2011年12月10日

Tamas Wells live in Tokyo 2011

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あれからちょうど一年。2010年の暮れに僕たちに素敵な記憶を残してミャンマーに帰って行ったタマス・ウェルズが今年もやってきてくれた。9月末に予定されていた公演が、タマス自身のミャンマービザ更新手続きの関係で延期となっていたのが、ようやく年末ぎりぎりになって実現した。中国5都市でのツアーを終え、今回は東京と大阪で一回ずつ。まずは、東京公演の様子を(「まずは」ということは、お察しの通りこれを書いているのは大阪のホテルの一室なのでした)。

素晴らしい音響空間と最高級のスタインウェイの音を聴かせてくれた去年のsonoriumがこれからタマスの定番ヴェニューになるのかと思っていたら、今回は原宿のVacantというところ。あいにくの(というか、幸いというか)雨のせいで、いつもは女子校行きの満員電車みたいな竹下通りもこの日は人通りもまばら。すいすい歩いて、駅から5分ほどで着けた。一階はおしゃれな雑貨屋さん、二階が150人入るという(今回の限定客数)イベントスペースになっている。

段差のないだだっ広いスペースで、前の方には座布団、後ろの方には店中からかき集めてきたと思しきいろんな種類の椅子やソファが並べてある。ステージにも段差があるわけじゃないから、できるだけ前の方で観たいと思い、ちょっと早めに並んで最前列をキープ。隣に座ったN君はさっそく靴を脱ぎ、「ジャージ着て来ればよかった」などとすっかり自宅モード。

前回同様、前座はキム・ビールズ。今回はエレキギターを持ってきたんだね。ヘッドに何のロゴも入ってないナチュラルカラーの変わった形。ボディがどことなくブライアン・メイのギターっぽい形してるから、もしかしてブライアン同様、自作?

来年発表予定のニューアルバム『Tambourine Sky』からの曲を中心に30分。今回は持ち時間をオーバーすることなく終了。ちなみにこの新作、このツアーのために先に数十枚製作して持ってきたらしい。だから裏ジャケのクレジットも2012年になっている。アルバムのクレジットを見ると、10人ものメンバー構成で、いろんな管楽器やクラシカルな弦楽器も入っているようだ。レジャー・ソサエティみたい。今回はギター一本のシンプルなアレンジだったけど、あれらの曲がどういうアレンジになっているのか聴くのが楽しみ。


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男女一つずつしかないトイレの長蛇の列をクリアして戻ってきたから、実感的にはかなり短かったインターバルを置いて、タマス、アンソニー、キムが登場。キムはステージ左側のノード前に座り、タマスはいつものマーティン、キムはさっきのエレキ。アンソニーの後ろにはお馴染みのミャンマー・バンジョー。タマスの足元にはホルダーにセットされたハーモニカも置いてあるぞ。

いつもの「マイ・ネーム・イズ・タマス・ウェルズ」という挨拶とともにポロポロと弾き始めたメロディーを聴いてびっくり。「Fire Balloons」だ。もう演るの!? 一年ぶりの生タマスを、僕の中では一二を争うこの曲でスタートできるなんて。

この曲をはじめ、ほとんどの曲でキムがハーモニーを効かせる。タマスの声だけを聴いていたいという気持ちもなくはないけど、こうやって聴くのもまた格別。ちなみに、終演後アンソニーに「コーラスに参加しないの?」と聞くと、苦笑いしていたよ(苦笑)

2曲目の「Vendredi」を除いて『Thirty People Away』からの曲を数曲続けた後、タマス自身によるハーモニカを交えた、聞き覚えのないイントロの曲が。なんだろう、新曲かなと思って聴いていたら、歌いだしの歌詞を聞いてまたびっくり。「Moonlight Shadow」だ。マイク・オールドフィールドの。もちろん原曲の派手なギターソロとかはないし、歌詞含めてあちらこちら端折ったバージョンではあったけど、なんか貴重なものを聴いて得した気分。「アーティストも曲もあまりよく知らなかったけど、あの曲のメロディーはずっと昔から耳に残ってたんだ。それで、歌詞を覚えて自分なりのバージョンにして歌ってみた」とは、終演後のタマス談。

ミャンマーのことについて話し始めたので、きっと「Signs I Can't Read」かなと思いきや、次の曲は「Thirty People Away」。たぶんこの曲を日本で演奏するのは初めてじゃなかったかな(もし去年の京都で演ってなければ)。

続けて、また聞き覚えのないイントロ。今度こそ新曲かなと思っていたら、なんと「Valder Fields」。オリジナルではイントロなしで歌い始めるこの曲、ライヴではよくこうやっていろんなイントロをつけてくれるんだけど、そのどれもがまた綺麗なメロディーなんだよね。それにしても、相変わらずこの(ファン目線でいうと)一番の名曲をこういうさりげない箇所であっさり出してしまうんだね。本人的にはそれほど気に入ってるというわけじゃないのかな。

この日初めて『Two Years In April』から、「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。この曲と、前半に演奏した「The Crime At Edmund Lake」には、オリジナルにはないキムとのコーラスのエンディング部分が追加されていた。以前、「Reduced To Clear」のエンディングに、CDでは歌われていないパートを付けて完全版として歌っていたのと同じような感じ。というよりは、キムとリハーサルを続けていて、「この曲はこういう風にした方がよくない?」とか言って改良したんだろうね。なんだか、タマスの曲が少しずつ成長するのを見ているよう。

ここで一旦キムとアンソニーが退き、タマスがキムのエレキギターに持ち替えた。タマスがエレキ弾くのを見るのなんて初めて。ハーモニカホルダーを装着し、誰もがこの日この曲を歌ってくれるであろうことを期待していた台詞を話し始める。「31年前の今日、ジョン・レノンが殺されてしまった。彼の曲を歌おう」と、日本で聴くのは08年の東京公演以来になる「Nowhere Man」。

「2008年の5月2日、僕の住んでいるミャンマーにサイクロン・ナルギスが上陸して、14万人もの人が亡くなってしまったんだ」と、正確な日付と数字を覚えていたことに驚き(帰って調べてみたら、日付は正解、被害人数も13万8千人と、これも正しかった)、続けて演奏された「Signs I Can't Read」に聴き入る。去年のsonoriumでは自らのピアノで聴かせてくれたこの曲を、今回はエレキギターの弾き語りで。

更に「The Opportunity Fair」をエレキで弾いたあと、キムとアンソニーがステージに戻り、エレキはキムに返し、タマスは自分のマーティン、アンソニーがバンジョーを持って、「For The Apperture」。以前、シンガポールでタマスを観たとき、拍の頭で手拍子をするシンガポール人のことを書いたんだけど、今回はギターを置いてタンバリンを持ったキムが、拍の頭で手を叩くように観客を促す(自分は2・4でタンバリンを叩く)。しょうがないから従うけど、ああやりにくい。

続く「Writers From Nepean News」の間奏部分で、お馴染みの(笑)アンソニーのミスタッチ。いい加減毎回同じところでミスるのやめれば?(笑)。終演後に話していて、「いつもミスったときには君の顔見てしまうんだよ」と言われてしまった。ごめんね、そんなにプレッシャーかけていたとは。ちなみに、ラスト近くの「England Had A Queen」でもまた去年と同じくアンソニーが早くキーボードの音を入れてしまって、タマスとキムが苦笑いしながら見ていたよ。

「次はアンソニーによる“Melon Street Book Club”」とタマスが紹介した後、タマスだけがステージを降りる。あれ?キムはどうするの?と思っていたら、アンソニーのピアノにかぶせて、アンビエント風のギターを奏でる。ボリューム調整とかがちょっとうまくいかず、ときどき必要以上に大きな音になってしまったりもしたけど、いい雰囲気。このバージョンもなかなかいいね。

ただ、この曲あたりから、どうも僕が座っていた場所に近いスピーカーから低音のノイズが漏れ始める。ほとんど最後までずっと鳴っていたからもう最後の方には慣れてしまってそれほど気にならなくはなったものの、あれはちょっと残念だったな。

「次が最後の曲。ビーチボーイズのカバーなんだ」と言われて、てっきり『Pet Sounds』期とかの曲を演るのかと思いきや、「Do You Wanna Dance」だなんて。初めて聴いたけど、誰のどんな曲を歌っても、タマスのあの声で歌われるとなんだかすっかりタマス節になってしまうね。

アンコールに応えてまずタマスとキムだけが登場し、「When We Do Fail Abigail」をアカペラで披露。これはよかったね。途中からタマスのギターが入り、更にキムのエレキもかぶさってくるんだけど、すごく美しいバージョンだと思った。あとでキムが「あれ俺が提案したんだよ」とさも自慢気に教えてくれたよ。

例の「メルボルンの中でも僕が住んでいた地域は一番治安が悪くて」という説明を受けてのエンディング曲はもちろん「Reduced To Clear」。今回はコーラス入りの完全版じゃなかったけど、エンディングの演奏がいつもより長かったんじゃないかな。そういえば、今回いつもと何かが違うと思っていたら、いつも両足を揃えて直立不動で歌うタマスが、今回は(もちろん大抵はそうして歌ってるんだけど)比較的ステージ上をうろうろしながら歌っていたね。キムと向かい合ってギター弾いたりなんかして、ロック・コンサートみたい(笑)


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終演後に拾ってきたアンソニーのセットリストがこれ。後で清書するけど、タマスがエレキを持って歌う箇所は「Solo x 3」って書いてあるね。キムのセットリストにもそう書いてあったから、きっとこの部分はタマスがそのときの気分で違う曲を弾くのかも。そういえば、タマスだけは今回セットリストを床に置かずに歌ってたけど、もしかして予定曲順覚えてたの?(あんなに自分の曲に関しては記憶の曖昧な人が?・笑)


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今回会場で買ったCD。左が日本超先行発売のキム・ビールズ『Tambourine Sky』、右が、これも会場限定発売になる予定のタマス・ウェルズ『Signs I Can't Read - Live At Sonorium』(今回150名限定の東京公演と60名限定の大阪公演でどうやって500枚というこのCDの限定数を売り切るつもりなのかは僕は知らないけど・笑)


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この日、開場予定時刻の30分も前に会場に着いて時間を潰してたのは、これを手に入れたかったから(結局そんなに早く来てたのは僕の他には、いつも一緒のN君とか常連のxさんとかだけだったけど)。500枚限定生産のシリアル番号1番いただきました。聞いてもいないのに「1番ここにありますよ」と教えてくれたsinさん、ありがとう。何故読まれているのだろう(笑)


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見開きジャケの内側に、3人にサインしてもらった。キムが「絵描いてほしい?」って言うから何を言ってるのかと思っていたら、「yasのことを描いてやろう。じっとしてて」と、いきなり真剣に絵を描き始めた。あーあ、せっかくのジャケがお絵かき帳になってしまうよ、と思いながら見ていたら、実は結構うまかったりして。なんか目撃者による犯人の似顔絵風だけど(笑)、いいものもらったよ。ありがとう、キム。


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『Tambourine Sky』にもサインをもらう。時間が余っているのか(笑)、こちらにもあれこれ沢山書いてくれるキム(僕にだけじゃなく、見てたらみんなに沢山メッセージを書いてたね。いいやつ)。旧友とか書いてくれて嬉しいよ。


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あと一枚、これは多分タマス本人もまだ持ってないだろうと思って持参した、『Thirty People Away』のフランス盤CD。さんざん自慢してうらやましがらせてあげたよ(笑)。ポスター大のブックレットにサインしてもらったら、「僕より先に持ってるなんて信じられない」とか書かれた。発売元はアーティスト本人にサンプル盤とか送らないのかな。


終演後にタマスたちと話してたときのこと。「明日は何かリクエストある?」って聞いてくれるから、「“The Northern Lights”最近演ってないよね」と。タマスも「お、そうだね。よし、わかった」と言ってくれた。あとは、この日演ったカバー曲の話をしていたときにビーチボーイズのどの曲が好きかという話になり、「“I Can Hear Music”は大好き。あれなら歌えるよ」と言ってくれたのでそれもリクエスト(「God Only Knows」は?とか「Surf's Up」は?とかいうのは全部却下)。

他にもいろんな話をしたけど、翌日の大阪公演後の話題とごちゃまぜになってきた。一旦この東京公演レポートはここまでにして、あとで思い出したことは次の記事に書こう。なんとかこの週末中に仕上げられるかな。


Setlist 08 December 2011 @ Harajuku Vacant

1. Fire Balloons
2. Vendredi
3. The Crime At Edmund Lake
4. Your Hands Into Mine
5. Moonlight Shadow
6. Thirty People Away
7. Valder Fields
8. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
9. Nowhere Man
10. Signs I Can't Read
11. The Opportunity Fair
12. For The Aperture
13. Writers From Nepean News
14. Melon Street Book Club
15. True Believers
16. England Had A Queen
17. Lichen And Bees
18. Do You Wanna Dance

[Encore]
1. When We Do Fail Abigail
2. Reduced To Clear
posted by . at 15:59| Comment(4) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コバワ〜

先日はお疲れ様でしたー。

素敵なライブでしたねー。
タマちゃんへの愛をひしひしと
感じる記事ってカンジで、さすがです。
で、大阪も行かれたとは、これもさすがです。
大阪はどうでしたか?
楽しみにしてますね〜
Posted by riri-inu at 2011年12月10日 21:42
■riri-inuさん
こばわ。先日はどうもでした。まさか来られてるとは思いもよらなかったので、驚きひとしおでした。ご体調悪い中でしたが、憩いのひとときを堪能していただけましたでしょうか。

大阪での様子は本日またダラダラと書き記しましたので、お時間のあるときにどうぞお読みください。

では、次回ベイルートでお会いしましょう。
Posted by yas at 2011年12月11日 23:02
お疲れ様でした。フランス盤なんて貴重なものを拝めてよかったです。

Abigailのアカペラは良かったですね。キムがんばってましたよね。チーンもなかなかでしたし。

Moonlight Shadowは歌が終わるころまで新曲だと思ってました。
TamasがカヴァーするととってもTamasっぽくなるので、何の曲だかわからなくなっちゃいますよ。
Posted by xiao at 2011年12月12日 15:59
■xiaoさん
フランス盤、xiaoさんも一枚如何ですか?最近流行りの、客が積み立てていって一定金額が集まればプレスするというやつだったのですが、いつまで経っても予定の50人が集まらずハラハラさせられたものです。今のところ既に54人集まっていますのでもういつでも好きなときに買えますよ。

次の記事に書きましたが、キムのチーンは大阪では観客に鳴らさせていました。もしxiaoさんが東京で座っていたのと同じ席にいたとしたら、順番周ってきましたよ。惜しいことをしましたね。

「Moonlight Shadow」、意外にみなさんご存知ないんですね。何を隠そう、今年の5月22日に書いた「yascd番外編の夜という記事に載せた僕の生涯暫定19曲のうちの1曲があれだったのです。Vacantでxiaoさんの隣に座っていたN君はてっきり僕のリクエストでタマスが歌いだしたのだと思っていたそうです。
Posted by yas at 2011年12月14日 23:36
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