2009年12月15日

Dylan Mondegreen live in Tokyo

“リハーサルへようこそ”

ジョン・レノンじゃないけど、良くも悪くも、そんなライヴだった。2009年12月13日。渋谷のTokyo Family Restaurantという名の、ちっともファミレスっぽくないおしゃれなカフェのイベントスペースで催された、ディラン・モンドグリーンの初来日公演。

Guitar.JPG


50名限定ライヴというのが、昨年の鎌倉でのタマス・ウェルズのライヴを思い出させる。当初予定されていた、ディランの奥様マリーによるピアノが、彼女の腱鞘炎というアクシデントのために急遽取りやめになってスペースに余裕ができたためか、予想以上にゆったりとした空間で観ることができた。

開始時刻を少し過ぎて会場入りしたディラン。背が高いね。190はあるんじゃないかな。ソファに横たえてあったピックガードのない素朴な作りのアコースティックギターを抱え、おもむろにチューニングを始めたあと、ファーストアルバム『While I Walk You Home』(うちのブログ界隈限定の俗称「おかんの気持ち」)収録の「Faint Sound Of Surf」を歌い始めた。意外な選曲。

あ、曲名書いちゃったね。セットリストは大体わかるんだけど、まだこれから他の都市での公演が残ってるから、そのうち追記するよ。この先もいくつか曲名出すと思うから、ネタバレが嫌な人は来週読んでね。

まだアルバム2枚しか出てないから、当然その2枚からの曲を次々に演奏。それぞれの曲間に結構な時間を割いてカポをつけたりチューニングしてたりしたのが印象的だった。「ギターはこれ1本しか持って来ていないから、違ったチューニングの曲を演るのは大変なんだ」なんて言ってたね。

「オスロから16時間のフライトで着いたばかり。2時間しか寝られなかったよ」との言葉通り、練習不足の感は否めなかった。歌詞はところどころ忘れるし、オープニングから数曲はいまいち声も出ていなかった箇所も。

それ故の、冒頭に書いた僕の感想。“良くも悪くも”と書いたのは、そういうちょっと残念な部分もあったものの、それが逆にアットホームな雰囲気作りに図らずも貢献していたようにも思えたから。

というのも、彼の体調も万全でなかったかもしれないけど、僕たち観客も最初はかなり固かったからね。「何かリクエストの曲はある?」と訊かれて、誰も咄嗟に曲名が出てこない。

僕のすぐ左から「That Mortal Kiss!」とリクエストが入る。あ、それ僕の一番好きな曲だ。でもディランよく聞こえなかったようで、「何?」って顔してたから、僕が同じ曲名を言った。そしたら、「ごめん、それはちゃんと練習してきていないんだ」だって。うーん、かみ合わないね。

しばらく後にまた「君達の一番好きなディラン・モンドグリーンの曲は何?」って訊くから、「それさっき言ったけど歌えなかったじゃないか」とは思ったけど口に出さず。えーと、セカンドの(LPで言うと)B面1曲目は何てタイトルだっけ… こういう時に全然名前が出てこないんだよね。まったく、歳取るとろくなことないよ。

9曲目を歌い終えたとき、時間にして開始から30分ちょっと、「次が最後の曲だよ」だって。ちょっと、それは早すぎるよ。よっぽど疲れてるんだね。最後は予想通りの「Girl In Grass」だった。さっき誰かがこれをリクエストしてたら、一体最後は何で締めるつもりだったんだろう。

Dylan M.JPG


演奏を終えて、一旦出口に向かったけど、どこにも行かず、何も飲まず、レジのところでくるっときびすを返して戻ってきた。あれ?ははは、一応本編とアンコールを分けたんだね。

1〜2曲演って終わりかなと思っていたら、意外にもどんどん続けて歌う。観客のムードももうこの頃にはすっかりほぐれてきたようだ。さっきリクエストして断られたファーストの「That Mortal Kiss」に似た雰囲気だと思っているセカンドの「Deer In Headlights」を演ってくれたのは嬉しかった。

と思っていたら、なんと次は「“That Mortal Kiss”、うまくできないかもしれないけど、演ってみるよ」だって。嬉しい。「最初の歌詞は何だっけ?」と訊かれたけど、また出てこないよ。えーと、RememberとDecemberで韻を踏んでるのは憶えてるんだけど… まったく、歳取るとろくな(略)

「思い出した」と言って歌い始める。あのジョニー・マーばりの流麗なアルペジオは聴かれなかったけど、でもいいよ。いい曲。途中で歌詞ぽっかり忘れたのもご愛嬌。

最後の曲の前に、「手拍子で参加してくれないか。こうやるんだ」と、セカンドアルバムの表題曲のリズムを叩く。その曲でほんわかと暖かい気分になったところで終了。

ドアを開けて出て行ったディランが、外でスタッフと何か話してるのが見える。あ、戻ってきた。まさか、もう一回アンコール?

と思ったら、「もう今日は歌えないけど、もしCDとかにサインしてほしい人がいれば、僕はこのあたりにうろうろしてるから」だって。スタッフもそれに付け加えて、「彼は長いフライトの後で疲れているので、なるべく早めにお願いします」。わかってるよ、グレンのときで経験済み。

とは言うものの、結構な長蛇の列の一人ひとりと随分話し込むディラン。ほんとに疲れてるだろうに、そういうところが優しいね。

僕の順番だ。早めに解放してあげようとは思うものの、やっぱりちょっと話してしまう。「あなたの名前は何て発音するの?」「ボルゲ・シルネース(ルのところはかなり強い巻き舌っぽかった)」。「“That Mortal Kiss”をリクエストしてくれてありがとう。次の公演までにはちゃんと練習しておくよ」「残念。そこまでは追っかけられないよ」。等々。

Autographed TWSO.JPG


サインだけじゃなくてあれこれ書いてくれるのが嬉しいね。ちゃんと日付と場所まで。もちろん、僕のだけじゃなく、みんなに沢山メッセージを書いてたよ。僕はファーストもセカンドもジャケ好きなので、このトレイ裏に書いてもらったけど、ジャケに書いてもらってた人はもうほとんど文字だらけみたいになってたな。


ここまで書いたのを読み返してみたら、なんだか不満げなことも書いているようだけど、そんなことはなかったんだよ。50人限定ならではの親密な雰囲気も含めて、かなり満足度の高いライヴだった。

なかでも、本編終盤で演った「(Come With Me To) Albuquerque」が、実は「That Mortal Kiss」も「Girl In Grass」も差し置いて、僕にとっては本日のベストだった。セカンドアルバムの冒頭を飾る、プリファブ・スプラウトが大好きだというのが溢れるほど滲み出ている歌詞と曲調。

この名曲で幕を開け、「Bantamweight Boxer」、「A Skin Too Few」、「We Cannot Falter」(さっき思い出せなかったB面1曲目)、「Deer In Headlights」など、最初に聴いた当時はあんなに素晴らしいと思ったファーストアルバムを遥かに越える曲がいくつも収められたこのセカンド、来月に書く予定の09年個人的ベストアルバム記事に登場する可能性大だろう。

The World Spins On.jpg
Dylan Mondegreen
『The World Spins On』

終演後は、グレンのライヴで知り合ったあの人たちや、タマスのライヴで知り合ったあの人たちと一緒に打ち上げへ。どうも最近ライヴ後のこういう飲み会が病みつきになるね。いつもならサインもらった後も物品売り場でダラダラしたりするんだけど、もうさっさと次に行きたくて困る。皆さんどうもありがとう。慌しかったけど、楽しかったね。また近いうちに会いましょう。


Setlist 13 Dec 2009 @ Tokyo Family Restaurant 2F Playroom

1. Faint Sound Of Surf
2. Wishing Well
3. Something To Dream On
4. I'll Be Your Eyes
5. Bantamweight Boxer
6. A Skin Too Few
7. Love Has Overtaken Us
8. (Come With Me To) Albuquerque
9. Broken French
10. Girl In Grass

Encore
1. Where You Are Is Where It's At
2. While I Walk You Home
3. Deer In Headlights
4. That Mortal Kiss
5. The World Spins On


posted by . at 00:21| Comment(3) | TrackBack(1) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
たしかに、リハーサルみたいな感じでしたね。そこが良かったのかなとも思います。もっとカチッとした雰囲気だったら、ボルゲもお客さんもさらにガチガチになってしまったかもしれませんね。

打ち上げ楽しかったです!もっと長居したかったです。またゆっくり会いましょう。それまでにもうちょっと北欧を勉強してきます。
Posted by xiao61 at 2009年12月17日 16:36
こんにちは。ご無沙汰してます。
yasさん行かれたのですね!楽しく読ませて頂きました。
セカンド良かったですよね。私も仕事が無ければライブ行きたかったです...。
Posted by うささこ at 2009年12月18日 20:13
■xiao61さん
金沢以降はどんな感じになったんでしょうね。Fastcutさんのブログによると、金沢はさすがに客の入りが少なかったようですが(タマスといい、どうして皆金沢を回るんでしょう)、大阪・神戸はもう少し完成された感じだったかもしれませんね。

打ち上げ楽しかったですね。また来月にでも何か適当な理由をくっつけて集まりましょう。北欧もの、僕もまた最近ガサガサと買いこんでいるので、紹介し合いましょうね。


■うささこさん
行かれなかったのですね。それは残念なことでした。なかなか年末年始は仕事の都合がつきづらいですよね。僕も来月以降の来日ラッシュと自分の仕事のピークにどう折り合いをつけようかと思案中です。どれかのライブでお会いできるかもですね。
Posted by yas at 2009年12月23日 12:21
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DylanMondegreen@渋谷TokyoFamilyRestaurant2F「playroom」
Excerpt: DylanMondegreenは、様々な偶然が重なって出会うことのできた、私にとっては大切なアーティストです。前の記事にも書きましたが、彼がロンドンやニューヨークでショーケース的なライヴを行うというこ..
Weblog: goodtimesgonnacome...
Tracked: 2009-12-17 16:32
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