2012年05月26日

三夜連続記事序章 - Sonny Landreth

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サニー・ランドレス 『Elemental Journey』

「サニー・ランドレスのニュー・アルバム」。思えば、88年2月にジョン・ハイアットのバックバンドの一員として来日した彼のスライドさばきを生で観て衝撃を受け、92年に今は亡き渋谷フリスコで彼の出世作『Outward Bound』を手に入れて以来約20年強、僕はどんな思いでこの言葉を常に待ち続けてきたことか。

だいたい3年から5年の間隔で発表されるソロアルバムだけでは飽き足らず、サニーがアルバム中1曲でも参加しているCDを片っ端から集め続けた結果、うちにある“サニー・ランドレス・コーナー”には既に60枚以上のCDが集まってしまっている(これでも完コレにはほど遠い)。いくつかは若干期待外れ(彼が参加している曲はともかく、他の曲がどうにも性に合わないとか)なこともあるんだけど、それでも集めずにはいられないという、もう僕にとってはとんでもない魅力を持ったギタリストだ。

08年の前作『From The Reach』は(少なくとも僕の脳内では)当然のごとくその年の個人的ベストアルバムの堂々一位に輝いたぐらい、僕にとってはもうとにかく次のアルバムが待ち遠しくてしょうがないという数少ないアーティストの一人。

そのサニーのニューアルバムが出るという話と、彼がジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニバル2012というイベントに出演するために来日するというニュースを聴いたのは確かほぼ同時期だったと思う。そのイベントはなんと、奇跡の初来日と言われていた昨年からわずか1年で再来日となったジョニー・ウィンターとのジョイント・ライヴだという。もちろん、すぐさまサニーが登場する全公演2日間のチケットを押さえた。ライヴの模様は、うまくいけば明日・明後日に続けざまにここにアップする予定(という意味での今日の記事タイトル)。

というわけで、このブログでは本当に久々のアルバム・レビュー。ただ、5月23日に発売になったばかりで、買ってからぶっ続けで4〜5回は聴いているとはいえ、まだ存分にレビューができるほど聴き込めていないというのは容赦頂きたい。ちなみにここだけの話、本当は24日に戻ってくるはずだったブラジル出張の帰国便を一日早めたのは、発売日にこのアルバムをゲットするためだというもっぱらの噂。

ここのところずっとギターを弾く自分の写真をジャケにしていたが、今回は一転して上に載せたやたらとシンプルな、星空をバックに文字だけというジャケ。ジャケ下部に入っているサインについては後述。全11曲の今回のアルバムは彼にとっては初の試みとなる全曲インストゥルメンタル。どうしてインストアルバムになったのかなど詳しい情報は、今ちょうど本屋に並んでいるレコードコレクターズ6月号に、五十嵐正さんの含蓄のあるインタビューが載っているから興味のある人はそれを買って読んでもらえばいい。なにしろ、日本の雑誌にサニーの記事が(いくら新譜発売と来日が重なったからとはいえ)6ページも載るなんて、快挙じゃないか。

日本盤CDの帯をはじめ、ありとあらゆるところでエリック・クラプトンの名前を引き合いに出してサニーのことを紹介しているのはちょっと辟易するけど(よく引き合いに出されている「世界で最も過小評価されているギタリスト」という自らの言葉を覆すかのごとく、サニーのことを自分主催のフェスなどに頻繁に起用しているクラプトンにはとても感謝しているけれど)、まだ日本ではそうやって宣伝しないと誰も知らないようなギタリストなんだということに逆に驚いてしまう。

前作はそのエリック・クラプトンをはじめ沢山のゲストがほとんど全曲に入れ替わり立ち代わり参加していたが、今回は11曲中3曲のみ。一般的には冒頭の「Gaia Tribe」でギターソロを弾いているジョー・サトリアーニの参加が一番の話題なんだろうけど、僕にはそれほど思い入れのある人ではないのでそこはさらっと。

5曲目「Passionola」に参加しているエリック・ジョンソンって前作にも入ってたな、どの曲だっけと思って上にリンクした記事を見直してみたら、あの「The Milky Way Home」でサニーと延々ギターソロの掛け合いやってた人か。

もう一名は9曲目「Forgotten Story」に参加しているロバート・グリニッジというスティール・ドラム奏者。うん、確かになんていうんだろう、レゲエっぽいリズムのカリプソっぽい曲調。

今のところの感想を一言でまとめると、ここに入っている11曲が通常のヴォーカルアルバムに数曲ずつ入っていたら、きっともっとそれぞれが映えたんじゃないかな、という感じ。要するに、もったいない。どの曲もいつもながらの超絶スライドでメロディアスなラインを弾きまくっているし、曲によっては生のストリングスが入ったりさっき書いたように普段は使わないようなリズムに乗せたりと様々な試みをしているんだけど、それが11曲立て続けに出てくると、何故かどうにも引っ掛かりが少なくなってしまうように思える。

“通常のヴォーカルアルバム”に入っているインスト曲、それはたとえば「Native Stepson」だったり「Z Rider」だったり「The Milky Way Home」だったりするわけだけど、どれもこれも「ああ、こういう曲ばかり集めたサニーのインストアルバムをいつか聴いてみたい」と思わせるような名曲ばかりなのに、いざこうしてそういう曲ばかりを集めてみると逆の感想を持ってしまうというのは、僕が単にあまのじゃくなだけなのか。それとも、こういう優れたインスト曲は、ヴォーカル曲の間に挟まれてこそ、そのよさをより発揮するということなんだろうか。

そう、勘違いしないでほしいのは、僕はこのアルバムをつまらないと言っているわけじゃないということ。並べてみたら比較的凡庸と言えなくもない曲もあるけれど、ほとんどの曲は1曲だけ抜き出してみると相当かっこよく聴こえる。きっと、こうして11曲通して聴くよりも、ラジオとかでたまたまこの中のどれか1曲に遭遇した方が遥かに輝いて聴こえるんじゃないかな。そういう意味では、おそらく通常セット(要するにちゃんと歌も歌う)であろう今回のライヴの所々で披露されるであろうこのアルバムの曲が僕の耳にどう聴こえるか、かなり楽しみではある。そのために、ちゃんと曲名覚えて行こう(インストの曲名覚えるのが相変わらず苦手)。

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さて、僕が珍しく発売したばかりの日本盤を買った理由は、もちろんこれが大好きなサニーの新譜だからというのもあるけれど、昨日タワーレコード渋谷店で行われた、アルバム発売記念サイン会の参加券をゲットするため。発売初日に買った新宿店から拾ってきたチラシが黄色で、サイン会が行われた渋谷店に置いてあったチラシが緑色だったというのは、きっと僕以外のすべての人にとってはどうでもいいことなのは知っているけど。

実は僕はこのイベントをインストア・ライヴだと勘違いしていて、開始時刻の相当前に渋谷に着くために、出張直後で相当忙しかった仕事を全部放ったらかして行ったんだけど、着いてみたらステージにはギターアンプはおろかマイクすら置いていない。店員さんに聞いてみたら、演奏はないとのこと。チラシを見直してみても、どこにもインストア・ライヴなんて書いてないし。チラシの色の違いを云々する前に書いてあることにまず気付け>自分

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開始時刻のかなり前にステージ前に突っ立っていたら、いつの間にか僕の後ろにずらっと並ぶ人の列。いや、僕は別に一番にサインをもらおうと思って来たわけじゃないからと、一旦列を外れてその辺をブラブラ。会場は渋谷タワー5階。知っている人ならわかると思うけど、そこはブルーズとかジャズがメイン(のはず)だけど、Kポップのコーナーもある(というか、売上的にはきっとこっちがメインなんだろう)。当然この日の5階は、サイン待ちの(おそらく平均年齢が40を下らない)おじさん軍団と、Kポップ目当てで文字通りキャピキャピ騒ぐ、平均年齢がおじさん軍団の半分以下のはずの女子軍団が混然一体となった、かなり不思議な光景。

予定時刻の7時ちょっと前になると、Kポップコーナーにいた女子軍団がエレベーター前の狭いスペースにまず追いやられ(まさかあのKポップ女子たちもおじさん軍団にこんな風に不当占拠されるとは思いもよらなかっただろう)、7時を少し廻ったところでサニー登場。

前に僕がサニーのことをじかに見たのはもう24年も前のことだし、それも遠く離れたステージの上だったから、こんな数メートルの距離で見るのはもちろん初めて。思ったより小柄で、きっと身長は僕とそう変わらない。銀縁の眼鏡に、このままアメリカから飛行機に乗ってきましたといわんばかりのラフな服装。髪の毛にはもう結構白いものが混じってる(でも元が薄い茶色?だから特に違和感もなく)。

間違っても“豪快な米南部人”みたいな人だとは思っていなかったけど、予想通りナイーブそうな人。でも気さくに一人ひとりに自分から「どう、元気?」みたいな感じで声をかけている。隣に通訳の女性がいたけれど、ほとんどの人とは英語で直接話していたみたい。何人かの人は『Elemental Journey』に追加でサインをもらおうと別のアルバムのジャケを持ってきてたりして係員に注意されていた(でもサニーはサインしてあげてたね)。

並んだファンは全部で40人程度だったかな?途中まで傍で見ていた僕もそろそろ列が途切れるというところになってようやく並び、最後の方でサインを貰う。“あの”サニー・ランドレスと直接話すことができるなんて。きっと周りで見てもわかっただろうと思うほど相当緊張している自分。何を話したかな。「明日と明後日観に行きます」とか「楽しみにしてます」とかまあ、そういう他愛のないことしか言えなかったように思う。

最後に手に持っていたA4サイズの写真をサニーに見せた。僕が集めたサニー参加CD、計63枚を並べて撮った写真だ。「わあ、これはすごい。よく集めたね。僕の一生だ(笑)。よく覚えていないのもあるけど」と、しばらく一つ一つのジャケを眺めてくれるサニー。一番左上のエリオット・マーフィーの『Lost Generation』を指さして、「これは懐かしいな。何年だっけ。74年?」とか。やっぱり初期の参加アルバムは印象深いのかな。

二つサインをもらおうとする人は注意されていたから無理かなとは思ったけど、「この写真にもサインもらっていい?」とサニーに訊いてみると、「この上に書くの?どこでもいい?」と快諾。周りのスタッフも黙認してくれた。どうもありがとう。

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これは嬉しいな。ちゃんとラミネート処理して大事にしよう。でも、帰ってきてから、うちにはまだサニー参加CDがあったことを思い出した。しかも、今回のライヴに深く関係する、ジョニー・ウィンターのアルバムじゃないか。しまった(別にサニーはそれが写ってなかったことには一切気付かなかっただろうけど)。

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ジョニー・ウィンター 『Roots』

お台場に新しくできたZepと日比谷野音という大きな会場だから、サニーやジョニーに会ってサインをもらえる機会なんてきっとないだろうけど、一応このCD持ってライヴに行くことにしよう。もしかしたら、電車を降りたところとか会場のトイレで偶然鉢合わせるかもしれないし。


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