2012年10月21日

美ジャケ大賞 - Dylan Mondegreen

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Dylan Mondegreen 『Dylan Mondegreen』

デビュー作でなく、キャリアを積んでからのアルバムをセルフ・タイトルにすることは、そのアーティストにとってどういう意味を持つんだろう。有名どころではビートルズの白いやつがそうだし、サザンオールスターズもデビューして10年以上経ってから(ビートルズのホワイト・アルバムを意識したであろうジャケの)セルフ・タイトル作を出している。ディープ・パープルだったら全盛期前夜のサードアルバムがセルフ・タイトルだし、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドもニコ抜きのセルフ・タイトルはサードだね。有名じゃないところでは僕の最近のお気に入りの一人、ゲイリー・ジュールズも3枚目がセルフ・タイトルだ。

一般的には、ちょっとマンネリがかってきたところで心機一転、初心に戻って「これが私の代表作」という気持ちで自分(達)の名前をアルバム・タイトルにするんだろう。まあ、そのわりには必ずしもそのアルバムがそのアーティストの代表作かというと、やや微妙なケースが散見される気がする。名前負けというんじゃないんだろうけど、やっぱり作る方も聴く方も、セルフ・タイトル=代表作みたいに構えてしまうんだろうか。

09年のセカンド『The World Spins On』から3年振りとなるディラン・モンドグリーン待望の3作目。07年のデビュー作『While I Walk You Home』から脈々と受け継がれる美ジャケの中央に、極力目立たないように薄桃色で記されたDYLAN MONDEGREENの文字が、このアルバムがディラン・モンドグリーンことボルゲ・シルネースの会心の作であることを控えめに主張している。さて、その主張が名前負けしていないかどうか、まず聴いてみよう。

前2作に比べて、若干音が派手というか、いくぶんきらびやかになった気がする。もちろん、前2作もキラキラと爽やかな音だったけれど、今回プロデューサーにイアン・カット(Ian Catt - セイント・エティエンヌ等のプロデューサー)を迎えているというのがこの変化をもたらしているんだろうか。いつも大所帯でアルバムを作る人ではあるけれど、今回もストリングス・セクションやサックス、フルート、果てはスティール・ドラムスまで入ってる(A面ラスト「It Takes Two」ではそのスティール・ドラムスがイントロで効果的に使われている)。

シェルフライフ・レコーズ所属となり、今回がアメリカでの初リリースだというのも、セルフ・タイトルにした理由のひとつだろう。あくまでもこれまでの自分の色は崩さず、でもアメリカ市場でもきっちり受けるように、有名プロデューサーを立てて、派手目の音作りにしてきている。別に迎合しているとかそれがよくないとか言ってるわけじゃない。もっと広く聴かれるべきアーティストだと思うからね。

欲を言えば、ファーストの「That Mortal Kiss」やセカンドの「We Cannot Falter」、「Deer In Headlights」など、彼独特の陰りのあるメロディーの曲が欲しかったところ。極端な言い方をすると、全曲「Girl In Grass」の亜流というか、爽やか一直線の曲ばかりがずらりと並んでいる感じがして、ひねくれ者の僕としてはちょっとひっかかりが少ない。5回ほど聴いた今のところの感想だけどね。

8月8日にシェルフライフからメルマガが届き、200枚限定だというLPを即座に注文したはいいけど、9月26日発売のそれが僕の手元に届いたのは先週の木曜日。航空便なのに。フィリピン、郵便事情悪すぎ。やっと郵便局から連絡が来て「関税がかかっているので払いに来たら渡してやる」とかいうから行ってみたら、関税とやらはたったの40ペソ(80円)だし。そんなはした金で人のLPいつまでも留めてるなよ。

いやそれにしても、手にとって間近で見るとほんとに綺麗なジャケ。これはLPにして正解だったね。ダウンロードコードもちゃんと付いてるし。と思いながらこの週末に近所のショッピングモールにあるCD屋に行ってみたら、予想通り出てるよ、フィリピン盤CDが。350ペソで。

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ダウンロードコードがあるから自分でいくらでもCD-Rに焼けるのに、CD屋でこのジャケ見たら、もうレジに持って行かずにはいられない。丁寧な作りの三方見開きデジパックだし。ユニバーサル・フィリピン、いい仕事するね。ついマサさんみたいなことしてしまった記念に、大小並べて写真を撮ってみた。このアルバムが今年の僕のベスト10に入るかどうかはまだわからないけど、ジャケット大賞とか企画したら、間違いなく一位だね。

渋谷での再来日公演には残念ながら行けなかったけど、マメに彼の全アルバムをリリースしているフィリピンにも足を運んでくれないだろうか。ユニバーサル・フィリピンに直訴してみようかな。


<10月27日追記>
うちの近所のCD屋では、このアルバムがマイケル・ジャクソンとかグリーン・デイとかに混じって店頭新譜紹介コーナーに並んでるよ。一体フィリピンの誰にそんなに人気があるのかわからないけど。
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posted by . at 22:36| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする