2011年03月22日

報道

書こうとしている音楽関係の記事もいくつかあるんだけど、どうもそんな雰囲気でもないしそんな気分でもないので、このごろ考えていることをちょっとまとめてつらつらと。今朝ツイッターで140字ぴったりつぶやいたやつの拡大版ってとこ。

今朝起きてテレビをつけたら、確かフジテレビだったと思うけど、ホウレンソウとか原乳から検出された放射能が人体にどう影響するのかという番組をやっていた。普段目につく報道って、国が定めた基準値の何倍の放射能が検出されたとか、それが何ベクレルだとかいうことばかりで、じゃあ一体それを食べたり飲んだりしたらどうなるの?ってことがさっぱりわからないので、こういうのはありがたいと思って観ていた。

その番組では、ベクレルという一般人にはいまいちよくわからない単位を、最近それより多少はポピュラーなシーベルトに換算したうえで、昨今ホウレンソウとか原乳から検出された放射能の濃度は、普通に食べてもほぼ人体には悪影響のないレベルであること、そもそもホウレンソウなんて必ず水洗いしてから食べるものだし(水洗いすることで付着した放射能は10分の1程度に減るんだとか)、原乳そのまま飲む人なんていないし、過剰に心配する必要はないんですよ、という説明がされていた。

今、日本に必要とされている報道って、こういうものじゃないのかな。さすがに最近は津波の映像を繰り返して流したり、被災者にマイクを向けて「今のお気持ちは?」なんて質問するような番組は減ってきたけれど、切迫した福島原発の現状以外に今やってる報道番組に観るべきものはほとんどないように思う(計画停電や電車の運行予定だったらネットの方がよほどアップデートされてるし)。

今朝の番組の情報や計算方法が鵜呑みにできるほど信用のおけるものなのかどうかは知らないけど、少なくとも僕はあれを観て、福島・茨城・栃木・群馬産の野菜や牛乳を買い控えるようなことはしないでおこうと思った(それを見分ける手立てが僕にあるならということだけど)。ただでさえ地震や津波や原発事故でひどい目に合っている地方の人達がこれまで一所懸命育てて出荷する野菜や牛乳を、これ以上そんな風評被害みたいな目に合わせたくないからね。

政府は出荷自粛をさせた業者に対して「補償することを考えている」でなく、本当に危険だったら「補償するから安心して自粛してください」と言うべきだし、“自粛”程度で済む程度の危険度なら、それが体内に入ったときにどういう影響があるのか(ないのか)を具体的に説明してくれるのが報道機関の役割だと思う。

ということで、僕はアエラみたいなクズ雑誌を発行している新聞社の刊行物については今後も不買運動を続けるけど、誰かが被災地産の野菜・牛乳が人体にどう危険なのか具体的に教えてくれるまでは、それらをあえて選んででも、積極的に食べることにするよ。

AERA.jpg

BGM:Noah And The Whale 『The First Days Of Spring』 
早く春になって、おいしい野菜をたくさん食べられるようになればいいな。
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2011年03月06日

不完全な「完璧」 - Scritti Politti

Absolute.jpg
スクリッティ・ポリッティ 『Absolute』

前回の記事にも書いたように、この時期になるとリアル店舗でもオンラインでもあちこちのCD屋さんでセールをやってて、ついあれこれと買い込んでしまう。先週はそうして買ったダンボール箱がほとんど一日おきに届いて、あっという間にこのPCの隣にはCDの山ができてしまった。

いろいろ書きたい新譜も沢山あるんだけど、今日はこれ。あいかわらず忘れた頃にぽつんとリリースされる、スクリッティ・ポリッティ。5年振りのこのCDは残念ながら新譜ではなく、新曲2曲を含んだベストアルバム。

ずっとにこのブログに書いたように、スクリッティ・ポリッティというのは30年ほどの長いキャリアでたった5枚しかアルバムを発表していないだけでなく、ポストパンク期〜1枚目〜全盛期〜ヒップホップ期〜06年の最新盤で全然音楽のスタイルが違うもんだから、ベスト盤の編集もなかなか難しいものがあるはず。

おそらく、スクリッティ・ポリッティを“知っている”という程度の人はほぼ全員、85年の大ヒットアルバム『Cupid & Psyche 85』で彼らのことを知ったはずなので、その後のどっぷりヒップホップに傾倒した音や、初期のギザギザ&スカスカしたポストパンク期の音や、06年盤のメロウなソロアルバムの音を同じバンドの音楽として素直に受け入れられるとは思えないからね。

なので、どういう選曲してるんだろうと興味をもって見てみる。まずは、「Wood Beez」にはじまる『Cupid & Psyche 85』からの怒涛のシングル攻勢5連発。まあ、そりゃそうだよね。さっき書いたような、ディープなファンでない人にとっては、このグループはこの5曲に尽きるだろうからね。もろに80年代を代表するようなキラキラピカピカした音なのに、全然古臭く聴こえないのは凄い。

続いて、その大ヒットアルバムの続編のような造りの『Provision』からの、マイルス・デイヴィスとロジャー・トラウトマンがそれぞれ参加したシングルカット2曲。まあこれも妥当なところだろう。僕にとっては大好きなこのアルバムからたったこれだけなのはちょっと納得いかないけど。

更に、年代順にその11年後のヒップホップアルバム『Anomie & Bonhomie』から4曲。うーん、4曲はちょっと多すぎるんじゃないの。個人的にはシングルの「Tinseltown To The Boogiedown」とグリーンのボーカルが格好いいアルバム冒頭の「Umm」で十分な感じ。

ここでうんと時間を遡り、違和感ありまくりなのは承知のうえでデビュー曲「Skank Bloc Bologna」に戻り、さらにファーストアルバム『Songs To Remember』から3曲。さっきの『Anomie & Bonhoie』からは非シングル曲をあんなに収録しているのに、このファーストからは「Faithless」が落とされている。結構重要なシングルだと思うんだけどな。不可解。

シャバ・ランクスとの共同シングル「She's A Woman」(yascd013に入れたビートルズのカバー)を挟み、今回の目玉である新録が2曲。あれ?06年の『White Bread Black Beer』はスルー?なんでそんなことになるんだろう。グリーン、あれ気に入ってないのかな。確かに僕もさっき上にリンクした06年の記事ではあんまり気に入ってないような書き方をしていたけれど、結構いい曲も入ってると思うんだけどな。不可解。

待望の新曲は、ライナーを読んでみると実はそれほど新しいというわけでもないようだ。『White Bread Black Beer』の直後の07年に、そのソロアルバム(名義はスクリッティ・ポリッティだけど)とはうって変わって、全盛期のパートナーであるデイヴィッド・ギャムソンと二人で作りあげた曲。たしかに、ちょっとあの頃の香りがするよ。ものすごい名曲というほどではないけれど、いい曲だよね。次のアルバムが一体何年後になるのかわからないけど、またこの二人で(と、できればドラムスのフレッド・マーも一緒に)作ってほしいな。

いかにもスクリッティ・ポリッティらしい秀逸なジャケットに包まれ、なかなか上出来な2曲の新曲も入っているけれど、どうもしっくりこない選曲のこのベストアルバム。まあ、ベストアルバムの選曲なんていつでもそういうものだし、スクリッティ・ポリッティのベスト盤なんて冒頭の5曲が入っていれば大方の人には問題なしなのかもしれないけど(だったら『Cupid & Psyche 85』を聴けばいいんだけど)、ちょっと対抗して自分仕様のベスト盤を作ってみたくなる気にさせられるCDだね。

そうだ、それやってみようかな。このベストアルバムとは曲が一切かぶらない、『裏Absolute』。「Wood Beez」も「Perfect Way」も「Skank Bloc Bologna」も入ってないスクリッティ・ポリッティの編集盤をベストアルバムと呼ぶことに抵抗はあるけれど。実は今、久しぶりのyascdでも作ってみようかなと、ふたつぐらいのアイデアのタマゴが頭の中にあるんだけど、なんだかこれを先に作ってみたくなったよ。というわけで、<つづく>
posted by . at 18:44| Comment(7) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする