2013年10月26日

Gin Blossoms live in Manila

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SugarSmashGin

マニラのライヴ情報サイトを見ていたときに、この妙な名前だけだったらついうっかり素通りしてしまっていたところだった。同じページに出ていたバナー広告に、見覚えのあるジン・ブラッサムズのロゴが小さく載っているのに気づかなければ。

ジン・ブラッサムズがマニラに来る! これは観に行かなければ。でも、そのイベント名が示唆しているように、これは彼らの単独公演でなく、シュガー・レイ、スマッシュ・マウスとの合同ライヴ、しかもどうやら広告に載っている格付けから推測すると、ジン・ブラッサムズの出番は一番最初みたいだ。他の二つのバンドのことは名前ぐらいしか知らないけど、人気度でいうとそんな順番なの? なんかおかしくないか?

例によってチケットの値段は、アリーナ席だと、日本だったら今話題の元ビートルズの公演が観られるほど。単独公演ならともかく、前座扱いのジン・ブラッサムズを観るのにちょっとそのお金は出せないよ。やむなくスタンド席の最前列。それでも結構な値段だったけどね。

チケットを買ってしばらくした頃、偶然ラジオでスマッシュ・マウスの曲がかかったとき、DJが「彼らはもうすぐマニラに来るんだ。シュガー・レイと、もうひとつ誰だっけ、えーと、とにかく3バンド合同で」みたいなことを言ってるのを聞いてちょっと唖然とした。やっぱりここではそんな程度の認知度なんだ。

そして当日。余裕を持ってオフィスを出たのに相変わらずの大渋滞で、アラネタ・コロシアムに着いたのは開演予定時刻寸前の18時55分。物販を横目で見ながら会場内へ(ちなみに売られていたのは、3バンドの名前(バンドロゴですらない)と会場名と日付だけが胸のところに書いてあるだけの、見事なまでに購買欲をそそらないお粗末なデザインのTシャツのみ)。

会場に入った瞬間、自分の目を疑ったほどに、誰もいない。空席の海。確か15000人ぐらい収容できるはずのこの大会場に、ざっと見渡しても15人ぐらいしか座ってない。一瞬、来る日にちを間違えたのかと思った。でも、さっきちゃんとチケットもぎられたし。Tシャツも売ってたし。

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上のほうを見上げると、室内スキー場で言うとさあこれから滑りますというぐらいの標高の席だけにびっしりと人が。一番安い自由席か。まあそうだよね、スティングやムラーズやPSBと違って、こんなバンドのこと聴くような客層がそう簡単に万単位(円換算)のチケット買えないよね。

とにかく、急いで損した。晩飯食ってる時間もなかったから、オフィスを出る前にたまたま配られてたクリスピークリームをひとつかじってきただけなのに。こんなことなら入場前に腹ごしらえすればよかった。しかも、そんなガラガラの会場なのに、なぜか僕の隣の席だけに既に着席していた、きっと僕とシーソーに乗ったら僕の方が浮きっぱなしになるだろうなと思われる体格のご婦人が肉マンにかぶりついてるし。周囲の空間の広さと対照的にここだけ妙な圧迫感。傍から見たらきっと僕ら一緒に観に来たと思われてるんだろうか。むう。

そのまま待つことひたすら1時間強。20時15分頃だったかな。ようやくアリーナ席が半分ぐらい埋まったかという頃合いで、これから前座のフィリピンバンドが登場するとのアナウンスが。まじかよ。今から前座? 30分演ったとして、それから本番の3組が1時間ずつだとしても、どんなにセットチェンジを急いでも終了は24時過ぎだよ。勘弁してくれよ。これはもう、ジン・ブラッサムズが終わった時点で帰るしかないかな。翌日から出張だし。

前座のバンド(カラー・イン・レッド)はまあ、歌も演奏も上手だけど、とりたてて僕の興味を大きくそそるほどのものでもなかった。35分ほどの演奏が終わると時刻は既に20時50分。日本のライヴだったらもう終了時刻と言ってもおかしくないぐらいの時間だよ。

その時点でもアリーナ席には空席が目立ったし、後ろを振り向くとスタンド席の二列目以降には殆ど誰も座っていない(僕は横側から観ていたけど、さすがにステージ正面はスタンド席もそれなりに埋まっていたけどね)。どれだけ控えめに言ってもがら空きの会場。もったいないよな。もう少し小さなハコでやればよかったのに。

前座が出てくる前からステージ上にはドラムキットとキーボードがセットしてあったから、セットチェンジにはさほど時間はかからなかった。ん? でもなんでキーボードなんて置いてあるんだ?ジン・ブラッサムズ、サポートメンバーでも連れて来てるのかな。

と思っていたら、21時15分頃に暗転し、ステージ後方のLEDスクリーンにスマッシュ・マウスのロゴが。なんと、まさかの順番変更。ジン・ブラッサムズが一番小さな扱いじゃなかったのは嬉しいけど、会場を出られる時間がこれで早くても23時過ぎになることがほぼ確定。やれやれ。

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スマッシュ・マウスとシュガー・レイのことは全然聴いたことなかったから、このライヴに来ることを決めた直後に中古でそれぞれのベスト盤を買って聴いてみたんだけど、なんだか僕には全然ひっかかるところがなかった。きっと、ライヴ映えのするバンドなんだろうなとは思うことにしておいたけど、申し訳ないがこのスマッシュ・マウスのアンコールも含めた1時間のライヴを観ても、CDを聴いたときの僕の印象はまったく覆されることはなかった。

んー、曲がつまらない。唯一かっこいいなと思ったのが、アンコールで演奏した「You Really Got Me」だというのがもう、何をかいわんやですよ。僕のとなりに座っていたカップル(ふくよかな方とは反対側)は喜んで立ち上がって観ていたから、なにか人を惹きつけるものはあるんだろうけどね。

スマッシュ・マウス終了時点で22時20分。ステージ上でセットチェンジが始まる。まずキーボードをどけて、ドラムキットの解体。おいおい、もういいから同じキットでやってくれよ。頼むよ。

別のドラムキットを運んできて、マイクスタンドやギターをセットし終わる頃にはもう22時45分。シュガー・レイを観ずに帰ったとしても家に着くのはもう1時近くになってしまうなあと思っていたちょうどその時に暗転。なんと次に登場したのはシュガー・レイ。なんと、そう来ますか。結局ジン・ブラッサムズがトリなの?

シュガー・レイはよかった。その前のバンドと比べても曲の出来が全然違うし、盛り上げ方も上手だね(客席のあおり方という意味ではスマッシュ・マウスも悪くはなかったけどね、さすが百戦錬磨だけあって)。白いスーツに黒いシャツという姿で登場したシンガーが、何曲目かでジャケットを脱いだときに黄色い歓声が上がったのにも納得できるほどの半アイドル乗り。

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後半、「カラオケ競争をやろう」と、観客席から二人の男性客をステージに上げ、ガムナムスタイル(と、あと一曲は何だったかな)にあわせて口パク・振り付けをさせる。さすがフィリピン人、そういうのは大得意で、恥ずかしがることもなく踊ったりしてたね。両方勝者だと言って、最後に二人ともにTシャツを渡してあげてたのはよかったな。途中のMCでもしきりにいろんな言葉で感謝を示していたし、なんか全然見かけによらない人たちだね。

シュガー・レイはアンコールなしで1時間。またドラムキットの入れ替えがあって、ローディーがステージ上のギターやベースを一人でゆっくりチェックしている間に日付が火曜日に変わった。それにしても、この時間でもほとんど帰る客はいないね。みんな別にシュガー・レイとスマッシュ・マウスだけを観に来たわけじゃなかったんだ。

そして、0時15分、ついにジン・ブラッサムズ登場。長かった。それまでの2バンドのときは最初は座っていたアリーナ席の客が、このときには一斉に立ち上がったのがちょっと驚き。なんだ、やっぱりそうだよね、みんなこのバンドを観に来たんだよな。

1曲目は、現時点での最新作『No Chocolate Cake』からの「Don't Change For Me」。正直言って、ドラム、特にスネアの音が、さっきまで聴いてたシュガー・レイに比べてかなり低音寄りで、なんだか演奏全体がやたらもっさりして聴こえる。リードヴォーカリストの見た目も、さっきの白いスーツにサングラスとは対照的に、ごく普通の黒いジャケットに地味なパンツのロビン。白いタンバリン片手に「さあみんな大きく手を挙げて!」みたいな盛り上げ方だし。うーん、華がないなあ(苦笑)。

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このもっさりした感じはどこかで聴いたことがあるなあと思っていたら、アルバム『Live In Concert』でいつも聴き慣れた曲の数々がどうもちょっとどんくさい演奏だと思ったのと同じだった。何が違うんだろうね。スネアの音かなやっぱり。スタジオ録音の方がもっとタイトな感じがする。

まあ、そうは言っても、やっぱりこの次から次へと繰り出されてくる楽曲のクオリティは、さっきちょっと褒めたシュガー・レイなんかとはもう果てしないほどにレベルが違う。1時間のセットだから代表曲のショーケースみたいになってしまうのは当然だけど、もうどの曲もこの曲もイントロ一発で体中しびれてしまうようなのばかり。

唯一、へえこんな曲も演るんだと思ったのが、「何故だか知らないけど、この曲が一番よくリクエストされるんだ。フィリピン以外ではね」と言って始めた「29」。うん、いい曲だよね。リクエストしたくなる気持ちはよくわかる。タイトルも言いやすいし。

このバンドのリードギタリストは、写真を見てても今このステージで見ても唯一ロックミュージシャン然としたスコッティなんだろうなとずっと思ってたんだけど、曲によって彼とジェシがそれぞれリードを取り分けてたね。特にライヴ用にギターソロをアレンジするようなこともなかったけど、元々クオリティの超高いソロばかりだから、オリジナルをそのまま弾いてるのを観るだけで感激。

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ステージからかなり体を乗り出して前列の客と握手したりしていたロビン。タンバリンを客に渡して鳴らさせ、自分は裏からもうひとつ同じ白いタンバリンを持ってくる。今度はそのタンバリンもあっち側の客に渡し、こっちに戻ってきたときにさっきの客から最初のタンバリンを返してもらう。そのときに、ロビンのほうから手のひらを出してタンバリンの客にハイタッチを求めてたのが微笑ましかったね。

ここんちのベーシスト、あんなおっさんだったっけ?と思っていたら、メンバー紹介のときに「今日のベーシストはツアー・マネージャーのギャリー」だって。どうしたんだろう。ビルまさか辞めたのかな。あるいは、飛行機に乗り遅れたか。今回のメンバーの見かけのもっさり度を一人で引き上げていた張本人もこのツアー・マネージャーだったな。

「As Long As It Matters」では、イントロが終わった時点でロビンのヴォーカルがかき消されるほどの大合唱。ロビンの嬉しそうな顔。僕もこれにはちょっとびっくり。なんだ、このバンドのこと知らないのはマニラ中であのラジオのDJだけなんじゃないのか。すごい人気じゃないか。これと、あとは「Found Out About You」と「Hey Jealousy」と「Follow You Down」かな、ロビンのほうから言わなくても観客が全部歌うみたいな状態になってたのは。みんなよく歌詞知ってるね。

途中のMCでロビンが「僕らはダラスから30時間かけて来たんだ。ほんの30分前に着いたところだよ」と。30分前が誇張なのかどうかわからなかったけど、もしかしたら、本当はやっぱりジン・ブラッサムズが最初に出る予定だったのに到着が遅れて、それで開演を一時間遅らせて、それでも来ないからスマッシュ・マウスにまずやらせて、それでもまだ来ないからしょうがなくトリ予定のシュガー・レイにも出させたのかな。そんな綱渡りみたいなブッキングするか? 下手したら今回ジン・ブラッサムズだけキャンセルなんて最悪ケースになってたのかも。

ちょっと気になっていたのは、隣のカップルの男のほうは最初の2バンドのときは楽しそうに観ていたのに、ジン・ブラッサムズには明らかに興味がないらしく、彼女が真剣に観ている横で携帯をいじったり大声で彼女にちょっかいかけたり馬鹿笑いしたり、かなりうっとうしかったこと。観たくないならもうこんな時間なんだから帰ればいいのに。と思っていたら、1時ちょっと前にまだ観たそうにしていた彼女を連れて帰って行った。彼女、せっかくいい音楽の趣味してるんだから、そんな奴とは早めに別れたほうがいいよ。

反対側のデブも1時に帰って行ったから、きっとみなさん今日は1時には帰ると決めてあったのかな。もうそんな時間だから終電とかじゃないだろうし。おかげで、一番盛り上がった最期の「Hey Jealousy」〜「Follow You Down」の鉄壁コンビは広々と観ることができたよ。

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終了。1時15分。さすがにこの時間だともうアンコールの拍手をする客もいないな。いや、でもよかった。晩飯も食わずに6時間半近く缶詰めというのはちょっときつかったけど、観に来てよかった。聞くところによるとこれでマニラ公演は何度目かみたいだから、是非次は単独で、もう少し小さいところで演ってくれたら最高なんだけどな。


Setlist 21 October 2013 @ Smart Araneta Coliseum Manila

1. Don't Change For Me
2. Lost Horizons
3. Miss Disarray
4. As Long As It Matters
5. Found Out About You
6. 29
7. Learning The Hard Way
8. Until I Fall Away
9. Alison Road
10. Till I Hear It From You
11. Hey Jealousy
12. Follow You Down
posted by . at 12:29| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
yasさんお元気ですか。
そちらの台風のニュースを見て、マニラも冠水しているとのこと、ご無事でしょうか。
音楽に関係ない事すみません。
Posted by 青グリン at 2013年11月13日 23:07
■青グリンさん
おひさしぶりです。マニラは毎月のように冠水するので平気ですよ。僕も無事でした。というか、台風当日は日本に出張していました。でもこちらではまだまだ大変なことになっています。日本でもたくさん報道されていますね。
Posted by yas at 2013年11月17日 15:12
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