2011年04月30日

yascd016 裏Absolute

3月6日からのつづき>
というわけで作ってみた。実は選曲自体はあの記事のすぐ後に完成していたんだけど、それからいろいろゴタゴタしていたもので、この企画もあやうくお蔵入りになってしまうところだった。内容についてはあの記事に書いたとおり。スクリッティ・ポリッティのヒット曲にかけた『Absolute』というタイトルとは裏腹にイマイチ偏った選曲のベストアルバムを勝手に補完すべく作った個人用裏ベストアルバム。

『Absolute』が、全盛期のヒット曲を中心に、変則的な年代順という形態を取っていたのは、時代によって大きく音楽性が変化したこのグループ(というか、基本的にはグリーン・ガートサイドのソロ・プロジェクト)のベスト盤を選曲するにあたっては一番無難な方法だったからだろう。

それなら、僕はあえて違う方法を取ろう。今まで、単独アーティストをピックアップしたyascd(001のグレン・ティルブルック、007のジェブ・ロイ・ニコルズ、008のサニー・ランドレス、011のミック・ジョーンズ、015のナック)の殆どを年代順という無難な曲順にしていたけど、今回そうしてしまうと、本当に『Absolute』に選ばれなかった曲を並べるだけという落ち穂拾い的なつまらない選曲になってしまうからね。

とはいえ、難しいのはやっぱり難しい。『Absolute』でも一番曲間に違和感があるのが、11曲目「Brushed With Oil, Dusted With Powder」から12曲目「Skank Bloc Bologna」に移るところだろう。とてもその2つが同じグループの曲だとは思えないぐらいだからね。そういう、極初期の曲と中期以降の曲を交互に入れるのは、よほどうまくつなぎを考えないと聴いてて気持ちよくないからね。まあ、015のナックの選曲からあえて「My Sharona」を外したのとは比べものにならないぐらい有名曲をほぼ全部使えないというハンディキャップを逆手に取って、曲間のつなぎの妙みたいなのを楽しみながら作ってみよう。


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1. Is And Ought The Western World

極初期のスクリッティ・ポリッティというと、どうしても最初のシングル曲「Skank Bloc Bologna」ばかりに注目が集まるが(それに値する名曲だとは認めるけれど)、決してそれ以外の曲がつまらないというわけじゃない。中にはスタジオでの即興演奏に適当なタイトルをつけてそのままリリースしたような曲もあるけど、「Skank Bloc Bologna」のB面だったこの曲とか、十分スリリングだと思う。どうしても入手困難というわけじゃないけどまだ持っていないそのシングル盤のジャケに代えて、今ではもっと手軽にこの時期の曲をまとめて聴けるCD『Early』のジャケを載せておこう。

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2. After Six

あえてここにつなごう。今のところの最新作、06年の『White Bread, Black Beer』から。かつてこのブログを始めてそう間もないころに書いた記事ではどうも煮え切らない書き方をしてしまったアルバムだけど、あれから4年強たった今聴き直しても、十分時間の経過に耐えうる良作だと今なら言える。むしろ、それ以前の大ヒットアルバムのように時代の色を濃く反映していないだけ、逆にエヴァーグリーンな作品になったと言えるだろう。それこそ、このアルバムのリリース当時よく引き合いに出されていた『Pet Sounds』のように。

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3. Faithless

極初期のアヴァンギャルド路線から一転、「The "Sweetest Girl"」でシーンに再登場した彼らがファーストアルバム前夜にリリースしたシングル。シングルカットされていないアルバム曲まで含まれているというのに、何故これが『Absolute』から外れたのかが全く理解できないクオリティの曲。後のグリーンの黒人音楽趣味を考えるとブレはないが、当時は「あの」スクリッティ・ポリッティがこんなソウルフルな曲を書いたことに思いっきり違和感を抱いていたものだけど。

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4. Small Talk

収録された全9曲のうちシングル5曲が『Absolute』にピックアップされたこの超有名アルバム『Cupid & Psyche 85』からはもういいかと思えなくもないけど、かといって残りの4曲が出がらしみたいな埋め曲かというとそうでもない。これは、当時「Wood Bees」「Absolute」「Hypnotize」という超弩級シングル三連発をアルバムに先駆けて聴いていた人にとっては意表をつかれたアルバムトップのレゲエ曲「The Word Girl」に続くA面2曲目、それらのシングルの流れを汲むハイパーポップ。「きたきた!」って感じだったね、最初に聴いたときは。

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5. Take Me In Your Arms And Love Me

スクリッティ・ポリッティが全くアルバムを発表しなかった空白期間(89年〜98年)、数枚のレゲエ・シングルがリリースされた。レゲエ特集のyascd013に収録したビートルズのカバー「She's A Woman」に続いて出たのがこの曲。前者がシャバ・ランクスとのデュエットだったのに対し、こちらはスウィーティー・アイリー(僕はよく知らないけど)をフィーチャーした、グラディス・ナイトのカバー曲。前者は『Absoolute』に収録されたけど、こっちはスルーされてしまったのでここに。それにしても、いつもジャケットのセンス抜群のグリーンなのに、この時期のシングル盤のジャケはどうにもいただけないな。

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6. The Boom Boom Bap

リードシングルだったこの曲も含めて、最新作『White Bread, Black Beer』からの曲は『Absolute』では完全に無視されてしまっている。シングルとして切るにはやたらと地味な曲だと当時も今も思うけれど、ランDMCのデビューアルバムから一曲を除いて全部の曲のタイトルが練り込まれているという歌詞も含めて、曲調はこんなになってしまっても、グリーンのヒップホップ愛を感じられる曲。これのシングル盤も買おうと思ったけど、DVDまで付属していた日本盤アルバムを追加購入してた際にカップリング曲がボートラ収録されていたから、結局シングルCDは買ってないな。まあ、比較的どうでもいい類のパッケージではあるけれど。

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7. First Boy In This Town (Lovesick)

『Cupid & Psyche 85』の焼き直しとか言われて評価の低い『Provision』だけど、僕にとってはおそらく一番思い入れの深いアルバムだ。中でもこれは大好きな部類に入る曲。後半のアカペラ・パートに入る瞬間なんて、めちゃくちゃ格好いいよ。先日、この曲の箱入り12インチシングル(限定盤で、それまでの3枚のシングル盤のジャケがアート紙に印刷されたものが封入されている)を見つけて買った。箱の状態はよくなかったけど、捨て値と言ってもいいぐらいの値段で買えたのは嬉しい。やっぱり12インチは音いいよ。

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8. Don't Work That Hard

『Cupid』からもう一曲いこう。LPでいうとA面ラストの曲。珍しくハードなギターソロの音が(しかしあくまでも装飾音として)使われている。僕は『Provision』は88年にリリースされたときにCDで買ったし、この『Cupid』も最初はLPで買ったものの、比較的早い時期に出たCDを買ったから、最近のCDと比較すると、音圧が圧倒的にしょぼい。こうして近年のアルバムからの曲と並べて聴くと、音が大きくなったり小さくなったりして聴きづらいことこの上ないよ。早くこの時期のアルバム、リマスターされて再発されないかな。

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9. A World Come Back To Life

『Provision』からのシングルカット「Boom! There She Was」のカップリング曲。僕の持っているのは今やなつかしい日本盤の縦長8センチシングル盤。さっき書いた「First Boy In This Town」の12インチのB面もこの曲だったな。『Provision』に含まれていたとしても遜色ないぐらいの佳曲だと思う。この時期の未発表曲ってもっと他にないのかな。どうせリマスターされて再発されるなら、そういうボートラごっそり入れてくれればいいな(誰もリマスター再発するなんて言ってないのに勝手な妄想)。

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10. Doubt Beat

これも後に『Early』に収録されることになる、ファーストアルバム以前の79年にリリースされた12インチEPから。僕はリリース時じゃないけど80年代の結構早いうちに一度このレコードを行きつけのお店で見かけたんだけど、そのときはどういうわけか放流してしまったんだ。当時既に結構レアな廃盤だったはずなのに。それからずっとこれを探し続けていて、ネットオークションが盛んになった今世紀に入ってから、1万円以上出して購入した。これまで僕がシングル盤にかけた値段としては最高額。その数年後に『Early』が出てしまったんだけど、別にこのEPを買ったことは微塵も後悔してないけどね。

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11. Mystic Handyman

グリーンのヒップホップ趣味全開だということで、僕の中では一番評価の低いこの99年のアルバム『Anomie & Bonhomie』だけど、中にはこんな真っ当なポップ曲も入っている。こういうのをより内省的に深化させたのが7年後のアルバムなんだと思う。『Absolute』に収録された07年の新曲はもっと昔の全盛期を思い出させるハイパーポップ風味で、それはそれで嬉しかったんだけど、僕としてはこういう直球ど真ん中なポップスを今後のグリーンには期待したいな。

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12. Sugar And Spice

さっき写真を載せた、『Provision』からのシングル曲「Boom! There She Was」にはザップのロジャー・トラウトマンが彼のトレードマークであるボコーダーを使ったボーカルで参加していることで有名だが、同じアルバムのこの曲にも彼は参加している。このアルバム、ロジャーといいマイルス・デイヴィスといい、グリーンの黒人音楽好きがモロに反映された有名ゲストが参加しているけど、なにげに影響力大なのが、ベースで参加しているマーカス・ミラーかも。前作では殆どの曲のベース音がデイヴィッド・ギャムソンのプログラミングによるものだったけど、やっぱりこうして一流のべーシストが入っていると音が違うよね。僕が『Provision』の方をより好きなのは、それも一因かもね。

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13. Messthetics

「Skank Bloc Bologna」に続く79年の2枚目の7インチ(時期的にはさっきの12インチ「4 A Sides」が先かな)から。僕が初めてスクリッティ・ポリッティを聴いたのは、80年前後に放送されていた当時ジャパンレコードのディレクター(だったかな)芹沢のえさんのナイトラインというFM番組で、「Skank Bloc Bologna」とこのシングルから数曲が流れたときだったと記憶している。このシングルも先ほどの12インチ同様もう既にこの時期には廃盤で、僕が入手したのは、記録によると86年の夏に旅行で訪れた福岡で、2200円という(この手のシングル盤としては)破格値でだったようだ。

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14. Dr. Abernathy

『White Bread, Black Beer』はこういう曲が入っているから(中期)ビーチボーイズまでが引き合いに出されるんだよね。極初期の稚拙なアヴァンギャルドや全盛期のハイパーポップがスクリッティ・ポリッティだと思っていた人は(僕も含めて)、まさかグリーンがこんなに複雑に構成された曲を書くことになるなんて想像もしなかった6分半の大曲。プログレッシブ・ポップと勝手に呼ぼう。

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15. Lover To Fall

『Cupid』からもう一曲。これで、アルバム中唯一のバラッド「A Little Knowledge」を除く全曲が、オフィシャルベスト盤『Absolute』とこの裏ベストに収録されたということになる。別に「A Little Knowledge」が駄曲だからという理由で除いたわけじゃないから、シングルカットされた曲かどうかということを別にしても、アルバム中どの曲もベスト盤に入れることができるという、よく言われる“捨て曲なし”とはまさにこういうアルバムのことを言うんだね。

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16. Philosophy Now

そして、僕にとってはこちらも捨て曲なしのアルバムを締めくくるこの曲をここに。エレクトリック・セカンドラインと呼んでもいいような、ゆったりと気持ちいいリズムのナンバー。いくら黒人音楽好きといっても、グリーンが後にも先にもニューオーリンズ系の音楽に傾倒していたことはないはずなのに、どうやってこんなリズムのこんな曲を作れるんだろう。こういうのは、メンバーでありながらこの時期にはグリーンと共に共同プロデューサーの地位になっていたデイヴィッド・ギャムソンの貢献なのかな。

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17. Here Come July

ヒップホップアルバム内のもう一曲の変わり種。というか、どの時期のスクリッティ・ポリッティにも全然ない性急なハードロック風味(といってもやっぱりグリーンのあの声が入るだけでスクリッティ・ポリッティ以外の何者でもなくなってしまうんだけど)。かっこいいな。本人はどう思ってるんだろう、こういう曲のこと。やっぱり埋め曲的な存在でしかないのかな。

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18. Gettin' Havin' & Holdin'

一転して、ファーストアルバムからこの心地よく弛緩したナンバーを。この『Songs To Remember』って、きっと当時のグリーンがやりたかったことを全部詰め込んだから、一聴とっちらかった感じがしなくもないけれど、こうして一つひとつの曲を抜き出して聴いてみると、いい曲が多いんだよね。表のハチのマークとか文字とか青い線とか、丁寧にエンボス加工されたジャケットのLP、僕のはもう背中や上の部分が黄色く日焼けしてしまっているけれど、今でもとても大事なレコードの一枚。

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19. 28/8/78

落ち着いたところで更に遡って、3曲入りデビュー作「Skank Bloc Bologna」の残りの一曲を。この暴力的なまでの演奏とコラージュされた語りがとてもクール。演奏技術はイマイチだったかもしれないけれど、自分たちが表現したいことをこうして最初のシングルから確実に形にできていたというのはやっぱり凄いよ。それにしても、こんな曲(?)を作っていた人達がそのわずか3〜4年後にさっきの18みたいな正統派ポップスを書けるようになるなんて、やっぱり不思議。

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20. Road To No Regret

さっきの19でブツンと終わってもよかったけど、最後にこれを入れてクールダウンして終わることにしよう。一応15あたりからここまでが、スクリッティ・ポリッティの変遷し続ける音楽性を逆回転の早回しみたいに見られるような作りにしてみたつもり。さっきも書いたけど、実際に僕が持っているCDから(というか、今流通しているCDから)ピックアップすると、それぞれの音圧の違いにちょっと興醒めしてしまうのが玉に傷なんだけどね。


冒頭に「内容についてはあの記事に書いたとおり」と書いたときにはきっと今日はあっさりした短い記事になるだろうなと予想していたのに、結果的にはいつものとおりのダラダラ長文記事。しかも同じ写真が何回も出てくるから、余計に何度もスクロールしないといけないのは申し訳ない。3月6日の記事の頃にはスクリッティ・ポリッティが自分内ブームだったのが、やがてR.E.M.とかボブ・モウルドとか色んな人たちにブームが移っていってたのに、この記事のおかげでまた自分内スクリッティ・ポリッティ・ブーム再燃。しかも、ついイーベイとか見てしまったから、あれこれ欲しいもの何枚も見つけてしまった。まずい兆候。


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2011年04月16日

Johnny Winter live in Tokyo

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予定されていたいろんな来日アーティストの公演が軒並みキャンセルになる中、これも多分そのうちキャンセルが発表されるんだろうなと思っていたのに、最後までそうはならず、とうとう実現してしまったジョニー・ウィンター初来日(&おそらく最後の)公演。欧州出張をなにげに最後の一日早く切り上げて、三日間連続公演の最終日に間に合うように帰ってきた甲斐があった。

せっかく発売初日に招聘元に直接チケットを申し込んで、郵便振込なんて面倒な手続きまで踏んだのに、手元に届いたチケットに印刷してあった整理番号は見ただけでがっかりするような大きな番号(僕よりも後に申し込んだ友達が僕の半分以下の番号だったなんて、一体どういう仕組みになっているんだ。抽選ならそう書いておいてくれよ)。ほぼ開場時刻に会場に到着して、自分の番号通りに入場したけど、案の定前の方と中央の一段小高くなっているところはもうほぼ満員状態。しょうがなくその小高くなっているところのすぐ前の手すりのあたりに落ち着く。

ステージまで遠いな。しかも開演間際になって結構背の高いのやら無闇に頭部の体積の大きいのやらがすぐ前に立ちはだかるから、ステージなんてほとんど見えやしない。上に写真を載せた、『Captured Live!』のジャケのロゴを模したジョニーの名前がステージ上方に大きく掲げてあるのが見えるぐらい。あとはステージ後方のドラムセット。前の人達がごそごそ動くと、たまに置いてあるギターやベースが見える。ストラトが置いてあるということは、セカンドギタリストが入るんだね。

それにしても、予想していたとはいえ、場内オッサンばかり。たぶん僕をもってしても平均年齢を若干下回ってたんじゃないかと思えるぐらいのご高齢の方々がここぞとばかりに集まってきている。かなり白いものが目立つ無理目のロン毛のおじさんやら、なにやら怖そうなイラストが描いてある皮ジャンを羽織った方やらがあちらこちらに。見た目よりは加齢臭に悩まされずに済んだことぐらいが不幸中の幸いか。

定刻通りにまずはカウボーイ・ハットを被った人がステージに登場してメンバーを呼び寄せる。一瞬ジョニー本人かと思ったけど、まあそんなわけはなく。ベース、ドラムス、サイドギターの3人が登場、インストゥルメンタル曲を演奏し始める。曲目わからないなあと思って、後でセットリストを見たら、単に「Intro」と書いてあった。

その曲の演奏中にジョニー登場。これがまた、予想していたとはいえ、かなりよぼよぼ。最近はあまり体調もすぐれず、もうずっと座って演奏しているという話は聞いていたけど、まさか歩くときまであんなに腰を曲げてゆっくりだなんて。もしこの人が電車に乗ってきたら、別にACのCMに言われなくても迷わず席を譲ってあげようと思えるほどだ。

最近はもっぱらこちらばかりを使っているというヘッドレスのレイザーを持ち、ステージ中央まで来て、やっぱり椅子に座ってしまった。僕の位置からだと辛うじて顔が見え、たまにちらちらとギターが見えるという程度。やっぱりもうちょっと前で観たかったな。それか、こんなに大きな会場で演るときはせめてドラムセットと同じぐらいの高さの台の上に椅子を置いてほしいよ(でも、ジョニーがそこに上るのにまた一苦労か)。

昔のライヴ盤でのプレイを期待しているとがっかりするかもしれないからと、覇気がなくなったとちょっと評判の悪い(今のところオフィシャル盤としては最新の)98年のライヴアルバム『Live In NYC '97』をしばらく前に買って聴き込んでいたところだったから、なんとなく聴き覚えのあるジョニー参加後1曲目が、そのアルバムのオープニングと同じ「Hideaway」だったというのは後で確認できた(インストは曲名を覚えるのどうも苦手)。

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このアルバムからは、4曲目に演った(ようやく曲名のわかるのがでてきた)「She Likes To Boogie Real Low」と、その2曲後の「Got My Mojo Working」も演奏したので、結果的にいい予習盤になったよ(でも、「Johnny B. Goode」の次に演った「Black Jack」もこのアルバムに収録されているのに、その場ではわからなかった。こういうスロー・ブルーズは曲名を覚えるのどうも苦手)。

かつてのような物凄い速弾きはもうできないのかもしれないけれど、それでも「Good Morning Little School Girl」とか「Johnny B. Goode」とかのアップテンポなロックンロールでのギターはかっこよかった。ギターだけでなく全体的に若干音がつぶれがちだったけど、それも大きな音の塊がゴツンと来る感じで気分よく聴けたので結果オーライ。少なくともジョニーとサイドギタリストの出す二つの音はきちんと聴き分けられたからね。

ギタープレイと比較すると、ジョニーのヴォーカルはさすがに年齢を感じさせたね。あの、喉をゴロゴロいわせるような、不思議に繊細なダミ声で叫ぶようなシーンはもうほとんどなく、淡々と歌う(それにしてもいい意味で暑苦しいヴォーカルではあるものの)。一曲、確か9曲目だか10曲目でドラマーが歌っていたね(後で調べてみたら、9曲目の「Tore Down」という曲だった。フレディ・キングのカバー)。

本編終盤、「Bony Moronie」と「It's All Over Now」という、名盤『Captured Live!』でお馴染みのロックンロールを連発。きっとベタベタのブルーズ・ショウにはしないだろうと予想はしていたものの、まさかこんなにロック寄りの選曲にしてくれるなんて、嬉しいね。

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ほとんど切れ目なくぶっ続けで演奏してきたのであっという間な気がしたけれど、そこで本編終了。ちょうど一時間ぐらいか。ジョニーはメンバーに手を貸してもらいながら、よぼよぼと退場。あの速度で歩いていたら、きっとアンコールで出てくるのは10分後ぐらいになるぞと思っていたら、意外なほど早く再登場。きっとあれ、楽屋の壁にタッチして戻ってきただけだね。リハビリ運動か。

メンバーと一緒にまたよぼよぼと歩いて出てきたものの、左手に握られているギターを見て驚喜(僕からはヘッドしか見えなかったけれど)。ギブソン・ファイヤバードだ。もうあんな重いギター弾けないのかと思っていたから、彼のトレードマークであるファイヤバードを抱えるところを観られただけでも嬉しい。しかも、演奏を始めてみたら、やっぱりレイザーとは音が全然違うよ。あの野太い音。かっこいいねー。弾く手元を見ようと何度もジャンプしてしまった。

アンコール1曲目、なんか最近聴いたことある。後でセットリスト見せられて思い出した。「Dust My Broom」。去年トッド・ラングレンも演奏したんだった。そして、絶対最後に演ってくれると思っていた「Highway 61 Revisited」。これも『Captured Live!』でお馴染み、というか、僕にとっては、ジョニーのことを初めて観たボブ・ディラン30周年記念コンサートでのあのぶっ飛んだ演奏を彷彿とさせる。ジョニー・ウィンターが、ファイヤバードで、スライドで、この曲を演奏するところを、この目で観た(ほとんど見えなかったけど)。もうそれだけで十分。


終演後は、同じライヴに来ていた友達と、恵比寿でリトル・バーリーを観てきた別の友達や、特にライヴがあったわけでもないのに何故かはるばる出てきてくれた例のN君たちと合流して銀座のロックバーへ。それもまた楽しかったな。あそこまたちょくちょく行こう。

ネット上で見つけた東京初日のセットリスト。僕が行った最終日も多分曲順まで含めて全部同じだった。

1. (intro)
2. Hideaway
3. Sugar Coated Love
4. She Likes To Boogie Real Low
5. Good Morning Little School Girl
6. Got My Mojo Working
7. Johnny B. Goode
8. Black Jack
9. Tore Down
10. Lone Wolf
11. Don't Take Advantage on Me
12. Bony Moronie
13. It's All Over Now

[Encore]
1. Dust My Broom
2. Highway 61 Revisited
posted by . at 21:51| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月10日

有名人ゆかりの地を巡る

欧州出張中。最初の機内の空気が乾燥していたせいか、初日のパリでいきなり風邪引き。現地駐在員から貴重な日本の風邪薬を巻き上げ、ロンドンに移動。出張自体はさらに来週まで続くんだけど、今日は珍しく会議も移動もない完全オフ日。せっかくなので、10年ぶりぐらいになるロンドンを満喫しよう。

ロンドンといっても、オフィスがあるのはかなり郊外。ヒースローの近く、サリー州ウェイブリッジというところ。ロンドンまでどうやって行こうかと地図を見ていると、すぐ近くに見覚えのある地名が目に入った。サリー州ウォーキング。

子供の頃から何度も目にした、ポール・ウェラーの生まれ故郷だ。そうか、こんなに近くまで来ていたなんて。ロンドン市内とは反対方向だけど、ここまで来たら行くしかないね。


各駅停車でわずか3駅の距離。急行停車駅があるぐらいだから比較的大きな街ではあるんだけど、それでもちょっと駅前を外れるともう普通の家が立ち並ぶ何の変哲もないところ。日本風の桜が満開で綺麗。

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あらかじめ地図で調べて行ったから場所はすぐにわかったけど、実際には拍子抜けするぐらい短い道だったスタンリー・ロード。

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ジャケットみたいに昔風にレンガの壁に表札が埋め込まれているんじゃなかったのがちょっと残念。ほんとに短い道だから、あっちの端とこっちの端に一つずつ、これと同じ表札が立っているだけ。

このあたりの道を子供の頃のポールも歩いてたのかなとか感慨に耽りながら、あてもなくぶらぶら歩く。ライトボックス(The Lightbox)というミュージアムを見かけ、パンフレットを見てみると、「Town Called Malice, Stanley Road Revisited: Photograph of Paul Weller」というポールの写真展のお知らせが!

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…7月16日からだよ。。どんな先の話をしてるんだか。ああ悔しい。しょうがないので常設展に入って見る。ウォーキングの歴史。何世紀も前の話から物語が延々と続いてるけどそのあたりは素通りして、1970年代コーナーへ。もうこのあたりになるとガラスのショーケースに記念品とその短い説明文があるだけ。

The Lightbox.JPG

あったあった。ポールの(ウォーホル風の)リトグラフと、『Stanley Road』のデラックス版LP。あと、この写真には写ってないけど、下の方にはジャムのライターもあるね。説明文を読んでみると、「1972年、ポール・ウェラーは同じウォーキングの学生数名と共にザ・ジャムを結成」 …地元ですらこの扱いのリックとブルースって。。


駅に戻る途中、妙なオブジェを発見。

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これあれだよね、宇宙戦争。と思ってあたりを見回してみると、H.G.ウェルズの名前を冠した劇場がすぐ近くに。そうか、ウェルズもウォーキング出身なのか。というか、もしかしたら一般的にはそちらの方がポール・ウェラーよりも有名なのかな。

さらに別の変な動物のオブジェも発見。これはH.G.ウェルズではないはず。

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15分に一本ぐらいしかないはずなのに、さっきから運よく駅に入った途端にホームに入ってくる電車に飛び乗る。新しい車両でなかなか快適。

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ウォーキング発ウォータルー行きの切符。若い頃のポールもこの切符を手にロンドンに出てライヴ観たりレコード買ったりしてたのかなとまた感慨に浸る。でもきっとポールがこの電車に乗ってた頃はまだ自動改札なんてなかったからこんな切符じゃなかったよね。感慨終了。


クラッパム・ジャンクションとか聞き覚えのある駅を過ぎ、ウォータルー駅に到着寸前に見えてくるのが、お決まりのバターシー発電所。なんかあのジャケットで見慣れているせいか、こんな青空をバックにすると全然似合わないね。豚の代わりにちょうど真上を飛行機が飛んでるし。当たり前すぎ。

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地下鉄に乗り換え、オクスフォード・サーカスへ。まずは肩慣らしにHMV(まだあるとは思ってなかった)で小一時間。最近CD買ってないから欲しい新譜も沢山あったけど、荷物になるのでここは@日本ではなかなか買えないもの、A相場よりかなり安くなっているもの、に集中。結果、6枚で49ポンド。6800円ぐらいか。なんでこういう長期出張の直前に円が急落するかね。

ウォーキング行って気分が盛り上がっていたので、ポール・ウェラーのロイヤル・アルバート・ホールのライヴCD+DVDをご祝儀で購入。8ポンドは安いと思ったけど、次に行った店で同じのを7ポンドで見つけてしまった。ああ悔しい(その2)。

続いて個人経営の小型店をいくつか物色。そのうち一つの中古屋ではかなり安くていいもの沢山買えたよ。7枚で38ポンド。5300円か。うち2枚は2枚組だからね。さすがにこの店まで辿り着く頃には結構疲れてたから、1枚1ポンドのシングルコーナーにまで手が回らなかったけど、あのコーナーかなり充実してたよなあ。次回は是非。

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その店、レックレス・レコーズ(Reckless Records)っていうんだけど、ショーウィンドウに飾ってある『(What's The Story) Morning Glory』のLPのジャケ見えるかな。ちょっと写真小さすぎるかな。あのね、そこにポストイットが貼ってあって小さい文字で何か書いてあるんだけど、このジャケ写ってこの店の前あたりで撮られたんだって。言われてみて周りを見てみたけど、殆どの店がもうこの当時とは変わってしまってるね。もう15年も前になるのか、あのアルバム。

小規模CD店を守ろうということで何年か前から始まったレコード・ストア・デイ。いろんなアーティストが限定盤のCDやレコードを店頭売りのみで発売する。いつも日本に少量入荷するのを運よくキャッチするか、さもなくばオークションで高値で購入するしかなかったんだけど、今回ロンドンで直接買えるかも。と思っていたら、今年のレコード・ストア・デイは来週の土曜日だって。ああ悔しい(その3)。


CD屋を廻りながらコヴェント・ガーデンあたりまで来てしまったので、もうそのままウォータルーまで歩くことにする。このへんは大体わかるし、ロンドンは街のあちこちに地図があるから迷わないし。途中、橋の上から大きな観覧車とロンドン塔が見えた。

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実は今日もう一つ廻ろうと思っていたところがあって、あらかじめネットで住所を調べておいたんだ。グレン・ティルブルックがしょっちゅう演奏している、アンカー&ホープ(Anchor And Hope)というパブ。ネットで検索してみたら、ウォータルーの近くみたい。同じ名前の別の店とかじゃないかなといくつかのサイト(日本で言うぐるなびとかホットペッパーみたいなの)を見てみたけど、ここしか出てこない。じゃあ、ここまで歩いたからついでに足を伸ばしてみよう。グレンとサイモンは今週は運悪くアメリカ遠征中だから、どうせ行っても会えないのはわかってるんだけど。

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土曜日だからか、まだ5時過ぎだというのにもう店の中も外も客で一杯。流行ってるね。ちょっと入って一杯飲んで行こう。カウンターでエールを頼んで空いている席に座る。YouTubeでいつも観ている、グレンとサイモンがいつも陣取って演奏しているのはどこだろう。どうもなんだか店の造りとか内装とか違うような気がする…

軽く何か食べてもいいなと思ってたけど、結構値の張る、お一人様じゃちょっと食べるのを躊躇してしまいそうなきちんとしたメニューばかりだったので、そのへんでフィッシュ&チップスにしようと、エールのグラスを空けて店を出る。


結局、駅までの道にフィッシュ&チップス屋がなかったので、もう面倒だし(久々にブログ書こうと思い立ったし)ホテルに帰ってバーで済ませることに。

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幽霊が出るとか、ここに泊まった日本人の5人に1人は夜中に不気味な声を聞いたとか、実は昔は精神病院だったとか、そういえばシャイニングのホテルに似てるとか、散々脅されながら泊まっているホテルに戻ってきた。バーのフィッシュ&チップスは高かったけど、値段相応の味だったね。みんなイギリスの食べ物まずいって言うけど、僕は何食べても結構好きだけどなあ。本日2杯目のエールも美味かったし。


どうもやっぱりさっきの店が気になるので、久々にYouTubeでグレンのビデオを観てみることにする。



やっぱり違うよ。と思って、改めてグレンのサイト見てみたら、全然違った。しまったー。最初からちゃんとここで調べとけよ。きっとここを読んでくれているグレンのファンの皆さんは、もうずいぶんさっきから「違うよこいつ馬鹿だね」とか思いながら読み進んでくださっていたことだろう。


まあそんなわけで、最後は有名人ゆかりの地でも何でもなく終わってしまったけれど、今日もたくさん歩いたし、ビール美味かったし、いいCD買えたし、ウォーキング詣でもできたし、いい休みだったよ。今日まで5日間で2カ国というゆったりした行程だったけど、週明けからは3カ国を3日で廻るという例によっての強行軍。まだ時差ぼけと風邪と風邪薬のカクテルみたいな頭でぼーっとしてしまっているから、今日はもうこれアップしたら風呂入って寝よう。

今日の収穫。

9Apr11Syu-kaku.JPG
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