2014年04月20日

Johnny Winter live in Tokyo 2014

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「奇跡の初来日」からわずか1年で再来日、それから2年後の今回、個人的にはこれでもう4度目となるジョニー・ウィンターの来日公演。前3回を観て、内容なんてもう大きく変わるものでもないとはわかっているものの、不謹慎ながらももしかしたらこれが最後かもなんて思って、つい観に行ってしまう。

去年のオープン以来いろんな来日アーティストの公演が行われている六本木EXシアター。僕は今回大江戸線で行ったもんだから、まずあの地獄からの脱出みたいなエスカレーターをひたすら歩いて上り(ミッドタウン側だと秘密のエレベーターで一気に上がれるのに、日比谷線連絡側にはエレベーターないのかな)、そこから更に延々と歩いた六本木ヒルズお向かいという、まあちょっとした徒競走みたいな距離を歩いてようやくたどり着いた。

6時の開演前の5時開場はともかく、4時のラウンジオープンとは何かと思いながら5時20分前ぐらいに着いてみると、それは単に会場のドアが開いて中のカフェに入れるというだけの話だった。別にホットドッグとかスパゲティとか食べたいわけじゃないし、どうせ入場時に500円も払ってプラスチックコップ一杯の飲み物買わされるんだから、わざわざその前に更に500円追加で払ってビールとか飲みたくもなく。そうするとあとは寒風吹きすさぶ中庭で神社のハトのようにじっとうずくまってるか、カフェに続く階段の脇にあるひな壇状の座席で雛人形みたいに座るぐらいしかすることがない。どっちもやってみたけどあまり楽しくない。

毎回律儀に主催者からチケットを買っているせいか、今回はかなりの良席。ギターを弾く手の見づらい右側とは言え、前から2列目。ステージ上に置いてあるベースがほぼ目の前という、結構中央寄りの席。ここの1階フロアはスタンディングにもなるようで、席は立派なパイプ椅子といった風情。1階といっても、このフロアまで降りてくるためには地下3階までエスカレーターで降りてこないといけない。

さてそろそろ本編について書こう。暗転したときに時計を見るのを忘れたけど、確かほぼ定刻どおりに始まったいつもどおりのバンドメンバーだけによるイントロ。左手に黒のストラトを弾くポール・ネルソン、僕の正面にベースのスコット・スプレイ。こちらはヤマハの黒いベース。ドラムスはいつもと違う人だね。見かけエドガー・ウィンターをちょっとふくらませたようなさらさら金髪のこの人はトム・キュリアルといって、リック・デリンジャーのバンドにいた人らしい。最初の来日のときにはMCみたいな人が出てきてジョニーを呼び出したりしてたけど、今回この人がドスの利いた声で紹介したりあおったりしていた。

イントロの途中でジョニーが左手からよろよろと登場。あ、ギターがいつものレイザーじゃないね。なんかレスポールぽい形で全面マホガニーっぽい色のギター(調べてみたら、ディーンというメイカーのカスタムメイドモデルとのこと)。椅子に座って、曲の後半に参加。

いやそれにしても近い。2年前に野音で観たときもかなりステージに近い席だったけど、今回はそれを上回るね。既に不鮮明な幾何学模様と化してしまっているジョニーの刺青はもとより、しわの一本一本やいまだにさらさらの髪の毛まで仔細に見える。ただ、本当に残念なことに、僕の位置からだとギターを弾く手元が殆ど見えない。ギタリストを観たいライヴのときはステージ左手に限るね。まあ、今回のように自分で席を選べないときはしょうがないけど。

ジョニーが弾きはじめたイントロのフレーズでびっくり。1曲目から「Johnny B. Goode」か。続けて「Good Morning Little School Girl」、さらに「Got My Mojo Working」と、定番かつわかりやすいナンバーが続く。最初の頃すこし指がもたついてるかなという場面もあって、ジョニーの表情もちょっと険しかったようだけど、2曲も演奏しないうちにすぐに回復。表情のつかみにくい人ではあるけれど、時折ちょっと微笑すら浮かべながら弾いているようにも見えた。

ほとんどの曲に入る前に自分で曲紹介をするんだけど、まあこれが聞き取りにくいこと。ぼそぼそと早口でしゃべる南部訛。だいたい「次の曲は新しいCDに入っていて」とか「これはハウリン・ウルフの曲で」とか言ってるだけだからなんとかわからなくもないんだけど、僕はこの人と一対一で話したとしたら会話を聞き取る自信ないよ。

いつもに増して、ブルーズ色の薄い選曲だった。中盤、ブルーズマナーの曲もいくつか挟んだものの、べったべたのスローブルーズは1曲ぐらい。あとは、後半に行くにしたがってロックンロール大会。やっぱり日本ではこの方が受けるというのを、これまでの来日で学んだのかな。

「Bony Moronie」から「Jumpin' Jack Flash」、そして「Don't Take Advantage On Me」からいつの間にか「Gimme Shelter」に移っているメドレー、さらに「It's All Over Now」まで演ったところで、何も言わずに急に椅子から立ち上がるジョニー。え?もう終わりなの? そのままポールとスコットに手を貸してもらいながらよろよろとステージを降りていく。そうか、これまでもずっとこの曲で本編終了だったのを忘れてた。

ほかのお客さんもあっけにとられていたのか、なんとなくまばらなアンコールの拍手。それでも、「もう1曲聴きたいかー!」みたいなMCが会場に鳴り響き、お約束どおりジョニーがファイアバードを持って再登場。もうここはお馴染みの展開だろう。まずは「Dust My Broom」でスライドを弾きまくる。

そしてこれもお約束の「Highway 61 Revisited」だなあと思っていたら、これがまたものすごいスピード。スラッシュメタルかと思うほど。まあ指の動くこと動くこと。この人、椅子にきちんと腰掛けたまま指先と口以外もう殆ど動かないんだけど、その両方の指先が本当に信じられないような動きをするね(まあ、残念ながら僕のところからは殆ど見えないんだけどね)。60年間も同じことをやってたら、そこだけは退化しないということか。

ただ、ボーカルの方はもうこの速度についていけないのかもうどうでもいいのか、以前のようにそれなりにメロディーをつけて歌うことはもうやめたようで、ぼそぼそと歌詞をつぶやくのみ。そういう意味ではオリジナルのディラン的でもある。

曲の最後のブレイクあたりでトムがドラムスティックを1本客席に放り投げ、最前列中央の人がそれを受け取ってた。片手スティックのまま演奏を終え、もう1本も大きく弧を描いて客席へ。これも残念ながら僕の座っていたのとは反対方向に飛んでいった。前の来日時のようにジョニーが演奏時に立ち上がることはなかったけど、演奏が終わって立ち上がったあと、歩き出す前にちょこんとお辞儀をしたのは忘れられない。

本編がちょうど1時間、アンコールまで全部終わって1時間半。7時半にはもう解散になってしまった。ビルボードあたりで何かいいのやってればセカンドセットとハシゴできるぐらいの時間だよ。まあ、ドリンク代込みで1万円超えのライヴを観たあとにあえてあそこに行きたいとは思わないけどね。

地下3階のフォイヤーに出てみたら、エスカレーターまで長蛇の列。じゃあトイレにでも行って時間潰すかと思ったら、男子トイレですらこれまた外まで続く長蛇の列。これはひどいね。これって、地下で火災でも発生したら大惨事になるんじゃないの。この建物は耐震構造だから地震があっても慌てないようにって書いてあったけど、この構造と密閉感はたしかにちょっと不安になる。

でもエスカレーターのところまで行ってみると、まあご丁寧に皆さん左側一列に並んで立ってるよ。わずか3階分をじっと立ったまま上がらないといけないほどこちらは疲れてもいないので、右側を歩いて一気に外に出させてもらった。外に出てみると、やっぱり寒いね。4月も後半に差し掛かって、桜ももうすでに散りきっているというのに、なんでこんな気候なんだろう。

今年で70歳だというのに、2−3年前に観たときよりもよくなっている気がするよ。確かに演奏中に立ち上がることはなくなったけど、まああれは儀式みたいなもんだから。どうやら、もしかしたらこれが最後なんて、当分は心配する必要もないかもね。でも、この人とウィルコ・ジョンソンは、それを理由に毎年来日してくれてもかまわないよ。こちらとしてもできる限り会いに行くので。

Setlist 19 April 2014 @ Roppongi EX Theatre

1. Intro
2. Johnny B. Goode
3. Good Mornin' Schoolgirl
4. Got Mojo Working
5. I Don't Want No Woman
6. Black Jack
7. Killin' Floor
8. Bony Moronie
9. Jumpin' Jack Flash
10. Don't Take Adavantage On Me ~ Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[Encore]
1. Dust My Broom
2. Highway 61 Revised
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2014年04月06日

Matt The Electrician live in Kamakura 2014 Pt. 2

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一夜明けた大船は霧のような雨が朝から降っていた。雨に濡れながら近所の大型ブックオフを攻略し(運のいいことにこの週末はCD/DVDが10%オフだったからつい8枚も買ってしまった)、開場時刻のちょっと前に鎌倉の行きつけのお店で友達とアルコールを適度に摂取した後、時間通りにゴーティへ。来ているお客さんも半分ぐらいは昨日と同じ顔触れだね。もうしっかり飲んで来たから今日は最初の一杯でやめとこうと思ってたのに、「今日は安くていいワイン入ってるよ」と松本さんに簡単に乗せられてまた一本買い。

本日の前座はWada Mambo、とてもギターのうまいお兄ちゃんだった。前座って当たり外れあるけど、これは聴いてて気持ちよかったね。しきりに「すぐ終わります」とかなんだかえらく腰も低かったし(笑)。帰りにまたCD一枚買ってしまったよ。サインももらって。なんかほかにもたくさんアクセサリー売ってたね。そっちは僕は買わなかったけど。

マットのライヴを観るのはこれで4回目になるけれど、だいたいいつもしっとりとした静かな曲で始めるよね。この日は奇しくも僕が前回富士で観たときと同じく「The Last Ones Left」で開始。続く「Accidental Thief」のときに、床に置いてあった僕のワイングラスを後ろの席の人が間違って倒してしまうというちょっとしたアクシデントが。曲が終わったときに松本さんが雑巾を持って拭きにきてくれたんだけど、その間を埋めるためにマットがなにやら即興でバンブルビーの曲を延々歌っていたのがおかしくて。

前日、松本さんにカバー曲多すぎと言われたためか、この日は自作曲を淡々と続ける。前半も半分を超えた頃だったろうか、「これまでのところ昨日とは全然かぶってないだろう?」と、なぜか僕の顔を見て訊かれる。セトリもないし適当に歌ってるように見えて、一応曲順とか考えながらやってるのかな。でもそのあと、「ここで1曲、昨日も演った曲を。ごめんなさい」と。別に謝る必要なんてないのに。

それが、前日はレベッカがコーラスをつけていた「Osaka In The Rain」だったんだけど、なんとこの日は自発的にお客さんが一緒に歌いだすという展開に。嬉しそうなマット。途中からはコーラス部分はお客さんだけに歌わせてた。

卒業生代表の女の子がスピーチのときに服を脱いでしまったというのが実話だと紹介しながら始めた「Valedictorian」。これを前に演奏した江津では高校生の女の子が3人観に来ていたけど、この曲を聴いて服を脱いでしまうほどには触発されなかったよ、と冗談を。後ろに座っていた外国人の女性客が日本語でValedictorianの意味を説明してくれていたね。そういえば前日もこの日も、マットのライヴになるとゴーティは結構外国人のお客さんが多い気がする。

前半にはほかに僕が前日にリクエストした「College」も演奏してくれたな。ほかにはこれも一昨年の富士で演ったアーロン・リー・タスジャンの「Summer Of Legs」とか。そして、前半最後は昔ファンだったというキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で締め。

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後半はこれもまた地味に「Arkansas」でスタート。数曲演ったところで、「リクエストされたのでこれを。覚えているかどうかわからないけど」と、「Permanent Record」を歌い始めた。やった、これも僕のリクエストだ(というか、たぶん他にわざわざリクエストしてた人はいなかったように思う)。

ところが、サビのところまで来ると「ランランラララララー♪」とまたしても歌詞忘れ。「たしかこんなメロディーだったよな」と。えー、一昨年リクエストしたときは普通に歌ってたのに。しばらくそのまま同じコードを弾きながら歌詞を思い出そうとして、でも諦めて僕に「コーラスの歌詞わかる?」と。「I saved every little thing」と歌ってあげると、ああそうだったとばかりに残りのサビ部分を歌う。で、二番に移るとまた歌詞が出てこない。うわー、もうその目でこっちを見るのをやめてくれー。俺が悪かった。

結局この日も松本さんが携帯に歌詞を検索して持ってきてくれたので残りは無事に終了。次回からはリクエストしたい曲は自分で歌詞を覚えてくること、というのが今回の一番の教訓。

次の「The Kids」もちょっと歌詞が危うい。でもそれは僕のリクエストじゃないからね、僕のせいじゃないよ。なんとかつっかえつつ歌っていたそのとき、今度は僕の前に座っていた人が誤ってワイングラスを倒してしまい、「このあたりは呪われているんだ」とマットが僕の方を指をさす。うむ、そうかもしれない。なんかこれからも僕の顔を見るたびに歌詞を度忘れしそうで嫌だな。

これも僕がリクエストした「I Wish You Didn't Feel Like My Home」に続け、休憩時間中に他のお客さんがリクエストをしていたのを見ていた「I Will Do The Breathing」を、「この曲は昨日演ったんだけど、リクエストされたから」と演奏。いや、こんないい曲は別に連日歌ってくれて全然かまわないから。誰も気にしないから。

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終盤、Wada Mamboを呼んでギターを弾いてもらう。前日も演奏した「Lullaby Of Birldand」のカバーに続いて、ポリースの「Bring On The Night」。ああこれは嬉しい。かっこいい。さらに続けて二人で演奏した「Train」で幕かと思いきや、最後はまたしっとりと「You And I」で終了。アルバム最後の静かな曲でコンサートを終えることの多い人だね。

アンコール1曲目は珍しい「Divided By 13」。そして、前日リクエストしたけどやっぱり演ってくれなかったなと思っていた「Facebook Friend」をここにきて演奏。やった。歌詞もちゃんと覚えてたし、安心して聴けたよ。

これで終わりかと思いきや、まだ鳴り止まないアンコールの拍手に応えて「Rocky Raccoon」、さらに「Hold On」で幕。こんなにたくさんアンコール演ってくれるなんて。

終了後はまた表で雑談しつつ、最新盤にもサインをもらう。前日の『Baseball Song』には「Play Ball」と寄せ書きしてあったけど、スケートボードを持ったジャケのこのアルバムには「Skate On」と。

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ずっと話してたかったけど、マットもお疲れだろうし、僕も翌朝の便で帰国してそのまま会社行かないといけなかったから、「また来年」とゴーティを後にした。8年目、8回目の来日では今度はどんな日本語を覚えてくるかな。
posted by . at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする