2006年12月11日

徐行運転するF1ドライバーのように John Greaves 「The Caretaker」

The Caretaker.jpgいや、このジャケットをまた載せたいからって取り上げたわけじゃないんだけどね(笑)。こないだS県遠征時に750円で買ったこれ、思いのほかによかったんで、ちょっと一筆したためておこうかと。別に新譜ってわけでもないんでちょっとはばかられるんだけど、こんなアルバムのことについて書く機会も滅多にないだろうから。

元ヘンリー・カウ〜ナショナル・ヘルスという、カンタベリー系でもかなり前衛的な固まりの出自(ナショナル・ヘルスは結構ポップだけど、彼が参加したセカンドアルバムの中でも、彼の作った11分半の曲だけはやたら難解だし)である、ジョン・グリーヴス、01年のソロアルバム「The Caretaker」。

中古CD屋でまず見えていた背表紙に、そしてこのジャケットに目を奪われたことは認めますよ。でもその後に裏ジャケを見て、盟友ピーター・ブレグヴァド作の曲をいくつか、そしてなんと彼とXTCのアンディ・パートリッジとの共作まで入っているのを発見。バンドのメンバーの殆どを僕は知らないけれど、バッキング・ヴォーカルにシド・ストロウ(元ゴールデン・パロミノス)、ハモンドオルガンにジェレイント・ワトキンス(元デイヴ・エドモンズやニック・ロウのバンド)がいる。それでこの値段。これは即効買い。

昨日ようやく聴いてみたところ、これが思いのほかポップで聴き易い。ジョン自身のベースはもちろん、他の楽器も結構難易度の高い演奏をしているようなのだが、基本はあくまでも8ビートのロック。ヘンリー・カウのように延々即興演奏にのめり込んでいくことなどない。曲の長さも3分から6分までと、常識をわきまえたものだ。この、ちょっと聴くとなんでもない、でも実は高度なことを演っている演奏を聴くと、なんだかF1ドライバーが制限速度をきっちり守って公道を走っているのを見るような感じがする。ちょっとした走行ラインの取り方に妙に感心したりして。

これもジョン自身によるヴォーカルは、まあご愛嬌といったところか。もちろん、ヴォーカルを本職としていない彼のような前衛/プログレバンドのベーシストが歌っていると思えば、意外にまともに、しかも朗々と歌っているともいえる。あんまり僕の好みじゃないけど、まあこれは好き好きだから。

なによりも心地よいのが、各楽器の音が非常によく分離して聴こえること。最近いつもCDを聴くときに使っているPCじゃなくてちゃんとステレオの前に座って聴くと、それぞれの楽器がそれぞれの位置にきちんと定位しているのが気持ちいい。えーとこれは、あ、彼自身によるプロデュースか。さすがだね。

それにしても、こういうCDって一体誰が買うんだろう。ヘンリー・カウから彼のことを追っかけてきているようなファンがそういるとも思えないし、もしいたとしても果たしてそういう人がこの音に満足するんだろうか。

でも、もしかしたらその逆はあり得るのかも。なにかの拍子で(例えばこのジャケに惹かれて・笑)このCDを手に取った人が、裏ジャケにある名前を頼りにヘンリー・カウやスラップ・ハッピーへと進んでいくのは自然かもしれないね。ちょっと僕が持ってる、ジョン・グリーヴスがベースを弾いてるアルバムをいくつか載せてみよう。

Henry Cow Concerts.jpg Desperate Straights.jpg
Of Queues & Cures.jpg Downtime.jpg

<左上> ヘンリー・カウ 「Concerts」
<右上> スラップ・ハッピー/ヘンリー・カウ 「Desperate Straights」
<左下> ナショナル・ヘルス 「Of Queues And Cures」
<右下> ピーター・ブレグヴァド 「Downtime」

うーん、なんか白黒ページに載せても大差ないような地味な(不気味な)ジャケばかり。内容はといえば、ヘンリー・カウのライヴは素人がちょっとやそっとじゃ聴き通せないようなヘビーな2枚組。スラップ・ハッピーのは、僕が持ってるセカンド・アルバムとの2in1ならまだ前半の「Casablanca Moon」が聴き易いんでとっつきやすいけど、後半この「Desperate Straights」になるとまたやたらと難解になる。ナショナル・ヘルスのこれはさっきも書いたようにジョンの曲以外は(笑)かなりポップなプログレ風で楽しめる。ピーターのはわりとOKかな。でも地味。あ、ということは、一応彼も時代を経てだんだんとわかり易い演奏をするようになってきてるんだね。これは、さっき書いた、最近のアルバム(例えば今回取り上げたこれとか)から入って、徐々に昔の作品に遡っていくという聴き方は意外と正解かも。そんなことをしたい人がいればという話だけど。

ちなみにこの「The Caretaker」のジャケット、裏ジャケのクレジットを読むと、「Tattoo artist: Diego」なんて書いてある。これほんとにタトゥーなの?すごいね…



posted by . at 19:01| Comment(4) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ヘンリー・カウ周辺は興味ありますが、メンバー1人1人まではとても追いきれてなかったです。ポップさのあるスラップ・ハッピーと合体したのは、ジョンさんのセンスだったのでしょうか?面白そうなアルバムですね!
Posted by クロム at 2006年12月11日 20:51
サイバー警察さーん
ここに変態がいますよー
と、通報したくなりました。つい癖で。
またセクハラジャケを出してどうしようっての?

呪いのジャケ4部作。怖いですね。
私の呪い部屋にぴったりです。イモリをいぶしたときにでる煙をあびせたら右上の女性が何か話し出しそうです。

こんなとこにこんなタトゥしてたらどんな貞操帯よりも効果があると思います。けど、ポップなんですね。こんななりして。

それにしても

鬼のタトゥと
鬼は外ゥー、福は内ィー
似てますね。
Posted by かえで at 2006年12月12日 08:17
この記事のタイトルいいですね。気に入っちゃいました。
すみません、ジャケ担当なのに最近任務放棄してました。今回はスルー出来ませんね。
じいいいいっっっ。ひとつ気づきましたよ。この画像はパッケージのビニール破く前に撮影しましたね? ほら、隅にシワが。
あとは仕方ないのでヘソ占いでもします。このおヘソ、下向きなので、忍耐力がなく物事を途中で投げ出すと出ました。こんな人を相手にするとだまされやすいそうですよ。気をつけてくださいね。

ナショナル・ヘルスの体の瓶詰めジャケ、これは眼鏡の持ち主と思われます‥。うーん、不気味。でもこのCDちょっと気になる‥。ナショナル・ヘルス買うならファーストとこっち、どっちがいいと思いますか? ジャケで選ぶとしたらファーストなんだけどなー。
Posted by カブ子 at 2006年12月13日 00:18
●クロムさん
もちろん僕もメンバー全員追っかけてるわけじゃないですよ。むしろ、僕はスラップ・ハッピーとかデイヴ・スチュアートとか、もっと聴きやすい方からカウの方に進んで行きましたから。その途中で、ピーター・ブレグヴァドなんかの絡みでこの人に出会ったという訳です。
なかなか手に取るのに勇気のいるジャケットですが(笑)、主にオンラインで買われているクロムさんなら問題なしですね。機会があれば聴いてみてください。


●かえでさん
すみません、サイバー警察に引っ張られていて遅くなりました。って、通報したのは貴女ですね?

呪いのジャケ四部作、最初はそのつもりはなかったのですが、こうして並べてみて、言われてみると確かにかなり不気味ですね。左上の悪霊が取り憑いた街、右上の狂人が書いたような絵、左下の人体ホルマリン漬けに囲まれては、単独では特に怖くも無い右下の割れた時計までもが呪いの道具に見えてしまいますね。この中のどれもジャカジャーンではないのでおそらくかえでさんのご趣味にはあまり合わないと思いますが、呪いの儀式にジャケットが必要でしたら、カラーコピーしますので仰ってください。

>ポップなんですね
やはりジャケに気を取られて話半分だったのでしょうか。僕はこの記事中に「ポップ」という単語を二回使いましたが、いずれも「このジョン・グリーヴスが参加した曲以外は」という注釈付きですよ。今回のこのセクハラCDも含めて、聴き易いですが決してポップと呼べるような音楽ではないですね。

>鬼は外ゥー
僕、子供の頃に「外」という漢字を覚えるのに「タト」って覚えてたんですよ。その記憶を蘇えらせてくれたこの秀逸なギャグ、大好きです。


●カブ子さん
ジャケ担当に加えてタイトル担当にも任命されましたか。
確かにこのジャケ写、ビニールに入ったままですね。でも僕はこれを中古で買ったので、当然ビニールには包まれていませんでした。ここに載せるために、グーグルで画像検索したのですが、この名前とタイトルを入れて出てきた画面はかなり壮観でした。
ヘソ占いもされるんですね。言われなくてもこんな怖そうな人は相手にしません。ご心配なく。

ナショナル・ヘルスは一般的にはファーストが名盤とされていますね。僕もかなり好きなアルバムです。でもこれも悪くないですよ。このバンドに限らずデイヴ・スチュアートの関わったアルバムは皆テクニカルなのにポップで聞きやすいです。
ジャケで選ぶなら、カブ子さんはてっきりこっちかと思いました。不気味なのはお嫌いですか?
Posted by yas at 2006年12月14日 19:14
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