2015年10月14日

Squeeze live in Southend

どうして僕がロンドンにいるのかという説明は省略し、リヴァプールストリート駅からC2Cに乗り込んで約一時間、ウェストクリフ駅に僕が降り立ったあたりから今日の話をはじめよう。中途半端な時間に宿を出てきたのでお昼ご飯というには遅すぎる時刻だったけど、何かあるだろうと期待していた駅の真ん前にあるフィッシュ&チップス屋のウィンドウに「To Let」の張り紙がしてあるほどの寂れた駅だ。こんな小さな街でライヴを演るんだね。

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会場のクリフズ・パヴィリオン(Cliffs Pavilion)までの道を確かめながらブラブラ歩く。ロンドンからほどよい距離の、もしかしたら昔は海辺の観光地としてそれなりに人を集めたところだったのかも。昔ながらの家並みは、海風にさらされて石造りがかなり傷んでいるように見える。

途中で別のフィッシュ&チップス屋を見つけ、しばらく歩いて会場に到着。駅に近い方の裏口には大きな観光バスや、機材を積んできたと思しきバンが数台、それにキャンピングカーが一台停めてある。崖のパビリオンという名前のとおり、(崖というには大げさだけど)海辺に建った建物で、沖合にはドクター・フィールグッドゆかりのオイル・シティ、キャンベイ・アイランドがうっすら見える。

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建物の壁にはこれから予定されているコンサートや演劇のポスターが沢山。ロック系の音楽だと、スティーヴ・ハケットやホットハウス・フラワーズのポスターが貼ってあった。ホットハウス・フラワーズってもうリアムがソロでやってるだけかと思ってたけど、まだバンドで続けてるんだね。そして、肝心の今日の出し物は、ちっちゃなチラシが貼ってあるだけだった。ポスター作ってないんだね。

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正面入り口にまわり、中に入ってみると、リハーサル中のようだ。「Snap, Crackle & Pop」が聴こえる。へえ、この曲ライヴで演るんだ。ネタバレしたくないという気持ちと、リハーサルを聴いていたいという気持ちが葛藤した結果、もちろんのこと後者が圧勝。地元の敬老会みたいなおばあさん達が行きかう中、謎の日本人がステージ脇のドアのところにずっと突っ立っている姿はさぞかし異様な光景だったことだろう。

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あとリハーサルでは何を聴いたっけ。「Everything」とか「Nirvana」とか「Slap & Tickle」だったかな。誰かグレンでもクリスでもない人が歌っていた、僕の知らない曲もあった。サイモンの声は知ってるから、消去法でいくとあれはスティーヴンだったのかな。しばらくすると客席の柵の搬入のためにステージ脇のドアが開けられたので、リハーサル中のステージが見えるという幸運にも恵まれた。グレンは緑色のTシャツ、ルーシーは白いシャツを着ていた。グレンと話しているギターを持った小さいのはレオンだ。スクイーズをバックにまたあのディスト―ション満載のギターソロを練習してるよ(そのときの様子がスクイーズのインスタグラムにアップされてた)。

物販に次々にグッズが並べられているのを見ていると、係のお兄ちゃんが胡散臭そうにこっちを見る。怪しいもんじゃないと、ひと段落した頃に話しかける。「きっと日本から来た価値はあるライヴになるよ」と、プログラムの最後のページに書かれた苗字が間違えられているというニール君(Brownと書いてあるけど、本当はBronだかBranだって言ってたかな)。まだ他に誰も客がいないので、プログラムの中身やクリスの詩集を見せてもらったりしてた。クリスの詩集、綺麗な装丁でなかなか魅かれたんだけど、冷静に考えてみると歌詞カードと同じ内容のものに20パウンドはちょっと二の足を踏んでしまう。

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結局、この夜のライヴを録音するCD-Rを自分のと友達の分、マグカップとマットのセット(あのキモかわいいジャケのデザインが結局このマットにしかなかったから)、あとニット帽を買った。Tシャツが数種あったけど、どれもデザインがどうもいただけない。ストレートに新作ジャケのデザインのを作ればいいのに。「I'd Forgotten How Much I Like Squeeze」って、いや僕は片時も忘れてないし。そんなシャツを着るのは屈辱的ですらある。

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しばらくニールと話していると、「その机の上に置いてあるクリスのポストカード、持って行っていいよ」と言ってくれた。「友達の分ももらっていいかな?」と訊くと、「箱一杯あるから、何枚でも好きなだけどうぞ」だって。クリス…(笑) というわけで、何かお土産を期待している友達には、もれなくクリス・ディフォードのポストカードを差し上げます。

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リハーサルも終わってしばらく経った頃、時間を持て余して裏口の方に歩いて行ってみると、グレンがいた。呼び止めて、東京から来たんですよと言ってみたけど、なんだか通り一遍の返事。彼のことだから決して冷たいなんて風じゃなかったけど、やっぱりライヴ直前で神経が張りつめてたんだろうね。「ライヴを楽しんでね」と握手をしてくれた後、そそくさとキャンピングカーの中に入っていった。でも、偶然聴けたリハーサルとこの邂逅で、早めに来た甲斐があったよ。

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立見席は入場前にチケットとリストバンドを交換。チケットを取り上げられたから返してほしいと言うと、管理ができなくなるから、もし持って帰りたければ、ライヴ終了後にカウンターに取りに来てと言われた。ただでさえ終了予定時刻(ニールによるといつも22時半過ぎ)と終電時刻(23時22分リヴァプールストリート行き最終)の間にライヴCD-Rを受け取ったりサイン会に並んだりとやること満載なのに。

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19時の開場前から入口前になんとなく列ができはじめたので、慌てて並ぶ。10番目ぐらいかな。出遅れた。せっかく何時間も前から一番乗りしたのに、真っ先に場内に入れないのは残念。それでも、最前列ほぼ中央左寄り、クリス正面の場所を確保できた。グレンの手元もしっかり見える好位置だ。後ろを振り返ってみると、まだフロアは半分ぐらいの入りといったところか。やっぱり年配のお客さんが多いから、二階席の方はもう結構埋まっている。全部で何人ぐらい入るんだろう。東京でいうと、渋谷公会堂を二回りぐらい小さくしたキャパなのかな。こんな辺鄙なところまで観に来るのは大変だったけど、逆に日程の関係でこんな小さな会場で観られたのはラッキー(ロンドンだとロイヤルアルバートホール級だから)。

定刻通り19時半に司会者が出てきて、ドクター・ジョン・クーパー・クラークを呼び入れる。この人、いつから芸名にドクターが付いたんだっけ。スクイーズの楽器を覆い隠すような大きな垂れ幕の前にオルガンが置いてあったから、もしかしてオルガンを弾きながら語ったりするのかと思っていたけど一切そんなこともなく、結局一時間ぶっ通しでしゃべり倒して行った。

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彼のCDは初期のを2枚と、あといくつかのコンピレーションに入ったライヴ録音を持っているけど、マンチェスター訛りの強いあの超弾丸早口はほとんど聞き取れない。皆さんよく笑ってたから結構面白いことを言ってたんだろうけど。ときどき僕にもわかる内容があったけど(何が可笑しかったかは忘れた)、語りだけで一時間はちょっときつかったかな。僕でも知ってる「Beasley Street」とか古い曲(?)に交えて、新作をノートを見ながら読んだりしてた。

10月23日にソニーからアンソロジーボックスセットが出るらしく、しきりにそれを宣伝してたね。僕の知るかぎり、70年代後半に数枚のアルバムを出したきり(アマゾンを見ると、その後にも数枚出ているようだけど、それがオリジナルアルバムなのか編集盤なのかは不明)なこの人が、そんなメジャーレーベルからボックスが出るほどの人気があるなんて。

どこかでクリス・ディフォードのインタビューを読んだときにジョン・クーパー・クラークは時間を引き伸ばしがちというのを読んで心配してたんだけど、一旦引っ込んでアンコールのつもりの最後の一曲を含めてぴったり予定通りの一時間でステージを降り、クルーが垂れ幕を解体してセットチェンジを開始。セットチェンジと言ってもマイクを入れ替えてスクイーズの弦楽器類をステージに置いてチューニングするだけなんだけどね。それがだいたい20分ぐらい。

20時50分ごろだったかな、暗転したかと思うとすぐに(2012年のライヴアルバムでもおなじみの)メンバーをちょっとしたジョークを交えて紹介するMCの声が場内に流れ始めた。ジョン・クーパー・クラークを紹介した司会者とは違う声だね(あの人はあれだけのために来たのか?)。そして、まだステージには誰もいないうちに、ギターの音が聴こえはじめ、ステージ右手からメンバーが順に小走りに登場。なんとギターの音はグレンが実際に弾いている音だ。各メンバーが配置に着いた瞬間、そのギターの音がイントロとなって、「Hourglass」へ。出だしから鳥肌モノの演出。

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隣のおっさんも後ろの奴も大声で歌う歌う。普段ならお前らの歌聴きにきたんじゃないと思ったかもしれないけど、これもグレンマジックなのか、あんまり気にならない。僕も適度な大声で歌う。後ろの奴はきちんと32回の手拍子も入れてたね。今、買ってきたライヴCDを聴きながらこれを書いてるけど、演奏中の観客の声はしっかり聞こえるけど決して演奏と歌の邪魔にはなってない、いいバランスの録音になってるよ。

ステージ中央のグレンは派手な紫色のスーツ(このスーツ自体は見たことなかったけど、いつもの安定したグレンの素っ頓狂ないでたちに安心する)。左側のクリスは黒いスーツ。以前ジュールズのライヴにゲスト参加したのを観たことがあったけど、こんな近距離でこの人を観るのは初めて。両脚を開いてギターを弾く姿を見て、そうだこの人こんな風に立つんだったと、ちょっと感慨深くなる。

クリスの真後ろ、一段高くなったところにキーボードのスティーヴン。鮮やかなブルーのスーツに、ネクタイまでしているのは彼だけ。クリスがマイク前に立つと、僕の位置からはスティーヴンは隠れて見えなくなってしまうんだけど、クリスはどういうわけかコーラスを入れるとき以外はやたらと後ろに下がってギターを弾くので、いい塩梅でクリスもスティーヴンも見られた。

ステージ中央後ろのドラムキットには、Tシャツの上にもはやトレードマークのような黒いベストを着たサイモン。彼の向こう側にはペダルスティールほかマンドリンなどの弦楽器が沢山置いてある。ツアーメンバーのメルヴィン・ダフィー用だけど、この時点では彼はまだいない。そして、グレンの向こうがわ、ステージ右手に銀色のワンピースを着たルーシー。最初に使っていたのは白いジャズベース。

間髪入れずに二曲目「Is That Love?」、そして「Another Nail In My Heart」と、イントロを聴いただけで狂喜乱舞な曲を連発。こんな序盤からなんて贅沢な選曲をするんだ。そしてここで初めてグレンが曲紹介。「クリスがElectric Trainsを歌います」というから、てっきり彼のソロバージョンの「Playing With Electric Trains」を聴けるのかと一瞬期待したが、単に一オクターブ低いスクイーズバージョンだった。まあこれはこれでレア。

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ここでようやく一息入れて、ニューアルバムからの曲を演奏すると話すグレン。まずは、これは多分演らないだろうと思っていた「Only 15」からだったのがちょっと意外。さらに続けて同アルバムから「Beautiful Game」。ここからメルヴィンが参加。僕の位置からはちょうどグレンの後ろに隠れて見えないけど、まあしょうがない。昔の歌を大声で歌っていた周りのおっさん達はここで黙るが、こちらはもうそこそこ歌詞も覚えてるのでこのへんの曲も歌うよ。

グレンのソロライヴでは定番の「Some Fantastic Place」を、彼がエレキギターを使って弾くのを聴いたことはあったっけ。あのギターソロを生でエレキで聴いたのは、もしかしたらこれが初めてかもしれない。ずっとオリジナルと同じラインを弾いていたのが、途中で(グレンが一瞬やばいと思った表情をしたように見えた僕の目に狂いがなければ)違うフレットを押さえてしまって、でもそんなことには一切気付かれないように最後の4小節を新しいメロディーで弾き終えたのを見たときは、ちょっと鳥肌ものだった。まあ、もしかしたらあれが今のお気に入りのフレーズなのかもしれないけどね。それを確かめるために、そのうち今回のツアーの他の日のライヴ盤も手に入れて聴いてみよう。

聴いたことのないおごそかなキーボードのイントロはなんだろうと思っていたら、「The Truth」だった。今回のライヴ、おなじみの曲でもイントロや全体の曲のアレンジが変わっていたものが多かったけど、これもそのひとつ。グレンがソロではいつもやる、6弦のペグを緩めて弾くソロはなかったけど、そういえばこの曲も僕は彼がエレキで弾くのを聴くのは初めてのはずだから、今回のツアーも中盤でかなり指さばきもこなれてきているグレンのソロが堪能できた。いつもアコギのソロを感嘆して見ているけど、やっぱりこうしてエレキのソロを見てしまうと、ほれぼれしてしまうね。

アルバムを聴いたときからイントロが哀愁のマンデイ(笑)だと思っていた「Nirvana」がこの日3つ目の新作からの選曲。それが終わると、オルガンのところに腰掛けたグレン以外は全員ステージ裏に下がり、真上からスポットが当たってグレンが歌いだす。「The Elephant Ride」か。これ、グレンのライヴではしょっちゅう聴いてるから、こうしてソロで演奏されてもちょっとありがたみないんだよね。

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なんて贅沢な文句を言ってるうちに、すぐにメンバーが再登場し、またも新作からの「Everything」。曲の冒頭からずっと鳴り響いてるキーボードのループ音が演奏が終わってもずっと鳴り止まないなと思っていたら、それをバックにグレンが突然「Labelled With Love」を歌い始めた。観客総合唱。そして、最初のフレーズを歌い終えたところでバンド演奏が入る。しびれるねえ。

もともとカントリー風味のこの曲に、メルヴィンのペダルスティールが抜群に合う。もう、なんで今までスクイーズにペダルスティール奏者がいなかったんだろうと思うぐらいのはまりよう。せっかくベントレーがルーシーに交代して見た目のもっさり感が少し薄らいだと思っていたところにまたこのずんぐりもっさり君かと思っていたんだけど、ここでのペダルスティールに限らず実にいい働きをしていたよ、この人。当面はツアーメンバーとしてだけの参加なのかな。それとも正式メンバーとして加入するのかな。

この手の常連曲はほとんど観客全員が最初から最後まで歌ってたと思うんだけど、一番最後のフレーズをグレンが手振りで観客だけに歌わせてそれがばっちり決まると、ほんとうに嬉しそうにしてたね。今、ライヴCDを聴き返してみたら、歌が終わったところでグレンが「ハハハ」って笑ってたよ。

ルーシーの向こう側の高いドラムスタンドにタムが二つ置いてあるなとは思ってたんだ、最初から。そしたら、ここでサイモンが前に出てきて一番向こうに。ルーシーはウッドベースに持ち替え、マットはマンドリン、スティーヴンはアコーディオンで、全員でフロントに一列に並んでアク―スティックセッションの始まりだ。こんなヴァージョンの「Slap & Tickle」は初めて聴いたよ。

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定番コースは「Black Coffee In Bed」へと続く。この曲でもペダルスティール弾きますか。「Labelled With Love」ほどには似合ってないね。まあ、新鮮だけど。ところで、グレンのソロライヴに慣れた日本の僕たちはこの曲とかでは必ずかけあいボーカルの方を歌うのが常なんだけど、どうもこっちのお客さんは皆さんグレンと一緒にメインボーカルのところを歌うね。間延びするでしょうに。と思ってたら、次の「Goodbye Girl」では当たり前だけどメインボーカルのところ、というかサビのタイトルのところを大合唱。

ここでもペダルスティールと、ひき続きスティーヴンのアコーディオンがいい味を出している。それにしても、スティーヴンを初めて見たけど、なんだかひょうきんな動きをするね、この人。サイモンのところに行っておどけてみたり(それに律儀に反応して演奏中なのに変顔するサイモン)、後ろからジャンプしてルーシーの隣に行ってびっくりさせたり。グレンと並んで今やこのバンドの音楽面での要でもある彼がこんなお調子者だっただなんて。

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「次もまたニューアルバムから」と言って、「Open」。意外な曲ばかり演るね。これは新作の中でも好きな部類に入る曲だから嬉しいけど。この曲ってこんなにスティール鳴り響いてたっけ。気持ちいい。そして、グレンがウクレレに持ち替えたのですぐにわかった次の曲は、ニューアルバムのタイトル曲。新曲どんどん演るね。このツアーの初期のレビューにあった「観客が“新曲をもっと演れ!”と叫んだ」てのは何だったんだ。

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カバー曲が2曲、どちらも『Cradle To The Grave』のアナログ盤のD面にボートラとして収録されている、グレンが歌う「Harper Valley PTA」(グレンのソロでは聴いたことがあったはず)と、クリスの「I Don't Wanna Grow Up」(オリジナルはトム・ウェイツって言ってたけど、もう僕が聴かなくなってから久しい92年の『Bone Machine』からの曲か。どうりで知らない曲だったはずだ)。

開始からどれだけ経ってたのかわからなかったけど、もうそろそろラスト間近か。ここからがまた怒涛の名曲集。まずは「Tempted」。途中、クリスと交互にリードヴォーカルを分け合うときに一瞬自分の番だというのを忘れた箇所があって、苦笑いのグレン。かわいい。ソロのときは全部のパートを自分で歌うから、久し振りに(でもないだろうけど、こんなツアーの中盤で)こうして掛け合いやってみてうっかりしたのかな。この曲のエンディングでメンバー紹介。スティーヴンとクリスにだけ「ミスター」を付けてたね(そのお返しに「ギターと素晴らしい声、ミスター・グレン・ティルブルック、レディース&ジェントルメン」と紹介するクリス)。

間髪入れずに「Pulling Mussels」でワウ踏みまくりのギターソロ、そしてとどめの「Up The Junction」。このあたりで、それまでずっと弾いてたヤマハのテレキャスターもどきみたいなギターから1曲だけ日本にも持ってきていた黒いストラトに持ち替えたはずだったんだけど、どの曲だっけ。こうして録音聴いてみるとこの3曲ほとんど曲間なしで演奏してるから、もう少し前の「I Don't Wanna Grow Up」とかだったかな。それともあれはアンコールのとき?

一旦バックステージに戻り、(最近のライヴにありがちなお決まりのようにすぐ出てくる感じでなくしばらくじらしてから)アンコールで再登場。「Snap, Crackle & Pop」と意外な曲でスタート(リハーサルで聴いていたから演奏するのは知ってたけど)。アルバムラストの曲だから、なんだかこれでまた終わってしまって引っ込むのかと思ったけど、グレンが「次はラジオでかかってる曲だよ」とアナウンスするのを聞いてそんな杞憂は吹っ飛んだ。待ってました、「Happy Days」だ。

これもいい曲なんだけどまさかこれが最後なんてことはないだろう、あと演ってないのは何があったっけ、「Take Me, I'm Yours」かな、あとは、えーと…とか思っていたところにグレンが後ろを向いてメンバーに「ワン、ツー、スリー、フォー」と身振りで合図して、「Cool For Cats」! そうだった、なんでこれを忘れてるんだ僕は。イントロ一発だけで大興奮、みたいな曲はこの日も沢山あったけど、その中でもダントツで一番はこれ。僕この曲ほんとに好きだ(それが高じてグレンにまで歌わせたこともあったほど)。

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このときちらっと見た腕時計の針はもうとっくに終了予定時刻の22時35分を廻っていたけど、まだ終わらない。最後はもうこれしか残ってないだろうという「Take Me, I'm Yours」を、またもステージの前の方に全員が出てきて(サイモンは首から下げたタム、スティーヴンはメロディカ、ルーシーとグレンはウクレレ、あとの2人はアコギ)ステージをぐるぐる歩きまわりながら演奏。そして最後は、ステージ左手から観客席に降り、(僕からは見えなかったけど)そのままどんどん後ろのドアの方まで練り歩いて行って、そこで演奏終了。ああもうこれじゃこれ以上のアンコールはできないよ(僕も終電の時刻が迫っていたのでもうそれ以上いられなかったけど)。

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ライヴ中ずっといろんな映像(昔の演奏風景や写真のコラージュやPVなど)が流れてたステージ後ろのスクリーンで、メンバーとクルーの紹介が続いていたけど、ゆっくりそれを見ている余裕のない僕は一刻も早くライヴCDを受け取ってサイン会の列の前の方に並ばないと帰れなくなるので、出口に向かう人の波をかきわけて進む。ドアを出た頃にはCD売り場にもう十数人の列ができていた。

10分ほど待っていると、ようやく列が進み始めた。待ってる間は早く早くと思っていたけど、よく考えたら今ライヴが終わったばかりの音源が、きちんとトラック分けまでされて、たったの10分で売り出されるんだもんね。すごいよ、このシステム。今聴き返してみると、ディスク1の最後にディスク2冒頭の「Slap & Tickle」のイントロがちらっと入り込んでしまっていたり、ディスク2の「Slap & Tickle」の最初の25秒ぐらいが無音になっていたり(その二か所をつないでもたぶん25秒ぐらい音が欠けてる)と、ちょっとした瑕疵はあるんだけど、それ以外は音もいいし、自分の声がときどき聞こえたりと、僕にとっては最高のCDだ。このオフィシャルブートレグを今年のベスト10に入れるかどうかは自分内ルールでは微妙だけど、番外編で入れてもいいんならきっとこれは今年第一位間違いなし。

やっと自分の番が回ってきたと思ったら、CDを手売りしているのはスザンヌじゃないか。数枚分の引換券を手渡すと「一人でこんなに?」と言うから「東京で待ってる友達の分とね」と答えたら、「あらそういえば貴方とは東京で話したかも」なんて言ってくれる。グレンが僕のことを覚えてないのはもうしかたないけど、まさかスザンヌが覚えていてくれているなんて(社交辞令かもしれないけどね)。

そして、僕がCDを手にした頃にはもう数十名の列になっていたサイン会の列に移動。この時点で終電まで残り20分ぐらいだったかな(駅までは速足でも5分は見ておかないと)。サイン会中は写真を撮らないでと注意されたので、残念ながらここでの写真はなし。テーブルに着いているのは右からグレン、メルヴィン、スティーヴン、ルーシー、サイモン、クリスの順。グレンが、僕の番が回ってきたら、まるでさっき(ライヴ前に会ったとき)はすまなかったねと言わんばかりに色々と話しかけてくれる。やっぱりライヴ直前とは全然気の張りつめ方が違うね。あまり沢山のCDにサインしてもらったら悪いかなと思っていたけど、日本から持参した『Cradle To The Grave』も含めて全部にサインをしてくれ、最後には向こうから握手までしてくれた。「また日本に来てくださいね」というリクエストには相変わらず煮え切らない返事だったけど(そんなの「イエス!」って言っておけばいいのにね、正直な人)。

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メルヴィンからルーシーまではもう何をしゃべったか覚えてないや。バンドに正式に加入したの?とかグレンと一緒に日本に来てね、とかそんなことを言ったつもりだったけど、こちらももう早く出ないといけないやら緊張しているやらで自分でも何言ってるかよくわからない。さぞかし英語の下手な日本人が来たと思われたことだろう。

サイモンの前に行くと「さっき君が最前列にいるのを見たよ」と言ってくれるからお返しに「3年前に君を東京で観たよ」と言ったら、「あーっ!!」と大声で僕を指さす。覚えていてくれたんだ。嬉しいね、グレン以外は全員覚えてくれてる(笑)

「明日もう日本に戻らないといけないから、今日はこれからヒースローのホテルまで戻らないと」と言うと、隣のクリスに「ねえ聞いた?この人これからヒースローまで戻るんだって」とか言ってる(クリスはあのシニカルな顔で「隣にいるんだから聞こえてるよ」と言わんばかりの適当な相槌)。なんか、本当にいい人だね、サイモンって。会うたびにこの人には惹きつけられるよ。

そしてクリス。あのスクイーズのクリス・ディフォードと自分がこんな距離で喋ってるんだ、と思うとまた緊張。えーと、何言おう。「他の人には日本に来てくださいって言ってるけど、貴方が飛行機に乗らないのは知ってますよ」何言ってるんだ僕は。「うん、乗らない」あと何かボソボソと(きっとシニカルな)ジョークを言ってたけど残念ながら聞き取れなかった。もうサイン会にも疲れたのか、彼のサインはほとんど数字の9みたいにくりくりっとペンを動かすだけだ。まあ、サイン会なんて嫌でしょうがないんだろうね、この人。そういうところも含めて、いかにもクリス・ディフォード。もっとゆっくり話したかったな。飛行機ぐらい乗ってよ。

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ああ終わった。と感慨にふける間もなく駅へ急ぐ。まだ間に合う時間ではあるけれど、この国のこんなローカルな列車が時間通りに来るのか、それとも早く着いて早く行ってしまうことがあるのかよくわからないから、とにかく一刻も早く駅へ。

駅に着いたらまだ沢山の人がいたので(おそらく100%スクイーズファン)ようやくほっとする。あ、しまった、チケット取り返してくるの忘れた。。 しょうがない、このリストバンド(スクイーズともなんとも書いてないけど)を記念にするか。

そして、リヴァプールストリート駅まで最終便で1時間、地下鉄の終電に乗り継いでハマースミスまで1時間、さらに深夜バス(こんな時間に10分に一本ぐらいの頻度で走ってるなんて、なんて便利なんだ!)で1時間と、合計3時間ぴったりかけて宿にたどり着いた。へとへとだけど、スクイーズのあんなに凄いライヴを、しかもあんな距離で観られたなんて、今でも夢のように思える。この分だと、今回のこのスクイーズ熱も当分冷めそうにないな。


Setlist: 10 October 2015 @ Southend Cliffs Pavilion

1. Hourglass
2. Is That Love?
3. Another Nail In My Heart
4. Electric Trains
5. Only 15
6. Beautiful Game
7. Some Fantastic Place
8. The Truth
9. Nirvana
10. The Elephant Ride
11. Everything
12. Labelled With Love
13. Slap & Tickle
14. Black Coffee In Bed
15. Goodbye Girl
16. Open
17. Cradle To The Grave
18. Harper Valley PTA
19. I Don't Wanna Grow Up
20. Tempted
21. Pulling Mussels (From The Shell)
22. Up The Junction

[Encore]
1. Snap, Crackle & Pop
2. Happy Days
3. Cool For Cats
4. Take Me, I'm Yours
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