2012年05月28日

Japan Blues & Soul Carnival 2012

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日比谷公園。快晴。もう午後3時前だというのに、新橋駅から10分ほど歩いただけで、麻のジャケットも着ていられなくなるほどの陽気だ。もう5月も末だからね。おあつらえ向きに今日は日比谷オクトーバーフェスの最終日だとのこと。人混みに酔いながら、なるべく短い列のブースを探してドイツビールにありつく。時折涼しい風が吹く木陰で飲む、ちょっと色と味の濃いビールは最高だね。それ自体がずっしりと重いジョッキにたっぷりと注がれた500ミリの黒い液体があっという間になくなってしまう。

そうこうしているうちに3時15分の開場時刻が近づく。今日も指定席だから別に開場時刻に並ばなくてもいいんだけど、これ以上ビールを腹に入れるとライヴ中トイレに通うことになってしまうので、早々に入場。公園には何度か来たことがあるけれど、この歴史ある野外音楽場でライヴを観るのは僕はこれが初めて。

果てしなく遠い2階席の後ろから数えて2列目という、先行予約で押さえたとはやにわに信じがたい劣悪な座席の前日とは打って変わって(劣悪だったのは目前に座った座高男のせいだったんだけど)、今日はかなりステージに近い、しかも自分の前が通路なのでゆったりと脚を伸ばせる嬉しい席番号。しかも、ステージに向かって左側、つまり、サニー側だ。

サニーとジョニーだけだった前日とは違って、ジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニヴァルというイベントの今日は、その2組に加えてさらに2組(+ゲストシンガー)という盛り沢山な内容。どうせサニーが出てくるのは6時ぐらいだろうから、あまりよく知らない他の人たちはパスしてそれぐらいの時間に来ようかなとも思ったけど、ドイツビールにも惹かれてやっぱり定刻通りに到着。

その2組についてまでこと細かく書いていたら本当にきりがないので、ごく手短かにすませよう。まずはMCも務めたゴトウゆうぞう率いるワニクマ・デロレン&マキ、控えめに言ってもすっごくよかった。「What's Going On」とか「What A Wonderful World」とかの有名曲を日本語(関西弁)に翻訳して歌うんだけど、アドリブで入れる時事問題とか、まるで河内屋菊水丸かランキン・タクシーかというぐらい。ギタリストのカメリヤ・マキはなんでこんな綺麗な人がブルーズ・ギターなんてやってるんだ?という、いい意味での違和感ありまくりの存在感。そしてなりより、ゴトウゆうぞうの語り。彼は自分のステージだけでなく、最後までセット間のMCを務めたんだけど、まあこれがとにかく面白い。場つなぎのブルーズ・クイズとか、三味線を持ち出しての弾き語りとか、ユーモアいっぱいのメンバー紹介とか。夏に西麻布でライヴ演るっていうから、観に行ってみようかな。

ああ、どこが手短かなんだ。毎度のこととはいえ、すみませんね。次に登場したのは近藤房之助。名前は聞いたことあるかなあと思っていたら、BBクィーンズの人か、おどるポンポコリンの(とか本人は言われたくないのかもしれないけどね)。これがまた剛速球ストレートみたいな、「Stormy Monday」で始まるバリバリのブルーズ大会。いい声してるねぇ。ブルーズ・ハープ(ハーモニカ)だけのメンバーがいるというのもまた凄いよね。

以上二組がそれぞれ大体30〜40分ずつぐらい。セットチェンジ(といっても前日同様アンプぐらいしか換えるものはないけど)の間はゴトウゆうぞうの爆笑トークであっという間に過ぎ、サニー・ランドレスとバンドが登場したのが確か5時半頃。サニーは紫色の絞り染めみたいなシャツと、一見ジーンズに見えるけどあれは多分もっとゆったりした素材のストレートなパンツ。前日同様もうほとんど鎖骨のところまで持ち上げた赤いストラトキャスターを抱えて登場。

僕は前日ほとんど姿を見なかったデイヴ・ランソンは、銀色の髪の毛をオールバックになでつけ、サニー同様銀縁の眼鏡をかけた、ちょっとインテリっぽい風貌。なんだか、(エルヴィス・コステロの)アトラクションズにいそうな見かけ。特にアトラクションズの誰に似ているというわけでもないんだけど。

ドラムスのブライアンは、僕の位置から見るとちょうど後ろのライトが直接目に入ってきて(あれ結構ずっと目障りだったんだけど、この会場っていつもああなのかな)、今日はほとんど彼の方は見なかった。というか、この至近距離からサニーがギターを弾くのを観れるのに、他に何を見るというのか。

「Z Rider」から始まるセットリストは前日とほぼ同じ。詳細なセットリストは後述するけど、昨日書いた赤とサンバーストのストラトを頻繁に交換して弾く件、もしかしたら1曲ごとにチューニングが狂うからなのかなんて書いたけど、今日はそれに注意して見てたら、違うね。あれは意図的に(おそらく違うチューニングで)曲によってギターを使い分けていたと思う。簡単に言うと、冒頭の「Z Rider」以外はヴォーカル曲で赤い方を使っていたかな。

昨日タイトルがわからなかった4曲目、今日必死で歌詞を聴き取ってきて、ネットで調べてようやく見当がついた。スキップ・ジェイムズの「Cherry Ball Blues」という曲だね。ああわかってよかった。

その4曲目までが前日と同じで、「Hell At Home」を演らずに「新しいアルバムを出してね」と紹介し始めたから、これは前日とはセットリスト変えてきてるのかなとほんのり期待。しかも、新作から演ったのは前日とは違って「Wonderide」だった。

ただ、その新曲の次に「The Milky Way Home」も演らずに「この曲はハリケーン・カトリーナのことについて書いたんだ」と紹介したときにちょっと嫌な予感が。これって、もしかしてセットリスト変えてきてるんじゃなくて、単に端折ってるんじゃないのか?

その悪い予感は的中し、「Blue Tarp Blues」の後は前日同様「Brave New Girl」から「Uberesso」のメドレー。そこでメンバー紹介をしてステージを去るサニー。なんだって?40分も演ってないんじゃない?これじゃ最初の二組よりも短いぐらいだよ。

と思っていたら、MCのゴトウゆうぞうが出てきて、サニーを再度呼び出す。ああよかった。アンコールは前日も最後に演奏した「Pedal To Metal」。ものすごい演奏だよね。今日何人もギタリストを見たけど、こんな人他にいないよ。例えて言えば、一秒間に何十個も精密部品を作る工業機械か何かを見ているような感じ。前にも書いたかもしれないけど、自分の目の前で見ているのに、何をどうやったらギターからあんな音が出てくるのかがわからない、まるで高速の手品のような演奏。

あ、そういえば一つ今回発見したのが、「Blue Tarp Blues」のあの印象的なイントロの金属音のような音とドローン音の組み合わせは、右掌を震わせて全部の弦に触れると同時に、スライドバーの後ろで左の人差し指で弦を爪弾いて出していたということを発見。凄いなというよりも、どうしてそんなことをしてあんな音を出そうと(出せると)思ったかということの方が驚きだよ。


サニーのパートが前日よりも2曲分短かったのは残念でしょうがないけれど、1時間弱に亘って彼の手元を凝視し続けることができたのは何よりも幸せだった。もう今日はこれだけで来た甲斐あり。あとは、ジョニー・ウィンターはどうせ前日と同じセットだろうから、缶チューハイでも飲みながらまったりとくつろいで観てよう。

なんてすかしたことを言ってはみても、やはりこの至近距離でジョニー・ウィンターを観られるというのはちょっとした感激。腕の刺青もくっきりと見えるよ(刺青自体はもうすでにくっきりしてはいないけど)。本編のセットリストは前日と全く同じ。演奏の内容もほぼ同じと言っていいだろう(ジョニーが立ち上がる箇所も同じ・笑)。改めて感心したのが、ちょっと危なっかしいところも散見されるジョニーをサポートする3人のメンバーの確実な演奏技術。誰一人としてジョニーを差し置いて出しゃばったりはしないけど、この人たちだからこそお客さんもあれだけ盛り上がることができるんだなあと思わせる卓越した演奏。ベースの音とか超かっこよかったよね。

満員の日比谷野音のお客さんは前座扱いのサニーよりもジョニーの方で相当盛り上がっていたようだけれど、明日も朝から会社に行かないといけない身としては、ちょっとアンコールまで飛ばさせてもらおう。

アンコールの拍手に応えて、ファイアバードを手に再登場したジョニー。左手の小指にはサニーのガラス製のとは違って金属製のスライドバーが嵌っている。ここまで前日と同じセットリストだったから、この後すぐにサニーが出てくるかと思っていたら、椅子に座るや否や「Highway 61」と言って超高速演奏を始めた。ええっ?もしかしてここも端折るの?

と思ったら、長尺のその曲を終えてもジョニーはギターを下ろさない。そして、「君たちが待ち望んでいたゲストを呼ぶよ。そんなに待ち望んでいたかどうかはわからないけど」とかなんだか微妙な紹介で、サニーを呼び出す。いや、当然僕は待ち望んでいましたよ。予想通り、サニーだけでなく、本日の出演者一同、とまではいかないけれど、三味線のゴトウゆうぞう、同バンドからギターのカメリヤ・マキ、近藤房之助バンドからブルーズ・ハープのKOTEZが参加。曲は、これまた予想通り前日同様の「Dust My Broom」。

最初の数回のソロは自分が弾いて、後半「サニー・ランドレス!」とサニーにソロを譲り、12小節終えたところで再度「サニー・ランドレス!」ともう一回ソロを取らせる。ただ、その後、サニーも自分がソロを弾いていいものやら、誰か他のゲストに譲っていいものやら、妙な譲り合いみたいな12小節が2回ほど続いた。誰も弾かないとわかるとKOTEZが咄嗟にブルーズ・ハープを入れたりね。

なんていうのは、あの幸せな空間の中ではほんの些細なこと。中央で椅子に腰かけてギブソン・ファイアバードでスライドを弾きまくるジョニー御大を囲んだ拡大ブルーズ・バンドの面々が演奏する「Dust My Broom」は格別だった。観ている途中、「あ、もしかしたらジョニーを観るのはこれが最後なのかも」なんて不謹慎にも思ってちょっとうるっとしてしまったけど、きっとあのよぼよぼした見かけよりもずっと元気だよね、あの人。あと何回来日してくれるかわからないけど、こうして人間国宝みたいな佇まいでこれからもずっとやっていってほしいよ。


Setlist 27 May 2012 @ Hibiya Open-Air Concert Hall

Sonny Landreth
1. Z Rider
2. Native Stepson
3. Promised Land
4. Cherry Ball Blues
5. Wonderide
6. Blue Tarp Blues
7. Brave New Girl
8. Uberesso

[Encore]
1. Pedal To Metal


Johnny Winter
1. (Intro)
2. Hideaway
3. She Likes To Boogie Real Low
4. Good Morning Little School Girl
5. Got My Mojo Working
6. Johnny B. Goode
7. Black Jack
8. Tore Down
9. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me / Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[encore]
1. Highway 61 Revisited
2. Dust My Broom w/ all stars
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