る瞬間。

アルバム冒頭で爪弾かれるアコースティックギターの弦。頻繁に静から動へと移り変わるのに、決して激昂することのない演奏。時折り添えられる、壊れた機械が立てるような電子音。ベトナムでフィールドレコーディングしたという雑踏の音。遠くで鳴っているようなピアノ。

二つの声。どこまでも静かに、淡々とうたう。キーはわりと高いのに耳に心地良く馴染む女性ボーカル。時折り使うファルセットがシアウォーターのジョナサン・メイバーグを思い起こさせる男性ボーカル。彼の書く悲しげなメロディーラインが余計にそう思わせるのかもしれない。

同じフレーズが一曲の中で何度も何度もマントラのように繰り返される。あるいは、一つの短い文章が少しずつ形を変えて歌われる。以前、確かブルース・スプリングスティーンについて書いた記事で、同じ言葉のリフレインが多いのは嫌だと書いたけれど、どういうわけかこのアルバムではそれが全く気にならない。むしろ、ちょっと軽めの呪術に掛けられてしまったかのように聴き入ってしまう。

昨年10月に発売になった、アメリカはマサチューセッツの5人組、ウィンターピルズの3枚目のアルバムが、どうしてそんなことになったのかはわからないけど、今年の1月になって、装丁を大きく変えて、ボーナストラックを1曲追加した上で、LPで発売された。ちなみにCD版は最初のままのジャケットと曲順で、今でも普通に流通している。

Central Chambers CD.jpg Winterpills 『Central Chambers』

一番上に載せた、雪で形作った指先とハートというモチーフは、それはそれでとても綺麗なんだけど、ちょっとロマンチックすぎるかなと僕には思えてしまう。古い建物の上に尾を引く飛行機雲という、オリジナルのCDのジャケ、更に言えば、それを白黒にした上でトリミングを大胆に変えた今回のLPの内袋の写真が、このアルバムの音を最も端的に表しているように思える。

Central Chambers Inner.JPG

LP用に新たにマスタリングされた音は、それぞれの楽器の音がとても立体的に構成されたように聴こえる。もちろん高音質MP3ダウンロード用のコードが付いているから、LPを聴ける環境にあって、iPodやウォークマンでも聴きたいという人は迷わずこちらを選べばいい。裏ジャケの、ぴんと張られた(ちょっとくたびれた)荒縄を包み込むように積もった綿毛のような雪の写真も雰囲気あるし。この人たちのビジュアルセンス、すごくいいね。

ビジュアルセンスのよさを再確認できる素敵なPVも観られる彼らのマイスペースのサイドバーにある、「影響を受けた音楽」の欄。リストの最初にあるのがイノセンス・ミッションだというのに納得。ちなみに、その下には「作家」の欄もあって、最初に書いてある名前は、ムラカミ。そして、「映画」(最初はベルイマンの「野いちご」)の下に続く「その他」の欄にはこう書いてある。

  睡眠不足
  死への恐怖
  郷愁
  幻想
  廃墟

イノセンス・ミッションについてはこのブログに書いたことはないけど、そんなの説明しだすとまた長くなるので省略して、それと村上春樹とイングマール・ベルイマンと睡眠不足と死への恐怖と(以下略)とをよく混ぜ合わせて作られた、そういう音。早く最初の2枚も手に入れないと。
posted by . at 13:28| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月10日

人脈 - John Wesley Harding

Who Was Changed And Who Was Dead.jpg 
John Wesley Harding 『Who Was Changed And Who Was Dead』

ジョン・ウェズリー・ハーディング。セカンドアルバム『Here Comes The Groom』で初めて彼のことを知ったときは、どんなキワモノかと思ったものだった。だって、ボブ・ディランのアルバムタイトルをそのまま芸名にし、エルヴィス・コステロのニセモノみたいな声で、そのエルヴィスのバンド、アトラクションズの二人(ブルース・トーマスとピート・トーマス)をバックに録音したアルバムだなんて。真っ赤な背景に薔薇のイラスト、上半身裸(肩までしか写ってないけど)の彼がこちらを見つめているジャケも、それだけでちょっと勘弁って感じだったし。

半分シャレのつもりで買ったんだと思う。あるいは、コステロ絡みは何だって集めたいと思っていた時期だったのかもしれない。それが、ブックレットを見てみたら、先のアトラクションズの二人に加えて、トム・ロビンソン、ゲライント・ワトキンズ、カースティ・マッコールなんて錚々たるゲストプレイヤーの面々(その時は知らなかったけど、キーボードのケニー・クラドックは元リンディスファーンだし、04年に発表された幻のファーストアルバムには、アトラクションズの残り一名、スティーヴ・ナイーヴも参加していた)。なんで、無名の新人のアルバム(しかもそっくりさん)にこんな豪華なゲストが参加しているんだろう。

CDを聴いてみると、そっくりさんどころじゃない曲のクオリティ。あんな声であえてアトラクションズの面々をバックにつけて登場したことが彼にとってラッキーだったのかどうかはわからないけど、彼が単なるコステロ・フォロワーなどではなかったことは、あれから20年弱、既に時代が証明している。

アメリカに活動の場を移したイギリスのミュージシャンは山ほどいるけど、そうしておきながらあえてブリティッシュ・フォークの方面に回帰していった人はあまりいないと思う。ここ数年の彼は、その頃(一般的な意味で)誰も知らなかったニック・ジョーンズを再評価した99年の『Trad Arr Jones』以来、アルバム毎にフォークとコンテンポラリーな音楽を行ったり来たりしていた。コンテンポラリーものとしては04年の『Adam's Apple』以来、そして彼が05年に企画したブリティッシュ・フォーク再評価プロジェクト、ラヴ・ホール・トリスト(The Love Hall Tryst)の『Songs Of Misfortune』以来となるニューアルバムがようやく発売になった。

07年の夏に元ポウジーズのジョン・オウアと一緒に日本公演を行ったとき(僕があと半年早く帰国していれば、全公演追っかけたのに…)のセットリストを見ると、この新作からの曲が結構歌われていたことがわかる。このアルバムの録音もそのとき既にかなり進んでいたんだろう。今回のバックバンドは、しばらく前から親密になっていたスコット・マコーイーを通じて知り合ったと思しき、スコット自身を含むマイナス・ファイヴ(ギターはもちろんREMのピーター・バック)が中心。

00年の『The Confessions Of St. Ace』でも1曲に参加していたアール・スリックが、今回も1曲でギターを弾いている。一体どこからこんな伝説のギタリストみたいな人を引っ張ってくるんだろう。さっきのセカンドアルバムでの人選といい、ほんとに不思議。そういえば、自分のコンサートには決して前座をつけないブルース・スプリングスティーンが、過去に一度だけ前座を指名したことがあって、それがこのジョン・ウェズリー・ハーディングだったというのも驚き。音楽性を評価されたのはもちろん、人脈作りにも長けた人なんだね、きっと。

上に載せたちょっと取っ付きにくいタイプのジャケ(フォーク路線じゃないときぐらい、はっきりそれとわかるジャケにすればいいのに)に臆せず聴いてみれば、相変わらずのコステロ声で歌われる、バラエティに富んだ13曲が楽しめるはず。前々作の「Negative Love」みたいなキラー・チューンがないように思えるのがちょっと残念だけど。でも、後述するライヴCDでも演奏されている自伝的な「Top Of The Bottom」とか、平均以上にいい曲は多いと思うよ。

彼のウェブサイトのショップでは、去年の11月頃から既にこのアルバムの有料ダウンロード告知が始まっていたようで、「ベーシック」コース(15.98ドル)でダウンロードすると、初回5000枚限定のライヴCDが付いたこのCDアルバムが送られてくる。僕はダウンロードなしで、店で直接ライヴCD付きの2枚組を買ったけどね。面白いのは、サイトにはこのベーシックコース以外にもいろいろあって、

29.98ドルの「ベーシックプラス」コースは、ダウンロードと2枚組CDにTシャツ付き。

49.98ドルの「ファンシー」コースは、ベーシックプラスに加えて1000枚限定のライヴDVD付き。

79.98ドルの「スーパーファンシー」コースは、ファンシーに加えてサイン入りのポスター付き。

そしてなんとその上に、5000ドルの「クレイジーデラックス&パーソナル」コースというのがあって、それはスーパーファンシーのポスターが額に入っているだけでなく、ウェズが家に来て歌ってくれるというとんでもないもの。マジですか?「近くなら交通費は要らない。遠い場合は交通費を負担して」とのことだけど、5000ドル+NYからの往復旅費ぐらい、日本のファンがちょっと結託すればすぐに集まると思うんだけど。

さて、5000枚限定のライヴCDの話を少々。中央にウェズのアコギ、右チャネルに盟友クリス・フォン・スナイダーンの12弦(多分)、左チャネルにロバート・ロイドのマンドリンというアンサンブルが見事。1曲目の「Kiss Me Miss Liberty」から聴き惚れてしまう。先述の『St. Ace』でアール・スリックが歌っていた「Our Lady Of The Highways」でウェズのデュエット相手のパートを歌うのは、ジョシュ・リター。

極初期の「The Devil In Me」から新作の「Top Of The Bottom」まで、年代的にも幅広く網羅した、ベスト盤的選曲のアコースティック・ライヴ。ライヴ盤だったデビューアルバム『It Happened One Night』以来変わらない、言葉が溢れてきてしょうがないといった風情の歌詞とMC(シニカルなジョークを交えた喋り方になんとなくグレン・ティルブルックを髣髴とさせるところもあるね)。せっかくの新作アルバムには申し訳ないけど、僕は入手以来こっちの方を何度も聴いてしまっている。

僕の大好きな曲の一つ、このライヴ盤には入っていないけど、僕が最初に手に入れた『Here Comes The Groom』の最終曲、トム・ロビンソンがプロデュースした「Bastard Son」の出だしの歌詞は強烈だった。

 ボブ・ディランが父親 ジョーン・バエズが母親
 俺は二人の私生児


1990年にこれを聴いたときは、大ボラ吹きの冗談だと思った。でも、今では彼を知る誰もが、この私生児がちゃんとその両親の後を正しく歩んでいることを知っている。派手に立ち回ったりはしないけれど、時々フォークのご先祖様を敬いながら、不思議な方法で人脈を増やしながら。
posted by . at 19:36| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月12日

ニセスミス - Northern Portrait

The Fallen Aristocracy.jpg
Northern Portrait 『The Fallen Aristocracy EP』

Napoleon Sweetheart.jpg
Northern Portrait 『Napoleon Sweetheart EP』

僕が最初にこのバンドを知ったxiaoさんの記事を超えるものは書けそうにないし、ちょっと調べてみたら巷では随分話題になっていて、どこも軒並み同じようなことが書いてあるので、どうも今日の記事はうまくまとめられなくて、昨日から何度も書いたり消したりしている。なので、いつにも増して支離滅裂なのはご容赦のほど。

先日買ったThe Digのギターバンド特集で、スミスのレコードジャケットが、レアなのも含めて44枚、カラーの1ページにずらりと並んでいるのを惚れ惚れしながら眺めている。改めて自分がこのバンドに惹かれていた大きな理由の一つが、彼らの一貫したヴィジュアル感覚だったんだと再認識。そしてそれは同時に、音楽的にはスミス時代とさほど変わったことをやっているわけでもないのに、どうしても今のモリッシーにのめり込めない理由でもある。

古い映画から抜き出してきたような一連のジャケット写真だけでなく、瑞々しいギターのアルペジオも、端正なドラムとベースも、まわりくどい言い回しのタイトルも、そしてなによりこの若き日のモリッシーが乗り移ったかのようなヴォーカルも、すべてがあの頃のスミスを彷彿とさせるこのデンマークの3人組、ノーザン・ポートレイト。

ニセスミスだなんて揶揄するような呼び方をしているけど、僕が音楽を聴きはじめた80年代初期にどれだけ沢山のニセバーズやニセヴェルヴェッツがいたか、そしてその中のいくつかのバンドがその後どれだけ大きくなっていったかを知っている身としては、この『Strangeways, Here We Come』以降の失われた歴史をあえて紡ぎだそうとしているこのバンドを応援しないわけにはいかない。

EP2枚分、全8曲。それに、マイスペースで公開されている別の2曲。この10曲が、僕らが今聴く事ができる彼らの音源の全て。現在『Criminal Art Lovers』というタイトルのフルアルバムを製作中だというから、この2曲はそこに収められることになるのかな。いつ完成するんだろう。楽しみ。

最初のEPに入っている「A Quiet Night In Copenhagen」って、タイトルだけじゃなくタッタカしたリズムも、同じデンマーク出身のモア・カプリスの「The Only Happy Boy In Copenhagen」に似ている。ああそうか、このあまりにもモリッシー似のヴォーカルに惑わされるけど、根っこのところはあの人たちと同じなんだ。そう思ってムリヤリこじつけると、『Criminal Art Lovers』ってタイトルも、モアの「Artboy Meets Artgirl」に似てなくもない…こともないか(どっちだ)。

このままニセスミスでは終わらないだろう、魅力的な曲を書く魅力的なこのバンドが、約一年振りに僕を北欧モードに引っ張り戻してくれた。先日も久々にCD屋に出かけたら、目につくのは何故か北欧物ばかり。あんなに中古盤掘り起こしたのも、考えてみれば1月の吉祥寺三連戦以来かも。近いうちにまたこの辺の北欧物まとめて記事にしようかな。
posted by . at 13:03| Comment(4) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月05日

354/400 - Glenn Tilbrook

Aussie P.jpg Glenn Tilbrook 『Aussie P』

そういえばあのEPが出たとき、買わなくちゃなんて思ってたのに、どういうわけかスルーしてたんだよね。気でも狂ってたのかな、僕は。

そう書いたのは1月17日の記事。グレン・ティルブルック京都公演レポート。グレンが歌う「Private Number」を初めて聴いたときに、自分が買いそびれていた限定CDにその曲が収められていることを知った。

東京に帰ってすぐにイーベイでアラート設定をしたんだけど、そう簡単に出てくるブツじゃない。なにしろ世界中に400枚しか存在しないCD。それを知ってるファンはまず手放すことはないだろうから。まあ、気長に待ってればいいや。一刻を争って聴かないといけないものでもないし。

通知メールは意外なほど早く届いた。あれは2月の末だったかな。開始価格はUS$9.99。オークション終了はそれから約一週間後。

普段ネットオークションでCDとかを買うときには、大体自分の頭の中で上限価格を設定して臨むよね。たまに熱くなってその上限をオーバーすることもあるけど。あとはその価格で入札するタイミング。最後まで競りそうなものは相手の入札価格を推定しながらぎりぎりまで粘ったりとか。イーベイは欧米からの出品が多いから、終了時刻が日本の深夜とか明け方になることが多くって、最後に競り負けることもよくある。

今回僕が決めた上限価格は、なし。何ドルまで上がっても絶対に買う。これを逃すと次はいつ出るかわからないしね。とはいえ、そうそう早い時期から高い金額を入れると、競合相手に手を読まれるから、入札するタイミングには細心の注意を払って。いくらでも出すつもりとはいえ、安ければそれにこしたことはないし。

運が良かったことに、今回の出品者はオーストラリア在住。向こうの夜の終了時刻が、ちょうどこっちの夕方(しかも週末)。最後は秒刻みで相手の出方を見られる。

終了時刻のかなり直前まで“普通の”CDの値段だった入札価格は、終了前日あたりからいきなり数十倍に跳ね上がり、最後はほんとに数秒差、最後にお互いが出し合った最高額の差が僅か2ドルという接戦の末、落札することができた。

具体的な金額は書かないけど、これは僕がこれまで一枚のCDに払った最高額。記録によると、それより数千円高く払ったこともあるけど、それは9枚組のCDボックスセットだったから。そういうボックスセット類を除けば、これまでの最高額は、これもオークションで手に入れたスクリッティ・ポリッティの『4 A Sides』という12インチシングル。あれも僕はリアルタイムでたまたま買い逃してて、何年も経ってから“上限価格なし”ポリシーで買ったんだった。皆さん、将来希少価値がつきそうなものは、迷わず買っておきましょう。まあ、そうやって買ったものの、中古屋でわんさか叩き売られてるようなのもよくあるんだけどね。

肝心のCDの話に移ろう。届いてみたら、スリップケースの裏側に手書きのシリアルナンバーが。354/400。その具体的な番号が、自分以外にこれを持ってる人が世界中にあと399人しかいないんだと実感させてくれる。CDもスリップケースも、お世辞にもミントといえるようなコンディションじゃないけど、コピーしたCD-R盤とかじゃないのを確認して、一安心。再生に問題のあるほどの汚れでもなかったし。

全7曲入りで、2曲目を除いて全てオーストラリアでのライヴ録音。1曲目が、京都で聴いた「Private Number」。ロックウィズ(Rockwiz)という、地元テレビのクイズ番組が企画した『Rockwiz Duets』というCD向けに録音されたものらしい(一応リンクは貼ってみたものの、どうも廃盤っぽいね)。デュエット相手のリンダ・ブル(Linda Bull)は、その番組のパーソナリティーぽい人なのかな。けっこうソウルフルに歌ってて、グレンとの掛け合いもきまってるよ。

調べてみると、この曲は、ジュディ・クレイ&ウィリアム・ベル(Judy Clay & William Bell)の68年の小ヒット。作者の「Jones/Bell」の片側って、ブッカー・T・ジョーンズだね。ちなみに、一昨年再発された『Greasy Truckers Party』に、オリジナルの5曲に10曲も追加されたブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)のライヴ演奏が収録されていて、若き日のニック・ロウ(Nick Lowe)が歌う同曲を聴くことができるよ。もともと貴重盤のわりにブリンズリー比率が少なくて買うのを躊躇していたニック・ロウ・ファンは、この拡大版を是非どうぞ。

Greasy Truckers Party.jpg 『Greasy Truckers Party』

2曲目は、『Transatrantic Ping Pong』からの「One For The Road」。オリジナルとは違って、バックを務めるのはフラッファーズ。オリジナルよりもテンポを上げて、スティーヴンのオルガンソロも軽快でいい感じ。この曲だけがグラスゴーでの録音。05年12月2日。その年のオーストラリア公演はソロだったからね。

3曲目以降は全て、05年9月16日のシドニーでのソロ公演から。「Third Rail」を歌う前の観客とのやりとりが可笑しい。The Basementという会場の名前から察するに、小さなハコなんだろうね。口々にリクエストの曲名を叫ぶ観客。「Tempted!」「Cool For Cats!」(どこにでもこれをリクエストする奴がいるんだね)グレンが「ははは、それはありえないよ」だって。

「Third Rail!」とリクエストがあり、「あぁ、今のはきっと僕のレコード会社に雇われた人だね。さもないとこんな曲、誰も聴きたいはずがないから」と笑わせて、あの(日本公演で何度も演奏されたのを聴いた人には懐かしい)アコギのイントロに入る。

4曲目「Hostage」の12弦ギターのイントロも懐かしいね。この曲とか、この2曲後の「By The Light Of The Cash Machine」とか、隠れた名曲的なのが入っていなければ、僕はこのEPにここまでこだわることはなかったかも。

5曲目の「Elephant Ride」も今回の来日公演で頻繁に演奏してたね。「この曲はブライアン・ウィルソンの影響を受けて書いたんだ。今聴き返してみると、どこにそんな影響があるのかさっぱりわからないけど、とにかくあの当時はそう思っていたんだ」と、相変わらずの自虐的なジョークで紹介。そういえば、07年の来日公演のとき、ブライアン・ウィルソンのSmileシャツを着ていったんだった(そのときの写真)。

6曲目「By The Light Of The Cash Machine」は「ロン・セクスミス(Ron Sexsmith)と」、7曲目「Untouchable」は「クリス・ブレイド(Chris Braide)と」それぞれ一緒に書いた曲だと紹介。特にクリスのことは、「素晴らしいソングライターだ。一緒に曲を書くことができて嬉しい」なんて言ってるね。

「Untouchable」はこの日の本編ラスト前だったようで、演奏終了後に「今日は本当にありがとう。あと一曲でお別れだ。次の曲は…」という台詞にエコーがかけられてこのCDは終わる。このCD、それぞれの曲間もブツ切りだし、録音状態もバラバラで、いかにも速成のプロモーション用といった風情なのに、この部分だけがそんな風に編集されているのがちょっと意外。

という感じで、わずか20分強のCDは終了。物足りないのでまた最初に戻って聴き直す。この感覚、なんだっけ。あ、そうか、つい数ヶ月前に『Pandemonium Ensues』を何度も何度も繰り返して聴いてたのと同じだ。ほんとにクセになるね、この人の歌は。
posted by . at 16:43| Comment(11) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月01日

磐石 - Jeb Loy Nichols

Parish Bar.jpg Jeb Loy Nichols 『Parish Bar』

どうもこの人のアルバムを紹介すると、僕の生活に転機が訪れるみたい。別に前のアルバムのときみたいに国境を越えての転勤とかじゃないけど、すぐ近所に引っ越すことにした。近頃、公私共になにかとバタバタ忙しいんだけど、これから数週間もっと慌しくなるだろうから、今のうちにちょっと短いのを書いておこう。

07年の『Days Are Mighty』以来二年ぶりのアルバム。こちらの方は転機どころか、前作の続編と言ってもいいような内容。ウェールズの自宅で録音、ジェブ・ロイ自身によるプロデュース。5人のバンドで録音した前作とは違い、今作では楽器演奏もほとんど自分でこなしている。

カードボード・スリーヴに封入された歌詞カード(と言っていいのかな)に1曲だけ歌詞が載っているアルバム冒頭の「Countrymusicdisco45」のタイトルが、素直にこのアルバムの音を表している。カントリーもディスコ・ミュージックも、境界がどこなのかよくわからないほど一つにくっついちゃって、ジェブ・ロイ・ニコルズ印としか呼べない音楽に仕立て上げられている。

つまり、いつもどおりの彼の音。最初にこのブログで彼のことを紹介した記事で「あえて言うなら、レゲエ+カントリー+ソウル」と評したようなね。今回のはいつもよりちょっとダブ風味かな。

彼にしては珍しく3曲ほど他人のカバーが入っている他、前作からの「Days Are Mighty」と「My Kind」が再録音されている。自分の曲のカバーってことなのかな。前作のボーナスディスク同様、何曲かのバックに鳥のさえずりが聞こえる。どんな素敵な田舎に住んでるんだろう。

いつになくキャッチーな曲が少なめで、とっつきにくい印象があるかもしれないけど、彼の音楽のファンであれば全く問題ないだろう。この不思議な色合いの建物のジャケも、味のあるカフェの写真の裏ジャケも、いつもながらのジェブ・ロイ自身による版画が載った歌詞カード(さっきの歌詞の裏面)も、すべてにおいて期待を裏切らない磐石のクオリティ。

実はこのCDを買う前からLPが出ていることは知ってたんだけど、MP3ダウンロードができるのかどうか不確かだったので、CDを買ってみた。そしたら、彼のサイトにちゃんとLPは180グラム盤でダウンロード権つきって書いてあった。ちぇ、先にちゃんと調べればよかった。このジャケ気に入ってるのにな。

あ、いいこと考えた。LPも買って、このCDはまたジェブ・ロイ応援団・東京支部長に売りつければいいんだ。支部長、よろしくお願いします。お安くしときますので(笑)
posted by . at 02:44| Comment(7) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月21日

背伸びの音 - Lord Large

The Lord's First XI.jpg Lord Large 『The Lord's First XI』

カーティス・メイフィールドを教えてくれたのは、ポール・ウェラーだった。シングル「Beat Surrender」のカップリング曲としてだったか、『Snap!』の初回盤に付いていたライヴ盤でだったか、それともFMのライヴを録音したのか、どこで最初に聴いたのかはよく覚えてないけど、83年にはもうすっかりソウル色を強めていたジャムが自分達の定番にしていた「Move On Up」という曲で、僕は初めてその名前を聞いたんだと思う。

無人島レコードはどうしても選べない僕の、無人島本ベスト3(やっぱり一枚には絞れてないけど)の一冊であるニック・ホーンビィの『ハイ・フィデリティ』で、主人公のロブが好きなレコードのトップ・ファイブの一番目にマーヴィン・ゲイの「Let's Get It On」を選んでいるのを見て、なんてクールなんだと思った。

中学生の頃から今に至るまで、およそロック/ポップスと呼ばれる音楽ばかりを聴いていた僕にとって、ソウルというのは、少し上の兄貴(*1)が教えてくれる音楽だった。結局そういう音楽を心の底から好きになることはなかったけど、ソウル・ミュージックを聴いているときにはいつだって、ちょっと背伸びをして、大人ぶった気持ちになれる。今の僕はもうとっくにいい大人だということはさておいて。

*1:ポール・ウェラーもニック・ホーンビィも、ちょうど中学生の僕が憧れる大学生の兄貴というぐらいの歳の差。もっとも、僕が中学生の頃にはニックは教員を目指して本当に大学で勉強していたはずだから、その当時の僕には名前すら知る由もなかったけど。

ロード・ラージ、本名スティーヴン・ラージ(*2)のこの06年に出たアルバム。お察しの通り、僕がこれを買ったのは、彼がグレン・ティルブルックのバンドのキーボーディストだということと、このアルバムにグレンがゲスト・ヴォーカリストとして参加しているということが理由だったんだけど、このアルバムは上に名前を挙げたような人たちの音楽を思い起こさせる。ノーザン・ソウル。それから、モッズ。

*2:このブログでは彼のStephenというファースト・ネームをステファンと書いていたけど、実際の発音はスティーヴンだということに気づいた。あとで過去記事も訂正しておこう。

スティーヴンはキーボード・プレイヤーに徹し、グレンを含めた8人のゲスト・ヴォーカリストが次々に登場する。僕はほとんどの人の名前を知らなかったけど、張りのある塩辛声、いぶし銀のようなテナー・ヴォイス、年齢不詳のチャキチャキのハイトーン・ヴォイスが代わる代わる登場して、楽しめる。その中では、アルバム本編最後に位置するグレンの声だけが、あまりに異色。これを買ったソウル・ファンはこの曲をどう思うんだろう。

そのグレンの曲のひとつ前に収められた、ディーン・パリッシュが歌う「Left, Right & Centre」。うわ、まるっきりポール・ウェラーみたい、と思ったら、なんとこれがポールが15歳のときに書いたという未発表曲。15歳って、ジャム結成よりも遥かに前?ジャムの曲よりむしろ、彼がソロになって最近書いた曲と言われたほうがしっくりくるような曲調。

おそらくLPではA面とB面それぞれの冒頭の曲と、日本盤ボートラの最後の2曲がインスト。これがまた、どこのモッズ・バンドかと思ってしまうぐらい、超かっこいい曲ばかり。スティーヴンのオルガンとウーリッツアー・ピアノ、それから、(ユニットとしての)ロード・ラージのもう一人の主役、アンドリュー・J・ジョーンズによるものと思われるストリングス。この3つの音の組み合わせがこのアルバムの要。曲調がソウル風だろうとモッズ風だろうと、それだけは揺るぎない。

これを聴くとはっきりわかるのが、グレンの『Pandemonium Ensues』のあの音作り、これまでの2枚と明らかに違う音の感触は、この人たちが持ち込んだんだということ。たぶん、スティーヴンとアンドリューがいなければ、「Still」はああいうアレンジにはならなかったんじゃないかと思う。

グレンのこれまでのアルバムにも参加していたこの(当時はろくに名前も記憶していなかった)キーボーディスト、正直言って、僕は単なる雇われセッション・ミュージシャンに毛の生えた程度だと思っていた。それらのアルバムでは特に目立ったプレイをしていたわけでもなかったし。

再結成スクイーズのライヴ・アルバム『Five Live』を聴いても、スタジオ盤でのジュールス・ホランドやポール・キャラックら先達のフレーズをそのままなぞっているだけという印象だった。1月31日の記事に書いたように、「Black Coffee In Bed」や「Love's Crashing Waves」の85年のライヴを聴いただけで、明らかにジュールス・ホランドがピアノを弾いているとわかったのとは大違い。

それが、『Pandemonium Ensues』でのあの飛躍ぶり。「Best Of Times」でのアコーディオンの素晴らしさは言うに及ばず、先述の「Still」での弦とオルガンとウーリッツアーの絡み、「Too Close To The Sun」でのモンド風味満載のムーグとエコー(*4)、どれもこれもスティーヴンと、アルバムの共同プロデューサーであるアンドリューの仕業だと思える。

*4:実際には、ムーグを弾いてるのはグレンで、エコー操作はアンドリューだけど、キーボード主体のあの曲にスティーヴンが口出ししてないはずがない、と決め付けておこう。

再結成スクイーズの初期の音源を収めた『Five Live』では、きっとスティーヴンは新参者だということで遠慮していたんだろう。来年出ると言われているスクイーズのニュー・アルバムでは、きっと彼が『Pandemonium』でしたのと同じぐらいの貢献をしてくれるはずだ。スクイーズのファンをニューオーリンズに連れて行ってくれたのがジュールス・ホランドだとしたら、この最新スクイーズのキーボーディストは、僕たちをシカゴやデトロイトに連れて行ってくれるに違いない。

どうも、放っとくとスクイーズの話ばかりになってしまうね。本題のこのアルバム、スクイーズとは全然ジャンルが違うけど、グレンが参加しているかどうかに関わらず、最近の僕のヘビー・ローテーションになっている。マイスペではグレンの曲は聴けないけど、アップされている4曲はどれも格好いいのばかりだから、興味のある人はどうぞ。きっと、ポール・ウェラーが『The Cost Of Loving』の頃に目指していたのは、こういう音だと思う。
posted by . at 12:20| Comment(6) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月14日

言葉の人 - Chris Difford

The Last Temptation Of Chris.jpg Chris Difford 『The Last Temptation Of Chris』

べつにウケ狙いでグレンのサイン会に持って行くためだけにこのアルバムを買ったわけじゃない。もう半年も前から気に入っていたのに、タイミングが合わなかったのか、すっかり紹介する機会も逸してしまっていたんだけど、グレン中毒からのリハビリのために最近またよく聴きはじめたから、今さらだけど思い出したように書いてみよう。

クリス・ディフォードの3枚目になるソロ・アルバム。とはいえ、僕が2006年のベスト20に滑り込ませた前作『South East Side Story』は、主にスクイーズの曲をアコースティックで再録した企画盤だったから、純粋な新曲によるスタジオ作としては、2002年の『I Didn't Get Where I Am』以来、6年振りの2作目ということになる。


ちなみに、上にリンクした記事では、やたらとネガティブな感想ばかり書いてしまった『South East Side Story』だけど、あの後にDVDの方を観て印象ががらりと変わってしまったことは書いておかないとね。

記事に書いたように、CDではグレンのパートをドリー・ジャクソンという女性が歌っていて、クリスとデュエットしているようなミックスになっていたんだけど、DVDの方がクリスのボーカルがずっと前に出てきているので、CDを聴いていたときに感じた“よその人によるスクイーズのゆるーいカバー集”という印象は一掃された。

それに、さすが「言葉の人」だけあって、ステージでのMCが面白い。グレンもよくステージで自虐的なギャグを言うけど、シニカルなジョークを喋らせたら天下一品だね、この人は。アート・ガーファンクルとウサギの話とか、DVD観ながらクスクス笑ってしまった。

CDにはない最後のパート、クリスの息子ライリー・ディフォードのベースを含むバンドが登場して「Cool For Cats」と「Take Me, I'm Yours」を演奏するところは、やっぱりぞくっときてしまう。スクイーズと比べると随分ゆるい演奏には違いないんだけど、テレキャスターを構えたクリスを見ているだけで、何か魔法にかかったような気持ちになってしまうね。


さて、いつまでも前作の話ばかり書いてるとまたとりとめのない長文になってしまうので、さっさと本題に移ろう。まずは、シニカルなジョークといえば、アルバム・タイトル『The Last Temptation Of Chris(クリス最後の誘惑)』が、マーティン・スコセッシの『最後の誘惑(The Last Temptation Of Christ)』のパロディだということ。内容は別に関係ないと思うけどね(映画は未見なので)。

『I Didn't Get Where I Am』でほとんどの曲を共作し、アルバムのプロデュースまでしていた元イット・バイツのフランシス・ダネリーに代わって、今作で重要な位置を占めているのは、ブー・ヒュワディーン。アルバムのプロデュースと全曲でのギターとコーラスを担当し、2曲を除いた全ての曲でクリスの歌詞に曲をつけている。

僕にとっては、CDも2枚ぐらいしか持っていなくて、そんなに熱心に動向を追っているという人ではなかったんだけど、彼の書くやわらかなメロディーが、クリスの声にこんなによく合うことを知って驚いている次第。彼の他のアルバムも欲しくなってきたよ(リハビリ効果)。

普段あまり歌詞を気にして曲を聴くことはないんだけど、この人のはやっぱり読んでみたくなる。ドラマ仕立てのような仔細なプロット、ひねった言い回し、心地良いライムはスクイーズ時代から変わらず、むしろスクイーズのいくつかの曲に見られる、何について歌っているんだかよくわからないような歌詞はなくなっているね。

自分の浪費癖(実話?)を歌った「Come On Down」、バンドでのツアーに明け暮れて子供達の世話をしてあげられなかったことを悔やむ(これも実話?)「Broken Family」、オペラなんかが好きだということで厳格な父親に救世軍に入れられてしまう兄とそれを悲しむ母のことを弟の立場で歌った(これは人に聞いた話らしい)「Battersea Boys」など、わずか3分ずつの曲を聴いているだけで小さな物語のそれぞれの場面をありありと思い起こさせてくれる作詞術はさすが。

スクイーズ時代も、結構暗かったり生々しかったりする歌詞を、グレンのカラフルなメロディーに乗せることで見事なポップソングに仕立て上げていたものだけど、このアルバムに収められているのも、例えばさっきの「Broken Family」なんて、歌詞を無視すれば(別にそんなに陰惨な歌詞というわけじゃないけど)とてもポップなメロディーを持った佳曲だ。

アルバムからのリードシングル(注1)である「Fat As A Fiddle」(注2)も、自分がいかに太って醜くなってしまったかを自覚しているけれど、でも食べるのが好きだからどうしようもない、というジレンマを切々と(笑)歌った曲。「いまや僕にはお母さんみたいにおっぱいがある」「運動始める前に既に息切れ」「毎朝靴下を履くのが苦痛」「僕は木みたいに見える」とかの歌詞が可笑しいやら切ないやら(注3)。

注1:ネット上でもCD屋でもその存在を見たことないけど、本当にシングル盤でリリースされてるのか?
注2:Fit As A Fiddle(ぴんぴんしている)という慣用句をもじった、「バイオリンのように太っている」?
注3:さっきのDVDで息子を紹介するときにも、かつての自分もあれぐらい痩せていたということを言ってたよ。よっぽど気にしてるんだね。


各曲に数行ずつ、クリス自身による解説がついていて、例えば「病院に行った」だの「赤ちゃんが生まれた」だのという歌詞がある「Reverso」が、実は精管切除手術について書かれた曲だということを知る。そういう際どい話題なのに、これもまたアルバム中でもトップクラスのポップな曲。

「俺の人生にいるもう一人の男/彼がどんなふうに思っているかなんてわからない/でも彼がどんなに傷つけるかは知っている」なんていう意味深な歌詞がサビに来る「The Other Man In My Life」、タイトルを見たときから、どうしてもグレンのことを歌ってると思ってしまう。でも、どう深読みしても、どうやらそうじゃないみたい(それらしきキーワードがちらほら込められてるから、もしかすると更に深読みすると、実はそうなのかもしれないけど)。

そう、余計なお世話だとは知りつつも、ファンとしてはどうしても気になってしまうのが、クリスとグレンの関係。グレンが自作の「Neptune」でクリスのことを揶揄していたりとか、なんとかあの二人がよりを戻してくれないかなと思っているこちらとしては、そういう言葉の端々がやたらと目につく。

そういう目でアルバムクレジットの謝辞を見ていると、ちょっとした変化に気づく。グレンのアルバムにももちろんクリスの名前は載っているんだけど、わりとそういうことには無頓着そうなグレンとは違って、「言葉の人」クリスとしては、謝辞リスト内でのグレンの位置とか、ちょっと添える言葉とかにまで気を使ってるんだろうなと思わせるような変化。

例えば、スクイーズ解散直後の『I Didn't Get Where I Am』では、謝辞のほぼ最後に思わせぶりに、「グレンへ、明かりを消してくれてありがとう。マキシンへ、明かりを点けてくれてありがとう」(注4)と、いかにもグレンにスクイーズ解散の原因を追究するような皮肉めいた言葉。

注4:クリスとグレンを引き合わせ、スクイーズ結成に導いたマキシン・ベイカーのことだろう。92年に白血病で逝去。名曲「Some Fantastic Place」が彼女を偲んで作られたのは有名な話。

その4年後、グレンと共作したスクイーズの名曲の数々を再録した『South East Side Story』では、謝辞の一番最後に「グレン・ティルブルックへ、僕の人生にメロディーを与えてくれてありがとう」と、少しは素直にグレンとの関係を見られるようになってきたのかなと思える言葉。

そして、ファン長年の夢をかなえたスクイーズ再結成を経た今作では、一番最後とかの気負った位置じゃない真ん中あたりに「敬服し、愛するグレン・ティルブルックへ」と、これは一切皮肉抜きだなとわかる書き方になっている。来日公演時にクリスの話をするグレンを見ていてもわかったけど、スクイーズ解散10年を経て、ようやくお互いの立ち位置を見つけることができたんだね。ビートルズのファンがとうとう最後まで果たせなかった幸せを感じている気分だよ。

ブーとの共作関係が継続的なものなのかどうかは知らない。グレンでさえあんなにゆっくりしたリリースペースなんだから、クリスの次のアルバムなんて、いつになるのかわかったもんじゃない(次の予定が2010年のスクイーズの再結成アルバムだなんて話は、眉を唾でべとべとにしながら聞いていればいい)。

でも、スクイーズが解散したときに、よもやクリスがこんなに素敵なアルバムを届けてくれることになるなんて、思いもしなかった。脇役(?)好きとしては、虚を突かれた気分だ。これからも引き続き油断してるから、次は突然来日とか決めてくれると嬉しいんだけどな。


<2月21日追記>

痩せていた頃。
Chris as a child.png
posted by . at 21:27| Comment(8) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

中毒 - Glenn Tilbrook & The Fluffers

The English translation follows the Japanese text.

Pandemonium Ensues.jpg 
Glenn Tilbrook And The Fluffers 『Pandemonium Ensues』

あれからもう一週間も経つというのに、気持ちが全然元に戻らない。典型的な祭りの後症候群。さすがに日常生活ではいつまでも呆けているわけにもいかないので仕事は渋々やっているが、音楽に関してはからっきしだ。グレンのライヴの記事に書いたとおり、吉祥寺での三夜連続ライヴのときには、毎日ちょっと早めに出かけて、吉祥寺中のCD屋をうろついて、10枚のCDを買ったんだけど、あれから約二週間、その10枚は机の上に放置されたままだ。何枚かは聴いてみたんだけど、ちっとも耳に入ってこない。

僕は自分でわりといろんな種類の音楽を聴く方だと思っているし、一枚のアルバムを聴いた後で全然違ったものを続けて聴くことには全く抵抗がない。というか、むしろ似たようなものばかり続けて聴くことの方が稀かも。ましてや、同じアルバムを何度もリピートして聴くことなんて、まずしない。飽きるからね。

そんな僕が、自分でも信じられないことに、このグレン・ティルブルックのニュー・アルバム『Pandemonium Ensues』を、最初に手に入れた日以来何度も何度も繰り返して聴いている。平均して少なくとも一日2回は聴いているから、もうかれこれ30回以上は聴いているはずだ。もう隅々までどこにどんな音が入っているかも覚えたぐらい。でも全然飽きない。「Too Close To The Sun」の最後の音が消えた瞬間、また再生ボタンを押している。こんなに中毒性の高いアルバムだとは思わなかった。

そんなわけで、今の僕には他のアーティストのことを書くのは到底無理。楽しかったグレン祭りの締めくくりとして、このアルバムについて書くことにしよう。

04年の『Transatrantic Ping Pong』以来、4年以上も待たされた新作。その間には、僕にとって最初のグレン祭りとなった06年の来日もあったし、デモ集が2枚も出たし、スクイーズのライヴ盤やデラックス盤も各種出ていたから、実はそれほど待たされたという感じはしていなかったことは事実。

オフィシャルには2月9日発売ということだけど、今回の来日に合わせてミュージックプラントが先行輸入。ライヴ会場で世界に先駆けての発売ということになったのは、日本のファンとしては嬉しいニュースだった。


Incomplete.jpgスクイーズ解散後最初のソロアルバム『The Incomplete』は、決して悪いアルバムというわけではなかった。リードシングルの「This Is Where You Ain't」は好きな曲だし、UK盤のボーナスディスクに収められた何曲かのアコースティック・ヴァージョンなんて、今聴いても新鮮だ。だけど、僕にとっては、あれは『Cafe Bleu』や『Welcome To The Beautiful South』を最初に聴いたときと同じ気持ちにさせられたアルバムだった。大好きなバンドが解散したあとの、中心人物が出した最初のアルバム。いつもの声、耳に馴染んだメロディーライン、でも何かが違う。『The Incomplete』の場合は特に、大きな欠落感がつきまとっていた。それは、クリス・ディフォードの声。

TPP.jpg『Transatrantic Ping Pong』には、大好きな曲がいくつも詰まっていた。「Neptune」、「Hostage」、「Reinventing The Wheel」などは、そのエヴァーグリーンなメロディーが今回の来日公演でも聴けたし(最後のやつは最初のヴァースだけだったけど)。もうこの頃には、グレンのアルバムにクリスの声が入っていないことにも慣れてきたし、純粋に大好きなアルバムと言えた。記録をひっくり返してみたら、04年のベスト10の一枚に僕はこのアルバムを選んでるね(ちなみに、クリスの『I Didn't Get Where I Am』も同じリストに入ってる)。


それらのアルバムにも参加していたメンバーがフラッファーズと名乗り、グレン・ティルブルック・アンド・ザ・フラッファーズ名義で初めて出たのが今回のアルバム。最初に聴いたときに前の2枚と音の感触が全然違うなと思ったら、今回のはわずかなオーバーダビングを除いては、ほとんどスタジオでの一発録音ということ。なるほど、それでこのライヴ感か。

さっき中毒性の高いアルバムと書いたけど、おそらく中毒性という意味では、アルバム一曲目「Best Of Times」が一番かもしれない。最初に聴いたときには、なんだか地味な曲と思ったんだけど、やがてスティーヴン・ラージの弾くアコーディオンの音が耳について離れなくなる。

ライヴのときのグレンのMCによると、フェイセズ、特にロニー・レインに影響を受けて書いたというこの曲、言われてみれば確かにこのアルバムとかに雰囲気似てるかも。

Anymore For Anymore.jpg 
Ronnie Lane & Slim Chance 『Anymore For Anymore』

僕はロニーのマニアックなファンという訳ではないので、アルバムも何枚かしか持っていないんだけど、グレンが歳を重ねてこういう感じの音を目指したいと思うようになったのはよくわかるな。ゆるいんだけど、かったるくない。ふくよかでアーシーな音。そんな音にぴったりの、泣かせる歌詞。地味な曲なんて誰が言った?(笑)。名曲。

続く「Through The Net」は、1月11日のライヴ終了後、最後まで会場に残っていた数十人にとっては、このアルバムの中で一番愛着を持つ羽目になった一曲だろう。グレン、早くプロモーションビデオをYouTubeにアップしてくれないかな。

「♪ララララララ」ジャン!とCDの音に合わせて脳内でコーラスのエンディングを終えたら、次に聴こえてくるのはこのアルバムで一番の異色曲。ベースのルーシー・ショウがリードボーカルを取る「Product」だ。スクイーズ時代もアルバム中何曲かは他のメンバーにリードボーカルを任せることはあったけど、女性ボーカルが入っていたことはもちろんないので、なんだか妙な感じ。

ライヴのMCで、これはとある女優をモデルにした曲だということを話していたけど、そうか、このルーシーのやたらとフラットな歌い方も、その女優の真似をしているんだね。ジョークとしては面白いけど、グレンが歌うこの曲を聴いてしまった身としては、やっぱりちょっと物足りなく思ってしまうよ。ちなみに、ここまでの3曲だけが、今回の来日公演7日間全ての会場で歌われている。最初の2曲はともかく、グレンこの曲そんなにお気に入りなんだね。わかったよ、もう金輪際この曲の悪口言わないから(笑)

続いては、ライヴでは“パンク”だと説明していた「Slaughtered Artist」。なるほど、“パンク/ニューウェーヴ”な頃のスクイーズみたい。ジュールス・ホランド風のピアノがちっともパンクじゃないけどね(だからあの頃のスクイーズも全然パンクなんかじゃなかったのに)。曲のエンディングで聞こえてくる笑い声から察するに、これはグレン流のパンクのパロディーのつもりなんだろうね。さっきの60年代風フレンチポップのパロディーに引き続いての。

グレンのマイスペースによると、2月2日にダウンロードオンリーでシングルカットされるだけなのに格好いいジャケまで用意されている「Still」。ウーリッツァーとストリングスが心地良いミディアム・テンポ。来日公演では大半の会場でアンコールで演奏したことを考えると、彼にとっては(他に主にアンコールで演奏した)「Black Coffee In Bed」や「Another Nail In My Heart」級の曲ということなのかも。それもうなずけるけどね。

東京公演最終日に、サインをもらいながらグレンにリクエストした「Relentless Pursuit」(結局最終日まで一回も演らなかったけど)。この華やかなコーラスを取り払ったら一体この曲がどういう風に聴こえるのか、興味あったんだけどな。ティルブルック・マジック満載の歌メロは、きっとアコギ一本の演奏でも素晴らしかったはず。

もしこのアルバムがLPでリリースされたとしたらA面のラストに当たる「Interest & Love」は、(きっと今はジョニー・デップ夫人としての方が通りがよくなったはずの)ヴァネッサ・パラディとのデュエット。とろけるような甘い声だよね。今回は名古屋だけで演奏した模様。聴いてみたかったな。

すると、B面の頭をクールなピアノで開けるのは、前回の来日公演で、グレンが一人で録音したバンドの音源をバックに既に歌われていた「Melancholy Emotion」。前二作ではよく一緒に作曲していたクリス・ブレイドとの共作。クリスは今回のアルバムではこの曲と「Little Ships」だけにピアノで参加。フラッファーズにも参加しなかったし、もうあんまり仲良くなくなったのかな。

「Relentless Pursuit」をリクエストしたときに、グレンが「She Makes Meだっけ?」とボケた訳がわかった。このアルバムでその二曲が、グレンとドラマーのサイモン・ハンソンとの共作だったからだ、きっと。グレンの頭の中では、「あれとあれはサイモンが歌詞を書いた曲」ということになってるんだね。リクエストしても歌ってくれなかったのは、さては、歌詞覚えてないな(笑)

東京の三日間は欠かさず演奏してたのに、そのうち演らなくなった「Happy Disposition」。あ、これもクリス・ブレイドとの共作か。東京初日に「ロンドンに帰ってきた」というこの曲の歌詞を聴いて、「ああ、そうだ、この人はロンドンからはるばる来たんだった」と当たり前のことを思ったことを思い出した。大阪公演で隣に座っていたMさんによると、「Helter Skelter」に構造が似ている曲。なるほどね。

アルバム中最もポップなメロディーの「Black Sheep」。トランペットなんかも使ったりして、気持ちいいね。お、手拍子メンバーの中にはルイス・ティルブルック君(息子)もいるぞ。童謡の「Baa Baa Black Sheep」のラインをトゥワンギーなギターで弾いたソロパートもお茶目。

一転して、ワウギターのイントロがいかす、性急な「Beachland Ballroom」。このあたりの緩急のつけ方がいいね。ところで、さっきの「Black Sheep」のクレジットが「Written by Stephen Large and Glenn Tilbrook」。この曲が「Written by Glenn Tilbrook and Stephen Large」。どっちかが、スティーヴンが曲を書いてグレンが詞を書いてるってことなのかな。普通は作詞家が先?ということは、この曲を作曲したのはスティーヴンってことかな。

目立たないけれど、僕にとってはこのアルバムのもう一つのハイライトと言っても過言ではないぐらいに好きな「Little Ships」。あ、これもクリス・ブレイドとの共作だ。仲良くないなんて取り越し苦労だね。それにしても、なんでこんないい曲を今回の来日公演では一度も演らなかったんだろう。

I have loved you from your first breath and always will till my last

僕のヘタクソな訳で濁したくない、こんな素敵な歌詞。前々から子供達への愛情を隠さなかったグレンだけど、特に今回のアルバムではいたるところにこうした感情が描かれている。

その曲がしっとりとフェードアウトするところに宇宙っぽいムーグの音が被さってきて、前作の「One For The Road」に引き続いてのインストゥルメンタルのエンディング「Too Close To The Sun」になる。多分、一般的にはこのアルバムの話題作りに一番手っ取り早いと思われるのが、この曲にジョニー・デップがナレーションで参加しているということだろう。実際、ジョニーのファンサイトとかでこのアルバムが結構な話題になっているとのこと。彼がスクイーズのファンだということで実現したゲスト参加だそうだ。いい趣味してるね、ジョニー。

それにしても、てっきりアルバムのリードシングルだと思っていた、11月29日の記事で取り上げた『Binga Bong!』。収録曲4曲ともこのアルバムには入らなかったどころか、今回の来日公演でも一回も演奏してないよ。一体あれは何だったんだ。アルバム先行アウトテイク集か?


ふぅ、いつになく全曲解説なんてしてしまったよ(ろくに解説になってないのもあるけど)。それぐらい、捨て曲なしだということ。今回グレンのライヴに来ていた人たちは皆もう会場で買って聴いているだろうし、同じように思ってくれているんじゃないかな。

残念ながらライヴには行けなかった人、一応上にアマゾンのアフィリエイトを貼っておいたけど、2月の発売まで待ちきれなければ、ミュージックプラントのサイトで通信販売を始めたようだから、そちらへどうぞ。

ミュージックプラントからディスクユニオンにもディストリビュートされたらしく、今日久し振りに出かけた新宿店でも店に入ってすぐのところにディスプレイされてたよ。クリスのアルバムと並んでね。余談だけど、ウォークマンで「Melancholy Emotion」まで聴いて店に入ったら、BGMで「She Makes Me」がかかっていたのにはちょっとびっくりしたよ。

ユニオンでは中古盤セールをやっていて、いつものように目ぼしいものを手当たり次第に手に取り始めたんだけど、欲しいと思っていたはずのどのCDもなんだかそんなに聴きたくなくって、結局全部棚に戻してきてしまった。で、ウォークマンで「She Makes Me」からの続きを聴きながら帰ってきたよ。

2009年の10日目にこのアルバムに出会ってからもう15日経ったけど、今のところ他のアーティストのことなんて全く考えられないぐらいに、このアルバムは僕の頭の中を占領している。果たしてこの先ディフェンディング・チャンピオンとして、今年あと残り340日を勝ち残って、来年初頭にこのブログの「2009年個人的ベストアルバム」という題名の記事の最後にこのちょっと『Pet Sounds』風のジャケ写が載ることになるんだろうか。今の僕には、それ以外の可能性を冷静に考えることなんてできないよ。



Addictive - Glenn Tilbrook & The Fluffers

Pandemonium Ensues.jpg 
Glenn Tilbrook And The Fluffers 『Pandemonium Ensues』

It's been a week since then, but I'm still struggling to get back to the real life. A typical after-the-ball syndrome. Started to work reluctantly just because I had to, but my musical life still needs time to recover. As I wrote in my articles about Glenn's gigs, I went to Kichijoji a little earlier to hang around all the CD shops there in those 3 consecutive days. I bought 10 CDs there beside Glenn's one. Almost two weeks now, those 10 CDs are just left on my desk, mostly unopened. I've tried to listen to some of them, but they didn't really get into me.

I think I'm the kind of person who listens to various kinds of music. I have no hesitation to listen to a totally different type of music one after another. Rather I would say it's rare for me to listen to similar type of music continuously. Moreover, it's totally not my habit to repeat the same album. I'd just get bored.

To my surprise, I've been repeating this new album by Glenn Tilbrook called Pandemonium Ensues over and over again since the first day I get it. In average twice a day at least, so it's been more than 30 times I guess. I can recall every bit of sound in the whole album now. I don't get bored at all. The moment the last sound of Too Close To The Sun fades out, I find myself to push the play button. What an addictive album.

So, it's impossible for me to write about any other artists now. As the closer of the fun-filled GLENNFEST, I write about this album.

This new album is released after the 4 years' blank since Transatrantic Ping Pong in '04. However, during the 4 years, there were my first GLENNFEST in '06, two demo albums, Squeeze's live albums & deluxe editions, etc. To be frank, 4 years wasn't so much long for me.

This album will officially be released on 9th Feb in UK, but in conjunction with this Japan tour, The Music Plant imported some bunch especially for us prior to the official release. Lucky to be the fans in Japan.


Incomplete.jpgThe first solo album since Squeeze split, The Incomplete, wasn't a bad album. I like This Is Where You Ain't. And some acoustic tracks in the UK bonus disc still sound fresh to me. However, that album reminded me of Cafe Bleu or Welcome To The Beautiful South. The very first albums that the main songwriters released after my favourite bands broke up. Same voices, familiar melodies, but something was different. Especially for The Incomplete, it lacked the voice of Chris Difford.

TPP.jpgThere were plenty of my favourite tunes in Transatrantic Ping Pong. Neptune, Hostage or Reinventing The Wheel, to name a few. We could listen to those evergreen melodies in this time's gigs (not sure why Glenn stopped playing Reinventing The Wheel after the first verse on the second night in Tokyo though). By then I already got used to Glenn's voice not accompanied by Chris'. I purely loved the album. As I checked my record, I've chosen this album as one of my top 10 in '04 (together with Chris' I Didn't Get Where I Am).

Some members in those two albums got together as The Fluffers, and released this new album under the name of Glenn Tilbrook and The Fluffers, not Glenn's solo for the first time ever. With the first listen, it sounded very different from the previous two. According to the album credit, this album was recorded live, with some minor overdubs. Hence this live-feeling.

I've just wrote this album was addictive. Perhaps that addiction is mainly caused by the album opener Best Of Times. When I listened to it for the first time, I thought it just a plain song. But the more you listen to it, the more Stephen Large's accordion starts to stick into your ears.

According to Glenn's MC at the gig, he wrote this song with the influence by Faces, especially Ronnie Lane. I tend to agree the atmosphere of the song is kinda similar to this album of him.

Anymore For Anymore.jpg
Ronnie Lane & Slim Chance - Anymore For Anymore

I'm not a hardcore fan of Ronnie and own only a few album of him, but I can understand that Glenn wants to play like this as he gets older. Loose but not dull. Plump and earthy. Sentimental lyrics in line with such abundant sound. Who said this was a plain song?:) A masterpiece.

The next song Through The Net must be the most attached song to some thirty-odd people who stayed after the show on the second night in Tokyo. I'm looking forward to see the video on YouTube.

Lalala lalala, Bang! You finish the song singing the chorus in your head. Then what you hear next is the most unusual song in the album. The bassist Lucy Shaw sings Product. In most of Squeeze's albums the band members took the lead vocals, but of course never a female vocal. Maybe that's why it sounded a bit weird to me.

During the gigs Glenn explained this song is about an actress. Ah, so Lucy mimics the actress and sings in such a flat tone. A good joke, but as I've been listening to Glenn singing this song during the tour, I can't help thinking if Glenn was singing this song in the album too. By the way, only these three songs were played in all the 7 venues during this Japan tour. Not to mention about the first two, but Glenn must be so much fond of this song too. Well, sorry Glenn, I will never complain about this song anymore:)

Next one is explained as "Punk" during the gigs. Slaughtered Artist. Indeed, it sounds like the "Punk / New Wave" era Squeeze. Though the Jools Holland-ish piano doesn't sound like punk at all (hence, Squeeze then wasn't punk at all). Judging by the laughter at the end of the song, Glenn must be imitating Punk by this, just as he imitated 60's French Pop by Product.

According to Glenn's MySpace, the next song Still will be released as the download only single, but the site shows the good-looking CD cover art. A medium tempo tune with the comfortable Wurlitzer and strings sounds. Since he played this song mostly during the encore, this song must be positioned next to Black Coffee In Bed or Another Nail In My Heart for him. I agree with it.

I've requested Glenn to play Relentless Pursuit while I asked for the autograph after the third night in Tokyo (the request was never realized though). I was interested in how this song would be by taking out the flamboyant chorus. This vocal melody filled with the Tilbrook Magic must've sounded special even if it's naked.

If this album is released in vinyl, the following Interest & Love should be the last song of side A. It's the duet with Vanessa Paradis (who nowadays must be more famous as Johnny Depp's partner). An enchanted sweet voice. Glenn sang this only in Nagoya this time. Wish I was there..

Then the side B opener with the cool piano sound is Melancholy Emotion, which Glenn has already played on the last Tokyo tour in '06 with the self-recorded back band sound. Co-written by Chris Blaide, who used to write together with Glenn in the previous albums. This time Chris plays piano only in this song and Little Ships. He didn't join The Fluffers. I wonder if he's not so close to Glenn anymore.

When I requested Relentless Pursuit, Glenn was confused it with She Makes Me. I know why by now. Those two songs are co-written with the drummer Simon Hanson. Glenn must categorize those two as Simon's songs. I know why Glenn didn't sing either of them. I guess he didn't know the lyrics:)

He played Happy Disposition every night in Tokyo, but gradually not playing in the other venues. Oh, this is also co-written with Chris Blaide. I recall when I heard this song for the first time on the first night in Tokyo. Listening to him singing "three months later, we're back in London. We're just at home the other side of the world", I thought "well, this guy has just come all the way from London". Yeah, of course. I also remember my friend sitting next to me in Osaka told me the structure of this song resembled Helter Skelter. Well, you could say that.

The most "pop" song in the album, Black Sheep. Groovy trumpet sound. Ah, one of the hand-clapping members is Louis Tilbrook. A mischievous twangy guitar solo tracing the nursery rhyme Baa Baa Black Sheep.

Changing the mood to the impetuous Beachland Ballroom with the nice Wah guitar. A good variance of the pace from the previous song. By the way, the credit for Black Sheep is Written by Stephen Large and Glenn Tilbrook. And this one is Written by Glenn Tilbrook and Stephen Large. Does that mean Glenn wrote lyrics not the melody of one of the songs? Usually the lyricist first in the credit. So this song (melody) was written by Stephen?

It's not very outstanding, but to me it's another highlight of the album, Little Ships. Well, this is also co-written with Chris Blaide. I was wrong to guess he's not so close anymore. Nevertheless, I can't understand why Glenn hasn't played such a good song at all during the Japan tour.

I have loved you from your first breath and always will till my last

I don't want to ruin such beautiful lyrics with my poor translation (nothing to do with this English article though). Glenn, who hasn't hidden his love and affection to his family, now expresses this kind of deep feeling all over this album.

As the song gracefully fades out, the spacy moog sound kicks in, and it becomes Too Close To The Sun, which again is the instrumental ending tune following One For The Road from the previous album. Probably the easiest way to introduce this new album to anyone is to say Johnny Depp is doing narration in this tune. Actually, I've heard Johnny's fansite has been talking about this album. This guest appearance was realized since Johnny was the Squeeze fan. Good taste, Johnny.

By the way, I have thought it as the album's lead single and picked it up in my article on 29th Nov, but none of the 4 songs are on the album, nor played during Japan tour. Binga Bong! What was that single for? The album's lead out-takes?


Phew, I don't usually explain about all the songs in the album (though I don't actually "explain" about some). To that extent, this album hasn't got any filler. Most of the audience who joined Glenn's Japan tour should've got it, and I think they should feel the same.

For those who are unfortunate enough not to join the tour, I've pasted a link to Amazon's page, but if you can't wait till Feb, you can buy it now at The Music Plant's website.

There must've been some distribution from The Music Plant to Disk Union. I went to Shinjuku store today and found the album was displayed at the entrance, next to Chris Difford's album. A digression. When I walk into the store my Walkman was playing Melancholy Emotion, then I realized the BGM in the store was about to turn to She Makes Me. What a coincidence!

There was a used CD sale going on at Disk Union. As usual, I've grabbed some CDs, but not brought them to the till in the end. All those CDs that I wanted weren't so much attractive to me today. I started play from She Makes Me on my Walkman and headed back home.

I got this album on the 10th day of 2009. It's been 15 days since then. This album occupies my mind so that I can't even think of the other artists. I wonder if this album will be the defending champion through another 340 days. And this Pet Sound-ish cover art will be listed at the end (which means the best) of the article of this blog early next year titled My Top 10 Albums 2009. I can't imagine any other possibility as of now.
posted by . at 02:28| Comment(7) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月27日

年賀状 - Mark Kozelek

The Finally LP.jpg Mark Kozelek 『The Finally LP』

マーク・コズレックからもう新譜が届いた。今年の4月に『April』なんて重厚なアルバムを出したばかりなのに。ただ、今回のアルバムは、いろんなトリビュート・アルバムでカバーした他人の曲や、未発表だった自分の曲を集めたものなので、純粋な意味での新譜というわけではない。

1曲目「Piano Song」とラストの「Gaping Mouth」が自作曲。前者が題名どおりピアノを、後者がアコースティックギターを使った、どちらもとても美しいインストゥルメンタル曲。その他の8曲が他人の曲のカバー。

8曲中、僕がオリジナルを持っているのは、ロウ(Low)の「Lazy」とハスカー・ドゥ(Husker Du)の「Celebrated Summer」。前者は陰鬱なロウのオリジナルに比べてちょっと明るい感じに仕上げてある程度だけど、後者のオリジナルとのギャップはやっぱり凄いね。

気前のいいことに、マーク・コズレックのマイスペースではこのアルバム全曲が聴けるから、その7曲目を、このまだ髪の毛があった時代のボブ・モウルドが歌うハスカー・ドゥのライヴと聴き比べてみるのも面白いかも。



9曲目の「If You Want Blood」はAC/DCのカバーだから、きっと同じように原曲は凄くハードなんだろうね。6曲目の「Bedtime Lullaby」は、Yo Gabba Gabba!というアメリカの子供番組の曲だって。ほんとにもう、曲調もメロディーも全然違うのに、誰のどんな曲を演っても、全部マーク・コズレック色に染め上げるね。凄い才能。

『The Finally LP』というタイトルだけど、今のところLPはまだ出ていなくて、この簡素な作りのデジパックのCDだけみたい。それにしてもこの、表面には題名も名前も書いていない牛のジャケ、誰が見てもアレを連想するよね。

The Finally LP.jpg Atom Heart Mother.jpg ←アレ

さて、明日からしばらく旅行に出かけるので、戴いたコメントに返事ぐらいはできると思うけど、記事を書くのはちょっと難しいと思う。まあ、この一週間で、僕にしては一ヶ月分ぐらいに相当する量の記事を書いたので、冬眠中の蓄えにはなるだろう。

実生活ではほとんど年賀状を書くことがなくなってしまった僕だけど、こちらではこのおあつらえ向きに今年の干支の動物が沢山載っているジャケ二枚で、年賀状に代えさせてもらおう。

思えば、5月12日に書いたマーク・コズレックのインストア・ライヴの記事をきっかけに、それまで上がったり下がったりだったこのブログへの来訪者数がぐっと上がったんだった(それは10月26日のシガー・ロスのライヴレポートで更に急上昇することになるんだけど)。僕にとっては縁起のいいアーティスト。眉間のシワがあんまり縁起よさ気ではないけれど。

それらの記事以来ここに来てくださっている方々、そしてもちろん、以前からずっと読んでくださっている方々も、今年はお世話になりました。楽しい年末年始をすごしてくださいね。ではまた来年。
posted by . at 16:04| Comment(14) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月26日

唯一無二 - Jeff Hanson

Madam Owl.jpg Jeff Hanson 『Madam Owl』

特異な声は要らない。一昨日の記事にそう書いたばかりだけど。では、素敵なメロディーの、心に染み入るドラマチックな曲を歌うのが、唯一無二の特異な声だとしたらどうだろう。

ジェフ・ハンソン。彼の歌を初めて聴く人は、それを歌っているのが男性だということをにわかには信じられないかもしれない。透き通るような、少女のような歌声。

これだけ素晴らしい曲を書いて、しかもファーストアルバムではピアノ以外の全ての楽器を自分で演奏していたほどの優れたマルチプレイヤーが、この声だけで評価を受けてしまうことは避けたいとは思うんだけれど。

僕はこの歌声しか知らないから、彼の地声が一体どんな風なのかはわからないけれど、写真を見たところごく普通のアメリカ人青年である彼がいきなりこの声で歌いだすのを聴いた人はさぞかし引いたことだろう、なんて余計な心配をしてしまうほどのインパクトはある。

感動的な03年のデビューアルバム『Son』、05年の自らの名前を冠したセカンド(散々NZの中古屋で見かけたこれを何故か僕は未聴)に続く三枚目『Madam Owl』。発売元が一貫してキル・ロック・スターズなのも、彼がことあるごとに故エリオット・スミスと比較される一因なのかも。

確かに、エリオット・スミスを好きな人はきっと彼のことも気に入るとは思うけど、同時に、彼を単なるエリオット・スミス・フォロワーの一人みたいな座に彼を置いておくのはあまりにも勿体無いことだとも思う。それほどの、オリジナリティー。

マルチプレイヤーである彼があえて沢山のゲストを呼んでの、豪華な音作り。クレジットに載っている楽器を読み上げてみると、ギター、ベース、ドラムス、バンジョー、ラップスティール、ピアノ、キーボード、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、トランペット、フリューゲルホーン、テナーサックス、トロンボーン、アコーディオン、ソウ(横山ホットブラザースか)。

弾き語りの曲はあくまでもシンプルに。弦や管を加えた曲は、控えめながらもじわじわとドラマチックに盛り上げる。それでいて、あくまでも主人公はこの声。いいプロダクションだね。プロデューサーは、ジェフ本人と、ロバート・バートルソン(Robert Bartleson)という人。この人のことはよく知らない。

マイスペースに載っている4曲が果たして彼を代表する4曲かどうかはともかくとして、興味のある人は聴いてみてほしい。そして、少しでもひっかかるところがあれば、是非このアルバムを手にしみてほしい。決してキワモノじゃない、優れたSSWのアルバム。

地味なジャケの裏側は更にこんなに地味
Madam Owl Back.jpg

虫嫌いな人、ごめん。こないだうちにスキャナー買ったんで、つい嬉しくて何かスキャンしてみたくなっただけ。
posted by . at 22:33| Comment(6) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月25日

心機一転 - Paul Heaton

The Cross Eyed Rambler.jpg Paul Heaton 『The Cross Eyed Rambler』

再生ボタンを押すと聞こえてくる古いレコードの音。パチパチと入るノイズ。1分ほどの歌が終わろうというところで針が飛んで同じフレーズが繰り返されてしまう。

そこに切り込んでくる、まるで桑田圭祐がわざとグループサウンズっぽく書いた曲を演奏するサザンオールスターズみたいなギター。とてもキャッチーで、ぐいぐい引き込まれるオープニングだ。

続く、シングルカット曲でもある「Mermaids And Slaves」のイントロのハーモニカは、20日の記事でやたらと名前を出したハウスマーティンズ時代を思い起こさせる。ウキウキするような明るい調子で歌いだされる最初の歌詞は「酒飲んで運転しようぜ、ベイビー」だ。ははは、さすがポール・ヒートン。そういう毒は全く衰えてないね。CDケースに貼ってあるステッカーにはもちろんトレードマークのようにペアレンタル・アドヴァイザリーの印刷。

06年8月5日に記事にした『Superbi』の後、メンバー間の“音楽性の相似”(注1)を理由に突然の解散を発表したビューティフル・サウスのリーダー兼ボーカリスト(注2)、ポール・ヒートンの2枚目となるソロ・アルバム(注3)。

注1:普通は“音楽性の相違”という言い方をするね。10年に亘って同じバンドで似たような音楽を作ってきて、マンネリに陥ってしまったと感じていたことをこう表現するところが、いかにもポールらしい。

注2:ビューティフル・サウス時代はギャラをメンバー全員平等に分配していたというほどの社会主義者であるポールは、自分が“リーダー”と呼ばれることには抵抗があるのかもしれないけど、10年の歴史を通して常にバンドの顔でスポークスマンだった彼のことをこう呼ぶことに文句のある人は彼以外にはあまりいないだろう。

注3:ビューティフル・サウス在籍中の01年に、ビスケット・ボーイ(またの名をクラッカーマン)というよくわからない名義で最初のソロ・アルバム『Fat Chance』を発表している。決して悪い内容ではなかったけれど、ほとんど売れなかったようだ。

Fat Chance.jpg Biscuit Boy (a.k.a. Crackerman) 『Fat Chance』

↑この意味不明のジャケが問題だったのかも(最近はポールの写真を使った別ジャケで、名義もポール・ヒートンに戻して再発されているようだけど)。


ニューアルバムに話を戻そう。アルバムのタイトル『The Cross Eyed Rambler』というのは、1703年から続いている実在のパブの名前らしい。その由来について、ブックレットの最初のページにびっしりと解説がある(まだ全部読んでないんだけど)。こういうタイトルのつけ方もまた、アル中のポールらしいね。ついでに、ブックレットの最後のページのクレジットで、メンバー名の次に、何よりも先に書いてあるのが、このアルバムをレコーディングしていた間どこのパブで飲んでいたかというリスト(笑)

冒頭の古いレコード風の曲(実はポールが歌っていた)も含めて、全12曲。アップテンポな曲は歌謡曲っぽいキャッチーなメロディーで。6曲目「The Ring From Your Hand」と12曲目「Everything Is Everything」の二つのワルツは、これでもかというほどしんみりと。うん、いい曲が多いね、今回は。

毒を含んだ歌詞は自分で書き、いつも作曲は相棒に任せているポールが今回タッグを組んでいるのは、スティーヴ・トラフォード(Steve Trafford)というギタリスト。調べてみたら、05年頃フォールに在籍していたことがあるようだ。

ビューティフル・サウス時代の作曲者、デイヴィッド・ロザレイ(David Rotheray)も、もちろんいい曲を書いていたんだけど(だからあのバンドはあれだけヒットしたんだけど)、ビューティフル・サウスが解散したと聞いたときに僕が最初に思ったのは、ハウスマーティンズのほとんど全ての曲を書いていたスタン・カリモア(Stan Cullimore)とまた復縁してくれないかなってことだった。もう音楽業界から身を引いたらしい彼にそんなことを望むのは無理だとわかってはいたけど。

でも、このスティーヴ君も悪くない。いい曲を書ける新しい相棒と、心機一転、いいスタートを切れたと思うよ。これからも今回のメンバーと一緒にやっていくのかな。たしかハウスマーティンズ時代もビューティフル・サウス時代も一度も来日したことのない彼だけど、一度はライヴを観てみたいな。

ペアレンタル・アドヴァイザリーの印と一緒にCDケースのステッカーに書いてあるのは、このCDをパソコンのCDドライブに入れて、あるサイトにアクセスすると、ボーナス・マテリアルをゲットできるということ。早速やってみたら、アルバム中3曲の別バージョンをストリーミングで聴け、そのうち1曲はダウンロード可能。ポールの写真もダウンロード可能。と、最近はあまりパソコンでストリーミングで音楽を聴くことの少ない僕にとってはいまいち有難味の薄いボーナスだった。

上にアフィリエイトのリンクを貼ったときに気づいたけど、このアルバム、2曲のボートラ入りのデジパック版も存在するんだね。しかもその2曲はシングル「Mermaid And Slaves」のカップリング曲とは違うようだから、そのシングル盤を買えば片付く問題でもないし。とほほ、また買い直しか…でもたった2曲のためになぁと思ったら、何この値段。3733円?それはないだろう。アマゾンUKだと13.98ポンドだよ。そっちで買おうっと(やっぱり買うのか)。


それではみなさん、よいクリスマスを。
posted by . at 17:43| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月24日

シンプル - Joshua Radin

Simple Times.jpg Joshua Radin 『Simple Times』


飛びぬけて特異な声も、音響派みたいな不思議な音作りも、7分にもわたる込み入った曲展開も、要らない。この素敵なメロディーと心に滲みいる歌さえあればいい。初めて聴いた瞬間にそう思わせてくれるシンガーソングライターに、久し振りに出会った気がする。

僕のブログのコメント欄では海外通販で不運な目に遭ってばかりいるエピソードでで有名な(笑)マサさんのブログrootless treeにしばらく前に取り上げられていたのを読んで、マイスペースで試聴するや否や通販でオーダーしてしまった、ジョシュア・ラディンのアルバム『Simple Times』。いつも彼のブログでは、僕がお薦めしたアーティストについて過剰なまでに感謝して頂いているので、今日の記事はそのお返しのつもりで書こう。

とは言うものの、実はこの話には別のルーツもある。昨日の記事に、他人が作ったコンピレーションはあまり好きじゃない僕だけど、中には気に入って何度も繰り返して聴くものだってあると書いたよね。あれは今年の初頭だったか、普段から仲良くさせてもらっている音楽マニアの友達O君に作ってもらった一枚のコンピレーションがあって、それは見事に僕の心の琴線に触れまくる内容だったんだけれど、中でも特に気に入った曲の一つが、名前も聞いたことのないアーティストが歌うスミスの「Girlfriend In A Coma」だった。

そう、そのとき既に僕はジョシュア・ラディンの歌声に出会ってたんだ。その曲が収められた『First Between 3rd & 4th』のモノクロのジャケも、それまでNZで何度も見た覚えがあったんだけど、どんな魔が刺したのか、そのときは手に入れようとまでは思わなかった(お陰で、久し振りにeBayやGemm界隈をうろつくハメになってしまってるんだけど)。

デジパックのCDジャケの内側にずらっと並んだミュージシャンのクレジットの数ほどには多彩な音には聞こえない。そこに書いてあるチェロもブラスもパーカッションもメロトロンも、実に控えめに彼の歌を支えているだけだ。あくまでも、彼の歌声とギター、それに、3曲で彼とデュエットしている3人の女性ヴォーカル。ただそれだけ。

クレジットの中でも、僕でも知っている名前は、マシュー・スウィートのアルバムでお馴染みの名スティール・ギタリスト、グレッグ・リーズ(「You Got Growin' Up To Do」での綺麗なハーモニクスの音は彼だろうね)と、ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」の作者(と紹介されることにきっと本人はうんざりだろうけど)ジェシ・ハリスぐらいかな。他の人たちも、調べてみたら、ベックやトム・マクレーやティンダースティックスやレイチェル・ヤマガタなどのアルバムに参加しているつわもの揃い。

ドラムスのジョーイ・ワロンカーって、名前からもしやと思ったら、やっぱりかの名プロデューサー、レニー・ワロンカーの息子なんだね。ギターも弾いてるプロデューサーのロブ・シュナップは、有名どころではフー・ファイターズからエリオット・スミスまで手掛けているベテランだった。なんだかマイナーなSSWなのかと思っていたら、そんな意外と豪華なプロダクションだったのがちょっとびっくり。



そんなに凄い歌詞を歌っているわけじゃない。あちこちに素敵なフレーズが散りばめられてはいるけれど、基本的には、甘いラブソングとしょっぱい失恋の歌が11曲詰まった、わずか33分にすぎないアルバムだ。このビデオも、なんだか喉の奥がじわっと熱くなってしまうようなノスタルジーがたまらない。

ブックレットに沢山載っているポラロイド写真に写っているのは、きっとジョシュアの娘さんだろう。大きく育つにつれて彼そっくりになってくるのがわかるね。そんな愛くるしい写真も含めて、持っていることが愛おしくなる、こんなアルバムのことを教えてくれたマサさんとO君に感謝。たとえ島流しの刑にあったとしても、このアルバムとCDプレイヤーがあればいいやと思っているぐらいに気に入ってると言えば、今の僕の気持ちが伝わるだろうか。


<1月4日追記>
Joshua's daughter.jpg
posted by . at 23:17| Comment(8) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月23日

さらに電子的な人々

年の瀬も押し迫ってきて、今年のベストアルバムの選定とかそろそろ始めないとな、なんて考えてたら、気に入ってたのにブログに取り上げず仕舞だったものを沢山思い出してしまった。年内にあといくつ書けるかわからないけど、ちょっと短めの記事でいくつかそういうのをピックアップしてみることにしよう。

Songs Of Seven Colors.jpg 『Songs Of Seven Colors』

11月16日の記事「電子的な人々」でエレクトロニカづいていることを書いた頃、おあつらえ向きにこんなアルバムが出ていたことを知った。エレクトロニカ関連アーティストの曲を集めた、日本編集のコンピレーション・アルバム。

パッケージに貼られたステッカーによると“超豪華なラインナップ”らしいけど、先日の記事に書いたとおり、僕はこのあたりの人たちをほとんど知らないもので、豚に真珠状態ではある。もちろん、あの記事に一番のお気に入りと書いたアイ・アム・ロボット・アンド・プラウドが二曲も収録されていたことが購入の決め手になったんだけどね。うち一曲は未発表曲とのことだけど、僕はもう一曲も知らなかったし。

実は僕は他人の作ったコンピレーションってあまり好きじゃない場合が多くてね(自分でそういうのを作って大々的にブログにアップしていることは、手の届かないぐらい壁の上の方に据え付けた棚に放り上げておいて)。よほどコンセプトがしっかりしたものや、編集者と自分の音楽的趣味がほぼ完璧に合致したものなどは気に入って何度も繰り返して聴くんだけど。

そんな僕があえて言うけど、これはなかなかいいよ。匿名性の強いタイプの音楽なのが功を奏しているのかもしれないけれど、通して聴いて全然違和感がない。その一方で、それぞれのアーティストの特性みたいなものを探しながら聴き比べるという楽しみもある。

気に入ったアーティストのほとんどが、名前だけでは日本人なのか外国人なのか、グループなのか個人なのか、男性なのか女性なのか、さっぱりわからないんだけど、マイスペースとかでそういうのを調べて詳しくなっていくのもまた一興。音は気に入ったのにマイスペのデザインが性に合わなかったりとかね。

好きな曲はいくつかあったけど、一つだけ挙げるとすれば、一曲目に入っているNo.9というアーティストかな。調べてみると、タカユキ・ジョーという日本人のソロ・プロジェクトだそうだ。マイスペースで何曲か聴いてみたけど、かなり僕好み。実は、この人のCDを少し前に中古屋でかなり安く見つけたんだけど、そのときはまだこのコンピを聴いてなくて、うっかり放流してしまったんだ。もったいないことしたよ。

こちらが彼のマイスペース。興味のある人は聴いてみて。そこに書いてある“音と植物と共に暮らす”というスローガンには、共鳴する人がこの界隈にもいるかも。“影響を受けた音楽”の欄に、バッハ、モーツァルトから、モンク、コルトレーン、はっぴいえんど、坂本龍一、キャロル・キング、ノラ・ジョーンズ、果てはロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズとかまで載っているのが、凄いというか節操が無いというか。

おっと、彼のことばかり書いていてもしょうがないね。短くするんだった。とにかく、エレクトロニカってちょっと聴いてみようかな、なんて人には最適な一枚。値段も1980円とお手頃。なんだけど、この値段設定でひとつ気に入らないことは、“500円につき○ポイント”というポイント制を敷いている某通販ショップでこれを買うと、なんだか妙に損をした気分になるってこと。あと20円払ってもいいから、2000円分のポイントくれよ。
posted by . at 19:43| Comment(3) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月15日

非搾取 - Sigur Ros

今日みたいな冷たい雨の降る冬の朝はオークランドを思い出す。湿った冷たい空気が懐かしい気持ちにさせてくれる。こんな朝はどこへも出かけずに、しばらく前に買ったままにしてあったこれを開封して観ることにしよう。静かに降りつづける雨の音を聞きながら、部屋の温度は上げないままにして。たくさん着込んで、あとは羊のクッションを抱き枕がわりに。

Deluxe Edition.JPG 
Sigur Ros 『Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust Deluxe Edition』

シガー・ロスの最新作『Með Suð I Eyrum Við Spilum Endalaust』のデラックス・エディション。そのアルバムと1枚のDVDが、200ページに及ぶ豪華な写真集に付属しているというもの。おまけとして、「Gobbledigook」のPVを撮影したときの16ミリフィルムの切れ端が付いている。12コマのそのフィルムを光に透かして見ると、焚き火の傍で体に白い粉みたいなのを塗りあってはしゃぐシーンかな。

PV Film.JPG

昨日の記事の趣旨にあわせて言えば、6月に出たオリジナルアルバムから数ヶ月遅れで発売されたこのバージョン、10月の来日公演までに曲を覚えようとオリジナル版を買った僕にとってはまたしても同じCDを二度買わされる羽目になってしまったんだけど、昨日のケースとは違ってこちらは、6月だか7月ぐらいの段階で既にこのバージョンが出るということはアナウンスされていたから、納得済みというか自業自得というか、まあとにかく、憤りを感じることはない。

Pages1.JPG

Pages2.JPG

写真集はこんな感じ。7月22日の記事に書いた7枚組LPに付属していた写真集も素敵だったけど、こちらもまた同じ雰囲気を持った、今回のアルバム制作に伴って訪れた、世界中のいろんな場所で撮られた写真がふんだんに使われている。スタジオでのほんの一瞬の表情やアイスランドの町並みなんかの写真をこうやって何枚も見ていると、自分でも写真を撮りたくなってくる。ボーナスが出たら買おうかどうしようか迷っていたレンズ、やっぱり注文しようかな。

シュリンクラップの上に貼ってある小さなステッカー以外には、オリジナルアルバムのジャケット画像(裸で走る四人組)はこのバージョンには使われていない。写真集の裏表紙の内側に収められたCDとDVDはこんなペーパースリーブに入っている。

Discs.JPG

左がCD、右がDVD。盤面も同じデザインで、さすがにここまで違うと、いかに内容が同じでも、オリジナル版とは別物だね。僕が買ったオリジナルは日本盤なので「Heima」がボートラとして入っているし、そちらを手放してしまうわけにはいかない。

Deluxe + Conventional.JPG


DVDの内容に触れよう。三つのパートに分かれていて、最初が「Við Spilum Endalaust」という、今回のアルバムの35分間のドキュメンタリーというか、イメージビデオと言ったほうがしっくりくるかな。二つ目が「Ára bátur at Abbey Road」のタイトル通り、アルバム7曲目「Ára bátur」がアビーロードスタジオで録音される様子を撮った17分間のビデオ。最後が「Gobbledigook」のPV。

http://jp.youtube.com/watch?v=puC0UeWLjM8

“未成年には不適切なため”YouTubeの画像埋め込みができなくなっているこの「Gobbledigook」、最初に観たときは誰でもびっくりするよね。ところで、最近気づいたんだけど、YouTubeの高画質表示って結構綺麗だね。ビデオによっては高画質表示ができるものとできないものがあるみたいだけど。


「Við Spilum Endalaust」はフィルム撮りの粒子の粗さを逆に活かした、とてもアーティスティックな画像のビデオ(アントン・コービンの写真を知っている人はあれを思い出してもらえばいい)。時折り古い映画のようにノイズが入ったり、ネガポジ反転したりするのも味わい深いね。

素材は、アメリカのロングアイランドで撮られた上記のPVの撮影シーンや、メキシコでのツアー風景、アイスランドでの豪雨のシーン(これは別のDVD『Heima』にも入ってなかったっけ?)など。アイスランドの野外コンサートで、彼らのステージにビョークが飛び入りしたこの曲の一場面も別カットで映っている。



この曲もそうだけど、この「Við Spilum Endalaust」ビデオ、『Með Suð I Eyrum Við Spilum Endalaust』収録曲のライヴバージョンや、EP『Ba Ba Ti Ki Di Do』からの曲なんかが聴けて、ちょっと得した気分。ライヴ録音でもスタジオ版とあまり変わらなくて、ほんとにこの人たち演奏力あるんだなあと、あらためて感心することしきり。


実は新作中では僕にとってちょっと印象の薄かった「Ára bátur」、だだっ広いアビー・ロード・スタジオで、フルオーケストラと少年合唱団と一緒にライヴ録音されたこの二つ目のビデオを観て、いかに素晴らしい曲だったかと今さら気づかされた次第。

キャータンの弾くグランドピアノの音の美しいこと。少年合唱団の子供達の可愛らしいこと。指揮者やオーケストラのメンバーの眼差しを見ていると、荘厳な気持ちにさせられる。録音が始まってからいそいそとマイクスタンドの位置を調整しているヨンシーはなんだか微笑ましいけど。




限定発売のDVDや豪華な仕様の写真集など、この人たちもちょっと深入りしてしまうとかなり散財の対象になってしまうことに気づくのにそんなに長い時間は必要なかった。今でもかろうじて入手可能な、結構な種類のレアなアイテムが存在するからね。彼らのオフィシャルサイトに載っているTシャツなんかも、彼ららしい素敵なセンスのいいデザインのものが多いしね(最近追加された“黒板”デザインのシャツ、ほしいなあ。でも5000円もするのか…)。

でも、どういう訳か、この人たちには昨日書いたみたいな“搾取された”という気持ちにさせられないんだよね。今回のこのずっしりと重い写真集も、ざらっとした手触りのクロス装丁の表紙にエンボスされたタイトルをなでているだけで、いい買い物をしたという気持ちが湧き出てきてしまう。あれこれ買うたびに何千円もかかってしまうけど、金融危機に苦しむアイスランド経済を救う一端でも担えればいいかと思うことにしよう。

Bookmarks.JPG

ほら、こんな無駄に派手な4本のしおりとか、限定生産番号とか(僕のは5634番)、こういうマニア心をくすぐる造りがすごく愛おしい。スリーブもそれを収納する裏表紙の内側のポケットも全て紙でぴったり作られているので、何度も出し入れしているうちに破れてくるのが怖いから、普段聴き用にはオリジナル版を使うことになると思うけれど、ときどきこれも引っ張り出してきてこの綺麗な写真を眺めたりDVDを観たりしよう。次は春の花が咲き始める頃がいいかな。晴れた日に窓を開けてね。
posted by . at 00:16| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月14日

搾取 - Jason Mraz

We Sing We Dance We Steal Things Limited Edition.jpg 
Jason Mraz 『We Sing, We Dance, We Steal Things. Limited Edition』

“たいして見所のないようなDVDを付けただけで法外な値段にしたり、アルバムのリリースからわずか数ヵ月後に、そのアルバムにボーナスディスクとかを付けて売り出すようなことをして売り上げを上げようという姑息なレーベルが多い”

11月23日のフリート・フォクセズの記事にこう書いた直後、おあつらえ向きに、うちにこのアルバムが到着した。8月3日の記事で取り上げたジェイソン・ムラーズのニューアルバムにあれやこれやと詰め込んだ3枚組の限定盤。

3枚組のうちディスク1は『We Sing, We Dance, We Steal Things』オリジナルアルバムそのまま。ディスク2は、僕が上記の記事とそのコメント欄に書いた、結構高値で限定数リリースされていた3枚のEP(うち3枚目『We Steal Things』はファンクラブ限定だったそうな。僕がファンクラブに入ったときにはもうそのオファーは終了していたけれど)。そしてディスク3が、ニューヨークのハイライン・ボールルームという会場で収録された1時間半のライヴDVD。

『We Sing, We Dance, We Steal Things』を中古が出回るまで待って安く手に入れた身としては大きな声では言い難いが、そのアルバムよりそれぞれ高い値段を出して『We Sing』、『We Dance』の2枚のEPを買ったときの僕の気持ちを、先の記事から引用してみよう。

“でも、この人のこういう貴重盤、意外と再発も日本盤化もされずに高値で取引されることが多いからね”

見事に裏をかかれたよ。再発されないどころか、そのEPがちょうど店頭から消えた頃を見計らって、こんなにあっさりと新装パッケージでまた出してくるとはね。フルアルバム並みの値段だったあのEPを買い揃えるようなファンは当然こっちも買わずにおれないだろうというのを見越しての、搾取モード炸裂の怒涛のリリース。せめて、自分が『We Steal Things』まで全部揃えていなかったことを不幸中の幸いと思っておくべきなのか…

この手のリリース形態にはいつも本当にうんざりさせられてしまっていて、自分の好きなアーティストがこういうことをするたびに、嬉しさ3割、憤り7割ぐらいの気持ちで渋々買い替えている。そして、同じように「騙されて」リリース直後に買ったであろう人たちが放出した同じオリジナル盤を中古屋で見かけるたびに、悔しい思いをした同士の顔が目に浮かぶ(ほんとは知らない人の顔が目に浮かんだりはしないんだけど)。

例えば、今週出たばかりのフォール・アウト・ボーイの新譜のように、あらかじめ日本盤と本国盤でどういう形態のバージョンが出るのかという情報がわかってさえいれば、それぞれの内容と価格を天秤にかけてどれを買うか決められるし、そして僕のような人間は大抵一番盛り沢山な内容の(一番高い)ものを喜んで買うんだよ。CDの売り上げが落ちていることへの対抗策の一つのつもりなのかもしれないけれど、熱心なファンほど損をするようなこんなやり方は本当にやめてほしい。


さて、ぼやくのはこれぐらいにして、内容について書こう。ディスク1のオリジナルアルバムについては、先の8月3日の記事に書いたとおり。買ってから半年以上経った(そして、その後100枚以上の新しいCDを買った)今でも僕のへヴィーローテーションから外れていない。来月に書くはずの08年ベストアルバム記事にこのへなちょこ顔ジャケが載ることはほぼ間違いないだろう。

ディスク2『The EPs』は全12曲入り。オリジナルアルバムから「Lucky」と「Details In The Fabric」の2曲を除いた全曲のアコースティック・バージョンと、ゴスペル・コレクション・セッションズから「Man Gave Names To All The Animals」、それに「Mudhouse/Gypsy MC」のオランダでのライヴ録音。もともと3枚の4曲入りEPだったからそれぞれのEP内での起伏を考えた曲順になっていたんだけど、それをこうして全部続けて聴くとちょっと散漫な印象。例えば、オリジナルアルバムでは最後のクライマックスにあたる「If It Kills Me」〜「A Beautiful Mess」がいきなり3曲目と4曲目だったりするし。

そういうちょっとした文句を別にすれば(CDなので曲順ぐらい簡単に並べ替えられるし)、このアコースティック・バージョンは相当いいよ。もともとフルアルバム級の値段で買って聴いたときも(まだ言ってる)、4曲ずつしか入ってないけど、これは値段分の価値はあると思ってたからね。なにしろ曲の造りがしっかりしているから、これだけ装飾を取っ払っても(というか、取っ払った方が)きちんと耳と心に響く。「I'm Yours」でも耳をかじったりしないで、ちゃんと耳元で囁いてるし。

おそらく今回の限定盤を買った人が、それまでに持っていたEPを手放し始めるはずなので、後で述べるDVDは要らないという人は、このアコースティック・バージョンを聴くために中古盤屋をチェックした方がいい。ただ、名曲「Love For A Child」が3枚目の『We Steal Things』収録なので、それを聴きたい人は、あまり出回らないだろうと思われるそのEPを探すぐらいなら、この限定盤を買った方が早いかもしれないけどね。

そして、今回の目玉といえるディスク3。僕は『Tonight, Not Again』のライヴDVDを持っているんだけど、諸般の事情でそれはまだ観ていないので、彼のライヴ画像をまとめて観るのはこれが初めて。彼のコンサートがどんなに楽しいものかは、去年の8月3日の記事に書いたライヴアルバムを聴いて想像がついていたけど、それに映像がつくと当然よりよくわかるね。奇をてらったところのない画像は見てて飽きないし。1時間半と決して短いプログラムじゃないけど、普段あんまりDVDを観ることのない僕がもう2回も観てしまったぐらい。

ジェイソンの弾き語りによるしっとりとした「Plane」で始まる。こんな静かなオープニングだなんて、ちょっと意表を突かれた。いいね、この曲。そして、『We Sing〜』のお披露目ライヴらしく、バンド編成で「Make It Mine」に突入。ところどころに古い曲を挟みつつ、新作からほとんどの曲を披露。中盤で演奏するデビュー曲「The Remedy (I Won't Worry)」では、途中でオエイシスの「Wonderwall」の歌詞に変えて歌ったりする(バンドメンバーのちょっとびっくりしたにやけ顔を見ると、あれはジェイソンが急にアドリブで歌ったんだろうね)。

3人のホーンセクションを含んだフルバンド編成。なんだか音が柔らかいなと思っていたら、よく見たら誰もエレキギターを弾いてないんだね。ギターはジェイソン自身が弾くアコースティック(たまにウクレレ)のみ。ギターが出しゃばらないので、サックス、トランペット、トロンボーンとパーカッションの音が全体の要になって、とても味わいのある音に聴こえる。ときどきチョッパーを交えたりするベースも格好いいし。

コンサート終盤、いきなり出てくるアフロヘアーの演歌歌手みたいないでたちの男が歌いだし、ジェイソンはタンバリンを持ってステージを動き回る。「Fall Through Glass」というその持ち歌を歌っているのはブッシュワラ(Bushwalla)という男。ジェイソンとはお互いのコンサートに出演し合う仲らしい。盛り上がる曲ではあるけれど、なんとそれでコンサートは終了。最後を締めるのが他人かよ、と思っていたら、裏ジャケには「Outro」としか載っていないある曲をジェイソン一人で弾き語るアンコールがちゃんと収録されていた。曲名リストだけを見て未収録だと思っていた、実は僕が一番好きな彼のその曲をそんな風に聴いて、ちょっとじわっときてしまった。

このDVDには他に「"Here We Are" A Mraz Documentary」という30分の映像と、「"A Thousand Things" Book Preview」という静止画が収められている。前者は8月3日の記事にも書いた、オリジナルUS盤『We Sing, We Dance, We Steal Things』にエンハンスドCDとして収められていたのと同じもの。後者はジェイソンがポラロイドカメラで撮った写真を何枚か(これは本になって出ていて、アマゾンでジェイソンのCDを買ったことのある僕はこれまで何度もアマゾン君にお薦めされている)。


上に「この人のこういう貴重盤、意外と再発も日本盤化もされずに高値で取引されることが多いからね」と書いたのには訳があった。以前CD屋で見かけたことがあった、彼のメジャーデビュー前のライヴアルバムが、ちょっと見ないうちにあっという間に廃盤になっていて、オークションサイトやアマゾンのマーケットプレイスなんかでたまに見かけてもとんでもない値段がついていることが多かったから。

Live At Java Joe's.jpg Jason Mraz 『Live & Acoustic 2001』

そのアルバムを先日、新品で見つけた。一足早く年末セールを始めていたその店では残念ながらセール対象外商品だったので、決して安くはなかったんだけど、上にアフィリエイトを貼ったアマゾンのマーケットプレイスに出ているような法外な値段ではなかったので、こういうのは見つけたときに買っておかなければと入手。実はiTunesとかだとほんの数ドルでダウンロードできるんだけど、当然僕は安いダウンロードよりも高くてもCD、ということで、こういう機会を待っていたからね。

メジャーレーベルからのデビューアルバム『Waiting For My Rocket To Come』が02年の発売なので、これはそれより1年前に録音されたことになる。上の写真を見てわかるように、表ジャケには彼の名前しか書いてなくて、サイドには『Live & Acoustic 2001』というそっけない文字のみ。通称『Live At Java Joe's』と呼ばれているアルバムだ。調べてみたら、このライヴ盤を含めて、『Waiting〜』以前に彼はインディーズから4枚ものCDを出していたようだが、それらに入っていた曲はほとんど『Waiting〜』に使われることもなく、しかもこのライヴ盤との重複もあまりない。デビュー前からとんでもない数の曲を書いていたんだということがわかるね。

1曲目「Running」は、『Selections For Friends』収録の(『The E Minor EP In F』全収録曲を一気にメドレーで歌った)「Welcome To Schubas」でも最初に歌われていた曲。でも、『The E Minor EP In F』の曲目表を見てもそんなタイトルの曲はないね。「You Make Me High (Spinning)」というのが改題されたのかな(というか、このEPの方が後に出たはずなので、「Running」がこのタイトルに改題されたというのが正しいんだろうね)。

99年に出たという最初のEP『A Jason Mraz Demonstration』に収められていた「Little You & I」に続いて「この曲はさっきのやつの続き」と歌いだされるのが、後にメジャーデビューアルバムの冒頭を飾ることになる「You & I Both」。この曲、この時期からこんなスローな感じで演奏されてたんだね。

「Dream Life Of Randy McNally」という曲の合間に(プレスリーの)「Viva Las Vegas」の一節を挟み、さらにはこの当時まだ世に出ていなかったはずの「The Remedy (I Won't Worry)」の一部もメドレーで歌っている。後半、「At Last」という曲には(マッドネスの)「Our House」を挟み、観客にコーラスさせたり、「次はスペイン語で!」とか言ってアドリブで楽しんでいる。ラストはこれもメジャーデビュー作に収録されることになる「Sleep All Day」で締め。その後スタジオ録音の「Hey Love」というのが(ボートラとして?)入っている。


というわけで、なにかと散財させられることの多いジェイソン君だけど、内容の質の高さは昔も今も折り紙つき。きちんと作りこまれたスタジオ盤も、それを骨組みだけにしたようなアコースティック録音も、ライヴ録音もライヴ映像も、どれもみんな楽しめる。あと僕が自分で体験してないのは生で観ることだけだな、と思っていたら、来年2月に再来日決定ときた。つい数ヶ月前に来たばかりなのにね。

さっそくプレオーダーに登録してみた。明日になれば当落がわかるけど、まあ、プレオーダーに落ちたところでまだチケットを取る方法なんていくらでもあるし、大丈夫だろう。CCレモンホールって、渋谷公会堂のことか。昔誰かのコンサートで行ったことがあるはずだけど、どんなところかよく憶えてないな。指定席のライヴって久し振りだな。目の前にアフロヘアーが座らなければいいな。
posted by . at 00:45| Comment(4) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月07日

これです - James Blood Ulmer

夏ごろのエコ月間の反動なのかなんなのか、先月末からとんでもない数のCDを買い続けてしまっている。もちろんその中にはすごくいいものも沢山あって、この週末はそんな中の一枚を取り上げようと思っていたんだけど、ちょっと前にpiouhgdさんのブログで見かけた名前が妙に気になって、つい懐かしいLPを引っ張り出して聴いてしまってるもんだから、今日はそのことを書くことにしよう。piouhgdさん、僕がコメント欄に書いたのはこれです。

そこで取り上げられていたのは、デイヴィッド・マレイ(David Murray)というジャズのサックス奏者。お察しのとおり僕はジャズについては造詣もなにもあったもんじゃなくて、この人のことも、昔よく聴いていたあるアーティストのアルバムで客演していたから知っていただけなんだけどね。

Are You Glad + Free Lancing.JPG

イギリスのインディーズとして当時ギザギザにとんがっていたラフ・トレードが、初めてレーベル単体として日本に紹介されたのが81年のこと。3月1日に第一回新譜として発売されたのが、

ポップ・グループ 『For How Much Longer Do We Torelate Mass Murder?』 RTL-1
キャバレー・ヴォルテール 『The Voice Of America』 RTL-2
ヤング・マーブル・ジャイアンツ 『Colossal Youth』 RTL-3
ペル・ウブ 『The Art Of Walking』 RTL-4
オムニバス 『Clear Cut』 RTL-5


この5タイトル。記録によると、僕はRTL-1を発売月に買ったようだ。RTL-5については、かつてスクリッティ・ポリッティの記事に書いたとおり。それも同じ月に買っているね。今と違ってひと月にそう何枚もレコードを買えなかった学生時代、この81年3月に僕が買ったのは、この2枚に加えて、元ワイアーのコリン・ニューマンの『A-Z』と、テレビジョン・パーソナリティーズのファースト。我ながら、なんてヒネた中学生だったことかと思う。

ラフ・トレード・ジャパンの話に戻って、翌4月1日には

フォール 『Grotesque』 RTL-6
ペル・ウブ 『390°Of Simulated Stereo』 RTL-7


の2枚が出て、更にその翌月の5月1日に出たのが、

ジェームス・ブラッド・ウルマー 『Are You Glad To Be In America?』 RTL-8

だった。今日はこの人の話。今挙げたグループのことを知らない人にはどうにもわけのわからない話かもしれないけれど、80年代初期に現れて(そして多くはすぐに消えていった)数々のアヴァンギャルドなパンク/ニュー・ウェーヴのバンドに混じって紹介されたこのアルバム。上の写真の右側の、バッタを指に乗せた黒人の子供のジャケに何故かやけに惹かれて買ってみたんだったっけ。“BLOOD”の文字がエンボス加工になっていたのが嬉しかったな。


ブチブチと打楽器のように高速で弾かれるベースと機関銃のようなドラムスにまず圧倒された。いったいどこに拍の頭があるのかよくわからないままどんどんテンポが速くなっていく変拍子のリズム。全員一緒のペースで速くなってるってことは、誰かがヘタクソで走り出したりしてるんじゃなくて、そういう曲ってことなんだろう。そして、やたら手数の多い、硬質な音色のギター。

それまでサックスというと、ブルース・スプリングスティーンのアルバムで聴いていたクラレンス・クレモンズの伸びのある気持ちいい音ぐらいしか知らなかったから、ここで狂ったように吹き鳴らされている音はかなりのインパクトだったはず。「はず」というのは、そもそもその当時、こんな風にギターがこうで、サックスがこうで、なんて聴き方してなかったからね。とにかくそんな音のカタマリをガツンと投げつけられたような気がした。

フリー・ジャズと呼ばれる類いの音楽だけど、当時の僕にとっては、ものすごく刺激的な“ロック”だった。そう、彼の二枚あとのアルバムタイトル『Black Rock』が示していたように。

ジェームス・ブラッド・ウルマー(James Blood Ulmer):ギター
アミン・アリ(Amin Ali):ベース
ロナルド・シャノン・ジャクソン(Ronald Shannon Jackson):ドラムス
G.カルヴィン・ウェストン(G. Calvin Weston):ドラムス
デイヴィッド・マレイ(David Murray):テナーサックス
オリヴァー・レイク(Oliver Lake):アルトサックス
オル・ダラ(Olu Daru):トランペット
ウィリアム・パターソン(William Patterson):リズムギター

というのがこのアルバムの演奏メンバー。ジャズファンの人には有名なメンバーもいるのかも知れないけれど、僕にとっては、このリストの最初の5人の名前は特に忘れられないものとなった。それにしても、この17年後に初のリーダーアルバムを僕が買うことになるオル・ダラ(Olu Dara)の名前がこんなところにあったなんて、今回クレジットを見直すまで気づいていなかったよ(裏ジャケの表記はOlu Daruって間違えてるけどね)。

アルバム・プロデュースは、ウルマー自身と、ジャズ系のアルバムを手掛けている(と今調べた)ロジャー・トリリング(Roger Trilling)に加え、なんとレッド・クレイヨラのメイヨ・トンプソン(Mayo Thompson)。当時のラフ・トレード人脈ということを考えるとそんなに違和感のない人選なのかもしれないけれど、なんだか不思議な感じ。道理で、この次のアルバムとかと比べると、音の感触が違う気がする。ちなみに僕が妙に惹かれたバッタと子供の写真は、内藤忠行というジャズ・ミュージシャンの写真を撮る人のものだった。

何があったのかは知らないけれど、ラフ・トレードをこのアルバム一枚で離れ、同じ年の暮れにCBSから発表されたのが、上の写真では左側にある『Free Lancing』。クールなバッタジャケと比べてこの暑苦しい写真!もちろん、前作の中身がどんなに熱いものかを知っていた僕は、このジャケだけで「買い」だったけどね。

前作と甲乙つけがたい、凄まじい演奏。プロデューサー名簿からメイヨ・トンプソンが抜けたせいか、どちらかというと今作の方がストレートにフリージャズっぽい(のかな?そもそもフリージャズについてそんなに詳しくわかってるわけでもないので)。曲によってメンバーが入れ替わっているが、基本的にはウルマー、アリ、ウェストンの3ピース。マレイは3曲に参加。さっき書き忘れたけど、前作でもこのアルバムでも、数曲でウルマーがその野太い声で結構ソウルフルに歌っている。

自分ではそうと気づかないまま、ここが僕のジャズへの入り口になった。そして、『Free Lancing』の裏ジャケで謝辞が捧げられているオーネット・コールマンとかの方向に恐る恐る進んでいくことになる。でもあんまり深入りするに至らず、結局今でもジャズと聞くと自分は門外漢だと思ってしまう。そして、今でもこの辺の人たちのことは、ジャズというよりは、ロックの端っこの方だと思って聴いている。

この次にまたCBSから出た『Black Rock』(これは僕はLPでは持っていない)を含めて、この時期のウルマーはメチャクチャ格好よかったな。残念ながらCBSからのタイトルは全て廃盤になってしまっているけど(中古盤が凄い値段で取引されてるみたい)、その後あちこちのレコード会社からいろんなジャケットに変更されて再発された『Are You Glad To Be In America?』は今でも流通しているみたいだね。興味のある人は聴いてみればいい。安くはないけど、その価値はあると思う。僕もCDで買い直そうかな。凄い高値の廃盤になる前に。

AYGTBIA.jpg James Blood Ulmer 『Are You Glad To Be In America?』


<12月13日追記>

Are You Glad To Be In America DIW.jpg 届いてみたらこんなだった。
posted by . at 03:24| Comment(6) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月30日

前哨戦2 - Jose Gonzalez

金曜日に帰宅したら、アメリカから荷物が届いていた。箱を開けたら、CDが4枚(うち1枚は3枚組だけど)。その日はもう遅かったので、とりあえず1枚をウォークマンに入れて就寝。

昨日、土曜日は朝から快晴。もう空気は冷たいけど、どこかに出かけたくなるような気持ちのいい天気。さて、どこに行こうかな、としばらく考えた後、CDを買いに行くことにした(予想外だったという人はいるかな?)。

8月頃のエコ月間が功を奏したというべきか、買いたかったけど我慢してたようなのが新着中古コーナーにわらわらと。ラッキー。待ってみるもんだね。あっという間に抱えたCDは9枚に。

ほくほくした気分で帰ってきたら、某通販サイトにてずっと入荷待ちだった2枚が出荷されたというメールが。むう、この週末だけで15枚か。。

昨日から片っ端から聴いているけど、いいのが多いね。ちょっと今の週一のペースで記事にしていたら、とても書きたいもの全部年内に書ききれなさそうなので、今週末はがんばってもう一話書いてみよう。短めにね。


Live At Park Ave.jpg Jose Gonzalez 『Live At Park Ave』

待望の来日公演まで2週間を切ったホセ・ゴンザレスのライヴ盤。こんなのが出てたなんて、昨日CD屋で偶然見かけるまで全然知らなかった。その場でホセのマイスペースを見てみたら、限定盤とのこと。「今買い逃したら、そのうちイーベイで高値で買うハメになる」とか書いてあるので、ちょっと高かったけど即購入。

タイトルどおり、今年3月にアメリカはフロリダ州オーランド、パーク・アヴェニューという場所で収録されたもの。ノークレジットだけど、ホセ以外にパーカッションのエリック・ボディン(Erik Bodin)とバッキング・ヴォーカルのユキミ・ナガノが参加している。多分、僕が最初に観た一昨年のライヴにも参加していたメンバーと同じはず(あのときはパーカッショニストの名前がわからなかったけど)。

全9曲のオーダーは、昨年のオークランドでのライヴのときとかなり似ている。調弦しながらおもむろに始まるオープニングの「Deadweight On Velveteen」。すぐ続けての「Hints」。自己紹介のときに話す台詞もほとんど同じ。最後から3曲目が終わったあとに「あと2曲」と言うところまでも同じ。英語でのボキャブラリーが相変わらず少ないんだろうけど、不器用というか、アドリブが利かないにもほどがあるね。まあ、そういう朴訥としたところも彼の魅力の一端ではあるんだけど。

CDなので、生で聴いたときのあのビンビンと響くパーカッシヴなギターの音が完全に再現されているわけではないけれど、静かに盛り上がっている会場の様子はよくわかる好録音。こんなの聴いてると、たとえ演奏曲目が去年とほぼ同じだとわかってしまっても、再来週のライヴが待ち遠しくなるよ。

彼のいつものアルバムと同様に、ミュート・レーベル傘下インペリアルからの発売だけど、会場を提供したパーク・アヴェニューが配給しているようで、アマゾンでは扱ってないみたいだね。上にリンクしたHMVのサイトでは12月30日発売なんて書いてあるけど、僕が買った某大型輸入盤店にはもう入荷しているから、聴いてみたい人はなくなってしまう前に手を打っておいたほうがいいかも。


思いがけず日本公演の直前に発売されることになったこのアルバムはちょっと入手が難しいかもしれないけど、彼の日本でのレーベル(ウルトラ・ヴァイヴ)も別途ちゃんと来日記念盤を出してくれている。ここは初来日時にも『Japan Tour EP』ってのを出してるし、あまりメジャーな会社じゃないけど、そういうところがきちんとしてて好感持てるね。

In Our Nature Remixes.jpg Jose Gonzalez 『In Our Nature Remixes』

なんだか上のとほとんど同じジャケだね。このイラストはデビューアルバムからずっと変わらず、Elias Araya(相変わらず正確な発音がわからない)。タイトルどおり、セカンドアルバム『In Our Nature』からの4曲を北欧のDJたちがリミックスした5曲入りEP(「Killing For Love」だけ2回出てくるので1曲多い)。

一見水と油のような、アコースティックなホセの音楽とこうしたクラブ系(?)のリミックスが実はよく合うということは、おととしの9月のゼロ7の記事に書いたとおり。曲によってダブ処理がされたものとか、冷やりとした感触がすごく気持ちいい。

もともとスウェーデンだけで12インチのフォーマットで500枚という超限定数で発売されていたというこのアルバム、この日本盤も初回限定生産ということなので、気になる人はこちらもお早めに。

今回の来日公演、招聘元のクリエイティブマンのサイトを見ると、僕が行く15日の東京での一回公演のみ。そんなに人気ないのかな。と思ってたら、さっき見たホセのマイスペースには、15日に加えて16日にも東京のDuoがリストに載ってるぞ。追加公演あるのかな。なんでクリエイティブマンのサイトには載ってないんだろう。15日に行って、翌日分のチケットが売られていたら、買ってしまうかも。どうせ内容同じなのに。。
posted by . at 18:25| Comment(8) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする