2014年06月30日

Tamas Wells live in Fukuoka

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会場のpapparayrayって変わった名前、なんて思いながら下校途中の高校生をよけつつ閑静な住宅街をしばらく歩いてたどり着いたら、その一画だけ時代を巻き戻したようにうっそうと木が茂った古民家だった。いつもタマスのライヴ会場の選択の妙には感心させられるけど、今回もまたすごいところで演るなあ。

小さな庭を抜けて中に入ると、会場にあたる部分は民家の二階の床をぶち抜いた吹き抜けの広い空間。椅子が70-80脚ぐらい置いてあるな。失礼ながら、福岡にタマスを聴く人なんてどれぐらいいるのか全然見当もつかなかったけど、開場時刻からそう長く経たないうちにあっという間に満員になってしまった。

それほど大きなキャパの会場でもないのに、開場から開演まで1時間もある。赤のグラスワインを飲み干してしまわないように気をつけよう。なにしろここに着く前にちょっと腹ごしらえと思って福岡の地酒を二合ほど腹にしまってきたばかりだから(酒も肴も美味しかった)。

予定時刻の8時を15分ほど回ったところで暗転。オープニングはクリス・リンチ。このブログで7年も前に取り上げたブロークン・フライトの中心人物だ。それ以来時々連絡を取りながら、まだ次のアルバム出さないの?なんて話してたクリスと、7年越しでようやく会うことができた。実は、今回のタマスのツアーに彼が参加することを知ったときに、前座でブロークン・フライトとして演りなよ、なんてけしかけてみたんだけど、それがこうして実現して小さく感無量。

フェンダーのテレキャスターにエフェクター類を8個もつないで、一人であの名盤『On Wings, Under Water』の世界を可能な限り再現。そのアルバムからの曲と聴いたことのないおそらく新曲を合わせた6曲ほどのセットで30分ほどの簡素なセット。これはもう少し聴いていたかったな。せっかくそのアルバムのプロデューサーも一緒なんだから、ネイサンにも参加してもらって「A Strange Love」の神経が麻痺してしまいそうな演奏を10分続けるとか、贅沢な妄想が膨らんでしまう。

十数分の休憩を挟んで(なにしろトイレがひとつしかないから大変)、タマス・ウェルズのセット開始。ネイサンが後ろのドラムキット、クリスがさっき立っていたステージ右側、そしてタマスが正面のマイクの前にマーティンを持って立つ。左側にはアップライトピアノ。ドラムキットのところにもノードやら小さなキーボードやらごちゃごちゃ置いてある。

オープニングの選曲にはかなり意表を突かれた。「Friday」こと「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。いつもならエンディングやアンコールに持ってくることが多いこの曲で開始。その後、過去のアルバムからランダムに演奏(いつもなら最後の方に演奏する「For The Aperture」なんかも3曲目で早々に)。「しばらく前にニューアルバムが出たのでそこから何曲か演るよ」と言って「Bandages On The Lawn」を。

イントロもなく歌いだしたのが「The Northern Lights」。うわ、これは嬉しい。前回のツアーでは歌ってくれなくて、封印でもしたのかと思いきや、単に歌詞を忘れたからという理由だったのが、今回はちゃんと覚えてきたんだね(ちなみにsinさんが「あれyasさんがリクエストしたから覚えてきたの?」と後で訊いたら、「そうだっけ?」という反応だったらしいけど)。

「Thirty People Away」など、曲によっては歌詞の背景を訥々と説明してから歌いはじめる。昔からそうだったけど、どの曲のことを説明するかはそのツアーによって違うみたいだね。初期のツアーでは「Friday」や「Reduced To Clear」、しばらく前のツアーは「Signs I Can't Read」を説明してたけど、今回はこれといくつかの新曲についてだった。

前回のツアー以来すっかりレパートリーに収まった「Moonlight Shadow」。たぶんこの日の若いお客さん達もあれがタマスの新曲だと思って聴いてるんだろうな。オリジナルのドラマティックな展開はないし、歌詞やメロディーもところどころ変えてるけど、やっぱりいい曲だしタマスの声に合ってるよね。

ネイサンは主にブラシで簡素なドラムキット(バスドラ、スネア、シンバル)を叩くほか、脇に置いてあるキーボードやiPadや僕の位置からは見えない何かの機械をしきりにいじって、効果音やループを入れ続ける。クリスもギターのボリュームやエフェクターを駆使してそれに応える。これがあるから今回の音は同じ3人でもいつものタマス・ウェルズ・バンドの演奏とは全然違って聞こえるね。

それが最高潮に達したのが、タマスがピアノを弾きながら歌った「Signs I Can't Read」。ピアノ独奏に、曲のイメージどおりの幽玄なバックグラウンドノイズが覆い被さり、そのノイズの中をタマスがふと手を止め、そしてそのまま「Melon Street Book Club」に続けたところは、ある意味僕にとってこの日のハイライトだった。今思い出しても背中がぞくぞくする。

「人間には二面性があって、理性や意思に支配されたところともっと内面から自然に出てくるところ」と説明を始めたとき、ふーん次は何の曲なんだろ、なんて思ってたら、「そういう自然発生的な領域のことをValder Fieldと呼んでるんだ」と。そして、イントロなしバージョンのこの名曲を。当然ここもこの日のハイライト。ハイライト沢山あって申し訳ないけど。

「最後は新しいシングル曲」(へえ、あれシングルという位置付けだったんだ)。プロモーターの河崎さんをステージに呼んで一緒に口笛を吹いてもらう。いつも華やかにライヴを締める「Friday」や「For The Aperture」を前の方に持っていったのは、今後はこの曲がその位置を取って代わるという意味なのかな。この曲、最後どこで手拍子止めるかタイミング計るのが難しいんだけど(笑)

アンコールは「Lichen And Bees」。なんかもうこういう曲を聴いてると旧友に再会したような気持ちになる。これを最初に聴いたのももう8年前になるのか。いや、それにしても本当に今回は磐石の演奏。今までで一番プロフェッショナルな演奏だと思う。申し訳ないけどアンソニーがいないとここまで演奏が安定するのか(苦笑)

終演後にネイサンとクリスが近寄ってきてくれて(というか僕が近くにいたステージに片付けに来ただけだけど)しばらく歓談。7年前に一度会っただけのブロンまで僕のことを覚えていてくれていて嬉しい。ステッドファスト・シェパードのファーストアルバムと、ブロークン・フライトのファーストとEPを持ってきたので両名にサインをもらう。ファースト『On Wings』はさすがにあの美術品みたいなジャケにサインをするのを僕もクリスもためらったので、EPのみに簡素なサインをもらった。

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プロモーターの河崎さんやスタッフの方々とも少し話をさせてもらった。今回のこの満員のお客さんは必ずしもタマスのファンというわけじゃなく、河崎さん主催のライヴであれば観に来るという常連客が多かったようだ(九州のカフェゴーティみたいなもんだね)。逆に、「今回はいつも見かけないお客様がたくさんいらっしゃってました」なんて言われてしまった。

25年ぶりに訪れた福岡で、1年半ぶりのタマスのライヴ。この四夜連続公演のまずは完璧なスタートだった。例によって終演後にタマスにあれこれリクエストして苦笑いされたけど、残り三日間、少しはセットを変えてきてくれるかな。


Tamas Wells Setlist 26 June 2014 @ Papparayray Fukuoka

1. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
2. England Had A Queen
3. For The Aperture
4. Bandages On The Lawn
5. The Northern Lights
6. Thirty People Away
7. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
8. I Left The Ring On Draper Street
9. Moonlight Shadow
10. Benedict Island, Pt. One
11. I Don't Know Why She Burned Up All Those Greylead Drawings
12. Never Going To Read Your Mind
13. Vendredi
14. The Treason At Henderson's Pier
15. Signs I Can't Read
16. Melon Street Book Club
17. The Crime At Edmund Lake
18. Valder Fields
19. A Riddle

[Encore]
1. Lichen And Bees
posted by . at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする