2020年05月01日

yascd035 Road Songs ぼくのかんがえたさいきょうのファウンテンズ

前回このブログを更新したのが去年の7月。そのときには、というか、今年になってからですら、世界中の誰もこの2020年がまさかこんなとんでもない年になるなんて予想もしていなかっただろう。3月29日に志村けんが亡くなって日本中が騒然としたのもつかの間、その直後に新型コロナウィルス感染で入院しているらしい、心配だね、なんて友達と話をしていたアダム・シュレシンジャーが、わずか3日後の4月1日に亡くなってしまった。

僕が情報収集している界隈だけかもしれないけど、アダム追悼の言葉を思いのほか至るところで見かけ、あらためてこの人の人気に驚いた。と同時に、そんなに大ファンというわけでもなかったつもりでいた僕が、あらためてこの人の不在に意外なほどのショックを受けていることにもまた自分で驚いている。

8年前にファウンテンズ・オヴ・ウェイン(以下FOW)を観たときの記事(奇しくもアダムの命日だ)に書いたとおり、僕はずいぶん遅れてこのバンドのファンになっている。デビューアルバムが1996年で、もちろんその当時から名前もジャケ写も知っていたし、確かいくつかのシングル曲も聴いたはずだとは思うんだけど、いまいちピンとこなかったんだろう。96年って何を聴いてたっけと思ってリストを見返してみたら、グリーン・デイとかパルプとかクーラ・シェイカーとかが年間ベスト候補に入ってるから、決してこの手の音から離れていた時期というわけでもなかったのに。

その後、10年以上も遅れて僕がこのバンドにのめり込むようになったいきさつはさっきの記事に書いたとおり。「ああそうか、この人たちって単にパワーポップバンドとして括らない方が自分にとってはしっくりくるぞ、そして、そういう王道アメリカンバンドとして捉えたこのバンドは、自分の中では相当上位に来るぞ、と再認識させられた次第」というわけだ。

16年間に5枚のオリジナルアルバムとB面曲などを集めた2枚組編集盤をリリースしている、それなりにキャリアも音源も豊富なこの人気バンドのベスト・アルバムはまだ出ていないようだ。シングル曲をざっと並べただけでも1枚もののベスト盤ぐらいできそうなものなのにね。初期のアトランティックと後期のヴァージンでうまく話をまとめてくれないものか。

無いんなら作ってしまおう、ということで、ここのところの自分内アダム不在を埋めるために、ずいぶん久しぶりにこの企画を復活させてみることにした(毎年の年間ベストCD作成はひっそりと続けているので、このブログに載ってるyascdの最後の番号からはずいぶん飛んでしまっているけど)。

もしかしたら将来出るかもしれない、単にシングル曲を並べたような編集盤を作っても面白みがないし、第一さっき書いたように僕にとってのFOWの醍醐味はどういうわけか彼らがシングルカットする(そしてヒットする)ような曲たちとは少しばかりずれているので、どうせなら自分の好きなタイプの曲だけで固めてみよう。いっそ、シングルとして発売された曲は全部外してしまおう。「Sink To The Bottom」も「Stacy's Mom」も入ってない、正統派FOWファンが聴いてみたらアルバム中の捨て曲ばかりかもしれないけど、これが、ぼくのかんがえたさいきょうのファウンテンズ、というわけだ。

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いつもみたいな曲ごとの解説はなし。そんなことをするととてつもなく長くなってしまうし、第一、曲ごとに解説できるほど僕はすべてのアルバムについて詳しく知ってるわけじゃない。一応、作るにあたっての自分内ルールは、さっき書いた「シングル曲はなし」、「できるだけ全アルバムから均等に選んで、同じアルバムからの曲が固まらないようにする」。ほとんどが2〜3分台の曲ばかりなので、80分のCD-Rに詰め込んでみたら、これまでのyascd最大となる24曲入りになってしまった。これを、2枚組LPに収めるイメージで、6曲x4面に並べてみたのがこれ。「全アルバムから均等に」のつもりだったけど、やっぱり初期の2枚からはちょっと少なくなってしまった。

Side A
1. I Know You Well
2. Workingman's Hands
3. Fire In The Canyon
4. Fire Island
5. I've Got A Flair
6. A Fine Day For A Parade

Side B
1. A Dip In The Ocean
2. New Routine
3. Small Favors
4. Valley Winter Song
5. Amity Gardens
6. Cemetery Guns

Side C
1. Maureen
2. The Hotel Majestic
3. I-95
4. Firelight Waltz
5. The Man In The Santa Suit
6. Hackensack

Side D
1. The Girl I Can't Forget
2. This Better Be Good
3. Please Don't Rock Me Tonight
4. Supercollider
5. A Road Song
6. Better Things


1曲を除いてほぼすべてが、上にジャケ写を載せた6枚のアルバムから。カバー曲はなしで、全曲Collingwood / Schlesingerの作詞・作曲。この二人はどういう曲の作り方をしているんだろう。Lennon / McCartneyみたいにどっちかがそれぞれの曲をほぼ全部作ってしまうのか、Difford / Tilbrookみたいに詞・曲で分業しているのか。にわかファンの当てずっぽうでは、アダムが曲を作ってクリスが歌詞を乗せてたんじゃないかなと思う。アダムのティンテッド・ウィンドウズのアルバムに入ってる曲のクオリティをみてみれば尚更そう思える(と、久しぶりにその記事を読み返してみたら、11年前に僕は同じことを書いているね。何年間にわかファンでいるのか)。

ところで、ジャケ写を集めがてら、久しぶりにアフィリエイトでも貼ってみようかと思ってアマゾンを見てみたら、この人たちのCDってもうほとんど廃盤なんだね。びっくりした。唯一まともな値段がついているのが、ラストアルバム『Sky Full Of Holes』の輸入盤のみ。まあ、これも他のアルバムも、アマゾンでも中古屋でも比較的簡単に安く手に入るから別にいいけど。それとも、もうこの手の音楽を聴く人たちはCDなんて買わずにみんなストリーミングとかで聴いてるのかな。

51GSes9z4pL._AC_.jpg話が飛んだ。さっき除いた1曲、D-6「Better Things」だけは説明が必要かな。2002年に出たキンクスのトリビュートアルバム『This Is Where I Belong』の冒頭を飾る曲。なので、作詞・作曲はこの曲だけがレイ・デイヴィス。一応、僕が作ったこの編集盤の中ではボーナストラックという扱いにしておこう。ちなみにこのキンクスのトリビュート盤、FOWの他にもスティーヴ・フォーバート、ジョナサン・リッチマン、ベベウ・ジルベルト、クイーンズ・オヴ・ストーン・エイジ、マシュー・スウィート、ラムチョップ、ロン・セクスミス、ヨ・ラ・テンゴなど結構豪華な顔ぶれが揃い、ラストはデーモン・アルバーンとレイ本人が「Waterloo Sunset」で締めるというなかなかの好盤。と思ってアフィリエイトのリンク張ってみたけど、当然のごとく廃盤で、マーケットプレイスで15,000円以上もするの?


そのボートラの1曲前、一応本編ラスト扱いの「A Road Song」が、ぼくのかんがえたファウンテンズさいきょうの1曲。Discogによると『Sky Full Of Holes』からのプロモ盤として文字だけの味気ないジャケのCDが存在しているみたいだけど、もしかしたらこのアルバムからの3枚目のシングルカットにするつもりだったのかな。日本ツアーのときに撮られたとおぼしきシーンがところどころに収められたPVも、歌詞の内容によく合った朴訥としたモノクロの作りがとても素敵。ビデオの後半、やんちゃそうにベースを振り回すアダムの楽しそうな姿を見るたびに、泣きそうになってしまう。

  まだウィスコンシンから出てないと思うよ
  今日はグリーンベイで演った。明日はシカゴや
  嘘つけたらよかったけど、そんなに大して書くこともないよ
  携帯のバッテリーがもう死にそうやから
  短めにしとくよ

  あのな、お前にずっとロードソングを書いてるって言いたかってん
  聞き飽きたかもしれんけど、なあ、そう悪いもんでもないよ
  クラッカーバレルのレストランに立ち寄ったり
  ウィル・ファレルの出てる映画を40本も観たりしながら
  他にも時間潰しせなあかんからね
  そやから、お前にロードソングを書いてるんよ
  気にせんといてや

  昨日の晩、お前に水色のシャツ買ったよ
  音はとても聴いてられんバンドやったけど
  割といかしたロゴやったから
  ステージに瓶を投げたガキがいててな
  そいつ、プロ級の腕やったよ
  ごめん、もうこんな時間やな
  そろそろ止めとこう

  なあ、言うたことあったっけ
  お前のためにずっとロードソングを書いてるって
  嫌がらんといてや、そんなに長いやつじゃないから
  お前が頼んだわけじゃないのもわかってるし
  俺はスティーヴ・ペリーでもないってのもわかってるよ
  たとえお前が呆れてうめき声をあげたとしても
  お前が自分の曲やって思えるようなのを書いてるから



アダム・シュレシンジャー、どうか安らかに。あなたのライヴはたったの2回しか観る機会はなかったけど、初めて観たときから10年経った今でも、あのときの興奮はありありと思い出せるよ。ありがとう。
posted by . at 17:40| Comment(1) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いまだに信じられません。いま聴き返してみても、どれも色あせませんね。4枚目以降はあまり好きじゃないなんて言いましたけど、今回改めて聴いてみたら、すごく良かったです。

ライヴも楽しかったな。その前座がDavid Meadだったこともよく覚えています。
Posted by xiao at 2020年05月04日 15:23
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