2008年11月23日

450年前の音楽 - Fleet Foxes

Fleet Foxes.bmp Fleet Foxes 『Fleet Foxes』

膝の上に乗せたこの絵を見ながら聴いている。30センチ四方、いや、背表紙を経由して裏側にも少し廻り込んでいるから、30センチx35センチといったところか。沢山の人や動物や、果ては角の生えた悪魔みたいなのまでが隅から隅までびっしりと描き込まれた、いくら眺めていても飽きないこの奇妙な絵は、有名なので知っている人も多いだろうけど、ブリューゲルの1559年の作「ネーデルランドの諺」。

これは昼の光景だけど、夜になってこの人々や動物たちが皆寝静まった頃に、この絵の上の方に描かれている家の奥の部屋で毎夜ひっそりと奏でられていた音楽を収録したものがこのアルバムになった。

と言われても「へえ、そうなのか」と信じ込んでしまいそうな、まるで16世紀の音楽を演っているみたいな不思議な新人グループがまた現れた。いや、実際に16世紀にクラシック以外に演奏されていた音楽がどんなものなのかは知らないけれど、まだ22歳だというリーダー核のロビン・ペックノルドがこの一見(一聴)古めかしい音楽を生み出したと聞くと、ちょっとびっくりしてしまう。

とても静かな音楽。実際にはエレキギターなんかも使われているから、音量的にはさほどでもないんだけれど、印象としてとても静か。ところどころで楽器の音がふと止み、コーラスや一声のアカペラになることも多い。讃美歌みたいに。

新しいグループなのに古めかしい感じがするところは、去年このブログで取り上げたミッドレイクに似ているかもしれない。彼らからもっとロック臭を抜いた感じかな。なにしろ僕が彼らのことを例えたのは1970年代の音楽、こちらは1550年代だから、420年程度の隔たりがあるからね。あんまりロックっぽくなくてもしょうがない。

日本盤は出る予定もないみたいだし、日本のCD屋でもそれほど盛り上がっているようには見えないけれど、あちこちのサイトや雑誌では(国内外問わず)結構熱狂的に取り上げられ、既に08年度のベストアルバム特集なんかに選ばれていることも多いみたい。僕もしばらく前に入手して愛聴していたけど、そろそろ記事にしないと今年が終わってしまうと思ってこうして書いているところ。

Sun Giant.jpg30センチ四方のジャケが手元にあるということは、当然僕が買ったのはLPレコード。このファースト・アルバムに、同じく今年出た5曲入りの12インチEP『Sun Giant』が付録で付いていて、しかもその両方の全曲がMP3でダウンロードできるという超お買い得盤(EPのジャケもダウンロードできる)。こんなことをするのは、もちろん我らが良心的レーベル、サブポップ。たいして見所のないようなDVDを付けただけで法外な値段にしたり、アルバムのリリースからわずか数ヵ月後に、そのアルバムにボーナスディスクとかを付けて売り出すようなことをして売り上げを上げようという姑息なレーベルが多い中、どうすればファンが喜んで自分達の商品を買ってくれるかということをきちんと考えている人たちだよね。

かつてはサブポップといえばニルヴァーナとかマッドハニーとかのグランジ系、みたいな印象だったけど、最近のサブポップは、去年の僕の年間ベストアルバムに選んだアイアン&ワインや、こちらもまた60〜70年代を思い起こさせると書いたグランド・アーカイヴスなど、ちょっと枯れた、でもとても重要なグループが多数在籍している。ある程度メジャーなレーベルとしては、今や最注目と言っても過言ではないだろう。

何か追加情報はないかなと思って、このフリート・フォクセズのマイスペースを覗いてみたら、この12月末から年明けにかけてオーストラリア、その後続けてニュージーランドでライヴをするとのこと。見なけりゃよかった。悔しい思いをしただけだった。

ところで、ブリューゲルの「ネーデルランドの諺」のことを調べていたら、すごく詳細なサイトを見つけたので、勝手にリンクさせてもらおう。これって、この沢山の人や動物がそれぞれオランダの諺を意味してるんだね。そういうのを知ると、また飽きずにいつまでも見ていてしまうよ。



posted by . at 02:21| Comment(10) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どうも、こんばんは。
いやぁ、まったく知らなかった人たちなんですけれど、試聴してみたらすごく良いですね!えぇ、その後はもちろんのオーダーボタンポチポチが待っておりました…。

アナログがUSのサブポップだけでなく、UKからも出ているようで、そちらには限定の文字があって値段も高いのですが、一体どういう違いがあるのだろうと思いながら、でもとりあえずオリジナル盤はサブポップ盤だよなぁとUS盤をオーダーしました。

しかし、最近のサブポップはすごく自分には良い感じです。以前はyasさんのおっしゃるように、ニルヴァーナに代表されるレーベルだったけれど(と言いながらニルヴァーナも好きでしたが…)。

ブリューゲルのこの絵の諺、なぜか夫に青い衣を着せる諺だけ知ってました。なぜだろう…?
Posted by マサ at 2008年11月23日 19:20
■マサさん
また買わせてしまいましたか。すみません。でも、気に入っていただけたようでなによりでした。このアルバム、ゲイトフォールドのわりにはちょっと腰砕けな内ジャケですが、内容のよさがそれを補って余りありますので、LPで正解だと思いますよ。

UK盤、レーベルのサイトに飛んで調べてみましたが、おそらくUS盤と同様、EPが付属しているということで「限定」とされているんだと思います。というか、このUS盤以上のてんこ盛り仕様はあり得ないと思います。

ブリューゲルのこの絵、この青い外套の諺が一番有名なようですね。このアルバムのクレジットにも、「ネーデルランドの諺」でなく、「青い外套」という名前で載っています。
Posted by yas at 2008年11月24日 21:21
「へえ、そうなのか」と一瞬信じてしまいましたよ、んもう。

古典絵画は読み応えがあって面白いですよね。その中でもブリューゲルはトボケた画風で大好きです。このジャケほしさにLP買いたくなってしまいました。
Posted by カブ子 at 2008年11月26日 00:25
こんにちは。yasさん、わざわざ調べてくださってありがとうございます!やっぱりUK盤だけが特別仕様と言う訳ではないのですね。良かった…。なにやら7インチ盤がUKで1000枚プレスでリリースされていたり、UK盤の2枚組仕様のCDはちょっと変則的な『SUN GIANT』からの収録だったりするみたいで…。

とりあえず、US盤のCDとアナログ(両方買ってるんかい!!という突っ込みは無しで…)が届いたので、さっそくブログを更新しました!昨日から何度も何度もEPとアルバムを聴いていますが、いやぁ、良いです。本当、素晴らしい音楽です。
Posted by マサ at 2008年11月26日 16:17
■カブ子さん
よもや信じる人がいるとは予想だにしませんでした。というのを僕に信じさせようとしていますが実はこれもウソですね?

>このジャケほしさにLP買いたくなってしまいました
それは正しい行いです。マサさんほどあれこれまとめて買う必要はありませんが(笑)、是非LPは買ってみてください。それなりの店に行けば、そんなに高くないはずです。


■マサさん
貴ブログにコメントは書きましたが、こちらでの返事が遅くなってしまいました。あれほどまでに気にいっていただけたようでなによりでした。

「Mykonos」は『Sun Giant』内でも比較的好きな曲なので、そのUK盤もほしくなってきてしまいました。もしかして、マサさんがオーダーされているというそのシングル盤にも入っているのでしょうか。であれば、そのシングルを買うことにしようかな。僕も後で調べてみます。

ところで、この記事にリンクを貼ったミッドレイクはあまりお好きではなかったんでしたっけ。
Posted by yas at 2008年11月30日 15:29
こんばんは。
「Mykonos」のオルタナティブバージョンはUKの7インチには収録されていません。7インチのカップリングが「Isles」で、この曲もUK盤の2枚組バージョンに収録されているようです。とりあえず…UK盤も入手しようかと…。もう、最近は1日に何回も聴いていますよ!本当、凄く気に入ってしまいました。

ミッドレイクですが…実は以前に記事を読んだ時から、どうにも気に入ってしまいそうなので、でも、あんまり色々と買ってしまってもお金が…とか思って、わざと試聴せずに避けていたんですけれど…。さっき、とうとう諦めて聴いてみました…。良いですね、これ…。うぅっ、これ以上どうしろと!いや、もうどうすれば良いのかはわかっているのです…ポチっとすれば全てが解決してくれると言うことは…。
Posted by マサ at 2008年11月30日 22:01
450年前にどんな音楽があったのか調べてみましたら、音楽の父バッハも音楽の母ヘンデル(男なのに母!)も生まれる前でした。

マイスペ見ました。とっても素敵な音楽ですね。奇をてらわない感じが好きです。
あんまり良いのでマサさんのようにボタンをポチポチしたくなりましたがグッと我慢して代わりにPVのボタンをポチポチしてみました。
「White Winter Hymnel」も可愛らしいですが、なんといっても「He Doesn't Know Why」!
恐らくCGも使わずにヤギだらけの中での演奏。あまりの常軌を逸したシチュエーションぶりに、最後には何が起こるのかと見ていましたが結局何の事件も起こらず静かに終了。ウケました。

バンド名もキツネなので動物好きの人たちなんでしょうか。
Posted by ひより at 2008年11月30日 23:30
お二方、返事の順番がデタラメでごめんなさい。

■マサさん
UK盤の記事を読ませてもらいましたよ。「Isles」には惹かれるものがありますが、「Mykonos」のオルタナティヴ・バージョンは微妙ですね。うーん、そのためにまた数千円出すべきか、PCに落とすことは諦めてUK盤のシングルを買うべきか…そうこうしてる間にシングル盤なんてあっという間に入手不可になってしまいますね。やっぱり我慢しようかな。

ミッドレイクは結局どうされたのでしょうか。もしもう既に買われてしまったとしたら、マサさんのことですからきっともう僕の持っていないファーストまでとっくに入手されたはずですね。あっちの記事に書いたかもしれませんが、『Van Occupanther』のオーストラリア/ニュージーランド盤は、ちょっとマニアックな曲の入った2枚組です。マサさんのことですから、当然それも買われますよね?(悪魔の囁き)


■ひよりさん
律儀に調べていただいたんですね、僕が適当に口から出まかせで書いたようなことを。かたじけないです。バッハが音楽の父と呼ばれていることも、ヘンデルが音楽の母と呼ばれていることも知りませんでした。おまけにその二人が夫婦だったなんて。ヘンデルといえばてっきりお相手はグレーテルかと。

僕はこのコメントを読むまで彼らのPVは観ていなかったんですが、確かに「He Doesn't Know Why」のビデオいいですね。ビデオなのでわかりませんが、あの部屋はさぞかしヤギ臭いと察します。

確かに一人だけ髭を生やしていない人がいて、その人だけイケメンですね。他の人も髭を剃ればそれなりだと思うのですが、何故どいつもこいつも若人のくせにあんな仙人のような風貌なのでしょうか。動物好きなのと関係あるのでしょうか。
Posted by yas at 2008年12月07日 01:36
こんにちは。
ちょっとUK盤は微妙なんですよね…。でも、それ以上に(同等に?)ミッドレイクのセカンドアルバムも悩ましいことになっていますね。UKでの限定盤はボーナストラック4曲で、オーストラリア/ニュージーランド盤のみの2曲は収録されていないし…。日本盤のボーナストラックはシングルなどのカップリングで入手は出来るし、UKの限定盤とも重複しているんですけれども…。とりあえず入手できなくなるまえにオーストラリア/ニュージーランド盤もオーダーしておこうかなぁ…。

えぇっ!!ファーストアルバムですか!?や、ま、まだです(シングル『kingfish pies』は入手したんですけれども)〜。
Posted by マサ at 2008年12月07日 14:47
■マサさん
予想通り、一旦気に入られたらぺんぺん草も生えないほど一気に刈り取られていますね。見ていて爽快な気持ちになります。Aus/NZ盤は僕があっちに住んでいた頃から気になっていたんですが、もともと値段の高いAus/NZ盤なので、手が出なかったんですよ。もうそろそろリアル・グルーヴィーに中古で出回っている頃でしょうか。今日みたいな薄曇りの土曜の午後にはふっとあそこに掘りにでかけたくなってしまいます。
Posted by yas at 2008年12月13日 14:53
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