2012年06月24日

レコファン下北沢の83枚

2年前の8月22日に「HMV渋谷の110枚」という記事を書いた。その日で20年間の営業を終えた、かのアイコン的CDショップで僕が買ったものについて、若干の感傷を込めて書いたものだ。当時は僕のブログだけでなくあちこちで取り上げられていた話題だし、テレビのニュースにもなったぐらいの大きな現象だった。

それから約2年、僕の知る限りでは一部のブログやツィッターなどで小さく話題になっているだけだけど、僕にとっては別の意味でHMV渋谷と同じぐらい重要なCDショップが本日その生涯を終えることになったので、この記事を書くことにした。題して「レコファン下北沢の83枚」。中途半端な数字だけど、最後の買い物に出かけた昨日買ったものを足すとたまたまそうなった(どうしても3枚落とせなかった)。

HMV渋谷記事のコメント欄に僕は「僕がよく利用するCD屋であるディスクユニオンやレコファン、それからNZ時代のリアル・グル―ヴィーでは僕はほとんど中古ばかり買っていますから、こんな風に何年に何を買ったという記録をつけても、ちっともそれがその時代を写す鏡になり得ないのです」と書いた。確かにそれはそうだけど、今回この83枚のリストを眺めてみると、「新譜をどこよりも安く売るレコファン」と「大量に中古を揃えるレコファン」という、このチェーン店の二つの顔を僕はフル活用していたんだなと改めて思い知った。HMV渋谷で買ったものほどその年を象徴しているわけではないけれど、僕にとってその後ずっと重要な位置を占めるアルバムが沢山。


<1988年>

1. Sting 『...Nothing Like The Sun』
2. Don Dixon 『Romeo At Julliard』
3. Morrissey 『Viva Hate』
4. Billy Bragg 『Help Save The Youth Of America』

mona lisas sister.jpg
5. Graham Parker 『The Mona Lisa's Sister』
6. The Beatles 『Past Masters Volume 1』
7. Scritti Politti 『Boom! There She Was』


88年は僕が東京に移り住んだ年。自分の生活に大きな変化があった年なので、この頃に聴いたアルバムはどれも思い出深いね。最近自分内でブーム再燃のモリッシーもこの時がソロ活動の開始だったし、僕がグレアム・パーカーのアルバムを本格的に聴き始めたのは実はこのアルバムが最初だった(この後、自分内大ブームが来ることになる)。


<1989年>

people who grinned themselves to death.jpg
8. The Housemartins 『The People Who Grinned Themselves To Death』
9. The Pogues 『Peace & Love』


自分内大ブームといえば、この前年にFMでライヴ放送を聴いて大ファンになったハウスマーティンズもこの時期にまとめ買いしている。まとめ買いといってもオリジナルアルバムは2枚しか出ていなかったから、解散記念に出した2枚組ベストの他に、12インチや10インチのシングル盤や、各メンバーがバラバラと出した別ユニットのレコードなども小まめに買い集めたな。別ユニットの中では当然のごとくビューティフル・サウスしか生き残らなかったけど。


<1990年>

10. John Wesley Harding 『It Happened One Night』

この年には1枚しか買ってないね。しかもこのアルバムは後に拡大版『It Happened One Night & It Never Happened At All』として再発されたので、そのとき売っ払ってしまった。


<1991年>

11. Billy Bragg 『Don't Try This At Home』
dont call me buckwheat.jpg
12. Garland Jeffreys 『Don't Call Me Buckwheat』


この年まで今とは駅の反対側になる北口を出てしばらく歩いた商店街のはずれの建物の2階にまるで隠れ家のように居を構えていたレコファン下北沢店のことを僕が一番鮮明に思い出せるのは、このガーランド・ジェフリーズ久々のアルバムを買ったときのこと。店に入るとこのアルバムがBGMとしてかかっていて、聴いたことのないガーランド・ジェフリーズのアルバムだ!と思って即座にレジに直行し、在庫がないというのでそこでかかっていたそのCDをそのまま売ってもらったんだった。懐かしいな。


<1992年>

13. Guns n' Roses 『Appetite For Destruction』
14. Graham Parker 『Sweet Home Chicago』
15. Neil Young & Crazy Horse 『Weld』
16. Ian Dury 『New Boots & Panties!!』
17. Little Village 『Little Village』
18. Beautiful South 『0898』
19. Bruce Springsteen 『Human Touch』
20. Bruce Springsteen 『Lucky Town』
21. Squeeze 『A Round And A Bout』
bed.jpg
22. Five Thirty 『Bed』
23. Billy Bragg 『Sexuality』
24. Nils Lofgren 『Crooked Line』
25. The Who 『Tommy The Movie』
26. Brinsley Schwarz 『The New Favourites Of...』
27. Peter Gabriel 『Us』
28. Paul McCartney 『Unplugged - An Official Bootleg』
29. Neil Young 『Harvest Moon』
30. Neil Young + Crazy Horse 『Ragged Glory』
31. Queen 『Magic Tour Live』 LD


前年まで年に1-2枚しか買っていなかったのに、この年いきなり19枚も買っている理由の一つは、南口店がオープンしたこと。南口といっても今のレコファンがある場所じゃなく、本多劇場近くの小田急線沿い。店の場所を正確に覚えていないんだけど、あの場所今は何になってるんだっけ。元の下北沢店はそのままの場所で下北沢北口店に名称変更。この19枚のうち11枚を僕は南口店で買ってるね。やっぱり駅から近かったのが大きい。

僕にとって重要なアルバムが何枚もあるけど、この年を代表するものを1枚と言われたらやっぱり画像を載せたファイヴ・サーティーの『Bed』かな。この人たちもこのアルバムを聴いて大好きになり、シングル盤とか後のポール・バセットやタラ・ミルトンの関連アルバムまで小まめに集めたものだった。


<1993年>

32. Queen 『Live Killers』
33. Bob Dylan 『Hard Rain』
34. Bob Dylan 『Blood On The Tracks』
35. Paul Weller 『More Wood』


この年の2月に僕は東京を離れて15年に亘る海外生活を始めている。出張で東京に来たときは主に渋谷や新宿で買い物をしていたから、下北まで足を延ばす回数はぐっと減ってしまった。ポール・ウェラーの日本企画盤以外は全部所謂過去の名盤みたいなのを中古で買っているだけだね(全部北口店にて)。そして、この翌年の94年には僕はレコファン下北では一枚も買っていない。


<1995年>

36. Nova Mob 『Nova Mob』
37. Dave Edmunds 『Riff Raff』
38. Garland Jeffreys 『Hail Hail Rock 'n' Roll』
12 haunted episodes.jpg
39. Graham Parker 『12 Haunted Episodes』


さっきからタイプしてて気づいたんだけど、どうも僕はガーランド・ジェフリーズやグレアム・パーカーのCDとなるとこの店でよく買っているな。グレアムは僕が本格的に聴き始めた『Mona Lisa's Sister』や『Live Alone In America』あたりから既にそれまでの熱いロックンローラータイプから渋めのSSW風のアルバム作りにシフトし始めていたんだけど、もうこの頃になるとかなり枯れた趣。上3枚は北口店、写真のアルバムを南口店で同日に購入。


<1998年>

40. Marshall Crenshaw 『The 9 Volt Years』
premonition.jpg
41. John Fogerty 『Premonition』
42. The Beach Boys 『Smiley Smile』


96年・97年はゼロ。98年はすべて南口店でこの3枚を一日で購入。もうこの頃には僕にとって下北沢というのはそれほど縁の遠い街になってしまっていたということか。タイトルを書いていてジャケが思い出せなかったけど、ジョン・フォガティのこのライヴ盤、結構よく聴いたよな。

そして、翌99年から僕が帰国する07年まで、レコファン下北沢での購入はぴったり止んでしまっている。その間に、あの懐かしい北口店はいつの間にか店を畳んでしまって、南口店は南口2店として今の場所(駅から遠くなってしまった)に移転。僕にとってのレコファン下北沢の失われた10年だ。


<2008年>

43. Dreamboy 『Dreamboy』
44. Grin 『1+1』
45. Low Season Combo 『Low Season Combo』
46. Golden Smog 『Blood On The Slacks』
lamour demure etc.jpg
47. Biff Bang Pow! 『L'amour, Demure, Stenhousemuir』
48. Youssou N'Dour 『Rokku Mi Rokka』
49. I Am Robot And Proud 『Uphill City』
50. Teddy Thompson 『A Piece Of What You Need』


前年暮れに日本に戻ってきて、以前と同じく小田急線沿いに住むことにしたので、僕の下北沢詣での日々が復活することになった。中古盤と新譜のほどよいミックス。前にyascd012に入れたロウ・シーズン・コンボ以外にはそれほど聴き込んだといえるアルバムはないことに気づき、10〜20年前と比べて買う枚数は増えたけれど1枚1枚にかける時間と情熱がそれだけ減ってしまっていることを反省。

そんな中でもよく聴いたそのロウ・シーズン・コンボのファーストアルバムでなく、あえてビフ・バン・パウ!のこのベスト盤を載せたのは、地味なこげ茶色のジャケでなくこちらのジャケ写を載せて少しでもブログを華やかに見せようという作戦。

ディランの『Blood On The Tracks』をもじったゴールデン・スモッグの『Blood On The Slacks』(『血の轍』ならぬ『ズボンに血』)を、僕がそのディランのアルバムを買ったのと同じ店(正確には移転してるけど)で15年後に買った偶然に今回リストを見て気づいたのがちょっと嬉しい。


<2009年>

51. Owsley 『Owsley』
52. Tom McRae 『King Of Cards』
53. Midlake 『Bamnan And Silvercork』
54. Bananaskin 『Countryside Has Opened My Tired Eyes』
55. Dungen 『Ta Det Lugnt』
56. David Mead 『Indiana』
57. Matthew Sweet 『To Understand - The Early Recordings Of』
58. Owl City 『Of June』


全て中古。これ全部で計5605円。前年のロウ・シーズン・コンボもそうだったけど、ここでのバナナスキン(フィンランド)とかドゥンエン(スウェーデン)とか、この頃の僕は北欧づいていたというのがよくわかるリスト。後にザキヤマ扱いされるデイヴィッド・ミードのCDもここで初めて買っている。


<2010年>

Them Crooked Vultures.jpg
59. Them Crooked Vultures 『Them Crooked Vultures』
60. Squeeze 『Spot The Difference』
61. Bruce Springsteen & The E Street Band 『London Calling Live In Hyde Park』 BD
62. The Futureheads 『The Chaos』
63. Wyatt / Atzmon / Stephen 『...For The Ghosts Within』
64. Various Artists 『Short Circuit Live At The Electric Circus』
65. Bon Iver 『Blood Bank』
66. The Derek Trucks Band 『Roadsongs』
67. Brian Wilson 『Reimagines Gershwin』
68. Paul Weller 『Heavy Soul』


ゼム・クルーキッド・ヴァルチャーズとかスクイーズとか、当時このブログで取り上げたアルバムが並んでるね。中古も何枚かあるけど、この年は比較的たくさん新譜をここで買ってるな。


<2011年>

69. Huey Lewis And The News 『Soulsville』
70. Department Of Eagles 『Archive 2003 - 2006』
71. Panic! At The Disco 『Vices & Virtues』
old magic.jpg
72. Nick Lowe 『The Old Magic』
73. Everybody Else 『Everybody Else』
74. Peter Blegvad & Andy Partridge 『Orpheus The Lowdown』


このニック・ロウのアルバムを買ったのは、パワーポップ・アカデミーの日だったな。おばさんジャケにはいまだに慣れないけど、その前月に観たライヴ共々、いい内容には満足。ピーター・ブレグヴァドとアンディ・パートリッジのこのアルバム、元はいくらだったのかわからないけど、僕が買ったときには1080円の値札に赤い200円引きのステッカー、更に店内あげて200円引きセール中だったから、新品なのに680円という嬉しいお値段。レコファンって、しょっちゅうこういうセールやってるからつい足を運んでしまうんだよね。


<2012年>

75. Elvis Costello & The Imposters 『The Return Of The Spectacular Spinning Songbook!!!』 CD+DVD
bongos over balham.jpg
76. Chilli Willi And The Red Hot Peppers 『Bongos Over Balham』
77. Chris Von Sneidern 『The Wild Horse』
78. The Sportsmen 『Spirited』
79. Peter Blegvad 『The Naked Shakespeare』
shes about to cross my mind.jpg
80. The Red Button 『She's About To Cross My Mind』
81. Tim Easton 『The Truth About Us』
82. Jamie Cullum 『Catching Tales』
83. Del Amitri 『Twisted』


このコステロのDVD付きライヴアルバムをゲイリー・ジュールズとジム・ビアンコのライヴに行く前に立ち寄って買ったときには、まさかそのわずか3か月後にはこの店が閉店してしまうなんて思いも寄らなかった。

そして昨日。久しぶりに訪れた下北沢南口店には、「6/24(日)最終日! いよいよ最終章!」というポスターが所狭しと貼ってあった。恒例の200円オフセール中だ。もう長いことこの店で全ての棚をじっくり観るということをしていなかったけど、最後だからと思って、1階の新入荷コーナー、2階に上がって中古新入荷コーナー、通常コーナーをAからZまで、そして100円〜コーナーもくまなくチェック。2時間ちょっとで収穫は8枚。計5485円というのはまずまずかな。結構珍しいものや前から欲しいと思ってたのもうまく買えた。前年に引き続いてピーター・ブレグヴァドのアルバムをまたこの店で購入(プロデューサーがアンディ・パートリッジだという偶然も)。

下北にはまだユニオンもフラッシュもイエローポップもドラマもあるけど、まさかこの街からレコファンが真っ先になくなってしまうなんて、最終日の今日になってもまだ信じられない。なんだかこれでまた自分の足が下北から遠ざかってしまいそうな気がするよ。本当に残念。

SN3M0074.jpg

長い間ありがとう。渋谷BEAM店への統合という無理やりな理由をサポートしてあげるために、これからはもう少し頻繁にBEAM店にも通うことにするよ。


posted by . at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。