2009年06月21日

観てみました

The Rachel Papers.jpg 『The Rachel Papers』

5月17日の記事のコメント欄は、さしずめ日本中のスクイーズ・マニアにつどって頂いたのではないかと思えるほどの賑わいだった。その中で、ディフォード&ティルブルック名義の未発表曲がサントラに使われた映画があるらしいとの情報を戴いた。僕もコメンターの方々もその曲の存在を知らず、これは結構なレア曲だということが発覚。

残念ながらその映画はサントラ盤のアルバムが出ておらず、CDやLPを買ってその曲を聴くことはできない。となると、もうその映画を観てみるしか、その曲の存在を確かめる方法はなさそうだ。ちなみに、これがその映画の挿入曲。問題の曲は、5曲目。

"I'VE GOT YOUR PLEASURE CONTROL"
Performed by Simon Harris

"GRAFFITTI LIMBO"
Performed by Michelle Shocked

"TEARS"
Performed by Frankie Knuckles

"YOU MADE ME"
Performed by Shakespear's Sister

"SIMPLE WORDS"
Performed by Difford & Tilbrook


"ANSELMA"
Performed by Los Lobos

"WITHIN THESE WALLS OF WITHOUT YOU"
Performed by Difford & Tilbrook

"TONGUED IN THE WOODS"
Performed by Jools Holland

"THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU"
Original recording by Burt Bacharach
Re-recorded by Tom Blades

"ASSASSIN OF LOVE"
Performed by Willy DeVille

"ELECTRIC MOON"
Performed by Shakespear's Sister

"HEAD AND HEART"
Performed by John Martyn

"JE SUIS TOMBE"
Performed by Carmel

"WE'RE THROUGH"
Performed by Jools Holland

というわけで、DVDを買ってみた。もう20年も前の映画で、DVD化されてからも6年も経つ作品なので、そこそこお手頃な値段で入手。まずは、映画自体について少しだけ書いてみよう。これから観てみようというスクイーズ・ファンの方もいらっしゃるだろうから、ストーリーについてはなるべく触れないようにするよ。

主人公を演じるのは、デクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)。イギリスのテレビや舞台を中心に活動していた人らしいね。ヒロイン役は、アイオン・スカイ(Ione Skye)。結構いろんな映画に出ているようだけど、彼女のことも僕は知らなかった。DVDのジャケットに名前が載っているあとの二人は、いくつかの映画で観たことあるよ。主人公の義兄役のジョナサン・プライス(Jonathan Pryce)と、ヒロインの恋人役のジェイムズ・スペイダー(James Spader)。

お話自体は、まあそれほどどうってこともないラブストーリー。89年当時は、主人公が自宅のパソコンを駆使するところが新しかったんだろうけど、さすがに今見るとでっかいCRTのモニターと、プログラムを起動するのにいちいちフロッピーディスクを差し込んだりするところが時代を感じさせる。削除したデータがゆっくり溶けるように画面から消える、とか。

いまいち感情移入しづらいところや、「こんなにうまくいくわけないだろう」という御都合主義的なところも沢山あるけど、イギリス映画らしい皮肉なユーモアもそこかしこに散りばめられていて、そこそこ楽しめる。あとは、きっとこれがあるからこのDVDが長い間廃盤にならないんだろうなと思える、これでもかというほどのベッドシーンと入浴シーン(笑)

ジョー・ジャクソンの『Beat Crazy』やカルトの『Electric』が主人公のレコードコレクションの中に確認できるが、それらが劇中でかかることはない(むしろ、カルトのレコードは主人公のインテリジェントでない面を象徴するように使われたりしている)。

さて、劇中曲だ。実は、最初に通して観たときには、件の「Simple Words」がどこで使われているのか全くわからなかった。更に言うと、自分が知っているはずの「Within These Walls Of Without You」ですら、かかっていることに気づかなかった。ストーリーを追いながらとはいえ、結構集中して出てくる曲は全部聴いていたつもりだったんだけど。

「おかしいな。出てこないな」と思ってるうちに、1時間34分の映画は終了。エンドロールのバックに流れたのが、上の曲目リストで一番最後にあるジュールス・ホランドの「We're Through」だというのはもちろんわかったけど、ジュールスのもう1曲もよくわからなかった。彼のアルバムを全て押さえているわけじゃないけど、そもそもこんなタイトルの曲あったっけ。

そんなはずはないと、今度はリストとペンを手に、もう一度最初から観てみた。まず、主人公が最初にヒロインと出会うパーティーでガンガンかかっているのが「I've Got Your Pleasure Control」だね。タイトルが歌われているんで、それはわかる。

ところが次からが難しい。リストに載っている曲以外にも、この映画用に作られたと思しきインスト曲がいくつか入っているようで、ちっともわからない。ミシェル・ショックトの曲は多分さっきかかったあれなんだろうな、という程度。

シェークスピアズ・シスターズの「You Made Me」がわかったので、さあ次だ、と思いながらじっくり観ていると、ようやくわかった。どのシーンなのかは楽しみに観る人がいるかもしれないから秘密にしておくけど、サビらしき部分がちらっとかかる、わずか9秒ほどのシーン。

BGMとして使われていて、本当によく耳をすまさないと聴こえないぐらいなので、アップテンポの曲だということ、グレンが歌っていること、サビ(?)の部分に「Simple Words」という歌詞があること、しかわからない。

まあそれでも、レコーディングされていながら、まだ公式には世に出てきていないスクイーズ(ディフォード&ティルブルック)の曲が存在することは確認できた。そのうち、あの頃のアルバムが全部デラックス・エディションとして再発されるときに収録されることを期待していよう。

映画に戻って、更に観ていると、ロス・ロボスの「Anselma」がこれも小さなボリュームでちらっとかかる。ドラマ中盤で、ストーリー展開が大事な場面が続くから、会話や口論の後ろで静かにかかっているケースばかりだね。ということは、次の「Within These Walls Of Without You」も…

やっぱりそうだった。主人公が義兄と話し合うシーンのBGMに使われていたよ。今度は9秒とかじゃなくて、わりと長く使われていたのに、一回目に観たときは気づかなかった。曲に気をつけていたつもりでも、どうしてもストーリーを追うために台詞に耳が行ってしまっていたんだろうね。

ジュールスの「Tongue In The Woods」(らしき曲)は、おそらくその後(すぐ後じゃなく、いくつかの映画用のインストにまぎれて)使われていたメロウなピアノ曲だろう。そうだとしたら、その曲はその後も何度か使われていたね。

ちなみに、映画用のインスト曲を書いているのは、チャズ・ジャンケルだった(イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズの、というのと、「愛のコリーダ」の作曲者の、というのと、どちらにひっかかる人が多いだろうか。まあ、どっちにしても30年ぐらい昔の話だけどね)。


World Of His Own.jpg曲の確認をしようと思って、しばらく聴いていなかったCDを引っ張り出してきた。せっかくだから、簡単に紹介しておこうかな。まずは、「We're Through」が入っている、ジュールス・ホランドの90年のアルバム『World Of His Own』。彼のファースト・ソロ・アルバムと書かれることもあるけど、正確には、スクイーズを脱退する81年に『Jools Holland And The Millionaires』を出しているから、それは間違い。僕は聴いたことないけど、84年にももう一枚出しているみたいだし。

90年といえば、『Frank』でジュールスがスクイーズに復活した直後だから、このアルバムにもスクイーズのメンバーが総出演。グレンとクリスはもちろん、ベースにキース・ウィルキンソン、ドラムスはこの後もずっとジュールスと行動を共にするギルソン・レイヴィス。

映画に使われている「We're Through」は、キム・レズリーという女性とのデュエットで、作曲クレジットはHolland/Difford。クリスはギターとコーラスでも参加。まるでこの映画のストーリーを追って書かれたかのような歌詞は、クリスにしては単純な言い回しばかりだけど、それでも各ラインできっちり韻を踏んでいるところはさすが。

きっと一般的にはスティングが一曲に参加していることが話題のこのアルバム、ジュールスのアルバムらしい楽しさ満載の好盤なので、興味がある方は是非どうぞ。

Love's Crashing Waves.jpgもう一つ、ディフォード&ティルブルックの「Within These Walls Of Without You」が最初に発表された、アルバム『Difford & Tilbrook』からのファースト・シングル「Love's Crashing Waves」について。このシングル盤は、1月31日の記事の18番目に載せたね。僕の持っている7インチ盤はその2曲しか入っていないけど、12インチ盤には表題曲のExtended Remixというのが追加収録されているらしい。それって、『Piccadilly Collection』に入っているリミックスバージョンと同じなのかな。でも、『Piccadilly Collection』のは3分ちょっとしかないはずだから、とてもExtendedとは呼べないよね。じゃあやっぱり別のバージョンだ。やれやれ、次に探すのはこの12インチか。


posted by . at 12:42| Comment(4) | TrackBack(0) | ビデオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
yasさん、どうも検証有難うございました。 助かりました(笑)
フルヴァージョン収録じゃないのは、残念でしたね。
D&TのCDは一時期価格が高騰していた様ですが、Hip-Oからの再発が出てからは
どうなんでしょうね?
復刻の際には、この「Simple Words」や「Amazoon」等も追加収録して欲しい所です。

12インチに入っている「Love's Crashing Waves」のextended remixは4分50秒あり、
ここでしか聴けません。
あと、「Hope Fell Down」の12インチには「Action Speaks Faster」のextended version
(6:02)が入っていますよ。

ところで、先日私の所にも遅ればせながら「Wrong Way」のflexi届きました。
全体的にノイズが少なめの良好なコンディションだったのですが、
やはりLPの『Propaganda』に比べると音質は落ちますね。
気になるヴァージョンでしたが、yasさんのおっしゃるように、リピートしただけでした。
ていうか、同一テイクをまんまもう1回収録しているだけですかね?
とすると、ロング・ヴァージョンというよりは、2回収録しているだけなのかも...
あと謎なのは、この曲がいつレコーディングされたかです。
リリース時期的には、LPもflexiもセカンド・アルバムの時期(flexiのデザインもそれっぽい)
なのですが『Propaganda』のクレジットではプロデューサーがジョン・ケイルとなっています。
とすれば、ファースト・アルバム、あるいはその前のEP「Packet Of Three」期の
セッション音源ということになるのでしょうが、音的にはJohn Wood / Squeeze期っぽいですね。

>『World Of His Own』

スティングとの共作「Grand Hotel」ですが、実はこの曲は、スティングがアマチュア時代
(教師をしている頃)のLast Exit時代に既に「Night In The Grand Hotel」という曲で
出来上がっており、彼らのデモテープにも収録されています。
但し、アレンジは全く異なっており、同じ歌詞ながら、ちょっと愉快でジャジーな
ジュールス・ヴァージョンに比べ、原曲はストレートなロックンロールに仕上がっています。
かなりアレンジに手を入れたことで、メロディも若干変わったことから
2人の共作扱いになったものと思われます。
Posted by golden__wire at 2009年06月22日 14:57
こうゆう映画の見方があるのかと感心しました。
わたしもやってみよう。キザイアが音楽担当した映画があるのですが、まだ見てないのです。
Posted by 青グリン at 2009年06月26日 22:49
『World Of His Own』のジャケ、椅子ごとひっくりかえるやつとそっくり!?と思って確認したらやっぱりそっくり!それどころか同じ人だった!と大発見したつもりで得意になって、ジュールス・ホランドって誰だと思いググったら、なんと、スクイーズの鍵盤やってた人だったんですね。
だからこの記事に取り上げられているんですね・・。自分の思考回路がイヤになりました・・。
Posted by カブ子 at 2009年06月28日 09:27
■golden__wireさん
記事並みの長文コメント、ありがとうございました(笑)。D&TのCDは、今はわりと普通に入手可能みたいですね。僕自身はLPは昔から持っていたし、日本盤のCDも捨て値みたいな値段で入手しましたから、一時このアルバムが貴重盤扱いみたいになっていたことにちょっと違和感ありましたが。二枚組のデラックス・エディションにするほどの分量がなくても、ボートラ収録してほしいですね。あるいは、D&T名義でのライヴ音源とか。

>4分50秒あり、ここでしか聴けません
そんなこと言うから、昨晩買ってしまいましたよ。また近いうちに例の写真記事の第三弾をあげることになってしまいそうです(苦笑)。ただ、「Action Speaks Faster」はそれほど好きな曲ではないので、6分バージョンを聴くためにその12インチを買うことはないんじゃないかと思います。「Introvert」入りの12インチも昔は探していましたが、あれも『Big Squeeze』に収録されてしまいましたし。

「Wrong Way」の考証、興味深いですね。2回リピートもかなり意味不明ですが、確かにおっしゃるとおり、この曲がいつのセッションで録音されたかは気になりますね。一応ソノシートには“A Brand New Squeeze Recording”とは書いてありますが、本当にその時期に新しく録音したとは限りませんしね。ただ、「Packet Of Three」とかそんなに古い時期の曲だとしたら、これだけの曲をファーストにもセカンドにも収録しなかった理由がちょっと解せませんね。おそらく、どういう経緯でロックパイルに曲を提供することになったのかは知りませんが、彼らに曲を渡す際にデモとして録音しておいたものをスマッシュヒッツに提供したとかいうことではないでしょうか。

あれこれ調べていたら、BBCのスティーヴ・ラマックという人のブログに、去年の暮れにグレンとこの曲について話した際に、彼ら二人ともこれがスマッシュ・ヒッツの付録についたのが79年の暮れか80年初頭だったのかを覚えておらず、グレンもこのソノシートは持っていないということが分かったと書いてありました。もう1枚買ってグレンにプレゼントしようかな。

>「Grand Hotel」
さすがポリスのファンサイト管理人様ですね。ラスト・イグジットということは、70年代中盤ですよね。15年温めてようやく表舞台に出た、そんなに古い曲だったとは。


■青グリンさん
>わたしもやってみよう
では来月の記事はそれですね。また葉っぱのスキンが茶色になるのが楽しみです。


■カブ子さん
このコメントには大受けさせてもらいました。さすがカブコさん。さぞかし名探偵のごとく、それまで張られていた全ての伏線を一本に繋げたかのような気持ちになられたことでしょう。

クリスとグレンに加えて、スクイーズのメンバーをもう一人覚えてもらったようでなによりです。あと十何人かいますから、全員覚えるまでがんばってください。後期は僕もろくに覚えていませんけど。
Posted by yas at 2009年06月28日 16:21
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