2013年08月01日

FRF13

いろんな人から一度は行ってみるべきだとかよく言われるし、近しい友達からも何度も誘われてはいたんだけど、「やだよあんなに金もかかるし人も多いところにわざわざ行くなんて。それにいつも雨降るんでしょ」というのが、フジロックに対するこれまでの僕のスタンスだった。そう、数週間前に突如ウィルコ・ジョンソンが参加を表明するまでは。

たまたま7月いっぱいで期限が切れてしまう会社の有給をこの週末にくっつけて、いろんな乗り物を乗り継いで、最終日の朝に苗場に到着。途中のバスの列やらホテル入口への遠路やら、その段階で相当うんざりしてたんだけど、聞いたところでは初日からちゃんと来たらあんな行列じゃ済まなかったらしいね(この時点で「来年はもう来るもんか指数」やや上昇)。

リストバンドをもらって入場しようかというところで初日から来ている友達から連絡があり、うまく合流できた。グリーンステージ後方。みなさん当然ビニールシートとか色々持参してるんだね。ありがたく使わせてもらいました。ろくにくつろいでる間もなく、この日の僕にとっての最初のアクト、ヨ・ラ・テンゴのステージが始まる。

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09年の12月に品川で観て以来だね、この人たちは。そして、ステージの尺と新曲以外はその時と何一つ変わっていない。出てきていきなりジェームズ(別名デブ)がドラムキットのところに行き、ジョージアがギター(アイラもギターなので、ベースレス)という珍しい編成で開始。デブが歌う「Stockholm Syndrome」は3曲目だったかなと思っていたら、某所にアップされていたセトリを見ると2曲目だった。とにかく、曲ごとにデブとジョージアが楽器をとっかえひっかえ、アイラは(曲によって違う機種を使い分けてはいたけれど)ギターをもうこれでもかというほどくねくねと体をよじって轟音ノイズを発し続ける。

前回観たときからこの人たちに対する僕の知識もそう増えてはいないけど、一応予習のために買った新譜『Fade』から、1曲目の「Ohm」とあと1−2曲は演奏したはず。最後の挨拶のときのアイラの「ウィルコやキュアと共演できるなんて、僕らみたいな若いバンドにとってはとても光栄です」というジョークがどれだけの人に受けていたのかはわからないけど。


さあもう次だ。ウィルコ! 一体どれだけの人がこの人目当てに来てるんだかよくわからないけど、とりあえず万一に備えてヨラが終わった時点でトイレにダッシュして急いで戻ってくる。まだそんなにぎゅうぎゅう詰めでもなかったから、ヨラのときと同じく若干後ろで観ようとしていた友達を置いて前の方に進む。なにしろ前夜に小さ目の小屋で演ったときは、一時間以上前から長蛇の列で入場制限がかかったらしいからね。

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出てきた! 意外に元気そう。いつも通りの、上下真っ黒ないでたちに赤いピックガードの黒いテレキャスターを抱えて。ベースがノーマン・ワット・ロイだというのがまた嬉しい。僕の目の前だよ。ちなみにドラムスはスティーヴ・ハウの息子。なんか途中もたったりしてあんまり上手くないなと思ったのは気のせいか?

ウィルコのソロアルバムはほとんど聴いてないから、知らない曲ばかりだったらどうしよう、まあどうせノリノリのロックンロールばかりだろうからいいや、なんて思っていたら、1曲目から「All Through The City」。

その後も数曲ごとにドクター・フィールグッド時代の曲がどんどん出てくる。「Sneakin' Suspicion」とか「Roxette」とか。「Back In The Night」とか「She Does It Right」とか。フェス用に素人向けの選曲にしてくれてるのかな。

上半身固定の横移動も健在(前に僕が観たのはもう20年以上も前のことだから、あのときの高速移動に比べるとずいぶんおごそかな(笑)動きにはなっていたけど)。ギターをマシンガンに見立て、ミュートしたカッティングの音でタカタカタカタカと観客めがけての銃撃ももはや伝統芸。

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病気の本人よりもよっぽど老けて見えたノーマン。でも相変わらず不気味な顔でニコニコと、体を反らせてファンキーなベースを弾きまくる。この人、ブロックヘッズの頃はなんて気持ち悪い顔なんだろうと思っていたけど、加齢とともになんだかかっこよく見えてきたね。大人になってからモテるタイプかも。

この早い時間帯のステージで驚きのアンコール。年明けの日本公演でも最後の曲だったという「Bye Bye Johnny」で締め。演奏前に「晴れててくれてありがとう、ミスター・サン」とか話してたね。そういえば、ヨラのときは途中で降ったり止んだりしてた雨も、ウィルコのときは一切降らなかったよ。なんかこういうのも奇跡的というか。

他にもいろいろステージ上で話してたんだけど、なにしろその時点で僕の周りはモッシュ大会。足踏まれたり踏み返したりで落ち着いて演奏も聴いてられやしない。後で友達に聞いたら、「僕のために幸運を祈ってくれ」みたいなことも言ってたみたいで、演奏後もうそこら中の人が目を真っ赤にしてたよ。多少は近くで観られたのはよかったけど、ああいうステージのときはあんまり前に行かない方がいいというのを、よりにもよって肝心のウィルコのステージで学んだ次第。

会場で、限定発売されることは聞いていた前回の東京公演のDVDがTシャツとセットで売ってたので買い。収益はすべて福島への義援金というのを見てまたじわっとくる。

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さすがに朝から駅弁だけなので、3時を回ったこの時点でもう腹ペコ。友達に連れられてところ天国に何か食べに行く。沼地みたいな道をしばらく歩いてたどり着いたら、ちょうど聴いてみたいなと思ってたサヴェージズの音が隣のホワイトステージから聴こえてくる。ベースかっこいいな。

食料調達したりアルコール補給したりしているうちにどんどんと土砂降りの雨に。不用意にもTシャツ一枚で来ていた僕は、今このままプールに飛び込んでもあんまり状態変わらないだろうというぐらいにずぶ濡れ。「来年はもう来るもんか指数」この時点でMAX。気を利かせて友達がグリーンの基地から持ってきてくれたウィンドブレーカーを羽織る頃にはすっかり雨が止んでいたのも、ウィルコのときと同じ神様の仕業だろうか。


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友達が調子に乗ってウォッカどんどん入れさせたブルドッグで、びしょ濡れのパンツも気にならないほど心地よくなったところでグリーンに戻る。マムフォード&サンズって日本でこんなに人気あるの?ものすごい量の観客。今度は友達と一緒に、柵の後ろあたりで落ち着いて観る。

この人たちのセカンドって、ファーストと同じ曲が順不同で入ってるんじゃないのかと思うほどどれもこれも似た曲ばかりだけど、そのワンパターンさも含めてかっこいいんだよね。生では当然初めて観たけど、演奏うまいねー。4人のうちメインヴォーカルの兄ちゃん以外は結構いろんな楽器をとっかえひっかえ。そのうち3人のホーン隊(トランペット2本とトロンボーンだったかな)とかストリングス隊(チェロとヴァイオリン?)の3人とかがどんどん加わって音が分厚くなっていく。最後の方の曲では、レッドマーキーで演奏を終えたばかりだというハイムの3姉妹が飛び入りしてた。ハイムってよく知らないからいまいち僕にはありがたみ薄かったけど。

最後はセカンドからのシングル曲(これは区別つく)「I Will Wait」で終了。いやこれはいいバンドだね。純粋に演奏だけのことを言えば、僕がこの日に観た5組では一番だったかも。聞くところによると、この直後に行われた東京でのライヴもソールドアウトだったそうな。2枚のアルバム、ちゃんと聴き込んで曲覚えよう。


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もうこの時点で夜7時。曇ってることもあって辺りはどんどん暗くなってくる。雨も降ったり止んだりだし、なによりもう腰が限界。一応楽しみにしてたヴァンパイア・ウィークエンドは後方の基地に座って観ることにする。ほかの友達は引き続き前で観てたり、ホワイトに相対性理論を観に行ったり、酔っぱらって行方不明になったりと好き勝手に行動中。

後ろで観てるのがもったいないほどいいステージだったね。さすがグリーンのトリ前。「A-Punk」のイントロでギターの調子がおかしかったみたいで(弦が切れたのかな)、一旦止めてギターを取り換えて再開(その間リズム隊はずっと継続中)、あの気持ちいいイントロを二度楽しめるみたいなこともあったな。

なんかこうやって、こんなにいいライヴを後ろの方でぼーっと観てるのがもったいなくて。僕がフェスというものを心から楽しめないでいるのはこういうところにもあるのかも。誰かのライヴを途中まで観て別のステージに移動して途中から観るとかかなり嫌だし。自分が観てない別のステージでいいライヴをやってるなんてのも嫌だし(単なるわがまま)。


さてと、いよいよ大トリのキュア。21時半開始で予定終了時刻24時だって。2時間半かよ。でもできるだけ前行って観よう。椅子持って。ところが、大御所バンドとは思えないほどの人の入り(の少なさ)。さっきマムフォードを観た場所からそう遠くないところに椅子置いてゆっくり開演待ち。まあ、今の日本でキュアみたいなバンドがトリ取るって相当ムリあるよな。かと言って本人たちのプライド考えるとトリ以外じゃ来てくれないだろうし。友達曰く「ロキシーのときも相当なもんだったよ」。なるほど。

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これがあの、ドラムキットとアンプしか置いてなかったウィルコのときと同じステージかと思うほど豪華絢爛なセットを1時間近くかけて組み上げ、メンバーが登場する段にはもうもうとスモークが焚かれる。さあ、2時間半ライヴの開始だ。

なんだかんだ言ってこの日観た5組の中では一番長く、子供の頃から聴いているキュアだから、そりゃ書きたいことはたくさんあるけど、久しぶりに書く長文に疲れてきたので適当に端折って。ロバート以外のメンバーはもう全員若い新規メンバーなのかと思っていたら、左側で地味な姿で変な形のギターを弾いてるのはポール・トンプソンだねあれ。ロバートと同じバンドに在籍とは思えない普通のおじさんになっている(腕の刺青はすごかったけど)。あと、体を不自然に折り曲げて膝下でベースを弾いてるのは誰かと思いきやサイモン・ギャラップ。なんであんな若いの?ロボット?

地味ーな最近(といっても僕があまり聴かなくなってからのことだからここ10年前後の話)の曲をいくつか続けた後、これでもか系のポップなシングル曲を数曲挟むという、お前ら帰れるもんなら帰ってみろと言わんばかりの意地悪セトリ。さすが百戦錬磨、カタルシスというものをよくわかっていらっしゃる。

とはいえ、さすがに23時近くなってくると、腰は洗濯板みたいに固まってくるわ朝からの数千キロ移動の疲れで眠気が襲ってくるわで、持参した椅子に腰かけてしまう。夏なのにさすがに山中の夜は冷えるね。ずぶ濡れのTシャツの代わりにさっき買ったウィルコのTシャツ着ててよかった。ちょっとうとうとしかけたところに「Friday I'm In Love」のイントロとか突然繰り出されてくるもんだからおちおち寝てもいられない。

演奏はさすがに整ってて上手いんだけど、やっぱりちょっとスタジアムバンドっぽいゴテゴテした音になってしまっていたのがちと残念。「A Forest」のあの透徹なまでのストイックなベースプレイを期待していた身にとっては、あの派手なエンディングは逆に拍子抜け。これがゴスってもんなのか。

24時15分前ぐらいという、とても中途半端な時刻に一旦ステージを降りる。観客の皆さんもそうとうお疲れのようで、もうこれで終わりなのかどうか見極めつかない中途半端なアンコールの拍手をぱらぱらと始める。

そんなまばらな拍手で出て行っていいものなのかどうかこちらもわかりかねるよと言わんばかりにメンバーがぞろぞろと再登場。ロバートが「アリガト、なんとかかんとか、ごにょごにょ」と日本語の真似みたいなMCを入れたあと、「ところでこれはアンコールだから」と妙に自虐的だったのがかわいい。さすがロバくん人形のオリジナル。

と、そんな感じで遠慮がちに始めたアンコールが、これがもう80年代シングル曲連発みたいな超弩級選曲で、僕みたいにちょうどその頃に聴き始めたファンにとってはイントロ一発でやられてしまうのばかり。そりゃ、これだけの曲を取っておいたら、アンコールで出てこないわけにはいかないよね。「The Lovecats」、「The Caterpillar」、「 Close to Me」、「Hot Hot Hot!!!」、「Let's Go to Bed」、「Why Can't I Be You? 」と、もうタイトル書いてるだけであの時の興奮がよみがえってくる。

そして、そのあとはもうお約束の「Boys Don't Cry」、「10:15 Saturday Night」、「Killing An Arab」という必殺のファースト曲3連発。最後のやつでは最近よく歌ってる(らしい)キリングアナザーとかじゃなくて、ちゃんとオリジナル通りの歌詞で歌ってたね。どれもこれもよかったけど、この曲がやっぱり白眉。このアンコールだけでライヴ一回分ぐらいの元は取れた気がするよ。

終わってみたら、すでにほぼ24時半。そうか、どうしても3時間演ったという記録を作りたかったんだね。なんかアンコールのときに冷たい反応してごめん(あと、途中で落ちかけてごめん)。最後にステージの端から端まで一人で挨拶して回ってるロバートを見て、なんだかこのバンドのこともう一回ちゃんと聴きなおしてみようと反省。どうも最近のアルバムは買っては売り買っては売りを繰り返してしまってるからね。


この時点でもう半分以上の友達とははぐれてしまっていたけど、最後に一緒だった3人で深夜の腹ごしらえをしてホテルに戻る。豚スタミナ丼うまし。心底疲れたけど、楽しかったよな。来年また行くかと聞かれたら、今の時点ではうーんって言うと思うけど、「もう来るもんか指数」不思議にずいぶん減ってるよ。そうだね、不死身のウィルコがもしまた来年も来てくれたら、間違いなく行くと思う。
posted by . at 22:57| Comment(4) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久々の一時帰宅ですね。お帰りなさい。

スクロールすれどもすれども巻物のごとく続く長文、なじみのないカタカナの連続、それでもところどころぷぷっと笑わせられたり筆者の熱い思いが伝わって思わずじーんとしてしまったり…まさに(私にとっての)ジミオンの世界(笑)


フェスって行ったことないんですが、読んでるだけで腰が洗濯板の気分を味わえました。行かないうちから行くもんか指数maxになれました。
数千キロの旅の果てにウィルコに会えてよかったですね。TシャツとDVDも買えて何よりです。
Posted by にんじん at 2013年08月03日 12:34
FRF行かれたんですね!うーん、自分はやっぱりフェスと聞くと足踏みしてしまってなかなか行けそうにないです。

こうやって毎年いくつものフェスが開かれているというのはやっぱりまた、単独公演とは違う良さもあるんでしょうね。yasさんのもう来るもんか指数も最後には減ってしまったようですし。でも記事を読んでいるとやっぱり私も行かないうちから行くもんか指数が上昇しまくりです…。
Posted by マサ at 2013年08月04日 20:26
うらやましいです!Wilcoがyasさんの重い腰をあげさせたんですね。思ったより元気そうな感じで、ちょっと安心しました。DVDとTシャツもうらやましい限り…。

一度ずぶ濡れになると、もうどうでもよくなるものですよね。私も最初そうでした。
こういう楽しそうなレポを読むと、来年はお休みを取ってまた行こうかなと思いますよ。
Posted by xiao at 2013年08月06日 20:16
■にんじんさん
ご無沙汰しておりました。せっかくなので、ジミオン名物タメコメも堪能して頂こうと、一週間ほど返事を寝かせておりました。

僕はにんじんさんのこともフェスのこともほんのかじった程度にしか知りませんが、たぶんにんじんさんはフェスには合わないので、洗濯板の気分を味わう前にやめておいた方が身のためだと思います。


■マサさん
ここにもフェスに合わない人がまた一人。僕がこのコメントを書いている裏番組(@日本)ではサマソニなど行われているというのに。

僕はマサさんのこともフェスのこともかじった程度にしか知りませんが、マサさんほどフェスに合わない人もあまりいないと思いますので、ダミアンが何かの間違いでフジに来るようなことがなければやめておいた方が身のためだと思います。


■xiaoさん
DVDとTシャツは確かどこかのサイトで買えたはずですよ。まだDVD観れていないんですが、きっと中身もよいはずなのでぜひどうぞ。

来年僕は行くかどうかよくわかりませんが、万一苗場でお会いした場合は一緒に楽しみましょう。よくご存じの楽しい仲間もいますので、きっと前回より楽しいはずです。
Posted by yas at 2013年08月12日 00:39
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