2012年06月17日

フジロック勉強会と称して

違法ダウンロード法が成立するとかで、僕がよく行くネット界隈やツィッターではえらく騒がしい。僕は合法だろうが不法だろうがダウンロードして音楽を聴くことにはあんまり積極的でないし、コピーガードのかかっていない普通のCDを普通にリッピングするのはどうやら今のところ違法にはならないようだし、DVDのコピーなんて面倒なこともしていないし(買ったDVDを観る時間すらないというのに)、まあどちらかというとどうでもいいやと醒めた目で見ているところ。でもこれで音楽業界の思惑通りに違法ダウンロードが駆逐され、CDがどんどん売れだして、渋谷や新宿に昔みたいに沢山のCD屋さんが林立するようになれば嬉しいな(棒読み)。

冬至と夏至が近づくといつも某県某市のHさん宅に集まってその年のベストアルバムとか夏のCDとか色々お題を設けては各々の好きな音楽を聴かせあういつもの仲間たち。今回はフジロックに出演するアーティストのCDを予習するために集まり、夜通し聴かせあうことになった。僕のカレンダーでいうと、先々週デリーから戻ってきて先週オークランドに出発するまでの72時間内の話。僕は今のところフジに行く予定はないんだけど、そういう面白そうな企画に乗らないわけにはいかない。他のメンバーが持っていないCDを持って行って貢献できるしね。

「余興として“私のコステロ5曲”やりましょう」。メールで予定のやりとりをしているうちに、N君がこんなことを言い出した。「縛りは一切ありません」とは言われたけど、縛りなしで好きな5曲なんて到底選べないから、またいつも通り自分で勝手にルールを作って、私的利用のためにCDをリッピングしてCD-Rに焼いて持って行くことにした(違法ダウンロード法成立前の話ですからお構いなく)。

もうこうなったら自分が行くか行かないかわからないフジの勉強会よりも、そっちの方が楽しくなってくる。なんとか5曲に絞り込んで、順番もちょこちょこと入れ替えたり。たった5曲だけど、せっかく頭をひねった選曲なので、ここに載せておくことにした。yascdなんて名前を付けるほどのものでもないけれど、去年のクリスマスも5曲でこのカテゴリーに入れたので、これも久々のyascdカテゴリー記事にしておこうかな。でも、いつもみたいに延々と解説するのはやめて、さらっとね。

今回自分で勝手に作った縛りは、ライヴ録音。しかも、5曲とも違った録音を別々のアルバムから、できれば違うスタイルで選んでみようと。違うスタイルというのは、アトラクションズと一緒とかソロでとかそういうこと。そういう“別スタイル”で演ったライヴ盤では、ビル・フリゼールとの『Deep Dead Blue』とか、メトロポール・オルケストと一緒の『My Flame Burns Blue』とかがあるけど、のそれらのアルバムからはどうしても選べなかった。やっぱり僕にとってのコステロは「あの頃の」コステロだから。


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1. Everyday I Write The Book
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ
『Punch The Clock (1995 Edition)』

まずは、これだけは誰かとかぶるのを覚悟で、83年の『Punch The Clock』の95年にボートラ満載で再発された盤から、当時のシングルカット曲の82年のライヴ録音を(ややこしい書き方で恐縮)。僕にとっての「あの頃の」コステロ。彼自身が何度も嫌いなアルバムとして挙げているこのアルバムを代表する派手なシングル曲が、ランガー&ウィンスタンリーがプロデュースする前はこんなごく普通の初期のコステロ節だったということにちょっとした目からウロコ状態。ちなみにこのアルバムは僕が最初に入手したコステロのアルバムで、コステロ自身が嫌いであろうとなんだろうと、僕にとっては一番思い入れが強い(一番好きというわけではないけれど)アルバム。

後述する03年の2枚組再発版からは、このトラックはあまりにもローファイな録音のため、カットされてしまっている(かわりに同じスタイルで録音したデモ録音を収録)。まあ確かにきちんとした録音じゃないけど、82年のコステロのライヴなんてこの1曲だけじゃなく全部通して聴いてみたくなる勢いのあるいい演奏。中途半端にボートラの収録されたこの95年版は、今となっては上にリンクしたアマゾンのマーケットプレイスでは200円ほどで入手可能みたいだね。


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2. Worthless Thing
エルヴィス・コステロ
『Goodbye Cruel World (1995 Edition)』

続いて、こちらもコステロ曰く「最悪のアルバム」から、そのアルバム収録曲のアコギ弾き語りバージョンを同じく95年版に収録されたものを。今となってはソロでのツアーは特に珍しくもなくなったけれど、どうやらこの84年のアメリカでのツアーがコステロにとっては最初のソロツアーだったようだね。

コステロがこの83〜84年のアルバムを毛嫌いしているのは、80年代を色濃く反映しているクライヴ・ランガー&アラン・ウィンスタンリーのプロデュースした音のせいなんだろうけど、こうしてバックの音を全部取っ払って素のメロディーだけを聴いてみたら、この当時のコステロが作っていた曲がどんなに素晴らしいものかがよくわかるといういい見本。


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3. The Angels Want To Wear My Red Shoes
エルヴィス・コステロ&スティーヴ・ナイーヴ
『For The First Time In America』

96年にコステロがキーボーディストのスティーヴ・ナイーヴと二人でアメリカツアーをした時の記録がこの5枚組ボックス。極初期のアトラクションズとのニューウェーヴ色満載な曲からこの当時(アルバムでいうとブロドスキー・カルテットと共演するぐらいにまで振幅が広がっていた頃)のしっとりとした曲まで、二人のギターとピアノだけで聴かせるという名盤。5枚組といってもそれぞれがミニアルバム程度の短さだし、中古でも結構手頃な価格で入手可能なようなので、興味のある人は是非どうぞ。

僕が初めてコステロのライヴを観たのは87年暮れのコンフェデレイツとの日本ツアー(前座はニック・ロウ!)。まずステージに一人で現れたコステロがアクースティック・ギターで奏で始めたこの曲のメロディの鮮烈さにどれだけ心を奪われたことか。思えば、当時から今に至るまでグレン・ティルブルックやジム・ボジアがバンドで録音した曲の骨格を自らアコギ一本でステージで披露するというマジックに僕がこれほどまでに惹かれるのは、あのときに聴いたコステロのこの曲がきっかけだったように思う。この録音はそれをさかのぼること約1年半前、86年5月20日のボストンはパラダイスという場所でのライヴ。


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4. I Hope You're Happy Now
エルヴィス・コステロ&インポスターズ
『The Return Of The Spectacular Spinning Songbook』

僕にとっての「あの頃の」コステロの終盤に差し掛かる『Blood & Chocolate』。当時、久々にアトラクションズと作ったアルバムのこの曲を、昨年インポスターズと行ったツアーで再演。まあ、基本的にはベーシストが変わっただけだからほぼ同じバンドの演奏と言っても差し支えないんだけどね。再現といえば、このツアーで採用している、ステージ上の大きなルーレットみたいなのを回して次に演奏する曲を決めるというスタイルも、かつてアトラクションズと一緒にやっていた催し。せっかくDVD付きのCDを買ったのにまだ観れていないのが残念だけど、こういうライヴを一度でいいから観てみたいな。


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5. Back Stabbers / King Horse
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ&TKOホーンズ
『Punch The Clock (2003 Edition)』

最初の写真と微妙に違うのは、こちらは03年版からだというちょっとしたこだわりから。曲としては80年の『Get Happy!!』からだけど、83年のパンチ・ザ・クロック・ツアーでTKOホーンズと一緒に回ったときの録音。前半はオージェイズのカバーで、途中で「King Horse」に代わり、最後一瞬TKOホーンズが「Back Stabbers」のフレーズを吹いて、また「King Horse」に戻るところが鳥肌もの。名演というのはこういうのをいうんだ。

83年9月7日、テキサス大学での録音と書いてあるから、学園祭か何かだったのかな。この頃確か日本のどこかの大学の学祭にもREMが来たりしていたけど(僕は観られなかったけど)、こんな演奏を大学で観られるとは、なんて羨ましい。


体調を崩して曲目&解説のみ参加のTomを含めて6名x5曲、計30曲のうち、だぶったのは僕とNさんの「Everyday I Write The Book」(Nさんのはスタジオ録音)だけという、さすがうちの仲間らしい微妙にひねくれた選曲具合が最高に楽しかった。そして、30曲のうちほとんどが初期〜『King Of America』まで、あとせいぜい『Brutal Youth』という片寄り具合。『Imperial Bedroom』はほとんどいないだろうというTomのコメントを裏切るかの如く、かなりのメンバーがそのアルバムから選んでいたというのがうちの仲間の趣味嗜好を如実に表していた。というか、殆どみんな同じアルバムからばかり選んできて、これじゃちっとも予習にならないね(笑)


posted by . at 00:14| Comment(2) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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