2012年04月30日

Ron Sexsmith live in Tokyo

RS_Billboard.jpg

派手なところは一切ないけれど、いい曲を達者なバンドの演奏に乗せて1時間ちょっと聴かせるだけ、そんな感じの実にシンプルなライヴだった。ロン・セクスミスのビルボードライヴ東京での来日公演。僕が行ったのは2日目のセカンドセット。東京での最終公演だ。

にも書いたことがあるけれど、僕は16年前に彼のデビューアルバムを買ったものの、周囲の高い評判に反してどうも今一つのめり込むことができず、その後に買ったアルバムはなんだかどれ聴いても同じ曲ばかりだなあと、中古屋に売り飛ばしていた程度の、とてもファンとは呼べないような立場だった。

それが、昨年のベストアルバムにも選んだ『Long Player Late Bloomer』を聴いて、あれ?この人ってこんなにいい曲書くんだっけと、昔からのファンにとっては今更何をというような感想を持ち、ちょうどタイミングよく来日公演が発表されたので、足を運んでみることにしたというわけ。

チケットを押さえてから、ちゃんと曲を予習しないとと思って、中古で何枚か買って聴いてみたものの、やっぱりどれ聴いても同じ曲に聴こえる(失礼)。まあ、新譜の曲はかなり聴き込んであるから、それだけでもわかればいいやと六本木に向かった。

そんないい加減なファンである僕が、どういうわけかこういう時に限ってえらくいい整理番号で、正面真ん中、ベストポジションに陣取ることができた。ステージを見渡してみると、中央のロンのマイクのところには楽器は置いてないが、その後ろにはヤマハのドラムキット。その右側に、ダンエレクトロの相変わらずふざけた形のベース(ダンエレクトロってベースなんて出してたんだね。調べたらDano 63って型だった)、更に右にはごっついアームのついたギブソンのセミアコと、これまたふざけた形の、なんだか紫色の虫みたいな12弦のエレクトリック・マンドリン(帰って調べてみたら、たぶんヴォックスのマンドギターってやつ)。そして、ステージ左側にもの凄い存在感ででんと構えているのが、スタインウェイのグランドピアノ。上にノードらしき赤いキーボードが置いてあるね。

ほぼ定刻にロンとメンバー登場。ハンチングをかぶった右端のギタリストがティム・ボヴァコンティ(Tim Bovaconti)、隣のヒゲメガネのベーシストがジェイスン・マーサー(Jason Mercer)、僕の位置からはロンが邪魔で全く見えない長髪ドラマーがドン・カー(Don Kerr)、ピアニストは妖怪人間ベムみたいな黒いハットに黒いスーツのデイヴィッド・マシスン(David Matheson)。と、かつてロンと一緒にアルバムを作ったドン以外は全く知らないメンバー名をビルボードのサイトから(どうでもいい見た目情報と共に)丸写し。ちなみに新作の制作メンバーとは全然違うんだね。

最近のアルバムジャケから推測して、いったいどんなに太ってしまっているんだろうと想像していたロン(なにしろ、この同じビルボードで目撃したマシュー・スウィートは、一連のアー写がいかに細く見せようとうまく撮られていたかを実感させられたほどの凄さだったからね)、意外に超デブというわけではなかった。なんだか一所懸命ダイエットしてるんだろうなと思わせるような涙ぐましい体型を、黒い襟のついたエンジ色の芸人みたいなジャケットと相変わらずヒラヒラしたフリルの沢山ついた水色のシャツに包んで。真上からスポットの当たったカーリーヘアは金髪かと錯覚したけど、上の写真でもわかるとおり普通に黒髪。手にしたアコギは小ぶりなテイラー。ペグからはみ出た弦をカットしてないから、6本の弦がヘッドのところでぐちゃぐちゃに絡まってる。

何も言わずに演奏を始めたオープニングは「Heart's Desire」(僕と違って全アルバムをきちんと聴き込んでいる一緒に観ていた友達が、いくつかの曲名を教えてくれた)。ティムがチロチロと弾く繊細なギターの音が心地良い。

その曲が終わって「じゃ、おやすみ!」と去ろうとするロン。あ、こういうお茶目なキャラだったんだね。「新作から何曲か演るよ」と、『Long Player Late Bloomer』の曲順通り最初の2曲を続けて。

その後も、「これは懐かしいファーストアルバムから」とか「これはセカンド『Other Songs』から」とか、比較的古いアルバムからの曲が多かったように思う。まあ、僕にとってはどれも同じ曲に聴こえるんだけど。

「また新作から何曲か。まずはアルバムのタイトルトラック」と言って「Late Bloomer」。それに続けて何も言わずに演奏したのが、僕が去年のベストアルバム10枚から1曲ずつ集めて作ったCD-Rに収録した、アルバム中一番好きな「Believe It When I See It」。ああこれは嬉しい。

10曲目でジェイスンとデイヴィッドがステージを降り、ロンとドンが並んでアコギを持って並ぶ(ドンのは4弦だったな。ベースでもなくウクレレでもなく、なんだか小ぶりなアコギ。ほんとにこの人たち不思議な楽器ばかり持ってるね)。隣でティムがマンドギターを添える。05年のセクスミス&カー名義のアルバムから「Listen」。これいい曲だね。アルバム買おう。

次の曲でさらにドンとティムがステージを降り、ロンが一人でピアノに座って1曲。ピアノもうまいね。ピアノといえば、ここで書くのが妥当なのかどうかわからないけど、デイヴィッドが弾いてもロンが弾いても、ピアノの音が本当に綺麗に聴こえる。僕にグランドピアノの音の何がわかるのかと言いたい人もいるかもしれないけど、いやほんとに、さすがスタインウェイと思わされたよ。

「次の曲はカバー」と言って始めた、アルバム『Exit Strategy Of The Soul』からの「Brandy Alexander」。誰のカバーと言ったのか聴こえなかったけど、コンサート前半からやたらと騒いでいた最上階にいたカナダ人らしき観客に向かって「君たちなら彼女のことわかるだろう」とロンが話しかけていたので、きっとカナダ人女性アーティストなんだろう。と思って、帰ってから調べてみたら(このアルバムは予習のために買っておいた)、ロンとファイスト(Feist)の共作曲だった。

9時に始まった本編は10時10分にひとまず終了(なんできっちり時刻を覚えてるかというと、この日の夜10時に発売開始となっていたジム・ボジア5月公演のチケットを押さえるべく、本編終了と同時にアンコールの拍手もせずに携帯からメールを送っていたから)。

ちょうどメールを送信したところでメンバーが再登場。「東京で最後の公演だから2曲演るよ」と、「Tell You」と、その曲が終わって間髪入れず歌い始めた、僕みたいなにわかファンにすらよくわかる、デビューアルバム1曲目「Secret Heart」で幕。「Secret Heart」では、自分でギターソロを弾いていたね。


これからまたバックカタログを全部集めなおすかというとちょっと疑問だけど、聴いてきて気に入った曲が入ったアルバムは買ってみようかなと思わされるような、いいライヴだった。アルバムカバーでもライヴ中でもいつも眉間に皺を寄せて人のことを睨んでるような三白眼のロンだけど(ひどい言い方)、アットホームなライヴは安心して聴いていられる気持ちいいものだった。ついでに、終演後に友達と行った飲み屋も、ふらっと入ったにしては中々味もよく料金も良心的だったので、今後ビルボードのときは贔屓にしてあげようかと思う。


Setlist 28 April 2012 (second set) @ Billboard Live Tokyo

1. Heart's Desire
2. Get In Line
3. The Reason Why
4. Wastin' Time
5. Late Bloomer
6. Believe It When I See It
7. Nothing Good
8. Gold In Them Hills
9. Nowadays
10. Listen
11. Fallen
12. Up The Road
13. Imaginary Friends
14. All In Good Time
15. Love Shines
16. Brandy Alexander
17. How On Earth
18. It Never Fails

Encore
1. Tell You
2. Secret Heart
posted by . at 21:16| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

Morrissey live in Kawasaki

DSC04709.JPG

正確な日付は記録を見ないと思い出せなかったけど、入ったばかりの大学のキャンパスの桜並木を、中にあの美しいジャケットが入ったビニール袋を誇らしげに抱えて歩いていた情景は、今でもありありと思い出せる。僕が最初にスミスのレコードを買ったのは、1984年の4月28日。「This Charming Man」の12インチシングルだった。

大学の卒業旅行を英国縦断一人旅に決めた理由の一つは、マンチェスターの街を訪れて、数か月前に買ったばかりのスミスの最終アルバムの裏ジャケに写った場所で写真を撮ってみたいと思ったことだった(ネットなんてもちろんなかったからろくに情報も収集できず、結局たどり着くことができなかったストレンジウェイズが刑務所だったなんてのは後になってから知ったこと)。

さわやかにサークル活動なんかを楽しむわけでもない、周りの誰とも趣味も考え方も合わないひねくれた大学生にとっては、スミスは特別なバンドだった。それだけに、スミス解散後のモリッシーは、僕にとっては常に何かが違うと思わされる存在だった。ジョニー・マーではない誰か別の人が書いたスミス風の曲。スミス時代にあれだけこだわっていたレトロな風合いのポートレートとは全く別物の、モリ顔オンパレードのジャケット。等々。

スミスの影を追い求めて、88〜89年当時に出たCDは、シングル盤も含めてことごとく揃えていたが、91年の「Sing Your Life」を最後に熱心に彼のことを追いかけるのを止めてしまい、その次に彼のCDを買ったのは95年の『Southpaw Grammar』、さらにその次は04年の『You Are The Quarry』と、もはやとてもファンとは呼べないような手の抜き様。

そんな程度だから、10年振りの来日が発表されてすぐにチケットは入手したものの、「ついにあのモリッシーをこの目で見られる!」というような昂揚感もそれほどなく、淡々と東海道線に揺られて川崎へ。

DSC04710.JPG

前回クラブチッタに行ったのは、僕の記憶に間違いなければ、92年の4月にファイヴ・サーティーの最初で最後の来日公演を観たときだったはず。確か、海外出張から戻ってきて、成田から川崎に直行したんだった。建物の外観は覚えていなかったけど、中に入るとあのときのことを思い出せる。あのときは開演直前ぐらいに到着したから、入口近く、左後方から観てたんだった。今回はそれとは逆方向の、右側の壁にもたれて観ることにした。

土曜日とはいえ、5時開場、6時開演というやたら早いライヴ。例によって大きな整理番号の僕が入場できたのはほとんど5時半近く。大きな会場のわりにはあまり並ばずにもらえたジントニックを片手に壁にもたれていたら、5時半過ぎにもう暗転。なんだろうと思っていたら、ステージを覆っていた白い緞帳に映像が映し出された。ブリジット・バルドーとかの60年代ポップスのモノクロ映像がずっと流れていて、こういうレトロな演出はさすがモリッシーと思っていたら、画像がカラーになってスパークス、続いてニューヨーク・ドールズと、あ、これってモリッシーが好きな音楽を年代順に並べて見せてるのかな、と。そしたらドールズの次にまた古い白黒映画の映像に変わり、女優がカーテンを掴んで何か叫ぶ画面に。

叫ぶ女優の画像と共に緞帳が切って落とされ、予定時刻の6時ちょうどにメンバーがステージに現れる。いい演出。がっしりした体格のモリッシーは茶色っぽい、胸のはだけたシャツ。それ以外の5人のメンバーはお揃いのTシャツ。赤字に黄色のMのマークが書いてあって、マクドナルドを揶揄したジョークなんだろうとは思うけど、僕の位置からは何て書いてあるのか読めず。ステージの背景には、スミス時代のジャケ画を彷彿とさせるレトロなモノクロ写真。

スミスは来日しなかったから、これまで僕はデレク・ジャーマンの撮ったビデオとかでしか動くモリッシーを観たことがなかった。だから、モリッシーというのはくねくねと踊るひょろっとしたお兄ちゃんだという気がずっとしていた。僕が興味を失ってからどんどん太っていった割れアゴのおじさんは、無意識のうちに僕の知っているモリッシーとは別の人だと思っていた(思おうとしていた)気がする。

でも、今僕の目の前で「You Have Killed Me」を歌いながら最前列のお客さんの手を触ってあげているのは、まぎれもなくモリッシーなんだろう。演歌歌手さながらのそういう仕草を見てまたちょっと醒めてしまう僕。

「カワサキ!カブキ!」と、なんだかよくわからないことを叫ぶモリッシー。この後も、各曲の前に曲名でもなく歌詞でもない(クサい)台詞をひとこと言ってから歌い始めるのは、最近のライヴ盤でもお馴染みのスタイル。「明日、結婚しよう」とか、「愛以外に僕は君に何もあげられない」とか。

そう、こういうことを言いだして(歌いだして)からのモリッシーが、僕にはうんと遠い存在に感じられるようになったんだった。曲調よりもモリ顔ジャケよりもなにより、「君が微笑むのを見たことはあったけど、笑い声を聞いたことなんてなかったね」なんていう、他人とのほんの微妙な距離を測れないでいる気持ちを歌ってくれていたかつてのあの人は何処に行ってしまったんだろうって感じ。

まあ、疎外感を歌にしていたら思いがけずそれに共感してくれるファンが世界中に何万人と現れたことに気づいてしまった人が、それまでと同じように疎外感について歌い続けるというのは欺瞞というものなんだろうけど。自分の貧しい生い立ち、ハングリーさを売りにしていたアーティストが成功して大金を手にした後はどう振る舞えばいいのかというのと同じ問題。難しいよね。

2曲目は知らない曲だった。僕が勝手に作った空白期間中に出た曲だろう(後でセットリストを調べてみたら、97年の『Maladjusted』収録「Alma Matters」とのこと。あの、一連のモリ顔ジャケの中でも一番適当な造りで全く買う気の起こらなかったアルバムか。まあそのうち安く見つけたら買ってみよう)。

「You're The One For Me, Fatty」に続いて、ものすごく聴き覚えのあるギジギジギジギジいうギターのリフレイン。「How Soon Is Now?」だ! スミス・ナンバーの中ではそれほど好みではない部類に入る曲だけど、それでも内心盛り上がる。後半、ドラマーが立ち上がって、横に置いてあったものすごく大きな、リムのところが光ってる大太鼓や、後ろに置いてあった銅鑼を叩いてエンディング。

日本公演初日の仙台ではきっと満開の桜を見たんだろうね。しきりに「チェリーブラッサム」を連発していた。メンバー紹介のときも、左端のギタリストのことを「うちのバンドのチェリーブラッサム」なんて言ってたね(メンバー名さっぱり覚えてないので悪しからず)。何かの曲を歌う前に、「桜と雪の詩を書いたのは誰?」なんて観客にわざわざマイクを渡して質問するものの、誰も答えられず。モリッシーも困ったもんだみたいな顔して「君たちは罰せられるべきだ、この曲でね」なんてまた気障な台詞を言ってから次の曲へ。僕もわからなかったんだけど、桜と雪の詩を書いたのが誰なのか、誰か知ってる?

「アリガトウ」とか「ドウモ」とか、結構日本語での挨拶を交えるモリッシー。「六本木にはいい家があるし、渋谷にはいいアパートがあるよね。NO?どうして?」みたいなことも言ってたね。外国人客も結構多かったからそれなりに会話は成立していたけど、あれこれと客席に問いかけても咄嗟に答えが返ってこないもどかしさみたいなのをちょっと感じてたみたい。

スミス・ナンバー2曲目は「Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me」。うーん、決して嫌いじゃないんだけど、どうもこの手ののったりした曲はそれほど嬉しくはないんだよな。どうせスミスの曲なんて何曲かしか演らないんだろうから、ちょっと大事に取っておいてほしい。定番の「There Is A Light That Never Goes Out」はともかく、あと何曲演るんだろう。

と思っていたら、数曲後で、ギターがこれも聞き覚え満タンの動物の声みたいな音を奏で始めた。うわ、これ演るの?と多大な好感を持って観ていたら、さっきまでのレトロなモノクロ写真に替わって、動物の屠殺場の画像が次々と。ゆったりとした三拍子に乗って歌われる「Meat Is Murder」は僕が聴いてみたかった曲の一つではあったんだけど、あの長尺曲に合わせて延々と上映されるビデオ(各チャプターにわざわざタイトルがついていて、「ニワトリと七面鳥」パートとか「肉牛」パートとか)は、ちょっと直視しているのが辛くなる内容だった。

どよーんとした気持ちでその曲を終え、次の「Everyday Is Like Sunday」のイントロが聞こえてきたときにどれだけ救われた気持ちになったことか(笑)。そして、その曲に続いたのが、イントロのギターのカッティングからアルペジオに移るパートを聴いた瞬間に飛び上がりたくなった「Still Ill」!! ああ、まさかこれを演ってくれるとは。もうてっきりモリッシーはスミス初期の曲なんて演らないんだと勝手に思っていた。僕の本日のハイライト。ここまであれこれネガティブなこと書いてきたのは全部撤回(笑)。もうこれさえ聴ければ、この後どれだけモリッシーが演歌歌手みたいな振る舞いをしようが僕は気にしないよ。

終盤、もわーんとしたキーボードの音に乗せてモリッシーが静かに歌いだした歌詞を聞いてはっとする。「Good times for a change…」。うわぁ、「Please, Please, Please Let Me Get What I Want」だ。ちょっと泣きそうになる。

立て続けに、「First Of The Gang To Die」。このへんはわかるよ、僕がモリッシー聴くのを再開してからの曲だからね。うん、確かにこういう曲は理屈抜きでかっこいいよ。スミス云々とは全然別次元でね。

と思っていたら、それで本編終了。書き忘れてたけど、どの曲のときだったか、モリッシーが汗だくになったシャツを脱ぎ、それで顔とか胸の汗をたっぷり拭いてから客席に投げ入れる。僕の位置からはよく見えなかったけど、さぞかし壮大な争奪戦になっていたことだろう。思いのほか筋肉質なモリッシー。一旦袖に引っ込んで、次に着てきた青いシャツは最新作『Years Of Refusal』のジャケで着ているのとよく似た色(でも長袖だったので違うシャツ)。それは本編終了で脱がなかったのできっと高かったのかな。

アンコールに応えて再登場。また違うシャツだ。また全員で肩を組んで挨拶してから、「毎晩僕は恋人に“サヨナラ”って言うんだ」とかまたクサいことを言って「One Day Goodbye Will Be Farewell」を。またすぐにシャツを脱いで客席に投げ入れたと思ったら、それでステージを降りてしまった。即座にBGMが鳴りだす。ええ?もう終わりなの?「There Is A Light」は??

なんと、7時半前に終わってしまった。どんな健全な時間だ。さてどうしようかとロビーに出てみたら、Tシャツだのポスター(最近出たベスト盤のジャケと同じ、モリさん入浴中のシーン)だの、物販大繁盛。開演直後ぐらいまではあんなにヘソ曲げてた僕が、列に並んだりやっぱりやめようと思ったりを何度か繰り返した挙句に買ったシャツ。3500円也。しかしこんなのいつ着るんだ?(笑)

DSC04711.JPG

20年振りの川崎、せっかく早く終わったんだからと、友達と合流して飲みに行くことに。適当な居酒屋に入ったんだけど、どうも皆の注文するものが野菜系ばかり(笑)。そりゃあのビデオ観せられた後じゃね。久しぶりに会った友達とその友達、ずいぶん長い間楽しく話してワインボトルを2本空け、帰路についたのがまだ10時台。いいね、6時に始まるライヴって。なんかものすごく充実した一日だった。

後日談。というか翌日。せっかくのレコード・ストア・デイだからと日曜の新宿に繰り出してみたら、ちょうどユニオン本館で100円CDセール中。自分を戒めながら千円札1枚で買える範疇で選んでいたら、ちょうど前述の『Maladjusted』が。ついてるね。適当な造りのジャケでも100円ならOK(ごめんモリッシー)。


Setlist 21 April 2012 @ Club Citta Kawasaki

1. You Have Killed Me
2. Alma Matters
3. You're The One For Me, Fatty
4. How Soon Is Now?
5. Ouija Board, Ouija Board
6. I Will See You In Far-Off Places
7. Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me
8. I'm Throwing My Arms Around Paris
9. Action Is My Middle Name
10. Speedway
11. Meat Is Murder
12. Everyday Is Like Sunday
13. Still Ill
14. People Are The Same Everywhere
15. Let Me Kiss You
16. To Give
17. Please, Please, Please Let Me Get What I Want
18. First Of The Gang To Die

Encore
1. One Day Goodbye Will Be Farewell
posted by . at 23:59| Comment(6) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月15日

コーチェラのスクイーズを観ながら

コーチェラフェスティバルがユーチューブで生中継をやってるというので、スクイーズ観たさに日曜なのに早起きして準備。スクイーズのステージは日本時間の11時15分からなので別にそんなに早起きする必要もないんだけど、楽しみにしていることがあるときは目が覚めてしまうもので。おかげで9時からのバズコックスとかも観られてラッキー。

生中継のビデオを観ながらツイートしてたのを転載して今日の一記事分稼ごう。たいしたことつぶやいてないけど、もし誰かセットリスト知りたいとかいう人がいたら参考になるかもしれないし。


yas ‏ @yas_jimi
スクイーズ @ コーチェラ生放送待機中。ノエルかローラか迷いながら主にローラ観てる。スクイーズの裏番組はアンドリュー・バードか。重なるね。
2012年4月15日 - 11:00

yas ‏ @yas_jimi
時々固まるな。重くないように画像だけのページ観てるのにな。スクイーズのときは止まりませんように。ローラ・マーリン最後の曲。http://tremolo.edgesuite.net/clients/1089_google-youtube/coachella/index.html
2012年4月15日 - 11:10

yas ‏ @yas_jimi
ちょうどスクイーズが始まる3分前に終わってくれたよ。もうノエルには戻らずにスクイーズ待ち。
2012年4月15日 - 11:13

yas ‏ @yas_jimi
「Bang Bang」!こんな曲でスタートとは。それにしてもグレンのヒゲ。
2012年4月15日 - 11:18

yas ‏ @yas_jimi
「Take Me, I'm Yours」極初期が続きますね。サイモンはヒゲそったのか。
2012年4月15日 - 11:21

yas ‏ @yas_jimi
数秒固まったと思ったら「Revue」になってる。なんでこんなに固まるの。
2012年4月15日 - 11:22

yas ‏ @yas_jimi
グレンのギター相変わらず最高です。次は「Annie Get Your Gun」
2012年4月15日 - 11:25

yas ‏ @yas_jimi
ほとんど映してもらえない結婚式の司会者みたいないでたちのキーボーディストはスティーヴンか。復活したんやね。次「Is That Love?」
2012年4月15日 - 11:29

yas ‏ @yas_jimi
クリス!「Cool For Cats」
2012年4月15日 - 11:30

yas ‏ @yas_jimi
グレンの新機軸のブルージーなギターソロが最高でございました。次は「Points Of View」珍しい曲ばかり演るね今日は。
2012年4月15日 - 11:35

yas ‏ @yas_jimi
固まってる間に「Up The Junction」に移ってる。ああもう悔しい。
2012年4月15日 - 11:40

yas ‏ @yas_jimi
イントロでまた固まったけどこれは「Goodbye Girl」やな。
2012年4月15日 - 11:41

yas ‏ @yas_jimi
サイモンのワインボトルパーカッション。
2012年4月15日 - 11:42

yas ‏ @yas_jimi
「Hourglass」
2012年4月15日 - 11:45

yas ‏ @yas_jimi
やっぱりこの曲のサビはクリスの声でユニゾンなのがいいよね。スクイーズで来日してほしいよ。
2012年4月15日 - 11:47

yas ‏ @yas_jimi
「Pulling Mussels」もうそろそろ終わってしまうのかな。グレンの「Cheers Loves!」久々に聞いた。
2012年4月15日 - 11:49

yas ‏ @yas_jimi
何いま一瞬入った画像?
2012年4月15日 - 11:49

yas ‏ @yas_jimi
「Slap & Tickle」グレン on キーボード
2012年4月15日 - 11:53

yas ‏ @yas_jimi
手拍子。ギターなしで「Tempted」
2012年4月15日 - 11:58

yas ‏ @yas_jimi
ジョン・ベントレーせっかくピンで歌う一瞬を映してもらえず。
2012年4月15日 - 11:59

yas ‏ @yas_jimi
「Black Coffee In Bed」これで最後かな。
2012年4月15日 - 12:01

yas ‏ @yas_jimi
やたらサイモンばかりアップになるな。クリスより多いかも。
2012年4月15日 - 12:04

yas ‏ @yas_jimi
完全に固まってしまった。一応演奏は最後まで聴けたからいいけど。
2012年4月15日 - 12:14

yas ‏ @yas_jimi
今朝バズコックス観てたときはここまで固まらんかったのに。時間帯のせいなのかな。
2012年4月15日 - 12:15


11:49の「一瞬入った画像」はビーチの砂の城が崩れていくクレイアニメっぽい映像。「Pulling Mussels」の歌詞にかけてるんだろうけど、いきなり全画面それになったもんだから妙に唐突感。それとも僕のPCが何度も固まってた間にああいう画像は何度も挿入されてたのかな。

グレンは一時期の伸び放題のヒゲを一応はトリミングして、あご下の部分だけ長く、それ以外のは短いという新手の山羊みたいな不思議なスタイル。ずっとブルーメタリックのストラトを弾いてて、「Slap & Tickle」のときだけは後ろから引っ張ってきた赤い台の上に置いた小さなキーボードを演奏。「Tempted」のときはギターを持たずに頭の上で大きく手拍子をして観客を促しながら途中まで歌い、後半は観客に歌わせながらおもむろにギターを抱え、通常演奏に。どういうわけか、さあギターソロという場面になると決まって画面がフリーズ。

クリスはバイオリンみたいな形のギター。ヘッドのところもくるりんってなってた、あれどこの何ていうギターかな。「Cool For Cats」を歌うとき以外はほとんど存在感なし。でも11:47につぶやいているように、この人の声が入るだけで、グレンのソロで聴きなれた曲も全然変わるね。

「Pulling Mussels」のときかな、自分のコーラスのパートじゃないからとオフマイクで、でも大声で歌ってるスティーヴン・ラージがよかったな。えんじ色に黒い襟のスーツみたいなのを着てネクタイしてたよ。七三分けのヘアスタイルと黒縁眼鏡も、狙いなのかな。

ジョン・ベントレーは真ん丸になってた。首もないし指もコロコロ(グレンと同じ指)。11:59のツイート、「Black Coffee」で3人で掛け合いするところではずっとグレンの顔のアップだった。でも演奏中は比較的アップも多かった気がするジョン。ミュージックマンの黒いベース。

サイモンかっこよかった。相変わらず他人とは思えない頭の形とヘアスタイル。「Goodbye Girl」ではステージ前方に出てきて、左手に持った空のワインボトルとカウベルをドラムスティックで叩き、曲の途中でドラムキットに戻って後半ドラムスというパターンは前に吉祥寺でも観た。ドラムキットに戻って叩き始めた瞬間、右手に持ったスティックが折れたのか、上に大きく放り投げて新しいスティックを取り出して、かっこいいな、というところで僕のPCはフリーズ。次に動き出したときにはもう「Hourglass」の早口フレーズが始まっていた。

てな感じで、観ていた時間の1/5ぐらいはフリーズしていてフラストレーション溜まりまくり。フリーズまでには至らなくても、画面モザイク音はモノ、みたいになるのもしょっちゅう。うちのネット回線そんなに遅いというわけじゃないはずなんだけどな。昨日は夜中にかけてアークティック・モンキーズの再放送とかやってて、それはストレスなく観れてたから、このスクイーズのもまた夜に再放送すればいいんだけど。


p.s. 13時半からのボンイヴェールのときは固まるどころかモザイク状になることもなく、一切ストレスフリーで観られたぞ。何故だ? いやそれにしてもボンイヴェール、圧巻だった。あれは是非ライヴで観てみたい。


p.p.s. 夜、お出かけから帰ってきたら再放送やってたので、慌てて「Annie Get Your Gun」から再度観賞。昼に観たときよりは多少はマシにはなったものの、やっぱりブツンブツン途切れる。ただ、生放送のときは固まってた時間分はなかったことにされてしまっていたのが、録画だからか、しばらく固まった後に再開すると固まった瞬間からまた観られるので、観られない瞬間というのはないのが大きな違い。とはいえ、やっぱりこれだけブツブツ切れると、楽しんで音楽聴くという感じではなくなってしまうね、残念ながら。

グレンの前方、左右方向に相変わらずサーキュレーターが置いてあるなとか、「Pulling Mussels」のときだけでなく、他の曲(たしか「Up The Junction」?)でも一瞬アニメっぽい画像が挿入されるとか、最初観たときには気付かなかったり見逃してたりしたことに気づく。これ、いつまで再放送続くのかな。明日コーチェラが閉幕するまでなのかな。ユーチューブにずっと置いておけばいいのに。
posted by . at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ビデオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月03日

Gary Jules & Jim Bianco live in Tokyo

DSC04672.JPG

ジム・ボジアのライヴに行って以来、カフェ・ゴーティからライヴのお誘いメールが沢山舞い込んでくるようになった。そのほとんどがよく知らないアーティストばかりだ。その巧みな誘い文句や山ほど貼り付けてくれているビデオを観て、いつも行ってみたいなあとは思ってるんだけど、なにしろ鎌倉はうちからぶらっと出かけられるような場所じゃないし、特に今年になってからは殆ど隔週でいろんなライヴに出かけているから、よく知らない人のライヴにまで足を運ぶほど先立つものが許してくれる状況ではなかった。

今日これから書くゲイリー・ジュールズとジム・ビアンコも、ファウンテンズ・オヴ・ウェインの翌日ということもあり、気になっていながらもスルーしてしまうつもりでいた。ところが、別件でゴーティの松本さんに連絡したとき、「グレン・ティルブルックとか好きならゲイリー絶対気に入るから騙されたと思ってまあ来てみろや」という趣旨のメールをもう少し丁寧な物言いでいただき、そこまで言うならと、まず試しにゲイリーのファースト・アルバム『Greeting From The Side』を某通販サイトの某市場場所で捨て値同然で購入。数回通して聴いた時点で、僕はツアー最終日となる下北沢La Canaでのチケット申し込みメールを送っていた。だってこんなの聴き逃すなんてありえないでしょう。申し込みメールの返信で松本さん曰く「ライヴはもっといいですよ」。わかりましたよ、騙されたと思いながら行ってみましょう。

ということで当日。ぎりぎりに申し込んだ僕は前売りチケットのお客さんが全員入ってから入場という話だったので、急いでもしょうがないと開場時刻の7時を少し過ぎるまで会場のはす向かいの某レコファンで時間潰し。ところが、買ったばかりのコステロのライヴ盤をカバンにしまいながら会場に辿り着くと、チケットを持ったお客さんはほとんどおらず、思いがけずすっと入場することができた。おかげでかなりいい位置で観ることができたよ(アーティストと興行主の名誉のために書いておくと、チケットを持ったお客さんは皆さん余裕を持って来られたようで、僕が入場した後にどんどん入ってきた観客で会場はほぼ満員だった)。

下北に来たときはいつも前を通っているLa Cana(なにしろレコファンの前だから)、中に入るのは初めてだ。ちょっと薄暗くて雰囲気いい場所だね。ステージは木箱のようなものを並べて高くしてあるから、背の高いアーティストなら低くなった天井に頭をぶつけそうなくらい。観客席にはあちこちから集めてきたような様々な種類の椅子。

DSC04673.JPG

ステージの上にはギターが2本とピアノ。ギターは両方ともクラシック・ギターだね。近くでまじまじ見たわけじゃないけど、たぶん両方とも張ってあるのはナイロン弦かな。こういうフォーク系の音楽を演っていてクラシック・ギターを使う人は初めて観るよ。


まずは、一週間の日本ツアーで覚えたであろう「コンバンワ」とかの簡単な日本語であいさつしながら、山高帽をかぶったジム・ビアンコが登場。上の写真では左側にある、ちょっとボディが(色も厚さも)薄い方のギターを手に取ると、ピックアップマイクみたいなのをサウンドホールの下に取り付ける。あれ?ストラップしないんだね。演奏中とかに見ていたら、そのマイクが首にかけている細い紐につながっているように見えたけど、別にそれで支えているというわけではなさそうなので、基本的にはガタイのでかいジムがストラップもなしで文字通りギターを抱えて歌うという図。

繊細なギターに野太い声。まず1曲目はしっとりとしたバラッドで開始。実は、ゲイリーのCDと前後してジムのも注文していたんだけど、残念ながらこの当日まで入手できず(ライヴから帰ったら届いていた)、ユーチューブとかで何曲か観た以外には彼の曲はほとんど予習できていなかった。というわけで曲名はほとんどわからないのでご容赦のほど。

一転してブルージーなギタープレイの2曲目「Downtown」。わあ、クラシックギターをこんな風に弾くんだ。かっこいい。なんでこの曲はタイトルがわかるかというと、ライヴ終了後にその場で買ったCDにサインをもらっていたときにジムが「このアルバムからは今日2曲演ったよ。これとこれ」と言うから、「あ、この『Downtown』ってのは1曲目だっけ?」と聞いたら「いや、2曲目」という会話があったので。間違えはしたけど、一応、よく覚えてるな、という顔で見てはくれていたよ。

曲間のMCも日本人にわかりやすいようにゆっくり喋ってくれるから、ただでさえ野太い地声がまるで回転数を落としたレコードみたいに聞こえる。「日本を離れるのは寂しいよ」とかそういう話題だから、たぶんあそこまでゆっくりしゃべってくれなくてもみんなわかると思うんだけど。「Devilは日本語でなんて言うの?」と訊いてから始めた曲は、ディスコグラフィーを見て推測すると「To Hell With The Devil」というやつかな。

「Elevator Operator」という曲の前で松本さんをステージに呼び、突然「通訳をやれ」と。あっけにとられながらも歌詞を一言一言全部訳す律儀な松本さん。ジムは途中で自分の歌詞を思い出せなくなり、「ちょっと待って」と後ろを向いて、早送りでギターのコードを押さえながら小声で歌って歌詞の続きを思い出す。パートタイムの秘書をやっている彼女がほんとはエレベーターガールになりたいと思っていて、その他にもエルヴィスのそっくりさんとかワニ皮の靴職人のアシスタントとか変な職業に就きたいという、ヘンテコな歌詞がおかげでよくわかったよ(笑)

その次の、長い歌詞を早口で歌う曲を終えた後、「ケイジ(松本さん)、これも訳してくれ」と冗談めかして言うジム。ははは、最初始まったときはジムも僕ら観客もどことなく固い感じだったけど、もうこの頃にはこういうジョークがポンポン出るようになってきたね。

何曲目だか忘れたけど、ゲイリー・ジュールズを呼び、自分はピアノに移動して、ギターとコーラスを任せる。出てきたゲイリーを見てびっくり。僕は彼の姿は98年のファーストのジャケぐらいでしか見たことなかったから、真っ白な髭面に野球帽をかぶった小柄な彼を、失礼ながらどこのお爺さんが出てきたのかと思ってしまった。一瞬J.J.ケールかと。そうか、そういえばあれは14年も前の写真なんだ。

Greeting From The Side.jpg
Gary Jules 『Greeting From The Side』

野太いジムの声に重なる、繊細なゲイリーのハーモニー。うわ、これすごい。ぞくっとするね。一週間にわたるツアーの最終日だから演奏も息が合ってるのは当然なんだろうけど、一旦完璧に合わせるまで一緒に練習して、その後であえてルースに崩してみせている(でも実は最後には完璧に合ってる)みたいな共演が見事。どんだけ懐が深いんだと思わされる。

ある曲で、ジムとゲイリーがそれぞれギターを持ち、観客席の後ろの方に行ったと思ったら、一人の女性客を囲んで歌い始めた。常連客(特に女性)の誕生日にアーティストがバースデイソングを捧げるというのはグレン・ティルブルックジム・ボジアのライヴで経験済みだから、きっとこの日はあのお客さんの誕生日なんだろうなと納得。演奏している曲は特にバースデイソングとかではない感じだけど。なんだか照れくさそうにしているけど、さぞかし嬉しいだろうね、こういうのは。

第一部はそれ以降は基本的にはジムがピアノ、ゲイリーがギターというスタイル。第一部終了までで1時間程度。「5分か10分で次はゲイリーが一人で出てくるから」と言ってステージを降りたけど、みんなトイレ行ったりするから当然5分や10分で第二部が始まるわけもなく、僕はギネスのパイントグラスを手に席で待機。こぼれないようにゆっくり席に戻ろうと思っていたら、ゲイリーが「それは泡が落ち着いてから飲め」と。はい、わかっております、お爺さま(笑)


第二部。ゲイリーがふらっとステージに上がり、ギターのチューニングをしたかと思うと、そのまま挨拶もなくいきなり歌い始める。なんと形容すればいいんだ、この声は。さっきは“繊細”なんて書いたけど、単に細い綺麗な声というわけじゃない。ウィリー・ネルソンみたいなカントリー声になるときもあれば、マイケル・スタイプのように聞こえる瞬間もあるという、なんとも魅力的な声。僕が彼のCDを聴いて惹かれたのは、彼が書く美しい曲だけでなく、この声によるものが大きかったんだと思う。

ところで、Garyというファーストネームを僕はいつも「ギャリー」と表記している。NZに住んでいたときからネイティヴの実際の発音をカタカナ表記するとそれが一番実際に近いと思っていたからそうしていたんだけど、今回ジムが彼を呼ぶのを聞くと、「ギャリー」とも「ゲアリー」とも「ゲイリー」とも聞こえる、なんとも表現しがたい発音(もともとこもって聞こえる声だし)。というわけで、今回はあまり知名度のない彼の名前をネット上で少しでも連呼して広めるために、あえて一番一般的な「ゲイリー」表記とすることにした。

2曲目は、ニール・ヤングの「After The Gold Rush」のカバー。まるでニール本人かという(いや、あの不安定な音程のニールよりはよっぽどしっかりした)繊細ながらも芯の通った綺麗な歌声。これは沁みるね。

「24年前、僕は東京に住んでいたんだ。9か月ほどの間、好きな女の子がいてね。19歳の頃だったな」とゲイリー。え、なに、今43歳なの?その見かけで(失礼)僕より年下なの?(と、とても若いとはいえない見かけの僕があえて言わせてもらいますが)。「六本木に住んでいたんだけど、1か月の家賃が僕の年収よりも高かったんだ」だって。そりゃ、バブル絶頂期の六本木なんてそうだろう。その彼女と別れたときに書いたという曲を、この24年間で初めて披露。ライヴ終了後にタイトルを訊いたら、しばらく考えたあとで「Fear Of Falling」だと教えてくれた(単に出だしの歌詞がそうだっただけで、本当はタイトルなんて付けてなかったのかもしれないけど)。

「JB、ピアノ頼むよ」とジムを呼び出すゲイリー。ジムのことそう呼んでるんだね。ここから後半は再びジムがピアノ、ゲイリーがギターという布陣でしばらく進む。さっきと違ってジムのコーラスはあまりないけど、どこまでが即興か区別のつかない奔放なピアノとギターの絡みが最高。ゲイリーのヴォーカルはピンでも十分以上に聴き応えあるしね。

ボブ・ディランの「The Times They Are A-Changin'」をぶっきらぼうに歌いだすゲイリー。冗談なのか本気なのか判別つかない。セカンドヴァースあたりでちょっと吹き出しそうになったのはやっぱり冗談のつもりだったのか?ジムも「お前なにやってんだ?」てな顔でピアノも弾かずに頬杖ついてゲイリーの顔を見上げている。すると、その曲をふっと終え、続けて「Ghosts」へ。名曲満載のファーストの中でも僕の大のお気に入りだ。さっきの似非ディランのときとは声に宿るオーラが違うよ。崇高なピアノの音とも相まって、ちょっと涙出そうになる。

どの曲だったか忘れたけど、ある曲を終えた瞬間にカポの位置を1フレット内側にずらし、続けて「Falling Awake」を弾き始めた。うまいねーと思っていたら、どうやらチューニングがずれていたみたいで、曲の途中で咄嗟にエフェクターを踏んでオフにし、歌詞の語尾を「えーーーーー」とか言って延々引っ張りながらチューニング。あーあ、せっかくかっこよかったのに(笑)。でも、そういうのまで一つの見どころにできるほどの芸の細かさ。やっぱりうまいなあ。そして、この曲からは確かメドレーでボブ・マーリーの「No Woman No Cry」を続ける。

あんなに綺麗な曲を書ける人が、それでもこんなに沢山のカバー曲を挿入してくるというのは、観客が知っているであろう曲を披露するためという理由に加えて、ゲイリー自身が音楽ファンとしてそういう曲を演奏するのが楽しいからじゃないのかな。だって、繰り出してくる曲がことごとく、僕とそう大きく年齢の変わらない彼がおそらく青春時代にリアルタイムで聴いていたような曲ばかりだから。

映画の挿入曲としてヒットしたという、ティアーズ・フォー・フィアーズの「Mad World」もその一つ。ファーストに続けて事前に購入した04年の『Trading Snakeoil For Wolftickets』に収録されているそのカバーは、ティアーズ・フォー・フィアーズのオリジナルよりも優れていると思うし、この夜に披露してくれたヴァージョンはそれに輪をかけて素晴らしいものだった。

オリジナルよりも思いっきりスローにアレンジされたチープ・トリックの「I Want You To Want Me」もそう。なにか他の曲にまたしてもメドレー形式でくっつけて歌われたドン・マクリーンの「American Pie」も同じく。この曲は24年前に六本木のバーで弾き語りをしていたときにいつも歌わされていたって言ってたっけ。

「Barstool」のコーラス部分を観客に練習させてから一緒に歌ったのも楽しかったな。これは、僕の持ってる2枚のアルバム両方に収録されている、きっと彼にとってもお気に入りの一曲(松本さんが物販で他のお客さんに話しているのを立ち聞きしたところによると、『Trading〜』が再発されたときに最収録されたらしい)。

第二部も約1時間ほどで、最後の曲はジムもギターに替えて二人で並んで歌って終了。素直にステージを降りて観客席を通り抜けてバーの方に消えるジムと、何故かステージわきの物置みたいなところに入っていくゲイリー。アンコールの拍手を受けて、ゲイリー物置から再登場(笑)

松本さんに感謝の言葉を述べながら、レオ・セイヤーの「When I Need You」をおどけて歌う二人。「今のはジョーク。これがアンコールの曲」と言って演奏し始めたのがビートルズの「Two Of Us」。途中でハモるのを失敗して最初からやり直し。オリジナルはもちろん、映画『I Am Sam』のサントラのエイミー・マン&マイケル・ペンのヴァージョンもニール&リアム・フィンのヴァージョンもどれも好きだけど、この二人の全く異なる声質でのハモリも最高だ。願わくは、グレン&クリスのヴァージョンなんかも聴いてみたいな(突然妄想開始)。

もう一度ステージを降り、もう一度バックステージと物置から現れる二人(笑)。「これが本当に最後だからね」と、再度チープ・トリックの今度は「Surrender」。観客大合唱。ああもう、みんな(多かれ少なかれ)同じ世代なんだから。


物販の様子を見ていると、かなりの数のお客さんがCDを買っていく。まあ、二人ともどこのCD屋でも手軽に入手可能というわけじゃないからね(少なくとも僕は、毎週のように通い詰めている某あっちのレコ屋や某こっちのCD屋で彼らのCDを見かけたことがない)。それに、あの生演奏を聴いた後なら、誰もがCDを買って帰って追体験したいと思わずにはいられないだろう。

面白かったのが、どのお客さんも松本さんにどのCDがお勧めかと聞いて、松本さんが「ゲイリーなら1曲しか演らなかった新譜じゃなくてこっち(一つ前のアルバム)」と勧めていたこと。新譜売りたくないの?(笑)。「ジムの最新作には歌詞を書いたマグネットが入っていて、切り離して遊べるんですよ」とか。

DSC04677.JPG

僕が買ったジム・ビアンコの2枚のCD。左側が、ブートかと思うような白地に表面スタンプ、裏面ステッカーという簡素な造りのライヴ盤。収録されている曲から推測して最新作に前後して出たものかと思い、サインをもらいがてらジムに訊いてみたら、去年出た新作『Loudmouth』とほぼ同時期の録音だそうだ。右側は、数年前の来日時に松本さんが作った(?)8曲入り『Steady』。こちらも、ブートレグでも最近もう少しましに作るだろうというような(笑)お手製感満載なペラジャケ。最初の方に書いた「Downtown」はこのCDに収録。

観客からサイン攻めにあっているゲイリーに比べて比較的ヒマそうに座っているジムに話しかける。もう5回目の来日だって?来年もまた来る?「来年はぜひバンドで来たいね。普段アメリカではバンド編成で回ってるんだ」。「このオレンジ色のジャケのはもうあまり売ってない。何年か前に日本に来たときの来日記念盤だ。レアだけど、この中から今日は2曲も演奏したよ」等々。

僕の後ろでサインを待っている女性ファンに気づいて場所を代わる。『Loudmouth』からマグネットを取り出し、「こうやって遊ぶんだ」と、マグネットを次々に切り離し、ジャケに単語を置いて教えるジム。なるほど、そういうマグネットか。でもあのお客さん、持って帰るときにピース無くさなければいいけど。

あ、そういえば、あの二人で取り囲んで歌った女性客は誰だったの?と訊くと、なんと「いや、実はよく知らないんだ。別に誕生日でもないと思うよ。ゲイリーが率先して歩いていって、ああいうことになったんだけど、悪いことしたかな(笑)」だって。。どうりで照れくさそうにしてるわけだよ(笑)

DSC04678.JPG DSC04674.JPG

持参した『Trading〜』のジャケにサインをもらい(会場で売ってたのはデジパックだったな。ちょっと残念)、ゲイリーに薬指の刺青を見せてもらって同じポーズで写真を撮らせてもらう。

ゲイリーともしばし話す。「次に来るときは息子と一緒に来たいと思ってる。8歳になるんだ」。いくら「バンドで来る?またジムと一緒に来る?」と質問しても「息子と一緒に」と答えるゲイリー。子煩悩だね。次の来日(来年?)までには新作をリリースする予定だとのこと。それまでは、今回会場で全部揃えたバックカタログを聴いて予習しながら、楽しみに待っていよう。


さて、時刻も11時に近づき、お客さんは一人また一人といなくなる。でも、ライヴ終了後にサインをもらったりアーティスト本人とダラダラ喋りながらいつまでも会場に居座るのが僕らグレンヘッズの常(笑)。この日も、もう他のお客さんがほぼ居なくなった後、ジムは赤ワインを飲みながらおくつろぎモード、ゲイリーはまだ僕らと話していたところ、松本さんがゲイリーに「この人たち、グレン・ティルブルックのファンだよ」と言ったら、なんとゲイリーがギターを持ってきて、その場で「Pulling Mussels」を弾き始めた。

歌詞はあちこちうろ覚えで鼻歌みたいになったけど、そこは僕らが一緒に歌ってそれなりにフォロー。どうせワンコーラス程度だろうと思いきや、間奏も入れてちゃんと最後まで歌いきってくれた。あの難しいギターソロも途中までちゃんと弾いてくれたし(「そのソロは難しいぞ」とくつろぎながら茶々を入れるジム。でも偉そうにふんぞり返りながらも一緒に歌う)。それにしても、なんであんなの練習もせずに即興で弾けるんだ?すごいよゲイリー。

わずか限定3名向けの超スペシャル・アンコール。しつこく居座っていた甲斐があったよ。松本さん、ありがとう。おかげさまで、ただでさえよかったライヴが本当に特別なものになりましたよ。そしてなによりも、こんな素敵なライヴにしつこく(笑)誘ってくれてありがとう。これでまたCDを全部集めないといけないアーティストが増えてしまった(ゲイリーのはとりあえず揃ったけど)。


ライヴ2日後の今日、東京は暴風雨。本当は一日中会議が詰まっていたんだけど、午後3時頃には夕方にかけて首都圏の交通網がマヒするからと、会社から退去命令が出た。おかげで、週末まで書けないかと諦めていたこの記事も、まだ記憶が新鮮なうちに書き終えることができたよ。きっと、僕の音楽の神様が、友達の雷様みたいな奴(イメージ:往年の高木ブー)に言って天候を調整してくれたに違いない。

GaryJimMe.jpg
posted by . at 22:15| Comment(0) | TrackBack(1) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

Fountains Of Wayne live in Tokyo

DSC04671.JPG

いいライヴだったというのはもちろんだけど、昨夜のこのライヴのセットリストが僕にとってどれだけ特別なものだったかという気持ちを少しでも共有してもらうために、ちょっとライヴとは関係ない前置きを。

僕がファウンテンズ・オヴ・ウェイン(以下FOW)をきちんと買って聴き始めたのは、彼らがもうすっかりメジャーになった後のこと。記録によると、06年に過去盤を何枚か買ったのがきっかけだったようだ。それまでももちろん名前は知っていたし、音もまあそれなりに自分の好きなパワーポップ系ということで嫌いではなかったんだけど、どうも100%しっくりくるという感じではなかったというか。

僕にとってその程度の位置づけだったバンドが、07年のアルバム『Traffic And Weather』を聴いて自分内で大きく前進。そのアルバムは07年の個人的ベストアルバムにも選ばれた。昔からのファンにはイマイチ受けが悪かったアルバムだったけど、引用した記事に書いたように、昔ながらのパワーポップに加えて「Fire In The Canyon」みたいなカントリー系アメリカン・ロックの王道を行くような曲が収録されていたのが大きい。

そんなことを言うなら、その前作(編集盤は除く)にあたる『Welcome Interstate Managers』には「Valley Winter Song」なんてのが実は入っていて、ああそうか、この人たちって単にパワーポップバンドとして括らない方が自分にとってはしっくりくるぞ、そして、そういう王道アメリカンバンドとして捉えたこのバンドは、自分の中では相当上位に来るぞ、と再認識させられた次第。

昨年の個人的ベストアルバムに選出した『Sky Full Of Holes』に収められた「A Road Song」がそれらと同じ系統の曲であり、僕がその曲をこの新作中一番気に入っているというのは、昨年末に作った「2011年のベストアルバム10枚から1曲ずつ選んだミックスCD(暫定版)」を聴かれたことのあるこの世に10名程度の人ならもうご存知のはず。

FOWの昔からのファンの中には随分熱心な方が多いようで、今回の日本ツアーの各地でのセットリストも、ライヴが終わったその晩のうちにもうネットに上がっていた。本当は事前にセットリストを見て内容を知ってしまうのはあまり好きじゃないんだけど、今回だけは上に書いた3曲、特に新作からの「A Road Song」演ってくれるかなとひそかに期待しながらチェックしていた。

毎晩まったく同じセットリストというわけではないけど、初日の大阪、続く名古屋、そして東京1日目のリストを見ると、オープニングと本編ラストの曲は同じで、アンコールもほぼ同じ曲の組み合わせ。本編も多少の曲の入れ替え・順序換えはあるけど、概ね同じようなセットのようだ。

「Fire In The Canyon」は大阪・名古屋ではアンコールで演ったようで、「Valley Winter Song」は名古屋で出ている。でも一番のお目当ての「A Road Song」はどこでも演ってないよ。今回のツアーのセットには入ってないのかな。まあ、地味な曲だからな。大きくセットリストを変える人たちじゃないんだね。それにしても、『Sky Full Of Holes』ツアーだというのに、なんだかやたらと『Welcome Interstate Managers』からの曲を演ってるな。あのアルバムがいちばん好きなのかな。


なんてことを、主に『Welcome Interstate Managers』を予習しながら(新作は暗記するほど聴き込んでいるので)小雨の中を恵比須リキッドルームに向かう。僕はこの会場は確か今回で4回目だけど、(端の方とはいえ)ステージ前の柵にもたれかかれるぐらい前で観るのは初めて。最近、開場〜開演が30分という小さい小屋でのライヴばかり観てるから、もたれられるとはいえ立ったまま1時間待つのは結構つらいけど。

定刻どおり、というか下手したら数分早かったんじゃないかと思うぐらいきっちりした時間に、黒縁メガネに白いシャツというこれまたきっちりしたいでたちのマイク・ヴァイオラが登場。今回FOWの公演が発表されたときには確か彼のことには触れられていなかったから、前座で彼が出るということは大半の熱心なファンがチケットをすでに押さえてから発表されたはず。この豪華すぎる前座が間違いなく今回のFOW公演のハイライトの一つ。前述のセットリストによると、FOWのアンコールにマイクが出た日もあったようだし。

実は僕はマイク・ヴァイオラのことはFOWよりもさらに遅れて聴き始めたので、一応ソロアルバムはライヴ盤も含めて全部持ってるし、キャンディ・ブッチャーズのベスト盤は去年のクリスマスにサンタさんにもらったから、それなりに曲は知っているものの、ライヴで聴いてその場で曲目がわかるというわけにはいかない。こちらもネットでセットリストを見つけたので、それを参考に覚えていることを書いていこう。

ステージに上がり、ジャズマスターを肩にかけて、挨拶もそこそこに1曲目「Soundtrack Of My Summer」。と思ったら、間奏のところで急に演奏を止め、「やあ、東京に来られてうれしいよ」と挨拶。ははは、こんなの初めてだよ。おかしい人だね。それに、声がジム・ボジアそっくりだ。

4曲目、キーボードに移って弾き始めたキャンディ・ブッチャーズの「Let's Have A Baby」の途中でポール・マカートニーの「Maybe I'm Amazed」を挟む。ジム・ボジアも去年この曲演ってたね。この辺の人たち皆これ好きなんだ。

自分がボツにしようとした曲を7歳の娘さんが「それ捨てない方がいいよ」と救ってくれることがよくあるという話。新作『Electro De Perfecto』(このタイトルも娘さんのアイデアだそうだ)からの「Closed Cutter」もそんな中の一曲だそうで、歌い終えた後「変な曲だったろう」と言ってたけど、いやそれほどでもないよ。

マイクのパートはソロセットだと聞いていたので全く期待していなかったけど、ここでFOWのアダム・シュレシンジャーを呼び、「映画の曲を演るよ」と言って、「That Thing You Do!」を。事前に友達にこのタイトルと映画のことを聞いてもピンときていなかった僕だけど、アダムのベースラインを聴いた時点でこの曲かとわかった。

最後は再度新作からの「Get You Back」で締めた、40分弱ほどのコンパクトなセット。なんて贅沢な前座。今回単独公演はないのかな。彼一人でも小さめの小屋なら数日埋められると思うんだけど。もったいない。


楽器はもうほとんどセットしてあったので、15分ほどの休憩を挟んでFOWのメンバーが登場。僕はアダムのことはティンテッド・ウィンドウズのときに観たことがあったけど、クリス・コリングウッドを見るのは初めて。赤茶色の野球帽をかぶったクリスと、前に観たときと同じじゃないかと思った労務者風のシャツのアダムの中心人物2名が、どう見てもその他二人よりもロックミュージシャンらしくないのがなんだかおかしい。

ギターのジョディ・ポーターは胸をはだけた白いヒラヒラのシャツに薄紫色のぴっちりしたパンツ、カールのかかった髪型といい、絵に描いたようなロックンローラー(笑)。ギターのボディーは透明アクリル製だ!(笑)。ドラムスのブライアン・ヤングはどこかで見たことあるなとライヴ中ずっと思っていたけど、そうだ、彼一時ポウジーズでドラマーやってたんだった。

オープニングは事前に調べていたとおり、連日同様「Little Red Light」、かと思いきや、「Bought For A Song」だった。あれ?ここから変えてくるの?もしかして今日は結構違ったセットリストになるのかも。

曲間でクリスが簡単な挨拶を入れる以外はほとんどMCなしでどんどん曲が進む。いやそれにしても音いいね。僕はスピーカーからほど近い場所にいたんだけど、全然うるさくないし。5曲ほど旧作からの曲を続けて演った後、アダムが「僕らはニューアルバムを出したんだ。いや、新しいというほど新しくもないんだけど。そのアルバムからの曲をいくつか演るよ」と言って、「The Summer Place」を。だいたいこのあたりでこの曲を演奏するのも連日同様。

「Richie and Ruben」の前にも曲の内容を解説するアダム。どうやら古い曲はお馴染みだからダーッと続けて演って、新しいのはどういう曲なのかをちゃんと説明しているね。そして、こういう説明は全部アダムからだというところから推察すると、やっぱりこのバンドのメイン・ソングライターは彼なんだろうか。

クリスがそれまで弾いていた黄色いグレッチのセミアコからギブソンのアコギに持ち替えて、アダムが「僕らは色々なことに文句をつける曲を書いているけど、これは気候に文句つけてる曲」と言って演奏を始めたのが「Valley Winter Song」。やった。嬉しいけど、これが出たということは、ほぼ似通った曲調の「A Road Song」はもう演らないんだろうなと、ちょっと残念な気持ちにも。というか、「ニューアルバムからいくつか」というのはたった2曲のことなのかよ。

と思っていたら、またアダムによる解説。「70年代のバンドはよくロードに出ることについての曲を書いていた。僕らもこれでもう一週間ほど日本にいるから、僕らが書いたロード・ソングを演ろう」。え、なんだって?と思う間もなく、一番聴きたかった「A Road Song」が始まる。偶然ではあるけれど、この日に来ることにして本当によかった。観客からのリアクションはいまいち薄かったけれど、そんなの全然関係ない。本当にいい曲。そこはかとなく哀愁漂う歌詞も大好き。

僕にとってのハイライトというだけでなく、コンサート自体もそこで一区切り。アダムが観客を3人ステージに上げ、シャカシャカ鳴る楽器を手渡して、自分はキーボードへ。「Hey Julie」はセットリストによると毎晩これぐらいの位置で演っていたようだけど、毎晩こうしてお客さんを上げてたのかな。

そしてここからは怒涛のクロージングになだれ込む。新作で僕が2番目に好きな「Dip In The Ocean」、かつてグレン・ティルブルックもライヴでカバーしたことがあるという「Red Dragon Tattoo」、メンバーお気に入り(のはず)『Welcome Interstate Managers』のオープニング曲「Mexican Wine」、そしてデビューアルバムのオープニング曲「Radiation Vibe」。もうこの辺は当然解説不要。


アンコールの拍手がいまいち弱かったけど、すぐに再登場。アダムがキーボードの方に行ったなと思っていたら、クリスが「僕らの友達を呼ぼう。マイク・ヴァイオラ!」。ベースレスで、ジョディがエレキ、クリス&マイクがアコギという布陣。クリスが「ホンキートンクなのを演ろう」と言って始めたのが、これまた待望の「Fire In The Canyon」。やった、聴きたかったの全部出たよ。しかも、2番の歌詞をマイクが歌うというスペシャルなおまけ付き。

それまでの3公演では4曲ずつしか演ってなかったアンコール、この日だけは「Survival Car」を追加した全5曲。一番盛り上がる最後の3曲のところはほぼ曲間なしでやりたかったと思うけど、「Survival Car」の後でジョディのエフェクターの調子が悪くなったようで、ちょっと間が開いてしまった。それでも、ラスト2曲「Stacy's Mom」〜「Sink To The Bottom」は大盛り上がり。


僕にとってはこれ以上ないというぐらい完璧なセットリスト。欲を言えば新作からの「Someone's Gonna Break Your Heart」とかも聴きたかったけど(どちらかと言えばこの新作中一番キャッチーな曲を一度も演奏していないことの方が驚き)、もうこれ以上は望みようもないね。密度の濃いライヴだと感じていたけど、MCが少なくてどんどん立て続けに演奏していたせいか、終了時刻は9時を少し回ったぐらい。え、そんなに短かったの?という実感。おかげで、久々に主要メンバーがほぼ全員揃ったいつもの面子(+新加入数名)で、終電までゆっくり飲めたよ。ああ楽しかった。


Setlist 31 March 2012 @ Liquid Room Tokyo

Mike Viola

1. Soundtrack Of My Summer
2. Break Your Heart
3. Till You Die
4. Let's Have A Baby / Maybe I'm Amazed
5. Maybe, Maybe Not
6. Truckstop Sweetheart
7. Closet Cutter
8. That Thing You Do! (with Adam Schlesinger)
9. Get You Back


Fountains Of Wayne

1. Bought For A Song
2. Bright Future In Sales
3. Barbara H.
4. Someone To Love
5. Denise
6. The Summer Place
7. Richie And Ruben
8. Valley Winter Song
9. A Road Song
10. Hey Julie
11. A Dip In The Ocean
12. Red Dragon Tattoo
13. Mexican Wine
14. Radiation Vibe

Encore
1. Fire In The Canyon (with Mike Viola)
2. Cemetery Guns
3. Survival Car
4. Stacy's Mom
5. Sink To The Bottom
posted by . at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする