2012年04月01日

Fountains Of Wayne live in Tokyo

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いいライヴだったというのはもちろんだけど、昨夜のこのライヴのセットリストが僕にとってどれだけ特別なものだったかという気持ちを少しでも共有してもらうために、ちょっとライヴとは関係ない前置きを。

僕がファウンテンズ・オヴ・ウェイン(以下FOW)をきちんと買って聴き始めたのは、彼らがもうすっかりメジャーになった後のこと。記録によると、06年に過去盤を何枚か買ったのがきっかけだったようだ。それまでももちろん名前は知っていたし、音もまあそれなりに自分の好きなパワーポップ系ということで嫌いではなかったんだけど、どうも100%しっくりくるという感じではなかったというか。

僕にとってその程度の位置づけだったバンドが、07年のアルバム『Traffic And Weather』を聴いて自分内で大きく前進。そのアルバムは07年の個人的ベストアルバムにも選ばれた。昔からのファンにはイマイチ受けが悪かったアルバムだったけど、引用した記事に書いたように、昔ながらのパワーポップに加えて「Fire In The Canyon」みたいなカントリー系アメリカン・ロックの王道を行くような曲が収録されていたのが大きい。

そんなことを言うなら、その前作(編集盤は除く)にあたる『Welcome Interstate Managers』には「Valley Winter Song」なんてのが実は入っていて、ああそうか、この人たちって単にパワーポップバンドとして括らない方が自分にとってはしっくりくるぞ、そして、そういう王道アメリカンバンドとして捉えたこのバンドは、自分の中では相当上位に来るぞ、と再認識させられた次第。

昨年の個人的ベストアルバムに選出した『Sky Full Of Holes』に収められた「A Road Song」がそれらと同じ系統の曲であり、僕がその曲をこの新作中一番気に入っているというのは、昨年末に作った「2011年のベストアルバム10枚から1曲ずつ選んだミックスCD(暫定版)」を聴かれたことのあるこの世に10名程度の人ならもうご存知のはず。

FOWの昔からのファンの中には随分熱心な方が多いようで、今回の日本ツアーの各地でのセットリストも、ライヴが終わったその晩のうちにもうネットに上がっていた。本当は事前にセットリストを見て内容を知ってしまうのはあまり好きじゃないんだけど、今回だけは上に書いた3曲、特に新作からの「A Road Song」演ってくれるかなとひそかに期待しながらチェックしていた。

毎晩まったく同じセットリストというわけではないけど、初日の大阪、続く名古屋、そして東京1日目のリストを見ると、オープニングと本編ラストの曲は同じで、アンコールもほぼ同じ曲の組み合わせ。本編も多少の曲の入れ替え・順序換えはあるけど、概ね同じようなセットのようだ。

「Fire In The Canyon」は大阪・名古屋ではアンコールで演ったようで、「Valley Winter Song」は名古屋で出ている。でも一番のお目当ての「A Road Song」はどこでも演ってないよ。今回のツアーのセットには入ってないのかな。まあ、地味な曲だからな。大きくセットリストを変える人たちじゃないんだね。それにしても、『Sky Full Of Holes』ツアーだというのに、なんだかやたらと『Welcome Interstate Managers』からの曲を演ってるな。あのアルバムがいちばん好きなのかな。


なんてことを、主に『Welcome Interstate Managers』を予習しながら(新作は暗記するほど聴き込んでいるので)小雨の中を恵比須リキッドルームに向かう。僕はこの会場は確か今回で4回目だけど、(端の方とはいえ)ステージ前の柵にもたれかかれるぐらい前で観るのは初めて。最近、開場〜開演が30分という小さい小屋でのライヴばかり観てるから、もたれられるとはいえ立ったまま1時間待つのは結構つらいけど。

定刻どおり、というか下手したら数分早かったんじゃないかと思うぐらいきっちりした時間に、黒縁メガネに白いシャツというこれまたきっちりしたいでたちのマイク・ヴァイオラが登場。今回FOWの公演が発表されたときには確か彼のことには触れられていなかったから、前座で彼が出るということは大半の熱心なファンがチケットをすでに押さえてから発表されたはず。この豪華すぎる前座が間違いなく今回のFOW公演のハイライトの一つ。前述のセットリストによると、FOWのアンコールにマイクが出た日もあったようだし。

実は僕はマイク・ヴァイオラのことはFOWよりもさらに遅れて聴き始めたので、一応ソロアルバムはライヴ盤も含めて全部持ってるし、キャンディ・ブッチャーズのベスト盤は去年のクリスマスにサンタさんにもらったから、それなりに曲は知っているものの、ライヴで聴いてその場で曲目がわかるというわけにはいかない。こちらもネットでセットリストを見つけたので、それを参考に覚えていることを書いていこう。

ステージに上がり、ジャズマスターを肩にかけて、挨拶もそこそこに1曲目「Soundtrack Of My Summer」。と思ったら、間奏のところで急に演奏を止め、「やあ、東京に来られてうれしいよ」と挨拶。ははは、こんなの初めてだよ。おかしい人だね。それに、声がジム・ボジアそっくりだ。

4曲目、キーボードに移って弾き始めたキャンディ・ブッチャーズの「Let's Have A Baby」の途中でポール・マカートニーの「Maybe I'm Amazed」を挟む。ジム・ボジアも去年この曲演ってたね。この辺の人たち皆これ好きなんだ。

自分がボツにしようとした曲を7歳の娘さんが「それ捨てない方がいいよ」と救ってくれることがよくあるという話。新作『Electro De Perfecto』(このタイトルも娘さんのアイデアだそうだ)からの「Closed Cutter」もそんな中の一曲だそうで、歌い終えた後「変な曲だったろう」と言ってたけど、いやそれほどでもないよ。

マイクのパートはソロセットだと聞いていたので全く期待していなかったけど、ここでFOWのアダム・シュレシンジャーを呼び、「映画の曲を演るよ」と言って、「That Thing You Do!」を。事前に友達にこのタイトルと映画のことを聞いてもピンときていなかった僕だけど、アダムのベースラインを聴いた時点でこの曲かとわかった。

最後は再度新作からの「Get You Back」で締めた、40分弱ほどのコンパクトなセット。なんて贅沢な前座。今回単独公演はないのかな。彼一人でも小さめの小屋なら数日埋められると思うんだけど。もったいない。


楽器はもうほとんどセットしてあったので、15分ほどの休憩を挟んでFOWのメンバーが登場。僕はアダムのことはティンテッド・ウィンドウズのときに観たことがあったけど、クリス・コリングウッドを見るのは初めて。赤茶色の野球帽をかぶったクリスと、前に観たときと同じじゃないかと思った労務者風のシャツのアダムの中心人物2名が、どう見てもその他二人よりもロックミュージシャンらしくないのがなんだかおかしい。

ギターのジョディ・ポーターは胸をはだけた白いヒラヒラのシャツに薄紫色のぴっちりしたパンツ、カールのかかった髪型といい、絵に描いたようなロックンローラー(笑)。ギターのボディーは透明アクリル製だ!(笑)。ドラムスのブライアン・ヤングはどこかで見たことあるなとライヴ中ずっと思っていたけど、そうだ、彼一時ポウジーズでドラマーやってたんだった。

オープニングは事前に調べていたとおり、連日同様「Little Red Light」、かと思いきや、「Bought For A Song」だった。あれ?ここから変えてくるの?もしかして今日は結構違ったセットリストになるのかも。

曲間でクリスが簡単な挨拶を入れる以外はほとんどMCなしでどんどん曲が進む。いやそれにしても音いいね。僕はスピーカーからほど近い場所にいたんだけど、全然うるさくないし。5曲ほど旧作からの曲を続けて演った後、アダムが「僕らはニューアルバムを出したんだ。いや、新しいというほど新しくもないんだけど。そのアルバムからの曲をいくつか演るよ」と言って、「The Summer Place」を。だいたいこのあたりでこの曲を演奏するのも連日同様。

「Richie and Ruben」の前にも曲の内容を解説するアダム。どうやら古い曲はお馴染みだからダーッと続けて演って、新しいのはどういう曲なのかをちゃんと説明しているね。そして、こういう説明は全部アダムからだというところから推察すると、やっぱりこのバンドのメイン・ソングライターは彼なんだろうか。

クリスがそれまで弾いていた黄色いグレッチのセミアコからギブソンのアコギに持ち替えて、アダムが「僕らは色々なことに文句をつける曲を書いているけど、これは気候に文句つけてる曲」と言って演奏を始めたのが「Valley Winter Song」。やった。嬉しいけど、これが出たということは、ほぼ似通った曲調の「A Road Song」はもう演らないんだろうなと、ちょっと残念な気持ちにも。というか、「ニューアルバムからいくつか」というのはたった2曲のことなのかよ。

と思っていたら、またアダムによる解説。「70年代のバンドはよくロードに出ることについての曲を書いていた。僕らもこれでもう一週間ほど日本にいるから、僕らが書いたロード・ソングを演ろう」。え、なんだって?と思う間もなく、一番聴きたかった「A Road Song」が始まる。偶然ではあるけれど、この日に来ることにして本当によかった。観客からのリアクションはいまいち薄かったけれど、そんなの全然関係ない。本当にいい曲。そこはかとなく哀愁漂う歌詞も大好き。

僕にとってのハイライトというだけでなく、コンサート自体もそこで一区切り。アダムが観客を3人ステージに上げ、シャカシャカ鳴る楽器を手渡して、自分はキーボードへ。「Hey Julie」はセットリストによると毎晩これぐらいの位置で演っていたようだけど、毎晩こうしてお客さんを上げてたのかな。

そしてここからは怒涛のクロージングになだれ込む。新作で僕が2番目に好きな「Dip In The Ocean」、かつてグレン・ティルブルックもライヴでカバーしたことがあるという「Red Dragon Tattoo」、メンバーお気に入り(のはず)『Welcome Interstate Managers』のオープニング曲「Mexican Wine」、そしてデビューアルバムのオープニング曲「Radiation Vibe」。もうこの辺は当然解説不要。


アンコールの拍手がいまいち弱かったけど、すぐに再登場。アダムがキーボードの方に行ったなと思っていたら、クリスが「僕らの友達を呼ぼう。マイク・ヴァイオラ!」。ベースレスで、ジョディがエレキ、クリス&マイクがアコギという布陣。クリスが「ホンキートンクなのを演ろう」と言って始めたのが、これまた待望の「Fire In The Canyon」。やった、聴きたかったの全部出たよ。しかも、2番の歌詞をマイクが歌うというスペシャルなおまけ付き。

それまでの3公演では4曲ずつしか演ってなかったアンコール、この日だけは「Survival Car」を追加した全5曲。一番盛り上がる最後の3曲のところはほぼ曲間なしでやりたかったと思うけど、「Survival Car」の後でジョディのエフェクターの調子が悪くなったようで、ちょっと間が開いてしまった。それでも、ラスト2曲「Stacy's Mom」〜「Sink To The Bottom」は大盛り上がり。


僕にとってはこれ以上ないというぐらい完璧なセットリスト。欲を言えば新作からの「Someone's Gonna Break Your Heart」とかも聴きたかったけど(どちらかと言えばこの新作中一番キャッチーな曲を一度も演奏していないことの方が驚き)、もうこれ以上は望みようもないね。密度の濃いライヴだと感じていたけど、MCが少なくてどんどん立て続けに演奏していたせいか、終了時刻は9時を少し回ったぐらい。え、そんなに短かったの?という実感。おかげで、久々に主要メンバーがほぼ全員揃ったいつもの面子(+新加入数名)で、終電までゆっくり飲めたよ。ああ楽しかった。


Setlist 31 March 2012 @ Liquid Room Tokyo

Mike Viola

1. Soundtrack Of My Summer
2. Break Your Heart
3. Till You Die
4. Let's Have A Baby / Maybe I'm Amazed
5. Maybe, Maybe Not
6. Truckstop Sweetheart
7. Closet Cutter
8. That Thing You Do! (with Adam Schlesinger)
9. Get You Back


Fountains Of Wayne

1. Bought For A Song
2. Bright Future In Sales
3. Barbara H.
4. Someone To Love
5. Denise
6. The Summer Place
7. Richie And Ruben
8. Valley Winter Song
9. A Road Song
10. Hey Julie
11. A Dip In The Ocean
12. Red Dragon Tattoo
13. Mexican Wine
14. Radiation Vibe

Encore
1. Fire In The Canyon (with Mike Viola)
2. Cemetery Guns
3. Survival Car
4. Stacy's Mom
5. Sink To The Bottom
posted by . at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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