2012年05月28日

Japan Blues & Soul Carnival 2012

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日比谷公園。快晴。もう午後3時前だというのに、新橋駅から10分ほど歩いただけで、麻のジャケットも着ていられなくなるほどの陽気だ。もう5月も末だからね。おあつらえ向きに今日は日比谷オクトーバーフェスの最終日だとのこと。人混みに酔いながら、なるべく短い列のブースを探してドイツビールにありつく。時折涼しい風が吹く木陰で飲む、ちょっと色と味の濃いビールは最高だね。それ自体がずっしりと重いジョッキにたっぷりと注がれた500ミリの黒い液体があっという間になくなってしまう。

そうこうしているうちに3時15分の開場時刻が近づく。今日も指定席だから別に開場時刻に並ばなくてもいいんだけど、これ以上ビールを腹に入れるとライヴ中トイレに通うことになってしまうので、早々に入場。公園には何度か来たことがあるけれど、この歴史ある野外音楽場でライヴを観るのは僕はこれが初めて。

果てしなく遠い2階席の後ろから数えて2列目という、先行予約で押さえたとはやにわに信じがたい劣悪な座席の前日とは打って変わって(劣悪だったのは目前に座った座高男のせいだったんだけど)、今日はかなりステージに近い、しかも自分の前が通路なのでゆったりと脚を伸ばせる嬉しい席番号。しかも、ステージに向かって左側、つまり、サニー側だ。

サニーとジョニーだけだった前日とは違って、ジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニヴァルというイベントの今日は、その2組に加えてさらに2組(+ゲストシンガー)という盛り沢山な内容。どうせサニーが出てくるのは6時ぐらいだろうから、あまりよく知らない他の人たちはパスしてそれぐらいの時間に来ようかなとも思ったけど、ドイツビールにも惹かれてやっぱり定刻通りに到着。

その2組についてまでこと細かく書いていたら本当にきりがないので、ごく手短かにすませよう。まずはMCも務めたゴトウゆうぞう率いるワニクマ・デロレン&マキ、控えめに言ってもすっごくよかった。「What's Going On」とか「What A Wonderful World」とかの有名曲を日本語(関西弁)に翻訳して歌うんだけど、アドリブで入れる時事問題とか、まるで河内屋菊水丸かランキン・タクシーかというぐらい。ギタリストのカメリヤ・マキはなんでこんな綺麗な人がブルーズ・ギターなんてやってるんだ?という、いい意味での違和感ありまくりの存在感。そしてなりより、ゴトウゆうぞうの語り。彼は自分のステージだけでなく、最後までセット間のMCを務めたんだけど、まあこれがとにかく面白い。場つなぎのブルーズ・クイズとか、三味線を持ち出しての弾き語りとか、ユーモアいっぱいのメンバー紹介とか。夏に西麻布でライヴ演るっていうから、観に行ってみようかな。

ああ、どこが手短かなんだ。毎度のこととはいえ、すみませんね。次に登場したのは近藤房之助。名前は聞いたことあるかなあと思っていたら、BBクィーンズの人か、おどるポンポコリンの(とか本人は言われたくないのかもしれないけどね)。これがまた剛速球ストレートみたいな、「Stormy Monday」で始まるバリバリのブルーズ大会。いい声してるねぇ。ブルーズ・ハープ(ハーモニカ)だけのメンバーがいるというのもまた凄いよね。

以上二組がそれぞれ大体30〜40分ずつぐらい。セットチェンジ(といっても前日同様アンプぐらいしか換えるものはないけど)の間はゴトウゆうぞうの爆笑トークであっという間に過ぎ、サニー・ランドレスとバンドが登場したのが確か5時半頃。サニーは紫色の絞り染めみたいなシャツと、一見ジーンズに見えるけどあれは多分もっとゆったりした素材のストレートなパンツ。前日同様もうほとんど鎖骨のところまで持ち上げた赤いストラトキャスターを抱えて登場。

僕は前日ほとんど姿を見なかったデイヴ・ランソンは、銀色の髪の毛をオールバックになでつけ、サニー同様銀縁の眼鏡をかけた、ちょっとインテリっぽい風貌。なんだか、(エルヴィス・コステロの)アトラクションズにいそうな見かけ。特にアトラクションズの誰に似ているというわけでもないんだけど。

ドラムスのブライアンは、僕の位置から見るとちょうど後ろのライトが直接目に入ってきて(あれ結構ずっと目障りだったんだけど、この会場っていつもああなのかな)、今日はほとんど彼の方は見なかった。というか、この至近距離からサニーがギターを弾くのを観れるのに、他に何を見るというのか。

「Z Rider」から始まるセットリストは前日とほぼ同じ。詳細なセットリストは後述するけど、昨日書いた赤とサンバーストのストラトを頻繁に交換して弾く件、もしかしたら1曲ごとにチューニングが狂うからなのかなんて書いたけど、今日はそれに注意して見てたら、違うね。あれは意図的に(おそらく違うチューニングで)曲によってギターを使い分けていたと思う。簡単に言うと、冒頭の「Z Rider」以外はヴォーカル曲で赤い方を使っていたかな。

昨日タイトルがわからなかった4曲目、今日必死で歌詞を聴き取ってきて、ネットで調べてようやく見当がついた。スキップ・ジェイムズの「Cherry Ball Blues」という曲だね。ああわかってよかった。

その4曲目までが前日と同じで、「Hell At Home」を演らずに「新しいアルバムを出してね」と紹介し始めたから、これは前日とはセットリスト変えてきてるのかなとほんのり期待。しかも、新作から演ったのは前日とは違って「Wonderide」だった。

ただ、その新曲の次に「The Milky Way Home」も演らずに「この曲はハリケーン・カトリーナのことについて書いたんだ」と紹介したときにちょっと嫌な予感が。これって、もしかしてセットリスト変えてきてるんじゃなくて、単に端折ってるんじゃないのか?

その悪い予感は的中し、「Blue Tarp Blues」の後は前日同様「Brave New Girl」から「Uberesso」のメドレー。そこでメンバー紹介をしてステージを去るサニー。なんだって?40分も演ってないんじゃない?これじゃ最初の二組よりも短いぐらいだよ。

と思っていたら、MCのゴトウゆうぞうが出てきて、サニーを再度呼び出す。ああよかった。アンコールは前日も最後に演奏した「Pedal To Metal」。ものすごい演奏だよね。今日何人もギタリストを見たけど、こんな人他にいないよ。例えて言えば、一秒間に何十個も精密部品を作る工業機械か何かを見ているような感じ。前にも書いたかもしれないけど、自分の目の前で見ているのに、何をどうやったらギターからあんな音が出てくるのかがわからない、まるで高速の手品のような演奏。

あ、そういえば一つ今回発見したのが、「Blue Tarp Blues」のあの印象的なイントロの金属音のような音とドローン音の組み合わせは、右掌を震わせて全部の弦に触れると同時に、スライドバーの後ろで左の人差し指で弦を爪弾いて出していたということを発見。凄いなというよりも、どうしてそんなことをしてあんな音を出そうと(出せると)思ったかということの方が驚きだよ。


サニーのパートが前日よりも2曲分短かったのは残念でしょうがないけれど、1時間弱に亘って彼の手元を凝視し続けることができたのは何よりも幸せだった。もう今日はこれだけで来た甲斐あり。あとは、ジョニー・ウィンターはどうせ前日と同じセットだろうから、缶チューハイでも飲みながらまったりとくつろいで観てよう。

なんてすかしたことを言ってはみても、やはりこの至近距離でジョニー・ウィンターを観られるというのはちょっとした感激。腕の刺青もくっきりと見えるよ(刺青自体はもうすでにくっきりしてはいないけど)。本編のセットリストは前日と全く同じ。演奏の内容もほぼ同じと言っていいだろう(ジョニーが立ち上がる箇所も同じ・笑)。改めて感心したのが、ちょっと危なっかしいところも散見されるジョニーをサポートする3人のメンバーの確実な演奏技術。誰一人としてジョニーを差し置いて出しゃばったりはしないけど、この人たちだからこそお客さんもあれだけ盛り上がることができるんだなあと思わせる卓越した演奏。ベースの音とか超かっこよかったよね。

満員の日比谷野音のお客さんは前座扱いのサニーよりもジョニーの方で相当盛り上がっていたようだけれど、明日も朝から会社に行かないといけない身としては、ちょっとアンコールまで飛ばさせてもらおう。

アンコールの拍手に応えて、ファイアバードを手に再登場したジョニー。左手の小指にはサニーのガラス製のとは違って金属製のスライドバーが嵌っている。ここまで前日と同じセットリストだったから、この後すぐにサニーが出てくるかと思っていたら、椅子に座るや否や「Highway 61」と言って超高速演奏を始めた。ええっ?もしかしてここも端折るの?

と思ったら、長尺のその曲を終えてもジョニーはギターを下ろさない。そして、「君たちが待ち望んでいたゲストを呼ぶよ。そんなに待ち望んでいたかどうかはわからないけど」とかなんだか微妙な紹介で、サニーを呼び出す。いや、当然僕は待ち望んでいましたよ。予想通り、サニーだけでなく、本日の出演者一同、とまではいかないけれど、三味線のゴトウゆうぞう、同バンドからギターのカメリヤ・マキ、近藤房之助バンドからブルーズ・ハープのKOTEZが参加。曲は、これまた予想通り前日同様の「Dust My Broom」。

最初の数回のソロは自分が弾いて、後半「サニー・ランドレス!」とサニーにソロを譲り、12小節終えたところで再度「サニー・ランドレス!」ともう一回ソロを取らせる。ただ、その後、サニーも自分がソロを弾いていいものやら、誰か他のゲストに譲っていいものやら、妙な譲り合いみたいな12小節が2回ほど続いた。誰も弾かないとわかるとKOTEZが咄嗟にブルーズ・ハープを入れたりね。

なんていうのは、あの幸せな空間の中ではほんの些細なこと。中央で椅子に腰かけてギブソン・ファイアバードでスライドを弾きまくるジョニー御大を囲んだ拡大ブルーズ・バンドの面々が演奏する「Dust My Broom」は格別だった。観ている途中、「あ、もしかしたらジョニーを観るのはこれが最後なのかも」なんて不謹慎にも思ってちょっとうるっとしてしまったけど、きっとあのよぼよぼした見かけよりもずっと元気だよね、あの人。あと何回来日してくれるかわからないけど、こうして人間国宝みたいな佇まいでこれからもずっとやっていってほしいよ。


Setlist 27 May 2012 @ Hibiya Open-Air Concert Hall

Sonny Landreth
1. Z Rider
2. Native Stepson
3. Promised Land
4. Cherry Ball Blues
5. Wonderide
6. Blue Tarp Blues
7. Brave New Girl
8. Uberesso

[Encore]
1. Pedal To Metal


Johnny Winter
1. (Intro)
2. Hideaway
3. She Likes To Boogie Real Low
4. Good Morning Little School Girl
5. Got My Mojo Working
6. Johnny B. Goode
7. Black Jack
8. Tore Down
9. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me / Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[encore]
1. Highway 61 Revisited
2. Dust My Broom w/ all stars


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2012年05月27日

Sonny Landreth & Johnny Winter live in Tokyo

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2月にこのジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニバルの先行予約葉書が送られてきたときに書いてあった会場名Zepp DiverCity Tokyoが、うちからはやたら遠いことで僕の中では悪名高いあのZepp東京が、最近オープンした話題のショッピングセンター、ダイバーシティ東京の中に作った同じ名前の会場だということを知ったのは比較的最近。元々この辺のお台場とか有明とかの地理に疎い僕が最寄駅の東京テレポートに降り立ってみたら、なんだ、元のZeppと同じ駅、しかもずっと駅近じゃないか。会場に入ってみたら、元のZeppよりは若干小ぶりな造り、とはいえそんなに大きな違いがあるわけじゃなさそう。これは、こっちの方がよっぽど便利だよね。元の方は取り壊すのかな。

ただし、ウェブサイトに書いてあった、東京テレポート駅より徒歩3分というのはかなり誇張してあるぞ。なにしろオープンしたばかりのショッピングセンター、その中でも一番駅から遠い場所にある会場までは、ダイバーシティの入口に到達してから更に3分以上かかることを覚悟しておいた方がいい。ましてや、途中でフードコートの中を通り過ぎる作りになっているもんだから、下手に食事時に急いで通り過ぎようものなら、ラーメンをトレイに乗せて席を確保しようとキョロキョロしている親子にぶつかってラーメン汁を頭からかぶる羽目になるよ(これも誇張済み)。まあ、次回からは建物の外を通って行くけどね。皆さんも是非そうしてください。

先行予約でも僕のことならどうせろくな整理番号が当たるまいと思い、今回は1000円高い2階の指定席を予約してみた。去年のジョニー・ウィンターのときみたいに、ギタリストの顔しか見えないというのもちょっと冴えないからね。なので、今回は開場時刻(なんと、夕方4時)のことは気にせず、開演時刻5時の20分ぐらい前に会場に着くように出かけた。

500円のコインを生ビールと交換し、2階席へ。先行予約でも僕のことだからやっぱり5列しかないのに4列目だったりしたけど、ほぼ中央付近の席で、しかも結構前後に傾斜がついているから、ステージまではかなりの距離があるけど、まあ見やすいかな。僕の前の数列には誰も座ってないし。このまま誰もこなければいいのに。

と思っていたら、開演5分前になって、僕の真ん前に左右のお客さんよりも明らかに20センチは座高の高い、しかもやたらと頭部の大きい男が座った。ステージ半分見えないよ… なんてついてないんだ。1万円の席でこれかよ。

しょうがないので左に片寄りながら、少なくともサニーの立つステージ左半分だけは観ようとしていると、開演時刻を少し過ぎたあたりでメンバー登場。サニーがステージを去るときにいつものようにざっと早口で紹介したのを聞くと、ベースはもちろんサニーとずっと一緒に演ってるデイヴィッド・ランソン(David Ranson)、ドラムスはブライアン・ブリグナック(Brian Brignac)だったようだ。結局今回僕がデイヴィッドのことを見られたのは、この登場時と、ステージを降りる時だけだったけど。

オープニングは「Z Rider」!これは盛り上がるなあ。サニーが赤いストラトキャスターを弾いてるのを見るのはこれが初めてかも(もちろん、僕が実物のサニーを見たのは、昨日の記事に書いたとおり1988年のジョン・ハイアットのライヴと、金曜日のサイン会の2回だけだから、何色のストラトキャスターを弾くところも実際には見るのはほとんど初めてのようなものなんだけどね。そういうことじゃなくて、彼がギターを弾いている写真は、大抵サンバーストのストラトか、(こちらは最近滅多に見ることがなくなったけど)同じくサンバーストのファイアバードだったから。

続いて、サニーが調弦しながら単音を弾いた音を聴いて、あ、次はあれだろうなとわかってしまった(それが何の音なのかは楽器もろくにできないし絶対音感もない僕にはわからないけど、どの曲のイントロの最初の音かはわかる。伊達に彼の音楽を聴き続けているわけじゃない)、「Native Stepson」だ。金曜のサイン会がもしインストア・ライヴだったら、最前列に陣取って、どさくさまぎれにこの曲をリクエストしようと思ってたぐらい、あるいは携帯の着信音なんてプリセットのものしか使わない僕にしては珍しく一時期この曲のアクースティック・ヴァージョン(サニーのサイトからダウンロードした)を着うたにしていたぐらいに、大好きな曲。いみじくも、昨日の記事で僕が書いたサニーの代表的な3つのインスト曲のうち2つを冒頭から立て続けに演奏。

2曲演奏したところで、挨拶。どの曲のときだったか、日本語で「コンバンハ」とか言ってたっけ。「アリガトウゴザイマス」だったかな。最初の2曲を聴いて、もしかしたら今回は新譜のコンセプトに合わせてインスト曲しか演らないのかもと一瞬思ってしまったけど、3曲目は歌入りの「Promised Land」。88年の来日時はもちろんサニーは1曲も歌ってないから、これが僕がサニーの歌声を生で聴く最初の瞬間だった。この人、いい声してるよね。

4曲目は知らない曲だった。僕にわからないサニーの曲があるなんて、軽いショック。特に説明もなく始めたから、新曲というわけでもなさそうだし。ミディアム・テンポのブルーズ曲。どっかで聴いたことあるような気がしたけど、こういう感じの頭の歌詞を二度繰り返すミディアム・テンポのブルーズ曲なんて星の数ほどあるから、わからないよ。あの曲、どのアルバムかに入ってたっけ。もし誰かわかった人がいたら、教えてください。

それ以外の曲は、もちろん全部わかった。その場で咄嗟にタイトルの出てこないものもあったけど、“あのアルバムのあの辺に入ってる曲”とかいう感じで大体記憶してメモってきた(咄嗟にタイトルが出てこないのは大体インスト曲)。セットリストは(4曲目以外)後述するので、後は印象的だったことをいくつか書こう。

印象的といえば一番印象的だったのが、サニーがさっき書いた赤いストラトと、お馴染みのサンバーストのストラトを、殆ど1-2曲ごとに取り換えていたこと。どっちもストラトキャスターだから出てくる音にそう大きな違いはないはずなんだけど、もしかしたら2本とも違う調弦してあるのかな。それとも、1曲弾いたらチューニングが狂ってくるから、一旦交換してバックステージでチューニングしてもらってたんだろうか。謎。

ほとんど動き回ることなく、胸のうんと上の方にギターを抱えるようにして、1曲たりともスライドバーを指から外すことなく(僕の位置からはっきり見えるわけもないんだけど、ときどき光を受けて反射する具合を見ると、ガラス製だったみたい)、右脚でリズムを取りながら演奏するサニー。指先とかまでよく見えないけど、右手をパーにしたりネックの方で弾いたり、あの多彩な音はああやって出してるんだなあと感激。

「新しいアルバムを出してね、それがインストゥルメンタル・アルバムなんだ。そこから1曲」と言って始めたのが「Forgotten Story」。アルバムではスティール・ドラムスのロバート・グリニッジをゲストに迎えた曲だけど、もちろんここでは3人によるストレートな演奏(でも途中のレゲエっぽいリズムはそのままで)。

「次はロックンロールいってみる?」みたいなことを言って、なんだろうと思っていたら、「The Milky Way Home」だった。こちらももちろん、アルバムではエリック・ジョンソンが弾いているパートまで一人で全部演奏。これで、昨日の記事に書いた僕が好きなサニーのインスト曲3つ全部演ってくれた。嬉しいな。

「この曲はハリケーン・カトリーナのことについて書いたんだ」と始めたのは、「Blue Tarp Blues」。歌詞読めば歌ってることはわかるんだけどなんのことだろね、と思っていたけど、そう言われて改めて歌詞読んでみたら、あ、そうかと納得。08年のアルバムでカトリーナのことを歌ってるとは思わなかったもので。

再び新譜からの「Brand New Girl」を終えた瞬間、ほとんどメドレーのように始めたのが「Uberesso」。そして、ラストは『Levee Town』の09年の再発盤ボーナスディスク収録の「Pedal To Metal」。結局、11曲中7曲がインストだったね。そういう意味では新譜のコンセプトに合わせたのかもしれないけど、肝心の『Elemental Journey』からはそのうちわずか2曲だけ。まあ、他の5曲が超悶絶的にかっこいい曲ばかりだったから僕としては何の問題もないけど。

さっき書いたようにざっとメンバーを紹介して、1時間弱の演奏を終えてあっさりとステージを去るサニー。あーあ、もう終わっちゃった。次にジョニー・ウィンターが控えてるから、アンコールはなし。ステージのセット交換が始まるが、ドラムキットは共用しているからほとんど換えるものがない。アンプを交換してギターやベースをちょっと試し弾きして、あっという間に終了。あとは、ジョニー・ウィンター用の黒い(たぶん革張りの)椅子。


それからしばらくして(確かサニー達が去ってから20分後ぐらい)、ジョニー・ウィンター・バンドの3人とカウボーイ・ハットをかぶったMCが登場。去年とまったく同じパターンだね。そして、バンドがイントロ曲(きっとまた「Intro」というタイトルなんだろう)を演奏していると、お馴染みヘッドレスのレイザーを手にしたジョニーが、腰を曲げてよぼよぼと登場。そして、イントロ曲の間は、椅子の前で立ったまま演奏(!)。まあ、2階席から見ている限りは、別に座ってても直立不動で立っててもあんまり見た目変わらないんだけどね。

殆どの曲を、曲目紹介しながら演奏していくんだけど、椅子に腰かけての最初の曲が「Hideaway」だというのを聞いて、もしかしたら今日のセットリスト、去年とまったく同じかもという疑念が頭をよぎる。まあ、去年のセトリ全部覚えてるわけじゃないし、たとえ同じであっても別に問題ないんだけどね。

続いて、「She Likes To Boogie Real Low」。やっぱり同じだ。と思っていたけど、帰ってきて去年のセトリ見てみたら、去年はこの2曲の間に「Sugar Coated Love」を演ってるね。微妙には変えてたんだ。

演奏もジョニーの歌も、去年観たときとほとんど同じ感想。曲によってはかなりヴォーカルが聴きづらいほど弱ってしまった声がやっぱり悲しい。ギターソロも、失礼ながらテクニックという意味ではサイドギタリストのポール・ネルソン(Paul Nelson)の方が冴えていたんじゃないだろうか。まあ、テクニックといっても、別にきらびやかな速弾きができることが偉いわけじゃないからね。

というわけで、去年の記事を読み返してしまったら、なんだか同じようなことばかり書いてしまいそうなので、適当に飛ばしながら書き進めよう。もうサニーのパートで散々書き散らかしたから、後半適当でもいいよね。

「マディー・ウォーターズの曲を」と言って始めた「Got My Mojo Working」や、その次に「ロックンロールを演るよ」と言って始めた(昔みたいに「ロックンローーール!!」じゃなかったのがやっぱり寂しい)「Johnny B. Goode」みたいな僕でも知ってる超有名曲から、去年の記事や直近のツアーのセトリを見ないと曲名を思い出せなかったようなマイナーなブルーズ曲まで、淡々と、でもそこはさすが腐ってもジョニー・ウィンターなのでアツくステージが進む。1階のお客さんも、サニーのときは借りてきた猫みたいだったのが、今書いた2曲のサビとかでは歌う歌う。

「Don't Take Advantage Of Me」(という曲だというのは帰ってきてセトリを見るまで思い出せなかったけど)にメドレーで続けて、いつの間にか知ってる曲になってるなあと思いながら歌詞聴いていたら、「Gimme Shelter」じゃないか。

そして、いよいよ本編ラストというところでステージ脇からスタッフが出てきてジョニーのマイクスタンドの高さを上げる。おおっ!と思っていたら、ジョニー立ち上がる(笑)。ここでまた大歓声(笑)。ラストはこれも去年と同じく「It's All Over Now」。

アンコールの拍手に応えて再度登場。メンバー3人とジョニー、そしてジョニーのお手伝いのスタッフも。ジョニーが手にしているのは、これも去年と同じく、彼のトレードマークのギブソン・ファイアバード。やっぱりそっけないデザインのレイザーよりも、この人はこっちの方が遥かに絵になるよね。

ジョニーが椅子に腰かけている間にステージ脇からもう一人現れた。サニーだ!!やった!この二人の共演が観られるなんて!しかも、僕から観やすいように、座高男を避けてジョニーの左側に立ってくれたよ!(笑)。

曲は、ジョニーの新作『Roots』から、サニー参加曲「T-Bone Shuffle」ではなく、何故かデレク・トラックスが参加していた「Dust My Bloom」(「何故か」というか、これも去年と同じということね)。本編では一切披露しなかったジョニーのスライドプレイを堪能。曲中で何度か訪れるギターソロを全部ジョニーが弾くもんだから、おいおいサニーは隣で伴奏してるだけかよ、と思い始めた矢先、ジョニーが「サニー・ランドレス!」と言ってサニーのソロへ。それも数小節とかの短いのじゃなく、たっぷりと弾き倒してくれたよ。超満足。

そこでサニーだけがステージを降り(あーあ…)、ジョニーとバンドは恒例の超高速「Highway 61 Revisited」で幕。ずっと見づらかったけど、なんだかんだ言って結構楽しめたよ。ジョニーもまだまだ元気そうでよかった(歩くときにいちいちポールに手助けしてもらわないといけないのが見ててちょっと不安になるけど)。遠くてよく見えなかったところは、明日(もう今日だ)の日比谷でじっくり観よう。

さあ帰ろうと、椅子の下に置いてあったカバンを手に取ると、なんだか湿ってる。。椅子の下を覗き込むと、隣の席の奴が飲み残したビールのカップを倒して行ってやがる。最悪。道理でさっきアンコールのときに急にビール臭くなったと思ったよ。あーあ、なんだかライヴ本体以外はどうもついてない日だったな。予想外にかなり早く終わった(まだたったの8時過ぎ)のでさっきのダイバーシティのフードコートで何か食べて帰ろうかと思ったけど、とても一人で席を確保できるような状態じゃなかったし。まあ、今日はもうこの記事をさっさと書いて、野音に備えて早いとこ寝よう。


Setlist 26 May 2012 @ Zepp DiverCity Tokyo

Sonny Landreth
1. Z Rider
2. Native Stepson
3. Promised Land
4. Cherry Ball Blues
5. Hell At Home
6. Forgotten Story
7. The Milky Way Home
8. Blue Tarp Blues
9. Brave New Girl
10. Uberesso
11. Pedal To Metal


Johnny Winter
1. (Intro)
2. Hideaway
3. She Likes To Boogie Real Low
4. Good Morning Little School Girl
5. Got My Mojo Working
6. Johnny B. Goode
7. Black Jack
8. Tore Down
9. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me / Gimme Shelter
11. It's All Over Now

[encore]
1. Dust My Broom w/ Sonny Landreth
2. Highway 61 Revisited
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2012年05月26日

三夜連続記事序章 - Sonny Landreth

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サニー・ランドレス 『Elemental Journey』

「サニー・ランドレスのニュー・アルバム」。思えば、88年2月にジョン・ハイアットのバックバンドの一員として来日した彼のスライドさばきを生で観て衝撃を受け、92年に今は亡き渋谷フリスコで彼の出世作『Outward Bound』を手に入れて以来約20年強、僕はどんな思いでこの言葉を常に待ち続けてきたことか。

だいたい3年から5年の間隔で発表されるソロアルバムだけでは飽き足らず、サニーがアルバム中1曲でも参加しているCDを片っ端から集め続けた結果、うちにある“サニー・ランドレス・コーナー”には既に60枚以上のCDが集まってしまっている(これでも完コレにはほど遠い)。いくつかは若干期待外れ(彼が参加している曲はともかく、他の曲がどうにも性に合わないとか)なこともあるんだけど、それでも集めずにはいられないという、もう僕にとってはとんでもない魅力を持ったギタリストだ。

08年の前作『From The Reach』は(少なくとも僕の脳内では)当然のごとくその年の個人的ベストアルバムの堂々一位に輝いたぐらい、僕にとってはもうとにかく次のアルバムが待ち遠しくてしょうがないという数少ないアーティストの一人。

そのサニーのニューアルバムが出るという話と、彼がジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニバル2012というイベントに出演するために来日するというニュースを聴いたのは確かほぼ同時期だったと思う。そのイベントはなんと、奇跡の初来日と言われていた昨年からわずか1年で再来日となったジョニー・ウィンターとのジョイント・ライヴだという。もちろん、すぐさまサニーが登場する全公演2日間のチケットを押さえた。ライヴの模様は、うまくいけば明日・明後日に続けざまにここにアップする予定(という意味での今日の記事タイトル)。

というわけで、このブログでは本当に久々のアルバム・レビュー。ただ、5月23日に発売になったばかりで、買ってからぶっ続けで4〜5回は聴いているとはいえ、まだ存分にレビューができるほど聴き込めていないというのは容赦頂きたい。ちなみにここだけの話、本当は24日に戻ってくるはずだったブラジル出張の帰国便を一日早めたのは、発売日にこのアルバムをゲットするためだというもっぱらの噂。

ここのところずっとギターを弾く自分の写真をジャケにしていたが、今回は一転して上に載せたやたらとシンプルな、星空をバックに文字だけというジャケ。ジャケ下部に入っているサインについては後述。全11曲の今回のアルバムは彼にとっては初の試みとなる全曲インストゥルメンタル。どうしてインストアルバムになったのかなど詳しい情報は、今ちょうど本屋に並んでいるレコードコレクターズ6月号に、五十嵐正さんの含蓄のあるインタビューが載っているから興味のある人はそれを買って読んでもらえばいい。なにしろ、日本の雑誌にサニーの記事が(いくら新譜発売と来日が重なったからとはいえ)6ページも載るなんて、快挙じゃないか。

日本盤CDの帯をはじめ、ありとあらゆるところでエリック・クラプトンの名前を引き合いに出してサニーのことを紹介しているのはちょっと辟易するけど(よく引き合いに出されている「世界で最も過小評価されているギタリスト」という自らの言葉を覆すかのごとく、サニーのことを自分主催のフェスなどに頻繁に起用しているクラプトンにはとても感謝しているけれど)、まだ日本ではそうやって宣伝しないと誰も知らないようなギタリストなんだということに逆に驚いてしまう。

前作はそのエリック・クラプトンをはじめ沢山のゲストがほとんど全曲に入れ替わり立ち代わり参加していたが、今回は11曲中3曲のみ。一般的には冒頭の「Gaia Tribe」でギターソロを弾いているジョー・サトリアーニの参加が一番の話題なんだろうけど、僕にはそれほど思い入れのある人ではないのでそこはさらっと。

5曲目「Passionola」に参加しているエリック・ジョンソンって前作にも入ってたな、どの曲だっけと思って上にリンクした記事を見直してみたら、あの「The Milky Way Home」でサニーと延々ギターソロの掛け合いやってた人か。

もう一名は9曲目「Forgotten Story」に参加しているロバート・グリニッジというスティール・ドラム奏者。うん、確かになんていうんだろう、レゲエっぽいリズムのカリプソっぽい曲調。

今のところの感想を一言でまとめると、ここに入っている11曲が通常のヴォーカルアルバムに数曲ずつ入っていたら、きっともっとそれぞれが映えたんじゃないかな、という感じ。要するに、もったいない。どの曲もいつもながらの超絶スライドでメロディアスなラインを弾きまくっているし、曲によっては生のストリングスが入ったりさっき書いたように普段は使わないようなリズムに乗せたりと様々な試みをしているんだけど、それが11曲立て続けに出てくると、何故かどうにも引っ掛かりが少なくなってしまうように思える。

“通常のヴォーカルアルバム”に入っているインスト曲、それはたとえば「Native Stepson」だったり「Z Rider」だったり「The Milky Way Home」だったりするわけだけど、どれもこれも「ああ、こういう曲ばかり集めたサニーのインストアルバムをいつか聴いてみたい」と思わせるような名曲ばかりなのに、いざこうしてそういう曲ばかりを集めてみると逆の感想を持ってしまうというのは、僕が単にあまのじゃくなだけなのか。それとも、こういう優れたインスト曲は、ヴォーカル曲の間に挟まれてこそ、そのよさをより発揮するということなんだろうか。

そう、勘違いしないでほしいのは、僕はこのアルバムをつまらないと言っているわけじゃないということ。並べてみたら比較的凡庸と言えなくもない曲もあるけれど、ほとんどの曲は1曲だけ抜き出してみると相当かっこよく聴こえる。きっと、こうして11曲通して聴くよりも、ラジオとかでたまたまこの中のどれか1曲に遭遇した方が遥かに輝いて聴こえるんじゃないかな。そういう意味では、おそらく通常セット(要するにちゃんと歌も歌う)であろう今回のライヴの所々で披露されるであろうこのアルバムの曲が僕の耳にどう聴こえるか、かなり楽しみではある。そのために、ちゃんと曲名覚えて行こう(インストの曲名覚えるのが相変わらず苦手)。

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さて、僕が珍しく発売したばかりの日本盤を買った理由は、もちろんこれが大好きなサニーの新譜だからというのもあるけれど、昨日タワーレコード渋谷店で行われた、アルバム発売記念サイン会の参加券をゲットするため。発売初日に買った新宿店から拾ってきたチラシが黄色で、サイン会が行われた渋谷店に置いてあったチラシが緑色だったというのは、きっと僕以外のすべての人にとってはどうでもいいことなのは知っているけど。

実は僕はこのイベントをインストア・ライヴだと勘違いしていて、開始時刻の相当前に渋谷に着くために、出張直後で相当忙しかった仕事を全部放ったらかして行ったんだけど、着いてみたらステージにはギターアンプはおろかマイクすら置いていない。店員さんに聞いてみたら、演奏はないとのこと。チラシを見直してみても、どこにもインストア・ライヴなんて書いてないし。チラシの色の違いを云々する前に書いてあることにまず気付け>自分

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開始時刻のかなり前にステージ前に突っ立っていたら、いつの間にか僕の後ろにずらっと並ぶ人の列。いや、僕は別に一番にサインをもらおうと思って来たわけじゃないからと、一旦列を外れてその辺をブラブラ。会場は渋谷タワー5階。知っている人ならわかると思うけど、そこはブルーズとかジャズがメイン(のはず)だけど、Kポップのコーナーもある(というか、売上的にはきっとこっちがメインなんだろう)。当然この日の5階は、サイン待ちの(おそらく平均年齢が40を下らない)おじさん軍団と、Kポップ目当てで文字通りキャピキャピ騒ぐ、平均年齢がおじさん軍団の半分以下のはずの女子軍団が混然一体となった、かなり不思議な光景。

予定時刻の7時ちょっと前になると、Kポップコーナーにいた女子軍団がエレベーター前の狭いスペースにまず追いやられ(まさかあのKポップ女子たちもおじさん軍団にこんな風に不当占拠されるとは思いもよらなかっただろう)、7時を少し廻ったところでサニー登場。

前に僕がサニーのことをじかに見たのはもう24年も前のことだし、それも遠く離れたステージの上だったから、こんな数メートルの距離で見るのはもちろん初めて。思ったより小柄で、きっと身長は僕とそう変わらない。銀縁の眼鏡に、このままアメリカから飛行機に乗ってきましたといわんばかりのラフな服装。髪の毛にはもう結構白いものが混じってる(でも元が薄い茶色?だから特に違和感もなく)。

間違っても“豪快な米南部人”みたいな人だとは思っていなかったけど、予想通りナイーブそうな人。でも気さくに一人ひとりに自分から「どう、元気?」みたいな感じで声をかけている。隣に通訳の女性がいたけれど、ほとんどの人とは英語で直接話していたみたい。何人かの人は『Elemental Journey』に追加でサインをもらおうと別のアルバムのジャケを持ってきてたりして係員に注意されていた(でもサニーはサインしてあげてたね)。

並んだファンは全部で40人程度だったかな?途中まで傍で見ていた僕もそろそろ列が途切れるというところになってようやく並び、最後の方でサインを貰う。“あの”サニー・ランドレスと直接話すことができるなんて。きっと周りで見てもわかっただろうと思うほど相当緊張している自分。何を話したかな。「明日と明後日観に行きます」とか「楽しみにしてます」とかまあ、そういう他愛のないことしか言えなかったように思う。

最後に手に持っていたA4サイズの写真をサニーに見せた。僕が集めたサニー参加CD、計63枚を並べて撮った写真だ。「わあ、これはすごい。よく集めたね。僕の一生だ(笑)。よく覚えていないのもあるけど」と、しばらく一つ一つのジャケを眺めてくれるサニー。一番左上のエリオット・マーフィーの『Lost Generation』を指さして、「これは懐かしいな。何年だっけ。74年?」とか。やっぱり初期の参加アルバムは印象深いのかな。

二つサインをもらおうとする人は注意されていたから無理かなとは思ったけど、「この写真にもサインもらっていい?」とサニーに訊いてみると、「この上に書くの?どこでもいい?」と快諾。周りのスタッフも黙認してくれた。どうもありがとう。

Sonny CD Collection 001.jpg

これは嬉しいな。ちゃんとラミネート処理して大事にしよう。でも、帰ってきてから、うちにはまだサニー参加CDがあったことを思い出した。しかも、今回のライヴに深く関係する、ジョニー・ウィンターのアルバムじゃないか。しまった(別にサニーはそれが写ってなかったことには一切気付かなかっただろうけど)。

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ジョニー・ウィンター 『Roots』

お台場に新しくできたZepと日比谷野音という大きな会場だから、サニーやジョニーに会ってサインをもらえる機会なんてきっとないだろうけど、一応このCD持ってライヴに行くことにしよう。もしかしたら、電車を降りたところとか会場のトイレで偶然鉢合わせるかもしれないし。
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2012年05月12日

Team Me & Kyte live in Tokyo

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メイン・アクトと前座という立場ではなかったからどっちが先でもよかったんだろうけど、4年前にデビューして同時期に来日、既に3枚のアルバムのキャリアがあるカイトと、今年ファーストアルバムを出したばかりのティーム・ミーという組み合わせなら、まあ当然後者がオープニング・アクトで前者がトリという順番になるだろう。

だから、当日になって主催元のホステスがその順序をツィッターで発表したときには別に何の驚きもなかったんだけど、ライヴを観た僕の率直な感想は、あの順番はちょっとカイトに可哀想だったなというもの。メインと前座じゃないからこそ、あえて逆にしてあげればよかったのに、と。それぐらい圧倒的に、残酷なまでに歴然とした差が両者のステージにはあった。

大気の状態が不安定でまた関東を竜巻が襲うかもしれないから注意してくださいと天気予報に言われ(いったいどう注意すれば竜巻から逃れられるのか?)、恵比寿駅からリキッドルームまでの間のわずか5分の道のりで傘をさしていたにも関わらずずぶ濡れになってしまった6月9日の夜。せっかく先行発売で僕にしては珍しい若い整理番号をゲットしていたのに、さあ会社を出ようというその瞬間に会議に引きずり込まれ、会場にたどり着いたときにはもう番号のコールが終わっていたという、のっけから悲しい展開。それでも、左脇の階段あたりに場所を見つけたので、ちょっと遠いけれども小高いところから落ち着いて観ることができた。

大気の状態が不安定で喉が渇いていたからワンドリンクのモスコミュールをあっという間に飲み干し、おそらくホステス関係なんだろうと思われる、僕のよく知らないドンドンコンコンいう音楽が流れる中をひたすら待つ。最近ライヴに行ったら誰かしら知り合いがいるというのに慣れてしまっているから、一人で開演を待つのがこんなに退屈かというのを久しぶりに味わった。

やがて、開演時刻の7時半を10分以上過ぎ、BGMがアークティック・モンキーズとかボン・イヴェールとか僕にも馴染みのあるものに変わった頃、場内が真っ暗になった。さあ、始まる。

6人のメンバーのうち5人が最前列にずらっと並ぶ様は先日観たミャオウとよく似ている。キーボードとか鉄琴とか様々な楽器がバリケードのように並んでいるのも同じだし、男女混合メンバーというのも一緒だね。真ん中で白いジャズマスターを弾いているのがリーダーのマリウスだろう。その他、左からベース(と鉄琴)、キーボード(この人だけ女性)、キーボードも弾くマリウスを挟んで右にギター(とフロアタム)、キーボード、という布陣。ステージ後方にドラムス。

みんな思い思いのフェイスペインティングをして、マイクスタンドには折り紙で作ったような色とりどりの三角形の飾りつけ。右側のギタリストが弾く青いストラトには緑の蛍光色のテープが沢山貼ってある。ただでさえ音楽性があんななのに、もうそういうのを見ただけでまるで(学芸会のように手作り感満載の)どこかの国のお祭りに来たみたいだ。

オープニングは瞬間的にトップギアまで持っていく「Patrick Wolf & Daniel Johns」だったはず。続けて「Weathervanes And Chemicals」かな。このあたりまで(とラスト近辺)は曲順覚えてたけど、あとはちょっと順番うろ覚え。先行発売で買った客にはあとでセットリストが送られてくるということだから、それが来たら転記しよう。ファーストアルバムからは「Fool」と「Looking Thru The Eyes Of David Brewster」以外全曲演ったはず。ファーストのボートラとEPからは以外にも全然演らなかったね(ファーストで再演しているEPの2曲は除く)。

さっき、真ん中にいるのがマリウス「だろう」と書いたのは、右側のギタリスト(CDのブックレットから転載してもいいけど皆あまりにも名前が長いから省略)がほとんどツインヴォーカルのように一緒に歌っていたから。長身の彼とちょっと背が低めの真ん中の人と、最初どっちがマリウスなのかわからなかった。それに加えて、前列にいる他の3人のメンバーがほぼ全曲で、ティーム・ミーの祝祭色豊かな音楽性を支えているあの特徴的なユニゾンのコーラスを入れる。

CDのブックレットによると、このティーム・ミーというのは、マリウス・ドログサス・ハーゲン(Marius Drogseis Hagen 一度ぐらいはフルネームで書いておこう。それにしても長い名前)がいくつかのバンドを掛け持ちでやっていたうちの一つのユニット(というか、Team Meという名前そのまま、マリウス一人)だったのが、母国ノルウェーの国営ラジオ局のコンテストに応募したら突如人気が出てしまい、そのコンテストのために急遽メンバーを寄せ集めたという変わった経歴のバンドらしい。

という話を読んでいたので、この夜の一体感のある演奏にはびっくり。それぞれのメンバーの演奏技術もかなり高いし、転調をふんだんに含むあの複雑な長尺曲を楽々と(マリウスに至っては床に転がったりしながら、文字通り楽しそうに)演奏していたね。中でも、ドラマーが抜群の安定感。ハンサム揃いのティーム・ミーのメンバーの中では唯一だるまさんみたいな体形の彼、何も喋らないしコーラスも入れない(ついでに言えば彼だけフェイスペインティングもない)けど、ステージ後方にどっかり座って、ものすごくいい音を響かせる。僕はあんなに音のいいドラムを聴いたのは、かつてオークランドで観たジョン・ケイルのライヴ以来だと思う。

CDを聴いて予習していたときにはきっとこの曲は演らないだろう、あるいは演ってもつまらないだろうなと予想していた「Favorite Ghost」が秀逸だったのが嬉しい驚き。何曲目だったか忘れたけど確か中盤。「あ、これ演るのか」と比較的醒めた耳で聴いていたら、後半の長い激しい演奏がスタジオ録音を遥かに上回るスリリングな展開。CDでも8分強ある曲だけど、多分この日は10分以上演ったんじゃないかな。

本編終盤の曲順は確か、「Daggers」〜「Show Me」〜「Dear Sister」という流れだったはず。特に、なんだかもわーんとしたイントロをしばらく奏でた後、マリウスが「つぎの曲は“Show Me”」と紹介し、あの特徴のあるイントロになだれ込んだ瞬間のかっこよさったらなかったね。そして、やはりこの曲でも何度か入るタメのスネアの音の強烈さは、CDの比ではなかった。

日本盤CDは5曲もどっさり入っているボートラの前にあえて3分もの空白を入れているほど大事にしているアルバム本編ラスト曲「Daggers」でもう終わりかと思わせておいて、その後立て続けにアルバム内でも相当盛りあがる部類に入るその2曲に続けて締めるところ。あるいは、先に書いた冒頭のアゲアゲ2曲でぐいっと自分たちの世界に聴いているこちらを引き込むところ。もともとの曲のよさというものももちろんあるけれど、そういうステージ構成がとても上手だと感心した。

1時間弱のステージを終え、メンバー退出。と思った瞬間にもう戻ってきて「もう1曲聴く?」だって。アンコールの拍手をする間もなかったよ。きっと時間押してたんだろうね。そして最後は、これもまたファーストアルバムの中ではかなり重要な(そしてタイトルが一番長い)「With My Hands Covering Both Of My Eyes I Am Too Scared To Have A Look At You Now」。後で物販の写真見たら、このタイトルだけをプリントしたTシャツが売ってたみたいだね。

1曲のアンコール(?)を含めてちょうど1時間ぐらいだったと思う。申し分なしのほんとにいいライヴだった。セットチェンジで賑やかな飾り付けがどんどん取り払われていくのを見て悲しい気持ちになってしまうぐらいに。


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いかにもカイトのライヴ前らしくシガー・ロスなんかがBGMで流れる中、今度は実にあっさりしたステージになった。左奥にドラムキット、その前にマックブック、ステージ中央に以前も見た小さな機械(あれキーボードなのかな)。あとはテレキャスターばかりのギター数本とベースが置いてあるだけ。メンバーが自分たちで楽器をセットして、音出したりしていつまでもステージ上にいるから、もうそのまま始まるのかと思った。

そんなわけもなく一旦ステージを降り、しばらくして(9時を少し廻った頃だったかな)再度メンバー登場。前に観たときは5人組で、その後2人が抜けたという話を聞いていたけど、出てきたのは4人。ベーシストが助っ人なのかな。前に観たときと同じようなフェンダーのジャズベース使ってるけど、あれはこのバンドの備品なのか。

一応3枚のアルバムは全部持っているけど、どれを何度聴いても同じように聞こえる(またこんなことを書いてファンの気持ちを逆撫でする僕)。だからティーム・ミーと違ってこちらはセットリストを覚えるのは端から諦めてたんだけど、たぶんオープニングは最近完成したばかりだというニューアルバムからだろうと思う。

音楽性が違うからしょうがないとはいうものの、祭りのようなあのティーム・ミーの盛り上がりを体感した直後だから、どうしてもカイトのこの音の前では客はシーンとしてしまう。メンバーも盛り上げようと手拍子を催促したりするんだけど、なんだかぎこちない感じがする。

前に観たときよりは演奏自体は格段に上手になっているんだけど、ちょっと猫背気味にハンドマイクで歌うニックの声が出ていないんだかマイクボリュームが小さすぎるんだか、歌がかなり聞こえづらいというのも盛り上がりに欠けた一因だったと思う。ティーム・ミーのときは全然問題なかったから、必ずしも僕の聴いていた位置の問題じゃないと思うんだけど。

逆にベースの音がかなり強烈にブンブンと響いてきて、やっぱりジャズベの音いいなと思っていたら、ある曲ではベーシストもギターを弾いているのに、ベース音がバリバリ鳴っている。あ、あの音ってマックから鳴らしてたのかと、また一気に興醒め。ただ、その後ベースに持ち替えた曲でのベース音の響きは違ったから、やっぱりジャズベの音はよかったんだけど、それでもその場で演奏していない音が鳴るラップトップミュージックのライヴにはどうしても馴染めない。

どれも同じ曲に聴こえるから、「あと2曲演るよ」と言って演奏した2曲(比較的よく覚えてたから、たぶん僕にも馴染みのあるファーストからの曲)もそれまでと同じように淡々と終わり、あっさりとステージを降りる。そしてこちらも、まだアンコールの拍手がそれほど始まってもいないうちに再登場し、「もう2曲」とアンコール。終了は10時ちょっと過ぎだったから、やはりこちらも1時間ちょうどぐらいのステージだった。


というわけで、僕の主観が入りまくった(僕のブログなんだから当たり前なんだけど)、やたらティーム・ミー寄りのレビューになってしまった。終演後は竜巻に巻き込まれるといけないと思ってそそくさと出てきたんだけど、後でツィッターとか見てみたら、物販には沢山のTシャツとかティーム・ミーのLPとかがあったみだいだね。残念だけど、最近散財が激しいからちょうどよかったよ。

ちなみに今回のライヴ、紙チケットの代わりに携帯にダウンロードしてそれを会場入り口でピッとするやり方。スマートでいいんだけど、携帯の充電切れたらどうしようかとちょっと気が気でないところが玉に傷。

そうやってチケットを購入したお客さんにはライヴの写真が送られてきたり(上に勝手に貼らせてもらったのはその4枚のうちの2枚)、セットリストが送られてきたり(まだ来てないけど)、メンバーとのミート&グリート参加権の抽選に参加できたり(はずれたけど)、カイトの新曲がダウンロードできるコードをくれたり(個人的にはティーム・ミーのを欲しかったけど)と、なかなかいいサービス。先行販売割引がきちんとできていなかったからと、会場出口で返金してくれたのもスムーズだったし(喫煙所近くだったからそんな場所にずっといるのだけは嫌だったけど。というか、なんでリキッドはあのもうもうとした煙の中を通り抜けないと外に出られない造りになってるんだ?なんとかしてほしいよ)。

外に出てみたら、台風一過のように静かな夜空。カイトにはちょっと残念な思いをしたけど(前回同様、やっぱりこの人たちはCDで聴くのがいいという僕の結論)、去年の年末にEPを聴いて以来かなり贔屓にしていたティーム・ミーのライヴがあれだけよかったことに気をよくしながら帰途についた。


 5月13日追記

ホステスからはまだセットリストを送ってこないけど、RO69のサイトにもう載ってたので、転載させてもらおう。上に「ファーストのボートラとEPからは以外にも全然演らなかったね」なんて書いたけど、EPから「Kennedy Street」と「Come Down」もしっかり演ってたね。まったくいい加減な記憶。

Setlist 9 May 2012 @ Liquidroom Tokyo

Team Me
1. Patrick Wolf & Daniel Johns
2. Weathervanes And Chemicals
3. Riding My Bicycle (From Ragnvalsbekken To Sorkedalen)
4. Kennedy Street
5. Favorite Ghost
6. Come Down
7. Daggers
8. Show Me
9. Dear Sister

Encore
1. With My Hands Covering Both Of My Eyes I Am Too Scared To Have A Look At You Now

Kyte
1. Every Nightmare
2. Love To Be Lost
3. Breaking Bones
4. Friend Of A Friend
5. Sunlight
6. Alone Tonight
7. Aerials
8. Half Alone
9. Scratches
10. IHNFSA

Encore
1. Boundaries
2. The Smoke Saves Lives
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