2015年07月25日

Pirates Canoe & Daisuke Nakai live in Kamakura

友達に勧められてパイレーツ・カヌーのCDを買ったのがだいたい半年前ぐらい。いい印象は持ったけどヘビロテというまでには至らず(たとえば、似たジャンルではそのしばらく後に買った『Same Trailer Different Park』の我が家でのリピート率なんかに比べると、という意味で)。渡米していたヴォーカルのエリザベスが久々に来日しての全国ツアーという触れ込みにもかかわらず、ライヴは別にいいかなとか思っていた。タイミングの悪いことにこの七月の三連休の前半はちょっと肉体労働を伴う予定も入っていたので、体調がよければ前日の夜に判断して鎌倉に行ってみようかな、ぐらいのかなり軽い気持ちで、でも結局、海の日の人混みでごった返す小町通りに向かうことになった。

このブログでこの手のセリフを何度書いたことだろう。これを見逃していたかもしれないなんて、本当に危ないところだった。めちゃくちゃよかった。楽しかった。今からほぼ一か月前に同じゴーティで観たセス・ウォーカーのライヴレポートを書かないとなぁなんて思いながらずるずると引っ張っていたのを追い越して、この平日の夜の時間を細々と使って少しずつでも毎日書こう。あの記憶が薄れてしまう前にちゃんと記録に残しておきたい。そんなわけで、ちょっととりとめなくなりそうな気もするけど、思い出せることをあれこれ書いていくよ。

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事前の気合いの入ってなさを象徴するかのように、僕にしては珍しく時間の目測を誤って開場時刻を少し過ぎてからゴーティに辿りついた。この日は整理番号関係なしと言われていたのに。でもまあ、最前列ではないものの、ほぼ正面から観られる背もたれ(壁)付きの席。そう悪くない。すぐ隣にはお馴染みの常連さんたちもいて話もできたから、開演までそんなに退屈することもなかったし。

あの大所帯バンドがほんとにこんな狭い場所で演奏できるんだろうかと思っていたけど、左から床に寝かせたプレシジョンベース(ギタースタンドが足りなかったのかな)、マンドリン、簡単なドラムキット、ギブソンのセミアコ、マーティンのアコギ、ドブロ、バンジョーと、弦楽器を中心にずらりと並んでいる(演奏には使わなかった備え付けのピアノは数に入れてない)。そして、開演時刻ほぼぴったりにメンバーがぞろぞろとステージへ。

ギターのチューニングに合わせて、メンバーや(おそらくパイレーツカヌー常連の)お客さんが同じ音階で「んー」と声を出す。「何の会や!」と突っ込む中井氏。あとで何かの曲のMCのときに種明かししてたけど、京都の別のアーティスト(名前失念)の持ちネタ(?)らしい。

で、せっかくチューニングしたのに、1曲目はアカペラ(もしかしたらギターは弾いてたかな?マンドリンだったかな?)で「Spider Tattoo」。もうここで一気に引き込まれる。うまいねー。オリジナルはバンドアレンジだけど、最近はこのバージョンで歌ってるんだそうだ。そりゃ、プロのアカペラ・コーラス・グループみたいに流暢ってわけじゃないけど、後で沙羅さんが言ってたように、ほんとに楽しそうにハモってるよ。一番上のパートはもちろんエリザベスで、一番低音はドブロの岩城氏。途中ソロで歌うところがかっこよかった。

間髪入れずに「Leaving Places」。『For The Pain In My Heart』のラストを飾る、しっとりと、まるで空気の色を刷毛で幾重にも染めているのを目の前で見ているような演奏と、なによりもあの声。和気藹々と楽しそうにやっていた1曲目からのこの格段の落差。もうここで、目も耳も心も釘づけになってしまった。このCDの中では一・二を争う僕のお気に入り曲で、もしライヴ中にリクエストを求められるようなことがあったらこれと思っていたのがもう登場。

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「せっかくの連休最後の海の日に来てくれてありがとうございます。次の曲は明日仕事の人に捧げます。明日からの仕事のことを思い出しながら聴いてください」と京風にヒネリの聴いたMCから「Gull Flying North」へ。アイリッシュケルト風のこれも抜群にいい曲。もうこの序盤から既に大団円かというような風格。そしてここからは、全部『For The Pain In My Heart』からの選曲。それぞれの演奏前にたっぷりと愉快な前フリ付きで。アンコールまで全部入れて正味一時間ぐらいのライヴだったけど、あれもしかしたらそのうち1/3ぐらいはずっと喋ってたぞ。それがちっとも長いとは感じなかったけど。

あの狭い会場なので、マンドリンの沙羅さんのぴったり後ろに立つことになっていたベースの谷口氏のことを「私のお母さんによく間違われるんです」と沙羅さん。なんだかそんな風によくいじられていたベースとドブロのお二人。初めて観たバンドであんなに人数居るのに、メンバー全員それぞれにキャラが立ってるから(しかも全員かなりおもろい)、誰が誰かすぐに覚えられたよ。

ラスト前の「Rainmaker」を終えた後に「もう次で終わりなのに宣伝するのを忘れてた」と、物販の宣伝を。「今度出る新しいCDを先行発売してます」とか「Tシャツもいろいろあります。印字がすごく薄くてほとんど無地のもあるから、パイレーツカヌーファンでなくても着られます」とか。「クリアファイルを買ってくれたら、今日のセットリスト入りです」と言ったときの反応が薄くて「ほらやっぱりそんなん誰も要らんやん」とか、もうそんな紹介されたら買わずにいられますか(笑)

ラストは、新しく出た『Live In New York』でも最期を飾っていた「Guitar Blue」。ドブロソロ弾きまくりのこれも大好きな曲。そして、ステージを降りる間もなく、アンコールの拍手。一旦はCDをかけた松本さんもすぐに止めて、1曲だけアンコールいいよ、と。ヴォーカルの二人とドラムスの吉岡氏がしばらく相談した後、沙羅さんが「レディーガガを演れと言われました」。冗談かと思いきや、かなり手慣れた感じでカントリー風「Born This Way」を。ああ、これはアメリカでは大受けだったろうね。

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あっという間の一時間だった。愉快なMCも含めて、すっかりファンになってしまったよ。ライヴ中のMCで沙羅さんがずいぶんと自虐的に宣伝していたやつを買いに表の物販へ。「セトリ入りのクリアファイルください。あと印字の薄いシャツ」。物販係をしていた沙羅さんとひとしきりお話。『Prologue』がそれまでのCDからの選曲+ライヴレコーディングで、『One For The Pain In My Heart』とそれを持っていれば主要曲はほぼ揃うと教えてもらった。でも初期盤の曲が全部入ってないとなると、やっぱり結局そっちも欲しくなるんだよね。もう手持ちの現金がかなり少なくなってきてたから買わなかったけど。あと、もうその時点でライヴ盤は売り切れてた。始まる前に買っておいてよかった。セトリには全員分のサインもらえたし。

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その時点では名前もろくに憶えてなかったけど、“マンドリンの女の人”に会ったらこれだけは伝えておきたかった「あの変拍子の曲と次の曲、書いてるでしょう。いい曲書きますね」と、お世辞のつもりはまったくなく言うと、「わたしが曲を書いてるのは黙ってたのに」と。ほんとにもう、この人の冗談のセンス大好き。

エリザベスも物販のところに来た。いきなり「たくさん目が合いましたね」と言われた。むう、そんなにガン見してたとは。そして「楽器演奏されるんですか?」と。いや、ほとんどできないんで。。練習しないと。そんな風にこちらがどぎまぎしてると向こうからいろいろと話しかけてくれる。もうこちらはそれだけでめろめろである(つい二か月前にも同じことを書いた気がする)。鈴加ハントがエリザベス・エタになった話とか(エタはおばあさんの名前なんだって)、来週お父さんと一緒にライヴを演る話とか、なんか短い休憩時間にたくさん話せてすごく楽しかった。


30分ほどの休憩の後、鎌倉の大スター(と、パイレーツカヌーのステージでいじられていた)中井大介のステージ。女性陣二人を除いたパイレーツカヌーのメンバーがバックを務める。「もうみんなやりきった感ありありやん。これからみんなで海行きましょうか」といきなりゆるく笑わせる。

パイレーツカヌーのあのアメリカ南西部とアイルランドが融合したような独特の世界観とは打って変わって、こちらは日本語詞でしっとり聴かせる、あくまでも日本のシンガーソングライター然とした演奏。バンドで演るのは久しぶりだって言ってたかな。一人で弾き語りをしていた曲とは、バンドが入ると当然だけどやっぱり雰囲気変わるね。シティポップス(死語?)みたいな感じで。

アンコールでパイレーツカヌーの残りのメンバーも呼んで、結局ファーストセットと同じメンバーで(リードヴォーカルだけは違って)1曲演奏。結局こちらもアンコールまで入れて一時間ぐらいだったかな。感想文短くて申し訳ないけど、決してよくなかった訳じゃないよ。ただ、最初に中井氏が言った「やりきった感」という言葉がいみじくも言い当てていたように、この日は本当に初めて観たパイレーツカヌーに思いっきりやられてしまった。気持ち全部持っていかれた。

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終演後。さっきもうセトリにはサインもらったけど、せっかく持参した『One For The Pain In My Heart』にももらおうと、出口のあたりでうろうろしていたメンバーにまた話しかける。沙羅さんが「そのシャツいいですね」と言ってくれたので、マニラで買ったことを伝えると、彼女も以前サマール島に行ったことがあるらしく、フィリピン話でひとしきり盛り上がる。

楽器を片づけていた中井さんとも話す。「(沙羅さんを指して)彼女とは去年結婚したんですよ」と。前からファンの人にとっては周知の事実なんだろうけど、そんなことちっとも知らなかったからびっくりした。元はパイレーツ・カヌーの追っかけだったとか(半分自虐的に言ってたんだろうけど)、一緒にレーベルを始めたとか、新米ファンにはいろいろと新鮮な話が聞けた。

ライヴ中に沙羅さんが「エリザベスが次に日本に来るのはきっと冬かな」と振ると、エリザベスは「うーん、まだ決まってないけど」という話をしていたので、「冬にはまた日本に来てくれますか?」と聞いてみたら、やっぱり同じような返事。まあ、いろんな事情があるんだろうけど、日本のバンドだからってそう頻繁に観られるというわけでもないんだね。来日アーティストのつもりでいないと。ちょっとそうなると、今回のツアーの残り数回、全部京都らしいけど、追っかけて行きたくなってしまうよ。

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