2008年03月14日

さらに北へ - Amiina

Kurr..jpg Amiina 『Kurr』

木漏れ日の中をたくさんの妖精が飛び交っている場面。
どこか他の惑星かと思うような、見渡す限りの一枚岩の光景。
一度も来たことはないのに、確かに自分が居た気がする異国の町。

ほんの今まで見ていたはずなのに、目を覚ました瞬間、もうその内容のかけらさえも思い出せない、でもとても気持ちよかった夢の中でかかっていた音楽はいつもこれだったような錯覚に陥る。

こんなにシンプルなのに、これほどまでに視覚に訴えてくる音楽もそう多くはないだろう。そう、確かに耳から聴いているんだけど、音楽を聴いているというよりは、いろいろな(しかもこの上なく抽象的な)光景が目の前に浮かんでくるような感触が心地好い。

アイスランドの音楽学校の同級生だったという、ジャケットに写った4人のメンバーが奏でるヴァイオリン、チェロ、ヴィオラを主に、トランペット、トロンボーン、マンドリン、アコースティック・ギター、木琴、グロッケンシュピール、チャイム、オルガンなどの楽器と、オルゴール、ワイングラス、ノコギリなど身の回りのありとあらゆるものを加え、ほんの少しの電子音を足して出来上がった音。ところどころに、ささやくようなコーラスとハミングが入っている。

暖かくもあり、同時に冷たくもある音。一日の終わりに聴いていると、心臓の周りに絡まった硬い糸のようなものがゆっくりと少しずつ解きほぐされていくのが実感できる。

もちろんそういう所謂ヒーリング音楽としてこれを聴くことは間違ってはいないだろうけど、今のところ僕が実感した一番楽しいアミーナの聴き方は、携帯音楽プレイヤーに入れて、一応遮音性のあるきちんとしたヘッドフォンを着け、轟音で聴きながら歩いてみることだ。どんな雑踏にいようと、たとえ満員電車の中だろうと、確実に自分の周りの景色が変わるよ。

シガー・ロスのアルバムに弦楽四重奏者として参加しただとか、この質感はかつてペンギン・カフェ・オーケストラが持っていたものと非常によく似ているだとか、音楽的に御託を並べることはいくらでもできるけど、今回はそういうのをゴチャゴチャ書くのは野暮というものだろう。こんな音楽を作る人たちがいるアイスランドという国を一度は訪れてみたいと思ってしまう、それだけ。


posted by . at 22:40| Comment(22) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サンプル視聴しました、2、7、8番目の曲が好き。こうゆうのがあるんですね。知りませんでした。これは欲しいです。聞いてると、山村の夕方の空気の中にいる体感がよみがえってくるような気になりました。匂いは記憶をよみがえらせると言いますが、それに似た音楽でした。
Posted by 青グリン at 2008年03月14日 23:13
同じく試聴してみました。
コレ、良いですね。
全然知りませんでしたよ。
Town And Countryなんかとも、ちょっと違いますかね。
Posted by piouhgd at 2008年03月15日 00:10
私のPCではなぜか試聴できなかったので、とっとと注文してしまいました。
絶対気に入ると確信したから。yas兄ィの文章のせいです。
もー、こんなに前のめりにまんまと釣られたのは初めてだ・・・
届くのが楽しみです♪
Posted by ひそそか at 2008年03月15日 03:41
北へ北へと向かいますね。
そのうち、犬ぞりに乗ってカリブーを追いかけることでしょう。

この人たちは、一体何を編んでいるのでしょうね。
四人で別々に編んでいるのに一枚になってしまうなんて(笑)

冬の夜が長い国は読書量が多いという話を聞いたことがあります。音楽にも影響があるのでしょうね。
Posted by Luna at 2008年03月15日 10:20
●青グリンさん
さっそく聴いてもらいましたね。これはグリンさんに気に入ってもらえると読んでいましたよ。さすがカッパだけあって、かつては山村にいらっしゃったんですね。クンクンと思い出してもらえましたか。

2曲目「Rugla」はわりとメロディーと曲の構成がはっきりしていますね。僕は1分40秒ぐらいでカッパの子供が話しているような声が入りだすところがとても好きです。

7曲目「Sexfaldur」は、打楽器みたいな音を出す弦楽器がポンポコいってる曲ですね。豆粒ぐらいの小さな生き物がなにか手作りの楽器を叩いているような感じがします。

8曲目「Kolapot」のメロディーが、ペンギン・カフェ・オーケストラの何かの曲にちょっと似ているとずっと思っているんですけど、名前が出てこないんです。「Steady State」だったかな。明日チェックします。


●piouhgdさん
おお、こういうのもお好みですか。知っていただけてよかったです。是非とも貴ブログでも取り上げてください。

Town And Country、確かに同じ傾向かもですね。女性が演奏しているだけあって、こっちの方が音が柔らかで優雅な気がするのは僕の偏見でしょうか。


●ひそそかさん
>こんなに前のめりにまんまと釣られたのは初めてだ
ブロークン・フライトのときもかなり前のめりだったような気がしましたが。いずれにせよ、またしても僕に騙されて即買いしていただき、ありがとうございました。記事には書かなかったですが、このCDも装丁が変わっていて、ちょっと大きめ(一般的な紙ジャケCDと同サイズ)の厚紙を張り合わせたものが二つ折りになっていて、ちょうど見開きだけの絵本のような感じなんですよ。それで、見開いた右側が円くくりぬいてあって、そこにCDをはめ込むという造りです。中のクレジットの文字もとてもアーティスティックで(言い換えると、読みにくくて・笑)なかなか楽しめますよ。お楽しみに。


●Lunaさん
さすがにカリブー狩りを生業としている人たちは音楽を録音したりすることはないと思いますので、ちょっとそこまでは遠慮しておきます。犬ぞりには乗ってみたいと思いますが。

多分カブ子さんあたりがこのジャケに言及されるだろうと思っていましたが、さすが編み物・縫い物に関してはエキスパートのルナさんですね。そうなんですよ、4人が同じラグを編んでいるというこの不思議なジャケットは、ちょっと聴いたところではシンプルだけど実はいろんな音が複雑に編みこまれているというこのアルバムの内容をよく表していると思うんですよね。グループ名までが「アミーナ」だというのはできすぎた冗談みたいですが。
Posted by yas at 2008年03月16日 01:24
うちのPCでもなぜか視聴できませんでした(涙)。これを聴いた私の眼前にどんな風景が喚起されるのか楽しみにしていたので残念です。

使用されている楽器はどれもやってみたいものばかりですが、一番興味があるのはノコギリです。

ラグの色合いが綺麗ですね。音楽もこのように、単純に「○×色」と言い切れない、複雑で深みのある色合いをしているのでしょうか。

ちなみに「Amiina(あみいな)」は当地では、丁寧語の命令形です。
Posted by ひより at 2008年03月16日 20:50
このラグ、本当に彼女たちが交代で編んだそうですね。よく見ると編み棒が小槌なんだって。
ってなんでこんなこと知ってるのかというと、検索してたら彼女たちのインタビューにたどりついたものですから。曲の作りかたや曲名のことなど興味深かったです。今回は記事が短かかったので後は自分で調べました。

そうそう、試聴もしてみましたよ。女の子たちが音で遊んでるような感じですね。いい音で聴いてみたいです。歩きながら轟音で聴くと楽しいって、ちょっとわかる気がします。
Posted by カブ子 at 2008年03月16日 21:52
●ひよりさん
そちらでも駄目でしたか。しょうがないですね。そういうときはこちら↓を見てください。

http://www.myspace.com/amiina

>一番興味があるのはノコギリです
ノコギリといっても、ギコギコ鳴るんじゃないですよ。ひよりさんには釈迦に説法でしょうが、横山ホットブラザーズのアレです。

ラグの色合い、いいですね。マフラーにもできそうです。ちょっとスマキ状態にはなりますが。

丁寧な命令。それもまた複雑で深みがありますね。


●カブ子さん
あなた本当にカブ子さんですか?なんでこんなことまで調べているんでしょうか。締め切り前で忙しいはずでは?

僕もそのインタビューは読みました。先日にんじんさん宛てのコメントに書いた、アイスランド音楽専門サイトですね。よくこんなものを見つけましたね。締め切りはいいのですか?

>いい音で聴いてみたいです
是非入手してください。そして轟音で聴いてみてください。○ャニスまで行って借りてくるという手も、締め切り前の現実逃避に最適かもしれませんね。

表ジャケに文字はないです。そのかわりステッカーが貼ってあるものもあります。それは締め切りには関係ありません。
Posted by yas at 2008年03月17日 22:56
アイスランドとアイルランドの区別って、ナイジェリアとアルジェリアのように難解です。
それはそうと、女性ならでは(←私は当てはまりませんが)の繊細な優しさをたたえたステキな音たちですね〜!上司がグダグダ長話をしているときにでも、ヘッドフォンで流しておいたら和めそうかも〜(笑)。

ところで、ブログと距離を置いて、代わりにライヴに行ったりしてみたら、格段にCD購入量が減ったんですよ〜。ナント、今月まだ1枚も買ってないのです!(今から少し注文しますけどね)
HMVのシアウォーターは、yasさんの予言どおり今現在未入荷。アマのマーケットプレイスで買うことにします。
Posted by クロム at 2008年03月20日 13:05
●クロムさん
おお、クロムさんが!復活コメントありがとうございます。

誰も知らないような国の、誰も読めないような名前のバンドを探してきては熱狂的に支持しているクロムさんらしくもない発言。アイスランド−アイルランドとかナイジェリア−アルジェリア程度では生易し過ぎでしょうか。

今月まだ1枚も買っていないとは、一体どうしたことでしょう。2月以降、2000年代のCDを月最低5枚は買うとの宣言はまだ生きていますか?

僕は、1月に60枚も買ってしまった反動で、2月は6枚に抑えたんですよ(ずっと出張に出てたとか、病気で臥せっていたという理由もあったんですけど)。ところがその反動で、今月は今日時点で既に21枚です。1日1枚をオーバーしてしまっています。今日たまたま通りがかったブックオ○で、1000円以下のCD全て半額セールなんてものをやってたんですよ。1450円ほど得しました。

アミーナ、クロムさんにも気に入ってもらえてなによりです。グダグダ長話をする上司としては複雑な心境ですが。
Posted by yas at 2008年03月20日 21:31
私もつい勢いで買ってしまいました。
今のところ、寝る前に電気を消した部屋で聞くのが気に入っています。でも(当然ながら)最後までたどり着けないのが問題点です。今度轟音で昼間に聞いてみます。

このジャケット、「若草物語」を思い出しました。四人姉妹でおしゃべりしながら、シーツの四辺をかがっていく場面があったのです。
Posted by にんじん at 2008年03月24日 14:35
●にんじんさん
聴いてもらったんですね。うれしいです。真っ暗な部屋で一人ひっそり(とは書いてないけど)聴くというのもよさそうですね。自分の布団の周りでたくさんの小人が演奏してるようで。でも僕もそれをすると、きっと一曲目のイントロあたりで意識を失いそうです。あの曲の一体どこまでがイントロなのかはわかりませんが。

「若草物語」、僕は読んだことないのですが、きっとこのジャケを考えた人は、それが頭にあったんでしょうね。
Posted by yas at 2008年03月30日 01:04
今届きますた!今聴いています。ちゃんと1曲づつ聴くと、静かで優しくて、陰気でなく温かみのある音楽なんですね。
4人がスーパーモデルみたいじゃなく、ぽっちゃりしてるところにも好感持ちますた!
Posted by 青グリン at 2008年03月30日 18:14
●青グリンさん
届きますたか。気に入っていただけてなによりです。山村の夕方の匂いはしましたか?

ぽっちゃりしてるのはいいですね。多分寒い地方で痩せているとすぐに凍死してしまうからでしょう。
Posted by yas at 2008年03月30日 21:56
親知らず抜歯翌日、部屋を暗くしてベッドに丸まってずーーーっとこのCDをかけ流しておりました。いろいろ試してみましたが、これが一番抜歯の痛みに合うようです。yasさんもそのような機会にめぐまれましたら是非。
Posted by にんじん at 2009年04月17日 23:43
■にんじんさん
あ、南の島で親知らずを抜いてきたにんじんさん、こんにちは。おあつらえ向きに僕も最近北欧モードに浸っているので、最近これも聴き返していたばかりです。今日は出張から朝帰りで、これをBGMに朝風呂にゆっくり浸かりました。ゴクラクでしたよ。いえ、決して親知らずの痛みと比較しているわけではありません。
Posted by yas at 2009年04月18日 23:13
にんじんさんの親知らず抜歯顛末記、聞きたいな〜
Posted by Luna at 2009年04月19日 13:03
■Lunaさん
そうですね、永らく長屋でにんじんさんを見かけることもなかったですしね。皆であちこちのコメント欄でリクエストしましょう。
Posted by yas at 2009年04月19日 23:17
せっかくlunaさんが読みたいと言ってくださったので書き始めてみましたが、思ったより長尺の大河ドラマに(大嘘)。うーん、時間切れです。
明日ちょっと早起きして2泊ほど出かけてきますので、帰ったら残りを書いて長屋にアップしますねー。えーと、多分(笑)。
Posted by にんじん at 2009年04月20日 23:28
■にんじんさん
2泊ほど何処にでかけるのですか?興味津々です。

>書く書く詐欺になったらごめんなさい
慣れているので大丈夫です。
Posted by yas at 2009年04月20日 23:32
にんじんさん主演の大河ドラマ、楽しみです。

2日間の行き先も気になってきたじゃないですか。
もう出かけたかな?
行ってらっしゃい。

Posted by Luna at 2009年04月21日 07:24
■Lunaさん
もうあれからかれこれ2日以上経っているので、にんじんさん既に帰宅済みのはずです。大河ドラマ、いつ上がるか楽しみですね。にんじんさんのことですから結局完成しないという可能性大ですけど、プレッシャーをかけ続けましょう。にんじんさんがここを読んでるかどうかはわかりませんが。

Posted by yas at 2009年04月25日 15:11
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。