2015年08月02日

The Deedees live in Kyoto

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観に行きたいと思うライヴ全部に行ってしまうこの自分の性格はなんとかならないものか。前週に鎌倉で観たパイレーツ・カヌーがあまりによくって、次のツアーが待ち遠しいなぁなんて思っていたけど、よく考えたら今回のツアーまだ終わってないんだ、エリザベスまだ日本にいるんだ、と思うともう居ても経ってもいられず、京都まで日帰りで追っかけることにした。世間的にはフジロックの日曜日に。

事前に調べていたとおり(実はアクセスを調べるのにもちょっと手間取るような、そんなに普段からライヴが行われているような場所ではなかったんだけど)、京都駅からバスに揺られること約40分、地図で見るかぎりは金閣寺からそう遠くない、でもバスを降りたらライヴハウスどころか喫茶店の一軒も見当たらないような、何の変哲もないごく普通の街並みだった。

これは間違えたかなと思いながら道を歩いていたら、これまたごく普通の三階建ての住宅の外階段を上がったところにPapas Door 12Bと書いた小さな看板が。あ、これなの? 思ったより早く着きすぎたのを割り引いても、外には誰もいない。階段のところに並んでようかと思ったけど、並ぶもなにもそんな民家の外階段に一人で立ってたら単なる不審者。中からリハーサル中っぽい音が聴こえてきたので、ライヴがあることだけは間違いなさそうだから、ちょっと安心してその辺をうろつきながら時間を潰すことにした。

ところが、7月末の真昼の京都なんて、とてもうろつけるはずがないと気付くまでに5分もかからなかった。あっという間に汗だく。しょうがないので正面のコンビニに入って汗を乾かしていると、さっきの外階段を誰か降りてくるのが見えたので行ってみる。ああ、ドブロの名手、岩城さんだ。僕が近づいていったら、すぐ気付いてくれた。「ほんまに来てくださったんですね」と。

しばらく話してると、他のメンバーも降りてきた。前週のライヴで一回会っただけなのに、皆さんすぐ思い出してくれて嬉しい。開場時刻の14時になった頃に、メンバーの昔馴染みらしいお客さんも一人現れ、じゃあそろそろ上がりましょうかと皆で会場へ。

まったく普通の家のリビングルーム。キッチンカウンターがあって、オーナーの日向さんと奥さんがその中で飲み物なんかを用意している。カウンターのこっち側にはこないだのゴーティのようにいろんな楽器が所狭しと置いてある。客席側、壁に沿って椅子が確か八脚、床には座布団が八枚。キャパ16名か。たぶん今までに行ったライヴ会場で最小だなこれは。一応最初に来たので、ステージ近くの楽そうな椅子に座らせてもらおう。

開演予定の14時半まで、ぞろぞろとお客さんが入ってきて、ほとんどの席があっという間に埋まる。お客さんの大半はメンバーやオーナーとは昔からの知り合いみたいだね。日向さんは、パイレーツ・カヌー結成前にメンバーの何人かが一緒にバンドを組んでたらしいし、彼らがエリザベスの歌を初めて聴いたのもこの場所だったんだって。メンバーとそれぞれ別々に話していて、皆が異口同音に「ここは思い出の場所なんですよ」と言っていたのが印象的だった。

エリザベスのお父さん、オウエン・ハントとも開演前なのに色々と話させてもらった。セトリを見ながらこれは誰の曲だとかこれは知ってるかとか。いや、かなりディープなフォークソング集ですね。半分もわかりません。「ディーディーズってどういう意味ですか?」「父ちゃんと娘」ああ、そういうことね。

そんな風に会場のあちこちで和気藹々と話の輪ができていたけど、やがて時間になって、そういえばライヴだみたいな感じでおもむろにエリザベスとオウエンがそれぞれアコギを持って座る。オウエンのはクラシックギター。エリザベスのはあまり見たことない不思議な形のギターだったな。

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こないだのパイレーツ・カヌーのとき同様、一曲目は伴奏なしのコーラス曲「Canaan's Land」。見事なハーモニーが決まってほっとした表情のエリザベス。「始まりの合図するの忘れてた」と、歌い始めてから天井のライトの調整をすることになってしまった日向さんに照れながら謝ってたな。ライヴ前にあんなになごやかにお客さんたちと話してたのに、やっぱり緊張してたのかな。

次からも、歌い始める前にオリジナルアーティストと簡単な曲紹介(ときどき歌詞の内容なども)を話しながら進めていく。僕なんかは全然知らないような曲でも、紹介した途端に拍手をするようなお客さんもいて、皆さんやっぱりこういう類の音楽に精通してるんだなあ。オウエンの日本語はそれほど流暢というわけではないけど、ときどき言い間違えたのをエリザベスが補足したりして、それがなんだかいい感じのボケと突っ込みみたいで可笑しかった。

二人で6曲(セトリにはもう1曲書いてあったんだけど、時間の関係か残念ながらそこまで)、最後は僕でも知ってるリチャード・トンプソンの「Withered And Died」で締め。30分ほどの短いステージだった。でも、失礼ながらこの二人だけのこの前半セットがこんなに本格的なものだとは想像もしていなかった。開演前にオウエンが自分たちは素人みたいなもんだからなんて謙遜しながら話してたのは話半分に聞いていたつもりではいたけれど、もう3曲目ぐらいまで聴いて僕は京都までの往復新幹線代の元は取れたと思ったね。

休憩をはさんで、今度はパイレーツ・カヌーの男性陣三名がバックについてのセカンドステージ。キッチンカウンターと壁際に置いてあるピアノとの間に全員が無理やり入ることになるから、なんだか電車ごっこでもしているかのような二列縦隊の不思議なポジション。エリザベスの真後ろにドラムスのヨッシー、オウエンの後ろに各種弦楽器の岩城さん、そのまた後ろにベースの潤さん。それぞれほぼ身動きできない状態で。

うわぁ、やっぱりこのバンドが入ると全然違うな。さっきも書いたとおり、ファーストステージも決して悪くなかった、というか僕はファーストだけでも数万円払って来た甲斐があったと思えたほどだったんだけど、このセカンドステージはそれのさらに豪華版。特に、曲ごとに演奏する楽器を持ち替える岩城さんがすごい(確か、1曲目がドブロ、2曲目がバンジョー、3曲目がマンドリン、あとは何曲目か忘れたけどウクレレも弾いてたし。なんであんなに違う楽器をそれぞれあんなに見事に弾くことができるんだ?)。ところであのウクレレは自作で、日向さんに売ったものを使わせてもらってたんだって。

ほとんどがカバー曲だったけど、後半にエリザベスとオウエンの自作曲を数曲披露。すごくいい曲だったのに、ディーディーズでCDを出す予定もないし、もちろんそれらの曲はパイレーツ用ではないんだって。なんてもったいない。

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自作曲を演ろうとしたときに、イントロを演奏し始めてから歌詞を書いた紙を忘れたことに気付いたエリザベスが笑いながらバンドを止め、お父さんに歌詞カードを探してもらい、再び演奏開始。と思ったら、歌おうとした途端にそれが別の曲の歌詞だったことに気付いて大爆笑、みたいなこともあったな。

セカンドステージはほとんど一時間近くあったかな。最後の方はエリザベスがほとんど一曲ごとにお父さんに「今何時?」って聞きながら進めてたから、よっぽど時間に制約でもあったのかな。結局、セトリに書いてあった残り2曲を残して「これで最後です」と。当然、アンコールの拍手が出る。

「じゃあ最後にもう1曲やります」と言いながら、エリザベスがバンジョーとドブロをそれぞれお客さんに手渡して回る。戸惑いながらもすんなり受け入れる二名のお客さん。きっと、普段一緒に演奏している人たちなんだろうね。そしてエリザベス自身はギターからアコーディオンに持ち替えて、(セトリからは結局1曲飛ばして)ラストの「Goodnight Irene」へ。ろくに練習もしてないのに無茶振りされた二人のお客さんもそれぞれ少しずつのソロを決めて、和やかに終演。

ライヴ中、キッチン内でぐつぐつと煮立っていたカレーがもう夕方の腹にはとても耐えられないほどのいい匂いを放っていたので、終演後はお客さんもメンバーも即座にカレーを注文(鎌倉常連にはお馴染みの、ゴーティ商法ですね)。帰りの新幹線はちょっと余裕を持って遅めのを予約していた僕も、カレーと何杯目かのアルコールを注文し、ひき続きメンバーやエリザベスのお母さんと談笑させてもらった。いろんな裏話みたいなのや楽しい話も沢山あったけど、プライベートな話はどこまで書いていいものかよくわからないので割愛。

お客さんも名残惜しそうにぽつぽつと帰られ、やがて僕と最初に来ていた数名ほどのお客さんになった頃に、僕もそろそろ出ないと新幹線に間に合わない時刻になってしまった。別に僕に気を使って皆さんゆっくりしていてくれたわけじゃなかったんだろうけど、おかげでライヴ前後にも本当に沢山楽しい会話ができたよ。なんだか、ほんの一週間前に知り合ったばかりの友達のホームパーティーに誘われたような錯覚に陥ってしまった。あんな豪華なバンド入りのホームパーティーになんて呼ばれたことないけどね。

「じゃあ、お先に帰ります」と部屋を後にしようとしたら、エリザベスは玄関のところまで見送ってくれたし、ヨッシーはわざわざ階段を下りたところまで来てくれた。嬉しいな。

会場から数分歩いた先のバス停でなかなか来ないバスを待っていたら、道の反対側の駐車場に停めてあった車に戻るハント一家が見えたので、そのまま通りを横切ってまた会いに行ってしまった。なんか個人的な最後のアンコールみたいな感じで、車に乗り込む直前のエリザベスに挨拶して(そのとき彼女が手に持っていたプルーンの種は、捨てようと思って持ってるだけで別に渡そうと持ってきたわけじゃないと、最後の最後までちょっと可笑しな話で締めくくって)最高に幸せな気分のままバスに揺られて京都駅に向かった。

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posted by . at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする