2012年06月24日

レコファン下北沢の83枚

2年前の8月22日に「HMV渋谷の110枚」という記事を書いた。その日で20年間の営業を終えた、かのアイコン的CDショップで僕が買ったものについて、若干の感傷を込めて書いたものだ。当時は僕のブログだけでなくあちこちで取り上げられていた話題だし、テレビのニュースにもなったぐらいの大きな現象だった。

それから約2年、僕の知る限りでは一部のブログやツィッターなどで小さく話題になっているだけだけど、僕にとっては別の意味でHMV渋谷と同じぐらい重要なCDショップが本日その生涯を終えることになったので、この記事を書くことにした。題して「レコファン下北沢の83枚」。中途半端な数字だけど、最後の買い物に出かけた昨日買ったものを足すとたまたまそうなった(どうしても3枚落とせなかった)。

HMV渋谷記事のコメント欄に僕は「僕がよく利用するCD屋であるディスクユニオンやレコファン、それからNZ時代のリアル・グル―ヴィーでは僕はほとんど中古ばかり買っていますから、こんな風に何年に何を買ったという記録をつけても、ちっともそれがその時代を写す鏡になり得ないのです」と書いた。確かにそれはそうだけど、今回この83枚のリストを眺めてみると、「新譜をどこよりも安く売るレコファン」と「大量に中古を揃えるレコファン」という、このチェーン店の二つの顔を僕はフル活用していたんだなと改めて思い知った。HMV渋谷で買ったものほどその年を象徴しているわけではないけれど、僕にとってその後ずっと重要な位置を占めるアルバムが沢山。


<1988年>

1. Sting 『...Nothing Like The Sun』
2. Don Dixon 『Romeo At Julliard』
3. Morrissey 『Viva Hate』
4. Billy Bragg 『Help Save The Youth Of America』

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5. Graham Parker 『The Mona Lisa's Sister』
6. The Beatles 『Past Masters Volume 1』
7. Scritti Politti 『Boom! There She Was』


88年は僕が東京に移り住んだ年。自分の生活に大きな変化があった年なので、この頃に聴いたアルバムはどれも思い出深いね。最近自分内でブーム再燃のモリッシーもこの時がソロ活動の開始だったし、僕がグレアム・パーカーのアルバムを本格的に聴き始めたのは実はこのアルバムが最初だった(この後、自分内大ブームが来ることになる)。


<1989年>

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8. The Housemartins 『The People Who Grinned Themselves To Death』
9. The Pogues 『Peace & Love』


自分内大ブームといえば、この前年にFMでライヴ放送を聴いて大ファンになったハウスマーティンズもこの時期にまとめ買いしている。まとめ買いといってもオリジナルアルバムは2枚しか出ていなかったから、解散記念に出した2枚組ベストの他に、12インチや10インチのシングル盤や、各メンバーがバラバラと出した別ユニットのレコードなども小まめに買い集めたな。別ユニットの中では当然のごとくビューティフル・サウスしか生き残らなかったけど。


<1990年>

10. John Wesley Harding 『It Happened One Night』

この年には1枚しか買ってないね。しかもこのアルバムは後に拡大版『It Happened One Night & It Never Happened At All』として再発されたので、そのとき売っ払ってしまった。


<1991年>

11. Billy Bragg 『Don't Try This At Home』
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12. Garland Jeffreys 『Don't Call Me Buckwheat』


この年まで今とは駅の反対側になる北口を出てしばらく歩いた商店街のはずれの建物の2階にまるで隠れ家のように居を構えていたレコファン下北沢店のことを僕が一番鮮明に思い出せるのは、このガーランド・ジェフリーズ久々のアルバムを買ったときのこと。店に入るとこのアルバムがBGMとしてかかっていて、聴いたことのないガーランド・ジェフリーズのアルバムだ!と思って即座にレジに直行し、在庫がないというのでそこでかかっていたそのCDをそのまま売ってもらったんだった。懐かしいな。


<1992年>

13. Guns n' Roses 『Appetite For Destruction』
14. Graham Parker 『Sweet Home Chicago』
15. Neil Young & Crazy Horse 『Weld』
16. Ian Dury 『New Boots & Panties!!』
17. Little Village 『Little Village』
18. Beautiful South 『0898』
19. Bruce Springsteen 『Human Touch』
20. Bruce Springsteen 『Lucky Town』
21. Squeeze 『A Round And A Bout』
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22. Five Thirty 『Bed』
23. Billy Bragg 『Sexuality』
24. Nils Lofgren 『Crooked Line』
25. The Who 『Tommy The Movie』
26. Brinsley Schwarz 『The New Favourites Of...』
27. Peter Gabriel 『Us』
28. Paul McCartney 『Unplugged - An Official Bootleg』
29. Neil Young 『Harvest Moon』
30. Neil Young + Crazy Horse 『Ragged Glory』
31. Queen 『Magic Tour Live』 LD


前年まで年に1-2枚しか買っていなかったのに、この年いきなり19枚も買っている理由の一つは、南口店がオープンしたこと。南口といっても今のレコファンがある場所じゃなく、本多劇場近くの小田急線沿い。店の場所を正確に覚えていないんだけど、あの場所今は何になってるんだっけ。元の下北沢店はそのままの場所で下北沢北口店に名称変更。この19枚のうち11枚を僕は南口店で買ってるね。やっぱり駅から近かったのが大きい。

僕にとって重要なアルバムが何枚もあるけど、この年を代表するものを1枚と言われたらやっぱり画像を載せたファイヴ・サーティーの『Bed』かな。この人たちもこのアルバムを聴いて大好きになり、シングル盤とか後のポール・バセットやタラ・ミルトンの関連アルバムまで小まめに集めたものだった。


<1993年>

32. Queen 『Live Killers』
33. Bob Dylan 『Hard Rain』
34. Bob Dylan 『Blood On The Tracks』
35. Paul Weller 『More Wood』


この年の2月に僕は東京を離れて15年に亘る海外生活を始めている。出張で東京に来たときは主に渋谷や新宿で買い物をしていたから、下北まで足を延ばす回数はぐっと減ってしまった。ポール・ウェラーの日本企画盤以外は全部所謂過去の名盤みたいなのを中古で買っているだけだね(全部北口店にて)。そして、この翌年の94年には僕はレコファン下北では一枚も買っていない。


<1995年>

36. Nova Mob 『Nova Mob』
37. Dave Edmunds 『Riff Raff』
38. Garland Jeffreys 『Hail Hail Rock 'n' Roll』
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39. Graham Parker 『12 Haunted Episodes』


さっきからタイプしてて気づいたんだけど、どうも僕はガーランド・ジェフリーズやグレアム・パーカーのCDとなるとこの店でよく買っているな。グレアムは僕が本格的に聴き始めた『Mona Lisa's Sister』や『Live Alone In America』あたりから既にそれまでの熱いロックンローラータイプから渋めのSSW風のアルバム作りにシフトし始めていたんだけど、もうこの頃になるとかなり枯れた趣。上3枚は北口店、写真のアルバムを南口店で同日に購入。


<1998年>

40. Marshall Crenshaw 『The 9 Volt Years』
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41. John Fogerty 『Premonition』
42. The Beach Boys 『Smiley Smile』


96年・97年はゼロ。98年はすべて南口店でこの3枚を一日で購入。もうこの頃には僕にとって下北沢というのはそれほど縁の遠い街になってしまっていたということか。タイトルを書いていてジャケが思い出せなかったけど、ジョン・フォガティのこのライヴ盤、結構よく聴いたよな。

そして、翌99年から僕が帰国する07年まで、レコファン下北沢での購入はぴったり止んでしまっている。その間に、あの懐かしい北口店はいつの間にか店を畳んでしまって、南口店は南口2店として今の場所(駅から遠くなってしまった)に移転。僕にとってのレコファン下北沢の失われた10年だ。


<2008年>

43. Dreamboy 『Dreamboy』
44. Grin 『1+1』
45. Low Season Combo 『Low Season Combo』
46. Golden Smog 『Blood On The Slacks』
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47. Biff Bang Pow! 『L'amour, Demure, Stenhousemuir』
48. Youssou N'Dour 『Rokku Mi Rokka』
49. I Am Robot And Proud 『Uphill City』
50. Teddy Thompson 『A Piece Of What You Need』


前年暮れに日本に戻ってきて、以前と同じく小田急線沿いに住むことにしたので、僕の下北沢詣での日々が復活することになった。中古盤と新譜のほどよいミックス。前にyascd012に入れたロウ・シーズン・コンボ以外にはそれほど聴き込んだといえるアルバムはないことに気づき、10〜20年前と比べて買う枚数は増えたけれど1枚1枚にかける時間と情熱がそれだけ減ってしまっていることを反省。

そんな中でもよく聴いたそのロウ・シーズン・コンボのファーストアルバムでなく、あえてビフ・バン・パウ!のこのベスト盤を載せたのは、地味なこげ茶色のジャケでなくこちらのジャケ写を載せて少しでもブログを華やかに見せようという作戦。

ディランの『Blood On The Tracks』をもじったゴールデン・スモッグの『Blood On The Slacks』(『血の轍』ならぬ『ズボンに血』)を、僕がそのディランのアルバムを買ったのと同じ店(正確には移転してるけど)で15年後に買った偶然に今回リストを見て気づいたのがちょっと嬉しい。


<2009年>

51. Owsley 『Owsley』
52. Tom McRae 『King Of Cards』
53. Midlake 『Bamnan And Silvercork』
54. Bananaskin 『Countryside Has Opened My Tired Eyes』
55. Dungen 『Ta Det Lugnt』
56. David Mead 『Indiana』
57. Matthew Sweet 『To Understand - The Early Recordings Of』
58. Owl City 『Of June』


全て中古。これ全部で計5605円。前年のロウ・シーズン・コンボもそうだったけど、ここでのバナナスキン(フィンランド)とかドゥンエン(スウェーデン)とか、この頃の僕は北欧づいていたというのがよくわかるリスト。後にザキヤマ扱いされるデイヴィッド・ミードのCDもここで初めて買っている。


<2010年>

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59. Them Crooked Vultures 『Them Crooked Vultures』
60. Squeeze 『Spot The Difference』
61. Bruce Springsteen & The E Street Band 『London Calling Live In Hyde Park』 BD
62. The Futureheads 『The Chaos』
63. Wyatt / Atzmon / Stephen 『...For The Ghosts Within』
64. Various Artists 『Short Circuit Live At The Electric Circus』
65. Bon Iver 『Blood Bank』
66. The Derek Trucks Band 『Roadsongs』
67. Brian Wilson 『Reimagines Gershwin』
68. Paul Weller 『Heavy Soul』


ゼム・クルーキッド・ヴァルチャーズとかスクイーズとか、当時このブログで取り上げたアルバムが並んでるね。中古も何枚かあるけど、この年は比較的たくさん新譜をここで買ってるな。


<2011年>

69. Huey Lewis And The News 『Soulsville』
70. Department Of Eagles 『Archive 2003 - 2006』
71. Panic! At The Disco 『Vices & Virtues』
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72. Nick Lowe 『The Old Magic』
73. Everybody Else 『Everybody Else』
74. Peter Blegvad & Andy Partridge 『Orpheus The Lowdown』


このニック・ロウのアルバムを買ったのは、パワーポップ・アカデミーの日だったな。おばさんジャケにはいまだに慣れないけど、その前月に観たライヴ共々、いい内容には満足。ピーター・ブレグヴァドとアンディ・パートリッジのこのアルバム、元はいくらだったのかわからないけど、僕が買ったときには1080円の値札に赤い200円引きのステッカー、更に店内あげて200円引きセール中だったから、新品なのに680円という嬉しいお値段。レコファンって、しょっちゅうこういうセールやってるからつい足を運んでしまうんだよね。


<2012年>

75. Elvis Costello & The Imposters 『The Return Of The Spectacular Spinning Songbook!!!』 CD+DVD
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76. Chilli Willi And The Red Hot Peppers 『Bongos Over Balham』
77. Chris Von Sneidern 『The Wild Horse』
78. The Sportsmen 『Spirited』
79. Peter Blegvad 『The Naked Shakespeare』
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80. The Red Button 『She's About To Cross My Mind』
81. Tim Easton 『The Truth About Us』
82. Jamie Cullum 『Catching Tales』
83. Del Amitri 『Twisted』


このコステロのDVD付きライヴアルバムをゲイリー・ジュールズとジム・ビアンコのライヴに行く前に立ち寄って買ったときには、まさかそのわずか3か月後にはこの店が閉店してしまうなんて思いも寄らなかった。

そして昨日。久しぶりに訪れた下北沢南口店には、「6/24(日)最終日! いよいよ最終章!」というポスターが所狭しと貼ってあった。恒例の200円オフセール中だ。もう長いことこの店で全ての棚をじっくり観るということをしていなかったけど、最後だからと思って、1階の新入荷コーナー、2階に上がって中古新入荷コーナー、通常コーナーをAからZまで、そして100円〜コーナーもくまなくチェック。2時間ちょっとで収穫は8枚。計5485円というのはまずまずかな。結構珍しいものや前から欲しいと思ってたのもうまく買えた。前年に引き続いてピーター・ブレグヴァドのアルバムをまたこの店で購入(プロデューサーがアンディ・パートリッジだという偶然も)。

下北にはまだユニオンもフラッシュもイエローポップもドラマもあるけど、まさかこの街からレコファンが真っ先になくなってしまうなんて、最終日の今日になってもまだ信じられない。なんだかこれでまた自分の足が下北から遠ざかってしまいそうな気がするよ。本当に残念。

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長い間ありがとう。渋谷BEAM店への統合という無理やりな理由をサポートしてあげるために、これからはもう少し頻繁にBEAM店にも通うことにするよ。


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2012年06月17日

フジロック勉強会と称して

違法ダウンロード法が成立するとかで、僕がよく行くネット界隈やツィッターではえらく騒がしい。僕は合法だろうが不法だろうがダウンロードして音楽を聴くことにはあんまり積極的でないし、コピーガードのかかっていない普通のCDを普通にリッピングするのはどうやら今のところ違法にはならないようだし、DVDのコピーなんて面倒なこともしていないし(買ったDVDを観る時間すらないというのに)、まあどちらかというとどうでもいいやと醒めた目で見ているところ。でもこれで音楽業界の思惑通りに違法ダウンロードが駆逐され、CDがどんどん売れだして、渋谷や新宿に昔みたいに沢山のCD屋さんが林立するようになれば嬉しいな(棒読み)。

冬至と夏至が近づくといつも某県某市のHさん宅に集まってその年のベストアルバムとか夏のCDとか色々お題を設けては各々の好きな音楽を聴かせあういつもの仲間たち。今回はフジロックに出演するアーティストのCDを予習するために集まり、夜通し聴かせあうことになった。僕のカレンダーでいうと、先々週デリーから戻ってきて先週オークランドに出発するまでの72時間内の話。僕は今のところフジに行く予定はないんだけど、そういう面白そうな企画に乗らないわけにはいかない。他のメンバーが持っていないCDを持って行って貢献できるしね。

「余興として“私のコステロ5曲”やりましょう」。メールで予定のやりとりをしているうちに、N君がこんなことを言い出した。「縛りは一切ありません」とは言われたけど、縛りなしで好きな5曲なんて到底選べないから、またいつも通り自分で勝手にルールを作って、私的利用のためにCDをリッピングしてCD-Rに焼いて持って行くことにした(違法ダウンロード法成立前の話ですからお構いなく)。

もうこうなったら自分が行くか行かないかわからないフジの勉強会よりも、そっちの方が楽しくなってくる。なんとか5曲に絞り込んで、順番もちょこちょこと入れ替えたり。たった5曲だけど、せっかく頭をひねった選曲なので、ここに載せておくことにした。yascdなんて名前を付けるほどのものでもないけれど、去年のクリスマスも5曲でこのカテゴリーに入れたので、これも久々のyascdカテゴリー記事にしておこうかな。でも、いつもみたいに延々と解説するのはやめて、さらっとね。

今回自分で勝手に作った縛りは、ライヴ録音。しかも、5曲とも違った録音を別々のアルバムから、できれば違うスタイルで選んでみようと。違うスタイルというのは、アトラクションズと一緒とかソロでとかそういうこと。そういう“別スタイル”で演ったライヴ盤では、ビル・フリゼールとの『Deep Dead Blue』とか、メトロポール・オルケストと一緒の『My Flame Burns Blue』とかがあるけど、のそれらのアルバムからはどうしても選べなかった。やっぱり僕にとってのコステロは「あの頃の」コステロだから。


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1. Everyday I Write The Book
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ
『Punch The Clock (1995 Edition)』

まずは、これだけは誰かとかぶるのを覚悟で、83年の『Punch The Clock』の95年にボートラ満載で再発された盤から、当時のシングルカット曲の82年のライヴ録音を(ややこしい書き方で恐縮)。僕にとっての「あの頃の」コステロ。彼自身が何度も嫌いなアルバムとして挙げているこのアルバムを代表する派手なシングル曲が、ランガー&ウィンスタンリーがプロデュースする前はこんなごく普通の初期のコステロ節だったということにちょっとした目からウロコ状態。ちなみにこのアルバムは僕が最初に入手したコステロのアルバムで、コステロ自身が嫌いであろうとなんだろうと、僕にとっては一番思い入れが強い(一番好きというわけではないけれど)アルバム。

後述する03年の2枚組再発版からは、このトラックはあまりにもローファイな録音のため、カットされてしまっている(かわりに同じスタイルで録音したデモ録音を収録)。まあ確かにきちんとした録音じゃないけど、82年のコステロのライヴなんてこの1曲だけじゃなく全部通して聴いてみたくなる勢いのあるいい演奏。中途半端にボートラの収録されたこの95年版は、今となっては上にリンクしたアマゾンのマーケットプレイスでは200円ほどで入手可能みたいだね。


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2. Worthless Thing
エルヴィス・コステロ
『Goodbye Cruel World (1995 Edition)』

続いて、こちらもコステロ曰く「最悪のアルバム」から、そのアルバム収録曲のアコギ弾き語りバージョンを同じく95年版に収録されたものを。今となってはソロでのツアーは特に珍しくもなくなったけれど、どうやらこの84年のアメリカでのツアーがコステロにとっては最初のソロツアーだったようだね。

コステロがこの83〜84年のアルバムを毛嫌いしているのは、80年代を色濃く反映しているクライヴ・ランガー&アラン・ウィンスタンリーのプロデュースした音のせいなんだろうけど、こうしてバックの音を全部取っ払って素のメロディーだけを聴いてみたら、この当時のコステロが作っていた曲がどんなに素晴らしいものかがよくわかるといういい見本。


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3. The Angels Want To Wear My Red Shoes
エルヴィス・コステロ&スティーヴ・ナイーヴ
『For The First Time In America』

96年にコステロがキーボーディストのスティーヴ・ナイーヴと二人でアメリカツアーをした時の記録がこの5枚組ボックス。極初期のアトラクションズとのニューウェーヴ色満載な曲からこの当時(アルバムでいうとブロドスキー・カルテットと共演するぐらいにまで振幅が広がっていた頃)のしっとりとした曲まで、二人のギターとピアノだけで聴かせるという名盤。5枚組といってもそれぞれがミニアルバム程度の短さだし、中古でも結構手頃な価格で入手可能なようなので、興味のある人は是非どうぞ。

僕が初めてコステロのライヴを観たのは87年暮れのコンフェデレイツとの日本ツアー(前座はニック・ロウ!)。まずステージに一人で現れたコステロがアクースティック・ギターで奏で始めたこの曲のメロディの鮮烈さにどれだけ心を奪われたことか。思えば、当時から今に至るまでグレン・ティルブルックやジム・ボジアがバンドで録音した曲の骨格を自らアコギ一本でステージで披露するというマジックに僕がこれほどまでに惹かれるのは、あのときに聴いたコステロのこの曲がきっかけだったように思う。この録音はそれをさかのぼること約1年半前、86年5月20日のボストンはパラダイスという場所でのライヴ。


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4. I Hope You're Happy Now
エルヴィス・コステロ&インポスターズ
『The Return Of The Spectacular Spinning Songbook』

僕にとっての「あの頃の」コステロの終盤に差し掛かる『Blood & Chocolate』。当時、久々にアトラクションズと作ったアルバムのこの曲を、昨年インポスターズと行ったツアーで再演。まあ、基本的にはベーシストが変わっただけだからほぼ同じバンドの演奏と言っても差し支えないんだけどね。再現といえば、このツアーで採用している、ステージ上の大きなルーレットみたいなのを回して次に演奏する曲を決めるというスタイルも、かつてアトラクションズと一緒にやっていた催し。せっかくDVD付きのCDを買ったのにまだ観れていないのが残念だけど、こういうライヴを一度でいいから観てみたいな。


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5. Back Stabbers / King Horse
エルヴィス・コステロ&アトラクションズ&TKOホーンズ
『Punch The Clock (2003 Edition)』

最初の写真と微妙に違うのは、こちらは03年版からだというちょっとしたこだわりから。曲としては80年の『Get Happy!!』からだけど、83年のパンチ・ザ・クロック・ツアーでTKOホーンズと一緒に回ったときの録音。前半はオージェイズのカバーで、途中で「King Horse」に代わり、最後一瞬TKOホーンズが「Back Stabbers」のフレーズを吹いて、また「King Horse」に戻るところが鳥肌もの。名演というのはこういうのをいうんだ。

83年9月7日、テキサス大学での録音と書いてあるから、学園祭か何かだったのかな。この頃確か日本のどこかの大学の学祭にもREMが来たりしていたけど(僕は観られなかったけど)、こんな演奏を大学で観られるとは、なんて羨ましい。


体調を崩して曲目&解説のみ参加のTomを含めて6名x5曲、計30曲のうち、だぶったのは僕とNさんの「Everyday I Write The Book」(Nさんのはスタジオ録音)だけという、さすがうちの仲間らしい微妙にひねくれた選曲具合が最高に楽しかった。そして、30曲のうちほとんどが初期〜『King Of America』まで、あとせいぜい『Brutal Youth』という片寄り具合。『Imperial Bedroom』はほとんどいないだろうというTomのコメントを裏切るかの如く、かなりのメンバーがそのアルバムから選んでいたというのがうちの仲間の趣味嗜好を如実に表していた。というか、殆どみんな同じアルバムからばかり選んできて、これじゃちっとも予習にならないね(笑)
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2012年06月11日

4年半ぶりの買い物

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先月からまた怒涛の出張月間に突入していて、1泊5日サンパウロ行きとか0泊シンガポール行き終日仕事でそのままデリーへ移動とか、中々この歳になるとシャレにならない行程の出張を強いられている。先週デリーから成田に戻ってきてちょうど72時間後にまた成田空港から出発、経由地を経て14時間後の本日午後に降り立ったのは、空港の匂いを嗅いだだけで懐かしさのあまり腰が砕けそうになってしまったオークランド。

空港内のレイアウトこそ改装されていて以前の趣はなくなってしまっていたけれど、空港を一歩外に踏み出してからは、見る景色聴く音嗅ぐ匂いすべてが懐かしい。

昔ここに住んでいた当時は海外からの出張者を何度も泊めてロビーに送迎したホテルに初めて自分でチェックイン。なるほど、部屋はこんな風になってたんだ。そして、このホテルの裏側にあたる急な坂道を5分ほど下ると、そこには、懐かしいなんて言葉ではちょっと言い表せないあの場所が。

2007年11月24日、当時住んでいたオークランドでの最後の一日(のうち4時間)を過ごした、ニュージーランド最大の独立系レコード店、リアル・グル―ヴィー。僕がNZを離れたあと一旦倒産して、その後それぞれの支店のマネージャーや創業者が個人資本で経営を再開していたとのこと。でも今回ネットで調べてみたら、オークランド店しか出てこない。きっとクライストチャーチとウェリントンの店はその後やっぱり続かなかったんだね。

というわけで、明日からの会議に備えて準備が残っているけれど、夜7時には閉まってしまうあの店が開いている時間にホテルの部屋で仕事をしていても全くはかどらない。しょうがないから1時間半だけ抜け出して掘りに行こう。

店に入ると以前とは随分レイアウトが違う。なにより大きいのは、以前は地上・地下それぞれ1階だった店の地下部分がなくなっている。1階の、以前はDVDを扱っていた場所まで洋服やグッズが置かれていて、1階全体の半分ぐらいにCD・レコード・DVDが追いやられてしまっている。随分縮小したものだ。

とはいえ、とても1時間半で全部見られる量ではない。昔オークランドのCDショップガイドを書いたときに「気力と体力さえあれば、ここで丸一日過ごせる」と書いた店。規模が縮小したとはいえ、1時間半ではオルタナティヴのセールコーナーを網羅するのが精一杯(他に、オルタナティヴの通常価格コーナー、ロック/ポップの通常価格とセールコーナー、フォーク/カントリーの通常価格とセールコーナー、ジャズの通常価格とセールコーナー、クラシックの通常価格とセールコーナー、ワールドミュージックの通常価格とセールコーナー、R&B/ヒップホップの通常価格とセールコーナーとこれだけCDがあって、その他にLPが…え、もういいって?)。

僕がNZに住んでいた4年半前はNZ$1=約85円と、近来稀に見るNZドル高と円安のコンビネーション期。当時は何もしていないのに毎月毎月CDの価格が値上がりしていたように感じていたものだ。それが今ではNZ$1=約60円。当時と比べて3割もの円高NZドル安。何を見ても超特価。

セールコーナーの商品には正面右肩にアルファベットの載ったステッカーが(これがまたはがれにくい粗悪な糊で)貼ってあって、どのアルファベットがいくらかというのはその時々で変わる(そうやって在庫が滞留しないようにしているんだろうね)。今日は、AとFがNZ$5(300円)、BとDがNZ$4(240円)、CがNZ$15(900円)、EがNZ$12(720円)となっていた。

1時間半の時間制限付きだということでオルタナティヴのセールコーナーを決め打ち。目ぼしいものを次から次へと左手に持ち、右手で掘る。Aのコーナー(価格じゃなくて名前の)から順に見ていくと何列も行かないうちに左手の握力の鍛錬になりそうなぐらいの量になってしまう。しばらく進んだら手に持ったものを冷静な目で見つめて要らないものを棚に戻す。そうやってオルタナティヴのセールコーナーを見終えるまでが1時間弱。

同じぐらいの量があるロック/ポップのコーナーを見ていたのでは確実に時間切れになるので、比較的量の少な目なフォーク/カントリーのセールコーナーへ。この店は所謂オルタナ・カントリーをこのコーナーに入れているので、地味なアメリカン・ロックは意外とここにあったりする。が、本日はこのコーナーちょっと不発。既に持っているレイ・ラモンターニュばかり何枚も見ながら、新品未開封のリサ・ハニガンのセカンドをNZ$12でゲット。

収穫は、それを含めて8枚。暇でかつ目のいい人は下の写真を拡大して解読してくれればわかると思うけど、AとDが1枚ずつ、CとEが3枚ずつの8枚合計NZ$90(5400円)。15分ほど時間が余ったのでついでに何か買うものはないかと店内を物色。4月のレコード・ストア・デイのときにこの店もオリジナルTシャツを作ったようで、元々NZ$29.95だったそのシャツがNZ$20引きでNZ$9.95(600円)。Tシャツ好き&リアル・グル―ヴィー好きとしては迷わずゲット。サイズを合わせてみたら、どう見てもSサイズの方がMサイズより大きかったりするバングラデシュ製。

ああこれでゆっくり落ち着いて仕事ができる。冬なので陽が落ちるのが早く、外に出たときには6時前なのにもう真っ暗。心臓破りの坂を急ぎ足でホテルに帰り、何事もなかったかのように後輩と明日の会議の打ち合わせ。とりあえず目途が立ったところで近所のレストランでちょっと豪華めの食事をし(出張中だとはいえオークランドまで来て美味いワインを飲まずにいられますか)、ちょっと前に部屋に戻ってきたところ。

じゃあブログを書く前に収穫物を例のデータベースに載せて、と思ったら、ありゃ、リサ・ハニガンのセカンド、去年の11月に(あのときも怒涛の出張中に)香港で買ってるよ。またやっちまった。そういえばこのアルバム、買って聴いてみたらレイ・ラモンターニュがデュエットしててひそかに喜んでたんじゃないか。覚えてろよそれぐらい。まったく、急ぐとろくなことがない。

今回は日程の関係でオークランド在住があと数日あり、その後シドニーに移動の予定。とはいえ、この後は仕事がびっしり詰まっているので、もうCDを買いに行く時間は取れない。なので今日早々とこの記事をアップしておいた。もし数日後に<追記>とか書いてあったら、そのときは何かあったと察してください(笑)

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<6月12日追記>

このブログをいつも読んでくださっている方ならまあ概ね予想の範疇だと思うけれど、オークランド滞在2日目の今日もなんとか仕事を6時に終わらせ、ホテルに荷物を置いて坂道を下り、例の場所へ。今日は昨日チェックできなかったロック/ポップのセールコーナーに取り掛かる。閉店まで1時間しかないけど、この店内で一番大きなこのコーナーを見終えることができるかどうか。

ちなみに昨日いろんなジャンルのCDのコーナーがあることをダラダラと書いていたけど、今日行って確認してみたらあの他にメタルの通常価格とセールコーナー、レゲエの通常価格とセールコーナー、それにNZ国内アーティストの通常価格コーナーもあった(NZアーティストのセール盤は音楽性によってロック/ポップかオルタナティヴのコーナーに紛れ込んでいる)。まあ、本当にどうでもいい情報で字数稼ぎをしているけれど。字数稼ぎなんてする必要もないんだけれど。

Aの列を見ていたときにはほとんど目ぼしいものもなく、これは総数は多いけれど1時間あれば全部見られるなと思ったのもつかの間、続くBの列から引っ掛かりまくり。時折我に返って不要なCDを列に放流しながら右へ右へと進む。もう閉店時刻も間近で、火曜日の夜なんてほとんど客の姿も見当たらない。

結局、「閉店時刻の7時まであと10分」と思ったところでいきなり店の電灯が消され始め、Nの列に差し掛かろうかというところで店を追い出される羽目に。ちょっと最後の吟味が足りなかったかもしれないけど、本日の収穫は全11枚でNZ$79(約4740円)。昨日よりも平均価格をぐんと引き下げることができた。別に平均価格を下げるために買い物をしてるわけじゃないんだけど。

明日はいよいよオークランド滞在最終日。明日こそゆっくりしている時間はないので、もう追記はないよ。でも、Nのコーナーの途中から先を見ずに帰るのもこれまた気がかりなのも事実。

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2012年06月02日

Jim Boggia live in Kamakura 2012

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お台場と日比谷でサニー&ジョニーを満喫していた週末、実はそこから50キロほど南東に下った鎌倉では、ジム・ボジアの再来日公演が行われていた。2月に先行予約でチケットを押さえたサニー&ジョニーと違って、この公演日程が発表されたのはほんの数週間前。当初はサニー&ジョニー公演と完全にぶつかる5月26・27日の2日間の予定だったのが、なんとか翌日にもう一晩追加されることになった。

ちなみに「あと一日追加するとしたら前日の金曜と翌日の月曜のどちらがいいですか?」と、なんともアットホームな感じでツィッターでファンに呼びかけてくれたゴーティーの松本さんに僕は「金曜日」と返事したものの、それだとジムが休みなしで5日間連続公演ということになってしまうからと月曜に決定。月曜はきついなあと思いつつも発売即チケット購入。ところが、金曜にはサニー・ランドレスの渋谷でのサイン会が(これまた直前に)アナウンスされたので、結果オーライでサニー3日+ボジア1日という、なんとも豪華な、忘れられない4日間を過ごすことができた。

というわけで、月曜に普通に会社に行ってたのでは間違いなく開場時刻に間に合わないので、午前の重要会議が終わったところで突然オフィスから蒸発。午後5時には鎌倉駅前の某居酒屋で、これも同じく一時的に会社と折り合いをつけてきた友人数名と腹ごしらえ開始。大量のジンジャー&ライムハイボールで腹を満たし、開場時刻の少し前にゴーティーへ。

ゴーティーに来るのはこれで4回目になるのかな。これまで大体正面2列目とかちょっと右側とかにばかり座っていたので、今回は初めてとなる左側のピアノ傍へ。ピアノに体が当たらないようにじっと座っているのが難しいほどの至近距離。もちろん、ジムがピアノを弾く時は、目の前数十センチで歌っているのを観られるという超VIP席。

まず席を確保し、いつものようにカウンター近くの椅子でくつろぐジムを捕まえて話をさせてもらう。「昨日とおとといはサニー・ランドレスとジョニー・ウィンターを観に行ってたから来られなかったんだ」と言うと、「サニーのライヴはアトランタ(だったかな?)で観たことあるよ。すごいギターを弾くよね」とジム。そして、「去年来たときに話してくれたライヴ盤はどうなったの?」と切り出すと、「もうほぼ完成。たぶん9月には出せると思うよ」とのこと。「へえ、日本でのライヴも入ってるのかな?」と訊くと、「いや、今回のライヴ盤はあちこちで録音したものを集めたもので、去年出たゴーティーでのライヴ盤が一か所での小ぢんまりしたライヴを収録したのとは対みたいな位置づけなんだ」と説明してくれる。

そしてそこから、ライヴ前だというのに話好きなジムは延々と話し始めてくれた。曰く、「ライヴ盤の次には11月頃にクリスマス・アルバムを出そうと思っている」、「その後に控えてるのが、ウクレレだけで録音したアルバム。歌入りのもあればインストも入れる予定。たぶん年明けぐらいかな」、「ニューアルバムはその後。今から1年後ぐらいに出せるとは思うけど、契約次第だな」と。ブルーハンモックとの契約がこじれていてアルバムを出せない状態だという話は去年の来日時に教えてくれたけど、その状態がまだくすぶっているようで、「自分の他にも何人ものアーティストが同じ目に合っているんだよ」とのこと。裁判という話にもなっているようだけど、あまりそういう話をこと細かく書くものでもないから、この程度で。

途中で他のファンの方が「ジム、今日も来たよ」と挨拶に来ているのに、ハイタッチしたらまたこっち向いて契約問題の話を続けてくれるジム(苦笑)。もう開演時刻も過ぎているし、この話はそろそろにして今日演ってほしい曲のリクエストしたいんだけどと思いながら、そうはいっても滅多に聞ける話じゃないので興味深く聞かせてもらう。

「ところで」と半ば無理やり話をさえぎり、「今日演奏してほしい曲があるんだけど」と、いくつか曲名を挙げてみるものの、「ごめん、曲は知ってるけど歌詞がわからないよ。その曲もそう。どうも僕は歌詞を覚えるのが得意じゃないんだ。自分の曲だって忘れるぐらいだから」と、ことごとく断られる。さすがにこれはわかるだろうと、「じゃあ、ポールの“The Back Seat Of My Car”は?」と訊くと、「ああ、それはわかる。でも、最後のパートでいつも僕はバックコーラスの方を歌ってしまうんだ」とのこと。それから、「この曲についてはエイミー・マンと口論になってね。彼女とは同じポールのファンでもなかなか意見が合わないんだ」みたいな話をしてくれる。で、ところで「The Back Seat Of My Car」は演ってくれるのかな?


そんな感じで、少し遅れて始まったのは僕のせいでもあります。皆さん申し訳ない(特に、ぎりぎりで終演後に終電逃したN君)。1曲目はおなじみ「To And Fro」。おそらく今回三夜連続で来られている方がほとんどじゃないかと思う満員(といってもおそらく20人強)のファンが歌う歌う。ジムも間奏のところで「カマクラ・バック・シンガーズ!」とか叫ぶ。その曲の演奏後、満面の笑みで「早くもピークに達してしまったよ。この後どうすればいいんだ。もう終わろうか」なんて冗談めかして言うジム。

そういえば、この曲の途中、一瞬歌詞を忘れたジムが僕の方を見て「ほら、言ったとおりだろう」とニヤリ。そんな楽屋落ちみたいなこと言われても。嬉しいけど。

そのまま立て続けに「Bubblegum 45」、「Toy Boat」とアップテンポな曲を続ける。「Toy Boat」のときにボウイの「Fame」の歌詞をちらっと挟み、くすっと笑わせる。今回は最初から焼酎のお湯割りをちびちび飲みながら歌うジム。

「次の曲は、エイミー・マンと一緒に書いたんだ。彼女とはポール・マカートニーについての意見が合わなくてね。彼女には言わないでよ」と、「Shine」を。みんなクスクス笑ってたけど、なんであんな台詞が出てきたのかあの時点でわかったのがきっと僕だけだというのがまた嬉しい(それとも、もしかしたら同じ話を以前にもしたのかな)。

「この曲を今まで鎌倉で演奏したかどうか覚えてないけど、3分後には少なくとも1回は演奏したことを覚えてるよ。これは90年代の曲、1890年代じゃないよ」と紹介して歌ったスローな曲が、帰り道に仲間の誰に訊いてもわからなかったので、おそらくタイトルだろうと思われるサビの歌詞を頼りにネットで調べてみたら、「Rosemary Comes Along」というジムの自作曲だった。過去のセットリストに出てくるし、ASCAPのサイトにもジェイムズ・ボジア作として載っている(ちなみに、そこには僕が聞いたこともないようなタイトルの曲が沢山載っているぞ。あんなに未発表曲があるんだ。それとも、新譜に収録予定の曲なのかな)。

これも大コーラス大会となった「Live And Let Die」のカバーに続いて、「リクエストある?」。開演前にリクエストしたのにと思いつつ、もう一度「“I Can Barely Wait”」とリクエストする。「あ、そうだった」みたいな顔でこっちを指さすジム。この曲も、今回のツアーが始まってから、松本さんがツィッターで「誰かこの曲知りませんか?」とビデオを貼られていたのを、さっきみたいにサビの歌詞からASCAPとかに辿り着き、「これじゃないですかね」と返事してみたもの。本当にいい曲。一緒に観に行った友達曰く、「出だしのメロディーがスクイーズで、サビのところがコステロ」。なるほど、言い得て妙。

ビートルズの「Do You Want To Know A Secret」を歌いだしたと思ったらと思ったら、途中から「♪ショーの最初にアップテンポな曲ばかり集めたら後でこまるよ。あんまりいいやり方じゃないね」みたいな替え歌になってまたクスクス笑わせる。

続く「On Your Birthday」では、「こないだは常連の彼(と指さす)の誕生日だったんだ。この中でほかに、今年誕生日が来る人はいる? すごい、全員だ!」とか言ってまた笑わせる。

事前にリクエストされたという「Underground」に続き、「本当は今の曲を演る前に次の曲で前半終了と言っておくべきだった。次の曲で休憩に入るんだけど、誰かリクエストある?」と訊くジム。まあ本当に行き当たりばったりで曲順決めてるんだね。隣に座っていたNさんが「Once」をリクエストし、「本当は前半の最後だからもうちょっと賑やかに終わるのがいいんだけど、まあいいよ、静かに始めて賑やかに歌い終えるよ」とリクエストに応える。こういうしっとりとした曲で前半を閉めるのも中々いいよ、ジム。

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後半は「Live The Proof」から。そうだよ、賑やかな曲のストックはまだまだあるよね。そして、お待ちかねの「Listening To NRBQ」。後半のNRBQカバーは「I Want You Bad」。いつもみたいに途中に挟むというよりも、もうほぼメドレー状態で最後まで歌う。そういえば、途中のソロのところはギターじゃなくピアノソロだったね。空手チョップみたいにして弾くのがテリー・アダムスのマネなんだって。テリーと共演したとも言ってたね。

再度お客さんのリクエストに応えた「That's Not Why I Hate New York」の後、ピアノに移って「Let Me Believe」、そしてこれもリクエストだったという「Where's The Party?」。この曲を生で聴くのは初めてだな。それにしても、自分の目の前数十センチで演奏されるというのは観ているこちらの方が緊張してしまうよ。

ギターに戻って、これも僕は初めて生で聴く、サイモン&ガーファンクル「The Only Living Boy In New York」のカバー。「Three Weeks Shy」の前にはまたちょっと歌い辛そうにしていたね。「でも熱心にリクエストされたから」と。

「普段この曲はウクレレでは演奏しないんだけど」と「Talk About The Weather」、そして定番「Thunder Road」。その曲をフェードアウト気味に終え、あれ?今日はメドレーで演らないんだと思わせておいて、次の曲はやっぱり「Over The Rainbow」。きっとこのあたりの曲が、さっき言ってたウクレレ・アルバムに収録されるんだろうね。

本編最後は定番曲をずらっと。最後の「Several Thousand」ではスティーヴィー・ワンダーの「Overjoyed」の一節を挟む。結局、開演前にリクエストした「The Back Seat Of My Car」は演ってくれなかったね。あと、僕が話していたときにTomに一緒にリクエストしてと頼まれて伝えた(そしてジムはOKと言ったはずの)「The Harry Nilsson Song」も。もうこの辺までくると、本日2杯目の焼酎お湯割りでいい気分になっていたのかな。

お客さんが一杯なので楽屋(なんてないけど)まで戻らずにくるっと振り返ってすぐにアンコール。ブルウの「B.O.S.T.O.N.」の替え歌で「Kamakura」(「K.A.M.A.K.U.R.A.」と表記すべきか)を。お客さんのコーラスとか、日本語でのコール&レスポンスとか、じっくり時間をかけて楽しんだよ。そして、今回の日本公演は「I Realized This Afternoon While Driving To Connecticut」で終了。

終演後はまた沢山のお客さんと歓談するジム。友達のRさんは鎌倉初日にジムに貸してあげたというテレキャスター・デザインのウクレレにサインしてもらってた(それにしても相変わらずそのとき喋ってる内容をそのままサインと一緒にダダ漏れで書くジム。ウクレレにもなにやら沢山書いてあったよ・笑)。僕は開演前に随分独占して話させてもらったから、終演後は一緒に写真だけ撮らせてもらって、「またすぐ来てね」と言って帰ることにした。終電を逃したN君が一緒に飲みに行こうと誘ってくれたけど、申し訳ないが世の中は月曜日。ごめんよ、また近いうちに、週末に。


Setlist 28 May 2012 @ Cafe Goatee

1. To And Fro
2. Bubblegum 45
3. Toy Boat
4. Shine
5. Annie Also Run / Something In The Air
6. Rosemary Comes Along
7. Live And Let Die
8. I Can Barely Wait
9. Do You Want To Know A Secret
10. On Your Birthday
11. Underground
12. Once

13. Live The Proof
14. Listening To NRBQ / I Want You Bad
15. That's Not Why I Hate New York
16. Let Me Believe
17. Where's The Party?
18. The Only Living Boy In New York
19. 3 Steps At A Time
20. Three Weeks Shy
21. Talk About The Weather
22. Thunder Road
23. Over The Rainbow
24. No Way Out
25. Made Me So Happy
26. Several Thousand

Encore
1. B.O.S.T.O.N. (K.A.M.A.K.U.R.A.)
2. I Realized This Afternoon While Driving To Connecticut
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