2013年11月17日

Neal Casal & Bruce Hughes live in Kamakura

また運よく東京出張の日程にちょうど重なった、ニール・カサールとブルース・ヒューズのライヴ。ニールはこの日が日本公演最終日で翌日には帰国、ブルースは来日したばかりでこれから日本各地を回ることになるという、ちょうどこの夜、このタイミングでしか実現できなかった組み合わせ。一昨年のジム・ボジアとスクラッピー/ブルース/マット以来の夢の競演だ。

僕はニールのアルバムは近作を3枚持っていただけで、この来日に合わせて予習用に数枚買い足したばかり。知ってる曲は聴けばわかるけど、タイトルや歌詞を覚えるほどには聴き込めていない。ブルースにいたっては、リゼントメンツのCDを何枚か持っているけど、こちらも予習用にソロアルバムを一枚先月聴いただけ。そんな程度の乏しい知識でどれだけ楽しめるかわからなかったけど、こんなのを観られる機会はもしかしたら二度とないだろうと、東京での会議を早々に切り上げ、鎌倉に向かった。

友達に一緒に取ってもらったチケットは比較的いい整理番号だったけど、そんなにわかファンのおっさんが一番前に陣取るのもはばかられたので、正面二列目のベンチシートを確保(ゆったりもたれて座ってられるというのがもっと大きな理由)。周りは見知った顔ばかり。「どうせおかわりするんでしょ?ボトルの方がいいんじゃない?」との松本さんの誘惑に抗えず、赤ワインのボトルを入れて小さく乾杯。

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開演予定の19時半を15分ほど過ぎたところで、物販スペース(?)あたりで知り合いのお客さんたちと話していた二人がようやく楽器のところに来る。ブルースが右側に座り、くすんだ白のフェンダー・プレジションと、ギルドのアコギ。左側のピアノ前のニールは赤いギブソンES339と同じくギブソンのアコギ。まず一曲目は、二人ともアクースティックでブルースの曲から。

一曲ごとにそれぞれの持ち歌を歌い、その都度二人とも楽器を持ち換える。今までこの二人でデュオで演奏したことはなく、この日初めて会ってお互いの曲を覚えないといけなかったなんてとても思えないほど見事に息の合った演奏。もちろん二人とも優秀なセッションマンだから他人の曲に合わせて弾くのはお手のものなんだろうけど、単にスリーコードの曲とかをジャムセッションするのとはわけが違うからね。コーラスも綺麗にハモってるし。すごいや。

当然といえば当然なんだけど、ニールのエレキとブルースのベースという組み合わせが、やっぱり一番しっくりくる。連綿と続くギターソロの繊細なフレーズもよかったけど、なんといってもブルースのベースライン。決して凄いテクニックを使ってるわけじゃないのに、この箇所はこういう音が鳴っていれば気持ちいいなという音をぜんぶ的確に当ててきたり、へえここにこんなフレーズを入れるんだと新鮮な驚きを与えてくれたり、実に雄弁。松本さんがどこかに書いてたけど、本当にまるでベースが歌っているみたい。

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曲自体とヴォーカルは僕はどちらかというとニールの方が好きかな。前半でさっさと披露してしまった「You Don't See Me Crying」(一緒に観ていたN君の生涯ベスト20のうちの一曲だったはず)とかを聴いていると、なんで僕はこの人のアルバムをまだ全部集めていないんだろうと思ってしまう。ライヴ中にブルースも言ってたけど、とても沢山のアルバムを出しているから(客演盤まで入れたらきっと数え切れないほどだろう)、これから気長に揃えていかないと。

なんて思いながら聴いていたけど、本編第二部の最後に演奏したブルースの「People Ask Me」が僕にとってのこの日のハイライト。二年前の横浜のライヴで聴いて知っていた好きな曲だというのもあるけど、途中スローなヴォーカルだけになる部分でニールがソロを入れようとするのを手で制し、その後のギターソロに入るところで「そらここだ、思う存分弾いてくれ」とばかりに場をコントロールするブルース。そしてそれに応えて最高のソロを奏でるニール。確かニールが長いソロを終えようとしたところでブルースが「もうちょっと」と催促してたね。同感。あんなに気持ちいいソロ、終わってほしくなかったもの。

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30分ほどの休憩を挟んだ本編とアンコール1曲で、全部終わったときはもう22時半を回っていたはず。N君は某県までその日中に帰るのをもうとっくに諦めてるし、僕の左右のベンチシート組も二本目のワインボトルを綺麗に空にしたぐらいの長時間ライヴ。きっと、二人の曲のオリジナルバージョンをよく知っていればもっと細かい楽しみ方ができただろうなというのはよくわかるけど、こんなにほとんど何も知らない状態で挑んで、こんなに楽しめたライヴも久し振りだ。

終演後は例によって演者観客入り混じって談笑しているところを、ニールには持参した『Return In Kind』、ブルースにはその場で購入した新譜『Trapdoor』にサインをもらう。ブルースは丁寧に名前も聞いて書いてくれたし、“Keep It Real”ってメッセージも入れてくれた。「この新譜からは今日どの曲を演奏した?」と聞いたら、「1〜3曲目と、あとこれ」と確か5曲目の「Fearless」だって。

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そのブルースの新譜に加えて、取り置きしてもらっていたティム・イーストンの新譜LPとマット・ジ・エレクトリシャンの新譜CD(最近ハイレゾ音源とかに目覚め始めてしまって、どうもCDの音質だと物足りなくなってきてしまった。みんなLP出してくれればいいのに)を購入。ゴーティにはなかなか来られないから、少しでもお金落として行かないと。もうこんな素敵なライヴが観れなくなってしまうと困るからね(笑)。マットのは開演前にBGMで流れてたけど、すごくよさそうだったよ。これから帰って聴くのが楽しみ。

酔いも手伝って帰りの道中きっとしつこいぐらいに友達に言ってたのは、音楽が好きでいて本当によかったと思える瞬間があるよねってこと。ちょうど日本的にはとてつもなく盛り上がっている元ビートルズの11年振りの来日公演を観てもきっと同じように思うんだろうけど(僕の出張タイミングさえ合えばもちろん観に行きたかったんだけど)、その大興行の裏番組でひっそりとこんな贅沢な夜があったことは、ポールのライヴを観た人口の何千分の一の僕たちだけしか知らない。こういう音楽が好きでいて、本当によかった。
posted by . at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする