2015年12月25日

Jeffrey Foskett live in Tokyo

DSC01412.JPG

来年4月の最後の『Pet Sounds』再現ライヴとかその直前の日程に割り込むように決まったビルボードでのビーチボーイズとか、僕はどちらも今のところ行く予定はないけど、その手のファンの人たちにとっては結構な散財が予定される来日ラッシュなのに、そこに追い打ちをかけるように突如ジェフリー・フォスケットの来日が決まったのは確か先月も末になってからだったはず。

ろくな事前告知もなく、12月23日のライヴに12月4日にヴィヴィッドのサイトで抽選開始という強気な販売方法だったけど、当日スタジオを埋めた多分100名弱のお客さんを見ると、それほど強気というわけでもなかったのかも。

今にも雨が落ちてきそうな冬空の下、目黒駅からどんどん坂を下って行ったところにあったヴィヴィッド・サウンド・スタジオ。ちょっと早く着きすぎたと思ったけど、来た順番に整理番号を配り始めたのでラッキー。場内では整理番号順に椅子が並べてあって(一番早く来た人が一番端になるというのはちょっと解せないだろうけど。それは僕じゃなかったけどね)、終演後のサイン会も同じ整理番号順というのはいいシステムだと思う。少なくともあんな大勢の出入りもままならない会場ではね。

それほど広くない会場にパイプ椅子がびっしりと敷き詰めてあって、後ろを振り返ると壁際には立ち見のお客さんも入っているほどだったから、一旦席に着くとなかなか動き回れる風でもない。トイレも多分数箇所にしかないから、缶ビールとか売っていたけどちょっと遠慮してしまう。なので、開演までの30分ほどを、ずっと流れていたチップマンクスの虫声を聴きながら過ごした。

前座はペンフレンドクラブという男女混成6人組のバンド。ペットサウンズ風のバンドロゴから想像していたほどビーチボーイズ風ではなかったけど、いかにもジェフリーの前座を務めそうないい感じのバンド。僕の座っていた位置のせいか、バンドの音にかき消されてリードボーカルの声がほとんど聞こえなかったのがちょっと残念だった。もしかしたらジェフリーが自分のパートで演るかもと期待していた「New York's A Lonely Town」などのカバー曲が大半に、オリジナルを2曲ほど取り混ぜて、全部で40分ほどのステージ。

長門芳郎さんがマイクを持って出てきて(本人を見たのは初めて)、ジェフリーを呼び出す。白っぽいアロハシャツみたいなのを着ている。ペンフレンドクラブのボーカル君が「すごい大きな人ですよ」と言ってたほどの長身ではないね。最近のアー写や新作のジャケどおり、僕が04年にブライアンのバンドで観たときよりはかなり痩せたと思う(一般的にはとてもスリムとは言えない体形だけど)。

DSC01428.JPG

楽器も持たずに「新譜を出したのでそこからの曲を歌うよ」と言い、ステージ脇のDJさんに合図してボーカルトラック抜きの音源を流させる。なんとカラオケか。登場前からマイク下に置いてあった歌詞カードでネタバレしていた1曲目は「No Matter What」。やっぱりいい声だね。高音がちょっと苦しそうではあるけど。ギターソロのときには両手で後ろに置いてあるギターを指さしたりして。

「クリスマスだからこれを歌わないとね」と言って、これも新譜からの「I Wish It Could Be Christmas Everyday」、さらに「これはボブ・ディランが書いた曲だけど僕の友達のロジャー・マッギンが歌った歌だ」と、新作中では僕の一番のお気に入りである「My Back Pages」がもう登場。この曲からカラオケに合わせてギターも弾きながら歌ったんだけど、ソロとかなんかちょっとたどたどしいぞ。

カラオケはそこまでの3曲で、次が確かバディ・ホリーの「True Love Ways」。むー、パンダチーズの曲だ。思わず笑そうになるのをこらえる。それより、さっきよりはましとはいえ、ギターがどうも平凡だね。この人って、ブライアンのバンドのバンマスだったんじゃないの?もっと安定した演奏するんだと思ってたんだけどな。

「何かリクエストはある?」と訊くジェフリーに、客席から次々に曲名が。ほとんど誰もがビーチボーイズの曲をリクエストするね。「それは後でペンフレンドバンド(よく間違えてた)が再登場したときに一緒に演奏するから」「ごめん、それは歌詞を忘れた」「それも後でペンフレンドバンドが再登場したときに一緒に演奏するから」「それも後でペンフレンド(以下略)」てな感じで、最後には「ごめん、リクエストを募った僕が悪かった」と、結局ロイ・オービソンの「Crying」の弾き語りを。

でも、そのすぐ後で申し訳なさそうに「リクエストしてくれたSurfer Girl、最初のコーラスだけなら歌えるよ」と、短いバージョンを歌ってくれた。魔法のような声だね。あれが聴けただけでも来た甲斐があったと思える約1分。

DSC01430.JPG

ここでペンフレンドクラブを呼び出し、共演を。どうやら最初は全員一列に並んでコーラスをやるような手筈になっていたようで、突然「バンドで演ろう」と言いだしたジェフリーに一同戸惑い、キーボードの子は楽譜を取りに楽屋に戻る始末(ジェフリーは「彼女は辞めたのか?」とか訊いてるし)。

そこからは(実は僕の位置からは床に置いてあるセトリが丸見えだったので最初から全部ネタバレだった)主にビーチボーイズの5曲を一気に。リクエストコーナーでも声が掛かっていた曲ばかりだけあって、ここは盛り上がる。曲順は後述。ジェフリーのギターもこのあたりまで来るとエンジンがかかってきた感じでよかった。

デュッセルドルフから到着したばかりだというジェフリーは、あまり寝られていないのか、しきりに喉を気にしていたし、冒頭からほとんどの曲間でミネラルウォーターを飲んでいたし、トローチぽいタブレットも何枚も補給していたね。でも、あれだけ苦しそうにしていながら、あの声が出るのはやっぱりすごい。

個人的には、かつて友人たちと一緒に作って聴かせ合った人生ベスト20ミックスCDに入れたぐらい好きな「Don't Worry Baby」がやっぱり一番よかった。この曲をカールのオリジナルトーンそのままに歌える人が、今自分のすぐ目の前で歌ってくれてるなんて。感動。

DSC01434.JPG

本日2曲目のクリスマスソング「Little Saint Nick」から最後は「Fun, Fun, Fun」で予定通りの曲数を終了。前座のバンドより短いぐらいのセットだね。一旦引っ込んでアンコールかと思いきや、長門さんが登場して「すみません」と。デュッセルドルフから飛んできたばかりで喉の調子が悪いのはしょうがないけど、28日にコロラドでライヴがあるからというのは言わなくてもよかったんじゃない?

あと、そこまでタイトなスケジュールで肝心のライヴが本調子でないなら、このライヴの翌日とさらに次の日に予定されていたインハウスライヴとサイン会、順番を入れ替えた方がよかったと思うのに(クリスマス当日とかイヴにライヴだとお客さんが入らないと思ったのかな)。

整理番号通り最初の方に列に並び、ジェフリーにサインをもらう。僕より前の方の人の番を見ていると、いろいろファンの方が話しかけてもほとんどジェフリーはにこやかにうなずくだけであまり会話していないね。僕の番になって「貴方のソロの曲を聴きたかったです」と言ったら、かすれそうな声で「サンキュー」と返してくれた。そんなに喉の調子が悪かったのか。ニューアルバムに几帳面なサインをもらい、一緒に写真を撮ってもらって、ライヴ中に降り出してもう止んでいた、雨に濡れた坂道を目黒駅の方に上って行った。

DSC_0293.jpg


23 December 2015 @ Vivid Sound Studio

1. No Matter What
2. I Wish It Could Be Christmas Everyday
3. My Back Pages
4. True Love Ways
5. Crying
6. Surfer Girl
7. Darling
8. Guess I'm Dumb
9. Don't Worry Baby
10. Little Saint Nick
11. Fun, Fun, Fun
posted by . at 14:43| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月13日

Matt The Electrician live in Kamakura Autumn 2016 Part 2

DSC013977.jpg

年末進行でバタバタしててこの数週間ブログを書いてる時間が全然なかった。さすがにライヴから三週間も経ってしまうとかなり記憶も薄い。でも、今回観た三公演で最高の出来だったこの最後の夜のことを書かないわけにはいかない。なんとか記憶を辿りつつ書いてみよう。

三連休の最終日だったからなのか、満員だった前日と比べるとちょっとさびしい客の入り。それを反映したかのような若い整理番号のチケットで、前日とは反対側になる最前列の席を確保。友達も一緒だったから、赤ワインのボトルを開けて開演を待つ。

「Accidental Thief」がこの日のオープニング。「毎日同じセットにしないように努めるけど、確約はできないよ」と前の日に言ってたとおり、この日は前日とも、そして初日の新丸子公演ともかなりセットリストを変えてきてくれた。2曲目の「I'm Sorry Hemingway」なんて、たしか僕はライヴでは初めて聴いたはず。

「ジョン・エリオットを知ってる?」とマット。そのタイトルの彼の曲なら知ってるけど。「彼は僕の友達。知らなくても別にかまわないけど」と言いながら、そのジョン・エリオットの曲を歌い始めた。最初のさわりだけ歌って(結構いい曲だったよ)、そのまま自作の「John Elliott」へ。後日、サンフランシスコのソングライターのジョン・エリオットを検索して(検索には相当苦労する名前だ)何曲か聴いてみたけど、悪くない。ちょっと時間ができたらちゃんと腰を落ち着けて聴いてみようかな。

DSC013844.jpg

「僕は煙草を止めたわけじゃない。ただ、数か月の間吸ってないだけ」という説明をしたのはこの日ではなかったかな。「止めるなんて決心するのは大変だからね。でも、たしか最後に吸ったのは4か月ぐらい前かも」と。それが、4月に出るシングル第三弾のB面「I Don't Have Anything To Do With My Hands」の前説。

この日の「It's A Beacon It's A Bell」はいつもとは違ったイントロだった。もう彼のライヴは両手の指でも足りないかもしれないぐらいの回数を観てきているから、よほど普段は演らないような珍しい曲やカバー以外は最初の一音でわかるんだけど、これはいったい何だろうと思っていたところに“Was exactly at the right time”とお馴染みの歌詞が出てきたのはやけに新鮮だった。

友達がリクエストしていた「Water」を挟み、「この曲も先日の結婚式で歌ったんだ」と、ニール・ヤングの「Comes A Time」。これはよかった。こんなのが聴けるとは。

DSC013888.jpg

前半の残りは確か今回恒例の「Crying」や「Got Your Back」などおのろけコーナー。この日は初日の新丸子で着ていた奥さん手製の刺繍入りシャツを着ていて、「これもう見せたっけ?」と何度も背中を見せて笑わせていたね。僕の大好きな「I Wish You Didn't Feel Like My Home」と、去年の来日時にも歌っていたキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で前半終了。

後半1曲目は「Pioneer Bride」。もしかしてライヴでこの曲聴くのは初めてだったかも。と思ってたら、続く「Daydreamer」もたぶん初聴きのはず。前日とセトリを変えようと一所懸命考えてくれてたんだろうな。でも、その次の(これも今回の新丸子/鎌倉では演奏していない)「Muddy Waters」では、途中まで歌ったところで恒例の歌詞忘れ発令。もうこのときは完全に演奏を止めてしまって「今のはテスト」とか言って最初からやり直してたね。

アラスカに行ってきたという話に続けて歌った「Bridge To Nowhere」もおそらく初聴きで、毎回セトリは変えるけどなんだかんだ言って同じような曲ばかり演ってる誰かさんとは違って、この日はかなり懐の深いところを見せつけてくれた。これだから、この人のライヴには何度も足を運んでしまうんだよね。三連休の最後で翌日仕事だからとこの日は敬遠した人たち、残念でした。

「Never Had A Gun」は曲を始める前の試し弾きのときからやけに強いカッティングをしてるな、とは思ってたんだ。そしたら案の定(?)、曲の途中で4弦が切れてしまった。そのまま最後まで演奏したけど、やっぱり4弦なんてメインで使う弦が切れてしまうとさすがに変な音で、最後は苦笑しながらのエンディング。それにしても、1弦とか細いのが切れるのはよく見るけど、あんな真ん中の弦が切れることってあるんだね。

DSC013900.jpg

常連のJさんが弦を張り替えてあげている間、マットはバンジョレレに持ち替えて「Little Hands」を。これもまた珍しい。途中のソロのところまでに弦を張り終えていたJさんに、まだチューニングもきちんとできていないそのギターでソロを弾かせるという無茶振りまでしていた。しかしまあ、ここまでお客さんと一体になるなんて、ゴーティならではの光景だね。

DSC013922.jpg

「次の曲では3弦が切れるよ」と笑わせて(実際にはD StringsとかG Stringsって言ってた)、僕の中では既に名曲認定されている「The Bear」へ。そして、そのまま曲紹介もなしに、たしか前回の来日時にリクエストして歌ってもらった「Lost」が次に出てきたときにはちょっと感動してしまった。

トム・フロインド絡みの逸話を紹介して始めた「Osaka In The Rain」では会場から小さなコーラスが入る。やっぱりこの曲は日本公演では定番で外せないと思ってるんだろうね。こちらもちゃんと応えないと。

この日の昼にマットがインスタグラムに沖縄料理の豚丼の美味しそうな写真をアップしていたのを見たんだけど、ここで前日からリクエストしておいた「Bacon Song」を、「今回の日本ツアーで食べた沢山の豚にささげる」みたいな紹介をして歌ってくれた。途中で歌詞に出て来る「Turducken」の説明もきちんと入れて(七面鳥に鴨を入れて、さらにその中に鶏を詰める料理? 帰って写真を検索してみたけど、ちょっとグロテスク。あんなのがクリスマス料理なんだね、アメリカでは)。

最後は、今回の来日公演で披露してくれた未発売の4曲のうちでは一番の出来なんじゃないかと思う「20/20」で一旦締め、特にどこに行くともなくそのままアンコールへ。最初は、たしかかつてジム・ボジアもこの場所で歌ったことがあったはずの、マイケル・ペンの「No Myth」。子供の頃に好きだった曲って言ってたね。

「一日一回はポール・サイモンの歌を歌わずにはいれない」と、「Papa Hobo」を。彼の歌うポール・サイモンの曲はメドレーに挟み込んだ短いフレーズも含めるとこれまで沢山聴いてきたと思うけど、この曲はたしか初めて。本当に初披露(僕にとっては、ということだけど)の沢山詰まったセットだったな、この日は。

マットがそれで終了しようとしたら、松本さんが「もう一曲」と(超ロングセットだった前日に比べると物足りないと思ったのか)催促。ここで再度バンジョレレに持ち替え、もう最後はこれしかないだろうという「Train」で声を絞り出し、今回の日本公演はすべて終了。

「シリーズのシングル盤を出すたびに来日するの?」と何人ものお客さんが(僕も含めて)マットに質問する場面に遭遇して、そのたびに彼は「いやそれは無理だよ」と答えていたんだけど、今回で確か8回目の来日になるほど頻繁に来てくれている彼のことだから、次もそんなに間を開けずに来てくれることだろう。

DSC013933.jpg


23 November 2015 @ Cafe Goatee

1. Accidental Thief
2. I'm Sorry Hemingway
3. Concerning The Lincoln And Douglas Debates Or Love Found Lost
4. John Elliott
5. I Don't Have Anything To Do With My Hands
6. It's A Beacon It's A Bell
7. Water
8. Comes A Time
9. Crying
10. I Wish You Didn't Feel Like My Home
11. Got Your Back
12. When I Win The Lottery

13. Pioneer Bride
14. Daydreamer
15. Muddy Waters
16. Bridge To Nowhere
17. Never Had A Gun
18. Little Hands
19. The Bear
20. Lost
21. Osaka In The Rain
22. Bacon Song
23. 20/20

[Encore]
1. No Myth
2. Papa Hobo
3. Train
posted by . at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする