2012年02月19日

The Pains Of Being Pure At Heart live in Tokyo

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純真無垢でいることの痛み、なんて青臭すぎるアーティスト名と、あからさまにジャケ買い心を誘うオシャレな白黒ジャケを見て、へそ曲がりな3年前の僕は逆に手を出さずにおこうとしていた。

それが、あまりにも話題になっていたので、中古で安くなっていたのを買って聴いてみたらなかなかいいなと思ったものの、最近移動中にウォークマンで曲名も見ずに聴くことが多いせいか、アルバム全編似たような曲調ばかりでろくに曲の区別もついていなかった。彼らの曲ってサビのところで曲名がリフレインされないのが多いから、余計にわからないんだよね。

活動初期の入手困難な音源が収録された2枚組編集盤も、なんだかそれまでとは打って変わってちょっと不気味な感じのジャケになってしまったセカンド『Belong』も欠かさず聴いてきたけれど、曲名すら全然覚えられない状態がずっと続いていた。

去年の結構早い時期に発売された今回の来日公演のチケットも、年明けからこんなに沢山のライヴに行くことになるのがもし当時わかっていたら多分僕は買わなかったかもしれない。それぐらい、僕にとってはどうしても観てみたかったというアーティストではなかった。

と、まずはネガティブなコメントを洗いざらい。最近ちょっとライヴ三昧になってしまっているので、どうしても気持ちがちょっと贅沢になってしまっていたというか、慣れからあのライヴ前のわくわくした気持ちが欠けてしまっていたのは事実。

なんて反省の言葉が出てくるほど、思いがけずいいライヴだった。4曲のアンコールまで含めてわずか1時間という潔いライヴに負けないように、簡潔明瞭に書いてみよう(まあ、大方無理だとは思うけどね)。

さすがの人気バンドの再来日公演ということもあって、開場のクラブ・クアトロは(この前のベイルートほどではないものの)開演30分前にはすでに満杯。

前座はウィークエンドというどこかで聞いたことのある名前のスリーピース・バンド。申し訳ないけど僕は3曲ほど聴いたところで飽きてしまった。本編のペインズ・オヴ・ビーイング・ピュア・アット・ハート(長いので以下TPOBPAHと略。略してもまだ長い)の曲がいかに魅力的で、この手の有象無象のシューゲイザー軍団から頭一つ飛びぬけているかということを逆説的に理解させてくれる、そういう意味では最適な前座だった。皮肉な言い方で悪いけど。

凄くタイトなドラムスの音だけは僕は気に入ったんだけど、終演後に一緒に観ていた友達と話していて、あのドラマーきっとフー・ファイターズとか好きなんだろうねと言われ、なるほどと納得。確かにデイヴ・グロールを軽量化したみたいな感じだったね。

前座30分、セットチェンジに30分で、ほぼ定刻通りにTPOBPAHのメンバー5人が登場。ギター&ヴォーカルのキップはセットチェンジのときにずっとドラムキットのところに座っていたので、僕はてっきり彼がドラマーなのかと思っていた(冒頭に書いたとおり僕はそれほど熱心に彼らのことを追っていたわけではないので、アー写を見ても紅一点のペギー以外はどれが誰なのかよくわかっていなかったから)。

セットチェンジの最後に、他のスタッフがチェックした全部の楽器を自分で触ってみて確認していたほどの完璧主義者のキップ、ステージに出てきても「チェック、チェック」とギターやマイクのチェックに余念がない。と思ったら、どうやらベースのアレックスとトランスミッターが入れ替わっていたらしく、交換したトランスミッターを腰につけてようやく開始。1曲目はファーストアルバムから「This Love Is Fucking Right!」。

たぶん演奏曲名が全然わからないだろうと予想した僕は、前日一夜漬けで自分の持っている3枚のCDをちゃんと歌詞を読みながら聴いて予習し、ついでに直近のオーストラリア・ツアーのセットリストを調べていたから、おおよその曲順は予想がついていた。このオープニングも最近のツアーセットそのままの予想どおり。

時々あいさつや感謝の言葉を入れる以外はほとんど曲間もなくどんどん進行していく。僕が聴いていた場所が比較的スピーカーの近くだったということもあって、かなりの爆音。まあ、この手の音楽を小さい音で聴いてもしょうがないからね。轟音に体を委ねる心地良さ。

一応予備の楽器もステージ上には置いてあったけど、最後まで全員が同じ楽器を使い続けた。キップは白のフェンダー・マスタング。アレックスも白いマスタング・ベース。ペギーが赤いノード(赤以外って見たことないけど)。ドラムキットは覚えてないや。セカンドアルバムから新加入のセカンドギタリスト、クリストフは黒いスタインバーガー。スタインバーガーのギターの音を生で聴くのは僕は初めてだったんだけど、あんなにギシギシしたメタリックな音が鳴るんだね。

どちらかというとファースト・アルバムの曲を軸にしてライヴが進行(一夜漬けの甲斐あって、だいたい演奏し始めた曲がどのアルバムに収録されているかぐらいは聴いててわかった)。なかでも、8曲目に演奏したファーストからの疾走ナンバー「Come Saturday」から「Young Adult Friction」、そして疑似モータウンみたいなビートの「A Teenager In Love」という流れが最高だった。似たような曲調ばかりなんてさっき書いてしまったけど、こうして聴くとしっかり盛り上げるべきところにいい曲を持ってきているね。

その3連発の後かな、キップがやっと長いMCを入れたのは。「このあとアシカを観に行ってDJをするんだ。モスコミュールとチューハイ飲んで」とか言ってたから何のことだろうと思って、帰ってから調べてみたら、シー・ライオンズという同じレーベルのバンドが来日していて、この同じ夜にパーティーをやってたんだね。

「日本にはいいものが沢山あるけど、いちばん気に入ったのはレインボーバスとチューハイ。ストロングゼロ、8%」とか言ってたね。レインボーバスって何だ?観光してたのかな。そういえばアメリカにはきっと缶入りのチューハイなんてないよな。

キップに続いてペギーがMC。ところが、ペギーが喋ってるのにかぶせて新人がギシギシとうるさいギターを鳴らして調弦。なんて間の悪いやつなんだ。キップが思いっきり睨みつけてたね。

本編は12曲、わずか40分ほどで駆け抜けた。アンコールの拍手に応えてキップが一人で登場。ファーストアルバムのオープニング曲「Contender」をエレキで弾き語り。アルバムとは全然違うアレンジなのに、これが全然違和感なし。これを聴いて、いかにこのバンドがこの人のワンマンバンドなのかということに気づいた。アルバムもライヴもびっしりと音の壁を築いて構築しているけど、素はこの人のギターとメロディアスな唄だけだということ。アソビ・セクスもそうだったけど、こういうシューゲイザー・バンドがアクースティック・アルバムを作ると意外に曲のよさが引き立ったりするよね。TPOBPAHのアクースティック・アルバム、いつか聴いてみたいな。

アンコール2曲目からメンバー全員が再登場。3曲目、彼らの曲の中で唯一ギターソロのある「Everything With You」でソロを弾くのはやっぱりキップ。うん、ワンマンバンドだね。最後にアルバム『Belong』の最終曲「Strange」で締め、終了後に続いていたフィードバックノイズがぶつっと途切れたところでおしまい。アンコール込みできっちり1時間。アルコール度8%のチューハイみたいにきりっとすっきりしたライヴだった。

日本公演直前のオーストラリア・ツアーや、その前のヨーロッパ・ツアーのセットリストを見ても、だいたい本編10曲程度、アンコールも演ってなかったりしたようなので、本編12曲+アンコール4曲というこの日のライヴは、短かったとはいえ彼らの基準から見ると長いライヴだったのかも。

物販でサイン入りCDとかポスターとか売ってたけど、とてつもない人ごみで近づく気にもなれず(おまけに、クアトロの物販って喫煙所のすぐ隣にあるから、いくら扉付きの喫煙所でも煙がもれてくるから長時間立ってたくないんだよ)。

外に出ると、雪が降り出していた。遅めの晩飯を求めて渋谷の街をさまよっていると、どんどん大粒のボタ雪に変わっていく。楽しい。最近ライヴの後に雪の中を歩くことが多いね。次のライヴはもう3月だからきっともう少し暖かくなっているはず。


Setlist 17 February 2012 @ Shibuya Club Quattro

1. This Love Is Fucking Right!
2. Belong
3. Higher Than The Stars
4. The Tenure Itch
5. Heart In Your Heartbreak
6. Say No To Love
7. Falling Over
8. Come Saturday
9. Young Adult Friction
10. A Teenager In Love
11. Heaven's Gonna Happen Now
12. The Pains of Being Pure at Heart

[Encore]
1. Contender
2. My Terrible Friend
3. Everything With You
4. Strange


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