2012年05月12日

Team Me & Kyte live in Tokyo

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メイン・アクトと前座という立場ではなかったからどっちが先でもよかったんだろうけど、4年前にデビューして同時期に来日、既に3枚のアルバムのキャリアがあるカイトと、今年ファーストアルバムを出したばかりのティーム・ミーという組み合わせなら、まあ当然後者がオープニング・アクトで前者がトリという順番になるだろう。

だから、当日になって主催元のホステスがその順序をツィッターで発表したときには別に何の驚きもなかったんだけど、ライヴを観た僕の率直な感想は、あの順番はちょっとカイトに可哀想だったなというもの。メインと前座じゃないからこそ、あえて逆にしてあげればよかったのに、と。それぐらい圧倒的に、残酷なまでに歴然とした差が両者のステージにはあった。

大気の状態が不安定でまた関東を竜巻が襲うかもしれないから注意してくださいと天気予報に言われ(いったいどう注意すれば竜巻から逃れられるのか?)、恵比寿駅からリキッドルームまでの間のわずか5分の道のりで傘をさしていたにも関わらずずぶ濡れになってしまった6月9日の夜。せっかく先行発売で僕にしては珍しい若い整理番号をゲットしていたのに、さあ会社を出ようというその瞬間に会議に引きずり込まれ、会場にたどり着いたときにはもう番号のコールが終わっていたという、のっけから悲しい展開。それでも、左脇の階段あたりに場所を見つけたので、ちょっと遠いけれども小高いところから落ち着いて観ることができた。

大気の状態が不安定で喉が渇いていたからワンドリンクのモスコミュールをあっという間に飲み干し、おそらくホステス関係なんだろうと思われる、僕のよく知らないドンドンコンコンいう音楽が流れる中をひたすら待つ。最近ライヴに行ったら誰かしら知り合いがいるというのに慣れてしまっているから、一人で開演を待つのがこんなに退屈かというのを久しぶりに味わった。

やがて、開演時刻の7時半を10分以上過ぎ、BGMがアークティック・モンキーズとかボン・イヴェールとか僕にも馴染みのあるものに変わった頃、場内が真っ暗になった。さあ、始まる。

6人のメンバーのうち5人が最前列にずらっと並ぶ様は先日観たミャオウとよく似ている。キーボードとか鉄琴とか様々な楽器がバリケードのように並んでいるのも同じだし、男女混合メンバーというのも一緒だね。真ん中で白いジャズマスターを弾いているのがリーダーのマリウスだろう。その他、左からベース(と鉄琴)、キーボード(この人だけ女性)、キーボードも弾くマリウスを挟んで右にギター(とフロアタム)、キーボード、という布陣。ステージ後方にドラムス。

みんな思い思いのフェイスペインティングをして、マイクスタンドには折り紙で作ったような色とりどりの三角形の飾りつけ。右側のギタリストが弾く青いストラトには緑の蛍光色のテープが沢山貼ってある。ただでさえ音楽性があんななのに、もうそういうのを見ただけでまるで(学芸会のように手作り感満載の)どこかの国のお祭りに来たみたいだ。

オープニングは瞬間的にトップギアまで持っていく「Patrick Wolf & Daniel Johns」だったはず。続けて「Weathervanes And Chemicals」かな。このあたりまで(とラスト近辺)は曲順覚えてたけど、あとはちょっと順番うろ覚え。先行発売で買った客にはあとでセットリストが送られてくるということだから、それが来たら転記しよう。ファーストアルバムからは「Fool」と「Looking Thru The Eyes Of David Brewster」以外全曲演ったはず。ファーストのボートラとEPからは以外にも全然演らなかったね(ファーストで再演しているEPの2曲は除く)。

さっき、真ん中にいるのがマリウス「だろう」と書いたのは、右側のギタリスト(CDのブックレットから転載してもいいけど皆あまりにも名前が長いから省略)がほとんどツインヴォーカルのように一緒に歌っていたから。長身の彼とちょっと背が低めの真ん中の人と、最初どっちがマリウスなのかわからなかった。それに加えて、前列にいる他の3人のメンバーがほぼ全曲で、ティーム・ミーの祝祭色豊かな音楽性を支えているあの特徴的なユニゾンのコーラスを入れる。

CDのブックレットによると、このティーム・ミーというのは、マリウス・ドログサス・ハーゲン(Marius Drogseis Hagen 一度ぐらいはフルネームで書いておこう。それにしても長い名前)がいくつかのバンドを掛け持ちでやっていたうちの一つのユニット(というか、Team Meという名前そのまま、マリウス一人)だったのが、母国ノルウェーの国営ラジオ局のコンテストに応募したら突如人気が出てしまい、そのコンテストのために急遽メンバーを寄せ集めたという変わった経歴のバンドらしい。

という話を読んでいたので、この夜の一体感のある演奏にはびっくり。それぞれのメンバーの演奏技術もかなり高いし、転調をふんだんに含むあの複雑な長尺曲を楽々と(マリウスに至っては床に転がったりしながら、文字通り楽しそうに)演奏していたね。中でも、ドラマーが抜群の安定感。ハンサム揃いのティーム・ミーのメンバーの中では唯一だるまさんみたいな体形の彼、何も喋らないしコーラスも入れない(ついでに言えば彼だけフェイスペインティングもない)けど、ステージ後方にどっかり座って、ものすごくいい音を響かせる。僕はあんなに音のいいドラムを聴いたのは、かつてオークランドで観たジョン・ケイルのライヴ以来だと思う。

CDを聴いて予習していたときにはきっとこの曲は演らないだろう、あるいは演ってもつまらないだろうなと予想していた「Favorite Ghost」が秀逸だったのが嬉しい驚き。何曲目だったか忘れたけど確か中盤。「あ、これ演るのか」と比較的醒めた耳で聴いていたら、後半の長い激しい演奏がスタジオ録音を遥かに上回るスリリングな展開。CDでも8分強ある曲だけど、多分この日は10分以上演ったんじゃないかな。

本編終盤の曲順は確か、「Daggers」〜「Show Me」〜「Dear Sister」という流れだったはず。特に、なんだかもわーんとしたイントロをしばらく奏でた後、マリウスが「つぎの曲は“Show Me”」と紹介し、あの特徴のあるイントロになだれ込んだ瞬間のかっこよさったらなかったね。そして、やはりこの曲でも何度か入るタメのスネアの音の強烈さは、CDの比ではなかった。

日本盤CDは5曲もどっさり入っているボートラの前にあえて3分もの空白を入れているほど大事にしているアルバム本編ラスト曲「Daggers」でもう終わりかと思わせておいて、その後立て続けにアルバム内でも相当盛りあがる部類に入るその2曲に続けて締めるところ。あるいは、先に書いた冒頭のアゲアゲ2曲でぐいっと自分たちの世界に聴いているこちらを引き込むところ。もともとの曲のよさというものももちろんあるけれど、そういうステージ構成がとても上手だと感心した。

1時間弱のステージを終え、メンバー退出。と思った瞬間にもう戻ってきて「もう1曲聴く?」だって。アンコールの拍手をする間もなかったよ。きっと時間押してたんだろうね。そして最後は、これもまたファーストアルバムの中ではかなり重要な(そしてタイトルが一番長い)「With My Hands Covering Both Of My Eyes I Am Too Scared To Have A Look At You Now」。後で物販の写真見たら、このタイトルだけをプリントしたTシャツが売ってたみたいだね。

1曲のアンコール(?)を含めてちょうど1時間ぐらいだったと思う。申し分なしのほんとにいいライヴだった。セットチェンジで賑やかな飾り付けがどんどん取り払われていくのを見て悲しい気持ちになってしまうぐらいに。


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いかにもカイトのライヴ前らしくシガー・ロスなんかがBGMで流れる中、今度は実にあっさりしたステージになった。左奥にドラムキット、その前にマックブック、ステージ中央に以前も見た小さな機械(あれキーボードなのかな)。あとはテレキャスターばかりのギター数本とベースが置いてあるだけ。メンバーが自分たちで楽器をセットして、音出したりしていつまでもステージ上にいるから、もうそのまま始まるのかと思った。

そんなわけもなく一旦ステージを降り、しばらくして(9時を少し廻った頃だったかな)再度メンバー登場。前に観たときは5人組で、その後2人が抜けたという話を聞いていたけど、出てきたのは4人。ベーシストが助っ人なのかな。前に観たときと同じようなフェンダーのジャズベース使ってるけど、あれはこのバンドの備品なのか。

一応3枚のアルバムは全部持っているけど、どれを何度聴いても同じように聞こえる(またこんなことを書いてファンの気持ちを逆撫でする僕)。だからティーム・ミーと違ってこちらはセットリストを覚えるのは端から諦めてたんだけど、たぶんオープニングは最近完成したばかりだというニューアルバムからだろうと思う。

音楽性が違うからしょうがないとはいうものの、祭りのようなあのティーム・ミーの盛り上がりを体感した直後だから、どうしてもカイトのこの音の前では客はシーンとしてしまう。メンバーも盛り上げようと手拍子を催促したりするんだけど、なんだかぎこちない感じがする。

前に観たときよりは演奏自体は格段に上手になっているんだけど、ちょっと猫背気味にハンドマイクで歌うニックの声が出ていないんだかマイクボリュームが小さすぎるんだか、歌がかなり聞こえづらいというのも盛り上がりに欠けた一因だったと思う。ティーム・ミーのときは全然問題なかったから、必ずしも僕の聴いていた位置の問題じゃないと思うんだけど。

逆にベースの音がかなり強烈にブンブンと響いてきて、やっぱりジャズベの音いいなと思っていたら、ある曲ではベーシストもギターを弾いているのに、ベース音がバリバリ鳴っている。あ、あの音ってマックから鳴らしてたのかと、また一気に興醒め。ただ、その後ベースに持ち替えた曲でのベース音の響きは違ったから、やっぱりジャズベの音はよかったんだけど、それでもその場で演奏していない音が鳴るラップトップミュージックのライヴにはどうしても馴染めない。

どれも同じ曲に聴こえるから、「あと2曲演るよ」と言って演奏した2曲(比較的よく覚えてたから、たぶん僕にも馴染みのあるファーストからの曲)もそれまでと同じように淡々と終わり、あっさりとステージを降りる。そしてこちらも、まだアンコールの拍手がそれほど始まってもいないうちに再登場し、「もう2曲」とアンコール。終了は10時ちょっと過ぎだったから、やはりこちらも1時間ちょうどぐらいのステージだった。


というわけで、僕の主観が入りまくった(僕のブログなんだから当たり前なんだけど)、やたらティーム・ミー寄りのレビューになってしまった。終演後は竜巻に巻き込まれるといけないと思ってそそくさと出てきたんだけど、後でツィッターとか見てみたら、物販には沢山のTシャツとかティーム・ミーのLPとかがあったみだいだね。残念だけど、最近散財が激しいからちょうどよかったよ。

ちなみに今回のライヴ、紙チケットの代わりに携帯にダウンロードしてそれを会場入り口でピッとするやり方。スマートでいいんだけど、携帯の充電切れたらどうしようかとちょっと気が気でないところが玉に傷。

そうやってチケットを購入したお客さんにはライヴの写真が送られてきたり(上に勝手に貼らせてもらったのはその4枚のうちの2枚)、セットリストが送られてきたり(まだ来てないけど)、メンバーとのミート&グリート参加権の抽選に参加できたり(はずれたけど)、カイトの新曲がダウンロードできるコードをくれたり(個人的にはティーム・ミーのを欲しかったけど)と、なかなかいいサービス。先行販売割引がきちんとできていなかったからと、会場出口で返金してくれたのもスムーズだったし(喫煙所近くだったからそんな場所にずっといるのだけは嫌だったけど。というか、なんでリキッドはあのもうもうとした煙の中を通り抜けないと外に出られない造りになってるんだ?なんとかしてほしいよ)。

外に出てみたら、台風一過のように静かな夜空。カイトにはちょっと残念な思いをしたけど(前回同様、やっぱりこの人たちはCDで聴くのがいいという僕の結論)、去年の年末にEPを聴いて以来かなり贔屓にしていたティーム・ミーのライヴがあれだけよかったことに気をよくしながら帰途についた。


 5月13日追記

ホステスからはまだセットリストを送ってこないけど、RO69のサイトにもう載ってたので、転載させてもらおう。上に「ファーストのボートラとEPからは以外にも全然演らなかったね」なんて書いたけど、EPから「Kennedy Street」と「Come Down」もしっかり演ってたね。まったくいい加減な記憶。

Setlist 9 May 2012 @ Liquidroom Tokyo

Team Me
1. Patrick Wolf & Daniel Johns
2. Weathervanes And Chemicals
3. Riding My Bicycle (From Ragnvalsbekken To Sorkedalen)
4. Kennedy Street
5. Favorite Ghost
6. Come Down
7. Daggers
8. Show Me
9. Dear Sister

Encore
1. With My Hands Covering Both Of My Eyes I Am Too Scared To Have A Look At You Now

Kyte
1. Every Nightmare
2. Love To Be Lost
3. Breaking Bones
4. Friend Of A Friend
5. Sunlight
6. Alone Tonight
7. Aerials
8. Half Alone
9. Scratches
10. IHNFSA

Encore
1. Boundaries
2. The Smoke Saves Lives


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