ロンドンといっても、オフィスがあるのはかなり郊外。ヒースローの近く、サリー州ウェイブリッジというところ。ロンドンまでどうやって行こうかと地図を見ていると、すぐ近くに見覚えのある地名が目に入った。サリー州ウォーキング。
子供の頃から何度も目にした、ポール・ウェラーの生まれ故郷だ。そうか、こんなに近くまで来ていたなんて。ロンドン市内とは反対方向だけど、ここまで来たら行くしかないね。
各駅停車でわずか3駅の距離。急行停車駅があるぐらいだから比較的大きな街ではあるんだけど、それでもちょっと駅前を外れるともう普通の家が立ち並ぶ何の変哲もないところ。日本風の桜が満開で綺麗。
あらかじめ地図で調べて行ったから場所はすぐにわかったけど、実際には拍子抜けするぐらい短い道だったスタンリー・ロード。
ジャケットみたいに昔風にレンガの壁に表札が埋め込まれているんじゃなかったのがちょっと残念。ほんとに短い道だから、あっちの端とこっちの端に一つずつ、これと同じ表札が立っているだけ。
このあたりの道を子供の頃のポールも歩いてたのかなとか感慨に耽りながら、あてもなくぶらぶら歩く。ライトボックス(The Lightbox)というミュージアムを見かけ、パンフレットを見てみると、「Town Called Malice, Stanley Road Revisited: Photograph of Paul Weller」というポールの写真展のお知らせが!
…7月16日からだよ。。どんな先の話をしてるんだか。ああ悔しい。しょうがないので常設展に入って見る。ウォーキングの歴史。何世紀も前の話から物語が延々と続いてるけどそのあたりは素通りして、1970年代コーナーへ。もうこのあたりになるとガラスのショーケースに記念品とその短い説明文があるだけ。
あったあった。ポールの(ウォーホル風の)リトグラフと、『Stanley Road』のデラックス版LP。あと、この写真には写ってないけど、下の方にはジャムのライターもあるね。説明文を読んでみると、「1972年、ポール・ウェラーは同じウォーキングの学生数名と共にザ・ジャムを結成」 …地元ですらこの扱いのリックとブルースって。。
駅に戻る途中、妙なオブジェを発見。
これあれだよね、宇宙戦争。と思ってあたりを見回してみると、H.G.ウェルズの名前を冠した劇場がすぐ近くに。そうか、ウェルズもウォーキング出身なのか。というか、もしかしたら一般的にはそちらの方がポール・ウェラーよりも有名なのかな。
さらに別の変な動物のオブジェも発見。これはH.G.ウェルズではないはず。
15分に一本ぐらいしかないはずなのに、さっきから運よく駅に入った途端にホームに入ってくる電車に飛び乗る。新しい車両でなかなか快適。
ウォーキング発ウォータルー行きの切符。若い頃のポールもこの切符を手にロンドンに出てライヴ観たりレコード買ったりしてたのかなとまた感慨に浸る。でもきっとポールがこの電車に乗ってた頃はまだ自動改札なんてなかったからこんな切符じゃなかったよね。感慨終了。
クラッパム・ジャンクションとか聞き覚えのある駅を過ぎ、ウォータルー駅に到着寸前に見えてくるのが、お決まりのバターシー発電所。なんかあのジャケットで見慣れているせいか、こんな青空をバックにすると全然似合わないね。豚の代わりにちょうど真上を飛行機が飛んでるし。当たり前すぎ。
地下鉄に乗り換え、オクスフォード・サーカスへ。まずは肩慣らしにHMV(まだあるとは思ってなかった)で小一時間。最近CD買ってないから欲しい新譜も沢山あったけど、荷物になるのでここは@日本ではなかなか買えないもの、A相場よりかなり安くなっているもの、に集中。結果、6枚で49ポンド。6800円ぐらいか。なんでこういう長期出張の直前に円が急落するかね。
ウォーキング行って気分が盛り上がっていたので、ポール・ウェラーのロイヤル・アルバート・ホールのライヴCD+DVDをご祝儀で購入。8ポンドは安いと思ったけど、次に行った店で同じのを7ポンドで見つけてしまった。ああ悔しい(その2)。
続いて個人経営の小型店をいくつか物色。そのうち一つの中古屋ではかなり安くていいもの沢山買えたよ。7枚で38ポンド。5300円か。うち2枚は2枚組だからね。さすがにこの店まで辿り着く頃には結構疲れてたから、1枚1ポンドのシングルコーナーにまで手が回らなかったけど、あのコーナーかなり充実してたよなあ。次回は是非。
その店、レックレス・レコーズ(Reckless Records)っていうんだけど、ショーウィンドウに飾ってある『(What's The Story) Morning Glory』のLPのジャケ見えるかな。ちょっと写真小さすぎるかな。あのね、そこにポストイットが貼ってあって小さい文字で何か書いてあるんだけど、このジャケ写ってこの店の前あたりで撮られたんだって。言われてみて周りを見てみたけど、殆どの店がもうこの当時とは変わってしまってるね。もう15年も前になるのか、あのアルバム。
小規模CD店を守ろうということで何年か前から始まったレコード・ストア・デイ。いろんなアーティストが限定盤のCDやレコードを店頭売りのみで発売する。いつも日本に少量入荷するのを運よくキャッチするか、さもなくばオークションで高値で購入するしかなかったんだけど、今回ロンドンで直接買えるかも。と思っていたら、今年のレコード・ストア・デイは来週の土曜日だって。ああ悔しい(その3)。
CD屋を廻りながらコヴェント・ガーデンあたりまで来てしまったので、もうそのままウォータルーまで歩くことにする。このへんは大体わかるし、ロンドンは街のあちこちに地図があるから迷わないし。途中、橋の上から大きな観覧車とロンドン塔が見えた。
実は今日もう一つ廻ろうと思っていたところがあって、あらかじめネットで住所を調べておいたんだ。グレン・ティルブルックがしょっちゅう演奏している、アンカー&ホープ(Anchor And Hope)というパブ。ネットで検索してみたら、ウォータルーの近くみたい。同じ名前の別の店とかじゃないかなといくつかのサイト(日本で言うぐるなびとかホットペッパーみたいなの)を見てみたけど、ここしか出てこない。じゃあ、ここまで歩いたからついでに足を伸ばしてみよう。グレンとサイモンは今週は運悪くアメリカ遠征中だから、どうせ行っても会えないのはわかってるんだけど。
土曜日だからか、まだ5時過ぎだというのにもう店の中も外も客で一杯。流行ってるね。ちょっと入って一杯飲んで行こう。カウンターでエールを頼んで空いている席に座る。YouTubeでいつも観ている、グレンとサイモンがいつも陣取って演奏しているのはどこだろう。どうもなんだか店の造りとか内装とか違うような気がする…
軽く何か食べてもいいなと思ってたけど、結構値の張る、お一人様じゃちょっと食べるのを躊躇してしまいそうなきちんとしたメニューばかりだったので、そのへんでフィッシュ&チップスにしようと、エールのグラスを空けて店を出る。
結局、駅までの道にフィッシュ&チップス屋がなかったので、もう面倒だし(久々にブログ書こうと思い立ったし)ホテルに帰ってバーで済ませることに。
幽霊が出るとか、ここに泊まった日本人の5人に1人は夜中に不気味な声を聞いたとか、実は昔は精神病院だったとか、そういえばシャイニングのホテルに似てるとか、散々脅されながら泊まっているホテルに戻ってきた。バーのフィッシュ&チップスは高かったけど、値段相応の味だったね。みんなイギリスの食べ物まずいって言うけど、僕は何食べても結構好きだけどなあ。本日2杯目のエールも美味かったし。
どうもやっぱりさっきの店が気になるので、久々にYouTubeでグレンのビデオを観てみることにする。
やっぱり違うよ。と思って、改めてグレンのサイト見てみたら、全然違った。しまったー。最初からちゃんとここで調べとけよ。きっとここを読んでくれているグレンのファンの皆さんは、もうずいぶんさっきから「違うよこいつ馬鹿だね」とか思いながら読み進んでくださっていたことだろう。
まあそんなわけで、最後は有名人ゆかりの地でも何でもなく終わってしまったけれど、今日もたくさん歩いたし、ビール美味かったし、いいCD買えたし、ウォーキング詣でもできたし、いい休みだったよ。今日まで5日間で2カ国というゆったりした行程だったけど、週明けからは3カ国を3日で廻るという例によっての強行軍。まだ時差ぼけと風邪と風邪薬のカクテルみたいな頭でぼーっとしてしまっているから、今日はもうこれアップしたら風呂入って寝よう。
今日の収穫。
オフの日が一日あって良かったことです。ポール・ウェラーゆかりの地を歩いて、CD堀りもして、パブも間違えて、愉快な一日だったんですね。なんかほのぼの。動画もかわいいし。
動物のオブジェが気になります。これなんなの?
ホテルはなにも出ませんでしたか?
移動で疲れると風邪もひきやすくなるでしょうから、ビタミンの多いものを食べてお体に気をつけてくださいね。
電車のチケットも座席シートも発電所も観覧車もみんな懐かしい。
クラパムジャンクションはイギリス一だったかかロンドン一だったか、利用者が多い駅ですと看板に書いてあったような気がします。
いろいろと惜しいことがあったんですね。そのうちいいことがありますよ、きっと。
幽霊は出なかったんですね。
お仕事の合間とはいえ、とても羨ましいです。
死ぬまでにいつかイギリスには行ってみたいです。
パブの事は惜しかったですね。今度行く機会があれば、グレン達のライブが観れるといいですね。
馬鹿だなって誰も思いませんよ!
フランスの駐在員から巻き上げた薬を一日三回きちんと飲んでいたお蔭で、イギリスからハンガリーに移動する頃にはもうほぼ風邪は治っていました。ビタミンの多いものはあまり食べる機会ありませんでした。さすがにその頻度で薬を飲み続けると頭がぼーっとしますね。
パブを間違えたことは愉快ではありません。僕はサザエさんではありませんので。
動物、おそらくクマだとは思うのですが、造形の具合がなんか海の動物を思い起こさせます。きっとウミグマですね。海熊と書くとオットセイのことですね。そういえばオットセイに見えなくもありません。
ホテルは洋風オバケが出ました。姿形はドロンパを想像して頂ければほぼ当たりです。
■Lunaさん
電車の座席よくわかりますね。僕もしばらく前にかなり久しぶりにあずき色の電車に乗って、座席の色が緑色だったのを思い出してすごく懐かしくなりました。
クラパムジャンクション、確かにその表記がありましたね。ロンドン一はまず間違いなくイギリス一でしょうから、どっちでもいいと思います。
>そのうちいいことありますよ、きっと
ありがとうございます。もしかして、ウォータルーで帰りの切符を買うときに5セント硬貨がひとつ多く出てきた(多分前の人が取り忘れたのが残っていた)のがそれでしょうか。
幽霊ぽいのは出なかった気がします。ついでに言うと二日目はシャワーのお湯も出ませんでした。
■うささこさん
ウォーキングを散策しながら、きっとうささこさんなら(普通の人なら何もなくて退屈極まりないはずの)この町に来たがるだろうなと思っていました。死ぬまでになんて言わずに、是非7月16日から始まるポールの写真展を観に行ってくださいよ。9月25日までのようです。
パブのことはまあしょうがないですね。よくこういう間違いをします。馬鹿でなければおっちょこちょいです(笑)。次に誰かロンドンに行く予定のグレンのファンが偶然ここを読んで同じ間違いを避けてくれれば幸いです。
ロンドンでは今日レコード・ストア・デイが行なわれているのでしょうか。
旅していると、ああ悔しいもうちょっとのところだったのにーと思うこともあれば、信じられないようなすごい偶然に恵まれることもありますよねー。
きっと今度はいいことあるでしょうというlunaさんの意見に賛成。
ところで私、旅先であんまり有名じゃない博物館や美術館に入るのがわりに好きです。たまに味わい深い展示に遭遇すると嬉しくなります。ウォーキングの博物館にもちょっと行ってみたくなりました。
>ロンドンを満喫
って8割方CD屋さんめぐり(笑)。
たくさん収穫があってビールもおいしくてよかったですね。
なにをかくそう、レコード・ストア・デイは世界中の小規模CD/レコード店を守るために開催されるので、ロンドンのみならず東京のレコ屋にも少量入荷するのでした。開催当日である昨日は飲み会疲れで日がな一日眠りこけていましたので、東京の小規模CD店を救済するために本日出かけてまいりました。
お目当てのレコードは残念ながらその店では売り切れだったのですが(昨日寝ていた僕が悪いのですが)、親切な店員が別の支店に電話をかけまくって1枚確保してくれました。これが皆さんのおっしゃるそのうち訪れるいいことなのかもしれません。お返しにその店及び系列店で計13枚ほど購入してまいりました。総額13,500円也です。
ウォーキングの博物館、次回ロンドンご訪問のついでに是非どうぞ。わざわざ片道30分の電車に乗っていく価値のなさにがっかりされることでしょう。でもたまたまそのときに信じられないような味わい深い展示に遭遇するかもしれませんからね。
>8割方CD屋さんめぐり
僕は大学の卒業旅行以来かれこれ4〜5回ロンドンを訪れていますが、CD屋とライヴハウス以外はあまり知りません。写真を掲載したロンドン塔も見るのは今回で2回目です。2回ともこれぐらいの距離から見たため、ロンドン塔というのは小さいものだと刷り込まれています。
ウォーキングウォーキングとオバケ体験お疲れ様でした。
収穫物集合写真、前列右から2番目はBDBですね。私は未聴なんですが良かったですか?
こちらが「あの」Anchor& Hopeです。ブリティッシュレイルでChalton駅で降りて、テムズ沿いに10分ほど歩いたところです。次回、機会があったら是非!
http://www.beerintheevening.com/pubs/s/14/1405/Anchor_and_Hope/Charlton
うちの会社にはハイキングウォーキングの片方に似た社員がいます。いつもその人と出会うたびにハイキングウォーキングだなあと思うのですが、それがハイキングの方だかウォーキングの方だかわからないのが玉に傷です。ちなみにロン毛のその社員は女性だというのがまた玉に傷です。
よくわかりましたね、BDBの新譜です。なんだかこれから始める三部作の第一部だということなのですが、かなり地味です。しかも限定2枚組で2枚目はサウンドコラージュです(実はそれが意外に楽しめましたが)。よほどコアなファン以外はスルーしておいて問題なしと思われます。
■akikoさん
実は僕がロンドン郊外にいたあの日、顔本でアキコさんのところにコメントしたのはこれが理由だったのです。結局別の話(DVD)に終始してしまいましたが。ちゃんと聞いておけばよかったと思いましたが、正しくても間違えても一応ブログのネタにはなるので結果オーライです。
リンクありがとうございました。次回いつ行けるかわかったものではありませんが、参考にさせてもらいます。