2010年07月18日

100%レゲエ - Jeb Loy Nichols

Long Time Traveller.bmp 
Jeb Loy Nichols 『Long Time Traveller』

「このまま量産体制に入るのか、もしくは先々の分を前倒しで作ってしまったから、あと10年ぐらい音沙汰無くなるのか」

これは僕が去年最後の記事を締めくくった台詞。それまで2〜3年おきにアルバムを作っていたジェブ・ロイ・ニコルズが、去年いきなり3枚ものアルバムを発表したのを受けてのこと。

答えは、前者だった。あれからわずか半年で、昨日おそらく日本先行で新作『Long Time Traveller』が発売された。彼のサイトを見ても、(今日時点で)このアルバムに触れてはいるものの、まだディスコグラフィにも載っていないよ。まさに、できたてのほやほや。

よほど最近は活動意欲にかられているんだろうね。同じサイトのニュース欄を見ると、この6月にはリチャード・トンプソン主催のメルトダウン・フェスティヴァルに出演し、8月にはブレコン・ジャズ・フェスティヴァルに、前作を共同制作したノスタルジア77と一緒に出演するようだ。

さて、新作アルバムについて。買ってきてまだ1回しか聴いてないけど、早速書こう。

なんだかジェブ・ロイとはずっと昔から一緒にやってるような気がしてたけど、彼のアルバムに参加するのは実は今回が初となるエイドリアン・シャーウッド(Adrian Sherwood)のプロデュース。バック・バンドは、エイドリアンのOn-Uサウンドのお抱え、ダブ・シンジケート(Dub Syndicate)とルーツ・ラディクス(Roots Radics)。

その布陣を見てわかるように、今回のアルバムは100%レゲエ。これまでもレゲエやカントリーやソウルなんかをごった煮のように混ぜ合わせたサウンドを作ってきた人だけど、ここまでレゲエ一色なアルバムを作ったのは今回が初めて。録音されたのは、ロンドンとジャマイカのキングストン。有名なチャネル・ワン・スタジオも使ったようだ。

エイドリアンがプロデューサーだということで、ラディカルにぶっ飛んだダブ・アルバムになってるんじゃないかとちょっと気になってはいたんだけど、聴いてみてびっくり。これは、古き良き時代の正統派レゲエそのままだよ。

ダブの要素がゼロというわけじゃない。たとえば「Lonely King Of The Country」のエンディングとかにふっとそういう色が見えたりもするんだけど、あくまでもささやかな彩り程度。その気になればもっとバリバリのダブ処理をすることもできたろうに、おそらく今作のテーマである“70年代レゲエ”に合わせて爪を隠すエイドリアン。さすがだね。

05年の『Now Then』収録の「Sweet Tough And Terrible」を再演。マーク・ネヴァースがプロデュースしたオリジナルも僕のお気に入りだったけど、この正統レゲエ・ヴァージョンもいいね。

「Mother Your Son」の左右のトラックで鳴っている物悲しい音色は何だろう。左がメロディカで、右がフルートかな。いや、オーボエかも。単なるお気楽なラヴァーズ・ロックだけでなく、こういう暗く乾いた曲を書けるのがこの人の強み。全盛期のガーランド・ジェフリーズを彷彿とさせるよ。

かと思えば、「Everything Is Different (Every New Day)」のエンディングにポリースの「Every Breath You Take」の一節を紛れ込ませるというユーモアも。

不思議なことがひとつ。このアルバム、ジャケ裏や解説書に載っている曲順と実際の収録順序が違ってるよ。6曲目までは合ってるけど、7曲目に載っている「Everything Is Different」は9曲目、8曲目に載っている「I'm In Need Now」が10曲目、9曲目に載っている「Lonely King Of The Country」が8曲目、そして10曲目に載っている「Mr. Nobody」が7曲目に収録されている。なんでだろう、これは。ジェブのサイトによると、このアルバムはLP版も出るそうだから、もしかするとジャケ裏とかに書いてあるのはLP版の曲順なのかな。

表ジャケは、最近よくあるジェブ自身の写真と彼の木版画の組み合わせ。アーティスト名が“ブラザー・ジェブ・ロイ・ニコルズ”になってるのがいいね。ついでに内ジャケの木版画は“ザ・チャンピオン・サウンド スーパー・ジェブ・ロイ・ディスコ”だ(笑)

夏だからレゲエ、というわけではないけれど、少なくともこのアルバムは僕にとって、今年今からのこの季節に一番よく聴くアルバムになることは間違いない。ようやく今2回目を聴き終わったよ。じゃあ、今からウォークマンに落として、夏の夕べの散歩の友にしようかな。腹減ったし、なんか辛いものでも食べに行こうっと。
posted by . at 18:25| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
辛いものとレゲエは合いますね。散歩ついでにハバネロを食べましたか?
この人のCDは「Just What Time It Is」を持っていて私のウォークマンでは不動の定番です。
ジャケがいつも素敵ですよね。今回の川口隊長みたいなのも好きです。毒グモに襲われたら素手で払い落とせばいいことを教えてあげたくなりました。
サイトのアートのページも見てて癒されますね。似顔絵の消しゴム版画を作ってほしいです(ナンシー関かよ)。

毎度のことながらまったく音楽的でないコメントですみません。楽器当てクイズに参加するためだけにでもこのアルバムを手に入れたいと思いました。
Posted by ひより at 2010年07月19日 15:13
■ひよりさん
ハバネロは食べませんでしたが、インドネシアのサンバルを食べました。インドネシアいいですよ。

『Just What Time It Is』は不朽の名作ですね。僕のウォークマンには出たり入ったりですが、僕の脳の中では無人島レコ候補の常に上位にいます。どこで聴いてもいいアルバムですが、無人島で聴くのもまた格別な気がしてきました。ぼーっとしてるうちに餓死してしまいそうですが。

この人の美的センス、僕も好きです。初期の頃は照れもあったのか、滅多に自分の写真をジャケやブックレットに載せることはなかったのですが、最近やたらと出たがりです。隊長気質になってきたのでしょうか。

楽器当てクイズ、是非ご参加ください。それだけの目的のために買っても損はしないぐらい、いいアルバムだと思いますよ。

ところで、前回の記事に追記を入れましたので、ひよりさんのためにここにご報告しておきます。にんじんさんとかが見るとまた涙を流されるので、黙っておいてくださいね。
Posted by yas at 2010年07月19日 23:50
ご無沙汰しております〜。
こういう話題には、喰いつかないわけにはいきませぬ。 (^o^)
『Just What Time It Is』ともども、オーダーしてしまいましたよ。

ジェブ・ロイ・ニコルズ、聴いたことなかったので、楽しみです。
やっぱ、夏だからレゲエですよねー♪
(ちがうかー!)
Posted by アキラ at 2010年07月20日 02:02
今日の夜から旅行に出るのですが、昨日の朝この記事を読んで、どうしてもこれをipodに詰めて持っていきたくなりました。
海女孫の「お急ぎ便」で頼めば当日入手可能。でも追加料金がかかるのでどうしようかなーと思っていたら、なんとプライム会員(お急ぎ便を無料で頼み放題)お試しキャンペーン期間中ではあるませんか。仮登録から1ヶ月間はお急ぎ便無料。1ヶ月以内に仮登録解除すれば年会費もかかりません。これはもう「あのいくでしょう」?
というわけで、今「ん・ちゃか・ん・ちゃか」と心地よいブラザー・ジェブ・ロイのレゲエを聞きながらこれを書いています。便利な世の中になりましたねー(しみじみ)。
Posted by にんじん at 2010年07月20日 13:47
■アキラさん
あれ?僕の記憶ではアキラさんはジェブ・ロイを聴かれたことがあるはずですが。でもいきなり2枚お買い上げ頂いたんですね。いかがだったでしょうか。やっぱり夏はレゲエですね(笑


■にんじんさん
絶妙なタイミングで記事にできたのですね。よかったです。せっかくですからプライム会員期間中に色々なものを取り寄せてください。今回のブラザーはいかがだったでしょうか。僕はもうかなりソラで歌えるぐらい聴きこんでいますよ。
Posted by yas at 2010年07月24日 18:19
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