2011年03月06日

不完全な「完璧」 - Scritti Politti

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スクリッティ・ポリッティ 『Absolute』

前回の記事にも書いたように、この時期になるとリアル店舗でもオンラインでもあちこちのCD屋さんでセールをやってて、ついあれこれと買い込んでしまう。先週はそうして買ったダンボール箱がほとんど一日おきに届いて、あっという間にこのPCの隣にはCDの山ができてしまった。

いろいろ書きたい新譜も沢山あるんだけど、今日はこれ。あいかわらず忘れた頃にぽつんとリリースされる、スクリッティ・ポリッティ。5年振りのこのCDは残念ながら新譜ではなく、新曲2曲を含んだベストアルバム。

ずっとにこのブログに書いたように、スクリッティ・ポリッティというのは30年ほどの長いキャリアでたった5枚しかアルバムを発表していないだけでなく、ポストパンク期〜1枚目〜全盛期〜ヒップホップ期〜06年の最新盤で全然音楽のスタイルが違うもんだから、ベスト盤の編集もなかなか難しいものがあるはず。

おそらく、スクリッティ・ポリッティを“知っている”という程度の人はほぼ全員、85年の大ヒットアルバム『Cupid & Psyche 85』で彼らのことを知ったはずなので、その後のどっぷりヒップホップに傾倒した音や、初期のギザギザ&スカスカしたポストパンク期の音や、06年盤のメロウなソロアルバムの音を同じバンドの音楽として素直に受け入れられるとは思えないからね。

なので、どういう選曲してるんだろうと興味をもって見てみる。まずは、「Wood Beez」にはじまる『Cupid & Psyche 85』からの怒涛のシングル攻勢5連発。まあ、そりゃそうだよね。さっき書いたような、ディープなファンでない人にとっては、このグループはこの5曲に尽きるだろうからね。もろに80年代を代表するようなキラキラピカピカした音なのに、全然古臭く聴こえないのは凄い。

続いて、その大ヒットアルバムの続編のような造りの『Provision』からの、マイルス・デイヴィスとロジャー・トラウトマンがそれぞれ参加したシングルカット2曲。まあこれも妥当なところだろう。僕にとっては大好きなこのアルバムからたったこれだけなのはちょっと納得いかないけど。

更に、年代順にその11年後のヒップホップアルバム『Anomie & Bonhomie』から4曲。うーん、4曲はちょっと多すぎるんじゃないの。個人的にはシングルの「Tinseltown To The Boogiedown」とグリーンのボーカルが格好いいアルバム冒頭の「Umm」で十分な感じ。

ここでうんと時間を遡り、違和感ありまくりなのは承知のうえでデビュー曲「Skank Bloc Bologna」に戻り、さらにファーストアルバム『Songs To Remember』から3曲。さっきの『Anomie & Bonhoie』からは非シングル曲をあんなに収録しているのに、このファーストからは「Faithless」が落とされている。結構重要なシングルだと思うんだけどな。不可解。

シャバ・ランクスとの共同シングル「She's A Woman」(yascd013に入れたビートルズのカバー)を挟み、今回の目玉である新録が2曲。あれ?06年の『White Bread Black Beer』はスルー?なんでそんなことになるんだろう。グリーン、あれ気に入ってないのかな。確かに僕もさっき上にリンクした06年の記事ではあんまり気に入ってないような書き方をしていたけれど、結構いい曲も入ってると思うんだけどな。不可解。

待望の新曲は、ライナーを読んでみると実はそれほど新しいというわけでもないようだ。『White Bread Black Beer』の直後の07年に、そのソロアルバム(名義はスクリッティ・ポリッティだけど)とはうって変わって、全盛期のパートナーであるデイヴィッド・ギャムソンと二人で作りあげた曲。たしかに、ちょっとあの頃の香りがするよ。ものすごい名曲というほどではないけれど、いい曲だよね。次のアルバムが一体何年後になるのかわからないけど、またこの二人で(と、できればドラムスのフレッド・マーも一緒に)作ってほしいな。

いかにもスクリッティ・ポリッティらしい秀逸なジャケットに包まれ、なかなか上出来な2曲の新曲も入っているけれど、どうもしっくりこない選曲のこのベストアルバム。まあ、ベストアルバムの選曲なんていつでもそういうものだし、スクリッティ・ポリッティのベスト盤なんて冒頭の5曲が入っていれば大方の人には問題なしなのかもしれないけど(だったら『Cupid & Psyche 85』を聴けばいいんだけど)、ちょっと対抗して自分仕様のベスト盤を作ってみたくなる気にさせられるCDだね。

そうだ、それやってみようかな。このベストアルバムとは曲が一切かぶらない、『裏Absolute』。「Wood Beez」も「Perfect Way」も「Skank Bloc Bologna」も入ってないスクリッティ・ポリッティの編集盤をベストアルバムと呼ぶことに抵抗はあるけれど。実は今、久しぶりのyascdでも作ってみようかなと、ふたつぐらいのアイデアのタマゴが頭の中にあるんだけど、なんだかこれを先に作ってみたくなったよ。というわけで、<つづく>
posted by . at 18:44| Comment(7) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする