2011年12月11日

Tamas Wells live in Osaka 2011

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濃厚な二日間を過ごした大阪を後にして、さっき無事帰宅。タマス・ウェルズの音楽とそれにまつわる諸々についてあまりにも沢山の出来事があったので、もうなんだか頭の中がオーバーフロー気味になってしまっているけれど、なんとか整理して少しでもここに書き記しておこう。

東京公演の余韻も冷めやらぬ12月9日の朝に大阪に移動し、腹ごしらえをした後、FM802のスタジオを訪問。なんでそんなところに行ったかというと、FM802のBEAT EXPOという番組にタマスが出演してインタビューとスタジオライヴを収録するというイベントがあり、僕はその番組で通訳をお手伝いさせてもらうことになったから。

しばらく前にインパートメントのsinさんの通訳募集というツイートを読み、どうせこの日はタマスのライヴまではレコ屋でもうろついてるほかにはやることないからと、通訳なんてやったことなかったけど、ほかに誰もいなければやりますよと言ってみたのがきっかけだった。

20分ほどの短いコーナーだったけど、ポイントを突いたいい内容のインタビューと、DJの早川さんも聞き惚れていたタマスとキムによる2曲。ネタバレになるのでここに内容は書かないけど、12月28日の夜7時から9時までの番組中のどこかで流れるとのことなので、FM802を受信できる関西のタマス・ファンの方はぜひ聞いてみて。なんだかボソボソしゃべってる通訳のことは無視していいからね。

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夜。どうせ時間まで特にやることないし、せっかくならまた前の方で観たいからと思って、また開場の30分前に会場に着いたら、同じビルの他のテナントの邪魔になるので開場時間に来てくださいとのこと。ごもっとも。一旦ずらかり、タコ焼きとビールで軽く腹ごしらえして、今度は7時ちょうどに再来場。前日とは逆の手の甲にペタンとスタンプを押してもらい、中に入る。前日とはうってかわって、とても小さな会場だ。去年タマスを観たsonoriumを、さらに一回り小さくしたぐらいの規模かな。ステージ(といってもまた段差もなにもないけど)の前にスツールが5脚ほどx2列。それより後ろは立ち見になってしまうんだね。僕は前日とほぼ同じ位置。東京より前座が一人増えて長丁場になるかもとのことだったので、年寄りは座らせてもらいますよ。

オープニング・アクトは、ウェザー・スプーン(weather spoon)というバンドのトレノ(toreno)という人。日本語詞だけど、ちょっとブロークン・フライトみたいな感じ。途中のMCで「僕もみなさんと同じような音楽が好きなんですよ」と言っていたのがよくわかるね。メルボルン・コネクションの飛び地、あるいは日本支店、みたいな感じで。

続いてキム・ビールズ。基本的には(5曲目に演った「Wedding Song」以外は)前日と同じ曲目だったけど、曲順は変わってたかな。曲の簡単な背景とかを日本人にもわかるようにゆっくり説明してくれたり、オフィシャルには来年出る予定のアルバムを今日持参したからよければ買ってねと言ったり、彼の書く曲同様、人の好さがにじみ出るようなほのぼのしたステージ(終演後に、思ったよりキムのCDが売れたとsinさんから聞いた。よかったね)。


そして、トリのタマス・ウェルズ(・トリオ)。3人でステージに立つや、まだBGMも鳴り終えてもいおらず、観客もまだざわざわしているうちに、「マイ・ネーム・イズ・タマちゃん」と自己紹介して、いきなり「Fire Balloons」を奏で始める。それを聴いて観客いきなり黙る、みたいな。まったく、勿体つけないにもほどがあるよ。

前日と同じ流れで曲順が進む。前日同様、リラックスしながらも何か新しいことを試してみようという雰囲気が流れている。自分のライヴの客はリピーターが多いということがわかっているから、少しでも飽きさせないように(そして、自分でも飽きてしまわないように)そうしているんだろうね。

同じ曲でも、曲紹介の内容が前日とは違うのがいくつかあったね。「Thirty People Away」では、自分の友達がミャンマーの水かけ祭りに参加していて、誰かが突然群衆に向かって手榴弾を放り投げて数十名死亡・負傷者百名以上という大惨事の、その爆発地点からたった30人の距離にいたという実話をきちんと説明してくれた。

前日はびっくりしたのが先に立ってあっという間に終わってしまった感のあった「Moonlight Shadow」のタマス・ヴァージョンをこうしてじっくり聴いてみると、確かにあの曲のコード進行とかメロディーラインとかって、タマスが書いたと言われればそうかと思えてしまうね(あれをタマスの新曲だと思ったと何人かの友達に言われたので)。

本日の「Valder Fields」はオリジナルに忠実なイントロなしバージョン。「この曲は、04年に初めてミャンマーに行って北部を訪れたときに、泊まった家に古いミャンマーのギターが置いてあって、それを使って作ったんだ」と説明。その話は初耳。ちなみに、終演後にタマスと話していたらその続きを教えてくれて、できたばかりのその曲を奥さんのブロンに聞かせたら、「それよくないからアルバムに入れるのやめたら?」と言われたんだって。ブロン、なんてことを…

「Signs I Can't Read」の紹介では、「ここ数年、ミャンマー国内の雰囲気が変わってきた。(スー・チー女史が解放されるとか)大きな動きもあったけれど、それだけでなく人々が希望について語るようになってきたんだ」とのこと。今まで彼がミャンマーについて話すときに、これだけ明るいトーンで語るのを聞いたのは僕は初めてだった。あとでタマスに聞いたんだけど、実は彼は例のHIV/エイズ関連のNGOでは今は働いておらず、2年ほど前から、より広い意味でミャンマーの人たちの生活が向上するように支援するという活動をしている団体に移ったとのこと。きっと、そういう活動を通じて、今まさにミャンマーが変わっているということを実感しているんだろう。

「For The Aperture」では、前日と同じく拍の頭で観客に手拍子を促すキム。僕は勝手に右手と左手でそれぞれの膝を1・2・3・4全部の拍で叩くことにした。あとでキムに「ちょっとあれやめてよ、やりにくいよ」と文句言ったら、「2・4の拍で手を叩くのは日本人だけだ。アジアの他の国ではどこも1・3で叩くぞ」と逆に言われてしまった。タマスも「オーストラリア人もだいたい1・3だね」と言うのでびっくり。「なんで日本人はそうなの?」とまで言われたけど、知らない。だって、その方が安定するよね。「それはそうだ、スネア叩く箇所も2・4だから、その方が理にかなっている」とキムは納得してくれたけど。

「For The Aperture」のエンディングで例の自転車のベルを鳴らすキム。この日は調子に乗って、お客さんに一音ずつ鳴らさせてたね。僕が座っていたアンソニー側までは残念ながら回ってこなかったけど。

そう、僕が座っていたのは、あの小さな会場の最前列、左側に置かれたキーボードの真ん前だったので、陣取りしてから「あ、まずい、これじゃまたアンソニーにプレッシャーかけてしまうな」と思っていたら、ステージに出てきたときにもう彼はこっち見てニヤニヤしていたな。「ごめん、ここ座ってしまった。緊張しなくていいから」と僕。案の定、この日もお約束のミスタッチがいくつか。そんなときにはなるべく彼の顔は見ないようにしておいてあげたけどね。

でも、「England Had A Queen」では、前日に間違って早く音を入れてしまった箇所で、タマスの顔を見ながらわざと弾こうとする振りとかする余裕があったね(タマスはシカトしてたけど・笑)。まさか、実はあの毎度お馴染みのミスは持ち芸としてやってるのか?

14曲目で、前日には演らなかった「Open The Blinds」を演奏。あ、ここからセットリスト変わるのかな、きっとリクエストした「The Northern Lights」とか「I Can Hear Music」とか演ってくれるかも、と期待していたら、結局その1曲以外はリクエストも含めて前日と全く同じだった。ちょっとがっかり。

終演後、タマスに「昨日リクエストした曲、演ってくれなかったね」と言ったら、「リハーサルのときに演奏し始めたら、どっちの曲も二番の歌詞を忘れていることに気がついた」だって。そんなことだろうと思ったよ。それにしても、「I Can Hear Music」はともかく、なんで自分の書いた曲の歌詞忘れるかね。

昨日書いた、タマス用のセットリストがないことについて訊いてみた。そしたらいともあっさりと「もう覚えてるから、リストなくても大丈夫」だって(「リストは見てもいいから歌詞覚えとけ」と言いたかったけど)。「曲順については、実はけっこう考え抜いてあるんだよ。同じキーの曲が続くとお客さんは飽きるだろうし、アンソニーやキムがどこで抜けて入るかとかも考えないといけないから」とのこと。

「だから、同じ場所で複数回演奏するのでなければ、基本的にセットリストは同じ。今回も、中国での5回からずっと同じリストだよ」とタマス。「複数回観に来る人もいるかもしれないのに」と言うと、そんなのはお前だけだと言われてしまった。

アンコール。アカペラで始まる「Abigail」に続けて「Reduced To Clear」が終わった途端、アンソニーがキーボードの上に置いてあったセットリストを「はい、これ」みたいな感じで僕に手渡してくれた。あ、ありがと。でも今日はもう最後だからもう一曲ぐらい演ってくれるよね、と思っていたけど、そのままアンコールの拍手もなく終了。時計を見てみたらもう10時半を回ってたからしょうがないね。


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タマスとキムのギター。キムに「このロゴのないギター、自分で作ったの?」と聞いたら、目をキラキラ輝かせて「これは木工技師の友達が作ってくれたんだ。この部分がタスマニア産のマホガニーの一枚板で、この部分はどこどこ産の何の木で、ほらこのヘッドの裏にシリアルナンバーが入ってるだろう、これは彼が作った2本目で…」と滔々と説明してくれた。自慢のギターなんだね、気付いてあげてよかった(笑)


数えてみたら、僕がタマスのライヴを観るのはこれでもう9回目になるのに、ちっとも飽きるということがない。日本には09年を除いてほぼ毎年のように来てくれている割には、毎回オーディエンスが拡大しているという感じとは言えないけど(レーベルとアーティスト自身にとっては大変だろうけど、いつも緊密な場所であの声と演奏を楽しめるというのは、申し訳ないけどファンにとっては逆にありがたい)。けっして、日本でツアーすることが彼らにとって大きな収入につながっているわけじゃないだろうけど、できれば毎年続けて来てほしいよ。タマスも来年の中頃にはミャンマーを離れてメルボルンに戻るということだから、今より少しは楽なフライトスケジュールになるだろうし。FM802を聴いて初めてタマスのことを知った関西の人が、きっと来年のツアーには来てくれるだろうしね。


Setlist 09 December 2011 @ Artyard Studio

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Open The Blinds
15. Melon Street Book Club
16. True Believers
17. England Had A Queen
18. Lichen And Bees
19. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear



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p.s. この日わざわざ大阪までタマスを追っかけていったおかげで、翌日、大切な友達の大事な日に一緒にいることができた。タマスも、めったにお目にかかることのできない異国のイベントに立ち会うことができて、よかったよね、きっと。

おめでとう。
posted by . at 18:34| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
地の利を生かしてラジオを聞きました。関西に住んでいるとたまに良いことがありますね。さすが大阪都。
通訳も分かりやすかったですよ。タマスが「キビダンゴウ」と語尾を「ou」と二重母音で発音していたのが印象的でした(そこかよ)。

ところでキビダンゴといえば旅です。旅をなりわいとする海賊の船には音楽家が必要、というのはアニメ「ワンピース」主人公ルフィのポリシーで、実際に自分の船にブルックという才能あるミュージシャンを乗せています。
yasさんがもし海賊船の船長ならやっぱりタマスを乗せるのでしょうか? 毎日ライヴ聴き放題。
いやいっそでかい船を持っていて何組かアーティストを乗せられるとしたら誰にしますか?(ちなみに前述のブルックは一度死んで蘇った人物なのでセレクトするのは故人でも可です)
Posted by ひより at 2012年01月11日 22:19
■ひよりさん
ラジオ聞かれましたか。僕も音源を入手して聞いたのですが、なにやら通訳の野郎が変な声だし訳間違えてるし英語の文法間違えてるしで聞いてて恥ずかしかったです。

よくわかりましたね。たしかに英語ではキビダンゴの語尾は二重母音になります。という僕もこの世の中でタマス・ウェルズ以外の英語ネイティブ・スピーカーがキビダンゴの発音をするのを聞いたことはないのですが。

海賊船にアーティストを載せるのですか?しかも何組でも可?それはちょっとあれですよ、生涯ベスト20よりも難しい質問ですね。まあとりあえずタマスには乗ってもらいましょう。おまけにアンソニーとキムもついてきます。グレンにも乗ってもらえば毎日違うセットリストで楽しませてくれます。おまけにサイモンもついてきます。なんと故人も可ですか。では美空ひばりに蘇ってもらいますか。
Posted by yas at 2012年01月16日 23:55
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