2009年11月14日

Ry Cooder & Nick Lowe live in Tokyo

今週は月曜にちょっとした用事があって会社を早く抜け、それがたたってか、ほとんど毎日終電という状態だったんで、その“ちょっとした用事”のレポートを書くのがこんなに遅れてしまった。もう記憶も感動も若干減退してしまってるけど、思い出せることをあれこれ書き綴ってみよう。

Bunkamura.JPG

もうすっかりクリスマス向けにライトアップされた街路樹の間を早足で駆けつけた渋谷のBunkamura。オーチャードホールって、確か僕は初めての会場のはず。大きくて綺麗で、音の抜けがすごくいいのが印象的なホールだった。

7月には発表されていた今回のライヴ、いくらライ・クーダーとニック・ロウという、日本では特に地道な人気を誇る二人の共演とはいえ、東京でこの規模のホールで4回公演というのはいくらなんでも無茶じゃないのかと思っていた。チケット代も安くはなかったので、僕は一番人気が無いだろうと予想した日(4回のうち2回目で、しかも月曜の夜)に行くことにした。

すぐ売り切れることはないだろうと、席順がランダムに決められてしまう先行予約はあえて避け、せっかく一回しか行かないんだからできれば良い席で観たいと、わざわざ招聘元のオンライン会員になり、通常発売が始まった瞬間にクリックして取ったチケット。それが13列目の端から数えた方が早いというなんとも生煮えみたいな席だったのでかなりがっかり。

しかも、僕より1ヶ月近く遅れて同じ公演のチケットを取った友達が、僕より2列前のほぼ中央の席だったのがどうにも納得いかない。うささこさんのブログによると、東京初日は3列目中央の4席(招待者席か?)が空いてたそうだし、このイベンターの席の割り当ては一体どうなってるんだ。もうちょっと、熱心に観たいと思ってるファンがいい席で観られるようなシステムにしてくれよ。

そういう事情と、あと事前にあちこちのサイトで読んだレビューによると、僕のお目当てのニック・ロウはどうやらこの組み合わせでは単なるべーシスト扱いで、時々歌わせてもらっているというようなことが書いてあったのと合わせて、実はライヴ当日まで自分の気持ちがどんどん醒めていってたのは事実。

まあ、そんな気持ちも、実際にライヴが始まって、前座のバンドの予想外に気持ちいい音を聴きはじめた頃にはまたすっかり暖まっていたんだけどね。いい音楽ってのは、やっぱりいいね。当たり前のことを書いてるようだけど。

その前座は、ライの息子のヨアキム・クーダーのバンド。スケールの大きないいドラムを叩く人だね。長髪に髭、頭にバンダナという見かけが、ジョン・ボーナムみたい。女性ボーカルは上手だとは思うけど、あんまり僕の好みではない感じで、ドラムの上手さとアンサンブルのよさが印象に残ったバンドだった。

そしたら、途中でのメンバー紹介で、ボーカルの女性が「私のバンドを紹介します」だって。あら、あなたのバンドでしたか。それは失礼しました。ジュリエット・コマジアって発音してたかな(綴りはJuliette Commagere)。後で聞いたら、ヨアキムの奥さんなんだって。


30分の前座の後、30分の休憩を挟んで、いよいよ本編。ステージ中央にライ。その後ろにヨアキム。中央やや左寄りにニック(端の方だった僕の席だけど、ニック側だったのがせめてもの救い)。3曲目あたりからは、ジュリエットともう一人(前座バンドでキーボードを弾いていた女性)がニックの隣でコーラス。なんだか僕の観ている位置のせいでそう思えるのか、やけに全体的に左側によった感じのステージ構成だね。

僕がライのことを前に観たのは、88年の来日のとき。あのときはヴァン・ダイク・パークスと一緒に来たんだった。そのときよりも結構太った印象のあるライも頭にバンダナ。バンダナ親子。それから、ニックがヨアキムを紹介するときに「今晩東京で一番忙しいドラマー」って言ってたね。

リトル・ヴィレッジの曲は「Fool Who Knows」だけ演ることは聞いていたが、まさかそれがオープニングだとは予想しなかった。いきなりのニックのリード・ヴォーカルにこちらは大歓喜のスタート。なんだかすっかり痩せてしまった印象があるけど、声は変わってないね。

そこからは、ライとニックがほぼ1〜2曲ずつ交互にリード・ヴォーカルを取る感じで、ニックの出番がもっと少ないと思っていた僕にとっては、思わぬ嬉しい展開。曲間のMCとかメンバー紹介もだいたいニックの役割で、ライが喋るのは自分の曲の解説とかだったし。

4曲目にニックが歌った「Losin' Boy」。どこかで聴いたことあるけどよくわからない。帰って調べてみたら、4枚組『The Doings』に収録されていた94年の未発表曲か。よくそんなマイナーな曲を。さらに調べてみたら、元はエディ・ジャイルズという人の曲なんだね。このメロディー展開、てっきりニックが書いた曲かと思ったのに。『The Doings』聴き返してみたら、今回のライヴと全然アレンジ違ってたけど。

ニックのアコースティック・ギターの弾き方が昔と全然変わってないのが嬉しい。右脇に抱え込むぐらいにボディーを持ち上げ、大きな左手で包み込むようにネックを押さえて、左足で大きくリズムを取りながら歌うところ。

「Crazy 'Bout An Automobile」のライによる曲紹介。トヨタのセンチュリーはいい車だとか、この曲はトヨタの人たちに捧げるだとか言ってたね。まさか普段アメリカでセンチュリーに乗ってるとは思えないから、今回空港からの送迎がセンチュリーだったのかな。

ニックの「Half A Boy And Half A Man」。曲紹介で79年に書いた曲とか言ってたね。てっきり84年のアルバムの曲だと思ってたから、まさかあれがセカンドアルバムの頃から温存されていたというのにびっくり。

この10曲目「Half A Boy And Half A Man」までは、ウドーのサイトに載っていた東京初日のセットリストとまったく同じ。まあ、それ以後もほとんど同じだったんで、あまり沢山のバラエティーの中からいろんな曲を演奏するという感じのツアーではないんだろうね。頑張って連日チケット取らないでよかった。

そのサイトには11曲目は新曲の「A Shrinking Man」と書いてあるけど、あれがそうだったのかな。よくわからない。サビのところでは「Biggest Fool」とか歌ってたけど(調べてみたら、レシーブ二郎さんの凄く詳しい大阪公演レビューで、それがおそらくヨーロッパ公演で演奏していた「You're A Biggest Fool」という曲らしいことがわかった。レシーブ二郎さん、ありがとうございました)。

12曲目は初日とは違って、ライの「Teardrops Will Fall」。この曲のイントロをライが何度も何度も失敗してたのは、わざとなんだろうか。ニックにベースでGの音を出させて、「そうか、その音か」なんてことを言いながら弾き出しては失敗。挙句に「違うチューニングだった!」とか言ってチューニングし直し。ジョークだったのか?そのわりに面白くはなかったけど。アメリカンジョークなのか?

ライはほとんど曲ごとにギターを持ち替えていた。派手な豹柄みたいピックガードのストラトがメインで、テレキャスターとか、ヘンな形のギターとか、マンドリンとか。唯一アコースティック・ギターを弾いたのが「He'll Have To Go」。

本編ラストが、お待ちかねの「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love & Understanding?」。残念ながらオリジナルのバージョンではなくて最近のニックが歌うスローなバージョンだったけど、間奏のスライド・ソロが最高だった(「Raining Raining」でのスライドもよかったけど)。

すぐにアンコールで登場し、大好きな「Little Sister」。それから、「Across The Borderline」と、人気曲を立て続けに。本編はライとニックがほぼ交互に歌ってたから、一番最後にまたニックの曲を演ってくれるのかな、「Peace, Love & Understanding」はもう演ったから、まさか「Cruel To Be Kind」とかかも、などと勝手に思っていたら、そこで終演。ちょっと残念。

でも、いいコンサートだった。以前はほとんど毎年のように日本に来てくれていたのが最近はすっかりご無沙汰だったニックを久々に観られたし。もうあまり積極的にはツアーに出ていないようだけど、死ぬ前に(縁起でもない)また観られたらいいな。できたら今度はもっと小さい会場でね。


Setlist 9 Nov 2009 @ Bunkamura Orchard Hall Tokyo

1. Fool Who Knows
2. Fool For A Cigarette / Feelin' Good
3. Vigilante Man
4. Losin' Boy
5. Chinito Chinito
6. Crazy 'Bout An Automobile
7. You're Gonna Pay
8. Cryin' In My Sleep
9. Down In Hollywood
10. Half A Boy And Half A Man
11. You're A Biggest Fool
12. Teardrops Will Fall
13. Raining Raining
14. Jesus On The Mainline
15. He'll Have To Go
16. 13 Question Method
17. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love & Understanding?

Encore
1. Little Sister
2. Across The Borderline


posted by . at 17:01| Comment(5) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も9日に行きました。15列目の中央のブロックでした。良いホールでしたがやはり彼等には大きすぎましたね。1階の後ろの方も空いていたし。ニック翁は、以前のようにライブハウスで聴きたかったです。
前座のバンドは照明が良くなかった…客席に目潰しを延々と当てるのは眩しすぎ。曲を十分楽しめなかったのが残念でした。
ライのストラトにはグヤトーン(日本製)のピックアップが搭載してあるとか(テレキャスにも?)。「このピックアップはとても良いよ」的なことを曲間に言っていたような…ニックもだけど、ギターを持ち替える度にシールドを抜き差ししていたのが今時珍しく、音を大切にしている感じが伝わりました。マンドリンとか小さい楽器は、シールドを首に廻して抱え込んで弾く感じが微笑ましかった。
ニックは何度も見ていますが、ベースを弾く姿は初めてだったかも。あくまでもライのバンドのベーシストとしてのポジションで、自分の曲になるとアコギに持ち替えるんだけど。
ライは、かなり天然系ですね。見た目や言動がちょっと立川談志っぽかった。もう少し物静かな人かと思ったのですが…だからジョン・ハイアットと上手くいかなかったのかな。
Posted by skywhale at 2009年11月14日 23:19
■skywhaleさん
同じ日でしたか。15列目ということは比較的近かったかもしれませんね。そう、僕も開演前とかたまに後ろを振り返ってみたんですが、ガランとしてましたね。ニックは「オーチャード・ルーム。綺麗な会場。なんだかホテルみたいな名前だね」なんて間違えてましたが、実は本人ももう少しこぢんまりしたところで演りたかったのではないでしょうか。

前座のバンドの照明、そんなことになっていたんですね。僕は端の方でしたから、目潰し攻撃を避けられたのが不幸中の幸いでした(笑)

グヤトーンのピックアップの話をしていましたか。それは気づきませんでした。ニックが喋っていたことは比較的よく聞き取れたんですが、どうもライのアメリカンな英語は(彼のこもった喋り方もあってか)いまいちよく聞き取れませんでした。

シールド、そうですね。いちいち曲が終わるたびにギターを持ち替えてシールドを差し替えて、なんてことをやっていたので、ライヴの流れがそこでブツッと途切れてしまうのがちょっと難でしたが、やっぱり音が気になるんでしょうね。ハウリングしていたのもしきりに気にしていましたし(そのわりに何故あんなにイントロを間違えていたのでしょう。やっぱりわざとなのか)。

僕はニックがベースを弾くのをかつてソロのライヴで観ました。「Jumbo Ark」が未発表だった頃ですから、確か2回目の来日のときかも。でもやっぱりこうしてバンドで観るのがいいですね。

ライはお茶目な人でしたね。もっと気難しい人かと思っていました。来日前に読んだ雑誌のインタビューでもやたらと憤っていましたし。
Posted by yas at 2009年11月15日 23:14
こんばんは、詳細なレビューとても参考になりました。

シールドの事はそういう配慮があったのですね。
(近くで観た割に何も観察できてませんでした...が、わざとと言われればわざとに見えなくもないですね笑)

ニックさんのmixiコミュ二ティとかを見ると割と否定的な意見も結構ありますが、私も良かったと思います。ニックさんにはまた近いうちに来て欲しいですね、小さい所で是非。
Posted by うささこ at 2009年11月15日 23:52
良い席を取りたくて会員になったけど半煮え(生煮えだったか)の席でお気の毒さまでした。

ニックさんの名前はこのブログでよく目にするので、持ちこがれていたのでしょうね。いいコンサートでよかったです。

小さいハコがいいという気持ちも何となくわかります。
Posted by Luna at 2009年11月16日 09:56
■うささこさん
二回ともいい席だったんですね。羨ましいです。僕は観ていたときはまあそれでもなんとか音楽自体の良さのお陰でそのことは忘れていられたんですが、時が経つにしたがって、また段々腹が立ってきました。むかむか。

そう、Mixiのニックコミュは結構否定的な意見が多かったですよね。あれを読んでいたお陰で、過剰な期待をせずに出かけたのが逆によかったんだと思います。まあ、それがなくても、結構半々ぐらいの比率でお互いを立てていたので、そんなにがっかりはしなかったんじゃないかとは思いましたけどね。


■Lunaさん
そうなんですよ。あちこち読んだら、僕と同じ日に当日券で入った人が、僕よりほんの数列後ろの中央ブロックだったりとか、どう考えても納得いきません。とにかく、この呼び屋のイベントにはもう二度と参加するまいと決めました。僕が学生の頃は最大手のイベンターで、よくお世話になったんで、今でも名前を聞くとそれなりに感慨深いんですが、もういいです。

小さいハコがいいですよ、やっぱり。前にルナさんと一緒に行ったあれぐらいの大きさが、もう僕には限界ですね。あれ以上大きいとこではもう誰も観たくありません。

なんだかやけにご立腹モードのコメントばかりですね今日は。すみませんね。
Posted by yas at 2009年11月19日 23:12
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