2013年04月04日

Steve Forbert live in Osaka

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名古屋から近鉄にガタゴト揺られて難波へ。スティーヴ・フォーバート33年振りの日本ツアー最終日は、僕が昔大阪に住んでいた頃には影も形もなかった湊町リバープレイスというどでかい建物の、外階段の下に空いているスペースを利用して作ったような小さなミュージックバー、S.O.Raという会場で行われた。11年の暮れにタマス・ウェルズを観た場所からそう遠くないね。難波に来るのはあれ以来だから、あのときのことがなにかと懐かしく思い出される。

また比較的いい整理番号だったけど、前日みたいに行ってみたら開場時刻が早まっていたなんてことになってたらいけないし、初めての場所で迷うと困るので30分ほど早目に行ってみたら、当然ながら誰もいない。しょうがないので信号を渡ったところに見えたタコ焼き屋さんで本場のタコ焼きとビールで腹ごしらえ(さっきの11年のタマスの記事を読み返してみたら、僕はあのときも全く同じ行動を取っているね。きっと僕はこの先ずっと、大阪でライヴを観るときは不必要に早く会場に着いて、時間つぶしにタコ焼きを食べてビールを飲み続けるんだろう)。

開場時刻。整理番号順に入場するかと思いきや、意外なことにドアの近くに立っていた人から順番に中に入れ始めた。なんと、こんな小さな会場なのに指定席だとのこと。場内に5つ置いてある丸テーブルの上にそれぞれ5つの番号が振ってあって、指定された場所に座る。あとは後ろの壁際のスツールとか、バーの前とか。僕は幸いにも比較的居心地のいい場所に座れてよかった。それにしても、あの小さな会場に約40人分の椅子とテーブルを詰め込んでいるもんだから、一旦全員が着席すると(整理番号の後ろの方の人たちは立ち見だったけど)、もううろうろするのもはばかられるほどの人口密度。前日の名古屋公演で知り合った方と話でもしてようかと思ったけど、ちょっとそっちまで気楽に歩いて行ける感じでもない。

でも、さっきビールを飲んだことでもあるし、開演前の空いている時間にトイレ行っておこうと思って並んでいたら、外からスティーヴとスタッフのトレイシーが入ってくる。スティーヴは入ってくるなり「やあ、今日はどうだい?」なんて声を掛けてくれる。昨日背が高いと書いたけど、実際隣に立ってみると、僕とそう変わらないね。

開演時刻より数分前にステージに登場して、前日同様トレイシーとなにやら相談しながらギターのチューニングを始めるスティーヴ。足元には名古屋のときよりも数倍大きな木の板が弾いてある。名古屋ではティムはあの小さな板の上にはみ出さないようにきちんと立って演奏していたけど、スティーヴはあっちへふらふら、こっちへふらふらしてたからね。好きなときにかかとで板を蹴ってリズムを取るためにはこれぐらい大きな板の方がやりやすいんだろう。

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オープニングは「It's Been A Long Time」。ファーストアルバムのアウトテイクだ。こんな曲も演ってくれるんだね。当然のごとく、前日とはセットリストをがらりと変えてきている。終了後にセトリらしき紙を見てみたら、あれは演奏する可能性のある曲を列記してあるだけで、実際にはその順番では歌っていなかったみたい。そのときの気分で次にどの曲を演ろうか決めるんだろう。

そういえば、この日もリクエストを募っておいて、「わかった」と言って違う曲を演り、続けてリクエストされた曲を演奏した。また名古屋のときみたいに半分ジョークでそうしているのかなと思ったけど、きっとあれは、リクエストされた曲を今頭の中にある曲順のどの辺に入れればうまく流れるのかを咄嗟に考えて、その順番で演奏してるんだろうなと気づいた。でもそんなのお客さんに説明することでもないから、リクエストした方からしてみたらなんだか無視されたように思ってしまうかもしれないけど、「君のリクエストは覚えていただろう」みたいなことをいちいち語りかける様子を見ていると、この人こんなふらふらしているように見えて、実はかなり繊細に気を使ってライヴを進めているんだなと思った。

そんな、実はよく気がつく人だと思ったエピソードのひとつ。チューニングをしながら会場の中央付近にいた人に「君は昨日もいた?」と声をかけ、また別の人にも同じように話す(どちらも名古屋で僕の近くにいた人たちだ)。さらに、「その声には聞き覚えがあるぞ。君はえーと、確か横浜に来ていた?」と別のお客さんに話しかけると、その人は嬉しそうにうなづいていたので、当たっていたんだろう。そんなの覚えていられるものなのか?すごいな。

最初の方に演奏した曲で手拍子を促したと思ったら、あるお客さんを指差して「悪いけど君は手拍子やめてくれないか」と。また前日みたいにお客さんをいじってるのかなと思ったけど、どうやらこれはそうじゃないね。自分のリズムに合わない手拍子をされると本当にやりにくいようで、あれはマジでお願いしていたんだね。そう気づくと、いつ自分が同じ指摘をされやしないかと、手拍子するにも緊張してしまう。

会場の前の方に、お疲れなのか酔ったのか、眠そうにうつむいているお客さんがいたのを気にしていたようで、何度かその人に歌いながらちょっかいかけていたけれど、最後にはダグを呼んでその人に注意させてたね。まあ、あれはちょっと、スティーヴでなくても気になるだろう。

そんなちょっとした出来事はあったものの、ステージに登場したときの歓声や拍手の量が前日とは桁違いで、名古屋ではどうもエンジンかかるのに時間がかかっていた風情だったスティーヴも、1曲目から嬉しそうにニコニコしている。明らかに前日よりも調子がよさそうだし、ふらふら度も多少なりとも減少して(笑)、これは二日続けて観に来た甲斐があったよ。

お客さんに歌わせる曲なんかは前日と重複していたけど(歌う順番は全然違ったけど)、それ以外は相当がらりと曲目を変えてきている。僕は残念ながら90年代の曲は全然わからなかったんだけど、終演後に一緒に飲みに行った人(その人もかなりのマニアだった)と話していたら、前日には全然演奏しなかったアルバムの曲を途中でリクエストされたら、今日の客はこのアルバムの曲がわかるんだとばかりに、同じアルバムからの曲を続けて演奏したりしていたらしい。

新作の1曲目「All I Asked Of You」を演奏した後、「これはアメリカーナの一片って感じの曲かな、よくわかんないけどさ」みたいなことを言っていたと思ったら、続けてCCRの「Proud Mary」のカバーを演奏し、「これもアメリカーナの一片って感じの曲かな、よくわかんないけどさ」だって。違うよ!と突っ込むところなんだろうけど、当然のごとくそんな反応が返ってくるわけもなく、他の沢山のジョーク同様、何事もなかったかのように進行。終演後にサインをもらうときに「あの“Slice of Americana”ジョーク、面白かったよ」と言ったら嬉しそうに笑ってくれた。

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「あと3曲」と言って、前日には演らなかった「Steve Forbert's Midsummer Night's Toast」を(これは嬉しかった)。そして、最後の2曲は前日同様、「What Kinda Guy?」と、「Good Night」に続けての「Romeo's Tune」でしっとりと感動的に一旦幕。すぐにアンコールで登場して、ストーンズの「The Last Time」(今日はカバーが多いね)、そして締めの「You Cannot Win If You Do Not Play」。前座なしだから2時間ぐらいは演ってくれるのかなと思ってたけど、アンコールも入れて1時間45分ぐらいだったか(文句言うほどの差じゃないけど)。

そしてその後は、お馴染みの展示即売サイン会。古くからのファンがほとんどだったようで、沢山の人がLPやらTシャツやらにサインしてもらっていた(33年前のパンフレットを持ってきていた人も)。みんな一人で何枚にもサインをもらって写真まで一緒に撮るもんだから、結構時間かかるのに、スティーヴは最後まで一人ひとりに声を掛けながらニコニコして対応してたね。

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僕の順番のときに、ダグが「この人はフィリピンから来てくれたんだよ」とスティーヴに声を掛けてくれる。スティーヴも、前日に僕がそう伝えてあったのを覚えていてくれたらしく、「うん、わかってる」みたいにこっちを見てくれた。「名前何だっけ?」と聞かれたので、「yas、Y、A、S」と言ったら、「ああ、知ってる」と、そんなの覚えてくれてるわけはないけど嬉しかったね。

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この日も一番最後までだらだらと会場に居残ったあと、名古屋でも一緒だった二人のファンの方々とちょっと一杯でもと焼き鳥を食べに行った。なんかこういうのは嬉しいね。「ガーランド・ジェフリーズって知ってます?」と振ってみて、当然のごとく返事が返ってくる心地よさ。「ルー・リードと同級生で」と言うと間髪入れずに「シラキュース大学」とか、なんか自分の頭の中の音楽データベースのコピーを外付けHDDの中に見つけたみたいな感覚(笑)。またどこかのライヴで会えたらいいな。


Setlist 03 April 2013 @ S.O.Ra

1. It's Been A Long Time
2. Real Live Love
3. All I Need To Do
4. My Blue Eyed Jane
5. Worried Life Blues
6. That'd Be Alright
7. Born Too Late
8. Good Planets Are Hard To Find
9. Write Me A Raincheck
10. All I Asked Of You
11. Proud Mary
12. Blackbird Tune
13. Over With You
14. Baby, Don't
15. It Sure Was Better Back Then
16. Rock While I Can Rock
17. Sing It Again, My Friend
18. Blue Yodel #9 (Standing On The Corner)
19. So Good To Feel Good
20. Responsibility
21. Steve Forbert's Midsummer Night's Toast
22. What Kinda Guy?
23. Good Night / Romeo's Tune

Encore
1. The Last Time
2. You Cannot Win If You Do Not Play
posted by . at 17:28| Comment(4) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。大阪、とてもいいライヴでした。私は24才の誕生日にフォーバートを見ました。毎日ホールでした。歌の力で最後みんな立ち上がったのを覚えています。又、いつかと思っているうちに、30年程経ってしまいました。再び会えて不覚にも涙が、もう簡単には泣かない年頃なんですが.。80年代半ば以降の彼のアルバム、殆ど聴いて無かったのでセットリストをどなたか載せていらっしゃらないかなと検索してたら地味音楽の小部屋に出会えました。ありがとうございます。又、読みに伺います。
Posted by ジョージ at 2013年04月07日 08:55
■ジョージさん
こんにちは。コメントありがとうございます。同じ会場にいらっしゃったんですね。

僕は普段から結構おっさんおばはんばかりの客層のライヴに行くことが多いのですが(苦笑)、この日も筋金入りのファンばかりだったみたいですね。追加公演が発表されてあっという間に売り切れたところをみると、皆さん如何にこの日を待ち望んでいたかというのがよくわかります。それだけの甲斐があったとてもいいライヴでした。

今回のツアーで本人やバッファローレコーズがどれだけ儲かったのかわかりませんが、終演後にダグが言っていた「スティーヴもとても喜んでいます」というのが本当であれば、今度は33年と言わず、3年ぐらいのスパンで来日してほしいものですね。
Posted by yas at 2013年04月07日 21:12
わたしは大阪人なので33年前は毎日ホールで見て、今は関東なので今回は東京で見ました。
心に沁みる本当にいいライブでした。
「また30年後に会えますか?」って英語で聞くと
大笑いして「I HOPE SO!」って答えて
硬く握手してくれました。
30年後だと彼は確か88、私は80。。。
Posted by minichoji at 2013年04月13日 09:31
■minichojiさん
返事が遅くなってすみませんでした。コメントありがとうございます。やっぱり今回は33年間待ち続けていた方が多かったみたいですね。

今回の入りに満足してくれて、次は是非30年と言わずに早く来てほしいものです。とりあえず僕は自分の空白期間のアルバムをコツコツ中古で買い集めて予習しておきます。
Posted by yas at 2013年04月16日 23:04
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