2010年12月04日

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 1

Scott Hall.JPG

ついに、タマス/ヨンシー/タマス3連日の始まり。初日は早稲田奉仕園スコットホールという、早稲田大学の構内にある洋館。赤レンガ造りで教会っぽいと思っていたら、教会なんだね。ビデオ上映のための大きなスクリーンがステージに掲げてあったから、終了後に機材を撤収するまで後ろの十字架やパイプオルガンが見えなかった。教会でのタマスは08年の青山以来。あのときの素晴らしい印象が蘇るよ。

ステージ上にはちょっとした和風の飾りとクリスマスっぽい電飾。急須と湯呑が3つ置いてあったから、あれメンバーが曲間に飲むのかと思った。その手前に、実際にメンバーが立つステージ(というにはあまりにも低い、高さ15センチほどの台)がある。ヴォーカルマイクとギターマイクが2本ずつ。もちろん、タマス・ウェルズとキム・ビールズ用だ。右手にはベヒシュタインのグランドピアノ。これはもちろん会場備え付けだろう。すごくいい音だったね。

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(写真は奉仕園のサイトから勝手に拝借しました)

予告されていたとおり、ライヴ開始前に、15分間のタマスのドキュメンタリー・フィルム『The Houses There Wear Verandahs Out Of Shiness』を上映。味わい深い、素敵な短編だった。「Fire Balloons」の別テイク(録音途中で例によって窓の外から雑音が入って中断するのも含めて)をあんなに沢山聴けるなんて。最後のテイク、演奏途中で大雨が降りだしても演奏を止めず(もちろん室内)、その雨音をも含んで「これ、いいよね。取っとこうよ」と笑顔で話すタマスがすごく印象的だった。あのビデオ、欲しいな。もうすぐウェブで公開されるらしいけど、タマスが部屋で演奏するタイトルシーンをジャケットに使ったDVD(BDでも可)で持っていたい。Liricoさん、よろしく。

続いて、オープニング・アクトとして、キム・ビールズ(Kim Beales)が一人で登場。僕は彼の音楽はこれまでマイスペースにアップされていたものを数曲流して聴いたことがあるだけで、失礼ながらそれほど印象に残っていなかったんだけど、今回は違ったね。声が綺麗なのはシンガポール公演でタマスの曲にコーラスを被せるのを聴いていたから承知していたけど、こんなにいい曲を書くなんてね。見なおしたよ。会場で売っていた06年のアルバムは入場したときにさっさと買っておいたんだけど、後でキムに聞いたら、今日演った曲はほとんどが来年3月に出る予定の新作からなんだって。新作楽しみ。今回買ったのももちろん楽しみだけど。

全5曲、20分ほどのキムのセットの後、10分ほどの休憩をはさんで、いよいよタマス・ウェルズ。まずは二人で登場し、ステージに向かって左側にキム、右側(ピアノ横)にタマスが立つ。オープニングは、08年の来日時にリクエストしたけど演奏してくれなかった「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。Liricoのsinさんが“個人的にノーマークだった曲”と書いておられたのはこれか。後でタマス達に聞いてみたら、「あれ前回リクエストしてくれたよね。ちゃんと練習したんだよ」だって。なんと、そんなことを覚えていてくれたなんて(しかも僕がこの日に聴きに来ることを知っていたなんて・笑)。そして後半には、やはりあの時リクエストしたけど演奏しなかった「Writers From Nepean News」も。ちょっと感激。

3曲目「The Opportunity Fair」からアンソニー・フランシス(Anthony Francis)がバンジョーで参加。それにしても、初来日のときには単にジャカジャカとギターをかき鳴らしていただけだったのを思い出すと、アンソニーとキムがサポートしていることを差し引いても、タマス演奏上手くなったよなあ。ちゃんとフィンガーピッキングしてるし。

「僕とアンソニーが育ったのはメルボルンでも犯罪率の高い地域で」と話し始めたから、てっきりシンガポールのときと同じく「Stitch In Time」かと思いきや、「Reduced To Clear」に話を持っていった。あの曲、例によっていまいち歌詞を読んでも意味が掴みづらかったんだけど、その地域では空き巣が頻発していて、街の中古品店で盗品が売られていることが多いんだって。そういう背景を聞いて歌詞を読むと、最初から最後まで筋が通る。「自分の持ち物がそんなに安い値段で売られているのなんて認めたくないね」とか言ってたね。あと、「犯罪率が高いのは僕のせいじゃない」とも(笑)

全体的には4枚のアルバムから幅広く選曲されたセット。7曲目に「今回のツアーは新作のプロモーションで、“Thirty People Away"というのはミャンマーで起きた爆破事件のことを友達に聞いたのがきっかけ」と説明しながら、そのタイトル曲ではなく「True Believers」を演奏。新作中でも僕の好きな曲のひとつなので、これは嬉しい。続けて、アルバムと同じ流れで「Your Hands Into Mine」。更に、「England Had A Queen」。しばらく後に、「これは新作からのシングルカット」と言って「The Crime At Edmond Lake」。前回の記事でべた褒めしてるけど、こうして昔の曲と交互に聴いても、この新作に入っている曲のクオリティやっぱり高いね。

それにしても、場内の照明がかなり暗め。教会の高い天井から間接照明で照らしているだけだから、ちょっと下を向くとメンバーの表情もよく見えないぐらい。メンバーの後ろ、本来のステージ上にあるクリスマスの電飾だけがやたら煌々と見えるよ。まあ、こういうのも雰囲気あっていいけどね。あと、後ろのスクリーンにずっとスライドショーで映されていたのは、シンガポールでも流れていた、(おそらく)ミャンマーの風景と『Two Years In April』の原画。

「Edmond Lake」の後、タマスとキムが一旦退場して、アンソニーのピアノソロ「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」。紹介するときにタマスが「これはアンソニーが作曲した」と言ってたよ。後でアンソニーに「CDの作曲クレジットは全部タマス・ウェルズになってるよ」と言ったら、「あれはバンドとしてのタマス・ウェルズということだから」とか、タマスも冗談で「印税あげないよ」とか言ってた。仲良しだから別にいいのか、そういうこと気にしないのか。

二人が戻ってきて、いきなり歌いだしたのが「Valder Fields」。彼もこれが一番の名曲だとわかっているだろうに、いつもライヴではこういう何気ない箇所に配置するんだよね。キムのハーモニーとアンソニーのピアノが格別。

この曲のときもそうだったけど、タマスって、隣でキムの準備が整っていようがいまいがお構いなしで歌い始めることがよくある。キムがまだカポつけたりしてるのにさっさと演奏始めたりね。だからといってキムも別に慌てたりしてるわけじゃないから、いつもああなんだろうね。逆に、イントロでキムのギターが鳴ってなかったのが、(彼の準備が整い次第)徐々に音の層が厚くなるのは聴いてても気持ちいいし。

嬉しかった「Writers From Nepean News」、ラスト定番の(でも手拍子は催促されなかった)「For The Aperture」で本編終了。ちょっと早いな。でもすぐアンコールで出てくるだろう。

アンコールはまずタマスが一人で登場し、そのままグランドピアノへ。おお、今回ピアノの弾き語りを演るとは聞いていたけど、いよいよか。と思ったら、曲は新作から「An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow」。なんだ、歌わないのか。でもタマスも結構ピアノ上手いね。

ピアノ・インストと言えば、これも終演後にアンソニーに聞いたんだけど、さっきの「A Dark Horse」だけじゃなく、セカンドまでに収録されているピアノのインストゥルメンタル曲は全部アンソニーが作曲したんだって。そして、新作の2曲はタマスの作ということらしい。

メンバー二人が合流して、「From Prying Plans Into The Fire」、そしてこれも近頃の終盤の定番「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」で終了。また出てくるだろうとアンコールの拍手をしていたら、そこで客電が点いた。えー、短いよ。「Fire Balloons」演らないの?「The Northern Lights」は?「Nowhere Man」は?

9時には終わらないといけなかったからしょうがなかったんだけど、そういう文句を終演後タマスに言ったら、「わかった、それは日曜日に演るよ」とのこと。「じゃあ、あとアイアン&ワインと、ランバート&ナティカムと」と更にリクエストしてみたけど「いや、それは無理(笑)」とのこと。歌詞書いて持って行ってあげようかな(笑)

あと、キムと話してたときに「キッチンの曲のときに“Friday”のコーラスさせなかったね」と言うと、「今日何曜だっけ?ああっ、金曜日だ。しまった!おーい、タマスー、今日金曜日なのにあれやらなかったー」とか慌ててるし(笑)。「しょうがないからコーラスを“Sunday”に変えて明後日やろうか」とか。おかしい奴。キムは、「シンガポールで話したときからこれをお土産にしようと思って持ってきたんだ」と、会場では売っていなかった自分のシングル盤と、世の中に残り8枚しかないという01年の最初のEPをプレゼントしてくれた。今日の感激その2。

会場で買ったキムのCDも含めて、沢山サインをしてもらったんだけど、持って行ったペンが水性で、コーティングされたジャケの上では乾かないから消えたり汚くなったりしてしまった。今日の失敗その1。『Thirty People Away』用には慌てて友達に油性ペンを借りてサインしてもらったけどね。

というわけで、初日終了。会場の雰囲気も音響もさすがLiricoセレクションのことはあったし、3人のアンサンブルも随分こなれてきて上手だったし(中国ツアーはリハーサルだと思おうと書いたsinさんに賛成)、時間が短かったということさえ除けば、ショートフィルムも前座も含めて、素晴らしいライヴだった。翌日のせっかくのヨンシーに行く気持ちもちょっと萎えてしまうぐらい(もともとあの地の果てみたいな会場に行くのは相当億劫なんだよ)。

ライヴ後、飲み会の帰り、どうやら山手線で問題があったらしく、JRの駅はどこも大混乱。大崎さん曰く、タマスとヨンシーのガチンコ勝負の結果らしい。まあ、そういうことにしておこう(笑)


Tamas Setlist0312.JPG Kim Setlist0312.JPG
タマスとキムのセットリスト。


Setlist 03 Dec 2010 @ Waseda Hoshien Scott Hall

1. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
2. When We Do Fail Abigail
3. The Opportunity Fair
4. Reduced To Clear
5. Open The Blinds
6. Lichen And Bees
7. True Believers
8. Your Hands Into Mine
9. England Had A Queen
10. Vendredi
11. The Crime At Edmond Lake
12. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
13. Valder Fields
14. Writers From Nepean News
15. For The Aperture

[Encore]
1. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
2. From Prying Plans Into The Fire
3. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire


posted by . at 14:30| Comment(5) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さっそくのレポ読ませていただきました!
yasさんの記憶力には脱帽です。これを読んでいると、ライヴの様子が鮮明によみがえってきますね。
ちょっと時間は短かったですが、久々のTamasの歌声に心癒されました。

ミスター天変地異のおかげかどうか、池袋に着くころはさらに呼吸困難な山手線でしたよ。
Posted by xiao at 2010年12月04日 21:09
今晩は。

本当にすごく詳細なレポですね〜!
みなさんのタマスさんへの愛情をひしひしと
感じております。

日曜も目一杯タマスさんの世界に浸って来て下さいね。

あ。帰りは挨拶もせずで、本当にすみませんでした・・・汗
ご一緒させてもらえたら、良かったんですけど、
電車が遅れまくりで家にも結構な時間かかって
しまいそうだったんでおいとまさせてもらいました。
またの誰かのライブでの機会にとっておきますね。
Posted by riri-inu at 2010年12月04日 21:21
■xiaoさん
そちらにもコメントしましたが、文句のつけどころのない内容でした。今となっては最終日の完璧さ(リラックスしすぎたハプニングも含めて)の前で若干霞みがちなこの初日ですが、何年も前にリクエストした曲を演ってくれたエピソードとか、自分で読み返しても本当に心が暖かくなります。

帰りの電車は大変でしたね。僕は昨晩もあんな感じで終電間際の山手線がすし詰め状態でした。なんか最近人身事故とか多い気がします。


■riri-inuさん
記憶していることをありったけ詰め込むだけが能のブログです。今後ともよろしくお願いします(笑)

今回はようやくお会いできてうれしかったです。お話できた時間は短かったですが、次の機会はもう少しゆっくりできればいいですね。
Posted by yas at 2010年12月11日 18:54
私は映画が始まる直前についたのですが、間に合ってよかったー。あんなところで音楽作ってるんだなあと思いながら見てました。

お茶のセット、私も演奏の合間に飲むのかと思った(笑)。「ちりーん」のベルは私の座ってるところからは見えなかったんですよ。自転車についてるみたいなベルだったんですか? キムさんの鳴らすタイミングが微妙にずれてて、笑っちゃいましたね。

ほんとにあっという間に終わってしまったような気がして、もっと聞いていたかったです。最後“Nowhere Man”やってくれないかなーと、ほんのちょっとだけ期待してたんだけど(笑)。

タマス、東京の雪が見られなくて残念でしたね。でも雪なんか降ったら山手線さらに大混乱ですよね。
Posted by にんじん at 2010年12月13日 02:37
■にんじんさん
あの映画もよかったですよね。後でタマスに聞いたら、あの家はタマスの家ではなく、映画監督が探してきたものなんだそうです。お手伝いさん風のおばあさんも知らない人だとか。なんてつまらない種明かしをしてしまいましたが、でもあの家の雰囲気とてもいいですよね。さすが映画監督(名前長いので覚えきれない)。

お茶のセットは、sinさんのブログによると、タマス達がお土産として買ったのを自分たちでデコレーションに使ったらしいですね。自転車のベルは、スポーツバイクについてるみたいな小型のシンプルなやつでした。キムは最終日には若干(笑)上手くなっていましたよ。

「Nowhere Man」はレパートリーから外れてしまったのでしょうかね。その時々でマイブームがあるのでしょう。次回の来日時にはまたリクエストしましょう。というか、こないだ終演後に僕がリクエストしたので、記憶力のいい優しいタマスはきっと次回演奏してくれるでしょう。

来年また冬に来てくれるといいですね。みんなで雪乞いしましょう。
Posted by yas at 2010年12月18日 22:56
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