2008年09月15日

黒猫ジャケに夢中 - Akeboshi

Akeboshi.jpg Akeboshi 『Akeboshi』

ガツンときた。

知ってる人には何を今さらなのかもしれないけど、映画「ぐるりのこと」の主題歌を歌っている人がいいよと友達に教えられ、中古屋で見つけたこの3年前のアルバムを聴いて、まずオープニングのピアノの音に打たれた。

ティン・ホイッスルとフィドルの物悲しげな音色が、否応なくケルト・ミュージックを想起させる。ブラシとリムショットを効果的に使った、乾いたドラムの音。柔らかなアコースティック・サウンドと朴訥とした声に、ほんの少しだけ隠し味のように使われたプログラミング。5/8なんていう、複雑なのに気持ちいいリズム。不思議と懐かしい気持ちにさせられるメロディー。

僕がそれを最初に聴いたときの状況も多分に影響していたのかもしれない。先月、短い休暇を取って、高速バスに乗って旅に出たときのことだった。見渡す限りの緑と、ゆっくりと沈む夕陽をぼーっと見ながらこれを聴いていたら、悲しいわけでも感動したわけでもないのに、涙が出そうになった。

なんていうんだろう。子供の頃から胸の奥の方に持っていた敏感な気持ちのかたまりみたいな部分に、大人になるにつれて少しずつ蓄積してしまっていた澱を、栗の渋皮をむくみたいに丁寧に取り除いてもらっているような気持ちにされたんだ。

子供といえば、この1曲目「Wind」は、アニメ番組「NARUTO」のエンディングテーマに使われたんだってね。6年も前の話なのか。その頃マレーシアに住んでいた僕は、近所の日本人の子供達がその番組のことを話していたのは知ってたけど、一緒にビデオを見せてもらっておくんだったな。それにしても、こんな素敵な曲を毎週テレビで聴いて育つ今の子供がうらやましくなるよ。

インディーズ時代に出した3枚のEPからの曲と当時の新曲を再編集した13曲。13曲目の後に収録されたシークレットトラックが、もろにケルト風味のインストゥルメンタル。これがまた、しっとりと滲みる。


Roundabout.jpg Akeboshi 『Roundabout』

あまりに気に入ってしまったので、件の映画の主題歌が入った新しいアルバムもすぐ欲しくなった。6月に発売された初回限定のDVD付がまだなくならないうちに。

よく似たジャケのこちらは、これまでに出たシングルとアルバムからの曲に、上に書いたアルバムからの数曲のライヴ録音を併せて収録した編集アルバム。付属のDVDには、5曲のPVと、去年出たアルバム『Meet Along The Way』作成時のドキュメンタリー・フィルムが収録されている。

これもいいね。メジャー初となったシングル「Rusty Lance」もまた7/8という小気味のいいリズムの曲だし、他の曲とは明らかに世界が違う歌詞の「Yellow Moon」は、井上揚水との共作だった。淡々とした物語が進んでいくような「Perua」もいい(これが映画の主題歌)。

ドキュメンタリー・フィルム「Meet Along The Way」は、北イングランドとアイルランドを旅しながら、途中のパブとかで出合った地元のミュージシャンたちにその場で録音に参加してもらっていく様子を綴ったもの。長すぎない編集が観ていて飽きないし、素晴らしい景色と田舎町の様子が存分に楽しめる。こんなの観てしまったら、そのアルバムも手に入れないわけにはいかないよ。エコ月間は何処へ?(最近こんな終わり方ばっかり)。


posted by . at 17:14| Comment(12) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは猫ですか、ぱっと見てネズミかと思ってしまいました。影絵みたいなジャケがかわいいですね。私はこの方知りませんでしたので、試聴してきました。高速バスで涙がジュワッ、分かる気がしました。田園の景色とセットにすると味わい深いものがありそうです。遠いとこから懐かしい声で呼ばれるような気がする音楽ですね。ヒーリング音楽じゃないとこがまたいいです。
ついでに私は「ぐるりのこと」と「NARUTO」も知りませんでした。また世間からとりのこされかけるとこでした。でもこれを読んでakeboshiを知ったから少し安心です。ありがとう、ありがとう。
Posted by 青グリン at 2008年09月16日 11:47
いい曲たちみたいですね。

黒猫に夢中ですか。
私は、隣人の家族が一人一匹ずつ猫を抱いているところに遭遇して、いいなあと羨んでいます。関係ないけど。

CDたくさん買っても、完(全鑑)賞すれば、きっとエコですよ。カップ焼きそばのCMで、そう思っただけですけど。
Posted by Luna at 2008年09月17日 08:32
素敵な文章ですね。akeboshi聞いてみたくなりました。

「NARUTO」はぼーずが毎週かぶりつきで観てるので、わたくしもお付き合いで時々。結構面白いんだ、これが(笑)。侮れません少年ジャ○プ。


「完食こそエコ」、とりあえず名言だと思います。がんばって完賞してくだサイ!
Posted by にんじん at 2008年09月18日 11:45
良さそうなアルバムですね。巡り会えたら買うと思います。5/8とか7/8も好きだし。
これからはアニメのチェックもしてください。手始めにプリキュアとか。
「NARUTO」の今のオープニング曲もいいですよ〜。
より子も毎週見ています。にんじんさん、あくしゅあくしゅ。

私もジャケはリスかと思いました。ふさふさ尻尾の猫ですね。
Posted by ひより at 2008年09月18日 13:26
■青グリンさん
おや、ネズミかと思われましたか。この人のCDは一貫してこういう影絵みたいな感じです。もうちょっとカラフルなのもあるようですが。

グリンさんにも気に入ってもらえたようでなによりです。機会があれば買ってみてください。僕は昨日中古CD屋でシングル盤を2枚見つけたのですが、余り安くなってなかったのと、そこに入っている曲はほとんどこの『Roundabout』に再収録されているので、放流してきてしまいました。

僕も「ぐるりのこと」は知りませんでした。その友達から一緒に教えてもらったんです。まだ観ていませんが。「NARUTO」は前から知ってました。友達の子供と友達だったからです。


■Lunaさん
>隣人の家族が一人一匹ずつ猫を抱いているところに遭遇
まさかお隣さんは三世代&子沢山の合計8名の大家族とかではないでしょうね。老婆から幼子まで、8人家族がそれぞれの胸に黒猫を抱えて物陰からこちらをじっと凝視している風景を想像して、怖くなってしまいました。

そうですね、買ったCDはとことん聴き倒すクセをつけるようにします。あと気をつけるようにしだしたのは、ついで買いをやめることです。昨日は1枚買ったのですが、どうもレジに1枚だけ持っていくのは何故かすわりが悪いです。早く慣れないと。

関ジャ二∞のやつの意味がよくわかりません。オリンピックが終わって以来、またあまりテレビを観なくなったからです。


■にんじんさん
おや、またにんじんさんに文章を褒められました。うれしいです。聞いてみたくなってくれてよかったです。新宿の某中古CD屋には彼のシングル盤が2枚、多分まだ置いてありますよ。余り安くはないですが。

「NARUTO」面白いですか。時間がないのでなるべく観るものにははまらないようにしているので、遠ざけておきます。

にんじんさんにはリスに見えましたか。もしこの切り絵(?)アーティストが偶然このコメント欄を読んだら、さぞかし自信をなくすことでしょう。


■ひよりさん
これはきっと近所のCD屋で遭遇する確率が高いと思いますので、気をつけておいてください。5/8とか7/8とかの中途半端な拍って、どうしてあんなに気持ちいいんでしょうね。

NARUTO、今のオープニング曲はいきものがかりのようですね。僕は名前しか知らないグループなのですが、去年行った某K氏のコンサートで、K氏がこのグループ名について話していたのを思い出しました。ちなみにプリキュアのオープニング曲は工藤真由 with ぷりきゅあ5という人たちらしいです。こちらは名前も知りませんでした。

リス派が増えましたね。では多数決でリスということにしておきましょう。「いやあれはネズミ」と思われる方はコメントください。

最近テレビを観ないと書いたばかりですが、よく考えたら阪神戦は何度か見ました。日本に帰ってきてよかったことのひとつが、阪神の選手の名前と顔が一致するようになったことです。赤星はこんな構えで打つのか、とか。
Posted by yas at 2008年09月21日 12:30
お隣さんは標準的な四人家族ですが、猫の数はそれより多いようです。一人で二匹抱えることもできます。黒ネコは一匹もいないので不気味さはありません。

某K氏、コンサートでいきものがかりの名について言及しておりましたね。懐かしいこと。

関ジャニ∞については忘れてください。
CMが見つかりません。
にんじんさんがわかってくれただけで満足です。
Posted by Luna at 2008年09月24日 17:47
>赤星はこんな構えで打つのか、とか。
思わず「あけぼし」と読んでしまいました。これは正しい反応ですよね?

試聴してみましたがなかなかいいですね。
「Night and Day」好きです。他のも聴いてみたくなりました。が、ジャケに何故ネコなのか。気になります。
Posted by カブ子 at 2008年09月24日 19:11
■Lunaさん
四人家族よりも猫の数の方が多いんですか。それは普通なのですか?僕の知っている人はヘンな顔の猫を飼っておられるようですが、それでもせいぜい二匹までです。家族構成はよく存じ上げませんが。

では関ジャニ∞のことは忘れます。阪神の話はしないでください(今日現在)。


■カブ子さん
正しい反応でしょう。R=40指定で読めなくなるような類の漢字ではありませんし。

「Night And Day」もいい曲ですね。是非このアルバム探して聴いてみてください。

>何故ネコなのか。気になります。
単にネコが好きなのではないでしょうか。こういう本も出ましたね↓
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BA%E5%A2%97%E5%88%8A-%E7%8C%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B1-%E7%B4%A0%E6%99%B4%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%8D%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C/dp/B001EI26E0
Posted by yas at 2008年09月28日 11:04
ちゃんと自分の足で捜したら意外と近くで見つける事ができました。DVD付き。このロードムービーのような映像を見たら「Meet Along The Way」もどうしても聴きたくなってまた買いに行ってしまいました。
ケルティックハープ弾きのおじいさん、良いですね。アルバムの中のこのハープの音、キラキラしていて、こんなおじいさんが弾いているとはとても思えませんでした。
Posted by nao at 2008年11月01日 16:36
■naoさん
見つけられましたか。やはり、廃盤は足で探せ、というのは鉄則ですね。とは言いながら、僕はつい先日、廃盤だと思って結構な高値を出して買ったCDが、家に帰ってネットで調べてみたら、僕が出した値段より800円も安く普通に売られていたことに気づき、ショックを受けているところです。足で探す前にちゃんと調べておけ、というのもまた鉄則です。

『Meet Along The Way』も買われたんですね。うらやましい。僕もいつまでも中古屋でばかり探していないで、とっとと普通のCD屋に行けばすむことなんですが。

ハープ弾きのおじいさん、いましたね。ああいう人が普通にパブとかで演奏してるんですね。北イングランドやアイルランドに行ってみたくなりました。
Posted by yas at 2008年11月02日 23:57
先日、1ブリトラ(単位)で見つけたのでブリトラは買わずにこれを買って帰りました。猫族としてはそそられるジャケです。
噂の5/8、素敵ですね。今の季節にぴったりです。
ただこの記事ではヴォーカルにあまり言及がなかったのでもっとインスト系なのかと思っていましたが、思った以上に歌モノだったのが意外でした。

ラストの「神様の舌打ち」、途中2分くらいの空白のあとに流れるインストの部分が大好きです。この部分だけ聴きたいと思う私は無粋な人間なのでしょうか。
Posted by ひより at 2008年11月25日 22:32
■ひよりさん
1ブリトラは日本円に換算すると千円ちょっとでしたっけ。ブリトラCD未聴の僕が言うのもはばかられますが、これにして正解だと思います。ブリトラは250円になるまで待ってみましょう。

インスト系と思われていましたか。僕の描写もまだまだですね。今読み返してみましたが、確かに歌については何も書いてないですね。すみません。歌、気に入りませんでしたか?

ラストのインストのことは、僕も記事に「しっとりと滲みる」とか書きましたね。あの、少しずつ盛り上がっていく感じがとてもいいと思います。全然無粋ではありません。

カマキリの捕食シーンの写真、猫族として猫の写真よりも気に入られましたか。食べられてる虫の種類を当ててみてください。
Posted by yas at 2008年11月30日 15:12
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