2013年09月22日

Graham Parker live in Tokyo Pt.3

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さあ、いよいよ最終公演。前日よりもいい整理番号だったけど、前日と同じ四人掛けテーブルの同じ席に着席。友達と二人だったのに、それぞれの隣の席に鞄を置いていいですよと言われた。そうか、どうも自由席スカスカだと思ったら、あまり売れてない公演はこうやってあまり相席にならないようにするんだね。こっちは広々観られていいんだけど、演ってる方はどうなんだろう。

大貫憲章DJも前日とよく似た選曲。前日はあまりしゃべらなかったのが、この日は開演直前になって「盛り上がってくれた方が本人も喜びますので」とのコメント。ああ、やっぱり前日とかさっきのファーストセットとか、客席の反応が薄いことを気にしてたのかな、GP。せっかく前の方にいるから、ちょっと盛り上がってやろうか。

定刻どおり、前日セカンドセットとほぼ同じいでたちで登場。あれ、1曲目は前日と同じ「Watch The Moon Come Down」だ。そして、2曲目もこれまた前日と同じ「Over The Border (To America)」。まさか、昨日と同じセトリ? そんなことはしないよね。

と思っていたら、そこから「ファーストアルバムの曲をいくつか演ろう」と、「Nothing's Gonna Pull Us Apart」、「Silly Thing」と続ける。ああよかった。こうでないと、複数回観に来てる意味がないよ(いちおう「Silly Thing」の歌詞にちょっとだけ掛けてます)。

今回3公演聴いて思ったのが、ディランほどではないけどこの人も結構オリジナルのメロディーを崩して歌うようになったなと。オリジナルでは全然違うメロディーとアレンジの曲が、どれもこれもかなり似かよった感じで演奏されているから、もしオリジナルを知らない人が聴いたら、なんだか一本調子に聴こえてしまうんじゃないかなと勝手に心配してしまう。

おや?と思ったのが、『Deepcut To Nowhere』からの「High Horse」を演奏する前に、「この曲は俺のお気に入りの1991年の『Struck By Lightning』から」と説明したこと。いつもどの曲がどのアルバムからか正確に覚えてるGPにしては珍しいミス、と思ったけど、もしかしたらこの曲、本当は『Struck』のために書かれたのがボツになって、10年後の『Deepcut』で日の目を見たということなのか。それで本人の頭の中では91年の曲として記憶されてるとか。

「『Imaginary Television』はその名のとおり架空の物語ばかりで作ったアルバムだ。そこから、日本人のスノーボーダーを題材にした曲を演ろう」と、「Snowgun」を。ああそれ、そういう歌詞の曲だったんだね。あのアルバムはちょっと深く追っかけるのをさぼってるからな。ちゃんと歌詞探して聴こう。「俺はスノーボードよりもスキーなんだけどね」とGP。

「Waiting For The UFOs」の演奏前には、「これは79年の『Squeezing Out Sparks』の中でいちばん酷い曲」と紹介。はは、そんなことわざわざ言わなくていいのに。途中のコーラスのところではちょっと客席からの歌声も上がったね。もちろん僕も一応歌ったよ。

しばらく前にいつも一緒に集まる友達のために作ったミックスCDに入れた「Life Gets Better」を演奏してくれたのは嬉しかったな。『The Real Macaw』、どうにも評価の低いアルバムだけど、僕結構好きなんだよね。

この回も『Howlin' Wind』からの曲が5曲と一番多かった。18年ぶりに訪れる日本向け特別仕様なのか、それともファーストの曲が最近のお気に入りなのか。まあとにかく、アクースティックセットの最後で「Hotel Chambermaid」を演ってくれたのは嬉しかった。それにしても、ここまでですでに11曲。この前に観た2公演よりもずっとアコギ曲が多かったから、もうこの回はエレキほとんど弾かないのかと思ってしまったよ。

毎回おなじみのギター紹介とともにエレキに持ち替え、「ファーストアルバムのタイトル曲」と言い間違えて(イントロのコードでわかってたから、「サード!」と一応声をかけてあげた)「Stick To Me」へ。これは前日にも演ったね。そしてその次も前日同様の「Lady Doctor」。どうせ前日と同じ曲を演奏するんなら、これじゃなくて「That's What They All Say」とか「Fool's Gold」を演ってくれればよかったのに。

「次の曲はそこに載ってる人にカバーされたんだ」と、前列のテーブルに置いてあったビルボードのパンフレットを指さす。表紙はニック・ロウだ。「俺の『Steady Nerves』の数年後に出た『Pinker And Prouder Than Previous』ってアルバムに入ってる。誰も聴いたことないだろうけど」だって。いやもちろん聴いたことあるけど、それよりなんでそんな他人のアルバムのタイトルとか発表年とか覚えてんの?ほんとにびっくり。

その「Black Lincoln Continental」を演奏し終えた後も、「ニックが来月この同じ会場で演るんだってね、こないだ会ったときに話したよ。ぜひこの曲をリクエストしてくれ。絶対演らないだろうけど」と冗談めかすGP。

本編最後の3曲は、それまでの2公演の本編ラストを再編したような選曲。もちろん4回目の「Discovering Japan」入り。それまでの2公演は本編15曲・アンコール3曲だったのに、この回はここまでで既に18曲。最後だから大奮発してくれてるんだろうな、まさかこのままアンコールなしなんてことはないだろう。

恒例の楽屋に戻るふりジョークを経て、アンコールへ。スタンディングオベーションになったのをきっかけにここからはもう立って聴く。「この曲は今日のセットリストに入ってたんだけど、演奏するのを忘れてた」と、『Don't Tell Columbus』からの「Stick To The Plans」。あんまりアンコール向きの曲じゃないけど珍しいからまあいいか。ほんとは『Don't Tell Columbus』からはもっと他に演ってほしい曲がたくさんあったんだけどね。

そして今回の日本公演の最終曲は、「Local Girls」。ああそうだ、これをまだ聴いてなかった。ほんとに切り札として使える曲がいくらでも出てくるね、この人は。ここでも最後のヴァースで観客コーラス。ようやく最後の最後になって盛り上がった感じかな。GPも満足してくれただろうか。

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この日も終演後にサイン会。よくもまあここまで酷いジャケにできるものだと思って今まで買ってなかった『Live Alone At The Freight And Salvage』を今回の来日に合わせて日本に送っておいたので、それにサインをもらう。どうせなら上の黄色い部分にサインしてくれればいいのに。

ほとんど何もしゃべれなかった前日の反省を活かして、この日はサインをもらいながら少しだけ話を。「フィリピンから観に来たんですよ」「へえ、何時間かかるの?」「4時間」「なんだ、俺は11時間もかけて来たんだぞ」とか。後ろにもずらっと並んでたので、ピートのライヴを観たとかそんな込み入った話まではできず。

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同じく、今回買って日本に届けておいた『This Is Live』のBDにもサインをもらう。真っ黒なジャケにサインしてもらうわけにもいかないからと、中に入っていたチラシの裏側にサインしてもらった。

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そしたら、話してる間に僕が手に持っていたジャケも取り上げられて、BDケースのプラスチックの上からサインしてくれた。消えないように大事に取っておこう。

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頭の形は違うけど、髪型とヒゲが少し似てるのが嬉しい。この人、今回こうして初めて間近で顔を見たけど、普段サングラスをしていて見えない目がすごく優しいんだよね。“怒れる若者”としてデビューするには、道理でサングラスをトレードマークにするしかなかったわけだ。


15 September 2013 2nd Set

1. Watch The Moon Come Down
2. Over The Border (To America)
3. Nothing's Gonna Pull Us Apart
4. Silly Thing
5. High Horse
6. Snowgun
7. Old Soul
8. Black Honey
9. Waiting For The UFOs
10. Life Gets Better
11. Hotel Chambermaid
12. Stick To Me
13. Lady Doctor
14. Blak Lincoln Continental
15. Get Started, Start A Fire
16. Discovering Japan
17. White Honey
18. Hey Lord, Don't Ask Me Questions

<Encore>
1. Stick To The Plans
2. Local Girls
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2013年09月21日

Graham Parker live in Tokyo Pt.2

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前日のセカンドセットの後は久々に会場で再会した友達と日付が変わるあたりまで飲み、明けて翌日。本当はこの空き時間はCD屋にでも行こうと思ってたんだけど、前日のライヴを観ていたときにもう今回の残りの来日公演は全部観ることに決めた。台風もどんどん近づいていたので、下手に渋谷や新宿のCD屋とか行ってる間にずぶ濡れになっても嫌だったから、この日は一日ミッドタウンにたむろすることに決定。

できればまた自由席(ステージ前)で観たかったけど、電話で訊いてみるともうかなり大きな整理番号。前日は比較的席に余裕があったと思ったけど、それなりに客入ってるんだね。しょうがないので初めてのカジュアル席で観ることにした。

ステージを斜め上から見下ろす感じで、比較的見やすくはある。指定席だから開場前に並ばなくてもいいし、ウエイターにサーブされなくてすむのは逆に気楽なんだけど、やっぱりちょっと外様感はぬぐえないね。まあ、3回観るうちの1回だから我慢しよう。でも、ステージ前の席、やっぱり前日と同じぐらいスカスカしてるよ。最前列の四人掛けテーブルなんて二人ずつしか座ってないし。

前日同様、定刻にDJが終わるのと同時にステージにGP登場。薄紫のTシャツと(前日のサイン会のときにかけていた)赤いサングラス以外は、ほぼ前日と同じいでたち。無言で引き始めたイントロは、へえ、こんな曲から演るんだと思った『Deepcut To Nowhere』からの「Depend On Me」。前日もそうだったけど、ウォームアップ風にゆったりとした曲から始めることが多いんだね。

セットリストはまとめて後述するけど、今回の4公演をできるだけ違ったセトリで演奏しようというGPの意志がもっともあからさまに表れていたのがこの二日目のファーストセット(初日のファーストは未見だけど、まさか初回からそんな奇抜な選曲はしないだろうから)。

前日のセカンドセットは、全18曲中12曲が初期の4枚のアルバムから(うち5曲が『Heat Treatment』から)という極端に偏った選曲だったのに対し、この回はファースト『Howlin' Wind』から4曲演った他は、初期から最新作までバラバラな時期の10枚のアルバムからそれぞれ1〜2曲ずつ、しかもあえてこんなのを選びますかというレアな曲ばかり、それとカバー1曲という全18曲。同会場で二日間4回連続なんてシチュエーションでもなければまず聴けないだろうというこのセトリを聴けただけで、やっぱりこの回も来ることにして正解。

2曲目は「ファーストアルバムの中でも俺のお気に入りだ」と前置きして、「Between You And Me」。いいね、僕も同感。もし今回リクエストを募られることがあれば言おうと思っていたリストの4番目か5番目に入っていた曲(一体何曲自分のリクエストが通ると思っていたのか)。もともと飄々とした曲が、こうして弾き語りで歌われると一層あっさりした雰囲気になるね。

「2020年にオリンピックが決まったね、おめでとう」という話を挟むが、客席の静かな反応にとまどうGP。上の席からいえーとか言ってみたけどあんまり聞こえてないね。「どうしたんだ、オリンピックだぜ!ロンドンが決まったときはもう皆で飲み明かして床に転がっていたのに!」みたいなことを言ってたね。「俺はもうホテルを予約したから」とか。ということは、次の来日は2020年か!?

『Songs Of No Consequence』からの「Evil」を演るときに、「このアルバムはフィグズという俺より20歳以上若い奴らと一緒に作った」と話してたな。サイン会のときとかもう少しゆっくり時間があればピートの話とかしたのに。それにしてもこのアルバムからあえてこれですか。「Bad Chardonnay」とか「Vanity Press」とか聴きたかったな。歌い終えたときに「Evilといえばイーヴル・クニーヴル」という話をしてたけど、これまた無反応。まあ、日本で一般受けする話じゃないのもわかるけど、ステージ前で観てる人たちもう少しなんとか反応してあげてよ。

5曲目でようやく前日セカンドとかぶる「Problem Child」が登場。続いて僕がyascd024に入れた曲がやっと出てきた。『Imaginary Television』からの「Always Greener」。さらに続けて、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの「Pride And Joy」のカバー。今回僕が観た3公演でカバーを演ったのは唯一これだけだったね。たしか歌いだす前にこの曲はライヴでは演奏したことがないって言ってたよ。レア。

ハーモニカの代わりにカズーをホルダーにつけて吹いた「Last Bookstore In Town」。『Three Chords Good』からの曲を演奏する前には必ず「この最新アルバムはとあるバンドと一緒に作った(あくまでルーモアとは言わない)」とか「3コードの曲は完璧なんだけど、今から演るこの曲は4コードなのでよくないんだ」とか言ってた。日本盤も出ていないその最新作はあまり誰も聴いてないと思ったのか、意外なほどに新作披露会ではなかったね。今回のセトリを見る限りは、あくまでも過去に出した何枚ものアルバムのうちの一枚という位置づけみたい。

アコギの曲は前日より1曲多い9曲。エレキに持ち替えたときにそのギターを紹介するセリフは昨日と同じ。自分のために作ってもらったギターって言ってたっけ。お気に入りなんだね。この人の自作曲に対するこだわりについては前日分の記事に書いたけど、こうやって自分のお気に入りのギターとかに対する愛着も大きいんだろう。好感持てるなあ。

エレキに持ち替えてから2曲目のファーストアルバムのタイトルトラック、毎日必ず演奏すると言っていた「Discovering Japan」を本編ラスト前に、そして本編ラストにファーストからの定番「White Honey」というクラシックを演った以外は極めてマニアックな選曲の本編15曲。前日セカンドとのかぶりは前述した2曲のみ。

またステージ袖まで歩いて行ってアンプか何かの後ろにこっそり隠れるふりをして、アンコールに再登場。珍しい曲は演り飽きたのか、ここは王道の3曲。おそらく、この回だけを聴きにきた昔のファンにとっては、この本編最後からアンコールまでの流れでようやく待ってましたという感想だったのかも。もちろん僕にとっても、大好きなセカンドアルバムのタイトルトラックや、鉄壁「Soul Shoes」が聴けたのは嬉しかった。

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ファーストセットだからと手を抜かず、この回もアンコール含めてたっぷり1時間20分ぐらいの演奏。終わってステージ後ろのカーテンが開いたときに外がまだ明るかったのがなんだか変な感じ。セカンドセットの準備があるので当然サイン会はなし。さて、ラストセットの開場までの数時間、まだ明るいけど、せっかくおしゃれな六本木ミッドタウンなんかにいるんだから、ワインでも飲みながら時間つぶそうか。


15 September 2013 1st Set

1. Depend On Me
2. Between You And Me
3. Under The Mask Of Happiness
4. Evil
5. Problem Child
6. Always Greener
7. Pride And Joy
8. Last Bookstore In Town
9. I Discovered America
10. Love Gets You Twisted
11. Howlin' Wind
12. Devil's Sidewalk
13. Long Emotional Ride
14. Discovering Japan
15. White Honey

<Encore>
1. Heat Tretment
2. Soul Shoes
3. The Raid
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2013年09月17日

Graham Parker live in Tokyo Pt.1

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9月14日。朝一で家を出て、ファーストステージ開始の直前に六本木にはたどり着いたから、カジュアル席で観ようと思えばできなくもなかったけど、ここはちょっと我慢して予定通り夜のセカンドステージから。なかなかの整理番号だったから、かなりいい席をゲットできた。あちこちのライヴでよく一緒になる人たちもたまたま続きの整理番号だったので、テーブルひとつ仲良く占拠。

大貫憲章のDJ、もっとガンガン煽りながらやるのかと思っていたら、殆ど無言で(レコードに合わせて一人で小声で歌ったりエアギターしながら)淡々と進んでいく。ビルボード仕様か。最初はストーンズとかキンクスから始まって、徐々にGPと同世代のクラッシュとかイアン・デューリーとかドクター・フィールグッドとかへ(GP本人の「Back Door Love」をかけたのは反則じゃないのか)。

開演時刻ちょうどの9時に、最後に回していたディランを終え、「面白い人ですよ」との紹介とともに憲章氏ステージを降り、同時にギブソンのアコギを抱えたGPがステージに上がる。黒いTシャツに黒いジーンズ。靴も黒のスニーカー。トレードマークのティアドロップシェイプのサングラスは濃い青。ギターのヘッドのところに金色と赤の二つのカポをはめているのは、近作BD『This Is Live』の裏ジャケ同様。赤いのは結局最後まで使わなかったけど。

イントロのアレンジが結構変わっていたから弾き始めたときはなんだろうと思ったけど、最初の歌詞でわかった1曲目「Watch The Moon Come Down」。僕の大好きなライヴアルバム『Live! Alone In America』で聴き慣れたこの曲のソロアレンジヴァージョンを、遂にこうして目の前数メートルで今観ているということを実感するたびに背中がぞくぞくする。いま、すぐそこで、GPが歌っている。そんなことがひしひしと身に沁みるライヴなんていつ以来だろう。

どの曲もオリジナルとは相当アレンジが違っていたけど、歌い始めてすぐに、曲によっては弾き始めのコード進行でそれが何の曲かわかる自分が誇らしい。それは別にこの回のセトリが極端に初期に偏ってたからという理由だけではないと思う。自分のセトリはGPが持って帰ってしまって写真を撮る隙もなかったけど、全曲メモってきたので、下に書いてあるセトリで間違いないはず。

相変わらずGPも曲紹介のたびに、「今のは76年のアルバムから。じゃあ次は1年進めて77年のアルバムから演ろう」とか、きっちりどの曲がどのアルバムからかを説明しながら歌う。何枚かのライヴアルバムを聴いてていつも思うんだけど、本当に自分の曲にしっかり愛着があるんだろうね。一回だけ、「『Your Country』、あれは2003年だったっけ」と言ってたけど、発売年は04年。まあ、偉そうにそんなことを書いてる僕も調べてみないと覚えていないから、1年の誤差とはいえそんなことをしっかり覚えてるGPは本当に凄いと思う。

「面白い人ですよ」との憲章氏の言葉に相違なく、曲間のMCであれこれ喋るGP。寿司が好物らしく、ハマチだのマグロだの、寿司ネタの名前がどんどん出てくる。「Squidは何て言ったっけ。イカ? あれを俺はこんな風に生きたまま格闘しながら食べたんだ」と自分の首に絡みつくイカの足を表現しながら話したり。「アメリカ(アラバマって言った?)でも寿司は食べられるけど、日本の寿司は生きたネタで作るから最高だね」と。“Fatty Toro”が一番の好物だとか。

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8曲目の「Hotel Chambermaid」を終えて(この回はほんとに『Heat Treatment』からの曲が多かった)、最初からステージに置いてあったエレキに持ち替える。薄いサーモンピンク色のギルフォード、テレキャスターをちょっとアレンジしたみたいな形の小柄なギター。12フレットあたりにGPと書いてある。ここからハードな曲に入っていくのかと思いきや、「88年のアルバムから演ろう」と弾きだしたのは「Blue Highway」。ああ、いいねえ、このアルバムものすごく思い出深い。大好きな曲。

「今回は4ステージ全部違うセットで演るけど、この曲だけは4回とも歌うよ」と言いながら始めたのはもちろん「Discovering Japan」。この曲とか、ちょっと前に演った「Stick To Me」とか、ギターを弾きながらふと取るポーズがすごく格好いい。この人、170あるかないかみたいな小柄な人なんだけど、ギター持たせるとすごく様になるよね。筋肉びっしりの前腕とか胸板とか、この年で贅肉一切ゼロみたいなのも凄いし。

次の「Don't Let It Bring You Down」では、途中でギターリフを「Here Comes The Sun」に変え(そういえば似ている)、その曲をちょっとだけ口ずさんでまた最後は元曲に戻して終了。

本編ラストの「Don't Ask Me Questions」を終えたのがちょうど始まってから1時間ぐらいだったかな。ステージを降りる振りしてわざとステージの隅っこで隠れたりしているのが可愛かった。形式としてのアンコール。CD聴いててここからB面とか思うのと同じような感じか。違うか。

アンコールはまたアコギで、僕の好きな曲ばかり、まさか3曲も演ってくれるとは思わなかったので大満足。全部で1時間20分ぐらいは演ったかな。ライヴ中何度も「明日もあるから来てくれ」みたいなことを言ってたけど、始まって数曲目でおそらくファーストステージにも来ていたらしい前列のお客さんに向かって「さっきとは全然曲目違うだろう」と言ってるのを聞いた時点でもう僕は既に行く予定のなかった翌日ファーストセットにも行くつもりになっていた。数千円の追加出費? GPの日替わりセットが数千円で聴けるのに、それを聴き逃すなんて選択肢があるか?

終了後、会場でCD/DVDを買った人を対象にサイン会が開催された。僕も持参した『Live! Alone In America』のLP(マニラで買ったやつ)にサインしてもらった。沢山話したいことがあったのに、緊張して殆ど言葉がまともに出てこない自分に腹が立つ。GPはステージではずっとミネラルウォーターを飲んでたけど、このときはビールだったね。あと、サングラスも赤い縁のに着替えてきてた。

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というわけで、今日はここまで。あと数時間後にもうファーストセットが始まる。台風18号がどんどんこっちに向かってくるけど、まあそのことは終わってから心配しよう。ミッドタウンが竜巻で飛ばされることはないだろう。というところまで書いて二日目に繰り出したので、アップできたのが結局今日17日。その後台風がらみでいろいろ大変だったけど、それはまた次の記事にでも書こう。

それにしてもこの回のセトリ、『Heat Treatment』からの5曲を筆頭に(CDにボートラ収録された「Hold Back The Night」含む)、最初の3枚からだけで全18曲中11曲。『Squeezing Out Sparks』まで入れると最初の4枚から12曲。初期の曲も多く演るよと言ってたけど、まさかここまで極端に極初期に偏った選曲になるとは。個人的には「Fool's Gold」と「That's What They All Say」を一度に聴けたのが大収穫。

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14 September 2013 2nd Set

1. Watch The Moon Come Down
2. Over The Border (To America)
3. Fool's Gold
4. Stop Cryin' About The Rain
5. Almost Thanksgiving Day
6. Black Honey
7. Problem Child
8. Hotel Chambermaid
9. Blue Highways
10. Stick To Me
11. Tornado Alley
12. Lady Doctor
13. Discovering Japan
14. Don't Let It Bring You Down
15. Hey Lord, Don't Ask Me Questions

<Encore>
1. That's What They All Say
2. The Raid
3. Hold Back The Night
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2013年09月01日

yascd024 にほんはっけん その後の20年

グレアム・パーカーが来る。78年のルーモアを伴っての初来日はもちろんのこと、93年のソロ公演も観ることのできなかった僕にとっては、30年間彼の音楽を聴き続けてきて初めてのチャンスだ。会場はまあ最高とは言えないけど、文句なんて言ってられない。

日本でこの話題がどれぐらい盛り上がっているのかわからないけど、(日本に限らず)グレアム・パーカーなんてたぶん一般的にはコステロなんかとよく比較されていた初期の数枚のアルバム以降はどんどん忘れ去られてきた存在なんじゃないだろうか。ビルボード4回なんて本当に埋まるのかなとちょっと心配になったりもする(まあ、僕みたいに複数回観るファンもきっと多いんだろうけど)。

93年の来日公演はその年のうちに『Live Alone! Discovering Japan』という、89年の名盤『Live Alone In America』をもじったタイトルのライブアルバムになり、ライヴを観られなかった僕としてはそれは大喜びしたものだ。

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『Live Alone! Discovering Japan』

それからの20年間一度も来日せず、きっと日本のメディアやネットで取り上げられることもほとんどなかったとは思うけど、実際には彼はかなり精力的に活動し続けてきていた。コンスタントに発表されるアルバム以外にも、サイトオンリーの限定ライヴ盤シリーズや何枚も出てくる未発表曲集やベスト盤、クリスマスEPやカバーアルバム、あちこちのレーベルから出てくる発掘ライヴ盤の数々と、全部追っかけるのには相当苦労する量のCDが出ている。今CDラックを見てみたけど、さっきの『Live Alone! Discovering Japan』以前の17年とそれ以降の20年では、最近20年が前半17年の二倍以上の幅になってしまっているよ。

そんなだから、出るCD出るCDほぼきっちり買い続けている僕にとっても、全部をじっくり聴けていないのが実情。初期の発掘ライヴなんて結構どれも同じような選曲で同じような感じだしなーとか贅沢なこと言ったり、最近のアルバムも悪くないんだけどなんか地味、とかろくに聴きもしないで。

こんなことではまずいと、せっかくの来日を機に、前回の来日以降に出たアルバムを集中的に聴きなおしてみることにした。フルアルバムだけでも95年の『12 Haunted Episodes』から去年出た『Three Chords Good』まで8枚。ついでに、それぞれのアルバムから印象的な曲を20ほど集めて、久々のyascdを作ってみることにした。本当は、この8枚以外の未発表曲集とかからも入れたかったんだけど、8枚からだけですでに20曲に絞るのが難しいほどだったからそれは断念。なんだ、最近のアルバムにもしっかりいい曲たくさん入ってるじゃないか。


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『Three Chords Good』

1. She Rocks Me
2. Long Emotional Ride

まずは、去年発表された再結成ルーモアとのこのアルバムからさかのぼっていくことにしよう。ルーモアと袂を分かってからも単体メンバーとはちょくちょく一緒に演ってたから、そんなに仲が悪いという訳じゃないんだろうなとは思ってたけど、やっぱりこうして全員揃うのを見ると感慨もひとしお。ジャケを見ると最初から概ねハゲだったボブ以外もことごとくはげたり白髪だったりするところがもの凄い年月を感じさせるけれど、内容もまたそれなりに円熟味のあるものになっている(グレアムとマーティンの身長差30センチ強というのもこうやって見るとよくわかるね)。

今回の日本公演を終えて帰国したら今度はルーモアとの英国ツアーだというのを聞くと、やっぱりそっちが観たかったと欲が出てしまう。正直言って全12曲中それほどの名曲はなかったと思うけど、今のこのラインアップで初期の曲を演奏するのを聴いてみたい。来年あたり誰かルーモアと一緒に(できればちゃんと立って観られるもう少し安めのハコで)日本に呼んでくれないだろうか。


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『Imaginary Television』

3. Broken Skin
4. Always Greener

10年発表のこのアルバムは、前年の『Carp Fishing On Valium』あたりから色々やりはじめたストーリーテリングの手法を新作アルバムにしてみたという感じだろうか。ブックレットにはそれぞれの曲の歌詞でなく背景のストーリーが書いてあり、それを架空のマスコミが論評しているというような文章がびっしり。まさにアルバムタイトルどおりの『架空のテレビ』。歌詞を全部聴き取れるわけでないこちらとしては、曲とこの文章をそれなりに分離して楽しむしかなく、そういう意味ではちょっと歯痒さの残るアルバムではある。まあ、ちゃんと聴き込めていない自分が悪いんだけれど。


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『Don't Tell Columbus』

5. Love Or Delusion
6. Total Eclipse Of The Moon
7. Somebody Saves Me
8. Bullet Of Redemption

今回の選曲にあたって、07年発表のこのアルバムが一番の難関だった。当初はフルアルバム8枚から2曲ずつ、その他の未発表曲集とか企画盤から4曲ほど選ぼうと思っていたんだけど、全12曲入りのこのアルバムの半分以上が候補に挙がってしまい、ようやくそこから半数に絞ってのこの結果。おかげで、未発表曲とかを入れる案はボツに。間違いなく、この20年間での最高傑作。調べてみたら、このアルバムは日本盤も出たんだね。

逆に言うと、過去5年間に出たアルバムやシングル(と呼べばいいのか、サイトオンリーで発表され続けている単発曲)が、このアルバムのレベルを超えられないでいるという事実がちょっと淋しくもある。まあ、別に才能が枯渇してしまったとか本人にやる気が見られないとかいう話ではないので、またすぐに出るであろう次のアルバム(またルーモアと演るのかな?)を待っていよう。


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『Songs Of No Consequence』

9. Vanity Press
10. Bad Chardonnay
11. She Swallows It
12. Go Little Jimmy

このアルバムのことはかつて少しだけ書いたことがある。主に、このアルバムの後に出たライヴ盤についてだけど。これもまた、2曲には到底絞りきれなかったほどのいいアルバム。ベースを弾いてプロデュースも務めているのが、今年ジム・ボジアと一緒に来日したピート・ドネリー。彼を含めたフィグズのギターのマイク・ジェントとドラムスのピート・ヘイズはこの後もしばらくグレアムと一緒に活動することになる(上に書いた何枚かのアルバム)。

12曲目で全編にわたってハーモニカを吹いているのがG.ラヴだというのが、きっとここ最近で曲がりなりにもメジャーアーティストがこの人のアルバムにゲスト参加した唯一の例じゃないだろうか(昔はスプリングスティーンとか参加してくれてたのにね)。それはさておき、収録曲の歌詞をランダムに並べたこのジャケに惹かれる人はそういないとは思うけど、これはさっきの『Don't Tell Columbus』と並んで、最近のグレアムのアルバムを何か聴いてみようと思う人がまず入るところとして間違いのない盤。


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『Your Country』

13. Queen Of Compromise
14. Crawling From The Wreckage (Revisited)

ブラッドショットレーベル移籍第一弾、04年発表のこのアルバムが、彼の正規盤の中では最も異色作かも。タイトルに掛けているのか、内容はほぼカントリー。正直、僕にとっても一番馴染みの薄いアルバムではある。前作、次作でのピート・ドネリーの替わりにこのアルバムでベースを弾いているのはトム・フロインド。カフェゴーティ絡みのアーティストが多いな。どうせなら、今回グレアムもゴーティで呼んでくれればよかったのに。

このセレクションには入れなかったけど、アルバム中一曲でルシンダ・ウィリアムズがデュエットしてるね。ここにもメジャー級が。14は、言わずと知れたデイヴ・エドモンズに提供したあの曲。ただ、これもまたカントリー調にリメイクしてあるので、あの疾走感を期待するとちょっと拍子抜け。


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『Deepcut To Nowhere』

15. I'll Never Play Jacksonville Again
16. Syphilis & Religion

前作から5年ぶりとなる01年発表、レイザー&タイレーベルからの最後の作品。さっきの『Don't Tell Columbus』もそうだけど、こういうちょっとシリアス系のジャケで来たときの彼の作品にあまり外れはない。きっと5年間じっくり曲を書き貯めていたんだろうなと思える好盤。このアルバムからも、本当は名曲「Blue Horizon」も入れたかったんだけど、それを含んだ最初の選曲だと20曲で80分10秒というCD-Rに入りきらない微妙な感じになってしまったので断念。時間合わせに代わりに入れた16が決して駄曲というわけではないのがこのアルバムの奥の深さを物語っていると思う。


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『Acid Bubblegum』

17. Get Over It And Move On
18. They Got It Wrong (As Usual)

ではこのパーカー史上最もやる気のなさそうなジャケの96年盤はどうかというと、これがそんなに悪いわけではない。ここに入れた2曲をはじめとして、結構初期の名曲を髣髴とさせる激しい曲がいくつもあるし。ベースはルーモアのアンドリュー・ボードナー、ドラムスのゲイリー・バークって誰だっけと思ったら、ジョー・ジャクソンとかと一緒に演ってた人だ。


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『12 Haunted Episodes』

19. Force Of Nature
20. Disney's America

そしてこれが、前回の来日以降最初に発売されたフルアルバム。それまでのデーモンレーベルを離れ、ここからインディーレーベルを転々とすることになる(デーモンをインディーと呼ばなければの話)。スタジオアルバムとしてはこの前作となる92年の『Burning Questions』以来3年ぶり。

『Live Alone In America』以降の名作2枚や、ボートラ(「Substitute」のカバー)入りの日本盤も出た『Burning Questions』とその次の『Live Alone! Discovering Japan』までの快進撃(?)を見ていた身としては、こんなに枯れてどうしちゃったの?というのが当時の正直な感想。でも、今こうして聴き返してみると、しみじみとしたメロディーを持った佳曲が結構揃っている。リンクしたアマゾンでもほぼ捨て値だし、もし買い逃している人がいたら是非にとおすすめしたい。12曲それぞれをイメージしたレトロな写真で構成されたジャケも僕は大好き。


「Don't Ask Me Questions」や「Discovering Japan」が入った初期〜中期のベストアルバムはそれこそ星の数ほどもある人だけど、ちょうどデーモンを離れた時期であるここからの曲はたぶん今までどんな編集盤にも含まれていないはず。それだけに、最近のグレアム・パーカーを俯瞰してみることのできる適当なベスト盤ができたなと自負しているところ。さて、もう2週間後に迫った来日公演では、この時期からの曲もちゃんと演ってくれるかな。
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