2015年04月22日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2015 (Part 3)

行かない理由なら次から次へといくらでも出てきた。あの最高に盛り上がった東京公演二日目から一日の休みをおいて(こっちは仕事だったけど、ミュージックプラントさんのブログによるとグレンは家族で遊園地に行ったみたいだね)、追加公演の出た4月7日の火曜日。もう行かないと決めたからには行かない。でも、朝からなんだかそわそわと落ち着かなくて、同じく追加公演には行かないと言っていた友達にお昼休みについチャットで話しかける。「グレンもう帰ったよね」。友達「まだ東京にいるような気がする」。僕「グレンはもうロンドンに帰った。グレンはもうロンドンに帰った」。友達「むー」。僕「気になるのう」。友達「うむ」

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そしてその6時間後、当日券と一ノ蔵の枡を手に、僕はまたスターパインズの客席に座っていた。きちんと前売り券を買っていたさっきとは別の友達が仕事を急いで片づけて駆けつけ、「あら、どこかでお見かけしましたっけ」と隣の席に座る。「来ないって言ってたのに、yasさんいい人だね」。いや、別にいい人だから来たわけじゃない。と思う。その証拠に、お昼に話したNさんも遠路はるばるちゃっかり二階席に座っていた。みんな気持ちは一緒なんだよね。グレンがまだそこにいて、自分が絶対に行けないか無理すれば行けるかの二択になったときの答えが「行ける」であれば、ほかにどれだけ行かない理由があろうと、観に行かないなんて選択肢は目の前から消えてしまう。

オープニングは初日の福岡と同じ「Persephone」。続いて「The Elephant Ride」、「Ter-wit Ter-woo」、さらに「Tough Love」と、なんだか一巡して初日と同じセトリなんじゃないかと思ってしまうぐらい既視感、いや既聴感のある選曲(実際には曲順は初日とは違ってたんだけど、その場ではそこまで思い出せないからね)。しかし、さすがに四公演を済ませて、前日に休暇でジェットコースターにまで乗ってきただけあって、指さばきは日曜公演に引けを取らない流麗さ。

ただ、ちょっと声が出てないというか、日曜よりは若干体調悪そうかなと思っていたら、途中のMCで「昨夜は眠れなくて」なんて話してたな。しょうがなくて未明に散歩に出かけてようやく寝られたとのことだったけど、この一週間以上にわたる日本滞在のよりによって最後にきて時差ボケがでてきたのかな。それとも、ジェットコースターで興奮しすぎた? いや、グレンの調子というよりは、僕の主観かもしれないけど、フロアのお客さんが日曜に比べるとかなり静かな気がする(ひとり、ライヴの間ずっと大きな音で咳をしていた人もいたけど)。

レオンのパートは何かそれまでの日に比べて特筆すべきことはあったかな。登場してすぐにアンプから音が出なくて、グレンがあちこちの接続を一つ一つ調べてあげてたのがいかにもお父さんぽくて和んだとか。レオンはイギリスの外で演奏するのは今回が初めてという話だったけど、もうこれで4日目になるし、日本の客の雰囲気もつかめてきただろうから、リラックスして演奏できたかな。正直言って、レオンの曲で楽しめたかと訊かれたら、さすがに三日間同じセットを観るのはちょっとトゥーマッチだったけど、この超英才教育を受けた子がこれからどう成長していくのかを見守っていけるというのは、グレンのファン冥利につきるというかなんというか、ちょっと感慨深いね。

「Up The Junction」でグレン単独パートに戻ってからも、びっくりするほど初日の福岡公演と似たセトリが続く。カバー曲の「Wichita Limeman」とその紹介の仕方まで同じ。まあ、福岡とこの日の両方を観たのは、たぶん僕を含めて3人ぐらいだったろうから、特に問題のある人はいなかっただろうと思うけど(別に僕も問題視していたわけではない。だけど、もうちょっとレアなのも聴いてみたかったという気持ちがライヴ中ずっとつきまとってたのも事実)。

「Dennis」の曲紹介は日曜よりも詳細だったね。スクイーズが最初の解散コンサートをジャマイカだかどこかのフェスで演ったときにビーチボーイズが同じステージにいて、デニスが「君たちみたいな優れたバンドが解散なんてしちゃいけない」って言ってくれたときのことを話してた。グレンがブライアンのことを好きなのは知ってたけど、デニスとそんなつながりがあったなんて聞いたことなかったよ。あとは、「Rupert」がルパート・マードックのことだとも紹介してたね。西洋一の危険な男、とか言ってたっけ。

綴りの不明な「ウェイト」や「You」や「Haywire」といった未発表新曲を挟みながら、比較的冷静にセットが進む。もう僕もこの四日目になると、カポを12フレットにつけたら「Ray」で、13フレットなら「Chat Line Larry」だというのが、イントロを弾くより前からわかってしまうぐらいには馴染んでしまっていたけど、ある意味ちょっと演奏がたどたどしかった福岡公演(福岡だけに行った人、ごめん)のセトリを、一週間かけて練習しなおした指で再演しているなあと思いながら聴いていた。

そんな雰囲気ががらっと一転したのが、「Chat Line Larry」後半のかけあいの後、日曜で学習したのか楽譜台に歌詞カードを貼り付けて持ってきた「Ice Cream」から。それまで拍手はするけど歌うでも叫ぶでもなくおとなしく座っていたフロアのお客さんがちゃんと歌い終えたのを見て、こいつら実は歌える曲を待ってたな、と気付いたのだろうか。続けて「Piccadilly」を弾きはじめた。なんと、いきなりこの難しいやついきますか。結局、これは今回の来日では唯一この日だけ演奏したレア曲となったわけだけど。さっきの譜面台を後ろに投げたり蹴飛ばすフリして「ロックンロールだ」とか言ったりして。

でもみんなたどたどしいながらもがんばって「♪A heart like a gun was just a half of the battle」を一所懸命、できるだけ大きな声で歌ったよ。続いて「Best Of Times」(もうここまで来るとギターソロも冴えわたっていたね)、そして「Black Coffee In Bed」と「歌える」曲を連発。グレンも大声で歌う観客に触発されたのか、ここにきてすっかり本調子に戻った感じ。さあ次は「Annie」かな、と思ってたらそこで本編は終了。ああ、せっかく盛り上がってきたのに。

アンコール。「Pulling Mussels」に続いてレオンを呼び出すグレン。「この曲を一緒に作ったときは楽しかったよね」とレオンに言い、「あのときはね」と返されて苦笑い。「Bongo Bill」だね。そこからの流れは日曜同様。「Goodbye Girl」でのレオンのエフェクターノイズ調整はもう手慣れたもので、この日の方がずっと音楽的(?)だった。一度バックステージに下がり、再登場したグレンが「Another Nail In My Heart」で締めるのも日曜と同じパターン。ああもうこれで充分、と思っていたら、最後に「Annie Get Your Gun」が待っていた。これで最後とばかりに歌う観客。グレンも満足そう。ギターのリフもなんだかいつもと違う感じでアレンジいれまくってるし。


サイン会のグレンは本当にお疲れに見えた。相変わらず飲んでいるのはアダルトウォーターだったけど、もういかにも疲れたので早く休みたいといった風情。ウェズリーもサイン中に飽きてしまってうろうろと歩き出してしまう。しょうがないね、なんでこんなに何百回も異国の文字で自分の名前を書かないといけないかなんてまだよくわかってないだろうし。

サイン会なんだけどさ、本来は物販で売っているCDとかをちゃんと買ってそれにサインをもらうのが筋というものだと思うけど(物販で売っているCDはもう全部持っているからそれ以外のを持参している身としてはあんまり偉そうなことは言えないのはわかってはいるものの)、一人で5枚も6枚ものジャケットやら昔のチラシやらを持ってきて、それらに次々にサインをさせるっていうのはどうなの。長蛇の列に並んでる後ろの人にも迷惑だし、なによりアーティストに失礼だと思うんだけど。機械じゃないんだからさ。

この日は僕はもうサインをもらわず(もともと来ないつもりだったから何も持ってきてなかったし、途中でブックオフに寄って『Ridiculous』を買ってるような時間もなかったから)、サイン会を終えたレオンに「今度はファーストEP持ってきてよ」と言っては苦笑され、グレンには「じゃあまた来年ね!」と言って「え、ああ、そうだね」と「そんなこと思ってもいなかった」という顔をされて、三日間を過ごした会場を後にした。

今、自分では行かなかった京都公演も含めた五公演分のセトリを眺めながらつくづく思うのは、どの日も計ったようにアンコール含めて30ないし31曲(途中で曲を止めたのが2曲あった土曜日の東京だけは合計32曲)、時間にして1時間半ぴったりで終えてること(時間については京都はわからないけど)。ライヴ中腕時計や壁時計を見ていたわけでもないし、同じセットリストを演奏してるわけでもないのに、どうしてこんなに寸分の狂いもなくステージを進められるんだろう。ほんとすごいね、この人。

まあ、すごいと言えば、多少調子のよくない日やちょっとしたミスはあったものの、57にもなってあれだけの演奏と歌をあのテンションで何回も何回も繰り返せるというのは、この人は本当にすごいミュージシャンだと思う。なんだかんだあったけど、この最終日に来てやっぱりよかった。

欲を言えば、その時々でかなり変わる彼の自分内ブームが、もう少し自分の聴きたいものに合致してたらな、とは思ったけどね。最近全然演らないね、と友達と話してた『Frank』からの「Melody Motel」や「She Doesn't Have To Shave」、「If It's Love」、11年の来日時には(その頃のスクイーズ再結成の影響が大きかったはずの)初期スクイーズの「Model」や「It's So Dirty」、09年や06年にはよく演奏していたソロ曲「Hostage」、「By The Light Of The Cash Machine」、「This Is Where You Ain't」、「Neptune」(これは今のクリスとの良好な関係を考えたらもう演らないか)とか、そんなにレアじゃないはずなのに何故か演奏してくれないお気に入りがたくさんあるのにな。次の来日がもし決まったら、日本に来る前に、ストーカーよろしくこの手の曲のリクエストをグレンに送り付けて練習してもらおうかな。「次は4年もあけないように」と、ミュージックプラントさんも言ってくれてるからね。


Setlist: 07 April 2015 @ Star Pine's Cafe Tokyo

1. Persephone
2. The Elephant Ride
3. Ter-wit Ter-woo
4. Tough Love
5. Instrumental (Leon Tilbrook)
6. Living The Dream (Leon Tilbrook)
7. Why (Glenn + Leon)
8. Take Me, I'm Yours (Glenn + Leon)
9. Up The Junction
10. You
11. Dennis
12. Black Sheep
13. Wichita Lineman
14. Rupert
15. If I Didn't Love You
16. Wait (Weight?)
17. Tempted
18. Haywire
19. Someone Else's Bell
20. Ray
21. Chat Line Larry
22. Ice Cream
23. Piccadilly
24. Best Of Times
25. Black Coffee In Bed

[Encore 1]
26. Pulling Mussels (From The Shell)
27. Bongo Bill (Glenn + Leon)
28. Walking Away (Glenn + Leon)
29. Goodbye Girl (Glenn + Leon)

[Encore 2]
30. Another Nail In My Heart
31. Annie Get Your Gun
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