2014年07月13日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 2

DSC009722.jpg

梅雨の合間のものすごい晴天だったんだ、一日中この日は。真夏みたいに。なのに、新宿でちょっとタワーに寄って、マイク・オールドフィールドの『Crises』の旧規格盤が安く出ていればオリジナルを持っていないと言っていたタマスへのお土産に買っていこうなんて思ったのが運の尽き。

結局、高い『Crises』デラックスエディションかスペクトラムからの安っぽいベスト盤しか「Moonlight Shadow」の入っているアルバムはなく、それなら今度自分で選曲してあげた方がマシと思って、何も買わずに開場時刻にちょうど間に合う時間に山手線に乗って原宿駅に着いたら、ホームから階段から改札までものすごい人混み。外は滝のような雨。誰もが改札を出たところで立ち止まってしまっていて誰一人身動きができないような状態になってしまっている。

それでもなんとか人をかき分けて改札を抜け、土砂降りの雨を浴びながら信号を渡る。でもどこにも雨宿りができるような場所がない。しょうがないからもう行ってしまおう。一緒に行った友達が折りたたみの傘を分けてくれたんだけど、そんな小さな傘だと二人の頭部を濡らさないようにするのが限界。全身ずぶ濡れ、脛ぐらいまでの深い川のようになった竹下通りをじゃぶじゃぶと進んだ靴は中まで完全に水浸しの状態でようやく会場のVacantにたどり着いた。

前回(2011年)と違ってこの日は、前の方の席にも小さな箱のようなベンチが置いてあり、靴を脱ぐ必要はなかったんだけど、僕は水浸しの靴を脱いで、その日は終演までずっと裸足で過ごした。ああ気持ちいい。外に靴下を絞りに行ったら、もう雨が上がってるよ。ほんの30分ぐらいの夕立だったの? ああいうのをゲリラ豪雨っていうのか。なんというタイミングの悪さ。あのタワーでの30分ほどが裏目に出てしまった。

そんな酷い天気でも、ほとんどのお客さんは定時に会場入りしていて、大きく開演時間をずらすことなく、前座のクリス・リンチのセットが始まった。この日は最初の2日間同様にクリスがステージ右側。いつも置いてあったピアノはなく、ステージ左側にキーボード。ドラムキットは前日と同じ、バスドラがやけに小さい3点セット。

クリスのセットは福岡とは曲順が違っていたけど、演奏した曲自体は確か同じだったはず。全部で5曲だったかな。1曲目の「Church Steeples & Spires」(福岡での2曲目)がカントリーぽいメロディーと曲調で、これまでのブロークン・フライトのイメージとは大きく違うのが印象的だった。終演後にもブロンがクリスに「あのカントリーっぽい曲いいね」と言っていたな。

DSC009777.jpg

最終日のオープニングは「I’m Sorry That The Kitchen Is On Fire」、そして「England Had A Queen」と続いた。これは初日の福岡公演のセットリストそのままで来るのかなと思った矢先、従弟がバイク事故で骨折したエピソードを話し始め(あの話を聞くのは初めてだったと思う)、「その実話に基づいて書いたんだ」と、「Broken By The Rise」を演奏。これ聴くのはずいぶん久しぶりな気がする(調べてみたら、僕がこの曲を最後に聴いたのは、2010年のシンガポール公演だった)。

続けて、これも今回のツアー初披露となる「Fire Balloons」。僕だけでなく、前日の光明寺で久々に再会したファンの方や、ブロンまでもがこの曲を演ってほしいとタマスにリクエストし続けてきた甲斐があって、ようやくこの最終日に演奏してくれた。というか、僕はこれを数あるタマス・ウェルズの曲の中でも名曲中の名曲だと思ってるんだけど、それが本人にとっては下手すると歌詞を忘れてしまう程度の扱いだということが信じられないんだけど。終演後タマスが僕に「ほら、今日は歌ってあげたでしょ」とニコニコしながら言ってくれたのが忘れられない。

その後のセットはほぼ福岡公演と同様だったんだけど、途中のソロコーナーではこれも今回初となった「Open The Blinds」や、前日の咄嗟のアンコールで急に思い出したのか「Opportunity Fair」を演奏。今回のツアーでのアンコール定番「Lichen And Bees」も早々に出たから、聴いていた限りではセットリストの印象はどの日ともえらく違った。

どこから聞こえてくるのか、おそらく屋根にたまった水がぽつん、ぽつんと、結構大きな音で延々と鳴っていたのが気になった。曲と合わないメトロノームがずっと鳴っているようなもんだから、きっと演奏してる方はもっと気になったことだろう。たぶん、ライヴの中盤ぐらいまでずっと鳴ってたんじゃないかな。タマスも「あれはスペシャルエフェクトだ。楽しんでもらえたらいいけど」なんて冗談めかして言ってたね。

「エスキモーの子どもが誤って友達を殺してしまうストーリーの映画を見て」と話しだしたはいいけど、タマス自身はその映画のタイトルを覚えておらず、「誰か知らない?」とお客さんやメンバーに訊いてみるけどそれだけのヒントでわかるだけの映画通もいなかったようで、そういうどこにも行き着かない話をつい始めてしまうのがいかにもタマス。後でブロンに「あの映画って一緒に観たの?」と聞くと「知らない。きっとマイナーな映画ばかりやってるケーブル局で観たんでしょ」だって。タマス、それは誰にもわからないよ。

「Draper Street」や「Signs I Can’t Read」など、ネイサンがアイパッドとシンセを使って効果音を奏でる曲では、アンソニーがネイサンの隣に行って操作を手伝っていた。アンソニーの本職が実は大学の偉い教授で、ネイサンもアンソニーと一緒に働いているという話を聞いていたので、こと演奏に関してはこうしてネイサンがアンソニーにあれこれ指示を出しているのが、きっと彼らの大学の生徒が見たら不思議な光景なんだろうなとちょっと可笑しくなった(山崎シゲルと部長を連想)。

DSC009788.jpg

今回のツアーでのハイライトだと思っていたその「Signs I Can’t Read」に続けての「Melon Street Book Club」がなかったのが少し期待外れだったけど、後でタマスにそう言うと「セトリ変えろと言ったのは君だろう」と。はい、たしかにそのとおりですね。

本編最後は解説付きの「Valder Fields」と、口笛指導付きの「A Riddle」。そういえば、「Valder Fields」をこうしてライヴ終盤の重要な場所に位置づけたのも今回のツアーが最初じゃなかったっけ。だいたいいつも中盤にぽつんと歌って何事もなかったかのように残りのライヴを続けてたもんだけど、ようやくお客さんがこの曲を一番聴きたがってるというのに気づいたのかな。

アンコールには何を持ってくるんだろうと思っていたら、まずは「True Believers」、そしてメンバー紹介の際にまたアンソニーがいないという定番ジョークみたいなのを挟み、本来のアンコール定番「For The Aperture」。そこで一旦メンバーが退き、さあ昨日同様もう一回最後のアンコールを演ってくれるかなと思っていたら、あっという間に客電が点いてしまった。うー、残念。後で床に置いてあったセトリを見てみたら、ちゃんとそこには「Grace And Seraphim」と書いてあったから、なおのこと残念。

ニューアルバムのジャケットにサインをもらう(本当はこの日にもらったんじゃないんだけど)。「またずっと一緒に居ることができて嬉しい」と、あの綺麗なジャケいっぱいに銀色のペンで書いてくれた。こちらこそ、こんなに長い時間を共有できて、ほんとうに嬉しいよ。でもそのジャケをすぐにビニール袋に入れてしまって、せっかくのサインを滲ませてしまうどんくさい僕。

DSC009899.jpg

アンソニーに「ずっと前に話してた、制作中だというソロアルバムはどうなったの?」と聞くと、「1年半ほど前にいくつか録音はしたんだけど、そこからなかなか進まなくてね」と。「じゃあ、もしそれが完成して、地元でお披露目ライヴをやるってことになったら、メルボルンまで観に行くから」と言ったら、タマス達も(半分冗談めかして)それはいいと。でも、もしそんなことになったら、無理やりにでもタマスにも同日にライヴ企画してもらうからね。さて、次はいよいよメルボルンでタマスのライヴを観るのを実現できるかな。


Tamas Wells Setlist 29 June 2014 @ Vacant Harajuku, Tokyo

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. Broken By The Rise
4. Fire Balloons
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Open The Blinds
11. Opportunity Fair
12. Never Going To Read Your Mind
13. Lichen And Bees
14. Vendredi
15. The Treason At Henderson's Pier
16. Signs I Can't Read
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. True Believers
2. For The Aperture
posted by . at 16:10| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月06日

Tamas Wells live in Tokyo 2014 Pt. 1

DSC00956.JPG

東京初日。当初予定していた富士見が丘教会から急遽変更になった会場の光明寺は、六本木のすぐ近くにこんな閑静な場所があるのかと思うほどの、都会の中のエアポケットみたいな空間だった。直前での場所探しにsinさんが苦労してたのは知ってたけど、よくもまあこんな場所を見つけてきたものだ。

朝10時にポートライナーの三ノ宮駅で懐かしい人と待ち合わせ、その人と一緒に、思いのほか混んでいた新幹線と山手線・地下鉄を乗り継いで神谷町へ。初日の福岡からしとしとと降り続いてる雨がなかなか止まないね。まあ、荷物も少ないし、傘をさすほどの雨でもないから別に気にならないけど。

会場は、お寺。わかってはいたものの、本当にお寺だ。奥の方には仏様の頭が置いてあったりする。ブロンがしきりに言ってたけど、敬虔な仏教徒の多いミャンマーなら、仏様に背を向けて演奏するなんてあり得ないセッティング。この日から参加するアンソニー・フランシスのために、これまでの二日間とは違って右手にピアノ、左手にキーボードを設置。タマスとクリスの立ち位置もいつもとは逆だ。

DSC00958.JPG

前座は前日と同様、n. markことネイサン・コリンズ。曲名は全然わからないけど、多分前日と同じ曲目。最後の曲でクリス・リンチが出てきてアンビエントなギターを添えるところも同じ。ついでに言うとすごくよかったのにやっぱり途中で眠くなってしまったのも同じだった。ところで、確かn. mark名義の音源が4-5曲ほどサウンドクラウドに上がってたと記憶していたのに、いくら探しても見当たらない。こんな検索しづらい名前にしないでほしいよ。

さっぱりと髭を剃って髪の毛も短くしたアンソニーを含めた4人編成で登場。オープニングは「Vendredi」。また今日もセトリ変えてくれるんだ。クリスの弾くこの曲のピアノのフレーズ、ごく簡単なものなのに、微妙なタメというかタイミングがアンソニーやキムとはまた違ってすごくいい。連日同じようなセットで同じようなコメントばかりで恐縮だけど、ほんとにこの人が参加したことでこのバンドの音の幅というか余裕が格段に広がった気がする。

2曲目はクリスがギター、代わってアンソニーがピアノに座り、「The Northern Lights」。ピアノソロで早速心配していたミスタッチが・・・ むう、この先大丈夫かな。このライヴ中はもう絶対彼のことを見てプレッシャーかけるようなことはしないでおこう(事実、僕はまた彼の近くに座ってしまっていたんだけど、お互いもうわかってるから、登場以来すでに一切お互い目を合わせていない)。

彼が参加していないニューアルバムからの曲では、アンソニーはおとなしく下がって、ピアノの裏の方で体育座りしたり楽屋の方に引っ込んだりしていた。一度、どの曲のときだったか、タマスが突然「皆さん、キーボードのアンソニー・フランシスです」と紹介したら、その場にいなかったということがあったね。あれはわざとなのか。お笑い要員フランシス教授。

ネイサンがいつものようにアイパッドで音を操作していたら、タマスが曲間の紹介で「中国ツアーのときに彼がああいう風にしていたら、終演後にお客さんにどうしてライヴ中にメールしてるんだって聞かれてたよ」だって。まあ確かにドラマーがいきなりドラムも叩かずにうつむいてタブレット覗き込んでたらそう思ってもおかしくないかも。

「数年前に(ちなみにタマスはどんな昔の話でも「A few years ago」と言うね)駐車場というロマンティックな場所である女性にプロポーズしたら、『わからない』って返事だったんだ。そのときの経験を基にして書いた曲」といいながら「Benedict Island Pt. One」を演奏。プロポーズの結果はうまくいったと話してたからもちろんブロンのことなんだけど、今回この話をブロンとするのを忘れてたな。

ちょっと「あれ?」と思ったのが、お寺で演奏する話からミャンマーのお寺の話になって、「次の曲はミャンマーで書いたんだ」と言って「True Believers」を演奏したこと。あの曲って日本で書いたって言ってたよね。終演後に早速タマスに聞いてみたら、最初にメロディーを思いついたのが日本ツアーのときで、歌詞を書き上げたのがミャンマーに戻ってからという話。ちなみに前回の記事に書いた、キビダンゴ事件とこの曲を書いた時期はまったく別だったそうだ。たまたま前日この曲を演奏する前にキビダンゴの話をしただけだって。

今回のツアーでのハイライトのひとつである「Signs I Can’t Read」から「Melon Street Book Club」へのメドレー、最初の2日間よりも「Melon Street」を始める前にタマスがやけにじらしてたような気がする。あれはアドリブだったのかな。それにしても、自分が作曲したこの曲をタマスがライヴで弾くのを聞くのはどういう気持ちだったんだろう、フランシス教授。

「僕はお好み焼きが大好きで、日本に来たらいつも食べるんだ。でも今回は、今まで僕には秘密にされていた重要なことを知ってしまった。お好み焼きよりもすごいものを食べさせてもらったんだ。それは、もんじゃ焼き」と笑わせるタマス。僕は大阪人として決してもんじゃがお好み焼きの上だとは思わないけど、もんじゃ焼き好きのオーストラリア人というのも珍しいよね。

DSC00963.JPG

「For The Apperture」みたいな音の厚い曲は、さすがにアンソニーが入ったことで音がよりふくよかになったね。いつもはこの曲ではバンジョーを弾いていたアンソニーはキーボードで参加。最初の「The Northern Lights」での失敗以降は目立ったミスタッチもなく、概ね安心して聞いていられた。ただ、ほかの3人が弾くピアノと違って、ちょっとやっぱりおっかなびっくり弾いてるせいか、アンソニーが弾くときだけはピアノの音が小さかったように思う。

「A Riddle」のときにアンソニーが顔を真っ赤にして照れながらステージ前のマイクのところに立つ。口笛要員だ。いつもタマスが自分でこうやって吹くんだよとお手本を見せる代わりに彼に見本を見せさせて、「でも僕らは口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。口笛要員の立場は・・・

「前回のツアーでは教会で演奏したし、今日はお寺。もしかしたら次回はモスクかな」と笑わせ、そして「最後はマイケル・オールドフィールドの曲」と「Moonlight Shadow」で幕。実は、リハーサルのときにクリスに前日話していたオリジナルを聞かせてあげたんだけど、とても無理と諦められてしまった。でも、もうすっかりクロージングとして定着した感のあるこの曲で、できるだけ凝ったギターを弾いてくれようとはしていたと思う。ありがとうね。

結局、前日のセトリとは1曲目と3曲目が入れ替わって、そこに初日に演った「Benedict Island」を加えただけだったこの日のリスト。アンコールでまずタマスが一人で登場して「Grace And Seraphim」、そこにメンバー全員が加わって「Lichen And Bees」で終了。と思いきや、この日はアンコールの拍手が鳴り止まない。しょうがないのでタマスが再度一人で出てきて、「Opportunity Fair」を歌う。おお、これは今回のツアーでは初。結局、それも含めて全22曲と、今回のツアーでもっとも曲数の多い日となった。

さて、いよいよ明日はこの4日間のツアーの千秋楽。前回の東京公演で使った原宿Vacant。これまでの3日間がとんでもなく異色な場所ばかりだったから普通のハコみたいに思えてしまうけど、あそこも実はかなり気持ちのいい空間なんだよね。さあ、楽しみだ。


Tamas Wells Setlist 28 June 2014 @ Komyoji Kamiya-cho, Tokyo

1. Vendredi
2. The Northern Lights
3. Bandages On The Lawn
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. Benedict Island, Pt. One
8. True Believers
9. The Crime At Edmund Lake
10. Signs I Can't Read
11. Melon Street Book Club
12. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
13. Thirty People Away
14. Never Going To Read Your Mind
15. Valder Fields
16. For The Aperture
17. I Left The Ring On Draper Street
18. A Riddle
19. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
3. Opportunity Fair
posted by . at 09:25| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月04日

Tamas Wells live in Hyogo

DSC00944.JPG

一夜明け、白いご飯に明太子とシラスが乗ったものに牛蒡の天麩羅を添えただけの博多丼なるものを頂いて(日本のご飯は本当においしい)、博多駅で偶然会ったタマス・ウェルズ様ご一行と一緒の新幹線で東へ向かう。会場は、旧グッゲンハイム邸というこれまた古風な洋館。僕が宿を取った三宮から電車でほんの20分足らずの場所なのに、その駅の周りだけがどこか違う時代にタイムスリップしたような錯覚に陥るとても不思議な街に建つ素敵な空間だった。

靴を脱いで中にお邪魔する(ほんとに、他人の家にお邪魔するような感じ)。リビングとダイニングをぶち抜いたような広い部屋の前方に座布団が敷き詰められ、手前側には椅子が20脚ほど並べてある。今日は椅子席でゆっくり観ようかなと思ってたけど、もたもたしてる間に座ろうと思っていた席が早々に埋まってしまったので、いつものとおり前方の座布団席へ。

今日の前座はn. markことネイサン・コリンズ。ステッドファスト・シェパード名義はもうやめたんだって。クラシカルなピアノの弾き語りが30分弱。いや、なめてかかってましたよ僕は、申し訳ないけど。すごくよかった。クラシカルと言っても別にクラシックを演奏するわけではなく、いつもの彼らの音楽(メルボルン・コネクションとかつて僕はここに書いたね)のエッセンスをグランドピアノだけで表現したような感じ。今回のタマスのライヴ、それにこの独奏を聴いて、やっぱりこの人がこの仲間の音楽的な肝なんだと再認識。

単調なフレーズの執拗な反復とそれが徐々に形を変えていくのを観る(聴く)快感。最期の曲ではクリスが入ってアンビエントなフレーズでそれに彩りを添える。正直言って疲れと寝不足で落ちそうになってしまう瞬間もあったけど(後で本人にそう言って謝ったら「ああいう音楽はそういうもんだ」と言ってくれた)、これマジでCD出してほしい。とりあえずサウンドクラウドのやつはDLできるのかな。

そういえば、ネイサンの演奏中に外の庭かどこかから子供の叫ぶ声が聞こえてきて、ふと「Sanctuary Green」みたいと思った。あと、すぐ近くの山陽電車の音がけっこう頻繁に聞こえてくるね。まあそんなに気になるほど大きな音というわけじゃないけど。

休憩後、3人がステージに登場したのが確か8時20分過ぎごろ。楽器の位置は前日と同じ。借り物のドラムキットは当然前日とは違うものだけど編成は同じ。左側にはDiapasonという僕の知らないブランドのグランドピアノ。ネイサンも知らなかったけど、凄くいい音がすると終演後にまたためし弾きして音を確かめていたほど凄いピアノだった。小さく浜松って書いてあったから日本のブランドなんだね。ヤマハと関係あるのかな。

日本に来る前の中国ツアーは四公演とも同じセットだったという話だったから(福岡公演もその同じセット)いくら僕が全部観ることを気にしてくれているとはいえタマスもそう大きく変えてくることはないだろうと思っていたら、オープニングがいきなりニューアルバムからの「Bandages On The Lawn」。ああ、ちゃんとセトリ変えてくれるんだ、嬉しいな。

と思っていたら、間髪入れずに「The Northern Lights」。昨日と全然違うセットだ。その後も、演奏している曲自体はほとんど同じだけど(後でセトリをチェックしたら初日とは2曲が入れ替わってただけ)、受ける印象が前日とは全く違った。

例のキビダンゴを電車に置き忘れた逸話を話しだしたから何を今頃?と思ったら、その話とは何の脈絡もなく「True Believers」を歌い始めた。本人の中では脈絡ないわけでもないのかな。確かこの曲って日本で書いたんだよね。あれがそのキビダンゴ事件のときだったのか。彼の書く歌詞と同じく、皆まで語らず推し量れということなのかもしれないけど、それちょっと難易度高すぎ。まあ、大好きなこの曲を演ってくれたこと自体には何の文句もないけれど。

「For The Aperture」とかいくつかの曲でのクリスの歌伴の演奏が凄い。目立たないけれど結構テクニカルなフレーズを弾いているし、それに加えてエフェクターやボリュームのフェードイン&アウトで、もう僕にとっては何十回も聴いた曲に新たな表情を加えている。今回のライヴでプロデューサー的役割を果たしている(と僕は勝手に想像している)ネイサンとのバッキングは、今のタマス・ウェルズの音楽をライヴで再現するならきっとこうなる、というのをきっちり具現化したような音だった。

部屋に大きな床置きのエアコンは置いてあるけど、たぶん音が邪魔になるせいか、電源が切ってある。なので、これだけの人数が入るとけっこう暑い。それなのに、ときおりふっとそよ風が吹いた気がする瞬間が何度もあった。大好きな曲でタマスが歌い始めた瞬間とかね。演奏後にタマスがギターを下ろしたら、シャツの前の部分が汗でびっしょりになってたね。彼も相当暑かったんだろう。

DSC00952.JPG

前日は吹き抜けの天井がうんと高かったからできなかったようだけど、この日はプロジェクターを使って天井に『On The Volatility Of The Mind』のジャケットとその色違いバージョンを投影していたのが印象的だった。ただでさえ古風な装飾のランプとかが素敵な天井なのに、それにあの不思議な版画が重なったときの一種荘厳な雰囲気はなんともいえない。

「A Riddle」を「ニューアルバムからのシングルカット」と紹介して、「僕は口笛が下手だから皆で吹いてよ」と言って始める。自分で口笛を吹いていると周りの音はよく聞こえないけど、みんなちゃんと吹いてたかな。

それで最後かと思ったら、「次の曲で終わり。マイケル・オールドフィールドの曲」と言って「Moonlight Shadow」を。よっぽど気に入ったんだね、この曲。終演後、クリスに「あの曲のギターソロがいいから、今度演奏してよ。明日ウォークマン持ってきて聞かせてあげるから」と無茶振りしておいた。

アンコールはまずタマス一人で「Grace And Seraphim」。ああこれも嬉しい。ステージ脇で二人がひざまずくように座ってしんみり聴いていたのが印象的だった。そして、二人が参加して前日同様「Lichen And Bees」で締め。

前日の素晴らしかった福岡公演を貶めるつもりは全くないし、福岡で聴いた人をがっかりさせるのが目的ではないけれど、この日は、歌も演奏もセトリもどれを取っても、僕がこれまでに観た11回のタマスのライヴの中でもトップクラスの出来だったと思う。終演後にタマスと話していてそう伝えたらとても嬉しそうにしていた。

でも、「今日のセットリストがそんなによかったなら今回はこれで固定しよう」とタマスが言うのにいやそれは困ると文句をつけたり、僕が「またFire Balloons演らなかったね」とか言ってると、タマスがもう最後に「わかった、明日のセットリストは君に任せるよ」とまで言われてしまった。あのね、僕にそういうこと言うと冗談ではすまないよ、僕の性格もう知ってると思うけど(笑)


Tamas Wells Setlist 27 June 2014 @ Guggenheim House Hyogo

1. Bandages On The Lawn
2. The Northern Lights
3. Vendredi
4. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
5. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
6. The Treason At Henderson's Pier
7. True Believers
8. The Crime At Edmund Lake
9. Signs I Can't Read
10. Melon Street Book Club
11. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
12. Thirty People Away
13. Never Going To Read Your Mind
14. Valder Fields
15. For The Aperture
16. I Left The Ring On Draper Street
17. A Riddle
18. Moonlight Shadow

[Encore]
1. Grace And Seraphim
2. Lichen And Bees
posted by . at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする