2010年12月24日

北国の人達 - Woodpigeon / Pascal Pinon

12月3日、早稲田奉仕園スコットホールでのこと。開場と同時にホール内に入り、まず前の方に席を確保して、1月のシンガポール公演からほとんど一年振りのタマス・ウェルズのライヴをわくわくしながら待っていた僕は、場内に流れている静かなBGMに気がついた。あ、これブロークン・フライト。

ステッドファスト・シェパードもかかった。ウィンターピルズも。そんなセンスのいい選曲をするのは、もちろん主催者のsinさんだろうな。そんな中、僕は聴いたことなかったけど、すごく気になる曲がかかった。これ誰だろう。

次々に入場してくるお客さんの相手で忙しいsinさんを捕まえて訊いてみる。「今かかってるこれ、誰?」。「ウッドピジョンですよ」。え、そうなの?僕ウッドピジョンのCD持ってるのに、そう言われるまでわからなかった。


そう、あれは今を遡ること3年とちょっと前。そのときもタマス・ウェルズの東京公演のことだった。そのライヴを観るためにニュージーランドから駆け付けた僕と、僕が書いたタマスのセカンドアルバムのレビューにコメントを寄せてくださった一本道ノボルさんとの邂逅。ライヴ後の打ち上げで終電まで語り合った後(そうか、あの頃は終電までに帰るという一般常識を持ち合わせていたんだな、僕たちは)、彼が僕に教えてくれたバンドがあった。「これ、タマスの次にLiricoから出したんですよ。また僕がライナー書いたんで、よかったら聴いてみてください」。

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ウッドピジョン 『Songbook』

タイミングというのは大事なものだ。NZに帰って聴いてすぐにいいアルバムだと認識はしたものの、初の生タマスを観た直後の僕は、それからしばらく他のCDなど聴く気もおこらず(今回初めてタマスのライヴを経験された方ならこの気持ちをわかってもらえるでしょう)、1〜2回聴いただけでCDラックにしまい込んでしまった。一本道さん、ごめんなさい。


それから3年。sinさんから衝撃の事実(?)を聞かされた僕は、12月3日の夜(というか4日の未明)、タマス熱に侵されたままの頭で、CDラックから『Songbook』を引っ張り出してきてCDプレイヤーに乗せてみた。3年前より少しは地に足のついた冷静な気持ちで。

こんなにいいバンドだったなんて。

カナダ人シンガー・ソングライター、マーク・ハミルトン(Mark Hamilton)を中心とした7人編成の大所帯バンド。ライナーで引き合いに出されているスフィアン・スティーヴンスやベル・アンド・セバスチャンを連想させる、繊細なメロディーをこざっぱりとしたアレンジで奏でる(大所帯なのに)、凡百のインディーバンドとは明らかに一線を画すセンスのよさ。このジャケ画もいいが、ブックレットに描かれたいくつかの不思議なイラストも大好き。あのときブログに載せなかったのは明らかに失敗だった。

4日後、sinさんのブログに、「Tamas Wells Japan Tour 2010 ツアー後記の前に・・・SEプレイリスト」という記事が載った。あのときかかっていたBGMの選曲リストだ。ウッドピジョンの曲は「Redbeard」というのか。調べてみると、今年の初めに出たサード・アルバムに収録されている曲だ。それにしても、この選曲いいな。これCD-Rに焼いてくれないかな(笑)


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ウッドピジョン 『Die Stadt Muzikanten』

というわけで、早速この最新作を入手。15曲入りのフルアルバムというのはまあ珍しくもないけど、聴いてみたら更にシークレット・トラックが1曲、さらに12曲入りのボーナスディスク『Balladeer』まで封入という、なんなのこのボリューム(笑)。しかも、その全28曲がどれもこれも珠玉のメロディーだというこの凄さ。大げさに言いすぎるのを避けると、確かにそれほどでもない曲もいくつかあるけど、尋常でないクオリティの曲が次から次へと出てくるところが凄いよ。

埃だらけの古いレコードを模したアルバムタイトルトラックからいきなり彼らの(というか、マーク・ハミルトンの)世界にすっと引き込まれる(ちなみに、ファーストでは作曲クレジットにのみ使われていたMark Andrew of the Hamiltonsという名前が、このアルバムでは正式名称として使われているね。それが本名なのか?)。11曲目「Redbeard」はやはり名曲だね。イントロから最初のヴァースに入る箇所なんて、胸をかきむしられるような気持ちになる。

危なかった。こんなに優れたバンドを丁寧に紹介されておきながら、むざむざ自分の中で葬り去ってしまうところだった。早いとこセカンドも買おう。そっちにもボーナスディスクが付いてるみたいだし。


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パスカル・ピノン 『Pascal Pinon』

『Die Stadt Muzikanten』と一緒に買ったのが、サイトで試聴してすぐさま気に入ったこのアルバム。16歳の双子のアイスランド人姉妹だって。アイスランド語の曲と英語の曲が入り混じって出てくるけど、なんかアイスランド語って不思議な語感だね。前にシガー・ロスのライヴに行ったときに、ステージ上でヨンシーとキャータンが交わすアイスランド語がなんだか天使が話してるように聴こえたけど、これもそんな感じ。

アイスランド語で歌われる1曲目「undir heidum himni」で全編に亘って奏でられる不思議な管楽器の音は何だろう。内ジャケに書いてある楽器クレジットにバード・フルートってのがあるな、これかな。2曲目「arestidir」の人懐っこいメロディーはどこかで聴いたことがあるような気がする。何だっけ。この曲の鉄琴の音もいいね。

こういうのもローファイっていうのかな。全部姉妹の部屋で作りました、みたいな手作り感満載のこのアルバム、30分にも満たない軽い感じだけど、同じアイスランドでもビョークやシガー・ロスみたいに完璧に創り込まれた手の届かない世界でなく、アミーナの閉じた不思議な世界に通じるところがある。

和訳されたインタビューを見つけた。このグループ名、フリークスについての本から取ったと書いてあるね。道理でこの名前で検索かけたらなんだか不気味な男の写真がいっぱい出てくるわけだ。


ところで、僕がこの2枚のアルバムを買ったのは、タマス・ウェルズの日本でのディストリビューションをしているインパートメント/p*disのオンライン・ショップ。上に載せたアルバムタイトルに張ったリンクは一応アマゾンに飛ぶようになってて、もしあなたがそこでポチッとクリックしてこれらのCDを買ってくれたら僕の手元に何十円かが届く仕組みになっているんだけど、そんなのはどうでもいいから、もしあなたがこれらのアルバムを聴いてみようと思ってくれたなら、是非こちらのオンライン・ショップで買ってほしい。

別にsinさんが友達だからとか、ましてや彼に宣伝してくれと頼まれて書いてるわけじゃない。僕はただ、この会社にはどんどん儲けてもらって、そのお金で一回でも多くタマス・ウェルズを日本に呼んでほしいという、完全に自分のことだけを考えてそう言ってるだけ。今ならパスカル・ピノンのCDにはポスターも付いてるし、お得ですよ(今見てみたら、このCDまた在庫ナシになってるけど)。僕でも知らないようなアーティストのCDが満載だけど、だいたいどれも試聴できるようになってるから、気になったものはどんどん聴いてみればいいし。

とか書きながら自分でもまたこのサイトに行ってみたら、最近また新入荷が何枚かあったみたいだね。ちょっといくつか聴いてみて、ウッドピジョンのセカンドと一緒に買おうかな。Tシャツ好きとしてはかなり気になるデザインのシャツもいっぱいあるし。
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